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特許7000213保持装置、搬送システム、コントローラ、および保持方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】保持装置、搬送システム、コントローラ、および保持方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20220112BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J15/06 M
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018051345
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019162685
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 春菜
(72)【発明者】
【氏名】小川 昭人
(72)【発明者】
【氏名】古茂田 和馬
(72)【発明者】
【氏名】十倉 征司
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/146895(WO,A1)
【文献】特開2007-254128(JP,A)
【文献】特開2015-039767(JP,A)
【文献】特開2017-039189(JP,A)
【文献】特開2010-005769(JP,A)
【文献】特開平05-228780(JP,A)
【文献】特開2011-093058(JP,A)
【文献】特開2014-176926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0226711(US,A1)
【文献】特開2014-161965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を保持可能な保持部と、
前記物体の外形を示す情報に基づき、前記物体と前記保持部とが重なる方向から見た場合における、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方と前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方が所定の条件を満たすように、前記物体に対する前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する制御部と、
を備えた保持装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記物体の表面のなかで前記保持部が保持可能な保持可能領域を示す情報に基づき、前記物体に対する前記保持部の複数の保持可能姿勢を決定する第1決定部と、
前記物体の外形を示す情報に基づき、前記第1決定部により決定された前記複数の保持可能姿勢の各々について前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方と前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方を評価する評価部と、
前記評価部による評価に基づき、前記複数の保持可能姿勢のなかから前記保持部の保持姿勢を決定する第2決定部と、
を含む、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記第1決定部は、前記複数の保持可能姿勢の各々について、前記物体に対する前記保持部の複数の保持可能位置を決定し、
前記評価部は、前記複数の保持可能姿勢の各々について、前記複数の保持可能位置の各々での前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方と前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方を評価し、
前記第2決定部は、前記評価部による評価に基づき、前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する、
請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し量に基づき、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方を評価し、
前記第2決定部は、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し量が第1条件を満たすように、前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する、
請求項2または請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記はみ出し量は、前記物体の外形が多角形と見做される場合、前記物体の外形の辺のなかで前記保持部がはみ出す辺の数である、
請求項4に記載の保持装置。
【請求項6】
前記第2決定部は、前記物体の外形の辺のなかで前記保持部がはみ出す辺の数が最少または所定数以下となるように、前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する、
請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
前記第2決定部は、前記物体の外形の辺のなかで前記保持部が2つの辺からはみ出す場合、前記2つの辺が互いに連続する2つの辺である保持可能姿勢を、前記2つの辺が互いに連続しない2つの辺である保持可能姿勢よりも優先して、前記保持姿勢に決定する、
請求項5または請求項6に記載の保持装置。
【請求項8】
前記はみ出し量は、前記物体の外形に対して前記保持部のはみ出した部分の面積である、
請求項4から請求項7のうちいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項9】
前記第2決定部は、前記物体の外形に対して前記保持部のはみ出した部分の面積が最小または所定値以下となるように、前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する、
請求項8に記載の保持装置。
【請求項10】
前記評価部は、前記物体の移動先の情報に基づき、前記物体の外形に対して前記保持部がはみ出してはいけない方向と、前記保持部がはみ出してはいけない前記物体の辺とのうち少なくとも一方を特定し、前記特定された方向または前記物体の辺に関する前記保持部のはみ出し量に対する重みを大きくする、
請求項4から請求項9のうちいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項11】
前記評価部は、前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し量に基づき、前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方を評価し、
前記第2決定部は、前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し量が第2条件を満たすように、前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する、
請求項2から請求項10のうちいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項12】
前記はみ出し量は、前記保持部の外形が多角形と見做される場合、前記保持部の外形の辺のなかで前記物体がはみ出す前記保持部の辺の数である、
請求項11に記載の保持装置。
【請求項13】
前記評価部は、前記物体の移動先に関する情報に基づき、前記保持部の外形に対して前記物体がはみ出すべき方向と、前記物体がはみ出すべき前記保持部の辺とのうち少なくとも一方を特定し、前記特定された方向または前記保持部の辺に関する前記物体のはみ出し量に対する重みを大きくする、
請求項11または請求項12に記載の保持装置。
【請求項14】
前記保持部は、複数の吸着部を有し、
前記第1決定部は、前記複数の吸着部に含まれる少なくとも1つの吸着部が前記保持可能領域内に配置される複数の保持姿勢を、前記複数の保持可能姿勢として決定する、
請求項2から請求項13のうちいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項15】
前記第1決定部は、前記複数の吸着部の配置パターンを前記複数の吸着部の配置位置の対称性に基づいて限定することで得られた少なくとも1つのモデルパターンを用いて、前記複数の保持姿勢を判定する、
請求項14に記載の保持装置。
【請求項16】
物体の外形を示す情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部から得られる情報に基づき、前記物体と前記物体を保持する保持部とが重なる方向から見た場合における、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方と前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方が所定の条件を満たすように、前記物体に対する前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する情報処理部と、
を備えた搬送システム。
【請求項17】
物体の外形を示す情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部から得られる情報に基づき、前記物体と前記物体を保持する保持部とが重なる方向から見た場合における、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方と前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方が所定の条件を満たすように、前記物体に対する前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する情報処理部と、
を備えたコントローラ。
【請求項18】
コンピュータが
物体の外形を示す情報に基づき、前記物体と前記物体を保持する保持部とが重なる方向から見た場合における、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方と前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方が所定の条件を満たすように、前記物体に対する前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する、
保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保持装置、搬送システム、コントローラ、および保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を保持して移動させる保持装置が知られている。
このような保持装置は、移動させた物体を詰めて置くことができると好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/149616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、物体を詰めて置きやすい保持装置、搬送システム、コントローラ、および保持方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の保持装置は、保持部と、制御部とを持つ。前記保持部は、物体を保持可能である。前記制御部は、前記物体の外形を示す情報に基づき、前記物体と前記保持部とが重なる方向から見た場合における、前記物体の外形に対する前記保持部のはみ出し方と前記保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方が所定の条件を満たすように、前記物体に対する前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の搬送システムを模式的に示す図。
図2】第1の実施形態の保持部を示す斜視図。
図3】第1の実施形態の複数の吸着部の配置レイアウトを示す下面図。
図4】第1の実施形態の保持姿勢および保持位置を説明するための図。
図5】第1の実施形態の搬送システムのシステム構成を示すブロック図。
図6】第1の実施形態の物体外形情報、保持可能領域情報、および計算対象領域情報を説明するための平面図。
図7】第1の実施形態の保持可能姿勢を説明するための図。
図8】第1の実施形態の吸着部のモデルパターンを示す図。
図9】第1の実施形態のモデルパターン選定の第1段階を説明するための図。
図10】第1の実施形態のモデルパターン選定の第2段階を説明するための図。
図11A】第1の実施形態の保持可能領域の形状および大きさを示すビットマップデータの一例を示す図。
図11B】第1の実施形態の有効吸着部の形状、大きさ、および位置を示すビットマップデータの一例を示す図。
図11C】第1の実施形態のコンボリュージョンの計算結果のビットマップデータ一例を示す図。
図11D】第1の実施形態のコンボリュージョンの計算結果が2値化されたビットデータの一例を示す図。
図12】第1の実施形態における複数の保持姿勢と箱詰め密度について説明するための図。
図13】第1の実施形態における物体の外形のなかで保持部がはみ出す辺の数を示すビットマップデータの一例を示す図。
図14】第1の実施形態における所定の条件を満たす保持可能位置の集合を示すデータの一例を示す図。
図15】第1の実施形態の保持部の複数の保持可能姿勢の例を示す図。
図16】第1の実施形態の制御部の処理の流れの一例を示すフローチャート。
図17】第1の実施形態の第1変形例における物体の外形のなかで保持部がはみ出す辺の数を示すビットマップデータの一例を示す図。
図18】第1の実施形態の第2変形例における、移動元での物体の姿勢の一例と、移動先での物体の姿勢の一例とを示す平面図。
図19】第1の実施形態の第2変形例における移動先での物体の姿勢の一例を示す断面図。
図20】第1の実施形態の第3変形例における移動先で物体が経由する経由点を示す断面図。
図21】第1の実施形態の第4変形例の保持部を示す図。
図22】第1の実施形態の第4変形例のはみ出し量を説明するための図。
図23】第1の実施形態の第5変形例の保持部を示す斜視図。
図24】第1の実施形態の第5変形例の付属部品が考慮された保持部の外形の一例を示す下面図。
図25】第1の実施形態の第5変形例のはみ出し量を説明するための図。
図26】第2の実施形態で評価されるはみ出し量を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の保持装置、搬送システム、コントローラ、および保持方法を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0008】
図1から図16を参照して、第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態の保持装置10を含む搬送システム1を模式的に示す図である。搬送システム1は、例えば、物流用のハンドリングシステム(ピッキングシステム)である。搬送システム1は、移動元S1に位置する物体(保持対象物、搬送対象物)Oを、移動先S2に移動させる。
【0009】
移動元S1は、例えば、各種のコンベアや各種のパレット、またはトートやオリコンのようなコンテナなどであるが、これらに限定されない。移動元S1には、大きさや重さが異なる多種類の物体Oがランダムに置かれる。本実施形態では、保持対象の物体Oは、5cm角のような小さなものから、30cm角のような大きなものまで様々である。また、物体Oは、数十gのような軽いものから数kgような重いものまで様々である。ただし、物体Oの大きさや重さは、上記例に限定されない。
【0010】
移動先S2は、例えば、トートやオリコンのようなコンテナであるが、これらに限定されない。「コンテナ」とは、物体Oを収容可能な部材(例えば箱状の部材)を広く意味する。以下では、説明の便宜上、「移動先S2」を「移動先コンテナS2」と称する場合がある。ただし、保持装置10および搬送システム1は、コンテナ以外の移動先S2に物体Oを移動させるものでもよい。
【0011】
また、保持装置10および搬送システム1は、物流用のハンドリングシステムに限定されず、産業用ロボットシステムやその他のシステムなどにも広く適用可能である。本願でいう「保持装置」、「搬送システム」、および「保持方法」とは、物体の搬送を主目的とした装置やシステム、方法に限定されず、製品組立や別の目的の一部として物体の搬送(移動)を伴う装置やシステム、方法も含む。
【0012】
まず、搬送システム1の全体構成について説明する。
図1に示すように、搬送システム1は、例えば、保持装置10、1つ以上の第1検出器11、1つ以上の第2検出器12、および管理装置13を含む。
【0013】
保持装置(搬送装置)10は、例えばロボット装置であり、移動元S1に位置する物体Oを保持し、保持した物体Oを移動先S2に移動させる。保持装置10は、有線または無線で管理装置13と通信可能である。保持装置10については詳しく後述する。
【0014】
第1検出器11は、移動元S1の近く(例えば、移動元S1の直上や斜め上方)に配置されたカメラまたは各種センサである。第1検出器11は、例えば、移動元S1に位置する物体Oに関する情報と、移動元S1に関する情報とを取得する。第1検出器11により取得される情報は、例えば、「画像データ」、「距離画像データ」、および/または、「形状データ」である。「距離画像データ」とは、1つ以上の方向の距離情報(例えば、移動元S1の上方に設定された任意の基準面からの深さ情報)を持つ画像データである。「形状データ」とは、物体Oの外形形状などを示す情報である。第1検出器11により検出された情報は、管理装置13に出力される。なお、第1検出器11は、保持装置10の一部として設けられてもよい。この場合、第1検出器11により検出された情報は、保持装置10の制御部300(後述)に直接出力されてもよい。
【0015】
第2検出器12は、移動先コンテナS2の近く(例えば、移動先コンテナS2の直上や斜め上方)に配置されたカメラまたは各種センサである。第2検出器12は、例えば、移動先コンテナS2の形状(内壁面や仕切りの形状を含む)に関する情報と、移動先コンテナS2内に先に置かれた物体Oに関する情報とを検出する。第2検出器12により取得される情報は、例えば、「画像データ」、「距離画像データ」、および/または、「形状データ」である。なお、第2検出器12は、保持装置10の一部として設けられてもよい。この場合、第2検出器12により検出された情報は、保持装置10の制御部300に直接出力されてもよい。
【0016】
管理装置(上位制御部)13は、搬送システム1の全体の管理および制御を行う。例えば、管理装置13は、第1検出器11および第2検出器12により検出された情報を取得し、取得した情報を保持装置10に出力する。
【0017】
次に、保持装置10について説明する。
図1に示すように、保持装置10は、例えば、移動機構100、保持部200、および制御部(制御装置)300を含む。
【0018】
移動機構100は、保持部200を所望の位置に移動させる機構である。例えば、移動機構100は、6軸の垂直多関節ロボットアームであり、複数のアーム部材101と、複数のアーム部材101を回動可能に連結した複数の回動部102とを含む。ただし、移動機構100は、3軸の直交ロボットアームでもよいし、その他の構成により保持部200を所望の位置に移動させる機構でもよい。例えば、移動機構100は、回転翼により保持部200を持ち上げて移動させる飛行体(例えばドローン)などでもよい。
【0019】
保持部200は、移動元S1に位置する物体Oを保持する保持機構である。保持部200は、後述する回動部202を介して移動機構100に連結されている。例えば、保持部200は、吸引装置203と、吸引装置203に連通した吸着部205とを有し、吸着により物体Oを保持する。ただし、保持部200は、複数の挟持部材で物体Oを挟持することで物体Oを保持する保持部でもよいし、その他の機構により物体Oを保持する保持部でもよい。なお以下では、保持部200が吸着部205を有する例について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態の保持部200を示す斜視図である。保持部200は、例えば、ベース201、回動部202、吸引装置203、複数の切換弁204、および複数の吸着部205(例えば吸着パッド)を有する。
【0021】
ベース201は、例えば立方体状の外形を有し、保持部200の外郭を形成している。ベース201は、回動部202を介して移動機構100に連結されている。ベース201は、箱状に形成されてもよく、フレームのみで構成されてもよい。
【0022】
回動部202は、ベース201と移動機構100との間に設けられ、移動機構100に対してベース201を回動可能に連結している。回動部202の回動中心軸Cは、移動機構100の先端部とベース201とが並ぶ方向と略一致する。回動部202は、移動機構100に対して保持部200のベース201を、図中のθ方向およびその反対方向に回動させることができる。なお、回動部202は、保持部200の一部としてではなく、移動機構100の一部として設けられてもよい。
【0023】
吸引装置203は、ベース201の内側に設けられている。吸引装置203は、例えば真空ポンプである。吸引装置203は、ホースなどを介して複数の吸着部205の各々と連通している。吸引装置203が駆動されることで、各吸着部205内の圧力が大気圧よりも低くなり、吸着部205により物体Oが吸着保持される。
【0024】
複数の切換弁204は、複数の吸着部205に対して1対1で設けられている。各切換弁204は、対応する吸着部205と吸引装置203と連通させる第1状態と、吸着部205と吸引装置203との間の連通を遮断するとともに吸着部205を保持装置10の外部(大気圧空間)に連通させる第2状態との間で切り替え可能である。保持装置10は、物体Oが比較的小さい場合、複数の吸着部205のなかから選択された1つまたは少数の吸着部205のみを、保持に用いる吸着部205(以下、「有効吸着部205E」と称する)として機能させる。なお、以下に説明するいくつかの図では、複数の吸着部205のなかで、有効吸着部205Eにドット模様を付することで、有効吸着部205Eと、それ以外の吸着部205とを区別して図示している。
【0025】
複数の吸着部205は、ベース201の一端部において、互いに並べて配置されている。吸着部205は、移動元S1に位置する最小の物体よりも小さい外形を持つ。保持装置10は、物体Oが比較的小さくて軽い場合、複数の吸着部205のなかから選択された1つ以上の有効吸着部205Eのみを用いて物体Oを吸着保持する。本実施形態は、移動元S1に5cm角の物体Oが置かれ得る例であり、吸着部205は、例えば直径が4cmの円形状である。
【0026】
一方で、個々の吸着部205が単体で吸着保持できる物体Oの重量には上限がある。保持装置10は、物体Oが比較的大きくて重い場合、複数の吸着部205のなかで2つ以上の有効吸着部205Eを併せて使用することで、重い物体Oを吸着保持する。本実施形態では、1つの吸着部205で吸着保持できる重量は、例えば約2kgである。本実施形態では、保持部200は、5つの吸着部205を備えることで、最大約10kgの物体Oまで保持することができる。
【0027】
図3は、本実施形態の複数の吸着部205の配置レイアウトを示す下面図である。本実施形態では、保持部200の外形(例えばベース201の外形)は、例えば12cm×12cmの四角形状である。上述したように、保持部200は、5つの吸着部205を有する。5つの吸着部205は、保持部200の略中心に配置された1つの吸着部205と、保持部200の4つの角部に対応するように、上記吸着部205の周囲に分かれて配置された4つの吸着部205とを含む。これら4つの吸着部205は、上述した回動部202が回動することで、回動部202の回動中心軸Cの周りをθ方向およびその反対方向に回動可能である。
【0028】
ここで、本明細書いう「保持姿勢」および「保持位置」について定義する。図4は、「保持姿勢」および「保持位置」を説明するための図である。本明細書でいう「保持姿勢」とは、物体Oに対する保持部200の角度位置(θ方向における回転位置)を意味する。例えば、図4中の(a)の状態から「保持姿勢」を変化させた場合、保持部200の中心(回動部202の回動中心軸C)の位置は図4中の(a)の状態から変化しないが、物体Oの外形に対する保持部200の外形の向きが変化する。保持部200の保持姿勢は、回動部202の回動により変更可能である。
【0029】
一方で、本明細書でいう「保持位置」とは、物体Oに対して保持部200を平行移動させた場合の位置を意味する。例えば、図4中の(a)の状態から「保持位置」を変化させた場合は、保持部200の「保持姿勢」は図4中の(a)の状態から変化しないが、物体Oの中心に対する保持部200の中心の位置が変化する。保持部200の保持位置は、移動機構100の動作により変更可能である。
【0030】
次に、制御部300について説明する。制御部300は、保持装置10の全体動作を制御する。制御部300は、「コントローラ」の一例である。図5は、搬送システム1のシステム構成を示すブロック図である。制御部300は、例えば、情報取得部310、情報解析部320、計画部330、動作制御部340、および記憶部350を含む。
【0031】
制御部300の各機能部(例えば、情報取得部310、情報解析部320、計画部330、および動作制御部340)の全部または一部は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)のような1つ以上のプロセッサがプログラムメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのハードウェア(例えば回路部;circuity)により実現されてもよい。また、上記機能部の全部または一部は、上記ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。記憶部350は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(read-only memory)、またはRAM(random access memory)などにより実現される。
【0032】
ここで、説明の便宜上、記憶部350について先に説明する。記憶部350には、例えば、物体データベース351(以下、「物体DB351」と称する)と、モデルパターンデータベース352(以下、「モデルパターンDB352」と称する)と、保持部200の外形を示す情報(以下、「保持部外形情報」と称する)と、個々の吸着部205の保持可能重量を示す情報とが記憶されている。
【0033】
物体DB351には、例えば、移動元S1に位置する物体Oの種類または識別情報と、その物体Oの重量情報とが関連付けられて登録されている。モデルパターンDB352には、吸着部205に関するモデルパターンが登録されている。モデルパターンについては、詳しく後述する。またモデルパターンDBには、各モデルパターンにおける有効吸着部205Eの位置を示す情報が登録されている。
【0034】
「保持部外形情報」は、例えば特定方向D(図1参照)から見た場合における保持部200の外形を示す情報を含む。特定方向Dとは、例えば、移動先コンテナS2内に物体Oを置くタイミング(例えば物体Oを解放する直前のタイミング)で、物体Oと保持部200とが重なる方向である。別の観点で見ると、「特定方向D」とは、吸着部205を有した保持部200が設けられる場合、物体Oに対して吸着部205が接する方向である。
【0035】
なおこれら物体DB351、モデルパターンDB352、保持部外形情報、および個々の吸着部205の保持可能重量を示す情報は、保持装置10の記憶部350に記憶されることに代えて、管理装置13に記憶されてもよく、保持装置10がネットワークを介して通信可能な他の装置に記憶されてもよい。
【0036】
次に、制御部300の各機能部について説明する。情報取得部310は、第1検出器11および第2検出器12により検出された情報を、管理装置13から取得する。本明細書で言う「取得」とは、送信リクエストを発信することで情報を取得する場合に限定されず、受け身で受信することで情報を取得する場合も含む。情報取得部310は、第1検出器11および第2検出器12から取得した情報を情報解析部320に出力する。
【0037】
また、情報取得部310は、移動元S1に位置する物体O(保持対象の物体O)の重量を示す情報を取得する。例えば、情報取得部310は、第1検出器11により検出された画像データに含まれる物体Oの特徴情報(例えば物体Oに付された、RFID(Radio Frequency Identifier)のようなタグ情報)に基づき物体Oの種類または識別情報を判定し、判定した物体Oの種類または識別情報に対応して登録されている重量情報を物体DB351から取得する。情報取得部310は、取得した重量情報を、「物体重量情報」として計画部330に出力する。
【0038】
情報解析部320は、第1検出器11および第2検出器12により検出された情報に基づき、保持装置10の制御に用いられる各種の情報を生成する。例えば、情報解析部320は、画像データまたは距離画像データに対して所定の画像処理を行うことで、上記情報の少なくとも一部を生成する。上記情報は、例えば、「物体外形情報」、「保持可能領域情報」、「計算対象領域情報」、「移動元形状情報」、「移動先形状情報」、および「移動先積載情報」を含む。情報解析部320は、これら情報を計画部330に出力する。
【0039】
図6は、「物体外形情報」、「保持可能領域情報」、および「計算対象領域情報」を説明するための平面図である。
【0040】
「物体外形情報」は、例えば、物体Oの画像データ、物体Oの距離画像データ、物体Oの形状データ、または、それらの少なくとも1つから導出された情報である。「物体外形情報」は、移動元S1に位置する物体O(保持対象の物体O)の外形を示す情報である。「物体外形情報」は、例えば上記特定方向Dから見た場合における物体Oの外形を示す情報を含む。
【0041】
「保持可能領域情報」は、例えば、物体Oの画像データ、物体Oの距離画像データ、物体Oの形状データ、または、それらの少なくとも1つから導出された情報である。「保持可能領域情報」は、物体Oの表面のなかで保持部200が保持可能な領域RH(以下、「保持可能領域RH」と称する)を示す情報である。保持可能領域RHは、物体Oの表面のなかで広がりを持つ領域として特定される。保持可能領域RHは、例えば、物体Oの表面のなかで平坦な部分であるが、完全な平面には限定されなくてもよい。例えば、保持可能領域RHは、吸着部205により保持可能な程度に平坦であればよく、微細な凹凸や段差を含んでもよい。本実施形態では、情報解析部320は、第1検出器11により検出された物体Oの表面のなかで、閾値を超える凹凸や段差がない連続した領域を保持可能領域RHと判定し、その判定に基づき「保持可能領域情報」を生成する。
【0042】
「計算対象領域情報」は、物体Oの表面のなかで、後述するコンボリュージョンの計算を行う対象領域(以下、「計算対象領域RC」と称する)を示す情報である。本実施形態では、計算対象領域RCは、保持可能領域RHが外接する多角形を用いて表される。例えば、「計算対象領域情報」は、保持可能領域RHが外接する多角形の形状およびサイズと、物体Oの外形に対する前記多角形の姿勢(傾き)とを示す情報である。情報解析部320は、保持可能領域RHに外接する多角形を求めることで、「計算対象領域情報」を生成する。
【0043】
「移動元形状情報」は、移動元S1の物体Oを保持部200で保持する場合に障害物となる移動元S1の形状を示す情報である。情報解析部320は、例えば第1検出器11により検出された情報に基づき、「移動元形状情報」を生成する。
【0044】
「移動先形状情報」は、移動先S2に物体Oを移動させる場合に障害物となる移動先S2の形状を示す情報である。例えば、「移動先形状情報」は、移動先コンテナS2の内壁面を規定する壁や、移動先コンテナS2の内部に設けられた仕切りを示す情報である。「移動先積載情報」とは、移動先コンテナS2に先に置かれた物体Oを示す情報である。情報解析部320は、例えば第2検出器12により検出された情報に基づき、「移動先形状情報」および「移動先積載情報」を生成する。
【0045】
次に、図5に戻り、計画部330について説明する。計画部330は、例えば、保持計画生成部330aと、移動計画生成部330bとを有する。保持計画生成部330aは、移動元S1に位置する物体Oを保持部200で保持するための保持計画を生成する。移動計画生成部330bは、保持部200により保持された物体Oを移動先S2に移動させるための移動計画を生成する。
【0046】
まず、保持計画生成部330aについて説明する。本実施形態の保持計画生成部330aは、物体Oと保持部200とが重なる方向(例えば上記特定方向D)から見た場合における、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方が所定の条件を満たすように、物体Oに対する保持部200の保持姿勢および保持位置を決定する。この機能を実現するため、保持計画生成部330aは、例えば、第1決定部331、評価部332、および第2決定部333を有する。なお以下の説明における「はみ出る」とは、例えば上記特定方向Dから見た場合を基準とする。
【0047】
(第1決定部の処理)
まず、第1決定部331について説明する。第1決定部331は、物体Oの保持可能領域RHを示す情報(上述した「保持可能領域情報」)に基づき、物体Oに対する保持部200の複数の保持可能姿勢を決定する。「保持可能姿勢」とは、移動元S1に位置する物体Oを保持することが可能な保持部200の保持姿勢であり、評価部332による評価対象となる保持姿勢である。例えば、第1決定部331は、物体Oの保持可能領域RH内に、その物体Oの重量を保持可能な十分な数の吸着部205が配置される種々の保持姿勢の各々を、保持可能姿勢として決定する。
【0048】
図7は、保持可能姿勢を説明するための図である。例えば、図7は、保持可能領域RH内に2つの有効吸着部205Eが配置される3つの保持姿勢の例を示す。これら3つの保持可能姿勢は、物体Oの外形に対する保持部200の外形の角度位置が互いに異なる。図7中の(a)は、物体Oの外形の3辺から保持部200がはみ出す保持姿勢である。図7中の(b)は、物体Oの外形の2辺から保持部200がはみ出す保持姿勢である。図7中の(c)は、物体Oの外形の1辺から保持部200がはみ出す保持姿勢である。
【0049】
また本実施形態では、第1決定部331は、複数の保持可能姿勢を決定することに加えて、それら複数の保持可能姿勢の各々での、物体Oに対する保持部200の複数の保持可能位置を決定する。「保持可能位置」とは、移動元S1に位置する物体Oを保持することができる保持部200の保持位置であり、評価部332による評価対象となる保持位置である。例えば、第1決定部331は、物体Oの保持可能領域RH内に、その物体Oの重量を保持可能な十分な数の吸着部205が配置される種々の保持位置の各々を、保持可能位置として決定する。
【0050】
以下、第1決定部331の処理の一例について詳しく述べる。本実施形態では、第1決定部331は、物体Oの保持可能領域RHを示す情報(上述した「保持可能領域情報」)と、物体Oの重量を示す情報(上述した「物体重量情報」)と、吸着部205に関するモデルパターンとに基づき、複数の保持可能姿勢と、それら複数の保持可能姿勢の各々での複数の保持可能位置とを決定する。これらの処理は、(a)モデルパターンの選定処理と、(b)保持可能姿勢および保持可能位置の決定処理とを含む。
【0051】
<モデルパターン>
まず前提として、「吸着部に関するモデルパターン」について説明する。図8は、本実施形態の吸着部205に関するモデルパターンを示す図である。ここで、複数の吸着部205のなかから1つまたは少数の吸着部205が有効吸着部205Eとして選択されて使用される場合、有効吸着部205Eの配置位置として、複数の配置パターンが存在する。例えば、本実施形態のような5つの吸着部205が存在する場合、31通りの配置パターンが存在する。
【0052】
ここで、複数の吸着部205の配置位置および保持部200の外形が対称性(以下、「吸着部205の配置位置等の対称性」と称する)を有する場合、吸着部205の複数の配置パターンは、吸着部205の配置位置等の対称性に基づき、少数のモデルパターンに限定することができる。例えば、本実施形態のような5つの吸着部205が存在する場合、上記31通りの配置パターンは、図8に示す8つのモデルパターンに限定することができる。このため、保持可能姿勢の決定に関する計算の一部は、上記31通りの配置パターンを総当たり的に計算することに代えて、上記8つのモデルパターンのみについて計算することで行うことができる。このようなモデルパターンを用いることで、保持部200の保持姿勢および保持位置を決定するための必要計算量を減らすことができる。これにより、計算負荷を減らし、保持計画の生成に必要な演算を高速化することができる。
【0053】
ここで、各モデルパターンが用いられる場合に物体Oの表面に必要となる領域の形状および大きさは、必要領域RNとして、モデルパターン毎に設定されている。この必要領域RNは、対応するモデルパターンと関連付けられてモデルパターンDB352に登録されている。
【0054】
<モデルパターンの選定の第1段階>
まず、モデルパターンの選定の第1段階について説明する。図9は、モデルパターンの選定の第1段階を説明するための図である。第1段階では、第1決定部331は、保持可能領域情報と、各モデルパターンにおける必要領域RNを示す情報とに基づき、上記8つのモデルパターンのなかから保持可能領域RHに必要領域RNが内包されないモデルパターン(保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置されないモデルパターン)を除外する。例えば、第1決定部331は、保持可能領域RHの大きさと、各モデルパターンにおける必要領域RNの大きさとを比較し、保持可能領域RHに必要領域RNが内包されるモデルパターンであるか否かを判定する。
【0055】
例えば、図9に示される例では、保持可能領域RHに外接する四角形の長辺と短辺の対角の長さL1が135mmであり、Fのモデルパターンにおける必要領域RNの長手方向の長さL2が150mmである。このため、Fのモデルパターンは、保持可能領域RHに必要領域RNが内包されないモデルパターンとして除外される。同様に、G、Hのモデルパターンも、保持可能領域RHに必要領域RNが内包されないモデルパターンとして除外される。
【0056】
<モデルパターンの選定の第2段階>
次に、モデルパターンの選定の第2段階について説明する。図10は、モデルパターンの選定の第2段階を説明するための図である。第2段階では、第1決定部331は、物体重量情報と、個々の吸着部205の保持可能重量を示す情報とに基づき、重さの観点で物体Oを保持することができないモデルパターン(有効吸着部205Eが必要数に足りないモデルパターン)を除外する。例えば、第1決定部331は、各モデルパターンにおける有効吸着部205Eの数と、個々の吸着部205が保持可能な重量とを乗算することで、各モデルパターンでの保持部200の保持可能重量を算出する。そして、第1決定部331は、算出した保持部200の保持可能重量と、物体Oの重量とを比較し、保持部200の保持可能重量が物体Oの重量を上回る場合に、そのモデルパターンを用いて物体Oを保持可能であると判定する。これにより、第1決定部331は、上記第1段階で絞り込まれた1つ以上のモデルパターンのなかから、重量の観点で物体Oを保持可能なモデルパターンをさらに絞り込む。
【0057】
例えば、図10に示される例では、物体Oの重量が約3kgであり、個々の吸着部205の保持可能重量が約2kgである。このため、第1段階で残った5つのモデルパターン(A、B、C、D、E)のなかから、A、Bのモデルパターンが物体Oを保持することができないモデルパターンとして除外される。
【0058】
第1決定部331は、上記第1段階および第2段階の絞り込みを行うことで、上記8つのモデルパターンのなかから1つ以上のモデルパターンを選択する。なお、上記第1段階の処理と上記第2段階の処理は、順序を逆にして実行されてもよい。
【0059】
<保持可能姿勢および保持可能位置の決定処理>
次に、保持可能姿勢および保持可能位置の決定処理について説明する。ここでは、説明の便宜上、図10中のCのモデルパターンに関する保持可能姿勢および保持可能位置の決定処理を代表して説明する。なお、上述したモデルパターンの選定で残った他のモデルパターン(図10に示す例では、D、Eのモデルパターン)の各々についても同様の処理が行われる。
【0060】
本実施形態では、保持部200の保持可能姿勢および保持可能位置の決定は、保持可能領域RHの形状および大きさを示すビットマップデータと、各モデルパターンにおける有効吸着部205Eの形状、大きさ、および位置を示すビットマップデータとを用いたコンボリューションにより行われる。
【0061】
図11Aは、保持可能領域RHの形状および大きさを示すビットマップデータの一例である。このビットマップデータは、「保持可能領域情報」の一例である。図11Aに示すビットマップデータは、例えば2値化されており、保持可能領域RHの内側に対応する座標位置には「1」が登録され、保持可能領域RHの外側に対応する座標位置には「0」が登録されている。本実施形態では、図11Aに示される四角形の外形は、計算対象領域RCの外形に対応する。すなわち、図11Aのビットマップデータは、物体Oの表面の一面の全域ではなく、計算対象領域RCの内側の領域に対応する。計算対象領域RCの外形は、上述した「計算対象領域情報」に基づいて得られる。このように計算対象領域RCを物体Oの表面の一部領域に限定することで、物体Oの表面の一面の全域についてコンボリュージョンの計算が行われる場合に比べて、必要計算量を減らすことができる。これにより、計算負荷を減らし、保持計画の生成に必要な演算を高速化することができる。
【0062】
図11Bは、図10中のCのモデルパターンに対応した有効吸着部205Eの形状、大きさ、および位置を示すビットマップデータの一例である。このビットマップデータは、「モデルパターンにおける有効吸着部の位置を示す情報」の一例である。図11Bに示すビットマップデータは、例えば2値化されており、有効吸着部205Eの内側に対応する座標位置には「1」が登録され、有効吸着部205Eの外側に対応する座標位置には「0」が登録されている。図11Bに示される四角形の外形は、保持部200の外形に対応する。
【0063】
図11Cは、図11Aに示された保持可能領域RHの形状および大きさを示すビットマップデータと、図11Bに示された有効吸着部205Eの形状、大きさ、および位置を示すビットマップデータとを用いたコンボリュージョンの計算結果のビットマップデータの一例を示す。例えば、図11C中の座標位置d1における「42」という数値は、図11A中の座標位置d1に、図11B中の座標位置d2(保持部200の中心)を一致させてコンボリュージョンが行われた場合の計算結果である。本実施形態では、図11Cに示される四角形の外形は、図11Aと同様に、計算対象領域RCの外形に対応する。本実施形態では、コンボリュージョンは、計算対象領域RCに含まれる全ての座標位置の各々に対して行われる。
【0064】
図11Dは、図11Cに示された計算結果が2値化されたビットマップデータの一例である。本実施形態では、図11Dに示すビットマップテーブルは、図11Cに示されたコンボリュージョンの計算結果のなかで最大値(上述した例では「42」)を示す座標位置に対して「1」が登録され、それ以外の値を示す座標位置に対して「0」が登録されたデータである。図11D中のビットマップデータのなかで「1」が登録された座標位置の各々は、この座標位置に保持部200の中心が合わされた場合、保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置される座標位置(保持可能位置)である。
【0065】
なお、図11Aから図11Dを参照して説明した処理は、図10中のCのモデルパターンに関する、ある1つの保持姿勢についてのコンボリュージョンの計算結果である。図11Aから図11Dを参照して説明した処理は、物体Oに対して保持部200をθ方向に所定角度ずつ回転させた複数の保持姿勢(物体Oに対する保持部200の角度位置が互いに異なる複数の保持姿勢)の各々について行われる。上記所定角度は、1度や5度のような小さな角度間隔でもよいし、30度や45度、60度のような大きな角度間隔でもよい。なお、図11Aから図11Dは、説明の便宜上、比較的粗いビットマップデータを用いた例を示すが、比較的細かいビットマップデータが用いられることで、保持部200を所定角度ずつ回転させた場合の有効吸着部205Eの位置を表すことができる。
【0066】
なお、上記計算を行う必要がある保持姿勢の検証範囲は、モデルパターンによって異なる。すなわち、モデルパターンが360度以下の回転対称性を持たない場合(例えば、図8に示されたEやGのモデルパターン)では、360度の範囲において所定角度ずつ保持部200を回転させた複数の保持姿勢の各々について、上記処理を行う必要がある。一方で、モデルパターンが360度以下の回転対称性を持つ場合(例えば、図8に示されたCやDのモデルパターン)では、360度よりも小さな角度範囲(例えば90度)のみにおいて所定角度ずつ保持部200を回転させた複数の保持姿勢の各々について上記処理を行えばよい。
【0067】
ところで、物体Oに対して所定角度ずつ保持部200を回転させた複数の保持姿勢のなかには、保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置されない保持姿勢も存在し得る。第1決定部331は、コンボリュージョンの計算結果の最大値が、保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置される場合に算出される値(図11Cに示す例では「42」)よりも小さい場合に、その保持姿勢は、保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置されない保持姿勢であると判定し、保持可能姿勢には決定しない。
【0068】
以上の処理により、第1決定部331は、保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置される複数の保持姿勢を抽出する。そして、第1決定部331は、抽出された複数の保持姿勢と、各保持姿勢において保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置される保持位置とを、評価部332の評価対象となる保持可能姿勢および保持姿勢位置として決定する。
【0069】
なお、第1決定部331は、コンボリュージョンに代えて、保持可能領域RHの外形を規定する頂点情報を用いた内包検出、またはその他の演算に基づいて、保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置される複数の保持可能姿勢と、各保持可能姿勢において保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置される保持可能位置とを決定してもよい。
【0070】
(評価部の処理)
次に、評価部332について説明する。ここで、移動先コンテナS2内に物体Oを移動させる(いわゆる箱詰めを行う)際の保持部200の種々の保持姿勢の優劣について説明する。図12は、複数の保持姿勢と、その保持姿勢による箱詰め密度について説明するための図である。図12中の(a)は、物体Oの外形の3辺から保持部200がはみ出す保持姿勢を示す。この保持姿勢では、保持部200が移動先コンテナS2に干渉し、移動先コンテナS2の角(隅部)に物体Oを詰めて置くことが難しい場合がある。図12中の(b)は、物体Oの外形の2辺から保持部200がはみ出す保持姿勢を示す。この保持姿勢では、移動先コンテナS2の角に物体Oを詰めることはできるが、先に置かれた物体Oに対して別の物体Oを詰めて置くことが難しい場合がある。図12中の(c)は、物体Oの外形の1辺のみに対して保持部200がはみ出す保持姿勢を示す。この保持姿勢では、移動先コンテナS2の角に物体Oを詰めておくことが比較的容易にでき、さらに、先に置かれた物体Oに対して別の物体Oを詰めて置くことも比較的容易にできる。このため、図12中の(a)から(c)の複数の保持姿勢のなかでは、(c)に示された保持姿勢が好ましいと言える。
【0071】
本実施形態では、評価部332は、物体Oの外形を示す情報(上述した「物体外形情報」)と、保持部200の外形を示す情報(上述した「保持部外形情報」)とに基づき、第1決定部331により決定された複数の保持可能姿勢の各々について、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方を評価する。さらに本実施形態では、評価部332は、複数の保持可能姿勢の各々について、複数の保持可能位置の各々での物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方を評価する。
【0072】
詳しく述べると、本実施形態では、評価部332は、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し量に基づき、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方を評価する。「はみ出し量」とは、例えば、物体Oの外形が多角形と見做された場合(例えば、物体Oの外形が多角形として、または多角形に近似されて登録されている場合)、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数である。また別の例では、上記はみ出し量は、物体Oの外形に対して保持部200のはみ出した部分の面積である。
【0073】
図13は、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数を示すビットマップデータの一例である。すなわち、図13に示すビットマップデータの各座標位置には、その座標位置に保持部200の中心が合わされた場合に、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数が登録されている。なお、図13のビットマップデータの座標位置は、図11Dのビットマップデータの座標位置と対応する。このようなビットマップデータは、物体外形情報と保持部外形情報とに基づき、評価部332により生成される。
【0074】
図14は、1つの保持可能姿勢に関して、上記はみ出し量が最小となる保持可能位置の集合を示すビットマップデータの一例である。例えば、図14は、図11Dのビットマップデータにおいて「1」が登録された複数の座標位置(複数の保持可能位置)に対応する図13のビットマップデータの複数の座標位置のなかで、図13のビットマップデータにおいて最小の数値(保持部_がはみ出す辺の数)が登録されている座標位置の数値のみを、図13のビットマップデータから抜き出されたビットマップデータである。
【0075】
すなわち、図14に示す例では、図11Dのビットマップデータにおいて「1」が登録された複数の座標位置に対応する図13のビットマップデータの複数の座標位置のなかで、図13のビットマップデータにおいて「0」が登録されている座標位置が存在しない。このため、図11Dのビットマップデータにおいて「1」が登録された複数の座標位置に対応する図13のビットマップデータの複数の座標位置のなかで、図13のビットマップデータにおいて「1」が登録されている座標位置の数値(「1」)が図13のビットマップデータから抜き出されている。図14に示すようなビットマップデータは、例えば評価部332により生成される。
【0076】
そして、評価部332は、図14に示すようなビットマップデータに基づき、このビットマップデータが対応する保持可能姿勢について、上記はみ出し量の最小値(例えば、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数の最少値)と、その保持可能姿勢において上記はみ出し量が最小値となる保持可能位置とを特定する。図14に示す例では、評価部332は、物体Oの外形の外形に対してはみ出す保持部200の辺の数の最少値が「1」であること、および図14中で「1」が登録された複数の座標位置(複数の保持可能位置)において、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数が最少値となることを特定する。評価部332は、特定した上記はみ出し量の最小値と、その保持可能姿勢において上記はみ出し量が最小値となる保持可能位置とを示す情報を第2決定部333に出力する。
【0077】
ここで上述したように、第1決定部331は、物体Oに対して保持部200の角度位置が異なる複数の保持可能姿勢を決定する場合がある。この場合、評価部332は、第1決定部331により決定された複数の保持可能姿勢の各々について上述した処理(評価部332による処理)を行い、複数の保持可能姿勢の各々について、その保持可能姿勢での上記はみ出し量の最小値と、その保持可能姿勢において上記はみ出し量が最小値となる保持可能位置とを特定する。
【0078】
なお、上述したモデルパターンの選定で複数のモデルパターン(図10に示す例では、C、D、Eのモデルパターン)が選定された場合、上述した処理(評価部332による処理)は、選定された全てのモデルパターンについて行われる。
【0079】
また、複数の吸着部205の配置位置等の対称性に基づいて限定されたモデルパターンが用いられて保持可能姿勢が決定された場合、評価部332は、そのモデルパターンの元になった限定される前の吸着部205の複数の配置パターンの各々について、上述した処理(評価部332による処理)を行い、限定される前の複数の配置パターンの各々について、各配置パターンにおける保持可能姿勢での上記はみ出し量の最小値と、その保持可能姿勢において上記はみ出し量が最小値となる保持可能位置とを特定する。
【0080】
(第2決定部の処理)
次に、第2決定部333について説明する。第2決定部333は、評価部332の評価結果に基づき、第1決定部331により決定された複数の保持可能姿勢および複数の保持可能位置のなかから、採用される保持部200の保持姿勢および保持位置を決定する。例えば、第2決定部333は、上記はみ出し量が第1条件を満たすように、複数の保持可能姿勢および複数の保持可能位置のなかから保持部200の保持姿勢および保持可能位置を決定する。
【0081】
「第1条件を満たす」とは、例えば、第1決定部331により決定された複数の保持可能姿勢のなかで、上記はみ出し量が最小または所定値以下となることである。上述したように、上記はみ出し量は、例えば、物体Oの外形が多角形と見做された場合、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数である。また別の例では、上記はみ出し量は、物体Oの外形に対して保持部200のはみ出した部分の面積である。
【0082】
上記はみ出し量が物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数である場合、「所定の第1条件を満たす」とは、例えば、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数が、複数の保持可能姿勢のなかで最少または所定数以下(例えば1つ以下)となることである。ただし、「所定数以下」は、「1つ以下」に限定されず、保持部200が近似される多角形の種類などに基づき、「2つ以下」と設定されてもよく、その他の数以下に設定されてもよい。
【0083】
ここで、第2決定部333は、物体Oの外形のなかで保持部200が2つの辺からはみ出す場合、前記2つの辺が互いに連続する保持可能姿勢を、前記2つの辺が互いに連続しない保持可能姿勢よりも優先して、保持部200の保持姿勢に決定してもよい。図15は、保持部200の複数の保持可能姿勢の例を示す図である。「前記2つの辺が互いに連続する」とは、例えば、図15中の(a)に示すように、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す2つの辺J1,J2が互いに連続する(互いに接続されている)ことを意味する。一方で、「前記2つの辺が互いに連続しない」とは、例えば、図15中の(b)に示すように、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す2つの辺J1,J3が互いに連続しない(例えば対辺である)ことを意味する。
【0084】
一方で、上記はみ出し量が物体Oの外形に対して保持部200のはみ出した部分の面積である場合、「所定の第1条件を満たす」とは、例えば、物体Oの外形に対して保持部200のはみ出した部分の面積が最小または所定値以下となることである。
なお、上記はみ出し量は、「物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数」と、「物体Oの外形に対して保持部200のはみ出した部分の面積」との両方に基づいて計算されてもよい。
【0085】
また、評価部332は、物体Oの移動先S2に関する情報(例えば、上述した「移動先形状情報」および「移動先積載情報」)に基づき、物体Oの外形に対して保持部200がはみ出してはいけない方向と、保持部200がはみ出してはいけない物体Oの辺とのうち少なくとも一方を特定し、特定された方向または特定された物体Oの辺に関する保持部200のはみ出し量に対する重みを大きくしてもよい。ここで言う「重みを大きくする」とは、保持部200の保持姿勢として採用されにくくすることを意味する。これにより、上記特定された方向、または上記特定された物体Oの辺から保持部200の外形がはみ出す保持姿勢が選択されることを抑制することができる。
【0086】
また、評価部332は、物体Oの移動元に関する情報(例えば、上述した「移動元形状情報」)に基づき保持部200の保持姿勢および保持位置に関する制約条件を設定し、その制約条件下で保持部200の保持姿勢および保持位置を選択してもよい。
【0087】
以上説明した処理により、保持計画生成部330aは、保持部200の保持姿勢および保持位置を決定する。保持計画生成部330aは、決定した保持姿勢および保持位置を、制御目標として動作制御部340に出力する。
【0088】
次に、移動計画生成部330bについて説明する。移動計画生成部330bは、物体Oの移動先S2に関する情報(例えば、上述した「移動先形状情報」および「移動先積載情報」)に基づき、保持部200で保持した物体Oを移動先S2に移動させる移動計画を生成する。本実施形態では、移動計画生成部330bは、保持計画生成部330aにより決定された保持姿勢および保持位置にも基づき、上記移動計画を生成する。例えば、移動計画生成部330bは、物体Oの外形に対して保持部200がはみ出していない方向、または保持部200がはみ出していない物体Oの辺が、移動先コンテナS2の内壁面や先に置かれた物体Oに隣り合う移動計画を生成する。
【0089】
次に、動作制御部340について説明する。動作制御部340は、計画部330により計画された保持計画および移動計画に基づき、保持部200および移動機構100を制御する。例えば、動作制御部340は、保持計画生成部330aにより生成された保持計画に基づき移動機構100および保持部200を制御し、保持計画生成部330aにより決定された保持部200の保持姿勢および保持位置で物体Oを保持する。動作制御部340は、移動計画生成部330bにより生成された移動計画に基づき移動機構100および保持部200を制御し、物体Oを移動先コンテナS2内に移動させる。
【0090】
次に、制御部300の処理の流れの一例について説明する。図16は、制御部300の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、第1決定部331は、吸着部205の配置位置等の対称性に基づき限定された複数のモデルパターンを記憶部350から取得する(S101)。なお、上記モデルパターンは、記憶部350から取得されることに代えて、第1決定部331により都度導出されてもよい。
【0091】
次に、第1決定部331は、保持可能領域情報と、各モデルパターンにおける有効吸着部205Eの位置を示す情報とに基づき、複数のモデルパターンのなかから、保持可能領域RH内に全ての有効吸着部205Eが配置されるモデルパターンを選定する(S102)。すなわち、第1決定部331は、上述したモデルパターンの選定の第1段階の処理を行う。
【0092】
次に、第1決定部331は、物体重量情報と、個々の吸着部205の保持可能重量を示す情報とに基づき、第1段階で選定された複数のモデルパターンのなかから、物体Oの重量を保持可能なモデルパターンをさらに選定する(S103)。すなわち、第1決定部331は、上述したモデルパターンの選定の第2段階の処理を行う。
【0093】
次に、第1決定部331は、上記第1段階および第2段階によって選定された1つ以上(例えば複数)のモデルパターンの各々について、保持部200の保持可能姿勢および保持可能位置を決定する(S104)。例えば、第1決定部331は、まず1つのモデルパターンを選定する。そして、第1決定部331は、選定したモデルパターンについて、保持部200の1つ以上(例えば複数)の保持可能姿勢と、各保持可能姿勢における1つ以上(例えば複数)の保持可能位置を決定する。
【0094】
次に、評価部332は、保持部200の1つ以上(例えば複数)の保持可能姿勢の各々について、各保持可能姿勢における1つ以上(例えば複数)の保持可能位置の各々での物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方を評価する(S105)。本実施形態では、例えば、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数を算出する。
【0095】
次に、評価部332は、上記第1段階および第2段階により選定された全てのモデルパターンについて、S104およびS105の処理が行われたか否かを判定する(S106)。選定された全てのモデルパターンについてS104およびS105の処理が行われたと判定された場合、S107の処理に進む。一方で、全てのモデルパターンのなかでS104およびS105の処理が行われていないモデルパターンがあると判定された場合、そのモデルパターンについてS104およびS105の処理が行われる。これにより、評価部332は、全てのモデルパターンについてS104およびS105の処理が行われるように、S104およびS105の処理を繰り返す。
【0096】
次に、第2決定部333は、評価部332により評価された保持可能姿勢および保持可能位置のなかで、物体Oに対するはみ出し量が第1条件を満たす(例えば、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数が最少または所定数以下となる)保持可能姿勢および保持可能位置を、採用される保持姿勢および保持位置として決定する(S107)。第2決定部333は、決定した保持姿勢および保持位置を示す情報を動作制御部340に出力する。
【0097】
なお、第2決定部333は、評価部332による全てのモデルパターンについてのS104およびS105の処理が終わっていない段階でも(さらに言えば、最初に選定されたモデルパターンに関する複数の保持可能姿勢についてのS104およびS105の処理が終わっていない段階でも)、予め設定された第1条件が満たされる(例えば、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数が所定数以下となる)保持可能姿勢および保持可能位置が見つかった場合、その時点で評価部332による評価を終了し、見つかった保持可能姿勢および保持可能位置を、採用される保持姿勢および保持位置として決定してもよい。このような処理によれば、計算負荷を減らし、保持計画の生成に必要な演算を高速化することができる。
【0098】
このような構成によれば、搬送対象の物体Oを詰めて置くことができる。例えば、移動先コンテナ内に物体を移動させる(いわゆる箱詰めを行う)際には、移動先コンテナの充填率向上のため、物体および保持部を周囲に干渉しないように制御しつつ、移動先コンテナの内壁面や先に置かれた物体に対して搬送対象の物体を詰めて置くことが望ましい。しかしながら、一般的な搬送装置では、移動元での物体の保持しやすさのみに着目して物体に対する保持姿勢が決定されることが多く、箱詰め時での保持姿勢が考慮されていない。このため、箱詰め動作の際に、移動先コンテナや先に置かれた物体に保持部が干渉し、物体を置く位置が大きく制限されることで、箱詰めの充填率が低下してしまう場合がある。また一般的には、箱詰め動作を行う保持部は、物体の外形よりも小さい場合が多く、本実施形態のような物体Oの外形よりも大きな保持部200は検討されてこなかった。
【0099】
一方で、本実施形態では、保持装置10は、移動先コンテナS2の内壁面や先に置かれた物体Oに対する保持部200の干渉を小さくするように、物体Oに対する保持部200の保持姿勢および保持位置を決定する制御部300を有する。このような構成によれば、移動先コンテナS2や先に置かれた物体Oに保持部200が干渉しにくく、物体Oを置く位置が制限されにくい。このため、移動先コンテナS2の内壁面や先に置かれた物体Oに対して搬送対象の物体Oを詰めて置きやすくなる。その結果、箱詰めの充填率を向上させることができる。箱詰めの充填率を向上させることができると、輸送効率の向上および輸送コストの低減を図ることができる。
【0100】
本実施形態では、保持装置10は、第1決定部331と、評価部332と、第2決定部333とを有する。第1決定部331は、保持可能領域RHを示す情報に基づき、物体Oに対する保持部200の複数の保持可能姿勢を決定する。評価部332は、物体Oの外形を示す情報に基づき、前記複数の保持可能姿勢の各々について物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方を評価する。第2決定部333は、評価部332による評価に基づき、前記複数の保持可能姿勢のなかから保持部200の保持姿勢を決定する。このような構成によれば、物体Oを保持可能な複数の保持可能姿勢の各々について評価部332により評価を行うことができ、より適した保持姿勢を決定することができる。これにより、物体Oをより詰めて置くことができる場合がある。
【0101】
本実施形態では、第1決定部331は、複数の保持可能姿勢の各々において、物体Oに対する保持部200の複数の保持可能位置を決定する。評価部332は、前記複数の保持可能姿勢の各々について、前記複数の保持可能位置の各々での物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方を評価する。第2決定部333は、評価部332による評価に基づき、保持部200の保持姿勢および保持位置を決定する。このような構成によれば、複数の保持可能姿勢に加え、各保持可能姿勢における複数の保持可能位置の各々について評価部332により評価を行うことができ、より適した保持姿勢および保持位置を決定することができる。
【0102】
本実施形態では、評価部332は、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し量を評価する。第2決定部333は、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し量が第1条件を満たすように、保持部200の保持姿勢および保持位置を決定する。このような構成によれば、物体Oの外形に対するはみ出し量が比較的小さな保持姿勢および保持位置が決定される。これにより、物体Oをより詰めて置くことができる場合がある。
【0103】
本実施形態では、上記はみ出し量は、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数である。このような構成によれば、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数が少ない保持姿勢および保持位置が決定される。これにより、保持部200の外形がより邪魔になりにくく、物体Oをより詰めて置くことができる場合がある。
【0104】
ここで、第2物体Oの外形のなかで保持部200が2つの辺からはみ出す場合、前記2つの辺が互いに連続する保持可能姿勢を、前記2つの辺が互いに連続しない保持可能姿勢よりも優先して、保持部200の保持姿勢に決定してもよい。このような構成によれば、移動先コンテナS2の内壁面や先に置かれた物体Oに対して搬送対象の物体Oをさらに詰めて置きやすくなる。
【0105】
本実施形態では、上記はみ出し量は、前記物体の外形に対して保持部200のはみ出した部分の面積でもよい。このような構成によれば、物体Oの外形に対して保持部200のはみ出す部分の面積が小さい保持姿勢および保持位置が決定される。これにより、保持部200の外形がより邪魔になりにくく、物体Oをより詰めて置くことができる場合がある。
【0106】
次に、第1の実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態の構成と略同じである。
【0107】
(第1変形例)
第1変形例は、物体Oの外形が保持部200の外形よりも小さい場合があり得る搬送システム1に関する。図17は、物体Oの外形が保持部200の外形よりも小さい場合における、物体Oの外形のなかで保持部200がはみ出す辺の数を示すビットマップデータの一例である。物体Oの外形が保持部200の外形よりも小さい場合、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し量をゼロにすることが不可能である。このような場合、制御部300は、図17に示すようなビットマップデータを用いることで、物体Oの外形のなかで保持部200が2辺からはみ出す保持可能姿勢を、保持部200の保持姿勢として決定する。
【0108】
(第2変形例)
第2変形例は、移動先S2での物体Oの望ましい姿勢が存在する場合に関する。図18は、移動元S1での物体Oの姿勢の一例と、移動先S2での物体Oの姿勢の一例とを示す平面図である。図18に示す例では、移動元S1では、物体Oは寝かされた姿勢である。ここで、物体Oの移動先S2での姿勢を考慮しない場合、保持可能領域RHとして、複数の保持可能領域RH1、RH2が特定される。
【0109】
図19は、移動先S2での物体Oの姿勢の一例を示す断面図である。図19に示す例では、移動先S2では、物体Oは立て置かれる姿勢となる。この場合、移動元S1において、複数の保持可能領域RHのうち、第1保持可能領域RH1が保持部200により保持された場合、保持部200が移動先コンテナS2に干渉し、物体Oを詰めて置くことが難しくなる場合があり得る(図19中の(a)参照)。
【0110】
そこで本変形例では、評価部332は、移動先コンテナS2内での物体Oの姿勢を示す情報に基づき、上記はみ出し量の評価計算(上記はみ出し量の算出)において重み付けを行う。例えば、評価部332は、移動先コンテナS2内に物体Oを特定の姿勢で置く場合、その姿勢において移動先コンテナS2または先に置かれた物体Oと保持部200との干渉量が大きいほど、上記はみ出し量が大きくなるように重み付けを行う。これにより、第2決定部333は、移動先S2での物体Oの特定の姿勢も考慮した把持姿勢および把持位置を決定することができる。これにより、第2決定部333は、物体Oに複数の保持可能領域RH(保持可能領域RH1、RH2)がある場合、移動先コンテナS2内に物体Oを特定の姿勢で置く場合、その姿勢において移動先コンテナS2と保持部200との干渉量が相対的に小さい第2保持可能領域RH2を選択することができる(図19中の(b)参照)。
【0111】
なお、「移動先コンテナ内での物体の姿勢を示す情報」は、例えば、移動先S2の近くに配置された第2検出器12により検出された情報が情報解析部320で解析されることで得らえる。また、「移動先コンテナ内での物体の姿勢を示す情報」は、物体DB351の一部として予め登録されていてもよい。この場合、情報取得部310は、第1検出器11により検出された画像データに含まれる物体Oの特徴情報(例えば物体Oに付されたタグ情報)に基づき物体Oの種類または識別情報を判定し、判定した物体Oの種類または識別情報に対応して登録されている「移動先コンテナ内での物体の姿勢を示す情報」を取得してもよい。
【0112】
(第3変形例)
第3変形例は、移動先S2で物体Oが1つ以上の経由点を経由して最終位置に収容される場合に関する。図20は、移動先S2で物体Oが経由する経由点を示す断面図である。図20は、物体Oを、移動先コンテナS2の内壁面と先に置かれた物体Oとの間の隙間に挿入する例を示す。このような場合、物体Oは、例えば、先に置かれた物体Oに沿わせて(物体Oを支点として)傾き角度を徐々に変え、いくつかの経由点K1,K2,K3を経由して挿入されることでスムーズに挿入されやすい場合がある。
【0113】
そこで本変形例では、評価部332は、移動先コンテナS2内での物体Oが経由する経由点K1,K2,K3を示す情報に基づき、上記はみ出し量の評価計算(上記はみ出し量の算出)において重み付けを行う。例えば、評価部332は、各経由点K1,K2,K3で移動先コンテナS2または先に置かれた物体Oと保持部200との干渉量が大きいほど、上記はみ出し量が大きくなるように重み付けを行う。これにより、第2決定部333は、物体Oの移動中の経由点K1,K2,K3も考慮した把持姿勢および把持位置を決定することができる。「移動先コンテナ内での物体が経由する経由点を示す情報」は、例えば、上述した移動先形状情報および移動先積載情報に基づき導出される。
【0114】
(第4変形例)
第4変形例は、断面が四角形以外の保持部200に関する。図21は、本変形例の保持部200を示す図である。図21に示すように、保持部200は、例えば円柱状の外形を有する。図22は、本変形例のはみ出し量を説明するための図である。例えば、図22中の(a)は、物体Oの外形のなかで保持部200が2辺からはみ出す保持姿勢を示す。一方で、図22中の(b)は、物体Oの外形のなかで保持部200が4辺からはみ出す保持姿勢を示す。このような構成であっても、第1の実施形態と同様に、物体Oの外形に対するはみ出し量を評価することができる。
【0115】
(第5変形例)
第5変形例は、ケーブルのような付属部品206も考慮して保持部200の外形が設定される場合に関する。図23は、保持部200を示す斜視図である。ここで、保持部200の形状をなるべくスリムに設計しても、様々なセンサ等を取り付ける必要があるため、外部に露出した付属部品206を保持部200に設ける必要が生じる。
【0116】
そこで本変形例では、ベース201の外形に加えて、保持部200の外部に露出した付属部品206(例えばケーブル)も保持部200の外形の一部と見做して、保持部200の外形を示す情報(上述した「保持部外形情報」)が設定される。図24は、付属部品206が考慮して設定された保持部200の外形の一例を示す下面図である。保持部200の外形は、付属部品206が存在する領域に対応する膨らみを有する。
【0117】
評価部332は、付属部品206を含む保持部200の外形を示す情報に基づき、物体Oに対する保持部200のはみ出し量を評価する。図25は、本変形例のはみ出し量を説明するための図である。例えば、図25中の(a)は、物体Oの外形のなかで保持部200が4辺からはみ出す保持姿勢を示す。一方で、図25中の(b)は、物体Oの外形のなかで保持部200が2辺からはみ出す保持姿勢を示す。このような構成によれば、付属部品206も考慮して、物体Oの外形に対するはみ出し量を評価することができる。
【0118】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方に代えて、保持部200の外形に対する物体Oのはみ出し方が評価される点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0119】
(評価部の処理)
図26は、本実施形態で評価されるはみ出し量を説明するための図である。本実施形態では、評価部332は、物体Oの外形を示す情報(上述した「物体外形情報」)と、保持部200の外形を示す情報(上述した「保持部外形情報」)とに基づき、第1決定部331により決定された複数の保持可能姿勢の各々について、保持部200の外形に対する物体Oのはみ出し方を評価する。さらに本実施形態では、評価部332は、複数の保持可能姿勢の各々について、複数の保持可能位置の各々での保持部200の外形に対する物体Oのはみ出し方を評価する。図26では、説明の便宜上、保持部200の外形に対して物体Oのはみ出した部分にハッチングを施している。
【0120】
詳しく述べると、本実施形態では、評価部332は、保持部200の外形に対する物体Oのはみ出し量に基づき、保持部200の外形に対する物体Oのはみ出し方を評価する。「はみ出し量」とは、例えば、保持部200の外形が多角形と見做された場合(例えば、保持部200の外形が多角形として、または多角形に近似されて登録されている場合)、保持部200の外形のなかで物体Oがはみ出す辺の数である。また別の例では、上記はみ出し量は、保持部200の外形に対して物体Oのはみ出した部分の面積である。
【0121】
(第2決定部の処理)
本実施形態では、第2決定部333は、評価部332の評価結果に基づき、第1決定部331により決定された複数の保持可能姿勢および複数の保持可能位置のなかから、保持部200の保持姿勢および保持位置を決定する。例えば、第2決定部333は、上記はみ出し量が第2条件を満たすように、複数の保持可能姿勢および複数の保持可能位置のなかから保持部200の保持姿勢および保持可能位置を決定する。
【0122】
「第2条件を満たす」とは、例えば、第1決定部331により決定された複数の保持可能姿勢のなかで、上記はみ出し量が所定量以上または所定範囲内となることである。上記はみ出し量は、例えば、保持部200の外形が多角形と見做された場合、保持部200の外形のなかで物体Oがはみ出す辺の数である。また別の例では、上記はみ出し量は、保持部200の外形に対して物体Oのはみ出した部分の面積でもある。
【0123】
上記はみ出し量が保持部200の外形のなかで物体Oがはみ出す辺の数である場合、「所定の第2条件を満たす」とは、例えば、保持部200の外形のなかで物体Oがはみ出す辺の数が、所定数以上(例えば2つ以上)となることである。ただし、「所定数以上」は、「2つ以上」に限定されず、「1つ以上」と設定されてもよく、「3つ以上」またはその他の数以上に設定されてもよい。
【0124】
ここで、第2決定部333は、保持部200の外形のなかで物体Oが2つの辺からはみ出す場合、前記2つの辺が互いに連続する保持可能姿勢を、前記2つの辺が互いに連続しない保持可能姿勢よりも優先して、保持部200の保持姿勢に決定してもよい。
【0125】
一方で、上記はみ出し量が保持部200の外形に対して物体Oのはみ出した部分の面積である場合、「所定の第2条件を満たす」とは、例えば、保持部200の外形に対して物体Oのはみ出した部分の面積が所定範囲内となることである。
なお、上記はみ出し量は、「保持部200の外形のなかで物体Oがはみ出す辺の数」と、「保持部200の外形に対して物体Oのはみ出した部分の面積」との両方に基づいて計算されてもよい。
【0126】
また、評価部332は、物体Oの移動先S2に関する情報(例えば、上述した「移動先形状情報」および「移動先積載情報」)に基づき、保持部200の外形に対して物体Oがはみ出すべき方向と、物体Oがはみ出すべき保持部200の辺とのうち少なくとも一方を特定し、特定された方向または特定された保持部200の辺に関する物体Oのはみ出し量に対する重みを大きくしてもよい。ここで言う「重みを大きくする」とは、保持部200の保持姿勢として採用されやすくすることを意味する。これにより、上記特定された方向、または上記特定された保持部200の辺から物体Oがはみ出す保持姿勢が選択されやすくなる。
【0127】
このような構成によれば、保持部200により物体Oが保持された状態で、保持部200の外形に対して物体Oがはみ出すことになる。このため、第1の実施形態と同様に、移動先コンテナS2の内壁面や先に置かれた物体Oに対して、搬送対象の物体Oを詰めて置きやすくなる。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の第1から第5の変形例で説明された概念と組み合わされて実施されてもよい。
【0128】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、保持姿勢および保持位置は、物体Oの外形に対する保持部200のはみ出し方と保持部200の外形に対する物体Oのはみ出し方との両方に基づいて決定されてもよい。また物体Oの外形および保持部200の外形は、四角形に限定されず、三角形でもよく、五角形以上の多角形でもよい。
【0129】
また、制御部300のいくつかの機能部は、保持装置10に代えて、管理装置13に設けられてもよい。例えば、情報取得部310、情報解析部320、計画部330、および記憶部350は、管理装置13に設けられてもよい。計画部330は、「情報処理部」の一例である。
【0130】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、搬送装置は、物体の外形に対する保持部のはみ出し方と保持部の外形に対する前記物体のはみ出し方とのうち少なくとも一方が所定の条件を満たすように、前記物体に対する前記保持部の保持姿勢および保持位置を決定する制御部を持つ。このような構成によれば、物体を詰めて置きやすくなる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0132】
1…搬送システム、10…保持装置、11…第1検出器、12…第2検出器、100…保持装置、200…移動機構、300…制御部、205…吸着部、205E…有効吸着部、331…第1決定部、332…評価部、333…第2決定部、O…物体、S1…移動元、S2…移動先、RH…保持可能領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
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図18
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図20
図21
図22
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図26