IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサスエレクトロニクス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20220112BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220112BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220112BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220112BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20220112BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20220112BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/78 652S
H01L29/78 652M
H01L29/78 652D
H01L29/78 652T
H01L29/78 657A
H01L29/78 658A
H01L29/78 658G
H01L29/78 652Q
H01L29/91 B
H01L29/91 D
H01L29/06 301G
H01L29/06 301R
H01L29/06 301V
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018080189
(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2019192678
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中沢 芳人
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-099863(JP,A)
【文献】特開2013-179251(JP,A)
【文献】特開2016-167632(JP,A)
【文献】特開2016-219460(JP,A)
【文献】特開2015-207702(JP,A)
【文献】特開平05-198543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
H01L 21/329
H01L 29/861
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)結晶面(100)からなる主面と、前記主面とは反対側の裏面と、第1導電型の第1半導体領域と、を含むシリコンからなる半導体基板と、
(b)前記主面に設けられた素子形成領域と、
(c)上面と底面とを有し、前記底面が前記半導体基板の内部に位置し、前記上面が前記半導体基板の前記主面から露出するフィールド絶縁膜と、
(d)その端部が前記フィールド絶縁膜の前記底面で終端するように前記第1半導体領域内に設けられ、平面視において前記素子形成領域を囲むように閉じたリング形状を有する第2導電型のウェル領域と、
を有し、
前記ウェル領域は、平面視において、<010>方向に延在する第1領域と、<001>方向に延在する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続し、平面視において円弧形状を有する第3領域と、を含み、
前記フィールド絶縁膜は、平面視において、前記ウェル領域の内部に設けられ、前記ウェル領域に沿って延在する開口を有し、
前記開口は、前記第1領域において前記<010>方向に延在する第1開口と、前記第2領域において前記<001>方向に延在する第2開口とを含み、前記第1開口と前記第2開口とは、前記第3領域において分断され
前記ウェル領域は、
前記第1半導体領域内に設けられ、前記第2導電型を有する第6半導体領域と、
前記第6半導体領域よりも前記主面側に設けられ、前記第2導電型を有する第7半導体領域と、
前記第7半導体領域よりも前記主面側に設けられ、前記第2導電型を有する第8半導体領域と、
を含み、
平面視において、前記第7半導体領域の幅は、前記第6半導体領域の幅よりも広く、前記第8半導体領域の幅は、前記第7半導体領域の幅よりも広い、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ウェル領域の前記第3領域は、前記フィールド絶縁膜で覆われている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第3領域における前記ウェル領域の深さは、前記第1領域における前記ウェル領域の深さと等しい、半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ウェル領域の前記第3領域における前記円弧形状は、50μm以上の曲率半径を有する、半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
さらに、
前記ウェル領域および前記フィールド絶縁膜を覆う絶縁膜と、
平面視において前記ウェル領域と重なるように前記絶縁膜上に設けられ、前記素子形成領域を囲む閉じたリング形状を有する金属配線と、
前記金属配線と前記ウェル領域とを電気的に接続する導体層と、
を有し、
前記絶縁膜は、前記第1領域において前記ウェル領域を露出する第1コンタクト溝と、前記第2領域において前記ウェル領域を露出する第2コンタクト溝と、を含み、
前記導体層は、前記第1コンタクト溝内および前記第2コンタクト溝内に埋め込まれ、前記ウェル領域に接触している、半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1コンタクト溝は、前記第1開口の内側に位置しており、前記第2コンタクト溝は、前記第2開口の内側に位置している、半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
前記素子形成領域には、IGBT素子が設けられており、
前記IGBT素子は、
前記第1半導体領域内において、前記半導体基板の前記主面から前記裏面に向かって延在する溝内に設けられたゲート絶縁膜およびゲート電極と、
前記溝の側壁において前記ゲート絶縁膜に接触し、前記第1半導体領域内であって、かつ、前記半導体基板の前記主面に接触するように設けられた前記第1導電型の第2半導体領域と、
前記溝の側壁において前記ゲート絶縁膜に接触し、前記第2半導体領域の下に設けられた前記第2導電型の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域と、前記裏面との間に設けられた前記第2導電型を有する第4半導体領域と、
を含む、半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記素子形成領域には、ダイオード素子が設けられており、
前記ダイオード素子は、
前記第1半導体領域内において、前記半導体基板の前記主面に設けられた前記第導電型の第5半導体領域、を含む、半導体装置。
【請求項9】
(a)結晶面(100)からなる主面と、前記主面とは反対側の裏面と、第1導電型の第1半導体領域と、を含むシリコンからなる半導体基板と、
(b)前記主面に設けられた素子形成領域と、
(c)上面と底面とを有し、前記底面が前記半導体基板の内部に位置し、前記上面が前記半導体基板の前記主面から露出するフィールド絶縁膜と、
(d)その端部が前記フィールド絶縁膜の前記底面で終端するように前記第1半導体領域内に設けられ、平面視において前記素子形成領域を囲むように閉じたリング形状を有する第2導電型のウェル領域と、
を有し、
前記ウェル領域は、平面視において、<010>方向に延在する第1領域と、<001>方向に延在する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続し、平面視において円弧形状を有する第3領域と、を含み、
前記フィールド絶縁膜は、平面視において、前記ウェル領域の内部に設けられ、前記ウェル領域に沿って延在する開口を有し、
前記開口は、前記第1領域において前記<010>方向に延在する第1開口と、前記第2領域において前記<001>方向に延在する第2開口とを含み、前記第1開口と前記第2開口とは、前記第3領域において分断され、
前記開口は、前記第3領域に設けられた正方形または長方形のダミー開口を含み、
前記ダミー開口を構成する4辺は、前記<010>方向または前記<001>方向に延在している、半導体装置。
【請求項10】
請求項記載の半導体装置において、
前記第1開口は、正方形または長方形を有する複数のサブ開口で構成されている、半導体装置。
【請求項11】
(a)結晶面(100)からなる主面と、前記主面とは反対側の裏面と、第1導電型の第1半導体領域と、を含むシリコンからなる半導体基板と、
(b)前記主面に設けられた素子形成領域と、
(c)上面と底面とを有し、前記底面が前記半導体基板の内部に位置し、前記上面が前記半導体基板の前記主面から露出するフィールド絶縁膜と、
(d)その端部が前記フィールド絶縁膜の前記底面で終端するように前記第1半導体領域内に設けられ、平面視において前記素子形成領域を囲むように閉じたリング形状を有する第2導電型のウェル領域と、
を有し、
前記ウェル領域は、平面視において、<010>方向に延在する第1領域と、<001>方向に延在する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続し、平面視において円弧形状を有する第3領域と、を含み、
前記フィールド絶縁膜は、平面視において、前記ウェル領域の内部に設けられ、前記ウェル領域に沿って延在する開口を有し、
前記開口は、前記第3領域において、<011>方向を対称軸として対称配置された第1開口および第2開口を含み、
平面視において、前記第1開口および前記第2開口は、互いに異なる方向に延在し、かつ、前記<010>方向、前記<001>方向および前記<011>方向とは異なる方向に直線的に延在している、半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置において、
前記第1開口は、前記<011>方向に対して18°から27°の範囲に延在し、
前記第2開口は、前記<011>方向に対して-18°から-27°の範囲に延在している、半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置において、
前記第1開口の側壁は、結晶面(021)であり、
前記第2開口の側壁は、結晶面(012)である、半導体装置。
【請求項14】
請求項12記載の半導体装置において、
前記第1開口の側壁は、結晶面(031)であり、
前記第2開口の側壁は、結晶面(013)である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、パワートランジスタを有する半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
パワートランジスタを有する半導体装置は、複数のパワートランジスタが形成されたセル領域と、セル領域を囲む周辺領域(ターミネーション領域)とを有する。
【0003】
パワートランジスタとして、例えば、トレンチゲートを有するパワーMISFETおよびトレンチゲートを有するIGBTが有る。そして、周辺領域の構造としては、フィールドリミッティングリング、フィールドプレート等が知られている。
【0004】
特開2005-19734号公報(特許文献1)には、半導体基板内に形成されたp型半導体領域からなるフィールドリミッティングリング11と、それに接続された配線からなるフィールドプレート24とを有する半導体装置が記載されている。そして、フィールドプレート24は、半導体基板上に形成されたフィールド絶縁膜3Aと、フィールド絶縁膜3Aを覆う絶縁膜14上に形成されており、絶縁膜14に設けられたコンタクト溝17を介してフィールドリミッティングリング11に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-19734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、コンタクト溝に、フィールド絶縁膜および絶縁膜の膜厚分の段差が存在するため、半導体装置の微細化を妨げる要因となる。そこで、本願発明者は、STI(Shallow Trench Isolation)技術等を用いて、半導体装置の微細化を検討した。しかしながら、STI技術を用いた場合、半導体装置の耐圧が低下するという新たな課題を確認するに至った。つまり、パワートランジスタを有する半導体装置において、耐圧の向上が望まれている。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置は、(100)結晶面からなる主面と、第1導電型の第1半導体領域とを含むシリコンからなる半導体基板と、主面に設けられた素子形成領域と、上面と底面とを有し、底面が半導体基板の内部に位置し、上面が半導体基板の主面から露出するフィールド絶縁膜と、その端部がフィールド絶縁膜の底面で終端するように第1半導体領域内に設けられ、平面視において素子形成領域を囲むように閉じたリング形状を有する第2導電型のウェル領域と、を有する。そして、ウェル領域は、平面視において、<010>方向に延在する第1領域と、<001>方向に延在する第2領域と、第1領域と第2領域とを接続し、平面視において円弧形状を有する第3領域と、を含む。また、フィールド絶縁膜は、平面視において、ウェル領域の内部に設けられ、ウェル領域に沿って延在する開口を有し、開口は、第1領域において<010>方向に延在する第1開口と、第2領域において<001>方向に延在する第2開口とを含み、第1開口と第2開口とは、第3領域において分断されている。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の耐圧を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の半導体装置の平面透視図である。
図2】検討例である半導体装置の要部平面図である。
図3図2のB-B´線に沿う要部断面図である。
図4】検討例の課題を示す図面である。
図5】実施の形態1の半導体装置の要部平面図である。
図6図1のA部における拡大平面図である。
図7図6のC-C´線に沿う断面図である。
図8図6のD-D´線に沿う断面図である。
図9】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図10】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図11】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図12】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図13】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図14】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図15】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図16】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図17】実施の形態1のフィールド絶縁膜の製造工程を示す断面図である。
図18】実施の形態1のフィールド絶縁膜の製造工程を示す断面図である。
図19】実施の形態1のフィールド絶縁膜の製造工程を示す断面図である。
図20】実施の形態1のフィールド絶縁膜の製造工程を示す断面図である。
図21】イオン注入工程における不純物プロファイルを示す図面である。
図22】比較例1におけるp型ウェル領域の製造方法を示す断面図である。
図23】実施の形態1のp型ウェル領域の製造方法を示す断面図である。
図24】比較例1におけるコーナー領域の断面図である。
図25】変形例1における半導体装置の製造工程中の断面図である。
図26】変形例1における半導体装置の製造工程中の断面図である。
図27】変形例1における半導体装置の製造工程中の断面図である。
図28】変形例1における半導体装置の製造工程中の断面図である。
図29】変形例2における半導体装置の要部平面図である。
図30】変形例3における半導体装置の要部平面図である。
図31】変形例4における半導体装置の要部平面図である。
図32】変形例4における半導体装置の要部斜視図である。
図33】実施の形態2における半導体装置の要部平面図である。
図34】変形例5における半導体装置の要部平面図である。
図35】変形例6における半導体装置の要部平面図である。
図36】実施の形態3における半導体装置の要部平面図である。
図37】変形例7における半導体装置の要部平面図である。
図38】実施の形態4の半導体装置の平面透視図である。
図39】実施の形態4における半導体装置の要部平面図である。
図40図39のG-G´線に沿う断面図である。
図41】実施の形態5の半導体装置の平面透視図である。
図42】実施の形態5における半導体装置の要部平面図である。
図43図42のI-I´線に沿う断面図である。
図44図42のJ-J´線に沿う断面図である。
図45】実施の形態6の半導体装置の外観を示す平面図である。
図46】実施の形態6の半導体装置の内部構造を示す透視拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
また、以下の実施の形態で、結晶方位<100>は、結晶学的に等価な結晶方位[100]、[010]他を含む。
【0015】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
実施の形態1の半導体装置(半導体チップ)CP1を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施の形態1の半導体装置CP1の平面透視図である。図1は、半導体基板SSの主面上に形成されたエミッタ電極(金属配線)EE、ゲート配線(金属配線)GL、フィールドプレート(金属配線)FP0、FP1およびFP2、ならびにガードリング(金属配線)GRを示している。
【0017】
図1に示すように、半導体基板SSの主面は、例えば、長方形であり、2つの長辺CPL1およびCPL2と2つの短辺CPS1およびCPS2とを有する。なお、半導体基板SSの主面は、正方形であっても良い。半導体基板SSの主面の中央部には、エミッタ電極EEが配置され、そのエミッタ電極EEの周囲を囲むように環状のゲート配線GLが設けられている。そして、エミッタ電極EEおよびゲート配線GLの周囲を囲むように閉じた環状のフィールドプレートFP0、FP1およびFP2が順に設けられており、更に、フィールドプレートFP2の周囲を囲むように閉じた環状のガードリングGRが設けられている。フィールドプレートFP0、FP1およびFP2の各々は、長辺CPL1およびCPL2ならびに短辺CPS1およびCPS2に沿って延在する4つの直線部分と、半導体基板SSのコーナー部に位置する4つの円弧部分とで構成されている。フィールドプレートFP1およびFP2は電気的にフローティングであるが、フィールドプレートFP0は、エミッタ電極EEと接続されている。図1では、フローティング電位のフィールドプレートFP1およびFP2が2本の例を示しているが、その本数はこれに限定されず、1本または3本以上でも良い。
【0018】
エミッタ電極EE、ゲート配線GL、フィールドプレートFP0、FP1およびFP2、ならびにガードリングGRは、図示しない絶縁膜(保護絶縁膜)PAで覆われている。絶縁膜PAに設けられた開口PAgから露出したゲート配線GLの一部にゲートパッドGPが設けられ、絶縁膜PAに設けられた開口PAeから露出したエミッタ電極EEの一部にエミッタパッドEPが設けられている。
【0019】
詳細は後述するが、フィールドプレートFP1およびFP2は、半導体基板SSに形成された閉じた環状のp型ウェル領域P1およびP2(前述のフィールドリミッティングリングに対応)に電気的に接続されている。p型ウェル領域P1およびP2は、p型半導体領域からなり、それぞれ、フィールドプレートFP1およびFP2の直下に設けられている。そして、フィールドプレートFP1およびFP2と同様に、p型ウェル領域P1およびP2の各々も4つの直線部分と4つの円弧部分とで構成されている。
【0020】
また、半導体基板SSは、FZ(Floating Zone)法またはMCZ(Magneticfield applied Czochralski)法で形成された単結晶シリコン基板であり、その主面は(100)面となっている。後述する素子は、(100)面に形成されている。そして、図1に示すように、フィールドプレートFP1およびFP2の直線部分は、結晶方位<001>または結晶方位<010>に沿う方向に延在している。以下、簡略的に<001>方向または<010>方向と呼ぶ。例えば、長辺CPL1およびCPL2に沿うフィールドプレートFP0、FP1およびFP2の直線部分は、X方向である<010>方向に、短辺CPS1およびCPS2に沿うフィールドプレートFP0、FP1およびFP2の直線部分は、Y方向である<001>方向に延在している。また、p型ウェル領域P1およびP2の直線部分も同様に、<010>方向または<001>方向に延在している。なお、<010>方向を短辺とし、<001>方向を長辺とすることも出来る。
【0021】
<検討例とその課題>
先ず、本願発明者が検討した検討例と、そこで明確になった課題について説明する。図2は、検討例である半導体装置の要部平面図、図3は、図2のB-B´線に沿う断面図、図4は、検討例の課題を示す図面である。
【0022】
図2は、図1のA部(半導体装置CP1のコーナー部)におけるフィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1の構造を示している。フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1の各々は、X方向に延在する直線部分と、Y方向に延在する直線部分とを有し、2つの直線部分は、円弧部分で連結されている。そして、円弧部分の曲率半径は、例えば、50μm以上となっている。p型ウェル領域P1の円弧部分は、耐圧が低下しないように、意図的に大きな曲率半径を有する円弧形状としている。
【0023】
図3に示すように、検討例では、フィールド絶縁膜FIを半導体基板SSに埋め込んだ構造となっている。フィールド絶縁膜FIは、開口OPfを有し、開口OPfに対応した位置にp型ウェル領域P1が形成されている。そして、層間絶縁膜(絶縁膜)IL上に形成されたフィールドプレートFP1は、コンタクト溝CTを介してp型ウェル領域P1に接続されている。図2に示すように、開口OPfは、p型ウェル領域P1の内部に位置しており、フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1の平面形状と同様に、直線部分と円弧部分とを有しており、円弧部分の曲率半径は、例えば、50μm以上となっている。
【0024】
本願発明者の検討によれば、図2および3に示すように、円弧部分において、フィールド絶縁膜FIの側壁と半導体基板SSとの界面に結晶欠陥が発生し、その結晶欠陥がp型ウェル領域P1とn型ドリフト領域NDとのPN接合を短絡させることが確認された。図4は、フィールド絶縁膜FIに設けられた開口OPfの円弧部分に発生する結晶欠陥の状況を示している。なお、図4では、3重の開口OPfを示している。図4に示すように、<011>方向に対してθ1=±15°の範囲には、大転位ループDL1と呼ぶ比較的大きい結晶欠陥が発生し、その周囲に小転位ループDL2と呼ぶ比較的小さな結晶欠陥が発生することが確認された。大転位ループDL1は、図3に示すように、p型ウェル領域P1を貫通し、n型ドリフト領域NDに達する比較的大きな結晶欠陥である。これに対し、小転位ループDL2は、p型ウェル領域P1の内部に留まる比較的小さな結晶欠陥である。大転位ループDL1は、フィールド絶縁膜FIの側壁に接触する半導体基板SSの結晶面が結晶面(011)またはその近傍の場合に発生している。結晶面(011)は、結晶面(010)または結晶面(001)に比べ、面密度が低い(疎な)構造であるため、応力が発生した場合に、すべり面である結晶面(111)に沿って転位ループが発生しやすい。応力は、例えば、製造プロセス中の熱処理や半導体装置の動作時に半導体装置が高温になるため、半導体基板SSとフィールド絶縁膜FIとの線膨張係数の差に起因して発生する。
【0025】
次に、大転位ループDL1の発生を防止する実施の形態1の半導体装置の構造の説明に戻る。
【0026】
上記課題に対し、実施の形態1では、半導体装置CP1のコーナー領域R3において、長辺CPL1に沿って延在する開口OPfと、短辺CPS1に沿って延在する開口OPfと、を分断するものである。
【0027】
図5は、実施の形態1の半導体装置の要部平面図である。特に、フィールドプレートFP1の全体の形状を示すものであり、フィールドプレートFP0およびFP2は省略している。図6は、図1のA部における拡大平面図である。図7は、図6のC-C´線に沿う断面図である。つまり、直線領域R2における断面図である。図8は、図6のD-D´線に沿う断面図である。つまり、コーナー領域R3における断面図である。図7および図8では、周辺領域PCRのフィールドプレートFP1およびFP2ならびにガードリングGRを示しているが、図6では、周辺領域PCRのフィールドプレートFP2およびガードリングGRは省略している。
【0028】
図5に示すように、半導体基板SSの中央には、セル領域(素子形成領域)CLRが設けられており、フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1は、それぞれが所定の幅を有する閉じた環状で構成され、セル領域CLRの全周囲を取り囲んでいる。フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1は、長辺CPL1およびCPL2に平行に延在する直線領域R1と、短辺CPS1およびCPS2に平行に延在する直線領域R2と、直線領域R1とR2との間のコーナー領域(接続領域)R3とを有する。直線領域R1において、フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1は、例えば、<010>方向に延在し、直線領域R2において、フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1は、例えば、<001>方向に延在している。コーナー領域R3において、フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1は、所定の幅を有する円弧形状を有し、その一端は直線領域R1に設けられたフィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1に、その他端は直線領域R2に設けられたフィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1に接続している。フィールドプレートFP1は、全周において、p型ウェル領域P1と重なる領域を有している。そして、直線領域R1とR2には、フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1に重なるように、フィールド絶縁膜FIに設けられた開口OPfが配置されているが、コーナー領域R3には、開口OPfは設けられていない。つまり、直線領域R1に設けられた開口OPfと直線領域R2に設けられた開口OPfとは、コーナー領域R3で分断されている。このような構造にすることで、フィールド絶縁膜FIの側壁が、半導体基板SSの結晶面(011)と接することがないので、大転位ループDL1の発生を防止することができる。また、同様に、直線領域R1に設けられたプラグ電極PGまたはコンタクト溝CTと、直線領域R2に設けられたプラグ電極PGまたはコンタクト溝CTとは、コーナー領域R3で分断されている。
【0029】
なお、図4から明らかなように、分断される領域は、<011>方向からθ1=±15°の範囲で十分であるため、直線領域R1またはR2からコーナー領域R3に円弧形状の開口OPfが延びていても良い。
【0030】
また、図5に示すように、フィールド絶縁膜FIは、セル領域CLRを露出する開口OPcを有する。セル領域CLR内において、フィールド絶縁膜FIの開口OPc内が、セル形成用の活性領域である。セル領域CLRの内部であって、セル領域CLRの端部には、閉じた環状のp型ウェル領域P0が設けられている。なお、p型ウェル領域P0のp型ウェル領域P1側の端部は、セル領域CLRの端部と一致している。
【0031】
さらに、フィールド絶縁膜FIは、長辺CPL1およびCPL2ならびに短辺CPS1およびCPS2を含む半導体基板SSの主面Saを露出する開口OPgを有する。開口OPgに露出した半導体基板SSの主面Saには、後述するn型半導体領域NGRが形成されている。フィールド絶縁膜FIの開口OPg内が、ガードリング形成用の活性領域である。なお、図5では図示していないが、フィールドプレートFP2およびp型ウェル領域P2は、フィールドプレートFP1およびp型ウェル領域P1と同様の構造を有する。また、フィールドプレートFP2とp型ウェル領域P2との間に設けられた開口OPfも、フィールドプレートFP1とp型ウェル領域P1との間に設けられた開口OPfと同様の形状を有する。
【0032】
次に、図5~8を用いて、セル領域CLRおよび周辺領域(ターミネーション領域)PCRの構造を説明する。
【0033】
図7に示すように、セル領域CLRは、エミッタ電極EE、ゲート配線GLおよびフィールドプレートFP0を含み、周辺領域PCRは、フィールドプレートFP1およびFP2ならびにガードリングGRを含む。周辺領域PCRの半導体基板SSの主面Saは、基本的にフィールド絶縁膜FIで覆われている。但し、p型ウェル領域P1およびP2ならびにn型半導体領域NGRに対応する領域に開口OPfおよびOPgが設けられている。フィールド絶縁膜FIは、半導体基板SSの内部に埋め込まれている。フィールド絶縁膜FIは、その厚さ方向において互いに対向する上面FIaと底面FIbとを有し、上面FIaは、半導体基板SSの主面Saとほぼ一致しており、底面FIbは、フィールド絶縁膜FIの膜厚分だけ半導体基板SSの主面Saよりも裏面Sbの側に位置している。また、言い換えると、底面FIbは半導体基板SSの内部に位置し、上面FIaは、半導体基板SSの主面Saから露出している。
【0034】
セル領域CLRは、基本的にフィールド絶縁膜FIから露出しており、フィールド絶縁膜FIで覆われていない。図5に示すように、セル領域CLRは、フィールド絶縁膜FIの開口OPcで規定されたセル形成用の活性領域に形成されている。つまり、セル領域CLRは、その周囲を、閉じたフィールド絶縁膜FIで囲まれている。ただし、セル領域CLRを、p型ウェル領域P0のp型ウェル領域P1側の端部と定義したので、図5および7に示すように、セル領域CLRの一部分は、フィールド絶縁膜FIと重なっている。つまり、p型ウェル領域P0のp型ウェル領域P1側の端部は、フィールド絶縁膜FIの底面FIbで終端している。また、セル領域CLRは、ゲート配線GLを含んでいる。
【0035】
図6および7に示すように、セル領域CLRには、複数のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)素子が、行列状に配置されている。そして、複数のIGBTは、それらの周囲を閉じた環状のp型ウェル領域P0で囲まれている。また、複数のIGBTは、それらの周囲を閉じたフィールド絶縁膜FIで囲まれている(図5参照)。p型ウェル領域P0は、フィールドプレートFP0に電気的に接続されたp型ウェル領域P0と、エミッタ電極EEに電気的に接続されたp型ウェル領域P0とを有し、両者の間には、ゲート配線GLに接続されたゲート電極GEが設けられている。なお、図1に示すように、フィールドプレートFP0は、エミッタ電極EEと接続されている。
【0036】
IGBTは、半導体基板SSに形成され、エミッタ電極EE、ゲート電極GEおよび裏面電極(コレクタ電極)BEを有する。半導体基板SSは、FZ法またはMCZ法で形成され、例えばリン(P)等のn型の不純物が導入されたn型の単結晶シリコン基板からなる。半導体基板SSは、一方の面である主面Saと、主面Saとは反対側の面である裏面Sbとを有しており、その主面Saは(100)面となっている。
【0037】
半導体基板SSの裏面Sb側には、所定の厚さのp型コレクタ層(p型半導体領域)PCが形成されている。そして、半導体基板SSの裏面Sb上に、p型コレクタ層PCに接するように、裏面電極(コレクタ電極)BEが形成されている。
【0038】
また、p型コレクタ層PCの、裏面電極BEが形成された側とは反対側に、p型コレクタ層PCに接するように、n型フィールドストップ層(n型半導体領域)NSが形成されている。
【0039】
裏面電極BEは、例えば、半導体基板SSの裏面Sbから順にアルミニウム(Al)層、チタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層等の積層膜により、形成することができる。
【0040】
図7に示すように、n型フィールドストップ層NS上には、n型ドリフト領域(n型半導体領域)NDが形成されている。
【0041】
半導体基板SSには、その主面Saから半導体基板SSの深さ方向(厚さ方向)に延び、n型ドリフト領域NDに達する複数の溝(トレンチ)TR1が形成されており、その溝TR1内には、それぞれゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEが埋め込まれている。ゲート電極GEは、例えばドープトポリシリコン膜(例えばリンなどが導入されたドープトポリシリコン膜)等の導体膜からなる。図6に示すように、溝TR1およびそこに埋め込まれたゲート電極GEは、Y方向(<001>方向)に延在している。複数のゲート電極GEは、それらの端部で互いに連結され、プラグ電極PGを介してゲート配線GLに電気的に接続されている。
【0042】
図7に示すように、隣接するゲート電極GE間には、「アクティブセル領域」と「非アクティブセル領域」とが交互に配置されている。そして、アクティブセル領域では、半導体基板SSには、主面Sa側から、n型エミッタ領域(n型半導体領域)NE、p型ボディ領域(p型半導体領域)PB、および、n型ホールバリア領域(n型半導体領域)HBが、設けられている。そして、n型ホールバリア領域(n型半導体領域)HBは、n型ドリフト領域NDに接触している。また、非アクティブセル領域では、半導体基板SSには、主面Sa側から、p型ボディ領域PBおよびp型フローティング領域(p型半導体領域)PFが設けられている。また、アクティブセル領域に設けられたp型ボディ領域PBが、IGBTのチャネル形成領域となり、電流はアクティブ領域を流れる。
【0043】
n型ドリフト領域NDの不純物濃度は、n型フィールドストップ層NS、n型エミッタ領域NE、n型ホールバリア領域HBのそれぞれの不純物濃度よりも、低い。n型ドリフト領域NDは、半導体基板SSの主面Sa側から延びる空乏層を延ばし、耐圧を確保する機能を有する。n型フィールドストップ層NSは、n型ドリフト領域NDよりも高い不純物濃度を有しており、半導体基板SSの主面Sa側から延びる空乏層がp型コレクタ層PCに到達しないようにする機能を有する。
【0044】
半導体基板SSの主面Sa上には、例えば、酸化シリコン膜などからなる層間絶縁膜ILが形成されており、ゲート電極GEは、層間絶縁膜ILで覆われている。層間絶縁膜IL上には、例えばアルミニウム(Al)を主要な成分とする金属膜からなるエミッタ電極EEが形成されている。層間絶縁膜IL上には、エミッタ電極EEを覆うように、表面保護膜である絶縁膜(保護絶縁膜)PAが形成されている。絶縁膜PAは、例えばポリイミド系の有機絶縁膜(樹脂膜)などからなる。
【0045】
コンタクト溝CTは、層間絶縁膜ILを貫通し、更に、半導体基板SSの内部に達している。例えば、コンタクト溝CTの底面は、n型エミッタ領域NEとp型ボディ領域PBとの界面に達している。そして、コンタクト溝CT内には、プラグ電極PGが埋め込まれている。プラグ電極PGは、エミッタ電極EEを構成する金属膜で構成しても良く、また、例えば、チタンタングステン(TiW)または窒化チタン(TiN)等のバリアメタル膜と、タングステン等の主導体膜との積層構造で構成してもよい。
【0046】
図5~8に示すように、周辺領域PCRは、セル領域CLRの周囲を全周囲に亘って囲むように配置されている。周辺領域PCRは、p型ウェル領域P1およびP2、n型半導体領域NGR、フィールドプレートFP1およびFP2ならびにガードリングGRを含む。p型ウェル領域P1およびP2は、閉じた環状のp型半導体領域であり、p型ウェル領域P1は、セル領域CLRを囲み、p型ウェル領域P2は、p型ウェル領域P1を囲んでいる。n型半導体領域NGRは、閉じた環状のn型半導体領域であり、p型ウェル領域P2を囲んでいる。p型ウェル領域P0、P1およびP2は、それぞれが等しい深さDaを有しており、p型ウェル領域P1とp型ウェル領域P2との間隔L1は、p型ウェル領域P0とp型ウェル領域P1との間隔L0とほぼ等しいか、または、間隔L1の方が間隔L0よりやや大きくなっている。図7および8に示すように、p型ウェル領域P0、P1およびP2は、直線領域R1およびR2と、コーナー領域R3とで、等しい深さDaを有している。この点については、後述する。
【0047】
半導体基板SSの内部に埋め込まれたフィールド絶縁膜FIは、p型ウェル領域P1およびP2と重なる位置に開口OPfを有している。開口OPfの幅は、p型ウェル領域P1またはP2の幅よりも狭く、p型ウェル領域P1およびP2の端部は、フィールド絶縁膜FIの底面FIbで終端している。p型ウェル領域P0、P1およびP2の端部を、フィールド絶縁膜FIの底面で終端させることで、p型ウェル領域P0、P1またはP2とn型ドリフト領域NDとの間のPN接合耐圧を向上させることができる。
【0048】
フィールドプレートFP1およびFP2ならびにガードリングGRは、層間絶縁膜IL上に設けられた閉じた環状の金属膜であり、プラグ電極PGを介して、それぞれ、p型ウェル領域P1およびP2ならびにn型半導体領域NGRに接続されている。なお、ガードリングGRは、n型半導体領域NGRを介してn型ドリフト領域NDに接続されている。ここで、層間絶縁膜ILに設けられたコンタクト溝CTおよびプラグ電極PGは、フィールド絶縁膜FIに設けられた開口OPfまたはOPgの内側に位置している。このような構成とすることで、同一工程で、セル領域CLRと周辺領域PCRにコンタクト溝CTを形成することが可能となる。例えば、p型ウェル領域P1およびP2の全域がフィールド絶縁膜FIで覆われている場合、セル領域CLRのコンタクト溝CTを、周辺領域PCRのコンタクト溝CTとは別工程で形成しなければならず、製造工程が増加するというデメリットがある。
【0049】
実施の形態1では、図5、6および8に示すように、半導体基板SSのコーナー領域R3においては、フィールド絶縁膜FIに開口OPfを設けていない。つまり、図8に示すように、コーナー領域R3においては、p型ウェル領域P1およびP2は、その全域をフィールド絶縁膜FIで覆われている。また、コーナー領域R3においては、p型ウェル領域P1またはP2と、フィールドプレートFP1またはFP2とを接続するプラグ電極PGおよびコンタクト溝CTは、設けられていない。
【0050】
図5で説明したように、コーナー領域R3に開口OPfが存在しないので、フィールド絶縁膜FIの側壁が、半導体基板SSの結晶面(011)と接することがなく、大転位ループDL1の発生を防止することができる。
【0051】
なお、図5および6では、p型ウェル領域P1とフィールドプレートFP1との間の開口OPfについて説明したが、p型ウェル領域P2とフィールドプレートFP2との間の開口OPfも同様である。また、半導体チップSSの1つのコーナー部R3を例に説明したが、他の3つのコーナー部も同様である。
【0052】
<半導体装置の製造方法>
次に、図9~23を用いて、実施の形態1の半導体装置の製造方法を説明する。図9~16は、実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図であり、図7の断面図に対応している。ただし、図12は、図8の断面図に対応している。図17~20は、実施の形態1のフィールド絶縁膜の製造工程を示す断面図であり、図21は、イオン注入工程における不純物プロファイルを示す図面であり、図22は、比較例1におけるp型ウェル領域の製造方法を示す断面図であり、図23は、実施の形態1のp型ウェル領域の製造方法を示す断面図である。
【0053】
まず、図9に示すように、主面Saおよび裏面Sbを有する半導体基板SSを準備する。半導体基板SSは、FZ法またはMCZ法で形成され、その主面は、(100)面となっている。また、半導体基板SSにはn型不純物が導入されており、その不純物濃度は、例えば2×1014cm-3程度とすることができる。さらに、半導体基板SSは、例えばIGBT等の素子が形成されるセル領域CLRと、セル領域CLRの周囲を囲むように配置された周辺領域PCRを有する。
【0054】
次に、図10に示すように、周辺領域PCRにフィールド絶縁膜FIを形成する。フィールド絶縁膜FIは、例えば、酸化シリコン膜で構成され、1μm程度の膜厚を有する。また、フィールド絶縁膜FIは、上面FIaおよび底面FIbを有し、半導体基板SSの裏面Sbを基準とした場合、上面FIaの高さは、半導体基板SSの主面Saの高さとほぼ等しい。製造工程では、製造ばらつきが発生するが、上面FIaの高さばらつきは、主面Saを基準にして、フィールド絶縁膜FIの膜厚の±20%以内である。つまり、前述の「高さが等しい」とは、このようなばらつきを含めた範囲を意味する。また、前述のとおり、フィールド絶縁膜FIは、セル領域CLRを露出する開口OPc、p型ウェル領域P1およびP2の形成領域を露出する2つの開口OPf、ならびに、n型半導体領域NGRの形成領域を露出する開口OPgを有する。
【0055】
ここで、図17~20を用いて、フィールド絶縁膜FIの製造方法を説明する。まず、図17に示すように、半導体基板SSの主面Sa上に、酸化シリコン膜からなる絶縁膜Z1および窒化シリコン膜からなる絶縁膜Z2を順次形成する。次に、図18に示すように、フォトレジスト膜PRから露出した領域において、順次、絶縁膜Z2およびZ1ならびに半導体基板SSにエッチング処理を施し、半導体基板SSに溝TR2を形成する。次に、図19に示すように、例えば、熱酸化法で溝TR2内に酸化シリコン膜からなる絶縁膜Z3を形成する。ここで、溝TR2以外の領域は、窒化シリコン膜からなる絶縁膜Z2で覆われているため、溝TR2内に選択的に絶縁膜Z3を形成することができる。次に、図20に示すように、絶縁膜Z2およびZ1を順次除去して、フィールド絶縁膜FIが完成する。なお、絶縁膜Z2およびZ1の除去工程等において、絶縁膜Z3もエッチングされるため、フィールド絶縁膜FIの上面FIaと半導体基板SSの主面Saの高さをほぼ等しくすることができる。
【0056】
なお、図19において、熱酸化法を用いて絶縁膜Z3を形成したが、CMP(Chemical Machanical Polishing)法を用いて形成することも出来る。つまり、図18に示すフォトレジスト膜PRを除去した後に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、溝TR2内および絶縁膜Z2上に酸化シリコン膜を堆積した後、CMP法を用いて、絶縁膜Z2上の酸化シリコン膜を除去し、溝TR2内に選択的に酸化シリコン膜を残すことにより、絶縁膜Z3を形成することができる。
【0057】
次に、図11に示すように、n型不純物(例えばリン(P))を導入することによって、半導体基板SSにn型ホールバリア領域HBを形成する。さらに、フォトレジスト膜PRをマスクとして、半導体基板SSにp型不純物(例えばホウ素(B))を導入することによって、セル領域CLRにp型フローティング領域PFおよびp型ウェル領域P0を設け、周辺領域PCRの開口OPfが設けられた領域において、p型ウェル領域P1およびP2を形成する。ここでは、ホウ素(B)を2MeV程度の高エネルギーでイオン注入し、1000℃程度でRTA(Rapid Thermal Anneal)することで、深さ3μm程度のp型フローティング領域PFならびにp型ウェル領域P0、P1およびP2を形成する。ここで、図12は、図8に対応するコーナー領域R3の断面における、p型ウェル領域P0、P1およびP2の形成工程を示している。p型ウェル領域P1およびP2の形成領域の表面は、フィールド絶縁膜FIで覆われているが、このフィールド絶縁膜FIを貫通してイオン注入することで、p型ウェル領域P1およびP2を形成する。図11では、開口OPfが設けられた領域にp型ウェル領域P1およびP2を形成し、図12では、フィールド絶縁膜FIで覆われた領域にp型ウェル領域P1およびP2を形成しているが、図11に示す直線領域R2と、図12に示すコーナー領域R3で、p型ウェル領域P1およびP2の深さを等しく形成することができる。これについては、後述する。
【0058】
次に、図13に示すように、ゲート電極GEを形成する。まず、半導体基板SSの主面Saから裏面Sbに向かって溝TR1を形成する。溝TR1の深さは、3μm程度であり、p型フローティング領域PFの深さとほぼ等しい。次に、溝TR1内に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GIおよびドープドポリシリコン膜からなるゲート電極GEを形成する。ゲート電極GEは、セル領域CLRにおいて、n型ホールバリア領域HBとp型フローティング領域PFとの間、および、p型ウェル領域P0の中央部に形成される。
【0059】
次に、図14に示すように、セル領域CLRにおいて、ゲート電極GE間にp型不純物を導入することにより、p型ボディ領域PBを形成する。p型ボディ領域PBは、n型ホールバリア領域HB、p型フローティング領域PFおよびp型ウェル領域P0の上部に形成される。ただし、前述のフィールドプレートFP0に接続されるp型ウェル領域P0には、p型ボディ領域PBを形成していない。次に、セル領域CLRにおいて、ゲート電極GE間にn型不純物を導入することにより、n型エミッタ領域NEを形成する。n型エミッタ領域NEは、n型ホールバリア領域HB上に形成されたp型ボディ領域PB内に形成される。また、周辺領域PCRにおいて、フィールド絶縁膜FIの開口OPgによって露出した主面Saにn型半導体領域NGRを形成する。
【0060】
次に、図15に示すように、主面Sa上に、ゲート電極GEおよびフィールド絶縁膜FIを覆うように層間絶縁膜(絶縁膜)ILを形成する。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜などの絶縁膜からなり、例えばCVD法などを用いて形成することができる。また、絶縁膜を堆積後に、CMP法を用いてその表面を平坦化しても良い。
【0061】
次に、図16に示すように、層間絶縁膜ILにコンタクト溝CTを形成する。ここで、コンタクト溝CTは、例えば、n型エミッタ領域NEを貫通し、p型ボディ領域PBに達している。次に、コンタクト溝CTを通してコンタクト溝CTの底部で露出する半導体基板SSにp型不純物をイオン注入することにより、p型ボディコンタクト領域PBCを形成する。次に、コンタクト溝CT内および層間絶縁膜IL上に、チタンタングステン(TiW)膜等のバリアメタル膜と、アルミニウム系金属膜等の主導体膜との積層膜を形成する。このアルミニウム系金属膜は、アルミニウム(Al)を主成分としており、例えば、数原子%程度シリコン(Si)が添加され、残りはアルミニウム(Al)からなる。次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、積層膜をパターニングすることで、コンタクト溝CT内にプラグ電極PGを形成し、層間絶縁膜IL上にエミッタ電極EE、ゲート配線GL、フィールドプレートFP0、FP1およびFP2、ならびに、ガードリングGRを形成する。ここでは、プラグ電極PGおよびエミッタ電極EEを、アルミニウム系金属膜を含む積層膜で構成したが、プラグ電極PGをエミッタ電極EEとは異なる金属膜で形成することも出来る。例えば、コンタクト溝CT内および層間絶縁膜IL上に、窒化チタン(TiN)等のバリアメタル膜と、タングステン等の主導体膜との積層膜を堆積した後、CMP法を用いて、コンタクト溝CT内にのみ選択的にプラグ電極PGを形成する。そして、プラグ電極PG上にアルミニウム系金属膜からなるエミッタ電極EE等を形成することも出来る。
【0062】
次に、図16に示すように、エミッタ電極EE、ゲート配線GL、フィールドプレートFP0、FP1およびFP2、ならびに、ガードリングGRを覆うように絶縁膜PAを形成する。絶縁膜PAは、例えばポリイミドを主要な成分とする有機絶縁膜などからなる。
【0063】
次に、半導体基板SSの裏面Sbに対して、バックグラインディング(裏面研削)処理を施し、その後に、図7に示すように、n型フィールドストップ層NS、p型コレクタ層PCおよび裏面電極BEを形成する。半導体基板SSの裏面Sb側に、例えばイオン注入によりn型不純物を導入することによって、n型フィールドストップ層NSを形成する。次に、半導体基板SSの裏面Sb側に、例えばイオン注入によりp型不純物を導入することにより、p型コレクタ層PCを形成する。次に、半導体基板SSの裏面Sb上に、裏面電極BEを、例えばスパッタリング法により形成する。n型フィールドストップ層NSは、n型ドリフト領域NDと接触し、n型ドリフト領域NDの不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する。p型コレクタ層PCは、n型フィールドストップ層NSと裏面電極BEとの間に位置している。
【0064】
図11および12を用いて説明したp型ウェル領域P0、P1およびP2の製造工程について、補充説明をする。実施の形態1では、図7および8に示すように、p型ウェル領域P0、P1およびP2は、直線領域R1およびR2と、コーナー領域R3とで、等しい深さDaを有しているが、その理由を説明する。図21は、ホウ素(B)を、注入エネルギー:300KeV、ドーズ量:1×1013cm-2の条件でイオン注入した際の深さと不純物濃度の関係を示している。(a)は、シリコン層にホウ素(B)をイオン注入した場合、(b)は、酸化シリコン層にホウ素(B)をイオン注入した場合を示している。(a)および(b)において、深さと不純物濃度の関係は、ほぼ等しいという特性が有る。
【0065】
図22は、比較例1におけるp型ウェル領域の製造方法であり、半導体基板SSの主面Sa上に酸化シリコン膜からなるフィールド絶縁膜FIを設けた状態で、ホウ素(B)をイオン注入している。この場合、フィールド絶縁膜FIの有無に依存して、ホウ素(B)の注入深さが異なることが分かる。図23は、実施の形態1におけるp型ウェル領域の製造方法であり、酸化シリコン膜からなるフィールド絶縁膜FIは、半導体基板SSの内部に埋め込まれている。この場合、フィールド絶縁膜FIの有無に依存せず、ホウ素(B)の注入深さを等しくできる。これは、図21で説明した特性によるものである。
【0066】
実施の形態1では、図7および8に示すように、フィールド絶縁膜FIが半導体基板SSの内部に埋め込まれているため、p型ウェル領域P0、P1およびP2の深さを、直線領域R1およびR2と、コーナー領域R3とで、等しくすることができる。
【0067】
図24は、比較例1におけるコーナー領域の断面図である。図24に示すように、フィールド絶縁膜FIが半導体基板SS上に位置しているため、コーナー領域R3では、p型ウェル領域P1およびP2の深さが、p型ウェル領域P0の深さよりも浅くなる。一方、直線領域R1およびR2では、フィールド絶縁膜FIに開口OPfが設けられているため、p型ウェル領域P1およびP2の深さが、p型ウェル領域P0の深さと等しくなる。比較例1のように、p型ウェル領域P1およびP2の夫々に深い領域と浅い領域とが混在した場合、浅い領域における耐圧が支配的となるため、p型ウェル領域P1およびP2の間隔L2を短くしなければならない。したがって、所望の耐圧を確保するためには、p型ウェル領域の本数を増加させる必要があり、周辺領域PCRが大型化するという問題がある。
【0068】
実施の形態1では、コーナー領域R3において、p型ウェル領域P1およびP2の深さを、直線領域R1およびR2におけるp型ウェル領域P1およびP2の深さと等しくできるため、半導体装置の小型化が可能となる。
【0069】
<変形例1>
図25~28は、変形例1である半導体装置の製造工程中の断面図である。図25~28は、p型ウェル領域P1およびP2の製造方法の変形例を示しているが、p型ウェル領域P1の製造方法として説明する。
【0070】
図28に示すように、p型ウェル領域P1は、例えば、3段に積層された3つp型半導体領域Pa、PbおよびPcで構成されている。中段のp型半導体領域Pbは、下段のp型半導体領域Paよりも幅広で、p型半導体領域Pa上に積層されている。上段のp型半導体領域Pcは、中段のp型半導体領域Pbよりも幅広で、p型半導体領域Pb上に積層されている。p型ウェル領域P1を、このような積層構造としたことで、p型ウェル領域P1とn型ドリフト領域NDとの間に形成されるPN接合の曲率半径xjを大きくできるため、p型ウェル領域P1とn型ドリフト領域NDとの間の耐圧を向上させることができる。なお、上記の幅とは、半導体基板SSの主面Saに平行な面に沿う幅を意味している。
【0071】
次に、図25~27を用いて、製造方法を説明する。図25に示すように、例えば、半導体基板SSの主面Saの法線方向から第1イオン注入を行い、p型半導体領域Paを形成する。次に、図26に示すように、主面Saの法線方向に対してチルト角度θ2で第2イオン注入を行い、p型半導体領域Pbを形成する。次に、図27に示すように、主面Saの法線方向に対してチルト角度θ3で第3イオン注入を行い、p型半導体領域Pcを形成する。ここで、チルト角度θ3は、チルト角度θ2より大きい。また、第2および第3イオン注入は、チルト角度を設定した上で、ウエハをその面中心を軸として回転させながらイオン注入する回転注入法で実施する。回転注入法には、注入しながら連続的に回転を行うものと、注入時は回転を停止させ、その後ウエハを所定角度回転させて、再び注入を行うことを繰り返すステップ回転注入が含まれる。また、第1イオン注入において、チルト角度を設定しても良く、その場合、第2イオン注入のチルト角度θ2は、第1イオン注入のチルト角度よりも大きく、第3イオン注入のチルト角度θ3は、第2イオン注入のチルト角度θ2より大きい。
【0072】
<変形例2>
図29は、変形例2における半導体装置の要部平面図である。図29に示すようにコーナー領域R3において、p型ウェル領域P1とフィールドプレートFP1との間のフィールド絶縁膜FIにダミー開口OPdが複数配置されている。平面視において、直線領域R1では、p型ウェル領域P1およびフィールドプレートFP1に重なるように、フィールド絶縁膜FIに設けられたスリット状の開口OPfが配置されており、この開口OPfは、<010>方向であるX方向に延在している。さらに、開口OPfの内側には、スリット状のコンタクト溝CTおよびプラグ電極PGが設けられ、p型ウェル領域P1をフィールドプレートFP1に電気的に接続している。また、平面視において、直線領域R2では、p型ウェル領域P1およびフィールドプレートFP1に重なるように、フィールド絶縁膜FIに設けられたスリット状開口OPfが配置されており、この開口OPfは、<001>方向であるY方向に延在している。さらに、開口OPfの内側には、スリット状のコンタクト溝CTおよびプラグ電極PGが設けられ、p型ウェル領域P1をフィールドプレートFP1に電気的に接続している。平面視において、コーナー領域R3では、複数のダミー開口OPdが、p型ウェル領域P1およびフィールドプレートFP1の円弧部分に沿って、p型ウェル領域P1およびフィールドプレートFP1の内側に配置されている。コーナー領域R3では、複数のダミー開口OPdにコンタクト溝CTおよびプラグ電極PGは設けられていない。
【0073】
個々のダミー開口OPdは、平面視において、その全域が、p型ウェル領域P1およびフィールドプレートFP1に重なっている。ダミー開口OPdは、正方形又は長方形の平面形状を有し、4つの辺の内の2辺は<010>方向であるX方向に延在し、他の2辺は、<001>方向であるY方向に延在している。つまり、ダミー開口OPdの4辺に対応するフィールド絶縁膜FIの側壁が、半導体基板SSの(011)面とならない配置となっている。
【0074】
また、コーナー領域R3において、フィールド絶縁膜FIにダミー開口OPdを複数設けたことで、フィールド絶縁膜FIの上面FIaの窪みを防止することができる。図19で説明したように、CMP法を用いて広い領域にフィールド絶縁膜FIを形成する場合、ディッシングと呼ばれる現象が発生し、フィールド絶縁膜FIの上面FIaに窪みが発生する。変形例2では、ダミー開口OPdを設け、広い領域におけるフィールド絶縁膜FIの占有率を低減することでディッシングを防止することができる。
【0075】
また、ダミー開口OPdの角部は、半導体装置の製造工程で、例えば5μm程度の曲率半径を有する円弧形状となるが、p型ウェル領域P1およびフィールドプレートFP1の曲率半径の50μm以上に比べ、充分に小さい。従って、ダミー開口OPdの角部が、<011>方向に重なった場合であっても、前述の大転位ループDL1の発生は防止できる。
【0076】
なお、コーナー領域R3において、ダミー開口OPdの内側にコンタクト溝CTおよびプラグ電極PGを設け、p型ウェル領域P1をフィールドプレートFP1に電気的に接続しても良い。
【0077】
また、p型ウェル領域P1、フィールドプレートFP1、開口OPfおよびダミー開口OPdの関係で説明したが、p型ウェル領域P2、フィールドプレートFP2、開口OPfおよびダミー開口OPdの関係も同様である。
【0078】
<変形例3>
図30は、変形例3における半導体装置の要部平面図である。変形例3は、実施の形態1または変形例2に対する変形例であり、直線領域R1およびR2における開口OPfの形状が異なる。直線領域R1では、正方形又は長方形の平面形状を有する複数の開口OPfが<010>方向であるX方向に配置されている。そして、個々の開口OPfの内側には、コンタクト溝CTおよびプラグ電極PGが設けられ、p型ウェル領域P1をフィールドプレートFP1に電気的に接続している。直線領域R2では、正方形又は長方形の平面形状を有する複数の開口OPfが<001>方向であるY方向に配置されている。そして、個々の開口OPfの内側には、コンタクト溝CTおよびプラグ電極PGが設けられ、p型ウェル領域P1をフィールドプレートFP1に電気的に接続している。
【0079】
直線領域R1およびR2において、フィールド絶縁膜FIに設けられた開口OPfを複数の正方形または長方形の開口OPfに分割したことで、CMP法を用いてフィールド絶縁膜FIを形成する際に発生するディッシングを抑制することができる。また、コンタクト溝CTおよびプラグ電極PGも同様に複数に分割されているため、CMP法を用いてプラグ電極PGを形成する際に発生するディッシングを抑制することができる。
【0080】
<変形例4>
図31および32は、変形例4における半導体装置の要部平面図および要部斜視図である。変形例4は、上記実施の形態1の変形例であり、コーナー領域R3において、直線領域R1に配置された開口OPfと直線領域R2に配置された開口OPfとが、連続的に、開口OPa、OPs1、OPs2およびOPbで接続されている。
【0081】
図31に示すように、コーナー領域R3において、開口は、直線領域SLRと、直線領域SLRの両側に配置された円弧領域ACRとからなる。直線領域SLRには、結晶方位<011>に対して線対称に配置された2つの開口OPs1およびOPs2が配置され、開口OPs1およびOPs2は、結晶方位<010>、結晶方位<001>および結晶方位<011>とは異なる方向に直線的に延在している。また、開口OPs1およびOPs2は、互いに異なる方向に延在している。このように、直線領域SLRを、結晶方位<010>、結晶方位<001>および結晶方位<011>とは異なる方向に延在する2つの開口OPs1およびOPs2で構成することで、直線領域SLRにおいて、開口OPs1およびOPs2の側壁に結晶面(011)が出るのを防止することができる。したがって、直線領域SLRに前述の大転位ループDL1が形成されるのを防止することができる。
【0082】
円弧領域ACRには、円弧形状の開口OPaおよびOPbが配置されている。直線領域SLRにおいて、開口OPs1の一端と開口OPs2の一端とは、結晶方位<011>の軸上で接続されており、開口OPs1の他端は、円弧領域ACRの開口OPaの一端と接続され、開口OPaの他端は、直線領域R1の開口OPfに接続されている。また、開口OPs2の他端は、円弧領域ACRの開口OPbの一端と接続され、開口OPbの他端は、直線領域R2の開口OPfに接続されている。
【0083】
また、直線領域SLRの範囲は、結晶方位<011>を中心に±θ4(18°≦θ4≦27°)の範囲とする。ここで、θ4<18°とすると、直線領域SLRが検討例の円弧に近づくため、θ4≧18°とするのが好適である。因みに、θ4=18°の場合、図32に示す開口OPs1の側壁は、結晶面(021)であり、開口OPs2の側壁は、結晶面(012)となる。そして、θ4=27°の場合、図32に示す開口OPs1の側壁は、結晶面(031)であり、開口OPs2の側壁は、結晶面(013)となる。
【0084】
なお、円弧領域ACRの開口OPaを、平面視にて、円弧状としているが、この部分を直線に変更することも出来る。
【0085】
(実施の形態2)
図33は、実施の形態2における半導体装置の要部平面図であり、図6のE部の拡大平面図である。図5で説明した通り、セル形成領域の活性領域は、フィールド絶縁膜FIの開口OPcで規定されている。実施の形態2は、コーナー領域R3における開口OPcの形状を工夫することにより、p型ウェル領域P0を貫通する大転位ループDL1の発生を防止するものである。
【0086】
図33に示すように、開口OPcは、直線領域R1において、結晶方位<010>であるX方向に延在する辺SD1を有し、直線領域R2において、結晶方位<001>であるY方向に延在する辺SD2を有し、コーナー領域R3において、辺SD1および辺SD2は、直交している。そして、セル領域CLRと周辺領域PCRとの境界であるp型ウェル領域P0の端部は、コーナー領域R3で曲率半径50μm以上の円弧状を有する。比較例であるが、例えば、コーナー領域R3において、平面視における開口OPcの形状を、p型ウェル領域P0の端部と同様の曲率半径を有する円弧状とした場合、フィールド絶縁膜FIの側壁が、半導体基板SSの結晶面(011)と接することとなるため、大転位ループDL1が発生する危険性が高くなる。
【0087】
本実施の形態2では、コーナー領域R3において、開口OPcの角部(図33のF部)を垂直としたことにより、大転位ループDL1が発生を抑制することができる。設計段階で直角にした場合、製造後の角部の曲率半径は、例えば5μm程度であり、p型ウェル領域P0の円弧部の曲率半径に比べ、格段に小さいからである。
【0088】
<変形例5>
図34は、変形例5の半導体装置の要部平面図である。変形例5は、実施の形態2の変形例であり、変形例4の思想を実施の形態2に適用したものである。図34に示すように、直線領域R1において、結晶方位<010>であるX方向に延在する辺SD5を有し、直線領域R2において、結晶方位<001>であるY方向に延在する辺SD6を有する。そして、コーナー領域R3において、辺SD3およびSD4ならびに円弧部AC1およびAC2を有する。辺SD3およびSD4は、変形例4の開口OPs1およびOPs2に対応し、円弧部AC1およびAC2は、変形例4の開口OPaおよびOPbに対応している。
【0089】
つまり、辺SD3およびSD4は、結晶方位<011>に対して線対称に配置され、辺SD3およびSD4は、結晶方位<010>、結晶方位<001>および結晶方位<011>とは異なる方向に直線的に延在している。また、辺SD3およびSD4は、互いに異なる方向に延在している。辺SD3およびSD4の範囲は、結晶方位<011>を中心に±θ4(18°≦θ4≦27°)の範囲とする。因みに、θ4=18°の場合、辺SD3に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(021)であり、辺SD4に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(012)となる。そして、θ4=27°の場合、辺SD3に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(031)であり、辺SD4に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(013)となる。
【0090】
なお、円弧部AC1およびAC2を、平面視にて、直線に変更することも出来る。
【0091】
コーナー領域R3において、辺SD3およびSD4に対応する半導体基板SSの側壁が、結晶面(011)とならないので、大転位ループDL1の発生を抑制できる。
【0092】
また、実施の形態2に比べ、X方向およびY方向において、フィールド絶縁膜FIとp型ウェル領域P0とが重なる領域を低減できるため、セル領域CLRにおけるゲート電極GE等の配置領域を拡大することができる。
【0093】
<変形例6>
図35は、変形例6の半導体装置の要部平面図である。変形例6は、実施の形態2の変形例であり、開口OPfの角部が階段状になっている。
【0094】
図35に示すように、開口OPcは、直線領域R1において、結晶方位<010>であるX方向に延在する辺SD7を有し、直線領域R2において、結晶方位<001>であるY方向に延在する辺SD12を有し、コーナー領域R3において、辺SD8~SD11を有する。辺SD9およびSD11は、X方向に延在し、辺SD8およびSD10は、Y方向に延在している。隣接する辺SD7およびSD8、隣接する辺SD8およびSD9、隣接する辺SD9およびSD10、隣接する辺SD10およびSD11、ならびに、隣接する辺SD11およびSD12は、互いに直交している。
【0095】
コーナー領域R3の開口OPcを階段状にしたことで、コーナー領域R3の辺SD8~SD11に対応する半導体基板SSの側壁が、結晶面(011)とならないので、大転位ループDL1の発生を抑制できる。
【0096】
また、コーナー領域R3の開口OPcを階段状にしたことで、フィールド絶縁膜FIとp型ウェル領域P0とが重なる領域を低減できるため、セル領域CLRにおけるゲート電極GE等の配置領域を拡大することができる。
【0097】
ここでは、開口OPcの角部を3段の階段状にしたが、2段でも良く、また、4段以上でも良い。
【0098】
(実施の形態3)
図36は、実施の形態3における半導体装置の要部平面図である。ガードリング形成用の活性領域は、フィールド絶縁膜FIの開口OPgで規定されている。実施の形態3は、実施の形態2の思想と共通しており、コーナー領域R3における開口OPgの形状を工夫することにより、大転位ループDL1の発生を防止するものである。図36は、図5と異なり、p型ウェル領域P2およびフィールドプレートFP2を示している。開口OPgは、直線領域R1において、結晶方位<010>であるX方向に延在する辺SD21を有し、直線領域R2において、結晶方位<001>であるY方向に延在する辺SD22を有し、コーナー領域R3において、辺SD21および辺SD22は、直交している。開口OPgの形状は、他の3つのコーナー領域でも同様である。コーナー領域R3において、開口OPgの角部を垂直としたことにより、大転位ループDL1の発生を抑制することができる。
【0099】
ガードリング形成用の活性領域において、大転位ループDL1が発生した場合、大転位ループDL1がp型ウェル領域P2に達しなくても、p型ウェル領域P2からガードリングGR方向に伸びる空乏層がこの大転位ループDL1まで達するとリーク電流が増大する不具合がある。
【0100】
<変形例7>
図37は、変形例7における半導体装置の要部平面図である。図37では、直線領域R1およびR2と、コーナー領域R3とを示している。変形例5に対応する実施の形態3の変形例である。図37に示すように、直線領域R1において、結晶方位<010>であるX方向に延在する辺SD25を有し、直線領域R2において、結晶方位<001>であるY方向に延在する辺SD28を有する。そして、コーナー領域R3において、辺SD26およびSD27ならびに円弧部AC3およびAC4を有する。辺SD26およびSD27は、変形例5の辺SD3およびSD4に対応し、円弧部AC3およびAC4は、変形例5の円弧部AC1およびAC2に対応している。
【0101】
つまり、辺SD26およびSD27は、結晶方位<011>に対して線対称に配置され、辺SD26およびSD27は、結晶方位<010>、結晶方位<001>および結晶方位<011>とは異なる方向に直線的に延在している。また、辺SD26およびSD27は、互いに異なる方向に延在している。辺SD26およびSD27の範囲は、結晶方位<011>を中心に±θ4(18°≦θ4≦27°)の範囲とする。因みに、θ4=18°の場合、辺SD26に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(021)であり、辺SD27に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(012)となる。そして、θ4=27°の場合、辺SD26に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(031)であり、辺SD27に対応する半導体基板SSの側壁は、結晶面(013)となる。
【0102】
なお、円弧部AC3およびAC4を、平面視にて、直線に変更することも出来る。
【0103】
コーナー領域R3において、辺SD26およびSD27に対応する半導体基板SSの側壁が、結晶面(011)とならないので、大転位ループDL1の発生を抑制できる。
【0104】
(実施の形態4)
図38は、実施の形態4の半導体装置CP2の平面透視図であり、図39は、実施の形態4の半導体装置CP2の要部平面図であり、図40は、図39のG-G´線に沿う断面図である。実施の形態4は、実施の形態1の変形例であり、周辺領域PCRの構造が異なる。セル領域CLRの構造は、実施の形態1と同様なので、その説明は省略する。
【0105】
図38~40に示すように、半導体装置CP2の周辺領域PCRには、フィールドプレートFP1およびFP2、ならびに、p型ウェル領域P1およびP2が設けられていない。図40に示すように、周辺領域PCRには、半導体基板SSに埋め込まれたフィールド絶縁膜FIが設けられており、フィールド絶縁膜FIは、セル形成用の活性領域を規定する開口OPcおよびガードリング形成用の活性領域を規定する開口OPgを有する。この点は、実施の形態1と同様である。しかしながら、実施の形態4の半導体装置CP2は、フィールドプレートFP1およびFP2と、p型ウェル領域P1およびP2との間に設けられた開口OPfは存在しない。そして、周辺領域PCRにおいて、p型ウェル領域P0に接して、フィールド絶縁膜FIの下に、p型半導体領域であるリサーフ層RSFが設けられている。つまり、実施の形態4では、実施の形態1の周辺領域PCRのフィールドプレートFP1およびFP2、ならびに、p型ウェル領域P1およびP2に代えて、リサーフ層RSFが設けられている。
【0106】
実施の形態4の周辺領域PCRを有する半導体装置CP2において、フィールド絶縁膜FIの開口OPcに対して、実施の形態2ならびに変形例5および6を適用することができる。さらに、実施の形態4の周辺領域PCRを有する半導体装置CP2において、フィールド絶縁膜FIの開口OPgに対して、実施の形態3および変形例7を適用することができる。
【0107】
(実施の形態5)
図41は、実施の形態5における半導体装置CP3の平面透視図であり、図42は、実施の形態5の半導体装置CP3の要部平面図であり、図43は、図42のI-I´線に沿う断面図であり、図44は、図42のJ-J´線に沿う断面図である。なお、図44は、図41のH-H´線に沿う断面図でもある。実施の形態5は、実施の形態1の変形例であり、周辺領域PCRに囲まれたダイオード領域(素子形成領域)DRにダイオード素子が形成されている。
【0108】
図41は、半導体基板SSの主面上に形成されたアノード電極AE、フィールドプレートFP0、FP1およびFP2、ならびにガードリングGRを示している。アノード電極AEとフィールドプレートFP0は、一体となっている。半導体基板SSの主面の中央部には、アノード電極AEが配置され、そのアノード電極AEの周囲を囲むように閉じた環状のフィールドプレートFP1およびFP2が順に設けられており、更に、フィールドプレートFP2の周囲を囲むように閉じた環状のガードリングGRが設けられている。アノード電極AE、フィールドプレートFP0、FP1およびFP2、ならびにガードリングGRは、図示しない絶縁膜(保護絶縁膜)PAで覆われている。絶縁膜PAに設けられた開口PAaから露出したアノード電極AEの一部にアノードパッドAPが設けられている。
【0109】
図42は、実施の形態1の図6に対応している。ダイオード領域DRを囲むようにp型ウェル領域P1およびフィールドプレートFP1が設けられている。p型ウェル領域P1、フィールドプレートFP1、開口OPf等の構造は、図6と同様である。
【0110】
図43に示すように、ダイオード素子は、半導体基板SSに形成され、アノード電極AEおよびカソード電極CEを有する。半導体基板SSは、FZ法またはMCZ法で形成され、例えばリン(P)等のn型の不純物が導入されたn型の単結晶シリコン基板からなる。半導体基板SSは、一方の面である主面Saと、主面Saとは反対側の面である裏面Sbとを有しており、その主面Saは(100)面となっている。
【0111】
半導体基板SSの裏面Sb側には、所定の厚さのn型半導体領域Nが形成されている。そして、半導体基板SSの裏面Sb上に、n型半導体領域Nに接するように、カソード電極CEが形成されている。
【0112】
図43に示すように、n型半導体領域Nの上には、n型半導体領域Nが形成されており、n型半導体領域N上には、p型半導体領域Pが形成されている。そして、p型半導体領域Pがアノードとなり、n型半導体領域Nおよびn型半導体領域Nがカソードとなっている。p型ウェル領域P0は、p型半導体領域Pと接し、その周囲を囲むように配置されている。そして、アノード電極AEは、p型半導体領域Pおよびp型ウェル領域P0に電気的に接続されている。
【0113】
さらに、半導体基板SSに埋め込まれたフィールド絶縁膜FIの開口OPcは、ダイオード素子形成用の活性領域を規定している。ただし、ダイオード領域DRは、p型ウェル領域P0の端部までとしている。そして、ダイオード領域DRを囲む周辺領域PCRは、実施の形態1と同様である。
【0114】
実施の形態5によれば、コーナー領域R3における大転位ループDL1の発生を防止でき、半導体装置CP3の耐圧を向上することができる。
【0115】
実施の形態5に対して、上記実施の形態1~4およびそれらの変形例1~7を適用することができる。
【0116】
(実施の形態6)
図45は、実施の形態6の半導体装置1の外観を示す平面図であり、図46は、実施の形態6の半導体装置1の内部構造を示す透視拡大平面図である。
【0117】
図45に示すように、半導体装置1は、樹脂からなる封止体2と、封止体2から露出する複数の外部端子である複数のリード3を有する半導体パッケージである。封止体2は、例えば、シリコンフィラーを含浸させたエポキシ樹脂からなり、リード3は、例えば、銅(Cu)または鉄-ニッケル(Fe-Ni)合金等からなる。
【0118】
図46に示すように、半導体装置1は、封止体2の内部に半導体チップ(トランジスタチップ)4、半導体チップ(ダイオードチップ)5、半導体チップ4が搭載される金属板6、および、半導体チップ5が搭載される金属板7を有する。金属板6と金属板7とは、互いに分離されている。ここで、半導体チップ4は、前述の半導体装置CP1およびCP2であり、半導体チップ5は、前述の半導体装置CP3である。
【0119】
半導体チップ4および5は、それぞれ、導電性のダイボンド材(導電性接着材)8を介して、金属板6および7に接続されている。半導体チップ4のエミッタパッドEPおよびゲートパッドGPは、それぞれ、ワイヤ9を介して、リード3-4および3-5に接続されている。半導体チップ4の裏面電極(コレクタ電極)は、導電性のダイボンド材8および金属板6を介して、リード3-3に接続されている。また、半導体チップ5のアノードパッドAPは、ワイヤ9を介してリード3-3に接続されており、カソード電極は、金属板7を介してリード3-2に接続されている。
【0120】
半導体装置1を、上記実施の形態で説明した半導体チップ4または5で構成しているので、半導体装置1の耐圧を向上することができる。
【0121】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、実施の形態1では、セル領域にIGBTを形成した例を説明したが、トレンチゲートを有するパワーMISFETであっても良い。
【0122】
さらに、上記実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0123】
〔付記1〕
(a)結晶面(100)からなる主面と、前記主面とは反対側の裏面と、第1導電型の第1半導体領域と、を含むシリコンからなる半導体基板と、
(b)前記主面に設けられた素子形成領域と、
(c)前記主面に設けられ、前記素子形成領域の周囲を取り囲む周辺領域と、
(d)上面と底面とを有し、前記底面が前記半導体基板の内部に位置し、前記上面が前記半導体基板の前記主面から露出するフィールド絶縁膜と、
(e)前記第1半導体領域内に設けられ、平面視において前記素子形成領域を囲むように閉じたリング形状を有する第2導電型のウェル領域と、
を有し、
平面視において、前記ウェル領域の前記周辺領域側の端部は、<010>方向に延在する第1部分と、<001>方向に延在する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結し、平面視において円弧形状を有する第3部分と、を含み、
前記フィールド絶縁膜は、前記周辺領域を覆い、前記素子形成領域を露出する開口を含み、
前記開口は、前記<010>方向に延在する第1辺と、前記<001>方向に延在する第2辺と、を含み、前記第1辺と前記第2辺とは直交し、前記素子形成領域の角部を構成している、半導体装置。
【0124】
〔付記2〕
付記1に記載の半導体装置において、
前記円弧形状の前記第3部分は、50μm以上の曲率半径を有する、半導体装置。
【0125】
〔付記3〕
付記1に記載の半導体装置において、
前記角部は、5μm以下の曲率半径を有する、半導体装置。
【0126】
〔付記4〕
付記1に記載の半導体装置において、
さらに、
前記周辺領域において、前記フィールド絶縁膜の下部に設けられた前記第2導電型の第2半導体領域を有し、
前記第2半導体領域は、前記ウェル領域に接触している、半導体装置。
【0127】
〔付記5〕
付記1に記載の半導体装置において、
前記開口は、さらに、前記<010>方向に延在する第3辺と、前記<001>方向に延在する第4辺と、を含み、
前記第3辺は前記第2辺と接続され、前記第4辺は前記第1辺と接続されている、半導体装置。
【0128】
〔付記6〕
(a)結晶面(100)からなる主面と、前記主面とは反対側の裏面と、第1導電型の第1半導体領域と、を含むシリコンからなる半導体基板と、
(b)前記主面に設けられた素子形成領域と、
(c)前記主面に設けられ、前記素子形成領域の周囲を取り囲む周辺領域と、
(d)上面と底面とを有し、前記底面が前記半導体基板の内部に位置し、前記上面が前記半導体基板の前記主面から露出するフィールド絶縁膜と、
(e)前記第1半導体領域内に設けられ、平面視において前記素子形成領域を囲むように閉じたリング形状を有する第2導電型のウェル領域と、
を有し、
平面視において、前記ウェル領域の前記周辺領域側の端部は、<010>方向に延在する第1部分と、<001>方向に延在する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結し、平面視において円弧形状を有する第3部分と、を含み、
前記フィールド絶縁膜は、前記周辺領域を覆い、前記素子形成領域を露出する開口を含み、
前記開口は、前記<010>方向に延在する第1辺と、前記<001>方向に延在する第2辺と、前記第1辺と前記第2辺と接続する接続部と、を含み、
前記接続部は、<011>方向を対称軸として対称配置された第3辺と第4辺とを含み、
前記第3辺と前記第4辺とは、互いに異なる方向に延在し、かつ、前記<010>方向、前記<001>方向および前記<011>方向とは異なる方向に直線的に延在している、半導体装置。
【0129】
〔付記7〕
付記6に記載の半導体装置において、
前記第3辺は、円弧形状を有する第1円弧部を介して前記第1辺に接続され、
前記第4辺は、円弧形状を有する第2円弧部を介して前記第2辺に接続されている、半導体装置。
【0130】
〔付記8〕
(a)結晶面(100)からなる主面と、前記主面とは反対側の裏面と、第1導電型の第1半導体領域と、を含むシリコンからなる半導体基板と、
(b)前記主面に設けられた素子形成領域と、
(c)前記主面に設けられ、前記素子形成領域の周囲を取り囲む周辺領域と、
(d)前記周辺領域の一部分であって、前記素子形成領域の反対側に位置するガードリング領域と、
(e)上面と底面とを有し、前記底面が前記半導体基板の内部に位置し、前記上面が前記半導体基板の前記主面から露出するフィールド絶縁膜と、
を有し、
前記ガードリング領域において、前記第1半導体領域内に、第2導電型を有する第2半導体領域が形成されており、
前記フィールド絶縁膜は、前記周辺領域を覆い、前記素子形成領域を露出する第1開口および前記ガードリング領域を露出する第2開口を含み、
前記第2開口は、<010>方向に延在する第1辺と、<001>方向に延在する第2辺と、を含み、前記第1辺と前記第2辺とは直交し、前記フィールド絶縁膜の角部を構成している、半導体装置。
【0131】
〔付記9〕
(a)結晶面(100)からなる主面と、前記主面とは反対側の裏面と、第1導電型の第1半導体領域と、を含むシリコンからなる半導体基板と、
(b)前記主面に設けられた素子形成領域と、
(c)前記主面に設けられ、前記素子形成領域の周囲を取り囲む周辺領域と、
(d)前記周辺領域の一部分であって、前記素子形成領域の反対側に位置するガードリング領域と、
(e)上面と底面とを有し、前記底面が前記半導体基板の内部に位置し、前記上面が前記半導体基板の前記主面から露出するフィールド絶縁膜と、
を有し、
前記ガードリング領域において、前記第1半導体領域内に、第2導電型を有する第2半導体領域が形成されており、
前記フィールド絶縁膜は、前記周辺領域を覆い、前記素子形成領域を露出する第1開口および前記ガードリング領域を露出する第2開口を含み、
前記第2開口は、<010>方向に延在する第1辺と、<001>方向に延在する第2辺と、前記第1辺と前記第2辺とを接続する接続部と、を含み、
前記接続部は、<011>方向を対称軸として対称配置された第3辺と第4辺とを含み、
平面視において、前記第3辺と前記第4辺とは、互いに異なる方向に延在し、かつ、前記<010>方向、前記<001>方向および前記<011>方向とは異なる方向に直線的に延在している、半導体装置。
【0132】
〔付記10〕
付記9に記載の半導体装置において、
前記第3辺は、円弧形状を有する第1円弧部を介して前記第1辺に接続され、
前記第4辺は、円弧形状を有する第2円弧部を介して前記第2辺に接続されている、半導体装置。
【0133】
〔付記11〕
素子形成領域と、<010>方向に延在する第1ウェル領域、<001>方向に延在する第2ウェル領域、および、前記第1ウェル領域と前記第2ウェル領域とを接続する第3ウェル領域を含み、前記素子形成領域の周囲を囲むウェル領域と、を備えた半導体装置の製造方法であって、
(a)結晶面(100)からなる主面において、第1領域、第2領域および第3領域を有するシリコンからなる半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板の内部に、前記第1領域の一部を露出する第1開口を有する第1フィールド絶縁膜と、前記第2領域の一部を露出する第2開口を有する第2フィールド絶縁膜と、前記第3領域を覆い、前記第3領域を露出しない第3フィールド絶縁膜を形成する工程、
(c)前記第1領域において、前記第1開口および前記第1フィールド絶縁膜の下の前記半導体基板内に前記第1ウェル領域を形成し、前記第2領域において、前記第2開口および前記第2フィールド絶縁膜の下の前記半導体基板内に前記第2ウェル領域を形成し、前記第3領域において、前記第3フィールド絶縁膜の下の前記半導体基板内に前記第3ウェル領域を形成する工程、
を有し、
前記半導体基板の前記主面を基準として、前記第1ウェル領域、前記第2ウェル領域および前記第3ウェル領域の深さは等しい。
【0134】
〔付記12〕
付記11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1ウェル領域、前記第2ウェル領域および前記第3ウェル領域の製造工程は、
(c-1)前記半導体基板の第1深さに第1導電型の第1不純物を導入する第1イオン注入工程、
(c-2)前記半導体基板の第2深さに第1導電型の第2不純物を導入する第2イオン注入工程、
を含み、前記第1深さは、前記第2深さより深い、半導体装置の製造方法。
【0135】
〔付記13〕
付記12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c-1)工程において、前記主面の法線に対して第1イオン注入角度で前記第1不純物を導入し、
前記(c-2)工程において、前記主面の法線に対して第2イオン注入角度で前記第2不純物を導入し、
前記第2イオン注入角度は、前記第1イオン注入角度よりも大きい、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0136】
ACR 円弧領域
AC1、AC2、AC3、AC4 円弧部
AE アノード電極
AP アノードパッド
BE 裏面電極(コレクタ電極)
CE カソード電極
CLR セル領域(素子形成領域)
CP1、CP2、CP3 半導体装置(半導体チップ)
CPL1、CPL2 長辺
CPS1、CPS2 短辺
CT コンタクト溝
DL1 大転位ループ
DL2 小転位ループ
DR ダイオード領域(素子形成領域)
EE エミッタ電極(金属配線)
EP エミッタパッド
FI フィールド絶縁膜
FIa 上面
FIb 底面
FP0、FP1、FP2 フィールドプレート(金属配線)
GE ゲート電極
GI ゲート絶縁膜
GL ゲート配線(金属配線)
GP ゲートパッド
GR ガードリング(金属配線)
HB n型ホールバリア領域(n型半導体領域)
IL 層間絶縁膜(絶縁膜)
N、N n型半導体領域
ND n型ドリフト領域(n型半導体領域)
NE n型エミッタ領域(n型半導体領域)
NGR n型半導体領域
NS n型フィールドストップ層(n型半導体領域)
OPa、OPb 開口(円弧部)
OPc、OPf、OPg 開口(スリット)
OPd ダミー開口
OPs1、OPs2 開口(直線部)
p型半導体領域
Pa、Pb、Pc p型半導体領域
PA 絶縁膜(保護絶縁膜)
PAa、PAe、PAg 開口
PB p型ボディ領域(p型半導体領域)
PBC p型ボディコンタクト領域(p型半導体領域)
PC p型コレクタ層(p型半導体領域)
PCR 周辺領域(ターミネーション領域)
PF p型フローティング領域(p型半導体領域)
PG プラグ電極(導体層)
PR フォトレジスト膜
P0、P1、P2 p型ウェル領域(p型半導体領域)
RSF リサーフ層
R1、R2 直線領域
R3 コーナー領域(接続領域)
Sa 主面
Sb 裏面
SD1~12、SD21~28 辺
SLR 直線領域
SS 半導体基板
TR1、TR2 溝
Z1、Z2、Z3 絶縁膜
1 半導体装置(樹脂封止型半導体装置)
2 封止体
3 リード
4 半導体チップ(トランジスタチップ)
5 半導体チップ(ダイオードチップ)
6、7 金属板
8 ダイボンド材(導電性接着材)
9 ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46