IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

特許7000250エネルギー管理システム及びエネルギー管理システムの設定方法
<>
  • 特許-エネルギー管理システム及びエネルギー管理システムの設定方法 図1
  • 特許-エネルギー管理システム及びエネルギー管理システムの設定方法 図2
  • 特許-エネルギー管理システム及びエネルギー管理システムの設定方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】エネルギー管理システム及びエネルギー管理システムの設定方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220112BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J3/14 130
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018102536
(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公開番号】P2019208314
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木沢 博史
(72)【発明者】
【氏名】畑 泰彦
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130985(JP,A)
【文献】特開2016-158411(JP,A)
【文献】特開2018-46644(JP,A)
【文献】村井雅彦,土井裕介,高木康夫,家庭に導入される新エネルギー機器の利用を最適化するHEMS,東芝レビュー,日本,株式会社東芝,2011年12月01日,第66巻第12号,pages.20-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/24
H02J 3/14
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、
前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、
前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムであって、
前記中央管理装置は、前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行うとともに、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付けると、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物の前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とし、運用開始前に、前記建物別管理装置が前記エネルギーデータを収集しているときは、前記中央管理装置は当該エネルギーデータを取り込み、前記建物識別コードデータに基づいて識別した前記建物と紐付けて前記記憶装置へ記憶し管理するように構成され、
前記建物別管理装置は、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行うように構成されていることを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項2】
建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、
前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、
前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムであって、
前記中央管理装置は、前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行うとともに、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付けると、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物の前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とするように構成され、
前記建物別管理装置は、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行うように構成され、さらに
前記建物別管理装置は、前記建物識別コードデータと、当該建物別管理装置を識別する装置識別コードデータとを記憶し、前記建物識別コードデータと、前記装置識別コードデータとを対応付けて前記中央管理装置に予め登録するように構成され、前記中央管理装置は、前記建物識別コードデータ及び前記装置識別コードデータと紐付けて、前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータを前記記憶装置へ記憶し管理するように構成されていることを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項3】
建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、
前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、
前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムであって、
前記中央管理装置は、前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行うとともに、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付けると、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物の前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とするように構成され、
前記建物別管理装置は、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行うように構成され、さらに
前記中央管理装置は、前記建物別管理装置から登録された前記建物識別コードデータに対応し前記建物別管理装置を識別する装置識別コードデータが変更されたとき、前記建物別管理装置が入れ替えられたと判断し、入れ替え前の前記建物別管理装置で収集した前記エネルギーデータと、入れ替え後の前記建物別管理装置で収集した前記エネルギーデータとを紐付けて管理することを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項4】
建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、
前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、
前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムであって、
前記中央管理装置は、前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行うとともに、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付けると、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物の前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とするように構成され、
前記建物別管理装置は、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行うように構成され、
前記記憶装置には、前記管理データとして、分電盤の分岐回路の最大取り込み回路数と、前記分岐回路の使用の可否とが、少なくとも記憶されていることを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項5】
建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、
前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、
前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムの設定方法であって、
前記中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、
前記建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有し、
両工程は、それぞれ個別に実行され、
前記中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程は、
前記記憶装置に、前記管理データを記憶させる工程と、
前記中央管理装置が、前記記憶装置から前記建物に対応する前記管理データを取り込んで、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有し、
前記建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程は、
前記建物別管理装置が、前記中央管理装置にアクセスする工程と、
前記中央管理装置が、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付け、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物に対応する前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とする工程と、
前記建物別管理装置が、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有しており、
前記建物別管理装置が、初期設定又は設定変更を行った後に、前記エネルギーデータを収集しているときは、前記中央管理装置が当該エネルギーデータを取り込み、前記建物識別コードデータに基づいて識別した前記建物と紐付けて前記記憶装置へ記憶する工程を、さらに有していることを特徴とするエネルギー管理システムの設定方法。
【請求項6】
建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、
前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、
前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムの設定方法であって、
前記中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、
前記建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有し、
両工程は、それぞれ個別に実行され、
前記中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程は、
前記記憶装置に、前記管理データを記憶させる工程と、
前記中央管理装置が、前記記憶装置から前記建物に対応する前記管理データを取り込んで、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有し、
前記建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程は、
前記建物別管理装置が、前記中央管理装置にアクセスする工程と、
前記中央管理装置が、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付け、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物に対応する前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とする工程と、
前記建物別管理装置が、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有しており、
前記建物別管理装置が、当該建物別管理装置に記憶されている前記建物識別コードデータと、装置識別コードデータとを対応付けて前記中央管理装置に予め登録する工程と、
前記中央管理装置が、前記建物別管理装置から取り込むエネルギーデータを、前記建物識別コードデータ及び前記装置識別コードデータと紐付けて管理できるように、前記建物識別コードデータと前記装置識別コードデータとを紐付けて記憶する工程と、をさらに有していることを特徴とするエネルギー管理システムの設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央管理装置と、これに接続された建物別管理装置から成るエネルギー管理システム、及びエネルギー管理システムの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業レベルだけでなく、家庭レベルでも、省エネルギー意識が高まりつつあり、住宅として用いる建物に、エネルギー管理システムを導入し、エネルギー管理を行うようになってきた。
【0003】
このエネルギー管理システムを導入するにあたっては、対象となる建物に建物別管理装置を設置し、エネルギー管理に必要なデータを、この建物別管理装置内に取り込む初期設定を行う必要があり、リフォーム等でデータが変わる際には、設定変更を行う必要がある(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1に記載の従来技術では、初期設定又は設定変更を行うに際して、エネルギー管理に必要なデータの一つ一つ全てを、建物別管理装置が設置された建物において、マウスやキーボード等の入力装置を介して手入力しなければならないので、長時間の作業が必要であった。
【0005】
これに対して、特許文献2に記載の従来技術では、建物別管理装置を、外部通信網を介して中央管理装置に接続し、エネルギー管理に必要な情報のデータが記憶された記憶装置から中央管理装置がデータを引き出し、引き出されたデータを中央管理装置から建物別管理装置が取り込んで、初期設定又は設定変更を行う技術が開示されている。
【0006】
これにより、建物別管理装置でのデータの手入力を省いて、作業を短縮化することが可能となったが、記憶装置に予め必要なデータを記憶させるのを待ってから建物別管理装置にデータを取り込む必要があるため、作業時間のより短縮化という点で改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-130985号公報
【文献】特開2016-158411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、初期設定又は設定変更の作業時間を、より短縮化することができるエネルギー管理システム、及びエネルギー管理システムの設定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明のエネルギー管理システムは、建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムである。前記中央管理装置は、前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行うとともに、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付けると、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物の前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とするように構成されている。前記建物別管理装置は、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行うように構成されている。
【0010】
また、本発明のエネルギー管理システムの設定方法は、建物のエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置と、前記建物ごとに設置されて当該建物のエネルギーデータを収集する建物別管理装置と、前記記憶装置から取り込んだ前記管理データ及び前記建物別管理装置から取り込んだ前記エネルギーデータに基づいて、前記建物のエネルギー管理を行う中央管理装置と、を備え、前記中央管理装置と、前記建物別管理装置とが、外部通信網を介して接続されたエネルギー管理システムの設定方法であって、前記中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、前記建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有し、両工程は、それぞれ個別に実行される。前記中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程は、前記記憶装置に、前記管理データを記憶させる工程と、前記中央管理装置が、前記記憶装置から前記建物に対応する前記管理データを取り込んで、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有している。前記建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程は、前記建物別管理装置が、前記中央管理装置にアクセスする工程と、前記中央管理装置が、前記建物別管理装置からのアクセスを受け付け、当該建物別管理装置が設置されている前記建物を、前記建物別管理装置内に記憶された建物識別コードデータに基づいて識別し、アクセス時点での当該建物に対応する前記管理データを前記記憶装置から引き出して、前記建物別管理装置が取り込み可能な状態とする工程と、前記建物別管理装置が、前記中央管理装置から前記管理データを取り込んで、当該建物別管理装置の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中央管理装置での初期設定又は設定変更の完了を待たずに、建物別管理装置での初期設定又は設定変更を行うことができる。また、建物別管理装置は、中央管理装置にアクセスし、管理データの取り込みを要求するだけで、管理データを取り込むことができる。一方、中央管理装置は、アクセスしてきた建物別管理装置が設置されている建物を、建物識別コードデータに基づいて識別して、その建物の管理データを確実かつ迅速に引き出し可能な状態とすることができる。そのため、初期設定又は設定変更の作業時間を、より短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係るエネルギー管理システムの設定方法が実行されるエネルギー管理システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施の形態に係るエネルギー管理システムの設定方法の流れを示すフロー図である。
図3】本実施の形態に係る例1のエネルギー管理システムの設定方法における分岐回路(番号)と、それに接続される電力負荷との対応付けの情報のデータの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係るエネルギー管理システム100の概略構成を示す図である。
【0014】
この図1に示すように、本実施の形態のエネルギー管理システム100は、複数の建物H(H1~HX)にそれぞれ設置された建物別管理装置1と、インターネット等の外部通信網Nを介して接続された中央管理装置2とを備えている。
【0015】
さらに本実施の形態のエネルギー管理システム100は、管理事業者が保有する記憶装置としての総合情報記憶装置3と、管理事業者の営業部署に設置された部署別情報記憶装置としての営業情報記憶装置4と、設計部署に設置された部署別情報記憶装置としての設計情報記憶装置5と、を備えている。
【0016】
総合情報記憶装置3は、外部通信網Nを介して中央管理装置2と接続されている。営業情報記憶装置4及び設計情報記憶装置5は、イントラネット等によって総合情報記憶装置3に接続されている。
【0017】
中央管理装置2、総合情報記憶装置3、営業情報記憶装置4、及び設計情報記憶装置5は、いずれも、データのやり取りや蓄積が可能なサーバ装置から構成されている。営業情報記憶装置4、及び設計情報記憶装置5には、イントラネット等を介して営業部署、設計部署のPC等の入力端末が接続されている。これらの入力端末から、営業情報記憶装置4又は設計情報記憶装置5にアクセスして、エネルギー管理に必要な管理データの登録や更新が可能となっている。また、中央管理装置2にも、イントラネット等を介して管理者用の入力端末が接続され、データの確認や各種処理の指示等が入力可能となっている。
【0018】
営業情報記憶装置4には、営業部署の担当者等によって入力された営業情報のデータが記憶されている。営業情報としては、例えば、建物Hを所有する顧客の家族構成、建築地域、担当者等が挙げられる。設計情報記憶装置5には、設計部署の設計者等によって入力された設計情報のデータが記憶されている。設計情報としては、例えば、建物の面積、断熱性、分電盤の分岐回路と、分岐回路の電力負荷の対応付け等の情報が挙げられる。
【0019】
総合情報記憶装置3には、エネルギー管理に必要な管理データの一部として、建物別管理装置1の初期設定又は設定変更に必要な基本データが記憶される。基本データとしては、例えば、最大取り込み回路数及び分岐回路番号、回路属性、回路の使用可否等が予め設定される。また、総合情報記憶装置3には、営業情報記憶装置4及び設計情報記憶装置5からそれぞれ転送される営業情報のデータ及び設計情報のデータが記憶される。これらの中から、エネルギー管理に必要な情報のデータが、上記基本データとともに管理データとして中央管理装置2によって引き出される。また、総合情報記憶装置3には、中央管理装置2によって各建物Hの建物別管理装置1から引き出された建物Hごとのエネルギーに関する情報のデータ、つまりエネルギーデータが記憶される。
【0020】
各建物Hに設置された建物別管理装置1は、CPU、RAMやROM等のメモリ、HDD等からなる記憶部1aを備えたパーソナルコンピュータ(PC)から構成することができる。
【0021】
また、各建物H(H1~HX)には、中継器R、モニタ6、計測器7等が設けられている。建物別管理装置1、中継器R、モニタ6及び計測器7は、無線又は有線LAN等の建物内通信網nを介して互いに接続されている。
【0022】
中継器Rは、ルータ等から構成される。建物別管理装置1は、この中継器Rを通じてインターネット等の外部通信網Nに接続することができる。モニタ6は、液晶パネル等から構成される。モニタ6は、エネルギー管理システム100専用に、新たに建物Hに設置することもできるが、建物Hのオーナーが所有するノート型PCやデスクトップ型PCのモニタ、タブレット端末やスマートフォン、その他の携帯端末のモニタを用いることができる。特に、タブレット端末やスマートフォン等の携帯端末のモニタを用いることで、建物Hのいずれの場所からも、手軽に情報を確認することができる。
【0023】
計測器7は、エネルギーデータ収集装置等から構成される。計測器7は、分電盤等を介して照明装置、エアコン、空調装置、太陽光発電装置、その他の装置に接続され、それぞれの装置からエネルギーデータを収集して、電気や水やガス等のエネルギーの消費量を計測可能となっている。
【0024】
計測器7での測定結果は、建物別管理装置1に送られる。建物別管理装置1は、計測器7で測定された当該建物H(H1~HX)のエネルギー消費量と、類似する建物の平均値等をモニタ6に表示させることで、エネルギー管理を行う。
【0025】
また、建物別管理装置1の記憶部1aには、建物Hを識別する建物識別コードデータとしての邸コード及び建物別管理装置1を識別する装置識別コードデータとしての装置識別番号が記憶されている。邸コードは、エネルギー管理システム100の導入の契約成立時に、業者によって付与される。装置識別番号は業者により予め付与される所定の番号等である。なお、装置識別番号は、製品番号やIPアドレス等であってもよい。
【0026】
建物別管理装置1は、邸コード又は装置識別番号をキーとして中央管理装置2にアクセスし、中央管理装置2からフォーマット化された管理データを取り込み、取り込んだ管理データに基づいて、モニタ6に表示する当該建物Hに関する各種データの初期設定又は設定変更を行う。
【0027】
また、建物別管理装置1は、初期設定又は設定変更後は、計測器7からのエネルギーデータを、記憶部1aに蓄積しておくことができる。この記憶部1aに蓄積されたエネルギーデータは、中継器R及び外部通信網Nを通じて中央管理装置2によって取り込まれる。
【0028】
また、建物別管理装置1には、キーボード、タッチパネル、テンキー、マウス等の入力装置を備える入力端末8が、建物内通信網nを介して接続可能となっている。この入力端末8から邸コード及び装置識別番号を入力し、建物別管理装置1の記憶部1aに記憶させることができる。また、中央管理装置2が、建物Hと当該建物Hに設置された建物別管理装置1とを紐付けて管理できるようにするため、建物別管理装置1は、入力端末8から入力された邸コード及び装置識別番号を、中央管理装置2に対して登録(仮登録)する。
【0029】
入力端末8としては、PC、タブレット端末、スマートフォン等から構成することができる。このような入力端末8として、例えば、営業部署の担当者等が携帯するノート型PCやタブレット端末等を用いることができる。担当者等は、建物Hの建物内通信網nに入力端末8を接続することで、建物別管理装置1にアクセスしたり、中継器R及び外部通信網Nを通じて中央管理装置2にアクセスしたりすることができる。よって、建物Hに少なくとも建物別管理装置1及び中継器Rが設置されており、営業部署の担当者等が入力端末8を持ち込めば、建物Hの建設中やオーナーの入居前でも、本実施の形態の設定方法を実行することができる。
【0030】
また、入力端末8として、建物Hのオーナーが所有するPCやタブレット端末等ボードを用いることもできる。この場合、入力端末8のモニタを、エネルギー管理システム100のモニタ6とすることができ、コストをかけずにより手軽にエネルギー管理システム100を構築することができる。
【0031】
中央管理装置2は、各建物別管理装置1から仮登録された邸コードと装置識別番号とを紐付けて記憶する。これにより、中央管理装置2は、装置識別番号又は邸コードによって建物別管理装置1が設置された建物Hを識別し、識別した建物Hに応じた管理データを総合情報記憶装置3から引き出して、建物別管理装置1が取り込み可能なようにフォーマット化する。
【0032】
また、中央管理装置2は、建物別管理装置1で収集したエネルギーデータを取り込み、装置識別番号又は邸コードに基づいて当該建物別管理装置1が設置されている建物Hを識別し、取り込んだエネルギーデータを総合情報記憶装置3の当該建物Hの記憶領域に記憶して管理する。
【0033】
上述のような構成の本実施の形態のエネルギー管理システム100を建物Hに導入する場合の、エネルギー管理システム100の設定方法の処理工程を、図2のフローチャートを参照しながら説明する。なお、本実施の形態の設定方法では、エネルギー管理システム100の管理事業者と、新築又は既築の建物Hの建築業者とが同じ業者である場合を示している。以下、単に「業者」という。
【0034】
本実施の形態の設定方法は、主に、業者側で実行される中央管理装置2への登録工程(初期設定又は設定変更を行う工程、ステップS1)と、建物H側で実行される建物別管理装置1への登録工程(初期設定又は設定変更を行う工程、ステップS2)と、中央管理装置2で実行される紐付け工程(ステップS3)と、を有してなる。ステップS1とステップS2とは、それぞれ別個に任意のタイミングで行われ、これらの工程が終了した後に、ステップS3が実行される。以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0035】
まず、ステップS1、S2に先だって、新築(又は既築)の建物Hに対して、エネルギー管理システム100を導入する契約が成立すると、この契約に基づいて、当該建物Hに対して、業者から邸コードが付与される(ステップS0)。
【0036】
次に、ステップS1について説明する。ステップS1では、業者の営業部署は、契約が成立した建物Hのオーナー家族の家族構成、建築地域、担当者等の営業情報を入手する。そして、営業部署の担当者が、プライベートネットワークに接続されたPC(入力端末)等から、この営業情報のデータを入力することで、同データが営業情報記憶装置4に記憶される(以上、ステップS11)。
【0037】
これと並行して、設計部署では、建物の面積、断熱性、分電盤の分岐回路と、分岐回路の電力負荷の対応付け等の設計情報の作成をする。設計部署の担当者が、この設計情報のデータを、プライベートネットワークに接続されたPC等から入力することで、同データが設計情報記憶装置5に記憶される(以上、ステップS12)。
【0038】
上記ステップS11で営業情報記憶装置4に記憶された営業情報のデータと、上記ステップS12で設計情報記憶装置5に記憶された設計情報のデータとは、登録後に自動で、又は担当者による指示入力により、総合情報記憶装置3に転送されて管理データとして記憶され、共有化される。すなわち、総合情報記憶装置3に記憶された管理データを含む各種データを、中央管理装置2が引き出し可能となる(以上、ステップS13)。
【0039】
続いて、管理者等が管理者用のPC等から邸コードを入力して、中央管理装置2にアクセスする。このアクセスを受けて、中央管理装置2は、総合情報記憶装置3から、入力された邸コードに対応する建物Hの管理データを引き出し、フォーマット化して建物別管理装置1が取り込み可能な状態とする(以上、ステップS14)。これにより、当該中央管理装置2の初期設定又は設定変更が完了する。
【0040】
フォーマット化とは、ここでは、総合情報記憶装置3に記憶されたデータの中から、エネルギー管理に必要なものを管理データとして引き出し、建物別管理装置1が取り込み易いように、例えばCSVファイルにフォーマット変換することをいうが、これに限定されるものではない。
【0041】
フォーマット化されるデータとしては、例えば、最大取り込み回路数及びその分岐回路番号、用途(IHヒーター、エアコン等)、測定方法、回路属性(例えば、電圧100V又は電圧200V、太陽光発電又は通常負荷、空調、給湯又は一般負荷)、回路の使用可否等が挙げられる。これらの項目のうち、最大取り込み回路数及び分岐回路番号、回路属性、回路の使用可否は、基本データとして予め決められて総合情報記憶装置3に記憶されている。最大取り込み回路数は、例えば、8回路、32回路、50回路等の中から建物Hに応じて決められる。
【0042】
図3に、フォーマット化されたデータのデータ構成の一例を示す。図3では、フォーマット化されたデータのうち、分岐回路番号と、その分岐回路に接続される回路名(電力負荷)と、用途とが表示されている。
【0043】
以上のようなデータは、一般的な建物Hにおいても、手入力だけによると、かなりの時間を必要とするほどのデータ量である。本実施の形態の設定方法では、これらのデータが業者側で営業情報記憶装置4及び設計情報記憶装置5に入力され、総合情報記憶装置3に転送されて共有化される。そして、この総合情報記憶装置3から中央管理装置2が管理データを引き出してフォーマット化し、建物別管理装置1で取り込み可能な状態としている。そのため、建物別管理装置1側で膨大なデータを手入力する必要がなく、建物別管理装置1での初期設定又は設定変更の作業の手間を省くことが可能となる。
【0044】
また、上記では、エネルギーとして、電気だけ示したが、水やガスについても、略同様に処理することができる。
【0045】
次に、ステップS2について説明する。上述したように、このステップS2は、上記ステップS1の完了を待たずに、任意のタイミングにて建物別管理装置1側で実行することができる。まず、当該建物Hの営業担当者等が、入力端末8から、邸コードとパスワードを入力し、外部通信網Nを通じて中央管理装置2にアクセスし、管理データの取り込みを要求する。この要求を受けて、中央管理装置2は、邸コードに基づいて建物別管理装置1が設置されている建物Hを識別し、アクセス時点での当該建物Hの管理データを総合情報記憶装置3から引き出してフォーマット化(CSVファイル)する。
【0046】
このときにフォーマット化される管理データは、建物別管理装置1が中央管理装置2にアクセスした時点で、中央管理装置2が総合情報記憶装置3から引き出し可能な管理データである。
【0047】
したがって、中央管理装置2でのステップS1の進行状態によって、フォーマット化される管理データの項目が異なる。例えば、ステップS14の共有化の実行前に建物別管理装置1から取り込み要求があった場合には、最大取り込み回路数、分岐回路番号、回路属性といった基本データが少なくとも引き出され、他の項目はブランクの状態でフォーマット化される。すなわち、エネルギー管理に必要な管理データの枠組みのみがフォーマット化される。
【0048】
これに対して、ステップS14の共有化後に建物別管理装置1から取り込み要求があった場合には、基本データだけでなく、測定方法、回路名、用途等の各項目が記憶された管理データがフォーマット化される。
【0049】
このようにフォーマット化された管理データが、中央管理装置2から建物別管理装置1に取り込まれる。建物別管理装置1が、取り込んだ管理データを記憶部1aに記憶することで、建物別管理装置1の初期設定が完了する(以上、ステップS21)。
【0050】
なお、回路の追加や用途変更等、データに変更があったときも、ステップS21の処理を実行することで、容易に設定変更を行うことができる。例えば、建物Hのリフォーム後など、大幅に変更があるときに適用すると、特に有効である。
【0051】
上記ステップS21の初期設定又は設定変更が完了したら、営業担当者は建物別管理装置1の装置識別番号を仕様書や契約書から入手し、入力端末8から入力して、建物別管理装置1の記憶部1aに記憶させる(ステップS22)。次いで、入力端末8から、外部通信網Nを通じて中央管理装置2にアクセスし、入手した装置識別番号と、建物Hの邸コードとを対応付けて送信し、これらの仮登録を行う(ステップS23)。
【0052】
仮登録が完了すると、建物別管理装置1は、計測器7で測定したエネルギーデータの収集を開始し、記憶部1aに蓄積する(ステップS24)。
【0053】
一方、中央管理装置2は、ステップS1の処理を完了し、建物別管理装置1から仮登録の申請を受け付けると、ステップS3の紐付け工程を実行する。このステップS3では、中央管理装置2は、まず、建物別管理装置1から受け取った装置識別番号と邸コードとを、紐付けて記憶する。これにより、建物別管理装置1からエネルギーデータを取り込んだときに、取り込み元の建物Hを、邸コード又は装置識別番号のいずれでも識別することができ、データ処理をより高速化することができる。
【0054】
続いて、中央管理装置2は、建物別管理装置1に既にエネルギーデータが蓄積されているときは、建物別管理装置1からエネルギーデータを引き出す。中央管理装置2は、装置識別番号又は邸コードに基づいて当該建物別管理装置1が設置されている建物Hを識別し、装置識別番号及び邸コードと紐付けしたエネルギーデータを、総合情報記憶装置3に記憶して管理する。
【0055】
このとき、建物別管理装置1に記憶されている管理データが基本データのみであるなど、不足がある場合、中央管理装置2で記憶している管理データを建物別管理装置1に転送することで、不足したデータを補完することができる。また、この補完によっても、建物Hの構築時に未定な項目があるなどして、管理データに不足がある場合がある。この場合、例えば、建物別管理装置1のモニタ6にエラーメッセージを表示することで、営業担当者に不足を認識させる。営業担当者は、入力端末8から建物別管理装置1に対して手入力によって不足データを入力して補完することができる。このように不足分があってもデータ量は少ないため、手間や時間をかけることなく、容易に手入力することができる。
【0056】
手入力で管理データを補完した場合は、中央管理装置2が、建物別管理装置1から補完されたデータを受け取り、総合情報記憶装置3に記憶させる。このため、運用開始の後は、エネルギー管理システム100を正常に機能させることができる。
【0057】
また、修理や交換等によって建物別管理装置1を入れ替えたときには、建物別管理装置1側でステップS2の処理を実行して設定変更を行うことで、入れ替え後の建物別管理装置1に、管理データを反映させることができる。その後は入れ替え後の建物別管理装置1でエネルギーデータを蓄積することができる。また、当該建物Hの邸コードに対応づけて、入れ替え後の建物別管理装置1の装置識別番号を中央管理装置2に仮登録することで、中央管理装置2では、邸コードに、入れ替え前の装置識別番号に加えて、入れ替え後の装置識別番号を紐付けて記憶する。そのため、入れ替え前後のそれぞれの建物別管理装置1で収集したエネルギーデータが当該建物Hのエネルギーデータとして管理される。したがって、建物別管理装置1の入れ替えがあっても、当該建物Hのエネルギー管理を滞りなく続行することができる。
【0058】
以上により、エネルギー管理システム100の設定方法における設定処理が完了し、エネルギー管理システム100の運用を開始することができる(ステップS4)。中央管理装置2での初期設定又は設定変更と、建物別管理装置1での初期設定又は設定変更を、それぞれの完了を待つことなく、任意のタイミングで行うことができるため、設定処理をより迅速に行うことができ、エネルギー管理システム100の運用を、より早期に開始することができる。
【0059】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態のエネルギー管理システム100は、建物Hのエネルギー管理に必要な管理データが記憶される記憶装置としての総合情報記憶装置3と、建物Hごとに設置されて当該建物Hのエネルギーデータを収集する建物別管理装置1と、総合情報記憶装置3から取り込んだ管理データ及び建物別管理装置1から取り込んだエネルギーデータに基づいて、建物Hのエネルギー管理を行う中央管理装置2と、を備えている。中央管理装置2と、建物別管理装置1とが、外部通信網Nを介して接続されている。中央管理装置2は、管理データを総合情報記憶装置3から引き出して、建物別管理装置1が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置2の初期設定又は設定変更を行うとともに、建物別管理装置1からのアクセスを受け付けると、当該建物別管理装置1が設置されている建物Hを、建物別管理装置1内に記憶された建物識別コードデータ(邸コード)に基づいて識別し、アクセス時点での当該建物Hの管理データを総合情報記憶装置3から引き出して、建物別管理装置1が取り込み可能な状態とするように構成されている。建物別管理装置1は、中央管理装置2から管理データを取り込んで、当該建物別管理装置1の初期設定又は設定変更を行うように構成されている。
【0060】
また、本実施の形態のエネルギー管理システムの設定方法は、上述のような構成のエネルギー管理システム100で実行されるものであり、中央管理装置2の初期設定又は設定変更を行う工程と、建物別管理装置1の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有し、両工程は、それぞれ個別に実行される。中央管理装置2の初期設定又は設定変更を行う工程は、総合情報記憶装置3に、管理データを記憶させる工程と、中央管理装置2が、総合情報記憶装置3から建物Hに対応する管理データを取り込んで、建物別管理装置1が取り込み可能な状態として、当該中央管理装置2の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有している。建物別管理装置1の初期設定又は設定変更を行う工程は、建物別管理装置1が、中央管理装置2にアクセスする工程と、中央管理装置2が、建物別管理装置1からのアクセスを受け付け、当該建物別管理装置1が設置されている建物Hを、建物別管理装置1内に記憶された建物識別コードデータ(邸コード)に基づいて識別し、アクセス時点での当該建物Hに対応する管理データを総合情報記憶装置3から引き出して、建物別管理装置1が取り込み可能な状態とする工程と、建物別管理装置1が、中央管理装置2から管理データを取り込んで、当該建物別管理装置1の初期設定又は設定変更を行う工程と、を有している。
【0061】
したがって、本実施の形態によれば、中央管理装置2での初期設定又は設定変更の完了を待たずに、建物別管理装置1での初期設定又は設定変更を行うことができる。一方、中央管理装置2は、アクセスしてきた建物別管理装置1が設置されている建物Hを、邸コードに基づいて識別して、その建物の管理データを確実かつ迅速に引き出し可能な状態とすることができる。そのため、初期設定又は設定変更の作業時間を、より短縮化することができるエネルギー管理システム100及びその設定方法を提供することができる。
【0062】
また、建物別管理装置1は、中央管理装置2にアクセスし、管理データの取り込みを要求するだけで、管理データを取り込むことができる。そのため、建物H側で、営業担当者等が管理データを手入力する時間や手間を省くことができる。特に、建物Hが備える分電盤が、近年普及しつつある情報分電盤のような分岐回路数が多い分電盤でも、作業時間を大幅に短縮化することができる。
【0063】
ここで、運用開始前に、建物別管理装置1がエネルギーデータを収集しているときは、中央管理装置2は当該エネルギーデータを取り込み、邸コードに基づいて識別した建物Hと紐付けて総合情報記憶装置3へ記憶し管理するように構成されている。この場合、設定方法は、建物別管理装置1が、初期設定又は設定変更を行った後に、エネルギーデータを収集しているときは、中央管理装置2が当該エネルギーデータを取り込み、邸コードに基づいて識別した建物Hと紐付けて総合情報記憶装置3へ記憶する工程を、さらに有している。
【0064】
したがって、建物別管理装置1は、エネルギー管理システム100の運用が開始される前に、エネルギーデータを収集することができる。また、収集したエネルギーデータは、中央管理装置2で取り込まれて、建物Hに紐付けられての総合情報記憶装置3へ記憶されて管理される。そのため、運用開始前と運用開始後のエネルギーデータに基づいて、より詳細なエネルギー管理が可能となる。
【0065】
また、本実施の形態では、建物別管理装置1は、邸コードと、当該建物別管理装置1を識別する装置識別コードデータ(装置識別番号)とを記憶し、装置識別番号と、邸コードとを対応付けて中央管理装置2に予め登録するように構成されている。中央管理装置2は、建物識別番号及び邸コードと紐付けて、建物別管理装置1から取り込んだエネルギーデータを総合情報記憶装置3へ記憶し管理するように構成されている。
【0066】
この場合、設定方法では、建物別管理装置1が、当該建物別管理装置1に記憶されている邸コードと、装置識別番号とを対応付けて中央管理装置2に予め登録する工程と、中央管理装置2が、建物別管理装置1から取り込むエネルギーデータを、邸コード及び装置識別番号と紐付けて管理できるように、邸コードと装置識別番号とを紐付けて記憶する工程と、をさらに有している。
【0067】
したがって、中央管理装置2は、邸コードと装置識別番号のいずれかに基づいて、エネルギーデータを取り込んだ建物Hを識別することができ、データ処理速度を速くすることができる。
【0068】
また、中央管理装置2は、建物別管理装置1から登録された邸コードに対応する装置識別番号が変更されたとき、建物別管理装置1が入れ替えられたと判断し、入れ替え前の建物別管理装置1で収集したエネルギーデータと、入れ替え後の建物別管理装置1で収集したエネルギーデータとを紐付けて管理するように構成されている。
【0069】
したがって、修理や交換等によって建物別管理装置1を入れ替えたときにも、入れ替え前の建物別管理装置1で収集したエネルギーデータと、入れ替え後の建物別管理装置1で収集したエネルギーデータとを、中央管理装置2で一元管理することができる。また、入れ替え後の建物別管理装置1に、入れ替え後の建物別管理装置1で収集したエネルギーデータを反映させることもできる。よって、建物別管理装置1の入れ替えがあっても、当該建物Hのエネルギー管理を円滑に続行することができる。
【0070】
また、総合情報記憶装置3には、管理データとして、分電盤の分岐回路の最大取り込み回路数と、分岐回路の使用の可否とが、少なくとも記憶されている構成とすることができる。これにより、建物別管理装置1が、いずれのタイミングで中央管理装置2に対して管理データの取り込みを要求しても、少なくとも分電盤の分岐回路の最大取り込み回路数と、分岐回路の使用の可否とからなる管理データを取り込ませることができ、建物別管理装置1での初期設定又は設定変更を、滞りなく実行させることができる。また、不足分の管理データについては、紐付けによって補完することができる。よって作業時間のより短縮化を図ることができる。さらに、運用開始前であっても、エネルギーデータの収集が可能となり、より多くのエネルギーデータを収集して、より詳細なエネルギー管理ができ、利便性にも優れたエネルギー管理システム100等を提供することができる。また、少なくとも、電力負荷ごとの消費電力を管理可能なエネルギー管理システム100等を提供することができる。
【0071】
以上、本発明のエネルギー管理システム及びエネルギー管理システムの設定方法を、実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0072】
例えば、上記した実施例では、主に建物Hを構築した建築業者と、エネルギー管理システムの管理事業者とが同じである場合について説明したが、これに限定されず、建物Hを構築した建築業者がエネルギー管理システムの管理事業者と異なる場合にも実施することができる。
【0073】
この場合も、総合情報記憶装置3が共有化されているので、管理事業者が、中央管理装置2から総合情報記憶装置3にアクセスして、エネルギー管理に必要な管理データを取り込むことができる。または、エネルギー管理システム100を導入する契約を行う際に、管理事業者の営業部署の者が建物Hのエネルギー管理に必要な管理データを予め入手しておき、総合情報記憶装置3に記憶させておいてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 建物別管理装置 2 中央管理装置 3 総合情報記憶装置
100 エネルギー管理システム H 建物 N 外部通信網
図1
図2
図3