(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】走行支援装置、プログラム、データ構造
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220112BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220112BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220112BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220112BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220112BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20220112BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220112BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
G08G1/16 E
G01C21/26 A
G09B29/00 A
G09B29/10 A
B60W40/04
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2018138986
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2019-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2017193139
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(72)【発明者】
【氏名】細川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】福田 寛
(72)【発明者】
【氏名】増岡 孝紀
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/013750(WO,A1)
【文献】特開2017-016279(JP,A)
【文献】特開2017-161427(JP,A)
【文献】特開2018-197964(JP,A)
【文献】特開2006-318127(JP,A)
【文献】特開2016-215733(JP,A)
【文献】特開2007-141053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
G01C 21/26
G09B 29/00
G09B 29/10
B60W 40/04
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行を支援する走行支援装置であって、
第1の道路を走行し、その後、前記第1の道路に接続する第2の道路に合流する車両が走行する第1の区間に対応する情報であって、前記第1の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第1の区間情報と、前記第1の区間に対して走行方向前方に繋がる前記第2の道路の一部を構成する第2の区間に対応する情報であって、前記第2の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第2の区間情報と、
前記第2の道路における交差点
の手前の停止線が存在しない位置であって
車両の停止すべき
第1の停止位置に対応する位置情報を含み、前記第1の区間情報と関連付けられた仮想情報と
、車両の進行方向に対して前記
第1の停止位置より後方の現実の停止線が存在する位置
であって、車両が前記第1の道路から前記第2の道路に合流する地点の手前の第2の停止位置に対応する位置情報を含む現実情報
と、前記交差点へ向かう車両の通行を規制する信号機に関する信号機情報
とを有し、
前記仮想情報と前記信号機情報とは関連付けられ、前記現実情報と前記信号機情報とは関連付けられている地図データ記憶部と、
前記第1の区間情報の前記走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報に基づいて
車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理と、前記第1の区間情報に関連付く前記仮想情報を特定する処理と、特定された前記仮想情報に含まれる前記
第1の停止位置に対応する位置情報に基づいて
車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理とを実行
する制御部と
を有し、
前記制御部は、
車両が前記第1の道路を走行しているときに、前記仮想情報及び前記現実情報に関連付けられた前記信号機情報に基づいて前記信号機の規制内容を取得
し、前記取得された前記信号機の規制内容が
前記第2の道路を走行する車両が
前記交差点の手前の位置において停止すべきである第1の規制内容であるとき、
前記第1の道路を走行している車両を前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させるとともに、前記仮想情報に基づいて前記第1の停止位置
の手前において停止するように誘導し、前記取得された前記信号機の規制内容が
前記第2の道路を走行する車両が
前記交差点を通行することが可能である第2の規制内容であるとき、
前記第1の道路を走行している車両
を前記現実情報に基づいて前記第2の停止位置の手前において停止するように誘導
し、その後、前記第2の道路を走行する車両の状況に基づき前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させ、前記第1の停止位置を通過し、前記交差点を通行するように誘導する走行支援装置。
【請求項2】
記憶部に記憶された地図データを、車両の走行を支援する走行支援機能を有する制御部に参照させる参照機能を実現させるプログラムであって、
前記地図データは、
第1の道路を走行し、その後、前記第1の道路に接続する第2の道路に合流する車両が走行する第1の区間に対応する情報であって、前記第1の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第1の区間情報と、前記第1の区間に対して走行方向前方に繋がる前記第2の道路の一部を構成する第2の区間に対応する情報であって、前記第2の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第2の区間情報と、
前記第2の道路における交差点
の手前の停止線が存在しない位置であって
車両の停止すべき
第1の停止位置に対応する位置情報を含み、前記第1の区間情報と関連付けられた仮想情報と
、車両の進行方向に対して前記第1の停止位置より後方の現実の停止線が存在する位置であって、車両が前記第1の道路から前記第2の道路に合流する地点の手前の第2の停止位置に対応する位置情報を含む現実情報と、前記交差点へ向かう車両の通行を規制する信号機に関する信号機情報とを有し、前記仮想情報と前記信号機情報とは関連付けられ、前記現実情報と前記信号機情報とは関連付けられており、
前記参照機能は、前記制御部に前記第1の区間情報、前記第2の区間情報
、前記仮想情報
、前記現実情報及び前記信号機情報を参照させる機能を含み、
前記走行支援機能は、前記第1の区間情報の前記走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報に基づいて
車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理と、前記第1の区間情報に関連付く前記仮想情報を特定する処理と、特定された前記仮想情報に含まれる前記第1の停止位置に対応する位置情報に基づいて
車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理とを実行する機能を含
み、車両が前記第1の道路を走行しているときに、前記仮想情報及び前記現実情報に関連付けられた前記信号機情報に基づいて前記信号機の規制内容を取得し、前記取得された前記信号機の規制内容が前記第2の道路を走行する車両が前記交差点の手前の位置において停止すべきである第1の規制内容であるとき、前記第1の道路を走行している車両を前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させるとともに、前記仮想情報に基づいて前記第1の停止位置の手前において停止するように誘導し、前記取得された前記信号機の規制内容が前記第2の道路を走行する車両が前記交差点を通行することが可能である第2の規制内容であるとき、前記第1の道路を走行している車両を前記現実情報に基づいて前記第2の停止位置の手前において停止するように誘導し、その後、前記第2の道路を走行する車両の状況に基づき前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させ、前記第1の停止位置を通過し、前記交差点を通行するように誘導する処理
を実行する機能を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の走行の支援を行うことが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車両の位置を精度よく推定し、車両の走行を支援する装置が普及している。
これに関連して、誘導車線への車両の車線移動を完了する必要のある車線移動終了地点を特定し、誘導車線及び車線移動終了地点に基づいて、誘導車線へと車両を誘導する誘導案内を行う案内領域を車両が走行する道路に含まれる車線に対して設定し誘導案内する技術が提案されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、移動体を適切に誘導制御することを可能とする走行支援装置及び当該走行支
援装置に用いられる地図データのデータ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施態様として、車両の走行を支援する走行支援装置を提供する。この走行 支援装置は、第1の道路を走行し、その後、前記第1の道路に接続する第2の道路に合流する車両が走行する第1の区間に対応する情報であって、前記第1の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第1の区間情報と、前記第1の区間に対して走行方向前方に繋がる前記第2の道路の一部を構成する第2の区間に対応する情報であって、前記第2の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第2の区間情報と、前記第2の道路における交差点の手前の停止線が存在しない位置であって車両の停止すべき第1の停止位置に対応する位置情報を含み、前記第1の区間情報と関連付けられた仮想情報と、車両の進行方向に対して前記第1の停止位置より後方の現実の停止線が存在する位置であって、車両が前記第1の道路から前記第2の道路に合流する地点の手前の第2の停止位置に対応する位置情報を含む現実情報と、前記交差点へ向かう車両の通行を規制する信号機に関する信号機情報とを有し、前記仮想情報と前記信号機情報とは関連付けられ、前記現実情報と前記信号機情報とは関連付けられている地図データ記憶部と、前記第1の区間情報の前記走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報に基づいて車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理と、前記第1の区間情報に関連付く前記仮想情報を特定する処理と、特定された前記仮想情報に含まれる前記第1の停止位置に対応する位置情報に基づいて車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理とを実行する制御部とを有し、前記制御部は、車両が前記第1の道路を走行しているときに、前記仮想情報及び前記現実情報に関連付けられた前記信号機情報に基づいて前記信号機の規制内容を取得し、前記取得された前記信号機の規制内容が前記第2の道路を走行する車両が前記交差点の手前の位置において停止すべきである第1の規制内容であるとき、前記第1の道路を走行している車両を前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させるとともに、前記仮想情報に基づいて前記第1の停止位置の手前において停止するように誘導し、前記取得された前記信号機の規制内容が前記第2の道路を走行する車両が前記交差点を通行することが可能である第2の規制内容であるとき、前記第1の道路を走行している車両を前記現実情報に基づいて前記第2の停止位置の手前において停止するように誘導し、その後、前記第2の道路を走行する車両の状況に基づき前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させ、前記第1の停止位置を通過し、前記交差点を通行するように誘導する。
【0007】
本発明の他の実施態様として、記憶部に記憶された地図データを、車両の走行を支援する走行支援機能を有する制御部に参照させる参照機能を実現させるプログラムであって、前記地図データは、第1の道路を走行し、その後、前記第1の道路に接続する第2の道路に合流する車両が走行する第1の区間に対応する情報であって、前記第1の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第1の区間情報と、前記第1の区間に対して走行方向前方に繋がる前記第2の道路の一部を構成する第2の区間に対応する情報であって、前記第2の区間の走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報を含む第2の区間情報と、前記第2の道路における交差点の手前の停止線が存在しない位置であって車両の停止すべき第1の停止位置に対応する位置情報を含み、前記第1の区間情報と関連付けられた仮想情報と、車両の進行方向に対して前記第1の停止位置より後方の現実の停止線が存在する位置であって、車両が前記第1の道路から前記第2の道路に合流する地点の手前の第2の停止位置に対応する位置情報を含む現実情報と、前記交差点へ向かう車両の通行を規制する信号機に関する信号機情報とを有し、前記仮想情報と前記信号機情報とは関連付けられ、前記現実情報と前記信号機情報とは関連付けられており、前記参照機能は、前記制御部に前記第1の区間情報、前記第2の区間情報、前記仮想情報、前記現実情報及び前記信号機情報を参照させる機能を含み、前記走行支援機能は、前記第1の区間情報の前記走行方向に沿った複数の位置に対応する位置情報に基づいて車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理と、前記第1の区間情報に関連付く前記仮想情報を特定する処理と、特定された前記仮想情報に含まれる前記第1の停止位置に対応する位置情報に基づいて車両を誘導制御するための誘導情報を生成する処理とを実行する機能を含み、車両が前記第1の道路を走行しているときに、前記仮想情報及び前記現実情報に関連付けられた前記信号機情報に基づいて前記信号機の規制内容を取得し、前記取得された前記信号機の規制内容が前記第2の道路を走行する車両が前記交差点の手前の位置において停止すべきである第1の規制内容であるとき、前記第1の道路を走行している車両を前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させるとともに、前記仮想情報に基づいて前記第1の停止位置の手前において停止するように誘導し、前記取得された前記信号機の規制内容が前記第2の道路を走行する車両が前記交差点を通行することが可能である第2の規制内容であるとき、前記第1の道路を走行している車両を前記現実情報に基づいて前記第2の停止位置の手前において停止するように誘導し、その後、前記第2の道路を走行する車両の状況に基づき前記第1の道路から前記第2の道路まで走行させ、前記第1の停止位置を通過し、前記交差点を通行するように誘導する処理を実行する機能を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1の走行支援装置の構成を説明するための図。
【
図2】実施形態1の地図データの概念を説明するための図。
【
図3】実施形態1の地図データの詳細を説明するための図。
【
図4】実施形態1の地図データの詳細を説明するための図。
【
図5】実施形態1及び実施形態2及び実施形態4の走行支援処理の動作フローを説明するための図。
【
図6】実施形態2の地図データの概念を説明するための図。
【
図7】実施形態2の地図データの詳細を説明するための図。
【
図8】実施形態2の地図データの詳細を説明するための図。
【
図9】実施形態3の地図データの概念を説明するための図。
【
図10】実施形態3の地図データの詳細を説明するための図。
【
図11】実施形態3の走行支援処理の動作フローを説明するための図。
【
図12】実施形態4の地図データの概念を説明するための図。
【
図13】実施形態4の地図データの詳細を説明するための図。
【
図14】実施形態4の地図データの詳細を説明するための図。
【
図15】実施形態5の地図データの概念を説明するための図。
【
図16】実施形態5の走行支援処理の動作フローを説明するための図。
【
図17】実施形態5の地図データの概念を説明するための図。
【
図18】実施形態5の地図データの概念を説明するための図。
【
図19】実施形態5の地図データの変形例を説明するための図。
【
図20】実施形態5の地図データの変形例を説明するための図。
【
図21】実施形態5の地図データの変形例を説明するための図。
【
図22】実施形態5の地図データの変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
図1は、走行支援装置の一例である実施形態1における走行支援システム1である。走行支援システム1は、移動体である車両に搭載され、情報制御部3、記憶部4、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7、周辺情報取得部8及び車両制御部9を有する。
情報制御部3は、地図データ取得部10、経路探索部11、位置特定部12、経路特定部13及び誘導部14等の所定の機能を実現する機能部を含み、図示していないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。情報制御部のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。また、地図データ取得部10、経路探索部11、位置特定部12、経路特定部13及び誘導部14等の機能部はプログラムによって実現される機能である。
【0014】
記憶部4は、ハードディスクやSD-RAM等の大容量記憶媒体で構成されている。記憶部4には、経路探索処理、車両の位置特定、車両誘導制御等に用いられる地図データ20が記憶されている。地図データ20は、道路ネットワークデータ30、車線ネットワークデータ31、地物データ32及び属性データ33を有している。
【0015】
道路ネットワークデータ30は、道路の交差点や分岐地点を含む複数の地点情報及び道路の所定区間に関する情報を含む複数の道路区間情報を有し、その複数の地点情報及びその複数の道路区間情報により道路の繋がりを表す情報である。車線ネットワークデータ31は、その車線区間情報を識別するための識別情報、その車線区間情報に対応する車線の中央線の座標点列を表す座標情報、その車線区間情報に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報である退出側識別情報、その車線区間に対応する区間の進入側の区間に対応する進入側識別情報等が含まれている。地物データ32は、道路の停止線を表す停止線情報や道路の信号機を表す信号機情報等を含むものである。属性データ33は、道路ネットワークデータ30の道路区間情報と車線ネットワークデータ31の車線区間情報、車線ネットワークデータ31の車線区間情報と地物データ32の停止線情報、地物データ32の停止線情報と信号機情報を各々関連付けるための関連情報を含むものである。なお、停止線情報、信号機情報、関連情報の詳細は後述する。
【0016】
入力部5は、利用者から経路設定や車両誘導のための指示入力を受付ける。位置取得部6は、GPS(Global Positioning System)を構成する人工衛星から受信した電波や、車両に備えられたジャイロからの信号に基づいて、緯度及び経度を含む車両の位置に関する位置情報を取得する。車速情報取得部7は、車速センサから取得したパルス信号に基づいて、車両の速度に関する情報を取得する。周辺情報取得部8は、車両2に搭載されたカメラやセンサにより構成されており、車両周辺の信号機、標識及び道路の標示ペイント(例えば、区画線)、他の車両等の被写体の画像情報である車両の周辺情報を取得する。また、周辺情報取得部8は、車両2の近傍に存在する信号機との路車間通信によって信号機の表示色を取得することができる。また、周辺情報取得部8は、車両2の近傍に存在する他車両との車々間通信によって他車両の現在位置情報を取得することができる。交通情報に含まれる渋滞情報から他車両の存在情報を受信するものとしても良い。
【0017】
地図データ取得部10は、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を抽出する。経路探索部11は、記憶部4に記憶されている道路ネットワークデータ30を用いて経路探索処理を実行する。具体的には、経路探索部11は、道路ネットワークデータ30に含まれる道路区間情報と地点情報とを用いて出発地から目的地に至る経路探索処理を実行する。そして、経路探索処理により出発地から目的地に至るまでの道順(出発地から目的地までを接続する複数の地点情報と複数の道路区間情報)を示す経路情報が作成される。なお、経路探索の手法としては、ダイクストラ法など周知の方法を採用し、道路区間情報に含まれるコスト情報を用いて出発地から目的地までの最短経路を探索する。
位置特定部12は、位置取得部6により取得された位置情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定したり、位置取得部6により取得された位置情報に加え、地物データ33及び周辺情報取得部8により取得された周辺情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定する。
【0018】
経路特定部13は、経路探索部11で作成された道路ネットワークデータ30の経路情報を用いて、関連情報により車線ネットワークデータ31に経路を特定する処理を行う。なお、以下で説明する実施形態1乃至4は、経路特定部13により車線ネットワークデータ31に特定された経路を走行する例である。
誘導部14は、車両制御部9が道路の所定の車線に沿って移動するように車両を制御するための誘導情報を生成し、周辺情報取得部8や車両制御部9に出力する。車両制御部9は、誘導情報に基づき道路の所定の車線に沿って移動するように車両を制御(操舵、加速・減速、停止等)する。
【0019】
なお、走行支援システム1は、情報制御部3及び記憶部4が車両2内に搭載されずサーバ内に搭載され、サーバ内の情報制御部3が、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7及び周辺情報取得部8の情報を通信情報として受信すると共に、誘導情報を車両制御部9に通信情報として出力する構成であってもよい。また、走行支援システム1は、記憶部20が、車両2内に搭載されずサーバ内に搭載され、車両内の情報制御部3が、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を通信情報によって取得及び受信する構成であってもよい。
【0020】
図2は、実施形態1の地図データの概念を説明するための図である。
50は実際の一般道路の交差点周辺をあらわす図である。本線道52と側道53とはAまでの区間で並走しており、AからBの区間において合流し交差点を形成している。TS1は交差点に設置された信号機をあらわしている。
51は地図データ20の概念図である。LL1~LL5は車線区間情報、SL1~SL4は停止線情報、TL1は信号機情報をあらわすものである。地図データ20のAまでの区間は実際の道路のAまでの区間、地図データ20のAからBの区間は実際の道路のAからBの区間に対応している。
【0021】
車線区間情報の各々は関連情報によって停止線情報や信号機情報に関連付けられている。車線区間情報LL1は関連情報R1によって停止線情報SL1と、関連情報R2によって停止線情報SL3と、関連情報R5によって信号機情報TL1と各々関連付けられている。車線区間情報LL2は関連情報R3によって停止線情報SL2と関連付けられている。車線区間情報LL3は関連情報R4によって停止線情報SL4と関連付けられている。停止線情報SL1は関連情報R6によって信号機情報TL1に関連付けられている。停止線情報SL2は関連情報R7によって信号機情報TL1に関連付けられている。停止線情報SL3は関連情報R8によって信号機情報TL1に関連付けられている。停止線情報SL4は関連情報R9によって信号機情報TL1に関連付けられている。
【0022】
図3は、実施形態1の地図データ20の詳細を説明するための図である。
図3(a)は、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL1~LL5の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL1~LL5の各々は、その車線区間情報LL1~LL5を識別するための識別情報と、その車線区間情報LL1~LL5に対応する車線の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その車線区間情報LL1~LL5に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす退出側識別情報と、その車線区間情報LL1~LL5に対応する区間の進入側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす進入側識別情報等が含まれている。この退出側識別情報と進入側識別情報とにより、車線区間情報に対応する区間の車線の前後のつながりをあらわしている。
【0023】
図3(b)は、地物データ32に含まれる停止線情報SL1~SL4及び信号機情報TL1の詳細を説明するための図である。停止線情報SL1~SL4の各々は、その停止線情報SL1~SL4を識別するための識別情報と、その停止線情報SL1~SL4に対応する地点の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その停止線情報SL1~SL4の色彩及び形態をあらわす種別情報と、その停止線情報SL1~SL4が停止線の存在しない位置に車両の停止位置を規定する仮想的な停止線か否かをあらわす仮想フラグ等の情報を含んでいる。仮想フラグがありの場合は仮想的な停止線であることをあらわしており、仮想フラグがなしの場合は車両の停止位置を規定する現実の停止線であることをあらわしている。仮想フラグがありの場合は、実際の道路において停止線が存在しない位置に車両の停止位置を規定する仮想的な停止線をあらわした仮想停止線情報の一例である。仮想フラグがなしの場合は、車両の停止位置を規定する現実の停止線をあらわした現実の停止線情報の一例である。
信号機情報TL1は、その信号機情報TL1を識別するための識別情報と、その信号機情報TL1の実際の筐体の下辺位置の座標点列をあらわす座標情報と、その信号機情報TL1の実際の設置形態が縦型か横型であるかをあらわす形状情報と、その信号機情報TL1の実際の道路の地表面からの高さをあらわす地表高さ情報(メートル単位)等の情報を含んでいる。この信号機情報TL1は、所定区間に存在する車両の通行を規制する信号機に関する信号機情報の一例である。なお、信号機情報TL1の地表高さ情報はセンチメートルやミリメートル単位としても良い。
【0024】
図4は、属性データ33の関連情報R1~R9の詳細を説明するための図である。関連情報R1~R9の各々は、その関連情報R1~R9を識別するための識別情報を含んでいる。
関連情報R1は車線区間情報LL1と停止線情報SL1とが関連していることをあらわすために車線区間情報LL1と停止線情報SL1の識別情報を含んでいる。この関連情報R1は、区間情報及び現実の停止線情報が関連付けられた一例である。関連情報R2は車線区間情報LL1と停止線情報SL3とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL1と停止線情報SL3の識別情報を含んでいる。この関連情報R2は、区間情報及び仮想停止線情報が関連付けられた一例である。関連情報R3は車線区間情報LL2と停止線情報SL2とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL2と停止線情報SL2の識別情報を含んでいる。関連情報R4は車線区間情報LL3と停止線情報SL4とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL3と停止線情報SL4の識別情報を含んでいる。関連情報R5は車線区間情報LL1と信号機情報TL1とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL1と信号機情報TL1の識別情報を含んでいる。この関連情報R5は、区間情報に信号機情報が関連付けられた一例である。関連情報R6は信号機情報TL1と停止線情報SL1とが関連していることをあらわすため信号機情報TL1と停止線情報SL1の識別情報を含んでいる。関連情報R7は信号機情報TL1と停止線情報SL2とが関連していることをあらわすため信号機情報TL1と停止線情報SL2の識別情報を含んでいる。関連情報R8は信号機情報TL1と停止線情報SL3とが関連していることをあらわすため信号機情報TL1と停止線情報SL3の識別情報を含んでいる。関連情報R9は信号機情報TL1と停止線情報SL4とが関連していることをあらわすため信号機情報TL1と停止線情報SL4の識別情報を含んでいる。
関連情報R6及び関連情報R8は、信号機情報が仮想停止線情報及び現実の停止線情報を介して区間情報と関連付けられている一例である。
【0025】
図5は、実施形態1の走行支援処理の動作フローを説明するための図である。
情報制御部3は、車両の現在地を特定する位置特定処理と、地物情報特定処理と、信号機規制特定処理と、誘導情報生成処理を行う。以下で具体的に、位置特定処理と、地物情報特定処理と、信号機規制特定処理と、誘導情報生成処理について説明する。
【0026】
情報制御部3(位置特定部12)は、位置特定処理として以下の処理を行う。
位置取得部6によって取得した現在地情報から車両2の現在地の座標を算出する。周辺情報取得部8が取得した実際の道路の区画線等の車両2の周辺画像情報と記憶部4に記憶された区画線情報等(図示していない)とを照合することにより車両2の現在地の座標を算出するようにする構成であってもよい(ステップS10)。
【0027】
情報制御部3は、地物情報特定処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で特定された車両2の現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL1を特定し、車線区間情報LL1に関連付けられた停止線情報の識別情報を含む関連情報R1及び関連情報R2を用いて、車線区間情報LL1に関連付けられた停止線情報SL1と停止線情報SL3を特定する。そして、停止線情報SL1及び停止線情報SL3に関連付けられた信号機情報の識別情報を含む関連情報R6及び関連情報R8を用いて、停止線情報SL1及び停止線情報SL3に関連付けられた信号機情報TL1を特定する(ステップS20)。なお、上記の処理に代えて、車線区間情報LL1に関連付けられた信号機情報の識別情報を含む関連情報R5を用いて、車線区間情報LL1に関連付けられた信号機情報TL1を特定してもよい。
【0028】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、信号機規制特定処理として以下の処理を行う。
地物データ32の信号機情報TL1に含まれる地表高さ5.5m及び/または形状横型に基づいて、車両2の進行方向前方に向けて信号機TS1の画像情報を取得する。そして、取得された信号機TS1の画像情報に基づいて規制内容を特定する。この特定は、信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と記憶部4に記憶されている図示していないパターンデータ(青色、黄色、赤色)とを比較して行う。すなわち、信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と青色のパターンデータとが一致すると、信号機TS1は青信号であると特定する。信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と黄色のパターンデータとが一致すると、信号機TS1は黄信号であると特定する。信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と赤色とが一致すると、信号機TS1は赤信号であると特定する(ステップS30)。
【0029】
情報制御部3(地図データ取得部10、誘導部14)は、誘導情報生成処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報L
L1を特定し、現在地の座標情報とその車線区間情報LL1に含まれる座標点列の情報と
を比較し、車両2が車線区間情報LL1の座標点列に沿って移動するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
信号機TS1が青信号であると特定すると(ステップS30でTS1が青信号)、車線区間情報LL1に関連付けられた停止線情報SL1及び停止線情報SL3のうち仮想フラグがなしである停止線情報SL1を抽出する。停止線情報SL1及び信号機情報TL1に基づいて、車両2を停止線情報SL1に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。そして、周辺情報取得部8により得られる画像情報により車線区間情報LL4に対応する区間を走行する他の車両が通行したこと(車線区間情報LL4に対応する区間を走行する車両が存在しないこと)を認識した後に、車両2を車線区間情報LL4に対応する区間に誘導させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。この誘導情報では、車両2を停止線情報SL3に対応する地点で停止させない。
信号機TS1が黄信号であると特定すると(ステップS30でTS1が黄信号)、車線区間情報LL1に関連付けられた停止線情報SL1及び停止線情報SL3のうち仮想フラグがなしである停止線情報SL1を抽出する。停止線情報SL1及び信号機情報TL1に基づいて、車両2を停止線情報SL1に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。上記の信号機TS1が青信号であると特定した場合及び信号機TS1が黄信号であると特定した場合の処理は、制御部が第2の規制内容並びに区間情報に関連付けられた現実の停止線及び信号機情報に基づいて、所定区間に存在する車両を現実の停止線まで誘導させて停止させる処理の一例である。
信号機TS1が赤信号であると特定すると(ステップS30でTS1が赤信号)、車両2が合流先となる車線区間情報LL2に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように誘導情報を生成し、周辺情報取得部8及び車両制御部9に出力する。この誘導情報の一例として、車線区間情報LL1に関連付けられた停止線情報SL1及び停止線情報SL3のうち仮想フラグがありである停止線情報SL3を抽出し、停止線情報SL3及び信号機情報TL1に基づいて、車両制御部9が合流先の車線において他の車両が接近しないタイミングで車両2を停止線情報SL3に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報、車両制御部9が合流先の車線に合流するために車両2の走行速度を加速制御するための情報、周辺情報取得部8が車両2の合流先の車線の画像情報を取得するための情報等がある。この処理が、信号機の所定の規制内容並びに区間情報に関連付けられた仮想停止線情報及び信号機情報に基づいて、所定区間に存在する車両を仮想的な停止線まで誘導させて停止させる一例である。また、制御部が、信号機の第1の規制内容並びに区間情報に関連付けられた仮想停止線情報及び信号機情報に基づいて、所定区間に存在する車両を仮想的な停止線まで誘導させて停止させる一例でもある。(ステップS40)。
【0030】
上記では車両2が車線区間情報LL1に対応する区間を走行する際の走行支援処理について説明した。以下では、車両2が車線区間情報LL2に対応する区間を走行する際の走行支援処理について説明する。
【0031】
情報制御部3(位置特定部12)は、位置特定処理として以下の処理を行う。
位置取得部6によって取得した現在地情報から車両2の現在地の座標を算出する。周辺情報取得部8が取得した実際の道路の区画線等の車両2の周辺画像情報と記憶部4に記憶された区画線情報等(図示していない)とを照合することにより車両2の現在地の座標を算出するようにする構成であってもよい(ステップS10)。
【0032】
情報制御部3は、地物情報特定処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で特定された車両2の現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL2を特定し、車線区間情報LL2に関連付けられた停止線情報の識別情報を含む関連情報R3を用いて、車線区間情報LL2に関連付けられた停止線情報SL2を特定する。そして、停止線情報SL2に関連付けられた信号機情報の識別情報を含む関連情報R7を用いて、停止線情報SL2に関連付けられた信号機情報TL1を特定する(ステップS20)。
【0033】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、信号機規制特定処理として以下の処理を行う。
地物データ32の信号機情報TL1に含まれる地表高さ5.5m及び/または形状横型に基づいて、車両2の進行方向前方に向けて信号機TS1の画像情報を取得する。そして、取得された信号機TS1の画像情報に基づいて規制内容を特定する。この特定は、信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と記憶部4に記憶されている図示していないパターンデータ(青色、黄色、赤色)とを比較して行う。すなわち、信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と青色のパターンデータとが一致すると、信号機TS1は青信号であると特定する。信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と黄色のパターンデータとが一致すると、信号機TS1は黄信号であると特定する。信号機TS1の画像情報に含まれる信号灯色と赤色とが一致すると、信号機TS1は赤信号であると特定する(ステップS30)。
【0034】
情報制御部3(地図データ取得部10、誘導部14)は、誘導情報生成処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報L
L2を特定し、現在地の座標情報とその車線区間情報LL2に含まれる座標点列の情報と
を比較し、車両2が車線区間情報LL2の座標点列に沿って移動するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
信号機TS1が青信号であると特定すると(ステップS30でTS1が青信号)、車線区間情報LL2の退出側識別情報である車線区間情報LL4を抽出する。そして、車両制御部9が車線区間情報LL2の退出側識別情報であるLL4の座標点列に沿って車両2を移動するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
信号機TS1が黄信号であると特定すると(ステップS30でTS1が黄信号)、車線区間情報LL2に関連付けられた停止線情報SL2が仮想フラグなしであることを特定する。停止線情報SL2及び信号機情報TL1に基づいて、車両2を停止線情報SL2に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
信号機TS1が赤信号であると特定すると(ステップS30でTS1が赤信号)、車線区間情報LL2に関連付けられた停止線情報SL2が仮想フラグなしであることを特定する。
停止線情報SL2及び信号機情報TL1に基づいて、車両2を停止線情報SL2に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する(ステップS40)。
【0035】
<実施形態2>
実施形態2の走行支援装置のシステム構成は、実施形態1と同じである。
図6は、実施形態2の地図データの概念を説明するための図である。
60は実際の一般道路の交差点周辺をあらわす図である。道路62~道路64はAからBの区間において合流し交差点を形成している。TS11は交差点に設置された信号機をあらわしている。
61は地図データ20の概念図である。LL11~LL20は車線区間情報、SL11~SL12は停止線情報、TL11は信号機情報をあらわすものである。地図データ20のAまでの区間は実際の道路のAまでの区間、地図データ20のAからBの区間は実際の道路のAからBの区間に対応している。
【0036】
車線区間情報LL11は関連情報R11によって停止線情報SL12と、関連情報R12によって停止線情報SL11と、関連情報R17によって信号機情報TL11と各々関連付けられている。車線区間情報LL12は関連情報R13によって停止線情報SL12と、関連情報14によって停止線情報SL11と、関連情報R18によって信号機情報TL11と各々関連付けられている。停止線情報SL11は関連情報R15によって信号機情報TL11と関連付けられている。停止線情報SL12は関連情報R16によって信号機情報TL11と関連付けられている。
【0037】
図7は、実施形態2の地図データ20の詳細を説明するための図である。
図7(a)は、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL11~LL20の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL11~LL20の各々は、その車線区間情報LL11~LL20を識別するための識別情報と、その車線区間情報LL11~LL20に対応する車線の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その車線区間情報LL11~LL20に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす退出側識別情報と、その車線区間情報LL11~LL20に対応する区間の進入側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす進入側識別情報等が含まれている。この退出側識別情報と進入側識別情報とにより、車線区間情報に対応する区間の車線の前後のつながりをあらわしている。
【0038】
図7(b)は、地物データ32に含まれる停止線情報SL11~SL12、信号機情報TL11の詳細を説明するための図である。停止線情報SL11~SL12の各々は、その停止線情報SL11~SL12を識別するための識別情報と、その停止線情報SL11~SL12に対応する地点の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その停止線情報SL11~SL12の色彩及び形態をあらわす種別情報と、その停止線情報SL11~SL12が実際の道路において停止線が存在しない位置に車両の停止位置を規定する仮想的な停止線か否かをあらわす仮想フラグ等の情報を含んでいる。なお、仮想フラグがありの場合は仮想的な停止線であることをあらわしており、仮想フラグがなしの場合は車両の停止位置を規定する現実の停止線であることをあらわしている。
信号機情報TL11は、その信号機情報TL11を識別するための識別情報と、その信号機情報TL11の実際の筐体の下辺位置の座標点列をあらわす座標情報と、その信号機情報TL11の実際の設置形態が縦型か横型であるかをあらわす形状情報と、その信号機情報TL11の実際の道路の地表面からの高さをあらわす地表高さ情報(メートル単位)等の情報を含んでいる。なお、信号機情報TL11の地表高さ情報はセンチメートルやミリメートル単位としても良い。
【0039】
図8は、属性データ33の関連情報R11~R18の詳細を説明するための図である。関連情報R11~R18の各々は、その関連情報R11~R18を識別するための識別情報を含んでいる。
関連情報R11は車線区間情報LL11と停止線情報SL12とが関連していることをあらわすために車線区間情報LL11と停止線情報SL12の識別情報を含んでいる。関連情報R12は車線区間情報LL11と停止線情報SL11とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL11と停止線情報SL11の識別情報を含んでいる。関連情報R13は車線区間情報LL12と停止線情報SL12とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL12と停止線情報SL12の識別情報を含んでいる。関連情報R14は車線区間情報LL12と停止線情報SL11とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL12と停止線情報SL11の識別情報を含んでいる。関連情報R15は停止線情報SL11と信号機情報TL11とが関連していることをあらわすため停止線情報SL11と信号機情報TL11の識別情報を含んでいる。関連情報R16は停止線情報SL12と信号機情報TL11とが関連していることをあらわすため停止線情報SL12と信号機情報TL11の識別情報を含んでいる。関連情報R17は車線区間情報LL11と信号機情報TL11とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL11と信号機情報TL11の識別情報を含んでいる。関連情報R18は車線区間情報LL12と信号機情報TL11とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL12と信号機情報TL11の識別情報を含んでいる。
【0040】
図5を用いて、実施形態2の走行支援処理の動作フローを説明する。
情報制御部3は、車両の現在地を特定する位置特定処理と、地物情報特定処理と、信号機規制特定処理と、誘導情報生成処理を行う。以下で具体的に、位置特定処理と、地物情報特定処理と、信号機規制特定処理と、誘導情報生成処理について説明する。
【0041】
情報制御部3(位置特定部12)は、位置特定処理として以下の処理を行う。
位置取得部6によって取得した現在地情報から車両2の現在地の座標を算出する。周辺情報取得部8が取得した実際の道路の区画線等の車両2の周辺画像情報と記憶部4に記憶された区画線情報等(図示していない)とを照合することにより車両2の現在地の座標を算出するようにする構成であってもよい(ステップS10)。
【0042】
情報制御部3は、地物情報特定処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で特定された車両2の現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL11を特定し、車線区間情報LL11に関連付けられた停止線情報の識別情報を含む関連情報R11及び関連情報R12を用いて、車線区間情報LL11に関連付けられた停止線情報SL11と停止線情報SL12を特定する。そして、停止線情報SL11及び停止線情報SL12に関連付けられた信号機情報の識別情報を含む関連情報R15及び関連情報R16を用いて、停止線情報SL11及び停止線情報SL12に関連付けられた信号機情報TL11を特定する(ステップS20)。なお、上記の処理に代えて、車線区間情報LL11に関連付けられた信号機情報の識別情報を含む関連情報R17を用いて、車線区間情報LL11に関連付けられた信号機情報TL11を特定してもよい。
【0043】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、信号機規制特定処理として以下の処理を行う。
地物データ32の信号機情報TL11に含まれる地表高さ5.5m及び/または形状横型に基づいて、車両2の進行方向前方に向けて信号機TS11の画像情報を取得する。そして、取得された信号機TS11の画像情報に基づいて規制内容を特定する。この特定は、信号貴TS11の画像情報に含まれる信号灯色と記憶部4に記憶されている図示していないパターンデータ(青色、黄色、赤色)とを比較して行う。すなわち、信号機TS11の画像情報に含まれる信号灯色と青色のパターンデータとが一致すると、信号機TS11は青信号であると特定する。信号機TS11の画像情報に含まれる信号灯色と黄色のパターンデータとが一致すると、信号機TS11は黄信号であると特定する。信号機TS11の画像情報に含まれる信号灯色と赤色とが一致すると、信号機TS11は赤信号であると特定する(ステップS30)。
【0044】
情報制御部3(地図データ取得部10、誘導部14)は、誘導情報生成処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報L
L11を特定し、現在地の座標情報とその車線区間情報LL11に含まれる座標点列の情報とを比較し、車両2が車線区間情報LL11の座標点列に沿って移動するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
信号機TS11が青信号であると特定すると(ステップS30でTS11が青信号)、車線区間情報LL11に関連付けられた停止線情報SL11及び停止線情報SL12のうち仮想フラグがありである停止線情報SL12を抽出する。車両2が車線区間情報LL17に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように誘導情報を生成し、周辺情報取得部8及び車両制御部9に出力する。この誘導情報の一例として、停止線情報SL12及び信号機情報TL11に基づいて、車両制御部9が合流先の車線において他の車両が接近しないタイミングで車両2を停止線情報SL12に対応する地点まで誘導させて停止させ、その後、横断歩道を歩行する歩行者が存在しなくなったことを認識した後に、車両を走行させる誘導情報、車両制御部9が合流先の車線に合流するために車両2の走行速度を加速制御するための情報、周辺情報取得部8が車両2の合流先の車線や横断歩道の歩行者の画像情報を取得するための情報等がある。
信号機TS11が黄信号であると特定すると(ステップS30でTS11が黄信号)、車線区間情報LL11に関連付けられた停止線情報SL11及び停止線情報SL12のうち仮想フラグがなしである停止線情報SL11を抽出する。停止線情報SL11及び信号機情報TL11に基づいて、車両2を停止線情報SL11に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
信号機TS11が赤信号であると特定すると(ステップS30でTS11が赤信号)、車線区間情報LL11に関連付けられた停止線情報SL11及び停止線情報SL12のうち仮想フラグがなしである停止線情報SL11を抽出する。停止線情報SL11及び信号機情報TL11に基づいて、車両2を停止線情報SL11に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する(ステップS40)。
【0045】
<実施形態3>
実施形態3の走行支援装置のシステム構成は、実施形態1と同じである。
図9は、実施形態3の地図データの概念を説明するための図である。
70は実際の一般道路の交差点周辺をあらわす図である。道路72と道路73はAからBの区間において合流し交差点を形成している。
71は地図データ20の概念図である。LL21~LL33は車線区間情報、SL21は停止線情報をあらわすものである。地図データ20のAまでの区間は実際の道路のAまでの区間、地図データ20のAからBの区間は実際の道路のAからBの区間に対応している。車線区間情報LL21は関連情報R21によって停止線情報SL21に関連付けられている。
【0046】
図10は実施形態3の地図データの詳細を説明するための図である。
図10(a)は、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL21~LL33の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL21~LL33の各々は、その車線区間情報を識別するための識別情報と、その車線区間情報LL21~LL33に対応する車線の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その車線区間情報LL21~LL33に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす退出側識別情報と、その車線区間情報LL21~LL33に対応する区間の進入側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす進入側識別情報等が含まれている。この退出側識別情報と進入側識別情報とにより、車線区間情報に対応する区間の車線の前後のつながりをあらわしている。
【0047】
図10(b)は、地物データ32に含まれる停止線情報SL21の詳細を説明するための図である。停止線情報SL21は、その停止線情報SL21を識別するための識別情報と、その停止線情報SL21に対応する地点の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その停止線情報SL21の色彩及び形態をあらわす種別情報と、その停止線情報SL21が実際の道路において停止線が存在しない位置に車両の停止位置を規定する仮想的な停止線か否かをあらわす仮想フラグ等の情報を含んでいる。なお、仮想フラグがありは仮想的な停止線であることをあらわしている。
【0048】
図10(c)は、属性データ33に含まれる関連情報R21の詳細を説明するための図である。関連情報R21は、その関連情報R21を識別するための識別情報、車線区間情報LL24と停止線情報SL21とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL24と停止線情報SL21の識別情報を含んでいる。
【0049】
図11を用いて、実施形態3の走行支援処理の動作フローを説明する。
情報制御部3は、車両の現在地を特定する位置特定処理と、地物情報特定処理と、誘導情報生成処理を行う。以下で具体的に、位置特定処理と、地物情報特定処理と、誘導情報生成処理について説明する。
【0050】
情報制御部3(位置特定部12)は、位置特定処理として以下の処理を行う。
位置取得部6によって取得した現在地情報から車両2の現在地の座標を算出する。周辺情報記憶部8が取得した実際の道路の区画線等の車両2の周辺画像情報と記憶部4に記憶された区画線情報等(図示していない)とを照合することにより車両2の現在地の座標を算出するようにする構成であってもよい(ステップS110)。
【0051】
情報制御部3は、地物情報特定処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で特定された車両2の現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL24を特定し、車線区間情報LL24に関連付けられた停止線情報の識別情報を含む関連情報R21を用いて、車線区間情報LL24に関連付けられた停止線情報SL21を特定する(ステップS120)。
【0052】
情報制御部3(地図データ取得部10、誘導部14)は、誘導情報生成処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL24を特定し、現在の座標情報とその車線区間情報LL24に含まれる座標点列の情報とを比較し、車両2が車線区間情報LL24の座標点列に沿って移動するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
車線区間情報LL24に関連付けられた停止線情報SL21に含まれる仮想フラグがありであることを特定し、車両2を停止線情報SL21に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。この処理が、区間情報に関連付けられた仮想停止線情報に基づいて、所定区間に存在する車両を仮想的な停止線まで誘導させて停止させる制御部の一例である(ステップS130)。
なお、上記の処理に加えて、車両2が車線区間情報LL21、車線区間情報LL22、車線区間情報LL25、車線区間情報LL27、車線区間情報LL28、車線区間情報LL32を走行する他の車両に注意を払うように誘導情報を生成し、周辺情報取得部8及び車両制御部9に出力してもよい。この誘導情報の一例として、車両制御部9が合流先の車線において他の車両が接近しないタイミングで車両2を車線区間情報LL25または車線区間情報LL26の座標点列に沿って移動するための誘導情報、車両制御部9が合流先の車線に合流するために車両2の走行速度を加速制御するための情報、周辺情報取得部8が車両2の合流先の車線の画像情報を取得するための情報等がある。
【0053】
<実施形態4>
図12は、実施形態4の地図データの概念を説明するための図である。
80は実際の一般道路の交差点周辺をあらわす図である。道路82及び道路83及び道路84はAからBの区間において合流し交差点を形成している。TS21は交差点に設置された信号機をあらわしている。
81は地図データ20の概念図である。LL41~LL54は車線区間情報、SL31~SL33は停止線情報をあらわすものである。TL21は信号機情報をあらわすものである。地図データ20のAまでの区間は実際の道路のAまでの区間、地図データ20のAからBの区間は実際の道路のAからBの区間に対応している。
【0054】
車線区間情報LL45は関連情報R31によって停止線情報SL31に関連付けられている。車線区間情報LL46は関連情報R32によって停止線情報SL32と、関連情報R33によって停止線情報SL33と関連付けられている。停止線情報SL31は関連情報R34によって信号機情報TL21と関連付けられている。停止線情報SL32は関連情報R35によって信号機情報TL21と関連付けられている。停止線情報SL33は関連情報R36によって信号機情報TL21と関連付けられている。
【0055】
図13(a)は、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL41~LL54
の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL41~LL54の各々は、その車線区間情報を識別するための識別情報と、その車線区間情報LL41~LL54に対応する車線の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その車線区間情報LL41~LL54に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす退出側識別情報と、その車線区間情報LL41~LL54に対応する区間の進入側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす進入側識別情報等が含まれている。この退出側識別情報と進入側識別情報とにより、車線区間情報に対応する区間の車線の前後のつながりをあらわしている。
【0056】
図14(a)は、地物データ32に含まれる停止線情報SL31~SL33と信号機情報TL21の詳細を説明するための図である。停止線情報SL31は、その停止線情報SL31~SL33を識別するための識別情報と、その停止線情報SL31~SL33に対応する地点の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その停止線情報SL31~SL33の色彩及び形態をあらわす種別情報と、その停止線情報SL31~SL33が実際の停止線において停止線が存在しない位置に車両の停止位置を規定する仮想的な停止線か否かをあらわす仮想フラグ等の情報を含んでいる。なお、仮想フラグありの場合は仮想的な停止線であることをあらわしており、仮想フラグがなしの場合は車両の停止位置を規定する現実の停止線であることをあらわしている。
信号機情報TL21は、その信号機情報TL21を識別するための識別情報と、その信号機情報TL21の実際の筐体の下辺位置の座標点列をあらわす座標情報と、その信号機情報TL21の実際の設置形態が縦型か横型かをあらわす形状情報と、その信号機情報TL21の実際の道路の地表面からの高さをあらわす地表高さ情報(メートル単位)等の情報を含んでいる。なお、信号機情報TL21の地表高さ情報はセンチメートルやミリメートル単位としても良い。
【0057】
図14(b)は、属性データ33に含まれる関連情報R31~R36の詳細を説明するための図である。関連情報R31~R36は、その関連情報R31~R36を識別するための識別情報を含んでいる。
関連情報R31は車線区間情報LL45と停止線情報SL31とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL45と停止線情報SL31の識別情報を含んでいる。関連情報R32は車線区間情報LL46と停止線情報SL32とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL46と停止線情報SL32の識別情報を含んでいる。関連情報R33は車線区間情報LL46と停止線情報SL33とが関連していることをあらわすため車線区間情報LL46と停止線情報SL33を含んでいる。関連情報R34は停止線情報SL31と信号機情報TL21とが関連していることをあらわすため停止線情報SL31と信号機情報TL21の識別情報を含んでいる。関連情報R35は停止線情報SL32と信号機情報TL21とが関連していることをあらわすため停止線情報SL32と信号機情報TL21の識別情報を含んでいる。関連情報R36は停止線情報SL33と信号機情報TL21とが関連していることをあらわすため停止線情報SL33と信号機情報TL21の識別情報を含んでいる。
【0058】
図5を用いて、実施形態4の走行支援処理の動作フローを説明する。
情報制御部3は、車両の現在地を特定する位置特定処理と、地物情報特定処理と、信号機規制特定処理と、誘導情報生成処理を行う。以下で具体的に、位置特定処理と、地物情報特定処理と、信号機規制特定処理と、誘導情報生成処理について説明する。
【0059】
情報制御部3(位置特定部12)は、位置特定処理として以下の処理を行う。
位置取得部6によって取得した現在地情報から車両の現在地の座標を算出する。周辺情報取得部8が取得した実際の道路の区画線等の車両2の周辺画像情報と記憶部4に記憶された区画線情報等(図示していない)を照合することにより車両2の現在地の座標を算出するようにする構成であっても良い(ステップS10)
【0060】
情報制御部3は、地物情報特定処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で特定された車両2の現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL46を特定し、車線区間情報LL46の識別情報を含む関連情報R32及び関連情報R33を用いて車線区間情報LL46に関連付けられた停止線情報SL32及び停止線情報SL33を特定する。そして、停止線情報SL32及び停止線情報SL33に関連付けられた信号機情報の識別情報を含む関連情報R35及びR36を用いて、停止線情報SL32及び停止線情報SL33に関連付けられた信号機情報TL21を特定する(ステップS20)。
【0061】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、信号機規制特定処理として以下の処理を行う。
地物データ32の信号機情報TL21に含まれる地表高さ5.5m及び/または形状横型に基づいて、車両2の進行方向前方に向けて信号機TS21の画像情報を取得する。そして、取得された信号機TS21の画像情報に含まれる信号灯色と記憶部4に記憶されている図示していないパターンデータ(青色、黄色、赤色)とを比較して行う。すなわち、信号機TS21の画像情報に含まれる信号灯色と青色のパターンデータが一致すると、信号機TS21は青信号であると特定する。信号機TS21の画像情報に含まれる信号灯色と黄色のパターンデータが一致すると、信号機TS21は黄信号であると特定する。信号機TS21の画像情報に含まれる信号灯色と赤色が一致すると、信号機TS21は赤信号であると特定する(ステップS30)。
【0062】
情報制御部3(地図データ取得部10、誘導部14)は、誘導情報生成処理として以下の処理を行う。
位置特定処理で算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL46を特定し、現在地の座標情報とその車線区間情報LL46に含まれる座標点列の情報を比較し、車両2が車線区間情報LL46の座標点列に沿って移動するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
信号機TS21が青信号であると特定すると(ステップS30でTS21が青信号)、車線区間情報LL46に関連付けられた停止線情報SL32及び停止線情報SL33のうち仮想フラグがなしである停止線情報SL32を抽出する。停止線情報SL32及び信号機情報TL21に基づいて、車両2を停止線情報SL32に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。車線区間情報LL45に対応する区間を走行する他の車両が接近しないタイミングで車線区間情報LL47に対応する区間に車両2を誘導させる誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。この誘導情報では、車両2を停止線情報SL33に対応する地点では停止させない。
信号機TS21が黄信号であると特定すると(ステップS30でTS21が黄信号)、車線区間情報LL46に関連付けられた停止線情報32及び停止線情報SL33を抽出する。車両2が車線区間情報LL45に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように誘導情報を生成し、周辺情報取得部8及び車両制御部9に出力する。この誘導情報の一例として、停止線情報SL32に基づいて車両制御部9が停止線情報SL32に対応する地点まで誘導させて停止させ、停止線情報SL33及び信号機情報TL21に基づいて車両制御部9が車線区間情報LL45に対応する区間を走行する他の車両が接近しないタイミングで車両2を停止線情報SL33に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報、車両制御部9が合流先の車線に合流するために車両2の走行速度を加速制御するための情報、周辺情報取得部8が車両2の合流先の車線の画像情報を取得するための情報等がある。
信号機TS21が赤信号であると特定すると(ステップS30でTS21が赤信号)、車線区間情報LL46に関連付けられた停止線情報32及び停止線情報SL33を抽出する。車両2が車線区間情報LL45に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように誘導情報を生成し、周辺情報取得部8及び車両制御部9に出力する。この誘導情報の一例として、停止線情報SL32に基づいて車両制御部9が停止線情報SL32に対応する地点まで誘導させて停止させ、停止線情報SL33及び信号機情報TL21に基づいて車両制御部9が車線区間情報LL45に対応する区間を走行する他の車両が接近しないタイミングで車両2を停止線情報SL33に対応する地点まで誘導させて停止させる誘導情報、車両制御部9が合流先の車線に合流するために車両2の走行速度を加速制御するための情報、周辺情報取得部8が車両2の合流先の車線の画像情報を取得するための情報等がある。
【0063】
<実施形態4の変形例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更しても良い。
上記の停止線情報SL1~SL33には、その停止線情報SL1~SL33の位置精度をあらわす精度情報(高、低)を含んでも良い。その停止線情報SL1~SL33のうち、精度情報が「高」の情報については、情報制御部3が停止線情報SL1~SL33に対応する停止線に車両2が近寄るように制御するための誘導情報を生成する。その停止線情報SL1~SL33のうち、精度情報が「低」の情報については、情報制御部3が周辺情報取得部8により取得された画像情報に含まれる停止線の形状と停止線情報SL1~SL33とを比較し、停止線の形状と停止線情報SL1~SL33とが一致する場合に車両2が停止線に近寄るように制御するための誘導情報を生成するようにしてもよい。このように、停止線情報SL1~SL33の精度によって、車両の誘導制御を異ならせている。
【0064】
<実施形態5>
実施形態5の走行支援装置のシステム構成は、実施形態1と同じである。
図15は、実施形態5の地図データの概念を説明するための図である。
100は実際の一般道路の交差点周辺をあらわす図である。TS61~TS64は交差点に設置された信号機をあらわしている。L1~L16は道路を構成する複数の車線の各々をあらわしている。SL61~SL64は停止線情報をあらわしている。PL1は仮想的な線をあらわした仮想線情報をあらわしている。この仮想線情報PL1が、実際の道路において車両の停止位置を規定する線が存在しない位置に車両の停止位置を規定する仮想的な線をあらわした仮想線情報の一例である。
【0065】
図16及び
図17を用いて、実施形態5の走行支援処理の動作フローを説明する。
情報制御部3は、信号機の表示色及び渋滞情報を取得する処理、信号機の表示色特定処理、他車両の有無を判定する処理、停車スペースの有無を判定する処理、車両2を走行制御する処理を行う。以下で具体的に、上記の各処理について説明する。
【0066】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、信号機の表示色及び渋滞情報を取得する処理として以下の処理を行う。
周辺情報取得部8に含まれるカメラやセンサを用いて、車両2の進行方向前方に存在する信号機TS63の信号灯色を取得する。また、交通情報から車両2の進行方向前方の渋滞情報を取得する(ステップS210)。信号機TS63の信号灯色は、信号機TS63との路車間通信によって取得するものとしても良い。
【0067】
情報制御部3は信号機の表示色特定処理として以下の処理を行う。
信号機の表示色を取得する処理によって取得された信号灯色と記憶部4に記憶されている図示していないパターンデータ(青色、黄色、赤色)とを比較する。すなわち、信号灯色と青色のパターンデータが一致すると、信号機TS63は青信号であると特定する。信号灯色と黄色のパターンデータが一致すると、信号機TS63は黄信号であると特定する。信号灯色と赤色のパターンデータが一致すると、信号機TS63は赤信号であると特定する(ステップS220)。
【0068】
情報制御部3は、他車両の有無を判定する処理として以下の処理を行う。
信号機の表示色特定処理によって信号機TS63が青信号であると特定した場合(ステップS220においてYESの場合)、渋滞情報を取得する処理によって取得された渋滞情報を用いて車両2の進行方向前方に他車両があるか否かを判定する(ステップS230)。
【0069】
情報制御部3は、停車スペースの有無を判定する処理として以下の処理を行う。
他車両の有無を判定する処理によって他車両があると判定した場合(ステップS230においてYESの場合)、車々間通信により他車両2の後方の現在位置情報VP1(
図17)の座標情報を取得する。仮想線情報PL1の座標情報から現在位置情報VP1の座標情報までの長さ情報LG2(
図17)を算出する。そして、車両2の車長情報LG1(
図17)と長さ情報LG2と比較し、車長情報LG1が長さ情報LG2よりも短い場合に停車スペースがあると判定する。一方で、車長情報LG1が長さ情報LG2よりも長い場合に停車スペースがないと判定する(ステップS240)。なお、車長情報LG1が長さ情報LG2と同じ長さの場合、停車スペースがないと判定する。
【0070】
情報制御部3は、車両2を走行制御する処理として以下の処理を行う。
信号機の表示色特定処理によって信号機TS63が赤信号、または信号機TS63が黄信号であると特定した場合(ステップS220においてNOの場合)、車両2の停車スペースがないと判定した場合(ステップS240においてNOの場合)のいずれかに該当する場合、車両2を停止線情報SL61(
図17)に対応する地点まで車両2を誘導させて停止させる(ステップS250)。この処理が、制御部は、所定領域において他車両が存在する場合に、停止線情報を用いて、車両を現実の停止線まで誘導させて停止させる一例である。
【0071】
車両2の停車スペースがあると判定した場合(ステップS240においてYESの場合)、仮想線情報PL1に対応する地点の進行方向前方の地点まで車両2を誘導させて停止させる(ステップS260)。この処理が、仮想線情報に対応する地点から進行方向前方の所定領域において他車両が存在しない場合に、仮想線情報を用いて、車両を仮想線情報に対応する地点を超えて所定領域内まで誘導させて停止させる制御部の一例である。
【0072】
なお、周辺情報取得部8により横断歩道を構成するペイントの画像を取得し、車両2を仮想線情報PL1に対応する地点の進行方向前方であり横断歩道を構成するペイントの手前まで車両2を誘導させて停止させるものとしても良い。
【0073】
他車両の有無を判定する処理によって他車両がないと判定した場合(ステップS230においてNOの場合)、交差点を通過するように車両2を走行制御する(ステップS270)。
【0074】
上記の停車スペースの有無を判定する処理(ステップS240)は、車両2の進行方向に応じて行うものとしても良い。
図18は、車線L8を走行する車両2が車線9へ左折しようとする状態をあらわしている。車両2から他車両に対して車々間通信を行い、他車両2の後方の現在位置情報VP2の座標情報を取得し、仮想線情報PL2の座標情報から現在位置情報VP2の座標情報までの長さ情報LG4を算出する。そして、車両2の車長情報LG3と長さ情報LG4と比較し、車長情報LG3が長さ情報LG4よりも短い場合に停車スペースがあると判定する。一方で、車長情報LG3が長さ情報LG4よりも長い場合に停車スペースがないと判定する。また、車長情報LG3が長さ情報LG4と同じ長さの場合、停車スペースがないと判定する。ここで、車両2の進行方向前方に存在する仮想線情報は、経路探索部11によって探索された経路沿いに存在する仮想線情報を取得するものとして良い。
【0075】
<実施形態5の変形例>
なお、上記の実施形態5にかかる仮想線情報は、以下のように変更しても良い。
【0076】
仮想線情報は第1の信号機の表示内容及び第2の信号機の表示内容に応じて動的に設定するものとしても良い。
図18において、第1の信号機である信号機TS63の表示内容が赤であることをあらわしており、第2の信号機である信号機TS64の表示内容が車線L8に対して直進可能をあらわす場合、仮想線PL2を車線L8よりも左側(進行方向前方)に設定する。このように設定することで、車両2が車線L8を走行する直進車両の通行の妨げとならないようにすることができる。
【0077】
一方で、
図19において、第1の信号機である信号機TS63の表示内容が赤であることをあらわしており、第2の信号機である信号機TS64の表示内容が車線L8に対して左折のみ可能をあらわす場合、仮想線PL3を車線L8よりも右側(進行方向後方)に設定する。このように設定することで、車線L8と交差する位置に車両2が存在していても他の車両の通行の妨げとならないため仮想線PL2(
図18)と比べより多くの車両を仮想線PL2の進行方向前方に走行させることができる。
【0078】
仮想線情報は、複数の信号機の各々に関連して設定するものとしても良い。
図20において、仮想線情報PL4は信号機TS62に、仮想線情報PL5は信号機TS63に、仮想線情報PL6は信号機TS64に、仮想線情報PL7は信号機TS61に各々設定されている。仮想線情報PL4~PL7の各々は始点及び終点に対応する座標情報(x:緯度情報、y:経度情報、z:高度情報)を含んでいる。
【0079】
また、仮想線情報は、複数の信号機の各々に関連して仮想ポリゴン情報を設定するものとしても良い。
図21において、仮想ポリゴン情報PG1は信号機TS62に、仮想ポリゴン情報PG2は信号機TS63に、仮想ポリゴン情報PG3は信号機TS64に、仮想ポリゴン情報PG4は信号機TS61に各々設定されている。仮想ポリゴン情報PG1~PG4の各々は複数の形状点の各々に対応する座標情報(x:緯度情報、y:経度情報、z:高度情報)を含んでいる。この仮想ポリゴン情報PG1~PG4の各々は車両2が待機可能な所定領域として用いることができる。
【0080】
また、仮想線情報は、複数の車線区間情報の各々と関連付けられて設定するものとしても良い。
図22において、LL61及びLL62は車線区間情報をあらわしている。車線区間情報LL61は、関連情報R62によって仮想線情報PL7と、関連情報R63によって仮想線情報PL5と、関連情報R64によって仮想線情報PL6と各々関連付けられている。車線区間情報LL62は、関連情報R61によって仮想線情報PL7と、関連情報R65によって仮想線情報PL6と、関連情報R66によって仮想線情報PL5と各々関連付けられている。上記の関連情報を用いることにより車両2が走行する車線に対応する車線区間情報に関連する仮想線情報を取得することができる。
【0081】
この走行支援装置は仮想線情報を有しており、当該仮想線情報に対応する地点から進行方向前方の所定領域において車両2の停車スペースがあるか判定し、停車スペースがあると判定した場合、仮想線情報に対応する地点の進行方向前方の地点まで車両2を誘導させて停止させる。そのため、従来の走行支援装置に比べてより精度よく車両2の停止位置を決定することができる。
【0082】
なお、地図データ20として、実施形態1乃至実施形態5の少なくとも2つで説明した情報を含み、その地図データ20を用いて、実施形態1の処理(
図5)、実施形態2の処理(
図5)、実施形態3の処理(
図11)、実施形態4の処理(
図5)、実施形態5の処理(
図16)の少なくとも2つで説明した処理を全て行う構成であっても良いし、地図データ20として、実施形態1乃至実施形態5の全てで説明した情報を含み、その地図データ20を用いて、実施形態1の処理(
図5)、実施形態2の処理(
図5)、実施形態3の処理(
図11)、実施形態4の処理(
図5)、実施形態5の処理(
図16)の少なくとも2つの全てで説明した処理を全て行う構成であっても良い。
【0083】
特許文献1により実現される車線移動終了地点は、停止線がある場合には停止線から所定距離手前の位置に特定し、停止線がない場合には交差点への進入開始地点から所定距離手前に停止線があると仮定するものであった。交差点内の車線には、同じ車線であっても信号機の規制内容によっては現実の停止線のある地点で車両を停止させたり、現実に停止線のない地点で車両を停止させる必要があり、特許文献1の車線移動終了地点では、必ずしも望ましい誘導とはならないことがあった。上記で説明した実施形態は、これらの課題を解決するものである。
【0084】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、移動体を適切に誘導制御することを可能とする走行支援装置及び当該走行支援装置に用いられる地図データのデータ構造を提供すること、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0085】
1 走行支援システム、2 車両、3 情報制御部、4 記憶部、5 入力部、6 位置取得部、7 車速情報取得部、8 周辺情報取得部、9 車両制御部、10 地図データ取得部、11 経路探索部、12 位置特定部、13 経路特定部、14 誘導部、20 地図データ、30 道路ネットワークデータ、31 車線ネットワークデータ、32 地物データ、33 属性データ