(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】送り軸およびウォームギヤ異常判定システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20220112BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20220112BHJP
B23Q 1/52 20060101ALI20220112BHJP
B23Q 16/02 20060101ALI20220112BHJP
G05B 19/4062 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G05B19/18 X
B23Q17/00 A
B23Q1/52
B23Q16/02 A
G05B19/4062
(21)【出願番号】P 2018204791
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2019-03-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591028072
【氏名又は名称】株式会社日研工作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三▲角▼ 進
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-017689(JP,A)
【文献】特開平05-285788(JP,A)
【文献】特開2018-025295(JP,A)
【文献】特開2008-097363(JP,A)
【文献】特開2017-021472(JP,A)
【文献】特開2012-035367(JP,A)
【文献】特開2018-026118(JP,A)
【文献】特開2003-224994(JP,A)
【文献】特開平10-286743(JP,A)
【文献】特開2009-20090(JP,A)
【文献】国際公開第96/40558(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/00-19/46
B23Q 15/00-15/28
B23Q 17/00-17/24
G01M 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り軸と、前記送り軸を駆動するサーボモータと、前記サーボモータの駆動トルクを制
御する数値制御部と、前記送り軸の速度および送り位置を検出するエンコーダとを備える
工作機械に設けられ、前記送り軸の正常および異常を判定するシステムであって、
前記数値制御部によって前記送り軸を送り動作範囲の下限値から上限値まで所定速度で
正方向に動作させるよう前記
数値制御部へ位置指令を出力するコマンド生成部と、
前記コマンド生成部による前記送り軸の正方向動作中に前記数値制御部から前記サーボ
モータへ
所定[msec]間隔で出力される
前記駆動トルク指
令をモニタし、前記正方向動作中のモニタ結果と駆動トルク指
令の正常値
における一定の変動幅を対比し、前記正方向動作中のモニタ結果が前記
一定の変動幅から逸脱する場合を異常と判定して該判定結果を出力する送り軸異常判定部とを備え、
前記送り軸異常判定部は、前記サーボモータの前記所定速度と、前記送り軸の前記正方向動作開始時から正方向動作中の前記逸脱時までの時間に基づき、もしくは
前記逸脱時に前記エンコーダから前記数値制御部へ出力される位置フィードバックに基づき、前記送り軸の送り位置を算出し、当該送り位置を異常送り位置として出力する、送り軸異常判定システム。
【請求項2】
前記正常値は、前記工作機械を新規に組み付け慣らし運転し、ワークの加工に必要な治
具を前記工作機械に取り付けて運転した後の駆動トルク指令である、請求項1に記載の送
り軸異常判定システム。
【請求項3】
前記逸脱は、前記正方向動作中の前記モニタ結果が前記正常値に1よりも大きな所定の
係数を乗じた値よりも大きくなることである、請求項1または2に記載の送り軸異常判定
システム。
【請求項4】
前記コマンド生成部は、前記数値制御部によって前記送り軸を前記送り動作範囲の前記
上限値から前記下限値まで所定速度で逆方向に動作させ、
前記送り軸異常判定部は、前記サーボモータの逆方向動作中の前記所定速度と、前記送
り軸の逆方向動作開始時から逆方向動作中の前記逸脱時までの時間に基づき、もしくは前
記位置フィードバックに基づき、前記送り軸の送り位置を算出し、当該送り位置を、異常
送り位置として出力する、請求項1~3のいずれかに記載の送り軸異常判定システム。
【請求項5】
割出を実行する主軸と、前記主軸に設けられるウォームギヤと、前記ウォームギヤと噛
合するウォームねじと、前記ウォームねじを駆動するサーボモータと、前記サーボモータ
の駆動トルクを制御する数値制御部と、前記主軸の速度または位置を検出するエンコーダ
とを備える割出ユニットに設けられ、前記主軸の異常を判定するシステムであって、
前記数値制御部によって前記主軸を割出角度0°から360°まで所定速度で正回転させるコマンド生成部と、
前記コマンド生成部による前記主軸の正回転中に前記数値制御部から前記サーボモータ
へ出力される駆動トルク指令および/または位置フィードバックをモニタし、前記正回転
中のモニタ結果と駆動トルク指令および/または位置フィードバックの正常値を対比し、
前記正回転中のモニタ結果が前記正常値から逸脱する場合を異常と判定して該判定結果を
出力するウォームギヤ異常判定部とを備え、
前記ウォームギヤ異常判定部は、前記サーボモータの前記所定速度と、前記主軸の前記
正回転開始時から前記逸脱時までの時間に基づき、もしくは前記位置フィードバックに基
づき、前記主軸の割出角度を算出し、前記正常値から逸脱する前記駆動トルク指令に係る
割出角度を、異常割出角度として出力する、ウォームギヤ異常判定システム。
【請求項6】
前記正常値は、前記割出ユニットを新規に組み付け慣らし運転し、ワークの加工に必要
な治具を前記割出ユニットに取り付けて試運転した後の駆動トルク指令である、請求項5
に記載のウォームギヤ異常判定システム。
【請求項7】
前記逸脱は、前記正回転中の前記モニタ結果が前記正常値に1よりも大きな所定の係数
を乗じた値よりも大きくなることである、請求項5または6に記載のウォームギヤ異常判
定システム。
【請求項8】
前記コマンド生成部は、前記数値制御部によって前記主軸を割出角度360°から0°
まで所定速度で逆回転させ、
前記ウォームギヤ異常判定部は、前記サーボモータの逆回転中の前記所定角度と、前記
主軸の逆回転開始時から逆回転中の前記逸脱時までの時間に基づき、もしくは前記位置フ
ィードバックに基づき、前記主軸の割出角度を算出し、当該割出角度を、異常割出角度と
して出力する、請求項5~7のいずれかに記載のウォームギヤ異常判定システム。
【請求項9】
前記異常割出角度における前記ウォームギヤと前記ウォームねじの噛合箇所におけるバ
ックラッシ量を算出するバックラッシ量算出部をさらに備える、請求項8に記載のウォー
ムギヤ異常判定システム。
【請求項10】
前記主軸にはテーブルが固定され、
前記バックラッシ量算出部は、
まず前記数値制御部によって前記テーブルを前記異常割出角度まで正回転させ、
次に前記数値制御部によって前記テーブルを逆回転させてバックラッシ算出プログラ
ムを実行し、前記駆動トルク指令の経時的変化、もしくは前記駆動トルク指令の位置に対
する変化から前記逆回転の前記バックラッシ量を算出する、請求項9に記載のウォームギ
ヤ異常判定システム。
【請求項11】
複数の割出角度で前記異常と判定される場合、前記バックラッシ量算出部は、全ての前
記異常割出角度で、前記バックラッシ量を算出する、請求項10に記載のウォームギヤ異
常判定システム。
【請求項12】
前記ウォームギヤ異常判定部から出力される情報を表示するウォームギヤ異常表示部を
さらに備える、請求項5~11のいずれかに記載のウォームギヤ異常判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はNC(Numerical Control)工作機械に使用される異常判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械に分類されるマシニングセンタは、X軸、Y軸、Z軸といった直線方向の移動や、A軸、B軸、C軸といった回転方向の移動に関する複数の送り軸を具備し、数値制御(NC)により、主軸をこれらのX軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸、C軸等のそれぞれに関する位置に、所定速度で移動させ、ワークを加工する。これらの送り動作は、各軸に対応する送り軸を駆動するサーボモータをフィードバック制御することにより実行される。
【0003】
代表例として、NC化されたロータリテーブル装置は、円テーブルと、その下部に連続して設けられた主軸と、主軸に設けられるウォームギヤと、ウォームギヤに係合するウォームねじと、ウォームねじのシャフトに設けられたメインギヤと、メインギヤに係合するモータギヤと、モータギヤに接続されたサーボモータと、サーボモータの駆動トルクを制御する制御部とを含む。主軸は例えばA軸に関する送り軸であり、回転方向の送り動作を実行する。
【0004】
具体的にはウォームギヤとウォームねじとがかみ合っており、サーボモータの駆動トルクを、モータギヤ、メインギヤ経由でウォームねじに伝えて、ウォームギヤを回転させる。ロータリーテーブルの主軸の外周にウオームギヤが取付けられているので、ウオームギヤの回転に伴って円テーブルが回転し、所望の角度に割出される。
【0005】
ロータリーテーブル装置のような代表例(NC割出ユニット)において割出の誤差を補正する方法が例えば、下記の特許文献1に記載されている。特許文献1において割出誤差を補正する原理は、360°全周におけるロータリーテーブルの割出誤差の分布が、回転角度0°,180°,360°で割出誤差0になり、回転角度90°,270°で割出誤差最大になるという三角関数の波形を示すという知見に基づき、割出誤差の補正を迅速に完了させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1ではまずロータリテーブルを360°回転したときの1°ごとに誤差を測定する必要がある。誤差の測定は、ロータリエンコーダ等の測定器具を主軸後端に取り付けることにより行われる。この測定には、ロータリエンコーダのセッティングおよびデータ収集等、人手および時間を必要とする。
【0008】
昨今、工作機械の省人化、高効率化の要請が高まっている。そこで例えば、工作機械の始動時や、ワークを工作機械にチャッキングしていないアイドル時等、空き時間において割出角度の精度不良を簡便かつ迅速に診断することができれば、生産管理上有利である。
【0009】
本発明は、従来よりも簡便かつ迅速に、NC工作機械の送り軸が精度良く割り出されているかどうかを診断・判定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のウォームギヤ異常判定システムは、割出を実行する主軸と、主軸に設けられるウォームギヤと、ウォームギヤと噛合するウォームねじと、ウォームねじを駆動するサーボモータと、サーボモータの駆動トルクを制御する数値制御部と、主軸の速度または位置を検出するエンコーダとを備える割出ユニットに設けられ、主軸の正常および異常を判定するシステムであって、数値制御部によって主軸を割出角度0°から360°まで所定速度で正回転させるコマンド生成部と、コマンド生成部による主軸の正回転中に数値制御部からサーボモータへ出力される駆動トルク指令および/または位置フィードバックをモニタし、正回転中のモニタ結果と駆動トルク指令および/または位置フィードバックの正常値を対比し、正回転中のモニタ結果が正常値から逸脱しない場合を正常と判定し、正回転中のモニタ結果が正常値から逸脱する場合を異常と判定して該判定結果を出力するウォームギヤ異常判定部とを備える。そしてウォームギヤ異常判定部は、サーボモータの所定速度と、主軸の正回転開始時から逸脱時までの時間に基づき、もしくは前記位置フィードバックに基づき、主軸の割出角度を算出し、正常値から逸脱する駆動トルク指令に係る割出角度を、異常割出角度として出力する。
【0011】
かかる本発明のウォームギヤ異常判定システムによれば、主軸に測定器具を取り付けることなく、サーボモータの数値制御に関するデータから、主軸のウォームギヤ異常を発見することができる。数値制御部は例えば、サーボモータに設けられるエンコーダが検出するサーボモータ回転軸の回転角度に基づき、サーボモータをフィードバック制御し、さらに主軸の角度および位置を算出する。主軸は例えばロータリテーブル装置の回転軸であったり、あるいは傾斜軸であったりする。本発明のウォームギヤ異常判定システムは例えば単体のNC工作機械であってもよく、あるいは例えば互いに離れたコンピュータおよびNC工作機械の組み合わせであってもよく、あるいは例えば互いに離れた1台のコンピュータおよび複数のNC工作機械からなるネットワークであってもよい。本発明によれば異常割出角度と正常に割出される割出角度を区別することができるので、割出ユニットの保守・点検が容易になる。
【0012】
サーボモータの上述した所定の速度は特に限定されないが、例えば一定速である。駆動トルク指令の正常値は、予めウォームギヤ異常検出部に記憶されるか、あるいは外部からウォームギヤ異常検出部に入力される。正回転は主軸の正面からみて時計回りであってもよいし、あるいは反時計回りであってもよい。本発明の一局面として正常値は、主軸、テーブルといった回転部品等を割出ユニットに新規に組み付け慣らし運転し、ワークの加工に必要な治具を工作機械に取り付けて運転した後の駆動トルク指令である。ここで好ましくは最初の試運転直後の駆動トルク指令である。
【0013】
駆動トルク指令の正常値は上限値および下限値の間で変動幅を伴う。正常値の上限値および下限値は、例えば0°~360°の全ての範囲で一定である。あるいは例えば0°~360°の範囲においてサインカーブを描く。本発明中、駆動トルク指令のモニタ結果が正常値から逸脱するとは、例えば、モニタ結果が正常値の変動幅から外れて大きくなったり、あるいはモニタ結果が正常値の変動幅から外れて小さくなったりすることである。
【0014】
本発明の一局面としてモニタ結果の逸脱は、駆動トルク指令のモニタ結果が正常値に1よりも大きな所定の係数を乗じた値よりも大きくなることである。例えば正常値とされる駆動トルク指令の変動幅に係数1.3を乗じ、駆動トルク指令のモニタ結果が、正常値の上限値よりも30%以上大きくなる場合、正常値を逸脱したものとして、異常と判定する。
【0015】
ウォームギヤが正常か異常かの判定は1周回転のみの正回転で行われてもよいが、好ましい局面として逆回転をさらに行うのがよい。あるいは複数周回転で行われてもよい。例えばコマンド生成部は、数値制御部によって主軸を割出角度360°から0°まで所定の速度で逆回転させ、ウォームギヤ異常判定部はサーボモータの逆回転中の所定角度と主軸の逆回転開始時から逆回転中の逸脱時までの時間に基づき、もしくはサーボモータへ出力される位置フィードバックに基づき、主軸の割出角度を算出し、当該割出角度を、異常割出角度として出力する。かかる局面によれば両回転で異常判定を実行することからウォームギヤ異常の発見能力が向上する。
【0016】
好ましい局面として本発明は、異常割出角度におけるウォームギヤとウォームねじの噛合箇所におけるバックラッシ量を算出するバックラッシ量算出部をさらに備える。かかる局面によれば、バックラッシ量が小さければ数値制御のパラメータを修正して、割出ユニットを継続使用することができる。
【0017】
一局面として主軸にはロータリテーブルが固定される。またバックラッシ量算出部は、まず数値制御部によって主軸を異常割出角度まで正回転させ、次に数値制御部によって主軸を逆回転させるというバックラッシ算出プログラムを実行し、逆回転の際の駆動トルク指令の経時的変化、もしくは逆回転の際の駆動トルク指令の位置に対する変化から逆回転のバックラッシ量を算出する。
【0018】
好ましい局面として0°から360°の範囲のうち複数の割出角度で異常と判定される場合、バックラッシ量算出部は全ての異常割出角度でバックラッシ量を算出する。より好ましい局面として異常割出角度等のウォームギヤ異常判定部から出力される情報を表示する割出角度異常判定表示部をさらに備える。
【0019】
本発明の異常判定システムは、上述した主軸およびウォームギヤのように回転動作によって送り位置を割り出す送り軸に適用可能である他、NC工作機械のX軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸、C軸といったあらゆる送り軸に適用可能である。
【0020】
すなわち上述した主軸を送り軸と読み替え、上述した割出角度を送り位置と読み替える
本発明の送り軸異常判定システムは、送り軸と、送り軸を駆動するサーボモータと、サー
ボモータの駆動トルクを制御する数値制御部と、送り軸の速度または送り位置を検出するエンコーダとを備える工作機械に設けられ、送り軸の正常および異常を判定するシステムであって、数値制御部によって送り軸を送り動作範囲の下限値から上限値まで所定の速度で正方向に動作させるよう数値制御部へ位置指令を出力するコマンド生成部と、コマンド生成部による送り軸の正方向動作中に数値制御部からサーボモータへ出力される所定[msec]間隔の駆動トルク指令をモニタし、正方向動作中のモニタ結果と駆動トルク指令の正常値における一定の変動幅を対比し、正方向動作中のモニタ結果が一定の変動幅から逸脱する場合を異常と判定して該判定結果を出力する送り軸異常判定部とを備える。そして送り軸異常判定部は、サーボモータの所定速度と、送り軸の正方向動作開始時から正方向動作中の逸脱時までの時間に基づき、もしくは前記逸脱時に前記エンコーダから前記数値制御部へ出力される位置フィードバックに基づき、送り軸の送り位置を算出し、当該送り位置を異常送り位置として出力する。
【0021】
送り軸は例えば、上述した回転運動による主軸であってもよい。この場合、上述したウォームギヤによる歯車機構を介して、主軸を駆動してもよいし、あるいは直動モータ(ダイレクトドライブ電動モータ)で主軸を駆動してもよい。あるいは送り軸は、直線などのリニア運動によって送り動作する。例えばサーボモータの出力回転を、ボールねじ機構を介して直線運動に変換する。エンコーダは例えばサーボモータに設けられ、サーボモータ回転軸の速度または位置を検出し、係る検出結果に基づいて送り軸の速度または位置を検出することができる。
【0022】
本発明に係る送り軸異常判定システムの一局面として正常値は、工作機械を新規に組み付け慣らし運転し、次にワークの加工に必要な治具を工作機械に取り付けて運転した後の駆動トルク指令である。このように新品同様の工作機械の駆動トルク指令を正常値として、経年劣化後の工作機械の駆動トルク指令が正常値から逸脱しているかどうか判断する。
【0023】
本発明に係る送り軸異常判定システムの一局面として逸脱は、駆動トルク指令のモニタ結果が正常値に1よりも大きな所定の係数、例えば1.3といった30%増しの係数、を乗じた値よりも大きくなることである。
【0025】
本発明に係る送り軸異常判定システムの一局面としてコマンド生成部は、数値制御部によって送り軸を送り動作範囲の上限値から下限値まで所定の速度で逆方向に動作させ、送り軸異常判定部は、所定の速度と、送り軸の逆方向動作開始時から逆方向動作中の逸脱時までの時間に基づき、もしくは位置フィードバックに基づき、送り軸の送り位置を算出し、当該送り位置を異常送り位置として出力する。かかる局面によれば判定精度が向上する。
【発明の効果】
【0026】
このように本発明によれば、従来よりも簡便かつ迅速に、精度良く割り出しされているかどうか割出角度の正常・異常を診断・判定することができる。また本発明によれば、工作機械が割出角度の正常・異常を自己診断することができ、割出ユニットの検査が省人化、効率化される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】主軸の割り出しを実行する割出ユニットの分解斜視図である。
【
図2】ロータリテーブル装置内部で実行されるサーボ制御を示す模式図である。
【
図3】ウォームギヤおよびウォームねじを示す正面図である。
【
図4】
図3中、ウォームねじと噛合するウォームギヤの当たり面を示す拡大図である。
【
図5】ロータリテーブル装置の数値制御部から主軸サーボモータへ出力される駆動トルク指令のモニタ結果を示すグラフである(異常値)。
【
図6】ロータリテーブル装置の数値制御部から主軸サーボモータへ出力される駆動トルク指令のモニタ結果を示すグラフである(正常値)。
【
図7】傾斜軸に作用するアンバランス負荷を時系列で説明する模式図、およびこの模式図に対応する数値制御部から傾斜軸サーボモータへ出力される駆動トルク指令を示すグラフである。
【
図8】複数の送り軸を備えるマシニングセンタを示す斜視図である。
【
図9】各送り軸の数値制御に関する箇所を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。まず送り軸の代表例として、A軸ロータリテーブル装置について説明する。
【0029】
図1は、割出ユニットの一例になるロータリテーブル装置を示す分解斜視図である。
図2は、ロータリテーブル装置内部で実行されるサーボ制御を示す模式図である。割出ユニット10はテーブル11と、主軸12と、ウォームギヤ13と、ウォームねじ14と、メインギヤ15と、モータギヤ16と、サーボモータ17と、数値制御部18と、ウォームギヤ異常判定部19と、バックラッシ量算出部20と、ウォームギヤ異常表示部21を備え、ロータリテーブル装置の主要部をなす。
【0030】
テーブル11は例えば円テーブルであり、図示しない筐体に回転自在に支持される。テーブル11の表面には図示しないワークがチャッキングされる。主軸12はテーブルの裏面に立設される。主軸12は、ワークを回転させる回転軸であるが、図示しない変形例としてワークを傾斜させる傾斜軸であってもよい。ウォームギヤ13は主軸12と同軸になるよう主軸12に取り付けられ、ウォームねじ14と噛合する。ウォームねじ14は両側のシャフトで回転自在に支持される。ウォームねじ14の一方のシャフト端部にはメインギヤ15が設けられる。モータギヤ16は、サーボモータ17のモータ回転軸に設けられ、メインギヤ15と噛合する。
【0031】
サーボモータ17にはエンコーダECが設けられる。エンコーダECは、サーボモータ17のモータ回転軸の回転角度(つまり速度または位置)を検出して、数値制御部18に出力する。エンコーダECからサーボモータ17の速度フィードバックを受信する数値制御部18は、サーボモータ17をフィードバック制御する。また数値制御部18は外部のコマンド生成部(図示せず)に連結される。コマンド生成部は数値制御プログラムに基づき、位置指令PCMDを数値制御部18に出力する。なおコマンド生成部は、ロータリテーブル装置に設けられていてもよいし、あるいはロータリテーブル装置の外部、例えば、複数のロータリテーブル装置を統括制御する上位コンピュータ、に設けられていてもよい。
【0032】
エンコーダECはサーボモータ17の速度フィードバックSPEED、あるいは位置フィードバックPOSFを数値制御部18に出力する。数値制御部18はテーブル11の位置指令PCMDと位置フィードバックPOSFの差分から速度指令VCMDを求める。また数値制御部18は、速度指令VCMDと速度フィードバックSPEEDの差分から駆動トルク指令TCMDを求め、スイッチSW経由でサーボアンプSAに駆動トルク指令TCMDを出力する。サーボアンプSAは入力された駆動トルク指令TCMDを増幅してサーボモータ17に出力する。駆動トルク指令TCMDの出力は1[msec]以内の所定の間隔である。
【0033】
数値制御部18が位置指令PCMDを受けて駆動トルク指令TCMDをサーボアンプSA経由でサーボモータ17へ出力すると、サーボモータ17は入力された駆動トルク指令TCMDに応じてモータギヤ16を駆動し、かかる駆動回転がモータギヤ16からメインギヤ15とウォームねじ14を経由してウォームギヤ13に伝達され、主軸12およびテーブル11が数値制御プログラムどおりに割り出される。
【0034】
本実施形態では、外部のコマンド生成部によるテーブル11の割り出しの他、ウォームギヤ異常判定部19によるウォームギヤ異常判定モードが実行される。
【0035】
図2に示す位置指令PCMD、速度指令VCMD、駆動トルク指令TCMD、速度フィードバックSPEED、位置フィードバックPOSFといったサーボデータは、少なくとも1種類を対象として、ウォームギヤ異常判定部19のモニタ部によりモニタされる。モニタとは連続して監視することである。
【0036】
ウォームギヤ異常判定部19はサーボデータのモニタ結果に基づき、主軸12が所定の精度を満足するよう割り出されているか否か判定する。ウォームギヤ異常判定部19は、ロータリテーブル装置に内蔵されるものであってもよいし、あるいはロータリテーブル装置外部に設けられ、ネットワーク手段等のデータ通信手段を介して数値制御部18に接続されるものであってもよい。
【0037】
ウォームギヤ異常判定モードで数値制御部18は、主軸12を一回転させるよう位置指令PCMDを入力される。主軸12は割出角度R0°からR360°(=0°)まで所定の速度で一回転させられる。ウォームギヤ異常判定モードでウォームギヤ異常判定部19は、駆動トルク指令TCMDをモニタし、駆動トルク指令TCMDの経時的変化を記憶する。さらにウォームギヤ異常判定部19は、駆動トルク指令TCMDに対応する主軸12の割出角度Rθを算出して記憶する。割出角度RθはエンコーダECからの速度フィードバックSPEEDあるいは位置フィードバックPOSFから算出可能である。
【0038】
所定の速度、あるいは所定の速度指令VCMDとは例えば、一定速度である。ここで附言すると判定精度向上のため、割出角度の異常判定に伴うサーボモータ17への速度指令VCMDは低速領域であり、ウォームギヤ異常判定モードでワークをテーブル11にチャックしない。これに対し作業効率向上のため、テーブル11がワークをチャックする際のサーボモータ17への速度指令VCMDは低速領域から高速領域までである。
【0039】
例えば数年間使用された割出ユニット10において、
図4に示すようにウォームギヤ13の歯面は、周方向一部において片摩耗する場合がある。片摩耗したウォームギヤ13歯面と正常なウォームギヤ13歯面を対比すると、ウォームねじ14に対する当たりが異なるから、駆動トルク指令TCMDも異なったものになる。
【0040】
図5は、駆動トルク指令TCMDのモニタ結果を示すグラフであり、ウォームギヤ異常と判定される場合である。所定の速度指令VCMDで主軸12を割出角度0°から360°まで正回転させ、次に割出角度360°から0°まで逆回転させる場合において、駆動トルク指令TCMDは、正回転時に割出角度180°付近(丸囲A)で乱れ、正常値と異なる。また逆回転時に割出角度350°付近(丸囲B)および90°付近(丸囲C)で乱れ、正常値から逸脱する。
図5中、縦軸は駆動トルク指令TCMDを表す、また
図5中、横軸は時刻であるが、サーボモータ17は一定速回転であるため、横軸は割出角度Rと同義である。
【0041】
駆動トルク指令TCMDの正常値のデータは、正回転の場合と、逆回転の場合と、予め記憶されている。ウォームギヤ異常判定部19は、モニタ結果と正常値を対比してモニタ結果の乱れを発見する。
【0042】
駆動トルク指令TCMDが乱れる理由は、
図4に示すようにウォームギヤ13の1個の異常な歯13tとウォームねじ14との歯面同士の当たりEA,EBが、ウォームギヤ13の残りの正常な歯とウォームねじ14との歯面同士の当たりと異なるためである。なお当たりEAは、テーブル11の表面からみて主軸12およびウォームギヤ13が時計回りに正回転するときの当たりである。また当たりEBは、テーブル11の表面からみて主軸12およびウォームギヤ13が反時計回りに逆回転するときの当たりである。正回転および逆回転をモニタすることにより、ウォームギヤ異常の検出能力が向上する。
【0043】
ウォームギヤ異常判定部19は、
図5のモニタ結果に基づき、割出角度R180°付近で割出角度の異常があると判定し、判定結果を外部へ出力する。また割出角度R350°付近で割出角度の異常の虞があると判定し、判定結果を外部および/またはウォームギヤ異常表示部21へ出力する。
図5の例では、判定された割出角度R180°およびR350°が異常割出角度である。
【0044】
ウォームギヤ異常表示部21は、音あるいは映像により、ウォームギヤ13に異常があることと、異常割出角度を表示する。
【0045】
対比のため、正常と判定される場合の駆動トルク指令TCMDのモニタ結果(グラフ)を
図6に示す。所定の速度指令VCMDで主軸12を割出角度360°から0°まで逆回転させ、割出角度0°から360°まで正回転させる場合において、駆動トルク指令TCMDは乱れてなく、正常値から逸脱しない。正常値とはサーボモータ17の単位角度当たりに駆動トルク指令TCMDが一定の変動幅Wで変動する乱れのない波形をいう。
【0046】
図6に示すモニタ結果は例えば、組み立て直後の新品状態である。ウォームギヤ異常判定部19は、
図6に示すモニタ結果を正常値として記憶するとよい。
【0047】
説明を
図5に戻すとウォームギヤ異常判定部19は、割出角度R180°(丸囲A,C)でモニタ結果の駆動トルク指令TCMDが所定時間以上に亘って変動幅Wよりも小さくなったり、割出角度R350°(丸囲B)でモニタ結果の駆動トルク指令TCMDが変動幅Wを超えて大きく振れたりすることを発見する。
【0048】
このように割出角度R180°およびR350°で判定結果がウォームギヤ異常である場合、バックラッシ量算出部20を起動させる。バックラッシ量算出部20はバックラッシ算出プログラムを実行して、異常割出角度におけるバックラッシ量を算出する。
【0049】
機械系の逆回転方向のバックラッシ量は、まず機械系を正回転させた後に停止させ、次に数値制御部18からサーボモータ17に逆回転の速度指令VCMDおよび/または駆動トルク指令TCMDを出力させ、逆回転の駆動トルク指令TCMDの出力開始から機械系が実際に逆回転を開始するまでの所要時間および逆回転の際の駆動トルク指令TCMDのモニタ結果(経時的変化)から算出される。なおバックラッシ量を精度良く算出するため、上述した正回転の速度指令VCMDおよび逆回転の速度指令VCMDは、ワーク加工時のような高速領域よりも低速領域であることが好ましい。また一定側で逆回転させることが好ましい。
【0050】
本実施形態は、割出を実行する主軸12と、主軸12に設けられるウォームギヤ13と、ウォームギヤ13と噛合するウォームねじ14と、ウォームねじ14を駆動するサーボモータ17と、サーボモータ17の駆動トルクを制御する数値制御部18と、サーボモータ17の回転角度を検出するエンコーダECとを備える割出ユニット10に設けられ、割出ユニット10によって割出される主軸12の割出角度Rの正常および異常を判定する装置であって、数値制御部18からサーボモータ17へ駆動トルク指令TCMDを出力させて主軸12を割出角度R0°からR360°まで所定の速度で正回転させる外部のコマンド生成部と、コマンド生成部による主軸12の正回転中に駆動トルク指令TCMDをモニタし、正回転中のモニタ結果(
図5)と駆動トルク指令TCMDの正常値(
図6)を対比し、
図5の駆動トルク指令TCMDが
図6の正常値から逸脱する場合を異常と判定して該判定結果を出力するウォームギヤ異常判定部19とを備える。本実施形態によれば数値制御部18のサーボモータを利用して主軸12の割出角度の精度を判定することから、割出角度の精度をチェックする際、主軸12の後端にロータリエンコーダを取り付けて割出角度を測定する作業が不要になる。したがって従来よりも簡便かつ迅速に、精度良く割り出しされているかどうか割出角度の正常および異常を診断・判定することができる。また本実施形態によれば、工作機械が割出角度の正常および異常を自己診断することができ、割出ユニットの検査が省人化、効率化される。
【0051】
図6に示す正常値は、例えば主軸12を割出ユニット10に新規に取り付け割出ユニット10を慣らし運転した直後の駆動トルク指令である。これは、新品同様の割出ユニット10では、各種の回転部材に摩耗が無く、駆動トルク指令が正常値を示すためである。
【0052】
また本実施形態のウォームギヤ異常判定部19は、予め定められた一定の速度と、主軸12の回転開始時(R0°)から逸脱時(
図5の丸囲A)までの時間に基づきから主軸12の割出角度(
図5のR90°)を算出し、この割出角度Rθを、異常割出角度として出力する。なお駆動トルク指令TCMDの逸脱時は、モニタ結果に係る駆動トルク指令TCMDと、正常値の駆動トルク指令のデータとを時系列で対比することにより検知される。
【0053】
また本実施形態のコマンド生成部は、数値制御部18からサーボモータ17へ駆動トルク指令TCMDを出力させて主軸12を割出角度360°から0°まで所定の速度で逆回転させ、ウォームギヤ異常判定部19は主軸12の逆回転中に駆動トルク指令TCMDおよびエンコーダECが検出する割出角度Rθをモニタし、逆回転中のモニタ結果と駆動トルク指令の正常値を対比し、正常値から逸脱する駆動トルク指令TCMDに係る割出角度Rθを、異常割出角度として出力する。これによりウォームギヤ異常を発見し易くなる。また異常割出角度を正しく発見することができる。
【0054】
また本実施形態は、異常割出角度におけるウォームギヤ13とウォームねじ14の当たりEA,EBにおけるバックラッシ量を算出するバックラッシ量算出部20をさらに備える。
【0055】
また本実施形態のバックラッシ量算出部20は、数値制御部18からサーボモータ17に駆動トルク指令TCMDを出力させて主軸12を異常割出角度R180°まで正回転させ、次に数値制御部18からサーボモータ17に駆動トルク指令を出力させて主軸12を逆回転させるバックラッシ算出プログラムを実行し、駆動トルク指令TCMDの経時的変化から逆回転のバックラッシ量を算出する。
【0056】
もし複数の割出角度で異常と判定される場合、バックラッシ量算出部20は、全ての異常割出角度Rθで、バックラッシ量を算出する。
【0057】
また本実施形態は、ウォームギヤ異常判定部19から出力される情報を表示するウォームギヤ異常表示部21をさらに備える。
【0058】
次に本発明を傾斜軸に適用する場合につき説明する。
図7の下部は、傾斜軸のアンバランス回転を時系列的に示す模式図である。
図7の上部は、ロータリテーブル装置の数値制御部から傾斜軸サーボモータへ出力される駆動トルク指令を示すグラフである。
【0059】
傾斜軸22を備えるロータリテーブル装置は、
図1に示す主軸12を回転軸と称し、
図1に示す割出ユニット10全体を傾斜させる傾斜軸22(
図7下部)をさらに備える。傾斜軸22を割り出しする割出ユニットは、
図1および
図2と同じ構成であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0060】
図7下部に示すように回転軸の割出ユニット10の重心は、傾斜軸22の中心からずれるようアンバランスな配置になる。傾斜軸22の割出角度の異常を判定するため、外部のコマンド生成部は、数値制御部18によって
図7下部左側に示すように傾斜軸22を時計回りに正回転させる。また外部のコマンド生成部は、数値制御部18によって
図7下部右側に示すように傾斜軸22を反時計回りに逆回転させる。
【0061】
このときの駆動トルク指令は例えば
図7上部に示すようになり、前述した
図6に示す一定の変動幅Wではない。ウォームギヤ異常判定部19は、
図7上部に示す正常値を予め記憶しておき、駆動トルク指令のモニタ結果と正常値とを対比して、割出角度の正常か異常かを判定し、異常割出角度を算出し、これらの結果をウォームギヤ異常表示部21に出力する。
【0062】
正常値は、傾斜軸22を割出ユニットに新規に取り付け割出ユニットを慣らし運転した直後の駆動トルク指令である。
【0063】
図7に示す実施形態によれば、ウォームギヤ異常判定部19がロータリテーブル装置の傾斜軸の割出角度の正常・異常を判定することから、回転軸のみならず、傾斜軸の検査が省人化、効率化される。
【0064】
次に、本発明の送り軸異常判定システムの実施形態につき説明する。
図8は、送り軸異常判定システムの判定対象になる4軸制御マシニングセンタを示す斜視図である。4軸制御マシニングセンタの各送り軸を数値制御する箇所を示す模式図である。
【0065】
図8に示すように4軸制御マシニングセンタは、割出ユニット10と、主軸装置40と、数値制御ユニット50と、各送り軸のサーボアンプSA―X,SA―Y,SA―Z,SA―Aを具備する。
【0066】
割出ユニット10は前述したとおりであり、テーブル11と、テーブル11に同軸に固定される主軸12と、主軸12を駆動するサーボモータ17Aを有する。主軸12は回転に関する送り軸(A軸)に相当する。割出ユニット10はA軸の回転角度を数値制御される工作機械である。
【0067】
主軸装置40は、主軸41と、主軸41をX軸方向に駆動するサーボモータ17Xと、主軸41をY軸方向に駆動するサーボモータ17Yと、主軸41をZ軸方向に駆動するサーボモータ17Zを備える。X軸、Y軸、およびZ軸は、直動に関する送り軸である。主軸装置40は、X軸、Y軸、およびZ軸を数値制御される工作機械である。
【0068】
これらのサーボモータにはエンコーダEC―X,EC―Y,EC―Z,EC―Aがそれぞれ附設される。各サーボモータ17X,17Y,17Z,17Aは対応するサーボアンプSA―X,SA―Y,SA―Z,SA―Aに接続される。各サーボアンプSA―X,SA―Y,SA―Z,SA―Aは数値制御ユニット50に接続される。
図8に二点鎖線で示すこれらの接続手段はケーブル等の有線であるが、
図2に示すような駆動トルク指令等のコマンドやモニタといった微弱電流による信号通信に関しては無線通信手段、あるいはネットワーク接続手段であってもよい。
【0069】
数値制御ユニット50は、各エンコーダEC―X,EC―Y,EC―Z,EC―Aから回転角度に関するデータを入力され、各サーボアンプSA―X,SA―Y,SA―Z,SA―Aへコマンドを出力し、各サーボモータ17X,17Y,17Z,17Aのフィードバック制御を実行する。
【0070】
数値制御ユニット50は、プログラマブルマシンコントローラPMCと、数値制御部NCと、送り軸異常判定部(図略)を有する。コマンド生成部であるプログラマブルマシンコントローラPMCは、数値制御部NCによってX軸、Y軸、およびZ軸の各送り軸を、送り動作範囲の下限値から上限値まで所定の速度で正方向に動作させる。
【0071】
送り軸異常判定部は、各送り軸の正方向動作中に駆動トルク指令をモニタし、正方向動作中のモニタ結果と駆動トルク指令の正常値を対比し、モニタされた駆動トルク指令が正常値から逸脱する場合を異常と判定して該判定結果を出力する。このような送り軸異常判定部の処理は、前述したA軸の送り軸(主軸12)と同様であるため、説明の繰り返しを省略する。
【0072】
図8および
図9に示す実施形態によれば、A軸の割出角度が正常かあるいは異常か、X軸、Y軸、およびZ軸の各送り位置が正常かあるいは異常かを判定することができる。
【0073】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は工作機械に適用される。
【符号の説明】
【0075】
10 割出ユニット、 11 テーブル、 12 主軸、
13 ウォームギヤ、 14 ウォームねじ、 15 メインギヤ、
16 モータギヤ、 17 サーボモータ、 18 数値制御部、
19 ウォームギヤ異常判定部、 20 バックラッシ量算出部、
21 ウォームギヤ異常表示部、 EA,EB 当たり、 EC エンコーダ。