(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】数値制御装置、数値制御機械システム、加工シミュレーション装置、及び加工シミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4068 20060101AFI20220112BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G05B19/4068
B23Q15/00 B
(21)【出願番号】P 2018237096
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2020-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】相澤 誠彰
(72)【発明者】
【氏名】趙 威
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/027355(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/4068
B23Q 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムに基づいて位置指令を出力する位置指令生成部と、
前記位置指令に基づいてサーボモータを制御するサーボ制御部と、
前記加工プログラムに基づいて機械の軸の方向の反転を検出する第1の反転検出部、前記加工プログラムを用いて生成される前記位置指令に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第2の反転検出部、前記軸を駆動する前記サーボモータを制御する前記サーボ制御部の位置偏差又は位置フィードバック情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第3の反転検出部、及び前記機械の可動部の位置情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第4の反転検出部のうちの少なくとも
2つの反転検出部と、
前記少なくとも
2つの反転検出部により検出された
少なくとも2つの反転箇所を可視化して被加工物の画像に重ねた画像を生成する描画部と、
前記描画部で生成された前記画像を出力する出力部と、
を備
え、
前記描画部は、前記少なくとも2つの反転箇所を反転箇所ごとに、前記被加工物の画像とは表示方法を変えて前記被加工物の画像に重ねた画像を生成する、数値制御装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記
少なくとも2つの反転箇所を可視化して重畳された前記被加工物の画像を表示する表示部である請求項
1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記機械は複数の軸を備え、
前記検出された
前記少なくとも2つの反転箇所を可視化して、前記被加工物の画像に重ねるかどうかを前記複数の軸の軸ごとに指定する操作部を備えた、請求項1
又は2に数値制御装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の数値制御装置と、機械と、前記機械の軸を駆動するサーボモータと、
を備えた、数値制御機械システム。
【請求項5】
加工プログラムに基づいて機械の軸の方向の反転を検出する第1の反転検出部、前記加工プログラムを用いて生成される位置指令に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第2の反転検出部、前記軸を駆動するサーボモータを制御するサーボ制御部の位置偏差又は位置フィードバック情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第3の反転検出部、及び前記機械の可動部の位置情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第4の反転検出部のうちの少なくとも
2つの反転検出部と、
前記少なくとも
2つの反転検出部により検出された
少なくとも2つの反転箇所を可視化して被加工物の画像に重ねた画像を生成する描画部と、
前記描画部で生成された前記画像を出力する出力部と、
を備え、
前記描画部は、前記少なくとも2つの反転箇所を反転箇所ごとに、前記被加工物の画像とは表示方法を変えて前記被加工物の画像に重ねた画像を生成する、コンピュータ上で動作する加工シミュレーション装置。
【請求項6】
加工プログラムに基づいて機械の軸の方向の反転を検出する第1の反転検出、前記加工プログラムを用いて生成される位置指令に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第2の反転検出、前記軸を駆動するサーボモータを制御するサーボ制御装置の位置偏差又は位置フィードバック情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第3の反転検出、及び前記機械の可動部の位置情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第4の反転検出のうちの少なくとも
2つの反転検出を行い、
前記少なくとも
2つの反転検出により検出された
少なくとも2つの反転箇所を可視化して被加工物の画像に重ねた画像を生成し、
生成された前記画像を出力する、
加工シミュレーション方法
であって、
前記少なくとも2つの反転箇所を可視化して前記被加工物の画像に重ねた画像を生成するときに、前記少なくとも2つの反転箇所を反転箇所ごとに、前記被加工物の画像とは表示方法を変えて前記被加工物の画像に重ねた画像を生成する、加工シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置、数値制御機械システム、加工シミュレーション装置、及び加工シミュレーション方法に係り、特に、工作機械、ロボット又は産業機械等の機械と、機械の軸を駆動するサーボモータを制御する数値制御装置、数値制御機械システム、加工シミュレーション装置、及び加工シミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加工シミュレーションで解析したデータを実加工に使用する数値制御システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1には、「プログラムに基づいて機械を制御する数値制御装置と、前記プログラムの加工シミュレーション処理を実行する加工シミュレーション装置と、を備えた数値制御システムにおいて、前記プログラムに基づいて加工を行う際に用いられる加工情報を記憶する加工情報記憶部を備え、前記加工シミュレーション装置は、前記プログラムの加工シミュレーション処理に必要な情報を前記数値制御装置から取得する設定データ取得部と、前記設定データ取得部が取得した情報に基づいて前記プログラムの解析を行うプログラム解析部と、前記プログラム解析部が解析した結果から加工に必要となる情報である加工情報を取得する加工情報取得部と、前記加工情報取得部が取得した加工情報を前記加工情報記憶部に保存する加工情報保存部と、を備え、前記数値制御装置は、前記加工情報記憶部から加工情報を取得する解析情報取得部と、前記解析情報取得部が取得した加工情報を実際の加工に使用される情報を復元する復元部と、を備える、ことを特徴とする数値制御システム」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械を用いて被加工物を加工する場合、被加工物の加工面に筋のような加工の問題が生ずる場合がある。このような加工の問題は工具の移動方向の反転箇所で生じやすく、加工の問題の発生原因が工具の移動方向の反転によるものかどうかを判断することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 本開示の一態様の数値制御装置は、加工プログラムに基づいて位置指令を出力する位置指令生成部(例えば、後述の位置指令生成部110)と、
前記位置指令に基づいてサーボモータ(例えば、後述のサーボモータ200)を制御するサーボ制御部(例えば、後述のサーボ制御部120)と、
前記加工プログラムに基づいて機械(例えば、後述の機械300)の軸の方向の反転を検出する第1の反転検出部(例えば、後述の反転検出部131)、前記加工プログラムを用いて生成される前記位置指令に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第2の反転検出部(例えば、後述の反転検出部132)、前記軸を駆動する前記サーボモータを制御する前記サーボ制御部の位置偏差又は位置フィードバック情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第3の反転検出部(例えば、後述の反転検出部133)、及び前記機械の可動部の位置情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第4の反転検出部(例えば、後述の反転検出部134)のうちの少なくとも1つの反転検出部と、
前記少なくとも1つの反転検出部により検出された反転箇所を可視化して被加工物の画像に重ねた画像を生成する描画部(例えば、後述の描画部135)と、
前記描画部で生成された前記画像を出力する出力部(例えば、後述の表示部136)と、
を備えた、数値制御装置(例えば、後述の数値制御装置100)である。
【0006】
(2) 上記(1)の数値制御装置において、前記第1の反転検出部、前記第2の反転検出部、並びに前記第3の反転検出部及び第4の反転検出部のいずれか一方のうち、少なくとも2つの反転検出部を備え、
前記描画部は、前記少なくとも2つの反転検出部により検出された少なくとも2つの反転箇所を反転箇所ごとに表示方法を変えて前記被加工物の画像に重ねた画像を生成してもよい。
【0007】
(3) 上記(1)又は(2)のいずれかの数値制御装置において、前記出力部は、前記反転箇所を可視化して重畳された前記被加工物の画像を表示する表示部(例えば、後述の表示部136)であってもよい。
【0008】
(4) 上記(1)から(4)のいずれかの数値制御装置において、前記機械は複数の軸を備え、
前記検出された反転箇所を可視化して、前記被加工物の画像に重ねるかどうかを前記複数の軸の軸ごとに指定する操作部(例えば、後述の操作部137)を備えてもよい。
【0009】
(5)本開示の一態様の数値制御機械システムは、上記(1)から(4)のいずれかの数値制御装置と、機械と、前記機械の軸を駆動するサーボモータと、を備えた、数値制御機械システム(例えば、後述の数値制御機械システム10)である。
【0010】
(6) 本開示の一態様の加工シミュレーション装置は、加工プログラムに基づいて機械(例えば、後述の機械300)の軸の方向の反転を検出する第1の反転検出部(例えば、後述の反転検出部131)、前記加工プログラムを用いて生成される位置指令に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第2の反転検出部(例えば、後述の反転検出部132)、前記軸を駆動するサーボモータ(例えば、後述のサーボモータ200)を制御するサーボ制御装置(例えば、後述のサーボ制御部120、200A)の位置偏差又は位置フィードバック情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第3の反転検出部(例えば、後述の反転検出部133)、及び前記機械の可動部の位置情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第4の反転検出部(例えば、後述の反転検出部134)のうちの少なくとも1つの反転検出部と、
前記少なくとも1つの反転検出部により検出された反転箇所を可視化して被加工物の画像に重ねた画像を生成する描画部(例えば、後述の描画部135)と、
前記描画部で生成された前記画像を出力する出力部(例えば、後述の表示部136)と、
を備え、
コンピュータ上で動作する加工シミュレーション装置(例えば、後述の加工シミュレーション部130)である。
【0011】
(7) 本開示の一態様の加工シミュレーション方法は、加工プログラムに基づいて機械(例えば、後述の機械300)の軸の方向の反転を検出する第1の反転検出、前記加工プログラムを用いて生成される位置指令に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第2の反転検出、前記軸を駆動するサーボモータ(例えば、後述のサーボモータ200)を制御するサーボ制御装置(例えば、後述のサーボ制御部120、200A)の位置偏差又は位置フィードバック情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第3の反転検出、及び前記機械の可動部の位置情報に基づいて前記軸の方向の反転を検出する第4の反転検出のうちの少なくとも1つの反転検出を行い、
前記少なくとも1つの反転検出により検出された反転箇所を可視化して被加工物の画像に重ねた画像を生成し、
生成された前記画像を出力する、
加工シミュレーション方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、被加工物の加工面上の筋のような加工の問題が生じた場合に加工の問題の発生原因が工具の移動方向の反転によるものかどうか判断でき、又は加工の問題が生じる可能性がある場所を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の数値制御機械システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】サーボモータを含む工作機械の一部を示すブロック図である。
【
図4】加工プログラムにおけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理を示すフローチャートである。
【
図5】表示部に表示される、反転箇所を含まない場合のワークの描画を示す図である。
【
図6】表示部に表示される、反転箇所を含む場合のワークの描画を示す図である。
【
図8】加工形状が円弧の場合のオーバーシュートを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施形態では機械のZ軸方向の反転を例にとって説明するが、本発明はZ軸方向の反転に限定されず、例えば、X軸方向の反転及びY軸方向の反転等にも適用される。
【0015】
図1は本発明の一実施形態の数値制御機械システムの一構成例を示すブロック図である。
図1に示す数値制御機械システム(以下、NC機械システムという)10は、数値制御装置(以下、NC装置という)100、サーボモータ200、及び機械300を備えている。機械300は、例えば、工作機械、ロボット、又は産業機械であるが、以下の説明では工作機械の例を取り上げて説明する。NC装置100は機械300に含まれてもよい。また、サーボモータ200は、機械300に含まれてもよい。
機械300が複数の軸、例えばX軸、Y軸、及びZ軸の3軸を有する場合、サーボモータ200は軸ごとに設けられる。
【0016】
NC装置100は、位置指令生成部110、サーボ制御部120、及び加工シミュレーション部130を備えている。加工シミュレーション部130は加工シミュレーション装置を構成する。
位置指令生成部110は、保存部111、スムージング制御部112、及び加減速制御部113を備えている。
保存部111は、入力される、加工経路を示す指令経路(指令点の配置)を含む加工プログラム及び工具情報を保存する。加工プログラムはCAM(Computer Aided Manufacturing)から出力される。加工実行指示に基づいて、加工ブログラム及び工具情報は保存部111から読みだされ、スムージング制御部112に入力される。加工プログラムは後述する反転検出部131に出力される。
スムージング制御部112は、加工プログラムが示す移動指令に基づく移動経路のスムージング制御を行う。具体的には、スムージング制御部112は、移動指令を滑らかな経路に補正した後、補正後の移動経路上の点を補間周期で補間する(経路補正)。
加減速制御部113は、スムージング制御部112で補間された移動指令、加減速時定数に基づく加減速度、最大速度に基づいて移動速度パターンを生成し、移動速度パターンに基づいて位置指令を生成し、位置指令をサーボ制御部120及び後述する反転検出部132へ出力する。
【0017】
サーボ制御部120は、入力される位置指令と位置フィードバック情報の位置検出値との差となる位置偏差を求め、位置偏差を用いて速度指令を作成し、更に速度指令に基づいてトルク指令を生成してサーボモータ200に出力する。位置偏差は後述する反転検出部133に出力される。
サーボモータ200は、機械300のZ軸を駆動する。位置フィードバック情報は、機械300に取り付けられたリニアスケールからの位置検出値を用いてもよい。
図1では、サーボモータ200及び機械300から位置フィードバック情報がサーボ制御部120に出力されているが、いずれかの位置フィードバック情報がサーボ制御部120に出力されればよい。
【0018】
図2はサーボモータを含む機械の一部を示すブロック図である。
サーボ制御部120は、サーボモータ200で連結機構301を介してテーブル302を移動させ、テーブル302の上に搭載された被加工物(ワーク)を加工する。連結機構301は、サーボモータ200に連結されたカップリング3011と、カップリング3011に固定されるボールねじ3013(可動部となる)とを有し、ボールねじ3013にナット3012が螺合されている。サーボモータ200の回転駆動によって、ボールねじ3013に螺着されたナット3012がボールねじ3013の軸方向に移動する。連結機構301及びテーブル302は機械300の一部である。
【0019】
サーボモータ200の回転角度位置は、サーボモータ200に関連付けられた、位置検出部となるロータリエンコーダ201によって検出され、検出された信号は積分することで位置フィードバック情報(位置FB)としてサーボ制御部120へ出力される(「オープンループ制御」という)。
位置フィードバック情報は、機械300のボールねじ3013の端部に取り付けられたリニアスケール303からの位置検出値を用いてもよい(「クローズドループ制御」という)。リニアスケール303は、ボールねじ3013の移動距離を検出し、その出力を位置フィードバック情報としてサーボ制御部120へ出力し、また機械300の可動部となるボールねじ3013の位置情報として反転検出部134に入力する。
【0020】
加工シミュレーション部130は、反転検出部131、反転検出部132、反転検出部133及び反転検出部134のいずれか一方、描画部135、表示部136及び操作部137を備えている。加工シミュレーション部130は加工シミュレーション装置として、NC装置100の外部に設けることができ、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ等の情報処理装置で構成することができる。反転検出部131~134は、第1の反転検出部、第2の反転検出部、第3の反転検出部及び第4の反転検出部に対応する。表示部136は液晶表示装置、プリンター等を用いることができる。表示部136は反転箇所が重畳された被加工物(ワーク)の画像を出力する出力部となる。出力部は画像を外部に送信する通信部又は画像を記憶する記憶部であってもよい。
以下の説明において、「反転検出部131、反転検出部132、反転検出部133及び反転検出部134のいずれか一方」は、特に断らない限り、単に「反転検出部131~134」と記載する。
【0021】
反転検出部131は、保存部111から出力される加工プログラムから例えば、Z軸方向の反転箇所を検出する。
図3は加工プログラムの一部を示す図である。
図3に示すように、Z軸方向の反転箇所は、「X21.1696Y1.2033Z-2.7381」の位置であることが分かる。
図3において、X、Y及びZはX軸、Y軸及びZ軸を示し、それに続く数値は座標を示す。
なお、
図3では、加工プログラムの一部を示し、反転箇所を1カ所のみ示しているが、加工形状によって、反転箇所が複数存在し得ることは勿論である。
【0022】
反転検出部131におけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理について
図4を用いて説明する。
図4は加工プログラムにおけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理を示すフローチャートである。
ステップS11において、加工プロラムのZ軸方向の反転箇所検出を開始する開始行を第1行に設定する(n=1)。すなわち、反転箇所検出の開始行の番号をn(nは自然数)としたとき、n=1とする。なお、反転箇所検出の開始行は第1行以外の行に設定してもよい。
ステップS12において、設定された第n行のZ軸の値と、次の行である第(n+1)行のZ軸の値とを比較して移動方向を検出する。第(n+1)行のZ軸の値>第n行のZ軸の値ならば正の移動方向、第(n+1)行のZ軸の値=第n行のZ軸の値ならば停止(ゼロの移動方向)、第(n+1)行のZ軸の値<第n行のZ軸の値ならば負の移動方向とする。
【0023】
ステップS13において、ステップS12において検出された移動方向が、記録した移動方向と異なるかを判断する。第n行前のZ軸の移動方向は記憶部に記録されており、例えば、Z軸の移動方向として正の移動方向、又は負の移動方向が記録されている。この第n行前のZ軸の移動方向が記録した移動方向となる。
ステップS13において、ステップS12において検出された移動方向が、記録した移動方向と異なると判断された場合、ステップS14において、移動方向が反転しているとして第n行に反転フラグを設定して記憶部に保存(記録)する。ここで、移動方向が異なるとは、正の移動方向と負の移動方向との関係であることをいう。
なお、ステップS13において、n=1の場合には第n行前のZ軸の移動方向がなく、記憶した移動方向がないので、ステップS16に移る。
【0024】
ステップS15において、記録した移動方向を逆にして記憶部に保存して、ステップS16に移る。具体的には、第n行前のZ軸の移動方向が正の方向であれば、負の方向として保存し、第n行前のZ軸の移動方向が負の方向であれば、正の方向として保存する。また、第n行のZ軸の値を反転箇所として記憶部に保存する。
【0025】
ステップS13において、検出された移動方向が、記録した移動方向と異ならない場合、ステップS16に移る。ステップS13において、検出された移動方向が停止場合には反転していないので、ステップS16に移る。
【0026】
ステップS16において、nに1を加えて新たなnの値(n=n+1)を設定する。
【0027】
ステップS17において、第n行が加工プログラムにおける最終行かの判断を行う。第n行が加工プログラムにおける最終行の場合には、Z軸方向の反転箇所の検出処理を終了する。第n行が加工プログラムにおける最終行でない場合には、ステップS12に戻り、ステップS12からステップS17までの処理を行う。ステップS12からステップS17までの処理の繰り返しにより、加工プログラムのZ軸方向の反転箇所は、行番号、反転フラグ、軸の値が記憶部に保存されていく
以上説明した、反転検出部131におけるZ軸方向の反転の検出処理により、加工プログラムに定義された指令経路に基づいてZ軸方向の反転箇所を得ることができる。
【0028】
描画部135は、反転検出部131で加工プログラムから検出された反転箇所を可視化して被加工物(ワーク)の画像に重ねて、ワークに反転箇所が示された画像情報を作成して(第1画像情報という)、表示部136に送る。ここで、反転箇所の可視化はワークの画像と視覚で判別できるように処理することをいい、例えば、表示色、線の太さ、線のパターン(実線、破線、一点鎖線等)等の表示方法をワークの画像と変えることをいう。
描画部135は、可視化された反転箇所を含む指令経路点をプロットした描画情報(2次元のワークの画像情報)を作成したり、3次元ソリッドモデルを用いて可視化された反転箇所を重ねたワークの画像情報を作成することができる。なお、後述するように、描画部135は、後述する反転検出部132、反転検出部133及び反転検出部134により検出された反転箇所を可視化して、それぞれワークの画像に重ねて、ワークに反転箇所が示された画像情報をそれぞれ作成して(それぞれ第2画像情報、第3画像情報、第4画像情報という)、表示部136に送る。
【0029】
操作部137は、ユーザから入力される選択情報に基づいて、描画部135から表示部136に送られる画像情報を描画部135に対して指示する。描画部135は、操作部137からの指示に基づいて、第1画像情報、第2画像情報、第3画像情報及び第4画像情報のうちから1つを選択して表示部136に送る。
表示部136は描画部135で作成された画像情報を表示する。
上述したように、機械300が複数の軸、例えばX軸、Y軸、及びZ軸の3軸を有する場合、サーボモータ200は軸ごとに設けられる。この場合、操作部137は、ユーザによる軸の選択情報に基づいて、検出された反転箇所を可視化して、被加工物(ワーク)の画像に重ねるかどうかを機械300の軸ごとに選択して表示部136に送るように、描画部135に指定してもよい。
【0030】
図5は表示部に表示される、反転箇所を含まない場合のワークの描画を示す図である。
図6は表示部に表示される、反転箇所を含む場合のワークの描画を示す図である。
図5及び
図6は、3次元ソリッドモデルを用いた描画を示す図である。
図5に示す、表示部136の表示画面上のワーク20は、傾斜部21-1、傾斜部21-1と逆形状の傾斜部21-2、円状の穴部22-1、穴部22-1と逆形状の円状の突出部22-2、断面が円弧状の凹面23-1、凹面23-1と逆形状の、断面が円弧状の凸面23-2、四角溝24-1、及び四角溝24-1と逆形状の四角凸部24-2を備えている。
【0031】
図6に示す、表示部136の表示画面上のワーク20Aは、
図5に示すワーク20の画像に反転箇所を重ね合わせたワークの画像である。
工具の往復加工などで隣接する工具経路で高低差が規則的に揃うと筋となり、肉眼で確認することができる。実際に加工プログラムに基づいて機械300で作製されるワークに筋が生じた場合、ユーザは作製されたワークの筋が、
図6に示される、反転検出部131で検出された、Z軸方向の反転箇所の線と一致するかどうかを観察する。作製されたワークの筋が、
図6に示される、Z軸方向の反転箇所の線と一致する場合は、当該筋が加工プログラムに定義された指令経路におけるZ軸方向の反転が原因となって生じたものであることが分かる。作製されたワークの筋が、
図6に示される、Z軸方向の反転箇所の線と一致しない場合は、当該筋は加工プログラムのZ軸方向の反転以外の要因が原因となって生じたものであることが分かる。
以上のようにして、ワークの加工不具合(筋の形成)の原因が、反転検出部131を用いることで、加工プログラムに定義された指令経路における反転に基づくものであるか否かの判断が可能となる。
【0032】
次に、反転検出部132におけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理について説明する。反転検出部132におけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理は、加工プログラムの第n行のZ軸の値と第(n+1)行のZ軸の値とを比較して移動方向を検出していたのを、位置指令生成部110により生成された位置指令の変化(増加、維持又は減少)に基づいて移動方向を検出することを除いて、
図4に示したフローチャートと同様にして行われる。
【0033】
反転検出部132は、加減速制御部113から出力される位置指令から、Z軸方向の反転箇所を検出する。
描画部135は、反転検出部132で検出された反転箇所を可視化してワークの画像に重ねて、ワークに反転箇所が示された画像情報を作成し、表示部136は描画部135で作成された画像情報を表示する。
【0034】
実際に加工プログラムに基づいて機械300で作製されるワークに筋が生じた場合、ユーザは作製されたワークの筋が、反転検出部132で検出されたZ軸方向の反転箇所の線と一致するかどうかを観察する。作製されたワークの筋が、Z軸方向の反転箇所の線と一致する場合は、当該筋が位置指令生成部110により生成された位置指令におけるZ軸方向の反転が原因となって生じたものであることが分かる。作製されたワークの筋が、Z軸方向の反転箇所の線と一致しない場合は、当該筋は位置指令生成部110によるZ軸方向の反転以外の要因が原因となって生じたものであることが分かる。
加工プログラムでは各軸の移動指令が一般的であるが、同時5軸加工では、直線軸の3軸に回転軸の2軸が付加されるため、機械構造と工具長を考慮した制御点の移動量を考慮することが求められる。5軸加工機械の加工プログラムは、工具の先端位置とワークに対する工具の傾きを指令することで、
図7に示すように工具先端点制御で経路L1のように工具304の先端点の経路を指令するが、位置指令生成部110は工具の先端位置とワークの対する工具の傾きとの両者を満たすように工具と機械構造を考慮した各軸の制御点を計算する。例えば、
図7に示す経路L2のように位置指令生成部110は工具304の制御点のZ軸方向の円弧状の経路L2を求める。このような経路L2のZ軸方向の反転箇所は加工プログラムを解析しても検出することができないため、反転検出部132は位置指令に基づいて経路L2でのZ軸方向の反転箇所を検出する。
以上のようにして、ワークの加工不具合(筋の形成)の原因が、反転検出部132を用いることで、位置指令におけるZ軸方向の反転に基づくものであるか否かの判断が可能となる。
【0035】
次に、反転検出部133におけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理について説明する。
反転検出部133におけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理は、加工プログラムの第n行のZ軸の値と第(n+1)行のZ軸の値とを比較して移動方向を検出していたのを、位置偏差(位置指令と位置フィードバック情報との差)の変化(増加、維持又は減少)に基づいて移動方向を検出することを除いて、
図4に示したフローチャートと同様にして行われる。
反転検出部133は、サーボ制御部120から出力される位置偏差から、例えば、Z軸方向の反転箇所を検出する。サーボモータ200は機械300の工具をZ軸の目標位置に位置決めするときに、サーボ制御部120の特性に起因してオーバーシュートが発生する場合がある。このオーバーシュートによりZ軸の目標位置を超えた位置から目標位置に戻すためにZ軸方向の反転が生ずる。このオーバーシュートにより生ずる反転はサーボ制御部120の、フィードフォワード制御等の特性に基づくものであって、加工プログラムに定義された指令経路及び位置指令生成部110により生成された位置指令に基づくものではない。反転検出部133は、位置偏差からZ軸方向の反転箇所を検出することで、例えばオーバーシュート等により生ずる反転を検出することができる。
【0036】
具体的には、加工形状が円弧の場合は、
図8に示すように、工具をZ軸方向に移動するサーボモータ200は位置A1で、回転方向が反転し、工具をX軸方向に移動するサーボモータは位置A1の近傍でほぼ定速度で一定方向に回転する。このとき、工具をZ軸方向に移動するサーボモータの回転方向が位置A1で反転しようとした時に、オーバーシュートが生じると、半径方向に突起が生ずる。この突起の部分で位置偏差が増大しその後減少するので反転検出部133はZ軸方向の反転箇所を検出することができる。
【0037】
描画部135は、反転検出部133で検出された反転箇所を可視化して被加工物(ワーク)の画像に重ねて、ワークに反転箇所が示された画像情報を作成し、表示部136は描画部135で作成された画像情報を表示する。
【0038】
実際に加工プログラムに基づいて機械300で作製されるワークに筋が生じた場合、ユーザは作製されたワークの筋が、反転検出部133で検出されたZ軸方向の反転箇所の線と一致するかどうかを観察する。作製されたワークの筋が、Z軸方向の反転箇所の線と一致する場合は、当該筋がサーボ制御部120の制御によるZ軸方向の反転が原因となって生じたものであることが分かる。作製されたワークの筋が、Z軸方向の反転箇所の線と一致しない場合は、当該筋がサーボ制御部120の制御によるZ軸方向の反転以外の要因が原因となって生じたものであることが分かる。
【0039】
なお、ここでは、
図2に示したサーボモータ200に取り付けられたロータリエンコーダ201の出力を積分して得らえる位置フィードバック情報(位置検出値)を用いてZ軸方向の反転箇所を検出した。
以上のようにして、ワークの加工不具合(筋の形成)の原因が、オープンループ制御方式における反転検出部133を用いることで、フィードフォワード制御等の特性によるオーバーシュート等により生ずる反転に基づくものであるか否かの判断が可能となる
【0040】
次に、反転検出部134におけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理について説明する。
反転検出部134におけるZ軸方向の反転箇所を検出するための処理は、加工プログラムの第n行のZ軸の値と第(n+1)行のZ軸の値とを比較して移動方向を検出していたのを、リニアスケール303からの位置情報(位置検出値)の変化(増加、維持又は減少)に基づいて移動方向を検出することを除いて、
図4に示したフローチャートと同様にして行われる。リニアスケール303から出力される位置情報はリニアスケール303から出力される位置フィードバック情報と同じ信号である。
ボールネジの劣化、バックラシュ等により、Z軸の目標位置に位置決めするときに、オーバーシュートが発生する場合がある。このオーバーシュートによりZ軸の目標位置を超えた位置から目標位置に戻すために反転が生ずる。
このオーバーシュートにより生ずる反転は、ボールネジの劣化、バックラシュ等の機械300の特性に起因する場合は、加工プログラム、位置指令によっては検出できない。また、オープンループ制御方式は検出できない場合がある。機械300に取り付けられたリニアスケール303の位置情報を用いて、反転検出部134によってZ軸方向の反転箇所を検出する。サーボ制御部120は、位置フィードバック情報として、機械300に取り付けらえたリニアスケール303から求められる位置情報を用いてもよい。
【0041】
なお、ボールネジの劣化、バックラシュ等の機械300の特性に起因するオーバーシュートもサーボ制御部120の特性に起因してオーバーシュートと同様に、オーバーシュートが生じると、
図8に示すような、半径方向に突起が生ずる。この突起の部分で位置検出値が増大しその後減少するので反転検出部134はZ軸方向の反転箇所を検出することができる。
【0042】
描画部135は、反転検出部134で検出された反転箇所を可視化してワークの画像に重ねて、ワークに反転箇所が示された画像情報を作成し、表示部136は描画部135で作成された画像情報を表示する。
【0043】
実際に加工プログラムに基づいて機械300で作製されるワークに筋が生じた場合、ユーザは作製されたワークの筋が、反転検出部134で検出されたZ軸方向の反転箇所の線と一致するかどうかを観察する。作製されたワークの筋が、Z軸方向の反転箇所の線と一致する場合は、当該筋が機械300の駆動によるZ軸方向の反転が原因となって生じたものであることが分かる。作製されたワークの筋が、Z軸方向の反転箇所の線と一致しない場合は、当該筋が機械300の駆動によるZ軸方向の反転以外の要因が原因となって生じたものであることが分かる。
以上のようにして、ワークの加工不具合(筋の形成)の原因が、クローズドループ制御方式における反転検出部134を用いることで、機械300の駆動によるZ軸方向の反転に基づくものであるか否かの判断が可能となる
【0044】
以上の説明では、操作部137が、ユーザから入力される選択情報に基づいて、描画部135から表示部136に送られる画像情報(第1画像情報、第2画像情報、第3画像情報及び第4画像情報のうちの1つ)を描画部135に対して指示するとしていた。そして、機械300で作製されたワークの筋と、反転検出部131~134のいずれかで検出されたZ軸方向の反転箇所の線とを比較することで、ワークの加工不具合の発生原因を判断していた。
【0045】
しかし、反転検出部131~134のうちの少なくとも2つの反転検出部で検出された、少なくとも2つのZ軸方向の反転箇所を可視化して
図5に示したワークに重ねて表示部136に表示して、機械300で作製されたワークの筋と比較して、発生原因を判断することができる。その場合、少なくとも2つの反転箇所のそれぞれの反転箇所ごとに表示色、線の太さ、線のパターン(実線、破線)等の表示方法を変えて表示することが好ましい。
例えば、反転検出部131、反転検出部132及び反転検出部133で検出されたZ軸方向の3つの反転箇所の線を赤色、青色、緑の3色でワークに重ねて表示することで、Z軸方向の3つの反転箇所の線と、機械300で作製されたワークの筋と比較して、機械300で作製されたワークの筋が3つの反転箇所のどの線と一致するかで、筋が生じた原因が、加工プログラムと、NC装置と、サーボ制御装置とのいずれにあるのかを判断できる。
なお、
図1に示した加工シミュレーション部130は反転検出部131~134のすべてを含んでいなくともよく、反転検出部131、反転検出部132、反転検出部133、反転検出部134のうちの少なくとも1つの反転検出部を備えていればよい。
【0046】
(変形例)
上述した実施形態では、NC機械システム10は、NC装置100がサーボ制御部120及び加工シミュレーション部130を含む例について説明した。しかしながら、サーボ制御部120又は/及び加工シミュレーション部130の一部はNC装置の外部に設けてもよい。
サーボ制御部120及び加工シミュレーション部130の一部をNC装置の外部に設けた場合、第3の反転検出部となる反転検出部133はサーボ制御部120に、反転検出部134はNC装置100の外部に設けられるようにしてもよい。
【0047】
以上説明した、本実施形態によれば、被加工物の加工面上の筋のような加工の問題が生じた場合に加工の問題の発生原因が工具の移動方向の反転によるものかどうか判断でき、又は加工の問題が生じる可能性を判断できる。
更に、工具の移動方向の反転箇所は、加工プログラム、位置指令生成部、サーボ制御部、及び機械によって影響される。しかしながら、本実施形態によれば、被加工物の加工面に筋のような加工の問題が生じた場合、発生原因が加工プログラムと、位置指令生成部と、サーボ制御部と、機械との少なくとも一方と、のうちのどれによって生じたかを特定することができる。
更に、機械加工前においても、工具の移動方向の反転による加工の問題が生じる可能性がある場所を認識することができる。
【0048】
以上本発明に係る各実施形態について説明したが、上記のNC装置、及びNC装置に含まれる位置指令生成部110、サーボ制御部120、及び加工シミュレーション部等の各構成部は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記各構成部のそれぞれの協働により行なわれる加工シミュレーション方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0049】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0050】
図1に示したNC装置100、位置指令生成部110、サーボ制御部120、及び加工シミュレーション部(NC装置100等という)に含まれる機能ブロックを実現するために、NC装置100等は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備えるコンピュータで構成することができる。また、NC装置100等は、アプリケーションソフトウェアやOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置も備える。
【0051】
そして、NC装置100等において、演算処理装置が補助記憶装置からアプリケーションソフトウェアやOSを読み込み、読み込んだアプリケーションソフトウェアやOSを主記憶装置に展開させながら、これらのアプリケーションソフトウェアやOSに基づいた演算処理を行なう。また、この演算結果に基づいて、NC装置が備える各種のハードウェアを制御する。これにより、本実施形態の機能ブロックは実現される。つまり、本実施形態は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
【0052】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、機械の例として工作機械について説明したが、ロボット及び産業機械にも適用でき、ロボットのアームが軸方向の反転を伴なって往復移動で塗装又は溶接を行う場合に本実施形態の数値制御装置、数値制御機械システム、加工シミュレーション装置、及び加工シミュレーション方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10、10A NC機械システム
100 NC装置
110 位置指令生成部
120 サーボ制御部
130 加工シミュレーション部
131~134 反転検出部
135 描画部
136 表示部
137 操作部
200 サーボモータ
300 機械