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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】エチレン用チャージガス圧縮トレイン
(51)【国際特許分類】
   F04D 17/12 20060101AFI20220112BHJP
   F04D 29/053 20060101ALI20220112BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20220112BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20220112BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
F04D17/12
F04D29/053 A
F04D29/42 H
F04D29/58 N
F04D29/28 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018502005
(86)(22)【出願日】2016-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2016067566
(87)【国際公開番号】W WO2017017024
(87)【国際公開日】2017-02-02
【審査請求日】2019-07-16
(31)【優先権主張番号】102015000038033
(32)【優先日】2015-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】カーモネ,クラリス
(72)【発明者】
【氏名】バンチ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】イウリスキ,ジュゼッペ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/048265(WO,A1)
【文献】特開2001-107891(JP,A)
【文献】特開平06-193585(JP,A)
【文献】実開昭60-028294(JP,U)
【文献】特開2011-256858(JP,A)
【文献】特開平09-119394(JP,A)
【文献】特開昭57-086600(JP,A)
【文献】特開2011-021599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 17/12
F04D 29/053
F04D 29/42
F04D 29/58
F04D 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン用チャージガス圧縮トレイン(1)であって、
蒸気タービン(2)と、圧縮段の第1の群(3)、圧縮段の第2の群(4)、および圧縮段の第3の群(5)を含む第1の圧縮機(60)とを、同じ軸線上に備えており、
a.前記圧縮段の第1の群(3)は、第1のインタークーラ入口(10A)へと接続されるように構成された出口(3B)を備え、
b.前記圧縮段の第2の群(4)は、第1のインタークーラ出口(10B)へと接続されるように構成された第2の圧縮機入口(4A)を備え、前記圧縮段の第2の群(4)は、第2のインタークーラ入口(11A)へと接続されるように構成された第2の圧縮機出口(4B)を備え、
c.前記圧縮段の第3の群(5)は、第2のインタークーラ出口(11B)へと接続されるように構成された第3の圧縮機入口(5A)を備え、
前記圧縮段の第1の群(3)、第2の群(4)、および第3の群(5)は、第1の共通ケーシング(20)内に統合され、前記蒸気タービン(2)と同じ回転速度で動作し、
前記第1の圧縮機(60)は、複数のシュラウド無しおよびシュラウド付きのインペラ(50,51)を備え、少なくとも1つのシュラウド無しのインペラ(50)が、少なくとも1つのシュラウド付きのインペラ(51)に対して上流に位置しており、前記シュラウド無しのインペラ(50)は、前記シュラウド付きのインペラ(51)よりも大きな直径を有するチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項2】
前記第1の圧縮機(60)の前記インペラ(50,51)は、互いに積み重ねられ、少なくともタイロッド(71)によって一体に固定されている、請求項1に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項3】
連続するインペラ(50,51)は、機械的な接続によって互いに接続されている、請求項1又は2に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項4】
前記機械的な接続は、Hirth継手(70)である、請求項に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項5】
前記圧縮段の第1の群(3)は、3~4バールの間の吐出圧力で動作し、前記圧縮段の第2の群(4)は、6~8バールの間の吐出圧力で動作し、前記圧縮段の第3の群(5)は、10~19バールの間の吐出圧力で動作する、請求項1乃至のいずれか1項に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項6】
圧縮段の第4の群(6)と圧縮段の第5の群(7)とを備える第2の圧縮機(61)をさらに備えており、
a.前記圧縮段の第3の群(5)は、第3のインタークーラ入口(12A)に接続されるように構成された第3の圧縮機出口(5B)を備え、
b.前記圧縮段の第4の群(6)は、第3のインタークーラ出口(12B)に接続されるように構成された第4の圧縮機入口(6A)と、第4のインタークーラ入口(13A)に接続されるように構成された第4の圧縮機出口(6B)とを備え、
c.前記圧縮段の第5の群(7)は、第4のインタークーラ出口(13B)に接続されるように構成された第5の圧縮機入口(7A)を備え、
前記圧縮段の第4の群(6)および前記圧縮段の第5の群(7)は、第2の共通ケーシング(21)内に統合され、前記蒸気タービン(2)と同じ回転速度で動作する、請求項1乃至のいずれか1項に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項7】
前記圧縮段の第4の群(6)は、18~22バールの間の吐出圧力で動作し、前記圧縮段の第5の群(7)は、35~40バールの間の吐出圧力で動作する、請求項に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項8】
前記蒸気タービン(2)、前記第1の圧縮機(60)、または前記第2の圧縮機(61)のうちの少なくとも1つは、5000~12000rpmの間に含まれる回転速度範囲にて動作するように構成されている、請求項又はに記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項9】
前記圧縮段の第1の群(3)、前記圧縮段の第2の群(4)、および前記圧縮段の第3の群(5)は、同じ圧縮機シャフト(30)に取り付けられ、前記蒸気タービン(2)は、前記圧縮機シャフト(30)に直接結合しており、
前記第2の圧縮機(61)の前記圧縮段の第4の群および第5の群(6、7)は、当該同じ圧縮機シャフト(30)に取り付けられている、請求項乃至のいずれか1項に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項10】
前記圧縮段の第1の群(3)、前記圧縮段の第2の群(4)、および前記圧縮段の第3の群(5)は、同じ圧縮機シャフト(30)に取り付けられ、前記蒸気タービン(2)は、前記圧縮機シャフト(30)に直接結合している、請求項1乃至のいずれか1項に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【請求項11】
前記圧縮機シャフト(30)は、単一の部品にて形成され、あるいはねじり結合した異なる部品にて形成されている、請求項又は10に記載のチャージガス圧縮トレイン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、エチレン用チャージガス圧縮トレインに対応する。
【背景技術】
【0002】
エチレンは、石油化学工業において水蒸気分解によって製造される。このプロセスにおいては、気体または軽質液体炭化水素を750~950℃に加熱して多数のフリーラジカル反応を引き起こし、その後に即時の冷却によってこれらの反応を停止させる。このプロセスは、大きな炭化水素をより小さな炭化水素に変換し、不飽和を導入する。
【0003】
エチレンの製造は、分解ガスの一次圧縮(3段または3段階の圧縮)と、その後の二次圧縮(1段または1段階、あるいは2段または2段階)とを含む。硫化水素および二酸化炭素が、通常は、二次圧縮の際に除去される。
【0004】
一次および二次圧縮のために、機械的に接続された5つの機械、すなわち蒸気タービン、ギアボックス、低圧圧縮機の第1の群、および高圧圧縮機の第2の群を備える形式のターボ圧縮機トレインを使用することができる。ギアボックスは、例えば回転速度を5000RPMへと高め、この回転を圧縮機の第1および第2の群へと伝達する増速型のギアである。
【0005】
低圧圧縮機の第1の群は、2つの入力を介して入力圧力(例えば、約1.5~2バール)および入力温度(例えば、約35~50℃)のガス流を受け取り、出力圧力(例えば、約2.5~4バール)および出力温度(例えば、約85~100℃)のガス流を出力するダブルフロー型の第1の圧縮機(圧縮段の2つの群を有する)を備える。次いで、出力ガスは、冷却され、第2の圧縮機および第3の圧縮機へと入力される。第2および第3の圧縮機は、2セクション型の圧縮機に分類される。
【0006】
第2の圧縮機は、第1の入力圧力(例えば、2.5~4バール)および第1の入力温度(例えば、約35~45℃)の入力ガス流を受け取り、第1の出力圧力(例えば、約5.5~7バール)および第1の出力温度(例えば、約85~95℃)の第1の出力流を出力する。次いで、この第1の出力流は、冷却され、第2の入力圧力(例えば、5~7バール)および第2の入力温度(例えば、約35~45℃)の第2の流れとして第3の圧縮機に入力される。次いで、第3の圧縮機は、第2の出力圧力(例えば、約10~12バール)および第2の出力温度(例えば、約85~95℃)の第2の出力流を出力する。
【0007】
第1、第2、および第3の圧縮機(あるいは、圧縮機段の群)において生じる気体の圧縮は、それぞれ一次圧縮の第1、第2、および第3の段(または、段階)を表す。
【0008】
次いで、出力ガスは、再び冷却され、第4の圧縮機および第5の圧縮機を備える高圧圧縮機の第2の群へと入力される。第4および第5の圧縮機は、やはり2セクション型の圧縮機に分類される。
【0009】
第4の圧縮機は、第3の入力圧力(例えば、10~11バール)および第3の入力温度(例えば、約35~45℃)の入力ガス流を受け取り、第3の出力圧力(例えば、約15~25バール)および第3の出力温度(例えば、約85~95℃)の第3の出力流を出力する。次いで、この第3の出力流は、冷却され、第4の入力圧力(例えば、18.5~20バール)および第4の入力温度(例えば、約35~50℃)の第4の流れとして第5の圧縮機に入力される。第4の圧縮機は、最終的に、第4の出力圧力(例えば、約30~40バール)および第4の出力温度(例えば、約85~95℃)の第4の出力流を出力する。
【0010】
第4および第5の圧縮機(あるいは、圧縮機段の群)において生じるガスの圧縮は、それぞれ二次圧縮の第1および第2の段(または、段階)を表す。
【0011】
低圧圧縮機の第1の群の設置面積が、ダブルフロー型の第1の圧縮機ならびに2セクション型の第2および第3の圧縮機の存在ゆえに問題となる。
【0012】
さらに、システム全体の信頼性が、高価な構成部品でもあるギアボックスの信頼性に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】オーストラリア特許第2013 204 886号明細書
【発明の概要】
【0014】
したがって、エチレン用チャージガス圧縮トレインであって、既知のトレインと比べてより信頼性が高く、よりコストが低く、より空間(設置面積に関して)を消費しないチャージガス圧縮トレインが、一般的に必要とされている。
【0015】
重要な考え方は、蒸気タービンを、低圧圧縮機の群へと直接結合させることにある。
【0016】
もう1つの重要な考え方は、低圧圧縮機を共通のケーシング内に統合することにある。
【0017】
本明細書に開示される主題の第1の実施形態は、エチレン用チャージガス圧縮トレインに対応する。
【0018】
本明細書に開示される主題の第2の実施形態は、より小さいサイズのエチレン用チャージガス圧縮トレインに対応する。
【0019】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を例示し、「発明を実施するための形態」と併せて、これらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】エチレン用チャージガス圧縮トレインを概略的に示している。
図2】サイズが縮小されたエチレン用チャージガス圧縮トレインを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の典型的な実施形態の説明においては、添付の図面が参照される。
【0022】
以下の説明は、本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0023】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、或る実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の種々の箇所に現れる「一実施形態において」または「実施形態において」という表現は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせられてよい。
【0024】
図1は、エチレン用チャージガス圧縮トレインを示している。このトレインは、1年に0.8~1.4Mtonを生産するプラントの一部であってよい。
【0025】
トレインは、同じ軸線上に、蒸気タービン2と、圧縮段の第1の群3、圧縮段の第2の群4、および圧縮段の第3の群5を含む第1の圧縮機60とを備える。圧縮段の第1の群3、第2の群4、および第3の群5は、いわゆる低圧圧縮機群の一部を形成する。
【0026】
蒸気タービン2は、高速型の蒸気タービンであってよく、すなわちタービンのシャフトが、5000~12000RPMの間に含まれる速度で回転することができる。蒸気タービン2は、大径の第1の制御段と、高速タービンブレードを備える最終段とを備えることができる。
【0027】
圧縮段の第1の群3、第2の群4、および第3の群5は、タービンの同じ回転速度で動作することができる。したがって、圧縮機も、高速型の圧縮機であってよく、すなわち圧縮機のシャフトおよびインペラは、5000~12000RPMの間の速度で回転することができ、いくつかの構成においては、回転速度が22000RPMに達してもよい。
【0028】
この圧縮機の回転速度を達成するために、少なくとも圧縮段の群のうちの少なくとも1つ、好ましくは圧縮段の第1の群が、複数の開放(または、シュラウド無しの)インペラおよびシュラウド付きインペラを備えることができる。シュラウド付きインペラにおいては、各々のブレード先端が、共通の外側シュラウドの一部である一方で、開放またはシュラウド無しのインペラにおいては、各々のブレードが、自由端の先端を有する。1つ以上のインペラ50,51は、互いに機械的に接続され、少なくとも軸方向のタイロッド71によって一体に固定されて圧縮機のロータを形成する積み重ね可能な形式であってよい(積み重ねて配置されてよい)。好ましくは、圧縮機インペラの少なくとも第1の群3の上流インペラが、シュラウド無しのインペラ50である一方で、残りのインペラは、シュラウド付きのインペラ51である。さらに、少なくとも2つの連続するインペラの間の機械的な接続は、Hirth式(Hirth継手70)であってよい。
【0029】
好ましくは、シュラウド無しのインペラ50は、シュラウド付きのインペラ51よりも大きな直径を有することができる。この構成によれば、シュラウド付きのインペラのシュラウドは、遠心力によって多くを求められることがない。
【0030】
さらに、圧縮機のロータを、22000rpmまでの最大回転速度を得るように構成することができる。
【0031】
圧縮段の第1の群3は、第1のインタークーラ入口10Aに接続されるように構成された出口3Bを備えることができる。第1のインタークーラ10を、第1の圧縮機からの圧縮されたガスを集め、圧縮段の第2の群4へともたらすように構成することができる。
【0032】
圧縮段の第2の群4は、第1のインタークーラ出口10Bに接続されるように構成された第2の圧縮機入口4Aを備えることができる。さらに、第2の圧縮機4は、第2のインタークーラ入口11Aに接続されるように構成された第2の圧縮機出口4Bを備えることができる。第2のインタークーラ11は、圧縮段の第2の群からの圧縮されたガスを集め、圧縮段の第3の群5へともたらすことができる。
【0033】
圧縮段の第3の群5は、第2のインタークーラ出口11Bに接続されるように構成された第3の圧縮機入口5Aを備えることができる。
【0034】
一態様によれば、圧縮段の第1の群3、第2の群4、および第3の群5は、第1の共通ケーシング20内に統合され、蒸気タービン2と同じ回転速度で回転することができる。それらは、同じ圧縮機シャフト30上に取り付けられてよい。さらに、蒸気タービン2を、単一の部品にて形成されてよく、あるいはねじり結合した異なる部品にて形成されてよい圧縮機シャフト30に、直接結合させることができる。
【0035】
そのような構成は、トレインの設置面積を大幅に削減し、低圧圧縮機の第1の群によって使用される空間を小さくする。
【0036】
さらに、蒸気タービン2を圧縮機シャフト30に直接結合させることで、ギアボックスがもはや必要とされず、システムの全体的な信頼性が改善される。
【0037】
図1の説明に戻ると、高圧圧縮機の第2の群を蒸気タービン2と同じ速度で駆動することができることに、注目することができる。それは、同じ圧縮機シャフト30に取り付けられてよい。
【0038】
高圧圧縮機の第2の群は、圧縮段の第4の群6と圧縮段の第5の群7とを含む第2の圧縮機61を備えることができる。
【0039】
圧縮段の第3の群5が、第3のインタークーラ入口12Aに接続されるように構成された第3の圧縮機出口5Bを備えることができる。第3のインタークーラ12を、圧縮段の第3の群5を出るガスを集めて、圧縮段の第4の群6へと送るように構成することができる。
【0040】
この理由のために、圧縮段の第4の群6は、第3のインタークーラ出口12Bに接続されるように構成された第4の圧縮機入口6Aと、第4のインタークーラ入口13Aに接続されるように構成された第4の圧縮機出口6Bとを備えることができる。上述のインタークーラと同様に、第4のインタークーラ13は、圧縮段の第4の群6から出るガスを集め、圧縮段の第5の群7へと送ることができる。
【0041】
第4のインタークーラ出口13Bを、直接または苛性タワー50を介して、第4のインタークーラ出口13Bに接続されるように構成された第5の圧縮機入口7Aへと接続することができる。
【0042】
気付くことができるとおり、圧縮段の第4の群6および第5の群7は、第2の共通ケーシング21内に統合されてよく、同じ圧縮機シャフト30に取り付けられてよい。したがって、圧縮段の第4の群および第5の群は、2セクション型の圧縮機であってよい。
【0043】
以上の説明において、いずれかの圧縮器の入口または出口について、インタークーラ(すなわち、熱交換器)の入口または出口に接続されるように構成されるという言及がなされた場合、接続は、(例えば、管を介して)直接に実現されても、あるいはインタークーラおよび圧縮器へとガスを運び、さらにはインタークーラおよび圧縮器からガスを運ぶために使用することができる他の適切な装置を介して実現されてもよいと、理解しなければならない。
【0044】
上述の例において、圧縮機シャフト30は、通常の動作の際に、5500RPM(すなわち、蒸気タービン2および圧縮機と同じ回転速度)で回転することができる。
【0045】
この状態において、圧縮段の第1の群3は、3~4バールの間の吐出圧力で動作することができる。次いで、ガスは、圧縮段の第2の群4に進入する。
【0046】
圧縮段の第2の群4は、6~8バールの間の吐出圧力を含むことができる。ガスは、5~7バールの間の圧力で圧縮段の第3の群5に進入することができる。
【0047】
圧縮段の第3の群5は、10~19バールの間の吐出圧力で動作することができる。ガスは、10~12バールの圧力で圧縮段の第4の群6に進入することができる。
【0048】
圧縮段の第4の群6は、18~22バールの間の吐出圧力で動作することができる。
【0049】
ガスは、17~21バールの圧力で圧縮段の第5の群7に進入することができる。
【0050】
圧縮段の第5の群7は、35~40バールの間の吐出圧力で動作することができる。
【0051】
以上の説明において、温度および圧力などのいくつかのパラメータは、例として示されている。当然ながら、個々のパラメータの範囲は、トレインの構成および具体的なプロセスパラメータに応じて、上述のパラメータの範囲からわずかに相違してもよい。
【0052】
図2は、生産が0.8Mton/年未満であるプラントに特有のエチレンガスチャージ圧縮トレインの別の実施形態を示している。
【0053】
主な違いは、この構成においては、圧縮段が3群だけしか存在しない点にある。したがって、低圧圧縮機の第1の群と高圧圧縮機の第2の群との間の差が存在しない。
【0054】
3群の圧縮機段によって形成される単一ケーシング圧縮機は、21バールまでの圧力のガスを生成することができる。
【0055】
この実施形態の説明において、既に説明した部分と機能的に同様の部分は、同じ参照符号によって示され、それらの説明は省略される。
【0056】
この構成において、蒸気タービン2は、圧縮機段の群の回転速度に対応する約9000RPMで回転する。
【0057】
この状態において、圧縮段の第1の群3は、3~4バールの間の吐出圧力で動作することができる。ガスは、2~3.5バールの間の圧力で圧縮段の第2の群4に進入することができる。
【0058】
圧縮段の第2の群4は、6~8バールの間の吐出圧力を含むことができる。ガスは、6~7.5バールの間の圧力で圧縮段の第3の群5に進入することができる。
【0059】
圧縮段の第3の群5は、10~19バールの間の吐出圧力で動作することができる。
【0060】
本明細書に記載の主題について開示した実施形態を、図面に示し、いくつかの典型的な実施形態との関連において具体的かつ詳細に上記において充分に説明してきたが、多数の修正、変更、および省略が、本明細書に記載の新たな教示、原理、および概念、ならびに添付の特許請求の範囲に述べられる主題の利点から実質的に離れることなく可能であることが、当業者にとって明らかであろう。したがって、開示した技術革新の適切な範囲は、すべてのそのような修正、変更、および省略を含むように、添付の特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ定められるべきである。加えて、プロセスまたは方法のあらゆるステップの順序または並びは、代案の実施形態によれば、変更されてよく、あるいは並べ直されてよい。
【符号の説明】
【0061】
1 エチレン用チャージガス圧縮トレイン
2 蒸気タービン
3 圧縮機段の第1の群
3B 出口
4 圧縮機段の第2の群
4A 圧縮機入口
4B 圧縮機出口
5 圧縮機段の第3の群
5A 圧縮機入口
5B 圧縮機出口
6 圧縮段の第4の群
6A 圧縮機入口
6B 圧縮機出口
7 圧縮段の第5の群
7A 圧縮機入口
7B 圧縮機出口
10 第1のインタークーラ
10A インタークーラ入口
10B インタークーラ出口
11 第2のインタークーラ
11A インタークーラ入口
11B インタークーラ出口
12 第3のインタークーラ
12A インタークーラ入口
12B インタークーラ出口
13 第4のインタークーラ
13A インタークーラ入口
13B インタークーラ出口
20 第1の共通ケーシング
21 第2の共通ケーシング
30 圧縮機シャフト
50 シュラウド無しのインペラ、苛性タワー
51 シュラウド付きのインペラ
60 第1の圧縮機
61 第2の圧縮機
70 インペラ間の機械的な接続、Hirth継手
71 タイロッド
図1
図2