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特許7000320基礎層及びこれに取付けられた窓を有する研磨パッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】基礎層及びこれに取付けられた窓を有する研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/20 20120101AFI20220112BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220112BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20220112BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20220112BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20220112BHJP
【FI】
B24B37/20
H01L21/304 622F
B24B37/013
B24B37/24 B
B24B37/24 C
B24B37/26
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2018521513
(86)(22)【出願日】2016-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 US2016059985
(87)【国際公開番号】W WO2017079196
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-10-08
(31)【優先権主張番号】14/931,737
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ポール アンドレ ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム シー.アリソン
(72)【発明者】
【氏名】ダイアン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ホセ アーノ
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528309(JP,A)
【文献】特開2007-307639(JP,A)
【文献】特開2009-045694(JP,A)
【文献】特開2015-189002(JP,A)
【文献】特開2015-047692(JP,A)
【文献】特開2004-260156(JP,A)
【文献】特表2015-503232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1弾性率を有する基礎層と、
前記基礎層に取付けられた、前記第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する研磨層と、
前記研磨層を貫通する第1開口と、前記基礎層を貫通する第2開口とを備え、前記第1開口は前記第2開口の少なくとも一部分を露出し、かつ前記基礎層の一部分を露出し、更に、
前記第1開口内に配置されていると共に前記基礎層の前記露出部分に取付けられた窓を備える、
前記窓は、前記第2開口内に延びている部分を有し、そして、
前記窓は、前記基礎層の前記露出部分に、スナップ嵌め機構により取付けられている、
基板を研磨する研磨パッド。
【請求項2】
前記第1開口は、前記第2開口の全体を露出する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
更に、
前記研磨層と反端側の前記基礎層の側で前記基礎層に取付けられたサブパッドと、
前記サブパッドを貫通する第3開口とを備え、前記第3開口は前記第2開口と実質的に同じサイズでかつ整合している、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記研磨層を平面視で見て、前記窓は前記第1開口と実質的に同じ形状を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記形状は、円形、楕円形、正方形、矩形、及び、丸められた角部を有する矩形からなるグループから選択される、請求項に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記窓の周囲は、前記第1開口の周囲に対してほぼ5~15ミルの範囲の量だけ前記周囲の全部分のサイズが縮小されている、請求項に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記基礎層について、前記窓は、前記研磨層の最上面よりも下方に最上面を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記研磨層を平面視で見て、前記第1開口は前記第2開口と実質的に同じ形状を有し、前記第2開口の周囲は、前記第1開口の周囲に対して、ほぼ10~500ミルの範囲の量だけ、前記周囲の全部分におけるサイズが減少している、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項9】
前記第2開口の前記周囲は、前記第1開口の前記周囲に対してほぼ100~300ミルの範囲の量だけ、前記周囲の全部分のサイズが縮小されている、請求項に記載の研磨パッド。
【請求項10】
前記研磨層は、前記基礎層に、接着剤層により取付けられている、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項11】
前記研磨層は、前記基礎層に、前記基礎層に対する前記研磨層の共有結合を介して取付けられている、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項12】
前記窓は、ポリエチレンテレフタレート材料、ポリウレタン材料、環状オレフィンコポリマー材料、ポリカーボネート材料、ポリエステル材料、ポリプロピレン材料、及び、ポリエチレン材料からなるグループから選択される材料を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項13】
前記窓は、ほぼ300~800ナノメートルの範囲の広域スペクトル照射に対して透明な材料を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項14】
前記基礎層は、40℃、1/Paでほぼ100KELより小さいエネルギ損失係数を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項15】
前記基礎層は、ポリカーボネート材料、エポキシ基板材料、ポリウレタン材料、複合繊維基板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)材料、及び、環状オレフィンコポリマー材料からなるグループから選択される材料を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項16】
前記研磨層は、40℃、1/Paでほぼ1000KELより大きいエネルギ損失係数を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項17】
前記基礎層と前記研磨層との組み合わせは、40℃、1/Paでほぼ1000KELより小さいエネルギ損失係数を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項18】
前記研磨層は、熱硬化性ポリウレタン材料を有し、前記基礎層は、ポリカーボネート層を有し、前記窓は、ポリエチレンテレフタレート材料を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項19】
前記研磨層は、摂氏40度においてほぼ50MPa~100MPaの範囲の弾性貯蔵弾性率(E’)を有し、前記基礎層は、摂氏40度においてほぼ1500MPa~3000MPaの範囲の弾性貯蔵弾性率(E’)を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項20】
前記基礎層は、ほぼ70~90ショアDの範囲の硬度を有し、前記研磨層は、ほぼ20~65ショアDの範囲の硬度を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項21】
前記研磨層は、前記研磨層の中に配置された溝を有し、前記溝は、前記研磨層の全厚さのほぼ10%~60%の深さに形成されている、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項22】
前記溝は、前記研磨層の全厚さのほぼ半分の深さに形成されている、請求項21に記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、化学機械研磨(CMP)、特に、基礎層及び基礎層に取付けられた窓を有する研磨パッド、及び、このような研磨パッドを製造する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にCMPと略される化学機械平坦化または化学機械研磨は、半導体ウェハまたは他の基板を平坦化する半導体製造に用いられる技術である。
【0003】
このプロセスは、典型的にはウェハよりも大径の研磨パッド及び保持リングと共に、研磨及び腐食性ケミカルスラリー(一般には、コロイド)を使用する。研磨パッド及びウェハは、動的研磨ヘッドにより一緒に押圧され、プラスチック保持リングにより所定位置に保持される。動的研磨ヘッドは、研磨中に回転される。このアプローチは、材料の除去を支援し、任意の不規則トポグラフィを平らにし、ウェハを平らにまたは平面にしやすい。これは、追加的な回路素子を形成するウェハを準備するために必要であり得る。例えば、これは、全表面をフォトリソグラフィシステムの被写界深度内とし、または、その位置に基づいて材料を選択的に除去するために必要となり得る。典型的な被写界深度要件は、最新の50ナノメートル未満の技術ノードについて、オングストロームレベルまで下がる。
【0004】
材料除去のプロセスは、木材に対するサンドペーパのような単純な材料の研磨切削プロセスではない。スラリー内の化学物質は更に、除去すべき材料と反応し及び/または弱化させる。研磨剤は、この弱化プロセスを促進し、研磨パッドはこの表面から反応した材料を拭き取るのを支援する。スラリー技術の進歩に加え、研磨パッドは、ますます複雑化するCMP工程に重要な役割を果たす。
【0005】
しかし、CMPパッド技術の発展において、更なる改善が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、基礎層と基礎層に取付けられた窓とを有する研磨パッド、及び、このような研磨パッドを製造する方法を包含する。
【0007】
実施形態では、基板を研磨する研磨パッドは、第1弾性率を有する基礎層を備える。研磨層は、基礎層に取付けられ、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する。第1開口が研磨層を貫通し、第2開口が基礎層を貫通する。第1開口は、第2開口の少なくとも一部分を露出し、更に、基礎層の一部分を露出する。窓が第1開口内に配置され、基礎層の露出部分に取付けられる。
【0008】
他の実施形態では、基板を研磨する研磨パッドを製造する方法は、研磨層を貫通する第1開口を形成することを包含する。研磨層は、研磨面と背面とを有し、弾性率を有する。本方法は更に、基礎層を研磨層の背面に取付けることを包含する。基礎層は、研磨層の弾性率よりも大きな弾性率を有する。本方法は更に、基礎層を研磨層の背面に取付けることに続いて、基礎層を貫通する第2開口を形成することを包含する。第1開口は、第2開口の少なくとも一部分を露出し、更に、基礎層の一部分を露出する。本方法は更に、窓を第1開口内に挿入し、窓を基礎層の露出部分に取付けることを包含する。
【0009】
他の実施形態では、基板を研磨する研磨パッドを製造する方法は、研磨層を貫通する第1開口を形成することを包含する。研磨層は、研磨面と背面とを有し、弾性率を有する。本方法は更に、基礎層を貫通する第2開口を形成することを包含する。基礎層は、研磨面と背面とを有し、研磨層の弾性率よりも大きな弾性率を有する。本方法は更に、基礎層の研磨面に窓を取付けることを包含する。窓は、第2開口の少なくとも一部分を覆う。本方法は更に、窓を基礎層の研磨面に取付けることに続いて、研磨層を基礎層に取付けることを包含する。研磨層を貫通して形成された第1開口は、窓を囲む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の実施形態による、研磨層の開口内に収容され、接着剤層で下側の基礎層に取付けられた窓を有する研磨パッドの図1BのA-A’軸に沿う断面図を示す。
図1B】本発明の実施形態による、図1Aの研磨パッドの平面図を示す。
図2図2A~2Iは、本発明の実施形態による、基板を研磨する研磨パッドの製造方法における種々の工程を示す断面図を示す。
図3】本発明の実施形態による、研磨層の開口内に収容され、かつ下側の基礎層に溶接領域により取付けられた窓を有する研磨パッドの断面図を示す。
図4】本発明の実施形態による、研磨層の開口内に収容され、かつ下側の基礎層にスナップ嵌め機構により取付けられた窓を有する研磨パッドの断面図を示す。
図5図5A~5Cは、本発明の実施形態による、基板を研磨する研磨パッドの他の製造方法における種々の工程を示す断面図を示す。
図6】本発明の実施形態による、本明細書に記載の研磨パッドに適合する研磨装置の等角側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基礎層と基礎層に取付けられた窓とを有する研磨パッド、及び、このような研磨パッドの製造方法を本明細書に記載する。以下の説明では、本発明の実施形態について十分な理解を提供するために、特別な研磨パッド構造、デザイン及び構成要素等、多くの具体的詳細を説明する。本発明の実施形態は、これらの具体的詳細無しで実施してもよいことは、当業者に明らかである。他の例では、半導体基板のCMPを実行する研磨パッドとスラリーとの組み合わせに関する詳細等の周知の処理技術は、本発明の実施形態が不必要に不明瞭とならないように、詳細には説明しない。更に、図に示す種々の実施形態は、例示的な表示であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解すべきである。
【0012】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は研磨パッドに向けられ、研磨パッドは、研磨パッドの基礎層の下側に取付けられた窓を有する。窓は、研磨パッドが不透明研磨層を有する場合であっても、研磨パッドを通してモニタするときに、CMPプロセスの光学的終点検出のための手段を提供する。
【0013】
状況を提供するために、研磨パッドに窓を作り込む従来のアプローチは、下側のサブパッドに窓を取付けることを包含してきた。しかし、サブパッドは典型的には低密度の発泡体(または、低密度含侵フェルト)であり、必ずしも良好な機械的強度を提供しない。例えば、窓をサブパッドに取付けることは、スラリーの漏洩及び窓の飛び出し等、CMP処理中に窓問題をまねくことが知られている。他のアプローチは、窓をパッド自体に取付けることであった。しかし、このようなアプローチは、パッドが窓よりも厚いことが必要であり、これは、過度に薄い窓または過度に厚いパッドの一方をまねく可能性がある。過度に薄い窓は、パッド寿命の終わりにCMP問題をまねく可能性がある。一方、過度に厚いパッドは、CMP性能をチューニングするための設計オプションを制限する。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、研磨パッドの基礎層に取付けられた窓を包含することにより、このような問題に対処する。
【0014】
更に状況を提供するため、CMP工程のための研磨パッドは、ウェハ全体の研磨均一性対ダイ内研磨均一性間のトレードオフ等の性能におけるトレードオフを有することがある。例えば、硬質研磨パッドは、良好なダイレベルの平坦化を示すが、ウェハ全体の均一性が劣る。これらは更に、研磨された基板に傷を付けることがある。一方、柔軟な研磨パッドは、不十分なダイレベルの平坦化を示す(例えば、ダイ内のディッシングを生じさせ得る)ことがあるが、しかし良好なウェハレベルの均一性を示し得る。上記の性能のトレードオフを緩和するアプローチは、ウェハ内研磨効果とダイ内研磨効果とを分離することからなり得る。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、研磨層を基礎層と一緒に含めることにより、このような問題に対処する。
【0015】
第1の例示的研磨パッドは、接着剤層により基礎層に取付けられた窓を有する基礎層を有する。例えば、図1Aは、本発明の実施形態による、研磨層の開口内に収容され、接着剤層で下側の基礎層に取付けられた窓を有する研磨パッドの図1BのA-A’軸に沿う断面図を示す。図1Bは、図1Aの研磨パッドの平面図を示す。
【0016】
図1A及び1Bを参照すると、基板を研磨する研磨パッド100は、第1弾性率を有する基礎層102を有する。研磨層104が基礎層102に取付けられる。研磨層104は、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する。第1開口106が、研磨層104を貫通する。第2開口108が、基礎層102を貫通する。平面視で見て、第1開口106は第2開口108の少なくとも一部分を露出し、更に基礎層102の一部分110を露出する。このような一実施形態では、第1開口106は、図1A及び1Bに記載のように、第2開口108の全体を露出する。窓112が第1開口106内に配置され、基礎層102の露出部分110に取付けられる。
【0017】
図1Aを参照すると、実施形態では、窓112が基礎層102の露出部分110に接着剤層114により取付けられる。一実施形態では、接着剤層114は、限定されるものではないが、感圧接着剤(PSA)層、2成分型エポキシ層、UV硬化樹脂層、シリコーンベースの接着剤層、転写テープ層、または、ホットメルト層等の1つである。このような特定の実施形態では、接着剤層114は、非ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である。他のこのような特定の実施形態では、接着剤層114は、第1両面テープPSA層であり、研磨層104は、第2両面テープPSA層116を使用して基礎層102に取付けられる。このような特定の実施形態では、第2両面テープPSA層116は、図1Aに示すように、窓112を基礎層102に取付ける第1両面テープPSA層114の厚さとほぼ同じ厚さを有する。他の実施形態では、接着剤層114は、ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である。
【0018】
再度図1Aを参照すると、実施形態では、研磨パッド100は更に、研磨層104と反対側の基礎層102の一方側で、基礎層102に取付けられるサブパッド118を有する。このような一実施形態では、第3開口120がサブパッド118を貫通する。第3開口120は、図1Aに示すように、第2開口108と実質的に同じサイズでかつ整合している。実施形態では、サブパッド118は、限定されるものではないが、発泡体、ゴム、繊維、フェルトまたは高多孔質材料等の材料で構成される。実施形態では、サブパッド118は、ほぼ90ショアAよりも低い硬度を有する。
【0019】
再度図1Aを参照すると、実施形態では、窓112は上面及び下面の両方が実質的に平面である。このような一実施形態では、図1Aに示すように、窓112は、第2開口108内に延びる部分がない。しかし、他の実施形態では、窓112の一部分が第2開口内に配置される。このような一実施形態では、窓は、開口106及び108に対してT字状プラグとして示してもよい。
【0020】
図1Bを参照すると、実施形態では、研磨層104を平面視で見て、窓112は第1開口108と実質的に同じ形状を有する。このような一実施形態では、形状は、限定されるものではないが、円形、楕円形、正方形、矩形、及び、丸められた角部を有する矩形(最後の実施形態は、図1Bに図示の実施例に描かれている)等の1つである。実施形態では、図1Aを参照すると、窓112の周囲122は、第1開口106の周囲124に対してほぼ5~15ミルの範囲の量だけ周囲の全部分のサイズが縮小される。すなわち、窓112は、研磨層104に接触することなく、または、少なくとも窓112の周囲122の全面において研磨層104と接触することなく、開口106内に適合するサイズである。実施形態では、窓112は、研磨層104の最上面128よりも下方に最上面126を有する。すなわち、窓112は、図1Aに示すように、研磨層104に対して凹設される。
【0021】
図1Bを参照すると、実施形態では、研磨層104を平面視で見て、第1開口106は第2開口108と実質的に同じ形状を有する。このような一実施形態では、第2開口108の周囲130は、第1開口106の周囲124に対してほぼ10~500ミルの範囲の量だけ周囲の全部分のサイズが縮小される。このような特定の実施形態では、第2開口108の周囲130は、第1開口106の周囲124に対してほぼ100~300ミルの範囲の量だけ周囲の全部分のサイズが縮小される。図1Aを参照すると、このような実施形態は、ほぼ100~300ミルの範囲、好ましくは、ほぼ100~300ミルの幅(W)を有するように、基礎層102の露出部分110を提供する。
【0022】
実施形態では、窓112は、ほぼ300~800ナノメートルの範囲の広域スペクトル照射に対して透明な材料で構成される。実施形態では、窓112は、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート材料、ポリウレタン材料、環状オレフィンコポリマー材料、ポリカーボネート材料、ポリエステル材料、ポリプロピレン材料、または、ポリエチレン材料等の材料から構成される。
【0023】
実施形態では、基礎層102は、限定されるものではないが、ポリカーボネート材料、エポキシ基板材料、ポリウレタン材料、複合繊維基板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)材料、または、環状オレフィンコポリマー材料等の材料から構成される。実施形態では、基礎層102は、40℃、1/Paでほぼ100KELより小さいエネルギ損失係数を有する。KELは、研磨性能を予測するパラメータである。ASTM D4092-90(「Standard Terminology Relating to Dynamic Mechanical Measurements of Plastics」)は、このパラメータをそれぞれの変形サイクルにおける単位体積当たりのエネルギ損失として定義する。換言すると、これは、応力-歪ヒステリシスループ内の面積の尺度である。エネルギ損失係数は、Tanδ及び弾性貯蔵弾性率(E’)の双方の関数であり、次式、KEL=tanδ*1012/[E’*(1+tanδ)]により定義することができ、ここで、E’はパスカル単位である。歪に対する弾性応力の比率は、貯蔵(または弾性)弾性率であり、歪に対する粘性応力の比率は損失(または粘性)弾性率である。引張り、撓みまたは圧縮をテストするときに、E’及びE’’はそれぞれ貯蔵弾性率及び損失弾性率を示す。貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比率は、応力と歪との間の位相角シフト(δ)の正接である。したがって、E’’/E’=tanδであり、そして、材料の減衰能力の尺度である。
【0024】
実施形態では、研磨層104は熱硬化性ポリウレタン材料で構成される。このような一実施形態では、基礎層102は、ポリカーボネート層で構成され、窓112は、ポリエチレンテレフタレート材料で構成される。実施形態では、研磨層104は、40℃、1/Paで約1000KELより大きいエネルギ損失係数を有する。図1A及び1Bを参照すると、実施形態では、研磨層104はその中に配置された溝105を有する。このような一実施形態では、溝105は、研磨層104の全厚さ(T)のほぼ10%~60%の深さ(D)に形成される。このような特定の実施形態では、溝105は、研磨層104の全厚さ(T)のほぼ半分の厚さ(D)に形成される。実施形態では、溝105は、図1Bに示すように、同心状多角形及び半径方向溝のパターンを有する。他の実施形態では、半径方向溝は省略される。溝105のパターンについて他のデザインの選択肢を使用してもよいことが認められる。
【0025】
実施形態では、研磨層104は均質な研磨層である。このような一実施形態では、均質な研磨層は、熱硬化性ポリウレタン材料で構成される。例えば、特定の実施形態では、均質な研磨層は、熱硬化性の独立気泡ポリウレタン材料で構成される。実施形態では、用語「均質な」は、熱硬化性の独立気泡ポリウレタン材料が研磨層104の全体の組成を通してむらのないことを示すために使用する。例えば、実施形態では、用語「均質な」は、例えば、含浸フェルトまたは異なる材料の複数層の組成(複合材料)で構成される研磨層を排除する。実施形態では、用語「熱硬化性樹脂」は、例えば、材料に対する前駆体が硬化により、不可逆的に不溶解性の不溶性高分子網目に変化する、不可逆的に硬化するポリマー材料を示すために使用される。例えば、実施形態では、用語「熱硬化樹脂」は、例えば、加熱されたときに液体に変化しかつ十分に冷却されたときに十分にガラス状態に戻る材料である「熱可塑」材料、または、「熱可塑性プラスチック」で構成される研磨パッドを排除する。なお、熱硬化性材料で形成される研磨パッドは、典型的には、化学反応でポリマーを形成するように反応する低分子量前駆体から製造され、一方、熱可塑性材料で形成される研磨パッドは、典型的には、研磨パッドが物理的プロセスで形成されるように、既存のポリマーを加熱して位相変化させることにより製造される。ポリウレタン熱硬化性ポリマーは、その安定した熱的及び機械的特性、化学的環境に対する耐性、及び、耐摩耗性の傾向に基づいて、本明細書に記載の研磨パッドを製造するために選択してもよい。実施形態では、研磨層104は熱硬化性材料で構成されるが、対応する基礎層102は、ポリカーボネート等の熱可塑性プラスチック材料で構成される。
【0026】
研磨層104の材料は成形されてもよい。用語「成形され」は、研磨層104が形成モールドで形成されることを示すために使用され得る。実施形態では、成形された研磨層104は、コンディショニングおよび/または研磨したときに、ほぼ1~5ミクロン二乗平均平方根の範囲の研磨表面粗さを有する。一実施形態では、成形された研磨層104は、コンディショニングおよび/または研磨したときに、ほぼ2.35ミクロン二乗平均平方根の研磨表面粗さを有する。
【0027】
研磨層104の材料は細孔形成機能を有してもよい。実施形態では、研磨層104は、全空隙容積のほぼ6%~から50%の範囲の独立気泡細孔の気孔密度を有する。一実施形態では、複数の独立気泡細孔は、複数のポロゲンである。例えば、用語「ポロゲン」は、ミクロンまたはナノスケールの球状、または「中空」コアを有するある程度球状の粒子を指すために使用され得る。中空コアは、固体材料を充填されていないが、ガス状または液体の中心部を有してもよい。一実施形態では、複数の独立気泡細細孔は、研磨パッド100の研磨層104を通して(例えば、内部追加構成要素として)、予備発泡及びガス充填されたEXPANCEL(商標)で構成される。特定の実施形態では、EXPANCEL(商標)はペンタンを充填される。実施形態では、複数の独立気泡孔のそれぞれは、約10~100ミクロンの範囲の径を有する。実施形態では、複数の独立気泡細孔は、互いに別々の細孔を有する。これは、通常のスポンジ内の孔の場合のように、トンネルを通して互いに接続してもよい開放セル孔と対照的である。一実施形態では、独立気泡細孔のそれぞれは、上述のように、ポロゲンのシェル等の物理的シェルを含む。しかし、他の実施形態では、独立気泡細孔のそれぞれは、物理的シェルを含まない。実施形態では、複数の独立気泡細孔は、研磨層104の熱硬化性ポリウレタン材料を通して、本質的に均等に分布する。実施形態では、研磨層104は細孔形成機能を有するが、対応する基礎層102は有せず、細孔がない。
【0028】
実施形態では、研磨層104は不透明である。一実施形態では、用語「不透明な」は、可視光のほぼ10%以下を通過可能とする材料を指すために使用される。一実施形態では、研磨層104の全体を通して(例えば、内部追加構成要素として)潤滑剤等の不透明化粒子充填剤を含有することにより、ほとんどの部分または全体が不透明である。特定の実施形態では、不透明化粒子充填剤は、限定されるものではないが、窒化ホウ素、フッ化セリウム、黒鉛、フッ化黒鉛、硫化モリブデン、硫化ニオブ、タルク、硫化タンタル、二硫化タングステン、または、テフロン(登録商標)等の材料である。
【0029】
研磨層104の溝105は、CMP工程中の研磨に適したパターンを有する。各溝105は、それぞれの溝の任意の所定ポイントで約2から約100ミルの幅を有してもよい。いくつかの実施形態では、溝105は、それぞれの溝の任意の所定ポイントで約15から約50ミルの幅である。溝105は、均一な幅、可変幅またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、溝パターンの溝105は、全てが均一幅である。しかし、いくつかの実施形態では、溝パターンのいくつかの溝105は、特定の均一幅を有し、一方、同じパターンの他の溝は異なる均一幅を有する。いくつかの実施形態では、溝幅は、研磨層104の中心からの距離の増大と共に増大する。いくつかの実施形態では、溝幅は、研磨層104の中心からの距離の増大と共に減少する。いくつかの実施形態では、均一幅の溝105は、可変幅の溝105に代替される。
【0030】
上述した深さ及び幅寸法にしたがって、個々の溝105は、均一の容積、可変容積またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、溝105は全てが均一の容積である。しかし、いくつかの実施形態では、溝容積は、研磨層104の中心からの距離が増大すると共に増大する。いくつかの他の実施形態では、溝容積は、研磨層104の中心からの距離が増大すると共に減少する。いくつかの実施形態では、均一容積の溝は、可変容積の溝に代替される。
【0031】
本明細書に記載の溝パターンの溝105は、約30から約1000ミルのピッチを有してもよい。いくつかの実施形態では、溝105は、約125ミルのピッチを有する。円形の研磨層104について、溝ピッチは、円形の研磨層104の半径に沿って測定される。CMPベルトでは、溝ピッチは、CMPベルトの中心からCMPベルトの縁部まで測定される。溝105は、均一ピッチ、可変ピッチ、または、これらの任意の組み合わせとしてもよい。いくつかの実施形態では、溝は全てが均一のピッチである。しかし、いくつかの実施形態では、溝ピッチは、研磨パッドの中心からの距離が増大すると共に増大する。いくつかの他の実施形態では、溝ピッチは、研磨層104の中心からの距離が増大すると共に減少する。いくつかの実施形態では、1つのセクタ内の溝105のピッチは、研磨層104の中心からの距離の増大と共に変化し、一方、隣接するセクタ内の溝105のピッチは均一に維持される。いくつかの実施形態では、1つのセクタ内の溝105のピッチは、研磨層104の中心からの距離が増大すると共に増大し、一方、隣接するセクタ内の溝のピッチは異なる割合で増大する。いくつかの実施形態では、1つのセクタ内の溝105のピッチは、研磨層104の中心からの距離が増大すると共に増大し、一方、隣接するセクタ内の溝105のピッチは、研磨層104の中心からの距離が増大すると共に減少する。いくつかの実施形態では、均一ピッチの溝は、可変ピッチの溝に代替される。いくつかの実施形態では、均一ピッチの溝のセクタは、可変ピッチの溝のセクタに代替される。
【0032】
実施形態では、研磨層104の溝105が成形プロセス中に形成されるときに、モールド内で研磨層104を形成する際に結果として生じる研磨層104の位置決めは、モールドから研磨層104を除去した後に決定することができる。すなわち、このような研磨層104は、成形プロセスに戻すトレーサビリティを設けるようにデザイン(例えば、クロッキングマークで)してもよい。したがって、一実施形態では、研磨層104は、成形された研磨層であり、これに含まれる特徴は、結果として生じる研磨層104を形成するために使用されるモールド内の領域の場所を示す。
【0033】
実施形態では、ペアリングとして、基礎層102と研磨層104との組み合わせは、40°C、1/Paにおけるほぼ1000KELよりも小さいエネルギ損失係数を有する。実施形態では、研磨層104は、摂氏40度においてほぼ50MPa~100MPaの範囲の弾性貯蔵弾性率(E’)を有し、基礎層102は、摂氏40度においてほぼ1500MPa~3000MPaの範囲の弾性貯蔵弾性率(E’)を有する。実施形態では、基礎層102は、ほぼ70~90ショアDの範囲の硬度を有し、研磨層104は、ほぼ20~65ショアDの範囲の硬度を有する。
【0034】
上記実施形態で述べたように、研磨層104は、PSA層等の接着剤層116により、基礎層102に取付けてもよい。しかし、他の実施形態では、研磨層104は、基礎層102に直接取付けられる。すなわち、研磨層104は、基礎層102と直接接触する。一実施形態では、さらに、「直接結合される」は、介在層(感圧接着剤層等)または他の糊状若しくは接着フィルム無しで直接接触することを表す。このような特定の実施形態では、研磨層104は、基礎層102と共有結合する。実施形態では、用語「共有結合する」は、第1材料(例えば、研磨層の材料)からの原子が第2材料(例えば、基礎層の材料)からの原子と架橋されまたは電子を共有し、実際の化学結合を生じることを指す。共有結合は、ねじ、釘、糊または他の接着剤を介する結合等の機械的結合と区別される。他の特定の実施形態では、研磨層104は、基礎層102に対して、共有結合せず、静電結合するだけである。このような静電結合は、基礎層102と研磨層104との間のワンデルワースタイプの相互作用を包含してもよい。
【0035】
いずれの場合も、研磨層104が接着剤層116により基礎層102に取付けられ、または、基礎層102に直接結合されているかどうかに関わらず、剥離抵抗は、研磨層104が基礎層102に連結される強度及び程度を示す。実施形態では、基礎層102及び研磨層104は、研磨パッド100の使用寿命中に作用するせん断力に耐えるのに十分な剥離抵抗を有する。
【0036】
実施形態では、表面粗さは、研磨層104と基礎層102との界面で用いられ、研磨パッド100のこれらの2つの部分の結合強さを増大する。このような一実施形態では、基礎層102は、ほぼ1マイクロメートルRa(二乗平均平方根)よりも大きな表面粗さを有する。このような特定の実施形態では、表面粗さはほぼ5~10マイクロメートルRa(二乗平均平方根)の範囲である。しかし、他の実施形態では、実質的な表面粗さは含まれず、研磨層104の界面、及び、基礎層102は特に滑らかである。このような滑らかな界面の強度は、表面粗さとは無関係なことがあり、または、このような表面粗さを含めることにより更に強化する必要がないことがある。このような一実施形態では、基礎層102は、ほぼ1マイクロメートルRa(二乗平均平方根)よりも小さい表面粗さの滑らかな表面を有する。
【0037】
実施形態では、研磨層104及び対応する基礎層102の材料は、個々の構成要素として、または全体として研磨パッド100に対して共同して、それぞれ所要の研磨特性を提供するために適切な寸法に画定してもよい。図1Aを参照すると、実施形態では、研磨層104は、ほぼ2~50ミルの範囲の厚さ(T)と、ほぼ20ミルの厚さの対応する基礎層102とを有する。実施形態では、基礎層102は、対応する研磨パッド100のバルク研磨特性に影響するために十分な研磨層の厚さ及び弾性率に対する厚さ及び弾性率を有する。実施形態では、基礎層102は、ダイレベルの研磨平面性を提供するために対応する研磨パッド100に対して十分厚いが、ウェハレベルの研磨均一性を提供するために研磨パッド100に対して十分薄い。
【0038】
研磨パッドを製造する第1の例示的な方法は、基礎層に研磨層を取付けた後、基礎層に窓を取付けることを包含する。実施例として、図2A図2Iは、本発明の実施形態による、基板を研磨する研磨パッドの製造方法における種々の工程を示す断面図を示す。
【0039】
図2Aを参照すると、研磨層104が設けられている。研磨層104は、研磨面128と背面129とを有し、弾性率を有する。研磨面128は、それに形成された溝105を有してもよい。図2Dを参照すると、第1開口106が研磨層104を貫通して形成されている。一実施形態では、図2B及び2Cを参照すると、第1開口106が研磨層104の部分506を研磨層104の研磨面128から、研磨層104の背面129を貫通することなく、部分550を残して凹設することにより、形成される。接着剤層552がこの後、研磨層104の背面129上に積層される。再度図2Dを参照すると、接着剤層552と、研磨層104の背面129とは、研磨層104の凹設部分506と整合して切削され、研磨層104に第1開口106を設け、部分550を除去し、図2Dに示すように、接着剤層116を残したままにする。一実施形態では、切削はエンドミルまたはルータを使用して行われる。上述のように、第1開口106が、研磨層104の研磨面128側から研磨層104を貫通して形成されるが、他の実施形態では、第1開口106は、研磨層104の背面129から研磨層104を貫通して形成される。
【0040】
図2Eを参照すると、基礎層554が研磨層104の背面129に取付けられる。基礎層554は、研磨層104の弾性率よりも大きな弾性率を有する。図2Hを参照すると、基礎層554を研磨層104の背面129に取付けた後、第2開口108が基礎層554を貫通して形成され、開口108がこれを貫通する基礎層102を形成する。第1開口106は、第2開口108の少なくとも一部分を露出し、基礎層102の一部分110を露出する。このような一実施形態では、第1開口106は第2開口108の全体を露出する。実施形態では、図2F及び図2Gを参照すると、基礎層554を通して第2開口108を形成する前に、サブパッド556そして接着剤層558が、研磨層104が取付けられる側と反対側の基礎層554の側に取付けられる。このような一実施形態では、第2開口108を形成することは更に、サブパッド556を通して(更に、存在する場合には接着剤層558を通して)開口を形成し、図2Hに示すように、サブパッド118を設けることを包含する。
【0041】
図2Iを参照すると、窓112が第1開口106内に挿入され、基礎層102の露出部分110に取付けられる。実施形態では、図1Aとの関連で説明したように、また図2Iに示されるように、窓112は、接着剤層114で基礎層102の露出部分110に取付けられる。このような一実施形態では、接着剤層114は、窓112の内側部ではなく、最初に窓112の外側部に取付けられ(例えば、外側部は、基礎層102の露出部分110に接触する部分である)、この後、接着剤層114を基礎層102の露出部110に取付ける。一実施形態では、接着剤層は、限定されるものではないが、(PSA)層、2成分型エポキシ層、UV硬化樹脂層、シリコーンベースの接着剤層、転写テープ層、または、ホットメルト層等の1つである。このような特定の実施形態では、接着剤層は、非ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である。他のこのような特定の実施形態では、接着剤層は、ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である。
【0042】
他の実施形態では、図3との関係で後述するように、窓112は、基礎層102の露出部分110に窓112の一部分を溶接することにより、基礎層102の露出部分110に取付けられる。他の実施形態では、図4との関係で後述するように、窓112は、基礎層102に窓112をスナップ嵌めすることにより、基礎層102の露出部分110に取付けられる。実施形態では、上述のように、窓112は、Tプラグに対する場合のように、第2開口108の一部分内に窓112の一部分を挿入することにより、基礎層102に取付けられる。
【0043】
第2の例示的研磨パッドは、溶接領域により基礎層に取付けられた窓を有する基礎層を備える。例えば、図3は、本発明の実施形態による、研磨層の開口内に収容され、かつ下側の基礎層に溶接領域により取付けられた窓を有する研磨パッドの断面図を示す。
【0044】
図3を参照すると、基板を研磨する研磨パッド300は、第1弾性率を有する基礎層102を有する。研磨層104が基礎層102に取付けられる。研磨層104は、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する。第1開口106が、研磨層104を貫通する。第2開口108が、基礎層102を貫通する。平面視で見て、第1開口106は第2開口108の少なくとも一部分を露出し、基礎層102の一部分110を露出する。このような一実施形態では、第1開口106は、第2開口108の全体を露出する。
【0045】
図3を再度参照すると、窓312が第1開口106内に配置され、基礎層102の露出部分110に取付けられる。実施形態では、窓312は、溶接領域302により、基礎層102の露出部分110に取付けられる。このような一実施形態では、溶接領域302は、限定されるものではないが、スポット溶接領域、ライン溶接領域、または、マルチライン溶接領域等の領域である。窓312の他の属性は、図1A及び1Bの窓112に関連して上述したものであってもよい。更に、研磨パッド300の他の属性は、図1A及び1Bの研磨パッド100に関連して上述したものであってもよい。
【0046】
第3の例示的な研磨パッドは、スナップ嵌め機構により基礎層に取付けられた窓を有する基礎層を包含する。例えば、図4は、本発明の実施形態による、研磨層の開口内に収容され、かつ下側の基礎層にスナップ嵌め機構により取付けられた窓を有する研磨パッドの断面図を示す。
【0047】
図4を参照すると、基板を研磨する研磨パッド400は、第1弾性率を有する基礎層102を備える。研磨層104が基礎層102に取付けられる。研磨層104は、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する。第1開口106が、研磨層104を貫通する。第2開口108が、基礎層102を貫通する。平面視で見て、第1開口106は第2開口108の少なくとも一部分を露出し、基礎層102の一部分110を露出する。このような一実施形態では、第1開口106は、第2開口108の全体を露出する。
【0048】
図4を再度参照すると、窓412が第1開口106内に配置され、基礎層102の露出部分110に取付けられる。実施形態では、窓412は、スナップ嵌め機構402により、基礎層102の露出部分110に取付けられる。このような一実施形態では、スナップ嵌め機構402は、基礎層102の露出領域110の一部分を下方から締付ける一部分を有する。一実施形態では、サブパッド118は、窓412のスナップ嵌め機構402を収容する機構404(斜面等)を有し、または、窓412のスナップ嵌め機構を収容して形成される。窓412の他の属性は、図1A及び1Bの窓112に関連して上述したものであってもよい。更に、研磨パッド400の他の属性は、図1A及び1Bの研磨パッド100に関連して上述したものであってもよい。
【0049】
図2A図2Iに関連して上述した方法に加え、または代替的に、研磨パッド100、300及び400等の研磨パッドを製造するために他のアプローチを使用してもよいことが認められる。研磨パッドを製造する第2の例示的な方法は、基礎層に研磨層を取付ける前に、基礎層に窓を取付けることを包含する。実施例として、図5A図5Cは、本発明の実施形態による、基板を研磨する研磨パッドの製造方法における種々の工程を示す断面図を示す。
【0050】
図5Aを参照すると、第1開口106が研磨層104を貫通して形成されている。研磨層104は、研磨面500と背面502とを有し、弾性率を有する。第2開口108が、基礎層102を貫通して形成される。基礎層は、研磨側504と背面506とを有し、研磨層104の弾性率よりも大きな弾性率を有する。第1または第2開口を形成する順序は、相互に、及び、本明細書に記載の他の工程に対して変更可能なことが認められる。
【0051】
図5Bを参照すると、窓112は、基礎層102の研磨側504に取付けられる。窓112は、第2開口108の少なくとも一部分を覆う。このような一実施形態では、窓112は、図5Bに示すように、第2開口108の全体を覆う。
【0052】
実施形態では、窓112は、図1Aとの関連で説明したように、接着剤層で基礎層102の研磨側504に取付けられる。このような一実施形態では、接着剤層は、窓112の内側部ではなく、最初に窓112の外側部に取付けられ(例えば、外側部は、基礎層102に接触する部分である)、この後、接着剤層を基礎層102に取付ける。一実施形態では、接着剤層は、限定されるものではないが、(PSA)層、2成分型エポキシ層、UV硬化樹脂層、シリコーンベースの接着剤層、転写テープ層、または、ホットメルト層等の1つである。このような特定の実施形態では、接着剤層は、非ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である。他のこのような特定の実施形態では、接着剤層は、ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である。
【0053】
他の実施形態では、窓112は、図3との関連で説明したように、窓112の一部分を基礎層102に溶接することにより、基礎層102の研磨側504に取付けられる。他の実施形態では、図4との関係で説明したように、窓112は、基礎層102に窓112をスナップ嵌めすることにより、基礎層102の研磨側504に取付けられる。実施形態では、上述のように、窓112は、Tプラグに対する場合のように、第2開口の一部分内に窓の一部分を挿入することにより、基礎層102に取付けられる。
【0054】
図5Cを参照すると、窓112を基礎層102の研磨側504に取付けた後、研磨層104が基礎層102に取付けられる。研磨層104を貫通して形成された第1開口106は、窓112を囲む。
【0055】
実施形態では、研磨パッド100,300または400等の本明細書に記載の研磨パッドは、基板の研磨に適している。基板は、デバイスまたは他の層がその上に配置されるシリコン基板等の半導体製造業に使用されるものでもよい。しかし、基板は、限定されるものではないが、MEMSデバイス、レチクルまたはソーラモジュール用の基板等の1つであってもよい。したがって、本明細書で使用する「基板を研磨する研磨パッド」への言及は、これ等及び関連する可能性を包含することを意図する。実施形態では、研磨パッドは、例えば、ほぼ50~77センチメートルの範囲であるほぼ20インチから30.3インチの範囲、場合によっては、例えばほぼ25~107センチメートルの範囲であるほぼ10インチから42インチの範囲の径を有する。
【0056】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態の背景を提供すると、ソフトな研磨パットを製造及び使用する従来のアプローチは限界があり得ることが認められる。例えば、鋳造したソフトパッドは、低欠陥特性を提供するが、平坦化性能が不十分なことがある。研磨工程中における低欠陥特性で、更に高い平坦化性能の双方を提供する研磨パッドに対する必要性があり得る。同様に、硬い研磨パッドを製造及び使用する従来のアプローチには、限界があり得る。例えば、より硬いウレタン配合物に内在し得るより早いゲル化速度は、パッド均一性に影響すると共に配合物オプションを制限するプロセス不全を余儀なくさせる可能性がある。このような不全を避けるハードパッドを製造及び実施するのに適したアプローチに対する必要性が存在する。更に、上記したように、それぞれの特性を個々に最適化するように、パッドの研磨面の特性をそのバルク特性から分離することが望ましいことがある。
【0057】
本発明の実施形態にしたがって、研磨面の材料と異なる材料の基礎層を有する研磨パッドが上述されている。このような研磨パッドは、従来のパッドに対する上述の低質化に対処するのに適した研磨アプローチで製造または実施してもよい。一実施形態では、複合研磨パッドは、研磨層が取付けられる、安定した、本質的に非圧縮性の不活性材料で製造される基礎を備える。比較的高弾性率を有する基礎層は、パッドの完全性をサポート及び強化し、一方では、比較的低い弾性率を有する研磨層がひっかき傷を減少させ、研磨層と研磨パッドの残部との材料特性を分離することを可能とする。
【0058】
本明細書に記載の研磨パッドは、種々の化学機械研磨装置に使用するのに好適であり得る。実施例として、図6は、本発明の実施形態による、本明細書に記載の研磨パッドに適合する研磨装置の等角側面図を示す。
【0059】
図6を参照すると、研磨装置600はプラテン604を有する。プラテン604の上面602は、研磨層と基礎層とを有しかつ基礎層に窓を取付けた研磨パッド等の研磨パッド699を支持するために使用してもよい。プラテン604は、スピンドル回転606を提供するように構成してもよい。サンプルキャリア610は、研磨パッドで半導体ウェハを研磨する際に、半導体ウェハ611を定位置に保持するために使用される。サンプルキャリア610は更に、スライダ揺動608を提供する。サンプルキャリア610は更に、サスペンション機構612により支持される。スラリーフィード614は、半導体ウェハを研磨する前及び研磨中に研磨パッド699の表面にスラリーを供給するために含まれる。調整ユニット690も包含してもよく、一実施形態では、研磨パッドをコンディショニングするためにダイアモンドチップを有する。実施形態では、研磨パッド699は、それを通してCMPプロセス中に光学式終点検出を実行してもよい窓650を有する。
【0060】
以上、基礎層と基礎層に取付けられた窓とを有する研磨パッド、及び、このような研磨パッドの製造方法を本明細書において開示した。本発明の実施形態では、基板を研磨する研磨パッドは、第1弾性率を有する基礎層を備える。研磨層は、基礎層に取付けられ、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する。第1開口が研磨層を貫通し、第2開口が基礎層を貫通する。第1開口は、第2開口の少なくとも一部分を露出し、基礎層の一部分を露出する。窓が第1開口内に配置され、基礎層の露出部分に取付けられる。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)第1弾性率を有する基礎層と、
前記基礎層に取付けられた、前記第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する研磨層と、
前記研磨層を貫通する第1開口と、前記基礎層を貫通する第2開口とを備え、前記第1開口は前記第2開口の少なくとも一部分を露出し、かつ前記基礎層の一部分を露出し、更に、
前記第1開口内に配置されていると共に前記基礎層の前記露出部分に取付けられた窓を備える、基板を研磨する研磨パッド。
(2)前記第1開口は、前記第2開口の全体を露出する、(1)に記載の研磨パッド。
(3)前記窓は、前記基礎層の前記露出部分に、感圧接着剤(PSA)層と、2成分型エポキシ層、UV硬化樹脂層、シリコーンベースの接着剤層、転写テープ層、及び、ホットメルト層からなるグループから選択される接着剤層により取付けられている、(1)に記載の研磨パッド。
(4)前記接着剤層は、非ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である、(3)に記載の研磨パッド。
(5)前記接着剤層は、第1両面テープPSA層であり、前記研磨層は、前記窓を前記基礎層に取付けている前記第1両面テープPSA層の厚さとほぼ同じ厚さを有する第2両面テープPSA層を使用して、前記基礎層に取付けられている、(3)に記載の研磨パッド。
(6)前記接着剤層は、ディファレンシャルタイプの両面テープPSA層である、(3)に記載の研磨パッド。
(7)前記窓は、前記基礎層の前記露出部分に、溶接領域により取付けられている、(1)に記載の研磨パッド。
(8)前記溶接領域は、スポット溶接領域、ライン溶接領域、及び、マルチライン溶接領域からなるグループから選択される領域である、(7)に記載の研磨パッド。
(9)前記窓は、前記基礎層の前記露出部分に、スナップ嵌め機構により取付けられている、(1)に記載の研磨パッド。
(10)更に、
前記研磨層と反端側の前記基礎層の側で前記基礎層に取付けられたサブパッドと、
前記サブパッドを貫通する第3開口とを備え、前記第3開口は前記第2開口と実質的に同じサイズでかつ整合している、(1)に記載の研磨パッド。
(11)前記窓は、前記第2開口内に延びている部分を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(12)前記窓は、前記第2開口内に配置されている部分がない、(1)に記載の研磨パッド。
(13)前記研磨層を平面視で見て、前記窓は前記第1開口と実質的に同じ形状を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(14)前記形状は、円形、楕円形、正方形、矩形、及び、丸められた角部を有する矩形からなるグループから選択される、(13)に記載の研磨パッド。
(15)前記窓の周囲は、前記第1開口の周囲に対してほぼ5~15ミルの範囲の量だけ前記周囲の全部分のサイズが縮小されている、(13)に記載の研磨パッド。
(16)前記基礎層について、前記窓は、前記研磨層の最上面よりも下方に最上面を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(17)前記研磨層を平面視で見て、前記第1開口は前記第2開口と実質的に同じ形状を有し、前記第2開口の周囲は、前記第1開口の周囲に対して、ほぼ10~500ミルの範囲の量だけ、前記周囲の全部分におけるサイズが減少している、(1)に記載の研磨パッド。
(18)前記第2開口の前記周囲は、前記第1開口の前記周囲に対してほぼ100~300ミルの範囲の量だけ、前記周囲の全部分のサイズが縮小されている、(17)に記載の研磨パッド。
(19)前記研磨層は、前記基礎層に、接着剤層により取付けられている、(1)に記載の研磨パッド。
(20)前記研磨層は、前記基礎層に、前記基礎層に対する前記研磨層の共有結合を介して取付けられている、(1)に記載の研磨パッド。
(21)前記窓は、ポリエチレンテレフタレート材料、ポリウレタン材料、環状オレフィンコポリマー材料、ポリカーボネート材料、ポリエステル材料、ポリプロピレン材料、及び、ポリエチレン材料からなるグループから選択される材料を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(22)前記窓は、ほぼ300~800ナノメートルの範囲の広域スペクトル照射に対して透明な材料を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(23)前記基礎層は、40℃、1/Paでほぼ100KELより小さいエネルギ損失係数を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(24)前記基礎層は、ポリカーボネート材料、エポキシ基板材料、ポリウレタン材料、複合繊維基板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)材料、及び、環状オレフィンコポリマー材料からなるグループから選択される材料を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(25)前記研磨層は、40℃、1/Paでほぼ1000KELより大きいエネルギ損失係数を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(26)前記基礎層と前記研磨層との組み合わせは、40℃、1/Paでほぼ1000KELより小さいエネルギ損失係数を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(27)前記研磨層は、熱硬化性ポリウレタン材料を有し、前記基礎層は、ポリカーボネート層を有し、前記窓は、ポリエチレンテレフタレート材料を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(28)前記研磨層は、摂氏40度においてほぼ50MPa~100MPaの範囲の弾性貯蔵弾性率(E’)を有し、前記基礎層は、摂氏40度においてほぼ1500MPa~3000MPaの範囲の弾性貯蔵弾性率(E’)を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(29)前記基礎層は、ほぼ70~90ショアDの範囲の硬度を有し、前記研磨層は、ほぼ20~65ショアDの範囲の硬度を有する、(1)に記載の研磨パッド。
(30)前記研磨層は、前記研磨層の中に配置された溝を有し、前記溝は、前記研磨層の全厚さのほぼ10%~60%の深さに形成されている、(1)に記載の研磨パッド。
(31)前記溝は、前記研磨層の全厚さのほぼ半分の深さに形成されている、(30)に記載の研磨パッド。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6