(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】磁気コンベヤベルトモジュール
(51)【国際特許分類】
B65G 17/46 20060101AFI20220112BHJP
B65G 15/58 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B65G17/46 B
B65G15/58 A
(21)【出願番号】P 2018549252
(86)(22)【出願日】2017-04-05
(86)【国際出願番号】 US2017026080
(87)【国際公開番号】W WO2017176847
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-26
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ザンブラノ,クリシー ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】バナーマン,アダム イー.
(72)【発明者】
【氏名】ディーイー セント ジェルマン,ジョン
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-011208(JP,A)
【文献】特開2012-041144(JP,A)
【文献】国際公開第2015/048642(WO,A3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/58
B65G 17/38
B65G 17/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部から第2の端部へベルト移動方向の
縦方向に、第1の側縁部から第2の側縁部へ横方向に、上面から反対側の底面までの厚さで延在して、
前記第1の側縁部から上部デッキに向かって横方向に内側に伸びる横方向の開口部を含む上部デッキであって、上壁を有する前記横方向の開口部が、前記上部デッキの前記上面の下にあり、前記上部デッキの前記上面が滑らかで連続したままであり、前記上壁が凹部を含み、前記横方向の開口部が、さらに、凹部を有する側壁を含む上部デッキと、
前記
横方向の開口部に挿入された磁気要素と、
前記上壁および前記側壁の前記凹部に適合する突起を含む本体と、前記横方向の開口部を覆い、前記磁気要素を前記上部デッキに保持するために前記横方向の開口部に挿入される突刺の付いた可撓性の脚部を有する自己保持型キャップと、を備え、
前記突刺の付いた可撓性の脚部は、前記上部デッキの前記横方向の開口部の前記側壁の前記凹部に受容される角度の付いた外壁を有するタブを含む、コンベヤベルトモジュール。
【請求項2】
前記磁気要素が、台形状の断面を有する、請求項1に記載のコンベヤベルトモジュール。
【請求項3】
前記横方向の開口部が、摩耗ウインドウを形成する上部凹部を含む、請求項1に記載のコンベヤベルトモジュール。
【請求項4】
前記上部デッキの前記底面から下方に延び、ヒンジロッドを受け入れるためのヒンジ開口部を含む連結要素をさらに備える、請求項1に記載のコンベヤベルトモジュール。
【請求項5】
第1の端部から第2の端部までベルト進行方向の縦方向に、第1の側縁部から第2の側縁部まで横方向に、かつ上面から反対側の底面までの厚さで延在する上部デッキと、
前記第1の側縁部から上部デッキ内に横方向に延びるスロットであって、前記上部デッキの前記上面の下にある上壁を有し、前記上部デッキの前記上面が滑らかで連続したままである、スロットと、
前記スロットに挿入されそこに着座している磁気要素を含むマグネット担持体であって、前記マグネット担持体の内側部分は、ステップアップされた底面と、マグネット担持体を通って延びる垂直開口部とを含むマグネット担持体と、
前記上部デッキの第1の端部から下向きに延在する連結部分であって、中央の凹部と、前記中央の凹部の両側の底面から下向きに延在し、整列したヒンジ開口部を含む脚部とを含む連結部分と、
前記マグネット担持体を前記スロット内に保持するために前記連結部分に結合されたホールドダウンタブ部分であって、前記連結部分の前記ヒンジ開口部と整合するヒンジ開口部を備える脚部と、前記脚部から横方向に外側に延在するホールドダウンタブと、前記マグネット担持体の前記垂直開口部に挿入されるように構成された頂部突片とを有するホールドダウンタブ部分と、を備えるコンベヤベルトモジュール。
【請求項6】
第1の端部から第2の端部までベルト進行方向の縦方向に、第1の側縁部から第2の側縁部まで横方向に、かつ上面から反対側の底面までの厚さで延在して、かつ磁気要素を受容するためのシートを前記上面の下に含む上部デッキと、
前記第1の端部から下方および外側に延びてヒンジ開口部を含む第1の連結部分と、
前記上部デッキの第2の端部から下方に延在する第2の連結部分であって、隣接するモジュールの第1の連結部分を受け入れるための中央凹部と、前記中央凹部の両側の底面から下方に伸びる脚部であって、整列されたヒンジ開口部を含む脚部とを備える第2連結部分と、
前記上部デッキの前記底面に形成された凹部を含むマグネットシートと、
前記マグネットシートに挿入された磁気要素と、
前記第2の連結部分に結合された少なくとも1つのホールドダウンタブ部分であって、前記第2の連結部分の前記ヒンジ開口部と整合するヒンジ開口部を有する脚部と、前記脚部から外側に横方向に延在するホールドダウンタブとを含み、前記上部デッキの前記底面の前記凹部と協働して前記磁気要素を収容するための区画を形成する上部凹部を有する、少なくとも1つのホールドダウン部分と、を備えるコンベヤベルトモジュール。
【請求項7】
前記マグネットシートが、上部摩耗ウインドウを含む、請求項6に記載のコンベヤベルトモジュール。
【請求項8】
前記磁気要素が、台形形状を有する、請求項6に記載のコンベヤベルトモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2016年4月6日に出願された「磁気コンベヤベルトモジュール」と題する米国仮特許出願第62/318,836号と、2016年9月21日に出願された「磁気コンベヤベルトモジュール」と題する米国仮特許出願第62/397,590号両出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的にパワー駆動コンベヤに関し、より詳細には、金属吸着特性または強磁性特性を有するモジュラー・プラスチックコンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0003】
コンベヤはしばしば物品の移送に使用される。金属またはパン焼成用天板(bakery pan)のような磁気吸着性物品を移送するために,磁気吸着性物品をコンベヤー上に保持するための磁気要素を含むコンベヤが使用されてきた。磁気要素をコンベヤー内に一体化させることは煩雑なことがある。
【0004】
モジュラー・プラスチックコンベヤベルトは、様々な産業で製品を移送するために広く使用されている。モジュラー・プラスチックコンベヤベルトは、互いに連結されたベルトモジュールの一連の列から構成され、無端コンベヤベルトループを形成する。
【発明の概要】
【0005】
磁気コンベヤベルトモジュールは、本体と、磁気要素と、本体に結合された磁気要素のためのホルダまたはカバーとを備える。このモジュールは、磁気要素をモジュールに容易かつ取り外し可能に一体化することを可能にする。マグネット担持体またはカバーは、モジュール本体に結合して磁気要素をモジュール本体の底面とモジュール本体の上面との間で挟む。一実施形態では、マグネットカバーはホールドダウンタブを含む。マグネットカバーの一実施形態は、マグネットカバーをモジュール本体に固定するためにヒンジロッドを受け入れるためのヒンジ通路を形成するためにモジュール本体内のヒンジ開口部と整列するヒンジ開口部を含む。
【0006】
一態様によれば、コンベヤベルトモジュールは、上部デッキと、上部デッキ内のシートに挿入された磁気要素と、磁気要素をシート内に保持するためのリテーナとを備える。上部デッキは、第1の端部から第2の端部までベルトの走行方向の長手方向に、第1の側縁部から第2の側縁部まで横方向に、そして上面から反対側の底面までの厚さで延在している。シートは、上面の下に形成される。
【0007】
別の態様によれば、コンベヤベルトモジュールは、第1の端部から第2の端部までベルトの走行方向の長手方向に、第1の側縁部から第2の側縁部まで横方向に、そして上面から反対側の底面までの厚さで延在している上部デッキと、上部デッキから延びかつヒンジロッドを受け入れるための第1のヒンジ開口部を含む連結要素と、を備えている。モジュールは、連結要素に結合され、かつヒンジ通路を形成するために第1のヒンジ開口部と整列した第2のヒンジ開口を含むマグネットカバーをさらに備える。磁気要素が、上部デッキとマグネットカバーとの間に挟まれている。ヒンジ通路に挿入されたヒンジロッドは、マグネットカバーを上部デッキに対して固定する。
【0008】
別の態様によれば、コンベヤベルトモジュールは、第1の端部から第2の端部までベルトの走行方向の長手方向に、第1の側縁部から第2の側縁部まで横方向に、そして上面から反対側の底面までの厚さで延在している上部デッキと、上面の下の第1の側縁部から上部デッキ内に横方向に延びるスロットと、スロットに挿入された磁気要素と、磁気要素がスロットから抜けるのをを防止するためのスロット内に挿入された自己保持するリテーナと、を備える。
【0009】
別の態様によれば、コンベヤベルトモジュールは、第1の端部から第2の端部までベルトの走行方向の長手方向に、第1の側縁部から第2の側縁部まで横方向に、かつ上面から反対側の底面までの厚さで延在している上部デッキを備える。スロットは、上面の下の第1側縁部から上部デッキ内に横方向に延びる。磁気要素をその中に着座させて含むマグネット担持体がスロット内に挿入される。モジュールは、マグネット担持体をスロット内に保持するためのリテーナをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のこれらの特徴および態様ならびにその利点は、以下の明細書、添付の特許請求の範囲、および添付の図面を参照することにより、よりよく理解される。
【
図1】本発明の例示的な実施形態による磁気コンベヤベルトモジュールの分解図である。
【
図2】
図1の磁気コンベヤベルトモジュールの等角組立図である。
【
図3】
図2の磁気コンベヤベルトモジュールの上面図である。
【
図4】
図2の磁気コンベヤベルトモジュールの側面図である。
【
図5】
図2の磁気コンベヤベルトモジュールの正面図である。
【
図6】マグネットが所定の位置に挿入された状態の
図2の磁気コンベヤベルトモジュールの本体の底面図である。
【
図7】マグネットがない状態の
図2の磁気コンベヤベルトモジュールの本体の底面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態による磁気コンベヤベルトモジュールの分解図である。
【
図9】
図8の磁気コンベヤベルトモジュールの一部分の拡大図である。
【
図10】
図8の組み立てられた磁気コンベヤベルトモジュールの等角図である。
【
図11】
図10の磁気コンベヤベルトモジュールの側面図である。
【
図12】
図10の磁気コンベヤベルトモジュールの上面図である。
【
図13】
図10の磁気コンベヤベルトモジュールの正面図である。
【
図14】
図10の磁気コンベヤベルトモジュールの底面図である。
【
図15】本発明の別の実施形態による磁気コンベヤベルトモジュールの分解図である。
【
図16】
図15の組み立てられた磁気コンベヤベルトモジュールの等角図である。
【
図17】
図16の磁気コンベヤベルトモジュールの側面図である。
【
図18】
図16の磁気コンベヤベルトモジュールの上面図である。
【
図19】
図16の磁気コンベヤベルトモジュールの背面図である。
【
図20】本発明の別の実施形態による磁気コンベヤベルトモジュールの分解図である。
【
図21】
図16の組み立てられた磁気コンベヤベルトモジュールの等角図である。
【
図22】
図20の磁気コンベヤベルトモジュールの側面図である。
【
図23】
図20の磁気コンベヤベルトモジュールの底面図である。
【
図24】本発明の別の実施形態による磁気コンベヤベルトモジュールの分解図である。
【
図25】磁気要素用のシート内に摩耗ウィンドウを含む磁気コンベヤベルトモジュールの下部側面図である。
【
図26】本発明の一実施形態による磁気コンベヤベルトモジュールに使用するのに好適な台形状磁気要素の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
複数の連結されたモジュールにより形成されたコンベヤベルトは、被搬送物品をコンベヤベルトの搬送面に対して吸着するために磁気要素を一体化する。本発明は、ある特定の例示的な実施形態を元にして以下に記載されるが、当業者は本発明が記載された実施形態に限定されないことを認識するであろう。
【0012】
図1-
図5は、コンベヤベルト(「チェーン」としても知られている)を形成するのに適した磁気コンベヤベルトモジュール10(「リンク」としても知られる)の一実施形態を示す。モジュール10は、磁気吸着物品の搬送を容易にするために磁気要素20を一体化する。例示的なモジュールは、本体11と、本体の底部に結合された磁気要素20と、本体11に形成されたマグネットシート内に磁気要素20を固定するためのマグネットカバーを形成する1つ以上のホールドダウンタブ部60とを備える。例示的な磁気コンベヤベルトモジュール10は、半径方向または側方屈曲性フレキシブルコンベヤベルトを形成するために使用することができるが、本発明がそのように限定されるものではない。複数のコンベヤベルトモジュールは、同じ速度または異なる速度で並んで走行することもできる。例えば、サイドバイサイドベルトまたはモジュールは、例えばパン製作用平皿など、コンベヤー上の物体を回転させるために異なる速度で走行することができる。
【0013】
本体11は、一般には平面の上部デッキ30と、前部連結部分および後部連結部分50,44とを含む。上部デッキ30は、第1の端部34から第2の端部35まで長手方向に延びている。長手方向は、このようなモジュールがモジュラーコンベヤベルトに組み込まれるときのベルト進行の方向である。モジュールデッキ30は、第1の側縁部36から第2の側縁部37まで横方向に延びている。厚さにおいて、モジュールデッキは、被搬送物品がその上に乗せられる搬送面を形成する、上面38から反対面39まで延びている。底面39は、凹部または他の特徴部を含んでもよい。
【0014】
連結部分を使用してコンベヤベルトを形成するために隣接するモジュールを互いに連結することができる。デッキ30の第2の端部35は、後端部35で上面38から後方および下方に延びる後端側連結部分44を形成する。例示的な後端側連結部分44は、第2の端部の中心にあるが、本発明は連結部分の位置、構成および数に限定されない。デッキ30の前端部34は面取りされており、隣接する先導モジュールの後端側連結部分44を受けるための中央凹部42を含む。例示的な前端部34はまた、連結されたモジュールの相対的な動きを可能にするように湾曲しているが、本発明はそのように限定されない。モジュール10の本体11はさらに、凹部42の各側にデッキ30の底部から下方に延びる脚部を含む前部連結部分50を含む。前部連結部分50は、ヒンジピンを受けるように構成された整列開口部52を含む。後端側連結部分44は、モジュールの後端側連結部分44が後方モジュールの連結部分50の間の開口部42に受け入れられるときに後方モジュールの開口部52と整列する開口部46を含む。隣接するモジュールを互いに連結するために、整列した開口部46,52にヒンジピンを挿入してもよい。
【0015】
マグネットカバー60は、磁気吸着物品を上面38に引き込むために、またはモジュールを搬送面の方に向かって引き込むようにまたは引き離すといった他の目的のために、1つまたは複数の磁気要素20をモジュールの一体化を可能にする。例示的なマグネットカバー60は、2つのセクション60a、60bを備え、それぞれが上部デッキ30とマグネットカバー60との間に磁気要素20を挟むために本体の前部連結要素50と嵌合するように構成されている。マグネットカバーセクション60a、60bは互いの胸像になっている。各マグネットカバー60a、60bは、磁気要素20を受容して着座するように構成された凹部63を有する上面62を含む。
【0016】
各マグネットカバー60は、連結部分50と嵌合する下方に延びる脚部64を含む。各脚部64は、カバーをモジュール本体に固定するためにヒンジロッドを受け入れるためのヒンジ通路を形成するために開口部52と整列する開口部66を含む。
【0017】
図6および
図7に示すように、各前部連結部分50は中空であり、シェル53により囲まれた中央中空部55を備える。中空部55は、前部連結部分の底面51に開放している。デッキ底面39は、中空部55内に延びる凹部54を含むことができる。中空部55は対応するマグネットカバー60内の凹部63と協働してマグネット要素20を収容するための区画を形成する。中間面56は、底面39と凹部54との間でデッキ30内に形成される。上部搬送面が磁気要素の一体化状態でも不変で連続なままであるように凹部54は上面38の下、デッキの本体内に形成されている。モジュールが組み付けられるとき、マグネットカバー60の上面62が中間面56に当接して凹部63と凹部54との間に磁気要素20を収容するための閉鎖マグネット区画を形成する。マグネットカバーはシート54に係合して、その中に磁気要素を固定する。
【0018】
マグネットカバーの各脚部64は、中空部55内に受け入れられるインサート68を形成する突出部を画定するために垂直、長手方向に延びるスロット65を含む。インサートの上部はマグネット要素用の凹部の一部分を形成し、かつインサートの前部はヒンジ通路の一部分を形成する半円形の凹部67を含む。スロット65と突起68の前方の空間は、シェル53との境界をなすように構成された、連結部分の底面51のためのシェルフ69を形成する。スロット65は、磁気モジュールが組み付けられるときに前部連結部分50を形成するシェル53の壁を受け入れる。
【0019】
ホールドダウンタブ70は、各脚部64の底部から外側に突出している。ホールドダウンタブ70は、コンベヤベルトの搬送面の特徴部と係合して、コンベヤベルトが動作中に上昇することを防止し、かつ磁気コンベヤベルトモジュール10が組み立てられたときに上部デッキ30に略平行に延びる。ホールドダウンタブ70は、コンベヤベルト搬送面側にある内側つば付き摩耗ストリップと係合して動作中にベルトが引き上げられるのを防止する。ホールドダウンタブ70はまた、逆さまにして走行するときにコンベヤベルトを定位置に保持するためにも使用することができる。この場合、磁気要素は、重力の引っ張りに抗してベルトの下側の製品の保持を助ける。
【0020】
磁気コンベヤベルトモジュール10を組み立てるために、磁気要素20はマグネットカバー60の凹部63内に、またはデッキ30の下の凹部54内に挿入される。次に、マグネットカバー60a、60bは、連結要素50と嵌合するい、これによりインサート68が連結部分50の中空部55に挿入され、かつ開口部52,66が整列する。磁気要素20は、デッキ30の底面39内のの凹部54とマグネットカバー60a、60bとの間に保持される。次に、ヒンジロッドまたは他のホルダが開口部52,66によって形成されたヒンジ通路にを挿入されて、マグネットカバーをデッキの底面に対して固定して、磁気要素20が抜け出すのを防止する。
【0021】
モジュールは、好ましくは、射出成形プロセスにおいて、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセタール、ナイロンのような熱可塑性ポリマー、または複合ポリマーで作製される。このようにして作製されたプラスチックコンベヤベルトモジュールは、米国、ルイジアナ州、ハラハン市にあるIntralox,L.L.C.から市販されている。別の実施形態では、モジュールは、ステンレス鋼または他の適切な材料で形成される。
【0022】
モジュール10をいくつも使用してコンベヤベルトを形成する。ベルトは一連の列のエッジ-エッジ・ベルトモジュールを備えている。異なる横幅のモジュールを使用して、レンガ積みのパターンでベルトを構成する。しかし、ベルトの全幅に延びる幅広のモジュールを代わりに使用することもできる。ベルトは、磁気モジュールと非磁気モジュールとの組み合わせを備えることができる。列は、隣接する列の間でインターリーブされたヒンジアイにおける整列した開口によって形成された通路を横方向に貫通するヒンジロッドによって相互接続されている。ベルトは、コンベヤーのアパー・搬送路部分に沿ってモジュールの搬送面38の上で物品を搬送する。ベルトは、搬送路の両端に取り付けられたスプロケットの周りに巻き掛けられ、搬送路の下のリターンウェイに沿って戻る。マグネットカバーを使用して磁気要素の一体化後に、またはマグネットカバーを使用して磁気要素の一体化と同時に、モジュールを連結してベルトを形成することもできる。
【0023】
図8-
図14は、コンベヤベルトまたは「チェーン」を形成するのに適した磁気コンベヤベルトモジュール110または「リンク」の別の実施形態を示す。モジュール110は、磁気吸着物品の搬送を容易にするために、一対の磁気要素120を一体化する。モジュール110は、磁気要素120を着座させるようにサイズが決められかつ構成されたスロットを形成するために、上部デッキ130の側縁から上部デッキ130内に延びる横方向開口部131を含む。横方向開口部131は、デッキの上面が平滑で連続的なままであるようにデッキの上面の下で、デッキの本体内に延在する。上部デッキは、上述したように、前部連結部分および後部連結部分150,144を含む。モジュール110は、磁気要素を上部デッキ130内に保持するために、横方向開口部131をキャッピングするための挿入可能なキャップ180として図示された、リテーナをさらに含む。
【0024】
例示的なキャップ180は自己保持性である。一実施形態では、
図9に示すように、キャップ180は、本体181から延びる可撓性の脚部182を含む。可撓性の脚部182は、スロット131への挿入を可能にするために圧縮され、次いで、キャップをスロット131内に固定するために弾け戻る。キャップ180は、キャップが誤って抜け出てきた場合にエンドユーザを保護するために、検知可能なプラスチック材料から成型できるか、または鋳造金属インサートを備えることができる。
【0025】
例示的な実施形態では、スロット131はキャップ180の保持を容易にするために、上壁および側壁に凹部を含む。例示的な凹部132,133,134は、四角の隅部を有する矩形であるが、本発明はそのように限定されない。キャップ180は、凹部と界接するように構成されたタブを含む。例えば、外側脚部は、側凹部132,133内に受容されるタブ184を含む。側タブ184は、挿入を容易にするために傾斜した外壁を有する。キャップの本体181は、上部凹部134内に受容される上部突起187と、側凹部132,133に嵌合する側部突起185,186とを含む。スロット131およびキャップ180の例示的な底面は平坦であり、本発明はそのように限定されない。
【0026】
モジュール110は、上部デッキ部分130に結合されたホールドダウンタブ部分170a、170bをさらに含む。各ホールドダウンタブは、前部連結要素50に結合する本体171と、本体171から横方向外側に延びる垂直タブ部分172を含む。
【0027】
ホールドダウンタブ部分170a、170bは互いに鏡像関係にある。本体171は、チャネル173と、上部デッキ130の前部連結要素と嵌合するためのヒンジ開口部174とを含む。ホールドダウンタブ部分170a、170bは、上部デッキおよびホールドダウンタブ部分のヒンジ開口部を通して挿入されたヒンジロッドを使用して上部デッキ部分130に対して保持される。
【0028】
図15-
図19は、コンベヤベルトまたは「チェーン」を形成するのに適した磁気コンベヤベルトモジュール210または「リンク」の別の実施形態を示す。モジュール210は、磁気吸着物品の搬送を容易にするために、または別の目的で2対の磁気要素220を一体化する。モジュール210は、磁気要素を着座させるための上部デッキの側縁から内側に延びる横方向の開放スロット231を含む。スロット231は、上部デッキ230の底部まで開放しているが、デッキの上面の下に開放していて、これにより上部デッキは平滑で連続的なままである。上部デッキは、上述したように、前部連結部分および後部連結部分250,244を含む。モジュール210は、横方向の開放スロット231に収まるように寸法決めされ構成された磁気要素担持体260をさらに含む。各担持体260は、磁気要素220を受け入れて着座するための上部凹部261を有する本体を備える。
【0029】
担持体260は、上部デッキ内で担持体を保持するためのリテーナを含む。
図15~
図19の実施形態では、各担持体の内側部分262は、担持体および磁気要素220をスロット231内に保持するために上部デッキに結合されたホールドダウンタブ部分270aまたは270bと係合するように構成されている。例えば、例示的な内側部分262はそれぞれ段差を設けた底面と、段差を設けた底面から担持体の上面まで本体を貫通して延びる垂直開口部264とを有する。ホールドダウンタブ部分270a、270bは、頂部突片272を含む点を除いては、ホールドダウンタブ170a、170bと同様に構成される。頂部突片272は、磁気要素担持体260を定位置に保持するためにホールドダウンタブが上部デッキ230部分に結合されるときに垂直開口部264に挿入されるように構成されている。ホールドダウンタブ部分270a、270bを上部デッキ230に固定するために、いったんヒンジロッドが整列した開口部を通って挿入されると、磁気要素担持体も同様に上部デッキ230に固定されるようになる。
【0030】
図20~
図23は、コンベヤベルトまたは「チェーン」を形成するのに適した磁気コンベヤベルトモジュール310または「リンク」の別の実施形態を示す。モジュール310は、磁気吸着物品の搬送を容易にするために、または別の相応しい目的のために2対の磁気要素320を一体化する。モジュール310は、磁気要素を着座させるための上部デッキ330内に横方向スロット331を含む。横方向スロットは、デッキの上面の下で、側縁から上部デッキの本体内に延びる。上部デッキ330は、上述したように、前部連結部分および後部連結部分350,344を含む。モジュール310は、横方向スロット331に嵌まるように寸法決めされ構成された磁気要素担持体360をさらに含む。
【0031】
各担持体360は、磁気要素320をそれぞれ受容して着座するように構成された上部凹部361を有する本体を含む。例示的な担持体360は、自己保持型であるが、別個のリテーナを代わりに使用することもできる。例示的な担持体360の内側端部は、収容された磁気要素をモジュール310内に固定するための自己保持特徴部を形成する突刺の付いた可撓性の脚部362を含む。突刺の付いた可撓性脚部362は圧縮して、スロット331を通って担持体260の挿入を可能にする。脚部362は、スロットの側壁に抗して、またはスロット331内の停止部に抗して弾け開き、
図23に示すように、担持体がスロットから逆戻りしないように防止する。上述したように、1つまたは複数のホールドダウン部分(図示せず)を上部デッキ330に結合してもよい。
【0032】
図24は、コンベヤベルトまたは「チェーン」を形成するのに適した磁気コンベヤベルトモジュール410または「リンク」の別の実施形態の図示のさらに別の実施形態を示す。モジュール410は、磁気吸着物品の搬送を容易にするために、または別の相応しい目的のために磁気要素420を一体化する。モジュール410は、磁気要素を受け入れて着座させるために、上部搬送面の下で、上部デッキの底面に横方向に延びる凹部431を含む。各凹部431は、磁気要素および端部隅部を着座させるようにサイズ設定され構成された主凹部を含む。下部ホールドダウンタブ部分470a、470bはそれぞれ対応する磁気要素用のカバー471を含む。カバーは、スロット431の端部隅部に受け入れられるように構成された端部タブ472を含む。ホールドダウンタブ部分470a、470が上部デッキに結合され、ヒンジロッドがヒンジ開口部を通して挿入されると、カバー471はスロット431内の磁気要素420を確実に覆う。
【0033】
磁気吸着物品の搬送を容易にするために磁気要素を一体化する磁気コンベヤベルトモジュールは、摩耗ウィンドウを含むことができる。例えば、
図25は、磁気要素用のシートを形成するスロット531を含む磁気コンベヤベルトモジュール510の一実施形態を示す。スロットは、磁気要素を直接着座させてもよい、あるいは磁気要素を収容する担持体を着座させてもよい。スロットの頂部は、摩耗ウインドウを形成する凹部532を含む。モジュールの上面533が摩耗すると、ウインドウ532は着座した磁気要素の前に露出する。これは、磁気要素が完全に露出して、かつ潜在的にモジュールから抜けてしまうことが可能になる前にモジュールを交換する時であることをユーザに警告することができる。
【0034】
磁気担持体および磁気担持体を受容するためのモジュール内のレシーバは、任意の適切なサイズ、形状および構成を有することができる。例えば、
図26に示すような本発明の別の実施形態によれば、磁気要素620は、底部よりも細い上部を有する台形状の断面を有することができる。台形状の磁気要素は、モジュール内の台形状の凹部または他の磁気要素シートに着座している。磁気要素の台形形状は、いったんモジュールの上面が摩耗して穴が開いてしまって磁気要素が露出したら、磁気要素が抜けることを防止する。このようにして、磁気要素が露出していても、アンダーカットは磁気要素がモジュールから抜けるのを防止する。
【0035】
本発明の別の実施形態では、モジュールは、射出成形を使用したモジュールの成形中に添加される磁化可能材料を含む。磁気要素をコンベヤベルトモジール内に一体化するために磁化可能材料を成形型内で磁化させることができる。一実施形態では、カバーは磁化可能なプラスチックから成形され、次いで、モジュール本体に挿入されるか、またはモジュール本体上にオーバーモールドされる。次いで、磁気要素をコンベヤベルトモジュール内に一体化するために磁化可能なプラスチックを磁化してもよい。
【0036】
本発明を、いくつかの例示的なバージョンを参照して詳細に説明したが、他のバージョンも可能である。特許請求の範囲は、詳細に記載されたバージョンに限定されるものではない。