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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】支持体を除去するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20220128BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20220128BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20220128BHJP
【FI】
B29C64/40
B33Y40/00
B29C64/379
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018562222
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 US2017035500
(87)【国際公開番号】W WO2017210460
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】15/611,435
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/344,122
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519127340
【氏名又は名称】ポストプロセス テクノロジーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンソン, ダニエル ジョシュア
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-005668(JP,A)
【文献】特開平10-113626(JP,A)
【文献】特開2003-144882(JP,A)
【文献】米国特許第08459280(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0241997(US,A1)
【文献】米国特許第05499643(US,A)
【文献】特開2005-262172(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1672817(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/40
B33Y 40/00
B29C 64/379
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリント部品から支持構造材料を除去する方法であって、前記3Dプリント部品はその形成中、前記支持構造材料によって仮支持されて形成されたものであり、
部品を処理するための第1のタンクを設け、前記第1のタンクは、第1の面、第2の面、および底面を有し、前記第1の面は前記第2の面と対向し、マニホルドの第1のセクションは、前記第1の面の上部に配置されて、前記第1の面に沿って液体塊の下向きの流れを方向づけるものであって、マニホルドの第2のセクションは、前記第1の面と前記底面との連結部に近く、前記底面に沿って前記第2の面に向かう液体塊の横向きの流れを方向づけるものであり、
前記第1のタンクを液体塊で満たし、
前記液体塊に渦を発生させ、
前記液体塊に前記支持構造材料を有する前記3Dプリント部品を入れ、前記渦の力によって前記渦内で前記液体塊に前記3Dプリント部品を浮遊させ、
前記3Dプリント部品から前記支持構造材料を除去することを含む方法。
【請求項2】
前記第1のタンクは、前記第2の面と前記底面との連結部の近くに第3のマニホルドを有し、前記第2の面に沿って液体塊の上向きの流れを方向づけるものである請求項1記載の方法。
【請求項3】
各マニホルドは、ほぼ等しい圧力で液体塊の流れを方向づけるものである請求項2記載の方法。
【請求項4】
各マニホルドは孔を有し、各孔は孔径を有し、各孔径は、前記第1のタンク内の望ましい位置に前記3Dプリント部品を維持するために液体塊の最適な流れを生じるのに適切なサイズとされており、かつ他の孔径とサイズが相違し得るものである請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタンクと液体のやり取りが可能な第2のタンクを設けることをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第1のタンクと第2のタンクを液体塊で満たすことをさらに含み、前記第2のタンクの液体塊のレベルが、前記第1のタンクの液体塊のレベルよりも低いものである請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第2のタンクから前記第1のタンクへと、複数のマニホルドを介して前記液体塊をポンプで送り込むことをさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1のタンクの上部で、前記第1のタンクから前記第2のタンクへと前記液体塊を放出することをさらに含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間に設けられた壁を越えて前記第2のタンクへと流れ込むように、前記第1のタンクから前記第2のタンクへと前記液体塊を流れさせることをさらに含む請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記第1のタンクへと、前記液体塊内に渦を生じさせるように配置された複数のマニホルドを介して前記液体塊をポンプで送り込むことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記第1のタンク内の前記マニホルドの各セクションは概ね同じ平面内に流れを方向づけるものである請求項1記載の方法。
【請求項12】
3Dプリント部品から支持構造材料を除去する方法であって、前記3Dプリント部品はその形成中、前記支持構造材料によって仮支持されて形成されたものであり、
第2のタンクと液体のやり取りが可能な第1のタンクを設け、前記第1のタンクは、第1の面、第2の面、および底面を有し、前記第1の面は前記第2の面と対向しており、
前記第2のタンクおよび前記第1のタンクを液体塊で満たし、前記第2のタンクの前記液体塊のレベルが、前記第1のタンクの前記液体塊のレベルよりも低く、
前記第2のタンクから前記第1のタンクへと、少なくとも1つのマニホルドを介して前記液体塊をポンプで送り込み、前記少なくとも1つのマニホルドの第1のセクションは、前記第1の面の上部に配置されて、前記第1の面に沿って前記液体塊の下向きの流れを方向づけるものであって、前記少なくとも1つのマニホルドの第2のセクションは、前記第1の面と前記底面との連結部に近く、前記底面に沿って前記第2の面に向かう前記液体塊の横向きの流れを方向づけるものであり、
前記第1のタンクに入っている前記液体塊に渦を生じさせ、
前記第1のタンクから前記第2のタンクへと両タンクとの間に設けられた壁を越えて前記液体塊を流れさせ、
前記3Dプリント部品を前記第1のタンクに入れ、
前記3Dプリント部品を、前記第1のタンク内で、前記液体塊の液面下の前記渦の中で浮遊させ、
前記3Dプリント部品が前記第1のタンク内で回転し、前記支持構造材料が前記3Dプリント部品から除去されることを含む方法。
【請求項13】
前記3Dプリント部品に超音波を照射することをさらに含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れる間に前記液体塊に酸素供給することをさらに含む請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れる間に前記液体塊を冷却することをさらに含む請求項12記載の方法。
【請求項16】
3Dプリント部品から支持構造材料を除去する支持構造材料除去装置であって、前記3Dプリント部品はその形成中、前記支持構造材料によって仮支持されて形成されたものであり、
液体塊の一部と前記支持構造材料を有する前記3Dプリント部品を収容するための第1のタンクチャンバを共同で形成する第1の面、第2の面、および底面を有し、前記第1の面が前記第2の面と対向する第1のタンクと、
前記液体塊の一部を収容するための第2のタンクチャンバを共同で形成する壁と基部を有し、前記第1のタンクチャンバと前記第2のタンクチャンバとは液体のやり取りが可能である第2のタンクと、
前記第2のタンクから前記第1のタンクへと前記液体塊を流れさせるためのポンプと、
前記第1のタンク内の前記液体塊に回転流を生じさせるためのマニホルドであって、その第1のセクションは、前記第1の面の上部に配置されて、前記第1の面に沿って前記液体塊の下向きの流れを方向づけるものであり、その第2のセクションは、前記第1の面と前記底面との連結部に近く、前記底面に沿って前記第2の面に向かう前記液体塊の横向きの流れを方向づけるものであるマニホルドと、と、
前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間に設けられた堰とを含み、
前記第1のタンクの前記液体塊が、前記第2のタンクへと流れ込むことが可能で、かつ前記第2のタンクの前記液体塊のレベルよりも高いレベルに維持される支持構造材料除去装置。
【請求項17】
前記第1のタンク内の前記3Dプリント部品に対して超音波放射をもたらすための1つ以上の超音波変換器をさらに含む請求項16記載の支持構造材料除去装置。
【請求項18】
前記第2のタンク内部に配置された、前記第2のタンク内に存在する前記液体塊のレベル測定値をマイクロプロセッサへと伝達するためのレベル指示器をさらに含む請求項16記載の支持構造材料除去装置。
【請求項19】
前記ポンプが、吸込みパイプおよび吐出しパイプに接続され、前記吸込みパイプは前記第2のタンクと液体のやり取りが可能であり、前記吐出しパイプは前記マニホルドと液体のやり取りが可能である請求項16記載の支持構造材料除去装置。
【請求項20】
前記第1のタンクチャンバ内に配置されたバスケットをさらに有し、前記液体塊の通過を許すが前記3Dプリント部品の通過は阻止する穴あき壁と、その穴あき壁の1つを通過して内部へのアクセスを許す開口部とを備え、前記バスケットはさらに、前記第1のタンク内での前記バスケットの位置決めのために開口部を通って装置にフィット可能な全体形状を有している請求項16記載の支持構造材料除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、3次元プリントによって形成された部品から支持材料を除去するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリント部品から支持材料を除去するための様々なシステムが存在する。これらのシステムはしばしば、このような支持材料を腐食させる液体媒質中で3Dプリント部品を揺動させる方法に関する。3次元物体のさらなる公知の支持体除去方法には、支持体除去タンク内の温度を上下させて支持材料を融解させる方法が含まれ、この場合、支持材料は部品よりも低い融点を有する。公知のシステムは、未加工部品が沈められるタンクを1つだけ用いるものであってもよいし、様々な温度または液体を含む様々な特性の様々な環境を提供する複数のタンクを有するものであってもよい。
【0003】
Narovlyanskyに対する米国特許第8636850号は、液体ジェットを用いて3D物体から支持構造を除去するための方法を開示している。該850号のプロセスは大まかに、ソリッドフリーフォームファブリケーションによって作成された2つ以上の物体をセルへと挿入する工程を含み、セルの上面側には高圧液体ジェットを受け取る入り口があり、セルの周壁には複数の排水孔がある。
【0004】
Swansonに対する米国特許第8459280号は、貯蔵タンクとベースユニットからなる支持構造除去システムを開示している。この容器は、容器本体と、3D部品を保持するための多孔床と、多孔床の下に回転可能に設置された羽根車とからなる。羽根車は磁力で回転し、部品の周囲の溶液を撹拌する。さらにタンクは、不要な支持材料の除去を促進するようにpHと温度を調整するための手段を有する場合もある。
【0005】
Tafoyaに対する米国特許第7546841号は、液体撹拌とタンク内の熱を用いた支持材料の除去装置を開示している。タンク内の熱電対とマイクロプロセッサとの間の通信を用いてタンク内の温度をモニタし、これに基づいてコンディションを調整する。
【0006】
上述の各システムはしばしば、部品間の相違に適応するために、工程中に手動調整が必要となる。上述のものを含む従来技術の支持材料除去システムは、特定のタイプの部品に最適なデザインとすることができ、周知かつテスト済みのサイズ、形状、材料の部品に対してはうまく作動する。だが新たなタイプの部品がシステムに導入されると、エネルギと時間の利用効率を最適化できるように、オペレータによる熱、pH、時間などのパラメータのセッティングの調整がたくさん必要とされる。
【0007】
したがって現行の支持体除去システムの欠点には、いろいろな部品に用いられたときの効率の悪さが含まれる。さらにタンク内での部品の重心の移動は、非効率性を高め、タンクの壁や装置の部品にデリケートな部品が衝突する危険性を生じさせる。このような衝突は、部品の破損の原因となり、またタンク内でのでたらめな動きによって非効率性を高める。
【0008】
いろいろな材料および部品形状、サイズに対する効率的な支持材料除去には、部品および部品周囲の環境における変化に対応し得るシステムが必要である。システムはさらに、直接または間接的に部品のパラメータを測定可能であり、各部品独自の特性に自動的に適合可能であることが望ましい。したがって、急成長分野である3次元プリントで遭遇する多様化の進む部品の種類に効率的に対処できる支持体除去装置の需要が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、支持材料除去のエネルギ効率を改善する装置を説明する。本開示は、タンクの中で部品を最適な位置に維持しながら、タンク内のコンディションの変化と部品の構造的変化に自動的に対応する支持体除去装置を説明する。液体の流れ、熱、超音波放射、および測定性能の新規な組み合わせによる部品動作およびタンクパラメータの管理は、エネルギの利用を減らし、部品へのダメージのリスクを最小化すべきものである
【0010】
水圧が3Dプリント部品を循環および浮遊させ、同時に超音波周波数で照射する。本発明の特徴としては、タンクのほぼ中央に部品位置を維持する能力がある。これはタンクの特定の位置に配置された複数の孔を有するマニホルドを用いることで、さもなければ浮かんでしまう部品を沈めたり、さもなければ沈んでしまう部品を浮かす液流を作り出す回転液体流を作り出すことで達成可能である。この回転流コンディションでは、部品はタンク中央に沈んだ状態で、液体の流れと共に回転し得る。一実施例においては、1つ以上のマニホルドがタンクの底に、1つが堰壁に配置されるものとされる。マニホルドに連結されたポンプの位置は、特注のポンプではない市販のポンプの使用を可能とする。
【0011】
液体塊中での部品の回転は、液体塊の成分と部品との間に摩擦を発生させ、支持材料除去へとつながる。支持材料の除去は、回転する物体に対してタンク内で接線方向に配置された超音波変換器によって促進され得る。超音波発生器は、タンク内の指定された液体塊内に熱を生じさせ、これが支持体の除去を促進し、また回転する部品との直接的相互作用によってキャビテーションを起こす。部品は、概ねタンク内の中心点の周囲を循環し、部品それ自体も回転する。タンク内の部品の動きは、規則的な揺れを生じる。部品が液体塊内で自転および循環するとき、部品の面は超音波に晒され、これにより、部品の動きの循環および回転効果および超音波による支持体破壊の促進を介して、支持体除去にシナジー効果が生じる。
【0012】
部品への超音波照射は、部品全体にわたってほぼ均一に、熱とキャビテーションを生じ得る。ただしタンク内の加熱ユニットもまた、支持体除去のための熱を生じるために用いられ得る。加熱ユニットと超音波発生器は協調的に作動可能であり、超音波発生器のパワーを減らす必要がある場合には、液体塊の温度を最適なレベルに保つことによって加熱器が埋め合わせできるものである。超音波放射を用いることの利点は、液体塊にキャビテーションを起こせることで、これは加熱器やポンプでは生じ得ない。超音波装置の使い過ぎは、流体が枯渇するなど、液体塊を劣化させかねない。部品の材料は変形や層間剥離を起こしやすく、超音波コンポーネントに関するエネルギ利用の頻繁な最適化が重要である。
【0013】
超音波変換器はまた液体塊をかき混ぜる能力を有し得る。超音波変換器を用いた加熱は、通常の加熱ユニットを用いた場合よりもたくさんのエネルギを必要とし得るが、超音波変換器は、部品に対する超音波放射特有の効果により、複数の効果を有し得る。超音波変換器が行っている仕事を上下に調整している場合にも、該装置は特徴的である。超音波放射は、振動を生じることによって部品表面に作用し、よって超音波発生器によって行われている仕事は、加熱のみでなくなり、支持体除去へのシナジー効果を発生させ、より短時間に支持材料除去を生じせしめる。
【0014】
本発明の支持体除去装置は、アウトプットタンクすなわち部品収容タンクとインプットタンクの、2つの連結タンクを含むことができる。液体塊、これは洗浄剤とすることができる、は、インプットタンクの底から、マニホルドを介して、アウトプットタンクへと流れ、アウトプットタンク内に圧力および回転流を生じる。この構成においては、作業中にアウトプットタンクから流体を引き出す吸引手段が存在しない。アウトプットタンクからの流体は継続的に、アウトプットタンクの頂部で堰を越えてアウトプットタンクからインプットタンクへと流れ戻る。
【0015】
本発明のこの実施の形態では、インプットタンクの液体レベルはアウトプットタンクのそれよりも低いものとでき、これにより液体塊が、アウトプットタンクとインプットタンクの間の仕切り(「堰」とも呼ばれる)を越えてアウトプットタンクから排出可能とされており、これにより堰を形成している。堰は、液体塊に酸素供給と冷却の両方を行うが、これは支持体除去に最適なコンディションを保つための必須機能である。堰を越えてインプットタンクへと入る液体の流れは、液体塊に対して同時に酸素供給と温度低下を可能とするものであり、これらのパラメータを調整するための高価な、あるいはエネルギを消費するような追加的な特徴が必要ないため、重要である。堰は、酸素供給、pH、蒸発を望ましいバランスに維持するように調整される必要があるであろう。
【0016】
装置を用いることで液体塊は消費され、最終的には代替が必要となる。だが使用中はずっと、アウトプットタンク中の液体塊のレベルは維持され、満杯とされ得る。液体塊が消費されるにつれ、インプットタンクの液体レベルは下がる。レベルが所定のポイントまで低下すると、インプットタンクの液体レベルセンサが作動し、液体塊を補充するようにオペレータに信号を送るものとできる。他の支持体除去装置およびシステムとは異なり、本発明の支持体除去装置は、タンクを空にして再度満たすことをユーザに求めることはなく、むしろ、レベルが所定のポイントまで低下したときにインプットタンクを満たすだけで、システムの動作を実質上無期限に維持するのに十分であるように、熱および他のコンディションによる消費量が最低限となるように液体塊が調整される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の好適な実施の形態を添付の図面を参照して以下に例示する。
図1図1は、本発明に基づく支持体除去装置の斜視図を示す。
図2図2は、本発明の実施の形態に基づく支持体除去装置の断面側面図を示す。
図3図3A~Cはそれぞれ、本発明の実施の形態に基づく支持体除去装置内のマニホルドおよびノズル孔の側方斜視図、拡大図、断面図を示す。
図4図4Aおよび4Bは、本発明の実施の形態に基づくマニホルドおよびノズル孔の側方斜視図を示す。
図5図5は、本発明の実施の形態に基づくタンク排液管および掃除用ポートの斜視図を示す。
図6図6は、本発明の実施の形態に基づくポンプおよび配管の斜視図を示す。
図7図7は、本発明の実施の形態に基づく支持体除去装置の断面背面図を示す。
図8図8は、本発明の実施の形態に基づくチャンバ内で回転する部品の断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の記載では、本発明の様々な実施の形態を詳細に説明する。ただしそのような細部は、本発明の理解を容易ならしめるために、かつ本発明を実施するための典型的な実施の形態を説明するために含まれるものである。本発明の範囲内に留まった他の変形例および実施の形態も可能であるのだから、このような細部は、説明される特定の実施の形態に本発明を限定するものとして使用されるべきではない。
【0019】
さらに、本発明を十分に理解してもらうために細部が述べてあるが、本発明を実施するためにこのような特定の細部が必要とされないことは当業者にとっては明らかである。他にも、本発明を不明確としないために、公知の方法、データのタイプ、プロトコール、手順、コンポーネント、ネットワーキング機器、プロセス、インターフェース、電気的構造、回路、などの細部は詳細には説明されておらず、ブロック図の形式で示されてもいない。
【0020】
明細書および請求項中で用いられている「支持体」、「支持材料」、「支持構造」との用語は、その最も広い意味で解釈されるべきものであり、3D物体の形成中に仮支持に用いられるが完成品に望まれるものではない1つ以上の材料を含む。支持体は、3D物体の形成に用いられるモデリング材料とは異なる材料を含むもの、またはモデリング材料と3D物体の形成に用いられるモデリング材料とは異なる材料との組み合わせを含むものであってもよい。
【0021】
まず図1を参照すると、本発明の支持体除去装置の一実施例が図示されている。支持材料除去装置は蓋10を有し、オペレータがこれを開けて支持材料を有する3Dプリント部品40(図8に図示)を投入可能となっている。コントロールパネル12はユーザに、温度や時間などの所定の初期パラメータをインプット可能とするものとできる。フロントパネル8は、タンク、ポンプ、および支持体除去装置100の他の内部コンポーネントにアクセスできるように開放可能である。
【0022】
次に図2を参照すると、支持体除去装置100に含まれることがあり得る様々なコンポーネントを断面側面図が図示している。蓋10が開放位置にあるとき、部品40は、あるいは部品収容タンク16と呼ばれることもあるアウトプットタンク16へと置かれ、部品40は部品バスケット24に収容され得る。バスケット24はアウトプットチャンバ内に配置されるものとできる。バスケット24は、液体塊の通過を許すが部品の通過は阻止する穴あき壁と、その穴あき壁の1つを通過してバスケット24の内部へのアクセスを許す開口部とを備えるものとできる。バスケットは、第1のタンク内でのバスケットの位置決めのために開口部を通ってバスケット24が装置にフィット可能な全体形状を有するものとできる。アウトプットタンク16は、液体塊28に圧力をかけてマニホルド14を流れさせるポンプ30(図3Aに図示)の作動に応じてインプットタンク18から循環的に流れてくる液体塊28で満たされている。本発明の実施例によってはタンクは1つだけでもよく、これは部品収容タンク16と呼ばれる。PC13はコントロールパネル12の中央に配置されたものとして図示されている。超音波発生器70はアウトプットタンク16の下に図示されている。
【0023】
支持体除去装置100の作動中、液体塊28のエネルギは調整可能で、液体塊28への酸素供給すなわち空気混和で適切な化学的性質を保つことができる。必要となったときに酸素供給(空気混和)および温度低下を行うための追加のコンポーネントを導入することを避けるために、堰20はアウトプットタンク16とインプットタンク18の間に存在するものとできる。堰20はアウトプットタンク16とインプットタンク18の間の壁36、または超音波に対するその作用よって減衰壁と呼ばれる、から構成されるものとできる。アウトプットタンク16から壁36を越えてインプットタンク18のより低い地点へと向かう液体塊28の流れは、液体塊において適切な温度および酸素供給状態を達成するためのパッシブなシステムを作り出す。ポンプ30からアウトプットタンク16への流れによって作り出されるアウトプットタンク16の陽圧が、アウトプットタンク16からの能動的な吸引の必要なしに壁36越しの越流を生じさせ、アウトプットタンク16からの吸引によって生じる部品40へのダメージの可能性を排除するシステムを作り出す。インプットタンク18には、アウトプットタンク16の陽圧に対応する陰圧が存在する。支持体除去装置100の作動中、液体塊は自然に蒸発する。実施例によっては継続的なものである液体レベルセンサ26は、液体塊28のレベルに注意が必要となったときにユーザに告知する。他の実施例は、単一のタンクまたは複数のタンクを有することができる。
【0024】
本発明の一実施例では、支持体除去装置100の特徴は、アウトプットタンク16とインプットタンク18の、2つの連結タンクを含むことであり、アウトプットタンク16は部品40を収容し、インプットタンク18は調整済みの液体塊28を収容可能である。好適な実施例では、液体塊28、これは洗浄剤とすることができる、は、インプットタンク18の下方領域から、マニホルド14の複数のノズル孔34を介して、アウトプットタンク16へとポンプ30を介して送り込まれ、アウトプットタンク16内に水圧および回転流を生じる。好適な実施例では、ポンプ30はインプットタンク18の下に位置する。ポンプ30の位置は重要となり得るが、これは、実施例によってはポンプ30が自給式ではなく、この場合はポンプ吸込み口上方からポンプ30へと供給されるように液体塊28が汲み上げられなくてはならないためである。マニホルド14のノズル孔34は、アウトプットタンク16内で環状流すなわち渦を生じさせるべく、液体塊28の流れを方向づけることが可能なように配置されている。この流れは、超音波、熱、および化学的処理を含むがこれに限定されるものではない支持体除去手段に対して、部品40のすべての面が均一に晒されることを可能とする。本発明の一実施例では、作業中にアウトプットタンク16からインプットタンク18へと液体塊28を引き出す吸引手段が存在しない。代わりに、液体塊28は、液体塊28がインプットタンク14からアウトプットタンク16へとポンプで送り出されたときに堰20を越えて流れる。実施例では、ポンプ30は磁気結合遠心ポンプである。ポンプ30は、インプットタンク18またはアウトプットタンク16のレベルより低い位置に設けるものとできる。一実施例では、ポンプ30は50/60Hzで作動するモータを備える。
【0025】
好適な実施例では、インプットタンクの液体レベル19は、アウトプットタンク16のそれよりも低く、液体塊28が、アウトプットタンク16とインプットタンク18の間の壁36を越えてアウトプットタンク16から排出可能とされており、これにより堰20を形成している。堰20は壁36を有しており、アウトプットタンク16とインプットタンク18の間で液体塊28を隔てる。堰20はマニホルド14の上側部分の真上に位置すべきものであり、アウトプットタンク16内で回転流が持続することを可能とし、同時に液体塊28が堰20を越えて層流状に流れることも可能とする。好適な実施例では、アウトプットタンク16での液体塊28レベルとインプットタンク18での液体レベルとの間の距離は、2インチ~12インチである。
【0026】
堰20は、液体塊28に酸素供給と冷却の両方を行うが、これは支持体除去に最適なコンディションを保つための必須機能である。液体塊28が堰20を越えてインプットタンク18へと流れ込むときに得られる冷却効果は、温度の設定が低い場合であっても、液体塊28の温度を非常に厳しい精度で制御可能とする。よって堰20は、通常であれば破損する危険があったり温度オーバーシュートによって変化するかもしれないデリケートな部品40をユーザが加工することを可能とする。アウトプットタンク16とインプットタンク18を分離して堰20を形成する壁36は、同時に酸素供給すなわち空気混和と温度低下を可能とするものであり、これらのパラメータを調整するための高価な、あるいはエネルギを消費するような追加的な特徴が必要ない。液体塊28および堰20は、酸素供給、pH、蒸発を調整するために利用可能なカスケードを作り出す。堰20のパラメータは、支持体除去の効率を考えて最適化されている。
【0027】
したがってアウトプットタンク16とインプットタンク18の液体塊28のレベルは、監視および維持される。蒸発、あるいは機械的、化学的、または他の手段によって液体塊28が消費すなわち消耗すると、消費分には代替の必要が生じ得る。液体塊28が消費されるにつれ、インプットタンク18の液体レベルは下がる。インプットタンク18の液体塊28のレベルが所定のポイントまで低下すると、インプットタンク18の液体レベルセンサ26、これは継続的な液体レベルセンサとできる、が作動し、液体塊28を補充すなわち元に戻すようにオペレータに信号を送るものとできる。他の支持体除去装置およびシステムとは異なり、本発明の支持体除去装置100は、システムを完全に空にして再度満たすことをユーザに求めることはなく、むしろ、液体塊28のレベルが所定のポイントまで低下したときにシステムを満たすだけで、システムの動作を無期限に維持するのに十分であるように、液体塊28のコンディションが調整される。
【0028】
支持体除去装置100は、支持体除去用のアウトプットタンク40の中で部品40を最適な位置に維持しながら、アウトプットタンク16およびインプットタンク18内のコンディションの変化と部品40の構造的変化とに自動的に対応可能である。部品40の位置、循環、および回転の管理は、アウトプットタンク16のパラメータに対応するものとでき、これは液体塊28の流れ、熱、超音波、および測定性能を含むパラメータの組み合わせによって左右され、支持体除去装置100のエネルギの利用効率を最大化し、部品40へのダメージを最小化する。
【0029】
液体塊28をタンクマニホルド14の一組のノズル孔を通過させてアウトプットタンク内へとポンプで送り込む際に生じるアウトプットタンク内の液体塊28の流れは、大まかに言えばアウトプットタンク内で回転しており、液体塊28が渦巻きとなり、部品40が、液体塊28の回転流が原因で、液体塊28の表面に概ね接触しない。マニホルド14のノズル孔34の位置およびマニホルド14のノズル孔34から生じる液体塊28の流れの方向が、液体塊28の表面とアウトプットタンク16の底面および側面との間に部品40を浮遊させる渦を作り出す。本発明の他の実施例では、単一のポンプタンク内で部品40を効果的に回転させるのに十分な流れを生じ得る。
【0030】
次に図3A~Cを参照すると、マニホルド14とノズル孔34が図示されている。アウトプットタンク16内のマニホルド14のノズル孔34の位置は、液体塊28の回転流を作り出すのに重要である。図3Cは継続的レベルセンサ39を図示しており、これは液面に浮くことでインプットタンク18内の液体塊レベルの情報を伝達する。図3Cには沈降板37が図示されている。
【0031】
図3A~Cおよび図4A、4Bに図示されるように、好適な実施例では、マニホルド14の3つのセクションがアウトプットタンクを囲むように配置されており、マニホルド14の各セクションはアウトプットタンク16の2つの面の連結部でアウトプットタンク14の異なる表面に沿って配置されている。マニホルド14の2つのセクションは、アウトプットタンク14の対向する面、すなわち第1および第2の面に配置可能である図4Aに図示されるように、ノズル孔34はアウトプットタンク16の対向する面に隣接するマニホルドセクション上に互いに90度で配置されている)。隣り合うマニホルド14のセクションは、一連の直列するノズル孔34を有しており、ノズル孔34は隣り合うマニホルド14の各セクションで90度オフセットされており、ノズル孔34が液体塊28を隣接する面と平行に噴出し、アウトプットタンク90の3つの面に沿う概ね90度の角度で3つの方向に向かう液体塊28の回転流を生じる。このマニホルド14のセクションとノズル孔34の配置が、液体塊28の循環する回転流を引き起こし、アウトプットタンク16内に渦を生じさせる。マニホルド14の各セクションは、アウトプットタンク16の全幅にわたって延在し、マニホルド14の該セクションに沿って様々な数のノズル孔34を有し得るが、実施例は多様なものとできる。好適な実施例では、それぞれマニホルド14の各セクションに沿って直列に並んだノズル孔34の数は5つである。マニホルド14のセクションの数は、液体塊28に適切な圧力を生じさせ、適切な回転流を作り出してアウトプットタンク16の中心位置に部品40を維持するために重要となり得る。本発明の一実施例では、マニホルド14の各セクションは、マニホルド注入口42を介してポンプ30からほぼ等しい圧力で、ポンプ30から液体塊28を供給される。本発明の装置および方法は、特定の数のタンクに限られるものではない。マニホルド14のセクションは、アウトプットタンク16の面どうしの連結部に沿って横方向に延在するものとできる。
【0032】
次に図4A、4Bを参照すると、マニホルドおよびそのセクションが図示されている。マニホルド14はノズル孔34を有する。ノズル孔34の直径は、支持体除去のための液体塊28の圧力を最適化するための所望のコンディションによって変わり得る。マニホルド14のセクションとノズル孔34は、アウトプットタンク16の面の平面に液体塊28を進ませてアウトプットタンク16内の中央に部品40の位置を維持する渦が生じるように(図8参照)、アウトプットタンク16を囲むように概ね対称的に(図2参照)かつおおよそアウトプットタンク16の面に沿う端部すなわち面連結部に配置されている。表1は液体塊28の流れに孔サイズがどのような影響を及ぼし得るかを示している。
【0033】
【表1】
【0034】
次に図5を参照すると、オーバーフロー排液管52が図示されている。沈殿排液管54が図示されている。掃除用ポート56が図示されている。各目的の排出口の数は限定されていない。
【0035】
次に図6を参照すると、ポンプ30とマニホルド14の一部が図示されている。
【0036】
次に図7を参照すると、断面背面図に、液体塊28を汲み出して濾過するメカニズムが図示されている。フィルタ32は、支持体除去中に生じる粒状物質を取り除く。ポンプ30は、液体をマニホルド14に押し込む圧力を発生させる。ポンプ30は、本発明の支持体除去装置100と共に用いられる場合には、市販のポンプとすることができ、特注でなくてもよい。本発明は市販のポンプに限られるものでもない。ポンプ30は、アウトプットタンク16内の中央位置に部品が維持されるような回転流を生じるのに十分な圧力を、アウトプットタンク16内で吸引を行う必要なしに発生させる。超音波発生器70すなわち超音波モータは、特に数を限定するものではないが、16~24個の超音波変換器にパワーを供給する。
【0037】
水圧が3Dプリント部品を循環および浮遊させ、同時に超音波エネルギで照射する。本発明の主要な機能的特徴は、アウトプットタンク16のほぼ中央に部品40の位置を維持する能力である。部品40の位置の維持は、タンク40の全体にわたってセクションが配置されたマニホルド14を用いることで、さもなければ浮かんでしまう部品40を沈めたり、さもなければ沈んでしまう部品40を浮かす液流を作り出す回転液体流、すなわち渦を作り出すことで達成され得る本発明の装置および方法によって作り出された回転流コンディションでは、部品40はタンク中央に沈んだ状態で、部品40の軸を中心に回転すると共にタンクの中心軸周りを循環させられる。一実施例においては、1つ以上のマニホルドまたはマニホルドのセクションがアウトプットタンク16沿いの所定の位置でタンクの壁に配置され、これは壁36の堰20のすぐ近くに配置されるものを含む。図7はポンプ30の位置がタンク18、40両方の外側であることを示しており、ポンプ30はタンク18、40のコンディションに影響を受けず(タンクに沈まないことも含む)、これは特注のポンプではない市販のポンプの使用を可能とする。ただし特注のポンプも本発明の考慮に入っている。
【0038】
液体塊28中での部品40の回転は、液体塊28の成分と部品40との間に摩擦を発生させ、支持体除去へとつながる。一実施例では、支持体の除去は、回転する部品40に対してアウトプットタンク16内で接線方向に配置された超音波変換器22によって促進される。超音波発生器42は、アウトプットタンク16内の液体塊28内に熱を生じさせ、これが複数の直接および非直接的な手段を介した支持体除去を引き起こし、また回転する部品40との直接的相互作用によってキャビテーションを起こす。部品40は液体塊28内で自転するので、部品40の各面は超音波に晒され、これにより、液体塊28内での回転効果および超音波による支持体除去の促進を介して、支持体除去にシナジー効果が生じ得る。
【0039】
次に図8を参照すると、断面側面図は、アウトプットタンク16内のカーブした矢印によって示されるように、3Dプリント部品40の付随する回転と共に、ポンプ30によるポンピング間の液体塊28の流れを図示している。図8に図示されるように、3Dプリント部品40がアウトプットタンク16の中心で回転すると、3D部品40の様々な表面が超音波変換器22からの接線方向の放射に晒される。超音波変換器22は、部品40がアウトプットタンク16内で回転するときに部品40を照射する。部品40は超音波変換器22に対して接線方向に動くものであり、部品40の回転は、部品40のすべての面が超音波に晒されることを可能とする。部品40は、概ねアウトプットタンク16内の中心点の周囲を循環し、部品40は回転する。アウトプットタンク16内での部品40の回転は、規則的な揺れを生じる。したがってこのプロセス中の部品40の動きは、超音波変換器22からの均一な照射と共に、洗浄剤内での3Dプリント部品40の継続的な回転動作による摩擦を介して支持材料除去を生じ、よってポンプの作用、加熱器、化学反応、および超音波変換器の間で、支持体除去にシナジー効果が生じる。
【0040】
部品40への超音波照射は、部品全体にわたってほぼ均一に、熱とキャビテーションを生じるが、これはそれがアウトプットタンク16で回転および循環し、部品40の各面を超音波に晒すためである。さらに加熱ユニットもまた、支持体除去促進のための熱を生じるために用いられ得る。加熱ユニットと超音波発生器70は協調的に作動可能であり、超音波発生器70の周波数を弱める(下げる)必要がある場合には、塊の温度を最適なレベルに保つことによって加熱ユニットが埋め合わせできるものである。加熱ユニットは、前記加熱手段が、液体塊に触れるようにアウトプットチャンバ16の内部に位置決めされた内側端部と、アウトプットチャンバ16に収容された液体塊への熱入力をコントロールするために前記マイクロプロセッサへと通信可能に接続された外側端部とを有する加熱要素からなるものとして配置可能である。超音波を用いることの利点は、液体塊28にキャビテーションを起こせることで、これは加熱器やポンプ30では生じ得ない。超音波変換器22の使い過ぎは、例えば、液体内の成分を加熱により気化させ液体から抜けさせることで、液体塊28が枯渇するなど、液体塊28を劣化させかねない。部品40の材料は変形や層間剥離に対してエネルギ感度が高くなる場合があり、システム内のエネルギの最適化が重要である。
【0041】
超音波変換器22の使用は二重の効果を有するものであり、超音波変換器22は、単なる加熱器というよりむしろ液体塊28のかき混ぜ用コンポーネントと見なし得る。超音波変換器22を用いた加熱は、通常の加熱ユニットを用いた場合よりもたくさんのエネルギを必要とし得るが、超音波変換器22は複数の効果を有する。超音波は、振動を生じることによって微視的に部品40の表面に作用し、よって超音波変換器22によって行われている仕事は、加熱のみでなくなり、支持体除去へのシナジー効果を発生させ、プロセスの効率を高める。
【0042】
支持体除去装置を構成するコンポーネントが様々な材料から形成可能なことは明らかであって、とりわけ様々なpH範囲のアルカリ性洗浄水溶液の存在および使用を考えれば、材料をそのように選択、すなわち用いることで早すぎる腐食に耐える能力を備えることができる。タンクは304および/または316SS、あるいは316SSよりも耐食性に優れた合金鋼から形成可能である。したがって、最も望ましく、よって好まれるのは、アウトプットタンクおよびインプットタンクの作業面と頂部とノズルヘッドをステンレススチールで作り、パイプと継手をポリアミド(PA)やアクリロニトリル―ブタジエン―スチレン(ABS)などのポリマ材料から作り、キャビネットおよび貯蔵キャビネットを低品位のステンレススチールで作ることである。なお、保持タンク、ノズルヘッド、作業面、および一体作業プラットフォームは代わりに、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリフェニレン、ABS、またはPAなど、支持体除去装置の全体重量を軽減可能でかつ十分な耐食性を維持できる材料から形成されてもよい。同様に、ポンプ、熱電対、加熱要素38、レベル指示器、および、とりわけそれぞれの露出した操作可能なコンポーネントは、高品位のステンレススチールから作られるか、エポキシなどの不浸透性で耐食性の材料で被覆される。
【0043】
本発明は特定の好ましい実施の形態に関して説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく改造および変更がなし得ることは当業者であれば容易に理解できる。なお、出願人は、上述かつ添付の図面に図示された特定の細部に限定されることは意図していない。
【0044】
関連出願の相互参照
本願は、2016年6月1日に出願された「支持体除去装置」との名称の米国仮特許出願番号第62/344122号の優先権を主張するものであり、この仮特許出願全体を参照するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8