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特許7000372基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体
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  • 特許-基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/00 20060101AFI20220112BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20220112BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220112BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20220112BHJP
   C23C 18/34 20060101ALI20220112BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20220112BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20220112BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H01B5/00 C
H01B5/00 G
H01B5/00 M
C08K9/02
C08L101/00
C23C18/31 A
C23C18/34
H01B1/00 C
H01B1/00 G
H01B1/00 M
H01B1/22 A
H01B5/16
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019056448
(22)【出願日】2019-03-25
(62)【分割の表示】P 2015156224の分割
【原出願日】2015-08-06
(65)【公開番号】P2019114552
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2019-04-19
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2014165237
(32)【優先日】2014-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭幸
【合議体】
【審判長】辻本 泰隆
【審判官】▲吉▼澤 雅博
【審判官】小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/00
C08K 9/02
C08L101/00
C23C 18/31
C23C 18/34
H01B 1/00
H01B 1/22
H01B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に導電層が形成され、前記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられ、
10%圧縮したときの圧縮弾性率が1850N/mm以上、8000N/mm以下であり、
10%圧縮したときの圧縮弾性率の20%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が1.20以上であり、
20%圧縮したときの圧縮弾性率の30%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が0.85以下である、基材粒子。
【請求項2】
粒径が0.5μm以上、50μm以下である、請求項1に記載の基材粒子。
【請求項3】
30%圧縮したときの圧縮回復率が40%以上である、請求項1又は2に記載の基材粒子。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の基材粒子と、
前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備え、
前記基材粒子において、前記基材粒子の中心から表面に向かって、前記基材粒子の形成材料が異なる少なくとも2つの領域が存在し、
前記導電層の厚みが、0.005μm以上、10μm以下である、導電性粒子。
【請求項5】
前記基材粒子において、前記基材粒子の中心から表面に向かって、前記基材粒子の形成材料が異なる少なくとも3つの領域が存在する、請求項4に記載の導電性粒子。
【請求項6】
前記基材粒子の形成材料が、下記式(1)で表される構造単位を有する化合物を含む重合性組成物の重合体である、請求項4又は5に記載の導電性粒子。
【化1】
前記式(1)中、m及びnはそれぞれ1以上の整数を表す。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の基材粒子と、
前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える、導電性粒子。
【請求項8】
前記導電層の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える、請求項4~7のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項9】
前記導電層の外表面に突起を有する、請求項4~8のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項10】
導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、
前記導電性粒子が、請求項1~のいずれか1項に記載の基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える、導電材料。
【請求項11】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、 前記接続部の材料が、導電性粒子であるか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料であり、
前記導電性粒子が、請求項1~のいずれか1項に記載の基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備え、
前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面上に導電層が形成され、該導電層を有する導電性粒子を得るために用いられる基材粒子に関する。また、本発明は、上記基材粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板(FPC)、ガラス基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続し、接続構造体を得るために用いられている。また、上記導電性粒子として、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有する導電性粒子が用いられることがある。
【0004】
上記導電性粒子に用いられる基材粒子の一例として、下記の特許文献1,2では、樹脂粒子である基材と、該基材の表面に形成された少なくとも1層の導電性金属層とを有する導電性粒子が開示されている。
【0005】
特許文献1では、上記樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径が1.0~2.5μmである。上記樹脂粒子の直径が10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)は12000N/mm以上である。
【0006】
特許文献2では、上記樹脂粒子の平均粒子径が1.0~2.5μmである。上記樹脂粒子の平均粒子径(単位:μm)と上記樹脂粒子の直径が30%変位したときの荷重値(30%荷重値;単位:mN)と、上記樹脂粒子の直径が40%変位したときの荷重値(40%荷重値;単位:mN)とが下記式を満足する。
【0007】
(40%荷重値-30%荷重値)/平均粒子径×0.1≧12
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2012/102199A1
【文献】特開2012-185918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電極間を導電性粒子により電気的に接続する際には、電極間に導電性粒子を含む異方性導電材料を配置し、加熱及び加圧する。導電性粒子は圧縮される。このとき、電極に導電性粒子が押し込まれた凹部(圧痕)が形成されると、電極間の導通信頼性を高めることができる。一方で、電極と変形した導電性粒子との接触面積が大きいと、接続抵抗が低くなり、導通性が高くなる。
【0010】
しかし、特許文献1,2に記載のような従来の導電性粒子では、電極と変形した導電性粒子との接触面積が小さくなって導通性が低くなったり、電極に凹部を充分に形成できずに電極間の導通信頼性が低くなったりすることがある。電極に凹部が充分に形成されていないと、電極間を電気的に接続した接続構造体が高温又は高湿の条件に晒されたときに、接続抵抗が高くなることがある。
【0011】
すなわち、従来の導電性粒子では、低い接続抵抗と、高い導通信頼性との双方を両立することが困難であるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、表面上に導電層を形成した導電性粒子を電極間の電気的な接続に用いたときに、低い接続抵抗と、高い導通信頼性との双方を両立することができる基材粒子を提供することである。また、本発明の目的は、上記基材粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、表面上に導電層が形成され、前記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられ、10%圧縮したときの圧縮弾性率が100N/mm以上、8000N/mm以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率の20%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が1.20以上であり、20%圧縮したときの圧縮弾性率の30%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が0.85以下である、基材粒子が提供される。
【0014】
本発明に係る基材粒子のある特定の局面では、粒径が0.5μm以上、50μm以下である。
【0015】
本発明に係る基材粒子のある特定の局面では、30%圧縮したときの圧縮回復率が40%以上である。
【0016】
本発明に係る基材粒子のある特定の局面では、基材粒子の中心から表面に向かって、基材粒子の形成材料が異なる少なくとも2つの領域が存在する。
【0017】
本発明に係る基材粒子のある特定の局面では、基材粒子の中心から表面に向かって、基材粒子の形成材料が異なる少なくとも3つの領域が存在する。
【0018】
本発明に係る基材粒子のある特定の局面では、基材粒子の形成材料が、下記式(1)で表される構造単位を有する化合物を含む重合性組成物の重合体である。
【0019】
【化1】
【0020】
前記式(1)中、m及びnはそれぞれ1以上の整数を表す。
【0021】
本発明の広い局面によれば、上述した基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える、導電性粒子が提供される。
【0022】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電層の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える。
【0023】
本発明に係る基材粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電層の外表面に突起を有する。
【0024】
本発明の広い局面によれば、導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、前記導電性粒子が、上述した基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える、導電材料が提供される。
【0025】
本発明の広い局面によれば、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部の材料が、導電性粒子であるか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料であり、前記導電性粒子が、上述した基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る基材粒子は、10%圧縮したときの圧縮弾性率が100N/mm以上、8000N/mm以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率の20%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が1.20以上であり、20%圧縮したときの圧縮弾性率の30%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が0.85以下であるので、表面上に導電層を形成した導電性粒子を電極間の電気的な接続に用いたときに、低い接続抵抗と、高い導通信頼性との双方を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図4図4は、図1に示す導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
【0029】
(基材粒子)
本発明に係る基材粒子は、表面上に導電層が形成され、上記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられる。本発明に係る基材粒子では、10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)が100N/mm以上、8000N/mm以下である。本発明に係る基材粒子では、10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)の20%圧縮したときの圧縮弾性率(20%K値)に対する比(10%K値/20%K値)が1.20以上である。本発明に係る基材粒子では、20%圧縮したときの圧縮弾性率(20%K値)の30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)に対する比(20%K値/30%K値)が0.85以下である。
【0030】
本発明では、上記の構成が備えられているので、表面上に導電層を形成した導電性粒子を電極間の電気的な接続に用いたときに、低い接続抵抗と、高い導通信頼性との双方を両立することができる。
【0031】
本発明では、電極と変形した導電性粒子との接触面積を大きくすることができ、接続抵抗を低くすることができる。これは、中期変形時(20%K値の影響)が比較的柔軟であるために、電極間の接続時に、導電性粒子が良好に変形するためである。
【0032】
また、本発明では、電極に凹部(圧痕)を充分に形成することができ、電極間の導通信頼性を高くすることができる。例えば、電極間を電気的に接続した接続構造体が高温又は高湿の条件に晒されても、接続抵抗を低く維持することができる。これは、初期変形時(10%K値の影響)及び後期変形時(30%K値の影響)に導電性粒子が比較的硬いために、電極に導電性粒子が効果的に押し込まれるためであると考えられる。初期変形時(10%K値の影響)に電極に凹部の起点が形成され、後期変形時(30%K値の影響)に電極に凹部が充分に形成される。
【0033】
上記10%K値は100N/mm以上、8000N/mm以下である。上記10%K値は好ましくは500N/mm以上であり、好ましくは5000N/mm以下である。上記10%K値が上記下限以上であると、導通信頼性がより一層高くなる。上記10%K値が上記上限以下であると、接続抵抗が効果的に低くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
【0034】
上記比(10%K値/20%K値)は1.20以上である。上記比(10%K値/20%K値)は好ましくは1.30以上、より好ましくは1.40以上であり、好ましくは3.00以下、より好ましくは2.80以下である。上記比(10%K値/20%K値)が上記上限以下であると、接続抵抗が効果的に低くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
【0035】
上記比(20%K値/30%K値)が0.85以下である。上記比(20%K値/30%K値)は好ましくは0.10以上であり、好ましくは0.80以下である。上記比(20%K値/30%K値)が上記上限以下であると、接続抵抗が効果的に低くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
【0036】
上記基材粒子における上記圧縮弾性率(10%K値、20%K値及び30%K値)は、以下のようにして測定できる。
【0037】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で1個の基材粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
【0038】
10%K値、20%K値又は30%K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2
F:基材粒子が10%、20%又は30%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:基材粒子が10%、20%又は30%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:基材粒子の半径(mm)
【0039】
上記圧縮弾性率は、基材粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、基材粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0040】
上記基材粒子を30%圧縮したときの圧縮回復率は好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上である。上記圧縮回復率が上記下限以上であると、電極間の間隔の変動に対応して、基材粒子が充分に追従して変形しやすい。また、上記基材粒子が損傷しにくい。このため、電極間の接続不良が生じ難くなる。上記基材粒子の圧縮回復率は好ましくは105%以下である。
【0041】
上記圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0042】
試料台上に基材粒子を散布する。散布された基材粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、基材粒子の中心方向に、基材粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重-圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
【0043】
圧縮回復率(%)=[(L1-L2)/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでのまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0044】
上記基材粒子の粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上、最も好ましくは2.5μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下である。上記基材粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、10%K値、20%K値、30%K値、上記比(10%K値/20%K値)、上記比(20%K値/30%K値)及び上記圧縮回復率が好適な値を示すことが容易であり、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。
【0045】
上記基材粒子の粒径は、上記基材粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記基材粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。また、基材粒子の粒径は、基材粒子を任意の粒径測定装置により測定した平均粒径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。更に具体的には、複数の基材粒子の場合には、基材粒子の粒径の測定方法としては、例えば、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の粒径を測定し、平均粒子径を測定する方法が挙げられる。上記平均粒子径は、数平均粒子径を示す。
【0046】
電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子の粒径が0.5μm以上、50μm以下であり、かつ上記基材粒子の圧縮回復率が40%以上であることが好ましい。
【0047】
接続抵抗を効果的に低くし、かつ導通信頼性を効果的に高める観点からは、基材粒子の中心から表面に向かって、基材粒子の形成材料が異なる少なくとも2つの領域が存在することが好ましい。上記比(10%K値/20%K値)及び上記比(20%K値/30%K値)を満足するように、このような少なくとも2つの領域が存在することが好ましい。この場合に、第1の領域(部分)と、該第1の領域よりも外側の第2の領域(部分)とで、基材粒子の形成材料が異なる。
【0048】
接続抵抗を効果的に低くし、かつ導通信頼性を効果的に高める観点からは、基材粒子の中心から表面に向かって、基材粒子の形成材料が異なる少なくとも3つの領域が存在することが好ましい。上記比(10%K値/20%K値)及び上記比(20%K値/30%K値)を満足するように、このような少なくとも3つの領域が存在することが好ましい。この場合に、第1の領域(部分)と、該第1の領域よりも外側の第2の領域(部分)と、該第2の領域よりも外側の第3の領域(部分)とで、基材粒子の形成材料が異なる。
【0049】
接続抵抗を効果的に低くし、かつ導通信頼性を効果的に高める観点からは、基材粒子の形成材料が、下記式(1)で表される構造単位を有する化合物を含む重合性組成物の重合体であることが好ましい。
【0050】
【化2】
【0051】
上記式(1)中、m及びnはそれぞれ1以上の整数を表す。
【0052】
接続抵抗を効果的に低くし、かつ導通信頼性を効果的に高める観点からは、基材粒子の中央の領域と、該中央の領域を取り囲む外側の領域とで、基材粒子の形成材料が異なることが好ましい。
【0053】
基材粒子は、基材粒子の中心から表面にかけて硬さが変化していることが好ましい。基材粒子は、基材粒子の中心から表面にかけて硬さが変化するグラデーション部を有することが好ましい。
【0054】
基材粒子は、形成材料の組成が、基材粒子の中心から表面にかけて層界面で異なっていてもよく、基材粒子の中心から表面にかけて層界面なしで異なっていてもよい。
【0055】
上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子ではないことが好ましく、基材粒子内で、コアとシェルとの界面が存在しないことが好ましい。上記基材粒子は、基材粒子内で、界面が存在しないことが好ましく、異なる面同士が接触している界面が存在しないことがより好ましい。上記基材粒子は、表面が存在する不連続部分を有さないことが好ましく、構造表面が存在する不連続部分を有さないことが好ましい。
【0056】
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記基材粒子では、内部形成材料の組成と表面部形成材料の組成とが異なることが好ましい。上記基材粒子では、内部が上記内部形成材料を用いて形成されており、表面部が上記表面部形成材料を用いて形成されていることが好ましい。また、上記基材粒子では、上記内部形成材料と上記表面部形成材料との双方を含む領域が存在することが好ましい。上記基材粒子では、上記内部形成材料を含み、かつ上記表面部形成材料を含まないか又は上記表面部形成材料を25%未満で含む領域を、基材粒子は中心に有することが好ましい。
【0057】
上記基材粒子では、上記表面部形成材料を含み、かつ上記内部形成材料を含まないか又は上記内部形成材料を25%未満で含む領域を、基材粒子は表面に有することが好ましい。上記基材粒子の全体で、単一の組成を有さないことが好ましい。上記内部形成材料は、基材粒子の中心を含む領域を形成している材料であり、表面を形成している材料とは異なることが好ましい。上記表面部形成材料は、基材粒子の表面を含む領域を形成している材料であり、基材粒子の中心を形成している材料とは異なることが好ましい。
【0058】
上記表面部形成材料は、上記基材粒子の表面から内側に向かって厚み1/10の距離部分(図1に示す破線r1の位置)に含まれていることが好ましい。この場合には、表面部形成材料は一般に、粒子を表面処理している表面処理剤とは異なる。例えば、粒子をシランカップリング剤などで表面処理すると、表面処理物質の厚みはさほど厚くならない。
【0059】
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記内部形成材料の組成と上記表面部形成材料の組成とが異なり、かつ、上記表面部形成材料が、芳香族(ジ)ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物及びシランアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記芳香族(ジ)ビニル化合物は、芳香族ビニル化合物であってもよく、芳香族ジビニル化合物であってもよい。良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記内部形成材料の組成と上記表面部形成材料の組成とが異なり、かつ、内部形成材料と表面部形成材料とがそれぞれ、芳香族(ジ)ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物及びシランアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。この場合に、上記内部形成材料が(メタ)アクリル化合物でありかつ上記表面部形成材料が芳香族(ジ)ビニル化合物及びシランアルコキシドの内の少なくとも1種であることが好ましい。
【0060】
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、内部形成材料が、(メタ)アクリル化合物であることが好ましく、内部形成材料が、(メタ)アクリル化合物であり、かつ表面部形成材料がシランアルコキシドであることがより好ましい。
【0061】
基材粒子の中心は、芳香族(ジ)ビニル重合体、(メタ)アクリル重合体及び芳香族(ジ)ビニル-(メタ)アクリル共重合体を含まないか、又は芳香族(ジ)ビニル重合体、(メタ)アクリル重合体及び芳香族(ジ)ビニル-(メタ)アクリル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を25%未満で含むことが好ましい(2種以上の場合には合計で含有量を計算)。基材粒子の表面は、シランアルコキシドの重縮合物を含まないか、又はシランアルコキシドの重縮合物を25%未満で含むことが好ましい(2種以上の場合には合計で含有量を計算)。上記基材粒子の表面から内側に向かって厚み1/10の領域(図1に示す領域R1)は、表面部形成材料により形成されていることが好ましく、芳香族(ジ)ビニル重合体、(メタ)アクリル重合体及び芳香族(ジ)ビニル-(メタ)アクリル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種により形成されていることがより好ましい。
【0062】
基材粒子は、基材粒子の中心から表面に向かって、基材粒子形成材料の組成が連続的又は段階的に変化している領域を有することが好ましく、基材粒子形成材料の組成が連続的に変化している領域を有することがより好ましい。基材粒子は、中心から表面に向かって、基材粒子が、組成における各成分の含有量が傾斜している領域を有することが好ましい。
【0063】
基材粒子は、シランアルコキシドの重縮合物を用いる場合、基材粒子の中心から表面に向かって、炭素原子の含有量が連続的に変化している領域を有することが好ましい。基材粒子は、基材粒子の中心から表面に向かって、珪素原子の含有量が連続的に変化している領域を有することが好ましい。炭素原子の含有量が多くなると、炭素原子の含有量が多い基材粒子部分の柔軟性が高くなる傾向があり、10%K値が低くなる傾向がある。珪素原子の含有量が多くなると、珪素原子の含有量が多い基材粒子部分の基材粒子の柔軟性が低くなる傾向があり、30%K値が高くなる傾向がある。
【0064】
上記基材粒子の中心の珪素原子の含有量は好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記基材粒子の中心は、珪素原子を含んでいなくてもよい。上記基材粒子の中心は珪素原子を含まないことが好ましい。基材粒子の中心に含まれる炭素原子の含有量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは65重量%以上である。基材粒子の中心における珪素原子の含有量が少ないほど、また基材粒子の中心における炭素原子の含有量が多いほど、基材粒子の中心の組成に由来して基材粒子の柔軟性がより一層高くなる。
【0065】
基材粒子の表面及び基材粒子の表面部形成材料にそれぞれ含まれる珪素原子の含有量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは54重量%以上、更に好ましくは56重量%以上、特に好ましくは60重量%以上である。基材粒子の表面及び基材粒子の表面部形成材料はそれぞれ、炭素原子を含んでいなくてもよい。
【0066】
上記表面部形成材料を含む領域の厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは75nm以上、更に好ましくは125nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。上記表面部形成材料を含む領域の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、基材粒子の完全破壊及び飛散がより一層抑えられ、更に上記比(10%K値/20%K値)、上記比(20%K値/30%K値)及び上記圧縮回復率がより一層好適な値を示し、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。上記表面部形成材料を含む領域の厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御等によって、上記表面部形成材料を含む領域の厚みを制御可能である。
【0067】
上記基材粒子のアスペクト比は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。上記アスペクト比は、長径/短径を示す。複数の基材粒子の場合には、好ましくは、上記アスペクト比は、任意の基材粒子10個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、最大径と最小径をそれぞれ長径、短径とし、各粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求められる。
【0068】
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くする観点から、上記基材粒子の内部は、有機化合物により形成されていることが好ましい。上記基材粒子の内部が有機化合物により形成されていることで、基材粒子の完全破壊及び飛散が抑えられる。
【0069】
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くする観点から、上記基材粒子の表面は、アルコキシシラン化合物を加水分解及び重縮合させて形成されていることが好ましい。この場合には、基材粒子の表面部分の破壊及び飛散がより一層抑えられる。
【0070】
基材粒子の内部形成材料が有機化合物であると、上記比(10%K値/20%K値)、上記比(20%K値/30%K値)及び上記圧縮回復率が上述した値を満足することが容易である。
【0071】
上記内部形成材料等として用いることができる有機化合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体、有機官能基を有するシランアルコキシド重合体並びに重縮合体等が用いられる。なかでも、上述したように、上記内部形成材料は、(メタ)アクリル重合体であることが好ましい。内部形成材料が(メタ)アクリル重合体であることにより、導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する基材粒子を設計及び合成することが容易である。
【0072】
上記内部形成材料等が(メタ)アクリル化合物である場合に、上記(メタ)アクリル化合物としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。上記(メタ)アクリル化合物は、シランアルコキシドではないことが好ましい。
【0073】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類単量体等が挙げられる。
【0074】
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類単量体等が挙げられる。
【0075】
上記単量体を、公知の方法により重合させることで、上記(メタ)アクリル重合体を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0076】
上記表面部形成材料等として用いることができる化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン等の芳香族を有する(ジ)ビニル化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物等が挙げられる。なかでも、上記表面部形成材料等は、ジビニルベンゼン、又は、シランアルコキシドであることが好ましい。上記表面部形成材料は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0077】
上記シランアルコキシドは特に限定されない。内部形成材料である有機化合物と重合できることから、上記シランアルコキシドは、ビニル基を有することが好ましい。ビニル基を有するシランアルコキシドとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0078】
上記表面部形成材料を用いて上記基材粒子を形成する方法としては、例えば、内部形成材料中に表面部形成材料を溶解しておき、反応速度又はSP値差を利用することで相分離させる方法、非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに内部形成材料を最初に膨潤させたのち、後で活性温度の異なるラジカル重合開始剤とともに表面部形成材料を膨潤させて二段階で重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに内部形成材料を最初に膨潤させたのち、後で表面部形成材料を膨潤させて、水との界面でゾルゲル法により表面部形成材料を重縮合させ、その後ラジカル重合により重合する方法等が挙げられる。
【0079】
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに内部形成材料を最初に膨潤させたのち、後で活性温度の異なるラジカル重合開始剤とともに表面部形成材料を膨潤させて二段階で重合させ、又は、非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに内部形成材料を最初に膨潤させたのち、後で表面部形成材料を膨潤させて、水との界面でゾルゲル法により表面部形成材料を重縮合させ、その後ラジカル重合により重合する方法することにより得られることが好ましい。
【0080】
上記ゾルゲル法の具体的な方法としては、内部形成材料により形成された内部部分、水やアルコール、ケトン等の溶媒、界面活性剤、及び酸性又は塩基性の触媒を含む分散液に、テトラエトキシシラン等のシランアルコキシドを共存させて界面ゾル反応を行う方法等が挙げられる。
【0081】
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、上述した基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える。
【0082】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0083】
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電層2とを有する。導電層2は、基材粒子11の表面を被覆している。導電性粒子1は、基材粒子11の表面が導電層2により被覆された被覆粒子である。
【0084】
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0085】
図2に示す導電性粒子21は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電層22とを有する。導電層22は、内層である第1の導電層22Aと、外層である第2の導電層22Bとを有する。基材粒子11の表面上に、第1の導電層22Aが配置されている。第1の導電層22Aの表面上に、第2の導電層22Bが配置されている。
【0086】
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0087】
図3に示す導電性粒子31は、基材粒子11と、導電層32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。
【0088】
導電層32は、基材粒子11の表面上に配置されている。導電性粒子31は導電性の表面に、複数の突起31aを有する。導電層32は外表面に、複数の突起32aを有する。このように、上記導電性粒子は、導電性粒子の導電性の表面に突起を有していてもよく、導電層の外表面に突起を有していてもよい。複数の芯物質33が、基材粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質33は導電層32内に埋め込まれている。芯物質33は、突起31a,32aの内側に配置されている。導電層32は、複数の芯物質33を被覆している。複数の芯物質33により導電層32の外表面が隆起されており、突起31a,32aが形成されている。
【0089】
導電性粒子31は、導電層32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電層32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
【0090】
上記導電層を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、珪素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
【0091】
導電性粒子1,31のように、上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
【0092】
上記基材粒子の表面上に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0093】
上記導電性粒子の粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは520μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。また、導電性粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
【0094】
上記導電性粒子の粒径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。
【0095】
上記導電層の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。上記導電層の厚みは、導電層が多層である場合には導電層全体の厚みである。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0096】
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記最外層が金層である場合に、金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0097】
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。上記導電層の厚みは、任意の導電層の厚み5箇所の平均値を1個の粒子の導電層の厚みとする。複数の導電性粒子の場合には、上記導電層の厚みは、好ましくは、任意の導電性粒子10個について、これらの平均値を算出して求められる。
【0098】
上記導電性粒子は、導電性の表面に突起を有していてもよい。上記導電性粒子は、上記導電層の外表面に突起を有していてもよい。該突起は複数であることが好ましい。導電層の表面並びに導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電層とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0099】
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
【0100】
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成する途中段階で芯物質を添加する方法等が挙げられる。例えば、無電解めっきにより芯物質を用いずに突起を形成する方法として、無電解めっきにより金属核を発生させ、基材粒子又は導電層の表面に金属核を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。
【0101】
上記導電性粒子は、上記導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を備えていてもよい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が上記導電層の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。上記絶縁性物質は、絶縁性樹脂層又は絶縁性粒子であることが好ましく、絶縁性粒子であることがより好ましい。上記絶縁性粒子は、絶縁性樹脂粒子であることが好ましい。
【0102】
上記導電層の外表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電層の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電層の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していても構わない。
【0103】
(導電材料)
上記導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
【0104】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0105】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0106】
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0107】
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0108】
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
【0109】
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0110】
(接続構造体)
上述した導電性粒子を用いて、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0111】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、上記接続部の材料が、上述した導電性粒子であるか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料であることが好ましい。上記接続部が、上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
【0112】
上記第1の接続対象部材は、第1の電極を表面に有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は、第2の電極を表面に有することが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。
【0113】
図4は、図1に示す導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
【0114】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1の接続対象部材52と第2の接続対象部材53とを接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図4では、図示の便宜上、導電性粒子1は略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子21,31などの他の導電性粒子を用いてもよい。
【0115】
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0116】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×10~4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120~220℃程度である。フレキシブルプリント基板の電極、樹脂フィルム上に配置された電極及びタッチパネルの電極を接続するための上記加圧の圧力は9.8×10~1.0×10Pa程度である。
【0117】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
【0118】
上記導電性粒子及び上記導電材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
【0119】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブル基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0120】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0121】
(実施例1)
(1)基材粒子の作製
種粒子として平均粒子径0.85μmのポリスチレン粒子を用意した。該ポリスチレン粒子3.0gと、イオン交換水500gと、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液120gとを混合し、超音波により分散させた後、セパラブルフラスコに添加し、均一に撹拌した。
【0122】
また、有機化合物Aとしてポリテトラメチレングリコールジアクリレート43.8gと、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)1.1gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン2.4gと、エタノール30.7gとをイオン交換水165gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Aを調製した。
【0123】
種粒子としての上記ポリスチレン粒子が添加されたセパラブルフラスコに、上記乳化液Aをさらに添加し、4時間撹拌し、種粒子に上記有機化合物Aを吸収させて、内部形成材料が膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0124】
次に、有機化合物Bとしてジビニルベンゼン(純度96重量%)43.8gと、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)1.1gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン2.4gと、エタノール30.7gとをイオン交換水165gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Bを調製した。
【0125】
上記懸濁液が入ったセパラブルフラスコに、上記乳化液Bをさらに添加し、4時間撹拌し、内部形成材料が膨潤した種粒子に上記有機化合物Bを吸収させた。
【0126】
その後、ポリビニルアルコールの5.5重量%水溶液307gを添加し、加熱を開始して70℃で5時間、その後85℃で6時間反応させ、平均粒子径3.23μmの基材粒子を得た。
【0127】
(2)導電性粒子の作製
得られた基材粒子を洗浄し、乾燥した。その後、無電解めっき法により、得られた基材粒子の表面に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。
【0128】
(実施例2)
有機化合物Aのポリテトラメチレングリコールジアクリレートを1,4-ブタンジオールジアクリレートに、エタノールをN,N-ジメチルホルムアミドに変更したこと、有機化合物Bのジビニルベンゼン(純度96重量%)43.8gを、1,4-ブタンジオールジアクリレート41.6gと、ペンタエリスリトールテトラアクリレート2.2gとに、エタノールをN,N-ジメチルホルムアミドに変更したこと以外は、実施例1と同様にして基材粒子及び導電性粒子を作製した。
【0129】
(実施例3)
有機化合物Bのジビニルベンゼン(純度96重量%)を1,4-ブタンジオールジアクリレートに変更したこと以外は、実施例2と同様にして基材粒子及び導電性粒子を作製した。
【0130】
(実施例4)
有機化合物Aの1,4-ブタンジオールジアクリレート43.8gを1,4-ブタンジオールジアクリレート41.6gと、イソボロニルメタクリレート2.2gとに変更したこと以外は、実施例2と同様にして基材粒子及び導電性粒子を作製した。
【0131】
(実施例5)
有機化合物Aの1,4-ブタンジオールジアクリレート43.8gを1,4-ブタンジオールジアクリレート35.8gと、シクロヘキシルメタクリレート9.0gとに変更したこと以外は、実施例2と同様にして基材粒子及び導電性粒子を作製した。
【0132】
(実施例6)
有機化合物Aとしてポリテトラメチレングリコールジアクリレート35.0gと、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)0.9gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン1.8gと、エタノール24.6gとをイオン交換水132gに添加し、乳化液Aを調製した。
【0133】
種粒子としての上記ポリスチレン粒子が添加されたセパラブルフラスコに、上記乳化液Aをさらに添加し、4時間撹拌し、種粒子に上記有機化合物Aを吸収させて、内部形成材料が膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0134】
次に、有機化合物Bとしてジビニルベンゼン(純度96重量%)35.0gと、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)0.9gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン1.8gと、エタノール24.6gとをイオン交換水157gに添加し、乳化液Bを調製した。
【0135】
上記懸濁液が入ったセパラブルフラスコに、上記乳化液Bをさらに添加し、4時間撹拌し、内部形成材料が膨潤した種粒子に上記有機化合物Bを吸収させた。
【0136】
その後、ポリビニルアルコールの5.5重量%水溶液246gを添加し、加熱を開始して70℃で5時間、その後85℃で6時間反応させ、平均粒子径2.58μmの基材粒子を得た。その後、実施例1と同様にして導電性粒子を作製した。
【0137】
(実施例7)
有機化合物Aとしてポリテトラメチレングリコールジアクリレート87.6gと、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)2.2gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン4.8gと、エタノール61.4gとをイオン交換水330gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Aを調製した。
【0138】
種粒子としての上記ポリスチレン粒子が添加されたセパラブルフラスコに、上記乳化液Aをさらに添加し、6時間撹拌し、種粒子に上記有機化合物Aを吸収させて、内部形成材料が膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0139】
次に、有機化合物Bとしてジビニルベンゼン(純度96重量%)87.6gと、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)2.2gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン4.8gと、エタノール61.4gとをイオン交換水330gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Bを調製した。
【0140】
上記懸濁液が入ったセパラブルフラスコに、上記乳化液Bをさらに添加し、6時間撹拌し、内部形成材料が膨潤した種粒子に上記有機化合物Bを吸収させた。
【0141】
その後、ポリビニルアルコールの5.5重量%水溶液614gを添加し、加熱を開始して70℃で7時間、その後85℃で9時間反応させ、平均粒子径5.03μmの基材粒子を得た。その後、実施例1と同様にして導電性粒子を作製した。
【0142】
(実施例8)
有機化合物Aとしてジビニルベンゼン(純度96重量%)42.7gと、有機化合物Bとしてスチレンモノマー42.7gと、有機化合物Cとしてシクロヘキシルメタクリレート2.1gと、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)0.9gと、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)0.9gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン3.6gと、エタノール49.2gとをイオン交換水314gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液を調製した。
【0143】
上記乳化液が入ったセパラブルフラスコで12時間撹拌し、種粒子に上記有機化合物A、B、Cを吸収させた。
【0144】
その後、ポリビニルアルコールの5.5重量%水溶液246gを添加し、加熱を開始して70℃で7時間、その後85℃で9時間反応させ、平均粒子径3.02μmの基材粒子を得た。その後、実施例1と同様にして導電性粒子を作製した。
【0145】
(実施例9)
撹拌機及び温度計が取り付けられた20Lの反応容器内に、0.13重量%のアンモニア水溶液12000gと、メタノール10gを入れた。次に、反応容器内のアンモニアとメタノール水溶液中に、ビニルトリメトキシシラン950gをゆっくりと添加した。撹拌しながら、加水分解及び縮合反応を進行させ、次に25重量%アンモニア水溶液100mL添加した後、アンモニア水溶液中から粒子を単離した。回転式焼成炉内を真空にした後に、窒素を2L/minの速度で流しながら、単離された粒子を酸素分圧10-17atm、150℃で1時間加熱した後、360℃で2時間焼成して、基材粒子を得た。その後、実施例1と同様にして導電性粒子を調製した。
【0146】
(実施例10)
(1)パラジウム付着工程
実施例1で得られた基材粒子を用意した。得られた基材粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に樹脂粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に基材粒子を添加し、パラジウムが付着された基材粒子を得た。
【0147】
(2)芯物質付着工程
パラジウムが付着された基材粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を得た。
【0148】
(3)無電解ニッケルめっき工程
実施例1と同様にして、基材粒子の表面上に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。
【0149】
(実施例11)
(1)絶縁性粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N-トリメチル-N-2-メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
【0150】
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
【0151】
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
【0152】
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
【0153】
(比較例1)
種粒子として平均粒子径0.85μmのポリスチレン粒子を用意した。該ポリスチレン粒子3.0gと、イオン交換水500gと、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液120gとを混合し、超音波により分散させた後、セパラブルフラスコに添加し、均一に撹拌した。
【0154】
また、有機化合物Aとしてシクロヘキシルアクリレート61gと、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)1.6gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン3.3gと、エタノール42.7gとをイオン交換水340gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Aを調製した。
【0155】
種粒子としての上記ポリスチレン粒子が添加されたセパラブルフラスコに、上記乳化液Aをさらに添加し、4時間撹拌し、種粒子に上記有機化合物Aを吸収させて、内部形成材料が膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0156】
次に、有機化合物Bとしてジビニルベンゼン(純度96重量%)61gと、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)1.6gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン3.3gと、エタノール42.7gとをイオン交換水340gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Bを調製した。
【0157】
上記懸濁液が入ったセパラブルフラスコに、上記乳化液Bをさらに添加し、4時間撹拌し、内部形成材料が膨潤した種粒子に上記有機化合物Bを吸収させた。
【0158】
その後、ポリビニルアルコールの5.5重量%水溶液340gを添加し、加熱を開始して70℃で5時間、その後85℃で6時間反応させ、平均粒子径4.76μmの基材粒子を得た。
【0159】
得られた基材粒子を実施例1と同様にして導電性粒子を作製した。
【0160】
(比較例2)
有機化合物Aとしてポリテトラメチレングリコールジアクリレート31.4gと、ジビニルベンゼン(純度96重量%)13.5gと、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)1.2gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン2.4gと、エタノール31.4gとをイオン交換水314gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Aを調製した。
【0161】
種粒子としての上記ポリスチレン粒子が添加されたセパラブルフラスコに、上記乳化液Aをさらに添加し、4時間撹拌し、種粒子に上記有機化合物Aを吸収させて、内部形成材料が膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0162】
次に、有機化合物Bとしてポリテトラメチレングリコールジアクリレート31.4gと、ジビニルベンゼン(純度96重量%)13.5gと、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)1.2gと、ラウリル硫酸トリエタノールアミン2.4gと、エタノール31.4gとをイオン交換水314gに添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液Bを調製した。それ以外は実施例1と同様にして基材粒子及び導電性粒子を作製した。
【0163】
(比較例3)
過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)を2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)に変更したこと以外は比較例2と同様にして基材粒子および導電性粒子を作製した。
【0164】
(評価)
(1)基材粒子の平均粒径
得られた基材粒子について、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の粒径を測定し、平均粒径を測定した。
【0165】
(2)基材粒子の圧縮弾性率(10%K値、20%K値及び30%K値)
得られた基材粒子の上記圧縮弾性率(10%K値、20%K値及び30%K値)を、23℃の条件で、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。10%K値/20%K値並びに、20%K値/30%K値を求めた。
【0166】
(3)基材粒子の圧縮回復率
基材粒子の上記圧縮回復率を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。
【0167】
(4)接続抵抗
接続構造体の作製:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート1009」)10重量部と、アクリルゴム(重量平均分子量約80万)40重量部と、メチルエチルケトン200重量部と、マイクロカプセル型硬化剤(旭化成イーマテリアルズ社製「HX3941HP」)50重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部とを混合し、導電性粒子を含有量が3重量%となるように添加し、分散させ、樹脂組成物を得た。
【0168】
得られた樹脂組成物を、片面が離型処理された厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布し、70℃の熱風で5分間乾燥し、異方性導電フィルムを作製した。得られた異方性導電フィルムの厚さは12μmであった。
【0169】
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断された異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有するアルミニウム電極(高さ0.2μm、L/S=20μm/20μm)が設けられたガラス基板(幅3cm、長さ3cm)のアルミニウム電極のほぼ中央部へ貼り付けた。次いで同じアルミニウム電極が設けられた2層フレキシブルプリント基板(幅2cm、長さ1cm)を電極同士が重なるように、位置合わせをしてから貼り合わせた。このガラス基板と2層フレキシブルプリント基板との積層体を、40N、180℃、及び15秒間の圧着条件で熱圧着し、接続構造体を得た。
【0170】
接続抵抗の測定:
得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。
【0171】
[接続抵抗の評価基準]
○○:接続抵抗が3.0Ω以下
○:接続抵抗が3.0Ωを超え、4.0Ω以下
△:接続抵抗が4.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
【0172】
(5)電極の観察(圧痕の状態)
微分干渉顕微鏡を用いて、上記(4)接続抵抗の評価で得られた接続構造体のガラス基板側からガラス基板に設けられた電極を観察し、導電性粒子が接触した電極の圧痕の状態を下記の評価基準で評価した。また、金属顕微鏡を用いて、導電性粒子が接触した電極部分における空隙の発生の有無を観察した。なお、電極の圧痕の形成の有無について、電極面積が0.02mmとなるように、微分干渉顕微鏡にて観察し、電極0.02mmあたりの圧痕の個数を算出した。任意の10箇所を微分干渉顕微鏡にて観察し、電極0.02mmあたりの圧痕の個数の平均値を算出し、圧痕の状態を下記の基準にて判定した。
【0173】
[圧痕の状態の判定基準]
○○:電極0.02mmあたりの圧痕が25個以上
○:電極0.02mmあたりの圧痕が20個以上、25個未満
△:電極0.02mmあたりの圧痕が5個以上、20個未満
×:電極0.02mmあたりの圧痕が5個未満
【0174】
(6)導通信頼性
上記(4)接続抵抗の評価で得られた接続構造体を85℃及び85%(高温高湿下)で120時間放置した。放置後に、接続抵抗の上昇を評価した。放置後の接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。放置後の接続構造体の接続抵抗から、接続構造体の導通信頼性を下記の基準で判定した。
【0175】
[接続構造体の導通信頼性の評価基準]
○○:放置前の接続抵抗に対して、放置後の接続抵抗の上昇率が15%未満
○:放置前の接続抵抗に対して、放置後の接続抵抗の上昇率が15%以上、30%未満
△:放置前の接続抵抗に対して、放置後の接続抵抗の上昇率が30%以上、50%未満
×:放置前の接続抵抗に対して、放置後の接続抵抗の上昇率が50%以上
【0176】
基材粒子の詳細及び結果を下記の表1に示す。
【0177】
【表1】
【符号の説明】
【0178】
1…導電性粒子
2…導電層
11…基材粒子
21…導電性粒子
22…導電層
22A…第1の導電層
22B…第2の導電層
31…導電性粒子
31a…突起
32…導電層
32a…突起
33…芯物質
34…絶縁性物質
51…接続構造体
52…第1の接続対象部材
52a…第1の電極
53…第2の接続対象部材
53a…第2の電極
54…接続部
図1
図2
図3
図4