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特許7000381車幅拡張構造、及びオーバーフェンダースペーサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】車幅拡張構造、及びオーバーフェンダースペーサー
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/18 20060101AFI20220112BHJP
   B62D 25/16 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B62D25/18 G
B62D25/16 B
B62D25/16 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019112813
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020203608
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-06-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)掲載アドレス(トップページ)https://wha.co.jp/top (発明掲載ページ) https://wha.co.jp/stock_detail/234# 平成30年12月20日掲載 (2)販売場所:株式会社ワーコーポレーション、販売開始日:平成30年12月20日 (3)株式会社グラフィス(発行者)、ジープスタイルブック2019スプリング、第39頁~第42頁、平成30年12月28日発行
(73)【特許権者】
【識別番号】506386158
【氏名又は名称】金子 大作
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 大作
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-001293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0253034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/18
B62D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ状の周縁部を含むフェンダーパネルと、
前記周縁部に倣った形状の取付部、及び車幅方向において、前記取付部から車両外側に張り出し、かつ所定幅の標準仕様タイヤを上方から覆うための被覆部を有し、前記フェンダーパネルから取り外された純正品のオーバーフェンダーと、
前記標準仕様タイヤに代えて、前記標準仕様タイヤよりも幅広である幅広タイヤが使用さる場合に、前記オーバーフェンダーが前記フェンダーパネルに直接、固定される場合よりも、前記被覆部の外側の端部が、車両外側に配されるように、前記周縁部と前記取付部との間で挟まれ、かつ前記周縁部と前記取付部とに固定されるスペーサー本体部を有するオーバーフェンダースペーサーとを備え
前記スペーサー本体部の車幅方向における長さは、前記幅広タイヤが、前記オーバーフェンダーにおける前記被覆部の外側の前記端部よりも、外側へはみ出さないように設定される車幅拡張構造。
【請求項2】
前記取付部及び前記周縁部は、前記オーバーフェンダーが、前記フェンダーパネルに直接、固定される場合に利用される複数の既存取付孔をそれぞれ有し、
前記オーバーフェンダースペーサーは、前記取付部側の複数の前記既存取付孔と対応した箇所にそれぞれ設けられる複数の第1取付孔と、前記周縁部側の複数の前記既存取付孔と対応した箇所にそれぞれ設けられる複数の第2取付孔とを有し、
前記オーバーフェンダー及び前記オーバーフェンダースペーサーは、前記取付部側の複数の前記既存取付孔と、複数の前記第1取付孔とを利用して、互いに固定され、かつ
前記フェンダーパネル及び前記オーバーフェンダースペーサーは、前記周縁部側の複数の前記既存取付孔と、複数の前記第2取付孔とを利用して、互いに固定され
前記スペーサー本体部は、前記取付部と対向する外側壁部と、前記周縁部と対向する内側壁部とを有し、
前記外側壁部は、複数の前記第1取付孔を有し、
前記内側壁部は、複数の前記第2取付孔を有し、
前記取付部と対向する側の前記外側壁部の表面形状は、前記取付部の表面形状に倣った形をなし、
前記周縁部と対向する側の前記内側壁部の表面形状は、前記周縁部の表面形状に倣った形をなしている車幅拡張構造。
【請求項3】
前記スペーサー本体部は、中実状であり、かつ車幅方向において、前記スペーサー本体部を貫通する孔からなる1つ又は複数の肉抜き部を有する請求項1又は請求項2に記載の車幅拡張構造。
【請求項4】
前記スペーサー本体部は、前記肉抜き部の周りに残された部分からなるハニカム構造を有する請求項3に記載の車幅拡張構造。
【請求項5】
前記オーバーフェンダースペーサーは、前記スペーサー本体部と共に、補強ブロックを備え、
前記スペーサー本体部は、前記取付部と対向しつつ、前記取付部と重ねられる外側壁部と、前記外側壁部の上端から前記フェンダーパネル側に向かって延びつつ、前記取付部と前記周縁部との間に介在される上側介在壁部と、前記外側壁部の下端から前記フェンダーパネル側に向かって延びつつ、前記取付部と前記周縁部との間に介在される下側介在壁部とを有し、
前記取付部及び前記周縁部は、前記オーバーフェンダーが、前記フェンダーパネルに直接、固定される場合に利用される複数の既存取付孔をそれぞれ有し、
前記スペーサー本体部の前記外側壁部は、前記取付部側の複数の前記既存取付孔と対応した箇所にそれぞれ設けられる複数の取付孔を有し、
前記補強ブロックは、車幅方向において、前記外側壁部と前記周縁部との間で挟まれるように前記スペーサー本体部の内部に収容され、かつ一端が前記取付孔と共に前記取付部の前記既存取付孔と連通し、他端が前記周縁部の前記既存取付孔と連通するように、車幅方向に貫通する連通孔を含み、
前記オーバーフェンダー及び前記オーバーフェンダースペーサーは、前記取付部側の前記既存取付孔と、前記取付孔及び前記一端側の前記連通孔を利用して、互いに固定され、
前記フェンダーパネル及び前記オーバーフェンダースペーサーは、前記周縁部側の前記既存取付孔と、前記他端側の前記連通孔を利用して、互いに固定され、
前記取付部と対向する側の前記外側壁部の表面形状は、前記取付部の表面形状に倣った形をなしている請求項1に記載の車幅拡張構造。
【請求項6】
アーチ状の周縁部を含むフェンダーパネルに対して、前記周縁部に倣った形状の取付部、及び車幅方向において、前記取付部から車両外側に張り出し、かつ前記取付部が前記フェンダーパネルの前記周縁部に直接、固定された場合に、所定幅の標準仕様タイヤを上方から覆うための被覆部を有し、前記標準仕様タイヤに代えて、前記標準仕様タイヤよりも幅広である幅広タイヤが使用さる場合に、前記フェンダーパネルから取り外された純正品のオーバーフェンダーが、直接、固定される場合よりも、前記被覆部の外側の端部が、車両外側に配されるように、前記周縁部と前記取付部との間で挟まれ、かつ前記周縁部と前記取付部とに固定されるスペーサー本体部を有し、前記スペーサー本体部の車幅方向における長さは、前記幅広タイヤが、前記オーバーフェンダーにおける前記被覆部の外側の前記端部よりも、外側へはみ出さないように設定されるオーバーフェンダースペーサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車幅拡張構造、及びオーバーフェンダースペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
フェンダーの周縁部に、オーバーフェンダーが外付けされているタイプの車両が知られている(例えば、特許文献1)。この種の車両において、例えば、標準仕様のタイヤから、幅広のタイヤに交換しようとすると、タイヤがオーバーフェンダーから外側へはみ出す虞がある。タイヤがオーバーフェンダーの外側へはみ出すと、「道路運送車両の保安基準」を満たさない等の問題が発生する場合がある。そのため、従来は、純正品のオーバーフェンダーを取り外して、幅広のタイヤに対応させた幅広のオーバーフェンダーに付け替えることが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-94098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、車両から取り外された純正品のオーバーフェンダーは、その車両において使い道がなく、有効に活用されていないのが現状である。また、純正品のオーバーフェンダーは、通常、フェンダー等のボディ側と統一性があるように、形状、色彩等がデザインされている。そのため、幅広のオーバーフェンダーに付け替えると、車両本来のデザインが大きく損なわれる場合があった。
【0005】
本発明の目的は、純正品のオーバーフェンダーを活かしつつ、車幅を広げることが可能な車幅拡張構造、及びそれに利用されるオーバーフェンダースペーサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車幅拡張構造は、アーチ状の周縁部を含むフェンダーパネルと、前記周縁部に倣った形状の取付部、及び車幅方向において、前記取付部から車両外側に張り出した被覆部を有し、前記フェンダーパネルから取り外された純正品のオーバーフェンダーと、前記オーバーフェンダーが前記フェンダーパネルに直接、固定される場合よりも、前記被覆部の外側の端部が、車両外側に配されるように、前記周縁部と前記取付部との間で挟まれ、かつ前記周縁部と前記取付部とに固定されるスペーサー本体部を有するオーバーフェンダースペーサーとを備える。
【0007】
前記車幅拡張構造において、前記取付部及び前記周縁部は、前記オーバーフェンダーが、前記フェンダーパネルに直接、固定される場合に利用される複数の既存取付孔をそれぞれ有し、前記オーバーフェンダースペーサーは、前記取付部側の複数の前記既存取付孔と対応した箇所にそれぞれ設けられる複数の第1取付孔と、前記周縁部側の複数の前記既存取付孔と対応した箇所にそれぞれ設けられる複数の第2取付孔とを有し、前記オーバーフェンダー及び前記オーバーフェンダースペーサーは、前記取付部側の複数の前記既存取付孔と、複数の前記第1取付孔とを利用して、互いに固定され、かつ前記フェンダーパネル及び前記オーバーフェンダースペーサーは、前記周縁部側の複数の前記既存取付孔と、複数の前記第2取付孔とを利用して、互いに固定されることが好ましい。
【0008】
前記車幅拡張構造において、前記スペーサー本体部は、前記取付部と対向する外側壁部と、前記周縁部と対向する内側壁部とを有し、前記外側壁部は、複数の前記第1取付孔を有し、前記内側壁部は、複数の前記第2取付孔を有することが好ましい。
【0009】
前記車幅拡張構造において、前記スペーサー本体部は、車幅方向において、前記スペーサー本体部を貫通する孔からなる1つ又は複数の肉抜き部を有することが好ましい。
【0010】
前記車幅拡張構造において、前記スペーサー本体部は、前記肉抜き部の周りに残された部分からなるハニカム構造を有することが好ましい。
【0011】
本発明に係るオーバーフェンダースペーサーは、アーチ状の周縁部を含むフェンダーパネルに対して、前記周縁部に倣った形状の取付部、及び車幅方向において、前記取付部から車両外側に張り出した被覆部を有し、前記フェンダーパネルから取り外された純正品のオーバーフェンダーが、直接、固定される場合よりも、前記被覆部の外側の端部が、車両外側に配されるように、前記周縁部と前記取付部との間で挟まれ、かつ前記周縁部と前記取付部とに固定されるスペーサー本体部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、純正品のオーバーフェンダーを活かしつつ、車幅を広げることが可能な車幅拡張構造、及びそれに利用されるオーバーフェンダースペーサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る車幅拡張構造が適用された車両の正面図
図2】車幅を広げる改造前の車両の正面図
図3】車幅を広げる改造前の車両において、オーバーフェンダーが、フェンダーパネルに固定されている部分の断面構造を模式的に表した説明図
図4】オーバーフェンダー及びスペーサーが取り外された状態における車両の右前側の側面構成を模式的に表した説明図
図5】オーバーフェンダーの内側側面図
図6】オーバーフェンダースペーサーの内側側面図
図7】オーバーフェンダースペーサーの外側側面図
図8】車幅拡張構造の断面図
図9】実施形態2に係るオーバーフェンダースペーサーの外側側面図
図10図9のA-A線断面図
図11図9のB-B線断面図
図12図9のC-C線断面図
図13】実施形態3に係るオーバーフェンダースペーサーの拡大図
図14】実施形態4に係るオーバーフェンダースペーサーの拡大図
図15】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの正面図
図16】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの背面図
図17】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの右側面図
図18】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの左側面図
図19】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの平面図
図20】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの底面図
図21】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの斜視図
図22】実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1図8を参照しつつ説明する。本実施形態では、オーバーフェンダースペーサー1と、そのオーバーフェンダースペーサー1を利用した車幅拡張構造20を例示する。図1は、実施形態1に係る車幅拡張構造20が適用された車両100の正面図である。図1には、車両100の右前側の部分が示されており、その部分に適用され車幅拡張構造20が示されている。
【0015】
本実施形態の車幅拡張構造20は、主として、フェンダーパネル(フロントフェンダーパネル)2と、オーバーフェンダー(フロントオーバーフェンダー)3と、オーバーフェンダースペーサー(以下、単に「スペーサー」と称する場合がある。)1とを備えている。なお、図1の左右方向が、車両100の車幅方向に対応し、図1の紙面に対して垂直な方向が、車両100の前後方向に対応する。
【0016】
スペーサー1は、図1に示されるように、フェンダーパネル2と、オーバーフェンダー3との間に設けられている。スペーサー1は、例えば、幅広のタイヤ4(幅:W)を車両100に装着した際に、車幅方向において、そのタイヤ4がオーバーフェンダー3から外側へはみ出さないように、車幅を広げるために利用される。なお、スペーサー1の詳細は、後述する。
【0017】
オーバーフェンダー3は、図1に示されるように、車幅方向において、その外側の端部3aが、フロントバンパー5よりも外側に位置するように設定されている。オーバーフェンダー3は、全体的には、タイヤ4を上方から覆うように車両前後方向に延びたアーチ状(上方に膨らんだ形のアーチ状)をなしており、主として、本体部31、加飾部32、方向指示器33等を備えている。本体部31は、主として、オーバーフェンダー3の上部側を構成し、スペーサー1を介してフェンダーパネル2に固定されるアーチ状の部材である。本体部31は、例えば、所定形状に加工された合成樹脂の成形品からなる。加飾部32は、主として、オーバーフェンダー3の下部側を構成する部材であり、例えば、所定形状に加工された合成樹脂の成形品からなる。方向指示器33は、本体部31と加飾部32との間に組み込まれる形で、オーバーフェンダー3の前部側に取り付けられる。方向指示器33には、図示されないハーネス(電気ケーブル)等が取り付けられている。
【0018】
図2は、車幅を広げる改造前の車両100Pの正面図である。図2には、図1に対応した箇所(つまり、車両100Pの右前側の部分)が示されている。車両100Pは、市販車の状態であり、標準仕様のタイヤ4Pを備えている。標準仕様のタイヤ4Pの幅WPは、上述した幅広のタイヤ4の幅Wと比べて小さい。そのような標準仕様のタイヤ4Pを上方から覆う形で、オーバーフェンダー3がフェンダーパネル2に対して直接、固定されている。車幅方向において、タイヤ4Pは、オーバーフェンダー3から外側へはみ出さないように、オーバーフェンダー3の外側の端部3aよりも内側の位置に収まるように取り付けられている。なお、本実施形態の場合、車両100Pのオーバーフェンダー3は、車幅方向において、その外側の端部3aが、フロントバンパー5の外側の端部5aよりも内側に位置するように設定されている。
【0019】
本実施形態の車幅拡張構造20では、車両100Pのフェンダーパネル2から取り外された純正品のオーバーフェンダー3が利用(再利用)される。図3は、車幅を広げる改造前の車両100Pにおいて、オーバーフェンダー3が、フェンダーパネル2に固定されている部分の断面構造を模式的に表した説明図である。図3には、車幅方向で切断された断面構造が示されている。車両100Pにおいて、オーバーフェンダー3の本体部31と、フェンダーパネル2とが、固定部材6P(例えば、合成樹脂製のクリップ座)を利用して互いに固定されている。本体部31は、図3に示されるように、車幅方向に張り出した概ね板状の被覆部31aと、その被覆部31aの内側(車両内側)の端部から下方に延びた概ね板状の取付部31bとを備えている。取付部31bは、周縁部21に倣った形状を有している。
【0020】
フェンダーパネル2は、車両前後方向に延びたアーチ状の周縁部21を備えている。オーバーフェンダー3は、取付部31bが周縁部21と重ねられた状態で、固定部材6P等を利用して、フェンダーパネル2に固定されている。取付部31bには、固定部材6Pの軸部61Pが挿通される既存取付孔(取付部31b側の既存取付孔)34が設けられている。また、周縁部21にも、オーバーフェンダー3の既存取付孔34と重なる位置に、固定部材6Pの軸部61Pが挿通される既存取付孔(周縁部21側の既存取付孔)22が設けられている。軸部61Pの先端側には、縮径及び拡径するように弾性変形可能な一対の係止片62Pが取り付けられている。各既存取付孔34,22に軸部61Pが挿通されると、係止片62Pが、各既存取付孔34,22よりも大きく広がることで、周縁部21と係止する。そして、係止片62Pと、軸部61Pの後端側にある板状の座部63Pとの間で、取付部31b及び周縁部21が挟まれる形となる。このような固定部材6P等と共に、各既存取付孔34,22を利用して、オーバーフェンダー3は、フェンダーパネル2に対して固定されている。なお、固定部材6P等による固定箇所は、取付部31b及び周縁部21に、それぞれ複数設けられている。
【0021】
このような固定部材6P等を各既存取付孔34,22から取り外すことにより、車両100Pにおけるオーバーフェンダー3を、フェンダーパネル2から取り外すことができる。なお、オーバーフェンダー3とフェンダーパネル2との固定には、上述した固定部材6P以外の公知の固定手段(ボルト、ナット、ステー等)が利用されてもよい。
【0022】
図4は、オーバーフェンダー3及びスペーサー1が取り外された状態における車両100の右前側の側面構成を模式的に表した説明図である。図4には、オーバーフェンダー3及びスペーサー1が取り外されて、周縁部21が露出した状態のフェンダーパネル2が示されている。フェンダーパネル2は、例えば、所定形状に加工された鋼板の表面に塗装等が施されたものからなる。周縁部21は、上述したように、全体的には、車両前後方向に延びたアーチ状をなしている。そのような周縁部21には、改造前の車両100P(図2及び図3参照)において、オーバーフェンダー3の固定時に利用される複数の既存取付孔22が設けられている。本実施形態の車幅拡張構造20では、それらの既存取付孔22が、フェンダーパネル2(周縁部21)とスペーサー1との取り付け(固定)に利用される。既存取付孔22同士は、所定の間隔を置いて概ね列状(アーチ状)に配置されている。なお、スペーサー1の取り付けには、周縁部21に設けられている全ての既存取付孔22を使用してもよいし、適宜、必要なものだけを選択して使用してもよい。本実施形態では、スペーサー1の取り付けに、7個の既存取付孔22が使用される。それらの既存取付孔22は、車両の前側から後側に亘って、所定の間隔を置いて概ね列状(アーチ状)に配置されている。
【0023】
なお、7個の既存取付孔22のうち、最も車両前側に配置されるものを、「既存取付孔22a」と表し、最も車両後側に配置されるものを「既存取付孔22f」と表す。そして、既存取付孔22aと既存取付孔22fとの間に配される各既存取付孔22を、前側から順に、それぞれ「既存取付孔22b~22e」と表す。また、図4において、既存取付孔22fよりも、若干、高さ位置が高く、かつ既存取付孔22fよりも車両前側に配される既存取付孔22を、「既存取付孔22g」と表す。この既存取付孔22gは、既存取付孔22eよりも、高さ位置が低い。
【0024】
図5は、オーバーフェンダー3の内側側面図である。図5の左側が、車両前側に対応し、図5の右側が、車両後側に対応する。そして、図5の紙面手前側が、車幅方向における内側に対応し、図5の紙面奥側が、車幅方向における外側に対応する。オーバーフェンダー3は、上述したように、全体的には車両前後方向に延びたアーチ状をなしている。オーバーフェンダー3の取付部31bも、全体的には車両前後方向に延びたアーチ状をなしている。取付部31bは、車幅方向に張り出した被覆部31aの内側の端部から下方に延びた概ね板状をなしている。そのような取付部31bには、改造前の車両100P(図2及び図3参照)において、オーバーフェンダー3をフェンダーパネル2に固定する際に利用される複数の既存取付孔34が設けられている。各既存取付孔34は、周縁部21の各既存取付孔22に対応する位置(車幅方向で重なる位置)に設けられている。
【0025】
本実施形態の車幅拡張構造20では、それらの既存取付孔34が、オーバーフェンダー3(取付部31b)とスペーサー1との取り付け(固定)に利用される。既存取付孔34同士は、所定の間隔を置いて概ね列状(アーチ状)に配置されている。なお、スペーサー1の取り付けには、取付部31bに設けられている全ての既存取付孔34を使用してもよいし、適宜、必要なものだけを選択して使用してもよい。本実施形態の場合、スペーサー1の取り付けに、本体部31に設けられた10個の既存取付孔34が使用される。それらの既存取付孔34は、車両の前側から後側に亘って、所定の間隔を置いて概ね列状(アーチ状)に配置されている。
【0026】
10個の既存取付孔34のうち、最も車両前側に配置されるものから、最も車両後側に配されるものまでを、順に、それぞれ「既存取付孔34a~34j」と表す。なお、本実施形態では、図5において図示されていないものの、上記10個の既存取付孔34の他に、オーバーフェンダー3の加飾部32に設けられている既存取付孔も、スペーサー1の取り付けに利用される。
【0027】
図6は、オーバーフェンダースペーサー1の内側側面図であり、図7は、オーバーフェンダースペーサー1の外側側面図である。また、図8は、車幅拡張構造20の断面図である。なお、図6の左側及び図7の右側が、それぞれ車両前側に対応し、図6の右側及び図7の左側が、それぞれ車両後側に対応する。図8には、車幅方向で切断された状態の車幅拡張構造20が示されている。スペーサー1は、全体的には、車両前後方向においてアーチ状(上方に膨らんだ形のアーチ状)に延びた形をなしている。スペーサー1は、車両前後方向においてアーチ状(上方に膨らんだ形のアーチ状)に延びた形をなし、周縁部21と取付部31bとの間で挟まれ、かつ周縁部21と取付部31bとに固定されるスペーサー本体部10を備えている。本実施形態のスペーサー本体部10は、内側壁部11と、外側壁部12と、介在壁部13とを備えている。
【0028】
内側壁部11は、車両内側(フェンダーパネル2側)に配され、かつ上下方向に延びた概ね板状をなしている。また、内側壁部11は、フェンダーパネル2の周縁部21と重ねられる部分であり、内側壁部11の表面形状は、周縁部21の表面形状に概ね倣った形をなしている。図6に示されるように、内側壁部11には、複数の取付孔(第2取付孔)14が内側壁部11を貫通する形で設けられている。これらの取付孔14は、フェンダーパネル2に設けられた各既存取付孔22に対応する位置にそれぞれ設けられている。各取付孔14について、既存取付孔22a~22gに対応するものを、それぞれ、取付孔(第2取付孔)14a~14gと表す。
【0029】
外側壁部12は、車両外側(オーバーフェンダー3側)に配され、かつ上下方向に延びた概ね板状をなしている。また、外側壁部12は、オーバーフェンダー3の取付部31bと重ねられる部分であり、外側壁部12の表面形状は、取付部31bの表面形状に概ね倣った形をなしている。図7に示されるように、外側壁部12には、複数の取付孔(第1取付孔)15が外側壁部12を貫通する形で設けられている。これらの取付孔15は、オーバーフェンダー3に設けられた各既存取付孔34に対応する位置にそれぞれ設けられている。各取付孔15について、既存取付孔34a~35jに対応するものを、それぞれ、取付孔(第1取付孔)15a~15gと表す。なお、外側壁部12に設けられた取付孔(第1取付孔)15kは、オーバーフェンダー3の加飾部32に設けられている既存取付孔(不図示)に対応するものである。
【0030】
内側壁部11及び外側壁部12は、共に、車両前後方向においてアーチ状(上方に膨らんだ形のアーチ状)に延びた形をなしている。介在壁部13は、内側壁部11と外側壁部12との間に介在され、車幅方向に延びた概ね板状をなしている。また、介在壁部13は、車両100の前後方向において、前側から後側に亘ってアーチ状に延びた形をなしている。図8は、車幅拡張構造20の断面図である。図8には、車幅方向で切断された状態の車幅拡張構造20が示されている。図8に示されるように、スペーサー1は、断面視した際に、コの字状をなしており、内側に空間が形成されており、軽量化されている。
【0031】
スペーサー1の内側壁部11と、フェンダーパネル2の周縁部21とは、取付孔14及び既存取付孔22が互いに重ねられた状態で、例えば、ボルト71と、ターンナット72とを備えた締結部材7を利用して、固定される。ボルト71の軸部は、内側壁部11の取付孔14及び周縁部21の既存取付孔22に対して、スペーサー1の内部空間側(車両外側)から挿通される。周縁部21の車両内側には、ターンナット72が配されている。そのようなターンナット72に対して、ボルト71が締め込まれる。このようにして、スペーサー1の内側壁部11とフェンダーパネル2の周縁部21とが固定される。スペーサー1の内側壁部11とフェンダーパネル2の周縁部21との固定には、上記締結部材7以外の他の公知の固定手段が利用されてもよい。
【0032】
スペーサー1の外側壁部12と、オーバーフェンダー3(本体部31)の取付部31bとは、既存取付孔34及び取付孔15が互いに重ねられた状態で、例えば、ボルト61と、ナット62とを備えた締結部材6を利用して、固定される。ボルト61の軸部は、取付部31bの既存取付孔34及び外側壁部12の取付孔15に対して、オーバーフェンダー3(本体部31)の内部空間側(車両外側)から挿通される。外側壁部12の車両内側(内部空間側)には、ナット62が配されている。そのようなナット62に対して、ボルト61が締め込まれる。このようにして、スペーサー1の外側壁部12とオーバーフェンダー3(本体部31)の取付部31bとが固定される。スペーサー1の外側壁部12とオーバーフェンダー3(本体部31)の取付部31bとの固定には、上記締結部材6以外の他の公知の固定手段が利用されてもよい。
【0033】
また、本実施形態の車幅拡張構造20では、補助的に、ボディ側(フェンダーパネル2等)と、オーバーフェンダー3とをステー等の公知の締結手段を利用して、固定してもよい。
【0034】
図1に示されるように、本実施形態の車幅拡張構造20では、車幅を広げるために、純正品のオーバーフェンダー3と、フェンダーパネル2との間に、スペーサー1が介在されている。スペーサー1は、オーバーフェンダー3の形状、及びフェンダーパネル2の形状に倣った曲面部分を備えている。このスペーサー1によって、オーバーフェンダー3は、取り外される前の状態から、車幅方向外側へ平行移動したような状態となっている。その結果、オーバーフェンダー3が、幅広のタイヤ4が外側へはみ出さない状態で、そのタイヤ4を覆えるように配置されている。なお、本実施形態の場合、スペーサー1も、タイヤ4の一部を覆うように配されている。スペーサー1は、例えば、繊維強化樹脂(FRP)を、所定の金型を利用して成形したものからなる。
【0035】
本実施形態の場合、スペーサー1の高さ位置は、オーバーフェンダー3の高さ位置よりも、若干、低くなるように設定されている。なお、他の実施形態においては、スペーサー1の高さ位置を、オーバーフェンダー3の高さ位置と合わせてもよいし、或いは、オーバーフェンダー3の高さ位置よりも高くしてもよい。
【0036】
以上のような車幅拡張構造20では、スペーサー1を備えることにより、オーバーフェンダー3がフェンダーパネル2に直接、固定される場合よりも、オーバーフェンダー3の外側の端部3aが、車両外側に配される。したがって、車幅拡張構造20によれば、純正品のオーバーフェンダー3を活かしつつ、車幅を広げることができる。
【0037】
なお、ここでは、車両100の右前側(右前輪)の部分における車幅拡張構造20を例示したが、それ以外に、車両100の左前側(左前輪)、右後輪(右後側)、左後輪(左後側)の各部分においても、同様の構成を備えた車幅拡張構造が適用される。
【0038】
また、本実施形態では、上述したように、スペーサー1(スペーサー本体部10)が、断面視で、コの字状をなしていたが、このような構成であると、各締結部材6,7を取り付ける作業が行い易い等の利点を有する。
【0039】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を、図9図12を参照しつつ説明する。図9は、実施形態2に係るオーバーフェンダースペーサー1Aの外側側面図である。オーバーフェンダースペーサー1Aは、上記実施形態1と同様、車両の右前側(右前輪)の車幅拡張構造に利用されるものである。オーバーフェンダースペーサー1Aは、上記実施形態1のような断面コの字状でなく、中実状のスペーサー本体部10Aを備えている。オーバーフェンダースペーサー1Aは、例えば、合成樹脂の成形品からなる。そして、そのようなスペーサー本体部10Aに、軽量化等の目的で、複数の肉抜き部16Aが設けられている。肉抜き部16Aは、スペーサー本体部10Aを、車幅方向において、貫通する形で設けられた孔からなる。また、スペーサー本体部10Aには、複数の取付孔(第1取付孔)15Aが設けられている。これらの取付孔15Aは、上述したオーバーフェンダー3の既存取付孔34(図8参照)に対応する位置に設けられている。図10は、図9のA-A線断面図であり、図11は、図9のB-B線断面図であり、図12は、図9のC-C線断面図である。図12に示されるように、スペーサー本体部10Aには、取付孔(第2取付孔)14Aも設けられている。取付孔14Aは、取付孔15と1つに繋がっていてもよい。
【0040】
本実施形態のように、オーバーフェンダースペーサー1Aが、中実状のスペーサー本体部10Aを備える構成であってもよい。また、スペーサー本体部10Aに肉抜き部16Aを設けることで、軽量化を図ってもよい。
【0041】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3を、図13を参照しつつ説明する。図13は、実施形態3に係るオーバーフェンダースペーサー1Bの拡大図である。本実施形態のオーバーフェンダースペーサー1Bは、中実状のスペーサー本体部10Bと、そのスペーサー本体部10Bを車幅方向に貫通する孔からなる複数の肉抜き部16Bを備えている。そして、肉抜き部16Bの周りに残された部分17Bが、ハニカム構造となっている。このように、スペーサー本体部10Bがハニカム構造を備えることにより、オーバーフェンダースペーサー1Bの軽量化、及び高強度化を達成することができる。なお、ハニカム構造としては、肉抜き部16Bの形状が正六角形の場合に限られず、他の実施形態においては、例えば、三角形、四角形等の多角形状であってもよい。
【0042】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4を、図14を参照しつつ説明する。図14は、実施形態4のオーバーフェンダースペーサー1Cを使用した車幅拡張構造20Cの断面図である。図14には、車両100Cの右前側の部分に適用された車幅拡張構造20Cが示されている。本実施形態のスペーサー1C(スペーサー本体部10C)は、熱可塑性樹脂を含む合成樹脂製のシートをヒータで加熱した後、真空成型機を利用して真空成形したものからなる。スペーサー1Cは、全体的には、実施形態1等と同様、車両前後方向においてアーチ状(上方に膨らんだ形のアーチ状)に延びた形をなしている。ただし、スペーサー1Cは、実施形態1とは異なり、フェンダーパネル2側に開口した断面コの字状をなしている。スペーサー1Cは、車両前後方向においてアーチ状(上方に膨らんだ形のアーチ状)に延びた形をなし、周縁部21と取付部31bとの間で挟まれ、かつ周縁部21と取付部31bとに固定されるスペーサー本体部10Cを備えている。スペーサー本体部10Cは、外側壁部12Cと、上側介在壁部13Cと、下側介在壁部14Cとを備えている。
【0043】
外側壁部12Cは、車両外側(オーバーフェンダー3側)に配され、かつ上下方向に延びた概ね板状をなしている。また、外側壁部12Cは、オーバーフェンダー3の取付部31bと重ねられる部分であり、外側壁部12の表面形状は、取付部31bの表面形状に概ね倣った形をなしている。外側壁部12Cには、複数の取付孔(第1取付孔)15Cが外側壁部12Cを貫通する形で設けられている。これらの取付孔15Cは、オーバーフェンダー3に設けられた各既存取付孔34に対応する位置にそれぞれ設けられている。外側壁部12Cは、車両前後方向においてアーチ状(上方に膨らんだ形のアーチ状)に延びた形をなしている。
【0044】
上側介在壁部13Cは、外側壁部12Cの上端から、車両内側(フェンダーパネル2側)に向かって延びた板状をなし、周縁部21と取付部31bとの間に介在される。また、上側介在壁部13Cは、車両100Cの前後方向において、前側から後側に亘ってアーチ状に延びた形をなしている。
【0045】
下側介在壁部14Cは、上側介在壁部13Cの下方に配され、外側壁部12Cの下端から車両内側(フェンダーパネル2側)に向かって延びた板状をなし、周縁部21と取付部31bとの間に介在される。また、上側介在壁部14Cは、車両100Cの前後方向において、前側から後側に亘ってアーチ状に延びた形をなしている。
【0046】
図14に示されるように、フェンダーパネル2の周縁部21に対して、上側介在壁部13Cの端部13C1と、下側介在壁部14Cの端部14C1とが、それぞれ当接される。
【0047】
また、スペーサー1Cは、スペーサー本体部10C以外に、補強ブロック25Cを備えている。補強ブロック25Cは、例えば、概ね矩形状をなしており、スペーサー1C(スペーサー本体部10)の内部に収容される。補強ブロック25Cは、例えば、高強度のプラスチック(例えば、エンジニアリングプラスチック)等からなる。そして、補強ブロック25Cは、スペーサー1Cが、フェンダーパネル2の周縁部21と、オーバーフェンダー3の取付部31bとの間に取り付けられた際に、車幅方向において、外側壁部12Cと周縁部21との間で挟まれる。
【0048】
補強ブロック25Cは、複数個あり、外側壁部12Cの取付孔15Cと重なる位置に取り付けられる。なお、他の実施形態においては、補強ブロックが車両100Cの前後方向に長く延びた形のものであってもよい。
【0049】
補強ブロック25Cには、取付孔15Cと連通する連通孔26Cが設けられている。連通孔26Cは、補強ブロック25Cを車幅方向に貫通する形で設けられている。本実施形態の場合、1つの補強ブロック25Cに、1つの連通孔26Cが設けられているが、他の実施形態においては、1つの補強ブロックに対して複数の連通孔が設けられてもよい。
【0050】
スペーサー1Cが、フェンダーパネル2の周縁部21とオーバーフェンダー3の取付部31bとの間に取り付けられる際、取付孔15C及び連通孔26Cは、取付部31bの既存取付孔34と共に、周縁部21の既存取付孔22と連通する位置に配され、例えば、ボルト(ロングボルト)61Cと、ナット62Cとを備えた締結部材6Cを利用して、固定される。ボルト61Cの軸部61C1は、取付部31bの既存取付孔34、外側壁部12Cの取付孔15C、補強ブロック25Cの連通孔26C及び周縁部21の既存取付孔22に対して、オーバーフェンダー3(本体部31)の内部空間側(車両外側)から挿通される。フェンダーパネル2の周縁部21の車両内側には、ナット62Cが配されている。そのようなナット62Cに対して、ボルト61Cが締め込まれる。このようにして、スペーサー1Cが、オーバーフェンダー3(本体部31)の取付部31bと、フェンダーパネル2の周縁部21とに固定される。
【0051】
本実施形態では、スペーサー1Cが、1つの締結部材6Cを利用して、フェンダーパネル2の周縁部21と、オーバーフェンダー3の取付部31bとに取り付けられる。なお、他の実施形態においては、真空成形に代えて、圧空成型機を利用した圧空成形により、スペーサー(スペーサー本体)が形成されてもよい。
【0052】
本実施形態の車幅拡張構造20Cにおいて、取付部31b及び周縁部21は、オーバーフェンダー3が、フェンダーパネル2に直接、固定される場合に利用される複数の既存取付孔34,22をそれぞれ有し、オーバーフェンダースペーサー1Cは、取付部31b側の複数の既存取付孔34と対応した箇所にそれぞれ設けられる複数の第1取付孔15Cを有し、オーバーフェンダー3、オーバーフェンダースペーサー1C及びフェンダーパネル2は、取付部31b側の複数の既存取付孔34と、複数の第1取付孔15Cと、周縁部21側の複数の既存取付孔22とを利用して、互いに固定される。
【0053】
また、車幅拡張構造20Cにおいて、スペーサー本体部10Cは、取付部31bと対向する外側壁部12Cと、外側壁部12Cの上端から車幅方向に延びる上側介在壁部13Cと、外側壁部12Cの下端から車幅方向に延びる下側介在壁部14Cとを有し、外側壁部12Cは、複数の第1取付孔15Cを有することが好ましい。
【0054】
また、車幅拡張構造20Cにおいて、スペーサー1Cは、スペーサー本体部10C内に収容される補強ブロック25Cを備えることが好ましい。
【0055】
<実施形態5>
次いで、本発明の実施形態5のオーバーフェンダースペーサーを、図15図22を参照しつつ説明する。本実施形態は、車両の左前側(左前輪)の車幅拡張構造に利用されるものである。図15は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの正面図(写真)であり、図16は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの背面図(写真)であり、図17は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの右側面図(写真)であり、図18は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの左側面図(写真)であり、図19は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの平面図(写真)であり、図20は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの底面図(写真)であり、図21は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの斜視図(写真)であり、図22は、実施形態5に係るオーバーフェンダースペーサーの斜視図(斜視図)である。
【0056】
実施形態5のオーバーフェンダースペーサーは、自動車用オーバーフェンダースペーサーである。このオーバーフェンダースペーサーは、自動車用フロントフェンダー(パネル)と、自動車用フロントフェンダーカバーとの間に取り付けられるものである。
【符号の説明】
【0057】
1…オーバーフェンダースペーサー、2…フェンダーパネル、3…オーバーフェンダー、3a…オーバーフェンダーの外側の端部、4…タイヤ(幅広)、5…フロントバンパー、6…締結部材、7…締結部材、10…スペーサー本体部、11…内側壁部、12…外側壁部、13…介在壁部、14…取付孔、15…取付孔、20…車幅拡張構造、21…周縁部、22…既存取付孔、31…本体部、32…被覆部、33…方向指示器、34…既存取付孔、61…ボルト、62…ナット、71…ボルト、72…ターンナット、100…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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