(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】シール施工研修の方法、システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20220112BHJP
G09B 19/24 20060101ALI20220112BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220112BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
G09B19/24 Z
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019147497
(22)【出願日】2019-08-09
(62)【分割の表示】P 2018529822の分割
【原出願日】2017-07-20
【審査請求日】2020-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2016149493
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山邊 雅之
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-141345(JP,A)
【文献】特開2007-206106(JP,A)
【文献】特開2006-268528(JP,A)
【文献】特開2002-041801(JP,A)
【文献】特集3 シールエンジニアリングのサービスで顧客感動企業を目指す,VALQUA GROUPE CSR REPORT 2015 [online],日本バルガー工業株式会社,2016年02月,pp. 11-12,http://www.valqua.co.jp/wp-content/uploads/2016/03/csrreport2015.pdf,[2021年5月24日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,
17/00-19/26,
G06Q10/00ー99/00,
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール施工を発注するクライアントコンピュータと、シール施工を請け負う施工業者コンピュータと、シール施工をサポートするサポートセンターコンピュータを連係させるシール施工研修方法であって、
前記クライアントコンピュータ
が前記施工業者コンピュータに対し、サポートセンターでのシール施工研修の受講指示を発する工程と、
前記クライアントコンピュータからの前記受講指示を契機として、
前記サポートセンターコンピュータが前記サポートセンターで施工業者に対して前記シール施工研修を実行する工程と、
を含み、前記シール施工研修は、
単一または複数の研修室に設置された、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器を含むシール施工機器から研修に要する機器を選択する工程と、
前記シール施工機器の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または入力手段から研修情報を取得する工程と、
を含むシール施工研修方法。
【請求項2】
シール施工を発注するクライアントコンピュータと、シール施工を請け負う施工業者コンピュータと、シール施工をサポートするサポートセンターコンピュータを連係させるシール施工研修方法であって、
前記クライアントコンピュータ
が前記施工業者コンピュータに対し、サポートセンターでのシール施工研修の受講指示を発する工程と、
前記クライアントコンピュータからの前記受講指示を契機として、
前記サポートセンターコンピュータが前記サポートセンターで施工業者に対して前記シール施工研修を実行する工程と、
を含み、前記シール施工研修は、
単一または複数の研修室に設置された、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器を含むシール施工機器から研修に要する機器を選択する工程と、
前記シール施工機器の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または入力手段から研修情報を取得する工程と、
前記センサー出力または前記研修情報を受け、前記シール施工機器に含まれる機器に関する模擬情報を生成する工程と、
前記模擬情報を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する工程と、
を含むシール施工研修方法。
【請求項3】
シール施工を発注するクライアントコンピュータおよびシール施工を請け負う施工業者コンピュータと連係し、前記クライアントコンピュータから前記施工業者コンピュータに対して発せられたシール施工
研修の受講指示を契機に、施工業者に対するシール施工研修を実行させるサポートセンターコンピュータと、
単一または複数の研修室と、
前記研修室に設置され、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器のいずれかまたは2以上を含み、前記サポートセンターコンピュータによって研修に用いる機器が選択されるシール施工手段と、
前記シール施工手段の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または前記機器に関する研修情報を取得する取得手段と、
前記センサー出力または前記研修情報を受け、前記シール施工手段に含まれる機器に関する模擬情報を生成する処理手段と、
前記処理手段に有線または無線で接続され、この処理手段から出力される処理出力を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する情報提示手段と、
を備えるシール施工研修システム。
【請求項4】
シール施工を発注するクライアントコンピュータからシール施工を請け負う施工業者コンピュータに対して発せられたシール施工
研修の受講指示を契機に、サポートセンターコンピュータによって施工業者に対するシール施工研修を実行させる機能と、
配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器のいずれかまたは2以上を含むシール施工手段から研修に用いる機器を前記サポートセンターコンピュータにより選択する機能と、
前記シール施工手段の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または前記機器に関する研修情報を取得する機能と、
前記センサー出力または前記研修情報を受け、前記シール施工手段に含まれる機器に関する模擬情報を生成する機能と、
前記模擬情報を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する機能と、
をコンピュータで実現させるシール施工研修プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、配管連結などに用いられるシール施工の研修方法、システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配管連結や配管にポンプなどの設備を接続する施工では、フランジ継手にガスケットなどのシール材を挟み込み、フランジ継手の複数箇所に配置したボルトでガスケットを締め付けている。
【0003】
このシール施工に関し、研修用機材として、トルクレンチなどの締付け具により締め付けられるボルトの締付け力をロードセルによって検出してディスプレイに表示し、フランジの面圧を作業者に確認させることが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、斯かるシール施工にはプラントやそのオーナーなどのクライアント、シール施工を必要とする機器などの施工対象、シール施工を担当する施工業者および作業者、施工対象に適合するシール材、シール施工に用いられる施工具、作業者の研修など、複数の要素を包含している。とりわけ、シール材の選定、購入および作業者の研修はシール施工の精度や信頼性を高める上で極めて重要な事項である。
【0006】
多種多様なシール材から適合するシール材を選定することは容易ではないし、熟練した作業者にあっても経験や勘に頼る施工では精度や信頼性に問題がある。シール施工研修を実施しても、施工業者がシール材の選定に間違いがあれば、期待する精度や信頼性は得られない。
【0007】
高精度、高品質のシール材が提供されても、その選定にミスがあれば、質の高いシール施工は望めないし、シール施工の研修、シール材の選定、その購入を自由な個別の管理とすれば、シール施工の品質を高めることが困難であり、シール施工の品質を低下させることになる。
【0008】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、シール施工研修、シール材選定およびシール施工の一元化管理を実現し、シール施工の精度や信頼性を高めることにある。
【0009】
さらに、本発明の他の目的は、シール材選定とともにシール材購入を一元化し、シール施工におけるシール材の品質および信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示のシール施工研修方法の一側面によれば、シール施工を発注するクライアントコンピュータと、シール施工を請け負う施工業者コンピュータと、シール施工をサポートするサポートセンターコンピュータを連係させるシール施工研修方法であって、前記クライアントコンピュータが前記施工業者コンピュータに対し、サポートセンターでのシール施工研修の受講指示を発する工程と、前記クライアントコンピュータからの前記受講指示を契機として、前記サポートセンターコンピュータが前記サポートセンターで施工業者に対して前記シール施工研修を実行する工程とを含み、前記シール施工研修は、単一または複数の研修室に設置された、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器を含むシール施工機器から研修に要する機器を選択する工程と、前記シール施工機器の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または入力手段から研修情報を取得する工程とを含む。
【0011】
上記目的を達成するため、本開示のシール施工研修方法の一側面によれば、シール施工を発注するクライアントコンピュータと、シール施工を請け負う施工業者コンピュータと、シール施工をサポートするサポートセンターコンピュータを連係させるシール施工研修方法であって、前記クライアントコンピュータが前記施工業者コンピュータに対し、サポートセンターでのシール施工研修の受講指示を発する工程と、前記クライアントコンピュータからの前記受講指示を契機として、前記サポートセンターコンピュータが前記サポートセンターで施工業者に対して前記シール施工研修を実行する工程とを含み、前記シール施工研修は、単一または複数の研修室に設置された、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器を含むシール施工機器から研修に要する機器を選択する工程と、前記シール施工機器の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または入力手段から研修情報を取得する工程と、前記センサー出力または前記研修情報を受け、前記シール施工機器に含まれる機器に関する模擬情報を生成する工程と、前記模擬情報を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する工程とを含む。
【0012】
上記目的を達成するため、本開示のシール施工研修システムの一側面によれば、シール施工を発注するクライアントコンピュータおよびシール施工を請け負う施工業者コンピュータと連係し、前記クライアントコンピュータから前記施工業者コンピュータに対して発せられたシール施工研修の受講指示を契機に、施工業者に対するシール施工研修を実行させるサポートセンターコンピュータと、単一または複数の研修室と、前記研修室に設置され、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器のいずれかまたは2以上を含み、前記サポートセンターコンピュータによって研修に用いる機器が選択されるシール施工手段と、前記シール施工手段の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または前記機器に関する研修情報を取得する取得手段と、前記センサー出力または前記研修情報を受け、前記シール施工手段に含まれる機器に関する模擬情報を生成する処理手段と、前記処理手段に有線または無線で接続され、この処理手段から出力される処理出力を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する情報提示手段とを備える。
【0013】
上記目的を達成するため、本開示のシール施工研修プログラムの一側面によれば、シール施工を発注するクライアントコンピュータからシール施工を請け負う施工業者コンピュータに対して発せられたシール施工研修の受講指示を契機に、サポートセンターコンピュータによって施工業者に対するシール施工研修を実行させる機能と、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器のいずれかまたは2以上を含むシール施工手段から研修に用いる機器を前記サポートセンターコンピュータにより選択する機能と、前記シール施工手段の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または前記機器に関する研修情報を取得する機能と、前記センサー出力または前記研修情報を受け、前記シール施工手段に含まれる機器に関する模擬情報を生成する機能と、前記模擬情報を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する機能とをコンピュータで実現させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシール施工研修のシステム、プログラムまたは方法によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0015】
(1) クライアントコンピュータ、施工業者コンピュータおよびサポートセンターコンピュータの連係を以て、クライアントのシール施工対象の機器を選択し、その機器を以て施工研修を行うことができるとともに、シール施工対象の機器の模擬情報または研修情報を得ることができ、シール施工の精度や信頼性の向上に寄与することができる。
【0016】
(2) クライアントコンピュータ、施工業者コンピュータおよびサポートセンターコンピュータを媒介として、シール施工研修とあわせてシール材の選定および調達の自動化を図ることができる。
【0017】
(3) クライアントのシール施工を行う施工業者に必要なシール材の選定、そのシール材を用いた施工研修、シール施工に係る機器での研修を行えるとともに、サポートセンターでその管理が行え、シール施工と一体的な施工研修を実現できる。
【0018】
(4) シール施工研修の結果をシール材の選定、調達およびシール施工に利用でき、研修履歴を記録でき、その記録情報を提示でき、その内容確認の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施の形態に係るシール施工システムを示す図である。
【
図2】シール施工システムの処理シーケンスを示す図である。
【
図3】第2の実施の形態に係るシール施工管理システムを示す図である。
【
図4】シール施工管理の処理シーケンスを示す図である。
【
図5】シール施工管理の処理シーケンスを示す図である。
【
図6】シール材選定システムのシール材データテーブルを示す図である。
【
図7】Aはシール材選定に用いる入力画面を示す図、Bはシール材選定の結果を表す出力画面を示す図である。
【
図8】シール材選定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】シール施工研修システムの座学システムを示す図である。
【
図10】シール施工研修システムの実習システムを示す図である。
【
図11】AはPCのハードウェアを示す図、Bは研修サーバーのハードウェアを示す図である。
【
図13】Aは人的情報テーブルを示す図、Bはシール材情報・施工情報テーブルを示す図である。
【
図14】Aは研修情報テーブルを示す図、Bは関連情報テーブルを示す図である。
【
図15】コースカリキュラムテーブルを示す図である。
【
図16】Aはガスケット座学テーブルを示す図、Bはガスケット実習テーブルを示す図である。
【
図17】Aはグランドパッキン座学テーブルを示す図、Bはグランドパッキン実習テーブルを示す図である。
【
図20】Aはシール施工の入力画面の一例を示す図、Bはシール施工研修修了を表す出力画面の一例を示す図である。
【
図21】シール施工研修プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【
図22】スキル判定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図23】コース選択の処理手順を示すフローチャートである。
【
図24】シール施工研修方法の一例を示すフローチャートである。
【
図25】Aは実施例1に係るフランジ締付け実習装置を示す図、Bはひずみセンサーを備えたボルトおよびナットを示す図である。
【
図26】Aは実施例2に係るクリープ緩和実習装置を示す図、Bはひずみセンサーを備えたボルトおよびナットを示す図である。
【
図27】実施例3に係るシール性実習装置を示す図である。
【
図28】実施例4に係る現場模擬締付け実習装置を示す図である。
【
図29】実施例5に係る配管アライメント実習装置を示す図である。
【
図30】他の実施の形態に係る研修テーブルを示す図である。
【
図31】他の実施の形態に係るシール施工システムの処理シーケンスを示す図である。
【
図32】他の実施の形態に係るシール施工管理の処理シーケンスを示す図である。
【
図33】他の実施の形態に係るシール施工研修プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【
図34】他の実施の形態に係るシール施工の入力画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1の実施の形態〕
【0021】
<シール施工システム>
【0022】
図1は、第1の実施の形態に係るシール施工システムを示している。このシール施工システム2は、クライアント4、施工業者6、サポートセンター8を含み、これらを連係させるシール施工のシステムである。
【0023】
クライアント4はシール施工を発注するたとえば、石油精製プラント、化学プラントなどの各種プラント、電力会社、船舶、半導体の製造などの製造会社や、そのオーナーのいずれでもよい。
【0024】
施工業者6は、クライアント4からシール施工を請け負う業者である。
【0025】
サポートセンター8はクライアント4および施工業者6に対してシール施工をサポートする。このサポートには、シール施工に関する研修、シール技術の提供、シール施工管理、シール材、シール施工具などの関連部材の販売などが含まれる。
【0026】
図2は、このシール施工システム2の処理シーケンスを示している。
【0027】
この処理シーケンスによれば、サポートセンター8からクライアント4に対し、シール施工に関するプロモーションが実行される(S101)。このプロモーションやシール施工時期の到来を契機に、クライアント4から施工業者6に対して、シール施工の指示、サポートセンター8でのシール施工研修の受講指示が発行される(S102)。この指示は、サポートセンター8にも通知される。
【0028】
施工業者6からシール施工およびシール施工研修を受諾する旨の通知がクライアント4およびサポートセンター8に対して発せられる(S103)。
【0029】
クライアント4は、施工業者6からの通知を契機に、サポートセンター8に対してシール材の選定指示を発行する(S104)。
【0030】
サポートセンター8は、クライアント4および施工業者6からのシール施工およびシール施工研修の通知、クライアント4からのシール材の選定指示の発行を契機に、シール材の選定を行う(S105)。そして、サポートセンター8は、クライアント4および施工業者6に対し、シール材の選定結果の通知を発行する(S106)。
【0031】
クライアント4は、施工業者6に対し、シール材の調達指示を発行し(S107)、同時にサポートセンター8にその報告を行う。その際、施工業者6はシール材および推奨される施工工具をサポートセンター8から購入すればよい。
【0032】
サポートセンター8は施工業者6に対し、選定されたシール材を用いてシール施工研修を実施し(S108)、その研修結果をクライアント4および施工業者6に通知する(S109)。
【0033】
クライアント4は、シール材の調達およびシール施工研修の結果を契機に、施工業者6に対し、シール施工の許可を発行する(S110)。
【0034】
この許可を受けた施工業者6は、クライアント4が指定するシール施工を実施する(S111)。
【0035】
<第1の実施の形態の効果>
【0036】
(1) サポートセンター8のプロモーションなどを契機にシール施工時期の到来を知ることができる。
【0037】
(2) シール施工時期の到来やサポートセンター8のプロモーションなどを契機に、シール材の選定、シール施工の研修、シール材の調達、シール施工に一貫関与し、安心安全のシール施工を実現することができる。
【0038】
(3) 現場に必要なシール材の選定をシール施工前に行い、そのシール材を以てシール施工研修を行うことができ、シール施工現場に則した研修を行い、シール施工の精度を高めることができる。
【0039】
(4) 選定されたシール材を以て、少なくとも、シール施工の研修を受けたことを条件に施工業者6がシール施工を行うので、精度の高いしかも信頼性のあるシール施工を行うことができる。
【0040】
(5) このシール施工システム2によれば、サポートセンター8によるシール材の選定、シール施工の研修およびシール材の販売が行われるので、シール施工に関するシール材調達の一元化が図られる。
【0041】
(6) このシール施工システム2によれば、シール材の選定およびシール施工の研修にサポートセンター8が一貫関与するので、シール施工の高精度化および高信頼性の維持とともに、シール施工の効率化を図ることができる。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
【0043】
図3は、第2の実施の形態に係るシール施工管理システムを示している。
図3において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
図3に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。
【0044】
シール施工管理システム20はコンピュータを用いることにより、既述のシール施工システム2における人的情報、シール情報、施工情報、研修情報、関連情報などのサポート処理を行うコンピュータシステムである。このシール施工管理システム20には、シール材を選定するシール材選定システム、シール施工を行う施工業者6などに後述する研修を行うシール施工研修システム34(
図9)が含まれる。
【0045】
このシール施工管理システム20では一例として、クライアント4にクライアントコンピュータとしてパーソナルコンピュータ(以下単に「PC」と称する)24、施工業者6に施工業者コンピュータとしてPC26、サポートセンター8にサポートセンターコンピュータとしてPC28および研修サーバーコンピュータ(以下単に「研修サーバー」と称する)30が備えられる。また、シール施工研修システム34にはシール施工手段の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または機器に関する研修情報の取得や、センサー出力または研修情報を受け、シール施工手段に含まれる機器に関する模擬情報の生成や、処理手段から出力される処理出力を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する情報提示などが含まれる。
【0046】
PC24、26、28はたとえば、インターネット32によって連係されている。PC28には研修サーバー30が有線または無線により接続されている。
【0047】
PC24の処理には、シール施工の指示、研修指示、シール材の選定指示、調達指示、シール施工の許可の発行が含まれる。
【0048】
PC26の処理には、シール施工の受諾通知、研修の受諾通知、研修受講報告、シール材の調達報告、シール施工の開始通知、シール施工の終了通知の発行、シール施工の監視などが含まれる。
【0049】
PC28の処理には、プロモーション、指示や報告の受領の確認、シール材の選定の管理、研修プログラムの監視、サポートの継続判断などが含まれる。
【0050】
研修サーバー30の処理には、シール施工の研修プログラムやシール材の選定プログラムなどの実行が含まれる。
【0051】
<シール施工管理の処理シーケンス>
【0052】
図4および
図5は、シール施工管理の処理シーケンスを示している。
【0053】
PC28からPC24に対し、シール施工に関するプロモーションを行う(S201)。プロモーションをシール施工の時期の到来に合わせれば、メンテナンス時期の到来をプロモーションに同期して告知できる。
【0054】
PC24からPC26に対し、シール施工の指示が発行されるとともに、その指示がPC28に通知される(S202)。この指示は、施工開始や施工許可ではなく、後述のシール施工研修などを条件とした施工指示にすぎない。
【0055】
これを受けたPC26からPC24に対し、シール施工の受諾通知が発行されるとともに、その受諾通知がPC28に通知される(S203)。この受諾通知を受けたPC24からPC26に対し、サポートセンター8でのシール施工研修の指示が発行されるとともに、その指示がPC28に対し通知される(S204)。
【0056】
PC26からシール施工研修の受諾通知が発行されるとともに、その受諾通知がPC28に対して通知される(S205)。これを契機に、PC24からPC28にシール材の選定指示が発行される(S206)。
【0057】
PC28では、シール施工指示、シール施工の研修指示、これらの受諾通知の報告の受領を監視する(S207)。シール施工指示、シール施工の研修指示、これらの受諾通知の報告を受領すれば(S207のYES)、これを契機に、シール施工に必要なシール材の選定を開始する(S208)。この開始はPC24、26に通知される。この選定開始を条件に、研修サーバー30がシール材の選定プログラムを実行する(S209)。PC28では、シール材の選定が終了したかを判断し(S210)、シール材の選定が終了していれば(S210のYES)、研修サーバー30から提供されるシール材の選定結果を受け、このシール材の選定結果をPC24、26に報告する(S211)。
【0058】
この選定結果の報告を契機に、PC24からPC26に対し、シール材の調達指示が発行されるとともに、その指示がPC28に対して報告される(S212)。
【0059】
PC28からPC24、26に対し、シール施工の研修プログラムの開始通知が発行される(S213)。シール施工の研修プログラムは、研修サーバー30において実行される(S214)。施工業者6のシール施工を担当する作業者が研修プログラムを受講すればよい。
【0060】
PC28では、シール施工の研修プログラムの実行を監視し(S215)、シール施工の研修プログラムが終了すれば(S215のYES)、PC28からPC24、26に対し、シール施工の研修プログラムの終了通知が発行される(S216)。これを受け、PC26からPC24、28に研修受講報告の発行が行われる(S217)。このとき、施工業者6がシール材の調達を完了していれば、PC26からPC24、28に対し、シール材の調達報告を発行する(S218)。この調達報告はシール施工の研修プログラムの受講完了前であってもよい。
【0061】
PC24からPC26に対し、少なくともシール施工の研修を条件にシール施工の許可の指示が発行されるとともに、PC28に対してその指示が通知される(S219)。このシール施工の許可は、少なくともシール施工研修プログラムの受講が条件である。これを受けたPC26からPC24、28に対し、シール施工の開始通知が発行される(S220)。PC26ではシール施工を監視し(S221)、シール施工が終了すれば(S221のYES)、PC26からPC24、28に対し、シール施工の終了通知が発行される(S222)。
【0062】
PC28では、サポートを継続するかを判断し(S223)、サポートを継続する場合には(S223のYES)、PC24、26に対し、サポートの継続通知を発行する(S224)。サポートを継続しない場合には(S223のNO)、PC28からPC24、26に対し、サポートの終了通知を発行する(S225)。
【0063】
<シール材選定システム>
【0064】
シール材選定システムには、使用条件に関係付けられたガスケットなどのシール材データを格納したシール材データベースが用いられる。このシール材データベースにはたとえば、
図6に示すシール材データテーブル35が用いられる。
【0065】
このシール材データテーブル35には、複数のガスケットを包含するガスケット群36とともに、各ガスケットに対応する使用条件38として使用温度、使用圧力、使用流体、フランジ形状、使用機器、その他の情報など、ガスケットを特定するための条件情報が格納されている。
【0066】
使用条件から選択される2以上の条件を選択すれば、推奨されるガスケットを選択することができるし、ガスケットを選択すれば、その使用条件を取り出せる。
【0067】
このシール材選定にはたとえば、
図7のAに示すシール材選定の入力画面40が用いられる。この入力画面40では、シール材の選定を表すタイトル部42、たとえば5種類の使用条件として、使用温度、使用圧力、使用流体、フランジ形状、使用機器の選択部44、46、48、50、52とともに検索開始ボタン54が備えられる。選択部44、46、48、50、52の選択ボタン56をチェックすれば、選択すべき使用温度、使用圧力などが順次に表示される。表示された値などで選択ボタン56をチェックすれば、所望データを入力できる。そして、検索開始ボタン54をチェックすれば、
図7のBに示すように、シール材選定の出力画面60に遷移する。
【0068】
この出力画面60は
図7のBに示すように、シール材の選定結果を表すタイトル部62、複数の選定結果として「選定1」、「選定2」・・・が表示される。各選定結果には、製品番号、使用条件などを含む複数のガスケット情報64-1、64-2・・・などが表示される。この出力画面60には戻るボタン66が備えられ、この戻るボタン66をチェックすれば、
図7のAに示す入力画面40に遷移することができる。
【0069】
図8は、シール材選定の処理手順を示している。この処理手順はシール施工管理システムからシール材選定プログラムを選択して実行させることができ、シール材選定の入力画面40を表示し、この入力画面40から使用条件を入力する(S301)。使用条件の入力の後、検索指示によりシール材選定処理が実行される(S302)。このシール材選定処理では、データベース(DB)68のシール材データテーブル35が参照される。
【0070】
入力条件に使用条件が適合すれば、その使用条件に合致するシール材としてガスケットが選定される(S303)。
【0071】
この選定されたガスケットは、既述の使用条件などのガスケット情報が出力されて出力画面60に表示され(S304)、この選定処理を終了する。
【0072】
<シール施工研修システム34>
【0073】
シール施工研修システム34には、講義形式の座学システム34-1と、複数の実習装置を用いた実習形式の実習システム34-2が含まれる。
【0074】
座学システム34-1は
図9に示すように、第1の研修室69-1に複数のPC70が備えられる。各PC70はネットワーク72により研修サーバー30に接続され、情報の授受が可能である。ネットワーク72は有線または無線のいずれでもよい。
【0075】
各PC70にはモニター74および入力装置76が備えられる。モニター74は表示画面にタッチパネルを備え、タッチ入力が可能な構成でもよい。入力装置76はキーボードやマウスを備え、バーコードリーダーを備えてよい。
【0076】
各研修者78は施工業者6の従業員など、シール施工の担当者である。この場合、各PC70のいずれかに講師が付き、教材の内容を説明してもよい。
【0077】
このような座学システム34-1によれば、第1の研修室69-1に研修者78が集合し、各PC70のモニター74に展開される共通の座学研修教材を以て学習することができる。場合によっては、ネットワーク72をインターネット32に開放し、たとえば、e-ラーニングによって補講などを行うことも可能である。
【0078】
実習システム34-2は
図10に示すように、複数の実習装置であり、シール施工手段の一例としてフランジ締付け実習装置80-1、クリープ緩和実習装置80-2、シール性実習装置80-3などが備えられる。これらフランジ締付け実習装置80-1、クリープ緩和実習装置80-2、シール性実習装置80-3は第2の研修室69-2に設置され、個別にPC82を備える。各PC82はネットワーク72により研修サーバー30に接続され、情報の授受が可能である。この実施形態は、第1および第2の研修室69-1、69-2を備えているが単一の研修室としてもよく、また、3以上の研修室を備えて、設備を分散設置してもよい。
【0079】
各PC82にはデータロガー84およびモニター86が備えられる。データロガー84には装置本体側のセンサーからセンサー出力が取り込まれ、対応するPC82に入力される。モニター86は表示画面にタッチパネルを備え、タッチ入力が可能な構成でもよい。入力装置としてキーボードやマウスを備え、バーコードリーダーを備えてよい。
【0080】
このような実習システム34-2によれば、各研修者78はシール施工の講師のサポートを受け、シール施工機器と同様の実施条件での研修を行うことができる。
【0081】
<PC24、26、28、70、82のハードウェア>
【0082】
PC24、26、28、70、82には
図11のAに示すPC90を用いればよい。このPC90には、プロセッサ92、記憶部94、入出力部(I/O)96、操作入力部98および通信部100が含まれる。I/O96にはモニター102が接続される。
【0083】
プロセッサ92は、記憶部94にあるOS(Operating System)、サポートプログラム、シール施工プログラム、シール施工研修プログラム、シール材選定プログラムなどの各種プログラムの実行、演算処理、各種機能部の制御などの情報処理を行う。記憶部94にはROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記録媒体が備えられる。この記録媒体にはハードディスク、半導体メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)などを用いればよい。この記憶部94にはOSの他、シール施工プログラムや、シール施工研修プログラム、シール材選定プログラムなどの各種プログラムが格納される。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。
【0084】
操作入力部98はプロセッサ92の制御により情報入力に用いられる。この操作入力部98にはキーボード、マウス、タッチパネル、バーコード入力部などの情報入力機器が含まれる。
【0085】
通信部100は、Wi-Fi(Wireless Fidelity)などの無線によりネットワーク72に接続される。モニター102は、情報提示手段の一例であり、既述のモニター74、86などとして用いられる。
【0086】
<研修サーバー30のハードウェア>
【0087】
研修サーバー30には、
図11のBに示すように、プロセッサ104、記憶部106、I/O108および通信部110が備えられる。
【0088】
プロセッサ104は、記憶部106にあるOS、研修プログラムを実行する。I/O108は、情報入力に用いられる。通信部110は、ネットワーク72を介して既述のPC90との通信を行う。
【0089】
記憶部106は、ROM、RAMなどの記録媒体を備え、この記録媒体にはハードディスク、半導体メモリ、DVDなどを用いればよい。この記憶部106にはOSの他、シール施工研修プログラムなどの各種プログラムが格納される。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。この記憶部106にはシール施工研修プログラムに用いられるデータベース68が記憶される。
【0090】
<施工研修情報テーブル112>
【0091】
施工研修情報テーブル112には
図12に示すように、カテゴリ114、大項目116、中項目118および小項目120が格納される。カテゴリ114は大別された人的情報114-1、シール情報114-2、施工情報114-3、研修情報114-4、関連情報114-5など、各種の情報が含まれる。人的情報114-1には管理者情報および施工者情報が含まれる。シール情報114-2にはシール材情報、施工情報114-3には施工機器情報、施工工具、シール施工要請情報などが含まれる。研修情報114-4には施工研修プログラムなどが含まれる。関連情報114-5にはポリシー、規格情報、分析情報、調査情報、サポート情報、統計情報などが含まれる。
【0092】
人的情報テーブル122には
図13のAに示すように、人的情報114-1が格納される。この人的情報114-1にはシール施工を管理する管理者を特定する管理者情報、シール施工を担当する施工業者6の施工者を特定する施工者情報が格納される。管理者情報には、部署、各職および氏名が格納される。人的情報テーブル122を参照すれば、研修プログラムの受講者の特定や担当職などを確認できる。
【0093】
施工者情報には、会社名、部署、各職、氏名およびスキルが含まれる。スキルには施工者のシール施工の技能レベルが格納される。このスキルはスキル判定プログラムによって判定すればよい。したがって、この人的情報テーブル122を参照すれば、施工者の特定、担当職、スキルなど、シール施工の技能レベルを確認できる。
【0094】
シール材情報・施工情報テーブル124には
図13のBに示すように、シール材を特定するシール材情報が格納され、製品名および寸法が格納される。製品名には製造者を特定する記号や、特定名称などの識別情報が格納される。寸法にはシール材の形状寸法や厚みなどが格納される。
【0095】
施工機器情報には、シール施工の対象である施工機器を特定する情報が格納され、中項目118としてフランジ、ボルト・ナット、流体、圧力および温度が格納される。フランジには小項目120としてフランジを特定する形状、規格(寸法)および材質が格納される。ボルト・ナットには小項目120としてボルト・ナットを特定する寸法および材質が格納される。流体にはシール施工機器に用いられている流体の種別が格納される。圧力にはシール施工機器に用いられている流体の圧力が格納される。温度にはシール施工機器に用いられている温度が格納される。
【0096】
施工工具には、シール施工に用いられる施工工具について、中項目118として締付け工具およびフランジ工具が格納される。締付工具には小項目120としてハンドスパナ、手動トルクレンチ、倍力レンチ、エアートルクレンチ、油圧トルクレンチ、ボルトテンショナー、超音波軸力計などが含まれる。フランジ工具には小項目120としてフランジスプレッダー、フランジオープナー、フランジクローザーが含まれる。
【0097】
シール施工要請情報には、シール施工に要請される重要事項を表す情報が格納され、中項目118として、保管、運搬方法、据付方法、ボルト・ナット、締付け力および締付け手順が格納される。保管には小項目120としてその場所、運搬方法には小項目120としてその手段、据付方法には小項目120として使用フランジ工具、フランジ面確認、ボルト・ナットには小項目120として整備、潤滑材の種類、交換、材質、寸法が格納される。締付け力には小項目120としてトルク、軸力が格納される。
【0098】
研修情報テーブル126には施工研修の研修情報が格納され、
図14のAに示すように、中項目118として締付け方法、応力緩和、シール性、圧縮破壊、面圧分布、2種類の現場フランジ施工が格納される。締付け方法には小項目120としてフランジ締付け実習装置、トルク感覚実習装置が属する。応力緩和には、小項目120としてクリープ緩和実習装置が属する。シール性には小項目120としてシール性実習装置が属する。圧力破壊には小項目120として圧縮破壊実習装置が属する。面圧分布には小項目としてボルトの影響実習装置が属する。一方の現場フランジ施工には小項目120として現場模擬締付け実習装置が属し、他方の現場フランジ施工には小項目120として配管アライメント実習装置が属する。
【0099】
関連情報テーブル128には
図14のBに示すように、シール施工研修に活用すべき関連情報が格納される。ポリシーには中項目118として安心、安全の取組み、規格情報にはたとえば、資格認証制度規格、分析情報には事故原因および分析、調査情報には漏洩原因調査結果、サポート情報にはサポートセンター情報が含まれる。
【0100】
<コースカリキュラムテーブル130>
【0101】
コースカリキュラムテーブル130には
図15に示すように、コース132、カリキュラム134、カリキュラム内容136および時間138が格納されている。コース132には基礎コース130-1、上級コース130-2およびカスタムコース130-3が含まれている。カリキュラム134には、座学プログラム、実習プログラムが含まれ、座学プログラムまたは実習プログラムには基礎プログラム、応用プログラムが含まれる。各座学プログラムおよび実習プログラムには、それらが基礎プログラムか応用プログラムかを表す識別情報として「座学(基礎)」、「座学(応用)」、「実習(基礎)」、「実習(応用)」が格納される。カリキュラム内容136には学習する内容を表す項目が格納されている。そして、時間138には学習時間、実習時間を表す数値が格納される。
【0102】
<ガスケット座学テーブル140>
【0103】
ガスケット座学テーブル140には
図16のAに示すように、カリキュラム142、レベル144および内容146が格納されている。カリキュラム142には複数のカリキュラムを表す項目が格納されている。レベル144には、基礎プログラムか応用プログラムかを表す「基礎」または「応用」が格納されている。内容146にはカリキュラム142のレベル毎に学習内容が格納される。
【0104】
<ガスケット実習テーブル148>
【0105】
ガスケット実習テーブル148には
図16のBに示すように、カリキュラム150、レベル152、内容154および実習装置156が格納されている。カリキュラム150には複数のカリキュラムを表す項目が格納されている。レベル152には、基礎プログラムか応用プログラムかを表す「基礎」または「応用」が格納されている。内容154にはカリキュラム150の項目毎に学習内容が格納される。そして、実習装置156にはカリキュラム150の内容の学習に用いられる実習装置としてたとえば、「締付け方法」には「フランジ締付け実習装置」および「トルク感覚実習装置」が用いられるなど、カリキュラム150に対応する実習装置が明示されている。
【0106】
<グランドパッキン座学テーブル158>
【0107】
グランドパッキン座学テーブル158には
図17のAに示すように、カリキュラム160および内容162が格納されている。カリキュラム160には複数のカリキュラムを表す項目が格納されている。内容162にはカリキュラム160の項目毎に学習内容が格納される。
【0108】
<グランドパッキン実習テーブル164>
【0109】
グランドパッキン実習テーブル164には
図17のBに示すように、カリキュラム166、概要168および実習装置170が格納されている。カリキュラム166には複数のカリキュラムを表す項目が格納されている。概要168にはカリキュラム166の項目毎に学習内容が格納される。そして、実習装置170にはカリキュラム166の内容の学習に用いられる実習装置としてたとえば、「実機バルブ用グランドパッキン実習装置」、「実機回転ポンプ用グランドパッキン実習装置」などが含まれる。
【0110】
<座学提示テーブル172>
【0111】
座学提示テーブル172には
図18に示すように、学習項目174、学習内容176およびスキル178の項目が含まれる。学習項目174には学習内容の複数の項目が提示されている。学習内容176には学習項目174に含まれる学習内容の目的および概要が提示されている。スキル178には該当する職や新人に対する選択の重要度を「○」または「◎」で示している。「○」は「必要性あり」、または「◎」は「極めて重要性あり」を示している。
【0112】
<実習提示テーブル180>
【0113】
実習提示テーブル180には
図19に示すように、実習項目182、実習内容184、スキル186および装置名188が含まれる。実習項目182には実習内容184を総括して表す複数の項目が提示されている。実習内容184には実習項目182に含まれる実習内容の目的および概要が提示されている。スキル186には該当する職や新人に対する選択の重要度を「○」または「◎」で示している。「○」は「必要性あり」、または「◎」は「極めて重要性あり」を示している。装置名188には該当する実習装置が明示される。
【0114】
<研修入力画面190>
【0115】
研修プログラムには研修入力画面190が用いられる。この研修入力画面190には
図20のAに示すように、研修者情報の入力を表すタイトル部192、会社名入力部194、部署名入力部196、氏名入力部198、スキル入力部200、受講場所入力部201、が備えられる。スキル入力部200には選択ボタン202が備えられ、選択したスキルを選択ボタン202のチェックにより確定させることができる。この研修入力画面190の下欄には決定ボタン204が備えられる。この決定ボタン204をチェックすれば、入力された研修者情報を確定させることができる。
【0116】
<研修出力画面206>
【0117】
研修プログラムの修了時には研修出力画面206が展開される。この研修出力画面206には
図20のBに示すように、研修修了データを表すタイトル部208と、研修内容表示部210が表示される。研修内容表示部210には氏名210-1、部署名210-2、修了コース名210-3、評価210-4、その他関連情報210-5が表示される。
【0118】
<シール施工研修の処理手順>
【0119】
図21は、シール施工研修の処理手順を示している。この処理手順は、シール施工研修プログラムまたはシール施工研修方法の一例である。
【0120】
シール施工研修の処理手順では、PCの研修画面から研修者に対する意思確認として研修か否かを判定する(S401)。研修に移行すると(S401のYES)、シール材選定の重要性を認識したかを確認する(S402)。シール材選定の重要性を認識していなければ(S402のNO)、シール材選定の研修を課す(S403)。このシール材選定の研修は座学の再学習を行えばよい。このようにシール材選定の認識確認の意図は、実際のシール施工に用いられるシール材を認識させ、その認識を前提にシール施工の研修を行い、研修効果を高めることにある。シール材選定の研修(S403)が終了すれば、S402に戻る。
【0121】
シール材選定の重要性を認識していれば(S402のYES)、研修者のスキル判定を行う(S404)。このスキル判定はスキル判定の処理手順(
図22)により行う。
【0122】
スキル判定の後、研修のコース選択を行う(S405)。このコース選択はコース選択の処理手順(
図23)により行う。
【0123】
コース選択の後、研修の意思を確認し(S406)、研修開始(S406のYES)により、最初に座学プログラムの研修を行う(S407)。この座学プログラムは、座学システム34-1により行い、所定の科目および時間により終了する。その場合、評価によっては再学習が求められる。
【0124】
この座学プログラムが終了すれば(S408のYES)、実習プログラム(S409)に移行する。この実習プログラムは、実習システム34-2により行い、所定の科目および時間により機器が選択されて必要な実習が行われる。その場合、センサー出力や研修に基づく入力情報による評価が行われ、その評価によっては再学習が求められる。
【0125】
この実習プログラムが終了すれば(S410のYES)、シール施工の研修プログラムの終了となり、修了表示が提示される(S411)。
【0126】
<スキル判定の処理手順>
【0127】
図22は、スキル判定の処理手順を示している。スキル判定の処理手順に移行すると、新人または一般かを判定する(S501)。この処理は、研修者の入力情報により行えばよい。「新人」とはシール施工の関係者ではあるが、シール施工に関する経験が皆無ないし皆無と同等の者である。「一般」とは学生などシール施工の啓蒙を受けたい一般人を想定すればよい。
【0128】
新人または一般であれば(S501のYES)、スキル1が選択され(S502)、シール施工研修プログラム(
図21)のS404にリターンする。
【0129】
新人または一般でなければ(S501のNO)、スキル情報入力(S503)に移行する。スキル情報入力ではスキル判定に必要な情報を入力し、この情報入力に基づきスキル判定を行う(S504)。このスキル判定により、複数のスキルからスキル2、スキル3、・・・スキルNのいずれかに振り分けられる(S505)。この例では、研修者が最も低いスキル1から最上位のスキルNまでN段階に仕分けされ、シール施工研修プログラム(
図21)のS404にリターンする。このスキル段階は2段階、3段階、4段階、5段階など、いずれでもよい。
【0130】
<コース判定の処理手順>
【0131】
図23は、コース選択の処理手順を示している。コース選択の処理手順に移行すると、新人または一般かを判定する(S601)。この処理は既述のように研修者の入力情報により行えばよい。
【0132】
新人または一般であれば(S601のYES)、基本コースが選択され(S602)、シール施工研修プログラム(
図21)のS405にリターンする。
【0133】
新人または一般でなければ(S601のNO)、カスタムコースかを判定する(S603)。カスタムコースでなければ(S603のNO)、研修者の職種判定を行う(S604)。職種判定に基づき、複数の上級コースから上級コース1、上級コース2・・・上級コースNのいずれかが選択される(S605)。
【0134】
カスタムコースであれば(S603のYES)、研修者の職種判定を行う(S606)。職種判定に基づき、複数のカスタムコースからカスタムコース1、カスタムコース2・・・カスタムコースNのいずれかが選択される(S607)。
【0135】
<座学プログラム>
【0136】
座学プログラムには基本コース、上級コースおよびカスタムコースがあり、各コースに応じた座学の講義が行われる。
【0137】
また、グランドパッキン座学では、グランドパッキンについて講義が行われる。
【0138】
<実習プログラム>
【0139】
基本コース、上級コースおよびカスタムコースがあり、各コースに応じた実習が行われる。この実習では後述のフランジ締付け実習装置、シール性実習装置、クリープ緩和実習装置、トルク感覚実習装置、配管アライメント実習装置、現場模擬締付け実習装置、圧縮破壊実習装置、熱交換器実習装置など、現場を模擬した複数の実習装置が用いられる。これらの機器から実習プログラムの実行に基づき、必要な機器が選択される。
【0140】
また、グランドパッキン実習には、実機回転ポンプ用グランドパッキン実習装置、実機バルブ用グランドパッキン実習装置が用いられる。
【0141】
<シール施工研修のシステム、方法およびプログラム>
【0142】
このシール施工研修システムではコンピュータを用いたシール施工研修方法としてたとえば、
図24に示すように、機器選択工程(S701)、センサー出力または研修情報の取得工程(S702)、模擬情報の生成工程(S703)、模擬情報の提示工程(S704)の処理手順を含む。
【0143】
機器選択工程(S701)では、単一または複数の研修室の一例である第2の研修室69-2に設置されたフランジ締付け実習装置80-1、クリープ緩和実習装置80-2、シール性実習装置80-3などから研修に要する機器を選択する。この機器には、既述の機器のほか、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器を含んでよい。
【0144】
センサー出力または研修情報の取得工程(S702)では、シール施工機器の各機器に備えるセンサーのセンサー出力または入力手段から研修情報を取得する。
【0145】
模擬情報の生成工程(S703)では、センサー出力または研修情報を受け、シール施工機器に含まれる機器に関する模擬情報を生成する。
【0146】
そして、模擬情報の提示工程(S704)では、模擬情報を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する。この情報の提示には、モニター86などの情報提示手段を用いればよい。
【0147】
このシール施工研修システムでは第2の研修室69-2(
図10)に設置されるシール施工機器は締付け軸力を検出するセンサーを備えるもの、センサーを備えないもののいずれでもよい。センサーを備えていない機器については、研修情報の入力手段としてキーボードや情報処理端末を用いればよい。
【0148】
処理手段には既述のPC82などの情報処理機器を用いればよい。この処理手段では、センサー出力または研修情報を受け、シール施工手段に含まれる機器に関する模擬情報を生成する。この処理手段には有線または無線で接続される情報提示手段としてたとえば、モニター86を用いればよい。この情報提示手段は、処理手段から出力される処理出力を、表示形態として文字情報または図形情報などのいずれかまたは双方で提示する。
【0149】
この処理手段で実行されるシール施工研修プログラムは、既述の研修サーバー30の記憶部106に格納され、研修時に実行される。このシール施工研修プログラムには、既述のシール施工研修方法の処理手順と同様に研修処理のプログラムを実行するための機能を備える。この機能には、機器選択機能、センサー出力または研修情報の取得機能、模擬情報の生成機能、模擬情報の提示機能を含めばよい。機器選択機能にはたとえば、配管アライメントを模擬する機器、締付けを模擬する機器、シール状態を模擬する機器、フランジ締付けを模擬する機器、クリープを模擬する機器、圧縮破壊を模擬する機器、熱交換機器を模擬する機器を含むシール施工機器から研修に要する機器を選択する機能を含めばよい。そして、模擬情報の生成機能には、センサー出力または研修情報を受けてシール施工機器に含まれる機器に関する模擬情報を生成する機能を含み、模擬情報の提示機能には、模擬情報を文字情報または図形情報のいずれかまたは双方で提示する機能が含まれる。
【0150】
<第2の実施の形態の効果>
【0151】
この第2の実施の形態によれば、次のような効果が得られる。
【0152】
(1) PC28から発せられるシール施工のプロモーションの発行や、PC24から発せられるシール施工指示を契機に、シール材の選定、シール材の調達およびシール施工研修を一元化でき、シール施工の高精度化および効率化が図られる。
【0153】
(2) PC24からのシール施工指示を契機に、施工業者6がシール施工研修をサポートセンター8で受け、シール施工における喫緊のシール材の調達をサポートセンター8で行い、そのシール材選定の研修を行える。
【0154】
(3) クライアント4は、施工業者6にサポートセンター8で選定したシール材の購入を指示すればよい。これにより、シール施工対象に適合するシール材が選定されることになる。つまり、選定されるシール材の信頼性を確保できる。
【0155】
(4) サポートセンター8でシール施工研修を受講した施工業者6がサポートセンター8の選定に係るシール材を以てシール施工対象におけるシール施工を行うことができる。この結果、シール施工の高精度化とともに信頼性が高められる。
【実施例1】
【0156】
図25のAは、実施例1に係るフランジ締付け実習装置80-1を示している。このフランジ締付け実習装置80-1では、装置本体部222に第1のシール施工部224-1、第2のシール施工部224-2が備えられ、各シール施工部224-1、224-2には径の異なるフランジ継手が備えられ、フランジ226間にはガスケット228-1、228-2が挟み込まれ、複数のボルト230およびナット232が備えられる。研修者は施工工具としてたとえば、トルクレンチを使用し、ナット232を順次に締付け、シール施工を行う。
【0157】
各ボルト230には
図25のBに示すように、ひずみセンサー234が備えられている。各ひずみセンサー234にはナット232の締付けトルクτによりボルト230に生じる軸力が検出される。
【0158】
このセンサー出力はデータロガー84(
図10)を通してPC82に取り込まれる。PC82は締付け中の軸力をリアルタイムで中心からの距離を以て軸力の多寡を示す多角形図形をモニター86に表示する。
【0159】
このフランジ締付け実習装置80-1を用いた実習では、施工工具による締付けのばらつき、締付け力と弾性相互作用による隣接ボルトの軸力の関係性、不適切な締付け手順によって片締めが生じることなどを研修者に認識させ、ガスケット機能を発揮させるための締付け力や締付け手順などの重要事項を体得させる。この研修結果は、研修者に関係付けて施工研修情報テーブル112に保存される。
【実施例2】
【0160】
図26のAは、実施例2に係るクリープ緩和実習装置80-2を示している。
図26のAにおいて、
図25と共通部分には同一符号を付してある。このクリープ緩和実習装置80-2では、シール施工部224-3を挟む配管部235のそれぞれにヒーター236-1、236-2が設置される。ヒーター236-1、236-2は、伝熱ヒーターでよい。
【0161】
フランジ226間にはガスケット228が挟み込まれ、複数のボルト230およびナット232が備えられる。各ボルト230には
図26のBに示すように、ひずみセンサー234が備えられている。
【0162】
クリープ緩和の実習では、材質の異なるガスケットに対し運転条件として高温運転、サイクル運転などの運転形態を模擬し各ひずみセンサー234で締付け後の軸力の変化を検出する。高温運転やサイクル運転は、ヒーター236-1、236-2の温度制御による温度変化により模擬すればよい。
【0163】
このクリープ緩和実習装置80-2では、実機では見ることが出来ない締付け後の面圧低下をリアルタイムで軸力変化として検出し、この軸力変化を表示する。これにより、面圧低下を認識させ、初期締付け力、増す締めの効果的なタイミングを研修者に体得させることができる。
【実施例3】
【0164】
図27は、実施例3に係るシール性実習装置80-3を示している。
図27において、
図25と共通部分には同一符号を付してある。このシール性実習装置80-3では、装置本体部222に第1のシール施工部224-1、第2のシール施工部224-2が備えられ、各フランジ226間にはガスケット228が挟み込まれ、複数のボルト230およびナット232が備えられる。
【0165】
装置本体部222の頂部側にある閉塞側のフランジ226に装置本体部222内を加圧する加圧装置238とともに、装置本体部222内の圧力を検出する圧力センサー239が備えられる。圧力センサー239にはシール施工部224-1、224-2のシール劣化による圧力変化が検出される。
【0166】
シール施工部224-1、224-2のシール性は、フランジ226、ガスケット228、ボルト230によって影響を受ける。フランジ226では表面の傷、表面粗さ、腐食、ガスケット228では表面の傷、砂埃などの異物の付着、ボルト状態では錆、潤滑材がガスケット228のシール性に影響する。
【0167】
このシール性実習装置80-3では、フランジ226、ガスケット228またはボルト230の各状態によるトラブルを再現し、リークチェックの手法を研修者に体得させることができる。
【実施例4】
【0168】
図28は、実施例4に係る現場模擬締付け実習装置80-4を示している。
図28において、
図25と共通部分には同一符号を付してある。この現場模擬締付け実習装置80-4では、シール施工作業上、劣悪条件下のシール施工現場を模擬し、研修者にシール施工を体得させる。
【0169】
シール施工現場では、高所、狭所、障害物など、劣悪条件下でのシール施工が強いられる。高所の他、たとえば、配管、ラック、構造物、機器などが錯綜し、狭小空間などがある。
図28のAに示すように、複数の配管240-1、240-2、240-3が隣接し、シール施工部であるフランジ継手242-1、242-2、242-3が隣接している場合がある。
図28のBに示すように、複数の配管240-4、240-5が隣接して交差し、その交差部分にシール施工部であるフランジ継手242-4、242-5が隣接している場合がある。また、
図28のCに示すように、配管240-6が構造物244に隣接して配設され、フランジ継手242-6が構造物244に隣接している場合がある。このようなシール施工の現場状況を想定し、現場模擬締付け実習装置80-4では高所、狭所、障害物など想定するシール施工現場を自由に再現し、作業性が妨げられる劣悪条件下でのシール施工を研修者に体得させる。
【実施例5】
【0170】
図29は、実施例5に係る配管アライメント実習装置80-5を示している。
図29において、
図25と共通部分には同一符号を付してある。シール施工の現場では、
図29のAに示すように、連結すべき配管240-11、240-12の各フランジ226の間隔が広い場合、
図29のBに示すように、配管240-11、240-12の各フランジ226の間隔が狭い場合、
図29のCに示すように、配管240-11、240-12の各フランジ226の間に傾きがあるため平行度が得られない場合、
図29のDに示すように、配管240-11、240-12の各フランジ226間に芯ずれがある場合などに遭遇する。係る事態では均一な締付け力で締め付けてもガスケット228に適正な締付け力を伝えることができない。この配管アライメント実習装置80-5では、隙間、傾き、芯ずれなどを自由に設定して実際のミスアライメントを再現し、ミスアライメントを解決するシール施工を研修者に実習させる。これらの事態に対し、研修者による締付け(面圧)状況を評価する。
【実施例6】
【0171】
熱交換器は一般的な管連結用のフランジに比較して構造が複雑であり、シール施工はその構造を理解することから行うことが求められる。固定管板ではフランジ間に2枚のガスケットを挟んで締付けるため、片締めが生じ易い。大口径のフランジではボルト本数が多く、フランジ間の弾性相互作用による締付け中の隣接ボルト間の締付け力の低下を無視することができない。また、仕切り板については、チューブフランジ・シェルフランジに芯ずれを生じさせると、仕切り板が溝に入らず、乗り上げるなどの不都合が生じる。このような特殊な構造、最適な締付け力、適切な施工工具の選定、締付け手順が求められる。
【0172】
この熱交換器実習装置では熱交換器を分解状態とし、シール施工時に必要な固定管板のボルト締付け、チューブフランジ・シェルフランジの芯合わせなどを実機さながらに研修者に実習させる。
【実施例7】
【0173】
圧縮破壊実習装置では研修者に締付け過剰などによるガスケットの圧縮破壊などを体得させる。圧縮破壊は、ガスケットの種類、ペースト塗布、小口径フランジなどについて、圧縮破壊が生じやすい状況を再現し、漏れの要因とその防止を体得させる。たとえば、膨張黒鉛シートガスケットは他のガスケットに比べて圧縮破壊面圧が低いこと、ペースト塗布ではシール性が向上する反面、圧縮破壊が生じ易いこと、小口径フランジではボルトの本数に対するガスケット面積が小さく、面圧が高く成りやすいため、圧縮破壊が起こり易いことなどが上げられる。
【0174】
そこで、この圧縮破壊実習装置では、漏れの要因である圧縮破壊について、ガスケットの種類や、ペーストの有無と圧縮破壊の要因である亀裂変形や亀裂などの関係を研修者に体得させることができる。
【実施例8】
【0175】
その他の実施例として、トルク感覚実習装置、実機回転ポンプ用グランドパッキン実習装置、実機バルブ用グランドパッキン実習装置が用いられる。トルク感覚実習装置では、締付け条件の異なる複数のボルトおよびナットに対する締付けトルクと軸力の推移を研修者に体感させることができる。
【0176】
〔他の実施の形態〕
【0177】
(1) 可搬型実習設備:上記実施の形態のシール施工システム、シール施工管理システムは設置型の実習設備に限定されない。クライアントの会議室や研修センターなどでの講習を可能にし、クライアントの利便性を高めたシール施工を実現する可搬型実習設備としてよい。この可搬型実習設備ではたとえば、講習に必要な面積の省スペース化を図った可搬型ベースなどを備え、既述のフランジ締付け実習設備、トルク感覚実習設備などの多数の実習設備を可搬型ベース上に設置すればよい。各設備は台車で移動可能な重量および大きさに設定すればよい。
【0178】
このような可搬型実習設備ではたとえば、
図30に示すように、研修テーブル246にまとめ、設備名248、基礎/応用の選択250、実習名252、実習内容254および実施可否256などの選択が行えるようにすれば、予算など、必要に応じたシール施工を実現することが可能である。
【0179】
(2) シール材情報の取得:第1の実施の形態および第2の実施の形態では、シール材の選定をシール施工の許可条件としているが、シール材情報の取得をシール施工の許可条件としてもよい。第1の実施の形態について、
図31に示すように、サポートセンター8では、クライアント4からシール材選定指示の発行(S104)を受け、シール材情報を取得し(S112)、クライアント4および施工業者6にその取得結果を通知(S113)してもよい。第2の実施の形態について、
図32に示すように、PC28がPC24からシール材選定指示の発行(S206)を受けたことを契機に、シール材情報の取得を行い(S226)、PC24およびPC26にその取得結果を通知(S227)してもよい。このような処理では、シール材の選定をすることなく、シール材情報を取得し、必要なシール材をクライアント4や施工業者6が取得し、シール施工を行うことができるという利便性がある。
【0180】
(3) 研修プログラムのシール材選定:
図21に示す処理では、シール材選定の重要性の認識の確認(S402)、シール材選定の研修(S403)を行う処理手順としているが、これに限定されない。たとえば、
図33に示すように、研修の開始を契機に、シール材が選定されたかを判定し(S412)、シール材が選定されていなければ(S412のNO)、シール材の選定を行い(S413)、シール材選定を条件としてスキル判定(S404)に移行する処理手順としてもよい。
【0181】
(4) 情報入力:情報入力に用いる研修入力画面190では、
図20のAに示すように、研修者情報を入力しているが、これに限定されない。たとえば、
図34に示すように、所属、担当者情報を入力する入力部191に加え、受講内容193について、日数、人数、受講場所、コースなどの詳細を予め準備し、チェックボックスへのチェックや情報選択を行える構成としてよい。その他の情報入力として特記事項195の入力を可能としてもよい。
【0182】
(5) 実習装置と取得情報の処理:上記実施の形態で用いられる実習装置にはボルトの軸力を検出するなどのセンサーを備えたものと、センサーを備えないものの双方が含まれる。センサーを備えていない実習装置では、実習に関する情報入力手段として、PCに対して関連情報を入力し、斯かる関連情報から模擬情報を生成すればよい。
【0183】
(6) シール材およびそのシール施工:上記実施の形態では、シール材としてガスケットを例示しているが、他のシール材であってもよい。また、上記シール施工は、シール材の使用的側面だけではなく、設計や製造を含む側面も含むものである。
【0184】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態や実施例について説明した。本発明は上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態または実施例に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明によれば、クライアントPC、施工業者PCおよびサポートセンターPCを連係させ、施工業者に対するシール施工研修、シール材の選定および購入の一元化管理を実現し、シール施工の精度を高め、信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0186】
2 シール施工システム
4 クライアント
6 施工業者
8 サポートセンター
20 シール施工管理システム
24、26、28 PC
30 研修サーバー
32 インターネット
34 シール施工研修システム
34-1 座学システム
34-2 実習システム
35 シール材データテーブル
36 ガスケット群
38 使用条件
40 入力画面
42 タイトル部
44、46、48、50、52 選択部
54 検索開始ボタン
56 選択ボタン
60 出力画面
62 タイトル部
64-1、64-2・・・ ガスケット情報
66 戻るボタン
68 データベース
69-1、69-2 研修室
70 PC
72 ネットワーク
74 モニター
76 入力装置
78 研修者
80-1 フランジ締付け実習装置
80-2 クリープ緩和実習装置
80-3 シール性実習装置
80-4 現場模擬締付け実習装置
80-5 配管アライメント実習装置
82 PC
84 データロガー
86 モニター
90 PC
92 プロセッサ
94 記憶部
96 入出力部(I/O)
98 操作入力部
100 通信部
102 モニター
104 プロセッサ
106 記憶部
108 I/O
110 通信部
112 施工研修情報テーブル
114 カテゴリ
116 大項目
118 中項目
120 小項目
114-1 人的情報
114-2 シール情報
114-3 施工情報
114-4 研修情報
114-5 関連情報
122 人的情報テーブル
124 シール材情報・施工情報テーブル
126 研修情報テーブル
128 関連情報テーブル
130 コースカリキュラムテーブル
130-1 基礎コース
130-2 上級コース
130-3 カスタムコース
132 コース
134 カリキュラム
136 カリキュラム内容
138 時間
140 ガスケット座学テーブル
142 カリキュラム
144 レベル
146 内容
148 ガスケット実習テーブル
150 カリキュラム
152 レベル
154 内容
156 実習装置
158 グランドパッキン座学テーブル
160 カリキュラム
162 内容
164 グランドパッキン実習テーブル
166 カリキュラム
168 概要
170 実習装置
172 座学提示テーブル
174 学習項目
176 学習内容
178 スキル
180 実習提示テーブル
182 実習項目
184 実習内容
186 スキル
188 装置名
190 研修入力画面
192 タイトル部
194 部署名入力部
196 各職入力部
198 氏名入力部
200 スキル入力部
202 選択ボタン
204 決定ボタン
206 研修出力画面
208 タイトル部
210 研修内容表示部
210-1 氏名
210-2 部署名
210-3 修了コース名
210-4 評価
210-5 関連情報
222 装置本体部
224-1 第1のシール施工部
224-2 第2のシール施工部
224-3 シール施工部
226 フランジ
228 ガスケット
228-1、228-2 ガスケット
230 ボルト
232 ナット
234 ひずみセンサー
235 配管部
236-1、236-2 ヒーター
238 加圧装置
239 圧力センサー
240-1、240-2、240-3 配管
240-4、240-5、240-6 配管
240-11、240-12 配管
242-1、242-2、242-3 フランジ継手
242-4、242-5、242-6 フランジ継手
244 構造物
246 研修テーブル
248 設備名
250 基礎/応用の選択
252 実習名
254 実習内容
256 実施可否