(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】バルブハウジングを有する油圧バルブシステムおよびバルブハウジングの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20220112BHJP
F16L 41/03 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
F16K27/00 B
F16L41/03
F16K27/00 D
(21)【出願番号】P 2019221043
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2019-12-06
(31)【優先権主張番号】10 2018 221 689.4
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518097316
【氏名又は名称】ハーヴェー ハイドローリック エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク アネデル
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/071151(WO,A1)
【文献】実開昭48-114129(JP,U)
【文献】特開2018-165548(JP,A)
【文献】特開2006-226377(JP,A)
【文献】実開昭63-190678(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
F16L 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブハウジング(2、102)を備え、
前記バルブハウジング(2、102)は、第1の接続側部(3)と、前記第1の接続側
部(3)とは反対側の第2の接続側部(5)を有し、前記第1の接続側部(3)は第1の
ピストン開口(4)を有し、前記第2の接続側部(5)は第2のピストン開口(6)を有
し、少なくとも1つのピストンを受け入れるために前記第1のピストン開口(4)から前
記第2のピストン開口(6)へ延びる貫通孔(7)を有し、
前記バルブハウジング(2、102)は、ライン(14~18)を介して前記貫通孔(
7)にそれぞれ接続される少なくとも3つの油圧接続部(9~13)を有する第3の接続
側部(8)を有し、
少なくとも3つの油圧スルーライン(20~24)を有する接続ブロック(19)を備え
、
前記油圧スルーライン(20~24)はそれぞれ、前記接続ブロック(19)のハウジ
ング側部(25)に配置された第1の接続開口(26~30)から、前記ハウジング側部
(25)とは反対側の孔パターン側部(31)に配置された少なくとも1つの第2の接続
開口(32~35)へ延び、少なくとも3つの前記第1の接続開口(26~30)のそれ
ぞれは、前記少なくとも3つの油圧接続部(9~13)のそれぞれ1つに流体密に接続さ
れ、前記第2の接続開口(32~35)は、規格化された孔パターンで前記孔パターン側部(31)に配置され、
前記少なくとも3つの油圧接続部(9~13)が一列に配置され、
前記油圧接続部(9~13)の中心点が前記貫通孔(7)の中心軸(X)に平行なラインに位置し、これにより前記接続ブロック(19)は前記バルブハウジング(2、102)の前記油圧接続部(9~13)を前記規格化された孔パターンに変換する一種のアダプタである、油圧バルブシステム(1,101)。
【請求項2】
前記バルブハウジング(2,102)の全ての油圧接続部(9~13)は、前記第3の接
続側部(8)のみに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の油圧バルブシステム(1,101)。
【請求項3】
前記バルブハウジング(2,102)は、前記第1接続側部(3)と前記第2接続側部(
5)の間の少なくとも一部を延びる外面(36,136)を有し、前記貫通孔(7)の前
記中心軸(X)に垂直な断面が前記外面(36,136)の領域において略円形であるこ
とを特徴とする請求項1または2に記載の油圧バルブシステム(1,101)。
【請求項4】
前記バルブハウジング(2,102)は略筒形状を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の油圧バルブシステム(1,101)。
【請求項5】
前記貫通孔(7)は段差を有しないことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の油
圧バルブシステム(1,101)。
【請求項6】
前記バルブハウジングは、第1の軸方向フランジ(37)と第2の軸方向フランジ(38
)とを有し、前記第1の接続側部(3)は、前記第1の軸方向フランジ(37)に配置さ
れ、前記第2の接続側部(5)は、前記第2の軸方向フランジ(38)に配置され、前記
第1の軸方向フランジ(37)又は前記第2の軸方向フランジ(38)は、前記第3の接
続側部(8)に前記接続ブロック(19)を固定するための少なくとも1つの取付構造(
39)を有し、前記第1の軸方向フランジ(37)及び前記第2の軸方向フラン
ジ(38)はそれぞれ、前記第3の接続側部(8)に前記接続ブロック(19)を固定す
るための少なくとも1つの取付構造(39)を有することを特徴とする請求項1~5のい
ずれかに記載の油圧バルブシステム(1,101)。
【請求項7】
前記油圧バルブシステム(101)は、少なくとも1つの取付ブラケット(137)を有
し、前記バルブハウジング(102)は、前記第3の接続側部(8)に前記接続ブロック
(19)を固定するために前記少なくとも1つの取付ブラケット(137)を受け入れる
ための少なくとも1つの凹部(138)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれ
かに記載の油圧バルブシステム(101)。
【請求項8】
前記油圧バルブシステム(1、101)は、前記接続ブロック(19)のねじ開口(41
)にねじ込まれ得る少なくとも1つの取付ねじ(40)を備え、前記少なくとも1つの取
付ねじ(40)は、前記少なくとも1つの取付構造(39)または少なくとも1つの取付
ブラケット(137)を介して、前記接続ブロック(19)に前記バルブハウジング(2
、102)を締め付けかつ流体密な方式で固定することを特徴とする
請求項6に記載の油圧バルブシステム(1、101)。
【請求項9】
前記バルブハウジング(2,102)が一部材であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の油圧バルブシステム(1,101)。
【請求項10】
前記接続ブロック(19)は、少なくとも1つの追加の接続開口(42、43、44)を
有し、前記追加の接続開口(42、43、44)は、少なくとも1つの前記油圧スルーラ
イン(20~24)に接続されることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の油
圧バルブシステム(1、101)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の油圧バルブシステム(1、101)用のバルブハウジ
ング(2、102)を製造する方法であって、
丸鋼を準備し
前記丸鋼を旋削加工して貫通孔(7)を貫通形成し、
前記丸鋼をフライス加工して前記第3の接続側部(8)を作成し、
前記油圧接続部(9
~13)を貫通形成するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記丸鋼は、前記準備される前に必要な長さに切断される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記丸鋼が棒材として準備される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブハウジングを備えた油圧バルブシステムおよびバルブハウジングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなバルブハウジングは通常、第1の接続側部と、第1の接続側部とは反対側の第2の接続側部とを有する。第1の接続側部は第1のピストン開口を有し、第2の接続側部は第2のピストン開口を有する。少なくとも1つのピストンを受け入れるための貫通孔が、第1のピストン開口から第2のピストン開口へ延びる。さらに、そのようなバルブハウジングは、通常、少なくとも3つの油圧接続部を有する第3の接続側部を有し、その各々は、ラインを介して貫通孔に接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
周知の油圧バルブシステムの欠点は、ハウジング内のすべてのチャネルまたはラインを収容できるようにするために、通常、比較的複雑なバルブハウジングを有することである。さらに、公知のバルブハウジングの油圧接続部は、常に所定の、特に規格化された孔パターン、例えばNG6孔パターンまたはNG10孔パターンを有するので、異なる孔パターンに対して異なるバルブハウジングを使用しなければならない。これはまた、バルブハウジングが通常、比較的重く、したがって、特に携帯型移動式油圧用途には不適切であることを意味する。本出願の意味において、規格化された孔パターンは、DIN 24340およびISO 4401に従った孔パターンとして理解されるべきである。本出願の意味での所定の孔パターンは、油圧バルブシステムの特別な要件を満たす孔パターンである。これらは、特に規格化された孔パターンであり得るが、あるいはアプリケーション固有の孔パターンも考えられる。
【0004】
この背景に対して、本発明の目的は、単純化されたバルブハウジングを有する油圧バルブシステムを示すことである。
【0005】
この課題は、請求項1に記載の油圧バルブシステムによって解決される。一層有利なさらなる発展は、従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による油圧バルブシステムは、従来技術である公知の油圧バルブシステムに対し、少なくとも3つの油圧スルーラインを有する接続ブロックを備えることを特徴とする。各油圧スルーラインは、接続ブロックのハウジング側部に位置する第1の接続開口から、ハウジング側と反対側の孔パターン側部に位置する少なくとも1つの第2の接続開口まで延びる。少なくとも3つの第1の接続開口のそれぞれは、少なくとも3つの油圧接続部のそれぞれに流体密に接続される。本発明によれば、孔パターン側部の第2の接続開口は、所定の孔パターンで配置される。
【0007】
したがって、接続ブロックは、バルブハウジングの油圧接続部の接続パターンを所定の孔パターンに変換する一種のアダプタである。したがって、接続ブロックを選択、交換することによって、それぞれの油圧バルブシステムのための異なる孔パターンを迅速かつ容易に提供することができる。さらに、規格化されたバルブハウジングをコンパクトにして、公知のバルブハウジングよりも軽量になる。これにより本発明によれば、油圧バルブシステムを携帯型移動油圧システムに適用することが容易になる。所定の孔パターンとは、特に規格化された孔パターンをいい、さらなる孔パターンも考えられること勿論である。
【0008】
バルブハウジングが少なくとも4つの油圧接続部を有するものであって、これに伴い所定の、特に規格化された孔パターンで少なくとも4つの第2の接続開口を設ける場合、特に有利である。これらは、通常、油圧消費部に接続するためのP接続(P-connection)、T接続(T-connection)、AおよびB接続(A- and B-connection)である。この文脈中、バルブハウジングは貫通孔内に少なくとも1つのスプールバルブピストン又は少なくとも1つのシートバルブピストンを収容するように構成されることが考えられる。
【0009】
少なくとも3つの油圧接続部が一列に配置されている場合、有利である。一列の配置は、油圧接続部がすべてほぼ互いに隣接して配置されている配置である。もちろん、油圧接続部が互いにわずかにずれていることも考えられる。これにより、要求される軸方向長さが油圧接続部の配置のために使用されるので、特にコンパクトなバルブハウジングが得られる。これにより、バルブハウジングを貫通孔の中心軸に対して横方向または半径方向にスリムに保つことができる。この文脈中、油圧接続部の中心点が貫通孔の中心軸に平行な線上に位置する場合、特に有利である。
【0010】
特に、バルブハウジングのすべての油圧接続部が第3の接続側部にのみ配置されている場合に有用である。これにより、接続ブロックをバルブハウジングに容易に固定することができる。
【0011】
好ましくは、バルブハウジングは第1の接続側部と第2の接続側部との間の少なくとも一部に亘り延在する外面を有し、かかる外面における貫通孔の中心軸に垂直な断面は、実質的に円形である。もちろん、第3の接続側部は、油圧接続部と第1の接続開口との流体密接続を可能にする平坦な表面であることが好ましい。しかしながら、本発明の意味では、完全な円形形状からのこの変形は、実質的に円形であると理解されるべきである。
【0012】
この文脈中、バルブハウジングが実質的に筒形の形態を有する場合にも有用である。本出願の目的のために、実質的な筒形状は、実質的に円形の筒形状および角柱の両方を意味すると理解されるべきである。これにより、バルブハウジングが旋削によって大部分製造可能になり、製造および材料コストが大幅に低減するという利点を有する。
【0013】
貫通孔に段差がない場合、有利である。これにより、バルブハウジングの製造が簡単になる。
【0014】
バルブハウジングが第1の軸方向フランジ及び第2の軸方向フランジを有し、第1の接続側部が第1の軸方向フランジに配置され、第2の接続側部が第2の軸方向フランジに配置され、第1の軸方向フランジ又は第2の軸方向フランジは接続ブロックを第3の接続側部に固定するための取付構造を少なくとも1つ有する場合、有利である。第1の軸方向フランジおよび第2の軸方向フランジがそれぞれ、第3の接続側部に接続ブロックを固定するための取付構造を少なくとも1つ有する場合、特に有利である。
【0015】
あるいは、油圧バルブシステムが少なくとも1つの取付ブラケットを有し、バルブハウジングが接続ブロックを第3の接続側部に固定するための取付ブラケットを少なくとも1つ受け入れるための凹部を少なくとも1つ有する場合、有利である。
【0016】
好ましくは、油圧バルブシステムは接続ブロックのねじ開口にねじ込まれ得る取付ねじを少なくとも1つ備え、少なくとも1つの取付ねじは、少なくとも1つの取付構造または少なくとも1つの取付ブラケットを介して、バルブハウジングを締め付けかつ流体密な方式で接続ブロックに固定する。
【0017】
したがって、取付構造または取付ブラケットを使用して、簡単かつ迅速な方法で、接続ブロックのハウジング側部を第3の接続側部に着脱可能に固定することができ、その結果、油圧接続部と第1の各接続開口の間に流体密な接続を実現することができる。
【0018】
また、バルブハウジングが一部材で作られている場合も、有利である。一部材のバルブハウジングは、複数部材からなるバルブハウジングよりも製造が容易であり、一般に安価である。
【0019】
接続ブロックは、好ましくは、少なくとも1つの追加の接続開口を有し、追加の接続開口は、少なくとも1つの油圧スルーラインに接続される。追加の接続開口は、例えば、油圧消費部の供給のための油圧スルーライン、すなわち、AまたはB接続に接続され、その結果、追加の油圧機能要素、例えば、圧力計が追加の接続開口に接続され得る。もちろん、接続ブロックは、例えば、ポンプ接続、すなわちP接続のための油圧機能要素を提供するために、複数の追加の接続開口を有することが考えられる。ここで、少なくとも1つの追加の接続開口が接続ブロックの側面に配置される場合、特に有利である。
【0020】
さらに、上記課題は、請求項13に記載の発明に係る油圧バルブシステム用バルブハウジングの製造方法によって解決される。
【0021】
本発明による方法は、特に、以下のステップを含む:丸鋼を準備するステップと、丸鋼を旋削し、貫通孔を貫通形成するステップと、丸鋼をフライス加工し、第3の接続側部を製造するステップと、油圧接続部を貫通形成するステップとを含む。油圧接続部は、フライス加工中にも設けられることが考えられる。あるいは、油圧接続部をドリルで開けることもできる。加えて、フライス加工は、例えば、取付構造または凹部を製造するためにも使用され得る。本発明によるステップにさらなる加工ステップを続けることもでき、特に、ホーニング加工または表面処理などの微細加工を続けることができる。本発明でいう丸鋼の意味は、角柱の形態の棒状鋼としても理解されるべきである。
【0022】
準備前に丸鋼を必要な長さに切断する場合、または丸鋼を棒材料として準備する場合、有利である。旋盤の種類によっては、旋盤加工を迅速かつ簡単に行うことができる。
【0023】
本出願でいう油圧バルブシステムの意味は、2つの個別の油圧バルブが接続ブロックに接続されることも意味する。言い換えれば、バルブ機能は必ずしも単一の油圧バルブによって実行される必要はなく、複数の油圧バルブの組み合わせも考えられる。例えば、4つの油圧シートバルブ(hydraulic seat valves)を組み合わせて、4/3方向ポペットバルブ(4/3 directional poppet valve)を形成することができる。
【0024】
以下に、本発明を、図面に示される実施形態によってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態による油圧バルブシステムの斜視図である。
【
図2】
図1に示す油圧バルブシステムの側面図である。
【
図3】
図1に示すバルブハウジングの斜視図である。
【
図4】
図3に示すバルブハウジングの底面図である。
【
図5】
図3に示すバルブハウジングの上面図である。
【
図6】
図3に示すバルブハウジングの第1の側面図である。
【
図7】
図3に示すバルブハウジングの第2の側面図である。
【
図8】
図5に示す切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図9】
図6に示す切断線B-Bに沿った断面図である。
【
図10】
図1に示す接続ブロックの第1の斜視図である。
【
図11】
図1に示す接続ブロックの第2の斜視図である。
【
図14】
図10に示すブロックの孔パターン側を取り外した状態の斜視図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態による油圧バルブシステムの斜視図である。
【
図20】
図17に示すバルブハウジングの第1の側面図である。
【
図21】
図17に示すバルブハウジングの第2の側面図である。
【
図23】
図17に示すバルブハウジングに取付ブラケット取り付けた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態に係る油圧バルブシステム1を示す。油圧バルブシステム1は、一部材のバルブハウジング2と、バルブハウジング2に流体密(fluid-tightly)に固定された接続ブロック19と、2つのアクチュエータ45とを有する。アクチュエータ45は、バルブハウジング2内に配置された1つ以上のピストン(図示せず)を異なる切換位置間で移動させるように構成される。この実施形態では、アクチュエータ45は、従来の電磁アクチュエータであるので、アクチュエータ45については、以下では詳細に説明しない。
【0027】
以下では、第1実施形態に係るバルブハウジング2について、
図3乃至
図9を用いて説明する。バルブハウジング2は、第1の接続側部3および第1のピストン開口4を有する第1の軸方向フランジ37と、第2の接続側部5および第2のピストン開口6を有する第2の軸方向フランジ38とを備える。第1のピストン開口4から第2のピストン開口6まで、1または複数のピストンを収容するために、段差のない貫通孔7が延びている。
【0028】
図示するように、第1接続側部3及び第2接続側部5は、バルブハウジング2の端面である。第1軸方向フランジ37と第2軸方向フランジ38との間には、バルブハウジング2全体が略筒形状となるように外面36が延びている。また、外面36の面積を横断する断面は、
図9に示す断面図から分かるように、実質的に円形である。
【0029】
特に
図3および
図4に見られるように、バルブハウジング2は、5つの油圧接続部9~13を有する第3の接続側部8を有する。第3接続側部8は、第1接続側部3から第2接続側部5までバルブハウジング2の軸方向全長にわたって延びる平坦面である。
図8の断面図に示すように、5つの油圧接続部9~13は、それぞれ、ライン14~18を介して貫通孔7に接続されている。油圧接続部9~13は、第3の接続側部8に沿って一列に配置され、油圧接続部9~13の中心点は、特に
図8に見られるように、貫通孔7の中心軸Xに平行なラインに位置する。
【0030】
この実施形態では、油圧接続部は、例えば、ポンプ用の油圧接続部9、13と、戻り用の油圧接続部11と、第1の油圧消費部A用の油圧接続部10と、第2の油圧消費部B用の油圧接続部12とを含む。したがって、例えば、4/3方向ポペットバルブを実現するために、合計4つのポペットバルブピストンがピストンとして使用されることも考えられる。
【0031】
さらに、バルブハウジング2は、第1の軸方向フランジ37および第2の軸方向フランジ38それぞれに段付き穴の形態の2つの取付構造39を有する。取付構造39の各々は取付ねじ(図示せず)を受け入れるように構成され、取付ねじは接続ブロック19の対応するねじ開口41に各々ねじ込まれて接続ブロック19を流体密かつ締め付け方式でバルブハウジング2に固定する。
【0032】
図12~
図14に示すように、接続ブロック19は、ハウジング側部25と、ハウジング側部25とは反対側の孔パターン側部31とを有する矩形(正方形)である。合計5つの第1の接続開口26~30が、ハウジング側部25に配置されている。これらの5つの第1の接続開口26~30は、ハウジング側部25に一列に配置されており、接続ブロック19がバルブハウジング2に固定されたときに、第1の接続開口26~30のうちの1つがそれぞれ油圧接続部9~13のうちの1つと流体密に接続されるようになっている。
【0033】
したがって、第1の接続開口のうち接続開口26は、油圧接続部9に接続されて、ポンプ用の接続を表す。第1の接続開口のうち接続開口27は、油圧接続部10に接続されて、油圧消費部A用の接続を表す。第1の接続開口のうち接続開口28は、油圧接続部11に接続されて、戻りを表す。第1の接続開口の接続開口29は、油圧接続部12に接続され、したがって、油圧消費部B用の接続を表す。
【0034】
第1の接続開口のうち接続開口30は、油圧接続部13に接続されて、ポンプ用の接続を表す。
【0035】
図14に示されるように、第1の接続開口26~30のそれぞれは、対応する油圧スルーライン(hydraulic through lines)20~24を介して、第2の接続開口32~35に接続される。本実施形態では、第2接続開口32~35は、孔パターン側部31に規格化された孔パターンで配置されている。図示の実施形態では、これはNG6孔パターン(NG6 hole pattern)であり、当然、他のすべての孔パターンも可能である。したがって、接続ブロック19は、一列に配置されたバルブハウジング2の油圧接続部9~13を規格化された孔パターンに変換する一種のアダプタである。油圧バルブシステム1の要件に従って必要とされる場合、規格化されていない孔パターンが設けられ得ること勿論である。
【0036】
さらに、接続ブロック19は、接続ブロック19の端面に配置される合計3つの追加の接続開口42~44を有する。
図10、
図11および
図14に示すように、ポンプまたはP接続(P-connection) 用の追加の接続開口42と、油圧消費部A用の追加の接続開口43とが、一端面に配置される。これらの追加の接続開口42、43は、対応するチャネル46、47を介して、それぞれ、油圧スルーライン20、24、23に接続される。この端面と反対側の端面には、流路48を介して油圧スルーライン21に接続される、油圧消費部B用の追加の接続開口44が配置される。圧力計または圧力スイッチなどの追加の油圧機能要素を、これらの追加の接続開口42~44に接続することができる。
【0037】
以下、
図15~
図23を参照して、本発明の第2実施形態に係る油圧バルブシステム101について説明する。第2の実施形態の油圧バルブシステム101も、円形断面を有する筒形バルブハウジング102を有する(
図20および
図22参照)。第2実施形態の油圧バルブシステム101における上記第1実施形態の油圧バルブシステム1と異なる点は、バルブハウジング102に軸方向フランジが設けられていない点だけである。代わりに、特に
図18および
図19に示すように、バルブハウジング102は両側の軸方向両端部に2つの凹部138を有し、これらの凹部は、外面136を中断する。バルブハウジング102を接続ブロック19に固定するために、取付ブラケット137が、バルブハウジング102の各軸方向端部の2つの凹部138に嵌め込まれる。
図23に示されるように、取付ブラケット137はそれぞれ、第3の接続側部8に平行に延びる2つの突出するノーズ139を有する。
図16に示すように、軸方向ノーズ139はそれぞれ、接続ブロック19をバルブハウジング102に流体密な方法で固定するために、接続ブロック19の対応するねじ開口41にねじ込まれ得る取付ねじ40を収容するように機能する。
【0038】
本発明によるバルブハウジング2、102を製造するために、最初に丸鋼が準備される。例えば丸鋼は、最初に必要な長さに切断されるか、または棒材料として準備される。
【0039】
次いで、丸鋼は旋削によって機械加工され、特に、第1及び第2の接続側部3及び5並びに貫通孔7が形成される。加えて、他のサブステップ、例えばねじ穴を切削加工する等を、旋削加工ステップ中に実行することもできる。次に、第3の接続側部8をフライス加工する。油圧接続部9~13は、フライス加工中またはその後のドリル加工によって設けられる。また、第1実施形態に係るバルブハウジング2の場合には、段付き孔として構成された取付構造39が、このステップにおいて第1及び第2の軸方向フランジ37,38に貫通形成される。したがって、第2の実施形態のバルブハウジング102の軸方向端部における凹部138は、フライス加工中に形成される。必要に応じて、これに続き、ホーニング加工または表面処理などのさらなる処理ステップを行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1,101 油圧バルブシステム
2, 102 バルブハウジング
3 第1接続側部
4 第1ピストン開口
5 第2接続側部
6 第2ピストン開口
7 貫通孔
8 第3接続側部
9 油圧接続部
10 油圧接続部
11 油圧接続部
12 油圧接続部
13 油圧接続部
14 ライン
15 ライン
16 ライン
17 ライン
18 ライン
19 接続ブロック
20 油圧スルーライン
21 油圧スルーライン
22 油圧スルーライン
23 油圧スルーライン
24 油圧スルーライン
25 ハウジング側部
26 第1接続開口
27 第1接続開口
28 第1接続開口
29 第1接続開口
30 第1接続開口
31 孔パターン側部
32 第2接続開口/P接続
33 第2接続開口/T接続
34 第2接続開口/A接続
35 第2接続開口/B接続
36, 136 外面
37 第1軸方向フランジ
38 第2軸方向フランジ
39 取付構造
40 取付ねじ
41 ねじ開口
42 追加の接続開口/P接続
43 追加の接続開口/A接続
44 追加の接続開口/B接続
45 アクチュエータ
46 チャネル
47 チャネル
48 チャネル
137 取付ブラケット
138 凹部
139 ノーズ