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特許7000407力又はトルク限界補償のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】力又はトルク限界補償のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20220112BHJP
   A61B 17/295 20060101ALI20220112BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/295
A61B1/018 515
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019232237
(22)【出願日】2019-12-24
(62)【分割の表示】P 2017558400の分割
【原出願日】2016-05-13
(65)【公開番号】P2020044407
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-01-15
(31)【優先権主張番号】62/162,239
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウー,メロディー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイアー,デイヴィッド ダブリュ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0200596(US,A1)
【文献】特開2015-023950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援医療デバイスと共に使用する手術器具の作動方法であって、
1以上のプロセッサが、ある自由度における前記手術器具の現在の位置を決定すること、
前記1以上のプロセッサが、前記現在の位置と、前記自由度における前記手術器具の一連の位置を1以上の力限界調整又は1以上のトルク限界調整にマッピングする補償モデルとに基づいて、1以上の力限界に対する1以上の調整又は1以上のトルク限界に対する1以上の調整を決定すること、
前記1以上のプロセッサが、前記1以上の力限界に対する前記1以上の調整に基づいて、前記1以上の力限界を調整すること、又は前記1以上のプロセッサが、前記1以上のトルク限界に対する前記1以上の調整に基づいて、前記1以上のトルク限界を調整すること、及び
前記1以上のプロセッサが、駆動ユニットを用いて前記自由度において前記手術器具を移動させることを含み、前記駆動ユニットの作動の力又はトルクは、前記1以上の力限界又は前記1以上のトルク限界に従って制限される、
作動方法。
【請求項2】
前記自由度において前記手術器具を移動させることは、
前記手術器具のエンドエフェクタの把持ジョーの間の角度を変更すること、又は
前記エンドエフェクタの切断ブレードの延出の量を変更することを含む、
請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記自由度において前記手術器具を移動させることは、エンドエフェクタを前記手術器具に連結する関節作動リストの曲げ角度を変更することを更に含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項4】
前記1以上の力限界又は前記1以上のトルク限界は、前記自由度において前記手術器具を移動させるために適用され得る最大の力又はトルクと関連付けられる上限を含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項5】
前記1以上の力限界又は前記1以上のトルク限界は、前記自由度において前記手術器具を移動させるために適用され得る力又はトルクの範囲を特定する、上限及び下限を含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項6】
前記現在の位置を決定することは、前記駆動ユニットで前記現在の位置を測定することを含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項7】
前記補償モデルは、補償曲線を含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項8】
前記補償曲線は、
前記補償曲線が第1の傾斜を有する移行領域と、
前記補償曲線が前記第1の傾斜よりも小さい第2の傾斜を有する作動領域と、
前記補償曲線が最大値を有する飽和領域とを含む、
請求項7に記載の作動方法。
【請求項9】
前記補償曲線は、前記補償曲線がゼロ値を有する始動領域を更に含む、請求項8に記載の作動方法。
【請求項10】
前記補償曲線は、ヒステリシスを含む、請求項7に記載の作動方法。
【請求項11】
前記補償曲線は、前記自由度のホーム位置について対称的である、請求項7に記載の作動方法。
【請求項12】
前記補償モデルは、自由度位置と前記力限界調整又はトルク限界調整との間の補償曲線の領域境界を反映する一連の制御地点のルックアップ表を含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項13】
前記1以上の力限界に対する前記1以上の調整又は前記1以上のトルク限界に対する前記1以上の調整を決定することは、前記ルックアップ表及び補間を用いて、前記現在の位置に基づいて、前記1以上の力限界に対する1以上の調整又は前記1以上のトルク限界に対する1以上の調整を決定することを含む、請求項12に記載の作動方法。
【請求項14】
前記1以上の力限界に対する1以上の調整又は前記1以上のトルク限界に対する1以上の調整は、前記自由度において前記手術器具に適用される拘束力若しくはトルク又はホーム復帰力若しくはトルクを補償する、請求項1に記載の作動方法。
【請求項15】
前記1以上の力限界又は前記1以上のトルク限界を調整することは、前記1以上の力限界に対する1以上の調整を前記1以上の力限界に加えること、又は前記1以上のトルク限界に対する1以上の調整を前記1以上のトルク限界に加えることを含む、請求項1に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2015年5月15日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR FORCE OR TORQUE LIMIT COMPENSATION」という名称の米国仮特許出願第62/162,239号の優先権及び利益を主張し、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0002】
本開示は、一般的には、関節作動アームとエンドエフェクタとを備えるデバイスの操作(operation)に関し、より具体的には、エンドエフェクタにおける力又はトルク限界補償に関する。
【背景技術】
【0003】
ますます多くのデバイスが自律型及び半自律型の電子デバイスに取って代わられている。これは手術室、介入室、集中治療室、救急室などに見られる自律型及び半自律型電子デバイス装置の大規模アレイを備える今日の病院に特に当て嵌まる。例えば、ガラス及び水銀体温計は、電子体温計に取って代わられており、静脈内点滴ラインは、現在のところ電子モニタ及び流量調整器を含み、従来的な手持ち式の手術器具は、コンピュータ支援医療デバイスに取って代わられている。
【0004】
コンピュータ支援医療デバイスを用いる最小侵襲性外科技術は、一般的に、健康な組織への損傷を最小限に抑えながら、外科処置及び/又は他の処置を行うことを試みる。幾つかの最小侵襲性処置は、手術器具を備えるコンピュータ支援医療デバイスの使用を通じて遠隔に実行されることがある。多くのコンピュータ支援医療デバイスでは、外科医及び/又は他の医療従事者は、典型的には、操作者コンソール上の1以上(1つ又はそれよりも多く)の制御装置を用いて入力デバイスを操作することがある。外科医及び/又は他の医療従事者が操作者コンソールで様々な制御装置を操作すると、命令は操作者コンソールから患者側デバイスに中継され、患者側デバイスには、1以上のエンドエフェクタ及び/又は手術器具が取り付けられている。このようにして、外科医及び/又は他の医療従事者は、エンドエフェクタ及び/又は手術器具を用いて患者に対して1以上の処置を行うことができる。所望の処置及び/又は使用中の手術器具に依存して、所望の処置は、部分的に又は全体的に、遠隔操作を用いる外科医及び/又は医療従事者の制御の下で、並びに/或いは、手術器具が外科医及び/又は他の医療従事者による1以上のアクティブ化行為に基づき一連の操作を行うことがある半自律的な制御の下で、行われることがある。
【0005】
手動で作動させられるにしろ、遠隔操作で作動させられるにしろ、及び/又は半自律的に作動させられるにしろ、最小侵襲性外科器具は、様々な操作及び/又は処置において用いられることがあり、様々な構成を有することがある。多くのそのような器具は、関節作動アームの遠位端に取り付けられることがあるシャフトの遠位端に取り付けられるエンドエフェクタを含む。多くの手術シナリオにおいて、シャフトは、遠隔手術部位に到達するよう、開口(例えば、体壁切開部、自然開口部、及び/又は同等物)を通じて(例えば、腹腔鏡下で、胸腔鏡下で、及び/又は同等物の下で)挿入されるように構成されてよい。幾つかの器具では、関節作動リスト機構を器具のシャフトの遠位端に取り付けて、シャフトの長手軸に対するエンドエフェクタの向きを変更する能力をもたらす関節作動リストでエンドエフェクタを支持する。
【0006】
外科医及び/又は他の医療従事者が様々な外科処置のいずれかを実行するのを可能にするよう、異なるタスク、処置、及び機能を実行するために、異なる設計及び/又は構成のエンドエフェクタが用いられてよい。例は、焼灼、切除、縫合、切断、ステープル留め、融合、封止など、及び/又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。従って、エンドエフェクタは、これらの外科処置を実行する様々なコンポーネント及び/又はコンポーネントの組み合せを含み得る。
【0007】
最小侵襲性の処置の目標と一致して、エンドエフェクタの大きさは、典型的に、エンドエフェクタがその意図されるタスクを実行するのを依然として可能にしながら、可能な限り小さく維持される。エンドエフェクタの大きさを小さく維持する1つのアプローチは、患者の外部に典型的に位置する手術器具の近位端での1以上の入力の使用を通じてエンドエフェクタの作動を達成することである。次に、様々なギア、レバー、プーリ、ケーブル、ロッド、バンド、及び/又は同等物を用いて、手術器具のシャフトに沿って1以上の入力から行為を伝達し、エンドエフェクタを作動させてよい。適切な手術器具を備えるコンピュータ支援医療デバイスの場合、器具の近位端にある伝動機構は、患者側デバイス又は患者側カートの関節作動アームに設けられる、様々なモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、水力学(hydraulics)、空気力学(pneumatics)、及び/又は同等物とインターフェース接続する。モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、水力学、空気力学、及び/又は同等物は、典型的には、マスターコントローラを通じて制御信号を受信し、伝動機構の近位端で力及び/又はトルクの形態の入力を提供し、様々なギア、レバー、プーリ、ケーブル、ロッド、バンド、及び/又は同等物は、最終的に入力を伝達して、伝動機構の遠位端でエンドエフェクタを作動させる。
【0008】
エンドエフェクタの自由度のうちの1以上は、能動的な作動がない場合に1以上の自由度が戻ることが期待される初期又はホーム位置を備えて構成されることが、しばしば望ましい。幾つかの例において、安全性の懸念は、切断ブレードが用いられていないときに、エンドエフェクタの鋭利な切断ブレードが被覆された及び/又は格納されたホーム位置に戻されるよう命じる場合があることである。これはエンドエフェクタを取り扱う患者及び/又は医療従事者の組織が切断ブレードによって誤って切断される可能性を減少させることがある。幾つかの例では、自由度のうちの他のものが、他の設計及び/又は安全性の懸念を満たすホーム位置を有することがある。幾つかの例において、手術器具及び/又はエンドエフェクタは、力及び/又はトルクを自由度に適用して自由度をホーム位置に戻す拘束及び/又はホーム復帰機構を備えて構成されてよい。幾つかの例において、この拘束及び/又はホーム復帰機構は、エンドエフェクタの使用に否定的な影響を及ぼすことがある。何故ならば、拘束及び/又はホーム復帰機構は、それぞれの自由度を所望に作動させるために克服されなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、切断器具のような手術器具の操作のための改良された方法及びシステムが望ましい。幾つかの例では、ホーム復帰機能をサポートする拘束及び/又はホーム復帰機構を含むが、他の点において手術器具の使用に否定的な影響を及ぼさないことが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
幾つかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療デバイスと共に用いる手術器具が、器具の遠位端に配置されるエンドエフェクタと、器具の自由度を作動させる駆動ユニットと、駆動ユニットに連結されるシャフトと、駆動ユニットからの力又はトルクをエンドエフェクタ及び関節作動リストに結合するためのシャフト内の1以上(1つ又はそれよりも多く)の駆動機構とを含む。自由度を制御するために、器具は、自由度の現在の位置を決定し、現在の位置に基づき力又はトルク限界補償を決定し、力又はトルク限界補償に基づき1以上の力又はトルク限界を変更し、且つ1以上の力又はトルク限界に晒される自由度を調節するように構成される。
【0011】
幾つかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療デバイスと共に用いる手術器具を作動させる方法が、手術器具の自由度の現在の位置を決定すること、現在の位置に基づき力又はトルク限界補償を決定すること、力又はトルク限界補償に基づき1以上の力又はトルク限界を変更すること、並びに1以上の力又はトルク限界に晒される自由度を調節することを含む。
【0012】
幾つかの実施形態と一致して、非一時的な機械可読媒体が、コンピュータ支援医療デバイスと関連付けられる1以上のプロセッサによって実行されるときに、1以上のプロセッサに方法を実行させるように構成される、複数の機械可読指令を含む。方法は、コンピュータ支援医療デバイスによって作動される手術器具の自由度の現在の位置を決定すること、現在の位置に基づき力又はトルク限界補償を決定すること、力又はトルク限界補償に基づき1以上の力又トルク限界を変更すること、並びに1以上の力又トルク限界に晒される自由度を調節することを含む。
【0013】
幾つかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療デバイスが、1以上のプロセッサと、関節作動アームと、関節作動アームの遠位端に連結される手術器具とを含む。手術器具は、手術器具の遠位端に配置されるエンドエフェクタと、手術器具の自由度を作動させるために手術器具の近位端に配置される駆動ユニットと、駆動ユニットに連結されるシャフトと、駆動ユニットからの力又はトルクをエンドエフェクタ及び関節作動リストに結合するためのシャフト内の1以上の駆動機構とを含む。コンピュータ支援医療デバイスは、自由度の現在の位置を決定し、現在の位置に基づき力又はトルク限界補償を決定し、力又はトルク限界補償に基づき1以上の力又トルク限界を変更し、且つ1以上の力又はトルク限界に晒される自由度を調節するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】幾つかの実施形態に従ったコンピュータ支援システムの簡略図である。
【0015】
図2】幾つかの実施形態に従った最小侵襲性の手術器具を示す簡略図である。
【0016】
図3】幾つかの実施形態に従った図2の手術器具の遠位端の簡略化された斜視図である。
【0017】
図4A】幾つかの実施形態に従った図2及び図3のエンドエフェクタの簡略化された切欠図である。
図4B】幾つかの実施形態に従った図2及び図3のエンドエフェクタの簡略化された切欠図である。
図4C】幾つかの実施形態に従った図2及び図3のエンドエフェクタの簡略化された切欠図である。
【0018】
図5】幾つかの実施形態に従った自由度についての駆動ユニットの簡略化された斜視図である。
【0019】
図6】幾つかの実施形態に従ったトルク限界補償モデルの簡略図である。
【0020】
図7】幾つかの実施形態に従った図6からのトルク限界補償曲線を特徴付けるために用いられてよいルックアップ表の簡略図である。
【0021】
図8】幾つかの実施形態に従ったトルク限界補償の方法の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図において、同一の記号表示を有する要素は、同一又は類似の機能を有する。
【0023】
以下の記述では、本開示と一致する幾つかの実施形態を記載する具体的な詳細を示す。しかしながら、幾つかの実施形態はこれらの具体的な詳細の一部又は全部なしで実施されてよいことが当業者に明らかであろう。本明細書に開示する具体的な実施形態は例示的であることを意図し、限定的であることを意図しない。当業者は、本明細書で具体的に記載されていなくても、他の要素が本開示の範囲及び精神内にあることを認識することがある。加えて、不必要な繰返しを避けるために、1つの実施形態に関連して示し且つ記載する1以上の構成は、他のことが特に記載されていない限り或いは1以上の構成が実施形態を機能しないようにさせない限り、他の実施形態に組み込まれてよい。
【0024】
図1は、幾つかの実施形態に従ったコンピュータ支援システム100の簡略図である。図1に示すように、コンピュータ支援システム100は、1以上(1つ又はそれよりも多く)の可動又は関節作動アーム120(articulated arms)を備えたコンピュータ支援デバイス110を含む。1以上の関節作動アーム120の各々は、1以上の器具130を支持してよい。幾つかの例において、コンピュータ支援デバイス110は、コンピュータ支援手術デバイスと一致してよい。1以上の関節作動アーム120は、それぞれ、手術器具、撮像デバイス、及び/又は同等物のような、医療器具130のための支持をもたらしてよい。幾つかの例において、器具130は、実行(performing)、把持(gripping)、(retracting)、焼灼(cauterizing)、切除(ablating)、縫合(suturing)、切断(cutting)、ステープル留め(stapling)、融合(fusing)、封止(sealing)など、及び/又はこれらの組み合わせを行うことができる、エンドエフェクタを含んでよい。
【0025】
コンピュータ支援デバイス110は、操作者ワークステーション(図示せず)に更に連結されてよく、操作者ワークステーションは、コンピュータ支援デバイス110、1以上の関節作動アーム120及び/又は器具130を作動させる、1以上のマスターコントロール(主制御装置)を含んでよい。幾つかの例において、1以上のマスターコントロールは、マスターマニピュレータ、レバー、ペダル、スイッチ、キー、ノブ、トリガ、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの実施形態において、コンピュータ支援デバイス110及び操作者ワークステーションは、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって市販されているda Vinci(登録商標)Surgical Systemに対応してよい。幾つかの実施形態では、他の構成、より少ない若しくはより多い関節作動アーム、及び/又は同等物を備える、コンピュータ支援手術デバイスが、コンピュータ支援システム100と共に用いられてよい。
【0026】
コンピュータ支援装置110は、インターフェースを介して制御ユニット140に連結される。インターフェースは、1以上のケーブル、ファイバ、コネクタ、及び/又はバスを含んでよく、1以上のネットワークスイッチング及び/又はルーティングデバイスを備える1以上のネットワークを更に含んでよい。制御ユニット140は、メモリ160に連結されるプロセッサ150を含む。制御ユニット140の動作は、プロセッサ150によって制御される。制御ユニット140は、1つのプロセッサ150のみで示されているが、プロセッサ150は、制御ユニット内の1以上の中央処理装置、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(EPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は同等物の代表であってよい。制御ユニット140は、スタンドアローンサブシステム及び/又はコンピュータデバイスに追加されたボードとして或いは仮想マシンとして実施されてよい。幾つかの実施形態において、制御ユニット140は、操作者ワークステーションの部分として含められてよく、且つ/或いは操作者ワークステーションと別個であるが操作者ワークステーションと協調して作動させられてよい。
【0027】
メモリ160は、制御ユニット140によって実行されるソフトウェア及び/又は制御ユニット140の動作中に用いられる1以上のデータ構造を格納するために用いられてよい。メモリ160は、1以上の種類の機械可読媒体を含んでよい。機械可読媒体の幾つかの一般的な形態は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを備える任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び/又はプロセッサ若しくはコンピュータが読み出すように構成される任意の他の媒体を含んでよい。
【0028】
図1に示すように、メモリ160は、コンピュータ支援デバイス110の自律的な、半自律的な、及び/又は遠隔操作された制御をサポートするために用いられてよい制御アプリケーション170を含む。制御アプリケーション170は、コンピュータ支援装置110、関節作動アーム120、及び/又は器具130から位置、動き、力、トルク、及び/又は他のセンサ情報を受信し、位置、動き、力、トルク、及び/又は衝突回避情報を他のデバイスに関する他の制御ユニットと交換し、且つ/或いは、コンピュータ支援デバイス110、関節作動アーム120、及び/又は器具130の動き計画し且つ/或いは計画を支援するために、1以上のアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を含んでよい。幾つかの例において、制御アプリケーション170は、外科処置中の器具130の自律的な、半自律的な、及び/又は遠隔操作される制御を更にサポートしてよい。制御アプリケーション170は、ソフトウェアアプリケーションとして示されているが、制御アプリケーション170は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実装されてよい。
【0029】
幾つかの実施形態において、コンピュータ支援システム100は、手術室及び/又は介入室内に見出されることがある。コンピュータ支援システム100は、2つの関節作動アーム120及び対応する器具130を備える1つだけのコンピュータ支援デバイス110を含むが、当業者は、コンピュータ支援システム100がコンピュータ支援デバイス110と類似の及び/又は異なる設計の関節作動アーム及び/又は器具を備える任意の数のコンピュータ支援デバイスを含んでよいことを理解するだろう。幾つかの例において、コンピュータ支援デバイスの各々は、より少ない又はより多い関節作動アーム及び/又は器具を含んでよい。
【0030】
図2は、幾つかの実施形態に従った最小侵襲性の手術器具200を示す簡略図である。幾つかの実施形態において、手術器具200は、図1の器具130のいずれかと一致してよい。本明細書で用いられる図2に描くような「近位」(“proximal”)及び「遠位」(“distal”)という方向は、手術器具200のコンポーネントの相対的な向き及び場所を記載するのに役立つ。遠位は、一般的に、コンピュータ支援デバイス110のようなコンピュータ支援デバイスの基部(ベース)からの運動学的連鎖に沿って離れる方向における及び/又は手術器具200の意図される操作的使用において手術作業部位に最も近い要素を指す。近位は、一般的に、コンピュータ支援デバイスの基部及び/又はコンピュータ支援デバイスの関節作動アームの1つに向かう運動学的連鎖に沿うより近い方向における要素を指す。
【0031】
図2に示すように、手術器具200は、長いシャフト210を含み、シャフト210は、シャフト210の遠位端に配置されるエンドエフェクタ220を、手術器具200がシャフト210の近位端で関節作動アーム及び/又はコンピュータ支援デバイスに取り付けられる場所に連結するために用いられる。手術器具200を用いる特定の手順に依存して、シャフト210は、エンドエフェクタ220を患者の解剖学的構造内に位置する遠隔手術部位の近傍に配置するために、開口(例えば、体壁切開部、自然開口部、及び/又は同等のもの)を通じて挿入されてよい。図2に更に示すように、エンドエフェクタ220は、2つのジョー付きグリッパ型のエンドエフェクタと概ね一致しており、幾つかの実施形態では、図3及び4A乃至図4Cに関して以下に更に詳細に記載するように、切断及び/又は融合若しくは封止機構を更に含んでよい。しかしながら、当業者は、異なるエンドエフェクタ220を備える異なる手術器具200が可能であり、本明細書の他の箇所に記載するような手術器具200の実施形態と一致してよいことを理解するであろう。
【0032】
エンドエフェクタ220を備える手術器具200のような手術器具は、典型的には、その動作中に多数の自由度(DOF)に依存する。手術器具200及び関節作動アーム及び/又はそれが取り付けられるコンピュータ支援デバイスの構成に依存して、エンドエフェクタ220を位置付け、方向付け、且つ/或いは作動させるために用いられてよい様々なDOFが可能である。幾つかの例では、シャフト210を遠位方向に挿入し且つ/或いは近位方向に後退させて、そのエンドエフェクタ220が患者の解剖学的構造内にどれぐらい深く配置されるかを制御するために用いられてよい挿入DOFを提供してよい。幾つかの例では、シャフト210をその長手軸について回転させて、エンドエフェクタ220を回転させるために用いられてよいロールDOFを提供してよい。幾つかの例では、エンドエフェクタの位置及び/又は向きにおける追加的なフレキシビリティ(柔軟性)が、エンドエフェクタ220をシャフト210の遠位端に連結するために用いられる関節作動リスト230(articulated wrist)によって提供されてよい。幾つかの例において、関節作動リスト230は、シャフト210の長手軸に対するエンドエフェクタ220の向きを制御するために用いられてよい(複数の)「ロール」(“roll”)、「ピッチ」(“pitch”)、及び「ヨー」(“yaw”)DOFをそれぞれ提供することがある、1以上のロール、ピッチ、又はヨージョイント(joint)のような、1以上の回転するジョイント(関節)を含んでよい。幾つかの例において、1以上の回転ジョイントは、ピッチ及びヨージョイント、ロール、ピッチ、及びヨージョイント、ロール、ピッチ、及びロールジョイント、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例において、エンドエフェクタ220は、エンドエフェクタ220のジョーの開閉を制御するために用いられるグリップDOF、及び/又は以下に更に詳細に記載するような切断機構の延伸、収縮、及び作動を制御するために用いられる作動DOFを更に含んでよい。
【0033】
手術器具200は、シャフト210の近位端に配置される駆動システム240を更に含む。駆動システム240は、手術器具200によってサポートされる様々なDOFを操作するために用いられてよい、手術器具200に力及び/又はトルクを導入する1以上のコンポーネントを含む。幾つかの例において、駆動システム240は、図1の制御ユニット140のような制御ユニットから受信する信号に基づき作動させられる1以上のモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ(hydraulic actuators)、空圧アクチュエータ(pneumatic actuators)、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例において、信号は、1以上の電流、電圧、パルス幅変調波形、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例において、駆動システム240は、手術器具200を取り付ける関節作動アーム120のうちのいずれかのような関節作動アームの部分一部である、対応するモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、水力学(hydraulics)、空気力学(pneumatics)、及び/又は同等物に連結されてよい、1以上のシャフト、ギア、プーリ、ロッド、バンド、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例では、シャフト、ギア、プーリ、ロッド、バンド、及び/又は同等物のような、1以上の駆動入力を用いて、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、及び/又は同等物から力及び/又はトルクを受け取り、それらの力及び/又はトルクを適用して手術器具200の様々なDOFを調節してよい。
【0034】
幾つかの実施形態において、駆動システム240によって生成され且つ/或いは受け取られる力及び/又はトルクは、1以上の駆動機構250を用いて、駆動システム240から、シャフト210に沿って、駆動システム240の遠位に配置される手術器具200の様々なジョイント及び/又は要素に伝達されてよい。幾つかの例において、1以上の駆動機構250は、1以上のギア、レバー、プーリ、ケーブル、ロッド、バンド、及び/又は同等物を含んでよい。幾つか例において、シャフト210は中空であり、駆動機構250は、シャフト210の内側に沿って、駆動システム240から、エンドエフェクタ220及び/又は関節作動リスト230の対応するDOFに進む。幾つかの例において、駆動機構250の各々は、ボーデンケーブルのような構成において中空シース又は内腔の内側に配置されるケーブルであってよい。幾つかの例において、ケーブル及び/又は内腔の内側は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び/又は同等物のような低摩擦被膜で被覆されてよい。幾つかの例では、ケーブルの各ケーブルの近位端が、例えば、キャプスタン又はシャフトの周りにケーブルを巻き付け且つ/或いは巻き戻すことによって、駆動システム240の内側に引っ張られ且つ/或いは押し込まれると、ケーブルの遠位端は相応して動いて、適切な力及び/又はトルクを適用して、エンドエフェクタ220、関節作動リスト230、及び/又は手術器具200のDOFのうちの1つを調節する。
【0035】
図3は、幾つか実施形態に従った手術器具200の遠位端の簡略化された斜視図である。図3に示すように、手術器具200の遠位端は、エンドエフェクタ220、関節作動リスト230、及び駆動機構250の追加的な詳細を示すために描かれている。より詳細には、エンドエフェクタ220は、開放位置において示された対向ジョー310を含む。ジョー310は、処置中にエンドエフェクタ220を用いて、組織及び/又は手術部位に配置される縫合糸のような他の構造を把持し且つ解放するよう、開放位置と閉塞位置との間で移動するように構成される。幾つかの例において、ジョー310は、両方のジョー310が同時に開放及び/又は閉塞する単一ユニットとして一緒に操作されてよい。幾つかの例では、例えば、他方のジョーが開放及び/又は閉塞されてよい間に一方のジョー310が安定的に保持され得るよう、ジョー310は独立して開放及び/又は閉塞されてよい。
【0036】
図3は、ジョー310の各ジョーの内側の把持面が、切断ブレード330のためのガイドとして機能することがある対応する溝320を含むことを示しているが、溝320は、ジョー310の1以上から省かれてよい。ブレード330がエンドエフェクタ220の遠位端に向かって延伸させられ且つ/或いはエンドエフェクタ220の近位端に向かって引っ込められると、溝320の各々は切断動作中に切断ブレード330の整列及び/又は位置決めを助けることがある。切断ブレード330の引抜き(extraction)及び/又は引込み(retraction)は、切断ブレード330を取り付ける駆動コンポーネント340を用いて達成される。幾つかの例において、駆動コンポーネント340は、切断ブレード330を押して切断ブレード330を延伸させ、切断ブレード330を引っ張って切断ブレード330を後退させる。切断ブレード330の使用及び位置決めは、幾つかの実施形態に従ったエンドエフェクタ220の簡略化された切欠図である図4A乃至図4Cに示されている。図4Aは、切断ブレード330と駆動コンポーネント340との間の関係を示している。
【0037】
エンドエフェクタ220は、ジョー310の近位端に配置されるガレージ構成350(garage feature)を更に含む。ガレージ構成350は、駆動コンポーネント340及び切断ブレード330の両方が通ることがある開口を含む。ガレージ構成350は、切断ブレード330が用いられないときに、切断ブレード330のための安全な格納領域を提供するように構成される。よって、切断ブレード330が切断作業の一部として積極的に用いられるとき、エンドエフェクタ220は、切断ブレード330を、切断ブレード330が図4Bに示すようにジョー310の背後に近位に隠される「格納」(“garaged”)又は収容(stored)位置において、ガレージ構成350内に引っ込めることがあるように、構成される。切断ブレード330は、図4Cに示すように溝320のうちの1つの溝の遠位端に又はその付近に位置付けられる位置まで追加的に延伸させられてよい。幾つかの例において、図4Cに示すような切断ブレード330の位置決めは、切断動作中の切断ブレード330の位置に対応してよい。
【0038】
幾つかの例において、エンドエフェクタ220及び手術器具200は、切断ブレード330の初期設定又はホーム位置がガレージ構成350内にあるように設計される。このガレージ構成350の配置は、エンドエフェクタ220に幾つかの構成をもたらすことがある。幾つかの例において、切断ブレード330がガレージ構成350内に引っ込められるとき、切断ブレード330の鋭利な切断エッジは、切断ブレード330が処置中の組織及び/又は処置前及び/又は処置後に手術器具200及びエンドエフェクタ200を取り扱う医療従事者を誤って切断する可能性がないように、効果的に被覆される(sheathed)。幾つかの例では、切断ブレード330がガレージ構成350内に引っ込められるとき、切断ブレード330は、切断ブレード330が切断のために積極的に用いられていないときの、偶発的な鈍化(dulling)のような損傷から保護されることもある。
【0039】
図3に戻ると、幾つかの実施形態において、ジョー310の各ジョーの内側の把持面は、1以上の任意的な電極360を更に含んでよい。幾つかの例では、電極360を用いて、電気外科エネルギを送り、ジョー310の間に保持される組織を融合してよい。幾つかの例では、組織が同じ手術器具200を用いて切断され且つ/或いは融合/封止されてよいよう、電極360はエンドエフェクタ220に電気焼灼、融合、及び/又は封止構成をもたらしてよい。
【0040】
幾つかの実施形態において、ジョー310、切断ブレード330、及び/又は関節作動リスト230のジョイントの動作は、駆動機構250の対応するものを用いて達成されてよい。幾つかの例では、ジョー310が独立して作動させられるときに、対応する駆動機構250が(例えば、ケーブル、リードスクリュー、及び/又は同等物を用いて)プル力(pull force)及び/又はプッシュ力(pushing force)を適用するに応じて、それぞれのジョー310が開放され且つ/或いは閉塞されてよいように、駆動機構250(ジョー310の各々について1つずつ)のうちの2つの駆動機構の遠位端が、それぞれのジョー310に連結されてよい。幾つかの例では、ジョー310が一緒に操作されるとき、両方のジョー310は、同じ駆動機構250の遠位端に連結されてよい。幾つかの例において、駆動コンポーネント340は、対応する駆動機構250に適用される力及び/又はトルクが駆動コンポーネント340のプッシュ及び/又はプル動作に伝達されてよいように、対応する駆動機構250の遠位端に連結されてよい。幾つかの例では、追加的な駆動機構350を用いて、関節作動リスト230内のロール、ピッチ、及び/又はヨーDOFを作動させてよい。
【0041】
図5は、幾つかの実施形態に従った自由度についての駆動ユニット500の簡略化された斜視図である。幾つかの実施形態によれば、駆動ユニット500は、図2の駆動システム240中のコンポーネントの部分を表してよい。図5に示すように、駆動ユニット500は、キャプスタン510を回転させてDOFを作動させる回転作動アプローチに基づく。キャプスタン510は、駆動シャフト520に連結され、駆動シャフト520は、モータ、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物(図示せず)の駆動シャフトであってよい。トルクが駆動シャフト520に適用され、駆動シャフト520及びキャプスタン510が回転させられると、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520に取り付けられるケーブル530は、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520の周りに更に巻き付けられ且つ/或いはそれらから巻き戻されることがある。ケーブル530が、駆動機構250のいずれかのような対応する駆動機構の近位端に取り付けられると、ケーブルの巻付け及び巻戻しは、駆動機構の遠位端に配置されるエンドエフェクタのDOFに適用されることがある対応するプル及びプッシュ力及び/又はトルクになることがある。幾つかの例において、キャプスタン510及び駆動シャフト520の回転、並びにケーブル530の対応する巻付け及び/又は巻戻しは、ジョー310のようなグリッパジョーの開放及び/又は閉塞、切断ブレード530のような切断ブレードの延伸(extending)及び/又は引込み(retracting)、関節作動リストジョイントの屈曲(flexing)及び/又は非屈曲(unflexing)、及び/又は同等のこと引き起こすことがある。幾つかの例において、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520の回転角度及び/又は回転速度をモニタリングすることは、対応する駆動機構を介してケーブル530に連結される対応するDOFの現在位置及び/又は速度を示すこともある。よって、駆動ユニット500が手術器具200のDOFと共に用いられるとき、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520の回転角度及び/又は回転速度は、駆動機構250のうちのどれにケーブル530が連結されるかに依存して、ジョー310が開放されている角度、切断ブレード330の位置、及び/又は関節作動リスト230のピッチ及び/又はヨー角度に関する、有用なフィードバックをもたらすことがある。
【0042】
DOFが作動していないときに、エンドエフェクタのDOFが初期位置、休止位置、及び/又はホーム位置で構成されることが望ましいことが多いので、幾つかの実施形態では、駆動ユニット500のような駆動ユニットは、駆動ユニット500を対応するホーム位置に戻す抵抗(resitive)及び/又は拘束機構(restraining mechanism)を含んでよい。幾つかの例において、DOFのためのホーム位置の使用は、手術器具200のような手術器具の構成を支持することがあり、その場合、把持ジョー(gripping jaws)は自動的に閉塞され且つ/或いは殆ど閉塞され、切断ブレードはガレージ構成内に引っ込められ、関節作動リストジョイントは真っ直ぐにされ、且つ/或いは同等のことが行われる。図5に示すように、駆動ユニット500は、捩りバネ540の形態の拘束機構を含む。捩りバネ540は、一端550でキャプスタン510に取り付けられ、キャプスタン510に巻き付けられて示されている。キャプスタン510が回転させられると、捩りバネ540の第2の端560は、それが回転して駆動ユニット500の本体の部分であってよいストップ570に当たるまで、自由に回転してよい。捩りバネ540の第2の端560がストップ570に当たった後に、キャプスタン510が回転し続けると、捩りバネ540は、キャプスタン510の回転量及び捩りバネのバネ定数によって決定されるように、拘束及び/又はホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510にもたらし始める。よって、より大きい回転量がキャプスタン510に適用されると、捩りバネ540は、増大したホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用する。例えば、把持ジョーを閉塞し、切断ブレードを後退させ、且つ/或いは関節作動リストジョイントを真っ直ぐにするために用いられることがあるのは、キャプスタン510に対するこのホーム復帰力及び/又はトルクである。
【0043】
図5は、キャプスタン510の周りに巻き付けられている捩りバネのような拘束機構を示しているが、当業者は、類似の拘束/ホーム復帰機能を達成する拘束機構のための他の可能な拘束機構及び/又は構成を認識するであろう。幾つかの例において、駆動ユニット500の本体は、ストップ570に起因するホーム復帰力及び/又はトルクと反対方向において、ホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用する第2のストップを更に含んでよい。幾つかの例では、捩りバネ540がホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用し始める前に、捩りバネ540の自由な動きが許容されないよう、且つ/或いは、キャプスタン510の回転がないにも拘わらず、捩りバネ540が少なくとも幾らかのホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用するよう、捩りバネ540の第2の端560は、駆動ユニット500の本体に取り付けられてよい。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、エンドエフェクタのDOFのための捩りバネ540のバネ定数のような適切な大きさにされた拘束機構の選択は、手術器具の設計者に幾つかの挑戦を提示することがある。幾つかの場合には、DOFの対応する駆動ユニットの所望のホーム復帰機能との可能性のある及び/又は合理的な干渉を克服するよう、拘束機構の大きさを選択することが望ましい場合がある。幾つかの例において、可能性のある及び/又は合理的な干渉を克服する拘束機構の大きさの選択は、可能な操作シナリオのうちの多くについて拘束機構を過大にする傾向がある。加えて、拘束機構の大きさが増大すると並びに/或いは拘束及び/又はホーム復帰力及び/又はトルクの量がホーム位置からの偏差の増加に伴って増加すると、拘束及び/又はホーム復帰力及び/又はトルクの量は、駆動ユニットがDOFを作動させる能力に否定的な影響を与えることがある。幾つかの例において、これはDOFを駆動させて操作を実行するために利用可能なより少ない力及び/又はトルクをもたらすDOFについてのより小さな操作限界(operational margin)をもたらすことがある。例えば、切断を実行するために、より少ない切断力及び/又はトルクが、切断ブレードに適用するために利用可能であることがある。幾つかの例において、1つの解決策は、駆動ユニットに連結されるモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物の大きさを増大させること、並びに、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物に対する力及び/又はトルク限界を調節して、克服されなければならないことがある最大の拘束及び/又はホーム復帰力及び/又はトルクを補償することである。幾つかの例において、力及び/又はトルク限界のそのような増大は、DOF又は手術器具の特定の動作モードと一致しないことがある。加えて、力及び/又はトルク限界の増大は、駆動機構に対する摩耗の増加、駆動機構の伸張、及び/又は同等のことを引き起こすこともある、駆動機構に置かれる応力及び/又はひずみの増加をもたらす、DOFの動作をもたらすことがある。幾つかの例において、駆動機構の伸張は、駆動機構及び許容差から外れるようになる対応するDOFをもたらすことがあり、よって、DOFを所望に制御する能力の低下をもたらすことがある。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、力及び/又はトルク限界を増大させて、最大の可能な拘束及び/又はホーム復帰力及び/又はトルクを補償するよりもむしろ、拘束及び/又はホーム復帰機構によって適用される拘束及び/又はホーム復帰力及び/又はトルクの予想量に基づき力及び/又はトルク限界を調節する、力及び/又はトルク限界補償プロファイルが用いられてよい。図6は、幾つか実施形態に従ったトルク限界補償モデル600の簡略図である。モデル600はトルク限界補償に関して記載されているが、当業者はモデル600における着想が力限界補償をもたらすために等しく適用されてよいことを理解するであろう。図6に示すように、トルク限界補償モデル600は、DOFに対する1以上のトルク限界が予想される拘束及び/又はホーム復帰トルクに基づき増大させられてよい量を示す、トルク限界補償曲線610を含む。幾つかの例において、トルク限界は、DOFについての所望の操作限界が拘束及び/又はホーム復帰トルクに対して維持されることがあるよう、トルク上限を含んでよい。幾つかの例では、トルク限界がトルク下限とトルク上限との間のトルクの範囲を特定するとき、トルク限界補償はトルク下限及びトルク上限の両方に適用されてよい。幾つかの例では、DOFを更に操作するために拘束及び/又はホーム復帰トルクが克服されているときにより高いトルク限界が用いられ、拘束及び/又はホーム復帰トルクがDOFの操作を助けるときにより低いトルク限界が用いられるよう、トルク限界補償を用いて非対称のトルク限界を生成してよい。幾つかの例では、4つのトルク限界(例えば、拘束及び/又はホーム復帰トルクに対するDOFについての正のトルク上限及び正のトルク下限並びに拘束及び/又はホーム復帰トルクによって補助されるDOF変化についての負のトルク下限及び負のトルク上限)を用いるDOF制御アルゴリズムが、4つのトルク限界のそれぞれにトルク限界補償を加えることによって調節される4つのトルク限界のそれぞれを有してよい。
【0046】
図6に更に示すように、トルク限界補償モデル600及びトルク限界補償曲線610は、4つの一般的な領域、即ち、始動領域620(start-up region)、移行領域630(transition region)、作動領域640(operational region)、及び飽和領域650(saturation region)に分割される。領域620乃至650の各々は、モデル600上に示されるx軸及びx位置値x,x,x,x,及びxによって示されるようなDOF位置の異なる範囲に対応する。図6を議論する目的のために、DOFの位置は、DOFのx位置に関連して記載され、より正の位置は、予想される拘束及び/又はホーム復帰トルクを増大させる方向であるが、当業者は、DOFについての位置が、切断ブレード330のための溝320、ジョー310間の角度、関節作動リスト230におけるピッチ及び/又はヨー屈曲の量、及び/又は同等のものによって定められる軸に沿う位置のような、任意の適切な位置(positional)及び/又は回転軸(rotational axis)を用いて表されてよく、且つ/或いは予想される拘束及び/又はホーム復帰トルクを増大させる方向に対応するより負の位置値で代替的に特徴付けられ得ることを理解するであろう。
【0047】
始動領域620は、トルク限界補償が適用されない位置xから位置xまでのDOF位置の範囲に対応する。幾らかの例において、始動領域620は、拘束及び/又はホーム復帰機構がDOFに適用されないDOF位置の範囲に対応してよい。図5の例において、始動領域620は、捩りバネ540の第2の端部560がストップ570に対して動かされる前のキャプスタン510の回転位置に対応してよい。幾つかの例において、始動領域620は、例えば、ホーム位置が、グリッパジョーを殆ど閉じるが(x)グリッパジョーを完全に閉じない(x)ことに対応してよい、グリッパジョーを用いて、DOFが位置xを越えて位置xまで作動されることがあるとしても、ホーム位置が位置xに対応するDOFに対応してよく且つ/或いは適用可能であってよい。幾つかの例において、位置xは、ガレージ構成への入口が位置0であるガレージ構成内の切断ブレードの位置のような、DOFのゼロ位置及び/又は負の位置に対応してよい。幾つかの例において、始動領域の幅は、DOF位置がキャプスタン回転に関して測定されるときにxとxとの間の差が0.25ラジアン程度であるそれぞれのDOFに基づき、範囲内で大きく変化させられてよい。
【0048】
移行領域630は、トルク限界補償の急激な増加が適用される位置xから位置xまでのDOF位置の範囲に対応する。幾つかの例において、移行領域630は、拘束及び/又はホーム復帰機構が非係合状態から係合状態に移行しているDOF位置の範囲に対応してよい。図5の例において、移行領域630は、捩りバネ540の第2の端部560がストップ570に対して移動させられた直ぐ後のキャプスタン510の回転位置に対応してよい。幾つかの例において、移行領域630の幅は、拘束及び/又はホーム復帰機構が非係合位置から作動範囲640内の位置に動く場所からの急激な移行を反映するよう、狭くてよい。幾つかの例において、xとxとの間の差は、DOF位置がキャプスタン回転に関して測定されるときに、0.05ラジアン以下ほど小さくてよい。
【0049】
作動領域640は、拘束及び/又はホーム復帰機構によって適用される拘束及び/又はホーム復帰トルクの増大を補償するためにトルク限界補償の安定した増大が適用される、位置xから位置xまでのDOF位置の範囲に対応する。幾つかの例において、作動領域640は、拘束及び/又はホーム復帰機構が増大させられたDOF位置で比例的な拘束及び/又はホーム復帰トルクを適用するDOF位置の範囲に対応してよい。図5の例において、作動領域640は、捩りバネ540が捩りバネ540のバネ定数に基づき増大させられた拘束及び/又はホーム復帰トルクを適用するキャプスタン510の回転位置に対応してよい。幾つか例では、作動領域640におけるトルク限界補償曲線610の傾斜は、捩りバネ540のバネ定数に基づいてよい。幾つかの例において、作動領域640は、拘束及び/又はホーム復帰機構の典型的に広い作動範囲を反映するよう、最大領域であるのが典型的である。幾つかの例において、DOF位置がキャプスタン回転に関して測定されるとき、xとxとの間の差は、0.7ラジアン以上ほどであってよい。
【0050】
飽和領域650は、トルク限界補償の更なる増加が望まれない、位置xから少なくとも位置xまでのDOF位置の範囲に対応する。幾つかの例において、飽和領域650は、駆動ユニット、駆動機構、及び/又は同等物によって課される限界、及び/又はDOFを駆動させるために用いられるモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物によって適用されることがある、トルクにおける上限に対応してよい。幾つかの例において、xは、最大のDOF位置及び/又は最大を超えたばかりのDOF位置に対応してよい。図3及び図4A乃至4Cの例において、xは、切断ブレードが切断操作中に溝320の遠位端に当たらないような切断ブレード330の最大延伸長、ジョー310の間の最大角、及び/又は関節作動リスト230における最大のピッチ及び/又はヨー屈曲、及び/又は同等のものに基づいてよい。幾つかの例において、xとxとの間の差は、DOF位置がキャプスタン回転に関して測定されるとき、0.15ラジアン以下ほど短くてよい。
【0051】
幾つかの例において、トルク限界補償値T,T、及び/又はTは、手術器具の設計及び/又は構成に有意に依存することがある。図3図4A乃至4C、及び図5の例において、T、T、及び/又はTは、捻りバネ540のバネ定数、対応するDOF位置に関する実際の制限、DOFを駆動させるために用いられるモータ、ソレノイド、サーボ 、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物の大きさ、及び/又は駆動ユニット、駆動機構、及び/又は同等物によって課される限界に基づくことがある。
【0052】
図7は、幾つかの実施形態に従ったトルク限界補償曲線610を特徴付けるために用いられてよいルックアップ表700の簡略図である。図7に示すように、ルックアップ表700は、領域境界を反映する一連の制御地点(control points)と、トルク限界補償曲線からの対応するトルク限界補償値とを含む。よって、ルックアップ表700は、地点(x,0)、(x,0)、(x,T)、(x,T)、及び(x,T)のそれぞれを含む。ルックアップ表700を用いて、補間及び/又は他の曲線のあてはめアルゴリズムをサポートして、現在のDOF位置に基づき所望のトルク限界補償値を決定してよい。幾つかの例において、補間は、現在のDOF位置がどのx1値にあるか決定すること及びルックアップ表700の制御地点を用いて所望のトルク限界補償を決定することに基づく線形補間であってよい。一例として、現在のDOF値がxであり、x≦x≦xである場合を検討する。この場合、トルク限界補償Tcは、以下の方程式1を用いて計算されてよい。
【0053】
【数1】
【0054】
幾つかの例では、拘束及び/又はホーム復帰機構の予想される拘束及び/又はホーム復帰挙動に基づいて、非線形モデルを含む他の補間アプローチ及び/又はモデルが用いられてよい。幾つかの例において、他のモデルは、より高次の補間多項式、三次スプラインのような曲線のあてはめ、及び/又は同等のものの使用を含んでよい。幾つかの例では、計算コストと補間モデルの精度との間を均衡させるよう、補間モデルの複雑さが選択されてよい。
【0055】
上記で議論し、ここで更に強調するように、図6及び図7は、請求項の範囲を過度に制限すべきでない単なる例である。当業者は、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。幾つか実施形態によれば、異なるトルク限界補償モデルが用いられてよい。幾つか実施形態において、トルク限界補償曲線は、より少ない及び/又はより多い制御地点でモデル化されてよい。幾つかの例において、トルク限界補償曲線は、例えば、DOFがホーム位置にある間に拘束及び/又はホーム復帰機構が係合されるときに、始動領域を有さなくてよく、場合によっては、部分的な移行領域さえ有さなくてよい。幾つかの例において、これは、切断ブレードがガレージ構成内に後退させられるときに、拘束及び/又はホーム復帰機構にホーム復帰トルクを適用させることが望ましいときに、切断ブレードDOFのために起こることがある。幾つかの例において、トルク限界補償モデルは、ホーム復帰トルクをホーム位置について両方向に適用する拘束及び/又はホーム復帰機構によって適用されるトルクで、ホーム位置に対して両方向に作動させられてよい、DOFのためのホーム位置についての対称性を反映してよい。幾つか例において、このトルク限界補償モデルは、ピッチ及び/又はヨーDOFが、エンドエフェクタが手術器具のシャフトと整列させられたホーム位置を有することがある、関節作動リストに対応してよい。幾つかの例において、トルク限界補償モデルは、DOF位置が増大しているか或いは減少しているかに依存して異なるトルク限界補償曲線及び/又は制御地点が用いられてよい、ヒステリシス(hysteresis)を更に含んでよい。
【0056】
幾つかの実施形態において、トルク限界補償モデルは、他のモデリング目標をサポートしてよい。幾つかの例において、トルク限界補償モデルは任意的であり、エンドエフェクタの特定の動作モードのために又はエンドエフェクタのDOFのうちの1以上のDOFのために用いられなくてよい。幾つかの例において、トルク限界補償モデルは、関節作動リストの屈曲に起因するDOFのための駆動機構における屈曲及び/又はシフトによって引き起こされるDOF位置の誤差を考慮してよい。幾つかの例において、トルク限界補償曲線及び/又は制御地点は、トルク限界補償が望まれる手術器具及び/又は手術器具のDOFに依存して異なってよい。幾つかの例では、ルックアップ表700のようなルックアップ表が、手術器具の各モデル及び各DOFのために維持されてよい。幾つかの例では、各DOFについてのルックアップ表は、各手術器具のために別々に決定され且つ/或いは較正されてよく、対応する手術器具の通し番号のような識別子を用いて実行時にアクセス可能であってよい。
【0057】
図8は、幾つかの実施形態に従ったトルク限界補償の方法800の簡略図である。方法800のプロセス810乃至860のうちの1以上は、少なくとも部分的に、1以上のプロセッサ(例えば、制御ユニット140内のプロセッサ150)によって実行されるときに、1以上のプロセッサにプロセス810乃至860のうちの1以上を実行させることがある、非一時的な有形の機械可読媒体に格納される、実行可能なコードの形態で格納されてよい。幾つかの実施形態において、方法800は、制御アプリケーション170のようなアプリケーションによって実行されてよい。幾つかの実施形態では、方法800を用いて、手術器具200のような手術器具におけるDOFのための制御アルゴリズムのトルク限界を調節してよい。幾つかの例において、DOFは、ジョー310のようなグリッパジョーの開放角、切断ブレード330のような切断ブレードの延伸及び/又は後退、関節作動リスト230のような関節作動リストの屈曲、及び/又は同等のものに対応してよい。幾つかの実施形態において、トルク限界補償は、トルク限界補償モデル600に基づきモデル化されてよく、且つ/或いはルックアップ表700と類似のルックアップ表を用いて実施されてよい。幾つかの実施形態において、トルク限界補償は、DOFについての1以上のトルク限界に適用されてよい。幾つかの実施形態において、トルク限界補償は、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は類似物のための制御アルゴリズムに適用されてよい。
【0058】
プロセス810で、DOFのための所望の位置を決定する。DOFについての制御アルゴリズムに基づき、DOFのための所望の位置を決定する。幾つかの例において、DOFのための所望の位置は、DOFについての設定地点に対応してよい。幾つかの例において、設定地点は、DOFが属する手術器具200のような手術器具を操作している外科医及び/又は他の医療従事者から受け取る入力に基づき決定されてよい。幾つかの例において、外科医及び/又は他の医療従事者は、1以上のマスターマニピュレータ、レバー、ペダル、スイッチ、キー、ノブ、トリガ、及び/又は同等物のような、操作者コンソールの1以上のマスターコントロールを操作して、DOFを遠隔操作してよい。幾つかの例において、DOFの設定地点は、外科医及び/又は他の医療従事者によって引き起こされることがある自動的及び/又は半自動タスクの部分としてDOFの位置プロファイルに基づき決定されてよい。幾つかの例において、DOFは、グリッパジョーのジョー角、切断ブレードの延伸及び/又は後退、関節作動リストにおけるピッチ及び/又はヨー角の屈曲、及び/又は同等のものと関連付けられてよい。
【0059】
プロセス820で、トルク限界補償がアクティブであるか否かを決定する。エンドエフェクタ及び/又は手術器具の動作モード及び/又はDOFに依存して、トルク限界補償を用いることが望ましくない場合がある。幾つかの例において、トルク限界補償は、手術器具のDOFの各々について無効にされてよく、且つ/或いは手術器具のDOFの各々について個別に選択的にアクティブ化及び/又は非アクティブ化されてよい。幾つかの例において、トルク限界補償は、外科医及び/又は他の医療従事者によってアクティブ化及び/又は非アクティブ化されてよく、且つ/或いは制御アプリケーション170のような制御アプリケーションによってアクティブ化及び/又は非アクティブ化されてよい。幾つかの例において、トルク限界補償がアクティブ化されているか且つ/或いは非アクティブ化されているかの表示は、個々の自由度、エンドエフェクタ全体、手術器具全体、及び/又はコンピュータ支援デバイス全体と関連付けられてよい、1以上の状態変数、フラグ、ブール値、及び/又は同等のものに基づき、決定されてよい。トルク限界補償が用いられないとき、DOFについてのトルク限界は、手術器具を用いて実行される処置及び/又はタスクについての初期設定レベル及び/又はDOFについての初期設定レベルに設定されてよい。トルク限界補償がアクティブでないとき、DOFの動きはプロセス860を用いて起こる。トルク限界補償がアクティブであるとき、DOFについてのトルク限界はプロセス830で開始して調節される。
【0060】
プロセス830で、DOFの現在位置を決定する。幾つかの例では、拘束及び/又はホーム復帰トルク量が方法800によって補償されるとき、トルク限界補償の量はDOFの現在位置に依存してよい。図5の例において、捩りバネ540によって適用されるトルクの量は、(DOF位置と等しい)キャプスタン510及び/又はシャフト520の回転角に依存する。幾つかの例において、DOF位置は、より多くの位置及び/又は回転センサのうちの1つを用いて測定されてよい。幾つかの例において、センサは、DOFの近位に配置されてよく、DOF角を間接的に測定するように構成されてよい。幾つかの例において、センサは、DOFを操作するために用いられてよい駆動ユニット500のような1以上の駆動ユニッと関連付けられてよい。幾つかの例において、センサは、キャプスタン510のようなキャプスタンの回転角及び/又は駆動シャフト520のような駆動シャフトの回転角を測定してよい。
【0061】
プロセス840で、トルク限界補償を決定する。トルク限界補償モデル600のようなトルク限界補償モデルを用いて、プロセス830中に決定される現在のDOF位置に基づき適用するトルク限界補償の量を決定する。幾つかの例において、トルク限界補償モデルは、捩りバネ540のような拘束及び/又はホーム復帰機構によって適用される拘束及び/又はホーム復帰トルクの予想される量を考慮してよい。幾つかの例において、使用するトルク限界補償モデルは、移動されるDOF、手術器具のモデル、通し番号のような手術器具の識別子、及び/又は同等のものに基づき選択されてよい。幾つかの例において、トルク限界補償曲線610のようなトルク限界補償曲線を用いて、現在のDOF位置をトルク限界補償の量にマッピングしてよい。幾つかの例において、トルク限界補償曲線は、ルックアップ表700のようなルックアップ表を用いモデル化されてよく、補間及び/又は曲線のあてはめが用いて、ルックアップ表内のエントリ間のトルク限界補償の量を決定してよい。幾つかの例において、補間及び/又は曲線のあてはめは、線形補間、多項式補間、三次スプラインモデリング、及び/又は同等のものを含んでよい。
【0062】
プロセス850で、トルク限界補償をトルク限界に適用する。幾つかの例において、DOFについてのトルク限界の1以上は、プロセス840の間に決定されるトルク限界補償の量に基づき調節されてよい。幾つかの例において、トルク限界補償の量は、DOFのための制御アルゴリズムによって用いられるトルク限界の各々に加えられてよい。幾つかの例において、トルク限界は、DOFについての所望の操作限界が維持されることがあるように、トルク上限を含んでよい。幾つかの例では、トルク限界がトルク下限とトルク上限との間のトルクの範囲を特定するとき、トルク限界補償は、トルク下限及びトルク上限の両方に適用されてよい。幾つかの例では、DOFを更に操作するために、拘束及び/又はホーム復帰トルクが克服されているときに、より大きなトルク限界が用いられ、拘束及び/又はホーム復帰トルクがDOFの操作を助けているときに、より低いトルク限界が用いられるよう、トルク限界補償を用いて非対称のトルク限界を創り出してよい。幾つかの例において、4つのトルク限界(例えば、拘束及び/又はホーム復帰トルクに対するDOF変化についての正のトルク上限及び正のトルク下限並びに拘束及び/又はホーム復帰トルクによって支援されるDOF変化についての負のトルク下限及び負のトルク上限)を用いるDOF制御アルゴリズムは、トルク限界補償を4つのトルク限界の各々に加えることによって4つのトルク限界の各々を調節させてよい。
【0063】
プロセス860で、DOFを所望の位置に移動させる。幾つかの例において、DOFは、所望の位置に移動するように命令される。幾つかの例において、DOFは、電圧、電流、デューティサイクル、及び/又は同等物のような1以上の信号を、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物に送信することによって、所望の位置に移動するように命令されてよい。幾つかの例において、DOFは、駆動コンポーネント、駆動機構、駆動ユニット、及び/又はモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物のようなアクチュエータを用いてトルクを適用することによって、所望の位置に移動するように命令されてよい。幾つかの例において、適用されるトルクの量は、トルク限界補償がアクティブであるときにプロセス850中に決定されるトルク限界及び/又はトルク限界補償がアクティブでないときにプロセス820に関して先に記載した初期設定トルク限界に基づき制限されてよい。
【0064】
DOFが移動するように命令された後に、移動及びトルク限界補償は、プロセス810に戻ることによって繰り返されてよい。幾つかの例において、方法800のプロセスループは、DOFのための制御アルゴリズムの制御ループ速度のような規則的な間隔で繰り返されてよい。
【0065】
上記で議論し、ここで更に強調するように、図8は、請求項の範囲を過度に制限すべきでない単なる例である。当業者は、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。幾つかの実施形態によれば、トルク限界補償は、速度制御アルゴリズム及び/又は同等物のような位置制御アルゴリズム以外のものに適用されてよい。幾つかの例では、速度制御アルゴリズムが用いられるとき、プロセス810は省略されてよい。プロセス800は、方法800によって設定されるトルク限界に晒されるDOF位置に所望の速度を適用するように修正されてよい。
【0066】
制御ユニット140のような制御ユニットの幾つかの例は、1以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ150)によって実行されるときに、1以上のプロセッサに方法800のプロセスを実行させる、実行可能なコードを含む、非一時的で有形の機械可読媒体を含んでよい。方法800のプロセスを含んでよい機械可読媒体の幾つかの一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを備える任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び/又はプロセッサ若しくはコンピュータが読み取るように構成される任意の他の媒体である。
【0067】
例示的な実施形態を示し且つ記載したが、広範な修正、変更、及び置換が前述の開示において想定され、幾つかの場合には、実施形態の幾つかの構成は他の構成の対応する使用を伴わずに利用されてよい。当業者は、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。よって、本発明の範囲は後続の請求項によってのみ限定されるべきであり、請求項は本明細書で開示した実施形態の範囲と一致するように解釈されるべきことが理解されよう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8