IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォームロックス エーエスの特許一覧

特許7000412トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法
<>
  • 特許-トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法 図1
  • 特許-トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法 図2
  • 特許-トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法 図3
  • 特許-トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法 図4
  • 特許-トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法 図5
  • 特許-トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法 図6
  • 特許-トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】トンネル壁要素、およびトンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20220112BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20220112BHJP
   E21D 11/40 20060101ALI20220112BHJP
   E21D 11/15 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
E21D11/04 Z
E21D11/08
E21D11/40 B
E21D11/15
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019503189
(86)(22)【出願日】2017-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 NO2017050077
(87)【国際公開番号】W WO2017171558
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-02-18
(31)【優先権主張番号】20160515
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(31)【優先権主張番号】20160611
(32)【優先日】2016-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】518345963
【氏名又は名称】フォームロックス エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブセン ロルフ
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05470178(US,A)
【文献】特開平11-152995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0050100(US,A1)
【文献】特開2014-020110(JP,A)
【文献】登録実用新案第3173190(JP,U)
【文献】特開2011-080319(JP,A)
【文献】特開2003-129797(JP,A)
【文献】特開2005-155083(JP,A)
【文献】特開2008-115667(JP,A)
【文献】特開2012-207431(JP,A)
【文献】特開2003-321999(JP,A)
【文献】特開平02-201489(JP,A)
【文献】特開平11-025724(JP,A)
【文献】特開2010-144448(JP,A)
【文献】木下茂樹 他,「シールド情報統合管理システムの開発(その2:セグメント情報管理)」,土木学会年次学術講演会講演概要集 [online],2009年 第64回 第6部門,2009年09月,pp.73-74,http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/2009/64-06/64-06-0037.pdf,[2021年1月14日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/04
E21D 11/08
E21D 11/40
E21D 11/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤壁の露出した表面に直接取り付けるように構成された、成形された部材を含む、トンネルを形成する岩盤壁の露出した表面をライニングするためのトンネル壁要素(10,22)であって、
前記素の内側のの部分が発泡ガラスで作製されており、かつ外側の強化被膜が、前記部分を被覆し、かつポリウレアで作製され
前記成形された部材の高さおよび輪郭は、該トンネル内の事前定義済みの岩盤壁の幾何形状に合うように適合し、かつ、該事前定義済みの岩盤壁の幾何形状に関連する環境条件に適合している、
前記トンネル壁要素。
【請求項2】
第1のトンネル壁要素の表側または裏側に対する第1のトンネル壁要素の端部表面の角度(40)が、
互いに隣り合う第1のトンネル壁要素および第2のトンネル壁要素とトンネル壁の一部とが組み立てられたときに前記第1のトンネル壁要素の前記端部表面に隣接して位置する前記第2のトンネル壁要素の端部表面の対応する角度
に適合している、請求項1記載のトンネル壁要素(10,22)
【請求項3】
第1のトンネル壁要素の輪郭形状が、第1のトンネル壁要素および第2のトンネル壁要素(10,22)とトンネル壁の一部とが組み立てられたときに前記第1の壁要素に隣接して位置する前記第2のトンネル壁要素の輪郭形状に適合している、請求項1記載のトンネル壁要素(10,22)
【請求項4】
特定のトンネル壁要素(10,22)の前記適合が、特定のトンネルに関する標準化された事前定義済みの一連の仕様に従っている、請求項1記載のトンネル壁要素(10,22)
【請求項5】
前記トンネル壁要素(10,22)の厚さの適合が、前記トンネル壁要素(10,22)が適用される局所位置の、特定された局所温度条件に従っている、請求項1記載のトンネル壁要素(10,22)
【請求項6】
トンネル壁要素の周縁が、前記トンネル壁要素(10,22)周縁を部分的または完全に取り囲むことができる複合材料製の追加の外形により補強されている、請求項1記載のトンネル壁要素(10,22)
【請求項7】
前記追加された補強外形が、ポリウレアが適用される前に前記トンネル壁要素の前記発泡ガラス核に取り付けられており、前記追加された補強外形の端部表面の形状および角度が、ポリウレアが適用される前の前記トンネル壁要素(10,22)に適合している、請求項6記載のトンネル壁要素(10,22)
【請求項8】
前記追加された補強外形が、ポリウレアが適用された後に前記トンネル壁要素(10,22)の前記発泡ガラス核に取り付けられており、前記追加された補強外形の端部表面の形状および角度が、ポリウレアが適用された後の前記トンネル壁要素に適合している、請求項6記載のトンネル壁要素(10,22)
【請求項9】
それぞれのトンネル壁要素がトンネルの岩盤壁をライニングしており、コンクリート層が前記岩盤壁と前記それぞれのトンネル壁要素(10,22)との間に適用されている、請求項1~7のいずれか一項記載の複数の軽量トンネル壁要素(10,22)を備える道路または鉄道トンネル。
【請求項10】
複合材料製のH形梁(30)がトンネル壁の底部分に配置されており、かつトンネル壁要素(10,22)が前記H形梁の上部開口内に位置決めされかつ固定されている、請求項9記載の道路または鉄道トンネル。
【請求項11】
少なくとも1つの光源(70)H形梁(30)の下部分における取り外し可能なカバーの後ろに配置されており、
光ファイバ(71)がそれぞれのトンネル壁要素(10,22)の裏側に配置されており、
それぞれの光ファイバの第1の端部が前記少なくとも1つの光源(70)と動作可能に接触しており、
前記それぞれの光ファイバ(71)の前記第1の端部と反対側の第2の端部が、それぞれのトンネル壁要素(10,22)を通して案内されており、それにより、前記それぞれの光ファイバが前記少なくとも1つの光源(70)からトンネルの内部へ光を伝送する、
請求項9記載の道路または鉄道トンネル。
【請求項12】
中空ボルト(60)が、隣り合うトンネル壁要素(10,22)の端部表面間に配置されて前記端部表面を接合しており、トンネルの天井に配置されたボルトがケーブルブリッジ(50)を支持する一方で、前記中空ボルトは、前記トンネルの側壁に交通信号機(51)または交通標識(52)を支持する、請求項9記載の道路または鉄道トンネル。
【請求項13】
中空ボルト(60)が、電気ケーブル、光ファイバ(71)、通信回線、および類似のものを前記トンネル壁要素(10,22)の裏側から前記トンネル壁要素の表側へ/前記トンネル壁要素の表側から前記トンネル壁要素の裏側へ案内するように配置されている、請求項12記載の道路および鉄道トンネル。
【請求項14】
以下の工程を含む、請求項1に記載のトンネル壁要素(10,22)を備えるトンネル壁の組立方法:
トンネルの長手方向に前記トンネルを通って移動する移動式レーザスキャナによって前記トンネルの岩盤面を走査することにより、前記トンネルの、掘削されかつ爆破形成されたトンネル外形のコンピュータ画像を得る工程;および
特定のトンネル壁要素(10,22)が製造される前に前記特定のトンネル壁要素の幅および/または高さを前記岩盤壁の特定の位置に合わせて調整するために前記コンピュータ画像を使用する工程。
【請求項15】
トンネル壁の前記コンピュータ画像が、前記トンネル壁要素(10,22)の裏面に適用されるコンクリート層(21)におけるくぼみ(20)の位置を決めるために使用され、それにより排水路を形成する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
トンネル壁の前記コンピュータ画像が、それぞれのトンネル壁要素(10,22)の可能な限り最大となる表面を特定するために使用され、それにより、前記トンネルをライニングするのに必要なトンネル壁要素の数を低減する、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、トンネル壁要素と、該壁要素を備えるトンネル壁の組立方法とに関し、特に、被覆発泡ガラスで製造されたトンネル壁要素と、トンネル壁への被覆発泡ガラス要素の組付方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
道路および鉄道トンネルは通常、建設コストが高く、トンネル内部で起こり得る火災および事故に関連する安全上の問題が先行技術において周知の課題である。従来のトンネル構築方法は、通常、必要でかつ意図したトンネル外形を正確な寸法で提供する掘削および爆破形成方法を含む。トンネル外形に対応するように、コンクリート壁要素、断熱材、防火材、電線、通信回線、交通信号機、電灯照明、排水溝などを適合させて組み立てることも一般的である。
【0003】
近年では、掘削されかつ爆破形成されたトンネルの岩盤面を移動するレーザによって走査することにより未加工の岩盤のトンネル壁の画像を提供し、それにより、後に組み立てられるコンクリート壁要素を保持する穿孔ボルトにとって好適である壁上の位置を特定することが一般的である。レーザ走査により取り込まれたコンピュータ画像からの情報は、掘削中にトンネル内部を移動する掘削装置の方向付けおよび位置決めのために使用することができる。そして、コンクリート要素の装着は、ボルトが岩盤壁に取り付けられた後により一層容易かつ迅速になる。
【0004】
先行技術のトンネル設計は、それぞれの技術的問題に対する解決策を提供する多くの部分を含む。コンクリート壁は、トンネル岩盤面から緩んで例えば車線または線路上に落下し得る岩盤片に対する防護を提供する。先行技術において公知のように凍結して氷になった水は体積が増加するので氷形成に対する防護および着霜制御が必要である。水、例えば、トンネルの岩盤壁面の亀裂内に残された水の凍結により周囲に誘発された力は、大きさの大きなものである可能性があり、その結果、トンネルの岩盤壁から石が落下する可能性がある。さらに、霜により、例えばトンネル内の道路が非常に滑り易くなる場合がある。コンクリート壁要素が組み立てられたときに、トンネルの岩盤表面に面するコンクリート要素表面間に空隙が残ることがある。これらの空隙内に水が溜まる可能性があり、氷形成に対する防護が不十分である場合には、空隙内の水がトンネルのコンクリート壁に構造的損傷をもたらすことがある。
【0005】
当然ながら火災は問題であり、コンクリート壁は、トンネルの岩盤壁の熱による構造的変化に起因して(例えば熱膨張に起因して)トンネルが崩壊しないように防護し得る。それゆえ、防火は、道路および鉄道トンネルの安全上の極めて重要な問題である。
【0006】
US 200700138857 A1(特許文献1)は、機械の上面にフライス構成を備えた車両を開示している。フライス構成は、交通トンネルのトンネル天井のような上部トンネル壁面を研削するためのフライス装置を含む。本発明によるフライス構成を備えたそのような車両は、所望の表面粗さが得られかつカーボンブラックが除去されるようにトンネル壁を処理するのに好適である。こうしたトンネル壁の処理は、トンネル天井および壁表面に適用されるライニングが、表面に十分に取り付けられることを確実にする。
【0007】
US 8662796 B2(特許文献2)は、ウェブ形の防護ネット材料が、リールから巻き解かれて、締め付けボルトによりトンネル壁または天井に締結される、防護ネットなどを用いてトンネル壁または天井をライニングする方法を開示している。リールは回転可能に配置される。シャフトを中心とするリールの回転は、防護ネット材料を巻き解くために制御され、シャフトは、リールと共にトンネル壁または天井に沿って段階状に機械的に移動させる。各段階で巻き解かれたときに、好ましくは、防護ネット材料の伸張および機械的な締結が実行される。
【0008】
US 3561223 A(特許文献3)は、地面にトンネルを掘るだけでなく、同時にトンネル内にコンクリート壁を形成するように適合されたトンネル建設機械を開示している。コンクリート壁用の型枠は、機械によりその頭端部において立設され、機械によりその尾端部において除去される。型枠は、コンクリートが硬化するのに十分に長い時間だけその場所に留まり、常に再利用され、型枠再使用の連続プロセスにおいて尾端部からの型枠が頭端部に移される。機械の尾端部における型枠の除去により、平滑なコンクリート壁または孔を有する完成したトンネルが機械の後方に残される。
【0009】
CN 101638990 B(特許文献4)は、トンネルの耐火断熱層およびその構築方法を開示している。耐火断熱層は、トンネルの2つのライニングと連結されたポリウレタン断熱層と、外部耐火層とを備え、耐火層は、基材とみなされる、1種類または2種類の中アルカリガラス繊維布および不織布と耐水性でかつ耐火性の構成要素とを圧縮することにより作製される。
【0010】
US 2004050100 A1(特許文献5)は、SIP(構造断熱パネル)およびEIFS(外断熱仕上げシステム)パネルで公知のような発泡プラスチック材料の使用を避ける建築産業用の複合パネルを開示している。プラスチック材料および炭化水素発泡体ベースの材料は、先行技術において公知であるように環境上の脅威となる可能性がある。提案されている改良された代替案は、ガラスと0.1~20.0重量%の少なくとも1つの非硫黄系発泡剤とを混合して、混合物を発泡させるのに十分な混合物を加熱する方法を含む。冷却工程中または後に、パネルの少なくとも1つの側面が材料と接着され、それにより複合パネルを形成する。
【0011】
GB 989639 A(特許文献6)は、パネルを連続的に被覆する方法および装置を開示している。パネルは、パネルの少なくとも1つの表面を電気的に絶縁性および/または装飾的にするために表面覆いで被覆される。例えば、石綿セメント、合板、硬質繊維、発泡プラスチックなどで作製された、2つの対向する剛性パネルは、充填材を含浸させた合成樹脂層がそれらパネルの表面に設けられ、かつ発泡パネル、発泡ガラスパネル、紙のハニカムパネルなどからなるコア層と組み立てられる。基部パネルは、例えば無端ベルト型のコンベア間で搬送され、パネルは、例えば加熱により接合される。そして、完成した被覆パネルは、それぞれ異なる材料層を備える積層パネルである。
【0012】
安全な道路および鉄道トンネルを建設するコストが高く、それゆえ、好ましくは構築が簡単で、構築がより迅速で、保守点検が少なくて済み、かつ寿命の改善された、より安価なトンネルを提供する改善されたトンネル設計が必要である。特に、完全なトンネル壁の組み立てを容易にする簡単な壁要素軽量設計において熱、低温および水に対する必要な防護特性を提供する軽量トンネル壁要素を使用することが有利である。
【0013】
組み立てられたときにそれぞれの壁要素表面積がトンネルの未加工の岩盤壁のできるだけ広い面積をできるだけ広く覆う特定のトンネル壁外形に壁要素を適合させることができる場合にはさらに有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】US 200700138857 A1
【文献】US 8662796 B2
【文献】US 3561223 A
【文献】CN 101638990 B
【文献】US 2004050100 A1
【文献】GB 989639 A
【発明の概要】
【0015】
発明の目的
本発明のさらなる目的は、先行技術の代替案を提供することである。
【0016】
特に、軽量トンネル壁要素であって、該軽量トンネル壁要素を備える耐水性、耐熱性および耐火性のトンネル壁の組み立てを容易にする、軽量トンネル壁要素を提供することが本発明の目的とみなされてもよい。
【0017】
発明の概要
したがって、上で説明したものおよびいくつかの他のものは、軽量要素の機械的完全性を高める耐火被膜で被覆された断熱特性を有する軽量要素で構成されたトンネル壁要素を提供することによって本発明の第1の局面において得られるように意図されたものである。
【0018】
本発明の局面は、軽量要素の核が発泡ガラスで作製されており、かつ被膜が、発泡ガラス核の機械的完全性を提供するポリウレアであり、特定のトンネル壁要素の高さおよび/または幅および厚さおよび輪郭形状に対するそれぞれのトンネル壁要素のサイズが、それぞれのトンネル壁要素が適用される道路または鉄道トンネルの岩盤壁上の特定の位置の特定の局所岩盤壁の幾何形状および局所条件に適合しており、局所条件へのそれぞれのトンネル壁の適合は、特定のトンネル壁位置に関連する特定のトンネル壁要素が予め製造される前に岩盤壁の幾何形状および条件を測定することにより行われ、それぞれのトンネル壁要素が、トンネル壁要素を組み立てるときにトンネル内の、それぞれのトンネル壁要素が適用される特定の位置を特定する識別ラベルにより、ラベル付けされている、軽量被覆要素で構成されたトンネル壁要素で構成されたトンネル壁要素を提供することである。
【0019】
さらに、トンネル壁要素は、第1のトンネル壁要素の表側表面または裏側表面に対する第1のトンネル壁要素の端部表面の角度を有してもよく、該角度は、互いに隣り合う第1のトンネル壁要素および第2のトンネル壁要素とトンネル壁の一部とが組み立てられたときに第1のトンネル壁要素の端部表面に隣接して位置する第2のトンネル壁要素の端部表面の対応する角度に適合している。
【0020】
さらに、トンネル壁要素は、第1のトンネル壁要素の輪郭形状を有してもよく、該輪郭形状は、第1のトンネル壁要素および第2のトンネル壁要素とトンネル壁の一部とが組み立てられたときに第1の壁要素に隣接して位置する第2のトンネル要素の輪郭形状に適合している。
【0021】
さらに、特定のトンネル壁要素の適合は、特定のトンネルに関する標準化された事前定義済みの一連の仕様に従う。
【0022】
さらに、トンネル壁要素の厚さの適合は、トンネル壁要素が適用される局所位置の、特定された局所温度条件に従う。
【0023】
さらに、トンネル壁要素の周縁は、トンネル壁要素周縁を部分的または完全に取り囲むことができる複合材料製の追加の外形により補強されてもよい。
【0024】
さらに、追加される補強外形は、ポリウレアが適用される前にトンネル壁要素の発泡ガラス核に取り付けられてもよく、追加される補強外形の端部表面の形状および角度は、ポリウレアが適用される前のトンネル壁要素に適合される。
【0025】
さらに、追加される補強外形は、ポリウレアが適用された後にトンネル壁要素の発泡ガラス核に取り付けられてもよく、追加される補強外形の端部表面の形状および角度は、ポリウレアが適用された後のトンネル壁要素に適合される。
【0026】
本発明による複数の軽量トンネル壁要素を備える道路または鉄道トンネルは、それぞれのトンネル壁要素がトンネルの岩盤壁をライニングしてもよく、コンクリート層が岩盤壁とそれぞれのトンネル壁要素との間に適用される。
【0027】
道路または鉄道トンネルは、トンネル壁の底部分に配置される複合材料製のH形梁をさらに備えてもよく、かつトンネル壁要素は、H形梁の上部開口内に位置決めされかつ固定される。
【0028】
道路または鉄道トンネルは、H形梁の下部分における取り外し可能なカバーの後ろに配置される少なくとも1つの光源をさらに備えてもよく、光ファイバがそれぞれのトンネル壁要素の裏側に配置され、それぞれの光ファイバの第1の端部が少なくとも1つの光源と動作可能に接触し、それぞれの光ファイバの第1の端部と反対側の第2の端部が、それぞれのトンネル壁要素を通して案内され、それにより、それぞれの光ファイバが少なくとも1つの光源からトンネルの内部へ光を伝送する。
【0029】
道路または鉄道トンネルは、隣り合うトンネル壁要素の端部表面間に配置されて端部表面を接合する中空ボルトをさらに備えてもよく、トンネルの天井に配置されたボルトがケーブルブリッジを支持し得る一方で、中空ボルトは、トンネルの側壁に交通信号機および交通標識を支持することができる。
【0030】
道路および鉄道トンネルは、電気ケーブル、光ファイバ、通信回線、および類似のものをトンネル壁要素の裏側からトンネル壁要素の表側へ/トンネル壁要素の表側からトンネル壁要素の裏側へ案内するように配置された中空ボルトをさらに備えてもよい。
【0031】
軽量トンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法は、トンネルの長手方向にトンネルを通って移動する移動式レーザスキャナによってトンネルの岩盤面を走査することにより、掘削されかつ爆破形成されたトンネルのトンネル外形のコンピュータ画像を得る工程と、特定のトンネル壁要素が製造される前に特定のトンネル壁要素の幅および/または高さを岩盤壁の特定の位置に合わせて調整するためにコンピュータ画像を使用する工程とを含んでもよい。
【0032】
方法は、トンネル壁のコンピュータ画像が、トンネル壁要素の裏面に適用されるコンクリートにおけるくぼみの位置を決めるために使用され、それにより排水路を形成する、工程をさらに含んでもよい。
【0033】
方法は、トンネル壁のコンピュータ画像が、それぞれのトンネル壁要素の可能な限り最大となる表面を特定するために使用され、それにより、トンネルをライニングするのに必要なトンネル壁要素の数を低減する、工程をさらに含んでもよい。
【0034】
[本発明1001]
軽量被覆要素で構成されたトンネル壁要素であって、
前記軽量要素の核が発泡ガラスで作製されており、かつ被膜が、前記発泡ガラス核の機械的完全性を提供するポリウレアであり、
特定のトンネル壁要素の高さおよび/または幅および厚さおよび外形形状に対するそれぞれのトンネル壁要素のサイズが、前記それぞれのトンネル壁要素が適用される道路または鉄道トンネルの岩盤壁上の特定の位置の局所的な特定の岩盤壁の幾何形状および局所条件に適合しており、
局所条件への前記それぞれのトンネル壁要素の適合は、特定の局所トンネル壁位置に関連する特定のトンネル壁要素が予め製造される前に前記岩盤壁の幾何形状および条件を測定することにより行われ、
前記それぞれのトンネル壁要素が、前記トンネル壁要素を組み立てるときに前記トンネル内の、前記それぞれのトンネル壁要素が適用される前記特定の位置を特定する識別ラベルにより、ラベル付けされている、
前記トンネル壁要素。
[本発明1002]
第1のトンネル壁要素の表側または裏側に対する第1のトンネル壁要素の端部表面の角度が、
互いに隣り合う第1のトンネル壁要素および第2のトンネル壁要素とトンネル壁の一部とが組み立てられたときに前記第1のトンネル壁要素の前記端部表面に隣接して位置する前記第2のトンネル壁要素の端部表面の対応する角度
に適合している、本発明1001のトンネル壁要素。
[本発明1003]
第1のトンネル壁要素の外形形状が、第1のトンネル壁要素および第2のトンネル壁要素とトンネル壁の一部とが組み立てられたときに前記第1の壁要素に隣接して位置する前記第2のトンネル壁要素の外形形状に適合している、本発明1001のトンネル壁要素。
[本発明1004]
特定のトンネル壁要素の前記適合が、特定のトンネルに関する標準化された事前定義済みの一連の仕様に従っている、本発明1001のトンネル壁要素。
[本発明1005]
前記トンネル壁要素の厚さの適合が、前記トンネル壁要素が適用される局所位置の、特定された局所温度条件に従っている、本発明1001のトンネル壁要素。
[本発明1006]
トンネル壁要素の周縁が、前記トンネル壁要素周縁を部分的または完全に取り囲むことができる複合材料製の追加の輪郭により補強されている、本発明1001のトンネル壁要素。
[本発明1007]
前記追加された補強輪郭が、ポリウレアが適用される前に前記トンネル壁要素の前記発泡ガラス核に取り付けられており、前記追加された補強輪郭の端部表面の形状および角度が、ポリウレアが適用される前の前記トンネル壁要素に適合している、本発明1006のトンネル壁要素。
[本発明1008]
前記追加された補強輪郭が、ポリウレアが適用された後に前記トンネル壁要素の前記発泡ガラス核に取り付けられており、前記追加された補強輪郭の端部表面の形状および角度が、ポリウレアが適用された後の前記トンネル壁要素に適合している、本発明1006のトンネル壁要素。
[本発明1009]
それぞれのトンネル壁要素がトンネルの岩盤壁をライニングしており、コンクリート層が前記岩盤壁と前記それぞれのトンネル壁要素との間に適用されている、本発明1001~1007のいずれかの複数の軽量トンネル壁要素を備える道路または鉄道トンネル。
[本発明1010]
複合材料製のH形梁がトンネル壁の底部分に配置されており、かつトンネル壁要素が前記H形梁の上部開口内に位置決めされかつ固定されている、本発明1009の道路または鉄道トンネル。
[本発明1011]
少なくとも1つの光源が前記H形梁の下部分における取り外し可能なカバーの後ろに配置されており、
光ファイバがそれぞれのトンネル壁要素の裏側に配置されており、
それぞれの光ファイバの第1の端部が前記少なくとも1つの光源と動作可能に接触しており、
前記それぞれの光ファイバの前記第1の端部と反対側の第2の端部が、それぞれのトンネル壁要素を通して案内されており、それにより、前記それぞれの光ファイバが前記少なくとも1つの光源からトンネルの内部へ光を伝送する、
本発明1009の道路または鉄道トンネル。
[本発明1012]
中空ボルトが、隣り合うトンネル壁要素の端部表面間に配置されて前記端部表面を接合しており、トンネルの天井に配置されたボルトがケーブルブリッジを支持する一方で、前記中空ボルトは、前記トンネルの側壁に交通信号機または交通標識を支持する、本発明1009の道路または鉄道トンネル。
[本発明1013]
中空ボルトが、電気ケーブル、光ファイバ、通信回線、および類似のものを前記トンネル壁要素の裏側から前記トンネル壁要素の表側へ/前記トンネル壁要素の表側から前記トンネル壁要素の裏側へ案内するように配置されている、本発明1012の道路および鉄道トンネル。
[本発明1014]
以下の工程を含む、軽量トンネル壁要素を備えるトンネル壁の組立方法:
トンネルの長手方向に前記トンネルを通って移動する移動式レーザスキャナによって前記トンネルの岩盤面を走査することにより、前記トンネルの、掘削されかつ爆破形成されたトンネル輪郭のコンピュータ画像を得る工程;および
特定のトンネル壁要素が製造される前に前記特定のトンネル壁要素の幅および/または高さを前記岩盤壁の特定の位置に合わせて調整するために前記コンピュータ画像を使用する工程。
[本発明1015]
トンネル壁の前記コンピュータ画像が、前記トンネル壁要素の裏面に適用されるコンクリートにおけるくぼみの位置を決めるために使用され、それにより排水路を形成する、本発明1014の方法。
[本発明1016]
トンネル壁の前記コンピュータ画像が、それぞれのトンネル壁要素の可能な限り最大となる表面を特定するために使用され、それにより、前記トンネルをライニングするのに必要なトンネル壁要素の数を低減する、本発明1014の方法。
本発明のそれぞれの局面は各々、他の局面のいずれかと組み合わされてもよい。本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書において以下に説明する態様から明らかになり、それら態様を参照して明らかにされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明による、トンネル壁要素と、トンネル壁要素を備えたトンネル壁の構築方法とについて、添付の図を参照してより詳細に説明する。添付の図は、本発明の態様の例を図示しており、添付の特許請求の範囲に含まれる他の可能な態様を限定するものと解釈されるべきではない。
【0036】
図1】本発明によるトンネル壁要素の例を図示する。
図2】本発明によるトンネル設計の例を図示する。
図3】本発明によるトンネル部分の例を図示する。
図4】本発明によるトンネル部分の別の例を図示する。
図5】本発明によるトンネル設計の例を図示する。
図6】本発明による締結要素の例を図示する。
図7】本発明によるトンネル用照明構成の例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
態様の詳細な説明
本発明を特定の態様との関連で説明してきたが、本発明は、提示した例に限定されるものと決して解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定められる。特許請求の範囲の文脈において、「備えること」または「備える」という用語は、考えられる他の要素または工程を除外するものではない。例えば「1つの(a)」または「1つの(an)」などの参照の言及は、複数を排除するものと解釈されるべきではない。図に示す要素に対する特許請求の範囲での参照符号の使用もまた、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。その上、異なる請求項で述べる個々の特徴は可能であれば有利に組み合わせてもよく、かつ異なる請求項でのこれらの特徴の言及は、特徴の組み合わせが可能でも有利でもないことを排除するものではない。
【0038】
本発明の第1の局面は、軽量壁要素本体において防水、防火および着霜防止の特徴を組み合わせることである。図1は、ポリウレアで被覆された発泡ガラスの核を含む本発明によるトンネル壁要素10の例を図示している。発泡ガラスは軽量であり、被膜は発泡ガラス核の機械的完全性を高める。図2は、図1に図示する要素10の例のようなそれぞれの直線状および湾曲状のトンネル壁要素22を使用する本発明によるトンネル設計の例を図示している。それぞれのトンネル壁要素22は、上方および横方向に互いに積み重ねられて、トンネル表面を覆う。積み重ねられたトンネル壁要素22と掘削されかつ爆破形成されたトンネルの岩盤壁との間の空隙には、コンクリート21が充填される。くぼみ20は、トンネルの岩盤壁側に面するコンクリートにトンネルの長さに沿って一定の間隔で離間して配置されてもよく、岩盤を通して漏出する水をトンネルから離れる方向に導く水路を提供する。集水路はトンネルの底側に配置される。完成したトンネル壁を構成する壁要素は、コンクリート端部分24で終端されてもよい。
【0039】
それぞれの発泡ガラス要素のポリウレア被膜は、防水、防火および氷形成防止を提供する。発泡ガラス自体も耐火性であり、発泡ガラス構造は優れた断熱特性をもたらす。加えて、ポリウレア被膜は、トンネル壁要素22の発泡ガラス核を、輸送されているとき、組み立て中などに、起こり得る損傷および他の外力に耐える並外れた機械的強度を有する要素に変える。例えば、本発明による典型的なトンネル壁要素22の破断強度は、任意の比較できる鋼補強コンクリート要素に見られ得る破断強度よりも良好であるとみなされる。
【0040】
本発明によるトンネル壁要素は、上述したようなトンネル壁要素に使用される場合に発泡ガラス自体の有益な特性を利用する。本発明はまた、発泡ガラスは切断が非常に容易である点でトンネル壁要素のコア要素として発泡ガラスのさらなる局面を利用する。この点において、発泡ガラスブロックの縁部の曲率とポリウレア被膜を適用する前の発泡ガラスブロックの端部表面の厚さおよび角度との両方を適合させることを含む、発泡ガラスブロックをまず切断することにより壁要素の外形形状を特定の形状に適合させることが可能である。これは、特定のトンネルの特定の壁条件への特定の適合により製造される予め作製された型を必要とする公知のコンクリート壁要素とは対照的である。本発明の一局面によれば、本発明による壁要素のすべての有益な特性は、組み立てまたはトンネル構築現場での直接オンラインのいずれかのコスト効率の高い方式で特定のトンネルの特別仕様の壁要素の製造を提供するために利用されてもよい。
【0041】
図2に描かれているコンクリート21の吹き付けにより、トンネルの岩盤が安定した状態に「保持される」。先行技術では、コンクリート壁要素が組み立てられるときに、トンネル外形を、予め作製されたコンクリート壁要素に適合させなければならない。本発明の局面では、コンクリート層21によって、予め作製されたトンネル壁要素22をトンネル外形に適合させること、すなわち先行技術において可能なことと正反対のことが可能となる。トンネル外形を掘削し爆破形成した後に残存する岩盤の生じ得るすべての凹凸表面をコンクリート層21が埋めるので、トンネル表面および外形は、先行技術よりも小さな公差で作製されてもよい。さらに、コンクリート層21は、トンネルの岩盤を本来の場所に「保持する」。
【0042】
本発明によるそれぞれのトンネル壁要素の周縁に複合材料で作製された追加の外形を配置することも本発明の範囲内である。追加の外形は、周縁を完全に取り囲まなくてもよいが、例えばU形外形またはL形外形のように周縁を部分的に取り囲むことができる。それにより、機械的完全性が高められ、追加の外形の形状は、トンネル壁要素を補強する特定の要求に適合させることができる。追加される外形は、ポリウレアが適用される前に発泡ガラス核と一体化されるかまたはポリウレアが適用された後にトンネル壁要素のポリウレア被覆表面上に一体化されてもよい。
【0043】
先行技術において知られているような表面のレーザ走査により、トンネル表面のコンピュータ画像が提供されてもよい。この情報は、壁要素を組み立てるときに特定のトンネル寸法を達成できるかどうかを評価するために使用されてもよい。さらに、岩盤表面と本発明によるそれぞれのトンネル壁要素22との間の空隙に充填するときに使用されるコンクリート21の量は、トンネルの岩盤表面を覆うコンクリート21の分布と併せて計算することができる。コンクリート層21の体積の分布を計算するときに、その計算では、トンネル壁の岩盤側に面するコンクリート層21の表面が凹凸であることと、トンネル壁要素22の裏面側に面するコンクリート21の他の反対側の表面が平滑であることが考慮される。
【0044】
加えて、トンネルの岩盤壁のコンピュータ画像は、トンネル壁要素22が予め作製される前にそれぞれのトンネル壁要素22の高さおよび/または幅および厚さのようなサイズを調節するために使用されてもよい。例えば湾曲の曲率に応じて、トンネルの長さ方向において、最適な数の要素が、隣り合う壁要素22の隣り合う端部表面間に正しい角度で設けられてもよい。トンネルの天井はまた、天井に適用される隣り合うトンネル壁要素22の端部表面の角度の調節を必要とする場合がある。また、岩盤壁の幾何形状と例えば氷形成への起こり得る曝露のような局所条件とに合わせて異なるサイズのそれぞれの要素22を調整することにより、それぞれのトンネル壁要素22をトンネル壁および天井に装着する作業負荷および時間を低減する、表面積が最大となったトンネル壁要素22を製造することが可能となる。壁要素22の幾何学的形状もまた、トンネル内の特定の位置の特定の幾何学的条件に適合させてもよい。
【0045】
例えば、トンネル内部で合流し得る2つのトンネル(例えば、本線トンネルに入る側道)は、トンネル壁要素22の特別な形状および幾何形状を必要とする場合がある。トンネル壁要素の核は発泡ガラスで作製されるので、形状の切断または形成が極めて容易である。ポリウレア被膜は、発泡ガラス要素の形状の調整が完了した後に適用される。
【0046】
さらに、本発明によるトンネル壁要素22が特定のトンネルに関する標準化された事前定義済みの一連の仕様に従うことは、本発明の範囲内である。これは、壁要素が、特定のトンネル外形に好適であるとみなされる一連の同等サイズの壁要素として製造され得ることを意味する。
【0047】
本発明による方法によれば、レーザ走査を使用することで、岩盤壁とトンネル壁要素22との間の空隙に充填される必要なコンクリート21の量を計算するために使用され得る、トンネルの岩盤壁のコンピュータ画像を提供することができる。加えて、トンネルの岩盤壁を覆うコンクリート層21の分布は、上述のように計算することができる。次いで、この情報は、特定の位置に対する正確な量のコンクリート21が特定のトンネル壁要素22の裏側に適用される一方でトンネルの岩盤壁のこの特定の位置に対して特定のトンネル壁要素を位置決めする装置またはロボットを制御するために使用することができる。それぞれの壁要素22がトンネル壁上の特定の位置に合わせて調整されるときに、バーコードラベルまたはRFIDマーカのような他の識別情報が、トンネル壁要素22に取り付けられて、ロボットが特定のトンネル壁要素22を取り付け得るトンネル壁に沿った位置に関する情報を提供してもよい。次いで、ロボットは、トンネル壁要素を取り付けてラベルまたはマーカに基づいて特定の位置に特定の体積のコンクリートを適用する前に、バーコードラベルを走査するかまたはRFIDマーカを読み取ってもよい。
【0048】
トンネル壁のコンピュータ画像が、トンネル壁要素22の裏面に適用されるコンクリート21におけるくぼみ20の位置を決めるために使用されてもよく、それにより排水路を形成する。コンクリート21がトンネル壁要素22とトンネルの岩盤壁との間の空隙に適用される場合、この特定の位置にトンネル壁要素22が装着されるときに、排水路を画定する型または枠体が取り付けられてもよい。
【0049】
トンネルの場所の異なる環境特性に起因して異なる環境課題が生じる場合がある。例えば、ノルウェーの北部では、イタリアの南部のトンネルよりも断熱性が高くなる必要がある。この要件は、氷形成に対するより良好な防護が必要である場合に発泡ガラス要素の厚さを増加させる点において本発明の態様の例で容易に説明することができる。発泡ガラスの軽量特性のため、発泡ガラス要素の重量増加、ひいては、壁要素22の取り扱い特性は問題とはならない。
【0050】
図3(および図4)は、トンネル壁の底部に複合材料で作られたH形梁30を使用する例を図示している。壁要素22は、H形梁30の上部に挿入される。
【0051】
湾曲したトンネル外形は、互いに積み重ねられる隣り合うトンネル壁要素22間の角度を調節することにより本発明によるトンネル壁要素22でライニングすることができる。その角度は、トンネル外形の中心点からそれぞれのトンネル壁要素の隣り合う面を通過する線を引くことにより特定されてもよい。図4は、角度40が5°である例を図示している。
【0052】
図5に図示するように、交通信号機51および交通標識52のみならず、ケーブルブリッジ50のような他のトンネル要素もトンネルの天井部に取り付けることができる。
【0053】
図6は、例えばコンクリート21がトンネル壁要素22の裏側に適用される間にそれぞれのトンネル壁要素を装着するプロセスでトンネル壁要素をまとめて保持するために使用できる複合材料で作製されたボルト60を図示している。図では、円板61が1つのみ図示されているが、2つの円板61が使用される場合、ボルト60の板61は、例えばコンクリート21が適用されたときに2つの隣り合う壁要素22をまとめて保持することができる。第1の円板61は、第2の円板61が2つの隣り合うトンネル壁要素22の裏側に配置される一方で、2つの隣り合うトンネル壁要素22の表側に位置決めされるように配置される。ボルト要素60は、中空の状態で配置することができ、かつさらに、図5に図示するトンネルのトンネル壁または天井にケーブルブリッジ50および他のトンネル要素を取り付けるために使用されてもよい。さらに、例えば電気ケーブルをトンネル壁要素の裏側からトンネル壁要素の表側へ/トンネル壁要素の表側からトンネル壁要素の裏側へ配置するために、中空形状のボルト60が使用されてもよい。
【0054】
図6のボルト60が使用された場合、隣り合うトンネル壁要素22間に狭い開口が生じる。しかしながら、このような開口は、それぞれの狭い開口の断熱および防火を提供する封止要素を適用することにより閉鎖することができる。
【0055】
図7は、本発明による照明構成の例を図示している。光源は、例えば、壁要素の底部分に配置される。例えば、図3(および図4)に図示するH形梁30は、取り外し可能なカバーの後ろに光源70を収納するために使用することができる。また、そのようにトンネルの長さに沿って配置された複数の光源が存在してもよい。光源は、光源70から上方および側方に延びる複数の光ファイバ71と連絡する。それぞれの光ファイバの端部は、トンネル壁要素を貫通して配置され、それによりトンネルの内部に光を放射する。本発明の態様の例において、光ファイバ71は、本発明によるトンネル壁要素の場合に、発泡ガラス要素の本体に組み込まれてもよい。このように、それぞれの光ファイバ71はまた、水、火および氷形成から防護される。
【0056】
本発明は、ポリウレアで覆われた発泡ガラスの核を含む軽量トンネル壁要素を開示する。発泡ガラス核の形状は、ポリウレアが適用される前にトンネル壁の要件に容易にかつコスト効率良く適合させることができる。
【0057】
さらに、先行技術におけるコンクリートトンネル壁要素で必要なものとは対照的に、例えば、本発明によるトンネル壁要素内に鉄棒のような補強要素を必要としない。そのため、電気接地に関して起こり得る問題のみならず腐食の問題も回避される。
【0058】
本発明による壁トンネル要素の軽量特性は、取り扱いを簡素化し、かつ先行技術の重量のあるコンクリート壁要素の取り扱いと比較してより小型でかつより効果的な機械で取り扱うことができ、これにより、環境へのCO2の影響を低減する。
【0059】
発泡ガラスの絶縁特性により、絶縁性を提供する層の別個の設置を必要とする先行技術の解決策と比較して、壁要素を設置するときの工程が少なくなる。
【0060】
発泡ガラスの耐火性はまた、コンクリート壁要素に見られる耐火性よりもはるかに高いので、設置を簡素化する。コンクリート壁要素が例えば道路トンネル内での自動車火災による熱にさらされたときにひび割れする場合があることが知られている。先行技術のトンネルにおいて通常使用される断熱材料は、ある特定の条件下で発火することが知られている。
【0061】
発泡ガラスの固有の耐火性は、考慮すべき道路および鉄道トンネルの防火安全性を向上させる。
【0062】
さらに、本発明によるトンネル壁要素の発泡ガラス核のそれぞれの特性は、トンネル壁要素の表面積のそれぞれの最適化、壁要素の厚さの最適化、およびそれぞれの壁要素の輪郭形状の最適化を提供する特別仕様のトンネル壁要素を提供することを可能にする。トンネル壁の最適化の一部として、本発明によるそれぞれのトンネル壁要素は、同じトンネルに対して異なるサイズおよび輪郭形状で製造され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7