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特許7000425型高さ調節手段を有する型締めユニット及びその操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】型高さ調節手段を有する型締めユニット及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/64 20060101AFI20220112BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20220112BHJP
   B29C 33/22 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B29C45/64
B29C45/76
B29C33/22
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019520779
(86)(22)【出願日】2017-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2017076363
(87)【国際公開番号】W WO2018073179
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】102016119840.4
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510332006
【氏名又は名称】アールブルク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥフナー、エバーハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブレッシャー、ライナー
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-507499(JP,A)
【文献】国際公開第2006/003046(WO,A1)
【文献】特表2006-501079(JP,A)
【文献】特開昭63-026250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックおよびその他の可塑化可能な材料を加工するための射出成形機のための閉鎖方向(s-s)に測定される可変の高さ(a)を有する射出成形型(13)の型高さへの自動適合化ための装置を有する型締めユニットであって、
・定置型支持体(10)と、
・可動型支持体(11)と、
・閉鎖方向(s-s)において定置型支持体(10)に対し接近及び離隔する可動型支持体(11)の運動のための閉鎖装置と、
・閉鎖装置のための位置調節可能な端部支持要素(21)と、
・端部支持要素の運動による定置型支持体(10)と位置調節可能な端部支持要素(21)との間の距離(x)の調節のための型高さ調節手段(14)と、
・型高さ調節手段(14)の操作のための駆動装置(15)と、
・ロック要素(複数)の予締付により端部支持要素(21)をその都度のその位置において解除可能にロックするロック装置(16)と
を備え、
ロック装置は、閉鎖方向(s-s)における定置型支持体(10)に対し接近及び離隔する可動型支持体(11)の運動中に、予締付の解消によって解除可能であり、
ロック要素(複数)は、型高さ調節手段(14)をフリーにするアクティブな操作要素(26)によって、選択的に弛緩されるか又は予締付けされ、
射出成形機の運転時に端部支持要素(21)に作用する総和力を予締付無しの動的運転力として監視する手段が設けられること、及び、ロック装置のロック要素は、検出された総和力がゼロ以上である期間に、予締付の解消のために弛緩可能であること、
を特徴とする型締めユニット。
【請求項2】
ロック要素(複数)は、型締めユニットの運転時にアクティブに操作可能な操作要素(26)によって必要に応じて動的に弛緩可能であること、
を特徴とする請求項1に記載の型締めユニット。
【請求項3】
高さ調節手段(14)は、可動型支持体(11)の運動中に、前記距離(x)の調節のために操作可能であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の型締めユニット。
【請求項4】
型高さ調節手段(14)は、端部支持要素(21)のための案内要素(17)のネジ部分(17a)に螺合しかつ駆動装置(15)によって調節可能なナット(22、23)をロック要素として有すること、
を特徴とする請求項1~3の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項5】
型高さ調節手段(14)は複数のナット(22、23)をロック要素として有すること、及び、操作要素(26)は、同時に、該複数のナットを互いに作用結合させる少なくとも1つの結合手段であること、
を特徴とする請求項1~4の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項6】
少なくとも夫々2つのナット(22、23)は、ロック装置(16)の弾性部材(18)の作用の結果、締付固定可能であること、
を特徴とする請求項4又は5に記載の型締めユニット。
【請求項7】
前記複数のナット(22、23)は、少なくとも1つの結合手段によって互いに作用結合する締付プレート(25)及び端部支持要素(21)に係合すること、
を特徴とする請求項5又は6に記載の型締めユニット。
【請求項8】
前記ナット(22、23)は、前記ネジ部分(17a)に潤滑剤を提供するために潤滑剤貯蔵器と結合する接続ダクト(22a、23a)及び/又は溝(22b、23b)を有すること、
を特徴とする請求項4に記載の型締めユニット。
【請求項9】
操作要素(26)は、端部支持要素(21)において軸受支持されかつ弾性部材(18)の力に抗して操作可能なピストンシリンダユニットのピストン(26b)のためのピストンロッド(26a)によって構成されること、
を特徴とする請求項1~8の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項10】
ピストンシリンダユニットのシリンダ空間(26c)は端部支持要素の際に形成されること、及び、締付プレート(25)に軸受支持されたピストンロッド(26a)は同様に端部支持要素に軸受支持された弾性部材(18)を貫通すること、
を特徴とする請求項9に記載の型締めユニット。
【請求項11】
弾性部材(18)の予締付力は、射出成形型の開閉時に生成する動的な力よりも大きいこと、及び、操作要素(26)の力は、弾性部材(18)の予締付力よりも大きいこと、
を特徴とする請求項1~10の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項12】
プラスチックおよびその他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機において閉鎖方向(s-s)に測定される可変の高さ(a)を有する射出成形型(13)の型高さへの自動適合化ための方法であって、
・定置型支持体(10)と、
・可動型支持体(11)と、
・定置型支持体(10)に対し接近及び離隔する可動型支持体(11)の運動のための閉鎖装置(20)のための調節可能な端部支持要素(21)と、
・型高さ調節手段(14)のための駆動装置(15)と、
・ロック要素(複数)の予締付により端部支持要素(21)をその都度のその位置において解除可能にロックするロック装置(16)と
を備え、
該方法は、以下のステップ:
・射出成形機の運転時に閉鎖方向(s-s)における定置型支持体(10)に対し接近及び離隔する可動型支持体(11)の運動中に、ロック要素(複数)のアクティブな弛緩によって予締付を解消し、ロック要素(複数)をその都度のその位置から解放すること、
・型高さ調節手段(14)をフリーにすること、
・駆動装置(15)による端部支持要素(21)の運動により定置型支持体(10)と端部支持要素(21)との間の距離(x)を変更すること、
・予締付の適用によるロック装置(16)のロックによって型高さ調節手段(14)を固定すること、
を含み、
射出成形機の運転時に端部支持要素(21)に作用する総和力が予締付無しの動的運転力として監視されること、及び、ロック要素の予締付の解消は、検出された総和力がゼロ以上である期間に実行されること、
を特徴とする方法。
【請求項13】
高さ調節手段(14)は可動型支持体(11)の運動中に距離(x)の調節のために操作されること、
を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
総和力は、案内要素(17)におけるセンサ(19)による直接的な力測定として又は型締めユニットの駆動モータのモータトルク特性曲線から導き出される間接的な参照値(Fuehrungsgroesse)として求められること、
を特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2016年10月18日に提出されたドイツ特許出願第10 2016 119 840.4号を参照しかつその優先権を主張するものであり、該出願の開示内容全体もこの引用を以って完全に本願の対象をなすものとする。
【0002】
本発明は、請求項1の上位概念に応じた、型高さ調節手段を有する、プラスチックおよびその他の可塑化可能な物質を加工する射出成形機のための型締めユニット、及び、請求項12の上位概念に応じた、そのような型高さ調節手段の操作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
型高さ調節手段は、射出成形機において、とりわけ、射出成形機の開閉のためにトグルレバー式駆動装置(Kniehebelantrieb)が使用される場合に必要である。そのようなトグルレバー式駆動装置は、そのストローク位置が、型締め時に即ち射出成形型の部材(複数)の相互の当接時に、定置型支持体に対し相対的な可動型支持体の位置とほぼ一致する場合、最も効率的に作動する。しかしながら、この位置は、工具のいわゆる型高さに依存する。ここで、型高さ(Formhoehe)とは、型締め時に閉鎖方向において測定される可動型支持体と定置型支持体との間の距離として理解されるものである。
【0004】
型高さの調節装置は既知であり、これらは一方では予締付による遊び無しシステムとして構成されており、又は他方では遊び有りであるが、摩耗と騒音(衝撃音)が増大するという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】EP 1 487 626 B1
【文献】DE 198 12 741 A1
【文献】US 4,281,977 A
【文献】DE 28 12 301 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
型高さ調節装置を有する型締めユニットの遊び無しの1つのバリエーションは、請求項1の上位概念の背景をなすEP 1 487 626 B1(特許文献1)から知られている。この種の遊び無し型高さ調節は、遊び有りのものよりもより多くの手間を必要とする。なぜなら、型高さ調節を実行するためには、予締付は弛緩される(entlastet)必要があるからである。不利なことに、この型高さ調節の際、この弛緩(Entlastung)は、閉鎖ユニットの通常の作動領域の外部にある作動点においてしか可能ではない。このため、型締めユニットは、例えば、予締付要素(複数)の自動弛緩が行われる終端位置へ動かされる。この位置(状態)では、型高さ調節装置は少ない摩擦で位置転換(umpositioniert)されることができる。これによって、予締付の弛緩は、装置変換運転(Umruestbetrieb)の際に、例えば射出成形型の交換時に、工具高さの純粋な調節のために行われる。この変更された型高さの調節のためには、装置変換運転時においてのみ到達され得るが、通常の射出成形作業時には接近(angefahren)できない明確な解除(分離)位置(Loesestellung)に接近する必要がある。
【0007】
DE 198 12 741 A1(特許文献2)から、それ専用の閉鎖装置を有する型締めユニットが端部支持要素の位置を調節することができる型高さ調節手段が知られている。このために、可動型支持体にも端部支持要素にも、閉鎖装置のために夫々1つのロック装置が設けられる。製造プロセスの正常状態では、端部支持要素はロックされかつ可動型支持体は運動のためにフリーにされている、即ちロック解除されている。型高さの変更が望まれる場合、可動型支持体はロックされかつ端部支持要素はフリーにされるため、閉鎖装置の作動時には、端部支持要素の位置は変更されることができる。型高さ調節手段は負荷無し状態においてのみロック解除可能かつ位置調節可能である。このため、型高さ調節手段が「ロック解除」されかつ可動型支持体の位置決定を介してドライブトレイン(Antriebsstrang)によって移動可能であるためには、運転力(Betriebskraft)及び動的走行力(Fahrkraefte)は消滅される(ゼロ)必要がある。運転の実行中に弛緩を行うと、力成分が無制御的にフリーになり、システムに損傷が生じる。更に、この種の装置は、ある機械寸法以上では、端部支持要素を一様にかつ傾斜させることなくスライドさせるためには、最早適合的ではない。
【0008】
US 4,281,977 A(特許文献3)から、大抵は定置型支持体に固定されておりかつ可動支持体の案内に役立つタイバー(複数)(Holmen)に、ナット(複数)と螺合するネジ部分(複数)が設けられている型高さ調節手段が知られている。これらのナットは、別個の駆動装置によって型高さ調節のために駆動される。ナットはその外周部にリングギアを有するため、ナットはリングギアによって又は歯付ベルトによって操作されることができる。
【0009】
DE 28 12 301 A1(特許文献4)から、射出成形機のための工具締めユニットであって、該ユニットにおいてロックナット(複数)に相応の潤滑剤チャネルを介して潤滑剤が供給されるものが知られている。
【0010】
本発明の課題は、これらから出発し、動的な(ダイナミックな)操作を可能にする型高さ調節手段を有する型締めユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1の特徴を有する型締めユニット及び請求項12の特徴を有する方法によって解決される。
本発明の第1の視点により、プラスチックおよびその他の可塑化可能な材料を加工するための射出成形機のための閉鎖方向に測定される可変の高さを有する射出成形型の型高さへの自動適合化のための装置を有する型締めユニットが提供される。該型締めユニットは、
・定置型支持体と、
・可動型支持体と、
・閉鎖方向において定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動のための閉鎖装置と、
・閉鎖装置のための位置調節可能な端部支持要素と、
・端部支持要素の運動による定置型支持体と位置調節可能な端部支持要素との間の距離の調節のための型高さ調節手段と、
・型高さ調節手段の操作のための駆動装置と、
・ロック要素(複数)の予締付により端部支持要素をその都度のその位置において解除可能にロックするロック装置と
を備え、
ロック装置は、閉鎖方向における定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動中に、予締付の解消によって解除可能であり、
ロック要素(複数)は、型高さ調節手段をフリーにするアクティブな操作要素によって、選択的に弛緩されるか又は予締付けされ、
射出成形機の運転時に端部支持要素に作用する総和力を予締付無しの動的運転力として監視する手段が設けられること、及び、ロック装置のロック要素は、検出された総和力がゼロ以上である期間に、予締付の解消のために弛緩可能であること
を特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、プラスチックおよびその他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機において閉鎖方向に測定される可変の高さを有する射出成形型の型高さへの自動適合化のための方法が提供される。該方法においては、
・定置型支持体と、
・可動型支持体と、
・定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動のための閉鎖装置のための調節可能な端部支持要素と、
・型高さ調節手段のための駆動装置と、
・ロック要素(複数)の予締付により端部支持要素をその都度のその位置において解除可能にロックするロック装置と
を備え、
該方法は、以下のステップ:
・射出成形機の運転時に閉鎖方向における定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動中に、ロック要素(複数)のアクティブな弛緩によって予締付を解消し、ロック要素(複数)をその都度のその位置から解放すること、
・型高さ調節手段をフリーにすること、
・駆動装置による端部支持要素の運動により定置型支持体と端部支持要素との間の距離を変更すること、
・予締付の適用によるロック装置のロックによって型高さ調節手段を固定すること、
を含み、
射出成形機の運転時に端部支持要素に作用する総和力が予締付無しの動的運転力として監視されること、及び、ロック要素の予締付の解消は、検出された総和力がゼロ以上である期間に実行されること、
を特徴とする(形態12)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の型締めユニットにおいて、ロック要素(複数)は、型締めユニットの運転時にアクティブに操作可能な操作要素によって必要に応じて動的に弛緩可能であることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の型締めユニットにおいて、型高さ調節手段は、可動型支持体の運動中に、前記距離の調節のために操作可能であることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの型締めユニットにおいて、型高さ調節手段は、端部支持要素のための案内要素のネジ部分に螺合しかつ駆動装置によって調節可能なナットをロック要素として有することが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの型締めユニットにおいて、型高さ調節手段は複数のナットをロック要素として有すること、及び、操作要素は、同時に、該複数のナットを互いに作用結合させる少なくとも1つの結合手段であることが好ましい。
(形態6)形態4又は5の型締めユニットにおいて、少なくとも夫々2つのナットは、ロック装置の弾性部材の作用の結果、締付固定可能であることが好ましい。
(形態7)形態5又は6の型締めユニットにおいて、前記複数のナットは、少なくとも1つの結合手段によって互いに作用結合する締付プレート及び端部支持要素に係合することが好ましい。
(形態8)形態4~7の何れかの型締めユニットにおいて、前記ナットは、前記ネジ部分に潤滑剤を提供するために潤滑剤貯蔵器と結合する接続ダクト及び/又は溝を有することが好ましい。
(形態9)形態1~8の何れかの型締めユニットにおいて、操作要素は、端部支持要素において軸受支持されかつ弾性部材の力に抗して操作可能なピストンシリンダユニットのピストンのためのピストンロッドによって構成されることが好ましい。
(形態10)形態9の型締めユニットにおいて、ピストンシリンダユニットのシリンダ空間は端部支持要素の際に形成されること、及び、締付プレートに軸受支持されたピストンロッドは同様に端部支持要素に軸受支持された弾性部材を貫通することが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの型締めユニットにおいて、弾性部材の予締付力は、射出成形型の開閉時に生成する動的な力よりも大きいこと、及び、操作要素の力は、弾性部材の予締付力よりも大きいことが好ましい。
(形態12)上記本発明の第2の視点参照。
(形態13)形態12の方法において、型高さ調節手段は可動型支持体の運動中に距離の調節のために操作されることが好ましい。
(形態14)形態12又は13の方法において、総和力は、案内要素におけるセンサによる直接的な力測定として又は型締めユニットの駆動モータのモータトルク特性曲線から導き出される間接的な参照値(Fuehrungsgroesse)として求められることが好ましい。
有利な発展形態は従属請求項の対象である。
なお、特許請求の範囲において個別に記載されている特徴は、技術的に有意義な態様で相互に組み合わせることが可能であり、また、明細書において説明されている事項および図面に示されている詳細によって補うことができ、本発明のさらなる実施形態のバリエーションが示される。
また、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【0013】
型締めユニットは、定置(固定)型支持体と、可動(移動)型支持体と、閉鎖方向に沿って定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動のための閉鎖装置とを有する。閉鎖装置のために、更に、位置調節可能な端部支持要素(Abstuetzelement)が設けられている。型高さ調節手段によって、定置型支持体と位置調節可能な端部支持要素との間の距離は、端部支持要素の運動により調節されることができる。このために、型高さ調節手段の操作のための駆動装置が設けられている。端部支持要素は、その都度の位置において、ロック要素(複数)の予締付(Vorspannung)に基づき、ロック装置によって解除可能にロックされることができる。ロック要素(複数)は、本発明に応じ、予締付を解消(Aufhebung)した状態で型高さ調節手段をフリーにする(解放する:Freisetzung)アクティブな操作要素によって、選択的に弛緩されるか(entlastet)又は予締付けされ(vorgespannt)、従って、必要に応じて弛緩されることができる。
【0014】
アクティブな操作は、ロック要素(複数)を従って型高さ調節手段を必要に応じて動的に(ダイナミックに)、有利にはアクティブに操作可能な操作要素(複数)によって、緩める(弛緩する)ことないしは操作することを利用者に可能にする、即ち、射出成形型の開閉時における閉鎖ユニットの本来的な運動経過中でさえも、型高さの調節又は補正を行うことができる。従って、適切なセンサ技術との協働により、任意の時点において両方の型支持体の精細な平行度に対し、従ってそのようにして製造される射出成形品の品質に対し影響を及ぼすことができる。このため、予締付力(Vorspannkraft)の迅速な緩和(解除)によって、アクティブな閉鎖力(型締力)制御が可能になる。
【0015】
ナットのようなロック要素(複数)は運転時に予締め付けされることができるため、型支持体のための案内要素としてのタイバーないし支柱とそれに割り当てられたナットとの間のネジの遊び(隙間:Gewindespiel)もより大きくすることができる。というのは、そのため、遊びは、クラック騒音源(Klack-Geraeusch)としても摩耗促進源としても不利に作用しないからである。かくして、同時に、射出成形機の組立は容易になり、製造コストは削減される。運転中でさえも、ダイナミクス(Dynamik)及び閉鎖力に起因するネジにおけるナットの常時的なフランク変化(Flankenwechsel)は起きない。というのは、それに対して目標を定めて影響を及ぼすことができるからである。
【0016】
有利には、ロック装置は、閉鎖方向における定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動中に、予締付の解消によって解除されることができる。代替的に又は同時に、型高さ調節手段は、可動型支持体の運動中に、端部支持要素と(定置)型支持体との間の距離の調節のために操作可能である。かくして、個別的にサイクル的に変動するフレーム条件に対して、(ある1つの)サイクル中でさえも、対応することができる。
【0017】
型高さ調節手段は、有利には、端部支持要素として構成される調節プレートの際(きわ)に配設される。この調節プレートは、端部支持要素に対して位置調節可能な別個のプレートであり得るが、端部支持要素と一体的に構成されることも可能である。端部支持要素を備えるこの種の型高さ調節手段は2枚プレートシステムでも同様に使用可能である。なお、2枚プレートシステムでは、型高さ調節手段は両方の型支持体の一方に軸受支持されるように構成可能である。
【0018】
有利には、型高さ調節手段は、端部支持要素のための案内要素のネジ部分に螺合(係合)しかつ型高さ調節手段の駆動装置によって(位置)調節可能なナットをロック要素として有する。かくして、射出成形機のロック要素と案内ロッド(タイバー)ないし案内支柱との間の、簡単かつコスト面で好都合な、更には多くの射出成形機においても既に使用されている信頼性の高い結合が得られる。
【0019】
有利には、型高さ調節手段のために、ナットは、同時に、ロック要素として使用され、更には、ロック要素を弛緩する(緩める)ことが可能な操作要素は、同時に、ナット(複数)を互いに作用結合(Wirkverbindung)させる結合手段である。かくして、同一のコンポーネントによって、多重的な作用(機能)が得られるが、このことは、型締めユニットの好都合かつ効果的な製造に貢献する。
【0020】
弾性部材(ないし手段)の作用下で、有利には、各案内要素に少なくとも夫々2つのナットが設けられ、これらのナットは、弾性部材の作用の結果、(止めナット式に)互いに対し締付固定(ロック)可能(konterbar)である。かくして、案内ロッドのネジ部分における遊びの無いロックが形成され、該ロックは操作要素によって常時(何時でも)再び容易に解消(解除)されることができる。
【0021】
ナット(複数)は、有利には、締付プレート及び端部支持要素に係合する。これらの締付プレートと端部支持要素は、少なくとも1つの結合手段を介して互いに結合しており、ロック装置の操作時、それら自身の間にあるナット(複数)の付加的な締め付け及び保護(確保)を行う。かくして、信頼性が高くかつ安全なロックが得られる。
【0022】
型高さ調節手段を十分に潤滑するために、多段階的な潤滑コンセプトが利用される。有利には、ナット(複数)は、ネジ部分に潤滑剤を提供するために潤滑剤貯蔵器と結合(接続)する接続ダクト及び/又は溝を有する。潤滑は、有利には、対向軸受プレート(Gegenlagerplatte)の定置(固定)的通路を介して行われる。この通路を介して、潤滑剤貯蔵器は直接的に両ナットを充填する。接続ダクト及び周溝を介して、両ナットのネジコンタクト部分における潤滑媒体の適切な分配(分布)が保証される。
【0023】
有利には、操作要素は、ピストンシリンダユニットのピストンロッドによって構成される。ピストンロッドは、端部支持要素において軸受支持されかつ弾性部材の力に抗して操作可能なピストンに結合されている。原理的には、弾性部材の力を必要に応じて解消(相殺)することができる他の往復運動要素も可能である。例えば、空気圧式(ニューマチック)又は電気機械式要素が考えられる。
【0024】
ピストンシリンダユニットのシリンダ空間は端部支持要素の際(きわ)に形成(配置)され、及び、締付プレートに軸受支持されたピストンロッドは同様に端部支持要素に軸受支持された弾性部材を貫通する(durchgreift)。かくして、弾性部材の力に抗して軸受支持されるピストンシリンダユニットについてコンパクトな構造が得られる。同時に、該ユニットは、端部支持要素に高い信頼性を以って軸受支持される。
【0025】
有利には、弾性部材の予締付力が射出成形型の開閉時における従って射出成形機の運転時における動的な(ダイナミックな)力よりも大きい場合、及び、操作要素自身の力が弾性部材のこの予締付力よりも大きい場合、複数の力の適切な調整(適合化ないし調和)がもたらされる。このことが考慮されると、遊びの無い運転状態を位置調節(Verstellung)無しで達成することができる。プロセスを原因として、型高さの修正が必要になると直ちに、操作要素(ピストン)によって、規定された(所定の)領域における予締付を解消(緩和)することができるが、このことは、摩耗の少ない位置調節のための技術的基盤を与える。これに対し、運転力に等しいか又はより小さい予締付力が選択されると、見苦しいクラック(ひび割れ)効果(Klack-Effekt)が生じ得る。なぜなら、負荷変更時に異なるネジフランクが負荷され、これによって摩耗が大きくなるからである。過度に大きな予締付が選択されかつ位置調節プロセスのために全く又は完全には「弛緩(解放)され」ないと、位置調節プロセスは摩耗を伴い、その結果、システムは短時間の後には破壊される(使用不能になる)。
【0026】
本発明に応じ、上記の課題は請求項12の特徴を有する方法によっても解決される。該方法において、射出成形機には、定置(固定)型支持体と、可動(移動)型支持体と、閉鎖装置のための少なくとも1つの位置調節可能な端部支持要素と、(動力)駆動式の型高さ調節手段と、ロック装置とが設けられている。本方法は以下の工程を有する:ロック要素(複数)のアクティブな弛緩(Entlasten)によって予締付を解消し(Aufheben)、ロック要素(複数)をその都度のその位置から解放(Loesen)すること;型高さ調節手段をフリーにする(Freisetzen)こと;駆動装置による端部支持要素の運動により定置型支持体と端部支持要素との間の距離を変更すること;予締付の新たな適用によるロック装置のロックによって型高さ調節手段を固定すること。この方法によって、何時でも動的に(ダイナミックに)アクティブに型高さ調節手段を操作することができる。これにより、とりわけ、アクティブな閉鎖力(型締力)制御が可能になる。更に、ガイド(案内要素)とナットとの間のネジの遊び(ギャップ)をより大きくすることができる。
【0027】
有利には一形態では、ロック装置は閉鎖方向における可動型支持体の運動中にロック解除(アンロック)され、及び/又は、型高さ調節手段は可動型支持体の運動中に距離の調節のために操作される。これは、型高さ調節手段のロック解除は常時(何時でも)可能であり、それによってアクティブに更には短期間に生成する、運動又は閉鎖力の目標推移からのずれに対抗作用する(打ち消すないし抑制する)ことができる。従って、利用者ないし機械制御装置は、射出サイクルに対し、その都度の射出サイクル中でさえも、大きなダイナミクス(Dynamik)で影響を及ぼすことができる。
【0028】
有利には、射出成形機の運転時に、端部支持要素に作用する動的運転力及び総和力(合力:Summenkraft)が検出され、監視される(モニターされる)。かくして、検出された総和力がゼロ以上である期間にロック要素の弛緩が行われることを保証することができる。かくして、型締めユニットの開閉運動中に、総和力特性曲線を介して、ナットネジにおける負荷変更(交換)無しに摩耗及び騒音の少ない位置調節が可能である領域を同定(特定)することができる。
【0029】
更なる利点は、従属請求項及び好ましい実施例についての以下の説明から明らかになる。
【0030】
以下において、本発明は実施例に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の型高さ調節手段の一例を有する、射出成形機のための型締めユニットの一例の斜視側面図。
図2図1に示した射出成形機の端部支持要素の領域の部分の拡大図。
図3】ロック装置の領域にある図2の部分の拡大図。
図4図3のロック装置の矢視IV-IV断面図。
図5図3のロック装置の矢視V-V断面図。
図6】1つの射出サイクルについて時間に対して示した閉鎖ユニットの軸方向における調節プレートに対する動的運転力のグラフの一例。
【実施例
【0032】
本発明は今や例示的に添付の図面を参照して詳細に説明される。尤も、実施例は単なる例に過ぎず、本発明のコンセプトを特定の配置構成に限定することを意図したものではない。本発明を詳細に説明する前に、本発明は本装置の各構成部材および各方法工程に限定されるものではないことを言及しておく。何故ならば、これらの構成部材および方法工程は変更可能であるからである。ここで使用する概念は、特別な実施形態の説明のためにのみ規定されているのであって、限定的に使用されるものではない。さらに、明細書または特許請求の範囲において、単数形または不定冠詞が使用される場合、これらは、その意であることが全体の文脈から一義的に明らかである場合を除き、これらの要素の複数形をも意味するものとする。
【0033】
図1は、プラスチック及び粉状又はセラミック物質のような他の可塑性物質の加工のために使用可能なプラスチック用射出成形機のための型締めユニットの一例を斜視側面図で示す。機械基台12上には、定置型支持体10と可動型支持体11とを有する型締めユニットが配置されている。これらの型支持体の間の型締め空間Rには、夫々異なる型高さを有することもある射出成形型13を配置することができる。型全体の型高さは、寸法aとaの和から得られる寸法である。この和は、同時に、射出成形型が締め付けられている際の、閉鎖方向s-sにおけるこれらの型支持体間の最小の距離(間隔)に相当する。可動型支持体11は、この実施例ではトグルレバー機構によって形成されている閉鎖装置20によって操作されるが、原理的には、他の任意の駆動ユニットが何れも同様に使用可能である。閉鎖装置20として既述の液圧式又は空気圧式のピストン・シリンダユニットの代わりに、例えば、電気機械式駆動装置又はリニア駆動装置又はその他の駆動装置も同様に設けることができる。
【0034】
実施例では、案内ロッド(タイバー)(複数)として、定置型支持体に軸受支持されている案内要素(複数)17が設けられている。この種の案内ロッドは支柱(Saeulen)と称されることもある。これらは、実施例では、可動型支持体11のために、以下に説明するそれらの運動の際の案内のために端部支持要素(Abstuetzelement)21としても役立つ。尤も、原理的には、以下に説明する型高さ調節手段は、定置型支持体10と可動型支持体11とが型締め空間Rの周囲に配される力伝達要素、例えば1又は2以上の湾曲部材(ないしフレーム:Buegel)を介して互いに結合されるタイバーレスタイプの射出成形機においても使用可能である。
【0035】
調節可能な端部支持要素21は、可動型支持体11へ向かう方向において、可動型支持体11を操作する閉鎖装置20を支持する。端部支持要素21には、端部支持要素の運動によって、定置型支持体10と位置調節可能な端部支持要素21との間の距離xを調節するための型高さ調節手段14が配されている。型高さ調節手段14は、図2に示された駆動装置15によって操作可能である。この駆動装置については、図2では、閉鎖方向に向かって中央にある駆動(主動)歯車31を外側から駆動する駆動ギアのみが示されている。その外周部の歯列によって、この駆動歯車31は、以下において更に詳細に説明する被駆動(従動)歯車(複数)32とも作用結合(即ち噛合:Wirkverbindung)する。図2に示されるように、実施例では図3図5のナット22、23によって形成されているロック要素(複数)の予締付によりそのその都度の位置において端部支持要素21を解除可能にロックするためのロック装置16が設けられている。
【0036】
ロック要素は、当該ロック要素の予締付の解消(解除:Aufhebung)した状態で型高さ調節手段14をフリーにする型高さ調節手段14のアクティブな(aktiv)操作要素26によって、実施例の場合以下に更に詳細に説明される往復運動要素(Hubelemente)によって弛緩可能である。アクティブな操作は、型高さ調節手段14が常時的に(何時でも)操作可能であることを可能にする。これによって、ロック装置16は、閉鎖方向s-sにおいて定置型支持体10に対し接近及び離隔する可動型支持体11の運動中にも、予締付の解消によって、解除されることができる。代替的に又は同時に、型高さ調節手段14は、可動型支持体11の運動中に、距離xの調節のために操作可能でもある。このため、例えば温度条件が変化するとき又は例えばトグルレバー機構を有する型締めユニットの場合にトグルレバーの所望のストローク位置を達成できないとき、利用者は、動的に(ダイナミックに)即ち閉鎖ユニットの運動進行中にも、型高さ調節ないし補正を実行することができる。
【0037】
型高さ調節手段14は、実施例では、3枚プレート式閉鎖ユニットの際(きわ)に記載されている、即ち、定置型支持体10及び可動型支持体11に加えて、閉鎖装置20のための端部支持要素21が設けられている。尤も、本装置は、例えば2枚プレート式閉鎖ユニット又はタイバーレス閉鎖ユニットのような他の閉鎖コンセプトの場合でも同様に使用されることができる。2枚プレート式閉鎖ユニットの場合、型高さ調節手段は、大抵は、両方の型支持体の一方に、とりわけ定置型支持体10に配されている(割り当てられている)。タイバーレス閉鎖ユニットの場合、型締め空間Rは、通常、両方の型支持体間に力伝達要素がない。なぜなら、その代わりに、湾曲状(buegelartig)要素(複数)が力伝達要素(複数)として型締め空間Rの周囲に案内されるからである。型締め空間には、閉鎖方向s-sにおいて測定される可変の高さaを有する射出成形型(複数)13が収容されることがあり得るが、そのため、場合によっては、型高さも型高さ調節手段14によって適合化される必要がある。型高さ調節手段14は端部支持要素21として構成された調節プレートに配されている、即ち、端部支持要素は閉鎖方向s-sにおいて位置調節可能でありかつそれによって運動する。
【0038】
図4及び図5では、ロック要素(複数)は、端部支持要素21のための案内要素17即ちタイバーないし支柱のネジ部分17aに係合(噛合)しかつ駆動装置15によって(位置)調節可能なナット22、23によって構成されている。操作要素26は、同時に、ナット22、23を作用結合させる少なくとも1つの結合手段である。これらの少なくとも2つのナット22、23は、図5の実施例では皿ばね積重体によって構成されている弾性部材18の作用結合の結果として(止めナット式に)締付固定(ロック)可能である(konterbar)、即ち運転時に予締め付けされる。予締め付け位置では、ナット22とナット23との間には、最小のギャップが存在する、即ち、これらのナットはネジ部分17aのネジに適合され、以って、夫々の位置において固定される。これにより、調節プレートないし端部支持要素21にナット22が支持されているため、端部支持要素も固定される。案内要素17のネジ部分17aには、まず、ナット22が噛合するが、ナット22は被駆動歯車32によって駆動される。図2及び図3では、各案内要素17は夫々1つのそのような被駆動歯車32を有するが、被駆動歯車32は図4及び図5では固定手段を介してナット22に固定されているか又はナット22と一体的に構成されている。被駆動歯車(複数)32は図2では中央の駆動歯車31によって駆動される。より大型の閉鎖ユニットの場合、駆動歯車31は垂直(鉛直)方向の(軸受)支持手段によって重力補償されて伝動機構において軸受支持される。駆動歯車31それ自体は駆動装置15を介して駆動されるが、この駆動装置は有利には位置制御可能であり、サーボ電気的に(servoelektrisch)又は液圧的に構成されることができる。
【0039】
同じネジに第2のナット23が作用するが、該ナット23は弾性部材18によってナット23に対してナット22を(止めナット式に)締付固定(ロック)する。この締付固定(Konterung)の形成によって、ネジ部分17a上のネジのための許容差(公差)の組み合わせ(Toleranzpaarung)を摩耗が最小化されるよう構成すること又は寸法設定の際により大きな許容差を可能にすることができる。
【0040】
ナット22、23は締付プレート25と端部支持要素21とに係合(当接)し、両者は少なくとも1つの結合手段従って操作要素26を介して互いに作用結合する。操作要素26は実施例では液圧式ピストン・シリンダユニットとして構成されている。尤も、操作要素は空気圧式(ニューマチック)又は電気機械式要素としても構成可能である。操作要素26は、図5では、端部支持要素21に軸受支持されかつ弾性部材18の力に抗して操作可能なピストン26bのためのピストンロッド26aを有する。端部支持要素21の際(きわ)に形成されるシリンダ空間26cへの液圧媒体の供給によって、ピストン26bは図5の紙面左側へ運動することができる。これによって、弾性部材18は圧縮され、ピストン・シリンダユニットのピストンロッド26aに固定されている締付プレート25も同様に図5の紙面左側に更に移動する。このため、ナット22とナット23との間に遊び(隙間)が生じる、即ち、締付固定(ロック)が解消される(解除される:aufgehoben)。ここで駆動装置15を介して駆動歯車31が操作されると、被駆動歯車32は、従ってナット22、23は回転することができる。この結果、端部支持要素21の位置調節が行われる。ピストン・シリンダユニットのシリンダ空間26cは端部支持要素21の際(きわ)に形成されており、締付プレート25に軸受支持されたピストンロッド26aは実施例では同様に端部支持要素に軸受支持された弾性部材を貫通する(durchgreifet)。型高さ調節手段14の操作の前に、予締付が実際に解消(解除)されたか否かについて、センサ(複数)27によって検査される。
【0041】
有利には、弾性部材18の予締付力は射出成形型13の開閉時に生じる力よりもより大きく、そのため、端部支持要素21はその都度のその位置に確実に(高信頼性を以って)固定されることができる。他方、操作要素26の力は弾性部材18の予締付力よりも、この予締付を必要に応じて解除できるようにするために、より大きい。このことが考慮される場合、遊び無し運転状態は位置調節なしで達成することができる。プロセスに起因して型高さの修正が必要になると直ちに、操作要素26(ピストン)によって、規定された領域における予締付を解除することができるが、このことは、摩耗の少ない位置調節のための技術的基盤を与える。これに対し運転力(Betriebskraft)と同じか又はより小さい予締付力が選択される場合、見苦しいクラック(ひび割れ)効果(Klack-Effekt)が生じ得る。というのは、負荷変更時に異なるネジ山フランクが負荷を受け、その結果、摩耗が大きくなるからである。過度に大きな予締付(力)が選択されかつ位置調節のために全く又は完全には「弛緩(解放)され」ないと、摩耗を伴う位置調節プロセスが生じ、短時間の後にはシステムは破壊される(使用不能になる)。
【0042】
実施例では、図5のように、操作要素26は、弾性部材18の弛緩(解放:Entlastung)を引き起こすために、案内要素17の中心軸に対し直径方向に離隔して配されたピストン・シリンダユニットの2つのピストンロッド26aによって構成される。代替的に、対向軸受(Gegenlager)を備えた操作要素を1つのみ設けることも可能であり、或いは、力の対称性のために必要であれば、3つ以上の操作要素を設けることも可能である。有利に使用されるセンサ(複数)27を介して、往復運動(Hubbewegung)は、当該往復運動のその都度の終端位置が達成されているか否かについて、監視されることができる。この監視は、有利には、ネジの損傷を回避するために、各操作要素について行うことができる。
【0043】
個々の案内要素における力分布の精細調整(微調整)は、図示されていない案内要素17の反対側で行われる。この対向軸受には、手操作で調節可能な中空ナット(Hohlmutter)が調整要素として作用する。この調整可能性の目的は、定置型支持体と可動型支持体の相互間の平行度を調整すること及び案内要素における対称的な力分布を達成することである。
【0044】
ネジ(複数)と歯車(複数)における個々のコンタクト部位の潤滑は多段階式の潤滑コンセプトによって行われる。ロッド(タイバー)ネジの潤滑は位置調節されるべき対向軸受プレートにおける定置的通路(Zugang)を介して行われる。この通路を介して、貯留潤滑剤(Schmierstoffreservat)は直接的に両ナットに充填される。接続ダクト22a、23a及び周溝(周方向に延在する溝)22b、23bを介して、ネジコンタクト部22、23における潤滑媒体の適切な分布(分配)が保証される。駆動歯車31の噛合領域は、最深点(最低点)にある潤滑剤サンプ(溜め)33内でのサンプ式潤滑によって潤滑媒体が適用される。駆動歯車31の回転によって、潤滑剤は駆動歯車31と被駆動歯車32との間のコンタクト部位に供給される。各潤滑部位は、中央潤滑部29及び図1では利用者が良好にアクセス可能な中央位置において外方に向かって配置されている潤滑剤分配器35から出発する専用の供給管30によって供給される。
【0045】
機械は、本方法に応じ、以下のように作動する:
本方法を実行するために、定置型支持体10に対し接近及び離隔する可動型支持体11の運動のための閉鎖装置20のための位置調節可能な端部支持要素が設けられている。駆動装置15によって駆動可能な型高さ調節手段14は型高さの調節のために使用される。ロック装置は、ロック要素(複数)即ちナット22、23の予締付により、端部支持要素21をその都度のその位置において解除可能にロックする。本方法に応じ、まず、予締付は、ロック要素(複数)のアクティブな弛緩(解放:Entlasten)によって解消(解除)される(aufgehoben)。それによって、ロック要素(複数)はその都度のその位置から解放され、同時に、型高さ調節手段14はフリーにされる。型高さ調節手段がフリーであれば、その操作によって、端部支持要素21はその都度のその位置から移動することができるが、これは、定置型支持体10と端部支持要素21との間の距離xの変化を引き起こす。位置の変化が達成されると、型高さ調節手段14は、ロック装置16のロックにより予締付が形成されることによって、再び固定されることができる。ロック要素のアクティブな操作即ち弛緩(解放)は常時(何時でも)可能であるため、ロック装置は有利には閉鎖方向s-sにおける可動型支持体11の運動中にもロック解除されることが可能であり、及び/又は、型高さ調節手段14は距離xの調節のための可動型支持体11の運動中に操作されることが可能である。このため、アクティブな閉鎖力(型締力)制御が可能になる。
【0046】
端部支持要素21に対する動的な(ダイナミックな)運転力は、補足的に、棒状センサ(Holmsensor)のようなセンサ19(図1)によって監視(モニター)されることができる。その目的は、可動型支持体11の開閉運動中において、総和力が予締付無しの動的運転力として常に正の領域にある即ちゼロ以上である領域を総和力特性曲線を介して同定(特定)することである。図6は、複数の動的運転力を含む線図の一例を示す。このために、予締付力の無い運転力が求められる(検出される)。技術的観点からすれば、調節プレートに対する総和力(合力)は「ゼロ」である必要がある。なぜなら、そうでなければ、作用イコール反作用(Actio gleich Reactio)という意味での部材に対する運動が存在することになってしまうからである。
【0047】
図6では、ゼロ以上の領域は2つの点A、Bによって特徴付けられている。この領域の内部では、ナットネジにおける負荷変更(交換)無しに摩耗及び騒音の少ない位置調節が可能である。案内要素17における負荷(Belastungen)は総和力で表される。型高さ調節手段14の操作は、可動型支持体11の後側終端位置における制動プロセスのほぼ初めから最大で該後側終端位置からの加速フェーズの終了まで続く領域において行うことが望ましいであろう。この時間(期間)において、一貫して、正の総和力が案内要素17に作用し、型高さaの調節は運動ネジにおける負荷変更(交換)無しに行うことができる。
【0048】
総和力の検出は2つのルートを介して行うことができる。
1.図1のセンサ(複数)19によって、案内要素17において動的な運動変化に基づいて引き起こされる力を直接的に測定する。この測定結果に基づいて、総和力がゼロ以上である期間Cにおいて定義される位置調節を設定することができる。この場合、4つのセンサ19は、タイバー最大力(閉鎖力)についても運動に基づいて引き起こされる部材中の力変化についても可及的に適切に評価するために、夫々異なる感度を有することができる。図6は、紙面上側の線図において、型締めプロセスの時間tに対してプロットした、可動型支持体11の速度v、可動型支持体11の経路s及び案内要素17における力Fを示す。夫々点A及びBに対応する可動型支持体11の最大速度と最小速度の間では、期間Cのための正の領域の力領域が生じることが分かる。
2.案内要素17における力変化は、型締めユニットの駆動装置のモータトルク及びモータ回転数を介して間接的に求める(計算する)ことができる。動的運動の領域においては、図6の紙面下側の線図に示した(符号に関する)モータトルク曲線は、案内要素17における実際の力曲線Fとほぼ同じである。同図では、型締めプロセスの時間tについて、可動型支持体11の速度v、可動型支持体11の経路s及びモータのトルクMがプロットされている。この場合も、点Aと点Bとの間に、期間Cが生じる。
【0049】
ここに、本発明の可能な形態を付記する。
[付記1]プラスチックおよびその他の可塑化可能な材料を加工するための射出成形機のための閉鎖方向に測定される可変の高さを有する射出成形型の型高さへの自動適合化のための装置を有する型締めユニット。該型締めユニットは、
・定置型支持体と、
・可動型支持体と、
・閉鎖方向において定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動のための閉鎖装置と、
・閉鎖装置のための位置調節可能な端部支持要素と、
・端部支持要素の運動による定置型支持体と位置調節可能な端部支持要素との間の距離の調節のための型高さ調節手段と、
・型高さ調節手段の操作のための駆動装置と、
・ロック要素(複数)の予締付により端部支持要素をその都度のその位置において解除可能にロックするロック装置と
を備える。
ロック要素(複数)は、予締付を解消した状態で型高さ調節手段をフリーにするアクティブな操作要素によって、選択的に弛緩されるか又は予締付けされる。
[付記2]上記の型締めユニットにおいて、ロック要素(複数)は、型締めユニットの運転時にアクティブに操作可能な操作要素によって必要に応じて動的に弛緩可能である。
[付記3]上記の型締めユニットにおいて、ロック装置は、閉鎖方向における定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動中に、予締付の解消によって解除可能であり、及び/又は、型高さ調節手段は、可動型支持体の運動中に、前記距離の調節のために操作可能である。
[付記4]上記の型締めユニットにおいて、型高さ調節手段は、端部支持要素のための案内要素のネジ部分に螺合しかつ駆動装置によって調節可能なナットをロック要素として有する。
[付記5]上記の型締めユニットにおいて、型高さ調節手段は複数のナットをロック要素として有し、及び、操作要素は、同時に、該複数のナットを互いに作用結合させる少なくとも1つの結合手段である。
[付記6]上記の型締めユニットにおいて、少なくとも夫々2つのナットは、ロック装置の弾性部材の作用の結果、締付固定可能である。
[付記7]上記の型締めユニットにおいて、前記複数のナットは、少なくとも1つの結合手段によって互いに作用結合する締付プレート及び端部支持要素に係合する。
[付記8]上記の型締めユニットにおいて、前記ナットは、前記ネジ部分に潤滑剤を提供するために潤滑剤貯蔵器と結合する接続ダクト及び/又は溝を有する。
[付記9]上記の型締めユニットにおいて、操作要素は、端部支持要素において軸受支持されかつ弾性部材の力に抗して操作可能なピストンシリンダユニットのピストンのためのピストンロッドによって構成される。
[付記10]上記の型締めユニットにおいて、ピストンシリンダユニットのシリンダ空間端部支持要素の際に形成され、及び、締付プレートに軸受支持されたピストンロッドは同様に端部支持要素に軸受支持された弾性部材を貫通する。
[付記11]上記の型締めユニットにおいて、弾性部材の予締付力は、射出成形型の開閉時に生成する動的な力よりも大きく、及び、操作要素の力は、弾性部材の予締付力よりも大きい。
[付記12]プラスチックおよびその他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機において閉鎖方向に測定される可変の高さを有する射出成形型の型高さへの自動適合化のための方法。
・定置型支持体と、
・可動型支持体と、
・定置型支持体に対し接近及び離隔する可動型支持体の運動のための閉鎖装置のための調節可能な端部支持要素と、
・型高さ調節手段のための駆動装置と、
・ロック要素(複数)の予締付により端部支持要素をその都度のその位置において解除可能にロックするロック装置と
を備える。
該方法は、以下のステップ:
・ロック要素(複数)のアクティブな弛緩によって予締付を解消し、ロック要素(複数)をその都度のその位置から解放すること、
・型高さ調節手段をフリーにすること、
・駆動装置による端部支持要素の運動により定置型支持体と端部支持要素との間の距離を変更すること、
・予締付の適用によるロック装置のロックによって型高さ調節手段を固定すること、
を含む。
[付記13]上記の方法において、ロック装置は閉鎖方向における可動型支持体の運動中にロック解除されること、及び/又は、型高さ調節手段は可動型支持体の運動中に距離の調節のために操作される。
[付記14]上記の方法において、射出成形機の運転時に端部支持要素に作用する総和力が監視され、及び、ロック要素の予締付の解消は、検出された総和力がゼロ以上である期間に実行される。
[付記15]上記の方法において、総和力は、案内要素におけるセンサによる直接的な力測定として又は型締めユニットの駆動モータのモータトルク特性曲線から導き出される間接的な参照値(Fuehrungsgroesse)として求められる。
本明細書において説明した事項については、添付の特許請求の範囲と等価な範囲において変動する種々の修正、変更および適合を行うことができることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
10 定置(固定)型支持体
11 可動(移動)型支持体
12 機械基台
13 射出成形型
14 型高さ調節手段
15 14の駆動装置
16 ロック装置
17 案内要素
17a ネジ部分
18 弾性部材
19 センサ(図1
20 閉鎖装置
21 (位置調節可能)端部支持要素
22、23 ナット
22a、23a 接続ダクト(チャネル)
22b、23b 溝
25 締付プレート(Spannplatte)
26 操作手段(要素)
26a ピストンロッド
26b ピストン
26c シリンダ空間
27 センサ
28 潤滑剤溜り
29 潤滑部
30 供給管
31 駆動(主動)歯車
32 被駆動(従動)歯車
33 潤滑剤サンプ(溜め)
34 供給コネクタ
35 潤滑剤分配器
a 型高さ
A、B 点
C 期間
F 力
M トルク
s 経路
s-s 閉鎖方向
t 時間
v 速度
x 10と21との間の距離
R 型締空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6