(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】原動機駆動式ツールのためのダスト除去装置
(51)【国際特許分類】
B28D 7/02 20060101AFI20220112BHJP
B23D 47/00 20060101ALI20220112BHJP
B23D 45/16 20060101ALI20220112BHJP
B28D 1/24 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B28D7/02
B23D47/00 A
B23D45/16
B28D1/24
(21)【出願番号】P 2019522776
(86)(22)【出願日】2017-11-01
(86)【国際出願番号】 SE2017051075
(87)【国際公開番号】W WO2018084784
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-09
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレードリク・カールソン
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104827342(CN,A)
【文献】特開平11-138334(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0060407(US,A1)
【文献】米国特許第03998121(US,A)
【文献】特表2013-506568(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03912885(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/02
B23D 47/00
B23D 45/16
B28D 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心(16)と周縁(17)とを有する回転可能なワークツール(2)と、この回転可能なワークツール(2)を駆動するように配置された原動機(4)と、を備えた原動機駆動式ツール(1)であって、
前記原動機駆動式ツール(1)はさらに、
前記回転可能なワークツール(2)の一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバー(8)と、
第1の旋回部(18)が前記回転可能なワークツール(2)の前記周縁(17)よりも前記回転可能なワークツール(2)の前記中心(16)の近くで前記回転可能なワークツールと交差する第1の旋回軸線(21)を中心として回動することを可能にする第1のスイベルアタッチメントによって取り付けられ、かつ、前記遮蔽カバー(8)の内側あるいは外側で部分的に広がる第1の旋回部(18)と、を備えており、
前記原動機駆動式ツール(1)は、前記第1の旋回部(18)に取り付けられかつ前記第1の旋回部(18)の内側あるいは外側で部分的に広がる第2の旋回部(22)を備えており、
前記第2の旋回部(22)は、前記第2の旋回部(22)が前記回転可能なワークツール(2)の前記周縁(17)の外側で延びる第2の旋回軸線(24)を中心として回動することを可能にする第2のスイベルアタッチメント(23)によって前記第1の旋回部(18)に取り付けられ、前記遮蔽カバー(8)に入るダストの量が増加するように前記旋回部(18,22)が加工面(19)に対して自己調整することを可能と
しており、
前記回転可能なワークツール(2)は、鋸刃(2)である
ことを特徴とする原動機駆動式ツール(1)。
【請求項2】
前記第2の旋回部(22)が、鋸状の前記回転可能なワークツール(2)のための隙間を与えるスロット(47)を備えることを特徴とする請求項1に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項3】
両方の旋回部(18,22)がそれぞれパイ形状の外観を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項4】
前記遮蔽カバー(8)は、前記遮蔽カバー(8)と前記回転可能なワークツール(2)との間に形成されたダストチャネル(11)を備えており、
ダストホース(14)が前記ダストチャネル(11)をダストコンテナ(15)に少なくとも間接的に接続するように配置されており、
ファン装置(13)が、前記ダストホース(14)を介して、前記ダストチャネル(11)から前記ダストコンテナ(15)内へと空気を輸送するように配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項5】
前記原動機(4)は、動力伝達ユニット(27)に含まれる第1の駆動プーリー(28)を駆動するように構成されており、
前記動力伝達ユニット(27)は、前記第1の駆動プーリー(28)が駆動されるときに、前記回転可能なワークツール(2)を少なくとも間接的に駆動するように配置された無端駆動ベルト(9)を備えており、
前記ファン装置(13)は、前記動力伝達ユニット(27)に含まれるファンプーリー(29)に接続されたファンタービン(26)を備えており、
前記駆動ベルト(9)は前記ファンプーリー(29)を駆動するように配置され、かつ、前記ファンプーリー(29)は前記ファンタービン(26)を駆動するように配置されることを特徴とする請求項4に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項6】
各プーリー(28,29)が、対応するベルト歯(48)と係合する歯(31,32)を備えることを特徴とする請求項5に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項7】
前記ファンプーリー(29)が緊張状態にあるとき、前記駆動ベルト(9)は、緊張させられると共に前記ファンプーリー(29)および前記回転可能なワークツール(2)の両方を駆動するように構成されており、かつ、前記ファンプーリー(29)が解放状態にあるとき、前記駆動ベルト(9)の緊張状態が解放されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項8】
前記原動機(4)は、動力伝達ユニット(27)に含まれるクラッチホイール(30)を介して第1の駆動プーリー(28)を駆動するように配置されており、
前記第1の駆動プーリー(28)および前記クラッチホイール(30)は、共通駆動軸線(38)を中心として回転するように配置されており、
前記クラッチホイール(30)は、前記共通駆動軸線(38)に沿って前記駆動プーリー(28)から最も離れている外側エッジ(52)を有しており、
さらに、第1のオーバーラップ線(50)が、前記共通駆動軸線(38)の延長線に対して垂直に、前記クラッチホイール(30)の前記外側エッジ(52)に沿って延びており、前記第1のオーバーラップ線(50)はさらに前記ファンタービン(26)を経て延びていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項9】
前記原動機(4)が、燃焼エンジンまたは電気モーターのいずれかによって構成されていることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項10】
前記第2のスイベルアタッチメント(23)は、取り付けられた支持ホイール(36)を有し、前記支持ホイール(36)は、動作時に、前記原動機駆動式ツール(1)が前記支持ホイール(36)に支持されて走行することを可能にすることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項11】
前記原動機駆動式ツール(1)は、前記第1の旋回部(18)に第1のスプリング力を作用させるように配置された第1のスプリング手段(41)と、前記第2の旋回部(22)に第2のスプリング力を作用させるように配置された第2のスプリング手段(42)と、を備えており、各スプリング力は、対応する前記旋回部(18,22)を前記遮蔽カバー(8)から離れるように広げるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項12】
前記第2のスプリング手段(42)は、前記第1の旋回部(18)に形成された第1のリム(44)および前記第2の旋回部(22)に形成された第2のリム(45)によって保持されており、これらのリム(44,45)はまた、前記旋回部(18,22)のための強化された剛性を提供するように配置されていることを特徴とする請求項11に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項13】
前記第2の旋回部(22)が、前記遮蔽カバー(8)内へと回動するように配置された成形エッジ(46)を備えており、
前記エッジ(46)は、前記遮蔽カバー(8)内への最大限可能な回動を可能にするように最適化された形状を有することを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項14】
前記第1の旋回部(18)が、前記第1のスイベルアタッチメント(20)を用いて、鋸刃支持フレーム(49)に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項15】
回転可能なワークツール(2)と、動力伝達ユニット(27)に含まれる第1の駆動プーリー(28)を駆動するように配置された原動機(4)と、を備える原動機駆動式ツール(1)であって、
前記動力伝達ユニット(27)は、前記第1の駆動プーリー(28)が駆動されるときに前記回転可能なワークツール(2)を少なくとも間接的に駆動するように配置された無端駆動ベルト(9)を備えており、
前記原動機駆動式ツール(1)はさらに、前記回転可能なワークツール(2)の一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバー(8)と、前記遮蔽カバー(8)と前記回転可能なワークツール(2)との間に形成されたダストチャネル(11)と、を備えており、
前記ダストチャネル(11)は、少なくとも間接的にファン装置(13)に接続されており、
前記ファン装置(13)は、前記ダストチャネル(11)から空気を輸送するように構成されると共に、前記動力伝達ユニット(27)に含まれるファンプーリー(29)に接続されるファンタービン(26)を備えており、
前記駆動ベルト(9)は前記ファンプーリー(29)を駆動するように配置されており、
前記ファンプーリー(29)が緊張状態にあるとき、前記駆動ベルト(9)は緊張させられ、かつ、前記ファンプーリー(29)および前記回転可能なワークツール(2)の両方を駆動するように構成されており、かつ、前記ファンプーリー(29)が解放状態にあるとき、前記駆動ベルト(9)は緊張状態が解除され
、
前記原動機(4)は、動力伝達ユニット(27)に含まれるクラッチホイール(30)を介して第1の駆動プーリー(28)を駆動するように構成されており、
前記第1の駆動プーリー(28)および前記クラッチホイール(30)は、共通駆動軸線(38)を中心として回転するように配置されており、
前記クラッチホイール(30)は、前記共通駆動軸線(38)に沿って前記駆動プーリー(28)から最も離れている外側エッジ(52)を有しており、
さらに、第1のオーバーラップ線(50)が、前記共通駆動軸線(38)の延長線に対して垂直に、前記クラッチホイール(30)の前記外側エッジ(52)に沿って延びており、前記第1のオーバーラップ線(50)はさらに前記ファンタービン(26)を経て延びている
ことを特徴とする原動機駆動式ツール(1)。
【請求項16】
前記原動機駆動式ツール(1)は、前記ダストチャネル(11)をダストコンテナ(15)に接続するように配置されたダストホース(14)を備えており、
前記ファン装置(13)は、前記ダストホース(14)を介して、前記ダストチャネル(11)から前記ダストコンテナ(15)内へと空気を輸送するように配置されていることを特徴とする請求項15に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項17】
各プーリー(28,29)が、対応するベルト歯(48)と係合する歯(31,32)を備えることを特徴とする
請求項15または請求項16に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項18】
回転可能なワークツール(2)と、動力伝達ユニット(27)に含まれるクラッチホイール(30)を介して第1の駆動プーリー(28)を駆動するように配置された原動機(4)と、を具備する原動機駆動式ツール(1)であって、
前記第1の駆動プーリー(28)および前記クラッチホイール(30)は共通駆動軸線(38)を中心として回転するように配置されており、
前記クラッチホイール(30)は、前記共通駆動軸線(38)に沿って前記駆動プーリー(28)から最も遠くにある外側エッジ(52)を有しており、
さらに前記動力伝達ユニット(27)は、前記第1の駆動プーリー(28)が駆動されたとき前記回転可能なワークツール(2)を少なくとも間接的に駆動するように配置された無端駆動ベルト(9)を備えており、
前記原動機駆動式ツール(1)はさらに、前記回転可能なワークツール(2)の一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバー(8)と、前記遮蔽カバー(8)と前記回転可能なワークツール(2)との間に形成されダストチャネル(11)と、を備えており、
前記ダストチャネル(11)は、少なくとも間接的に、前記ダストチャネル(11)から空気を輸送するように構成されると共に前記動力伝達ユニット(27)に含まれるファンプーリー(29)に接続されたファンタービン(26)を備えるファン装置(13)に接続されており、
前記駆動ベルト(9)は前記ファンプーリー(29)を駆動するように配置されており、
第1のオーバーラップ線(50)が、共通駆動軸線(38)の延長線に対して垂直に、前記クラッチホイール(30)の前記外側エッジ(52)に沿って延びており、前記第1のオーバーラップ線(50)は前記ファンタービン(26)を経てさらに延びていることを特徴とする原動機駆動式ツール(1)。
【請求項19】
前記ファンプーリー(29)が緊張状態にあるとき、前記駆動ベルト(9)は、緊張されると共に、前記ファンプーリー(29)および前記回転可能なワークツール(2)の両方を駆動するように構成されており、かつ、前記ファンプーリー(29)が解放状態にあるとき、前記駆動ベルト(9)の緊張状態が解除されることを特徴とする請求項
18に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項20】
前記原動機駆動式ツール(1)は、前記ダストチャネル(11)をダストコンテナ(15)に接続するように配置されたダストホース(14)を備えており、
前記ファン装置(13)は、前記ダストホース(14)を介して、前記ダストチャネル(11)から前記ダストコンテナ(15)内へと空気を輸送するように構成されていることを特徴とする
請求項18または請求項19に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項21】
各プーリー(28,29)が、対応するベルト歯(48)と係合する歯(31,32)を備えることを特徴とする
請求項18ないし請求項20のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【請求項22】
前記共通駆動軸線(38)の延長線と直交する、前記ファンタービン(26)と前記駆動ベルト(9)との間に延在する第2のオーバーラップ線(51)が存在しており、前記第1のオーバーラップ線(50)と前記第2のオーバーラップ線(51)との間にはオーバーラップ距離(54)が形成されており、前記オーバーラップ距離(54)はゼロよりも大きいことを特徴とする
請求項18ないし請求項21のいずれか1項に記載の原動機駆動式ツール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転可能なワークツールと、動力伝達ユニットに含まれるクラッチホイールを介して第1の駆動プーリーを駆動するように配置された原動機とを備える原動機駆動式ツールに関する。当該原動機駆動式ツールは、回転可能なワークツールの一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバーをさらに備える。
【背景技術】
【0002】
原動機駆動式の手持ち式切断機のような多くの動力式ツールは、円形またはリング形状の鋸刃を有する。このような切断機は、コンクリートまたは岩石のような硬い物質を切断するために使用されることがあり、切断処理によってダストが発生する。例えば、コンクリートダストは呼吸するには害があり、そしてまた視力を害するので、空気中で自由に拡散するそうしたダストの発生を最小限に抑えることが望ましい。そうした遊離したコンクリートダストがツールの原動機に入り込むと原動機に甚大な悪影響を及ぼし、健全さに望ましくない作用を引き起こし、概して環境を汚染する。
【0003】
上記の種類の多くのツールは、この目的のために水供給源を備えており、大量のダストが水と混ぜ合わされ、これによって空気中で拡散しないように保留および保持されるように水の流れが鋸刃に向けられる。
【0004】
水は、通常、作業現場で処理されなければならないので水の流れは適切な機能を維持しながら最小限に保たれることが好ましく、必要以上の水は望ましくない。いくつかの作業現場では、清浄度に対する要求または水の不足によって、そうした給水は望ましくないという結果になる。この目的のために、真空掃除機タイプの多くの種類のダスト除去システムが開発されてきた。それらのうちのいくつかは、望ましくないダスト粒子を遠隔ダストコンテナへと導く、ダストホース内へと空気を押し込むための一体型ファンモーターを有する。これらのファンは、通常、切断機の主原動機に接続されると共に例えば特許文献1において説明されるような一つ以上の駆動ベルトまたはギア式伝動機を備える伝動装置によって駆動される。パワーカッターのような原動機駆動式ツールのための、複雑でなく、しかも汎用性の高いダスト除去装置を実現することが望まれている。
【0005】
除去されるべきダストは、鋸刃の一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバー内に最初に収集されることが多く、遮蔽カバーは、この遮蔽カバー内に収集されたダストを除去するためにファンに接続された出口を備える。したがって、パワーカッターのような原動機駆動式ツールを動作させるとき、できるだけ多くのダストが遮蔽カバー内に集められ、ダストが周囲の空気中に放出されないようにすることが望ましい。特許文献2は、一つまたは二つの開拡・伸縮式の下部剛体ジョーを用いて構成されたダストシュラウドを開示しているが、より効率的な構成が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6039037号明細書
【文献】国際公開第2014/127037号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、確実なダストの除去を実現し、周囲の空気中に放出されるダストを最小限に抑える、従来技術と比較して複雑ではなく、しかも汎用性の高い原動機駆動式ツール用のダスト除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、中心および周縁を有する回転可能なワークツールと、この回転可能なワークツールを駆動するように配置された原動機とを備える原動機駆動式ツールによって達成される。この原動機駆動式ツールはさらに、回転可能なワークツールの一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバーと、第1の旋回部がワークツールの周縁よりも回転可能なワークツールの中心の近くで回転可能なワークツールを横切る第1の旋回軸線を中心として回動することを可能とする第1のスイベルアタッチメントによって取り付けられ、遮蔽カバーの内側または外側で部分的に広がる第1の旋回部とを含む。原動機駆動式ツールは、第1の旋回部に取り付けられかつ第1の旋回部の内側または外側で部分的に広がる第2の旋回部を備える。第2の旋回部は、この第2の旋回部が回転可能なワークツールの周縁の外側を延びる第2の旋回軸線を中心として回動することを可能にする第2のスイベルアタッチメントによって第1の旋回部に取り付けられ、遮蔽カバーに入るダストの量が増加するように旋回部が加工面に対して自己調整することを可能にする。
【0009】
一実施例によれば、第2の旋回部は、鋸状の回転可能なワークツールのための隙間を与えるスロットを備える。
【0010】
別の実施例によれば、遮蔽カバーは、この遮蔽カバーと回転可能なワークツールとの間に形成されたダストチャネルを備える。ダストホースが、このダストチャネルをダストコンテナに少なくとも間接的に接続するように配置される。ファン装置が、このダストホースを介して、ダストチャネルからダストコンテナ内に空気を輸送するように配置される。
【0011】
他の実施例によれば、第2のスイベルアタッチメントは取り付けられた支持ホイールを有し、当該ホイールは、動作時に、原動機駆動式ツールがこの支持ホイールに支えられて走行することを可能にする。
【0012】
別の実施例によれば、原動機駆動式ツールは、第1の旋回部に第1のスプリング力を作用させるように配置された第1のスプリング手段と、第2の旋回部に第2のスプリング力を作用させるように配置された第2のスプリング手段とを備える。各スプリング力は、対応する旋回部を遮蔽カバーから離れるように広げるようになっている。
【0013】
他の実施例によれば、第1の旋回部は、第1のスイベルアタッチメントによって鋸刃支持フレームに取り付けられる。
【0014】
この目的はまた、回転可能なワークツールと、第1の駆動プーリーが駆動されるとき回転可能なワークツールを少なくとも間接的に駆動するように配置された無端駆動ベルトを含む動力伝達ユニットに含まれる第1の駆動プーリーを駆動するように配置された原動機とを含む原動機駆動式ツールによって達成される。この原動機駆動式ツールはさらに、回転可能なワークツールの一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバーと、遮蔽カバーと回転可能なワークツールとの間に形成されたダストチャネルとを備える。ダストチャネルは、このダストチャネルから空気を輸送するように構成されかつ動力伝達ユニットに含まれるファンプーリーに接続されたファンタービンを備えるファン装置に少なくとも間接的に接続される。駆動ベルトはファンプーリーを駆動するように配置される。ファンプーリーが緊張状態にあるとき、駆動ベルトは緊張させられて、ファンプーリーおよび回転可能なワークツールの両方を駆動するように構成され、ファンプーリーが解放状態にあるとき、駆動ベルトは緊張状態が解かれる。
【0015】
一実施例によれば、原動機駆動式ツールは、ダストチャネルをダストコンテナに接続するように配置されたダストホースを備え、ファン装置は、このダストホースを介してダストチャネルからダストコンテナ内に空気を輸送するように構成される。
【0016】
この目的はまた、回転可能なワークツールと、動力伝達ユニットに含まれるクラッチホイールを介して第1の駆動プーリーを駆動するように配置された原動機とを備える原動機駆動式ツールによって達成される。第1の駆動プーリーおよびクラッチホイールは、共通駆動軸線を中心に回転するように配置され、クラッチホイールは、共通駆動軸線に沿って駆動プーリーから最も遠くに位置する外側エッジを有する。動力伝達ユニットは、第1の駆動プーリーが駆動されるときに回転可能なワークツールを少なくとも間接的に駆動させるように配置された無端駆動ベルトを備える。原動機駆動式ツールはさらに、回転可能なワークツールの一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバーと、この遮蔽カバーと回転可能なワークツールとの間に形成されたダストチャネルとを備える。ダストチャネルは、このダストチャネルから空気を運ぶように構成されると共に動力伝達ユニットに含まれるファンプーリーに接続されたファンタービンを備えるファン装置に少なくとも間接的に接続される。駆動ベルトはファンプーリーを駆動するように配置される。第1のオーバーラップ線が、共通駆動軸線の延長線に対して垂直に、クラッチホイールの外側エッジに沿って延び、第1のオーバーラップ線はファンタービンを経てさらに延びる。
【0017】
他の実施例は従属請求項に開示されている。
【0018】
本開示によって多くの利点が得られる。主に、統合された緊張機能を有するダスト除去ファンを駆動するための伝動装置が提供される。さらに、より信頼性の高いダストの収集が実現され、周囲の空気中に放出されるダストが最小限に抑えられる。
【0019】
本開示について添付図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】旋回部が第1の位置にある状態での手持ち式パワーカッターの側面図である。
【
図2】旋回部が第2の位置にある状態での手持ち式パワーカッターの側面図である。
【
図3】遮蔽カバー内の鋸刃の一部の概略正面図である。
【
図5】遮蔽カバー内の鋸刃の上方から見た斜視図である。
【
図6】カバーを有するファン装置の正面斜視図である。
【
図7】カバーを省いたファン装置の正面斜視図である。
【
図8】ベルトが緊張状態にある動力伝達ユニットの第1実施例の正面斜視図である。
【
図9】駆動ベルトが弛緩状態にある動力伝達ユニットの第1実施例の正面斜視図である。
【
図11】ベルトが緊張状態にある動力伝達ユニットの第2実施例の正面斜視図である。
【
図12】駆動ベルトが弛緩状態にある動力伝達ユニットの第2実施例の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および
図2は、例えばコンクリートを切断するのに適した、円形の鋸刃2を有する手持ち式のパワーカッター1の側方から見た斜視図である。鋸刃2は中心16と周縁17(概略的にのみ示されている)とを有する。パワーカッター1は内燃原動機4を少なくとも部分的に取り囲むケーシング3を備え、ケーシング3は、そこからパワー/スロットルスイッチ6aおよび対応するスイッチロック6bにアクセス可能である第1のハンドル部5を備える。パワーカッター1はケーシング3の上で円弧状に延びる第2のハンドル部7をさらに備え、第2のハンドル部7は、周知の方法で振動を減衰させる手段を介して、ケーシング3に取り付けられている。
【0022】
パワーカッター1は、鋸刃2の一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバー8を備える。鋸刃2は、動力伝達カバーによって覆われた動力伝達手段9を備える動力伝達ユニット27を介して原動機4に接続される。動力伝達手段9は、いくつかの態様によれば、無端駆動ベルトまたは歯車式伝動装置のいずれかの形態である。ここでは、鋸刃2を駆動するように配置された第2の駆動プーリー33を駆動する駆動ベルト9が示されている。動力伝達ユニット27はまた、クラッチ側クランクケースとも呼ぶことができる。
【0023】
遮蔽カバー8と鋸刃2との間にはダストチャネル11が形成されており、ダストパイプ12は、遮蔽カバー8の上部と、空気がダストパイプ12から、さらにファン装置13とダストコンテナ15との間に接続されたホース14内へと輸送されるようにダストパイプ12における空気圧を低下させるように構成されたファン装置13との間に接続されている。ダストコンテナ15は、真空掃除機の作用と類似のまたは同じ作用が実現されるようにファン装置13によってダストチャネル11から押しやられたダストを受け取るように構成される。ダストコンテナ15は、原理を説明するために概略的に示されており、実際の大きさおよび形状では示されていないことに留意されたい。
【0024】
パワーカッター1が作動しており、鋸刃2が例えばコンクリートを切断しているとき、大量のコンクリートダストが発生する。ファン装置13およびダストホース14によって、コンクリートダストは遮蔽カバー8内のダストチャネル11からダストコンテナ15へと運ばれる。適切な機能を得るために、遮蔽カバー8内のダストチャネル11から逃げるダストが最小限に抑えられることが望ましく、したがって、パワーカッター1と、(ここでは概略的に一点鎖線で示されている)加工面19との間に自動調整カバーがもたらされるように、第1の旋回部18が遮蔽カバー8に取り付けられる。遮蔽カバー内の鋸刃の一部の概略正面図を示す
図3も参照すると、第1の旋回部18は、この第1の旋回部18が、鋸刃2の周縁17よりも鋸刃2の中心16の近くで鋸刃2と交差する第1の旋回軸線21を中心として回動することを可能にする第1のスイベルアタッチメント20によって遮蔽カバー8に取り付けられている。第1の旋回部18は、
図1および
図2に示すように、鋸刃支持フレーム49等の適切な部分に取り付けることができる。そうした鋸刃支持フレーム49は別個の部品とすることができ、または遮蔽カバー8と一体化することができる。
図3では、第1の旋回部18が遮蔽カバー8に取り付けられるように示されている。
【0025】
本開示によれば、第2の旋回部22が第1の旋回部18に取り付けられ、これによってパワーカッター1と加工面19との間に、改善された自己調整複合カバーが得られる。第2の旋回部22は、第2のスイベルアタッチメント23によって、第1の旋回部18に取り付けられ、第2の旋回部22が鋸刃2の周縁17の外側で延びる第2の旋回軸線24を中心に回動することを可能にする。第2の旋回部22は、鋸刃2のための隙間を与えるスロット47を備える。
【0026】
両方の旋回部18,22はパイ形状の外観を有し、第1の旋回部18は遮蔽カバー8の内側で部分的に広がり、第2の旋回部22は、各旋回部18,22が、その対応する旋回軸線21,24を中心として各旋回部18,22が回動するときに変化する、ある露出度合いを有するように、第1の旋回部18の内側で広がる。この結果、第1の旋回部18は第1の隙間角φを有し、第2の旋回部22は第2の隙間角θを有する。
【0027】
両方の旋回部18,22は、遮蔽カバー8内のダストチャネル11から逃げるダストの量が最小になるように加工面19に順応し、この結果、周囲の空気中に放出されるダストの量が最小になる。
図1では、旋回部18,22は、加工面19の位置によるある位置を有し、
図2では、旋回部18,22は、加工面19’の位置変化によって隙間角φ’,θ’が減少した別の位置を有する。
【0028】
第2の駆動ホイール、鋸刃支持フレーム49およびダストパイプを省略した状態で遮蔽カバー8内の鋸刃2の詳細側面図を示す
図4を、そして第1のスイベルアタッチメント20および鋸刃支持フレーム49を省略した状態で遮蔽カバー8内の鋸刃2の詳細斜視図を示す
図5を参照すると、第1の旋回部18に第1のスプリング力を作用させるように配置された第1のスプリング手段41および第2の旋回部22に第2のスプリング力を作用させるように配置された第2のスプリング手段42が存在する。したがって旋回部18,22は、対応するスプリング力が対応する隙間角φ,θを最大にするよう調整されるように、スプリング付勢されている。
【0029】
第2の旋回部22は、ストッパーピン43によって保持される。第2のスプリング手段42は、第1の旋回部18に形成された第1のリム44と、第2の旋回部22に形成された第2のリム45とによって保持される。これらのリム44,45はまた、旋回部18,22の強化をもたらし、高められた剛性を与える。第2の旋回部22は、遮蔽カバー8内へと回動するように配置された成形エッジ46を備え、その形状は、遮蔽カバー8内への最大限可能な回動を可能とするように最適化される。
【0030】
いくつかの態様によれば、第1の旋回部18は部分的に遮蔽カバー8の外側で広がり、いくつかの態様によれば、第2の旋回部22は部分的に第1の旋回部18の外側で広がる。概して、これは、第2の旋回部22が第1の旋回部18よりも大きな程度まで鋸刃2の周縁17に沿って広がるように配置され、一方、第1の旋回部18が第2の旋回部22よりも鋸刃2の中心16から半径方向に広がるように配置されることを意味する。
【0031】
第1の旋回部18が部分的に遮蔽カバー8の外側に広がり、そして第2の旋回部22が部分的に第1の旋回部18の内側に広がる場合、第1の旋回部18は隠されることなく、一定の隙間角を有する。第2の旋回部22が部分的に第1の旋回部18の外側に広がる場合、第2の旋回部22は隠されることなく、一定の隙間角を有する。
【0032】
いくつかの態様によれば、
図1、
図2および
図4に示されるように、ダストチャネル11は開口35を介してダストパイプ12に接続され、開口35は鋸刃の周縁17の外側に配置される。鋸引き操作中に形成されるダストが旋回部18,22を介して押しやられる距離および操作中の鋸刃の通常の回転速度を考慮すると、開口35は、ダストパイプ12を介してダストチャネル11から可能な限り多くのダストが除去されることを可能にするために有利な位置を有する。さらに、ダストパイプ12を介してダストチャネル11から除去されるダストの量をさらに増やすために、遮蔽カバー8には、鋸刃2のためのスロット開口を有する分離壁37が形成されている。分離壁37は、直ぐにダストパイプ12内に輸送されなかったダストが、鋸刃12の動きに追従して遮蔽カバー8から逃げて環境に入るのを防止する。
【0033】
図6はカバー25を有するファン装置13を示し、
図7はカバー25が省略されたファン装置13を示しており、ファンタービン26は、
図1および
図2に示されるように、ダストパイプ12からさらにホース内へとダストを輸送するために駆動されるように配置され構成される。この目的のために、ファンタービン26は、
図7に示すように複数のファンブレード53を備える。カバー25は、ファンタービン26から最も遠い外面55を有する。
【0034】
図8および
図9は、動力伝達カバー10およびファン装置13が取り外された状態のパワーカッターの動力伝達ユニット27の各斜視正面図を示す。第1の駆動プーリー28は、ここでは動力伝達手段を構成する無端駆動ベルト9に接続され、駆動ベルトは、ファン装置13が取り付けられたときにファンタービン26に接続されるように配置されたファンプーリー29に当接して緊張させられる。ファンプーリー29はさらに、駆動ベルト9がファンプーリー29を回転させるとき、ファンタービン26を駆動すように構成されている。駆動ベルト9は、既知の方法で、例えば直接または伝動装置を介して鋸刃2を駆動するように構成された第2の駆動プーリー33を駆動するように配置されている。
【0035】
第1の駆動プーリー28は、クラッチホイール30および原動機歯車装置(図示せず)を介して原動機に接続されている。明確にするために、通常はクラッチホイール30内に配置され、クラッチホイール30と第1の駆動プーリー28との間の特定の回転速度での動力伝達を実現するように構成された周知のクラッチ部品は示されていない。これらのクラッチ部品は、通常、遠心力によって作動し、この種のツールにおいて一般的に使用されている。クラッチホイール30および第1の駆動プーリー28は、共通駆動軸線38を中心に回転するように配置され、クラッチホイール30は、共通駆動軸線38に沿って駆動プーリー28から最も遠くにある外側エッジ52を有する。
【0036】
いくつかの態様によれば、原動機の回転速度は、原動機歯車装置によって第1の駆動プーリー28における、より低い回転速度に減速され、次いで第2の駆動プーリー33の回転速度が、鋸刃2における、より低い回転速度へと減速される。
【0037】
これは、パワーカッター1の作動中、原動機4がクラッチホイール30を介して第1の駆動プーリー28を駆動するように配置され、第1の駆動プーリー28が今度は駆動ベルト9を駆動することを意味する。駆動ベルトが動いているとき、それはまたファンプーリー29を回転させ、ファンタービン26を動かし、したがってファン装置13を作動させる。ファンプーリー29の適切な直径を選択することによって、パワーカッター1の通常稼働中、ファンプーリー29の、したがってファンタービン26の所望の回転速度が得られる。
【0038】
ファン装置13が取り付けられた状態での
図8の上部断面図を示す
図10も参照すると、ベルトとプーリー28,29,33との間で信頼性のある動力伝達を実現するために、各プーリー28,29,33は、(明瞭にするためにいくつかが示された)対応するベルト歯48と係合する歯31,32,34を備えている。
【0039】
引き続き
図10を参照する本開示の別の態様によれば、取り付け時に、ファン装置13は、共通駆動軸線38の延長線と平行な方向に沿って、クラッチホイール30と少なくとも部分的に重なるように配置される。このコンパクトな取り付け構造は、側面に取り付けられたファン装置13を有するパワーカッター1の安定した取り扱いを実現する。
【0040】
より詳細には、
図10には、第1のオーバーラップ線50と第2のオーバーラップ線51とがあり、オーバーラップ線50,51は互いに平行であり、共通駆動軸線38の延長線に対して垂直に延びている。第1のオーバーラップ線50はクラッチホイール30の外側エッジ52に沿って延び、第2のオーバーラップ線51はファンタービン26と駆動ベルト9との間に延びる。第1のオーバーラップ線50はファンタービン26を経て延び、複数のファンブレード53を通って延びている。
【0041】
第1のオーバーラップ線50と第2のオーバーラップ線51との間にオーバーラップ距離54が存在し、オーバーラップ距離54はゼロを上回る。カバー25の外面55と第1のオーバーラップ線50との間には突出距離56も存在する。いくつかの態様によれば、突出距離56は最小化される。
【0042】
ファンタービンはタービン高さ57を有する。
図10では、タービン高さ57は、共通駆動軸線38の延長線と平行に延びている。いくつかの態様によれば、突出距離56はタービン高さ57内に収まる。
【0043】
さらに、本開示のさらに別の態様によれば、ファンプーリー29は調整可能であり、かつ、駆動ベルト9を緊張させるように配置される。
図8においてファンプーリー29は、駆動ベルト9が緊張させられて作動準備が整うように調整され、
図9においてファンプーリー29は、例えば駆動ベルトを交換しなければならない場合に駆動ベルト9が適切な位置で緊張状態から解放されるように調整される。ここで、駆動ベルト9はファンプーリー29の外側を走行しており、したがってファンプーリー29が第1の駆動プーリー28と鋸刃との間に延在する駆動ベルト9の一部から離れるように移動させられ、そしてファンプーリー29と接触することが意図されていない場合、駆動ベルト9は緊張させられる。
【0044】
駆動ベルト9は、
図11および
図12に示すように、ファンプーリー29のいずれの側でも走行することができる。
図11においてファンプーリー29は、駆動ベルト9が引っ張られて作動準備が整うように調整され、
図12においてファンプーリー29は、駆動ベルト9が緊張状態から解放されるように調整される。ここで、駆動ベルト9はファンプーリー29の内側を走行しており、したがってファンプーリー29が第1の駆動プーリー28と鋸刃との間に延在している駆動ベルト9の一部から離れるように移動させられ、そしてファンプーリー29と接触することが意図されていない場合、駆動ベルト9は緊張状態から解放される。
【0045】
本開示は上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲内で自由に変更することができる。例えば、リング形状の鋸刃2を備えた手持ち式のパワーカッター1は、鋸刃、丸鋸刃またはリング鋸刃のような回転可能なワークツールを備えた、ダスト除去が望まれる、いかなるタイプの原動機駆動式ツールであってよい。実施例として原動機駆動式ツールのいくつかの品目のみを説明したが、原動機駆動式ツール自体は周知の種類のものである。原動機は、燃焼エンジンまたは電気モーターのいずれであってもよい。
【0046】
図8、
図9、
図10、
図11および
図12を参照すると、ベルト9は調節可能な動力伝達ユニット27を有することによって緊張させることができ、ここで第1のフレーム部分39および第2のフレーム部分40は、既によく知られている方法で互いにスライド移動可能である。この緊張装置は、ファンプーリー29が固定されるときにのみ利用可能である。代替的に、上述したような調整可能なファンプーリー29もまた、利用可能な唯一の緊張装置となることがある。両方の組み合わせも考えられる。緊張手順は、全ての場合において、従来の方法で実施することができる。例えば、緊張時に適切な部品を分離するように構成された緊張スクリューアセンブリによって、あるいは緊張時に適切な部品を分離するように構成された旋回カムによって実施することができる。これらおよびその他のそのような装置は当技術分野において周知である。
【0047】
いくつかの態様によれば、ファン装置13はダストチャネル11に直接接続される。代替的に、ダストパイプ12はファン装置13に含まれる。
【0048】
いくつかの態様によれば、ファン装置13はダストコンテナを備える。
【0049】
いくつかの態様によれば、ファン装置13は、収集されたダストを、場合によってはダストホース部を介して、パワーカッターを操作する人から離れた環境へと吹き飛ばすように配置される。
【0050】
駆動ベルト9が使用されるとき、いくつかの態様によれば、この駆動ベルトは歯車伝動装置を介して鋸刃を駆動するように構成される。
【0051】
図1ないし
図3を参照した実施形態では、ファン装置13がパワーカッター上に配置されて示されており、
図4ないし
図8を参照した実施形態で説明したように動力を供給することができる。概して、
図1ないし
図3を参照する実施形態では、いかなるファン装置も全く必要ではなく、旋回部18,22は、ダストを遮蔽カバー8内に保持するように、またはパワーカッターを操作する人から適切に離れるように、パイプ、チューブ、開口および/またはホースによって、単にそれを都合のよい方向に処分するように配置されるだけである。
【0052】
図6ないし
図12を参照した実施形態に関してもまた、旋回部18,21は、もちろん、適用可能である。
【0053】
遮蔽カバー8は、鋸刃2の各側面に一つずつ、二つの側面を有する。
図3では、第1のスイベルアタッチメント20は、遮蔽カバー8の一つの側面に取り付けられたピンとして示されている。もちろん、各側に一つずつ、二つのそうしたピンが存在してもよい。第2のスイベルアタッチメント23は、ここでは、遮蔽カバーの両側面間で延びるシャフトとして示されている。ここでは、第1のスイベルアタッチメント20について説明したような一つまたは二つのピンを代わりに使用することができる。
【0054】
図1、
図2および
図3に破線で示すように、支持ホイール36を第2のスイベルアタッチメント23に取り付けることができ、これによって動作時にパワーカッターがこの支持ホイール36に支えられて走行することが可能になる。
【0055】
駆動ベルト9は、歯車装置を介して鋸刃2を駆動するように配置される必要はないが、歯車を使用せずに鋸刃2に直接接続される第2の駆動プーリー33を駆動するように配置されてもよい。
【0056】
図1ないし
図3を参照した実施形態に関してダストを処理するためにファン装置を使用する場合、それは任意の場所に配置することができ、例えば、ダストホース14の端部においてダストコンテナ15内に収容することができる。いくつかの態様によれば、パワーカッターにおいて生み出される電流によってファンに電力を供給することができる。
【0057】
概して、本開示は、中心16および周縁17を有する回転可能なワークツール2と、この回転可能なワークツール2を駆動するように構成された原動機4とを備える原動機駆動式ツール1に関し、原動機駆動式ツール1はさらに、回転可能なワークツール2の一部を遮蔽するように構成された遮蔽カバー8と、回転可能なワークツール2の周縁17よりも回転可能なワークツール2の中心16の近くで回転可能なワークツール2と交差する第1の旋回軸線21を中心として第1の旋回部18が回動することを可能にする第1のスイベルアタッチメント20によって取り付けられかつ遮蔽カバー8の内側または外側で部分的に広がる第1の旋回部18とを備える。原動機駆動式ツール1は、第1の旋回部18に取り付けられかつ第1の旋回部18の内側または外側で部分的に広がる第2の旋回部22を備え、この第2の旋回部22は、回転可能なワークツール2の周縁17の外側で延びる第2の旋回軸線24を中心として第2の旋回部22が回動することを可能とする第2のスイベルアタッチメント23によって第1の旋回部18に取り付けられ、遮蔽カバー8に入るダストの量が増加するように旋回部18,22が加工面19に対して自己調整することを可能にする。
【0058】
一実施例によれば、第2の旋回部22は、鋸状の回転可能なワークツール2のための隙間を与えるスロット47を備える。
【0059】
一実施例によれば、両方の旋回部18,22はそれぞれのパイ形状の外観を有する。
【0060】
一実施例によれば、遮蔽カバー8は、この遮蔽カバー8と回転可能なワークツール2との間に形成されたダストチャネル11を備え、ダストホース14がダストチャネル11をダストコンテナ15に少なくとも間接的に接続するように配置され、ファン装置13が、ダストホース14を介して、ダストチャネル11からダストコンテナ15内へ空気を輸送するように配置される。
【0061】
一実施例によれば、原動機4は、動力伝達ユニット27に含まれる第1の駆動プーリー28を駆動するように構成され、動力伝達ユニット27は、第1の駆動プーリー28が駆動されたとき、回転可能なワークツール2を少なくとも間接的に駆動するように配置された無端駆動ベルト9を備え、ファン装置13は、動力伝達ユニット27に含まれるファンプーリー29に接続されたファンタービン26を備え、駆動ベルト9はファンプーリー29を駆動するように配置され、ファンプーリー29が今度はファンタービン26を駆動するように配置される。
【0062】
一実施例によれば、各プーリー28,29は、対応するベルト歯48と係合する歯31,32を備える。
【0063】
一実施例によれば、ファンプーリー29が緊張状態にあるとき、駆動ベルト9は、緊張させられ、ファンプーリー29および回転可能なワークツール2の両方を駆動するように構成され、そしてファンプーリー29が解放状態にあるとき、駆動ベルト9の張力が解かれる。
【0064】
一実施例によれば、原動機4は、動力伝達ユニット27に含まれるクラッチホイール30を介して第1の駆動プーリー28を駆動するように配置され、第1の駆動プーリー28およびクラッチホイール30は共通駆動軸線38を中心として回転するように配置され、クラッチホイール30は共通駆動軸線38に沿って駆動プーリー28から最も離れている外側エッジ52を有し、さらに、第1のオーバーラップ線50が、共通駆動軸線38の延長線に対して垂直に、クラッチホイール30の外側エッジ52に沿って延びており、第1のオーバーラップ線50はさらにファンタービン26を経て延びている。
【0065】
一実施例によれば、原動機4は、燃焼エンジンまたは電気モーターのいずれかによって構成される。
【0066】
一実施例によれば、第2のスイベルアタッチメント23は、取り付けられた支持ホイール36を有し、この支持ホイールは、動作時に、原動機駆動式ツール1がこの支持ホイール36に支えられて走行することを可能にする。
【0067】
一実施例によれば、原動機駆動式ツール1は、第1の旋回部18に第1のスプリング力を作用させるように配置された第1のスプリング手段41と、第2の旋回部22に第2のスプリング力を作用させるように配置された第2のスプリング手段42とを備え、各スプリング力は、対応する旋回部18,22を遮蔽カバー8から離れるように広げるようになっている。
【0068】
一実施例によれば、第2のスプリング手段42は、第1の旋回部18に形成された第1のリム44と、第2の旋回部22に形成された第2のリム45とによって保持され、これらのリム44,45は旋回部18,22のための高められた剛性をもたらすように配置される。
【0069】
一実施例によれば、第2の旋回部22は、遮蔽カバー8内へと回動するように配置された成形エッジ46を備え、当該エッジ46は、遮蔽カバー8内への最大限可能な回動を可能にするために最適化された形状を有する。
【0070】
一実施例によれば、第1の旋回部18は、第1のスイベルアタッチメント20によって鋸刃支持フレーム49に取り付けられる。
【0071】
概して、本開示はまた、回転可能なワークツール2と、動力伝達ユニット27に含まれる第1の駆動プーリー28を駆動するように配置された原動機4とを備える原動機駆動式ツール1に関し、動力伝達ユニット27は、第1の駆動プーリー28が駆動されるときに回転可能なワークツール2を少なくとも間接的に駆動するように配置された無端駆動ベルト9を備え、原動機駆動式ツール1はさらに、回転可能なワークツール2の一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバー8と、遮蔽カバー8と回転可能なワークツール2との間に形成されたダストチャネル11とを備え、このダストチャネル11は少なくとも間接的にファン装置13に接続され、このファン装置13はダストチャネル11から空気を輸送するように構成され、かつ、動力伝達ユニット27に含まれるファンプーリー29に接続されたファンタービンを備え、駆動ベルト9はファンプーリー29を駆動するように配置される。ファンプーリー29が緊張状態にあるとき、駆動ベルト9は緊張させられてファンプーリー29および回転可能なワークツール2の両方を駆動するように配置されており、ファンプーリー29が解放状態にあるとき駆動ベルト9は緊張状態が解除される。
【0072】
一実施例によれば、原動機駆動式ツール1は、ダストチャネル11をダストコンテナ15に接続するように配置されたダストホース14を備え、ファン装置13は、このダストホース14を介して、ダストチャネル11からダストコンテナ15内へと空気を輸送するように構成される。
【0073】
一実施例によれば、原動機4は、動力伝達ユニット27に含まれるクラッチホイール30を介して第1の駆動プーリー28を駆動するように配置され、第1の駆動プーリー28およびクラッチホイール30は共通駆動軸線38を中心として回転するように配置され、クラッチホイール30は共通駆動軸線38に沿って駆動プーリー28から最も離れている外側エッジ52を有し、さらに、第1のオーバーラップ線50が、共通駆動軸線38の延長線に対して垂直に、クラッチホイール30の外側エッジ52に沿って延びており、第1のオーバーラップ線50はさらにファンタービン26を経て延びている。
【0074】
一実施例によれば、各プーリー28,29は、対応するベルト歯48と係合する歯31,32を備える。
【0075】
概して、本開示はまた、回転可能なワークツール2と、動力伝達ユニット27に含まれるクラッチホイール30を介して第1の駆動プーリー28を駆動するように構成された原動機4とを備える原動機駆動式ツール1に関し、第1の駆動プーリー28およびクラッチホイール30は共通駆動軸線38を中心として回転するように配置され、クラッチホイール30は共通駆動軸線38に沿って駆動プーリー28から最も遠くにある外側エッジ52を有し、さらに動力伝達ユニット27は、第1の駆動プーリー28が駆動されるときに回転可能なワークツール2を少なくとも間接的に駆動するように配置された無端駆動ベルト9を備え、原動機駆動式ツール1は、回転可能なワークツール2の一部を遮蔽するように配置された遮蔽カバー8と、遮蔽カバー8と回転可能なワークツール2との間に形成されたダストチャネル11とをさらに備え、ダストチャネル11は、このダストチャネル11から空気を輸送するように構成されると共に動力伝達ユニット27に含まれるファンプーリー29に接続されたファンタービン26を備えるファン装置13に少なくとも間接的に接続され、駆動ベルト9はファンプーリー29を駆動するように配置される。第1のオーバーラップ線50が共通駆動軸線38の延長線に対して垂直にクラッチホイール30の外側エッジ52に沿って延び、第1のオーバーラップ線50はファンタービン26を経てさらに延びている。
【0076】
一実施例によれば、ファンプーリー29が緊張状態にあるとき、駆動ベルト9は、緊張させられて、ファンプーリー29および回転可能なワークツール2の両方を駆動するように構成されており、ファンプーリー29が解放状態にあるとき、駆動ベルト9の緊張状態が解かれる。
【0077】
一実施例によれば、原動機駆動式ツール1は、ダストチャネル11をダストコンテナ15に接続するように配置されたダストホース14を備え、ファン装置13は、このダストホース14を介して、ダストチャネル11からダストコンテナ15内に空気を輸送するように構成される。
【0078】
一実施例によれば、各プーリー28,29は、対応するベルト歯48と係合する歯31,32を備える。
【0079】
一実施例によれば、共通駆動軸線38の延長線と直交する、ファンタービン26と駆動ベルト9との間に延在する第2のオーバーラップ線51が存在し、第1のオーバーラップ線50と第2のオーバーラップ線51との間にオーバーラップ距離54が形成され、このオーバーラップ距離54はゼロよりも大きい。
【符号の説明】
【0080】
1 原動機駆動式ツール(パワーカッター)
2 回転可能なワークツール
3 ケーシング
4 原動機
5 第1のハンドル部
6a スロットルスイッチ
6b スイッチロック
7 第2のハンドル部
8 遮蔽カバー
9 無端駆動ベルト(動力伝達手段)
10 動力伝達カバー
11 ダストチャネル
12 ダストパイプ
13 ファン装置
14 ダストホース
15 ダストコンテナ
16 中心
17 周縁
18 第1の旋回部
19,19’ 加工面
20 第1のスイベルアタッチメント
21 第1の旋回軸線
22 第2の旋回部
23 第2のスイベルアタッチメント
24 第2の旋回軸線
25 カバー
26 ファンタービン
27 動力伝達ユニット
28 第1の駆動プーリー
29 ファンプーリー
30 クラッチホイール
31,32 歯
33 第2の駆動プーリー
34 歯
35 開口
36 支持ホイール
37 分離壁
38 共通駆動軸線
39 第1のフレーム部分
40 第2のフレーム部分
41 第1のスプリング手段
42 第2のスプリング手段
43 ストッパーピン
44 第1のリム
45 第2のリム
46 成形エッジ
47 スロット
48 ベルト歯
49 鋸刃支持フレーム
50 第1のオーバーラップ線
51 第2のオーバーラップ線
52 外側エッジ
53 ファンブレード
54 オーバーラップ距離
55 外面
56 突出距離