(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵を増進させるためのフロー電池における力学的エネルギー貯蔵
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20220112BHJP
H01M 8/2455 20160101ALI20220112BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20220112BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20220112BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220112BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/2455
H01M8/2465
H01M8/02
H01M8/04 Z
H01M8/04 J
(21)【出願番号】P 2019534358
(86)(22)【出願日】2018-01-03
(86)【国際出願番号】 US2018012165
(87)【国際公開番号】W WO2018129026
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2021-01-04
(32)【優先日】2017-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ハマド,アーマド ディー
(72)【発明者】
【氏名】ソウエンティ,スタマティオス
(72)【発明者】
【氏名】アムル,イッサム ティー
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-184936(JP,A)
【文献】特開2005-340029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0375056(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0068508(US,A1)
【文献】特開昭58-176880(JP,A)
【文献】特表2011-527509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、および1つ以上の発電回路を備えるハイブリッドフローレドックス電池システムであって、
前記電気化学セルが、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつ前記アノードおよび前記カソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を備え、
前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つが、前記アノードおよび前記カソードに電気的に結合され、
前記アノライトタンクが、上部アノライト開口と、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口とを含み、
前記カソライトタンクが、上部カソライト開口と、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口とを含み、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記アノライトタンクを前記アノードに流体的に結合するように、前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記カソライトタンクを前記カソードに流体的に結合するように、前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、
前記1つ以上のタービンが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンクおよび前記カソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられ、
前記1つ以上のタンクセパレータが、電解質流を前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通るように誘導して、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能である、ハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項2】
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンク内に位置付けられたアノライトタンクセパレータ、および前記カソライトタンク内に位置付けられたカソライトタンクセパレータを備え、
前記アノライトタンクセパレータが帯電アノライト活物質を放電アノライト活物質から分離するように、前記アノライトタンクセパレータが前記アノライトタンク内に位置付けられ、
前記カソライトタンクセパレータが帯電カソライト活物質を放電カソライト活物質から分離するように、前記カソライトタンクセパレータが前記カソライトタンク内に位置付けられている、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項3】
前記1つ以上のタンクセパレータがそれぞれ、1トン/m
3~5トン/m
3の密度、および1トン~400トンの重量を備える、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項4】
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合された1つ以上の弁をさらに備え、
前記1つ以上の弁のそれぞれが、開位置と閉位置との間で作動可能であり、
前記開位置では、前記1つ以上の弁の電解質通過を可能にし、
前記閉位置では、前記1つ以上の弁の電解質通過を防ぐ、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項5】
前記1つ以上のタービンが、1つ以上のタービン発電機に電気的に結合され、
前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通る電解質流が、前記1つ以上のタービンを回転させ、前記1つ以上のタービン発電機により受け取り可能である電流を発生させ、水力発電式に電力を発生させる、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項6】
前記複数の電解質経路が、
前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口および前記アノードに流体的に結合されている下部アノライト経路と、
前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記上部アノライト開口および前記アノードに流体的に結合されている上部アノライト経路と、
前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口および前記カソードに流体的に結合されている下部カソライト経路と、
前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記上部カソライト開口および前記カソードに流体的に結合されている上部カソライト経路と、を備える、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項7】
前記下部アノライト開口が、第1の下部アノライト開口を含み、
前記アノライトタンクが、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられ、かつ前記下部アノライト経路に流体的に結合された第2の下部アノライト開口をさらに備え、
前記下部アノライト経路が、前記第1の下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在する一次支路を備え、
前記下部アノライト経路が、前記第2の下部アノライト開口と前記下部アノライト経路の前記一次支路との間に延在する二次支路を備え、
前記1つ以上のタービンが、前記下部アノライト経路の前記二次支路に流体的に結合されたアノライト側タービンを備える、請求項6に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項8】
前記第1の下部アノライト開口と、前記下部アノライト経路の前記一次支路と前記二次支路とのアノライト経路収束場所との間で、前記下部アノライト経路の前記一次支路に流体的に結合された第1のアノライト弁と、
前記第2の下部アノライト開口と前記アノライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第2のアノライト弁と、
前記アノライト経路収束場所と前記アノライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第3のアノライト弁と、
をさらに備え
、
前記第1、第2、および第3のアノライト弁のそれぞれが、閉位置と開位置との間で作動可能であり、
前記第1のアノライト弁が前記開位置にあり、前記第2および第3のアノライト弁がそれぞれ前記閉位置にあるとき、前記アノライト側タービンを通る電解質流が妨げられ、
前記第1のアノライト弁が前記閉位置にあり、前記第2および第3のアノライト弁がそれぞれ前記開位置にあるとき、前記アノライト側タービンを通る電解質流は妨げられない、請求項7に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項9】
前記下部カソライト開口が、第1の下部カソライト開口を備え、
前記カソライトタンクが、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられ、かつ前記下部カソライト経路に流体的に結合された第2の下部カソライト開口をさらに備え、
前記下部カソライト経路が、前記第1の下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在する一次支路を備え、
前記下部カソライト経路が、前記第2の下部カソライト開口と前記一次支路との間に延在する二次支路を備え、
前記1つ以上のタービンが、前記下部カソライト経路の前記二次支路に流体的に結合されたカソライト側タービンを備える、請求項6に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項10】
前記第1の下部カソライト開口と、前記下部カソライト経路の前記一次支路と前記二次支路とのカソライト経路収束場所との間で、前記下部カソライト経路の前記一次支路に流体的に結合された第1のカソライト弁と、
前記第2の下部カソライト開口と前記カソライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第2のカソライト弁と、
前記カソライト経路収束場所と前記カソライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第3のカソライト弁と、
をさらに備え
、
前記第1、第2、および第3のカソライト弁のそれぞれが、閉位置と開位置との間で作動可能であり、
前記第1のカソライト弁が前記開位置にあり、前記第2および第3のカソライト弁がそれぞれ前記閉位置にあるとき、前記カソライト側タービンを通る電解質流が妨げられ、
前記第1のカソライト弁が前記閉位置にあり、前記第2および第3のカソライト弁がそれぞれ前記開位置にあるとき、前記カソライト側タービンを通る電解質流は妨げられない、請求項
9に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項11】
アノライト溶液をさらに備え、前記アノライト溶液の1つ以上の活物質には、バナジウム、クロム、亜鉛、硫黄、ネプツニウム、ウラン、またはそれらの組み合わせが含まれ
、
前記アノードが、
前記アノライト溶液の帯電アノライト活物質を酸化させ、それにより、前記帯電アノライト活物質が、前記イオン交換膜から前記帯電アノライト活物質および陽子の両方を受け取った時点で前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つにより受け取り可能な電子を出すようにすることと、
前記アノライト溶液の放電アノライト活物質を還元させ、それにより、前記放電アノライト活物質が、前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つから前記放電アノライト活物質および電子の両方を受け取った時点で前記イオン交換膜によって受け取り可能な陽子を出すようにすること、を行うように電気化学的に構成されている、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項12】
カソライト溶液をさらに備え、前記カソライト溶液の1つ以上の活物質には、バナジウム、臭素、セリウム、塩素、フェリシアン化物、フェロシアン化物、マンガン、酸化ネプツニウム、酸化ウラン、またはそれらの組み合わせが含まれ
、
前記カソードが、
帯電カソライト活物質を還元させ、それにより、前記帯電カソライト活物質が、前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つから前記帯電カソライト活物質および電子の両方を受け取った時点で前記イオン交換膜により受け取り可能な陽子を出すようにすることと、
放電カソライト活物質を酸化させ、それにより、前記放電カソライト活物質が、前記イオン交換膜から前記放電カソライト活物質および陽子の両方を受け取った時点で前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つによって受け取り可能な電子を出すようにすることと、を行うように電気化学的に構成されている、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項13】
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合された1つ以上のポンプをさらに備え、
前記1つ以上のポンプが、前記上部アノライト開口および前記上部カソライト開口のうちの1つまたは1つより多いすなわち両方からの電解質流を誘導し、上向き方向に前記1つ以上のタンクセパレータを並進させるように構造的に構成され、
前記1つ以上のタンクセパレータが上昇位置から下降位置に前記下向き方向に並進するときに前記1つ以上のタービンを通る電解質流によって水力発電式に発生する電力が、前記1つ以上のタンクセパレータを前記上向き方向に前記下降位置から前記上昇位置に並進させるために前記1つ以上のポンプによって消費される電力以上である、請求項1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項14】
電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、1つ以上のポンプ、および1つ以上の発電回路を備えるハイブリッドフローレドックス電池システムであって、
前記電気化学セルが、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつ前記アノードおよび前記カソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を備え、
前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つが、前記アノードおよび前記カソードに電気的に結合され、
前記アノライトタンクが、上部アノライト開口と、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口とを含み、
前記カソライトタンクが、上部カソライト開口と、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口とを含み、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記アノライトタンクを前記アノードに流体的に結合するように、前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記カソライトタンクを前記カソードに流体的に結合するように、前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、
前記1つ以上のポンプが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタービンが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンクおよび前記カソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられ、
前記1つ以上のタンクセパレータが、電解質流を前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通るように誘導し、前記1つ以上のタービンを回転させて、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能であり、
前記1つ以上のタンクセパレータが上昇位置から下降位置に前記下向き方向に並進するときに前記1つ以上のタービンを通る電解質流によって水力発電式に発生する電力が、前記1つ以上のタンクセパレータを上向き方向に前記下降位置から前記上昇位置に並進させるために前記1つ以上のポンプによって消費される電力の50%以上である、ハイブリッドフローレドックス電池システム。
【請求項15】
電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、1つ以上の弁、および1つ以上の発電回路を備えるハイブリッドフローレドックス電池システムであって、
前記電気化学セルが、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつ前記アノードおよび前記カソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を備え、
前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つが、前記アノードおよび前記カソードに電気的に結合され、
前記アノライトタンクが、上部アノライト開口と、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口と、を含み、
前記カソライトタンクが、上部カソライト開口と、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口と、を含み、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記アノライトタンクを前記アノードに流体的に結合するように、前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記カソライトタンクを前記カソードに流体的に結合するように、前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、
前記1つ以上の弁が、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタービンが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンクおよび前記カソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられ、
前記1つ以上のタンクセパレータが、電解質流を前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通るように誘導して、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能であり、
電解質が、前記電気化学セルから前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの少なくとも1つに流れるとき、前記1つ以上の弁が、前記1つ以上のタービンのうちの少なくとも1つの電解質通過を防ぎ、
電解質が、前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの少なくとも1つから前記電気化学セルに流れるとき、前記1つ以上の弁が、前記1つ以上のタービンのうちの少なくとも1つの電解質通過を可能にする、ハイブリッドフローレドックス電池システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年1月4日に出願された米国特許出願第15/397991号に対する優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ハイブリッドフローレドックス電池システムに関する。より具体的には、本開示は、タンクセパレータおよびタービンを含むハイブリッドフローレドックス電池システム向けの技術を紹介する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の発明の対象によれば、ハイブリッドフローレドックス電池システムは、電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、および1つ以上の発電回路を含む。電気化学セルは、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつアノードおよびカソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を含む。1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つは、アノードおよびカソードに電気的に結合されている。アノライトタンクは、上部アノライト開口と、その上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口とを含む。カソライトタンクは、上部カソライト開口と、その上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口とを含む。複数の電解質経路のうちの1つ以上は、アノライトタンクをアノードに流体的に結合するように、上部アノライト開口とアノードとの間に延在し、かつ下部アノライト開口とアノードとの間に延在する。複数の電解質経路のうちの1つ以上は、カソライトタンクをカソードに流体的に結合するように、上部カソライト開口とカソードとの間に延在し、かつ下部カソライト開口とカソードとの間に延在する。1つ以上のタービンは、複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合されている。1つ以上のタンクセパレータは、アノライトタンクおよびカソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられている。また、1つ以上のタンクセパレータは、電解質流を下部アノライト開口および下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から1つ以上のタービンを通るように誘導して、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能である。
【0004】
本開示の一実施形態によれば、ハイブリッドフローレドックス電池システムは、電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、1つ以上のポンプ、および1つ以上の発電回路を含む。電気化学セルは、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつアノードおよびカソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を含む。1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つは、アノードおよびカソードに電気的に結合されている。アノライトタンクは、上部アノライト開口と、その上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口とを含む。カソライトタンクは、上部カソライト開口と、その上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口とを含む。複数の電解質経路のうちの1つ以上は、アノライトタンクをアノードに流体的に結合するように、上部アノライト開口とアノードとの間に延在し、かつ下部アノライト開口とアノードとの間に延在する。複数の電解質経路のうちの1つ以上は、カソライトタンクをカソードに流体的に結合するように、上部カソライト開口とカソードとの間に延在し、かつ下部カソライト開口とカソードの間に延在する。1つ以上のポンプは、複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合されている。1つ以上のタービンは、複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合されている。1つ以上のタンクセパレータは、アノライトタンクおよびカソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられている。1つ以上のタンクセパレータは、電解質流を下部アノライト開口および下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から1つ以上のタービンを通るように誘導し、1つ以上のタービンを回転させて、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能である。また、1つ以上のタンクセパレータが上昇位置から下降位置に下向き方向に並進するときに、1つ以上のタービンを通る電解質流によって水力発電式に発生する電力は、1つ以上のタンクセパレータを上向き方向に下降位置から上昇位置に並進させるために1つ以上のポンプによって消費される電力の50%以上である。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、ハイブリッドフローレドックス電池システムは、電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、1つ以上の弁、および1つ以上の発電回路を含む。電気化学セルは、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつアノードおよびカソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を含む。1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つは、アノードおよびカソードに電気的に結合されている。アノライトタンクは、上部アノライト開口と、その上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口とを含む。カソライトタンクは、上部カソライト開口と、その上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口とを含む。複数の電解質経路のうちの1つ以上は、アノライトタンクをアノードに流体的に結合するように、上部アノライト開口とアノードとの間に延在し、かつ下部アノライト開口とアノードとの間に延在する。複数の電解質経路のうちの1つ以上は、カソライトタンクをカソードに流体的に結合するように、上部カソライト開口とカソードとの間に延在し、かつ下部カソライト開口とカソードとの間に延在する。1つ以上の弁は、複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合されている。1つ以上のタービンは、複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合されている。1つ以上のタンクセパレータは、アノライトタンクおよびカソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられている。1つ以上のタンクセパレータは、電解質流を下部アノライト開口および下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から1つ以上のタービンを通るように誘導して、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能である。電解質が、電気化学セルから下部アノライト開口および下部カソライト開口のうちの少なくとも1つに流れるとき、1つ以上の弁が、1つ以上のタービンのうちの少なくとも1つへの電解質通過を防ぐ。また、電解質が、下部アノライト開口および下部カソライト開口のうちの少なくとも1つから電気化学セルに流れるとき、1つ以上の弁が、1つ以上のタービンのうちの少なくとも1つへの電解質通過を可能にする。
【0006】
本開示の概念は、本開示において、いくつかの特定のハイブリッドフローレドックス電池システム構成を主に参照して説明されているが、この概念が任意の構成を有するハイブリッドフローレドックス電池システムへの適用可能性を享受すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている以下の図面と併せて読むと、最もよく理解され得る。
【0008】
【
図1】本明細書に図示され、説明されている1つ以上の実施形態による、1つ以上のタンクセパレータおよび1つ以上のタービンを有するハイブリッドフローレドックス電池システムの概略図である。
【
図2】本明細書に図示され、説明されている1つ以上の実施形態による、ある作動構成例における1つ以上のタンクセパレータ、1つ以上のタービン、および複数の弁を有するハイブリッドフローレドックス電池システムの別の実施形態の概略図である。
【
図3】本明細書に図示され、説明されている1つ以上の実施形態による、別の作動構成例における複数の弁を有する、
図2のハイブリッドフローレドックス電池システムの概略図である。
【
図4】本明細書に図示され、説明されている1つ以上の実施形態による、別の作動構成例における複数の弁を有する、
図2のハイブリッドフローレドックス電池システムの概略図である。
【
図5】本明細書に図示され、説明されている1つ以上の実施形態による、別の作動構成例における複数の弁を有する、
図2のハイブリッドフローレドックス電池システムの概略図である。
【
図6】本明細書に図示され、説明されている1つ以上の実施形態による、1つ以上のタンクセパレータの位置付けに基づき、1つ以上のタンクセパレータによってハイブリッドフロー電池レドックスシステムに加えられる追加の位置エネルギーのグラフ図である。
【
図7】本明細書に図示され、説明されている1つ以上の実施形態による、フローレドックス電池システムの1つ以上のタンクセパレータの総重量に基づき1つ以上のタービンによって回収される、アノライトポンプおよびカソライトポンプによって消費されるエネルギーの割合のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~5は、ハイブリッドフロー還元/酸化(レドックス)電池システム100の概略図である。ハイブリッドフローレドックス電池システム100は、電気化学セル110、アノライトタンク130、カソライトタンク140、発電回路180、および1つ以上のタービン190を備える。電気化学セル110は、発電回路180に電気的に結合され、また複数の電解質経路160を使用して、アノライトタンク130およびカソライトタンク140に流体的に結合されている。ハイブリッドフローレドックス電池システム100は、アノライト溶液およびカソライト溶液などの電解質溶液を含む。アノライト溶液は、アノライトタンク130内に収容され得、アノライトタンク130と電気化学セル110との間を流れることができる。カソライト溶液は、カソライトタンク140内に収容され得、カソライトタンク140と電気化学セル110との間を流れることができる。動作時、アノライト溶液およびカソライト溶液が電気化学セル110に存在するとき、電気化学セル110は、発電回路180と組んで、電気化学的に電力を発生させることができる。また、アノライトタンク130またはカソライトタンク140と電気化学セル110との間を流れる電解質溶液が、1つ以上のタービン190を通って流れ、1つ以上のタービン190を作動させて水力発電式に電力を発生させることができるように、1つ以上のタービン190が複数の電解質経路160に流体的に結合されている。
【0010】
アノライト溶液は、複数の帯電アノライト活物質、複数の放電アノライト活物質、またはそれらの組み合わせを含み得、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学放電動作の間に電気化学セル110において酸化し、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学充電動作の間に電気化学セル110において還元するように組成的に構成されている。本出願において使用される際、「活物質」とは、レドックス反応を経ているときに酸化状態を変えるように組成的に構成されている、原子、イオン、分子、または同類のものなどの化学成分を指す。例えば、アノライト溶液の活物質には、バナジウム、クロム、亜鉛、硫黄、ネプツニウム、ウラン、またはそれらの組み合わせが含まれ得ると考えられる。さらにまた、複数の帯電アノライト活物質のそれぞれは、複数の放電アノライト活物質のそれぞれより小さな正電荷および軽い酸化状態を有する。
【0011】
カソライト溶液は、複数の帯電カソライト活物質、複数の放電カソライト活物質、またはそれらの組み合わせを含み得、電気化学放電動作の間に電気化学セル110において還元し、電気化学充電動作の間に電気化学セル110において酸化するように組成的に構成されている。複数の帯電カソライト活物質のそれぞれは、複数の放電活物質のそれぞれよりも大きな正電荷および激しい酸化状態を有する。例えば、カソライト溶液の活物質には、バナジウム、臭素、セリウム、塩素、フェリシアン化物、フェロシアン化物、マンガン、酸化ネプツニウム、酸化ウラン、またはそれらの組み合わせが含まれ得ると考えられる。
【0012】
また、アノライト溶液およびカソライト溶液には、それぞれ、様々な標準還元電位を呈するレドックス対を有するいずれの活物質も含まれ得る。また、アノライト溶液には、カソライト溶液の活物質よりも標準還元が劣る活物質が含まれ得る。下表は、カソライト溶液およびアノライト溶液として使用され得る活物質レドックス対の非網羅的リストを示す。
【表1】
【0013】
図1~5に示されているように、電気化学セル110は、アノード112とカソード122との間に位置付けられ、かつアノード112およびカソード122と電気化学的に係合されたイオン交換膜120を備える。アノード112は、発電回路180に電気的に結合されたアノード導電部分116を含み、それにより、アノード112と発電回路180との間に電子が流れることができる。アノード112は、アノライトタンク130に流体的に結合されたアノライト受け取り部分114も含み、それにより、アノライトタンク130とアノード112のアノライト受け取り部分114との間を電解質経路160のうちの1つ以上に沿って、アノライト溶液が流れることができる。アノライト溶液がアノライト受け取り部分114に入っているとき、アノライト溶液は、イオン交換膜120およびアノード導電部分116に電気化学的に接触し得る。
【0014】
カソード122は、発電回路180に電気的に結合されたカソード導電部分126を含み、それにより、カソード122と発電回路180との間に電子が流れることができる。カソード122は、カソライトタンク140に流体的に結合されたカソライト受け取り部分124も含み、それにより、カソライトタンク140とカソード122のカソライト受け取り部分124との間に、電解質経路160のうちの1つ以上に沿って、カソライト溶液が流れることができる。カソライト溶液がカソライト受け取り部分124内に入っているとき、カソライト溶液は、イオン交換膜120およびカソード導電部分126に電気化学的に接触し得る。
【0015】
イオン交換膜120には、固体陽子伝導材料、例えば、Nafion(登録商標)、Nafion(登録商標)117、Flemion(登録商標)、Fumapem(登録商標)、Aciplex(登録商標)、Dow(登録商標)マテリアルズ、Selemion(登録商標)、TPS(登録商標)、Gore(登録商標)L01854、Gore(登録商標)M04494、ABT3、ABT4、SZ、Hipore(登録商標)、SPEEK、Nafion(登録商標)/SPEEK、PSSS、SPTK、Radel(登録商標)、PVDF-PSSA、ETFE-PDMAEMA、SPEEK/TPA、TPA/PP、SPEEK/PTFE、SPEEK/PFSA、PBI、PSf-ABIm、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテル系重合体、または同類のものが含まれ得る。イオン交換膜120は、電気化学セル110内に位置付けられ、アノード112のアノライト受け取り部分114とカソード122のカソライト受け取り124との間に物理的障壁をもたらし得る。また、イオン交換膜120は、アノード112とカソード122との間に陽子経路108をもたらすように構造的に構成され、それにより、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学放電動作および電気化学充電動作の間に、陽子がそれら間を流れ、アノード112およびカソード122内の酸化および還元反応を促進し得る。
【0016】
また、イオン交換膜120の陽子経路108は、アノード112と、発電回路180と、カソード122との間の回路を閉じることができ、それにより、酸化および還元反応が、アノード112とカソード122との間で発電回路180を通る電子流を発生させ得、アノード112とカソード122との間でイオン交換膜120を通る陽子流を発生させ得る。例えば、電気化学放電動作の間、陽子は、カソード122からアノード112への陽子放出流方向104に、イオン交換膜に120によってもたらされた陽子経路108を通過することができ、電気化学充電動作の間、陽子は、アノード112からカソード122への陽子投入流方向105に、イオン交換膜120の陽子経路108を通過することができる。
【0017】
引き続き
図1~5を参照すると、発電回路180は、発電ユニット184を備える。回路経路182は、アノード112、発電ユニット184、およびカソード122に電気的に結合されている。例えば、回路経路182は、アノード112と発電ユニット184との間に延在して、アノード112と発電ユニット184とを電気的に結合し得、また回路経路182は、カソード122と発電ユニット184との間に延在して、カソード122と発電ユニット184とを電気的に結合し得る。発電ユニット184は、電源および電気負荷を備え得る。また、発電ユニット184は、アノード112により出された電子によって発生した電流を受け取り、電流を受け取ると、電力を発生させるように構造的に構成されている。発電ユニット184は、アノード112により受け取り可能である電流を出して、アノライト溶液およびカソライト溶液を帯電させるようにも構造的に構成されている。
【0018】
動作時、ハイブリッドフローレドックス電池システム100は、電気化学充電動作または電気化学放電動作を行うことができる。ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学放電動作の間、アノード112は、アノライト溶液から帯電アノライト活物質を受け取ることができる。アノード112は、イオン交換膜120によって形成された陽子経路108からカソード122によって出された陽子を受け取り、帯電アノライト活物質を酸化させることもできる。酸化するとき、帯電アノライト活物質は、アノード導電部分116により受け取り可能な電子を出し、それにより、電子は、電子放出方向106に、回路経路182に沿って発電回路180に流れる。さらにまた、酸化後、すでに帯電したアノライト活物質は、放電アノライト活物質を含み、アノード112から電解質経路160のうちの1つ以上に沿って、アノライトタンク130へ還流する。
【0019】
また、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学放電動作の間、カソード122は、カソライト溶液から帯電カソライト活物質を受け取ることができる。さらにまた、カソード122は、発電回路180から電子を受け取り、帯電カソライト活物質を還元させることができる。還元するとき、帯電カソライト活物質は、イオン交換膜120によって形成された陽子経路108により受け取り可能な陽子(例えば、アノード112により受け取り可能な陽子)を出す。還元後、すでに帯電したカソライト活物質は、放電カソライト活物質を含み、カソード122から電解質経路160のうちの1つ以上に沿ってカソライトタンク140へ還流する。
【0020】
引き続き
図1~5を参照すると、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学充電動作の間、アノード112は、アノライト溶液から放電アノライト活物質を受け取ることができる。アノード112は、発電回路180から電子を受け取り、放電アノライト活物質を還元させることもできる。還元されるとき、放電アノライト活物質は、イオン交換膜120によって形成された陽子経路108により受け取り可能な陽子を出す。さらにまた、還元後、すでに放電したアノライト活物質は、帯電アノライト活物質を含み、アノード112から電解質経路160のうちの1つ以上に沿ってアノライトタンク130に還流する。
【0021】
また、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学充電動作の間、カソード122は、カソライト溶液から放電カソライト活物質を受け取ることができる。さらにまた、カソード122は、イオン交換膜120によって形成された陽子経路108からアノード112によって出された陽子を受け取り、カソード122において放電カソライト活物質を酸化させることができる。酸化するとき、放電カソライト活物質は、カソード導電部分126により受け取り可能な電子を出し、それにより、電子は、電子投入方向107に、回路経路182に沿って発電回路180に流れる。酸化後、すでに放電したカソライト活物質は、帯電カソライト活物質を含み、カソード122から電解質経路160のうちの1つ以上に沿ってカソライトタンク140に還流する。
【0022】
引き続き
図1~5を参照すると、アノライトタンク130は、アノライトタンク上面135で終端するアノライトタンク上端132と、アノライトタンク下面137で終端するアノライトタンク下端134とを含む。アノライトタンク130は、アノライトタンク上面135とアノライト下面137との間に延在するアノライトタンク内面136を含む。また、アノライトタンク130は、上部アノライト開口131と、その上部アノライト開口131の下方に位置付けられた下部アノライト開口133とを含む。上部アノライト開口131は、アノライトタンク上端132に位置付けられ得、例えば、上部アノライト開口131は、アノライトタンク上面135を貫通し得る。また、下部アノライト開口133は、アノライトタンク下端134に位置付けられ得、例えば、下部アノライト開口133は、アノライトタンク下面137を貫通し得る。しかし、上部アノライト開口131および下部アノライト開口133が、それぞれ、下部アノライト開口133が上部アノライト開口131の下方に位置付けられているアノライトタンク130上の場所で、例えば、アノライトタンク内面136に沿う場所で、アノライトタンク130を貫通し得ることが理解されよう。
【0023】
また、1つ以上の電解質経路160には、下部アノライト経路162および上部アノライト経路164が含まれる。下部アノライト経路162は、アノライトタンク130の下部アノライト開口133とアノード112、例えば、アノード112のアノライト受け取り部分114との間に延在し、その下部アノライト開口133とアノード112とを流体的に結合する上部アノライト経路164は、アノライトタンク130の上部アノライト開口131とアノード112、例えば、アノード112のアノライト受け取り部分114との間に延在し、その上部アノライト開口131とアノード112とを流体的に結合する。下部アノライト経路162および上部アノライト経路164は、それぞれ、チューブ、管、または他の流体経路機構を備える。また、下部アノライト経路162または上部アノライト経路164のうちの1つに、アノライトポンプ139が流体的に結合され得る。アノライトポンプ139は、任意の流体ポンピング機構を備え、アノライトタンク130とアノード112との間に流体流を発生させるように構造的に構成されている。
【0024】
ここで
図2~5を参照すると、下部アノライト開口133は、第1の下部アノライト開口133aであり得、アノライトタンク130が、第2の下部アノライト開口133bをさらに含み得る。第1の下部アノライト開口133aと同様、第2の下部アノライト開口133bも、上部アノライト開口131の下方に位置付けられ、下部アノライト経路162に流体的に結合されている。例えば、第2の下部アノライト開口133bは、アノライトタンク下面137を貫通し得、または、アノライトタンク内面136を貫通し得る。
【0025】
図2~5に示されているように、下部アノライト経路162は、第1の下部アノライト開口133aに結合された一次支路162aと、第2の下部アノライト開口133bに結合された二次支流162bとを含み得る。下部アノライト経路162の一次支路162aは、第1の下部アノライト開口133aとアノード112との間に延在する。また、下部アノライト経路162の二次支流162bは、第2の下部アノライト開口133bと下部アノライト経路162の一次支路162aとの間に延在する。例えば、
図2~5に示されているように、二次支流162bは、アノライト経路収束場所165において一次支路162aに結合されている。したがって、第1の下部アノライト開口133aとアノード112との間のアノライト溶液流は、下部アノライト経路162の一次支路162aを通過する。また、第2の下部アノライト開口133bとアノード112との間のアノライト溶液流は、二次支路162bと、アノライト経路収束場所165とアノード112との間に延在する一次支路162aの部分との両方を通過する。
【0026】
再び
図1~5を参照すると、カソライトタンク140は、カソライトタンク上面145で終端するカソライトタンク上端142と、カソライトタンク下面147で終端するカソライトタンク下端144とを含む。カソライトタンク140は、カソライトタンク上面145とカソライトタンク下面147との間に延在するカソライトタンク内面146を含む。また、カソライトタンク140は、上部カソライト開口141と、その上部カソライト開口141の下方に位置付けられた下部カソライト開口143とを含む。上部カソライト開口141は、カソライトタンク上端142に位置付けられ得、例えば、上部カソライト開口141は、カソライトタンク上面145を貫通し得る。また、下部カソライト開口143は、カソライトタンク下端144に位置付けられ得、例えば、下部カソライト開口143は、カソライトタンク下面147を貫通し得る。しかし、上部カソライト開口141および下部カソライト開口143が、それぞれ、下部カソライト開口143が上部カソライト開口141の下方に位置付けられているカソライトタンク140上の任意の場所で、例えば、カソライトタンク内面146に沿う場所で、カソライトタンク140の中に延在し得ることが理解されよう。
【0027】
また、1つ以上の電解質経路160には、下部カソライト経路172および上部カソライト経路174が含まれる。下部カソライト経路172は、カソライトタンク140の下部カソライト開口143とカソード122、例えば、カソード122のカソライト受け取り部分124との間に延在し、その下部カソライト開口143とカソード122とを流体的に結合する。また、上部カソライト経路174は、カソライトタンク140の上部カソライト開口141とカソード122、例えば、カソライト受け取り部分124との間に延在し、その上部カソライト開口141とカソード122とを流体的に結合している。下部カソライト経路172および上部カソライト経路174は、それぞれ、チューブ、管、または他の流体経路機構を備える。下部カソライト経路172または上部カソライト経路174のうちの1つに流体的に結合されたカソライトポンプ149。カソライトポンプ149は、任意の流体ポンピング機構を備え、カソライトタンク140とカソード122との間に流体流を発生させるように構造的に構成されている。
【0028】
再び
図2~5を参照すると、下部カソライト開口143は、第1の下部カソライト開口143aであり得、カソライトタンク140が、第2の下部カソライト開口143bをさらに含み得る。第1の下部カソライト開口143aと同様、第2の下部カソライト開口143bも、上部カソライト開口141の下方に位置付けられ、下部カソライト経路172に流体的に結合されている。例えば、第2の下部カソライト開口143bは、カソライトタンク下面147を貫通し得、またはカソライトタンク内面146を貫通し得る。
【0029】
図2~5に示されているように、下部カソライト経路172は、第1の下部カソライト開口143aに結合された一次支路172aと、第2の下部カソライト開口143bに結合された二次支路172bとを含み得る。下部カソライト経路172の一次支路172bは、第1の下部カソライト開口143aとカソード122、例えば、カソード122のカソライト受け取り部分124との間に延在する。また、下部カソライト経路172の二次支路172b。例えば、
図2~5に示されているように、二次支流172bは、カソライト経路収束場所175において一次支路172aに結合されている。したがって、第1の下部カソライト開口143aとカソード122との間のカソライト溶液流は、下部カソライト経路172の一次支路172aを通過する。また、第2の下部カソライト開口143bとカソード122との間のカソライト溶液流は、二次支流172bと、カソライト経路収束場所175とカソード122との間に延在する一次支路の172aの部分との両方を通過する。
【0030】
再び1~5を参照すると、1つ以上のタンクセパレータ150には、アノライトタンク130内に位置付けられたアノライトタンクセパレータ150aと、カソライトタンク140内に位置付けられたカソライトタンクセパレータ150bとが含まれる。アノライトタンクセパレータ150aは、アノライトタンク130の上部容積をアノライトタンク130の下部容積から流体的に分離するように、アノライトタンク内面136と並進可能に接触している。本開示において使用される際、「アノライトタンク130の上部容積」とは、アノライトタンクセパレータ150aとアノライトタンク上面135との間のアノライトタンク130の部分を指す。また、本開示において使用される際、「アノライトタンク130の下部容積」とは、アノライトタンクセパレータ150aとアノライトタンク下面137との間のアノライトタンク130の部分を指す。
【0031】
アノライトタンクセパレータ150aが帯電アノライト活物質を放電アノライト活物質から分離するように、アノライトタンクセパレータ150aは、アノライトタンク130内に位置付けられている。したがって、動作時、アノライトタンク130は、主に、帯電アノライト活物質のみまたは放電アノライト活物質のみを含むアノライト溶液を、アノード112のアノライト受け取り部114に供給し得る。一例として、帯電アノライト活物質がアノライトタンク130の上部容積内に収められ、放電アノライト活物質がアノライトタンク130の下部容積内に収められるように、アノライト活物質は、アノライトタンク130に位置付けられ得る。この例では、アノライトポンプ139は、還元および電気化学充電を経ている際に、放電アノライト活物質がアノライトタンク130の下部容積からアノード112に移動するような第1の流れ方向102のアノライト溶液流を発生させ得、あるいは、アノライトポンプ139は、酸化および電気化学放電を経ている際に、帯電アノライト活物質がアノライトタンク130の上部容積からアノード112に移動するような第2の流れ方向103のアノライト溶液流を発生させ得る。
【0032】
別の例として、放電アノライト活物質がアノライトタンク130の上部容積内に収められ、帯電アノライト活物質がアノライトタンク130の下部容積内に収められるように、アノライト活物質は、アノライトタンク130に位置付けられ得る。この例では、アノライトポンプ139は、酸化および電気化学放電を経ている際に、帯電アノライト活物質がアノライトタンク130の下部容積からアノード112に移動するような第1の流れ方向102のアノライト溶液流を発生させ得、あるいは、アノライトポンプ139は、還元および電気化学充電を経ている際に、放電アノライト活物質がアノライトタンク130の上部容積からアノード112に移動するような第2の流れ方向103のアノライト溶液流を発生させ得る。
【0033】
カソライトタンクセパレータ150bは、カソライトタンク140の上部容積をカソライトタンク140の下部容積から流体的に分離するように、カソライトタンク内面146と並進可能に接触している。本開示において使用される際、「カソライトタンク140の上部容積」とは、カソライトタンクセパレータ150bとカソライトタンク上面145との間のカソライトタンク140の部分を指す。また、本開示において使用される際、「カソライトタンク140の下部容積」とは、カソライトタンクセパレータ150bとカソライトタンク下面147との間のカソライトタンク140の部分を指す。
【0034】
さらにまた、カソライトタンクセパレータ150bが帯電カソライト活物質を放電カソライト活物質から分離するように、カソライトタンクセパレータ150bは、アノライトタンク140内に位置付けられている。したがって、動作時、カソライトタンク140は、主に、帯電カソライト活物質のみまたは放電カソライト活物質のみを含むカソライト溶液をカソード122のカソライト受け取り部分124に供給し得る。一例として、帯電カソライト活物質がカソライトタンク140の上部容積内に収められ、放電カソライト活物質がカソライトタンク140の下部容積内に収められるように、カソライト活物質は、カソライトタンク140に位置付けられ得る。この例では、カソライトポンプ149は、酸化および電気化学充電を経ている際に、放電カソライト活物質がカソライトタンク140の下部容積からカソード122に移動するような第1の流れ方向102のカソライト溶液流を発生させ得、あるいは、カソライトポンプ149は、還元および電気化学放電を経ている際に、帯電カソライト活物質がカソライトタンク140の上部容積からカソード122に移動するような第2の流れ方向103のカソライト溶液流を発生させ得る。
【0035】
別の例として、放電カソライト活物質がカソライトタンク140の上部容積内に収められ、帯電カソライト活物質がカソライトタンク140の下部容積内に収められるように、カソライト活物質は、カソライトタンク140に位置付けられ得る。この例では、カソライトポンプ149は、還元および電気化学放電を経ている際に、帯電カソライト活物質がカソライトタンク140の下部容積からカソード122に移動するような第1の流れ方向102のカソライト溶液流を発生させ得、あるいは、カソライトポンプ149は、酸化および電気化学充電を経ている際に、放電カソライト活物質がカソライトタンク140の上部容積からカソード122に移動するような第2の流れ方向103のカソライト溶液流を発生させ得る。
【0036】
アノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bは、それぞれ、上昇位置154と下降位置156との間を、例えばスライド式に、並進可能である。
図1~5に示されているように、アノライトタンクセパレータ150aとアノライトタンク下面137との間の距離、およびカソライトタンクセパレータ150bとカソライトタンク下面147との距離は、両方とも、下降位置156においてよりも上昇位置154において大きい。アノライトタンクセパレータ150aとアノライトタンク下面137との間の距離は、アノライト溶液の下部容積の高さh
aと対応する。また、カソライトタンクセパレータ150bとカソライトタンク下面147との間の距離は、カソライト溶液の下部容積の高さh
cと対応する。示されていないが、上昇位置154では、アノライトタンクセパレータ150aは、アノライトタンク上面135に接触し得、カソライトタンクセパレータ150bは、カソライトタンク上面145に接触し得る。さらにまた、下降位置156では、アノライトタンクセパレータ150aは、アノライトタンク下面137に接触し得、カソライトタンクセパレータ150bは、カソライトタンク下面147に接触し得る。しかし、上昇位置154が下降位置156の上方のいずれの場所でもよく、下降位置156が上昇位置154の下方のいずれの場所でもよいことが理解されよう。
【0037】
アノライトタンクセパレータ150aとカソライトタンクセパレータ150bは、それぞれアノライトタンク130内とカソライトタンク140内に収められたアノライト溶液とカソライト溶液に対してそれぞれ不浸透性である。それぞれアノライトタンク130とカソライトタンク140の上部容積と下部容積との間の流体通過を防ぐために、1つ以上のタンクセパレータ150のそれぞれに、機械的シーラ152が結合され得る。機械的シーラ152には、Oリング、ガスケット、または他の任意の既知のもしくは今後開発される封止デバイスが含まれ得る。また、アノライトタンクセパレータ150aとカソライトタンクセパレータ150bは、それぞれアノライトタンク130内とカソライトタンク140内に収められたアノライト溶液とカソライト溶液の密度よりも高い密度をそれぞれ有する。
【0038】
例えば、アノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bは、それぞれ、約0.01トン/m3~約15トン/m3、例えば、約0.5トンm3、1トン/m3、2トン/m3、3トン/m3、4トン/m3、5トン/m3、7.5トン/m3、10トン/m3、12.5トン/m3などの密度を備え得る。また、1つ以上のタンクセパレータ150は、それぞれ、約0.1トン~約400トン、例えば、0.5トン、1トン、5トン、10トン、25トン、30トン、35トン、40トン、45トン、50トン、75トン、90トン、100トン、150トン、200トン、250トン、300トン、350トンなどの重量を備える。さらにまた、アノライトタンクセパレータ150aとカソライトタンクセパレータ150bとは、同じ密度または異なる密度を備え得、同じ重量または異なる重量を備え得る。アノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bの材料例には、金属、非金属、金属合金、セラミックスなどが含まれる。さらにまた、アノライトタンクセパレータ150aが、アノライト溶液の密度よりも大きな密度を有するいずれの材料も含み得、カソライトタンクセパレータ150bが、カソライト溶液よりも大きな密度を有するいずれの材料も含み得ることが理解されよう。
【0039】
動作時、上昇位置154と下降位置156との間の下向き方向153のアノライトタンクセパレータ150aの移動は、アノライトタンク130とアノード112との間の第1の流れ方向102における、例えば、下部アノライト開口133からアノード112へのアノライト溶液流、およびアノード112から上部アノライト開口131へのアノライト溶液流と対応する。下降位置156と上昇位置154との間の上向き方向151のアノライトタンクセパレータ150aの移動は、アノライトタンク130とアノード112との間の第2の流れ方向103におけるアノライト溶液流、例えば、上部アノライト開口131からアノード112へのアノライト溶液流、およびアノード112から下部アノライト開口133へのアノライト溶液流と対応する。
【0040】
上昇位置154と下降位置156との間の下向き方向153におけるカソライトタンクセパレータ150bの移動は、カソライトタンク140とカソード122との間の第1の流れ方向102における、例えば、下部カソライト開口143からカソード122へのカソライト溶液流、およびカソード122から上部カソライト開口141へのカソライト溶液流と対応する。下降位置156と上昇位置154との間の上向き方向151のカソライトタンクセパレータ150bの移動は、アノライトタンク130とアノード112との間の第2の流れ方向103におけるアノライト溶液流、例えば、上部カソライト開口141からカソード122へのカソライト溶液流、およびカソード122から下部カソライト開口143へのカソライト溶液流と対応する。
【0041】
また、下向き方向153におけるアノライトタンクセパレータ150aとカソライトタンクセパレータ150bの移動は、下向きの力を、それぞれアノライト溶液の下部容積とカソライト溶液の下部容積にかけ、1つ以上の電解質経路160を通る、例えば、下部アノライト経路162と下部カソライト経路172を通る、アノライト溶液とカソライト溶液の容積測定流体流を増加させる。電解質経路160を通る容積測定流量を増加させることによって、アノライト溶液およびカソライト溶液が、1つ以上の電解質経路160に流体的に結合された1つ以上のタービン190を作動させ得、それにより、1つ以上のタービン190は、水力発電式に電力を発生させる。
【0042】
1つ以上のタンクセパレータ150は、1つ以上のタービン190と組んで、ハイブリッドフローレドックス電池システム100に蓄えられ得る総エネルギーを増加させる。1つ以上のタンクセパレータ150は、例えば、1つ以上のタンクセパレータ150が上昇位置154に位置付けられているとき、位置エネルギーを蓄える。1つ以上のタンクセパレータ150に蓄えられた位置エネルギーは、1つ以上のタービン190によって水力発電式に採取され得る。各タンクセパレータ150内に蓄えられた位置エネルギーは、E=(me+mp)gheとして数学的に記述され得、式中、Eは、各タンクセパレータ150に蓄えられた位置エネルギーであり、meは、アノライトタンク130またはカソライトタンク140内に蓄えられた電解質の質量であり(例えば、アノライト溶液またはカソライト溶液)、mpは、タンクセパレータ150の質量であり、gは、重力加速度であり、hは、電解質の下部容積の高さであり(例えば、アノライト溶液の下部容積の高さhaまたはカソライト溶液の下部容積の高さhc)、eは、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の位置エネルギー貯蔵効率である。したがって、アノライト溶液の質量、カソライト溶液の質量、アノライトタンクセパレータ150aの質量、カソライトタンクセパレータ150bの質量、アノライト溶液の下部容積の高さha、およびカソライト溶液の下容積の高さhcが大きくなるほど、それぞれ、1つ以上のタンクセパレータ150に蓄えられ、1つ以上のタービン190によって水力発電式に採取可能な位置エネルギーが増加し得る。
【0043】
ここで
図6を参照すると、アノライトタンク130の下部容積の高さh
aおよびカソライトタンク140の下部容積の高さh
c(「電解質の下部容積の高さ」として
図6に示される)とともに、アノライトタンクセパレータ150aとカソライトタンクセパレータ150bとの合計重量に基づき、アノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bによって、ハイブリットフローレドックス電池システム100例に全体として加えられる総位置エネルギーを表すグラフ200が示されている。
図6に示されている例では、ハイブリッドフローレドックス電池システム100は、1メガワット(MW)の公称電力、および約8時間の貯蔵容量を有し、したがって、このハイブリッドフローレドックス電池システム100例における総貯蔵エネルギーは、約8000キロワット時(kWh)であるまた、この非限定的な例における位置エネルギー貯蔵効率eは、約80%である。さらにまた、
図6にグラフで示されているこのハイブリッドフローレドックス電池システム100例のアノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bは、それぞれ、2.5トン/立方メートル(m
3)の密度、および1mのタンクセパレータ高さを有する。
【0044】
引き続き
図6を参照すると、このハイブリッドフローレドックス電池システム100例に加えられる位置エネルギーが、それぞれが異なるエネルギー密度を備える4つの電解質例に対して、グラフで示されている。例えば、線202は、リットル当たり約10ワット時(Wh/l)のエネルギー密度を有する電解質を表し、線204は、約15Wh/lのエネルギー密度を有する電解質を表し、線206は、約20Wh/lのエネルギー密度を有する電解質を表し、線208は、約25Wh/lのエネルギー密度を有する電解質を表す。
図6に示されているように、電解質のエネルギー密度は、ハイブリッドフローレドックス電池システム100内の追加貯蔵エネルギーに反比例する。また、アノライト溶液の下部容積の高さh
aおよびカソライト溶液の下部容積の高さh
cが高いほど、ハイブリッドフローレドックス電池システム100内の追加貯蔵エネルギーが増加する。
【0045】
さらにまた、下向き方向153におけるアノライトタンクセパレータ150aとカソライトタンクセパレータ150bの移動によって、それぞれアノライト溶液の下部容積とカソライト溶液の下部容積にかかる下向きの力は、アノライト溶液流とカソライト溶液流を1つ以上の電解質経路160に通す。動作時、1つ以上のタンクセパレータ150によりアノライト溶液、カソライト溶液、またはそれら両方にかかる力は、アノライトポンプ139およびカソライトポンプ149により必要とされるポンピング力を低減または省き、下向き方向153における1つ以上のタンクセパレータ150の移動と対応する第1の流れ方向102のアノライト溶液およびカソライト溶液の流れを促進し得る。したがって、アノライトポンプ139およびカソライトポンプ149の使用は、上向き方向151におけるアノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bの移動と対応する第2の流れ方向103の流体流にのみ必要とされ得る。また、1つ以上のタービン190によって水力発電式に採取されるエネルギーにより、アノライトポンプ139およびカソライトポンプ149によって消費されるエネルギーの一部またはすべてを埋め合わせることができる。例えば、水力発電式に発生する電力は、アノライトポンプ139およびカソライトポンプ149によって前記消費される電力以上であり得る。
【0046】
ここで
図7を参照すると、アノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bの総重量に基づき、アノライト側タービン190aおよびカソライト側タービン190bによって発生する(または回収される)、アノライトポンプ139およびカソライトポンプ149によって消費されるエネルギーの割合を表すグラフ210が示されている。例えば、1つ以上のタンクセパレータ150が下向き方向153に上昇位置154から下降位置156に並進するときに、1つ以上のタービン190を通る電解質流によって水力発電式に発生する電力は、上向き方向151に下降位置156から上昇位置154に1つ以上のタンクセパレータ150を並進させるために、アノライトポンプ139およびカソライトポンプ149によって消費される電力の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または100%超以上の電力を含み得る。
【0047】
図7にグラフで示されているハイブリッドフローレドックス電池システム100例は、約1.375トン/m
3の電解質密度、および約50mのタンク高さを有する電解質を含む。
図7のグラフ210は、それぞれが異なる電解質放出容積を有する4つの電解質例を示す。例えば、線212は、時間当たり10立方メートル(m
3/h)の電解質放出容積を表し、線214は、50m
3/hの電解質放出容積を表し、線216は、100m
3/hの電解質放出容積を表し、線218は、200m
3/hの電解質放出容積を表す。示されているように、1つ以上のタンクセパレータ150の重量が重く、電解質放出容積が大きいほど(線218参照)、ポンプ回収エネルギーの割合が上がる。
図7は、第1の流れ方向102の流体流の間、アノライトポンプ139およびカソライトポンプ149に取って代わるのに十分強い流体流を発生させるのに必要とされる1つ以上のタンクセパレータ150の総重量も示す。
【0048】
再び
図1~5を参照すると、1つ以上のタービン190が、1つ以上のタービン発電機192に電気的に結合され得る。例えば、1つ以上のタービン190のそれぞれが、別々のタービン発電機192に電気的に結合され得る。あるいは、複数のタービン190が同じタービン発電機192に電気的に接続され得る。また、1つ以上のタービン190が発電回路180に電気的に結合され得る。さらにまた、1つ以上のタービン190のそれぞれが電解質経路160に流体的に結合され、動作時、それぞれの個々のタービン190を通る電解質流が、個々のタービン190を作動させ(例えば、回転させ)、個々のタービン発電機192、水力発電式に電力を発生させるための発電回路180、またはそれら両方によって受け取り可能である電流を発生させ得る。1つ以上のタービン190には、任意の既知のまたは今後開発される流体作動式タービン、例えば、水平水車、垂直水車、フランシス水車、カプラン水車、タイソン水車、水車、ペルトンホイール、ターゴ水車、クロスフロー水車などが含まれ得る。
【0049】
図1~5に示されているように、1つ以上のタービン190には、下部アノライト経路162または上部アノライト経路164に流体的に結合され、かつアノライトタービン発電機192aに電気的に結合されたアノライト側タービン190aが含まれ得る。例えば、
図2~5に示されているように、アノライト側タービン190aは、下部アノライト経路162の二次支路162bに流体的に結合され得、それにより、二次支路162bを通るアノライト溶液流が、アノライト側タービン190aを通過し得、アノライト側タービン190aを作動させて、アノライト側タービン発電機192aにより受け取り可能である電流を発生させ、水力発電式に電力を発生させる。
【0050】
さらにまた、
図1~5に示されているように、1つ以上のタービン190には、下部カソライト経路172または上部カソライト経路174に流体的に結合され、かつカソライトタービン発電機192bに電気的に結合されたカソライト側タービン190bが含まれる。例えば、
図2~5に示されているように、カソライト側タービン190bは、下部カソライト経路172の二次支路172bに流体的に結合され得、それにより、二次支流172bを通るカソライト溶液流がカソライト側タービン190bを通過し得、カソライト側タービン190bを作動させて、アノライトタービン発電機192aにより受け取り可能である電流を発生させ、水力発電式に電力を発生させる。
【0051】
再び
図2~5を参照すると、ハイブリッドフローレドックス電池システム100は、電解質経路160に流体的に結合された、例えば、下部アノライト経路162および下部カソライト経路172に流体的に結合された、複数の弁185を含み得る。複数の弁185のそれぞれは、開位置186と閉位置188との間で作動可能である。動作時、開位置186では、個々の弁185を通る電解質流を可能にし、閉位置188では、個々の弁185を通る電解質流を防ぐ。例えば、複数の弁185は、電気化学セル110から下部アノライト開口133および下部カソライト開口143のうちの少なくとも1つに電解質が流れるとき、複数の弁185が1つ以上のタービン190のうちの少なくとも1つへの電解質通過を防ぐように配置され、作動させられ得る。さらにまた、複数の弁185は、下部アノライト開口133および下部カソライト開口143のうちの少なくとも1つから電気化学セル110に電解質が流れるとき、複数の弁185が1つ以上のタービン190のうちの少なくとも1つへの電解質通過を可能にするように配置され、作動させられ得る。複数の弁185には、ニードル弁、ゲート弁、玉形弁、ボール弁、バタフライ弁、ダイヤフラム弁、ピストン弁、または任意の既知のもしくは今後開発される作動式弁が含まれ得る。
【0052】
動作時、複数の弁185には、それぞれが下部アノライト経路162に流体的に結合された、第1のアノライト弁185a、第2のアノライト弁185b、および第3のアノライト弁185cが含まれ得る。第1のアノライト弁185aは、第1の下部アノライト開口133aとアノライト経路収束場所165との間で、下部アノライト経路162の一次支路162aに流体的に結合されている。第2のアノライト弁185bは、第2の下部アノライト開口133bとアノライト側タービン190aとの間で、二次支路162bに流体的に結合されている。また、第3のアノライト弁185cは、アノライト経路収束場所165とアノライト側タービン190aとの間で、二次支路162bに流体的に結合されている。
【0053】
動作時、
図2および
図4に示されているように、第1のアノライト弁185aが開位置186にあり、第2および第3のアノライト弁185b、185cがそれぞれ閉位置188にあるとき、下部アノライト経路162の二次支路162bを通り、したがってアノライト側タービン190aを通るアノライト溶液流が妨げられる。例えば、アノライト溶液が第2の流れ方向103に流れるとき、この作動構成は、アノライトポンプ139のポンピング力がアノライトタンクセパレータ150aを下降位置156および上昇位置154から移動させ、アノライトタンクセパレータ150aが水力発電式に採取可能な流体流を発生させないことから、望ましいものであり得る。また、この作動構成は、アノライト溶液が第2の流れ方向103に流れるとき、第2の流れ方向103のアノライト溶液流が、例えば、アノライト側タービン190aの形および構成により、アノライト側タービン190aを作動させ得ないことから、望ましいものであり得る。
【0054】
図3および
図5に示されているように、第1のアノライト弁185aが閉位置188にあり、第2および第3のアノライト弁185b、185cがそれぞれ開位置186にあるとき、下部アノライト経路162の二次支路162bを通り、したがってアノライト側タービン190aを通るアノライト溶液流は、妨げられない。さらにまた、第1のアノライト弁185aが閉位置188にあり、第2および第3のアノライト弁185b、185cがそれぞれ開位置186にあるとき、第1の下部アノライト開口133aとアノライト経路収束場所165との間のアノライト溶液流が妨げられる。例えば、アノライト溶液が第1の流れ方向102に流れるとき、この構成された作動は、アノライト側タービン190aを通る流体流を促進して、アノライト側タービン190aを作動させ、水力発電式に電力を発生させるには望ましいものであり得る。
【0055】
引き続き
図2~5を参照すると、複数の弁185には、第1のカソライト弁185d、第2のカソライト弁185e、および第3のカソライト弁185fが含まれ得る。第1のカソライト弁185dは、第1の下部カソライト開口143aとカソライト経路収束場所175との間で、下部カソライト経路172の一次支路172aに流体的に結合されている。第2のカソライト弁185eは、第2の下部カソライト開口143bとカソライト側タービン190bとの間で、下部カソライト経路172の二次支路162bに流体的に結合されている。また、第3のカソライト弁185fは、カソライト経路収束場所175とカソライト側タービン190bとの間で、下部カソライト経路172の二次支路162bに流体的に結合されている。
【0056】
動作時、
図2および
図5に示されているように、第1のカソライト弁185dが開位置186にあり、第2および第3のカソライト弁185e、185fがそれぞれ閉位置188にあるとき、下部カソライト経路172の二次支路172bを通り、したがってカソライト側タービン190bを通るカソライト溶液流が妨げられる。例えば、カソライト溶液が第2の流れ方向103に流れるとき、この作動構成は、カソライトポンプ149のポンピング力がカソライトタンクセパレータ150bを下降位置156および上昇位置154から移動させ、カソライトタンクセパレータ150bが水力発電式に採取可能な流体流を発生させないことから、望ましいものであり得る。また、この作動構成は、カソライト溶液が第2の流れ方向103に流れるとき、第2の流れ方向103のカソライト溶液流が、例えば、カソライト側タービン190bの形および構成により、カソライト側タービン190bを作動させ得ないことから、望ましいものであり得る。
【0057】
図3および
図4に示されているように、第1のカソライト弁185dが閉位置188にあり、第2および第3のカソライト弁185e、185fがそれぞれ開位置186にあるとき、カソライト側タービン190bを通るカソライト溶液流は、妨げられない。さらにまた、第1のカソライト弁185dが閉位置188にあり、第2および第3のカソライト弁185e、185fがそれぞれ開位置186にあるとき、第1の下部カソライト開口143aとカソライト経路収束場所175との間の電解質流が妨げられる。例えば、カソライト溶液が第1の流れ方向102に流れるとき、この構成された作動は、カソライト側タービン190bを通る流体流を促進して、カソライト側タービン190bを作動させ、水力発電式に電力を発生させるには望ましいものであり得る。また、
図4および
図5に示されているように、例えば、アノライト溶液とカソライト溶液とが相対する方向に流れるときに、電気化学充電および電気化学放電が起こるように、ハイブリッドフローレドックス電池システム100が配置されているとき、アノライト弁185a~cとカソライト弁185d~fとは、異なる作動構成であり得る。
【0058】
さらにまた、電気化学セル110の動作中、1つ以上のタンクセパレータ150が、アノード112内の反応アノライト活物質およびカソード122内の反応カソライト活物質の濃度上昇を促進し、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学的損失を低減する。例えば、ハイブリッドフローレドックス電池システム100を電気化学的に放電させるときは、帯電アノライト活物質は、反応アノライト活物質であり、帯電カソライト活物質は、反応カソライト活物質であり、ハイブリッドフローレドックス電池システム100を電気化学的に充電するときには、放電アノライト活物質は、反応アノライト活物質であり、放電カソライト活物質は、反応カソライト活物質である。したがって、アノライトタンクセパレータ150aを使用して、アノライトタンク130内で帯電アノライト活物質と放電アノライト活物質とを分離し、カソライトタンクセパレータ150bを使用して、カソライトタンク140内で帯電カソライト活物質と放電カソライト活物質とを分離し、選択的に、反応アノライト活物質をアノード112の中にポンピングし、反応カソライト活物質をカソード122の中にポンピングすることは、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学的損失を低減することによって、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の効率を高め得る。
【0059】
例えば、ハイブリッドフローレドックス電池システム100は、開回路電圧VOCまたは起電力(EMF:ElectroMotive Force)を備え、これは、例えば、発電回路180内の電流がゼロであるときに、開回路条件下でハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学放電によって発生し得る最大電圧である。開回路電圧VOCは、電気化学セル110における還元および酸化反応、アノード112内の反応アノライト活物質およびカソード122内の反応カソライト活物質の濃度(ネルンスト電圧)、ならびに動作温度に影響を受ける。
【0060】
ハイブリッドフローレドックス電池システム100の開回路電圧V
OCは、数学的に以下として記述され得、
【数1】
式中、
は、アノード112とカソード122と間の可逆的な最大電圧であり、Rは、一般ガス定数であり、Tは、電気化学セル110の動作温度であり、nは、電気化学セル110レドックス半反応において移動する電子のモル数、例えば、アノライト溶液とカソライト溶液との間で回路経路182に沿って移動する電子のモル数であり、Fは、ファラデー定数、96485クーロン/モルであり、a
oxは、酸化体種(例えば、放電動作の間のアノライト溶液、または充電動作の間のカソライト溶液)の活性であり、a
redは、還元体種(例えば、電気化学充電動作の間のアノライト溶液、または電気化学放電動作の間のカソライト溶液)の活性である。
【0061】
は、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の電気化学放電または電気化学充電時に変化する。例えば、活性比率は、満充電時に最大になる。また、少ない充電時には、反応活物質の濃度が下がり、無反応活物質の濃度が上がり、それにより、開回路電圧V
ocが下がる可能性があるので、活性比率は低くなる。したがって、アノライトタンクセパレータ150aおよびカソライトタンクセパレータ150bをそれぞれ使用して、アノライト溶液およびカソライト溶液のそれぞれにおいて、帯電アノライト活物質と放電アノライト活物質とを、また帯電カソライト活物質と放電カソライト活物質とを分離することにより、電気化学セル110内の反応活物質の濃度を最大にし、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の開回路電圧V
OCを上げることができる。
【0062】
それぞれアノライトタンクセパレータ150aとカソライトタンクセパレータ150bを使用して、アノタイトタンク130内とカソライトタンク140内で帯電アノライト活物質と放電アノライト活物質とを、また帯電カソライト活物質と放電カソライト活物質とを分離することにより、それぞれアノライトタンク130とカソライトタンク140に戻る反応活物質の再循環を最小にし、電気化学セル110に導入される無反応活物質の量を最小にすることができる。これは、生成物の反応活物質の濃度が、[A
β+]=α[A
α+]°および[B
Y+]=α[B
δ+]°によって数学的に記述されるように、動作中、一定であり得ることから、ハイブリッドフローレドックス電池システム100開回路電圧を上げ、式中、αは、それぞれアノライトタンク130とカソライトタンク140に再循環されて戻る反応活物質の割合であり、[A
α+]°と[B
δ+]°は、それぞれ反応活物質の初期(満充電)濃度である。したがって、充電の状態SOCは、
【数2】
として、数学的に記述され得、開回路電圧は、以下として数学的に記述され得る。
【数3】
【0063】
したがって、アノライトタンクセパレータ150aとカソライトンクセパレータ150bは、それぞれアノライトタンク130内とカソライトタンク140内で、帯電アノライト活物質と放電アノライト活物質とを分離し、帯電カソライト活物質と放電カソライト活物質とを分離し、アノライト側タービン190aとカソライト側タービン190bを通る、アノライト溶液、カソライト溶液、またはそれら両方の流れを促進して、水力発電式に追加の電力を発生させることによって、ハイブリッドフローレドックス電池システム100の全体的なエネルギー貯蔵能力および採取能力を高める。
【0064】
特定の手法において、特定の性質を具体化するために、または機能するために、特定の方法で「構成された」本開示の構成要素の本開示における詳述は、意図される使用の詳述とは対照的に、構造的詳述である。より具体的には、本開示における、構成要素が「構成される」手法への言及は、その構成要素の現存の物理的状態を示し、したがって、その構成要素の構造的特徴の限定的な詳述として解釈されるべきである。
【0065】
本発明を説明し、定義する目的で、「about(約)」という用語が、本開示では、いずれの数量的な比較、値、測定、または他の表現にも起因する可能性がある本質的な不確実性の程度を表すために利用されていることに留意されたい。「about(約)」という用語は、本開示では、数量的な表現が、問題になっている発明の対象の基本機能における変化をもたらさずに、表示基準と異なり得る程度を表すためにも利用されている。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、および1つ以上の発電回路を備えるハイブリッドフローレドックス電池システムであって、
前記電気化学セルが、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつ前記アノードおよび前記カソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を備え、
前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つが、前記アノードおよび前記カソードに電気的に結合され、
前記アノライトタンクが、上部アノライト開口と、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口とを含み、
前記カソライトタンクが、上部カソライト開口と、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口とを含み、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記アノライトタンクを前記アノードに流体的に結合するように、前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記カソライトタンクを前記カソードに流体的に結合するように、前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、
前記1つ以上のタービンが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンクおよび前記カソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられ、
前記1つ以上のタンクセパレータが、電解質流を前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通るように誘導して、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能である、ハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態2
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンク内に位置付けられたアノライトタンクセパレータ、および前記カソライトタンク内に位置付けられたカソライトタンクセパレータを備え、
前記アノライトタンクセパレータが帯電アノライト活物質を放電アノライト活物質から分離するように、前記アノライトタンクセパレータが前記アノライトタンク内に位置付けられ、
前記カソライトタンクセパレータが帯電カソライト活物質を放電カソライト活物質から分離するように、前記カソライトタンクセパレータが前記カソライトタンク内に位置付けられている、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態3
前記1つ以上のタンクセパレータがそれぞれ、1トン/m
3
~5トン/m
3
の密度、および1トン~400トンの重量を備える、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態4
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合された1つ以上の弁をさらに備え、
前記1つ以上の弁のそれぞれが、開位置と閉位置との間で作動可能であり、
前記開位置では、前記1つ以上の弁の電解質通過を可能にし、
前記閉位置では、前記1つ以上の弁の電解質通過を防ぐ、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態5
前記1つ以上のタービンが、1つ以上のタービン発電機に電気的に結合され、
前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通る電解質流が、前記1つ以上のタービンを回転させ、前記1つ以上のタービン発電機により受け取り可能である電流を発生させ、水力発電式に電力を発生させる、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態6
前記複数の電解質経路が、
前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口および前記アノードに流体的に結合されている下部アノライト経路と、
前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記上部アノライト開口および前記アノードに流体的に結合されている上部アノライト経路と、
前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口および前記カソードに流体的に結合されている下部カソライト経路と、
前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記上部カソライト開口および前記カソードに流体的に結合されている上部カソライト経路と、を備える、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態7
前記下部アノライト開口が、第1の下部アノライト開口を含み、
前記アノライトタンクが、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられ、かつ前記下部アノライト経路に流体的に結合された第2の下部アノライト開口をさらに備え、
前記下部アノライト経路が、前記第1の下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在する一次支路を備え、
前記下部アノライト経路が、前記第2の下部アノライト開口と前記下部アノライト経路の前記一次支路との間に延在する二次支路を備え、
前記1つ以上のタービンが、前記下部アノライト経路の前記二次支路に流体的に結合されたアノライト側タービンを備える、実施形態6に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態8
前記第1の下部アノライト開口と、前記下部アノライト経路の前記一次支路と前記二次支路とのアノライト経路収束場所との間で、前記下部アノライト経路の前記一次支路に流体的に結合された第1のアノライト弁と、
前記第2の下部アノライト開口と前記アノライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第2のアノライト弁と、
前記アノライト経路収束場所と前記アノライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第3のアノライト弁と、をさらに備える、実施形態7に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態9
前記第1、第2、および第3のアノライト弁のそれぞれが、閉位置と開位置との間で作動可能であり、
前記第1のアノライト弁が前記開位置にあり、前記第2および第3のアノライト弁がそれぞれ前記閉位置にあるとき、前記アノライト側タービンを通る電解質流が妨げられ、
前記第1のアノライト弁が前記閉位置にあり、前記第2および第3のアノライト弁がそれぞれ前記開位置にあるとき、前記アノライト側タービンを通る電解質流は妨げられない、実施形態8に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態10
前記下部カソライト開口が、第1の下部カソライト開口を備え、
前記カソライトタンクが、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられ、かつ前記下部カソライト経路に流体的に結合された第2の下部カソライト開口をさらに備え、
前記下部カソライト経路が、前記第1の下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在する一次支路を備え、
前記下部カソライト経路が、前記第2の下部カソライト開口と前記一次支路との間に延在する二次支路を備え、
前記1つ以上のタービンが、前記下部カソライト経路の前記二次支路に流体的に結合されたカソライト側タービンを備える、実施形態6に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態11
前記第1の下部カソライト開口と、前記下部カソライト経路の前記一次支路と前記二次支路とのカソライト経路収束場所との間で、前記下部カソライト経路の前記一次支路に流体的に結合された第1のカソライト弁と、
前記第2の下部カソライト開口と前記カソライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第2のカソライト弁と、
前記カソライト経路収束場所と前記カソライト側タービンとの間で、前記二次支路に流体的に結合された第3のカソライト弁と、をさらに備える、実施形態10に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態12
前記第1、第2、および第3のカソライト弁のそれぞれが、閉位置と開位置との間で作動可能であり、
前記第1のカソライト弁が前記開位置にあり、前記第2および第3のカソライト弁がそれぞれ前記閉位置にあるとき、前記カソライト側タービンを通る電解質流が妨げられ、
前記第1のカソライト弁が前記閉位置にあり、前記第2および第3のカソライト弁がそれぞれ前記開位置にあるとき、前記カソライト側タービンを通る電解質流は妨げられない、実施形態11に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態13
アノライト溶液をさらに備え、前記アノライト溶液の1つ以上の活物質には、バナジウム、クロム、亜鉛、硫黄、ネプツニウム、ウラン、またはそれらの組み合わせが含まれる、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態14
前記アノードが、
前記アノライト溶液の帯電アノライト活物質を酸化させ、それにより、前記帯電アノライト活物質が、前記イオン交換膜から前記帯電アノライト活物質および陽子の両方を受け取った時点で前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つにより受け取り可能な電子を出すようにすることと、
前記アノライト溶液の放電アノライト活物質を還元させ、それにより、前記放電アノライト活物質が、前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つから前記放電アノライト活物質および電子の両方を受け取った時点で前記イオン交換膜によって受け取り可能な陽子を出すようにすること、を行うように電気化学的に構成されている、実施形態13に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態15
カソライト溶液をさらに備え、前記カソライト溶液の1つ以上の活物質には、バナジウム、臭素、セリウム、塩素、フェリシアン化物、フェロシアン化物、マンガン、酸化ネプツニウム、酸化ウラン、またはそれらの組み合わせが含まれる、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態16
前記カソードが、
帯電カソライト活物質を還元させ、それにより、前記帯電カソライト活物質が、前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つから前記帯電カソライト活物質および電子の両方を受け取った時点で前記イオン交換膜により受け取り可能な陽子を出すようにすることと、
放電カソライト活物質を酸化させ、それにより、前記放電カソライト活物質が、前記イオン交換膜から前記放電カソライト活物質および陽子の両方を受け取った時点で前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つによって受け取り可能な電子を出すようにすることと、を行うように電気化学的に構成されている、実施形態15に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態17
前記イオン交換膜が、前記アノードと前記カソードとの間に陽子経路をもたらすように構造的に構成された固体陽子伝導材料を備える、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態18
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合された1つ以上のポンプをさらに備え、
前記1つ以上のポンプが、前記上部アノライト開口および前記上部カソライト開口のうちの1つまたは1つより多いすなわち両方からの電解質流を誘導し、上向き方向に前記1つ以上のタンクセパレータを並進させるように構造的に構成され、
前記1つ以上のタンクセパレータが上昇位置から下降位置に前記下向き方向に並進するときに前記1つ以上のタービンを通る電解質流によって水力発電式に発生する電力が、前記1つ以上のタンクセパレータを前記上向き方向に前記下降位置から前記上昇位置に並進させるために前記1つ以上のポンプによって消費される電力以上である、実施形態1に記載のハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態19
電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、1つ以上のポンプ、および1つ以上の発電回路を備えるハイブリッドフローレドックス電池システムであって、
前記電気化学セルが、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつ前記アノードおよび前記カソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を備え、
前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つが、前記アノードおよび前記カソードに電気的に結合され、
前記アノライトタンクが、上部アノライト開口と、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口とを含み、
前記カソライトタンクが、上部カソライト開口と、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口とを含み、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記アノライトタンクを前記アノードに流体的に結合するように、前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記カソライトタンクを前記カソードに流体的に結合するように、前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、
前記1つ以上のポンプが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタービンが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンクおよび前記カソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられ、
前記1つ以上のタンクセパレータが、電解質流を前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通るように誘導し、前記1つ以上のタービンを回転させて、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能であり、
前記1つ以上のタンクセパレータが上昇位置から下降位置に前記下向き方向に並進するときに前記1つ以上のタービンを通る電解質流によって水力発電式に発生する電力が、前記1つ以上のタンクセパレータを上向き方向に前記下降位置から前記上昇位置に並進させるために前記1つ以上のポンプによって消費される電力の50%以上である、ハイブリッドフローレドックス電池システム。
実施形態20
電気化学セル、アノライトタンク、カソライトタンク、1つ以上のタンクセパレータ、複数の電解質経路、1つ以上のタービン、1つ以上の弁、および1つ以上の発電回路を備えるハイブリッドフローレドックス電池システムであって、
前記電気化学セルが、アノードとカソードとの間に位置付けられ、かつ前記アノードおよび前記カソードと電気化学的に係合されたイオン交換膜を備え、
前記1つ以上の発電回路のうちの少なくとも1つが、前記アノードおよび前記カソードに電気的に結合され、
前記アノライトタンクが、上部アノライト開口と、前記上部アノライト開口の下方に位置付けられた下部アノライト開口と、を含み、
前記カソライトタンクが、上部カソライト開口と、前記上部カソライト開口の下方に位置付けられた下部カソライト開口と、を含み、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記アノライトタンクを前記アノードに流体的に結合するように、前記上部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、かつ前記下部アノライト開口と前記アノードとの間に延在し、
前記複数の電解質経路のうちの1つ以上が、前記カソライトタンクを前記カソードに流体的に結合するように、前記上部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、かつ前記下部カソライト開口と前記カソードとの間に延在し、
前記1つ以上の弁が、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタービンが、前記複数の電解質経路のうちの1つ以上に流体的に結合され、
前記1つ以上のタンクセパレータが、前記アノライトタンクおよび前記カソライトタンクのうちの1つまたは両方の中に位置付けられ、
前記1つ以上のタンクセパレータが、電解質流を前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの1つまたは両方から前記1つ以上のタービンを通るように誘導して、水力発電式に電力を発生させるように、下向き方向に並進可能であり、
電解質が、前記電気化学セルから前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの少なくとも1つに流れるとき、前記1つ以上の弁が、前記1つ以上のタービンのうちの少なくとも1つの電解質通過を防ぎ、
電解質が、前記下部アノライト開口および前記下部カソライト開口のうちの少なくとも1つから前記電気化学セルに流れるとき、前記1つ以上の弁が、前記1つ以上のタービンのうちの少なくとも1つの電解質通過を可能にする、ハイブリッドフローレドックス電池システム。
【0066】
本開示の発明の対象を詳細に、かつその特定の実施形態を参照して説明したが、本開示に開示されている様々な詳細は、本明細書に付随する図面のそれぞれに特定の要素が示されている場合でも、これらの詳細が本開示に記載の様々な実施形態の必須構成要素である要素に関するということを暗示すると取られるべきではないことに留意されたい。また、添付の特許請求の範囲において定義されている実施形態を含むが、これらに限定されない本開示の範囲から逸脱することなく、修正形態および変形形態が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様が本開示において好ましいまたは特に有利であるとして特定されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないと考えられる。
以下の請求項のうちの1つ以上が、用語「wherein(ここで)」を移行句として利用することに留意されたい。本発明を定義する目的で、この用語が、構造の一連の特徴の詳述を導入するために使用されているオープンエンドの移行句として、請求項に導入され、より一般的に使用されるオープンエンドの前置き用語「備える(comprising)」と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。