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特許7000438冗長メッセージ送信を伴う人体デバイス通信
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】冗長メッセージ送信を伴う人体デバイス通信
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/368 20060101AFI20220112BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61N1/368
A61N1/39
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019540418
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 US2018015268
(87)【国際公開番号】W WO2018140617
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2019-08-26
(31)【優先権主張番号】62/450,833
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クープ、ブレンダン アーリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒュールスカンプ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ユッファー、ランス エリック
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、カイル レオナード
(72)【発明者】
【氏名】マイレ、キース アール.
(72)【発明者】
【氏名】ルートヴィヒ、ジェイコブ エム.
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0121128(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271406(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/368
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓をペーシングするように構成された埋め込み型医療デバイス(IMD)であって、前記IMDは、前記患者の心臓のチャンバ内に配設可能であり、前記IMDは、
筐体と、
複数の電極と、
前記筐体によって収容され、前記複数の電極に対して動作可能に結合されたコントローラであり、
前記複数の電極のうちの1対を介して電気パルスを生成するとともに送達し、
前記複数の電極のうちの1対を介して、遠隔の埋め込み型医療デバイス(IMD)から伝導通信によって送られたメッセージを受け取り、
前記複数の電極のうちの1対を介して心臓信号を受け取るように構成された前記コントローラと、を備え、
前記コントローラは、心臓周期中に前記遠隔のIMDによる伝導通信によって送られた同じメッセージの複数の送信のうちの少なくとも1つを受け取るように構成され、
前記同じメッセージの前記複数の送信のうちの1つよりも多くが、前記心臓周期中に前記コントローラによって成功裡に受け取られる場合、前記コントローラは、受け取られたメッセージのうちのいずれかが単一のメッセージの反復を表すことを認識することによって前記同じメッセージの前記1つよりも多い成功裡に受け取られた送信を単一のメッセージとして処理し、よって、付加的な成功裡に受け取られた1つよりも多い前記同じメッセージを無視するべく、1つのメッセージのみを実行し、反復を表すメッセージを実行しないように構成される、埋め込み型医療デバイス(IMD)。
【請求項2】
前記コントローラは、受け取られた心臓信号が前記コントローラによって無視されるブランキング期間を前記心臓周期中に設けるように構成される、請求項1に記載のIMD。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ブランキング期間中に前記同じメッセージの複数の冗長送信のうちの少なくとも1つを受け取るように構成される、請求項2に記載のIMD。
【請求項4】
前記コントローラは、前記受け取られた心臓信号における検出されたR波に続く所定の時間に前記ブランキング期間を設けるように構成される、請求項2または3に記載のIMD。
【請求項5】
前記ブランキング期間は、心臓周期の少なくとも10パーセント、または心臓周期の少なくとも20パーセントを超えるが、心臓周期全体未満に及ぶように構成される、請求項2乃至4のいずれか1項に記載のIMD。
【請求項6】
前記同じメッセージの前記複数の冗長送信は、異なる通信ベクトルをもたらす、前記患者の生理学的変化を許容する持続時間にわたって受け取られる、請求項に記載のIMD。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記複数の電極のうちの第1の対を介してペーシング・パルスを生成するとともに送達し、
前記複数の電極のうちの第2の対を介して前記遠隔の埋め込み型医療デバイス(IMD)から送られたメッセージを受け取り、
前記複数の電極のうちの第3の対を介して心臓信号を受け取るように構成され、
前記第1の対の電極、前記第2の対の電極および前記第3の対の電極は、同じ対の電極に対応する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のIMD。
【請求項8】
前記メッセージはコマンドである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のIMD。
【請求項9】
前記コマンドは、前記複数の電極のうちの1対を介して前記患者の心臓に対して抗頻脈ペーシング(ATP)治療を送達するように前記コントローラに指示するATPコマンドである、請求項8に記載のIMD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスに関し、より詳細には、医療デバイス間のワイヤレス人体通信に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み型医療デバイスは、患者の生理的パラメータもしくは他のパラメータを監視するために、および/または患者に対して治療を送達するために、今日では一般的に使用されている。例えば、心臓関連の症状を有する患者を支援するために、様々な医療デバイス(例えば、ペースメーカー、除細動器等)が患者の身体内に埋め込まれることが可能である。そのようなデバイスは、心臓に対する電気刺激(例えば、ペーシング、除細動等)を監視し、場合によっては心臓に対する電気刺激を提供して、心臓がより通常の、効率的な、および/または安全な手法で動作するように支援し得る。別の例において、苦痛および/または他の症状を緩和することを支援するように、神経刺激器が、患者の組織を刺激するために使用されることがある。また別の例において、埋め込み型医療デバイスは、単純に、患者の1つまたは複数の生理的パラメータまたは他のパラメータを監視し、別の埋め込み医療デバイスまたは外部デバイスなどの別のデバイスへ感知されたパラメータを通信する埋め込み型モニタであり得る。いくつかの場合において、2つ以上のデバイスが、治療を監視および/または提供するように協働する。これらの例の多くにおいて、必要な場合に、そのようなデバイスに他のデバイスと通信させたいという要望がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療デバイスに関し、より詳細には、医療デバイス間のワイヤレス人体通信に関する。医療デバイスは、埋め込み型医療デバイス(IMD:implantable medical devices)、例えば、リード無しの心臓ペースメーカ(LCP:leadless cardiac pacemakers)、埋め込み型心臓除細動器(ICD:implantable cardioverter defibrillator)、皮下埋め込み型心臓除細動器(SICD:subcutaneous implantable cardioverter defibrillators)、心臓外埋め込み型心臓除細動器、経静脈埋め込み型心臓除細動器、神経刺激器(NS:neuro-stimulators)、埋め込み型モニタ(IM:implantable monitors)、および/または同様のものを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの場合において、医療デバイスは、1つまたは複数の外部医療デバイス、例えば、デバイス・プログラマ、着用可能な除細動器および/または他の外部医療デバイスを含んでもよい。
【0004】
一例において、埋め込み型医療デバイス(IMD)は、患者の心臓をペーシングし、患者の心臓のチャンバ内に配設可能であるように構成され得る。IMDは、筐体と、複数の電極とを含み得る。コントローラは、筐体によって収容され、複数の電極に対して動作可能に結合され得る。いくつかの場合において、コントローラは、複数の電極のうちの1対を介して電気パルスを生成するとともに送達し、複数の電極のうちの1対を介して、遠隔の埋め込み型医療デバイス(IMD)から伝導通信によって送られたメッセージを受け取り、複数の電極のうちの1対を介して心臓信号を受け取るように構成され得る。コントローラは、心臓周期中に遠隔のIMDによる伝導通信によって送られた同じメッセージの複数の送信のうちの少なくとも1つを受け取るようにも構成され、同じメッセージの複数の送信のうちの1つよりも多くが、心臓周期中にコントローラによって受け取られる場合、コントローラは、同じメッセージの1つよりも多い送信を1つのメッセージの通信として処理するように構成され得る。
【0005】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コントローラは、受け取られた心臓信号がコントローラによって無視される心臓周期中にブランキング期間を設けるように構成され得る。
【0006】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コントローラは、ブランキング期間中に同じメッセージの複数の送信のうちの少なくとも1つを受け取るように構成され得る。
【0007】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コントローラは、受け取られた心臓信号における検出されたR波に続く所定の時間にブランキング期間を設けるように構成され得る。
【0008】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、ブランキング期間は、心臓周期の少なくとも10パーセントを超えるが、心臓周期全体未満に及ぶように構成され得る。
【0009】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、ブランキング期間は、心臓周期の少なくとも20パーセントを超えるが、心臓周期全体未満に及ぶように構成され得る。
【0010】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、同じメッセージの複数の送信は、異なる通信ベクトルをもたらす、患者の生理学的変化を許容する持続時間にわたって受け取られる。
【0011】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、持続時間は、患者の心拍に由来する、患者の生理学的変化に適合するように選択され得る。
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、持続時間は、患者の呼吸に由来する、患者の生理学的変化に適合するように選択され得る。
【0012】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、持続時間は、心臓周期よりも短くてもよい。
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、持続時間は、1つよりも多い心臓周期に及んでもよい。
【0013】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コントローラは、メッセージを受け取ることに応答して、ブランキング期間を設けるように構成され得る。
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コントローラは、複数の電極のうちの第1の対を介してペーシング・パルスを生成するとともに送達し、複数の電極のうちの第2の対を介して遠隔のIMDから送られたメッセージを受け取り、複数の電極のうちの第3の対を介して心臓信号を受け取るように構成されてもよく、第1の対の電極、第2の対の電極および第3の対の電極は、同じ対の電極に対応する。
【0014】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、メッセージはコマンドであってもよい。
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コマンドは、複数の電極のうちの1対を介して患者の心臓に対して抗頻脈ペーシング(ATP)治療を送達するようにコントローラに指示するATPコマンドであってもよい。
【0015】
別の例において、埋め込み型医療デバイス(IMD)は、患者の心臓の電気的心臓活動を感知し、患者の心臓に対して治療を送達するように構成され得る。IMDは、筐体と、複数の電極と、筐体によって収容され、複数の電極に対して動作可能に結合されたコントローラとを含み得る。コントローラは、複数の電極のうちの2つ以上を介して心臓電気活動を感知し、複数の電極のうちの2つ以上を介して治療を送達するように構成され得る。いくつかの場合において、コントローラは、感知された心臓電気活動を分析し、患者の心臓に対して取り付けられた遠隔の埋め込み型医療デバイス(IMD)へメッセージを提供するべきかどうかに関して決定を行うように構成され得る。コントローラが、遠隔のIMDへメッセージを提供するという決定を行った場合、コントローラは、患者の心臓の心臓周期中に伝導通信によってメッセージの複数の送信を送るように構成され得る。
【0016】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コントローラは、メッセージの複数の送信の各々に対して追跡番号を付加するように構成され得る。
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、IMDは、遠隔のIMDから伝導通信メッセージを受け取ることができなくてもよい。
【0017】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、メッセージの複数の冗長送信の各々は、1つまたは複数のペーシング・パルスを送達するための、遠隔のIMDに対するコマンドを含むことができ、IMDのコントローラは、遠隔のIMDが1つまたは複数のペーシング・パルスを送達したという指標のために心臓電気活動を監視するように構成され得る。
【0018】
上記実施形態のいずれかに対して代替的に、または付加的に、コントローラが、遠隔のIMDに対してメッセージを提供するという決定を行った後に、コントローラは、メッセージの複数の冗長送信を通信期間内に送るように構成されてもよく、通信期間は、患者の生理学的変化の結果として、遠隔のIMDがIMDに対する向きを変化させることを許容して、遠隔のIMDにおいて実質的に異なる信号強度をもたらす、十分に長い持続時間を有する。
【0019】
別の例において、患者の心臓活動を感知し、整えるための医療システムは、患者の心臓の電気的心臓活動を感知し、患者の心臓に対して治療を送達するように構成された埋め込み型心臓除細動器(ICD)と、患者の心臓をペーシングするように構成される、リード無しの心臓ペースメーカ(LCP)とを含み得る。ICDは、筐体と、複数の電極と、ICDの筐体によって収容され、ICDの複数の電極に対して動作可能に結合されるICDコントローラとを含み得る。ICDコントローラは、ICDの複数の電極のうちの2つ以上を介して心臓電気活動を感知し、ICDの複数の電極のうちの2つ以上を介して治療を送達するように構成され得る。いくつかの場合において、ICDコントローラは、感知された心臓電気活動を分析し、患者の心臓に対して治療を提供するように、リード無しの心臓ペースメーカ(LCP)に指示するべきかどうかに関する決定を行うようにさらに構成され得る。ICDコントローラが、患者の心臓に対して治療を提供するようにLCPに指示する決定を行った場合、ICDコントローラは、患者の心臓の単一の心臓周期中に命令の複数の送信を送るように構成され得る。
【0020】
LCPは、筐体と、LCPの筐体の外部に露出される複数の電極と、LCPの筐体によって収容され、LCPの複数の電極に対して動作可能に結合されるLCPコントローラとを含み得る。いくつかの場合において、LCPコントローラは、LCPの複数の電極のうち2つ以上を介してペーシング・パルスを生成するとともに送達し、LCPの複数の電極のうちの2つ以上を介して送られたメッセージを受け取り、LCPの複数の電極のうちの2つ以上を介して心臓信号を受け取るように構成され得る。LCPコントローラは、単一の心臓周期中にSICDによって送られた命令の複数の冗長送信のうちの少なくとも1つを受け取るようにさらに構成されてもよく、命令の複数の冗長送信のうちの1つよりも多くが、単一の心臓周期中にLCPコントローラによって受け取られる場合、LCPコントローラは、命令の1つよりも多い冗長送信を、1つの命令として処理し、1つの命令のみを実行し、命令の複数の冗長送信の各々を実行しないように構成され得る。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態の上記概要は、本開示の開示されている各実施形態またはあらゆる実装例を説明するようには意図されていない。以下に続く図および詳細な説明は、これらの実施形態のうちのいくつかを、より詳細に実証する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一例に係る例示的なシステムの非常に概略的な図。
図2】本開示の一例に係る例示的なシステムの非常に概略的な図。
図3図1および図2のシステムにおいて使用可能な例示的なリード無しの心臓ペースメーカ(LCP)の概略ブロック図。
図4図1および図2のシステムにおいて使用可能な例示的な埋め込み型心臓除細動器(ICD)の概略ブロック図。
図5A】心電図(ECG)に関する例示的なブランキング期間の概略的な図。
図5B】心電図(ECG)に関する例示的なブランキング期間の概略的な図。
図6】ブランキング期間内の冗長メッセージの通信の概略的な図。
図7】本開示の一例に係る例示的なLCPのより詳細な概略ブロック図。
図8図7のLCPと共に使用され得る別の例示的な医療デバイスの概略ブロック図。
図9】互いに通信する複数のLCPおよび/または他のデバイスを含む例示的な医療システムの概略図。
図10】本開示の一例に係る、LCPと別の医療デバイスとを含むシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、様々な変形および代替的な形態に従うことができ、それらの詳細は、図面において例として示されており、詳細に説明されるであろう。しかしながら、その意図は、本開示を説明されている特定の実施形態に限定することではないことが理解されるべきである。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲内に収まるあらゆる変形、均等物、および代替案を含めることである。
【0024】
以下の定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
あらゆる数値は、本明細書において、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾されるものと仮定される。「約」という用語は、一般に、記載された値と均等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者が考慮するであろう数字の範囲を指す。多くの実例において、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数を含み得る。
【0025】
終点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「ある(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、記載内容が他の意味を明確に指示しない限り、複数の参照を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、一般に、記載内容が他の意味を明確に指示しない限り、「および/または」を含むその意味において採用される。
【0026】
本明細書における、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への参照は、説明される実施形態が1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような引用は、すべての実施形態がその特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを必ずしも意味するとは限らない。また、特定の特徴、構造、および/または特性が、1つの実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かに関わらず、そうではないことが明確に述べられていない限り、そのような特徴、構造、および/または特性が他の実施形態と関連して使用される可能性もあることが理解されるべきである。
【0027】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の構造に同じ番号が付されている図面を参照しつつ、読まれるべきである。必ずしも縮尺通りとは限らない図面は、例示的な実施形態を描いており、本開示の範囲を限定するようには意図されていない。本開示は、任意の適切な埋め込み型医療デバイス(IMD)に対して適用可能であるが、以下の説明は、多くの場合、ペースメーカ、および、より詳細にはリード無しの心臓ペースメーカ(LCP)を特定の例として使用する。
【0028】
図1は、心臓Hを感知し、および/またはペーシングするために使用され得る例示的なシステム10を示す概略図である。いくつかの場合において、システム10は、心臓Hに対してショックを与えるようにも構成され得る。心臓Hは、右心房RAおよび右心室RVを含む。心臓Hは、左心房LAおよび左心室LVも含む。いくつかの場合において、システム10は、心臓Hに対して抗不整脈治療を提供する医療デバイスを含んでもよい。いくつかの場合において、システム10は、第1の医療デバイス12および第2の医療デバイス14を含み得る。いくつかの実例において、第1の医療デバイス12は、心臓Hの近くの位置において、または心臓H内の位置においてさえ、患者内に埋め込み可能であり得る。いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、患者内ではあるが、心臓Hの外部の位置において埋め込まれ得る。例えば、いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、患者の胸部内の皮下の位置において埋め込まれてもよい。いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、患者の外部にあってもよい。
【0029】
いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、ペース設定を維持し、および/またはペース設定の傾向を取り、ペース設定の長期的な最適化を目的として第1の医療デバイス12のためのデータをキャプチャするように構成され得る。いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、付加的な入力、例えば、姿勢、一日の中の時刻、内因性心拍数、および同様のものなどを、キャプチャアルゴリズムへの入力として利用し得る。第2の医療デバイス14は、例えば、他の入力に由来するペース閾値における変化を相互に関連させ、ペース設定を予防的に調整するように構成されてもよい。いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、第1の医療デバイス12によって利用されるAV遅延を最適化するために利用され得る。例えば、第2の医療デバイス14は、ECG形態および/または加速データ、例えば、RVペース・タイミングまたはLVペース・タイミングなどを監視することが可能であってもよい。
【0030】
第1の医療デバイス12を埋め込む前に第2の医療デバイス14が埋め込まれる場合、第2の医療デバイス14は、例えば、QRS幅、QRS形態、心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)、加速度計信号等を監視することにより、第1の医療デバイス12の最適な位置付けを案内するべく使用され得る。いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、第1の医療デバイス12の固定または係留解除に先立って、試行された第1の医療デバイス12の位置のフィードバックを提供し得る。例えば、QRS幅、HRVおよび/または一定の形態学的パラメータを最小化することは、そのような最適な埋め込み場所を取得する臨床医の考え得る目標であろう。いくつかの場合において、第2の医療デバイス14は、インピーダンスおよび/または心音を監視して、肥大、または拡張型心筋症によって示されるような心筋の機能的改善をおそらく検出することが可能であり得る。例えば、これらの疾病は、一般に、増大した左心室を有し、したがって、おそらくは、より低いインピーダンスおよび/または短縮変化を有する。これらは例にすぎない。
【0031】
図2は、心臓Hを感知し、および/またはペーシングするために使用され得る例示的なシステム16を示す概略図である。いくつかの場合において、システム16は、図1に示されるシステム10の一例として考慮され得る。いくつかの場合において、システム16は、リード無しの心臓ペースメーカ(LCP)18と、埋め込み型心臓除細動器(ICD)20とを含み得る。いくつかの場合において、ICD20は、皮下埋め込み型心臓除細動器(SICD)、心臓外埋め込み型心臓除細動器および/または経静脈埋め込み型心臓除細動器であってもよい。いくつかの場合において、例示されているように、ICD20はSICDであってもよい。LCP18は、第1の医療デバイス12の例示的であるが非限定的な例として考慮されてもよく、ICD20は、図1に関して説明された第2の医療デバイス14の例示的であるが非限定的な例として考慮されてもよい。
【0032】
いくつかの場合において、LCP18は、心臓内で埋め込まれ得る。単一のLCP18が図2に示されているが、2つ以上のLCP18が心臓H内に、または心臓H上に埋め込まれてもよいことが認識されるであろう。LCP18は、心臓の任意のチャンバ内、例えば、右心房RA、左心房LA、右心室RVおよび左心室LVなどに埋め込まれ得る。1つよりも多くのLCPが提供される場合、各LCPは、異なるチャンバに埋め込まれ得る。いくつかの場合において、複数のLCPは、心臓Hの1つのチャンバ内に埋め込まれてもよい。
【0033】
いくつかの場合において、ICD20は、心臓外に埋め込まれ得る。図2には示されていないが、いくつかの場合において、ICD20は、皮下に、かつ、患者の胸骨の外部に位置付けられるように構成され得るリード/電極を含み得る。他の場合において、リード/電極は、胸骨のまわりに、または胸骨を通って延在してもよく、胸骨の内表面に隣接して固定されてもよい。両方の場合において、リード/電極は、心臓外に(患者の心臓の外部に)位置付けられる。ICD20は、望ましくない心臓リズムから所望の心臓リズムへと心臓Hに対してショックを与えるために、心臓Hによって生成される電気的活動を感知するように、および心臓Hに対して電気エネルギーを提供するように構成され得る。
【0034】
いくつかの場合において、LCP18およびICD20は、同時に埋め込まれ得る。いくつかの実例において、特定の患者の心臓欠陥に応じて、ICD20が最初に埋め込まれてもよく、患者が心臓再同期療法を受けるための指標を示した場合/時、および/または心臓Hをペーシングすることが必要になった場合/時に、1つまたは複数のLCP18が、より後の日付に埋め込まれてもよい。いくつかの場合において、心臓Hを感知し、ペーシングするために、1つまたは複数のLCP18が最初に埋め込まれ得ることが想定される。考え得る除細動に対する必要性が明らかになった場合、ICD20がその後に埋め込まれ得る。埋め込み順序または埋め込みシーケンスに関わらず、LCP18およびICD20が、任意の所望の通信様式、例えば、伝導通信、誘導通信、聴覚通信、RF通信、光通信などを使用して、および/または任意の他の適切な通信様式を使用して、互いに通信し得ることが認識されるであろう。
【0035】
いくつかの場合において、LCP18およびICD20は、心臓Hに対して治療を送達する際に共に作用し得る。例えば、いくつかの場合において、ICD20は、心臓Hの心臓電気活動を感知してもよく、ICD20自体が心臓Hに対するショック治療などの治療を送達するべきかどうか、または、心臓Hに対してペーシング治療を送達するようにICD20がLCP18に指示することが適当であるかを決定するために、感知された心臓電気活動を分析してもよい。いくつかの場合において、ペーシング治療は、抗頻脈ペーシング(ATP:anti-tachycardia pacing)治療であってもよいが、これは一例にすぎない。LCP18にペーシング治療を行わせることが適当であるとICD20が決定する場合、ICD20は、ペーシング治療を送達するようにLCP18に指示するメッセージをLCP18へ送信し得る。
【0036】
いくつかの場合において、特に、心臓Hの鼓動および/または患者の呼吸などの、ただし、これらに限定されない、患者の生理学的変化の結果として、LCP18は移動している可能性があるので、ICD20とLCP18との間の通信ベクトルは、少なくともいくらかは時間依存になり得ることが認識されるであろう。例えば、心臓Hが鼓動するにつれて、LCP18が、その遠位端部において心臓Hの心臓壁に対して定着された場合、心臓壁の移動、心臓を通って流れる血液、および同様のものに応答して、LCP18は向きを変化させ得ることが認識されるであろう。いくつかの場合において、ICD20からLCP18への通信は一方向通信となることがあり、例えば、ハードウェア上の制限または不十分な通信ベクトルのいずれかの結果として、ICD20は、LCP18からの確認メッセージを受け取ることができず、および/またはLCP18は、ICD20へ確認メッセージを返送することができない。
【0037】
いくつかの実例において、ならびに一方向通信チャネルのロバスト性および/または信頼性を改善することを支援するために、ICD20は、LCP18に対する命令または他のメッセージの複数の冗長送信を送り得る。非限定的な例として、ICD20は、同じ命令を3回送るように構成されてもよい。3つの冗長メッセージのうちの少なくとも1つがLCP18によって成功裡に受信される限り、LCP18は、ICD20から受信された命令を実行することが可能である。いくつかの場合において、ICD20からの複数の冗長送信が、単一の心臓周期内に送られてもよい。ICD20に対するLCP18の向きは、心拍の間に変化し得るので、LCP18とICD20との間の通信ベクトルは、心拍の間に変化し得る。冗長メッセージを送ることによって、ICD20によって生成された送信フィールドの空値に沿ってLCP18が位置しないという可能性は、メッセージのうちの少なくとも1つについて増加され、それによって、通信チャネルのロバスト性および/または信頼性を潜在的に増加させる。いくつかの場合において、ICD20からの複数の冗長送信は、単一の心臓周期の一部内、例えば、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、60パーセント、または、これら以上もしくはこれら以下において送信される。
【0038】
同様に、LCP18は、ICD20によって送られた冗長メッセージのうちの1つまたは複数を受け取り、受信されたメッセージのうちのいずれかが実際に冗長であり、複数の命令および/またはメッセージではなく、単一の命令および/またはメッセージの反復を表すことを認識するように構成され得る。したがって、LCP18が、1つよりも多い冗長な命令を成功裡に受け取る場合、LCP18は、1つよりも多い冗長な命令を単一の命令として処理するように構成され得る。結果として、LCP18は、1つの命令のみを実行し、受信された冗長な命令の各々を実行しない。いくつかの場合において、特に、LCP18が命令の受け取りを確認することができない場合、またはICD20がそのような確認もしくは肯定応答メッセージを受け取ることができない場合、ICD20は、LCP18が所望の命令を実行したという指標のために心臓電気活動を監視し得る。例えば、ICD20が、ATP治療を実行するようにLCP18に指示した場合、ICD20は、抗頻脈ペーシング(ATP)治療の指標のために心臓電気活動を監視し得る。
【0039】
図3は、LCP18(図2)の一例として考慮され得る例示的なリード無しの心臓ペースメーカ(LCP)30の概略図である。いくつかの場合において、LCP30は、筐体32と、筐体32の外部に露出される複数個の電極とを含み得る。例示されているように、LCP30は、筐体32に対して取り付けられる1対の電極34、36を含む。2つの電極34、36が例示されているが、いくつかの場合において、LCP30は3つ以上の電極を含んでもよいことが認識されるであろう。コントローラ38は、筐体32内に配設され、一対の電極34、36に対して、それぞれ電気コネクタ35、37を介して動作可能に結合され得る。電源40は、コントローラ38に対して動作可能に結合され、コントローラ38の動作のための電力を提供し、およびコントローラ38を介して一対の電極34、36を介して送達され得るペーシング・パルスを生成するための電力を提供する。いくつかの場合において、コントローラ38は、複数個のペーシング・パルスを生成し、一対の電極34、36を介して送達するように構成されたものとして考慮されてもよい。いくつかの場合において、LCP30は、1つまたは複数の他のセンサ、例えば、加速度計またはジャイロスコープなどを含んでもよい。
【0040】
いくつかの場合において、LCP30は、コントローラ38に対して動作可能に結合される通信モジュール42を含んでもよく、他のデバイスからメッセージを受け取り、いくつかの場合において、他のデバイスへメッセージを送るように構成され得る。いくつかの場合において、通信モジュール42は、ICD20(図2)のようなSICDなどの、ただし、これに限定されない、別の埋め込みデバイスから、LCP30がメッセージを受け取ることを可能にし得る。いくつかの場合において、コントローラ38は、電極34、36によってピックアップされ得る、伝導通信を介して通信されたメッセージを、通信モジュール42を介して受け取るように構成されてもよい。いくつかの場合において、LCP18によって受け取られるメッセージは、ICD20などの遠隔デバイスからのコマンドを代表する。いくつかの実例において、コマンドは、複数の電極のうちの一対を介して患者の心臓Hに対して抗頻脈ペーシング(ATP)治療を送達するようにコントローラ38に指示するATPコマンドであってもよい。
【0041】
いくつかの場合において、コントローラ38は、心臓周期中に、ICD20などの遠隔デバイスによって伝導通信によって送られた同じメッセージの複数の冗長送信のうちの少なくとも1つを受け取るように構成され得る。同じメッセージの複数の冗長送信のうちの1つよりも多くが、心臓周期中にコントローラ38によって受け取られる場合、コントローラ38は、同じメッセージの1つよりも多い冗長送信を1つのメッセージとして処理するように構成され得る。いくつかの場合において、コントローラ38は、電極34、36によって感知された心臓信号がコントローラ38によって無視されるブランキング期間を心臓周期中に設けるように構成されてもよく、コントローラ38が、送られたメッセージのみを受信しようとしており、ブランキング期間中の心臓電気活動を無視していることを意味する。いくつかの場合において、コントローラ38は、おそらく、例えば、さらなるメッセージが送られることになっているかを確かめるために、メッセージを受け取ることに応答してブランキング期間を設けるように構成されてもよい。いくつかの場合において、コントローラ38は、ブランキング期間中に同じメッセージの複数の冗長送信のうちの少なくとも1つを受け取るように構成されてもよく、いくつかの場合において、複数の冗長送信のうちの2つ以上を受け取ってもよい。いくつかの場合において、コントローラ38は、受け取られた心臓信号における検出されたR波に続く所定の時間においてブランキング期間を設けるように構成されてもよい。
【0042】
いくつかの場合において、同じメッセージの複数の冗長送信は、冗長メッセージの各々に対して異なる通信ベクトルをもたらす、患者の生理学的変化を許容する持続時間にわたって受け取られ得る。ブランキング期間が提供される場合、この持続時間は、ブランキング期間に対応してもよく、または少なくとも部分的にブランキング期間の外部に位置してもよい。いくつかの場合において、持続時間は、患者の心拍に由来する、患者の生理学的変化に適合するように選択され得る。いくつかの場合において、持続時間は、患者の呼吸に由来する、患者の生理学的変化に適合するように選択され得る。いくつかの例において、持続時間は、心臓周期よりも短くてもよい。いくつかの場合において、持続時間は、1つよりも多い心臓周期に及んでもよい。
【0043】
いくつかの場合において、LCP30のコントローラ38は、ペーシング・パルスを生成し、複数の電極のうちの第1の対を介して送達し、LCPから離れた埋め込み型医療デバイス(IMD)から送られたメッセージを複数の電極のうちの第2の対を介して受け取り、複数の電極のうちの第3の対を介して心臓信号を受け取るように構成され得る。いくつかの場合において、第1の対の電極、第2の対の電極および第3の対の電極は、同じ対の電極に対応するが、他の場合においては、異なる電極が使用されてもよい。
【0044】
図4は、例えばICD20(図2)の一例として考慮され得る例示的な皮下埋め込み型心臓除細動器(SICD)50の概略図である。例示的なSICD50は、筐体52と、筐体52に対して動作可能に結合される電極支持体54とを含む。いくつかの場合において、電極支持体54は、1つまたは複数の電極が心臓電気活動を検出すること、および、適当な場合に心臓Hに対して電気ショックを与えることを可能にする場所、例えば、皮下または胸骨下などに、1つまたは複数の電極を位置付けるように構成され得る。図示されている例において、筐体52は、コントローラ56、電源58および通信モジュール60を収容し得る。例示されているように、電極支持体54は第1の電極62、第2の電極64および第3の電極66を含む。いくつかの場合において、電極支持体54は、より少数の電極、またはより多くの電極を含んでもよい。いくつかの場合において、SICD50は、例えば、1つまたは複数の他のセンサ、例えば、加速度計またはジャイロスコープなどを含んでもよい。
【0045】
いくつかの場合において、コントローラ56は、電極62、64、66のうちの2つ以上によって感知された心臓電気活動を分析し、SICD50から離れて埋め込まれ、患者の心臓Hに対して取り付けられたLCP18、30などの、ただし、これらに限定されない、リード無しの心臓ペースメーカ(LCP)に対してメッセージおよび/または命令を提供するべきかどうかに関する決定を行うように構成され得る。いくつかの場合において、コントローラ56が、LCP18、30に対してメッセージおよび/または命令を提供するという決定を行った場合、コントローラ56は、患者の心臓の心臓周期中に、伝導通信によってメッセージおよび/または命令の複数の冗長送信を送るように構成され得る。いくつかの場合において、コントローラ56は、メッセージおよび/または命令の複数の冗長送信の各々に対して追跡番号を付加するように構成されてもよい。例えば、追跡番号は、3つの連続して送られる冗長メッセージの「3つのうちの1番目」、「3つのうちの2番目」および「3つのうちの3番目」という非常に単純なものとし得る。そのような追跡番号が付加される場合、受信側のLCP18、30は、メッセージを反復されているものとして、または同じメッセージの冗長なコピーとして、より簡単に認識し得る。他の場合において、LCP18、30は、所定の期間中(例えば、ブランキング期間中)に受け取られたすべてのメッセージを、同じメッセージの冗長メッセージとして単純に処理し得る。
【0046】
いくつかの場合において、ICD20、50は、ハードウェア上の制限または不十分な通信ベクトルのいずれかに起因して、しLCP18、30からの伝導通信メッセージなどの、ただし、これらに限定されない肯定応答メッセージを受信することができないことがあり得る。いくつかの場合において、メッセージの複数の冗長送信の各々は、1つまたは複数のペーシング・パルスを与えるための、LCP18、30に対するコマンドまたは命令を含んでもよく、SICD50のコントローラ56は、LCP18、30が1つまたは複数のペーシング・パルスを送達したという指標のための心臓電気活動を監視するように構成されてもよい。いくつかの実例において、コントローラ56が、LCP18、30に対してメッセージを提供するという決定を行った後、コントローラ56は、患者の生理学的変化の結果として、LCP18、30がSICD50に対する向きを変化させることを許容して、LCP18、30において実質的に異なるベクトルおよび/または信号強度をもたらす、十分に長い持続時間を有する通信期間内に、メッセージの複数の冗長送信を送るように構成され得る。
【0047】
上述の通り、ブランキング期間は、心臓周期の一部に対応してもよく、または1つよりも多い心臓周期に及ぶことさえあり得る。図5Aは、いくつかのブランキング期間がその上に示された例示的な心電図(ECG)70を示す。図示されている例において、第1のブランキング期間72は、R波74に続く。第2のブランキング期間76は、R波78に続く。第3のブランキング期間80は、R波82に続く。第1のブランキング期間72、第2のブランキング期間76および第3のブランキング期間80の各々は、連続するR波間の期間として心臓周期が定義される状態において、1つの心臓周期よりも短いものとして例示されている。いくつかの例において、特定のブランキング期間の持続期間が調整され得ることが想定される。いくつかの場合において、各ブランキング期間72、76、80は、同じ持続時間を有し得る。いくつかの場合において、例えば、ブランキング期間72、76、80は各々、1つの心臓周期の少なくとも10パーセントを超えるが、1つの心臓周期全体未満に及んでもよい。ブランキング期間72、76、80の各々は、1つの心臓周期の少なくとも20パーセントを超えるが、1つの心臓周期全体未満に及んでもよい。ブランキング期間72、76、80の各々は、1つの心臓周期の少なくとも30パーセント、40パーセント、60パーセント、または、これ以上もしくはこれ以下に及んでもよい。いくつかの場合において、図5Bに例示されるように、ブランキング期間84は、R波74に続き、次の連続するR波78を超えた時点まで及ぶ。
【0048】
図6は、ICD20、50によってLCP18、30へ送られ得る冗長メッセージの概略的な図を提供する。図示されている例において、R波86は、LCPブランキング期間88の開始を示す。LCPブランキング期間88の持続期間は、心臓周期の一部内に収まってもよく、または1つを超える心臓周期に及んでもよい。SICDは、LCPに対してメッセージおよび/または命令の冗長送信90を提供するものとして考慮され得る。冗長送信90は、休止期間96によって分離された第1のメッセージ92と第2のメッセージ94とを有するものとして見られ得る。例示されているように、第1のメッセージ92および第2のメッセージ94の各々は、短い時間フレーム、長い時間フレーム、これらの間の短い時間フレームを定義する一連のパルス、ping、またはチャープを含む。メッセージは、任意の数の短い時間フレーム、長い時間フレーム、または、これらの間の他の時間フレームを定義する、任意の数のパルス、pingまたはチャープを含み得るので、これは例示にすぎないことが認識されるであろう。図から分かるように、第2のメッセージ94は、第1のメッセージ92と同じであり、同じパターンのパルス、pingまたはチャープを有する。つまり、第2のメッセージ94は、第1のメッセージ92に対して冗長である。
【0049】
いくつかの場合において、および図5Aに示されるように、同じメッセージは、2つの(またはより多くの)心拍の各々中に再ブロードキャストされ得る。これは、冗長メッセージ間の時間を増加させることを支援することが可能であり、したがって、1つだけの心拍よりも長い期間にわたって発生する生理学的変化を許容し得る。
【0050】
図7は、患者内に埋め込まれることが可能であり、心臓に対して適当な治療を送達するように、例えば、抗頻脈ペーシング(ATP)治療、心臓再同期療法(CRT)、徐脈治療、および/または同様のものなどを行うように動作することが可能である、別の例示的なリード無しの心臓ペースメーカ(LCP)を描く。図7から分かるように、LCP100は、すべての構成要素が筐体120内または直接筐体120上に収容された、小型のデバイスとし得る。いくつかの場合において、LCP100は、LCP18(図2)またはLCP30(図3)の一例として考慮され得る。図7に示される例において、LCP100は、通信モジュール102、パルス生成モジュール104、電気感知モジュール106、機械感知モジュール108、処理モジュール110、バッテリ112、および電極構成114を含み得る。LCP100は、適用例に応じて、より多くのモジュール、またはより少ないモジュールを含んでもよい。
【0051】
通信モジュール102は、LCP100の外部に配置される、センサなどのデバイス、SICDなどの他の医療デバイス、および/または同様のものと通信するように構成され得る。このようなデバイスは、患者の身体の外部に配置されても、または内部に配置されてもよい。配置に関わらず、外部デバイス(すなわち、LCP100の外部であるが、必ずしも患者の身体の外部とは限らない)は、通信モジュール102を介してLCP100と通信して、1つまたは複数の所望の機能を達成することができる。例えば、LCP100は、通信モジュール102を通じて、外部医療デバイス(例えば、SICDおよび/またはプログラマ)に対して、感知された電気信号、データ、命令、メッセージ、R波検出マーカ等などの情報を通信し得る。外部医療デバイスは、通信された信号、データ、命令、メッセージ、R波検出マーカ等を使用して、様々な機能、例えば、不整脈の発生を決定すること、電気刺激治療を与えること、受信されたデータを記憶すること、および/または任意の他の適切な機能を実行することなどを実行し得る。LCP100は、通信モジュール102を通じて、外部医療デバイスから、データ、命令および/またはメッセージなどの情報を付加的に受信してもよく、LCP100は、受信された信号、データ、命令および/またはメッセージを使用して、様々な機能、例えば、不整脈の発生を決定すること、電気刺激治療を与えること、受信されたデータを記憶すること、および/または任意の他の適切な機能を実行することなどを実行し得る。通信モジュール102は、外部デバイスと通信するための1つまたは複数の方法を使用するように構成され得る。例えば、通信モジュール102は、無線周波数(RF)信号、誘導結合、光信号、聴覚信号、伝導通信信号、および/または通信に適した任意の他の信号を介して通信し得る。
【0052】
図7に示される例において、パルス生成モジュール104は、電極114に対して電気的に接続され得る。いくつかの例において、LCP100は、電極114’を付加的に含んでもよい。そのような例において、パルス生成器104は、電極114’に対しても電気的に接続され得る。パルス生成モジュール104は、電気刺激信号を生成するように構成され得る。例えば、パルス生成モジュール104は、LCP100内のバッテリ112に蓄積されたエネルギーを使用することによって、電気刺激信号を生成するとともに送達し、生成された電気刺激信号を電極114および/または114’を介して送達し得る。代替的に、または付加的に、パルス生成器104は、1つまたは複数のコンデンサを含んでもよく、パルス生成器104は、バッテリ112からエネルギーを取り出すことによって、1つまたは複数のコンデンサを充電してもよい。次いで、パルス生成器104は、1つまたは複数のコンデンサのエネルギーを使用して、生成された電気刺激信号を電極114および/または114’を介して送達し得る。少なくともいくつかの例において、電極114/114’(および/または他の電極)のうちのいずれを介してパルス生成器104が電気刺激治療を送達するかを選択するために、LCP100のパルス生成器104は、電極114および/または114’のうちの1つまたは複数をパルス生成器104に選択的に接続するための切り替え回路類を含んでもよい。パルス生成モジュール104は、多数の異なる刺激治療のうちの1つまたは複数を提供するために、特定の特徴を備えた電気刺激信号、または特定のシーケンスの電気刺激信号を生成するとともに送達し得る。例えば、パルス生成モジュール104は、徐脈、頻脈、心臓同期、徐脈不整脈、頻脈不整脈、細動性不整脈、心臓同期不整脈に対して有効な電気刺激療法を提供するための、および/または任意の他の適切な電気刺激治療をもたらすための、電気刺激信号を生成するように構成されてもよい。いくつかのより一般的な電気刺激治療は、抗頻脈ペーシング(ATP)治療、心臓再同期治療(CRT)、および電気的除細動/除細動治療を含む。いくつかの場合において、パルス生成器104は、制御可能なパルス・エネルギーを提供し得る。いくつかの場合において、パルス生成器104は、パルス電圧、パルス幅、パルス波形もしくはパルス形態、および/または、任意の他の適切なパルス特性をコントローラが制御することを可能にしてもよい。
【0053】
いくつかの例において、LCP100は、電気感知モジュール106、および、いくつかの場合において、機械感知モジュール108を含み得る。電気感知モジュール106は、心臓の心臓電気活動を感知するように構成され得る。例えば、電気感知モジュール106は、電極114/114’に接続されてもよく、電気感知モジュール106は、電極114/114’を通じて伝導された心臓電気信号を受け取るように構成されてもよい。心臓電気信号は、LCP100が埋め込まれたチャンバからのローカル情報を代表する。例えば、LCP100が心臓の心室(例えば、RV、LV)内に埋め込まれる場合、電極114/114’を通じてLCP100によって感知された心臓電気信号は、心室の心臓電気信号を代表する。いくつかの場合において、LCP100は、他のチャンバ(例えば、遠距離場)からの心臓電気信号、例えば、心房からのP波などを検出するように構成されてもよい。
【0054】
機械感知モジュール108は、1つまたは複数のセンサ、例えば、加速度計、圧力センサ、心音センサ、血液酸素センサ、化学センサ、温度センサ、フロー・センサ、および/または、患者の1つもしくは複数の機械的/化学パラメータを測定するように構成された任意の他の適切なセンサなどを含み得る。電気感知モジュール106と機械感知モジュール108との両方は、処理モジュール110に対して接続されることが可能であり、処理モジュール110は、感知された機械的パラメータを表す信号を提供し得る。別個の感知モジュールとして図7に関して説明されたが、いくつかの場合において、電気感知モジュール106および機械感知モジュール108は、所望に応じて、単一の感知モジュールに組み合わされてもよい。
【0055】
電極114/114’は、筐体120に対して取り付けられることが可能であるが、LCP100の周囲の組織および/または血液に対して暴露される。いくつかの場合において、電極114は、一般に、LCP100の両端部に配設されることが可能であり、モジュール102、104、106、108、および110のうちの1つ以上と電気的に通信し得る。電極114/114’は、筐体120によって支持され得るが、いくつかの例において、電極114/114’は、電極114/114’が直接筐体120に対して取り付けられないように、短い接続ワイヤを通じて筐体120に対して接続され得る。LCP100が、1つまたは複数の電極114’を含む例では、電極114’は、いくつかの場合において、LCP100の側面に配設されてもよく、これは、LCP100が心臓電気活動を感知し、電気刺激を送達し、および/または外部医療デバイスと通信する電極の数を増加させ得る。電極114/114’は、1つまたは複数の生体適合性のある導体材料、例えば、人体内への埋め込みが安全であると知られている様々な金属または合金などから作られ得る。いくつかの実例において、LCP100に対して接続された電極114/114’は、隣接する電極、筐体120、および/またはLCP100の他の部品から電極114/114’を電気的に絶縁する絶縁部分を有してもよい。いくつかの場合において、電極114/114’のうちの1つまたは複数は、筐体120から離れるように延在するテール部(図示せず)上に提供されてもよい。
【0056】
処理モジュール110は、LCP100の動作を制御するように構成され得る。例えば、処理モジュール110は、電気感知モジュール106および/または機械感知モジュール108から電気的信号を受け取るように構成され得る。受信された信号に基づいて、処理モジュール110は、例えば、心臓Hの動作における異常を決定し得る。任意の決定された異常に基づいて、処理モジュール110は、決定された異常を処理する、1つまたは複数の治療に応じた電気刺激を生成するとともに送達するようにパルス生成モジュール104を制御し得る。処理モジュール110は、通信モジュール102から情報をさらに受信してもよい。いくつかの例において、処理モジュール110は、そのような受信された情報を使用して、異常が発生しているかどうかを決定すること、異常のタイプを決定すること、および/または情報に応答して特定のアクションを行うことを支援し得る。処理モジュール110は、他のデバイスへ/から情報を送信する/受信するために通信モジュール102を付加的に制御してもよい。
【0057】
いくつかの例において、処理モジュール110は、予めプログラムされたチップ、例えば、超大規模集積(VLSI)チップおよび/または特定用途向け集積回路(ASIC)などを含み得る。そのような実施形態において、チップは、LCP100の動作を制御するために、制御ロジックを用いて予めプログラムされ得る。予めプログラムされたチップを使用することによって、処理モジュール110は、基本的な機能性を依然として維持することが可能でありながら、他のプログラム可能な回路(例えば、汎用のプログラム可能なマイクロプロセッサ)よりも少ない電力を使用することができ、それによって、LCP100のバッテリ寿命を潜在的に増加させる。他の例において、処理モジュール110は、プログラム可能なマイクロプロセッサを含んでもよい。そのようなプログラム可能なマイクロプロセッサは、埋め込みの後であっても、LCP100の制御ロジックをユーザが変更することを許容することができ、それによって、予めプログラムされたASICを使用する場合よりも高いLCP00の柔軟性を許容し得る。いくつかの例において、処理モジュール110は、メモリをさらに含んでもよく、処理モジュール110は、メモリに情報を記憶し、メモリから情報を読み取ってもよい。他の例において、LCP100は、処理モジュール110が別個のメモリから情報を読み取り、情報を書き込み得るように、処理モジュール110と通信する別個のメモリ(図示せず)を含んでもよい。
【0058】
バッテリ112は、LCP100に対してその動作のための電力を提供し得る。いくつかの例において、バッテリ112は、非再充電式のリチウム・ベースのバッテリであってもよい。他の例において、非充電式バッテリは、所望に応じて、他の適切な材料から作られてもよい。LCP100は埋め込み型デバイスであるので、LCP100に対するアクセスは、埋め込み後に限定され得る。したがって、処置の期間、例えば、数日間、数週間、数か月、数年または数十年間などにわたって、治療を送達するのに十分なバッテリ容量を有することが望ましい。いくつかの例において、バッテリ112は、充電式バッテリであってもよく、充電式バッテリは、LCP100の使用可能な寿命を増加させることを支援し得る。さらに他の例において、バッテリ112は、所望に応じて、何らかの他のタイプの電源であってもよい。
【0059】
患者の身体内にLCP100を埋め込むために、オペレータ(例えば、医師、臨床医等)は、患者の心臓の心臓組織に対してLCP100を固定し得る。固定を容易にするために、LCP100は、1つまたは複数のアンカー116を含み得る。アンカー116は、多数の固定機構またはアンカリング機構のうちの任意の1つを含み得る。例えば、アンカー116は、1つまたは複数のピン、ステープル、糸、ねじ、螺旋状のもの、歯、および/または同様のものを含んでもよい。いくつかの例において、図示されていないが、アンカー116は、少なくともアンカー116の部分的な長さに沿って延び得るその外表面上に糸を含んでもよい。糸は、心臓組織とアンカーとの間に摩擦を提供して、心臓組織内にアンカー116を固定することを支援し得る。他の例において、アンカー116は、周囲の心臓組織との係合を容易にするために、他の構造、例えば、かえし、スパイク等などを含んでもよい。
【0060】
図8は、別の医療デバイスまたは第2の医療デバイス(MD)200の例を描いており、MD200は、心臓の異常を検出および/または処理するために、LCP100(図7)と共に使用され得る。いくつかの場合において、MD200は、ICD20(図2)またはSICD50(図4)の一例として考慮され得る。図示されている例において、MD200は、通信モジュール202、パルス生成モジュール204、電気感知モジュール206、機械感知モジュール208、処理モジュール210、およびバッテリ218を含み得る。これらのモジュールの各々は、LCP100のモジュール102、104、106、108、および110に類似し得る。また、バッテリ218は、LCP100のバッテリ112に類似し得る。しかしながら、いくつかの例において、MD200は、筐体220内に、より大きい容積を有してもよい。そのような例において、MD200は、LCP100の処理モジュール110よりも複雑な動作を取り扱うことが可能な、より大きいバッテリおよび/またはより大きい処理モジュール210を含み得る。
【0061】
MD200が、図7に示されるような別のリード無しのデバイスであり得ることが想定されるが、いくつかの実例において、MD200は、リード212などのリードを含んでもよい。リード212は、電極214と、筐体220内に配置された1つまたは複数のモジュールとの間の電気的信号を伝導する電線を含み得る。いくつかの場合において、リード212は、MD200の筐体220に対して接続され、MD200の筐体220から離れるように延在し得る。いくつかの例において、リード212は、患者の心臓上に、患者の心臓内に、または患者の心臓に隣接して埋め込まれる。リード212は、リード212の様々な場所に、および、いくつかの場合において、筐体220からの様々な距離に位置付けられた1つまたは複数の電極214を含み得る。いくつかのリード212は、単一の電極214のみを含んでもよく、一方で、他のリード212は、複数の電極214を含んでもよい。一般に、リード212が患者内に埋め込まれる場合、電極214のうちの1つまたは複数が所望の機能を実行するように位置付けられるように、電極214はリード212に位置付けられる。いくつかの場合において、電極214のうちの1つまたは複数は、患者の心臓組織に接し得る。いくつかの場合において、電極214のうちの1つまたは複数は、皮下に、かつ、患者の心臓の外部に位置付けられ得る。いくつかの場合において、電極214は、内因的に生成された電気信号、例えば、内因的な心臓電気活動を表す信号をリード212へ伝導し得る。リード212は、次に、受信された電気的信号をMD200のモジュール202、204、206、および208のうちの1つまたは複数へ伝導し得る。いくつかの場合において、MD200は、電気刺激信号を生成することができ、リード212は、生成された電気刺激信号を電極214へ伝導し得る。次いで、電極214は、電気信号を伝導し、信号を患者の心臓に(直接的または間接的に)送達し得る。
【0062】
機械感知モジュール208は、機械感知モジュール108と同様に、1つまたは複数のセンサ、例えば、加速度計、音響センサ、血圧センサ、心音センサ、血液酸素センサ、ならびに/または、心臓および/もしくは患者の1つもしくは複数の機械的/化学パラメータを測定するように構成された他のセンサなどを含み、または、1つまたは複数のセンサに対して電気的に接続され得る。いくつかの例において、センサのうちの1つまたは複数は、リード212に配置され得るが、これは必須ではない。いくつかの例において、センサのうちの1つまたは複数は、筐体220に配置されてもよい。
【0063】
必須ではないが、いくつかの例において、MD200は、埋め込み型医療デバイスであってもよい。そのような例において、MD200の筐体220は、例えば、患者の経胸腔領域に埋め込まれ得る。筐体220は、一般に、人体への埋め込みに安全である多数の知られている材料のいずれかを含むことができ、埋め込まれた場合に、患者の身体の流体および組織から、MD200の様々な構成要素を密閉し得る。
【0064】
いくつかの場合において、MD200は、埋め込み型心臓ペースメーカ(ICP)であってもよい。この例において、MD200は、1つまたは複数のリード、例えば、リード212を有することができ、リード212は、患者の心臓上に、または患者の心臓内に埋め込まれる。1つまたは複数のリード212は、患者の心臓の心臓組織および/または血液に接する、1つまたは複数の電極214を含み得る。MD200は、内因的に生成された心臓電気信号を感知し、感知された信号の分析に基づいて、例えば、1つまたは複数の心不整脈を決定するように構成され得る。MD200は、心臓内に埋め込まれたリード212を介して、CRT、ATP治療、徐脈治療、および/または他の治療タイプを行うように構成され得る。いくつかの例において、MD200は、除細動治療を提供するようにさらに構成されてもよい。
【0065】
いくつかの実例において、MD200は、埋め込み型心臓除細動器(ICD)であってもよい。そのような例において、MD200は、患者の心臓内に埋め込まれる、1つまたは複数のリードを含み得る。MD200は、心臓電気信号を感知し、感知された信号に基づいて不整頻拍の発生を決定するように構成されることも可能であり、不整頻拍の発生の決定に応答して、除細動治療を送達するように構成され得る。他の例において、MD200は、皮下埋め込み型心臓除細動器(S-ICD)であってもよい。MD200がS-ICDである例において、リード212のうちの1つは、皮下に埋め込まれたリードであってもよい。MD200がS-ICDである、少なくともいくつかの例において、MD200は、皮下に埋め込まれる単一のリードのみを含んでもよいが、これは必須ではない。いくつかの実例において、リードは、皮下に、かつ、胸腔の外部に位置付けられる、1つまたは複数の電極を有し得る。他の例において、リードは、胸腔の内部、例えば、胸骨のすぐ内側であるが、心臓Hの外部などに配置される、1つまたは複数の電極を有してもよい。
【0066】
いくつかの例において、MD200は、埋め込み型医療デバイスでなくてもよい。むしろ、MD200は、患者の身体の外部のデバイスであってもよく、患者の身体上に位置付けられる皮膚電極を含んでもよい。そのような例において、MD200は、表面電気信号(例えば、心臓によって生成される心臓電気信号、または患者の身体内に埋め込まれたデバイスによって生成され、身体を通って皮膚へ伝導される電気信号)を感知することが可能であり得る。そのような例において、MD200は、例えば、除細動治療を含む、様々なタイプの電気刺激治療を送達するように構成され得る。
【0067】
図9は、医療デバイス・システム、および複数の医療デバイス302、304、306、および/または310が通信し得る通信経路の例を例示する。図示されている例において、医療デバイス・システム300は、LCP 302および304、外部医療デバイス306、および他のセンサ/デバイス310を含み得る。外部デバイス306は、MD200に関して前述されたデバイスのいずれかであってよい。他のセンサ/デバイス310も、MD200に関して前述されたデバイスのいずれかであってよい。いくつかの実例において、他のセンサ/デバイス310は、センサ、例えば、加速度計、音響センサ、血圧センサ、または同様のものなどを含んでもよい。いくつかの場合において、他のセンサ/デバイス310は、システム300の1つまたは複数のデバイスをプログラムするために使用され得る外部プログラマ・デバイスを含んでもよい。
【0068】
システム300の様々なデバイスは、通信経路308を介して通信し得る。通信経路308は、1つまたは多数の異なる通信経路および/または多数の異なる通信モードを含み得る。通信経路308は、1つまたは複数の別個の通信ベクトルも含み得る。いくつかの場合において、例えば、LCP302および/または304は、内因性の心臓電気信号を感知することができ、そのような信号を、通信経路308を介して、システム300の1つまたは複数の他のデバイス302/304、306、および310へ通信し得る。一例において、デバイス302/304のうちの1つまたは複数は、そのような信号を受け取り、受け取られた信号に基づいて、不整脈の発生を決定し得る。いくつかの場合において、1つまたは複数のデバイスの302/304は、そのような決定を、システム300の1つまたは複数の他のデバイス306および310へ通信し得る。いくつかの場合において、システム300のデバイス302/304、306、および310のうちの1つまたは複数は、患者の心臓に対して適切な電気刺激を与えることなどによって、不整脈の通信された決定に基づいた行為を行い得る。通信経路308はRF信号、誘導結合、光信号、聴覚信号、または通信に適切な任意の他の信号を使用して、通信し得ることが想定される。また、少なくともいくつかの例において、デバイス通信経路308は、複数の信号のタイプを含み得る。例えば、他のセンサ/デバイス310は、外部デバイス306とは第1の信号タイプ(例えば、RF通信)を使用して通信し得るが、LCP302/304とは第2の信号タイプ(例えば、伝導通信)を使用して通信し得る。さらに、いくつかの例において、デバイス間の通信は限定され得る。例えば、上述したように、いくつかの例において、LCP302/304は、他のセンサ/デバイス310を通じてのみ、外部デバイス306と通信することができ、この場合、LCP 302/304は、他のセンサ/デバイス310へ信号を送り、他のセンサ/デバイス310が、送られた信号を外部デバイス306へ中継する。
【0069】
いくつかの場合において、通信経路308は、伝導通信を含み得る。したがって、システム300のデバイスは、そのような伝導通信を可能にする構成要素を有し得る。例えば、システム300のデバイスは、伝導通信信号(例えば、電流および/または電圧パルス)を送信側デバイスの1つまたは複数の電極を介して患者の身体内へ送るように構成されてもよく、伝導通信信号(例えば、パルス)を1つまたは複数の電極を介して受け取ってもよい。患者の身体は、伝導通信信号(例えば、パルス)を送信側デバイスの1つまたは複数の電極からシステム300における受け取り側デバイスの電極へ「伝導し」得る。そのような例において、送達された伝導通信信号(例えば、パルス)は、ペーシング信号または他の治療信号と異なり得る。例えば、システム300のデバイスは、心臓に対するサブキャプチャ閾値である振幅/パルス幅で、電気通信パルスを送達してもよい。いくつかの場合において、送達される電気通信パルスの振幅/パルス幅は、心臓のキャプチャ閾値を超え得るが、心臓のブランキング期間(例えば、不応期)中に送達されてもよく、または、所望の場合には、ペーシング・パルスに組み込まれてもよく、もしくはペーシング・パルス上へ変調されてもよい。
【0070】
送達される電気通信パルスは、通信される情報を符号化するために任意の適切な手法で変調され得る。いくつかの場合において、通信パルスは、パルス幅変調されても、または、振幅変調されてもよい。代替的に、または付加的に、パルス間の時間は、所望の情報を符号化するために変調され得る。いくつかの場合において、伝導される通信パルスは、所望に応じて、電圧パルス、電流パルス、二相電圧パルス、二相電流パルス、または任意の他の適切な電気パルスであってもよい。
【0071】
図10は、例示的な医療デバイス・システムを示す。図10において、LCP402は、心臓410の左心室の内部に対して固定されて示されており、パルス生成器406は、1つまたは複数の電極408a~408cを有するリード412に対して結合されて示されている。いくつかの場合において、パルス生成器406は、皮下埋め込み型心臓除細動器(S-ICD)の一部であってもよく、1つまたは複数の電極408a~408cは、皮下に位置付けられてもよい。いくつかの場合において、1つまたは複数の電極408a~408cは、胸腔の内部であるが、心臓の外部に、例えば、胸骨のすぐ内側などに位置付けられ得る。いくつかの場合において、LCP402は、皮下埋め込み型心臓除細動器(S-ICD)と通信し得る。いくつかの場合において、リード412および/またはパルス生成器406は、例えば、心音を示し得る振動を感知するように構成され得る加速度計414を含んでもよい。
【0072】
いくつかの場合において、LCP402は、所望に応じて、心臓の右心室、右心房、左心室または左心房に存在し得る。いくつかの場合において、1つよりも多いLCP402が埋め込まれてもよい。例えば、1つのLCPは右心室に埋め込まれてもよく、別のLCPは右心房に埋め込まれてもよい。別の例において、1つのLCPは右心室に埋め込まれてもよく、別のLCPは左心室に埋め込まれてもよい。また別の例において、1つのLCPが心臓のチャンバの各々に埋め込まれてもよい。
【0073】
本開示は、多くの点において、例示にすぎないことが理解されるべきである。変更は、本開示の範囲を越えることなく、詳細において、特に、形状、サイズ、およびステップの配置に関して、行なわれ得る。これは、適当である範囲で、1つの例示的な実施形態のいずれかの使用が、他の実施形態において使用されることを含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10