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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】構造化光照明顕微イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/14 20060101AFI20220112BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G02B21/14
G01N21/17 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019549582
(86)(22)【出願日】2017-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 CN2017089163
(87)【国際公開番号】W WO2018205357
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】201710334448.0
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519324880
【氏名又は名称】中国科学院▲蘇▼州生物医学工程技▲術▼研究所
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU INSTITUTE OF BIOMEDICAL ENGINEERING AND TECHNOLOGY, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.88, Keling Road, New District Suzhou, Jiangsu 215163, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】熊大曦
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼西斌
(72)【発明者】
【氏名】王沛沛
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103792654(CN,A)
【文献】特開2013-003587(JP,A)
【文献】特開2012-203272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/14
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化光源と、前記構造化光源の放射光路に順次に設けられたビーム整形レンズ、励起フィルタ及び二色鏡と、前記二色鏡の第1の光路に順次に設けられた対物レンズ及びサンプルと、前記二色鏡の第2の光路に順次に設けられた放射フィルタ、チューブレンズ及び検出器と、
を含み、
前記構造化光源は、明暗縞を有する構造化光を生成するためのマイクロサイズの発光光源を含み、
前記マイクロサイズの発光光源は、基板と、前記基板に配置されている発光セルアレイとを含み、
前記発光セルごとのサイズの範囲は500μm×500μmの角形状領域以内であり、
前記発光セルアレイにおける列ごとの発光セルのアノードが列走査線に接続されると共に、行ごとの発光セルのカソードが行走査線に接続され、
所定のY列目の走査線とX行目の走査線がストローブされると、その交差点である(X,Y)の、前記発光セルの画素が点灯される、
構造化光照明顕微イメージングシステム。
【請求項2】
前記対物レンズ及びサンプルは、前記二色鏡の反射光路に順次に設けられており、前記放射フィルタ、チューブレンズ及び検出器は、前記二色鏡の透過光路に順次に設けられている請求項1に記載の構造化光照明顕微イメージングシステム。
【請求項3】
前記対物レンズ及びサンプルは、前記二色鏡の透過光路に順次に設けられており、前記放射フィルタ、チューブレンズ及び検出器は、前記二色鏡の反射光路に順次に設けられている請求項1に記載の構造化光照明顕微イメージングシステム。
【請求項4】
前記ビーム整形レンズは、前記構造化光源の放射光路に設けられており、
前記励起フィルタは、前記ビーム整形レンズの放射光路に設けられており、
前記二色鏡は、前記励起フィルタの放射光路における構造化光を前記対物レンズに反射するために用いられる請求項1に記載の構造化光照明顕微イメージングシステム。
【請求項5】
前記対物レンズは、前記二色鏡により反射された構造化光を受光すると共に、前記受光した構造化光を前記サンプルに投影するために用いられ、
前記サンプルは、前記対物レンズにより投影された構造化光を受光して構造化光照明を形成すると共に、蛍光を励起させるために用いられ、前記蛍光は、前記対物レンズと二色鏡とを順次に透過する請求項4に記載の構造化光照明顕微イメージングシステム。
【請求項6】
前記放射フィルタは、前記二色鏡を透過した前記蛍光を濾波するために用いられ、
前記チューブレンズは、前記放射フィルタの透過光路に位置し、前記放射フィルタにより濾波された前記蛍光を収集し、透過させるために用いられ、
前記蛍光検出器は、前記チューブレンズを透過した蛍光を受光するために用いられる請求項5に記載の構造化光照明顕微イメージングシステム。
【請求項7】
前記構造化光源と前記サンプルの表面、前記サンプルの表面と前記検出器のイメージング面は、何れも共役構造の位置にある請求項1に記載の構造化光照明顕微イメージングシステム。
【請求項8】
前記ビーム整形レンズは、一つ又は複数のレンズを含む請求項1に記載の構造化光照明顕微イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学分野に関し、特に、構造化光照明顕微イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
構造化光顕微イメージング技術は、光学顕微鏡に基づく超解像顕微イメージング技術であり、この技術は、特別に変調された構造化ライトフィールドを使用してサンプルを照明し、位相シフト法により、位相の異なる変調画像データから焦点面の情報を抽出し、構造化光照明顕微イメージングの画像データを得るものであり、一般的な光学顕微鏡の光学回折限界による制限を突破して、より高い顕微イメージング解像力を達成することができる。
【0003】
構造化光照明顕微は、最初に、照明光路に正弦格子を加えることにより実現され、格子パターンがサンプルに投影されることにより、構造化光照明が形成される。しかし、これらの格子により構造化光照明を実現するシステムでは、異なる位相でのソース画像を得るためには、格子を移動させる必要があるので、このような機械的移動装置は、システムの安定性を低下させてしまう。
【0004】
特許201110448980.8には、高速イメージング及び高い光エネルギー利用効率を実現した、デジタル顕微鏡デバイスに基づく高速構造化照明光学顕微システム及び方法が提案されている。しかし、空間光変調器は、コストが高く、イメージング速度が依然として制限されており、システムが大型である等の欠点がある。
【0005】
また、アレイ配置されるLED光源と、複眼レンズとを組み合わせることにより、構造化光照明を実現する顕微システムもあるが、このシステムに、複眼レンズを取り込む必要があり、かつ、複眼レンズの加工及び実装、調整の難易度が極めて高く、実装及び加工の精度に対する要求が厳しい。複眼レンズの実装及び加工の精度が要求に達していない場合に、当該複眼レンズが実装されている構造化光照明顕微イメージングシステムにより、高コントラスト、高シグナルノイズ比の顕微画像を得ることができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的の一つは、従来の構造化光照明顕微イメージングシステムのコストが高く、実装、調整が難く、安定性が劣る等の問題を解決することができる構造化光照明顕微イメージングシステムを提供することである。
【0007】
本発明の一側面によれば、
構造化光源と、
前記構造化光源の放射光路に順次に設けられたビーム整形レンズ、励起フィルタ及び二色鏡と、
前記二色鏡の第1の光路に順次に設けられた対物レンズ及びサンプルと、
前記二色鏡の第2の光路に順次に設けられた放射フィルタ、チューブレンズ及び検出器と、
を含む構造化光照明顕微イメージングシステムを提供する。
【0008】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記対物レンズとサンプルは、前記二色鏡の反射光路に順次に設けられており、前記放射フィルタ、チューブレンズ、及び検出器は、前記二色鏡の透過光路に順次に設けられている。
【0009】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記対物レンズ及びサンプルは、前記二色鏡の透過光路に順次に設けられており、前記放射フィルタ、チューブレンズ、及び検出器は、前記二色鏡の反射光路に順次に設けられている。
【0010】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記構造化光源は、明暗縞を有する構造化光を生成するためのマイクロサイズの発光光源を含む。
【0011】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記マイクロサイズの発光光源は、基板と、前記基板に配置された発光セルアレイとを含む。さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記発光セルごとののサイズの範囲は、500μm×500μmの角形状領域以内である。
【0012】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記ビーム整形レンズは、前記構造化光源の放射光路に設けられており、
前記励起フィルタは、前記ビーム整形レンズの放射光路に設けられており、
前記二色鏡は、前記励起フィルタの放射光路における構造化光を前記対物レンズに反射するために用いられる。
【0013】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記対物レンズは、前記二色鏡により反射された構造化光を受光すると共に、前記受光した構造化光を前記サンプルに投影するために用いられ、
前記サンプルは、前記対物レンズにより投影された構造化光を受光して構造化光照明を形成すると共に、蛍光を励起させるために用いられ、前記蛍光は、前記対物レンズと二色鏡とを順次に透過する。
【0014】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記放射フィルタは、前記二色鏡を透過した前記蛍光を濾波するために用いられ、
前記チューブレンズは、前記放射フィルタの透過光路に位置し、前記放射フィルタにより濾波された前記蛍光を収集し透過させるために用いられ、
前記蛍光検出器は、前記チューブレンズを透過した蛍光を受光するために用いられる。
【0015】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記構造化光源と前記サンプルの表面、前記サンプルの表面と前記検出器のイメージング面は、いずれも共役構造の位置にある。
【0016】
さらに、前記構造化光照明顕微イメージングシステムにおいて、前記ビーム整形レンズは、一つ又は複数のレンズを含む。
【0017】
従来の技術と比べ、本発明は、構造化光源と、前記構造化光源の放射光路に順次に設けられたビーム整形レンズ、励起フィルタ及び二色鏡と、前記二色鏡の第1の光路に順次に設けられた対物レンズ及びサンプルと、前記二色鏡の第2の光路に順次に設けられた放射フィルタ、チューブレンズ及び検出器とにより、複眼レンズが設けられた構造化光顕微イメージングシステムと比べ、構造化光照明顕微イメージングシステムの実装と加工の精度に対する要求を下げる上に、シグナルノイズ比及びコントラストのより高い超解像顕微画像を得ることができ、デジタルマイクロレンズアレイ又は格子に基づく構造化光顕微イメージングシステムと比べ、システムのコストが大幅に低減し、且つ、システムの安定性がより高くなる。また、構造化光源として、マイクロサイズの発光ダイオード光源を採用することにより、構造化光顕微イメージングシステムは、構造が簡単で、実装、調整しやすく、かつ、コストがより低くなり、高解像力、高安定性、高コントラストの構造化光照明顕微光学システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
下記の図面を参照して為された非制限性の実施例に対する詳細な説明を読むことにより、本発明の他の特徴、目的及びメリットがより明らかになる。
図1】本発明の一実施例に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの模式図を示す。
図2】本発明の別の実施例に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの模式図を示す。
図3】本発明の一実施例に係る基板に配置された円形の発光セルアレイの正面図を示す。
図4】本発明の一実施例に係る基板に配置された角形状の発光セルアレイの正面図を示す。
図5図4の側面図を示す。
図6】本発明の一実施例に係る正方形の発光セルが縦の縞を形成する模式図を示す。
図7】本発明の一実施例に係る正方形の発光セルが横の縞を形成する模式図を示す。
図8】本発明の一実施例に係る正方形の発光セルが斜めの縞を形成する模式図を示す。
図9】本発明の一実施例に係る円形の発光セルが縦の縞を形成する模式図を示す。
図10】本発明の一実施例に係る円形の発光セルが横の縞を形成する模式図を示す。
図11】本発明の一実施例に係る円形の発光セルが斜めの縞を形成する模式図を示す。
図12】本発明の一実施例に係るデューティ比が1:2である縦の構造化光縞を示す。
図13】本発明の一実施例に係るデューティ比が1:3である縦の構造化光縞を示す。
図14】本発明の一実施例に係るマイクロサイズの発光ダイオードのパッシブマトリクスの駆動方式の模式図を示す。
【0019】
図面における同一又は同様の図面符号は同一又は同様の部材を表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を更に詳しく説明する。
【0021】
図1、2に示すように、本発明は、以下の要素を含む構造化光照明顕微イメージングシステムを提供する。
【0022】
構造化光源1。
【0023】
前記構造化光源1の放射光路に順次に設けられたビーム整形レンズ2、励起フィルタ3、及び二色鏡4。図1、2に示すように、前記ビーム整形レンズ2、励起フィルタ3、及び二色鏡4は、前記構造化光源1から近い順に前記構造化光源の放射光路に設けられることができる。
【0024】
前記二色鏡4の第1の光路に順次に設けられた対物レンズ5及びサンプル6。図1、2に示すように、対物レンズ5及びサンプル6は、前記二色鏡4から近い順に前記二色鏡4の第1の光路に設けられることができる。
【0025】
前記二色鏡4の第2の光路に順次に設けられた放射フィルタ7、チューブレンズ8、及び検出器9。図1、2に示すように、前記放射フィルタ7、チューブレンズ8、及び検出器9は、前記二色鏡から近い順に、前記二色鏡の第2の光路に設けられることができ。ここで、前記二色鏡の第1の光路と第2の光路とは平行又は垂直である。本実施例の構造化光照明顕微イメージングシステムは、複眼レンズが設けられた構造化光顕微イメージングシステムと比べ、構造化光照明顕微イメージングシステムの実装と加工の精度に対する要求を下げる上に、シグナルノイズ比及びコントラストのより高い超解像顕微画像を得ることができ、デジタルマイクロレンズアレイ又は格子に基づく構造化光顕微イメージングシステムと比べ、システムのコストが大幅に低減し、且つ、システムの安定性がより高くなる。
【0026】
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、図1に示すように、前記二色鏡4の第1の光路は、前記二色鏡の反射光路であり、前記二色鏡4の第2の光路は、前記二色鏡の透過光路であり、このように、前記対物レンズ及びサンプルは前記二色鏡の反射光路に順次に設けられており、前記放射フィルタ、チューブレンズ、及び検出器は、前記二色鏡の透過光路に順次に設けられている。
【0027】
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、図2に示すように、前記二色鏡4の第1の光路は、前記二色鏡の透過光路であり、前記二色鏡4の第2の光路は、前記二色鏡の反射光路であり、このように、前記対物レンズ及びサンプルは前記二色鏡の透過光路に順次に設けられており、前記放射フィルタ、チューブレンズ、及び検出器は前記二色鏡の反射光路に順次に設けられている。
【0028】
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、前記構造化光源は、明暗縞を有する構造化光を生成するためのマイクロサイズの発光ダイオード光源(Micro LED)を含む。ここで、Micro LED技術は、すなわち、LEDの縮小化、マトリクス化のための技術であり、一枚のチップに集積される高密度のマイクロサイズのLEDアレイを意味し、発光セルごとにアドレス指定、独立な駆動点灯が可能である。高効率、高輝度、高信頼性、反応時間が速いなどの特徴を有するとともに、バックライトを必要としない自発光特性を有し、更に、省エネルギー、構造が簡単で、コンパクト、薄型などの利点を有する。図3~5に示すように、前記マイクロサイズの発光ダイオード光源1は、基板11と、前記基板に配置された発光セル12のアレイからなり、発光セル12のそれぞれは、一つのマイクロサイズの発光ダイオードとすることができる。本実施例では、マイクロサイズの発光ダイオードのアレイを制御することにより、構造化光照明顕微イメージングシステムが必要とする構造化光縞を得、構造化光縞の高速切り替え及び位相シフトにより、超解像顕微イメージングの目的を実現することができる。伝統的なDMD又は格子に基づく構造化光顕微イメージングシステムと比べ、本実施例で提供されるマイクロサイズの発光ダイオードアレイに基づく構造化光顕微イメージングシステムは、構造が簡単で、実装、調整しやすく、かつ、コストがより低い。
【0029】
本実施例は、伝統的な構造化光顕微イメージングシステムにおいて用いられた格子又は二次元空間光変調器の代わりに、マイクロサイズの発光ダイオードにより、明暗縞を有する構造化光を生成することで、構造化光照明を実現し、照明システムの光路構造を大幅に簡素化し、構造化光顕微イメージングシステムのコストを低減する。それと共に、マイクロサイズの発光ダイオードの、効率的で、輝度が高く、信頼性が高く、応答時間が短いという特性により、マイクロサイズの発光ダイオードに基づく構造化光照明顕微イメージングシステムは、より高い信頼性と安定性を有する。本実施例の構造化光照明顕微イメージングシステムによれば、高解像力、高安定性、高コントラストの構造化光照明顕微光学システムを得られる。
【0030】
本発明の構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、前記発光セルのそれぞれは、対応する独立駆動回路を有し、それぞれの発光セルから一種又は複数種の波長の光を同時に出射することにより、前記マイクロサイズのLED光源が所定の構造化光を生成する。例えば、ある発光セルからの出射光の波長は488nmである。
【0031】
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、前記発光セルの形状は角形状又は円形であり、例えば、図3には、基板に配置された円形の発光セルアレイの正面図が示され、図4には、基板に配置された角形状の発光セルアレイの正面図が示され、図5は、図4の側面図である。前記発光セルごとのサイズの範囲は500μm×500μmの角形状領域以内にあり、例えば、前記発光セルの形状は、角形状又は円形であり、円形の発光セルの直径サイズは、φ1~500μmであり、角形状の発光セルのサイズは、1μm×1μm~500μm×500μmである。更に、円形の発光セルの直径サイズはφ1~500μmであってもよく、角形状の発光セルのサイズは1μm×1μm~500μm×500μmであってもよい。
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、前記ビーム整形レンズは、前記構造化光源の放射光路に設けられている。
【0032】
前記励起フィルタは、前記ビーム整形レンズの放射光路に設けられている。
【0033】
前記二色鏡は、前記励起フィルタの放射光路における構造化光を前記対物レンズに反射するために用いられる。
【0034】
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、前記対物レンズは、前記二色鏡により反射された構造化光を受光すると共に、前記受光した構造化光を前記サンプルに投影するために用いられる。ここで、前記対物レンズは、前記二色鏡により反射された構造化光を受光すると共に、前記受光した構造化光を予め設定された倍率で拡大した後、前記サンプルに投影するために用いることができる。
【0035】
前記サンプルは、ステージに設けられており、前記サンプルは、前記対物レンズにより投影された構造化光を受光して構造化光照明を形成すると共に、蛍光を励起させるために用いられ、前記蛍光は、前記対物レンズと二色鏡とを順次に透過する。
【0036】
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、前記放射フィルタは、前記二色鏡を透過した前記蛍光を濾波するために用いられる。
【0037】
前記チューブレンズは、前記放射フィルタの透過光路に位置し、前記放射フィルタにより濾波された前記蛍光を収集し透過させるために用いられる。
【0038】
前記蛍光検出器は、前記チューブレンズを透過した蛍光を受光するために用いられる。
本発明に係る構造化光照明顕微イメージングシステムの一実施例では、前記検出器により採集される画像が高いコントラスト及びシグナルノイズ比を有することを保証するように、前記構造化光源と前記サンプルの表面、前記サンプルの表面と前記検出器のイメージング面は、いずれも共役構造の位置にある。
【0039】
本発明の一実施例では、前記マイクロサイズの発光ダイオード光源(micro LED)は、解像力が512×512の発光セルアレイであり、発光セルのそれぞれは、サイズが20μm×20μmの正方形であり、隣り合う発光セルの間のピッチは4μmである。図6~8は、正方形の発光セルのマイクロサイズの発光ダイオードアレイであり、アレイにおける発光セルのそれぞれは、いずれも独立に制御可能であり、所望の構造化光縞、例えば、縦の縞(図6)、横の縞(図7)、斜め45°の縞(図8)を得るために用いられる。
【0040】
同様に、図9~11に示すように、前記マイクロサイズの発光ダイオードの発光セルは、直径がφ20μmの円形であってもよい。前記ビーム整形レンズは、一つ又は複数のレンズを含み、前記ビーム整形レンズの焦点距離は270mmであってもよく、前記対物レンズは、拡大倍数が100倍、対物レンズの焦点距離が1.8mmであってもよい。マイクロサイズの発光ダイオードの発光セルの間のピッチは、僅か4μmであり、ビーム整形レンズ、二色鏡、対物レンズによりサンプルの表面に投影されると、発光セルのサンプル表面におけるイメージの間のピッチは、200nm以下であり、出射光の波長(488nm)の半分よりも小さく、回折限界に達しているので、サンプルの表面で連続する縞光が得られる。複眼レンズを設けることにより縞の数を倍増させ、発光セルのピッチを回折限界より小さくすることにより連続する縞光を得る必要がない。複眼レンズを省略することにより、システムの実装、調整及び加工の難易度を下げると共に、顕微画像のコントラスト及びシグナルノイズ比を上げることができ、イメージングの品質がより高くなる。
【0041】
構造化光顕微イメージングシステムの画質を更に向上させるために、縞光のデューティ比、即ち、明暗縞の割合を適当に調整することにより、縞光のコントラストを高くし、イメージングの品質を改善する目的を達成することができる。図12~13は、明暗縞のデューティ比がそれぞれ1:2、1:3の縦の構造化光縞である。
【0042】
図14は、マイクロサイズの発光ダイオードのパッシブマトリクスの駆動方式であり、マイクロサイズの発光ダイオードアレイにおける列ごとの発光セルのアノードが列走査線に接続されると共に、行ごとの発光セルのカソードが行走査線に接続される。ある所定のY列目の走査線とX行目の走査線がストローブされると、その交差点である(X,Y)のLED画素が点灯される。マイクロサイズの発光ダイオードアレイ全体は、このように高速で点ごとに走査することにより、所望の構造化光縞を実現することができる。
【0043】
なお、マイクロサイズの発光ダイオードは、それぞれの発光セルは対応する独立駆動回路を有し、駆動電流は駆動トランジスタにより提供されるアクティブマトリクス方式を採用してもよい。図14におけるパッシブマトリクス方式と比べ、アクティブマトリクスの制御方式は、構造がより複雑であるが、それぞれの発光セルの間の接続を簡素化し、ストローブ信号にクロストークが発生しやすい欠陥を改善することができる。
【0044】
以上をまとめると、本発明は、構造化光源と、前記構造化光源の放射光路に順次に設けられたビーム整形レンズ、励起フィルタ及び二色鏡と、前記二色鏡の第1の光路に順次に設けられた対物レンズ及びサンプルと、前記二色鏡の第2の光路に順次に設けられた放射フィルタ、チューブレンズ及び検出器とにより、複眼レンズが設けられた構造化光顕微イメージングシステムと比べ、構造化光照明顕微イメージングシステムの実装及び加工の精度に対する要求を下げる上に、シグナルノイズ比及びコントラストのより高い超解像顕微画像を得ることができ、デジタルマイクロレンズアレイ又は格子に基づく構造化光顕微イメージングシステムと比べ、システムのコストが大幅に低減し、且つ、システムの安定性がより高くなる。また、構造化光源としてマイクロサイズの発光ダイオード光源を採用することにより、構造化光顕微イメージングシステムは、構造が簡単で、実装、調整しやすく、且つ、コストがより低くなり、高解像力、高安定性、高コントラストの構造化光照明顕微光学システムが得られる。
【0045】
もちろん、当業者であれば、本願の精神と範囲から逸脱することなく、本願に対して種々の変更と変化を行うことができる。このように、本願のこれらの変更と変化が本願の特許請求の範囲及びその均等の技術範囲内に属していれば、本願は、これらの変更と変化も含むことを意図するものである。
【0046】
本発明は、上記の例示的な実施例の細部に限られず、本発明の趣旨又は基本的特徴を逸脱しない限りに、他の具体的な形式で本発明を実現可能であることは、当業者にとって明らかである。よって、どの点から見ても、実施例を例示的且つ非制限的なものと見なすべきであり、本発明の範囲は上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものであり、したがって、特許請求の範囲と等価の意味及び範囲に入るすべての変化は本発明に含まれるものとする。請求項における何れの図面符号も関連する請求項を限定するものと見なすべきではない。なお、「含む」という用語は、他の要素やステップを排除するものではなく、単数の表現は複数を排除するものではない。装置に関する請求項に記載されている複数のユニット又は装置は、一つのユニット又は装置がソフトウェア又はハードウェアにより実現してもよい。第1、第2などの用語は名称を表すためのものであり、なんら特定の順序を表すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14