(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】水素を製造する為の方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/26 20060101AFI20220128BHJP
B01J 27/224 20060101ALI20220128BHJP
B01J 23/75 20060101ALI20220128BHJP
B01J 37/34 20060101ALI20220128BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20220128BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20220128BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20220128BHJP
【FI】
C01B3/26
B01J27/224 M
B01J23/75 M
B01J37/34
B01J37/02 101C
H01M8/00 Z
H01M8/0612
(21)【出願番号】P 2019549662
(86)(22)【出願日】2017-12-04
(86)【国際出願番号】 GB2017053645
(87)【国際公開番号】W WO2018104712
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-11
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519202452
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,チャンクン
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ピーター ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジエ,シャンユ
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-319333(JP,A)
【文献】米国特許第04574038(US,A)
【文献】特開2015-020929(JP,A)
【文献】特開2015-044702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 3/58
B01J 21/00 - 38/74
H01M 8/00
H01M 8/0612
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を製造する為の方法であって、炭化水素を含有する液体組成物を固体触媒の存在下で電磁放射線に曝露することを含み、ここで、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含
み、
該電磁放射線がマイクロ波放射線である、前記方法。
【請求項2】
該金属種が、元素状金属、有機金属化合物、金属水素化物及び金属炭化物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該金属種が、元素状Fe、元素状Ni、又はこれらの混合物を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
該触媒が、遷移金属である更なる金属種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該遷移金属が、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnのうちの1以上から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該遷移金属が、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCuのうちの1以上から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該遷移金属が、Fe、Ru、Co、Ni及びCuのうちの1以上から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該更なる金属種が元素形態である、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該少なくとも1つの金属種が、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)、元素状Ni及び元素状Co(Ni/Co)、元素状Ni及び元素状Ru(Ni/Ru)、並びに元素状Ni及び元素状Cu(Ni/Cu)から選択される元素状金属の二元混合物からなる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
元素状金属の該二元混合物が、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
元素状金属の該二元混合物が、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該元素状金属の比が、約10:1~約1:10、好適には約1:1、である、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該触媒が、最大約50重量%の金属種担持量を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該触媒が、約2重量%~約5重量%、好ましくは約5重量%、の金属種担持量を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該酸素原子非含有セラミックが、炭化物又は窒化物である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
該酸素原子非含有セラミックが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素のうちの1以上から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該酸素原子非含有セラミックが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム及び炭化アルミニウムから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該酸素原子非含有セラミックが、炭化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される、請求項
16に記載の方法。
【請求項19】
該触媒が、炭化ケイ素上に担持された元素状Fe及び/又は元素状Niから本質的になる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
該液体組成物が、少なくとも75重量%のC
9~C
20炭化水素を含有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
該液体組成物が、少なくとも90重量%のC
9~C
20炭化水素を含有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
該液体組成物が、少なくとも90重量%のC
9~C
17炭化水素を含有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
該組成物が、酸素原子非含石油-ディーゼル又は市販の石油-ディーゼルから本質的になる、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
該マイクロ波放射線が、約1.0GHz~約4.0GHz、好適には約2.0GHz~約4.0GHzの周波数、である、請求項
1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、酸素の不存在下で行われる、請求項1~
24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、水の不存在下で行われる、請求項1~
25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
不均一混合物を有するマイクロ波反応器であって、該混合物は、炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含み、ここで、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、前記マイクロ波反応器。
【請求項28】
請求項
27に記載のマイクロ波反応器を備えている車両。
【請求項29】
(i)燃料電池と、(ii)炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含む不均一混合物を含む燃料電池モジュールであって、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、前記燃料電池モジュール。
【請求項30】
(iii)電磁放射線の供給源をさらに含む、請求項
29に記載の燃料電池モジュール。
【請求項31】
電磁放射線の前記供給源が、前記不均一混合物を電磁放射線に暴露し、それによって前記液体組成物又はその成分を分解させて水素を生成する為に好適である、請求項29又は30に記載の燃料電池モジュール。
【請求項32】
前記電磁放射線がマイクロ波放射線である、請求項29~31のいずれか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項33】
電磁放射線の前記供給源が、マイクロ波反応器である、請求項29~32のいずれか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項34】
請求項
29~33のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールを備えている車両又は電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化石燃料からの水素を製造する為の方法に関する。特に、本発明の方法は、好適には最少の炭素副生成物(例えば、CO2、CO及び小炭化水素)で、高純度水素ガスを提供する為の炭化水素の分解の為の触媒方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
今日、世界で絶えず増大するエネルギー需要は、その比類ないエネルギー運搬特性を理由とするだけでなく、過去世紀にわたって発展してきた世界規模のエネルギーインフラストラクチャの需要を理由として、ほぼ専ら化石燃料に依然として基づいている。
【0003】
水素は、その単位質量当たりの高エネルギー密度を理由とするだけでなく、その燃焼が環境的に有害な二酸化炭素を生成しないことを理由として、将来の重要なエネルギー解決策の1つと見なされている(下記文献1~5)。従って、この副生成物を捕捉する問題は回避されている(下記文献1~5)。
【0004】
しかしながら、水素製造、輸送、及び貯蔵システムのコストは、水素ベースの経済発展を妨げる主要な障壁である(下記文献1、6~12)。工業的水素製造用にこれまでのところ最も効率的で広く使用されている方法は、化石燃料に基づくものであり、例えば水蒸気改質又はメタンの部分酸化によるもの、及びより少ない程度の石炭のガス化によるものである(下記文献3、12~14)。しかしながら、炭化水素の燃焼のように、炭化水素からの水素製造のこれら全ての従来の選択肢はCO2生成を伴い、これは環境的に望ましくない。従って、CO2レベルを管理するのに、炭素回収貯留(CCS)及び炭素回収利用(CCU)のような技術が必要である(下記文献1、15)。
【0005】
太陽エネルギーが使用されて水分解によってより多量の水素を得ることができるが、水の光触媒分解又は電解分解が大幅に改善されて大量のH2を製造することができたとしても、その安全な貯蔵、及び用途、例えば、燃料電池における即時使用の為の迅速な放出の問いには、依然として問題があるだろう(下記文献1、12)。
【0006】
環境的に有害な二酸化炭素を発生させることなく、好適な水素含有材料からの高純度水素の迅速な放出の、イン・シチュー(in situ)での方法が必要とされている。このような技術は、例えば水素駆動車の普及の導入を加速させ、それにより汚染を減少させ、環境に役立つであろう。
【0007】
最近の開発において、マイクロ波支援接触分解(microwave assisted catalytic decomposition)によって水素リッチガスを迅速に放出する為の安全な水素貯蔵材料としてのワックスの使用が見られた(下記文献16)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、好適な水素含有材料からのイン・シチューでの水素製造の為の単純でコンパクトな技術を提供しようとするものである。本発明は、二酸化炭素の生成が最小限である高純度の水素を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電磁放射線の助けを借りて液体炭化水素から水素を製造する為の簡単でコンパクトな方法を提供する。これにより、最小限の炭素副生成物(例えば、CO2、CO、及び小炭化水素)を用いて高純度の水素を製造することができる。
【0010】
この技術は特に、イン・シチューでの水素生成、特にオンボード水素生成に適用される。
【0011】
従って、第1の観点において、本発明は、水素を製造する為の方法であって、炭化水素を含有する液体組成物を固体触媒の存在下で電磁放射線に曝露することを含み、ここで、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含(non-oxygenated)セラミックと
を含む、上記方法を提供する。
【0012】
第2の観点において、本発明は、炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含む不均一混合物であって、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、上記不均一混合物を提供する。
【0013】
第3の観点において、本発明は、水素を生成する為に、上記の第2の観点の不均一混合物を使用する方法を提供する。
【0014】
第4の観点において、本発明は、不均一混合物を有するマイクロ波反応器であって、該混合物は、炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含み、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、上記マイクロ波反応器を提供する。
【0015】
第5の観点において、本発明は、上記の第4の観点に従うマイクロ波反応器を備えている車両を提供する。
【0016】
第6の観点において、本発明は、(i)燃料電池と、(ii)炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含む不均一混合物を含む燃料電池モジュールであって、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、上記燃料電池モジュールを提供する。
【0017】
第7の観点において、本発明は、上記の第6の観点に従う燃料電池モジュールを備えている車両又は電子機器を提供する。
【0018】
本発明のいずれか1つの特定の観点の好ましい、好適な、任意選択の特徴はまた、他の任意の観点の好ましい、好適な、且つ任意選択の特徴である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、マイクロ波放射線を用いた液体炭化水素の脱水素化に使用される反応システム構成を示す。
【
図2A】
図2Aは、試料管の位置を示すために切断された摂動空洞の四分の一断面を示す。
【
図2B】
図2Bは、円筒形空洞内のTM
010電界分布の有限要素モデルを示す。高磁界は赤で大きな矢印により示されている。
【
図3D】
図3Dは、種々の鉄含有量を有するFe/SiC触媒の生成物選択性を示す。括弧内の数字は金属担持量の重量パーセントを示す。「N/A」は、マイクロ波処理下において反応が見られなかったことを意味する。
【
図3E】
図3Eは、飽和炭化水素(C9~C17)、ディーゼル燃料、メタノール、エタノールを含む種々の液体原料から評価された5重量%Fe/SiC及び5/5重量%Fe-Ni/SiC触媒についての発生ガス分布(体積%)を示す。
【
図4】
図4は、未処理(fresh)Fe/SiC触媒、2θ=40°~68°のXRDパターンを示す。括弧内の数字は触媒中の金属含有量の重量パーセントを示す。
【
図5】
図5は、処理済(spent)Fe/SiC触媒、2θ=40°~50°のXRDパターンを示す。括弧内の数字は触媒中の金属含有量の重量パーセントを示す。
【
図6】
図6は、未処理Fe/SiC、Ni/SiC、及びFe-Ni/SiC触媒、2θ=40°~50°のXRDパターン比較を示す。
【
図7】
図7は、反応前後のFe/SiC、Ni/SiC、及びFe-Ni/SiC触媒のXRDパターン比較を示す。
【
図8】
図8は、未処理Fe/SiC触媒のSEM画像を示す;(a)、(d):Fe/SiC(2)触媒、(b)、(e):Fe/SiC(5)触媒、及び(c)、(f):Fe/SiC(20)触媒、である。括弧内の数字は触媒中の金属含有量の重量パーセントを示す。
【
図9】
図9は、処理済Fe/SiC触媒のSEM画像を示す;(a)Fe/SiC(2)触媒、(b)Fe/SiC(5)触媒、及び(c)Fe/SiC(20)触媒である。括弧内の数字は触媒中の金属含有量の重量パーセントを示す。
【
図10】
図10は、調製された触媒のSEM画像を示す:(a)Fe/SiC触媒、(
b)Ni/SiC触媒、(c)Fe-Ni/SiC触媒、(d)Fe/AC触媒、及び(e)Fe/SiO
2触媒である。
【
図11】
図11は、(a)Fe-Ni/SiC(5,1)触媒、(
b)Fe-Ni/SiC(5,5)触媒のSEM画像を示す。括弧内の数字は触媒中の金属含有量の重量パーセントを示す。
【
図12】
図12は、処理済触媒のSEM画像を示す。(a)Fe/SiC触媒、(b)Ni/SiC触媒、及び(c)Fe-Ni/SiC触媒である。
【
図13】
図13は、未処理及び処理済の触媒のラマンスペクトルを示す。
【
図14】
図14は、ディーゼルがマイクロ波照射下において5重量%のFe/SiCを用いて処理された場合のガス発生の経時解析を示す。
【
図15】
図15は、該方法がどのようにオンボード水素駆動車に組み込まれることができるかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書で使用される場合、語「液体組成物」は、標準周囲温度及び圧力(SATP)において、すなわち298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869atm)において液体である組成物を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、語「炭化水素」は、炭素及び水素からなる有機化合物を指す。
【0022】
誤解を避けるために、炭化水素は、アルカン、アルケン、及びアルキンを含む直鎖状及び分岐状の飽和及び不飽和の脂肪族炭化水素化合物、並びにシクロアルカン、シクロアルケン及びシクロアルキンを含む飽和及び不飽和の環状脂肪族炭化水素化合物、並びに炭化水素ポリマー、例えばポリオレフィン、を含む。
【0023】
炭化水素は芳香族炭化水素、すなわち1以上の芳香環を含む炭化水素も含む。芳香環は単環式であっても多環式であってもよい。
【0024】
1以上の芳香族炭化水素で置換されている脂肪族炭化水素、及び1以上の脂肪族炭化水素で置換されている芳香族炭化水素も、当然ながら、語「炭化水素」(炭素及び水素のみからなる化合物)によって包含され、例えば、1以上の環状脂肪族炭化水素で置換されている直鎖状又は分岐状脂肪族炭化水素、及び1以上の直鎖状又は分岐状脂肪族炭化水素で置換されている環状脂肪族炭化水素である。
【0025】
「Cn~m炭化水素」又は「Cn~Cm炭化水素」又は「Cn~Cm炭化水素」(式中、n及びmは整数である)は、n~m個の炭素原子を有する、上で定義した炭化水素である。例えば、C1~150炭化水素は、1~150個の炭素原子を有する、上で定義した炭化水素であり、C5~60炭化水素は、5~60個の炭素原子を有する、上で定義した炭化水素である。
【0026】
本明細書で使用される語「アルカン」は、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素化合物を指す。アルカンの例は、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びテトラデカンである。アルカン、例えばジメチルブタンは、この化合物の1以上の可能な異性体でありうる。従って、ジメチルブタンは、2,3-ジメチルブタン及び2,2-ジメチルブタンを含む。これはまた、シクロアルカン、アルケン、シクロアルケンを含む、本明細書で言及される全ての炭化水素化合物にも当てはまる。
【0027】
本明細書で使用される語「シクロアルカン」は、飽和環状脂肪族炭化水素化合物を指す。シクロアルカンの例は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロペンタン及びシクロオクタンを含む。C5~8シクロアルカンの例は、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロペンタン及びシクロオクタンを含む。語「シクロアルカン」及び「ナフテン」は、互換的に使用されうる。
【0028】
本明細書で使用される語「アルケン」は、1以上の二重結合を含む直鎖状又は分岐状炭化水素化合物を指す。アルケンの例は、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン及びテトラデセンである。アルケンは、典型的には、1つ又は2つの二重結合を含む。語「アルケン」及び「オレフィン」は互換的に使用されうる。1以上の二重結合は、炭化水素鎖中のいずれの位置にあってもよい。アルケンは、cis-もしくはtrans-アルケン(又はE及びZ命名法を用いて定義される通り)であってもよい。末端二重結合を含むアルケンは、「アルカ-1-エン」(例えば、ヘキサ-1-エン)、「末端アルケン」(又は「末端オレフィン」)、又は「アルファアルケン」(又は「アルファ-オレフィン」)と呼ばれることもある。本明細書で使用される語「アルケン」はまた多くの場合、シクロアルケンを含む。
【0029】
本明細書で使用される語「シクロアルケン」は、部分不飽和環状炭化水素化合物を指す。シクロアルケンの例は、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサ-1,3-ジエン、メチルシクロペンテン、シクロヘプテン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロペンテン及びシクロオクテンを含む。シクロアルケンは、1つ又は2つの二重結合を含みうる。
【0030】
本明細書で使用される語「芳香族炭化水素」又は「芳香族炭化水素化合物」は、1以上の芳香環を含む炭化水素化合物を指す。芳香環は単環式であっても多環式であってもよい。典型的には、芳香族化合物はベンゼン環を含む。芳香族化合物は、例えば、C6~14芳香族化合物、C6~12芳香族化合物又はC6~10芳香族化合物でありうる。C6~14芳香族化合物の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン及びアントラセンである。
【0031】
本明細書で使用される場合、「金属種」は、金属原子を含む任意の化合物である。このように、金属種は、元素状金属、金属酸化物及び金属を含む他の化合物、すなわち金属炭化物及び水素化物、を含む。好適には、該金属種は元素状金属である。好適には、該金属種は金属酸化物でない。
【0032】
本明細書で使用される場合、語「酸素原子非含有セラミック」は、酸素原子を含まないセラミック材料を指す。酸素原子非含有セラミックの例は、炭化物及び窒化物を含む。
【0033】
本明細書中で使用される場合、語「不均一混合物」は、少なくとも2つの異なる物質の物理的組み合わせを指し、ここで2つの異なる物質は同相でない。例えば、1つの物質は固体であり得、そして1つの物質は液体でありうる。
【0034】
方法
一つの観点において、本発明は、水素を製造する為の方法であって、炭化水素を含有する組成物を固体触媒の存在下で電磁放射線に曝露することを含み、ここで、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと、を含む、上記方法に関する。
【0035】
他の観点において、本発明は、水素を製造する為の方法であって、炭化水素を含有する液体組成物を固体触媒の存在下で電磁放射線に曝露することを含み、ここで、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと、を含む、上記方法に関する。
【0036】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約80体積%以上の水素を生成する。好適には、発生ガス総量中の約85体積%以上の水素、より好適には、約90体積%以上の水素、より好適には約91体積%以上の水素、より好適には約92体積%以上の水素、より好適には約93体積%以上の水素、より好適には約94体積%以上の水素、より好適には約95体積%以上の水素、より好適には約96体積%以上の水素、より好適には約97体積%以上の水素、より好適には約98体積%以上の水素、より好適には発生ガス総量中の約99体積%以上の水素。
【0037】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約80体積%~約99体積%の水素を生成する。好適には、発生ガス総量中の約85体積%~約99体積%の水素、より好適には約90体積%~約99体積%の水素、より好適には約91体積%~約99体積%の水素、より好適には約92体積%~約99体積%の水素、より好適には約93体積%~約99体積%の水素、より好適には約94体積%~約99体積%の水素、より好適には約95体積%~約99体積%の水素、より好適には約96体積%~約99体積%の水素、より好適には約97体積%~約99体積%の水素、より好適には、発生ガス総量中の約98体積%~約99体積%の水素。
【0038】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約80体積%~約98体積%の水素を生成する。好適には、発生ガス総量中の約85体積%~約98体積%の水素、より好適には約90体積%~約98体積%の水素、より好適には約91体積%~約98体積%の水素、より好適には約92体積%~約98体積%の水素、より好適には約93体積%~約98体積%の水素、より好適には約94体積%~約98体積%の水素、より好適には約95体積%~約98体積%の水素、より好適には約96体積%~約98体積%の水素、より好適には、発生ガス総量中の約97体積%~約98体積%の水素。
【0039】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約10体積%以下の二酸化炭素を生成する。好適には、発生ガス総量中の約9体積%以下の二酸化炭素、より好適には約8体積%以下の二酸化炭素、より好適には約7体積%以下の二酸化炭素、より好適には約6体積%以下の二酸化炭素、より好適には約5体積%以下の二酸化炭素、より好適には約4体積%以下の二酸化炭素、より好適には約3体積%以下の二酸化炭素、より好適には約2体積%以下の二酸化炭素、より好適には約1体積%以下の二酸化炭素、より好適には約0.5体積%以下の二酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.3体積%以下の二酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.2体積%以下の二酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.1体積%以下の二酸化炭素。
【0040】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約0.1体積%~約10体積%の二酸化炭素を生成する。好適には、発生ガス総量中の約0.1体積%~約9体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約8体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約7体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約6体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約5体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約4体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約3体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約2体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約1体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.1体積%~約0.3体積%の二酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.1体積%~約0.2体積%の二酸化炭素。
【0041】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約10体積%以下の一酸化炭素を生成する。好適には、発生ガス総量中の約9体積%以下の一酸化炭素、より好適には約8体積%以下の一酸化炭素、より好適には約7体積%以下の一酸化炭素、より好適には約6体積%以下の一酸化炭素、より好適には約5体積%以下の一酸化炭素、より好適には約4体積%以下の一酸化炭素、より好適には約3体積%以下の一酸化炭素、より好適には約2体積%以下の一酸化炭素、より好適には約1体積%以下の一酸化炭素、より好適には約0.5体積%以下の一酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.3体積%以下の一酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.2体積%以下の一酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.1体積%以下の一酸化炭素。
【0042】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約0.2体積%~約10体積%の一酸化炭素を生成する。好適には、発生ガス総量中の約0.2体積%~約9体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約8体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約7体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約6体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約4体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約3体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約2体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約1体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約0.5体積%の一酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.2体積%~約0.3体積%の一酸化炭素、より好適には、発生ガス総量中の約0.2体積%の一酸化炭素。
【0043】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約10体積%以下のメタンを生成する。好適には、発生ガス総量中の約9体積%以下のメタン、より好適には約8体積%以下のメタン、より好適には約7体積%以下のメタン、より好適には約6体積%以下のメタン、より好適には約5体積%以下のメタン、より好適には約4体積%以下のメタン、より好適には約3体積%以下のメタン、より好適には約2体積%以下のメタン、より好適には約1体積%以下のメタン、より好適には約0.5体積%以下のメタン、より好適には、発生ガス総量中の約0.3体積%以下のメタン、より好適には、発生ガス総量中の約0.2体積%以下のメタン、より好適には、発生ガス総量中の約0.1体積%以下のメタン。
【0044】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約0.05体積%~約10体積%のメタンを生成する。好適には、発生ガス総量中の約0.05体積%~約9体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約8体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約7体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約6体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約5体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約4体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約3体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約2体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約1体積%のメタン、より好適には約0.05体積%~約0.5体積%のメタン、より好適には、発生ガス総量中の約0.05体積%~約0.3体積%のメタン、より好適には、発生ガス総量中の約0.05体積%~約0.2体積%のメタン。
【0045】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約10体積%以下のエチレンを生成する。好適には、発生ガス総量中の約9体積%以下のエチレン、より好適には約8体積%以下のエチレン、より好適には約7体積%以下のエチレン、より好適には約6体積%以下のエチレン、より好適には約5体積%以下のエチレン、より好適には約4体積%以下のエチレン、より好適には約3体積%以下のエチレン、より好適には約2体積%以下のエチレン、より好適には約1体積%以下のエチレン、より好適には約0.5体積%以下のエチレン、より好適には、発生ガス総量中の約0.3体積%以下のエチレン、より好適には、発生ガス総量中の約0.2体積%以下のエチレン、より好適には、発生ガス総量中の約0.1体積%以下のエチレン。
【0046】
一つの実施態様において、該方法は、発生ガス総量中の約0.05体積%~約10体積%のエチレンを生成する。好適には、発生ガス総量中の約0.05体積%~約9体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約8体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約7体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約6体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約5体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約4体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約3体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約2体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約1体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約0.5体積%のエチレン、より好適には、発生ガス総量中の約0.05体積%~約0.3体積%のエチレン、より好適には、発生ガス総量中の約0.05体積%~約0.2体積%のエチレン。
【0047】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約90体積%以上の水素及び約0.5体積%以下の二酸化炭素を生成する。好適には、この実施態様において、二酸化炭素の量は0.4体積%以下、より好適には0.3体積%以下、より好適には0.2体積%以下、より好適には総発生ガス中の0.1体積%以下、である。
【0048】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約90体積%~約98体積%の水素及び約0.5体積%以下の二酸化炭素を生成する。好適には、この実施態様において、二酸化炭素の量は0.4体積%以下、より好適には0.3体積%以下、より好適には0.2体積%以下、より好適には総発生ガス中の0.1体積%以下、である。
【0049】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素を生成する。
【0050】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約5体積%以下の一酸化炭素を生成する。好適には、この実施態様において、一酸化炭素の量は4体積%以下、より好適には3体積%以下、より好適には2体積%以下、より好適には1体積%以下、より好適には総発生ガス中の0.5体積%以下、である。
【0051】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素を生成する。
【0052】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素、及び約5体積%以下のエチレンを生成する。好適には、この実施態様において、一酸化炭素の量は4体積%以下、より好適には3体積%以下、より好適には2体積%以下、より好適には1体積%以下、より好適には総発生ガス中の0.5体積%以下、である。
【0053】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素、及び約0.2体積%~約5体積%のエチレンを生成する。
【0054】
一つの実施態様において、該方法は、総発生ガス中の約95体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約1体積%の一酸化炭素、及び約0.2体積%~約1体積%のエチレンを生成する。
【0055】
一つの実施態様において、該方法は、実質的に酸素を含まない環境において実施される。好適には、酸素を含まない環境において実施される。他の実施態様において、該方法は、実質的に酸素を含まない、好適には酸素を含まない、環境において該組成物を電磁放射線に曝露することを含む。
【0056】
他の実施態様において、該方法は、実質的に水を含まない環境において実施される。好適には、水を含まない環境において実施される。他の実施態様において、該方法は、実質的に水を含まない、好適には水を含まない、環境において該組成物を電磁放射線に曝露することを含む。
【0057】
他の実施態様において、該方法は、実質的に酸素及び水を含まない環境において実施される。好適には、酸素及び水を含まない環境において実施される。他の実施態様において、該方法は、実質的に酸素及び水を含まない、好適には酸素及び水を含まない、環境において該組成物を電磁放射線に曝露することを含む。
【0058】
他の実施態様において、該方法は、不活性雰囲気において実施される。他の実施態様において、該方法は、不活性雰囲気において該組成物を電磁放射線に曝露することを含む。
【0059】
不活性雰囲気は例えば、不活性ガス又は不活性ガスの混合物であってもよい。不活性ガス又は不活性ガスの混合物は典型的には、希ガス、例えばアルゴン、を含む。一つの実施態様において、不活性ガスはアルゴンである。
【0060】
該方法は、該組成物を電磁放射線への曝露の前に、該組成物を不活性ガス又は不活性ガスの混合物でパージすることをさらに含みうる。
【0061】
一つの実施態様において、該組成物は、電磁放射線への曝露前に、曝露中に、又は曝露前と曝露中の両方において、固体触媒と接触させられる。
【0062】
該組成物は、任意の好適な方法によって触媒と接触させられうる。例えば、少なくとも1つの組成物は、該組成物を触媒表面上に噴霧することによって、又は例えば流動床を使用することによって触媒上に該組成物を連続的に供給することによって、触媒と接触させられうる。
【0063】
任意の時点での組成物の総重量に対する触媒の割合は、典型的には0.1重量%~99.9重量%である。好適には、5重量%~95重量%である。それは、例えば10重量%~90重量%、又は例えば15重量%~85重量%であってもよい。幾つかの実施態様において、例えば、それは、30重量%~70重量%、又は例えば40重量%~50重量%、である。他の実施態様において、組成物の総重量に基づく、組成物中の触媒の重量パーセントは、1重量%~60重量%である。それは、例えば1重量%~55重量%、又は例えば5重量%~40重量%であってもよい。幾つかの実施態様において、例えば、それは、5重量%~30重量%、又は例えば5重量%~20重量%である。
【0064】
同様に、触媒の総重量に対する組成物の割合は、典型的には99.9重量%~0.1重量%である。それは、例えば95重量%~5重量%であってもよい。例えば、それは、90重量%~10重量%、又は例えば85重量%~15重量%であってもよい。幾つかの実施態様において、例えば、それは、70重量%~30重量%、又は例えば60重量%~30重量%である。より典型的には、触媒の総重量に対する組成物の割合は、99重量%~30重量%である。それは、例えば99重量%~45重量%、又は例えば95重量%~60重量%であってもよい。幾つかの実施態様において、例えば、それは、95重量%~70重量%、又は例えば95重量%~80重量%である。
【0065】
本発明の方法において、該組成物中の上記炭化水素の分解をもたらし、又は分解を活性化させて水素を生成するために、該組成物は、触媒の存在下で電磁放射線に曝露される。上記分解は接触分解でありうる。該組成物を電磁放射線に曝露すると、該組成物が熱くなることがあるが、該組成物は必ずしも加熱されているわけではない。該組成物が曝露される電磁放射の他の可能性のある効果(これは電場効果又は磁場効果でありうる)は、電界放出、プラズマ生成及び仕事関数の修正を含むが、これらに限定されない。例えば、関与する高電界は触媒の仕事関数を修正することができ、触媒表面でプラズマの生成をもたらすことができ、関与する化学プロセスの特徴をさらにシフトさせることができる。電磁放射のそのような効果のうちのいずれか1以上は、水素を生成する為の該組成物の接触分解の原因でありうるか、又は接触分解に少なくとも寄与し、接触分解をもたらすか又は活性化しうる。
【0066】
任意選択で、該方法は、該組成物を従来の方式で加熱すること、すなわち該組成物を電磁放射線に曝露すること以外の手段によって該組成物を加熱することをさらに含みうる。該方法は、例えば、該組成物を外部から加熱することをさらに含みうる。すなわち、該方法は、該組成物を含む容器、反応器又は反応空洞の外側に熱を加えることをさらに含みうる。前述のように、該方法、特に該組成物を電磁放射線に曝露する工程は、多くの場合周囲条件下で実施される。例えば、該方法は、SATPにおいて、すなわち298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869atm)において実施されうる。該方法、特に該組成物を電磁放射線に曝露する工程は、SATP以外の温度及び/又は圧力において代替的に実施されうる。実際、非常に低い温度及び非常に高い温度の両方、すなわち周囲よりはるかに低い温度から周囲よりはるかに高い温度までが使用されることができ、同様に非常に低い圧力及び非常に高い圧力が使用されることができる。しかしながら、通常、該組成物を電磁放射線に曝露する工程は、SATPであるか又はそれに比較的近い温度及び圧力において実施される。
【0067】
該方法は、例えば-150℃~2,000℃の温度で、又は例えば-80℃~1,000℃の温度で、例えば-20℃~400℃、例えば0℃~200℃、又は5℃~100℃の温度で、又は例えば10℃~50℃で、該組成物を電磁放射線に曝露することを含みうる。
【0068】
さらに、該方法は、0.01バール~100バールの圧力で、又は例えば0.1バール~10バールの圧力で、例えば0.5バール~5バール、又は例えば0.5バール~2バールで、該組成物を電磁放射線に曝露することを含みうる。より典型的な場合では、該方法は、0℃~200℃の温度及び0.5バール~5バールの圧力で、該組成物を電磁放射線に曝露することを含む。例えば、該方法は、10℃~50℃の温度及び0.5バール~2バールの圧力で、該組成物を電磁放射線に曝露することを含みうる。
【0069】
電磁放射線
本発明の方法で使用される電磁放射線は、該組成物から水素を生成するために、高周波放射線、マイクロ波周波放射線、ミリ波放射線、赤外放射線、光学的放射線又は紫外放射線でありうる。試料を照射するために、高周波、マイクロ波周波、ミリ波、赤外線、光及び紫外線を含む、ある範囲の電磁周波数が、独立して、又は互いに組み合わせられて使用されることができる。
【0070】
しかしながら、典型的には、本発明の方法において使用される電磁放射線はマイクロ波放射線である。本明細書で使用される語「マイクロ波放射線」は、その通常の意味をとり、典型的には、1メートル~1ミリメートルの波長を有し、300MHz(100cm)~300GHz(0.1cm)の対応する周波数を有する電磁放射線を指す。
【0071】
一つの実施態様において、該電磁放射線はマイクロ波放射線である。
【0072】
原則として、マイクロ波範囲内の任意の周波数、すなわち300MHz~300GHzの任意の周波数を有するマイクロ波放射線が、本発明において使用されうる。しかしながら、典型的には、900MHz~4GHz、又は例えば900MHz~3GHz、の周波数を有するマイクロ波放射線が使用される。
【0073】
一つの実施態様において、電磁放射線は、約1GHz~約4GHzの周波数を有するマイクロ波放射線である。好適には、マイクロ波放射線は、約2GHz~約4GHz、好適には約2GHz~約3GHz、好適には約2.45GHz、の周波数を有する。
【0074】
炭化水素を分解して水素を生成するために、該組成物に供給されるのに電磁放射線が必要とする電力は、例えば、該組成物に使用される特定の炭化水素、該組成物に使用される特定の触媒、並びに該組成物のサイズ、誘電率、粒子充填密度、形状及び形態に従って変わる。しかしながら、当業者は、特定の該組成物を分解させるのに好適な電力のレベルを容易に決定することができる。
【0075】
本発明の方法は、例えば、組成物1立方センチメートル当たり少なくとも1ワットの電力を供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含みうる。しかしながら、それは、組成物1立方センチメートル当たり少なくとも5ワットの電力を供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含みうる。
【0076】
多くの場合、例えば、該方法は、組成物1立方センチメートル当たり少なくとも10ワット、又は例えば少なくとも20ワットの電力を組成物に供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含む。本発明の方法は、例えば、組成物1立方センチメートル当たり少なくとも25ワットを組成物に供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含みうる。
【0077】
多くの場合、例えば、該方法は、組成物1立方センチメートル当たり約0.1ワット~約5000ワットの電力を供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含む。より典型的には、該方法は、組成物1立方センチメートル当たり約0.5ワット~約1000ワットの電力、又は、例えば、組成物1立方センチメートル当たり約1ワット~約500ワットの電力、例えば、組成物1立方センチメートル当たり約1.5ワット~約200ワット、又は例えば2ワット~100ワットの電力、を供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含む。
【0078】
幾つかの実施態様において、例えば、該方法は、組成物1立方センチメートル当たり約5ワット~約100ワット、又は、例えば、組成物1立方センチメートル当たり約10ワット~約100ワット、又は例えば、組成物1立方センチメートル当たり約20ワット、もしくは約25ワット~約80ワットを組成物に供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含む。
【0079】
幾つかの実施態様において、例えば、該方法は、組成物1立方センチメートル当たり約2.5ワット~約60ワットの電力を供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含む。従って、例えば、該組成物の体積が3.5cm3である場合、本発明の方法は、典型的には、該組成物に約10W~約200Wを供給する(すなわち、「吸収電力」は約10W~約200W)電磁放射線に該組成物を曝露することを含む。
【0080】
多くの場合、該組成物に供給される電力(又は「吸収電力」)は、本発明の方法の間に上昇させられる。従って、該方法は、該組成物に第1の電力を供給する電磁放射線に該組成物を曝露すること、次いで、該組成物に第2の電力を供給する電磁放射線に該組成物を曝露することを含み得、ここで第2の電力は第1の電力より大きい。第1の電力は、例えば、組成物1立方センチメートル当たり約2.5ワット~約6ワットでありうる。第2の電力は、例えば、組成物1立方センチメートル当たり約25ワット~約60ワットでありうる。多くの場合、これらの実施態様において、該電磁放射線はマイクロ波放射線であり、これは上でさらに定義された通りでありうる。
【0081】
電磁放射線への該組成物の曝露期間もまた、本発明の方法において変わりうる。例えば、所与の組成物が比較的長期間にわたって電磁放射線に曝露され、継続的に該組成物の持続的分解をもたらし、持続期間にわたって水素を生成させる実施態様が想定される。
【0082】
幾つかの実施態様において、該組成物を電磁放射線に曝露すると、該組成物が加熱される。電磁加熱は、誘電材料及び磁性材料の高速で選択的な加熱方法を提供する。マイクロ波を用いて迅速で効率的に加熱を行うことは、誘電体混合物中の不均一な電界分布及び電界集束効果が、劇的に異なる生成物分布をもたらすことができる一例である。電磁加熱に関与する根本的に異なるメカニズムが、反応の増強及び新しい反応経路をもたらしうる。さらに、関与する高電界は触媒の仕事関数を修正することができ、触媒表面でプラズマの生成をもたらすことができ、関与する化学プロセスの特徴をさらにシフトさせることができる。
【0083】
一つの実施態様において、本発明の方法は、該組成物を電磁放射線、好適にはマイクロ波放射線に曝露することによって該組成物を加熱することを含む。
【0084】
組成物
一つの実施態様において、該組成物は液体組成物である。
【0085】
該液体組成物は、標準周囲温度及び圧力(SATP)において、すなわち298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869atm)において液体状態にある。該方法は、例えば高温及び/又は減圧下で実施されることがあり、従ってその組成物はこれらの条件下で気体状態にありうるので、上記液体組成物は、従って、該方法が実施される条件(すなわち、温度及び圧力)下で液体状態にあるとは限らない。しかしながら、多くの場合、そうではなく、該組成物はまた、該方法が実施される条件(すなわち温度及び圧力)下で液体状態にある。
【0086】
一つの実施態様において、該組成物は、ただ1つの炭化水素を含有する。他の実施態様において、該組成物は、炭化水素の混合物を含有する。
【0087】
炭化水素に加えて、該組成物は、他の成分、例えば含酸素種(アルコール、エーテル、エステル)、硝酸塩及び酸化防止剤、を含有してもよい。
【0088】
一つの実施態様において、該組成物は、含酸素種を実質的に含まない。他の実施態様において、該組成物は含酸素種を含まない。
【0089】
一つの実施態様において、該組成物は、酸素を実質的に含まない。他の実施態様において、該組成物は酸素を含まない。
【0090】
一つの実施態様において、該組成物は、水を実質的に含まない。他の実施態様において、該組成物は水を含まない。
【0091】
一つの実施態様において、該組成物は、含酸素種及び水を実質的に含まない。他の実施態様において、該組成物は含酸素種及び水を含まない。
【0092】
一つの実施態様において、該組成物は、酸素、含酸素種及び水を実質的に含まない。他の実施態様において、該組成物は酸素、含酸素種及び水を含まない。
【0093】
一つの実施態様において、該組成物は、本質的に炭化水素からなる。他の実施態様において、該組成物は炭化水素からなる。これらの実施態様において、炭化水素は、ディーゼルレンジ炭化水素、C9~C60炭化水素、C9~C24炭化水素、C9~C20炭化水素、C9~C17炭化水素及びC10~C15炭化水素から選択されうる。
【0094】
他の実施態様において、該組成物は、約50重量%以上のC9~C60炭化水素を含有する。例えば、該組成物は75重量%以上のC9~C60炭化水素を含有する。好適には、該組成物は約90重量%以上のC9~C60炭化水素を含有し、より好適には、該組成物は約95重量%のC9~C60炭化水素を含有する。
【0095】
他の実施態様において、該組成物は、約50重量%以上のC9~C24炭化水素を含有する。例えば、該組成物は75重量%以上のC9~C24炭化水素を含有する。好適には、該組成物は約90重量%以上のC9~C24炭化水素を含有し、より好適には、該組成物は約95重量%のC9~C24炭化水素を含有する。
【0096】
他の実施態様において、該組成物は、約50重量%以上のC9~C20炭化水素を含有する。例えば、該組成物は75重量%以上のC9~C20炭化水素を含有する。好適には、該組成物は約90重量%以上のC9~C20炭化水素を含有し、より好適には、該組成物は約95重量%のC9~C20炭化水素を含有する。
【0097】
他の実施態様において、該組成物は、約50重量%以上のC9~C17炭化水素を含有する。例えば、該組成物は75重量%以上のC9~C17炭化水素を含有する。好適には、該組成物は約90重量%以上のC9~C17炭化水素を含有し、より好適には、該組成物は約95重量%のC9~C17炭化水素を含有する。
【0098】
他の実施態様において、該組成物は、約50重量%以上のC10~C15炭化水素を含有する。例えば、該組成物は75重量%以上のC10~C15炭化水素を含有する。好適には、該組成物は約90重量%以上のC10~C15炭化水素を含有し、より好適には、該組成物は約95重量%のC10~C15炭化水素を含有する。
【0099】
一つの実施態様において、該組成物は、石油-ディーゼルから本質的になる/からなる。他の実施態様において、該組成物は酸素原子非含石油-ディーゼルから本質的になる/からなる。他の実施態様において、該組成物は市販のディーゼルから本質的になる/からなる。
【0100】
本明細書で使用される場合、語「石油-ディーゼル」は、石油精製から得られるディーゼル留分を指すのに使用される。
【0101】
本明細書で使用される場合、語「市販のディーゼル」は、自動車運転手への販売のために調合され、石油精製から得られるディーゼル留分を指す。
【0102】
一つの実施態様において、炭化水素は、ディーゼルレンジの炭化水素を包含し/から本質的になる/からなる。
【0103】
一つの実施態様において、炭化水素は、C8~C60炭化水素を包含し/から本質的になる/からなる。例えば、炭化水素は、C8~C24炭化水素を包含し/から本質的になる/からなる。好適には、炭化水素は、C9~C20炭化水素を包含し/から本質的になる/からなる、より好適には、炭化水素は、C9~C17炭化水素を包含し/から本質的になる/からなる、より好適には、炭化水素は、C10~C15の炭化水素を包含し/から本質的になる/からなる。
【0104】
一つの実施態様において、1以上の炭化水素はSATPにおける液体炭化水素である。
【0105】
典型的には、前述の炭化水素は、直鎖状、分岐状又は環状のアルカンである。しかしながら、一つの実施態様において、前述の炭化水素は、直鎖状、分岐状又は環状のアルカン、直鎖状、分岐状又は環状のオレフィン及び芳香族炭化水素の混合物を含む。
【0106】
固体触媒
本発明の方法において使用される固体触媒は、Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種を含む。別途記載がない限り、標準的表記法を使用して元素に言及するとき、任意の利用可能な酸化状態にある上記元素を指す。同様に、語「金属」がさらなる制限なしに使用される場合、酸化状態に対する限定は、利用可能なもの以外には意図されていない。
【0107】
しかしながら、本明細書で使用される場合、語「元素状金属」、又は特定の例、例えば、「元素状Fe」、「元素状Ni」及び「元素状Co」、は、ゼロの酸化状態にあるときのみ該金属を指す。
【0108】
一つの実施態様において、該金属種は、元素状Fe、元素状Ni及び元素状Co又はそれらの組み合わせから選択される元素状金属を含む。
【0109】
他の実施態様において、該金属種は、元素状Fe及び元素状Ni又はそれらの組み合わせから選択される元素状金属を含む。
【0110】
一つの実施態様において、該金属種は、元素状Fe、元素状Ni及び元素状Co又はそれらの組み合わせから選択される元素状金属からなる。
【0111】
他の実施態様において、該金属種は、元素状Fe及び元素状Ni又はそれらの組み合わせから選択される元素状金属からなる。
【0112】
しかしながら、該金属種は、元素状金属以外の形態をとってもよい。従って、一つの実施態様において、該金属種は、元素状金属、有機金属化合物、金属水素化物及び金属炭化物から選択される。好適には、該金属種は、元素状金属、金属水素化物及び金属炭化物から選択される。
【0113】
一つの実施態様において、該金属種は金属酸化物ではなく、又は金属酸化物を含まない。
【0114】
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含むことに加えて、該金属種はさらに遷移金属を含みうる。
【0115】
本明細書で使用される場合、語「遷移金属」は、3d、4d及び5d軌道の充填から生じる3つの一連の元素のうちの1つの元素を指す。別途記載がない限り、一般的に遷移金属に言及するとき、又は特定の遷移金属の標準的表記法を使用して言及するときは、任意の利用可能な酸化状態にある上記元素を指す。
【0116】
一つの実施態様において、該金属種は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される遷移金属をさらに含む。
【0117】
他の実施態様において、該金属種は、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される遷移金属をさらに含む。
【0118】
他の実施態様において、該金属種は、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される遷移金属をさらに含む。
【0119】
他の実施態様において、該金属種は、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCuから選択される遷移金属をさらに含む。
【0120】
他の実施態様において、該金属種は、Fe、Ru、Co、Ni及びCuから選択される遷移金属をさらに含む。
【0121】
好適には、該金属種は、元素形態の遷移金属をさらに含む。本明細書で使用される場合、元素形態であると言われる遷移金属又は特定の元素状遷移金属に言及するときは、ゼロの酸化状態にある上記遷移金属を指す。
【0122】
一つの実施態様において、該遷移金属は遷移金属酸化物でない。
【0123】
一つの実施態様において、該金属種は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される元素状遷移金属をさらに含む。
【0124】
他の実施態様において、該金属種は、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される元素状遷移金属をさらに含む。
【0125】
他の実施態様において、該金属種は、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される元素状金属をさらに含む。
【0126】
他の実施態様において、該金属種は、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCuから選択される元素状金属をさらに含む。
【0127】
他の実施態様において、該金属種は、Fe、Ru、Co、Ni及びCuから選択される元素状金属をさらに含む。
【0128】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe、元素状Ni、及び元素状Coのうちの1以上、並びに(ii)元素形態の遷移金属、を含む。
【0129】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、及び(ii)元素形態の遷移金属、を含む。
【0130】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe、元素状Ni、及び元素状Coのうちの1以上、並びに(ii)元素状Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される、元素形態の遷移金属、を含む。
【0131】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe、元素状Ni、及び元素状Coのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、を含む。
【0132】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe、元素状Ni、及び元素状Coのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Co、Ni、及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、を含む。
【0133】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、並びに(ii)元素状Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される、元素形態の遷移金属、を含む。
【0134】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、を含む。
【0135】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Co、Ni、及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、を含む。
【0136】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe、元素状Ni、及び元素状Coのうちの1以上、並びに(ii)元素状Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される、元素形態の遷移金属、からなる。
【0137】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe、元素状Ni、及び元素状Coのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、からなる。
【0138】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe、元素状Ni、及び元素状Coのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Co、Ni、及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、からなる。
【0139】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、並びに(ii)元素状Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される、元素形態の遷移金属、からなる。
【0140】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、からなる。
【0141】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Co、Ni、及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、からなる。
【0142】
一つの実施態様において、該金属種は、(i)元素状Fe及び元素状Niのうちの1以上、並びに(ii)元素状Fe、Ru、Co、Ni、及びCuから選択される、元素形態の遷移金属、からなる。
【0143】
一つの実施態様において、元素状Feと、任意選択で元素状Ni、元素状Ru、元素状Co及び元素状Cuのうちの1以上とからなる。
【0144】
一つの実施態様において、元素状Feと、任意選択で元素状Ni、元素状Ru、元素状Co及び元素状Cuのうちの1つとからなる。
【0145】
一つの実施態様において、元素状Niと、任意選択で元素状Fe、元素状Ru、元素状Co及び元素状Cuのうちの1以上とからなる。
【0146】
一つの実施態様において、元素状Niと、任意選択で元素状Fe、元素状Ru、元素状Co及び元素状Cuのうちの1つとからなる。
【0147】
一つの実施態様において、該金属種は、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)、元素状Ni及び元素状Co(Ni/Co)、元素状Ni及び元素状Ru(Ni/Ru)並びに元素状Ni及び元素状Cu(Ni/Cu)、から選択される元素状金属の二元混合物、を含む/から本質的になる/からなる。
【0148】
他の実施態様において、該金属種は、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、並びに元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)、から選択される元素状金属の二元混合物、を含む/から本質的になる/からなる。
【0149】
他の実施態様において、該金属種は、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)の二元混合物、を含む/から本質的になる/からなる。
【0150】
元素状金属の二元混合物が存在する上記実施態様のそれぞれにおいて、元素状金属の比は、約100:1~1:100、好適には約50:1~1:50、より好適には約25:1~1:25、約10:1~約1:10、より好適には約5:1~1:5、より好適には約1:1、の範囲でありうる。
【0151】
一つの実施態様において、該金属種は、約5:1~1:5、好適には約1:1、の比での元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)の二元混合物、を含む/から本質的になる/からなる。
【0152】
一つの実施態様において、該金属種は合金である。特に、一つの実施態様において、該金属種は、元素状Fe、元素状Ni及び元素状Coから選択される2つの元素状金属の合金である。
【0153】
典型的には、該触媒は、上記金属種の粒子を含む。該粒子は、通常ナノ粒子である。
【0154】
好適には、該金属種が元素状金属中の1以上の金属、を含む/から本質的になる/からなる場合、該種は好適には、ナノ粒子として存在する。
【0155】
本明細書で使用される場合、語「ナノ粒子」は、そのサイズが典型的にはナノメートル(nm)で測定される微視的粒子を意味する。ナノ粒子は、典型的には0.5nm~500nmの粒子サイズを有する。例えば、ナノ粒子は、0.5nm~200nmの粒子サイズを有しうる。より多くの場合、ナノ粒子は、0.5nm~100nm、又は例えば1nm~50nmの粒子サイズを有する。粒子、例えばナノ粒子は、球状又は非球状でありうる。非球状粒子は例えば、板状、針状又は管状でありうる。
【0156】
本明細書で使用される語「粒子サイズ」は、粒子が球状の場合は粒子の直径を意味し、粒子が非球状の場合は体積基準の粒子サイズを意味する。体積基準の粒子サイズは、当該非球状粒子と同じ体積を有する球の直径である。
【0157】
一つの実施態様において、該金属種の粒子サイズは、ナノスケールでありうる。例えば、該金属種の粒径はナノスケールでありうる。
【0158】
本明細書で使用される場合、ナノスケールの粒径は、100nm以下のd(0.5)値を有するナノ粒子の集団を指す。例えば、90nm以下のd(0.5)値。例えば、80nm以下のd(0.5)値。例えば、70nm以下のd(0.5)値。例えば、60nm以下のd(0.5)値。例えば、50nm以下のd(0.5)値。例えば、40nm以下のd(0.5)値。例えば、30nm以下のd(0.5)値。例えば、20nm以下のd(0.5)値。例えば、10nm以下のd(0.5)値。
【0159】
本明細書で使用される場合、「d(0.5)」(「d(v,0.5)」、又は体積メジアン径ともと記載されうる)は、集団内のd(0.5)値より小さい全粒子の累積体積が、その集団内の全粒子の総体積の50%に相当する粒子サイズ(粒径)を表す。
【0160】
本明細書に記載の粒度分布(例えば、d(0.5))は、種々の従来の分析方法、例えばレーザー光散乱法、レーザー回折法、沈降法、パルス法、電気的検知帯法、ふるい分析及び光学顕微鏡法(通常は画像解析と組み合わせて)によって測定されることができる。
【0161】
一つの実施態様において、該方法の金属種の集団は、約1nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約1nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約30nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約20nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約10nmのd(0.5)値。
【0162】
他の実施態様において、該方法の金属種の集団は、約10nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約10nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約30nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約20nmのd(0.5)値。例えば、約10nmのd(0.5)値。
【0163】
他の実施態様において、該方法の金属種の集団は、約20nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約20nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約30nmのd(0.5)値。例えば、約20nmのd(0.5)値。
【0164】
他の実施態様において、該方法の金属種の集団は、約30nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約30nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約30nmのd(0.5)値。
【0165】
他の実施態様において、該方法の金属種の集団は、約20nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約40nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約40nmのd(0.5)値。
【0166】
他の実施態様において、該方法の金属種の集団は、約50nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約50nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約50nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約50nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約50nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約50nmのd(0.5)値。
【0167】
本発明の方法において使用される固体触媒は、酸素原子非含有セラミックを含む。一つの実施態様において、該固体触媒は1以上の酸素原子非含有セラミックを含む。他の実施態様において、該固体触媒はただ1つの酸素原子非含有セラミックのみを含む。
【0168】
好適な酸素原子非含有セラミックは典型的には、高い熱伝導率、機械的強度及び優れた誘電特性を有する。
【0169】
一つの実施態様において、該酸素原子非含有セラミックは、炭化物又は窒化物、好適には炭化物、である。
【0170】
一つの実施態様において、該酸素原子非含有セラミックは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素のうちの1以上から選択される。
【0171】
他の実施態様において、該酸素原子非含有セラミックは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、及び炭化アルミニウム、から選択される。好適には、酸素原子非含有セラミックは、炭化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される。例えば、一つの実施態様において、酸素原子非含有セラミックは炭化ケイ素である。
【0172】
一つの実施態様において、該酸素原子非含有セラミックはモノリシック形態である。
【0173】
一つの実施態様において、該金属種は酸素原子非含有セラミック上に担持される。
【0174】
一つの実施態様において、該触媒は、Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含むことに加えて、遷移金属から選択される更なる金属種を含む。好適には、該遷移金属は元素形態である。好適には、該元素状遷移金属は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZn、より好適にはFe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCu、より好適にはFe、Ru、Co、Ni及びCu、から選択される。
【0175】
他の実施態様において、該触媒は、元素状Fe、元素状Ni及び元素状Coから選択される金属種と、元素状遷移金属から選択される更なる金属種とを含む。好適には、該元素状遷移金属は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZn、より好適にはFe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCu、より好適にはFe、Ru、Co、Ni及びCu、から選択される。
【0176】
他の実施態様において、該触媒は、元素状Fe及び元素状Niから選択される金属種と、元素状遷移金属から選択される更なる金属種とを含む。好適には、該元素状遷移金属は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZn、より好適にはFe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt及びCu、より好適にはFe、Ru、Co、Ni及びCu、から選択される。
【0177】
他の実施態様において、該触媒は、元素状Fe、元素状Ni及び元素状Coから選択される2つの金属種を含む。
【0178】
本発明の方法の固体触媒は、一つの実施態様において、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)、元素状Ni及び元素状Co(Ni/Co)、元素状Ni及び元素状Ru(Ni/Ru)、並びに元素状Ni及び元素状Cu(Ni/Cu)、から選択される元素状金属の二元混合物である金属種と、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素から選択される酸素原子非含有セラミックと、を含む/から本質的になる/からなる。
【0179】
他の実施態様において、該固体触媒は、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)、元素状Ni及び元素状Co(Ni/Co)、元素状Ni及び元素状Ru(Ni/Ru)並びに元素状Ni及び元素状Cu(Ni/Cu)、から選択される元素状金属の二元混合物である金属種と、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、及び炭化アルミニウムから選択される酸素原子非含有セラミックと、を含む/から本質的になる/からなる。好適には、酸素原子非含有セラミックは、炭化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される。例えば、一つの実施態様において、酸素原子非含有セラミックは炭化ケイ素である。
【0180】
一つの実施態様において、該固体触媒は、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、並びに元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)、から選択される元素状金属の二元混合物である金属種と、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素から選択される酸素原子非含有セラミックと、を含む/から本質的になる/からなる。
【0181】
他の実施態様において、該固体触媒は、元素状Fe及び元素状Ni(Fe/Ni)、元素状Fe及び元素状コバルト(Fe/Co)、元素状Fe及び元素状Ru(Fe/Ru)、並びに元素状Fe及び元素状Cu(Fe/Cu)、から選択される元素状金属の二元混合物である金属種と、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、及び炭化アルミニウムから選択される酸素原子非含有セラミックと、を含む/から本質的になる/からなる。好適には、酸素原子非含有セラミックは、炭化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される。例えば、一つの実施態様において、酸素原子非含有セラミックは炭化ケイ素である。
【0182】
一つの実施態様において、該固体触媒は、元素状Feと、任意選択で元素状Ni、元素状Ru、元素状Co及び元素状Cuのうちの1つと、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素から選択される酸素原子非含有セラミックと、を含む/から本質的になる/からなる。
【0183】
他の実施態様において、該固体触媒は、元素状Feと、任意選択で元素状Ni、元素状Ru、元素状Co及び元素状Cuのうちの1つと、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、及び炭化アルミニウムから選択される酸素原子非含有セラミックと、を含む/から本質的になる/からなる。好適には、酸素原子非含有セラミックは、炭化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される。例えば、一つの実施態様において、酸素原子非含有セラミックは炭化ケイ素である。
【0184】
一つの実施態様において、該固体触媒は、炭化ケイ素上に担持された元素状Fe、を含む/から本質的になる/からなる。好適には、元素状Feは、触媒の約1~約10重量%、好適には触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する。
【0185】
一つの実施態様において、該固体触媒は、炭化ケイ素上に担持された元素状Ni、を含む/から本質的になる/からなる。好適には、元素状Niは、触媒の約1~約10重量%、好適には触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する。
【0186】
一つの実施態様において、該固体触媒は、炭化ケイ素上に担持された元素状Fe及び元素状Ni、を含む/から本質的になる/からなり、好適には、元素状FeとNiとは、約1:5~約5:1、より好適には約1:1の比、で存在する。
【0187】
他の実施態様において、該触媒は、炭化ケイ素上に担持された元素状Feと元素状Niとの合金、を含む/から本質的になる/からなる。
【0188】
典型的には、該固体触媒において、該金属種は、触媒の総重量に基づいて0.1~99重量%の量で存在する。該金属種は例えば、触媒の総重量に基づいて0.5~80重量%の量で存在しうる。しかしながら、該金属種は、触媒の総重量に基づいて0.5~25重量%、より典型的には0.5~40重量%、又は例えば1~30重量%の量で存在しうる。
【0189】
該金属種は、触媒の総重量に基づいて、例えば0.1~90重量%、例えば0.1~10重量%、又は例えば20~70重量%の量で存在しうる。
【0190】
該金属種は、触媒の総重量に基づいて、例えば1~20重量%、例えば1~15重量%、又は例えば2~12重量%の量で存在しうる。
【0191】
一つの実施態様において、該固体触媒は、最大約50重量%の金属種担持量を有する。
【0192】
他の実施態様において、該固体触媒は、約0.1重量%~約50重量%、例えば、約1重量%~約20重量%、例えば、約1重量%~約15重量%、例えば、約1重量%~約10重量%、例えば、約2重量%~約5重量%、の金属種担持量を有する。
【0193】
他の実施態様において、該固体触媒は、約5重量%の金属種担持量を有する。
【0194】
一つの実施態様において、該固体触媒は、5重量%のFe/SiC、5重量%のNi/SiC、及び5重量%のFeNi/SiC(1:1)から選択される。
【0195】
不均一混合物
別の態様において、本発明は、炭化水素を含有する組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含む不均一混合物であって、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、上記不均一混合物を提供する。
【0196】
別の態様において、本発明は、炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含む不均一混合物であって、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、上記不均一混合物を提供する。
【0197】
上記の固体触媒、組成物及びそれらの特徴に関して、上記の各実施態様は、本発明のこの観点にも同様に適用可能である。
【0198】
本発明はさらに、水素の製造の為の上記の不均一混合物の使用に関する。
【0199】
これは、上記のように不均一混合物を電磁放射線に曝露することによって達成されることができる。
【0200】
マイクロ波反応器
他の観点において、本発明は、不均一混合物を有するマイクロ波反応器であって、該混合物は、炭化水素を含有する組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含み、ここで、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと、を含む、上記マイクロ波反応器に関する。
【0201】
他の観点において、本発明は、不均一混合物を有するマイクロ波反応器であって、該混合物は、炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含み、ここで、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと、を含む、上記マイクロ波反応器に関する。
【0202】
上記の固体触媒、組成物及びそれらの特徴に関して、上記の各実施態様は、本発明のこの観点にも同様に適用可能である。
【0203】
典型的には、該反応器は、放射線に曝露されるべき組成物を受けるように構成される。それ故に、該反応器は、典型的には該組成物を含むように構成された少なくとも1つの容器を含む。該組成物は、入口を介して容器へ供給されうる。該容器は反応空洞内に配置され得、上記空洞は、マイクロ波放射の焦点である。
【0204】
該反応器はまた、水素を排出するように構成されている。すなわち、該反応器は典型的には出口を含み、該出口を通って、本発明の方法に従って生成された水素ガスが放出され、又は収集されうる。
【0205】
幾つかの実施態様において、該マイクロ波反応器は、該組成物をTM010モードの電界に付すように構成される。
【0206】
燃料電池モジュール
他の観点において、本発明は、(i)燃料電池と、(ii)炭化水素を含有する組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含む不均一混合物を含む燃料電池モジュールであって、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、上記燃料電池モジュールを提供する。
【0207】
他の観点において、本発明は、(i)燃料電池と、(ii)炭化水素を含有する液体組成物と緊密な混合状態にある固体触媒を含む不均一混合物を含む燃料電池モジュールであって、該触媒は、
Fe、Ni及びCoから選択される1以上の元素を含む少なくとも1つの金属種と、
酸素原子非含有セラミックと
を含む、上記燃料電池モジュールを提供する。
【0208】
燃料電池、例えばプロトン交換膜燃料電池、は、当該技術分野において周知であり、従って当業者には容易に利用可能である。
【0209】
一つの実施態様において、該燃料電池モジュールは、(iii)電磁放射線源をさらに含みうる。好適には、該電磁放射線源は、該組成物を電磁放射線に曝露し、それによって該組成物又はその成分を分解させて水素を生成する為に好適である。該分解は、接触分解でありうる。該電磁放射線源は、上記の実施態様のいずれかに記載の通りでありうる。
【0210】
好適には、該電磁放射線はマイクロ波放射線であり、マイクロ波放射線源は、上記のように好適なマイクロ波反応器である。
【0211】
車両
他の観点において、本発明は、本発明に従うマイクロ波反応器を備えている車両を提供する。
【0212】
他の観点において、本発明は、本発明に従う燃料電池モジュールを備えている車両又は電気機器を提供する。
【実施例1】
【0213】
材料及び方法
I.触媒の調製
触媒は、含浸法によって調製された。触媒担体として、SiC(炭化ケイ素、Fisher Scientific)、AC(活性炭、Sigma-Aldrich)、SiO2(メソポーラスシリカ、Sigma-Aldrich)が使用された。金属硝酸塩、例えばFe(NO3)3.9H2O(硝酸鉄(III)九水和物、Sigma-Aldrich)、が、金属前駆体として使用された。SiC担持鉄触媒を調製する為に、担持粉末とFe(NO3)3.9H2O溶液との混合物を、それがスラリーになるまでドラフト内で磁気ホットプレート上にて150℃で3時間撹拌することによって、含浸が実施された。次いで、該スラリーは乾燥オーブンに移されて、一晩乾燥された。得られた固体混合物は、350℃の炉内で3時間焼成された。このようにして、Fe(NO3)3は、Fe2O3に分解された。最後に、800℃で6時間の、10% H2/アルゴンガス中における還元プロセスによって、活性触媒が得られた。
【0214】
同じ方法が使用されて、異なる担持材料及び金属を用いた他の触媒を調製した。二元金属触媒の調製の為に、金属前駆体が、最初に蒸留水中で混合されて、次いで担体粉末とブレンドされた。
【0215】
II.触媒の特性評価
触媒は、PANalytical X’Pert PRO回折計にてCu Kα X線源(45kV、40mA)を用いた粉末X線回折(XRD)によって特徴付けられた。この試験における走査範囲(2θ)は、10°~80°であった。
【0216】
調製された触媒の表面形態は、走査型電子顕微鏡(SEM、JEOL 840F)によって特徴付けられた。
【0217】
熱重量分析(TGA、TA Instrument、SDT Q-600)が使用されて、残留する供給原料及び処理済試料中の得られた炭素残留物を特徴付けた。処理済触媒のTGAが、N2雰囲気において最初に実施され、残留ヘキサデカンを試験し、次いで雰囲気が空気に変えられて処理済触媒上の炭素残留物を分析した。
【0218】
処理済触媒上の炭素はまた、レーザー励起が785nmであるレーザー-ラマン分光法(PerkinElmer RamanStation(商標)400F分光計)によって確認された。
【0219】
III.マイクロ波放射下での液体炭化水素の脱水素
図1は、マイクロ波発生システム、専用のマイクロ波空洞、及び制御システムからなる実験装置を示す。触媒は、石英管(内径6mm、外径9mm)に最初に配置され、軸方向に分極された(TM
010)均一電場に曝露された触媒床の高さは4cmである。次いで、液体炭化水素(市販のヘキサデカン(SIGMA-ALDRICH)及びディーゼルなど)が、触媒の30重量%として管に注入され、炭化水素が触媒床に十分に分散されるまで5~10分間待った。次いで、マイクロ波放射下での脱分極効果を最小限にするために、充填された管が、軸方向にTM
010マイクロ波空洞の中心に配置された。マイクロ波照射を開始する前に、試料は、5~10分間アルゴンでパージされた。次いで、試料は、750Wで、30分間マイクロ波で照射された。マイクロ波システムはインピーダンス整合されていないので、試料空洞に供給されるエネルギー及び試料が曝露されたマイクロ波電力は、この値よりも有意に小さかった。発生したガスは、収集されてガスクロマトグラフィー(GC)によって分析された。
【0220】
IV.マイクロ波空洞摂動測定
実験で使用された摂動空洞(
図2に示されている)は、横磁界TM
010モードを使用する。導波路内のTM
010モードは、空洞内で半径方向にのみ変化する非常に均一な電界を有する。マイクロ波は、ポート1及びポート2に配置された同軸ケーブルを使用して空洞に結合され、軸から3cmの半径方向位置でTM
010モードの電界に容量結合を提供するように向けられた開回路延長中心導体で終端される。石英管(内径2mm、外径4mm)は、その高いマイクロ波透過性により、容器として使用される。そして、試料は、石英管の中に入れられ、最大定常波で空洞の中心に置かれる。全てのマイクロ波測定は、Agilent E5071Bネットワークアナライザを使用して実施される。周波数領域における伝送マイクロ波電力|S
21|
2の測定が実施される。それぞれの場合において、負荷品質係数Q
Lを無負荷品質係数Qに変換することによって、空洞結合の影響が除去される。空洞結合は、それらが等しく(すなわち対称的に)なるように調整され、従って変換は単純な式Q=Q
L(1-10
-IL/20)を用いて行われ、ここで、ILは共振時、dB(1)において測定された、挿入損失(すなわち伝送電力)である。
【0221】
水素製造の触媒性能の調査
【0222】
ディーゼルをシミュレートするためにヘキサデカン(C16H34)が選択され、マイクロ波照射下でSiC担持触媒上において実験が実施された。得られたガス及び液体試料が集められて、GC及びMSにより分析された。
【0223】
表1は、ヘキサデカン(0.5ml)が触媒に含浸されて、不均一混合物にマイクロ波(750W)が30分間照射されたときの、GC分析による発生ガス分布(排出されたガスの総体積%である体積%)を示す。
表1
【0224】
【0225】
*:触媒(金属含有量);「N/A」は、実験中に触媒上で反応が見られなかったことを意味する。
【0226】
あまり効率的ではないが、金属がなくてもマイクロ波条件下で反応を触媒することができる活性炭(AC)のみを含有する担持材料において、明確な違いが見出されている(
図3A)。炭化ケイ素(SiC)及びシリカ(SiO
2)の性能は、金属が担持された場合に有意に変化した。鉄がSiC上に担持された場合、有意に高い水素選択性(約93体積%)が得られた。対照的に、Fe/AC触媒及びFe/SiO
2触媒上では、より多量のメタン及び一酸化炭素が生成された。
【0227】
SiCによって担持された異なる金属は、異なる生成物分布によって、マイクロ波照射下で様々なレベルの性能を示した(
図3B)。ニッケル及び鉄において、それぞれ極めて高い水素選択性(約96体積%及び93体積%)が得られた。一方、他の金属(Co、Cu、Pt及びRu)はある範囲の選択性を示した。コバルトの水素選択性は約74体積%であり、CO及びCO
2のレベルはごくわずかであることが分かる。銅及び白金については、水素選択性はわずか約60体積%であった。
【0228】
興味深いことに、マイクロ波照射下において、Ru/SiC触媒上で反応は見られなかった。
【0229】
鉄及びニッケルは、マイクロ波照射に対して最良の応答を示し、続いて水素に対する高い選択性をもたらした。
【0230】
いくつかの金属、例えばNi及びCo、が、COの形成を制限する能力を有することは明らかである。従って、バイメタル金属触媒(Fe-X/SiC、X=Ni、Co、Cu及びRu)が調査された。Ni及びCoが存在する場合に、COの量が有意に減少したことが分かる(
図3C)。Fe-Ni/SiC触媒について、約98体積%の極めて高い水素選択性が得られ、CO
2形成はゼロであった。
【0231】
該触媒の金属含有量を調べられ、そしてFe/SiC触媒中により多くのFeが存在すると、水素選択性が低下することが見出された(
図3D)。対照的に、より多くのFe含有量では、CO及び軽質アルカン及びオレフィンの形成が好ましい。
【0232】
続いて、Fe/SiC及びFeNi/SiC触媒それぞれを用いて、ディーゼル燃料を含む広範囲の液体炭化水素(C9~C17)が調査された(下記の表2及び表3を参照)。水素への選択率が>90体積%である全ての液体炭化水素(C9~C17)の間で、同様の生成物分布が見出された(
図3E)。結果は、このアプローチが広範囲の液体炭化水素供給原料に適用されることができることを示している。
【0233】
Fe/SiCに種々の供給物が含浸され、不均一混合物にマイクロ波(750W)が30分間照射されたときのGC分析による発生ガス分布。
表2
【0234】
【0235】
FeNi/SiCに種々の供給物が含浸され、不均一混合物にマイクロ波(750W)が30分間照射されたときのGC分析による発生ガス分布。
表3
【0236】
【0237】
反応前後の触媒の分析
V.X線回折(XRD)
触媒は、マイクロ波処理の前後にX線回折(XRD)によって特徴付けられた。
図4及び
図5は、鉄含有量が異なるFe/SiC触媒のXRDパターンを示す。
図4において、鉄及び炭化ケイ素の特徴的なピークが観察された。炭化ケイ素ピークは、2θ=41.51°、45.4°、54.73°、60.12°、及び65.73°の回折ピークで検出される。44.79°及び65.11°で鉄のピークが検出され、これはそれぞれ鉄の110及び200格子面に対応する。Fe担持量が2重量%から20重量%まで増加すると、鉄のピーク強度がより強くなったことは明らかである。
【0238】
処理済触媒のパターン(
図5)において、鉄のピークが劇的に減少又は消失し、2θ=42.92°、43.82°、44.72°、45.04°、45.9°及び49.18°の回折ピークにおける炭化鉄の特徴的なピークが検出される。SiCピークは変化がなく、SiC担体が反応条件下で安定であることを示している(
図5)。
【0239】
未処理Fe/SiC、Ni/SiC、及びFeNi/SiC触媒についての粉末XRD試験が実施され、結果が
図6に示される。予想通り、Fe/SiC及びNi/SiCは、金属鉄及びニッケルについて明確な鋭い回折ピークを示す。44.79°の鉄のピークが検出され、2θ=45.50°、53.05°のピークは、Ni(111)及びNi(200)の反射に対応する。Fe-Ni/SiC中のFe及びNiの特定の回折ピークはほとんどシフトを示さないが、FeNi
3又は金属酸化物組成を示す特徴的なピークは検出されることができない。従って、Fe-Ni/SiC中のFe及びNiは、依然として金属相にあると考えられる。
【0240】
図7は、マイクロ波照射下での水素生成反応の前後の触媒の比較を示す。Fe
3Cが形成されたので、反応中においてNiの構造はFeよりも安定である。Niが存在すると触媒の安定性が改善されることは明らかである。反応後、Fe-Ni/SiC触媒中における金属構造にほとんど変化は見られなかった。
【0241】
VI.走査型電子顕微鏡(SEM)
調製された触媒の形態が、走査型電子顕微鏡(SEM)において特徴付けられた。
図8は、異なる鉄担持量を有する未処理Fe/SiC触媒のSEM画像を示す。炭化ケイ素のサイズは、約20~40μmであり、鉄粒子のサイズは様々であり、0.01~1μmの範囲である。鉄は炭化ケイ素の表面上に見られることができるが、均一でない。比較的大きい鉄粒子は、Fe含有量がより多い試料において観察されることができる。
【0242】
処理済Fe/SiC触媒のSEM画像が、
図9に示されている。親凝集はSiC支持体表面上の鉄粒子上に見出されることができ、これらのクラスターのサイズは約10μmである。鉄含有量がより多い触媒において、若干のフィラメント状生成物がクラスター上で絡み合っているのが発見された(
図9c)。
【0243】
図10は、調製された触媒(Fe/SiC、Ni/SiC、FeNi/SiC、Fe/AC及びFe/SiO
2)のSEM画像を示す。SiC上のNi粒子の分散はFeよりも良好であり、従ってNiの粒子サイズはFe粒子よりも小さいことが分かる。
【0244】
FeNi/SiC触媒に関して、Niの添加はSiC表面上の金属粒子の分散を改善し、このことは、金属粒子サイズの減少をもたらす。Fe/AC及びFe/SiO2の画像は、AC及びSiO2の粒子サイズがSiCよりも大きいことを示している。従って、SiCは、AC及びSiO2の多孔質構造とは異なる滑らかな表面を有する。
【0245】
SiC表面上における金属の分散を改善することができるニッケルの効果は、FeNi/SiC触媒で見られることができる(
図11)。より多くのNi含有量を有するFeNi/SiC触媒は、より良好に分散して、より小さい金属粒子サイズを有する。これは、SiC上にそれぞれ担持された5重量%のFe及びNiを有するFeNi/SiC(5,5)触媒において見られることができる。金属粒子は、SiC表面上にほぼ均一に分布されていた。処理済触媒が、
図12に示された。
【0246】
走査型電子顕微鏡(SEM)及びX線回折(XRD)の両方によるマイクロ波処理の前後のFe-Ni/SiC触媒の特性評価は、ニッケルの効果を明確に強調している。SiC担持鉄触媒中のニッケルの存在は、SiC表面上の金属粒子の分散を改善する。
【0247】
VII.レーザー-ラマン分光法
処理済触媒中の炭素を試験するためにレーザー-ラマン分光法が用いられた。
図13に示されたラマンスペクトルは、処理済触媒中の炭素含有量を実証している。1350cm
-1、1580cm
-1、及び2690cm
-1付近のピークは、それぞれ炭素のDバンド、Gバンド、及び2Dバンドを示す。
【0248】
触媒の再利用性
マイクロ波照射下でディーゼルが種々の触媒に導入されたときのガス発生を調べる、経時的試験が実施された。
【0249】
ガス発生が、マイクロ波照射の開始からGCによって監視された。30分毎にディーゼルの未処理アリコート(0.5ml)が添加され、触媒が、550℃で1時間の焼成により再生成された。
【0250】
5重量%のFe/SiC触媒について、発生ガス分布(体積%)は、純粋な液体アルカンから得られたもの(約91体積%)と同様であった(
図14を参照)。発生ガス分布は、150分後には安定であり、その時点で水素濃度は約65体積%から75体積%まで変動した。
【0251】
おそらく酸化鉄が存在するために、より多くのCOが見出され、H2及びCOの濃度は、約85体積%であった。重要なことに、マイクロ波処理の全期間中、CO2濃度は1体積%未満を維持した。
【0252】
結論
記載された発明は、炭化水素を含有する液体組成物のマイクロ波支援処理を固体触媒上で組み合わせる、水素製造の為の新規な方法を提供する。この方法は、イン・シチューでの水素製造用に車両において適用されることができる(
図15を参照)だけでなく、水素貯蔵材料として炭化水素を含有する液体組成物を使用することは、米国エネルギー省によって設定されたオンボードでの7重量%の水素目標を達成するのに十分である。高H
2、低CO
2プロセスは、続いて、車両における温室効果ガス排出の懸念を緩和する可能性がある。
【0253】
本明細書中で引用する公報、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、参照により取り込まれるかのように、また、(法律で許容される最大限まで)その全体を本明細書に記載されるかのように、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0254】
全ての見出し及び小見出しは、本明細書で便宜上使用されているだけであり、本発明を限定するものとして決して解釈されるべきでない。
【0255】
任意の及び全ての例、又は例示語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく説明する為のものであり、別段の記載がない限り、本発明の範囲を限定するものでない。本明細書におけるいずれの文言も、記載されていない要素が、本発明の実施に不可欠であることを示すものと解釈するべきでない。
【0256】
本明細書における特許文書の引用及び組み込みは、便宜上のみ行われており、そのような特許文書の有効性、特許性、及び/又は法的強制力に関するいかなる見解も反映していない。
【0257】
本発明は、適用される法律によって許容されるように、ここに添付されたパラグラフに記載された主題の全ての改変及び均等物を含む。
【0258】