(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ローカルで生成されたエネルギーを複数の負荷ユニットに分配するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20220112BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20220112BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220112BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J3/38 120
H02J7/34 J
(21)【出願番号】P 2019552146
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2018056218
(87)【国際公開番号】W WO2018188872
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】102017108121.6
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アラルト,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッヘンフェルト,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ブコヴィッチ-シェファー,アレクサンドラ-ササ
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-130655(JP,A)
【文献】国際公開第2015/015528(WO,A1)
【文献】特開2016-007095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0244306(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02993752(EP,A2)
【文献】独国特許出願公開第102015110651(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0080044(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルで生成されたエネルギーを少なくとも1つの再生可能なDC源(2)からシステム(1)の複数のローカル負荷ユニット(3、3’、3’’)に分配するための前記システム(1)において、各負荷ユニット(3、3’、3’’)に対して、
統合グリッド(10)に接続するための入力部(4)と、
少なくとも1つの負荷(11、11’、11’’)に接続するための出力部(5)と、
インバータ入力部(7)およびインバータ出力部(8)を有するインバータ(6)であって、前記インバータ入力部(7)が前記DC源(2)に接続され、前記インバータ出力部(8)が、前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の前記入力部(4)および前記出力部(5)に接続され、前記インバータ(6)が、前記インバータ入力部(7)における直流を前記インバータ出力部(8)において交流に変換する、インバータ(6)と、
前記統合グリッド(10)から現在の電力消費量を測定するための前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の前記入力部(4)に接続されたパワーメーター入力部(14)、および前記現在の電力消費量に関するデータを前記統合グリッド(10)から前記インバータ(6)に送信するための前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の前記インバータ(6)に接続されたパワーメーター出力部(15)を有するパワーメーター(13)と、を備え、
前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の前記インバータ(6)が、そのインバータ入力部(7)に印加された入力DC電圧を測定するように、かつ前記印加された入力DC電圧および前記送信された電力消費量データから現在変換されるべき電力を決定するように構成され
ており、
前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の前記インバータ(6)が、そのインバータ入力部(7)に印加された前記入力DC電圧から、所定の第1の特性曲線に従って現在変換可能な最大可能電力を決定し、
前記現在変換可能な最大可能電力が前記統合グリッド(10)からの電力消費量以上である場合、予め設定された電力消費量の限界値を0kWとする方法で、前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の前記インバータ(6)が、前記現在変換されるべき電力を決定し、
前記現在変換可能な最大可能電力が前記統合グリッド(10)からの電力消費量未満である場合、前記現在変換されるべき電力が前記現在変換可能な最大可能電力のレベルと対応するように、前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の前記インバータ(6)が前記現在変換されるべき電力を決定し、その結果、前記統合グリッド(10)からの電力消費量が最小化されることを特徴とする、システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記インバータ(6)が一方向インバータおよびDC絶縁インバータであることを特徴とする、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記各負荷ユニット(3、3’、3’’)の第1の特性曲線が互いに異なることを特徴とする、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、少なくとも1つの負荷ユニット(3、3’、3’’)では、関連する前記負荷ユニットの前記インバータ(6)によって変換された電力が時間窓内で総計され、前記関連する負荷ユニットの前記総計された電力に対して閾値が予め定義され、前記閾値に到達時に前記関連する負荷ユニット(3、3’、3’’)のインバータ(6)が、その現在変換されるべき電力をゼロまで減少させることを特徴とする、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、少なくとも1つのバッテリー(22)および双方向DCチョッパー(21)を備えるストレージユニット(20)も備え、前記双方向DCチョッパー(21)の第1の端子(23)が前記DC源(2)に接続され、前記双方向DCチョッパー(21)の第2の端子(24)が前記バッテリー(22)に接続され、前記双方向DCチョッパー(21)が、その第1の端子(23)に印加された入力DC電圧から、所定の第2の特性曲線に従って現在貯蔵可能な最大可能電力を決定することを特徴とする、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記所定の第2の特性曲線が前記所定の第1の特性曲線とは異なることを特徴とする、システム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記双方向DCチョッパー(21)が、その第1の端子(23)に印加された入力DC電圧から、前記所定の第2の特性曲線に従って、現在必要とされる放電電力を決定することを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカルで生成されたエネルギーの分配を改善するためのシステムに関する。本システムは、複数のローカル負荷ユニットを有し、ローカルで生成されたエネルギーは、再生可能なDC源の共有により提供することができる。さらに、本発明は、配電パネルのためのレトロフィットキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
複数の家族またはユーザグループが共通のローカルエネルギー源の使用を望んでいるが、同時に統合グリッド、例えば公共エネルギーグリッドに接続されている場合、ローカルで生成されたエネルギーを分配する問題が、例えば、アパートビルで生じる。エネルギーフローのユーザグループへの分配、各ケースにおけるエネルギー消費量の捕捉、および統合グリッドオペレーターの管理規定により、分散された、特に、再生可能なエネルギー源の共有は複雑化し、結果的にコストが大きくなる。したがって、以前は1つのユーザグループのみに対してローカルエネルギー生成設備が作動していたか、または既存の統合グリッドおよびエネルギーメーターを使用して分配して捕捉するために、大規模な設備がより大規模な統合グリッドに導入していたかのいずれかである。多くの国では回生エネルギーの統合グリッドへの導入は、財政的な観点から次第に魅力が失われているため、ローカルな再生可能エネルギー源からの自家消費への関心が高まってきている。しかし、この自家消費は同時に有用でもあるが、これは、自家消費のために、統合グリッドは負荷される回生エネルギーの量が変動せず、したがってローカルな生成およびローカルな消費が同時に生じるためである。
【0003】
したがって、例えば、アパートビルの屋根の太陽光発電設備を正確に共有することによって自家消費率を大幅に上昇させることができるにもかかわらず、これまではローカルな回生エネルギー源の共有は通常行われてこなかった。様々なユーザの数の増加に伴い、エネルギー消費習慣のバリエーションが増加し、統合グリッドの負荷ピークおよびトラフは、多数の消費者により統計的に補正される。同様に、アパートビルにおけるローカルで生成されたエネルギーによって、日中または夜間に活動する個人、および料理、洗濯、または他の電気もしくは電子機器の使用に関する習慣が異なる家族による使用が分散した結果、消費量を均等化することができ、したがって、結果的に、エネルギー生成設備を最適な方法で使用することができるようになる。それにもかかわらず、依然として余剰エネルギーが存在する場合、エネルギー貯蔵を行うことができる。しかし、このエネルギー貯蔵はかなり小規模であってよく、したがって、個別に使用される設備または実に複数の個別に使用される設備の場合よりもコスト効率が良い。
【0004】
先行技術は、例えば、欧州特許出願公開第2993752A2号明細書に開示されるように、複数のユーザグループがローカルな回生エネルギー源を共有するための中央制御装置の提供の実施について開示する。この場合、インバータおよび電気メーターは各ユーザグループに提供され、各インバータは中央制御装置に制御可能に接続され、中央制御装置は、提供する電力をユーザグループ間で分割する。そのような中央制御装置の導入、操作、および維持は、労力およびコストに関連する。したがって、本発明の範囲内で、提供する電力を、単純かつコスト効率の良い方法で、中央制御装置を用いることもなくユーザグループ間で分割可能であることが見出されたのは驚くべきことであった。
【発明の概要】
【0005】
ローカルで生成されたエネルギーを少なくとも1つの再生可能なDC源からシステムの複数のローカル負荷ユニットに分配するための本発明のシステムは、各負荷ユニットに対して、統合グリッドに接続するように構成される入力部、および少なくとも1つの負荷に接続するように構成される出力部を備える。負荷ユニットはそれぞれ、インバータ入力部およびインバータ出力部を有するインバータを備え、インバータ入力部はDC源に接続し、インバータ出力部は各負荷ユニットの入力部および出力部に接続する。インバータは、インバータ入力部における直流をインバータ出力部において交流に変換する。負荷ユニットはまた、統合グリッドから現在の電力消費量を測定するための各負荷ユニットの入力部に接続されたパワーメーター入力部および各負荷ユニットのインバータに接続されたパワーメーター出力部を有するパワーメーターを備える。パワーメーター出力部は、現在の電力消費量に関するデータを統合グリッドからインバータに送信する。同時に、各負荷ユニットのインバータは、そのインバータ入力部に印加された入力DC電圧を測定し、印加された入力DC電圧および送信された電力消費量データから現在変換されるべき電力を決定する。
【0006】
このように、負荷ユニットは、統合グリッドとローカルなDC源との間に互いに平行に配置され、関連するインバータは、上位コントローラなしで自律的に動作する。パワーメーターは、関連する負荷ユニット、例えば、アパートビルのアパートに通常存在するような電気メーターであってもよい。パワーメーターは、現在の電力消費量を統合グリッドから測定して、この値を関連するインバータに、有線または無線方式で送信する。負荷は負荷ユニットの出力部に接続することができる。これらは、例えば、調理器、食器洗浄器、洗濯機、照明手段等の家庭において従来のものである負荷であってもよい。インバータがアクティブ状態である場合、すなわち、入力側に存在する直流をグリッド準拠交流に変換する場合、統合グリッドおよびローカルなDC源から負荷に電力を供給することができる。この場合、単相または多相インバータを使用することができる。多くの国では電気負荷がグリッドの複数の相間で分割されるように接続されるため、各条件に適合するインバータが選択されることになる。関連するインバータは、ローカルなDC源から負荷を完全に供給するために、送信されたパワーメーターデータを使用して、現在ローカルなDC源からさらに変換する必要がある電力を決定することができる。同時に、関連するインバータはまた、その入力部に印加された入力DC電圧を特徴付ける測定値、例えば、入力DC電圧の振幅を決定する。入力DC電圧はまた、入力DC電圧に変調される信号であってもよく、また、入力DC電圧それ自体のように、ローカルなDC源により生成される。
【0007】
多くの発電機では、負荷中に端子電圧が低下し、例えば、太陽光発電機として提供されるローカルなDC源は、同様に動作し得るか、またはこの発電機の動作は、太陽光発電機に接続されたDCチョッパーステージ(DC/DC変換器)によりシミュレートされ得る。したがって、端子電圧は、発電機の負荷の測定値の役割を果たすことができ、発電機の電力リザーブは、端子電圧のレベルから推測することができる。太陽光発電機に接続されたDCチョッパーステージはまた、太陽光発電機の電力リザーブの由来元であり得る信号を変調することができる。各負荷ユニットに関連するインバータはここで、現在の入力電圧レベルまたは負荷の増加と共に変化する対応信号を決定する場合、インバータは、例えば、保存された閾値、特性曲線等と比較することにより、ローカルなDC源が依然として電力リザーブを有しているかどうかを判定することができる。現在変換されるべき電力は、電力リザーブの指標および統合グリッドからの現在の電力消費量の比較により決定することができる。これは、十分な電力リザーブが存在する場合、例えば、ローカルなDC源から負荷を完全に供給するために、現在ローカルなDC源からさらに変換する必要がある電力であってもよい。代替として、現在変換されるべき電力は、ローカルなDC源から負荷を完全に供給するために、現在ローカルなDC源からさらに変換する必要がある電力の一部に対応してもよい。
【0008】
本発明のシステムの有利な一実施形態では、各負荷ユニットのインバータは、そのインバータ入力部に印加された入力DC電圧から、所定の第1の特性曲線に従って現在変換可能な最大可能電力を決定する。このような特性曲線により、例えば、入力DC電圧と、関連するインバータにより変換することができる最大可能電力との間の直線関係を確立することができ、その結果、DC源の平均的な負荷の場合、インバータにより変換された電力は、接続された負荷により必要とされる電力に適合させることができる。したがって、例えば、全ての負荷が供給されるまで、またはDC源の最大性能、すなわち現在変換可能な最大可能電力に到達するまで、インバータは、その現在変換した電力を特性曲線に沿って増加させることができる。
【0009】
現在変換可能な最大可能電力が統合グリッドからの電力消費量以上である場合、本発明のシステムの別の有利な実施形態は、統合グリッドからの電力消費量が限界値の事前設定に役立つように、現在変換されるべき電力を決定するために、各負荷ユニットのインバータを提供する。一連の方法では、各負荷ユニットのインバータは、統合グリッドから現在の電力消費量のレベルを判定し、本発明の一実施形態では、インバータに変換された電力を、それが記憶された仕様に対応するように適合させようと試みる。例えば、検討中の負荷ユニットによる統合グリッドからの電力消費量の上限を設定することができ、その結果、関連するインバータは、自らが変換した電力を、この上限に到達するまで増減させる。
【0010】
別の変形は、ローカルなDC源から電力消費量の限界値を記憶することを含むことができ、その結果、この限界値に到達するまで、インバータがその現在変換した電力のみを増加させ、接続された負荷の任意のさらなる消費量が統合グリッドから供給される。また、各負荷ユニットのインバータの制御対象では、各負荷ユニットで消費されたエネルギーの特定の部分が、ローカルなDC源から常に得られることが考えられる。これの必要条件は、ローカルなDC源が十分な電力リザーブを有すること、および接続された負荷から必要とされることである。
【0011】
本発明のシステムの特に好ましい一実施形態では、予め設定された限界値は0kWであり、これは、現在変換可能な最大可能電力が少なくとも統合グリッドからの電力消費量と等しい場合、各負荷ユニットのインバータが現在さらに変換されるべき電力を、それが統合グリッドからの電力消費量のレベルに対応するように決定することを意味する。したがって、各負荷ユニットのインバータは、その現在変換した電力を、統合グリッドからの以前に決定した電力消費量のレベルで増加させ、その結果、各負荷ユニットに接続した負荷はローカルなDC源から完全に供給される。
【0012】
現在変換可能な最大可能電力が統合グリッドからの電力消費量未満である場合、本発明のシステムの別の好ましい実施形態では、各負荷ユニットのインバータは、現在変換されるべき電力を、それが現在変換可能な最大可能電力に対応するように決定する。これにより、統合グリッドからの電力消費量が最小化する。これは、例えば、ローカルなDC源から供給された電力が、各負荷ユニットに接続された全ての負荷を所望の程度で提供するには十分ではない場合、各負荷ユニットのインバータは、それが変換した電力を、少なくとも最大可能量だけ増加させることを意味する。
【0013】
本発明のシステムの有利な一実施形態では、各負荷ユニットのインバータは、一方向インバータとして提供され、またDC絶縁インバータとして提供される可能性もある。電気貯蔵がDC電圧側で本発明のシステムに提供されるとしても、本発明のシステムのインバータのAC電圧側からDC電圧側へのエネルギーフローは意図されていない。したがって、DCからACへのエネルギーフローの方向に半導体スイッチが最適化されているインバータは十分なものであり、したがって、本発明のシステムのコストが減少する。確実にAC電圧側からDC電圧側を電気的にデカップリングするために、インバータをDC絶縁インバータとして提供することができる。
【0014】
本発明のシステムの別の有利な実施形態では、各負荷ユニットの第1の特性曲線は互いに異なる。これにより、各負荷ユニットのインバータの様々な制御仕様を規定することが可能になる。様々な特性曲線を各インバータの制御コンポーネントに記憶することができる。同じ入力DC電圧が、本発明のシステムの全てのインバータに印加されるが、インバータは、様々な特性曲線を使用して入力DC電圧から各負荷ユニットに対して現在変換可能な様々な最大可能電力を決定することができる。この特徴により、所望の場合は、上位コントローラを使用せずに、ローカルで生成されたエネルギーを不均等に分配することも可能になる。しかし、当然のことながら、均等な分配が所望される場合は、同じ特性曲線を本発明のシステムの各インバータに記憶させることもでき、その結果、接続された負荷のエネルギー消費量が同じである場合は、現在変換されるべき同じ電力がインバータにより決定される。
【0015】
本発明のシステムの別の有利な実施形態では、少なくとも1つの負荷ユニットに対して、関連する負荷ユニットのインバータにより変換された電力が、時間窓内で総計される。総計された電力に対して閾値、したがって、関連する負荷ユニットのエネルギー閾値が予め定義されている場合、関連する負荷ユニットのインバータは、閾値に到達時に、その現在変換した電力をゼロまで減少させる。様々な時間窓も、様々な負荷ユニットに対して1日かけて分配されるように提供される場合、ローカルなDC源により提供されるエネルギーはしたがって、複数にそのまま分割することができ、また様々な負荷ユニット間で本発明のシステムのインバータにより、上位コントローラを使用する必要なく、1日かけて分配されるように分割することができる。
【0016】
特に好ましい一実施形態では、本発明のシステムはまた、ストレージユニットを備える。ストレージユニットは、少なくとも1つのバッテリーおよび双方向DCチョッパーを備え、双方向DCチョッパーの第1の端子はDC源に接続され、双方向DCチョッパーの第2の端子はバッテリーに接続される。双方向DCチョッパーは、その第1の端子に印加された入力DC電圧から、所定の第2の特性曲線に従って、現在貯蔵可能な最大可能電力を決定する。負荷ユニットのインバータと同様に、ストレージユニットの双方向DCチョッパーは、現在の入力電圧レベルから、例えば、保存された閾値、特性曲線等と比較することにより、ローカルなDC源が依然として電力リザーブを有しているかどうかを判定する。これまで未使用の電力は、なおもローカルで入手可能な場合、バッテリーに貯蔵することができる。別の実施形態では、所定の第2の特性曲線は、所定の第1の特性曲線とは異なる。これにより、例えば、まず負荷ユニットに接続された負荷に電気エネルギーが供給され、単に副次的にバッテリーが充電される状況を実現することが可能になる。本発明のシステムが自家消費を最適化するために使用される場合、直接的なローカルの消費は、エネルギーの貯蔵よりも優先される。一方、これにより、バッテリーの充電中およびバッテリーからの放電中に変換損失を回避することが可能になる。一方、バッテリーの寸法は相当小さくてもよい。電力貯蔵技術の費用が依然として非常に高いことを鑑みると、バッテリーの寸法が相当小さいことにより、本発明のシステムのコスト効率も良くなる。
【0017】
本発明のシステムの別の有利な実施形態では、双方向DCチョッパーは、その第1の端子に印加された入力DC電圧から、所定の第2の特性曲線に従って、現在必要とされる放電電力を決定する。例えば、ローカルエネルギー消費量がローカルなDC源から同時に入手可能な電力を超える場合、かつ印加された入力DC電圧が所定の閾値を下回る場合、これは、バッテリーから本発明のシステムのDC配電パネルにエネルギーを供給するための双方向DCチョッパーへの信号であり得る。これにより、ローカルで生成されたエネルギーの自家消費をさらに増加させることが可能になる。
【0018】
接続された全ての負荷を、ローカルなDC源から供給し、かつバッテリーの貯蔵能力も十分に使用される場合、例えば、さらなる可変負荷が提供され得て、過剰なローカルエネルギーを消費するために、オン状態に切り替えられる。可変負荷をオン状態に切り替えることは、例えば、電線上の変調された特殊信号(放送信号)により誘発することができる。もはやさらなるローカルの消費量が見込まれない場合、ローカルなDC源を削減することができる、すなわち、その電力を減少させて、ローカルな生成量と消費量とのバランスを取ることができる。本発明のシステムでは、統合グリッドへのエネルギーの導入は実現されない。
【0019】
本発明のシステムは、特に小型でコスト効率の良いコンポーネントにより区別され、例えば、アパートビルで、共有された太陽光発電設備からのエネルギーの分配に理想的に適している。これはまた、実行が必要な設置ステップがごくわずかであり、かつ設置が必要なコンポーネントもごくわずかであるため、特に、太陽光発電設備を用いてビルを改造する場合に有利である。従来の配電パネル、特にアパート用配電パネルは、AC電圧分配グリッドへの接続部を有し、アパート/サブユニットのエネルギー消費量等を測定する電気メーターが装備されている。電力は、ヒューズが装備されて各消費点に送られている電線で分配される。
【0020】
特に好ましい一実施形態は、本発明のシステムで使用するための配電パネル、特にアパート用配電パネルのためのレトロフィットキットに関する。この場合、レトロフィットキットは、配電パネルの交流電圧入力部に接続するように構成されるインバータ出力部を有するインバータを備える。インバータは、少なくとも1つの再生可能なDC源に接続するように構成されるインバータ入力部と、インバータ入力部に印加された入力DC電圧を測定するコントローラと、を有する。レトロフィットキットはまた、配電パネルに配置されたメーターからインバータに電力消費量データを送信するための通信接続部と、配電パネルを再生可能なDC源に接続させるためのDC配電パネルの接続部と、を備える。コントローラは、印加された入力DC電圧および送信された電力消費量データから、現在変換されるべき電力を決定する。
【0021】
このように、再生可能なDC源、特に太陽光発電設備をビルの屋根に設置する場合、およびビルで中央取り付けシャフトによりDC配電パネルとして電線を設置して、それをアパート用配電パネルに送る場合よりもさらに複雑な設置作業は必要とされない。住居ユニット用のインバータは、家庭での通常のエネルギー消費の場合、非常に小型であるため、レトロフィットキットのコンポーネントは一般に、既存のアパート用配電パネルに収容することができる。これにより、その後、特にアパートビルで、コスト効率が良くかつ複雑性が低い方法で共有される太陽光発電設備を設置することが可能になる。
【0022】
図面を使用して、例示的な実施形態に基づいて、本発明について以下で説明する。この図面から、特許請求の範囲の特徴と一緒に考慮して、本発明のさらなる特徴、特性、および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明のシステムの例示的な構成の概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明のシステムの負荷ユニットの例示的な構成を示す。
【
図3】
図3は、本発明のシステムのストレージユニットの例示的な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明のシステム1の例示的な構成を概略的に示す。負荷ユニット3、3’、3’’は、統合グリッド接続部9で統合グリッド10に接続される。これは、例えば、一般にはグリッドオペレーターにより提供され、多相設計を有することが多い公共AC電圧グリッドの低電圧分配グリッドであってもよい。負荷ユニット3、3’、3’’は、アパートビルの異なるアパート、フロア、またはビルもしくは事業所の他のサブユニットであってもよい。さらに、負荷ユニット3、3’、3’’は、DC配電パネル12に接続され、DC配電パネル12には、共有されたDC源2も接続されている。DC源2は、例えば、アパートビルの屋根の上の太陽光発電設備であってもよい。この場合、DC/DC変換器(図示せず)も通常、PV発電機とDC配電パネル12との間に配置され、前記コントローラが、PV発電機の最大電力点(MPP)を制御することになる。
【0025】
図2は、本発明のシステム1に含まれ得るような負荷ユニット3の例示的な構成を示す。負荷ユニット3は、上述のように、その入力部4で統合グリッド接続部9およびDC配電パネル12に接続される。さらに、負荷ユニット3はまた出力部5を備え、出力部5には、AC配電パネル16を介して電気負荷11、11’、11’’、11’’’が接続されている。負荷11、11’、11’’、11’’’は、家庭の従来の負荷、例えば、照明器具、洗濯機、調理器等であってもよいが、また、例えば事業所の生産機械であってもよい。負荷11、11’、11’’、11’’’、…は、単相または多相AC電力を消費するように構成することができ、AC配電パネル16は、例えば、家庭では通常であるように、単相負荷を複数の相に分配することができる。統合グリッド10からの現在の電力消費量は、パワーメーター13により負荷ユニット3で測定される。このために、パワーメーター入力部14は、入力部4に接続される。パワーメーター13は、例えば、アパートビルのアパートに通常存在するような電気メーターであってもよい。しかし、このメーターは、自らが現在測定した電力消費量データを少なくとも送信するように構成されなければならない。
【0026】
負荷ユニット3はまたインバータ6を備え、インバータ6のインバータ入力部7がDC配電パネル12に接続され、インバータ6のインバータ出力部8が負荷ユニット3の入力部4と出力部5との間の接続部に接続されている。インバータ6は、その入力部で利用可能なDC電力をグリッド準拠AC電力に変換して、グリッド準拠AC電力を、負荷ユニット3の入力部4と出力部5との間の接続部またはAC配電パネル16に送るように構成される。
【0027】
パワーメーター13は、その現在測定した電力消費量データを、パワーメーター出力部15を介して、インバータ6に送信する。この送信は、有線または無線方式で行うことができる。本発明のシステム1が基づくアイデアは、DC源2により提供される電力を、システム1内で可能な限り完全に消費するというアイデアである。このため、インバータ6は、自らが導入した電力を、統合グリッドからの電力消費量がゼロワットに減少するまで増加させるように構成することができる。負荷ユニット3に接続された全ての負荷11、11’、11’’、11’’’は、ローカルなDC源2から供給されるか、(または全く消費がないか)のいずれかである。
【0028】
DC源2が電力リザーブを有するかどうか、すなわち、接続された負荷11、11’、11’’、11’’’、…により多くの電力を供給するためにインバータ6がさらに、自らが導入した電力を増加させることができるかどうかを判定するために、インバータ6は、例えば、その入力部7に印加されたDC電圧を測定することができる。DC電圧は、DC源2の負荷が高い場合、減少させることができる。インバータ6は、例えば、所定の閾値を下回っているDC電圧から、自らが変換した電力をそれ以上増加させることができないと結論付けることができる。DC電圧の減少が継続する場合、インバータ6は自らが導入した電力を減少させるということを記憶することが可能である。反対に、高いDC電圧により、変換された電力の増加が可能であることが示される場合がある。
【0029】
代替的に、インバータ6は、そのインバータ入力部7で、DC源2の電力リザーブの指標として入力DC電圧に変調される信号を決定することができる。上述のように、この信号を、PV発電機とDC配電パネル12との間に配置されたDC/DC変換器(図示せず)により、入力DC電圧に変調することができ、次いで、この信号の閾値を使用して、DC源2の電力リザーブを測定することができる。信号またはDC電圧レベルとDC源2の電力リザーブとの間の関係を説明するための閾値または特性曲線は、インバータ6のコントローラ(図示せず)に記憶させることができる。
【0030】
負荷ユニット3のコンポーネントは、アパートの従来の配電パネルに良好に統合することができる。電気メーターならびに接続部4および5は通常、配電パネルに既に存在しているため、配電パネルは後に、追加的にインバータ6を設置し、DC配電パネル12を送り、電気メーター13とインバータ6との間の通信接続をセットアップすることにより、本発明のシステム1で使用するための負荷ユニット3を形成するように容易にアップグレードすることもできる。
【0031】
図3は、本発明のシステム1で使用するためのストレージユニット20の例示的な構成を示す。ストレージユニット20は、バッテリー22および双方向DCチョッパー(DC/DC変換器)21を備える。DC/DC変換器21の端子23は、DC配電パネル12に接続され、DC配電パネル12を介して、DC/DC変換器はDC源2に接続される。DC/DC変換器21の端子24はバッテリー22に接続され、バッテリー22は複数のバッテリーサブユニットまたは複数のバッテリーから構成され得る。一方では、DC/DC変換器21は、DC配電パネル12からエネルギーを取得して、そのエネルギーをバッテリー22に貯蔵することによって、充電コントローラの役割を果たし、他方では、DC/DC変換器21はまた、バッテリー22からDC配電パネル12へのエネルギーの導入およびエネルギーの除去を制御する。上述の負荷ユニット3と同様に、DC/DC変換器21は、その端子23に印加されたDC電圧または入力DC電圧に変調された信号を、DC源2の電力リザーブの指標として測定することができる。DC/DC変換器21のコントローラは、電気的特性変数間、例えば、印加されたDC電圧レベルと利用可能なDC電力または現在貯蔵可能な最大可能電力との間の関係を確立する第2の特性曲線を記憶する。この第2の特性曲線は、第1の特性曲線とは異なる勾配を有することができる。そのため、同じDC電圧レベル測定値に対して、負荷ユニットおよびストレージユニットの異なる応答動作がもたらされる。これは、まず負荷ユニットに接続された負荷に電気エネルギーが供給され、単に副次的にバッテリーが充電されることを意味し得る。
【0032】
例えば、DC電圧レベル測定値がさらにより低い閾値を下回る場合、これは、電力のローカルの消費量が、ローカルの生成と比較して高いことを示し得る。これは、ストレージユニットがその貯蔵エネルギーを再度DC配電パネル12に供給する信号でもあり得る。したがって、以前のローカルの過度なエネルギーは、自家消費のために再度供給することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 システム
2 DC源
3、3’、3’’、… 負荷ユニット
4 入力部
5 出力部
6 インバータ
7 インバータ入力部
8 インバータ出力部
9 統合グリッド接続部
10 統合グリッド
11、11’、11’’、11’’’… 負荷
12 DC配電パネル
13 パワーメーター
14 パワーメーター入力部
15 パワーメーター出力部
16 AC配電パネル
20 ストレージユニット
21 DCチョッパー
22 バッテリー
23 端子
24 端子