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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】二酸を使用したトリアミン固化
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/32 20060101AFI20220112BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20220112BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20220112BHJP
   C11D 7/42 20060101ALI20220112BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20220112BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220112BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20220112BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20220112BHJP
   A01N 33/02 20060101ALI20220112BHJP
   A01N 37/36 20060101ALI20220112BHJP
   A01N 37/10 20060101ALI20220112BHJP
   A01N 37/06 20060101ALI20220112BHJP
   A01N 37/44 20060101ALI20220112BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20220112BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C11D7/32
C11D17/06
C11D7/26
C11D7/42
C11D3/30
C11D3/20
C11D3/33
C11D3/386
A01N33/02
A01N37/36
A01N37/10
A01N37/06
A01N37/44
A01P1/00
A01P3/00
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020035349
(22)【出願日】2020-03-02
(62)【分割の表示】P 2018512520の分割
【原出願日】2016-09-16
(65)【公開番号】P2020109179
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】62/219,781
(32)【優先日】2015-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】エリク シー.オルソン
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ジー.グリース
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/010197(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
A01N 1/00- 65/48
A01P 1/00- 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアミンと、
1~50重量%の固体酸であって、クエン酸、酒石酸、安息香酸、マンデル酸、スルファミン酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、アスパラギン酸、イミノ二酢酸、グリシン、リジン、グルコン酸、グルタミン酸、ジピコリン酸、オクタン酸、デカン酸、ソルビン酸、フマル酸又はシュウ酸の少なくとも一つを含む、固体酸と
前記固体酸で中和された前記トリアミンの塩と
を含む、固体トリアミン組成物であって、
前記固体酸対前記トリアミンの比が、1:10~1:1であり、
記組成物が、50℃未満で固体のままであり、かつ含水量が10重量%未満であり、
前記トリアミンが、以下:
R-NH-[(CHNH]-(CH-NH
R-NH-[(CH-NH](CH-NH(H
式中、Rは、6~22個のC原子を有する直鎖または分岐アルキル残基であり、Yは、独立して、水素またはメチル基を表し、Xは、スルホン酸アミド、ニトラート、ハロゲン化物、スルフェート、炭酸水素、カーボネート、ホスフェート、水酸化物、カルボキシレート、及び/または有機酸を含むアニオンの等価物であり、m、及びrは、独立して、1~6の範囲の整数を表し、yは1であり、nは、1~2+yの範囲の整数である、又は、
【化1】
式中、Rは、直鎖C1~C12アルキル基である、
のうちのいずれか1つの式を有する、組成物。
【請求項2】
前記固体酸対前記トリアミンの比が、1:~1:である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記固体酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、コハク酸、アジピン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ジピコリン酸、及びドデカン酸からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記固体酸対前記トリアミンの比が、1:5~1:1である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
酵素をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記酵素が、リパーゼである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
界面活性剤、キレート剤、封鎖剤、洗剤、アルカリ性供給源、ビルダ、濯ぎ剤、硬化剤、漂白剤、清浄剤、活性剤、ビルダ、充填剤、消泡剤、再堆積防止剤、光学的光沢剤、染料、付臭剤、安定剤、分散剤、追加的な酵素、腐食防止剤、増粘剤、及び溶解度修飾剤からなる群から選択される少なくとも1つの機能性成分をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
キレート剤及び/または一つ又は複数の機能性シロキサン界面活性剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記トリアミンの濃度が、10~70重量%であり、前記固体酸の濃度が、2.5~40重量%であり、前記キレート剤の濃度が、1~40重量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の、トリアミン及び固体酸を含む固体トリアミン組成物と、希釈及び使用のための説明書と、を備える、キット。
【請求項11】
トリアミンを少なくとも部分的に中和することと、
記トリアミンを固体酸と反応させて、アミン塩を発生させることであって、前記固体酸対前記トリアミンの比が、1:10~1:1である、ことと、
前記組成物を固化することと
を含む、固体トリアミン組成物を作製する方法であって、
前記固体組成物が、50℃未満で固体のままであり、かつ含水量が10重量%未満であり、
前記固体酸は、クエン酸、酒石酸、安息香酸、マンデル酸、スルファミン酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、アスパラギン酸、イミノ二酢酸、グリシン、リジン、グルコン酸、グルタミン酸、ジピコリン酸、オクタン酸、デカン酸、ルビン酸、フマル酸又はシュウ酸の少なくとも一つを含み、
前記トリアミンが、以下:
R-NH-[(CHNH]-(CH-NH
R-NH-[(CH-NH](CH-NH(H
式中、Rは、6~22個のC原子を有する直鎖または分岐アルキル残基であり、Yは、独立して、水素またはメチル基を表し、Xは、スルホン酸アミド、ニトラート、ハロゲン化物、スルフェート、炭酸水素、カーボネート、ホスフェート、水酸化物、カルボキシレート、及び/または有機酸を含むアニオンの等価物であり、m、及びrは、独立して、1~6の範囲の整数を表し、yは1であり、nは、1~2+yの範囲の整数である、又は、
【化2】
式中、Rは、直鎖C1~C12アルキル基である、
のうちのいずれか1つの式を有する、方法。
【請求項12】
前記固体が、プレスされた固体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記固体が、押出された固体である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記固体が、流動性粉末である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記固体酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ジピコリン酸、及びドデカン酸からなる群から選択される、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記固体酸対前記トリアミンの比が、1:~1:である、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか一項に記載のトリアミン及び固体酸を含む固体トリアミン組成物の使用溶液を発生させることと、
洗浄、清浄、または消毒するために、物品または表面を前記使用溶液に接触させることと
を含む、洗浄、清浄、または消毒する方法。
【請求項18】
前記洗浄、清浄、または消毒することが、濯ぎステップである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記洗浄、清浄、または消毒することが、潤滑するステップである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記固体トリアミン組成物の前記使用溶液が、1ppm~1000ppmのトリアミン、及び1ppm~500ppmの固体酸を提供する、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記固体トリアミン組成物の前記使用溶液が、1ppm~500ppmのトリアミン、及び1ppm~250ppmの固体酸を提供する、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、注型、押出、及びプレスされた固体組成物を含む、安定した固体トリアミン抗微生物、清浄、及び消毒組成物に関する。即時使用可能な溶液は、本固体トリアミン組成物を水で溶解することによって得られ得る。洗浄、消毒、清浄、濯ぎ、及び/または潤滑のための使用方法が、開示される。有益なことに、本固体トリアミン組成物は、液体配合物に少なくとも実質的に類似のまたはそれより優れた性能及びミクロ効能(micro efficacy)を提供する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質、油脂、及びデンプン系の汚れの除去、洗浄、清浄、及び/または消毒を必要とする施設及び他の環境には、複数の汚れが存在する。多くの場合、これらの汚れは最終的に硬い表面及び軟らかい表面上に付着し、除去が困難であり、強力な洗浄製品を必要とし得る。効果的な洗浄製品が現在も必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液体トリアミン抗微生物組成物は、洗浄、消毒、清浄、濯ぎ、及び/または潤滑利益を提供し得る。しかしながら、その変更されていない状態で抗微生物性活性(N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン)を提供するアミンは、固体組成物に配合することが困難である。アミンの液体形態は従来、希釈された液体組成物の使用を必要とし、トリアミン抗微生物組成物の固体配合物に対する多数の障壁を提示する。さらに、固体トリアミン組成物の配合物は、固体の抗微生物性状態中のトリアミンの濃度を希釈する多数の機能性成分の添加を必要とし、したがって、組成物の有効性を損なう。したがって、洗浄、消毒、清浄、濯ぎ、及び/または潤滑のための固体トリアミン抗微生物、清浄、及び消毒組成物を開発することが、特許請求される発明の目的である。本発明の一態様では、本発明の固体生成物は、こぼれるまたははねることがなく、低減された製造及び流通費用を有し、他の利益のなかでもとりわけ、より少ない貯蔵空間を必要とするため、液体生成物より便利、安全、及び経済的である。したがって、トリアミン及び酸から本質的になる組成物の固化の方法を開発することは、特許請求される発明のさらなる目的である。
【0004】
本発明のさらなる目的は、プレスされた固体配合物を可能にする最小の含水量を有する固体組成物を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的、利点、及び特徴は、添付の図面と併せて以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明は、固体トリアミン組成物、固体トリアミン組成物と希釈及び使用のための説明書とを備えるキット、固体トリアミン組成物を作製する方法、ならびにそれを使用する方法を提供する。
【0007】
一実施形態では、固体トリアミン組成物は、約10~99重量%のトリアミン、及び約1~50重量%の二酸を含む。さらなる実施形態では、二酸のトリアミンに対する比は、約1:10~約1:1である。さらなる実施形態では、トリアミン及び二酸は、少なくとも部分的に中和された固体組成物中で組み合わせられ、組成物は、50℃未満で固体のままである。
【0008】
一実施形態では、キットは、本明細書に開示されるトリアミン及び二酸を含む固体トリアミン組成物と、希釈及び使用のための説明書とを備える。
【0009】
一実施形態では、固体トリアミン組成物を作製する方法は、トリアミンを少なくとも部分的に中和することと、該殺生物性トリアミンを二酸と反応させて、アミン塩を発生させることと、該組成物を固化することとを含む。一実施形態では、本固体組成物は、50℃未満で固体のままである。さらなる実施形態では、二酸のトリアミンに対する比は、約1:10~約1:1である。
【0010】
一実施形態では、洗浄、清浄、または消毒する方法は、本明細書に開示されるトリアミン及び二酸を含む固体トリアミン組成物の使用溶液を発生させることであって、該使用溶液が、約1ppm~約1000ppmのトリアミン、及び約1ppm~約500ppmの二酸を提供する、発生させることと、洗浄、清浄、または消毒するために、物品または表面を該使用溶液と接触させることとを含む。
【0011】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のまた他の実施形態は、本発明の例証的な実施形態を図示及び説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、例証的な性質のものであり、制限的であるとみなされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、固体トリアミン抗微生物、清浄及び消毒、洗浄、濯ぎ、ならびに/または潤滑組成物に関する。本組成物は、例えば、最小化された輸送及び出荷費用、使用時点での使用溶液の発生などを含む、従来的な液体トリアミン組成物を上回る利点を有する。
【0013】
本発明の実施形態は、特定の組成物、その使用の方法、及びその作製の方法に限定されず、それらは変動し得、当業者によって理解される。本明細書に使用されるすべての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段に明確に内容により示されない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、及び記号は、そのSIによって認められた形態で示され得る。
【0014】
本明細書内に列挙される数的範囲は、定義される範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式による説明は、単に便宜性及び簡潔性のためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性を欠く制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の説明は、すべての可能な下位範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0015】
本発明をより容易に理解し得るように、特定の用語をまず定義する。別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明の実施形態が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものと類似の、修正された、またはそれと同等の多くの方法及び材料は、過度の実験を伴うことなく本発明の実施形態の実践に使用することができ、好ましい材料及び方法が、本明細書に説明される。本発明の実施形態の説明及び特許請求において、以下の専門用語は、下記に示される定義に従って使用される。
【0016】
「約」という用語は、本明細書で使用されるとき、例えば、実際に濃縮物または使用溶液を作製するために使用される典型的な測定及び液体取り扱い手順を通して、これらの手順における不慮の誤りを通して、組成物の作製または方法の実行のために使用される製造、供給源、成分の純度の差などを通して生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に関する異なる平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の同等物を含む。
【0017】
「活性」または「パーセント活性」または「重量パーセント活性」または「活性濃度」は、本明細書において互換的に使用され、水または塩などの不活性成分を乗じたパーセンテージとして表される、洗浄に関与する成分の濃度を指す。
【0018】
「再堆積防止剤」は、洗浄されている物体上に再堆積する代わりに水中に懸濁されたままであることを助ける化合物を指す。再堆積防止剤は、洗浄されている表面上の除去された汚れの再堆積の低減を補助するために、本発明において有用である。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「洗浄する」という用語は、汚れの除去、漂白、微生物集団の低減、及びそれらの任意の組み合わせを促進または補助するために使用される方法を指す。本明細書で使用されるとき、「微生物(microorganism)」という用語は、任意の非細胞または単細胞(群体を含む)有機体を指す。微生物は、すべての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、菌類、原虫、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ、及びいくつかの藻を含む。本明細書で使用されるとき、「微生物(microbe)」という用語は、微生物と同義である。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「消毒剤」という用語は、A.O.A.C.Use Dilution Methods,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,パラグラフ955.14及び適用可能な章、15th Edition,1990(EPA Guideline 91-2)に説明される手順を使用して、最も認識されている病原微生物を含むすべての利用細胞を死滅させる薬剤を指す。本明細書で使用されるとき、「高レベル消毒」または「高レベル消毒剤」という用語は、高レベルの細菌胞子を除き実質的に全ての有機体を死滅させ、食品医薬品局によって滅菌剤としての市販を許可されている化学的殺菌剤を用いて効果をもたらされる化合物または組成物を指す。本明細書で使用されるとき、「中間レベル消毒」または「中間レベル消毒剤」という用語は、環境保護庁(EPA)によって殺結核菌剤として登録されている化学的殺菌剤を用いてマイコバクテリウム、大部分のウイルス、及び細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。本明細書で使用されるとき、「低レベル消毒」または「低レベル消毒剤」という用語は、EPAによって病院用消毒剤として登録されている化学的殺菌剤を用いて一部のウイルス及び細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。
【0021】
「硬い表面」という用語は、カウンタートップ、タイル、床、壁、パネル、窓、衛生器具、台所及び浴室の家具、電化製品、エンジン、回路基板、ならびに皿などの、固体の実質的に非可撓性の表面を指す。硬い表面としては、例えば、ヘルスケア表面及び食品加工表面が挙げられ、さらには器具が挙げられ得る。
【0022】
本特許出願の目的のため、良好な微生物低減は、微生物集団が少なくとも約50%低減されるときに達成され、またはそれを著しく超えるものは、水による洗浄によって達成される。微生物集団のより大きな低減は、より大きなレベルの保護を提供する。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「清浄剤」という用語は、細菌性汚染物質の数を公衆衛生要件によって判定される安全なレベルにまで低減する薬剤を指す。一実施形態では、本発明における使用のための清浄剤は、少なくとも3logの低減、及びより好ましくは5logオーダーの低減を提供するであろう。これらの低減は、Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,パラグラフ960.09及び適用可能な章、15th Edition,1990(EPA Guideline 91-2)に提示される手順を使用して評定され得る。この参考文献によると、清浄剤は、いくつかの試験有機体に対して、室温、25±2℃において30秒間以内に99.999%の低減(5logオーダーの低減)を提供しなくてはならない。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「油」または「染み」という用語は、非極性の油性物質を指し、これは、鉱物粘度、砂、天然鉱物質、カーボンブラック、グラファイト、カオリン、環境粉塵などの特定の物質を含有してもよく、またはしなくてもよい。
【0025】
抗微生物性の「殺~」または「静~」活性の区別、有効性の程度を説明する定義、及びこの有効性を測定するための公式な実験室プロトコルは、抗微生物性の薬剤及び組成物の関連性を理解するための留意事項である。抗微生物組成物は、2種類の微生物細胞損傷に影響を及ぼし得る。1つ目は、完全な微生物細胞の破壊または不能化をもたらす致死的な不可逆性作用である。2つ目の種類の細胞損傷は、可逆的であり、その結果、有機体がその薬剤を有さなくなると再び繁殖し得る。前者は殺微生物性(microbiocidal)、後者は静微生物性(microbistatic)と呼ばれる。清浄剤及び消毒剤は、定義によると、抗微生物性または殺微生物性活性を提供する薬剤である。対照的に、防腐剤は概して、阻害剤または静微生物性組成物として説明される。
【0026】
本明細書で使用されるとき、「実質的に含まない」という用語は、構成成分を完全に欠くか、または構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさないほどに少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0027】
「実質的に同様の洗浄性能」という用語は、概して、同程度(または少なくとも著しくより少ない程度ではない)の清浄度の、または概して同じ労力(または少なくとも著しくより少ない労力ではない)による、またはその両方である代替洗浄製品または代替洗浄システムによる達成を指す。
【0028】
「閾値剤」という用語は、溶液に由来する硬水イオンの結晶化を阻害するが、その硬水イオンと特定の錯体を形成する必要がない化合物を指す。閾値剤としては、限定されるものではないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、オレフィン/マレイン酸コポリマーなどが挙げられる。
【0029】
「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」、及びそれらの変形は、本明細書で使用されるとき、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じたものとしての物質の濃度を指す。ここで使用されるとき、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であるように意図されることが理解される。
【0030】
本発明の方法及び組成物は、本発明の構成成分及び成分ならびに本明細書に説明される他の成分を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなってもよい。本明細書で使用されるとき、「から本質的になる」は、方法及び組成物が、追加的なステップ、構成成分、または成分を含んでもよいが、ただしその追加的なステップ、構成成分、または成分が、特許請求される方法及び組成物の基本的及び新規の特徴を物質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0031】
固体組成物
本発明による固体トリアミン組成物の例示的な範囲は、表1A~1Cに固体組成物の重量パーセンテージで示される。
【表1】
【表2】
【表3】
【0032】
本発明による抗微生物、清浄、及び消毒組成物に特に好適な固体トリアミン組成物のさらなる例示的な範囲は、表2A~2Cに固体組成物の重量パーセンテージで示される。
【表4】
【表5】
【表6】
【0033】
有益なことに、固体トリアミン組成物は、少なくとも部分的に中和され、殺生物性トリアミンの90%以上の活性を可能にし、液体配合物に少なくとも実質的に類似のまたはそれより優れた性能及びミクロ効能(micro efficacy)を提供する。
【0034】
本明細書で言及されるとき、「固体」組成物は、最大約100°F(45℃)、または好ましくは最大約122°F(50℃)の温度で固体のままであるものである。好ましくは、本発明の固体組成物は、安定した及び/剛性の組成物を形成し得る。他の態様では、固体組成物は、粉末であってもよい。固体組成物は、異なる形状で、例えば、ブロックまたはプレスされた固体の形態で存在してもよい。
【0035】
固体組成物は、多様なサイズで提供されてもよく、単回または多回使用用途に好適であってもよい。例示的な態様では、本発明の該固体組成物の単一用量使用形態の総重量は、例えば、0.005kg以上~1kg未満、好ましくは0.005kg以上~0.25kg未満であり得る。さらなる例示的な態様では、本発明の該固体組成物の多回使用形態の総重量は、例えば、0.5kg以上~15kg未満、好ましくは1kg以上~105kg未満であり得る。
【0036】
一態様では、酸のトリアミンに対する比は、約1:10~約1:1、約1:10~約1:5、約1:5~約1:3、または約1:3~約1:1である。さらなる態様では、酸のトリアミンに対する比は、例えば1:1、1:0.5などを含む、1:10未満の比の任意の組み合わせであり得る。本発明によると、殺生物性トリアミンは、固体組成物中の優占種である。好ましい態様では、酸のトリアミンに対する比は、約1:2.5~約1:2である。作用の特定の機構に制限されるものではないが、トリアミンの酸に対する比は、発生される固体組成物の安定性に影響を及ぼす。一態様では、より高い酸濃度は、発生される固体殺生物性トリアミン組成物における中和ステップに由来するより大きい含水量をもたらし、発生される固体の種類に影響を及ぼし得る。例えば、より低い含水量を有する固体殺生物性トリアミン組成物は、本発明によるプレスされた固体を生成するために最適である。しかしながら、増大された含水量を有する固体殺生物性トリアミン組成物は、プレス、注型、及び/または押出された固体における使用に依然好適である。
【0037】
本発明の実施形態によると、固体トリアミン組成物は、部分的に中和された組成物である。一態様では、固体組成物は、約6~約10、約6.5~約8、及び好ましくは約6.5~約7.5、または約7のpHを有する。本発明の一態様では、より酸性の組成物(pH7未満)は、より高い酸濃度を使用して安定した固体組成物を達成する。さらに他の態様では、より低い濃度の酸(少なくとも7のpHを提供する)は、最適なミクロ効能に好ましい。
【0038】
本発明に従って発生される固体組成物の硬度は、流動性または自由流動性粉末の硬度から、比較的緻密質で硬い溶けた固体生成物に、硬化されたペーストとして特徴付けられる稠度にわたり得る。それに加えて、「固体」という用語は、固体トリアミン組成物の予測される貯蔵及び使用条件下でのトリアミン組成物の状態を指す。概して、固体トリアミン組成物は、最大およそ100°F及び好ましくは最大およそ122°Fの温度に曝露されるときに、固体形態のままであることが予測される。
【0039】
有益なことに、本発明の方法に従って発生される多様な固体形態の固体トリアミンは、その質量全体を通して成分の分布に関して実質的に均質であり、次元的に安定している。本明細書で言及されるとき、次元的に安定した固体は、104°Fで3%未満の増大、好ましくは104°Fで2%未満の増大、または好ましくは122°Fで3%未満の増大を有する。ディスメンショナル安定性の測定に対する各言及は、述べられている温度及び約40~約70%の相対湿度における。
本発明の実施形態によると、固体トリアミン組成物は、任意のプレスされた、押出された、ブロック及び/または注型された固体組成物に利用され得る。またさらに、本発明によると、組成物は、任意の成型もしくは形成された固体ペレット、ブロック、タブレット、粉末、顆粒、フレークのために利用され得、または、形成された固体は、その後に粉末、顆粒、もしくはフレークに挽砕もしくは形成され得る。
【0040】
殺生物性トリアミン
本発明による固体トリアミン組成物は、少なくとも1つの殺生物性トリアミンを含む。本明細書で言及されるとき、殺生物性トリアミンは、ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルアミン、もしくはN,N-ビス(3-アミノプロピル)ラウリルアミンと称され得るか、または式
【化1】
によって表され得、式中、Rは、C1~22、C1~C18、またはC1~12を有する直鎖または分岐アルキル残基である。アミンの残基Rは、飽和、不飽和、単不飽和、またはポリ不飽和であり得る。好ましい態様では、Rは、直鎖アルキル基、好ましくはC1~C12、またはより好ましくはC1225である。かかるアミンは、文献内の既知のプロセスに従って生成され得る、及び/または商用製品として入手可能である。市販の殺生物性トリアミンは、Lonza Inc.によって販売されているLonzabac(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0041】
示的な殺生物性トリアミンとしては、例えば、以下の式から選択されるものが挙げられ得る
R-NH-[(CHNH]-(CH-NH(2a)
R-NH-[(CH-NH](CH-NH(H(2b
中、Rは、直鎖または分岐アルキル残基であり、好ましくは6~22個のC原子を有し、 、スルホン酸アミド、ニトラート、ハロゲン化物、スルフェート、炭酸水素、カーボネート、ホスフェート、水酸化物、カルボキシレート、及び/または有機酸を含む群から選択されるアニオンの等価物であり、m、及びrは、独立して、1~6の範囲の整数を表し、yは1であり、nは、1~2+yの範囲の整数である。
【0042】
一態様では、アミンの残基Rは、6個のC原子~22個のC原子、好ましくは8個のC原子~20個のC原子、さらに好ましくは10個のC原子~18個のC原子、同様に好ましくは12個のC原子~16個のC原子、または14C原子を有する直鎖または分岐アルキル残基であり得る。さらなる態様では、アミンの残基Rは、飽和、不飽和、単不飽和、またはポリ不飽和であり得る。またさらなる態様では、好ましいアミンとしては、RがC8~C18アルキル、最も好ましくはC8~C12アルキルであるアミンが挙げられる。一態様では、m、及びrは、独立して、2~5または3~4及び最も好ましくは3の範囲の整数を表す。
【0043】
一態様では、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキルジアミン、及び/またはアルキルトリアミンは、好ましく、ココプロピレンジアミン、オレイルジプロピレントリアミン、牛脂ジプロピレントリアミン、オレイルプロピレンジアミン、牛脂-ジプロピレントリアミン、オレイルトリプロピレンテトラミン、N-3-アミノプロピル-N-ドデシル-1、3-プロパン-ジアミン、及び/またはそれらのX 有する塩を含む群から選択され得る。アニオンX 、スルホン酸アミド、ニトラート、ハロゲン化物、スルフェート、炭酸水素、カーボネート、ホスフェート、水酸化物、カルボキシレート、及び/または有機酸を含む群から選択され得る。
【0044】
本明細書で言及されるとき、殺生物性アミンは、アルカノールアミンとしてさらに説明され得る。例示的な殺生物性アミンとしては、例えば、以下の式から選択されるものが挙げられ得る。
【化2】
式中、m、ならびに存在する場合o及びpは、互いに独立して2もしくは3の値を有し、x及びyは、20:1~1:20の質量比(I):(II)で、互いに独立して0もしくは1の値または対応する塩を有する。アルキルは、ここで及びこれ以降、各場合において、指定の数の炭素の非分岐または分岐アルキル基、特に好ましくは偶数の炭素原子を有するものを意味するように解釈される。
【0045】
例示的なアルカノールアミンは、原則、すべてのエタノールアミン及びプロパノールアミン、特にモノ-エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び3-アミノ-1-プロパノールである。一態様では、好ましいアルカノールアミン化合物は、一級アミノ基を有し、すなわち、所謂モノエタノールアミン及び3-アミノ-1-プロパノールを使用する。
【0046】
一態様では、本発明による使用のための殺生物性アミンは、異なるアミン、またはアルキルアミン、またはアルカノールアミンの任意の混合物を含み得る。
【0047】
本明細書で言及されるとき、殺生物性アミンは、一般式のうちのいずれかに対応してもよく、文献内の既知のプロセスに従って生成され得る、及び/または商用製品として入手可能である。
【0048】
一態様では、殺生物性トリアミン濃度は、固体配合物から発生される使用溶液の所望のpHに依存し得る。高活性濃度の殺生物性トリアミンを有するトリアミン組成物が固体であることは、本発明の予期せぬ利益である。
【0049】
一態様では、固体トリアミン組成物は、約10重量%~約99重量%の殺生物性トリアミン、約20重量%~約90重量%の殺生物性トリアミン、または約50重量%~約90重量%の殺生物性トリアミンを含む。好ましい態様では、好適な抗微生物、清浄、及び消毒組成物のための実質的な量の追加的な機能性成分を含む固体トリアミン組成物は、約10重量%~約99重量%の殺生物性トリアミン、約10重量%~約70重量%の殺生物性トリアミン、または約20重量%~約50重量%の殺生物性トリアミンを含む。追加的な機能性成分が配合物中に含まれる態様を含むまた他の態様では、固体トリアミンは、約5重量%~約75重量%の殺生物性トリアミン、約5重量%~約50重量%の殺生物性トリアミン、または約10重量%~約25重量%の殺生物性トリアミンを含む。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0050】

本発明による固体トリアミン組成物は、少なくとも1つの酸を含む。酸は、有機または無機であり得る。酸は、好ましくは有機酸である。一態様では、酸は、有機モノカルボン酸または有機ジカルボン酸であってもよい。一態様では、酸は、固体酸、好ましくは二酸である。
【0051】
一態様では、固体トリアミン組成物は、示される通りの構造(a)を有する二酸を含む。
【化3】
式中、n=1~20、Rは、H、C1~C8アルキル、またはCOOHであり、Rは、H、C1~C8アルキル、NH、OH、またはCOOHであり、R及びRの置換は、C1~C20鎖内の少なくとも1つの炭素上で生じる。
【0052】
一態様では、固体トリアミン組成物は、示される通りの構造(b)を有する二酸を含む。
【化4】
式中、R及びRは、各々COOHであり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHであり、R及びRは、各々COOHであり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHであり、R及びRは、各々COOHであり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHであり、R及びRは、各々COOHであり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHであり、またはR及びRは、各々COOHであり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、またはNHである。
【0053】
一態様では、固体トリアミン組成物は、示される通りの構造(c)を有する二酸を含む。
【化5】
式中、R及びRは、COOHであり、R、R、及びRは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHであり、R及びRは、COOHであり、R、R、Rは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHであり、R及びRは、COOHであり、R、R、Rは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHであり、またはR及びRは、COOHであり、R、R、Rは、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNHである。
【0054】
一態様では、固体トリアミン組成物は、(a)、(b)、(c)として図示及び説明される通りの構造、またはそれらの組み合わせを有する少なくとも1つの二酸を含む。
【0055】
特に好ましい酸としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ジピコリン酸、及びドデカン酸が挙げられる。特に好ましい酸としては、以下のものが挙げられる。
【0056】
以下の式を有する、クエン酸、3-カルボキシ-3-ヒドロキシペンタン二酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸:
【化6】
以下の式を有する、酒石酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸、2,3-ジヒドロキシコハク酸、トレアル酸、ラセミ酸、ウビック酸(uvic acid)、パラ酒石酸:
【化7】
以下の式を有する、リンゴ酸、2-ヒドロキシブタン二酸:
【化8】
以下の式を有する、マレイン酸、(Z)-ブテン二酸、cis-ブテン二酸、マレニン酸(malenic acid)、マレイニン酸(maleinic acid)、トキシル酸:
【化9】
以下の式を有する、グルタミン酸、2-アミノペンタン二酸、2-アミノグルタル酸:
【化10】
以下の式を有する、ジピコリン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸:
【化11】
以下の式を有する、コハク酸、ブタン二酸、エタン-1,2-ジカルボン酸:
【化12】
以下の式を有する、アジピン酸、ヘキサン二酸、ヘキサン-1,6-ジカルボン酸、ヘキサン-1,6-二酸:
【化13】
以下の式を有する、ドデカン二酸-C1222
【化14】
【0057】
追加的な例示的な酸としては、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、すなわち、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、フマル酸、リンゴ酸、イタコン酸、アスコルビン酸、コハク酸、及び安息香酸からなる群から選択される有機酸が挙げられ得る。
【0058】
作用の機構に従って制限されるものではないが、酸は、好ましくはトリアミンの水溶性塩を提供する。好ましい態様では、酸は、固体配合物中のトリアミンの水溶性塩を発生させる。
【0059】
一態様では、固体トリアミン組成物は、約1重量%~約50重量%の固体酸、約5重量%~約40重量%の固体酸、または約10重量%~約35重量%の固体酸を含む。好ましい態様では、好適な抗微生物、清浄、及び消毒組成物のための実質的な量の追加的な機能性成分を含む固体トリアミン組成物は、約1重量%~約50重量%の固体酸、約5重量%~約40重量%の固体酸、または約5重量%~約20重量%の固体酸を含む。追加的な機能性成分が配合物中に含まれる態様を含むまた他の態様では、固体トリアミンは、約1重量%~約35重量%の酸、約1重量%~約20重量%の酸、または約2.5重量%~約20重量%の酸を含む。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0060】

本発明による固体組成物は、少量の水を含有し得る。例えば、殺生物性トリアミン(または他の機能性成分)などの固体組成物の構成成分は、水を含んでもよい。プレフェラブリ、水は、組成物に添加されず、固体組成物の総重量を基準として、0重量%以上~5重量%未満、好ましくは0重量%以上~2.5重量%未満、さらに好ましくは0重量%以上~1重量%未満、さらにより好ましくは0重量%以上~0.5重量%未満の範囲の含水量が存在する。追加的な機能性成分が配合物中に含まれる態様を含むいくつかの態様では、追加的な含水量を有する構成成分が組成物中に含まれ得、好ましくは、固体配合物の総含水量は、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7.5重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満である。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0061】
追加的な機能性成分
固体トリアミン組成物の構成成分は、任意選択的に、消毒用途における使用に好適な様々な機能性構成成分と組み合わせられ得る。いくつかの実施形態では、追加的な機能性成分は、固体トリアミン組成物中にほとんどまたは全く置かれない。他の実施形態では、固体トリアミン組成物は、少なくとも1つの追加的な機能性成分を含む。追加的な機能性成分は、所望の特性及び機能性を組成物に提供する。本出願の目的のために、「機能性成分」は、固体組成物中に配合されるとき、または固体トリアミン組成物の使用及び/もしくは濃縮溶液中に分散もしくは溶解されるときに、特定の消毒使用用途における有益な特性を提供する材料を含む。追加的な機能性成分は、配合利益及び/または性能利益を提供してもよい。
【0062】
機能性材料のいくつかの特定の例は、下記により詳細に述べられるが、述べられている特定の材料は、単に例として与えられており、その多様な他の機能性成分が使用されてもよい。例えば、下記に述べられる機能性材料の多くは、洗浄及び消毒用途において使用される材料に関する。しかしながら、他の実施形態は、他の用途における使用のための機能性成分を含んでもよい。
【0063】
好ましい実施形態では、組成物は、ホウ酸もしくはホウ酸塩を含まないか、または実質的に含まない。
【0064】
他の実施形態では、固体トリアミン組成物は、酵素、追加的な硬化剤または固化剤、消泡剤、再堆積防止剤、漂白剤、溶解度修飾剤、分散剤、濯ぎ剤、金属保護剤、安定剤、腐食防止剤、追加的な封鎖剤及び/またはキレート剤、香料及び/または染料、レオロジー修飾剤または増粘剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝剤、溶媒などを含み得る。
【0065】
いくつかの態様では、固体トリアミン組成物は、約0重量%~約50重量%の追加的な機能性成分、約0重量%~約25重量%の追加的な機能性成分、または約0重量%~約15重量%の追加的な機能性成分を含む。好ましい態様では、好適な抗微生物、清浄、及び消毒組成物のための実質的な量の追加的な機能性成分を含む固体トリアミン組成物は、約0重量%~約90重量%の追加的な機能性成分、約10重量%~約80重量%の追加的な機能性成分、または約20重量%~約75重量%の追加的な機能性成分を含む。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0066】
酵素
いくつかの実施形態では、固体トリアミン組成物は、1つの酵素を更に含んでもよいが、任意の数の酵素を含んでもよい。酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、グルコナーゼ(gluconase)、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、組み合わせ、または他の酵素が挙げられ得る。システムは、好ましくは、少なくとも1つのリパーゼを含む。酵素は、植物性、動物性、細菌性、菌性、もしくは酵母酵素、またはそれらの遺伝的変異であってもよい。酵素は、pH、安定性、温度、ならびに洗剤組成物中に見出される材料及び洗浄用途との適合性などの因子に基づいて選択されるべきである。好ましい酵素は、約20C~80Cの温度で約2~14または6~12の範囲のpHにおいて活性を有する。酵素は、野生型酵素または組み換え酵素であってもよい。好ましい酵素は、広範なスペクトルの活性、ならびにアルカリ度、酸性度、キレート剤、封鎖剤、界面活性剤などの洗浄組成物中に見出される材料に対する高い耐性を有する。
【0067】
システム中の酵素濃度は、特定の酵素の活性に依存する。酵素濃度は、販売されている組成物の約0~約10.0重量%、約0.1~約5.0重量%、または約0.5~約2.0重量%の範囲であり得る。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。当業者は、酵素の活性及びプロファイルに基づいて所望の酵素を選択した後に酵素濃度を決定し得るであろう。
【0068】
例示的な酵素が下記に列挙され、それらの説明は、米国特許第8,211,849号及び同第8,227,397号から例示的な酵素に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
リパーゼ
以下から単離されるリパーゼ:シュードモナ(Pseudomona)、シュードモナス・スツツェリ(Pseudomonas stutzeri)ATCC 19.154、フミコーラ(Humicola)、フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginose)(ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)内で組み換え技術によって再産生される)、クロモバクター・ビスコサム(Chromobacter viscosum)、シュードモナス・グラジオリ(Pseudomonas gladioli)、フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginose)など。
【0070】
プロテアーゼ
以下から単離されるプロテアーゼ:バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)など。
【0071】
アミラーゼ
以下から単離されるアミラーゼ:バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)など。
【0072】
セルラーゼ
以下から単離されるセルラーゼ:フミコーラ・インソランス(Humicola insolens)、フミコーラ株(Humicola strain)DSM 1800、アエロモナス属のセルラーゼ212産生菌、海洋性軟体動物ドラベラ・アウリクラ・ソランダー(Dorabella Auricula Solander)の肝パンクレアーゼから抽出されたセルラーゼなど。
【0073】
他の酵素
ペルオキシダーゼ(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)
リグニナーゼ
ハロペルオキシダーゼ(クロロペルオキシダーゼ、ブロモペルオキシダーゼ)
グルコナーゼ
【0074】
キレート剤
いくつかの実施形態では、固体トリアミン組成物は、キレート剤をさらに含んでもよい。本明細書において、キレート化とは、二座または多座リガンドの結合または錯体形成を意味する。これらのリガンドは、多くの場合有機化合物であり、キレート剤、キレータ、キレート剤、及び/または封鎖剤と呼ばれる。キレート剤は、単一の金属イオンと複数の結合を形成する。キレート剤は、特定の金属イオンと溶解性の錯体分子を形成する化学物質であり、イオンを不活性化し、その結果、それらは他の元素またはイオンと正常に反応して沈殿物またはスケールを生成することができない。リガンドは、基質とキレート錯体を形成する。この用語は、金属イオンがキレート剤の2つ以上の原子に結合された錯体に関するものである。
【0075】
好適なアミノカルボン酸型キレート剤は、酸、またはそのアルカリ金属塩を含む。アミノカルボン酸材料のいくつかの例としては、アミノアセテート及びその塩が挙げられる。いくつかの例としては、以下のものが挙げられる:N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、及びアラニン-N,N-二酢酸など、ならびにそれらの混合物。NTAをほとんどまたは全く含有せず、かつリンを含有しない特にユセフルなアミノカルボン酸材料としては、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、及びカルボン酸置換基と共にアミノ基を有する他の類似の酸が挙げられる。
【0076】
他のキレート剤としては、アミノカルボキシレートが挙げられ、エチレンジアミンテトラ-アセテートN-ヒドロキシルエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロ-トリアセテート、エチレンジアミンテトラプロ-プリオネート(prionate)、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、及びエタノールジ-グリシン、アルカリ金属、アンモニウム、ならびにそれらの中の置換アンモニウム塩、ならびにそれらの中の混合物が挙げられる。好適なキレート剤は、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能性置換芳香族キレート剤、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。例示的なキレート剤としては、アミノ酸系キレート剤、ならびに好ましくはクエン酸、酒石酸、及びグルタミン酸-N,N-二酢酸及び誘導体、ならびに/またはホスホネート系キレート剤が挙げられる。
【0077】
他のキレート剤としては、ポリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマー、ならびにそれらの部分的もしくは完全に中和された塩、単量体ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸ならびにそれらの塩が挙げられる。上述の化合物の好ましい塩は、アンモニウムならびに/またはアルカリ金属塩、すなわち、リチウム、ナトリウム、及びカリウム塩であり、特に好ましい塩は、硫酸ナトリウムなどのナトリウム塩である。
【0078】
固体組成物の含水量を低減するための追加的な機能性成分としての使用に好適な他の化合物としては、酢酸ナトリウム及び他の固結防止剤が挙げられ得る。これらは、EDTAなどのキレート剤によって固体組成物に導入される水の濃度のため、必要な場合がある。好ましい態様では、追加的な機能性成分は、固体組成物の総含水量を約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7.5重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の水に低減するために用いられる。システム中のキレート剤濃度は、組成物の約0~約65重量%、0.1~約50重量%、約0.1~約50重量%、約1~約40重量%、または約10~約40重量%の範囲であり得る。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0079】
消泡剤
いくつかの実施形態では、固体トリアミン組成物は、泡立ち防止剤などの添加剤をさらに含んでもよい。泡立ち防止剤は、好ましくは、ケイ素型及び/またはポリプロピレングリコール型のものなどの多様な泡立ち防止物質から選択される。泡立ち防止剤は、シリコーン及び/または消泡界面活性剤などの他の消泡物質を含む群から選択され得る。好適なシリコーン系泡立ち防止剤は、活性構成成分としてシリコーン化合物を有する。これらは、油性または水性乳剤として送達される。シリコーン化合物は、好ましくはシリコーン油中に分散された疎水性シリカからなる。シリコーン化合物はまた、シリコーングリコール及び他の修飾されたシリコーン流体も含有してもよい。
好適なエチレングリコール(EO)及び/またはプロピレングリコール(PO)系泡立ち防止剤は、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールコポリマーを含有する。それらは、油、水溶液、または水性乳剤として送達される。EO/POコポリマーは通常、良好な分散特性を有する。
【0080】
システム中の消泡剤濃度は、約0~約50重量%、約0.01~約30重量%、または約0.1~約30重量%の範囲であり得る。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0081】
界面活性剤
いくつかの実施形態では、固体トリアミン組成物は、界面活性剤をさらに含んでもよい。本発明の組成物と共に使用するのに好適な界面活性剤としては、限定されるものではないが、殺生物性トリアミンの溶解度に基づき、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の固体トリアミン組成物は、約5重量%~約50重量%の界面活性剤、約5重量%~約25重量%の界面活性剤、または約5重量%~約15重量%の界面活性剤を含む。本発明に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0082】
非イオン性界面活性剤
本発明の組成物と共に使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POコポリマー、末端処理EO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、末端処理アルコールアルコキシレート、それらの混合物などが挙げられる。溶媒としての使用のための好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POブロックコポリマー、例えば、Pluronic及び逆Pluronic界面活性剤など、アルコールアルコキシレート、例えば、Dehypon LS-54(R-(EO)(PO))及びDehypon LS-36(R-(EO)(PO))など、ならびに末端処理アルコールアルコキシレート、例えば、Plurafac LF221及びTegoten EC11など、それらの混合物などが挙げられる。
【0083】
半極性型の非イオン性表面活性剤は、本発明の組成物において有用な別のクラスの非イオン性界面活性剤である。半極性非イオン性界面活性剤としては、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシド、及びそれらのアルコキシル化誘導体が挙げられる。
【0084】
アミンオキシドは、一般式:
【化15】
に対応する三級アミンオキシドであり、式中、矢印は、従来的な半極性結合の表現であり、R、R、及びRは、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであってもよい。概して、関心の洗剤のアミンオキシドに関して、Rは、約8~約24個の炭素原子のアルキルラジカルであり、R及びRは、1~3個の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキル、それらの混合物であり、R及びRは、例えば、酸素または窒素原子を通して互いに結合されて、環構造を形成し得、Rは、2~3個の炭素原子を含有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基であり、nは、0~約20の範囲である。アミンオキシドは、対応するアミン、及び過酸化水素などの酸化剤から発生され得る。
【0085】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ココナッツ、または牛脂アルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、それらの特定の例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソ-ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアインオキシド(octadecyldimethylaine oxide)、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、及び3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0086】
機能性シロキサン界面活性剤
組成物はまた、任意選択的に1つ以上の機能性ポリシロキサンも含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ポリアルキレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサン、非イオン性界面活性剤、またはポリベタイン修飾ポリシロキサン両性界面活性剤が、添加剤として用いられ得る。どちらも、いくつかの実施形態では、ポリエーテルまたはポリベタインがそれに対してヒドロシリル化反応を通じてグラフト化されている直鎖ポリシロキサンコポリマーである。特定のシロキサン界面活性剤のいくつかの例は、Union Carbideから入手可能なSILWET(登録商標)界面活性剤、Evonik Corporationから入手可能なABIL(登録商標)ポリエーテルまたはポリベタインポリシロキサンコポリマー、Evonik Corporationから入手可能なTegopren(登録商標)ポリエーテルポリシロキサンコポリマー、及び参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,654,161号に説明される他のものとして知られている。好ましい機能性シロキサン界面活性剤としては、限定されるものではないが、Tegopren(登録商標)5831、Tegopren(登録商標)5840、Tegopren(登録商標)5847、Tegopren(登録商標)5852、及びTegopren(登録商標)5853が挙げられる。いくつかの実施形態では、使用される特定のシロキサンは、例えば、低い表面張力、高い湿潤能力、及び優れた潤滑性を有するとして説明され得る。例えば、これらの界面活性剤は、ポリテトラフルオロエチレン表面を湿潤し得る少数のもののうちの1つであると言われている。添加剤として用いられるシロキサン界面活性剤は、単独で、またはフッ素系界面活性剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、任意選択的にシランと組み合わせて添加剤として用いられるフッ素系界面活性剤は、例えば、非イオン性フルオロ炭化水素、例えば、フッ素化アルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルアルコキシレート、及びフッ素化アルキルエステルであり得る。かかる機能性ポリジメチルシロキソン(polydimethylsiloxone)及び/またはフッ素系界面活性剤のさらなる説明は、米国特許第5,880,088号、同第5,880,089号、及び同第5,603,776号に説明されており、これらの特許の全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、組成物は、機能性ポリジメチルシロキソン(polydimethylsiloxone)を最大約10重量%の範囲の量で含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、約0.1~約10重量%のポリアルキレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサンまたはポリベタイン修飾ポリシロキサンを、任意選択的に約0.1~約10重量%のフッ素化炭化水素非イオン性界面活性剤と組み合わせて含んでもよい。
【0088】
アニオン性界面活性剤
本組成物における使用に好適なアニオン性スルフェート界面活性剤としては、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、直鎖及び分岐一級及び二級アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C~C17アシル-N-(C~Cアルキル)及び-N-(C~Cヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、ならびにアルキル多糖類のスルフェート、例えば、アルキルポリグルコシドのスルフェートなどが挙げられる。また、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、及び芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェート、例えば、エチレンオキシド及びノニルフェノール(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)のスルフェートまたは濃縮生成物も挙げられる。
【0089】
本組成物における使用に好適なアニオン性スルホナート界面活性剤としてはまた、アルキルスルホナート、直鎖及び分岐一級及び二級アルキルスルホナート、ならびに置換基を有するまたは有さない芳香族スルホナートが挙げられる。
【0090】
本発明における使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤としては、カルボン酸(及び塩)、例えば、アルカン酸(及びアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、コハク酸アルキル)、エーテルカルボン酸などが挙げられる。かかるカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、及び石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物において有用な二級カルボキシレートとしては、二級炭素に接続されたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。二級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造であり得る。二級カルボキシレート界面活性剤は、典型的には、エーテル結合、エステル結合、及びヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは典型的には、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な二級石鹸界面活性剤は、典型的には11~13個の総炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個)が存在してもよい。好適なカルボキシレートとしてはまた、アシルアミノ酸(及び塩)、例えば、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレート、及びメチルタウリド(methyl tauride)の脂肪酸アミド)などが挙げられる。
【0091】
好適なアニオン性界面活性剤としては、以下の式のアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートが挙げられる。
R-O-(CHCHO)(CH-COX (3)
式中、Rは、C~C22アルキル基または
【化16】
であり、式中、Rは、C~C16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオンか、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態では、nは、4~10の整数であり、mは、1である。いくつかの実施形態では、Rは、C~C16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C12~C14アルキル基であり、nは、4であり、mは、1である。
【0092】
他の実施形態では、Rは、
【化17】
であり、Rは、C~C12アルキル基である。またさらに他の実施形態では、Rは、Cアルキル基であり、nは、10であり、mは、1である。
【0093】
かかるアルキル及びアルキルアリールエトキシカルボキシレートは、市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的には酸の形態として入手可能であり、それらはアニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。市販のカルボキシレートとしては、Neodox 23-4、C12~13アルキルポリエトキシ(4)カルボン酸(Shell Chemical)、及びEmcol CNP-110、Cアルキルアリールポリエトキシ(10)カルボン酸(Witco Chemical)が挙げられる。カルボキシレートはまた、例えば、製品Sandopan(登録商標)DTC、C13アルキルポリエトキシ(7)カルボン酸など、Clariantから入手可能である。
【0094】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、好ましくは少なくとも1つの長炭素鎖疎水性基と少なくとも1つの正荷電窒素とを含有する化合物を含み、より好ましくは少なくとも1つの長炭素鎖疎水性基と少なくとも1つの正荷電窒素とを含有する化合物を指す。長炭素鎖基は、単純な置換によって窒素原子に直接結合されてもよく、またはより好ましくは、所謂中断アルキルアミン及びアミドアミン内の官能基(複数可)によって間接的に結合されてもよい。かかる官能基は、分子を、より親水性及び/もしくはより水分散性にする、共界面活性剤混合物によって水により溶解され易くする、ならびに/または水溶性にすることができる。増大された水溶性のために、追加的な一級、二級、もしくは三級アミノ基が導入され得るか、またはアミノ窒素が、低分子量アルキル基を用いて四級化され得る。さらに、窒素は、多様な不飽和度の分岐もしくは直鎖部分の、または飽和もしくは不飽和複素環式環の一部であり得る。それに加えて、カチオン性界面活性剤は、1個超のカチオン性窒素原子を有する複雑な結合を含有し得る。
【0095】
アミンオキシド、両性、及び両性イオンとして分類される界面活性剤化合物は、それ自体は、典型的には中性近くから酸性pHの溶液中でカチオン性であり、界面活性剤の分類と重複する。ポリオキシエチル化カチオン性界面活性剤は、概して、アルカリ性溶液中で非イオン性界面活性剤のように、及び酸性溶液中でカチオン性界面活性剤のように挙動する。
【0096】
最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩及び四級アンモニウム化合物は、このように概略的に描写され得る:
【化18】
【0097】
式中、Rは、長アルキル鎖を表し、R’、R’’、及びR’’’は、長アルキル鎖またはより小さいアルキルもしくはアリール基または水素のいずれかであってもよく、Xは、アニオンを表す。アミン塩及び四級アンモニウム化合物は、それらの高い水溶性度のため、本発明における実践的使用に好ましい。
【0098】
大量の商用カチオン性界面活性剤の大部分は、当業者に既知であり、“Surfactant Encyclopedia”,Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)86-96(1989)に説明される4つの主要なクラス及び追加的な下位群に細分され得る。第1のクラスは、アルキルアミン及びそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、複素環アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などの四級物(quaternary)を含む。カチオン性界面活性剤は、本組成物において有益であり得る多様な特性を有することが知られている。これらの望ましい特性としては、中性pH以下の組成物における洗浄力、抗微生物性有効性、他の薬剤と連携した増粘またはゲル化などが挙げられ得る。
【0099】
本発明の組成物において有用なカチオン性界面活性剤としては、式R Zを有するものが挙げられ、式中、各Rは、直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基を含有し、最大3個のフェニルまたはヒドロキシ基で任意選択的に置換され、以下の構造のうちの最大4つ:
【化19】
またはこれらの構造の異性体もしくは混合物によって任意選択的に中断された有機基であり、それは、約8~22個の炭素原子を含有する。R基は、追加的に最大12個のエトキシ基を含有し得る。mは、1~3の数である。好ましくは、分子中の1個以下のR基は、mが2であるときに16個以上の炭素原子を有するか、またはmが3であるときに12個超の炭素原子を有する。各Rは、1~4個の炭素原子またはベンジル基を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、かつ分子中の1個以下のRは、ベンジルであり、xは、0~11、好ましくは0~6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素によって充填される。
Yは、限定されるものではないが、
【化20】
を含む基、またはそれらの混合物であり得る。好ましくは、Lは、1または2であり、かつY基は、Lが2であるとき、1~約22個の炭素原子と2個の遊離炭素単結合とを有するR及びR類似体(好ましくはアルキレンまたはアルケニレン)から選択される部分によって分離されている。Zは、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン、メチル硫酸アニオン、水酸化物アニオン、または硝酸アニオンなどの水溶性アニオンであり、特に塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、硫酸アニオン、またはメチル硫酸アニオンが、カチオン性構成成分の電気的中性を付与する数において好ましい。
【0100】
硬化剤
固体組成物はまた、固体トリアミンと共に用いられる硬化剤も含み得る。硬化剤は、有機または無機の化合物または化合物のシステムであり、組成物の均一な固化に著しく貢献する。好ましくは、硬化剤は、洗浄剤及び組成物の他の活性成分に適合し、加工される組成物に有効量の硬度及び/または水溶解度を提供し得る。硬化剤はまた、混合及び固化されるときに洗浄剤及び他の成分と均質なマトリックスを形成して、使用中に固体洗剤組成物からの洗浄剤の均一な溶解を提供し得るべきである。
【0101】
固体組成物中に含まれる硬化剤の量は、限定されるものではないが、調製される固体組成物の種類、固体組成物の成分、組成物の意図される使用、使用中に経時的に固体組成物に適用される分注溶液の量、分注溶液の温度、分注溶液の硬度、固体組成物の物理的サイズ、他の成分の濃度、及び組成物中の固体トリアミンの濃度を含む因子に従って変動するであろう。固体組成物中に含まれる硬化剤の量は、連続混合条件下及び硬化剤の溶融温度以下の温度において、固体トリアミン及び組成物の他の成分と組み合わさり均質な混合物を形成するのに効果的であることが好ましい。
【0102】
硬化剤は、有機硬化剤であってもよく、または無機硬化剤であってもよい。好ましい有機硬化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)化合物である。ポリエチレングリコール硬化剤を含む固体組成物の固化速度は、少なくとも部分的に、組成物に添加されるポリエチレングリコールの量及び分子量に従って変動するであろう。好適なポリエチレングリコールの例としては、限定されるものではないが、一般式H(OCHCHOHの固体ポリエチレングリコールが挙げられ、式中、nは、15超、具体的にはおよそ30~およそ1700である。典型的には、ポリエチレングリコールは、およそ1,000~およそ100,000の分子量を有する、具体的には少なくともおよそ1,450~およそ20,000、より具体的にはおよそ1,450~およそ8,000の分子量を有する自由流動性粉末またはフレークの形態の固体である。ポリエチレングリコールは、およそ0重量%~75重量%、具体的にはおよそ0.1重量%~およそ15重量%の濃度で存在する。
【0103】
無機硬化剤は、水和性無機塩であり、限定されるものではないが、スルフェート及びビカーボネートが挙げられる。無機硬化剤は、最大およそ50重量%、具体的にはおよそ5重量%~およそ25重量%、及びより具体的にはおよそ5重量%~およそ15重量%の濃度で存在する。
【0104】
尿素粒子もまた、固体組成物中で硬化剤として用いられ得る。組成物の固化速度は、少なくとも部分的に、組成物に添加される尿素の量、粒径、及び形状を含む因子に対して変動するであろうが、これらに限定されない。例えば、微粒子形態の尿素は、洗浄剤及び他の成分、ならびに好ましくは少量ではあるが有効量の水と組み合わせられ得る。尿素の量及び粒径は、尿素及び他の成分を溶融段階に溶融するために外部供給源から熱を適用することなく、洗浄剤及び他の成分と組み合わさり、均質な混合物を形成するのに効果的である。固体組成物中に含まれる尿素の量は、水性媒体中に置かれたときに組成物の所望の硬度及び所望の溶解速度を提供して、使用中に固化された組成物からの所望の洗浄剤分注速度を達成するのに効果的であることが好ましい。いくつかの実施形態では、組成物は、およそ0重量%~およそ90重量%の尿素、具体的にはおよそ5重量%~およそ40重量%の尿素、及びより具体的にはおよそ10重量%~およそ30重量%の尿素を含む。尿素は、プリル化されたビーズまたは粉末の形態であってもよい。プリル化された尿素は概して、商用供給源から約8~15USメッシュの範囲の粒径の混合物として、例えば、Arcadian Sohio Company,Nitrogen Chemicals Divisionから入手可能である。プリル化形態の尿素は、好ましくは、粒径を約50USメッシュ~約125USメッシュ、具体的には約75~100USメッシュに低減するために、好ましくは一軸または二軸押出機などの湿式ミル、Teledyne混合器、Ross乳化剤などを使用して、粉砕される。
【0105】
作製の方法
一態様では、貯蔵空間及び輸送費用の低減を含む多数の理由のために固体組成物を配合及び送達することが有益である。いくつかの態様では、濃縮液体の同等物と比較した固体組成物の体積は、例えば、少なくとも80%に低減され得る。
【0106】
本発明の別の目的は、本発明の固体組成物の製造の方法に関する。この製造プロセスに使用され得るすべての構成成分は、本発明の固体組成物に関して既に定義されている。
【0107】
一態様では、トリアミン固体は、少なくとも殺生物性トリアミン及び酸を混合して、殺生物性トリアミンを約7~10のpHに中和することを含むプロセスによって作製される。中和は、混合ベッセル内での構成成分の混合中に生じる。一態様では、殺生物性トリアミンのアルカリ性pHは、固化の前に中和される。一態様では、固化反応は、約1時間~約48時間、または約1時間~約24時間の期間にわたって生じる。好ましい態様では、水は混合ベッセルに添加されず、反応温度は、約70°F(21℃)~約130°F(55℃)である。一態様では、構成成分を混合することは、好ましくは、均質な混合物が得られるまで混合することを含む。
【0108】
当業者によって確認される通り、任意の数の任意選択的な追加的な機能性成分と共に殺生物性トリアミン及び酸を含む構成成分の混合は、混合物を得るための構成成分の様々な順序の添加を含んでもよい。固体トリアミンを発生させる方法は、本明細書に説明される構成成分の混合の順序に関与する製造プロセスの変更に従って制限されることを意図されない。
【0109】
本発明の方法は、従来的な注型におけるように溶融物及び溶融物の固化を用いることなく、安定した固体を生成し得る。溶融物の形成は、組成物を加熱して、それを溶融することを必要とする。熱は、外部から適用され得るか、または化学的発熱(例えば、焼灼剤(水酸化ナトリウム)及び水の混合に由来する)によって生成され得る。組成物の加熱は、エネルギーを消費する。高温の溶融物の取り扱いは、安全な予防措置及び設備を必要とする。さらに、溶融物の固化は、溶融物を容器内で冷却して、溶融物を固化し、注型固体を形成することを必要とする。冷却は、時間及び/またはエネルギーを必要とする。対照的に、本方法は、本組成物の固化または硬化中に周囲温度及び湿度を用いる。
【0110】
本発明の方法は、ダイを通して混合物を圧縮するための押出を伴うことなく、安定した固体を生成し得る。ダイを通して混合物を押出して固体洗浄組成物を生成するための従来的なプロセスは、高圧を固体またはペーストに適用して、押出固体を生成する。対照的に、本方法は、約1000psi以下、またさらには僅か1psiの圧力を固体上に用いる。本発明の固体は、単に圧縮によってではなく、流動性固体中に生成され、安定した固体を生成するために効果的である結合剤によって一緒に保持される。
【0111】
多様な流動性固体のうちの任意のものが、本発明の方法において使用され得る。例えば、一実施形態では、流動性固体は、湿潤砂と同様の稠度を有する。かかる流動性固体は、人の手の中で雪玉を形成するように圧縮され得る。しかしながら、それを形成した直後は、強力な衝撃(落とすまたは投げる)は、手で圧縮した流動性固体の玉を粉末及び他の小片に戻すであろう。一実施形態では、流動性固体は、数百psiでの粉末の圧縮が固体から液体の水を搾り出さないのに十分な僅かな水を含有する。特定の実施形態では、本流動性固体は、粉末または湿潤粉末であり得る。
【0112】
固体組成物は、殺生物性トリアミンを、固体組成物を得るのに好ましい比で二酸と単にブレンドすることによって作製され得る。ペレット化された材料は、固体の粒状または凝集した材料を適切なペレット化設備で圧縮して、適切にサイズ決めされたペレット化された材料をもたらすことによって製造され得る。固体ブロック及び注型された固体ブロック材料は、予備硬化された材料のブロックまたは容器内で固体ブロックに硬化する注型可能液体のいずれかを容器に導入することによって作製され得る。好ましい容器としては、使い捨てのプラスチック容器または水溶性フィルム容器が挙げられる。組成物のための他の好適な梱包としては、可撓性バッグ、小包、シュリンクラップ、及び水溶性フィルム、例えば、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0113】
固体組成物は、バッチまたは連続混合システムを使用して形成されてもよい。例示的な実施形態では、一軸または二軸スクリュー押出機を使用して、1つ以上の構成成分を高剪断で組み合わせ、混合して、均質な混合物を形成する。いくつかの実施形態では、加工温度は、構成成分の溶融温度以下である。加工される混合物は、形成、注型、または洗剤組成物が固体形態に硬化する他の好適な手段によって、混合器から分注され得る。マトリックスの構造は、その硬度、融点、材料分布、結晶構造、及び他の同様の特性に従って、当該技術分野における既知の方法に従って特徴付けられ得る。概して、本発明の方法に従って加工される固体組成物は、その質量全体を通して成分の分布に関して実質的に均質であり、次元的に安定している。
【0114】
押出プロセスでは、液体及び固体構成成分は、最終混合システムに導入され、構成成分が、構成成分がその質量全体を通して分配される実質的に均質な半固体混合物を形成するまで連続的に混合される。混合物は次に、混合システムからダイまたは他の成形手段の中へ、またはそれを通して排出される。生成物は次に、梱包される。例示的な実施形態では、形成された組成物は、およそ1分間~およそ3時間で固体形態に硬化し始める。具体的には、形成された組成物は、およそ1分間~およそ2時間で固体形態に硬化し始める。より具体的には、形成された組成物は、およそ1分間~およそ20分間で固体形態に硬化し始める。
【0115】
注型プロセスでは、液体及び固体構成成分は、最終混合システムに導入され、構成成分が、構成成分がその質量全体を通して分配される実質的に均質な液体混合物を形成するまで連続的に混合される。例示的な実施形態では、構成成分は、混合システム内で少なくともおよそ60秒間混合される。混合が完了した後、生成物は、梱包容器に移され、そこで固化が起こる。例示的な実施形態では、注型された組成物は、およそ1分間~およそ3時間で固体形態に硬化し始める。具体的には、注型された組成物は、およそ1分間~およそ2時間で固体形態に硬化し始める。より具体的には、注型された組成物は、およそ1分間~およそ20分間で固体形態に硬化し始める。
【0116】
プレスされる固体のプロセスでは、構成成分は、圧力下で組み合わせられる。プレスされる固体のプロセスでは、組成物の流動性固体は、型枠(例えば、型または容器)内に定置される。本方法は、流動性固体を型枠内で穏やかにプレスして、固体組成物を生成することを含み得る。圧力は、ブロック機または回転板プレスなどによって適用され得る。圧力は、ブロック形状及びシリンダ圧に応じて、約1~約2000psi、または約1~約1000psiの範囲で適用され得る。特定の実施形態では、本方法は、約1psi以上、約2以上、約5psi以上、または約10psi以上程度に低い圧力を用い得る。本明細書で使用されるとき、「psi」または「ポンド毎平方インチ」という用語は、プレスされている流動性固体に適用される実際の圧力を指し、プレスしている装置内のある点において測定されるゲージまたは水圧を指すものではない。本方法は、固体組成物を生成するための硬化ステップを含み得る。本明細書で言及されるとき、流動性固体を含む硬化されていない組成物は、硬化されていない組成物が安定した固体組成物へと固化するであろう流動性固体を構成する粒子間に、十分な表面接触を提供するように圧縮される。十分な量の互いに接触している粒子(例えば、顆粒)は、安定した固体組成物を作製するために効果的な粒子の互いへの結合を提供する。硬化ステップの包含は、プレスされた固体が、例えば、数時間または約1日間(またはそれ以上)の期間、固化することを可能にすることを含んでもよい。追加的な態様では、本方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,889,048号に開示される方法などの、流動性固体を型枠または型内で振動させることを含んでもよい。
【0117】
プレスされた固体の使用は、タブレットプレス内の高圧もしくは著しい量のエネルギーを消費する組成物の溶融を必要とする注型を必要とする、ならびに/または高価な設備及び高度な技術知識を必要とする押出による従来的な固体ブロックまたはタブレット組成物を上回る、多くの利益を提供する。プレスされた固体は、固体洗浄組成物の作製のために必要である他の固体配合物のかかる様々な制限を克服する。さらに、プレスされた固体組成物は、組成物が貯蔵され得るまたは取り扱われ得る条件下でその形状を保持する。
【0118】
「固体」という用語は、硬化された組成物が、適度な応力もしくは圧力または単なる重力下で流動せず、その形状を実質的に保持するであろうことを意味する。固体は、粉末、フレーク、顆粒、ペレット、タブレット、トローチ、パック、ブリケット、レンガ、固体ブロック、単位用量、または当業者に既知である別の固体形態などの様々な形態であり得る。固体注型組成物及び/またはプレス固体組成物の硬度は、例えば、コンクリートなどの比較的緻密質で硬い溶けた固体生成物の硬度から、硬化されたペーストとして特徴付けられる稠度にわたり得る。それに加えて、「固体」という用語は、固体洗剤組成物の予測される貯蔵及び使用条件下での組成物の状態を指す。概して、洗剤組成物は、最大およそ100°F及び具体的には最大およそ120°Fの温度に曝露されるときに、固体形態のままであることが予測される。
【0119】
得られる固体組成物は、限定されるものではないが、注型された固体生成物、押出、成型、もしくは形成された固体ペレット、ブロック、タブレット、粉末、顆粒、フレーク、プレスされた固体を含む形態をとってもよく、または形成された固体は、その後、粉末、顆粒、もしくはフレークに粉砕もしくは形成され得る。例示的な実施形態では、固化マトリックスによって形成される押出されたペレット材料は、およそ50グラム~およそ250グラムの重量を有し、本組成物によって形成される押出された固体は、およそ100グラム以上の重量を有し、本組成物によって形成される固体ブロック洗剤は、およそ1~およそ10キログラムの質量を有する。固体組成物は、機能性材料の安定化された供給源を提供する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、濃縮及び/または使用溶液を作成するために、例えば、水性媒体または他の媒体中に、溶解されてもよい。この溶液は、その後の使用及び/もしくは希釈のために貯蔵容器に向けられてもよく、または使用点に直接適用されてもよい。
【0120】
以下の特許は、本発明の固体洗浄組成物において利用され得る固化剤、結合剤、及び/または硬化剤の様々な組み合わせを開示している。以下の米国特許は、参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第7,153,820号、同第7,094,746号、同第7,087,569号、同第7,037,886号、同第6,831,054号、同第6,730,653号、同第6,660,707号、同第6,653,266号、同第6,583,094号、同第6,410,495号、同第6,258,765号、同第6,177,392号、同第6,156,715号、同第5,858,299号、同第5,316,688号、同第5,234,615号、同第5,198,198号、同第5,078,301号、同第4,595,520号、同第4,680,134号、同第RE32,763号、及び同第RE32818号。
【0121】
使用の方法
固体トリアミン組成物は、例えば、床洗浄組成物、硬い表面組成物、または定置洗浄(clean-in-place)組成物(すなわち、食品及び飲料または医薬設備を洗浄するため)、洗剤組成物などを含む、多様な洗浄組成物中に組み込まれてもよい。本システムは、食品サービスビジネスまたは食品汚れにおいて特に有用である。システム中にリパーゼが含まれる場合、本システム及び組成物は、台所内の硬い及び軟らかい表面からの油脂の除去に有用である。台所内の油脂は、時間と共に積み重なり、最終的に表面上に硬い被膜を形成する。床タイル及び調理面付近の水はね防止板は、硬化した油脂層のために最終的に光沢を帯びる。グラウトは、油脂汚れがグラウト内に埋め込まれるため、変色する。バー用の布及びモップヘッドは、時間と共に油脂汚れを蓄積する。汚れの蓄積を有することに加えて、食品サービス産業は、大腸菌及びサルモネラなどの食中毒の発生を防止する必要がある。本発明は、その食品汚れを除去する能力及びその抗微生物性特性のため、この産業において特に有用である。
【0122】
例示的な床洗浄組成物としては、手動(すなわち、モップ及びバケツ)用途、またはTennant,Clarke及びその他による製品などの自動床洗浄機構における使用のための組成物が挙げられる。自動床洗浄機において使用される場合、組成物は、酵素の作用を通じた機械内部の清浄度の維持、ならびに抗微生物性特性による機械内の臭気及び細菌増殖の防止のさらなる利益を提供する。
【0123】
食品サービス産業は、バー用のラグ、タオル、及びモップヘッドを洗濯用の下処理組成物を含むバケツ内に収集することが多い。本組成物は、食品サービス産業において下処理組成物として使用されてもよい。ここでは、本組成物は、洗濯物が洗濯機に入れられる前でさえも食品汚れを分解し始め得るため、有利である。
【0124】
本発明の固体組成物は、活性成分を高濃度で含む。活性成分の濃度は、別段に示されない限り、本発明の固体組成物の総重量に対して算出される。使用前に、本発明の固体組成物は、即時使用可能な溶液を得るために、水溶液、好ましくは水に溶解される必要がある。好ましくは、固体組成物は、適用時に溶解され得る、及び/または希釈装置内に貯蔵され得る。
【0125】
いくつかの態様では、即時使用可能な溶液の発生に使用するための固体トリアミン組成物は、約1:10~約1:5、好ましくは約1:5~約1:4、及び最も好ましくは約1:2~約1:3の二酸対殺生物性トリアミンの比を有してもよい。それに加えて、本発明に従って限定されるものではないが、列挙される比に関するすべての範囲は、その範囲を定義する数を含む。
【0126】
したがって、固体トリアミン組成物の使用は、濃縮組成物を含んでもよく、または使用組成物を形成するために希釈されてもよい。概して、濃縮物は、水で希釈されて、物体に接触して所望の洗浄、濯ぎなどを提供する使用溶液を提供することを意図される組成物を指す。洗浄、清浄、消毒などをされる物品または表面に接触するトリアミン組成物は、本発明による方法において用いられる配合物に応じて、濃縮物または使用組成物(または使用溶液)と称され得る。組成物中の殺生物性トリアミン、二酸、及び追加的な機能性成分の濃度は、組成物が濃縮物として用いられるか、または使用溶液として用いられるかに応じて変動するであろうことが理解されるべきである。
【0127】
使用溶液は、所望の洗浄特性を有する使用溶液を提供する希釈比で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変動し得る。典型的な希釈係数は、およそ1~およそ10,000であるが、水の硬度、除去される汚れの量などの因子に依存するであろう。一実施形態では、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物対水の比で希釈される。具体的には、濃縮物は、約1:100~約1:5,000の濃縮物対水の比で希釈される。より具体的には、濃縮物は、約1:250~約1:2,000の濃縮物対水の比、好ましくは約1:500~約1:750で希釈される。
【0128】
本発明の別の態様では、殺生物性トリアミン組成物の使用溶液は、約1ppm~約1000ppmのトリアミン、及び約1ppm~約500ppmの二酸を提供する。本発明の好ましい態様では、殺生物性トリアミン組成物の使用溶液は、約1ppm~約500ppmのトリアミン、及び約1ppm~約250ppmの二酸を有する。またさらなる態様では、殺生物性トリアミン組成物の使用溶液は、約1ppm~約300ppmのトリアミン、及び約1ppm~約250ppmの二酸を有する。本発明に開示される範囲は、本発明に従って限定されるものではなく、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0129】
本発明によると、固体組成物は、上述の濃縮溶液及び/または希釈された即時使用可能な溶液を得るのに十分な割合で上水、脱イオン水などに溶解され得る。
【0130】
本明細書におけるすべての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する技術分野における通常の技術レベルを示している。すべての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0131】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として付与されることが理解されるべきである。上記の考察及びこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認し得、その精神及び範囲から逸脱することなく、様々な利用法及び条件にそれを適合するために本発明の実施形態の様々な変更及び修正を行い得る。したがって、本発明の実施形態の様々な修正は、本明細書に図示及び説明されるものに加えて、前述の説明から当業者に明らかとなろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0132】
実施例1
殺生物性トリアミン及び酵素を用いる商用の清浄組成物のためのプレスされた固体組成物を生成するための方法を評定した。所望の固化された組成物は、洗浄性能及びミクロ効能(すなわち、清浄能力)によって測定されるときに、例えば、臭気低減を含む他の測定可能なものと共に、市販の液体製品の性能に合致するか、または好ましくはそれを超える性能有効性を必要とした。代用固体組成物に関して評定された例示的な配合物は、表3に示される。
【表7】
評価された配合物に関して、追加的な機能性成分は、両方の組成物に含まれるAlcohol Linear C12~16エトキシレート、Polyether Siloxanes 5843 DRM、アミンオキシド界面活性剤、及びMonoethanolamine 99% IBCを含んだ。
【0133】
液体配合物は、その中に配合されたリパーゼ酵素の安定化のために約10~11のアルカリ性pHから約8.5のpHへの殺生物性トリアミンの中和を必要とするため、固化の評定はまず、固化前の液体配合物中のアルカリ性pHからの殺生物性トリアミンの中和を評定した。殺生物性トリアミンの中和は、組成物中の酵素の分解を最小にし、同時に酵素の安定性を最大にする。トリアミンは、表2に示される通り液体配合物で市販されているため、Lonza Inc.から入手可能な殺生物性トリアミンLonzabac 12.100を、固体組成物のために評定した。
【0134】
表4に示される通り、様々な酸を多様な濃度で殺生物性トリアミンLonzabac 12.100と組み合わせて、固体組成物における使用のための中和された組成物の安定化を評価した。所望の量のトリアミンを計量し、所望の量の評定される固体酸と組み合わせた。トリアミン及び酸を穏やかに混合して、酸をトリアミン中に分散させた。溶液を、およそ1.5~2.5時間そのまま放置し、トリアミン/酸混合物の形態に関して観察を行った。混合物が粉末に拡張した場合、それを穏やかに混合して、粒子を分離した。各評定に関して、各粉末の1%溶液を作成して、溶解度及びpHを決定した。
【表8】
【0135】
表3に示される通り、アルカリ性殺生物性トリアミンを固体酸で中和するステップは、多数の固体トリアミン組成物を予想外にもたらした。固体酸とのトリアミンの反応から、自由流動性粉末、硬い固体、及び非常に硬い固体が予想外に得られた。発生したペーストは、さらなる評定を進めるのに十分には固化されなかった。本発明の態様では、10重量%以上の水の含水量を有する組成物をもたらすトリアミンと固体酸との組み合わせは、望ましくない配合物である。さらなる予期せぬ利益として、固体殺生物性トリアミンは、主に活性トリアミンを含有する配合物を可能にした。一態様では、少なくとも約90重量%の活性殺生物性トリアミンが、固体組成物中に配合され得る。本発明によると、配合物は、様々な固体、すなわちプレスされた固体における使用に好適である。他の態様では、固体は、注型された固体、押出された固体などを含んでもよい。
【0136】
実施例2
固体酸による殺生物性トリアミンの中和に着目した実施例1の試験の後に、25:75の比/%の酸対トリアミンにおいてさらなる固体酸を評定し、その結果が表5に示される。
【表9】
【表10】
【0137】
実施例3
殺生物性トリアミン及び固体酸のさらなる配合物を、配合されたプレスされた固体組成物において融点及びパーセント含水量を評価するためにさらに評定した。例示的な配合物は表6に示されており、これらは実施例1に示される実験の後にプレスされた固体中に配合された。
【表11】
【0138】
表6に示される結果は、1重量%未満の含水量を有する好ましいプレスされた固体組成物を反映している。
【0139】
実施例4
殺生物性トリアミン及び固体酸の様々な配合物を、プレスされた固体組成物中への配合物に関してさらに評定した。例示的な配合物が表7に示されており、これらは実施例1に示される実験の後にプレスされた固体中に配合された。
【表12】
【0140】
3つのタブレット配合物の各々を50グラム計量し、プレスした。次に、50グラムの試料を、小型の1.5インチ直径のステンレススチール染料内に定置し、カーバープレスを使用して2000psiで20秒間プレスした。次に、タブレットを染料から除去した。結果は、プレスされたタブレットが硬く、型から取り出された後もその形状を保持することを示した。
【0141】
本発明はこのように説明されているが、これは多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。かかる変動は、本発明の精神及び範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、すべてのかかる修正は、以下の特許請求の範囲の範疇に含まれることが意図される。
上記の明細書は、開示される組成物及び方法の製造及び使用の説明を提供する。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの実施形態が作られ得るため、本発明は、特許請求の範囲の中にある。
以下の項目[1]~[28]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
約10~約99重量%のトリアミンと、
約1~約50重量%の二酸と
を含む、固体トリアミン組成物であって、
前記トリアミン及び二酸が、少なくとも部分的に中和された固体組成物中で組み合わせられ、前記組成物が、約50℃未満で固体のままである、組成物。
[2]
前記二酸対前記トリアミンの比が、約1:10~約1:1である、項目1に記載の組成物。
[3]
前記二酸が、以下に示す(a)、(b)、(c)の構造、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1または2に記載の組成物。
【化3】
{式中:
n=1~20、
は、H、C1~C8アルキル、またはCOOHであり、
は、H、C1~C8アルキル、NH 、OH、またはCOOHであり、
及びR の置換は、C1~C20鎖中の少なくとも1つの炭素上で生じる。}
【化4】
{式中:
及びR が、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、または
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH である。}
【化5】
{式中:
及びR は、COOHであり、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、COOHであり、R 、R 、R は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、COOHであり、R 、R 、R は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、または
及びR は、COOHであり、R 、R 、R は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH である。}

[4]
前記二酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ジピコリン酸、及びドデカン酸からなる群から選択される、項目1または2に記載の組成物。
[5]
前記トリアミンが、以下の式を有し、
【化6】
式中、Rは、直鎖C1~C12アルキル基である、項目1~4のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
前記トリアミンが、以下の式:
R-NH-(CH NH (1a)
R-NH-(CH (1b)
R-N -(CH NH 2X (1c)
R-NH-[(CH NH] -(CH -NH (2a)
R-NH-[(CH -NH] (CH -NH (H (2b)
-NY(3a)、または
-NY (3b)
のうちのいずれか1つを有し、
式中:
Rは、6~22個のC原子を有する直鎖または分岐アルキル残基であり、
Yは、独立して、水素またはメチル基を表し、
は、スルホン酸アミド、ニトラート、ハロゲン化物、スルフェート、炭酸水素、カーボネート、ホスフェート、水酸化物、カルボキシレート、及び/または有機酸を含むアニオンの等価物であり、
m、r、及びyは、独立して、1~6の範囲の整数を表し、
nは、1~2+yの範囲の整数である、項目1~4のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記二酸対前記トリアミンの比が、約1:5~約1:1である、項目3~6のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
酵素をさらに含む、項目2~7のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記酵素が、リパーゼである、項目2~8のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
界面活性剤、キレート剤、封鎖剤、洗剤、アルカリ性供給源、ビルダ、濯ぎ剤、硬化剤、漂白剤、清浄剤、活性剤、ビルダ、充填剤、消泡剤、再堆積防止剤、光学的光沢剤、染料、付臭剤、安定剤、分散剤、追加的な酵素、腐食防止剤、増粘剤、及び溶解度修飾剤からなる群から選択される少なくとも1つの機能性成分をさらに含む、項目2~9のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
キレート剤及び/または一つ又は複数の機能性シロキサン界面活性剤をさらに含む、項目2~10のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
前記トリアミンの濃度が、約10~約70重量%であり、前記二酸の濃度が、約2.5~約40重量%であり、前記キレート剤の濃度が、約1~約40重量%である、項目11に記載の組成物。
[13]
項目1~12のいずれか一項に記載の、トリアミン及び二酸を含む固体トリアミン組成物と、希釈及び使用のための説明書と、を備える、キット。
[14]
トリアミンを少なくとも部分的に中和することと、
前記殺生物性トリアミンを二酸と反応させて、アミン塩を発生させることと、
前記組成物を固化することと
を含む、固体トリアミン組成物を作製する方法であって、
前記固体組成物が、約50℃未満で固体のままである、方法。
[15]
前記固体が、プレスされた固体である、項目14に記載の方法。
[16]
前記プレスされた固体の含水量が、約10重量%未満である、項目15に記載の方法。
[17]
前記固体が、注型または押出された固体である、項目14に記載の方法。
[18]
前記固体が、流動性粉末である、項目14に記載の方法。
[19]
前記トリアミンが、以下の式を有し、
【化7】
式中、Rは、直鎖C1~C12アルキル基である、項目14~18のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記トリアミンが、以下の式:
R-NH-(CH NH (1a)
R-NH-(CH (1b)
R-N -(CH NH 2X (1c)
R-NH-[(CH NH] -(CH -NH (2a)
R-NH-[(CH -NH] (CH -NH (H (2b)
-NY(3a)、または
-NY (3b)
のうちのいずれか1つを有し、
式中:
Rは、6~22個のC原子を有する直鎖または分岐アルキル残基であり、
Yは、独立して、水素またはメチル基を表し、
は、スルホン酸アミド、ニトラート、ハロゲン化物、スルフェート、炭酸水素、カーボネート、ホスフェート、水酸化物、カルボキシレート、及び/または有機酸を含むアニオンの等価物であり、
m、r、及びyは、独立して、1~6の範囲の整数を表し、
nは、1~2+yの範囲の整数である、項目14~19のいずれか一項に記載の方法。
[21]
前記二酸が、以下に示す(a)、(b)、(c)の構造、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目14~20のいずれか一項に記載の方法。
【化8】
{式中:
n=1~20、
は、H、C1~C8アルキル、またはCOOHであり、
は、H、C1~C8アルキル、NH 、OH、またはCOOHであり、
及びR の置換は、C1~C20鎖中の少なくとも1つの炭素上で生じる。}
【化9】
{式中:
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、または
及びR は、各々COOHであり、R 、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH である。}
【化10】
{式中:
及びR は、COOHであり、R 、R 、及びR は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、COOHであり、R 、R 、R は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、
及びR は、COOHであり、R 、R 、R は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH であるか、または
及びR は、COOHであり、R 、R 、R は、独立して、H、C1~C8アルキル、OH、もしくはNH である。}
[22]
前記二酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ジピコリン酸、及びドデカン酸からなる群から選択される、項目14~20のいずれか一項に記載の方法。
[23]
前記二酸対前記トリアミンの比が、約1:10~約1:1である、項目22~24のいずれか一項に記載の方法。
[24]
項目1~12のいずれか一項に記載のトリアミン及び二酸を含む固体トリアミン組成物の使用溶液を発生させることと、
洗浄、清浄、または消毒するために、物品または表面を前記使用溶液に接触させることと
を含む、洗浄、清浄、または消毒する方法。
[25]
前記洗浄、清浄、または消毒することが、濯ぎステップである、項目24に記載の方法。
[26]
前記洗浄、清浄、または消毒することが、潤滑するステップである、項目24に記載の方法。
[27]
前記固体トリアミン組成物の前記使用溶液が、約1ppm~約1000ppmのトリアミン、及び約1ppm~約500ppmの二酸を提供する、項目24~26のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記固体トリアミン組成物の前記使用溶液が、約1ppm~約500ppmのトリアミン、及び約1ppm~約250ppmの二酸を提供する、項目24~26のいずれか一項に記載の方法。