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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】改善されたアッセイ方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20220203BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220203BHJP
   G01N 33/566 20060101ALI20220203BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20220203BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20220203BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20220203BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220203BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20220203BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20220203BHJP
【FI】
G01N33/543 501F
G01N33/53 D ZNA
G01N33/566
G01N33/543 501D
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/686 Z
C12N15/11 Z
C12N15/115 Z
C12Q1/6837 Z
【請求項の数】 45
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020075171
(22)【出願日】2020-04-21
(62)【分割の表示】P 2016567814の分割
【原出願日】2015-05-15
(65)【公開番号】P2020122799
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】61/993,581
(32)【優先日】2014-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/013,823
(32)【優先日】2014-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/048,489
(32)【優先日】2014-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/049,520
(32)【優先日】2014-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/055,093
(32)【優先日】2014-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505243216
【氏名又は名称】メソ スケール テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アナヒット・アーグバニアン
(72)【発明者】
【氏名】イーライ・エヌ・グレザー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ケンテン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・シーガル
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ステンゲリン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ルーテンバーグ
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-514227(JP,A)
【文献】特表2005-521409(JP,A)
【文献】国際公開第2012/152942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の目的の分析物を検出する方法であって、
a.該分析物を(i)表面上にある捕捉試薬および(ii)核酸プローブに連結された検出試薬に結合させ、それにより、該捕捉試薬、該分析物および該検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させ、該表面がアンカーオリゴヌクレオチドを含むアンカー試薬をさらに含むこと;
b.該核酸プローブを伸長して、該アンカーオリゴヌクレオチドに対して相補的であるアンカーオリゴヌクレオチド相補体を含む伸長配列を形成させること;
c.該伸長配列を該アンカー試薬に結合させること;および
d.該表面に結合した伸長配列の量を測定すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
捕捉試薬および/または検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミモトープ、またはアプタマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
捕捉試薬および検出試薬の各々は抗体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アンカーオリゴヌクレオチドは1本鎖オリゴヌクレオチドまたは2本鎖オリゴヌクレオチド、または両方を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
伸長することは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自己持続合成反応)、または等温性の増幅方法を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
伸長することは、等温性の増幅方法を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
伸長することは、PCRを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
伸長することは、核酸プローブを鋳型オリゴヌクレオチドに結合させること、環状の鋳型を形成させること、および環状の鋳型をローリングサークル増幅(RCA)によって伸長させることを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
伸長配列は伸長後に表面に局在化したままで残る、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
複合体は伸長後に表面に結合したままで残る、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
伸長配列をアンカー試薬に結合させることは、アンカー試薬のアンカーオリゴヌクレオチドを伸長配列のアンカーオリゴヌクレオチド相補体にハイブリダイズすることを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
伸長配列は、検出配列を含み、測定することは、伸長配列を検出配列に相補的な標識プローブと接触させることを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
標識プローブは、検出可能標識を含み、該検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせによって測定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検出可能な標識はエレクトロケミルミネッセンス(ECL)標識である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(a)は、
検出試薬に結合した該分析物を含む分析物複合体を形成するために十分な条件下で試料を濃縮すること;および
該分析物複合体を表面上の捕捉試薬に結合させること
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
表面は粒子である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
粒子をさらなる表面上に局在化させる間にまたはその後に伸長することを実施する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
表面は、マルチウェルプレートのウェルである、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
表面は複数の別個の結合ドメインを含み、捕捉試薬およびアンカー試薬は2つの別個の結合ドメインにある、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
表面は複数の別個の結合ドメインを含み、捕捉試薬およびアンカー試薬は同じ結合ドメインにある、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
分析物は、50Sリボソームタンパク質L20、30Sリボソームタンパク質S7、30Sリボソームタンパク質S2、50Sリボソームタンパク質L21、50Sリボソームタンパク質L17、30Sリボソームタンパク質S4、50Sリボソームタンパク質L15、30Sリボソームタンパク質S5、50Sリボソームタンパク質L16、30Sリボソームタンパク質S3、50Sリボソームタンパク質L22、50Sリボソームタンパク質L4、リボソームタンパク質L25、50Sリボソームタンパク質L5、30Sリボソームタンパク質S2、リボソームタンパク質L30、L31およびL32、伸長因子EF-TU、アシルキャリアタンパク質(ACP)、RplL、リボソームタンパク質GroS(MopB、65,000)、シャペロンシステムGro-EL-Gro-ESおよびGapAの構成要素、解糖系の酵素、HDL、LDL、IDL、VLDL、カイロミクロン、IMP-1、またはそれらの組み合わせである、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
分析物はエクソソームである、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
捕捉試薬および/または検出試薬は、エクソソームによって発現されたターゲットタンパク質を結合する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
捕捉試薬および/または検出試薬は、CD9、CD63、CD81、Hsp70、PDCD6IPまたはTsg101を結合する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
捕捉試薬および/または検出試薬は、エクソソームの表面内または表面上の疾患に特異的なターゲットを結合する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
エクソソームは、検出試薬と接触させる前に表面上に固定され、かつ/または透過処理される、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
伸長することは、蛍光標識化アンプリコンを形成する蛍光プローブを用いたローリングサークル増幅を含み、測定することは、複合体中のエクソソームを蛍光試薬で標識化して蛍光標識化エクソソームを形成すること、蛍光標識化アンプリコンおよびエクソソームを画像化すること、および画像化された蛍光サイン間の相関を決定することを含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
試料中の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて:
a.(i)該分析物に関する捕捉試薬および(ii)アンカーオリゴヌクレオチドを含むアンカー試薬、を含む表面;および
b.核酸プローブに連結された、該分析物に関する検出試薬であって、該核酸プローブは、伸長して、該アンカーオリゴヌクレオチドに対して相補的であるアンカーオリゴヌクレオチド相補体を含む伸長配列を形成することができる核酸プローブである、検出試薬
を含む前記キット。
【請求項29】
捕捉試薬および/または検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミモトープ、またはアプタマーを含む、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
捕捉試薬および検出試薬の各々は抗体である、請求項28または29記載のキット。
【請求項31】
アンカーオリゴヌクレオチドは1本鎖オリゴヌクレオチドまたは2本鎖オリゴヌクレオチド、または両方を含む、請求項28~30のいずれか1項に記載のキット。
【請求項32】
表面は粒子である、請求項28~31のいずれか1項に記載のキット。
【請求項33】
表面は、マルチウェルプレートのウェルである、請求項28~31のいずれか1項に記載のキット。
【請求項34】
表面は複数の別個の結合ドメインを含み、捕捉試薬およびアンカー試薬は2つの別個の結合ドメインにある、請求項28~33のいずれか1項に記載のキット。
【請求項35】
表面は複数の別個の結合ドメインを含み、捕捉試薬およびアンカー試薬は同じ結合ドメインにある、請求項28~33のいずれか1項に記載のキット。
【請求項36】
表面は電極を含む、請求項28~35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項37】
バッファー、ポリメラーゼ、リガーゼ、標識化または非標識化dNTP、検出可能な標識、検出可能な標識に対する共反応物、遮断薬、安定化剤、界面活性剤、塩、pH緩衝液、保存剤、標識プローブ、近接プローブによる検出試薬の修飾に必要な試薬;アッセイ希釈剤、キャリブレーター、および環状化オリゴヌクレオチドの1つまたはそれ以上をさらに含む、請求項28~36のいずれか1項に記載のキット。
【請求項38】
伸長配列はさらに検出配列を含み、キットは、さらに、標識プローブを含む、請求項28~37のいずれか1項に記載のキットであって、該標識プローブは、(i)該検出配列に結合することができ、かつ(ii)検出可能な標識を含む、キット。
【請求項39】
分析物は、50Sリボソームタンパク質L20、30Sリボソームタンパク質S7、30Sリボソームタンパク質S2、50Sリボソームタンパク質L21、50Sリボソームタンパク質L17、30Sリボソームタンパク質S4、50Sリボソームタンパク質L15、30Sリボソームタンパク質S5、50Sリボソームタンパク質L16、30Sリボソームタンパク質S3、50Sリボソームタンパク質L22、50Sリボソームタンパク質L4、リボソームタンパク質L25、50Sリボソームタンパク質L5、30Sリボソームタンパク質S2、リボソームタンパク質L30、L31およびL32、伸長因子EF-TU、アシルキャリアタンパク質(ACP)、RplL、リボソームタンパク質GroS(MopB、65,000)、シャペロンシステムGro-EL-Gro-ESおよびGapAの構成要素、解糖系の酵素、HDL、LDL、IDL、VLDL、カイロミクロン、IMP-1、またはそれらの組み合わせである、請求項28~38のいずれか1項に記載のキット。
【請求項40】
分析物はエクソソームである、請求項28~38のいずれか1項に記載のキット。
【請求項41】
捕捉試薬および/または検出試薬は、エクソソームによって発現されたターゲットタンパク質を結合する、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
捕捉試薬および/または検出試薬は、CD9、CD63、CD81、Hsp70、PDCD6IPまたはTsg101を結合する、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
捕捉試薬および/または検出試薬は、エクソソーム表面内または表面上の疾患に特異的なターゲットを結合する、請求項40に記載のキット。
【請求項44】
試料中の目的の分析物を検出する方法であって:
a.該分析物を(i)表面上にある捕捉試薬、(ii)第1の核酸プローブに連結された第1の検出試薬および(iii)第2の核酸プローブに連結された第2の検出試薬に結合させ、それにより、該捕捉試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む表面上に複合体を形成させ、該表面はアンカーオリゴヌクレオチドを含むアンカー試薬をさらに含むこと;
b.該第1および第2の核酸プローブが近接されることを必要とする伸長プロセスを用いて、該第2の核酸プローブを伸長して、アンカーオリゴヌクレオチドに対して相補的であるアンカーオリゴヌクレオチド相補体を含む伸長配列を形成させること;
c.アンカーオリゴヌクレオチドをアンカーオリゴヌクレオチド相補体にハイブリダイズさせること;および
d.表面に結合した伸長配列の量を測定すること
を含み、
該分析物が、50Sリボソームタンパク質L20、30Sリボソームタンパク質S7、30Sリボソームタンパク質S2、50Sリボソームタンパク質L21、50Sリボソームタンパク質L17、30Sリボソームタンパク質S4、50Sリボソームタンパク質L15、30Sリボソームタンパク質S5、50Sリボソームタンパク質L16、30Sリボソームタンパク質S3、50Sリボソームタンパク質L22、50Sリボソームタンパク質L4、リボソームタンパク質L25、50Sリボソームタンパク質L5、30Sリボソームタンパク質S2、リボソームタンパク質L30、L31およびL32、伸長因子EF-TU、アシルキャリアタンパク質(ACP)、RplL、リボソームタンパク質GroS(MopB、65,000)、シャペロンシステムGro-EL-Gro-ESおよびGapAの構成要素、解糖系の酵素、HDL、LDL、IDL、VLDL、カイロミクロン、IMP-1、またはそれらの組み合わせである、前記方法。
【請求項45】
試料中の目的の分析物を検出するためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて:
a.(i)分析物に関する捕捉試薬および(ii)アンカーオリゴヌクレオチドを含むアンカー試薬、を含む表面;
b.第1の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第1の検出試薬;および
c.第2の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第2の検出試薬;
を含み、
該分析物が、50Sリボソームタンパク質L20、30Sリボソームタンパク質S7、30Sリボソームタンパク質S2、50Sリボソームタンパク質L21、50Sリボソームタンパク質L17、30Sリボソームタンパク質S4、50Sリボソームタンパク質L15、30Sリボソームタンパク質S5、50Sリボソームタンパク質L16、30Sリボソームタンパク質S3、50Sリボソームタンパク質L22、50Sリボソームタンパク質L4、リボソームタンパク質L25、50Sリボソームタンパク質L5、30Sリボソームタンパク質S2、リボソームタンパク質L30、L31およびL32、伸長因子EF-TU、アシルキャリアタンパク質(ACP)、RplL、リボソームタンパク質GroS(MopB、65,000)、シャペロンシステムGro-EL-Gro-ESおよびGapAの構成要素、解糖系の酵素、HDL、LDL、IDL、VLDL、カイロミクロン、IMP-1、またはそれらの組み合わせである、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年5月15日出願の米国仮出願第61/993,581号;2014年6月18日出願の同第62/013,823号;2014年9月10日出願の同第62/048,489号;2014年9月12日出願の同第62/049,520号;および2014年9月25日出願の同第62/055,093号の利益を主張し、その全ての内容は参照によって本明細書に組み入れる。参照はまた、USSN14/206,284(公開番号US-2014/0272939);USSN14/208,040(公開番号US-2014/0274775);およびUSSN14/203,638(公開番号US-2014/0256588)について行われ、これらの開示もまた、参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、免疫アッセイを行うための改善された方法を対象とする。その方法を設計して、免疫アッセイにおいてシグナルが増幅されるおよびそこで用いられる免疫アッセイ複合体がアンカーされる。
【背景技術】
【0003】
文献のかなりの部分が、サンプル中の目的とする分析物の感度の良い測定のための、結合反応、例えば、抗原-抗体反応、核酸ハイブリダイゼーションおよび受容体-リガンド反応を用いる技術について明らかとしている。多くの生化学的な結合システムにおける高度の特異性により、基礎研究、人間および獣医学領域の診断、環境モニタリングおよび産業的な試験を含め種々のマーケットにおいて、価値のある多くのアッセイ方法およびシステムが導かれてきた。目的の分析物の存在は、結合反応における分析物の関与を直接的に測定することによって測定され得る。いくつかのアプローチでは、この関与は、1つまたはそれ以上の結合物質に付着させた観察可能な標識の測定を通して示され得る。
【0004】
サンドイッチ免疫アッセイ形式は、優れた感度および特異性を多くの適用において提供するが、いくつかの分析物は従来の免疫アッセイ技術による検出に関しては低くすぎる濃度で存在している。サンドイッチ免疫アッセイの性能は、検出抗体の非特異的な結合ならびに高いオフ率(off-rate)の抗体を含むサンドイッチ複合体の不安定性によっても制限される可能性がある。しかしながら、従来の免疫アッセイ技術を改変して感度および特異性を改善する取組みは、アッセイの感度および特異性に影響力をおよぼしうる、各工程での非能率性によって妨げられうる、より複雑で人手を要するプロトコルをしばしば生み出す。例えば、複数の結合事象および/または反応を必要とする複合的なアッセイにおいて、1つの事象または反応が至適未満である場合には、総合的にアッセイの感度および特異性が影響を受けうる。感度を改善し、非特異的な結合を低減させ、サンドイッチ複合体の安定性を改善することによってサンドイッチ免疫アッセイ性能を改善するための新規な技術についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以下の特定の実施形態を企図している。当業者によって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変、付加および修正を、本明細書に記載した実施形態に対してなし得る。このような改変、付加および修正は、特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態(1):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、該分析物を、(i)該分析物に関する捕捉試薬を含む表面上の該捕捉試薬、およびアンカー試薬;ならびに(ii)核酸プローブに連結された、該分析物に関する検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、該分析物および該検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させること;該プローブを伸長させて、該アンカー試薬に結合するアンカー領域を含む伸長配列を形成させること;該伸長配列を該アンカー試薬に結合させること;ならびに該表面に結合した伸長配列の量を測定することを含む方法。
【0007】
実施形態(1)では、捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ(mimitope)、またはアプタマーであってもよい。特定の実施形態では、捕捉試薬は、抗体である。検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、特定の実施形態では、検出試薬は、抗体である。実施形態(1)の1つの特定の例では、捕捉および検出試薬は、分析物に対する抗体である。アンカー試薬は、オリゴヌクレオチド配列、アプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができる;場合により、アンカー領域は、アプタマーを含むことができ、アンカー試薬は、アプタマーリガンドを含むことができる。アンカー領域は核酸配列を含むことができ、アンカー試薬はDNA結合タンパク質を含むことができる。アンカー試薬はオリゴヌクレオチド配列を含むことができ、アンカー試薬は相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むことができる。アンカー領域は、1本鎖オリゴヌクレオチド配列または2本鎖オリゴヌクレオチド配列を含むことができる。
【0008】
実施形態(1)の結合工程は、アンカー領域とアンカー試薬との間に三重らせんを形成させることをさらに含むことができる。方法は、結合工程の前に、アンカー領域を変性させて、1本鎖配列を曝露させること;結合工程の前にアンカー領域をヘリカーゼ活性に曝露すること;および/または結合工程の前に、アンカー領域をヌクレアーゼ処理に曝露することをさらに含むことができる。この実施形態では、アンカー領域は1つまたはそれ以上のハプテン-修飾塩基を含むことができ、アンカー試薬は1つまたはそれ以上のハプテンに特異的な抗体を含むことができる;および/またはアンカー領域は1つまたはそれ以上のリガンド-修飾塩基を含むことができ、アンカー試薬はリガンドに特異的な1つまたはそれ以上の受容体を含むことができる。伸長配列は1つまたはそれ以上の検出配列をさらに含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることを含むことができる;伸長配列は1つまたはそれ以上の修飾塩基を含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることを含むことができる;および/または伸長配列は1つまたはそれ以上の標識塩基を含むことができ、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することをさらに含むことができる。この実施形態では、1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含み、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0009】
実施形態(1)の第1の工程は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬;または実施形態(1)の第1の工程は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)分析物に関する検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬;および/または第1の工程は、分析物を以下の種を同時にまたは実質的に同時に結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬。
【0010】
実施形態(1)の伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させることおよびプローブをポリメラーゼ連鎖反応法によって伸長させること;および/またはプローブを鋳型核酸配列に結合させること、環状の核酸鋳型を形成させること;および環状の鋳型をローリングサークル増幅によって伸長させることを含むことができる。この実施形態では、伸長されるプローブは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残ることができる。したがって、複合体は伸長工程後に表面に結合したままで残ることができ、例えば、伸長されるプローブは、表面上の複合体の位置の10~100um内のポジションで、アンカー試薬に結合される。1つの特定の実施形態において、伸長プローブは、表面上の複合体の位置から100um未満、50um未満、またはより詳細には、10um未満の位置のアンカー試薬に結合される。
【0011】
実施形態(1)の伸長工程は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自己持続合成反応)、または等温性の増幅方法を含むことができる。一実施形態では、伸長工程は、等温性の増幅方法、例えば、ヘリカーゼ依存的な増幅またはローリングサークル増幅(RCA)を含むことができる。
【0012】
実施形態(1)において参照される表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する;および/または表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。一実施形態では、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形(voltage waveform)を適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することをさらに含むことができ、場合により、方法は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することを含む。
【0013】
実施形態(1)の測定工程は、伸長配列を検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中の分析物の量と相関させることをさらに含むことができ、ここで、検出プローブは、伸長配列の領域に対して相補的である核酸配列を含む。検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定することができる。実施形態(1)の特定の例では、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0014】
実施形態(2):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカー試薬を含む表面;ならびに(b)核酸プローブに連結された、該分析物に関する検出試薬を含むキット。
【0015】
実施形態(2)のアンカー試薬は、オリゴヌクレオチド配列、アプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができ、捕捉試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができる。特定の実施形態では、捕捉試薬は抗体を含むことができ、および/または検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、もしくはアプタマーを含むことができる。キットの特定の実施形態では、検出試薬は、抗体である。
【0016】
実施形態(2)のキットの表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。キットの表面がプレートのウェルである場合、表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する;および/または表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。キットの特定の例では、表面はウェルであり、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。さらには、キットの表面は、電極を含むことができる。
【0017】
実施形態(3):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を、(i)該分析物に関する捕捉試薬を含む表面上の該捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;ならびに(ii)核酸プローブに連結された、分析物に関する検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、該分析物および該検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させること;(b)該プローブを伸長して、該アンカー配列に対して相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列を形成させること;(c)該アンカー配列を該アンカー配列相補体にハイブリダイズさせること;ならびに(d)該表面に結合した伸長配列の量を測定することを含む方法。
【0018】
実施形態(3)では、捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。同様に、検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであり、実施形態(3)の特定の例では、検出試薬は、抗体である。実施形態(3)の1つの例では、捕捉および検出試薬は、分析物に対する抗体である。アンカーオリゴヌクレオチド配列は、1本鎖オリゴヌクレオチド配列または2本鎖オリゴヌクレオチド配列を含むことができる。伸長配列は1つまたはそれ以上の検出配列をさらに含んでいてもよく、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることをさらに含むことができる;あるいはまたはさらには、伸長配列は1つまたはそれ以上の修飾塩基をさらに含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることをさらに含むことができる。特定の例では、伸長配列は1つまたはそれ以上の標識塩基をさらに含むことができ、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することをさらに含むことができる。1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含み、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含み、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0019】
実施形態(3)の工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬。あるいは、工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)分析物に関する検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬。さらなる別の例では、工程(a)は、分析物を以下の種に同時にまたは実質的に同時に結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬。
【0020】
実施形態(3)の伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させることおよびプローブをポリメラーゼ連鎖反応法によって伸長させることを含むことができる。あるいは、伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させること、環状の核酸鋳型を形成させること、および環状の鋳型をローリングサークル増幅によって伸長させることを含むことができる。伸長されるプローブは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残ることができ、例えば、複合体は伸長工程後に表面に結合したままで残る。一例では、伸長されるプローブは、表面上の複合体の位置の10~100um内のポジションで、アンカー試薬に結合される。1つの特定の実施形態において、伸長プローブは、表面上の複合体の位置から100um未満、50um未満、またはより詳細には、10um未満の位置のアンカー試薬に結合される。この特定の実施形態では、伸長工程は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自己持続合成反応)、または等温性の増幅方法を含むことができる。例えば、伸長工程は、等温性の増幅方法、例えば、ヘリカーゼ依存的な増幅またはローリングサークル増幅(RCA)を含むことができる。
【0021】
実施形態(3)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、それは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する;表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、それは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する;捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。特定の例では、表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することをさらに含むことができる。方法は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することをさらに含むことができる。測定工程は、伸長配列を検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中の分析物の量と相関させることをさらに含むことができ、ここで、検出プローブは、伸長配列の領域に対して相補的である核酸配列を含む。この実施形態では、検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemilumin-escence)、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される。例えば、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0022】
実施形態(4):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬を含む表面;ならびに(b)核酸プローブに連結された、該分析物に関する検出試薬を含むキット。
【0023】
実施形態(4)のキットは、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含む捕捉試薬を含む。特定の例では、捕捉試薬は、抗体を含むことができる。同様に、検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特に、検出試薬は抗体を含むことができる。
【0024】
実施形態(4)のキットは、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる表面を含む。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置し、例えば、表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。例えば、捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にある。実施形態(4)の表面は、電極を含むことができる。
【0025】
実施形態(5):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を、(i)該分析物に関する捕捉試薬を含む表面上の該捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;(ii)第1の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第1の検出試薬;ならびに(iii)第2の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第2の検出試薬に結合させること;それにより、結合試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させること;(b)該第1および第2のプローブが近接されることを必要とする伸長プロセスを用いて、該第2のプローブを伸長して、該アンカー配列に対して相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列を形成させること;(c)該アンカー配列を該アンカー配列相補体にハイブリダイズさせること;ならびに(d)該表面に結合した伸長配列の量を測定することを含む方法。
【0026】
実施形態(5)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよい。特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであり、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体である。第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、特定の例では、第2の検出試薬は、抗体である。より詳細には、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0027】
実施形態(5)では、アンカーオリゴヌクレオチド配列は、1本鎖オリゴヌクレオチド配列または2本鎖オリゴヌクレオチド配列を含むことができる。この実施形態では、伸長配列は1つまたはそれ以上の検出配列をさらに含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることをさらに含むことができる。伸長配列は1つまたはそれ以上の修飾塩基も含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることをさらに含むことができる。伸長配列は1つまたはそれ以上の標識塩基をさらに含むことができ、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することをさらに含むことができる。1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができ、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。例えば、1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含み、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含み、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0028】
実施形態(5)の工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬。あるいは、工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)分析物に関する検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬;または工程(a)は、分析物を以下の種を同時にもしくは実質的に同時に結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬。
【0029】
実施形態(5)の伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させることおよびプローブをポリメラーゼ連鎖反応法によって伸長させることを含むことができる。伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させること、環状の核酸鋳型を形成させること、および環状の鋳型をローリングサークル増幅によって伸長させることをさらに含むことができる。伸長されるプローブは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残ることができ、例えば、複合体は伸長工程後に表面に結合したままで残る。伸長されるプローブは、表面上の複合体の位置の10~100um内のポジションで、アンカー試薬に結合されてもよい。1つの特定の実施形態において、伸長プローブは、表面上の複合体の位置から100um未満、50um未満、またはより詳細には、10um未満の位置のアンカー試薬に結合される。伸長工程は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自己持続合成反応)、または等温性の増幅方法を含むことができる。特定の例では、伸長工程は、等温性の増幅方法を含むことができ、例えば、ヘリカーゼ依存的な増幅またはローリングサークル増幅(RCA)である。
【0030】
実施形態(5)の伸長プロセスは、工程(a)において形成される複合体を、(i)第2のプローブに対して相補的な内部配列および(ii)第1のプローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列と接触させることを含むことができる。方法は、コネクターオリゴヌクレオチドの2つの末端配列をライゲーションして、第1および第2のプローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させることをさらに含むことができる。あるいは、伸長プロセスは、実施形態(5)の工程(a)において形成される複合体を、第1のプローブの第1の領域および第2のプローブにおける第1の領域に対して相補的な第1のコネクタープローブ配列を含む第1のコネクターオリゴヌクレオチド配列、ならびに第1のプローブの第2の非オーバーラップ領域および第2のプローブの第2の非オーバーラップ領域に対して相補的な第2のプローブ配列を含む第2のコネクターオリゴヌクレオチドと接触させること;ならびに、場合により、第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドをライゲーションして、第1および第2のプローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させることを含むことができる。
【0031】
実施形態(5)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインも含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。特定の例では、表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形を適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することをさらに含むことができ、場合により、実施形態(5)の方法は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することをさらに含む。
【0032】
実施形態(5)の測定工程は、伸長配列を検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中の分析物の量と相関させることをさらに含むことができ、ここで、検出プローブは、伸長配列の領域に対して相補的である核酸配列を含む。検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定することができる。特定の例では、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0033】
実施形態(6):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬を含む表面;(b)第1の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第1の検出試薬;ならびに(c)第2の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第2の検出試薬を含むキット。
【0034】
実施形態(6)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、捕捉試薬は、抗体を含むことができる。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体を含むことができる。類似して、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、第2の検出試薬は、抗体を含むことができる。
【0035】
実施形態(6)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する;および/または、表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。特定の例では、表面は、電極を含むことができる。
【0036】
実施形態(7):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を、(i)捕捉試薬を含む表面上の該分析物に関する該捕捉試薬、およびアンカー試薬;(ii)第1の近接プローブを含む、該分析物に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の近接プローブを含む、該分析物に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に検出複合体を形成させること;(b)(c)において形成される該検出複合体を、(i)該第2の近接プローブに対して相補的な内部配列および(ii)該第1の近接プローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列と接触させること;(c)該コネクター配列を該第1および第2の近接プローブにハイブリダイズさせること;(d)コネクターオリゴヌクレオチドの2つの末端配列をライゲーションして、該第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させること;(e)該第2の近接プローブを該標的配列のローリングサークル増幅によって伸長させて、該アンカー試薬に結合する結合ドメインを含むアンプリコンを生成すること;(f)該アンプリコンを該アンカー試薬に結合させること;ならびに(g)該表面上のアンプリコンの量を測定することを含む方法。
【0037】
実施形態(8):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を:(i)捕捉試薬を含む表面上の該分析物に関する該捕捉試薬、およびアンカー試薬;(ii)第1の近接プローブを含む、該分析物に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の近接プローブを含む、該分析物に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に検出複合体を形成させること;(b)(c)において形成される検出複合体を、第1のコネクターオリゴヌクレオチドおよび第2のコネクターオリゴヌクレオチドと接触させること、ここで、(i)該第1のコネクターの第1の末端および該第2のコネクターの第1の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的であるならびに(ii)該第1のコネクターの第2の末端および該第2のコネクターの第2の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的である;(c)該第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドを該第1および第2の近接プローブにハイブリダイズさせること;(d)該第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドをライゲーションして、該第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させること;(e)該第2の近接プローブを該標的配列のローリングサークル増幅によって伸長させて、該アンカー試薬に結合する結合ドメインを含むアンプリコンを生成すること;(f)該アンプリコンを該アンカー試薬に結合させること;ならびに(g)該表面上のアンプリコンの量を測定することを含む方法。
【0038】
実施形態(7)および(8)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよい、特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。類似して、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、例えば、第1の検出試薬は、抗体である。さらに、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第2の検出試薬は、抗体である。実施形態(7)および(8)の特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0039】
実施形態(7)および(8)のアンカー試薬は、オリゴヌクレオチド配列、アプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができる。一例では、結合ドメインはアプタマーを含むことができ、アンカー試薬はアプタマーリガンドを含むことができる。結合ドメインは核酸配列を含むことができ、アンカー試薬はDNA結合タンパク質を含むことができる;および/またはアンカー試薬はオリゴヌクレオチド配列を含むことができ、アンプリコンは相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むことができる。
【0040】
実施形態(7)および(8)のアンプリコンは1つまたはそれ以上の検出配列をさらに含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることをさらに含むことができる。さらには、アンプリコンは1つまたはそれ以上の修飾塩基をさらに含んでいてもよく、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることをさらに含むことができる。さらにまた、アンプリコンは1つまたはそれ以上の標識塩基をさらに含んでいてもよく、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することをさらに含むことができる。1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができ、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0041】
実施形態(7)および(8)の工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;ならびに(ii)分析物に関する第1および第2の検出試薬。あるいは、工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)分析物に関する第1および第2の検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬。さらにまた、工程(a)は、分析物を以下の種に同時にまたは実質的に同時に結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;ならびに(ii)分析物に関する第1および第2の検出試薬。
【0042】
実施形態(7)および(8)のアンプリコンは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残ることができる。複合体は、伸長工程後に表面に結合したままで残ることができる。例えば、アンプリコンは、表面上の複合体の位置の10~100um内のポジションで、アンカー試薬に結合する。1つの特定の実施形態において、伸長プローブは、表面上の複合体の位置から100um未満、50um未満、またはより詳細には、10um未満の位置のアンカー試薬に結合される。
【0043】
実施形態(7)および(8)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。特定の例では、捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にある。
【0044】
さらにまた、表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することを含むことができる。これらの実施形態((7)および(8))では、方法は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することをさらに含むことができる。測定工程は、アンプリコンを検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中の分析物の量と相関させることを含むことができ、ここで、検出プローブは、アンプリコンの領域に対して相補的である核酸配列を含む。検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される。例えば、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0045】
実施形態(9):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカー試薬を含む表面;(b)第1の近接プローブを含む該分析物に関する第1の検出試薬;(c)第2の近接プローブを含む該分析物に関する第2の検出試薬;ならびに(d)(i)該第2の近接プローブに対して相補的な内部配列および(ii)該第1の近接プローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列を含むキット。
【0046】
実施形態(10):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカー試薬を含む表面;(b)第1の近接プローブを含む該分析物に関する第1の検出試薬;(c)第2の近接プローブを含む該分析物に関する第2の検出試薬;ならびに(d)(i)第1のコネクターオリゴヌクレオチドおよび(ii)第2のコネクターオリゴヌクレオチドを含み、ここで、(x)該第1のコネクターの第1の末端および該第2のコネクターの第1の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的であるならびに;(y)該第1のコネクターの第2の末端および該第2のコネクターの第2の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的である、キット。
【0047】
実施形態(9)および(10)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができる。特定の例では、捕捉試薬は、抗体を含むことができる。第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体を含むことができる。第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、第2の検出試薬は、抗体を含むことができる。
【0048】
実施形態(9)および(10)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。特定の例では、捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にある。
【0049】
実施形態(9)および(10)の表面は、電極を含むことができる。
【0050】
実施形態(11):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を、(i)捕捉試薬を含む表面上の該分析物に関する該捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;(ii)第1の近接プローブを含む、該分析物に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の近接プローブを含む、該分析物に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に検出複合体を形成させること;(b)(c)において形成される該検出複合体を、(i)該第2の近接プローブに対して相補的な内部配列、(ii)該第1の近接プローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列および(iii)該アンカー配列とマッチングする配列を含むコネクター配列と接触させること;(c)該コネクター配列を該第1および第2の近接プローブにハイブリダイズさせること;(d)コネクターオリゴヌクレオチドの2つの末端配列をライゲーションして、該第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させること;(e)該第2の近接プローブを該標的配列のローリングサークル増幅によって伸長させて、該アンカー試薬に対して相補的である複数のアンカー配列相補体を含むアンプリコンを生成すること;(f)該アンカー配列を該アンカー配列相補体の1つにハイブリダイズさせること;および(g)該表面上のアンプリコンの量を測定することを含む方法。
【0051】
実施形態(12):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を、(i)捕捉試薬を含む表面上の該分析物に関する該捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;(ii)第1の近接プローブを含む、該分析物に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の近接プローブを含む、該分析物に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に検出複合体を形成させること;(b)(a)において形成される検出複合体を、第1のコネクターオリゴヌクレオチドおよび第2のコネクターオリゴヌクレオチドと接触させること、ここで、(i)該第1のコネクターの第1の末端および該第2のコネクターの第1の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的である、(ii)該第1のコネクターの第2の末端および該第2のコネクターの第2の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的である;ならびに(iii)該第1および/または第2のコネクターは、該アンカー配列とマッチングする配列も含む;(c)該第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドを該第1および第2の近接プローブにハイブリダイズさせること;(d)該第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドをライゲーションして、該第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させること;(e)該第2の近接プローブを該標的配列のローリングサークル増幅によって伸長させて、該アンカー試薬に対して相補的である複数のアンカー配列相補体を含むアンプリコンを生成すること;(f)該アンカー配列を該アンカー配列相補体の1つにハイブリダイズさせること;および(g)該表面上のアンプリコンの量を測定することを含む方法。
【0052】
実施形態(11)および(12)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである。特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであり、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体である。同様に、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであり、特定の例では、第2の検出試薬は、抗体である。一例では、第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0053】
実施形態(11)および(12)のアンプリコンは1つまたはそれ以上の検出配列をさらに含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることを含むことができる。さらには、アンプリコンは1つまたはそれ以上の修飾塩基も含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることを含むことができる。アンプリコンは1つまたはそれ以上の標識塩基を追加的に含み、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することを含むことができる。1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含み、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0054】
実施形態(11)および(12)の工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;ならびに(ii)分析物に関する第1および第2の検出試薬。あるいは、工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)分析物に関する第1および第2の検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬。さらにまた、工程(a)は、分析物を以下の種に同時にまたは実質的に同時に結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;ならびに(ii)分析物に関する第1および第2の検出試薬。
【0055】
実施形態(11)および(12)におけるアンプリコンは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残ることができ、ならびに、場合により、複合体は伸長工程後に表面に結合したままで残る。例えば、アンプリコンは、表面上の複合体の位置の10~100um内のポジションで、アンカー試薬に結合する。1つの特定の実施形態において、伸長プローブは、表面上の複合体の位置から100um未満、50um未満、またはより詳細には、10um未満の位置のアンカー試薬に結合される。
【0056】
実施形態(11)および(12)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。場合により、表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。
【0057】
実施形態(11)および(12)の表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することを含むことができる。場合により、実施形態(11)および(12)は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することをさらに含む。測定工程は、アンプリコンを検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中の分析物の量と相関させることを含むことができ、ここで、検出プローブは、アンプリコンの領域に対して相補的である核酸配列も含む。検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定することができる。一例では、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0058】
実施形態(11)および(12)の試料は1つまたはそれ以上の分析物分子を含むことができ、表面は表面上に位置する複数の解像可能な結合領域にわたって分布する1つまたはそれ以上の分析物分子に関する複数の捕捉試薬を含むことができ、方法は、(x)1つまたはそれ以上の分析物分子を、表面上の1つまたはそれ以上の捕捉試薬に結合させること;(y)各結合領域における分析物分子の存在または非存在を決定すること;ならびに(z)分析物分子を含有する結合領域の数および/または分析物分子を含有しない分析物ドメインの数を同定することを含むことができる。測定工程は、表面からの光学的なシグナルをイメージングして、複数のピクセルを含むイメージを生成することを含むことができ、各解像可能な結合領域は、イメージにおいて1つまたはそれ以上のピクセルへとマップされる。解像可能な結合領域はアレイの要素であってもよいおよび/または解像可能な結合領域は個々の粒子に単離されるように構成される。各解像可能な結合領域は、<100nLの体積を有する個々のナノ-ウェルであってもよい、例えば、ここで、少なくとも99%の結合領域はゼロまたは1つの分析物分子を含有する、少なくとも約95%の結合領域はゼロまたは1つの分析物分子を含有する、少なくとも約80%の結合領域はゼロまたは1つの分析物分子を含有する、および/または少なくとも約50%の結合領域はゼロまたは1つの分析物分子を含有する。実施形態(11)および(12)において試料中の分析物分子の濃度は、少なくとも1つまたは1つの分析物分子を含有する、結合領域の数のキャリブレーション曲線、ポアソン分布分析および/またはガウス分布分析を用いて少なくとも部分的に決定されてもよい。
【0059】
実施形態(11)および(12)では、試料は1つまたはそれ以上の分析物分子を含むことができ、表面は分析物分子に関する複数の結合試薬を各々含む複数の粒子を含むことができ、ここで、複数の粒子は複数の解像可能な結合領域にわたって分布し、方法は、(i)1つまたはそれ以上の分析物分子を、表面上の1つまたはそれ以上の結合試薬に結合させること;ならびに(ii)複数の粒子を解像可能な結合領域のアレイにわたって分布させること;ならびに(iii)分析物分子を含有する結合領域の数および/または分析物分子を含有しない結合領域の数を同定するために、各解像可能な結合領域における分析物分子の存在または非存在を決定することを含むことができる。
【0060】
実施形態(13):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬を含む表面;(b)第1の近接プローブを含む該分析物に関する第1の検出試薬;(c)第2の近接プローブを含む該分析物に関する第2の検出試薬;ならびに(d)(i)該第2の近接プローブに対して相補的な内部配列および(ii)該第1の近接プローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列を含むキット。
【0061】
実施形態(14):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬を含む表面;(b)第1の近接プローブを含む該分析物に関する第1の検出試薬;(c)第2の近接プローブを含む該分析物に関する第2の検出試薬;ならびに(d)(i)第1のコネクターオリゴヌクレオチドおよび(ii)第2のコネクターオリゴヌクレオチドを含み;ここで、(x)該第1のコネクターの第1の末端および該第2のコネクターの第1の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的であるならびに;(y)該第1のコネクターの第2の末端および該第2のコネクターの第2の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的である、キット。
【0062】
実施形態(13)および(14)の捕捉試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、例えば、捕捉試薬は抗体を含むことができる。同様に、第1の検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、例えば、第1の検出試薬は抗体を含むことができる。同様に、第2の検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、例えば、第2の検出試薬は抗体を含むことができる。
【0063】
実施形態(13)および(14)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。前記は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上で10~100nm内にあってもよい、ならびに場合により、表面は電極を含むことができる。
【0064】
実施形態(15):試料中の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を第1および第2の検出試薬に結合させて、各検出複合体が分析物、第1の検出試薬および第2の検出試薬を含む検出複合体を形成させること、ここで、該第1の検出試薬は第1の検出可能な標識を有し、該第2の検出試薬は第2の検出可能な標識を有する、(b)大多数の反応容器が1つまたはそれ以下の分析物を含有するように、該分析物を複数の反応容器にわたって分配すること;ならびに(c)分析物分子の数を、該第1および第2の検出可能な標識を含有する反応容器の数の計数によって検出することを含むことができる方法。実施形態(15)では、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、例えば、第1の検出試薬は、抗体である。同様に、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、例えば、第2の検出試薬は、抗体である。特定の例では、第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0065】
実施形態(15)の工程(a)は前記分析物および前記検出試薬を含む溶液を形成させることをさらに含むことができ、工程(b)は同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が10のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することを含むことができる。あるいは、実施形態(15)の工程(a)は前記分析物および前記検出試薬を含む溶液を形成させることをさらに含むことができ、工程(b)は同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が100のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することを含むことができる。さらにまた、実施形態(15)の工程(a)は前記分析物および前記検出試薬を含む溶液を形成させることをさらに含むことができ、工程(b)は同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が1000のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することを含むことができる。さらには、実施形態(15)の工程(a)は前記分析物および前記検出試薬を含む溶液を形成させることをさらに含むことができ、工程(b)は同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が10000のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することを含むことができる。
【0066】
実施形態(16):試料中の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬に結合させて、各検出複合体が捕捉試薬、分析物、第1の検出試薬および第2の検出試薬を含む検出複合体を形成させること、ここで、(i)該第1の検出試薬は第1の検出可能な標識を有し、該第2の検出試薬は第2の検出可能な標識を有する、(ii)該捕捉試薬は表面上にある;(b)大多数の反応容器が1つまたはそれ以下の分析物を含有するように、該分析物を複数の反応容器にわたって分配すること;ならびに(c)分析物分子の数を、該第1および第2の検出可能な標識を含有する反応容器の数の計数によって検出することを含む方法。この実施形態では、捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、例えば、捕捉試薬は、抗体である。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、例えば、第1の検出試薬は、抗体である。さらには、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、例えば、第2の検出試薬は、抗体である。例えば、捕捉試薬、第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0067】
実施形態(16)の工程(b)は、同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が10のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することをさらに含むことができる。さらには、実施形態(16)の工程(b)は、同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が100のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することをさらに含むことができる。実施形態(16)の工程(b)は、同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が1000のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することをさらに含むことができる。さらには、実施形態(16)の工程(b)は、同じ容器中の未結合の第1の検出試薬および未結合の第2の検出試薬が見出される可能性が10000のうち1未満であるように、該溶液を複数の反応容器にわたって分配することをさらに含むことができる。
【0068】
実施形態(16)の検出複合体中の捕捉試薬は、捕捉試薬を分析物に結合させる前に表面上にあってもよい;または検出複合体中の捕捉試薬は、捕捉試薬を表面上に固定化する前に分析物に結合する。一例では、捕捉試薬はターゲティング部分を含むことができ、表面はターゲティング部分相補体を含むことができる。ターゲティング部分およびターゲティング因子結合パートナー(targeting agent binding partner)は以下の結合対から選択される:アビジン-ビオチン、ストレプトアビジン-ビオチン、受容体-リガンド、抗体-抗原、核酸-核酸相補体。
【0069】
実施形態(16)の表面は粒子である、ならびに、場合により、捕捉試薬は複数の粒子において固定化される、および分析物の分配は分析物を捕捉試薬に結合させることおよび粒子を複数の反応容器に分配することによって達成される。捕捉試薬は複数の粒子において固定化されうる、ならびに分析物の分配は粒子を複数の反応容器に分配することおよび次いで分析物を捕捉試薬に結合させることによって達成される。
【0070】
実施形態(16)は、複数の粒子を複数の反応容器に分配することをさらに含むことができ、ここで、複数の粒子はターゲティング部分を含み、捕捉試薬はターゲティング部分相補体を含み、分析物の分配はターゲティング部分相補体をターゲティング部分に結合させることによって達成される。実施形態(16)は、分配工程前および/または分配工程後に、粒子を洗浄することも含むことができる。
【0071】
実施形態(16)の表面は、反応容器の1つ内の位置にあってもよい。この実施形態では、捕捉試薬は複数の反応容器の表面に固定化されうる、および分析物の分配は分析物を捕捉試薬に結合させることによって達成される。場合により、反応容器は、それに固定化されたターゲティング部分を有する表面を有する、捕捉試薬はターゲティング部分相補体を含み、分析物の分配は、ターゲティング部分相補体をターゲティング部分に結合させることによって達成される。この特定の例では、方法は、検出工程の前に、反応容器を洗浄することをさらに含むことができる。
【0072】
実施形態(16)の複数の反応容器は、ナノウェルのアレイを含むことができる。複数の反応容器は、少なくとも10,000の反応容器を含むことができる。一実施形態では、反応容器は、100nL未満の容量を有する。場合により、50%未満の反応容器が検出時に分析物を含有する、10%未満の反応容器が検出時に分析物を含有する、1%未満の反応容器が検出時に分析物を含有する、および/または0.1%未満の反応容器が検出時に分析物を含有する。
【0073】
実施形態(16)の一態様では、第1の検出可能な標識は、一組の酵素反応系の第1の酵素である、および第2の検出可能な標識は、共役酵素反応系の第2の酵素である、ならびに工程(d)は、1つまたはそれ以上の反応系の基質を添加すること、酵素反応系の産物を産生すること、および産物を含有する反応容器を計数することを含むことができる。この実施形態では、第1および第2の酵素が互いに200nM内にある、または第1および第2の酵素が互いに50nM内にあるなど、第1の酵素および第2の酵素が近くで近接する場合のみ、産物は産生され得る。例えば、第1の酵素は酸化酵素であり、第2の酵素はペルオキシダーゼであり、基質は酸化酵素基質および標識Amplex Redまたはルミノール誘導体を含む。この実施形態では、酸化酵素はグルコース酸化酵素であってもよい、および酸化酵素基質はグルコースである。一実施形態では、検出複合体中の第1および第2の酵素によって触媒される反応により、表面上に標識Amplex Redまたはルミノールの固定化がもたらされる、ならびに、場合により、方法は、表面上で標識Amplex Redまたはルミノールを測定することを含むことができる。標識Amplex Redまたはルミノールは、場合により、ビオチン-Amplex Redまたはルミノールである、ならびに、方法は、標識ストレプトアビジンを添加することおよびストレプトアビジンにおける標識を測定することを含むことができる。
【0074】
実施形態(16)の工程(d)は、第1および第2の検出可能な標識が同じ分析物分子に結合する場合に生成される近接依存性シグナルを測定すること、ならびに、近接依存性シグナルを産生する反応容器の数を計数することを含んでいてもよく、例えば、近接依存性シグナルはPLA-RCAによって生成される。例えば、第1の検出可能な標識はFRETドナーであってもよい、ならびに検出可能な標識はFRETアクセプターである、ならびに近接依存性シグナルはFRETドナーを励起することおよびFRETアクセプターからの放射を測定することによって測定される。一例では、第1および第2の検出可能な標識は、独立に測定されうる。場合により、第1および第2の検出可能な標識は、スペクトル特性に関して互いに異なる発光性標識である。一例では、第1の検出可能な標識は、第1の基質と反応して第1のシグナルを産生する第1の酵素である、ならびに、第2の検出可能な標識は、第2の基質と反応して異なる第2のシグナルを産生する第2の酵素である、ならびに、実施形態(16)の工程(d)は、第1の酵素基質および第2の酵素基質を添加することならびに第1および第2のシグナルが生成される反応容器の数を計数することを含むことができる。第1および第2のシグナルは、異なるスペクトル特性を有する光学的な吸光度における変化であってもよい。場合により、第1および第2のシグナルは、異なるスペクトル特性を有する発光シグナルである。第1および第2の酵素は、例えば、ホスファターゼ、スルファターゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、またはそれらの組み合わせから選択される加水分解酵素であってもよい、ならびに第1および第2の基質は、リン酸塩、硫酸塩、ガラクトシドおよびグルクロニド修飾され、安定化されているジオキセタン、4-メチルウンベリフェリル、フルオレセイン、またはそれらの組み合わせから選択される。特定の例では、第1および第2の酵素は、西洋わさびペルオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、およびアルカリホスファターゼから選択される。実施形態(16)の検出工程は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、ルミネセンス、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせを介する検出を含むことができる。
【0075】
実施形態(17):試料中の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)第1の検出可能な標識を含む第1の検出試薬;(b)第2の検出可能な標識を含む第2の検出試薬;(c)1つまたはそれ以下の分析物分子を含有するように構成される複数の反応容器を含むキット。
【0076】
実施形態(18):試料中の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)第1の検出可能な標識を含む第1の検出試薬;(b)第2の検出可能な標識を含む第2の検出試薬;(c)捕捉試薬を含む表面;および(d)1つまたはそれ以下の分析物分子を含有するように構成される複数の反応容器を含むキット。
【0077】
実施形態(17)および(18)の第1および第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、アプタマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一例では、第1および第2の検出試薬は、抗体を含む。捕捉抗体は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、例えば、捕捉抗体は抗体を含むことができる。一例では、捕捉試薬はターゲティング部分を含むことができ、表面はターゲティング部分相補体、例えば、ターゲティング部分を含むことができ、ターゲティング因子結合パートナーは以下の結合対から選択される:アビジン-ビオチン、ストレプトアビジン-ビオチン、受容体-リガンド、抗体-抗原、核酸-核酸相補体。
【0078】
実施形態(17)および(18)の表面は粒子であってもよい、および、例えば、捕捉試薬は複数の粒子に固定化される。あるいは、表面は反応容器の1つ内の位置である、および、例えば、捕捉試薬は複数の反応容器の表面に固定化される。場合により、反応容器はそれに固定化されたターゲティング部分を有する表面を有する、および捕捉試薬はターゲティング部分相補体を含む。複数の反応容器は、ナノウェルのアレイまたは油中水型エマルション中に分散される水滴を含むことができる。複数の反応容器は少なくとも10,000の反応容器を含むことができ、場合により、複数の反応容器のうちの一反応容器は100nL未満の容量を有する。
【0079】
実施形態(17)および(18)のキットでは、第1の検出可能な標識は、一組の酵素反応系の第1の酵素であってもよい、ならびに第2の検出可能な標識は、共役酵素反応系の第2の酵素である、ならびにキットは、1つまたはそれ以上の付加的なバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、反応系の1つまたはそれ以上の基質を含むことができる。例えば、第1の酵素は酸化酵素であり、第2の酵素はペルオキシダーゼであり、基質は酸化酵素基質および標識Amplex Redまたはルミノール誘導体を含む。特定の実施形態では、酸化酵素はグルコース酸化酵素である、および酸化酵素基質はグルコースである。第1および第2の検出可能な標識は近接依存性システムの構成要素であってもよい、例えば、第1の検出可能な標識はFRETドナーである、および検出可能な標識はFRETアクセプターである。第1および第2の検出可能な標識は、独立に測定されうる。場合により、第1および第2の検出可能な標識は、スペクトル特性に関して互いに異なる発光性標識である。
【0080】
実施形態(17)および(18)のキットでは、第1の検出可能な標識は、第1の基質と反応して第1のシグナルを産生する第1の酵素である、ならびに第2の検出可能な標識は、第2の基質と反応して異なる第2のシグナルを産生する第2の酵素である、ならびにキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、第1の酵素基質および第2の酵素基質を含むことができる。場合により、第1および第2のシグナルは、異なるスペクトル特性を有する光学的な吸光度における変化である。一例では、第1および第2のシグナルは、異なるスペクトル特性を有する発光シグナルである。第1および第2の酵素は、加水分解酵素であってもよい。一例では、第1および第2の酵素は、ホスファターゼ、スルファターゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、またはそれらの組み合わせから選択される。第1および第2の基質は、リン酸塩、硫酸塩、ガラクトシドおよびグルクロニド修飾され、安定化されているジオキセタン、4-メチルウンベリフェリル、フルオレセイン、またはそれらの組み合わせから選択することができる。場合により、第1および第2の酵素は、西洋わさびペルオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、およびアルカリホスファターゼから選択される。
【0081】
実施形態(19):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を捕捉試薬、第1の検出可能な標識を有する第1の検出試薬および第2の検出可能な標識を有する第2の検出試薬に結合させ、複合体を形成させること、ここで、該複合体中の該捕捉試薬は表面上に固定化される;(b)該第1および第2の検出試薬を架橋して、架橋した産物を形成すること;(c)該架橋した産物を該表面から溶出剤に放出すること;(d)該第1および第2の検出可能な標識の両方を含み、該溶出剤中の個々の架橋した産物を計数することを含む方法。この例(19)では、捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよい、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体である。さらには、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、詳細には、第2の検出試薬は、抗体であってもよい。1つの特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0082】
実施形態(19)は、架橋剤を添加して、第1および第2の検出試薬を架橋することをさらに含むことができ、例えば、第1および第2の検出試薬は、反応部分を含み、架橋剤は、反応部分に連結する多機能性架橋剤である。例えば、反応部分は、アミン、チオール、ヒドラジド、アルデヒド、エステル、ヨードアセトアミド、マレイミド、クリック化学試薬、およびそれらの組み合わせを含む。架橋剤は、アミン、チオール、ヒドラジド、アルデヒド、エステル、ヨードアセトアミド、マレイミド、クリック化学試薬、およびそれらの組み合わせを含むことができる。第1および第2の検出試薬は結合部分を含むことができ、架橋剤は結合部分の多価結合パートナーである。一例では、第1および第2の検出試薬は動物種の抗体である、ならびに架橋剤は動物種の多価抗種抗体ターゲティング抗体(multivalent anti-species antibody targeting antibodies)である。第1および第2の検出試薬はビオチンを含むことができ、架橋剤はストレプトアビジンである;第1および第2の検出試薬はストレプトアビジンを含み、架橋剤はビオチンである;第1および第2の検出試薬はストレプトアビジンに連結され、架橋剤は複数のビオチン分子を含むポリマーである;および/または第1および第2の検出試薬はそれぞれ第1および第2の核酸プローブを含み、架橋剤は、第1の核酸プローブに対して相補的な配列および第2の核酸プローブに対して相補的な別個の配列を含むことができるオリゴヌクレオチドである。
【0083】
実施形態(19)の表面は粒子、反応容器、例えば、チューブもしくはアンプルを含むことができ、および/または表面はマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。実施形態(19)の方法は、粒子を採取することおよび粒子を洗浄して不純物を除去することをさらに含むことができ、場合により、第1および第2の検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される。特定の例では、第1および第2の検出可能な標識はECL標識を含み、計数工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0084】
実施形態(20):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)固定化された捕捉試薬を含む表面;(b)第1の検出可能な標識を有する第1の検出試薬;(c)第2の検出可能な標識を有する第2の検出試薬;ならびに(d)該第1および第2の検出試薬と反応性の架橋剤を含むキット。
【0085】
実施形態(20)の第1および第2の検出試薬は反応部分を含むことができ、架橋剤は反応部分に連結する多機能性架橋剤である。反応部分は、アミン、チオール、ヒドラジド、アルデヒド、エステル、ヨードアセトアミド、マレイミド、クリック化学試薬、およびそれらの組み合わせを含むことができる;ならびに架橋剤はアミン、チオール、ヒドラジド、アルデヒド、エステル、ヨードアセトアミド、マレイミド、クリック化学試薬、およびそれらの組み合わせを含むことができる。実施形態(20)の第1および第2の検出試薬は結合部分を含むことができ、架橋剤は結合部分の多価結合パートナーである、例えば、第1および第2の検出試薬は動物種の抗体である、ならびに架橋剤は動物種の多価抗種抗体ターゲティング抗体である;第1および第2の検出試薬はビオチンを含み、架橋剤はストレプトアビジンである;第1および第2の検出試薬はストレプトアビジンを含み、架橋剤はビオチンである;第1および第2の検出試薬はストレプトアビジンに連結され、架橋剤は複数のビオチン分子を含むポリマーである;および/または第1および第2の検出試薬はそれぞれ第1および第2の核酸プローブを含み、架橋剤は、第1の核酸プローブに対して相補的な配列および第2の核酸プローブに対して相補的な別個の配列を含むことができるオリゴヌクレオチドである。
【0086】
実施形態(20)の表面は、粒子、マルチウェルプレートのウェル、または反応容器、例えば、チューブまたはアンプルを含むことができる。さらに、表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬は、表面上の別個の結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬はウェル内で別個の結合ドメインに位置する。表面は、電極も含むことができる。
【0087】
実施形態(21):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を捕捉試薬、第1の検出試薬および第2の検出試薬に結合させて、複合体を形成させること、ここで、該第1の検出試薬は第1の検出可能な標識および第1の核酸プローブを含むことができ、該第2の検出試薬は第2の検出可能な標識および第2の核酸プローブを含むことができ、該複合体中の該捕捉試薬は表面上に固定化される;(b)該第1および第2の検出試薬を、(i)該第1のプローブを該第2のプローブにハイブリダイズさせること、(ii)該第1および第2のプローブを該第1および第2のプローブに対して相補的な領域を有する第3の核酸にハイブリダイズさせること、または(iii)該第1および第2のプローブをライゲーションすることによって架橋すること;(c)該架橋した産物を該表面から溶出剤に放出すること;(d)該第1および第2の検出可能な標識の両方を含む、該溶出剤中の個々の架橋した産物を計数することを含む方法。
【0088】
実施形態(21)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよい、例えば、捕捉試薬は、抗体である。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第1の検出試薬は、抗体である;第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよい、例えば、第2の検出試薬は、抗体である。特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0089】
実施形態(21)の表面は、粒子、反応容器、例えば、チューブもしくはアンプル、またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。実施形態(21)の方法は、粒子を採取することおよび粒子を洗浄して不純物を除去することをさらに含むことができる。第1および第2の検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定することができる。特定の例では、第1および第2の検出可能な標識はECL標識を含み、計数工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0090】
実施形態(22):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)固定化された捕捉試薬を含む表面;(b)第1の検出可能な標識を有する第1の検出試薬および第1の核酸プローブ;(c)第2の検出可能な標識を有する第2の検出試薬および第2の核酸プローブ;ならびに(d)第1および第2の核酸プローブに対して相補的な領域を有する第3の核酸を含むキット。
【0091】
実施形態(22)の表面は、粒子、マルチウェルプレートのウェル、または反応容器、例えば、チューブまたはアンプルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬は表面上の別個の結合ドメインに位置する、ならびに表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬はウェル内で別個の結合ドメインに位置する。表面は、場合により、電極を含むことができる。
【0092】
実施形態(23):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を捕捉試薬、第1の検出試薬および第2の検出試薬に結合させて、複合体を形成させること、ここで、該第1の検出試薬は第1の核酸プローブを含むことができ、該第2の検出試薬は第2の核酸プローブを含むことができ、該複合体中の該捕捉試薬は表面上に固定化される;(b)該第2の核酸プローブを伸長して、検出可能な標識を含む伸長配列を形成させること(該伸長は、複合体中の該第1および第2の核酸プローブの共局在に依存的である);(c)該伸長配列を該表面から溶出剤に放出すること;ならびに(d)該溶出剤中の個々の伸長配列を計数することを含む方法。この実施形態では、捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである。特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであり、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体である。第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、詳細には、第2の検出試薬は、抗体である。特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0093】
実施形態(23)の表面は、粒子、反応容器、例えば、チューブもしくはアンプル;またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。実施形態(23)の方法は、粒子を採取することおよび粒子を洗浄して不純物を除去することをさらに含むことができる。
【0094】
実施形態(23)の標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定することができる。特定の例では、標識はECL標識を含むことができ、計数工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0095】
実施形態(23)の伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させることおよびプローブをポリメラーゼ連鎖反応法によって伸長させることを含むことができる。伸長工程は、第1のプローブを鋳型核酸配列に結合させること、環状の核酸鋳型を形成させること、および環状の鋳型をローリングサークル増幅によって伸長させることも含むことができる。伸長工程は、第1のプローブを鋳型核酸配列に結合させること、第2のプローブを鋳型配列に結合させること、ならびに第1および第2のプローブをライゲーションすることを含んでいてもよい。場合により、標識は蛍光標識である、および個々の伸長配列の計数は一分子蛍光検出を含むことができ、例えば、蛍光相関分光法(fluorescence correlation spectroscopy)および/または蛍光相互相関分光法(fluorescence cross-correlation spectroscopy)を含むことができる。一分子蛍光検出は、溶出剤をキャピラリーを通して流すこと、光源をキャピラリー内のある体積に焦点を当ててインタロゲーションゾーン(interrogation zone)を作ることおよびインタロゲーションゾーンを光検出器で観察して、インタロゲーションゾーンを通した蛍光分子の通過を検出することを含むことができる。一分子蛍光検出は、溶出剤をキャピラリーを通して流すこと、光源をキャピラリー内のある体積に焦点を当ててインタロゲーションゾーンを作ることおよびインタロゲーションゾーンを光検出器で観察して、インタロゲーションゾーンを通した蛍光分子の通過を検出することも含むことができる。
【0096】
実施形態(24):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を捕捉試薬、第1の検出可能な標識を有する第1の検出試薬および第2の検出可能な標識を有する第2の検出試薬に結合させ、複合体を形成させること、ここで、該複合体中の該捕捉試薬は表面上に固定化される;(b)形成される複合体を該表面から、固定化された捕捉試薬を表面から溶出剤に解離することによって放出させること;ならびに(c)該第1および第2の検出可能な標識の両方を含む、該溶出剤中の個々の産物を計数することを含む方法。この実施形態では、捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、捕捉試薬は、抗体である;第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第1の検出試薬は、抗体である;第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第2の検出試薬は、抗体である;ならびに、特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0097】
実施形態(24)の表面は、粒子、反応容器、例えば、チューブおよび/もしくはアンプル、またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。実施形態(24)の方法は、粒子を採取することおよび粒子を洗浄して不純物を除去することを含むことができる。第1および第2の検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定されうる、ならびに特定の実施形態では、第1および第2の検出可能な標識はECL標識を含み、計数工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0098】
実施形態(25):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該分析物を、(i)該分析物に関する捕捉試薬を含む表面上の該捕捉試薬;(ii)第1の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、結合試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させること;(b)該第1および第2のプローブが近接されることを必要とする伸長プロセスを用いて、該第2のプローブを伸長して、伸長配列を形成させること;ならびに(c)該表面に結合した伸長配列の量を測定することを含む方法。この実施形態では、捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、捕捉試薬は、抗体である;第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第1の検出試薬は、抗体である;第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである;例えば、第2の検出試薬は、抗体である;ならびに、特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0099】
実施形態(25)の伸長配列は1つまたはそれ以上の検出配列を含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることを含むことができる;伸長配列は1つまたはそれ以上の修飾塩基を含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることを含むことができる;および/または伸長配列は1つまたはそれ以上の標識塩基を含むことができ、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することを含むことができる。1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含み、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含み、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0100】
実施形態(25)の工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬;分析物を以下の種に以下の順序で結合させること:(i)分析物に関する検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬;または分析物を以下の種を同時にもしくは実質的に同時に結合させること:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する検出試薬。伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させることおよびプローブをポリメラーゼ連鎖反応法によって伸長させることを含むことができる;またはプローブを鋳型核酸配列に結合させること、環状の核酸鋳型を形成させること、および環状の鋳型をローリングサークル増幅によって伸長させること。この実施形態では、伸長されるプローブは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残ることができ、例えば、複合体は伸長工程後に表面に結合したままで残る。伸長工程は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自己持続合成反応)、または等温性の増幅方法を含むことができる。特定の例では、伸長工程は、等温性の増幅方法、例えば、ヘリカーゼ依存的な増幅またはローリングサークル増幅(RCA)を含むことができる。
【0101】
実施形態(25)の伸長プロセスは、工程(a)において形成される複合体を、(i)第2のプローブに対して相補的な内部配列および(ii)第1のプローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列と接触させることを含むことができる。プロセスは、コネクターオリゴヌクレオチドの2つの末端配列をライゲーションして、第1および第2のプローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させることをさらに含むことができる。実施形態(25)の伸長プロセスは、工程(a)において形成される複合体を、第1のプローブの第1の領域および第2のプローブにおける第1の領域に対して相補的な第1のコネクタープローブ配列を含む第1のコネクターオリゴヌクレオチド配列、ならびに第1のプローブの第2の非オーバーラップ領域および第2のプローブの第2の非オーバーラップ領域に対して相補的な第2のプローブ配列を含む第2のコネクターオリゴヌクレオチドと接触させることも含むことができる。プロセスは、第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドをライゲーションして、第1および第2のプローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させることも含むことができる。
【0102】
実施形態(25)の表面は、粒子またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する、表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することを含むことができる。方法は、場合により、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することを含む。測定工程は、伸長配列を検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中の分析物の量と相関させることをさらに含んでいてもよく、ここで、検出プローブは、伸長配列の領域に対して相補的である核酸配列を含む。検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定することができる。特定の例では、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0103】
実施形態(26):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)該分析物に関する捕捉試薬を含む表面;(b)第1の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第1の検出試薬;ならびに(c)第2の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第2の検出試薬を含むキット。
【0104】
実施形態(26)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、例えば、捕捉試薬は、抗体を含むことができる;第1の検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、例えば、第1の検出試薬は抗体を含むことができる;第2の検出試薬は抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、例えば、第2の検出試薬は抗体を含むことができる;ならびに表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する;ならびに表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。場合により、表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する、表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。表面は、電極を含むことができる。
【0105】
実施形態1~26の表面は、アッセイ容器、例えば、試験管、キュベット、フローセル、FACSセルソーター、カートリッジ、またはマルチウェルプレートのウェルの内部表面を含むことができる。表面は、スライド、アッセイチップ、またはアッセイアレイ;ピン、プローブ、ビーズ、またはろ過培地;ラテラルフローメディア(lateral flow media)、例えば、ろ過膜も含むことができる。
【0106】
実施形態(27):1つまたはそれ以上の分析物分子を含む試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該試料を、表面上に位置する複数の解像可能な結合領域を含む該表面と接触させること(各解像可能な結合領域は該試料中の1つまたはそれ以上の分析物分子に関する複数の捕捉試薬を含む);(b)1つまたはそれ以上の分析物分子を、(i)該表面上の1つまたはそれ以上の捕捉試薬に結合させること;(ii)第1の検出可能な標識を含む該分析物に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の検出可能な標識を含む該分析物に関する第2の検出試薬;それにより、該捕捉試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上の解像可能な結合ドメインにおいて検出複合体を形成させること、ここで、該第1および第2の検出可能な標識は異なる標識化合物である;(c)各結合領域における該分析物分子の存在または非存在を決定すること;ならびに(d)該分析物分子を含有する結合領域の数および/または該分析物分子を含有しない結合領域の数を同定することを含む方法。同定工程は、表面からの光学的なシグナルをイメージングして、複数のピクセルを含むイメージを生成することを含むことができ、各解像可能な結合領域は、イメージにおいて1つまたはそれ以上のピクセルへとマップされる。解像可能な結合領域は、アレイの要素であってもよいおよび/または個々の粒子に単離されるように構成されてもよい。各解像可能な結合領域は<100nLの体積を有する個々のナノ-ウェルであってもよいおよび/または少なくとも99%の結合領域はゼロまたは1つの分析物分子を含有する;少なくとも約95%の結合領域は、ゼロまたは1つの分析物分子を含有する;少なくとも約80%の結合領域は、ゼロまたは1つの分析物分子を含有する;あるいは、少なくとも約50%の結合領域は、ゼロまたは1つの分析物分子を含有する。試料中の分析物分子の濃度は、少なくとも1つまたは1つの分析物分子を含有する、結合領域の数のキャリブレーション曲線、ポアソン分布分析および/またはガウス分布分析を用いて少なくとも部分的に決定されてもよい。
【0107】
実施形態(27)の表面は分析物分子に関する複数の結合試薬を各々含む複数の粒子を含むことができ、ここで、複数の粒子は複数の解像可能な結合領域にわたって分布する、方法は、(i)1つまたはそれ以上の分析物分子を、表面上の1つまたはそれ以上の捕捉試薬、ならびに1つまたはそれ以上の分析物分子の各々に関する第1および第2の検出試薬に結合させること、ここで、第1および第2の検出試薬はそれぞれ第1および第2の検出可能な標識を含む;(ii)複数の粒子を解像可能な結合領域のアレイにわたって分布させること;ならびに(iii)分析物分子を含有する結合領域の数および/または分析物分子を含有しない結合領域の数を同定するために、各解像可能な結合領域における分析物分子の存在または非存在を決定することを含むことができ、ここで、場合により、各解像可能な結合領域は<100nLの体積を有する個々のナノ-ウェルであるおよび/または少なくとも99%の結合領域はゼロまたは1つの分析物分子を含有する;少なくとも約95%の結合領域は、ゼロまたは1つの分析物分子を含有する;少なくとも約80%の結合領域は、ゼロまたは1つの分析物分子を含有する;および/または少なくとも約50%の結合領域は、ゼロまたは1つの分析物分子を含有する。
【0108】
実施形態(27)における捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、捕捉試薬は、抗体である。第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第1の検出試薬は、抗体である;第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第2の検出試薬は、抗体である。特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0109】
実施形態(27)の工程(a)は、分析物を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する第1および第2の検出試薬;分析物を以下の種に以下の順序で結合させること:(i)分析物に関する第1および第2の検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬;または分析物を以下の種を同時にもしくは実質的に同時に結合させること:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)分析物に関する第1および第2の検出試薬。
【0110】
実施形態(27)の表面は、粒子またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。特定の例では、表面は電極を含むことができ、同定工程は電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することを含むことができる。実施形態(27)の方法は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することをさらに含むことができる。第1の検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される;および/または第2の検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される。第1および第2の検出可能な標識は独立に測定することができ、一例では、第1および第2の検出可能な標識はスペクトル特性に関して互いに異なる発光性標識である。
【0111】
実施形態(27)の表面は、アッセイ容器、例えば、試験管、キュベット、フローセル、FACSセルソーター、カートリッジ、またはマルチウェルプレートのウェルの内部表面を含むことができる。表面は、スライド、アッセイチップ、またはアッセイアレイ;ピン、プローブ、ビーズ、またはろ過培地;ラテラルフローメディア、例えば、ろ過膜も含むことができる。
【0112】
実施形態(28):1つまたはそれ以上の分析物分子を含む試料中の目的の分析物を検出するためのキットであって、(a)表面上に位置する複数の解像可能な結合領域を含む表面(各解像可能な結合領域は該試料中の1つまたはそれ以上の分析物分子に関する複数の捕捉試薬を含む);(b)第1の検出可能な標識を含む該分析物に関する第1の検出試薬;ならびに(c)第2の検出可能な標識を含む該分析物に関する第2の検出試薬を含み;ここで、該第1および第2の検出可能な標識は、異なる標識化合物である、キット。
【0113】
実施形態(28)の解像可能な結合領域は、アレイの要素であってもよいおよび/または個々の粒子に単離されるように構成されてもよい。各解像可能な結合領域は、場合により、<100nLの体積を有する個々のナノ-ウェルである。表面は分析物分子に関する複数の結合試薬を各々含む複数の粒子を含むことができ、ここで、複数の粒子は複数の解像可能な結合領域にわたって分布する、キットは、1つまたはそれ以上の分析物分子の各々に関する第1および第2の検出試薬を含むことができ、ここで、第1および第2の検出試薬はそれぞれ第1および第2の検出可能な標識を含む。
【0114】
実施形態(28)における捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、捕捉試薬は、抗体である。第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第1の検出試薬は、抗体である;第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第2の検出試薬は、抗体である。特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、分析物に対する抗体である。
【0115】
実施形態(28)の表面は、粒子またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。特定の例では、表面は電極を含むことができ、同定工程は電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することを含むことができる。第1の検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される;および/または第2の検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される。第1および第2の検出可能な標識は独立に測定することができ、一例では、第1および第2の検出可能な標識はスペクトル特性に関して互いに異なる発光性標識である。
【0116】
実施形態(28)の表面は、アッセイ容器、例えば、試験管、キュベット、フローセル、FACSセルソーター、カートリッジ、またはマルチウェルプレートのウェルの内部表面を含むことができる。表面は、スライド、アッセイチップ、またはアッセイアレイ;ピン、プローブ、ビーズ、またはろ過培地;ラテラルフローメディア、例えば、ろ過膜も含むことができる。
【0117】
実施形態(29):試料中のHIV p24を検出する方法であって、(a)HIV p24を、(i)HIV p24に関する捕捉試薬を含む表面上の該捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;(ii)第1の核酸プローブに連結された、HIV p24に関する第1の検出試薬;ならびに(iii)第2の核酸プローブに連結された、HIV p24に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、結合試薬、HIV p24ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させること;(b)該第1および第2のプローブが近接されることを必要とする伸長プロセスを用いて、該第2のプローブを伸長して、該アンカー配列に対して相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列を形成させること;(c)該アンカー配列を該アンカー配列相補体にハイブリダイズさせること;ならびに(d)該表面に結合した伸長配列の量を測定することを含む方法。
【0118】
実施形態(29)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよい。特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであり、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体である。第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーであってもよく、特定の例では、第2の検出試薬は、抗体である。より詳細には、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、HIV p24に対する抗体である。
【0119】
実施形態(29)では、アンカーオリゴヌクレオチド配列は、1本鎖オリゴヌクレオチド配列または2本鎖オリゴヌクレオチド配列を含むことができる。この実施形態では、伸長配列は1つまたはそれ以上の検出配列を含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることを含むことができる。伸長配列は1つまたはそれ以上の修飾塩基も含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることを含むことができる。伸長配列は1つまたはそれ以上の標識塩基をさらに含むことができ、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することを含むことができる。1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができ、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。例えば、1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含み、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含み、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含み、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0120】
実施形態(29)の工程(a)は、HIV p24を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)HIV p24に関する検出試薬。あるいは、工程(a)は、HIV p24を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)HIV p24に関する検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬;または工程(a)は、HIV p24を以下の種を同時にもしくは実質的に同時に結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)HIV p24に関する検出試薬。
【0121】
実施形態(29)の伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させることおよびプローブをポリメラーゼ連鎖反応法によって伸長させることを含むことができる。伸長工程は、プローブを鋳型核酸配列に結合させること、環状の核酸鋳型を形成させること、および環状の鋳型をローリングサークル増幅によって伸長させることをさらに含むことができる。伸長されるプローブは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残ることができ、例えば、複合体は伸長工程後に表面に結合したままで残る。伸長されるプローブは、表面上の複合体の位置の10~100um内のポジションで、アンカー試薬に結合されてもよい。1つの特定の実施形態において、伸長プローブは、表面上の複合体の位置から100um未満、50um未満、またはより詳細には、10um未満の位置のアンカー試薬に結合される。伸長工程は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自己持続合成反応)、または等温性の増幅方法を含むことができる。特定の例では、伸長工程は、等温性の増幅方法を含むことができ、例えば、ヘリカーゼ依存的な増幅またはローリングサークル増幅(RCA)である。
【0122】
実施形態(29)の伸長プロセスは、工程(a)において形成される複合体を、(i)第2のプローブに対して相補的な内部配列および(ii)第1のプローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列と接触させることを含むことができる。方法は、コネクターオリゴヌクレオチドの2つの末端配列をライゲーションして、第1および第2のプローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させることをさらに含むことができる。あるいは、伸長プロセスは、実施形態(29)の工程(a)において形成される複合体を、第1のプローブの第1の領域および第2のプローブにおける第1の領域に対して相補的な第1のコネクタープローブ配列を含む第1のコネクターオリゴヌクレオチド配列、ならびに第1のプローブの第2の非オーバーラップ領域および第2のプローブの第2の非オーバーラップ領域に対して相補的な第2のプローブ配列を含む第2のコネクターオリゴヌクレオチドと接触させること;ならびに、場合により、第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドをライゲーションして、第1および第2のプローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させることを含むことができる。
【0123】
実施形態(29)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインも含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。特定の例では、表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形を適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することを含むことができ、場合により、実施形態(29)の方法は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することをさらに含む。
【0124】
実施形態(29)の測定工程は、伸長配列を検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中のp24の量と相関させることを含むことができ、ここで、検出プローブは、伸長配列の領域に対して相補的である核酸配列を含む。検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定することができる。特定の例では、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0125】
実施形態(30):試料中のHIV p24の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、(a)(i)HIV p24に関する捕捉試薬、および(ii)アンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬を含む表面;(b)第1の核酸プローブに連結された、HIV p24に関する第1の検出試薬;ならびに(c)第2の核酸プローブに連結された、HIV p24に関する第2の検出試薬を含むキット。
【0126】
実施形態(30)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、捕捉試薬は、抗体を含むことができる。同様に、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、第1の検出試薬は、抗体を含むことができる。類似して、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーを含むことができ、特定の例では、第2の検出試薬は、抗体を含むことができる。
【0127】
実施形態(30)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する;および/または、表面がウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にあってもよい。特定の例では、表面は、電極を含むことができる。
【0128】
実施形態(31):試料中のHIV p24を検出する方法であって、(a)HIV p24を、(i)捕捉試薬を含む表面上のHIV p24に関する該捕捉試薬、およびアンカー試薬;(ii)第1の近接プローブを含む、HIV p24に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の近接プローブを含む、HIV p24に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、HIV p24ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に検出複合体を形成させること;(b)(c)において形成される該検出複合体を、(i)該第2の近接プローブに対して相補的な内部配列および(ii)該第1の近接プローブの非オーバーラップ領域に対して相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列と接触させること;(c)該コネクター配列を該第1および第2の近接プローブにハイブリダイズさせること;(d)コネクターオリゴヌクレオチドの2つの末端配列をライゲーションして、該第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させること;(e)該第2の近接プローブを該標的配列のローリングサークル増幅によって伸長させて、該アンカー試薬に結合する結合ドメインを含むアンプリコンを生成すること;(f)該アンプリコンを該アンカー試薬に結合させること;ならびに(g)該表面上のアンプリコンの量を測定することを含む方法。
【0129】
実施形態(32):試料中のHIV p24を検出する方法であって、(a)HIV p24を:(i)捕捉試薬を含む表面上のHIV p24に関する該捕捉試薬、およびアンカー試薬;(ii)第1の近接プローブを含む、HIV p24に関する第1の検出試薬、および(iii)第2の近接プローブを含む、HIV p24に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、HIV p24ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に検出複合体を形成させること;(b)(c)において形成される検出複合体を、第1のコネクターオリゴヌクレオチドおよび第2のコネクターオリゴヌクレオチドと接触させること、ここで、(i)該第1のコネクターの第1の末端および該第2のコネクターの第1の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的であるならびに(ii)該第1のコネクターの第2の末端および該第2のコネクターの第2の末端は、該第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に対して相補的である;(c)該第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドを該第1および第2の近接プローブにハイブリダイズさせること;(d)該第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドをライゲーションして、該第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズする環状の標的配列を形成させること;(e)該第2の近接プローブを該標的配列のローリングサークル増幅によって伸長させて、該アンカー試薬に結合する結合ドメインを含むアンプリコンを生成すること;(f)該アンプリコンを該アンカー試薬に結合させること;ならびに(g)該表面上のアンプリコンの量を測定することを含む方法。
【0130】
実施形態(31)および(32)の捕捉試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、特定の例では、捕捉試薬は、抗体である。類似して、第1の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第1の検出試薬は、抗体である。さらに、第2の検出試薬は、抗体、抗原、リガンド、受容体、オリゴヌクレオチド、ハプテン、エピトープ、ミミトープ、またはアプタマーである、例えば、第2の検出試薬は、抗体である。実施形態(31)および(32)の特定の例では、捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬は、HIV p24に対する抗体である。
【0131】
実施形態(31)および(32)のアンカー試薬は、オリゴヌクレオチド配列、アプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができる。一例では、結合ドメインはアプタマーを含むことができ、アンカー試薬はアプタマーリガンドを含むことができる。結合ドメインは核酸配列を含むことができ、アンカー試薬はDNA結合タンパク質を含むことができる;および/またはアンカー試薬はオリゴヌクレオチド配列を含むことができ、アンプリコンは相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むことができる。
【0132】
実施形態(31)および(32)のアンプリコンは1つまたはそれ以上の検出配列を含むことができ、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の検出配列に対して相補的な複数の標識プローブと接触させることを含むことができる。さらには、アンプリコンは1つまたはそれ以上の修飾塩基をさらに含んでいてもよく、測定工程は伸長配列を1つまたはそれ以上の修飾塩基と結合することが可能な複数の検出可能な部分と接触させることを含むことができる。さらにまた、アンプリコンは1つまたはそれ以上の標識塩基をさらに含んでいてもよく、測定工程は1つまたはそれ以上の標識塩基の存在を検出することを含むことができる。1つまたはそれ以上の修飾塩基はアプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープを含むことができ、複数の検出可能な部分は1つまたはそれ以上の修飾塩基および検出可能な標識の結合パートナーを各々含む。1つまたはそれ以上の修飾塩基はストレプトアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はストレプトアビジンおよび検出可能な標識を各々含む;1つまたはそれ以上の修飾塩基はアビジンを含むことができ、複数の検出可能な部分はビオチンおよび検出可能な標識を各々含む;および/または1つまたはそれ以上の修飾塩基はビオチンを含むことができ、複数の検出可能な部分はアビジンおよび検出可能な標識を各々含む。
【0133】
実施形態(31)および(32)の工程(a)は、HIV p24を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)HIV p24に関する第1および第2の検出試薬。あるいは、工程(a)は、HIV p24を以下の種に以下の順序で結合させることを含むことができる:(i)HIV p24に関する第1および第2の検出試薬;および(ii)表面上の捕捉試薬。さらにまた、工程(a)は、HIV p24を以下の種を同時にもしくは実質的に同時に結合させることを含むことができる:(i)表面上の捕捉試薬;および(ii)HIV p24に関する第1および第2の検出試薬。
【0134】
実施形態(31)および(32)のアンプリコンは、プローブ伸長後に表面上に局在化したままで残る。複合体は、伸長工程後に表面に結合したままで残ることができる。例えば、アンプリコンは、表面上の複合体の位置の10~100um内のポジションで、アンカー試薬に結合する。1つの特定の実施形態において、伸長プローブは、表面上の複合体の位置から100um未満、50um未満、またはより詳細には、10um未満の位置のアンカー試薬に結合される。
【0135】
実施形態(31)および(32)の表面は、粒子および/またはマルチウェルプレートのウェルを含むことができる。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の2つの別個の結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で2つの別個の結合ドメインに位置する。表面は複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬は表面上の同じ結合ドメインに位置する。表面がプレートのウェルである場合、ウェルは複数の別個の結合ドメインを含むことができ、捕捉試薬およびアンカー試薬はウェル内で同じ結合ドメインに位置する。特定の例では、捕捉試薬およびアンカー試薬は、表面上で10~100nm内にある。
【0136】
さらにまた、表面は電極を含むことができ、測定工程は電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンス(electrochemiluminesce)シグナルを生成することを含むことができる。これらの実施形態((31)および(32))では、方法は、粒子を電極上で採取することおよび電位波形を電極に適用して、エレクトロケミルミネッセンスシグナルを生成することをさらに含むことができる。測定工程は、アンプリコンを検出可能な標識を有する検出プローブに結合させること、検出可能な標識を測定すること、および測定値を試料中の分析物の量と相関させることを含むことができ、ここで、検出プローブは、アンプリコンの領域に対して相補的である核酸配列を含む。検出可能な標識は、光散乱、光学的な吸光度、蛍光、化学発光、エレクトロケミルミネッセンス、バイオルミネセンス、リン光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせの測定によって測定される。例えば、検出可能な標識はECL標識であり、測定工程はECLシグナルを測定することを含むことができる。
【0137】
実施形態(33):試料中の目的の分析物を検出する方法であって、(a)該試料を、第1の核酸プローブに連結された第1の検出試薬に結合した該分析物を含む分析物複合体を形成するために十分な条件下で濃縮すること;(b)工程(a)において形成された該分析物複合体を:(i)捕捉試薬を含む表面上の該分析物に関する該捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;ならびに(ii)第2の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、該捕捉試薬、該分析物ならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させること;(c)該第1および第2のプローブが近接されることを必要とする伸長プロセスを用いて、該第2のプローブを伸長して、該アンカー配列に対して相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列を形成させること;(d)該アンカー配列を該アンカー配列相補体にハイブリダイズさせること;ならびに(e)該表面に結合した伸長配列の量を測定することを含む方法。濃縮工程(a)は、(i)分析物を含む試料を、第1の核酸プローブの少なくとも一部に対して相補的なターゲティング因子に連結された固相と接触させ、それにより固相に結合した分析物を含む濃縮複合体を第1の核酸プローブとターゲティング因子の間の結合反応を介して形成させること;(ii)濃縮複合体を収集すること;(iii)試料の非結合構成要素を濃縮複合体から分離すること;ならびに固相を分析物から分離するために濃縮複合体を放出して、分析物複合体を形成させることをさらに含むことができる。
【0138】
実施形態(34):試料中の目的の分析物の検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて:(a)(i)該分析物に関する捕捉試薬、および(ii)アンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬を含む表面;(b)第1の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第1の検出試薬;(c)第2の核酸プローブに連結された、該分析物に関する第2の検出試薬;ならびに(d)該第1の核酸プローブの少なくとも一部に対して相補的なターゲティング因子を含む固相を含む、キット。
【0139】
実施形態(35):試料中のエクソソームを検出する方法であって、(a)該エクソソームを、(i)該エクソソームに関する捕捉試薬を含む表面上の該捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;(ii)第1の核酸プローブに連結された、該エクソソームに関する第1の検出試薬;ならびに(iii)第2の核酸プローブに連結された、該エクソソームに関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、結合試薬、該エクソソームならびに該第1および第2の検出試薬を含む該表面上に複合体を形成させること;(b)第1および第2のプローブが近接されることを必要とする伸長プロセスを用いて、該第2のプローブを伸長して、アンカー配列に対して相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列を形成させること;(c)該アンカー配列を該アンカー配列相補体にハイブリダイズさせること;ならびに(d)該表面に結合した伸長配列の量を測定することを含む、方法。
【0140】
実施形態(36):試料中の目的のエクソソームの検出のためのキットであって、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメント内に:(a)(i)該エクソソームに関する捕捉試薬、および(ii)アンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬を含む表面;(b)第1の核酸プローブに連結された、該エクソソームに関する第1の検出試薬;ならびに(c)第2の核酸プローブに連結された、該エクソソームに関する第2の検出試薬を含む、キット。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1-1】図1(a)~(c)は、免疫アッセイにおける固定試薬の使用を説明する図である。図1(a)は、捕捉試薬、目的の分析物、および核酸プローブを含む検出試薬を含む検出複合体に結合し安定化させるための固定試薬の使用を示す。核酸プローブは伸長して固定試薬に結合される。
図1-2】図1(b)では、固定試薬は、検出試薬上に形成される伸長された配列の一部分に相補的な領域を含むオリゴヌクレオチド配列を含んでいる。
図1-3】図1(c)は、それぞれに核酸プローブを含む2つの検出試薬を使用して分析物に結合する、特定の実施形態を示す図である。検出試薬上のプローブには増幅プロセスが適用され、伸長したプローブの1つがアンカーオリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能となる。
図2-1】図2(a)は、固定試薬を有する表面上で形成された免疫複合体にPLA-RCAプロセスを適用し、免疫複合体に結合した伸長配列内に複数の検出可能な種を組み入れる、特定の実施形態を示す図である。
図2-2】図2(b)および2(c)は連結オリゴヌクレオチドの2つの代替構成の図である。図2(b)および2(c)は、本発明の方法において使用することができる連結オリゴヌクレオチドの2つの代替的な構成の図である。
図3】タンパク質にオリゴヌクレオチドを取り付ける一方法を示す図である。
図4-1】図4(a)は、表面の境界複合体が、捕捉試薬、分析物、および2つの検出試薬の間で形成されており、検出試薬各々には、第1および第2近接プローブにそれぞれ結合しており、これら近接プローブはコネクタープローブにライゲートして、ローリングサークル増幅により増幅される環状DNA鋳型を形成する、本発明の好ましい実施形態を示す図である。図4(a)は、アッセイ方法が進行するにつれ形成されるアンプリコンの配列に対して相補的なアンカーオリゴヌクレオチド配列を含む増幅試薬もまた含んでいる。
図4-2】図4(b)は第1の環状DNA鋳型Circ-1、検出オリゴヌクレオチド配列、アンプリコンの不活性領域、および第2近接プローブにハイブリダイズように設計されたPP2部分の例示的な配列を示す。
図4-3】代替的な実施形態は図4(c)において示される。
図5】ローリングサークル増幅により増幅できるアンプリコンを生成する代替方法を説明する図である。
図6-1】ローリングサークル増幅により増幅できるアンプリコンを生成する代替方法を説明する図である。
図6-2】ローリングサークル増幅により増幅できるアンプリコンを生成する代替方法を説明する図である。
図7】サンドイッチ複合体において、近接プローブの各々の一部分が、各セグメントにハイブリダイズさせたRNAの短鎖により一時的に保護される、別の実施形態を説明する図である。これら鎖は、近接プローブが互いにハイブリダイズできるよう、また鎖が伸長できるよう酵素で除去される。
図8】捕捉試薬および検出試薬に近接プローブが結合され、図7で記述したように各近接プローブの一部分が、そこへハイブリダイズしたRNAの短鎖により一時的に保護される、さらなる実施形態を示す図である。
図9】実施例1に記述した方法を使用して導出したIL-10アッセイの検量線を示す図である。
図10図10(a)~(b)は、固定試薬を使用した場合(a)と使用しない場合(b)の蛍光顕微鏡画像を示す写真である。
図11-1】図11(a)は、ライゲーション部位1または2を含む単一の線状コネクターオリゴヌクレオチド配列の構成と、本発明のアッセイにおけるこれらコネクターの使用を示す図である。
図11-2】図11(b)は、Circ-1およびCirc-2の組み合わせを使用したアッセイと、ライゲーション部位1を含む単一の線状コネクターオリゴヌクレオチド配列、またはライゲーション部位2を有する単一の線状コネクターオリゴヌクレオチド配列のいずれかを使用したアッセイの比較性能データを示す図である。
図12】実施例1および6に記述した方法を使用して導出したHIV p24アッセイの検量線である。
図13】実施例1および6に記述した方法を使用した、セロコンバージョンパネルの分析の結果を示すである。
図14図14(a)~(c)は、分析物濃縮工程を含むHIVp24に関するアッセイの結果を示す図である。
図15】分析物濃縮工程を含むHIVp24アッセイに関する検量線を示す図である。
図16】分析物濃縮工程を含む本明細書に記載されたアッセイ方法の模式的な説明図である。
図17】本明細書に記載されたアッセイ方法の模式的な説明図であり、ここで、捕捉試薬および/またはアンカー試薬を介して表面に結合されるより前にアンプリコンが溶液中で形成される。
図18】アンプリコンに付着するために複数の留め金配列の使用を取り込み、それにより、よりコンパクトな構造を表面上に形成するアッセイ方法の模式的な説明図である。
図19】3AB PLA-RCA技術を取り込んだ架橋免疫アッセイ形式ならびに捕捉試薬を表面に結合させるためのターゲティング部分およびその相補体の使用の模式的な説明図である。
図20-1】図20(a)は、鋳型形成に関する生合成方法の模式的な説明図である。
図20-2】図20(b)は、鋳型形成に関する生合成方法の模式的な説明図である。
図21】試料多重化の模式的な説明図である。
図22】本明細書に記載される方法を使用したリポタンパク質複合体の検出の模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0142】
本明細書において他に定義しない限り、本発明に関連する科学的および技術的な用語は、当業者により広く理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって他に必要とされない限り、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含むものとする。本明細書において使用される冠詞の「a」および「an」はその冠詞の文法上の目的格の1つまたは複数(つまり少なくとも1つ)について言及する。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0143】
本発明は(i)アッセイにおいて使用される標的分析物および1つまたはそれ以上の分析物結合試薬間で形成される検出複合体をアンカーすること;および/または(ii)標識した検出複合体からのシグナルを増幅することを含む、改良された免疫アッセイを含む。アンカーは、低結合親和性の相互作用および/または高分子量標識もしくは標識部位を含む複合体を安定させるために使用してもよい。シグナルの増幅は、伸長プローブを複数の標識または検出標識部位を含む結合複合体に付着させることによって実現でき、そのことによって個々の検出複合体の各々についての検出可能なシグナルを増幅する。好ましい実施形態において、複数の標識または検出標識部位を含む伸長プローブを検出複合体に付着させること、および複合体が表面に確実に保持されるように、複合体を表面にアンカーすることが方法に含まれる。この改変アッセイは、非常に低い数の結合事象を検出するために使用することができ、個々の分析物結合試薬複合体であってもそれが可能である。基本的なアプローチは免疫アッセイに限られることはなく、結合試薬の他のクラスを用いた結合アッセイを行うことにも使用することができる。
【0144】
結合アッセイを改善するために使用できる1つの方法は、表面に結合させたアンカー試薬を使用して目的の分析物を含む検出複合体を表面に接着させることおよび検出複合体を安定化させることである。このアプローチは検出複合体を形成する試薬間の低結合親和性を克服するためおよび/または複合体がその後のプロセスの前に表面から解離することを防ぐために使用してもよい。結合アッセイにおけるアンカー試薬の使用について、図1(a)に図示した。表面(101)には、分析物Aに結合する捕捉試薬(102)、およびアンカー試薬(103)が含まれる。1つまたはそれ以上の工程において、分析物は捕捉試薬およびさらに分析物に結合する検出試薬(104)に結合する。ここで、検出試薬は核酸プローブ(105)に連結している。分析物は捕捉試薬および検出試薬に同時にまたは実質的に同時に結合することができるか、あるいは分析物は捕捉試薬および検出試薬に(いずれかの順序において)順次に結合することができる。したがって、複合体(106)は、捕捉試薬、分析物、および検出試薬を含む表面上に形成される。プローブは伸長され、アンカー試薬に結合するアンカー領域を含む伸長配列(107)を形成する。伸長配列はアンカー試薬に結合し、表面に結合した伸長配列の量が測定される。
【0145】
結合アッセイの分野の当業者は、本方法において使用してもよい捕捉試薬および対応する結合パートナーの範囲を容易に理解する。そのような対の非限定的なリストとして、(いずれかの順序において)受容体/リガンドの対、抗体/抗原、天然または合成受容体/リガンドの対、ハプテン/抗体の対、抗原/抗体の対、エピトープ/抗体の対、ミミトープ(mimitope)/抗体の対、アプタマー/標的分子の対、ハイブリダイゼーションパートナーおよびインターカレーター/標的分子の対が挙げられる。1つの実施形態において、結合アッセイは、抗体または他の受容体タンパク質を目的の分析物の捕捉試薬および/または検出試薬として使用する。用語「抗体」は、インタクトな抗体分子(インビトロで抗体サブユニットの再会合によって構築されたハイブリッド抗体を含む)、抗体断片および抗体の抗原結合ドメインを含む組み換えタンパク質コンストラクト(例えばPorter,R.R.およびWeir,R.C.J.Cell Physiol.,67(補足);51~64頁(1966)ならびにHochman,1.Inbar,D.およびGivol,D.Biochemistry 12:1130頁(1973)に記載のような)、ならびに、例えば検出可能な標識の導入による、化学的に修飾した抗体コンストラクトを含む。
【0146】
同様に、アンカー試薬および対応するアンカーメンバーまたは領域には、任意の適切な結合の対、例えば、受容体/リガンドの対、抗体/抗原、天然または合成受容体/リガンドの対、ハプテン/抗体の対、抗原/抗体の対、エピトープ/抗体の対、ミミトープ/抗体の対、アプタマー/標的分子の対、ハイブリダイゼーションパートナーおよびインターカレーター/標的分子の対、ならびに静電気帯電により結合した表面およびアンカー試薬の使用が含まれてもよい。例えば、アンカー試薬は、オリゴヌクレオチド配列、アプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、またはミメトープ(mimetope)であってよく、および対応するアンカー領域にはそれぞれ、相補オリゴヌクレオチド配列、アプタマーリガンド、アプタマー、抗原、抗体、受容体、リガンド、または抗体を含む。1つの特定の実施形態として、アンカー領域はオリゴヌクレオチド配列であって、アンカー試薬はDNA結合タンパク質を含む。代替的には、アンカー領域が二重鎖オリゴヌクレオチド配列であるならば、アンカー試薬はインターカレーターを含んでもよい。さらなる実施形態として、アンカー領域は1つまたはそれ以上の修飾オリゴヌクレオチド塩基を含み、対応するアンカー試薬はアンカー領域上の修飾塩基に結合する1つまたはそれ以上の部分を含む。例えば、修飾塩基にはハプテンまたはリガンドを含んでもよく、対応するアンカー試薬にはそれぞれ、ハプテンまたはリガンドに特異的な1つまたはそれ以上の抗体またはリガンドを含んでもよい。さらに、アンカー領域は、検出複合体を検出するために使用することができる多数の標識ヌクレオチド塩基を含んでもよい。
【0147】
図1(b)において示した特定の実施形態において、表面に結合したアンカー試薬には、検出複合体を表面にアンカーするために使用されるオリゴヌクレオチドを含んでもよい。アンカーオリゴヌクレオチド配列は、検出複合体に付着した相補的なオリゴヌクレオチド配列に結合する。この実施形態において、表面(108)は、分析物、Aに結合する捕捉試薬(109)、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列(111)を含むアンカー試薬(110)を含む。1つまたはそれ以上の工程において、分析物は捕捉試薬およびさらに分析物に結合する検出試薬(112)に結合する。ここで、検出試薬は核酸プローブ(113)に連結している。図1(a)において前に記載したように、分析物は捕捉試薬および検出試薬に同時にもしくは実質的に同時に結合することができるか、または分析物は各々の捕捉試薬および検出試薬に(いずれかの順序において)順次に結合することができる。したがって、複合体(114)は、結合試薬、分析物、および検出試薬を含む表面上において形成される。プローブは伸長され、アンカー配列に相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列(115)を形成する。アンカー配列はアンカー配列相補体にハイブリダイズし、表面に結合した伸長配列の量が測定される。
【0148】
検出複合体は1つまたはそれ以上の検出試薬を、例えば分析物に対するアッセイの特異性を増強させるために含ませることができる。例えば、各々の検出試薬が分析物に接近している場合に検出可能なシグナルを発信するようにアッセイが設計されているか、または分析物に結合した単体の検出試薬からのシグナルが、分析物に結合した複数の検出試薬から発信したシグナルと区別できるのであれば、複数の検出試薬を使用することにより、アッセイの特異性を増強させることができる。そのようなアッセイの1つの実施形態を図1(c)に示す。表面(116)は、分析物Aに結合する捕捉試薬(117)、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列(119)を含むアンカー試薬(118)を含む。1つまたはそれ以上の工程において、分析物は捕捉試薬および分析物に結合する2つの(またはそれ以上の)検出試薬(それぞれ、120および121)の各々に結合し、各々の第1および第2の検出試薬は核酸プローブ(122および123、それぞれ第1および第2の核酸プローブ)に連結される。分析物は捕捉試薬および検出試薬に同時にもしくは実質的に同時に、または順次的に、段階的に結合することができる。したがって、複合体(124)は捕捉試薬、分析物、ならびに第1および第2の検出試薬を含む表面上に形成される。第1および第2のプローブが互いに近接していることを必要とする伸長プロセスを用いて、第1のプローブは、アンカー配列に相補的なアンカー配列相補体を含む伸長配列(125)を形成するように伸長される。最後から二番目の工程において、アンカー配列はアンカー配列相補体にハイブリダイズされ、表面上に結合した伸長配列の量が測定される。
【0149】
図1(c)に示した方法の特定の実施形態を図2(a)に示すが、ここで、アンカー試薬は検出複合体を表面に接着させるために使用し、検出複合体に付着したプローブはアンカー試薬に結合する伸長領域を生成するように伸長される。この実施形態において、複合体は近接プローブに結合する2つの検出試薬を使用して検出される。本方法は検出試薬をコネクター配列に接合させることを含み、その後、コネクター配列はライゲーションさせることにより環状標的配列を形成し、ローリングサークル増幅法によりアンカー試薬に結合したアンプリコンを生成させる。表面(201)は、捕捉試薬(202)およびアンカー試薬(203)を含む。1つまたはそれ以上の工程において、分析物は捕捉試薬、第1の近接プローブ(205)を含む第1の検出試薬(204)、第2の近接プローブ(207)を含む第2の検出試薬(206)に結合し、それにより、表面上に検出複合体(208)を形成する。検出複合体を、各々が第1の近接プローブの非重複領域と相補的な末端配列および第2の近接プローブの非重複領域と相補的な末端配列を含む2つのコネクター配列(209aおよび209b)と接触させる。コネクター配列は第1および第2の近接プローブとハイブリダイズさせ、コネクターオリゴヌクレオチドの末端配列はライゲーションさせることにより、第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズさせた環状標的配列(210)を形成する。第2の近接プローブはローリングサークルハイブリダイゼーションにより伸長され、アンカー試薬に結合する結合試薬を含むアンプリコンを生成し、表面に結合したアンプリコンの量が測定される。第1の近接プローブは、第1のプローブの伸長を防ぐためにキャップされ、またはさもなければ修飾されてもよい。(代替的な実施形態においては、第1の近接プローブは伸長され、第2の近接プローブは伸長を防ぐためにキャップされ、またはさもなければ修飾されてもよい。)図2(a)に示した実施形態において、アンプリコンは、アンプリコンにハイブリダイズさせ、表面に結合したアンプリコンの量を測定するために使用する標識した検出プローブに相補的な2つまたはそれ以上の検出配列もまた含む。(図2(a)に示されていない)代替的な実施形態において、伸長プロセスは、アンプリコンに相補的な1つまたはそれ以上の標識プローブを添加することなく表面上で直接アンプリコンを検出するために使用する標識されたヌクレオチド塩基をアンプリコンに取り込む。図2(b)は、第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチド(それぞれ209aおよび209b)を示すコネクター配列の構成要素の模式的な説明図である。ここで、第1のコネクターの第1の末端(C1(E1))および第2のコネクターの第1の末端(C2(E1))は第1の近接プローブの2つの非重複領域と相補的であり、第1のコネクターの第2の末端(C1(E2))および第2のコネクターの第2の末端(C2(E2))は第2の近接プローブの2つの非重複領域と相補的である。第1および第2のコネクターは第1および第2の近接プローブとハイブリダイズし、第1および第2のコネクターがライゲーションされることにより第1および第2の近接プローブの両方にハイブリダイズする環状標的配列を形成する。
【0150】
図2(c)はコネクターの代替的な実施形態を示す。コネクター配列211は、第2の近接プローブと相補的な内部配列(CIS)および第1の近接プローブの非重複領域に相補的な2つの末端配列(それぞれCE1およびCE2)を含む。この実施形態において、ローリングサークル増幅法のための環状標的配列を形成するために1つのライゲーション事象だけが必要である(すなわち、第1の近接プローブにハイブリダイズした末端CE1およびCE2のライゲーション)が、プライミング/伸長が第2の近接プローブからのものであるため、2つの近接プローブの近接の必要性が保たれる。好ましくは、第1の近接プローブは、第1のプローブの伸長を防ぐためにキャップされ、またはさもなければ修飾される。
【0151】
その後、第2の近接プローブが環状標的配列のローリングサークル増幅法により伸長され、アンカー試薬に結合する結合領域を含むアンプリコンを生成し、表面に結合したアンプリコンの量が測定される。
【0152】
第1および第2の近接プローブの配列は当業者に知られている方法により設計することができる。例えば、各々のプローブは長さ約20~50塩基、好ましくは長さ25~40塩基の間、最も好ましくは長さ約30~35塩基の間である。第1および第2の近接プローブはまた、本明細書に記載のプロセスにおいて使用される1つまたはそれ以上のコネクター配列またはその部分に相補的な配列を含む。1つの実施形態において、検出複合体は、各々が第1の近接プローブの非重複領域に相補的な末端配列および第2の近接プローブの非重複領域に相補的な末端配列を含む2つのコネクター配列(209aおよび209b)に接触する。したがって、この実施形態において、第1および第2の近接プローブは、各々がコネクターの末端配列に相補的な非重複領域を含む。代替的には、1つだけのコネクターを使用してよく、コネクター配列(211)は、第2の近接プローブと相補的な内部配列(CIS)および第1の近接プローブの非重複領域に相補的な2つの末端配列(それぞれCE1およびCE2)を含む。したがって、この実施形態において、第1の近接プローブは、それぞれコネクター、CE1およびCE2の2つの末端配列に相補的な非重複領域を含み、第2の近接プローブは、コネクターの内部配列(CIS)に相補的な配列を含む。第1の近接プローブは、第1のプローブの伸長を防ぐためにキャップされ、またはさもなければ修飾されてもよい。(代替的な実施形態においては、第1の近接プローブは伸長され、第2の近接プローブは、伸長を防ぐためにキャップされ、またはさもなければ修飾されてもよい。)
【0153】
したがって、図1~2に図示した実施形態は、アンカー試薬を取り込むように結合アッセイを改変できること、および/または検出複合体からのシグナルが増幅できることを示している。好ましい実施形態において、アンカー試薬およびシグナル増幅法を結合アッセイにおいて使用する。アンカー試薬の使用を含む実施形態において、表面上に存在するアンカー試薬の濃度は0.2~200ug/mL、具体的には、1.0~50ug/mL、より具体的には3.0~10ug/mLである。代替的には、増強した結合アッセイを達成するため、1つまたは他の方法のみを使用してもよい。したがって、本発明は、アンカー試薬を省略した、図1~2に記載したようなシグナル増幅法を有するアッセイを含む。
【0154】
アンカー試薬が直接または間接的に表面に(例えば、結合反応により)結合したアンカー配列を含むこれらの実施形態において、アンカー試薬を生成するために、当該技術分野において確立した、共有結合によるおよび非共有結合による付着方法を含むオリゴヌクレオチドを固定するための方法を使用することができる。1つの実施形態において、アンカー試薬はアンカー配列に連結またはさもなければ結合したタンパク質を含む。この実施形態において、(共有結合によりまたは非共有結合により)表面に固定することができ、アンカーオリゴヌクレオチドにより修飾できる、任意のタンパク質を使用することができる。非限定的な例として、ストレプトアビジン、アビジン、またはウシ血清アルブミン(BSA)が挙げられる。好ましい実施形態として、アンカー試薬はBSAを含む。タンパク質は、既知の方法を用いて、例えば、図3に図示したように、よく確立されたヘテロ二官能性架橋剤である、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(Sulfo-SMCC)を用いて、アンカーオリゴヌクレオチドで修飾し、表面に付着させることができる。SMCCのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基とウシ血清アルブミン(BSA)が反応することにより、チオール反応性マレイミド基を有するBSAが標識される。変わって、マレイミド基は、チオール修飾オリゴヌクレオチドと反応して、安定なチオエーテル結合を介して連結したBSA-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを形成する。1つの特定の例として、一連のBSA-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを黒鉛炭素表面、好ましくはスクリーン印刷カーボンインク電極にプリントして、アレイを形成する。代替的には、タンパク質がアビジンまたはストレプトアビジンであるならば、アンカー配列はビオチンに連結することができ、ビオチン-アビジンまたはビオチン-ストレプトアビジン相互作用により固定化したアビジンまたはストレプトアビジンに結合させることができる。
【0155】
アンカー試薬に付着したアンカーオリゴヌクレオチドは、伸長プロセスの間に展開する伸長配列(またはアンプリコン)にハイブリダイズする任意の配列であってよい。アンカーオリゴヌクレオチドはまた、相補性領域を表面から離れて伸長させるために、表面と相補的(ハイブリダイズしている)領域と間のリンカー配列として使用される非相補的な領域(例えばポリ(A)配列)を含んでいてもよい。1つの実施形態として、ハイブリダイゼーション配列は、近接または検出プローブへの結合とは関連しないアンプリコンの領域(「内部」領域)として選択される。より特定の実施形態として、ハイブリダイゼーション配列は、アンプリコンの内部領域全長と相補的であり、(好ましくは長さ約25ヌクレオチド)、単独としてまたは、例えば長さ30ヌクレオチドまでのポリ(A)アーム(poly(A)arm)との組み合わせとして含まれる。好ましくは、アンカーオリゴヌクレオチドは:(i)(アンプリコンの内部領域についての全長相補体、長さ25ヌクレオチド)-(20ヌクレオチドのポリ(A)アーム);または(ii)(アンプリコンの内部領域の一部についての相補体、長さ15ヌクレオチド)-(30ヌクレオチドのポリ(A)アーム)から選択される。
【0156】
1つの実施形態において、第2の近接プローブを伸長させるために、近接ライゲーション増幅(PLA)が行われる。図2(a)~(c)を参照して上述したように、2つの近接プローブを含む複合体は1つまたはそれ以上のコネクターオリゴヌクレオチド(209a~209bまたは211)と接触させ、ハイブリダイズしたコネクター配列のライゲーションにより環状オリゴヌクレオチドが形成され、それはその後、環のローリングサークル増幅法(RCA)により第2の近接プローブを伸長するために使用される。近接ライゲーション増幅のための適切なプローブ設計および増幅条件は、当該技術分野においてよく確立されている。本発明の独特な態様は、アンカー試薬において使用されるものと同じ配列のコネクターの1つに包含されるものである。第2の近接プローブの伸長の間、伸長した領域はそれによりアンカー試薬にハイブリダイズするアンカー配列の相補体を含み、それによりサンドイッチ複合体を安定化させ、第2の近接プローブの解離を防ぐ。伸長した第2の近接プローブは、(例えば、RCA伸長反応の間の標識ヌクレオチドの包含により)表面上の分析物の量を決定するために測定できる検出可能な標識を含んでいてもよい。代替的には、多数の検出可能な標識を含む標識プローブが加えられ、伸長した第2の近接プローブにハイブリダイズされ、表面に結合した分析物の量が測定される。
【0157】
任意の適切な増幅技術を伸長配列(またはアンプリコン)の生成のために使用することができ、それには、PCR(Polymerase Chain Reaction;ポリメラーゼ連鎖反応法)、LCR(Ligase Chain Reaction;リガーゼ連鎖反応法)、SDA(Strand Displacement Amplification;鎖置換増幅法)、3SR(Self-Sustained Synthetic Reaction;自家持続配列複製法)および等温核酸増幅法(isothermal amplification)、例えば、ヘリカーゼ依存増幅法(helicase-dependent amplification)およびローリングサークル増幅法(rolling circle amplification;RCA)を含むがそれらに限定されない。好ましい実施形態として、感度、多重化、ダイナミックレンジおよび拡張性の点で顕著な利点を有するため、RCAが使用される。RCAについての技術は当該技術分野において知られている(例えば、Banerら、Nucleic Acids Research、26:5073~5078頁、1998;Lizardiら、Nature Genetics 19:226頁、1998;Schweitzerら Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10113~10119頁、2000;Faruqiら、BMC Genomics 2:4頁、2000;Nallurら、Nucl. Acids Res.29:e118頁、2001;Deanら Genome Res.11:1095~1099頁、2001;Schweitzerら、Nature Biotech.20:359~365頁、2002;米国特許第6,054,274号、6,291,187号、6,323,009号、6,344,329号および6,368,801号を参照のこと)。RCAのいくつかの異なる変形が知られており、線形RCA(LRCA)および指数関数的RCA(exponential RCA;ERCA)が含まれる。RCAはオリジナル標的DNAに付着したコピーの鎖とともに何千もの環状テンプレートのコピーを生成し、標的の空間的分解能およびシグナルの迅速的増幅をもたらす。RCAは(i)単一標的分子の検出;(ii)DNAおよびRNAと同様にタンパク質からのシグナルの増幅;(iii)固体表面上において増幅した分子の位置の同定;(iv)多くの異なる標的の同時測定;ならびに(v)溶液中または固相における1つまたはそれ以上の標的の解析を容易にする。検出複合体を有するRCA生産物の空間位置局在性は、アレイまたは粒子に基づくフォーマットにおける多重結合アッセイの遂行の際に、特に有利となる。
【0158】
アンカー試薬およびシグナル増幅プロセスの両方を使用した本発明の特定の実施形態を図4(a)に示した。複合体は捕捉試薬(402)、分析物(403)ならびに、各々第1および第2近接プローブ(406および407)をそれぞれ含む、2つの検出試薬(304および305)の間で表面(401)上に形成する。第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチド(それぞれ図4(a)におけるCirc-1(408)およびCirc-2(409))を加え、両方の近接プローブが複合体中に存在する場合に、それらの各々が2つの近接プローブをハイブリダイズし、架橋する。第1および第2のコネクターオリゴヌクレオチドCirc-1(408)(配列番号4)およびCirc-2(409)(配列番号5)が加えられ、両者の近接プローブが複合体に存在すると、各々がCirc-1およびCirc-2にハイブリダイズし、2つの近接プローブの間に架橋を作製する。結合したコネクタープローブはそれぞれライゲーション部位1および2(410および411)でライゲーションされ、環状DNAテンプレート(412)を形成する。環状DNAテンプレートはローリングサークル増幅法により増幅され、第2の近接プローブを伸長し、それにより、1つまたはそれ以上の検出配列(413)および(部分的なアンカー配列相補体(415)を含む)アンカーオリゴヌクレオチド配列相補体(414)を含むアンプリコンを生成する。(捕捉部分(417)に付着した)アンカーオリゴヌクレオチド配列(416)およびその相補体はハイブリダイズし、多数の検出プローブは多数の検出プローブ配列にハイブリダイズし、表面に結合した分析物の量が測定される(示されていないが図1(a)に図示してある)。図4(b)は、(第1の近接プローブ(PP1)にハイブリダイズするように設計された)第1の環状DNAテンプレートCirc-1(408)、検出オリゴヌクレオチド配列、(アンカーオリゴヌクレオチド配列に結合するように全体または部分的に使用することができる)アンプリコンの内部領域、および(第2の近接プローブにハイブリダイズするように設計された)PP2の一部分の例示的な配列を示している。環状DNAテンプレートがローリングサークル増幅法により増幅され、多数の検出配列(それぞれ418および419)を含むアンプリコンを生成することを示す、さらなる実施形態を図4(c)に示した。さらなる実施形態において、捕捉部分417に接着したアンカーオリゴヌクレオチド配列(416)は、自由3’末端とともにプライマーとして作用できる。この実施形態において、第2の近接プローブは検出配列(413)と相補的な配列を含む。
【0159】
1つの実施形態において、本明細書に記載されるアッセイ形式は、5’末端における検出配列コネクタープローブとライゲーションすることを容易にさせるように曝された3’末端とをカップリングした検出試薬を使用して、環状DNA鋳型を形成し、これは、その後、ローリングサークル増幅により増幅し、第2の近接プローブを伸長する(PR2)。この実施形態において、ポリメラーゼによる伸長のためにPP1が潜在的かつ独立的に利用可能であるが、この問題はポリメラーゼによるプライミングを防ぐために修飾塩基を加えることにより、対処することができる。代替的には、ライゲーション鋳型、PP1は、その3’末端を検出試薬に直接カップリングすることができ、たとえそれが分解したとしても、このオリゴヌクレオチドがDNAポリメラーゼのプライマーとして関与することを防ぐ。
【0160】
RCAまたは任意の適切な増幅方法により増幅される標的配列を生成する別のアプローチを図5に図示した。この実施形態において、各々の近接プローブはループしたヘアピン構造に折りたたまれ得る。これらのヘアピン構造の形成により、単鎖ループおよび組み換えシグナルを含む二重鎖部分が生成される。リコンビナーゼを加えて、2つのヘアピン構造の組み換えを推進し、環状DNAテンプレートを形成する。その後、上述のようなRCAに供する。アンプリコンは標識され、場合によってアンカー試薬にアンカーされ、分析物が検出される。この実施形態の重要な要素は、リコンビナーゼが配列特異的組み換え部位を含むDNAの部位特異的組み換えを触媒することができる能力である。例えば、バクテリオファージP1からのCreリコンビナーゼは、loxP部位を含む部位において組み換えを触媒し、他の非限定的な例としてFlippase(flp、酵母由来)、Hin(サルモネラ菌)、およびCreの遺伝子操作(進化)バージョンであるTreが含まれるが、それらに限定されない。この代替的なアプローチはオリゴヌクレオチドテンプレート、ATPおよびdNTPのような付加的な構成要素の添加が必要ではない。この実施形態において、loxP(組み換え)部位が、非対称的であるように修飾されることが好ましく、通常の平衡が望ましい組み換え生産物の形成の方向にシフトするように得られる。これは、組み換え部位の明暗の濃淡により、図5に図示される。
【0161】
さらに、RCAまたは任意の適切な増幅方法により増幅された標的配列を生成するための、なお別の方法を図6(a)に図示する。検出試薬に付着した各々の近接プローブは、Creリコンビナーゼによる2つのオリゴヌクレオチド間の部位特異的組み換えが可能なloxP部位を含み、loxP部位に隣接する、1つの近接プローブの5’部分および他の近接プローブの3’部分が含まれる新しいオリゴヌクレオチド配列の形成をもたらす。新しく作製された標的配列は、その後、上述のように、任意の適切な方法により増幅させ、標識させ、場合によってアンカーさせ、検出させることができる。T7 RNAポリメラーゼプロモーターを増幅のための操作可能な要素として使用する、この実施形態を図6(a)に図示する。近接プローブの3または5’部分のいずれかに連結したT3およびSP6のような他のRNAポリメラーゼ部位が本方法における使用に同じく適切であることもまた理解される。この実施形態において、loxP(組み換え)部位が、非対称的であるように修飾されることが好ましく、通常の平衡が望ましい組み換え生産物の形成の方向にシフトするように得られる。図6(b)に示すように、この方法はRCAにおいて使用することができる環状DNAテンプレートを生成するために使用することもできる。
【0162】
本発明は、分析物を表面上の捕捉試薬および2つの検出試薬に結合させ、検出複合体を形成することを含む分析物の検出方法を含む。本方法は、2つの検出試薬の1つのみを含む複合体と比較して、両方の検出試薬を含む複合体を優先的に測定する、検出複合体の測定を含む。1つの実施形態として、本方法は複合体を形成すること、その後、検出試薬を架橋すること、および架橋した試薬を検出することを含む。検出複合体の構成要素を連結するために、任意の適切な架橋化学が使用できる。例えば、第1および第2の検出試薬は、反応性部分とリンクする多機能性架橋剤の添加により反応し、連結する反応性部分を含むことができる。この実施形態において、反応性部分および架橋剤はアミン、チオール、ヒドラジド、アルデヒド、エステル、ヨードアセトアミド、マレイミド、クリックケミストリー試薬、およびそれらの組み合わせを含むことができる。別の実施形態において、第1および第2の検出試薬は結合部分を含んでもよく、架橋剤は結合部分の多価の結合パートナーである。この実施形態のいくつかの非限定的な例として:(a)第1および第2の検出試薬は動物種の抗体であって、架橋剤は動物種の抗体をターゲティングする多価の抗-種抗体である;(b)第1および第2の検出試薬はビオチンを含み、架橋剤はストレプトアビジンである(もしくは逆もまた同じ);(c)第1および第2の検出試薬はストレプトアビジンに連結しており、架橋剤は多数のビオチン分子を含むポリマーである(もしくは逆もまた同じ);または(d)第1および第2の検出試薬はそれぞれ第1および第2の核酸プローブを含み、架橋剤は、第1の核酸プローブに相補的な配列と第2の核酸プローブに相補的な別途の配列を含むオリゴヌクレオチドである。
【0163】
特定の実施形態において、サンプル中の目的の分析物は、固定化した捕捉試薬、第1の検出試薬および第2の検出試薬に分析物を結合させ、複合体を形成することにより検出することができる。ここで、第1の検出試薬は第1の検出可能な標識および第1の核酸プローブを含み、ならびに第2の検出試薬は第2の検出可能な標識および第2の核酸プローブを含む。この実施形態において、第1および第2の検出試薬は(i)第1のプローブを第2のプローブにハイブリダイズさせる、(ii)第1および第2のプローブを第1および第2のプローブに相補的な領域を有する第3の核酸にハイブリダイズさせる、または(iii)第1および第2のプローブをライゲーションすることにより、架橋される。
【0164】
架橋された生産物は表面に結合されることにより検出することができるか、または場合によって、架橋された生産物は表面から溶出剤の中へ放出され、検出されることができる。この点において、第1および第2の検出可能な標識の両方を含む、溶出剤中のこれらの個々の架橋された生産物のみがカウントされる。溶出剤中の標識の存在を検出するために、任意の適切な検出方法が使用される。好ましい実施形態において、標識は蛍光分子であって、溶出剤中に存在する標識された架橋された生産物は、1分子蛍光検出、例えば、蛍光相関分光法(fluorescence correlation spectroscopy)、および/または蛍光相互相関分光法(fluorescence cross-correlation spectroscopy)によってカウントされる。この実施形態において、1分子蛍光検出は、キャピラリーを通じて溶出剤を流すこと、光源をキャピラリーの中の容積に焦点を合わせ、照合ゾーン(interrogation zone)を作製することおよび照合ゾーンを通る蛍光分子の通過を検出するために照合ゾーンを光検出器で観測することを含む。検出方法は第1の標識に関連する第1の蛍光シグナルおよび第2の標識に関連する第2の蛍光シグナルを検出すること、および両方のシグナルが照合ゾーンから検出される検出事象をカウントすることをさらに含んでいてもよい。代替的には、1つの標識は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ドナーであり、他のラベルはFRETアクセプターであり、検出方法は照合ゾーンのFRETドナーを励起すること、FRETアクセプターからの蛍光シグナルを検出することをさらに含んでもよい。
【0165】
特定の実施形態において、サンプル中の分析物は、分析物を固定化した捕捉試薬、第1の核酸プローブを含む第1の検出試薬および第2の核酸プローブを含む第2の検出試薬に結合させ、複合体を形成させること;検出可能な標識を含む伸長配列を形成するために、第2の核酸プローブを伸長させることであって、伸長は複合体中の第1および第2の核酸プローブの共局在に依存していること;伸長配列を表面から溶出剤中へ放出すること;ならびに溶出剤中の個々の伸長配列をカウントすることにより検出することができる。伸長工程は、プローブをテンプレート核酸配列に結合させることおよびプローブをポリメラーゼ連鎖反応法により伸長させることを含んでいてもよい。代替的には、伸長工程は、第1のプローブをテンプレート核酸配列に結合させること、環状核酸テンプレートを形成させること、および環状テンプレートをローリングサークル増幅法により伸長させることを含む。伸長工程は、第1のプローブをテンプレート核酸配列に結合させること、第2のプローブをテンプレート配列に結合させること、ならびに第1および第2のプローブをライゲーションさせることを含んでいてもよい。
【0166】
捕捉試薬を使用する本発明の方法において、捕捉試薬は直接的に固相に固定化することができ、または例えば下に述べるターゲッティング試薬のような、第2の結合試薬によって間接的に固定化することができる。例えば、捕捉試薬は固相上に固定化したターゲッティング試薬相補体に結合するターゲッティング試薬に連結してもよいし、含んでもよい。ターゲッティング試薬のその相補体への結合は直接的であってもよいし(例えば、ターゲッティング試薬はストレプトアビジンであって相補体はビオチンであってもよい)、または架橋剤を介して間接的であってもよい(例えば、ターゲッティング試薬および相補体はビオチンであって、架橋剤はストレプトアビジンのような多価のビオチン結合受容体であってもよい)。1つの実施形態において、ターゲッティング剤およびその相補体は第1のオリゴヌクレオチドおよび相補性オリゴヌクレオチド、受容体-リガンドの対、抗原-抗体の対、ハプテン-抗体の対、エピトープ-抗体の対、ミメトープ-抗体の対、アプタマー-標的分子の対、ハイブリダイゼーションパートナーまたはインターカレーター標的分子の対を含む。アッセイにおいて使用されるターゲッティング剤および相補体は、アッセイによって測定される分析物についての捕捉試薬または検出試薬と関連するターゲッティング剤および相補体がアッセイによって測定される他の分析物についての捕捉試薬または検出試薬に関連するターゲッティング剤および相補体について実質的に非交差反応性であるように選択される。例えば、結合試薬のその関連結合ドメインへの(その関連ターゲッティング剤およびターゲッティング剤相補体による)結合は、実質的に他の分析物(および存在する異なるターゲッティング剤相補体)に関連する結合ドメインへのその結合よりも実質的に強力であるべきである。好ましくは、分析物についての捕捉試薬または検出試薬の他の分析物に関連する結合ドメインへの結合の正しい結合ドメインへの結合に対する交差反応性は、<1%、より好ましくは<0.1%およびより好ましくは<0.01%である。好ましい実施形態において、ターゲッティング剤/ターゲッティング剤相補体は相補性配列を含むオリゴヌクレオチドの対を含み、ターゲッティング剤およびその相補体はターゲッティング剤がその相補体にハイブリダイズするために十分な条件下で接触される。
【0167】
ターゲッティング剤が使用される際は、アッセイ法に使用される捕捉試薬がいつ固相上に固定化されるかについて、ある程度柔軟性がある。1つの実施形態において、捕捉試薬は、ターゲッティング剤-ターゲッティング剤相補体相互作用により固相上に事前に固定化して、ユーザーに提供される。別の実施形態において、ターゲッティング剤および固定化したターゲッティング剤相補体を支持する固相に連結した捕捉試薬は、別々の構成要素として提供される。アッセイ方法は、したがって、ターゲッティング剤をその相補体に(直接または架橋剤の使用により)結合することにより捕捉試薬を固相上に固定化する工程をさらに含む。この工程は、検出複合体の形成に関連する工程の前、同時に、または後に行われてもよい。
【0168】
特定の実施形態において、多機能ターゲティング因子を、本明細書に記載されるアッセイ方法および構成要素に使用することができる。多機能ターゲティング因子は、(a)第1のセグメント相補体を介して捕捉試薬に結合するように設計された第1のセグメント(すなわち、捕捉試薬は多機能ターゲティング因子の第1のセグメントに対して相補的なターゲティング因子相補体を含む)、および(b)アンプリコンに結合するように設計された第2のセグメント(すなわち、多機能ターゲティング因子の第2のセグメントは表面上のアンカー試薬として働く)。したがって、この実施形態において、表面は、ターゲティング因子と第1のセグメントと第1のセグメント相補体の間の連結を介して結合する捕捉試薬と接触される多機能ターゲティング因子を含む。3-AB RCA/PLAアッセイは、本明細書に記載されるように進められ、アンプリコンは、測定工程の前に多機能ターゲティング因子のアンカーセグメントと結合する。この方法は捕捉因子とアンカー試薬の1:1の比率をアッセイ方法において使用することを確証するために使用することができる。
【0169】
本発明の方法においては、結合アッセイの技術分野からの従来の表面を含む広く多様な表面が使用に適切である。表面はポリマー(例えば、ポリスチレンおよびポリプロピレン)、セラミックス、ガラス、複合材料(例えば、カーボンベースのインクのようなカーボン-ポリマー複合体)を含む様々な異なる材料から作られてもよい。適切な表面としては、アッセイ容器の内部表面(例えば、試験管、キュベット、フローセル、FACSセルソーター、カートリッジ、マルチウェルプレートのウェルなど)、スライド、(遺伝子またはタンパク質チップ測定において使用されるような)アッセイチップ、ピンまたはプローブ、ビーズ、ろ過メディア、側方流動メディア(例えば、側方流動試験紙において使用されるろ過膜)などのような巨視的な物体の表面が挙げられる。
【0170】
適切な表面としてはまた、他のタイプの粒子ベースのアッセイにおいて通常使用される粒子(コロイドまたはビーズが含まれるがそれらに限定されない)、例えば、マグネティック、ポリプロピレン、およびラテックス粒子、固相合成において典型的に使用される材料、例えば、ポリスチレンおよびポリアクリルアミド粒子、ならびにクロマトグラフィーの応用において典型的に使用される材料、例えば、シリカ、アルミナ、ポリアクリルアミド、ポリスチレンが、挙げられる。材料はまたカーボン小繊維のような繊維であってもよい。微小粒子は無生物であってもよいし、または代替的には、細胞、ウイルス、バクテリアなどの生命の生物学的実態を含んでいてもよい。本方法において使用される粒子には、1つまたはそれ以上の捕捉試薬または検出試薬に付着させるために適切な任意の材料が含まれてもよく、それは例えば、遠心分離、重力、ろ過、またはマグネティック収集を介して収集してもよい。捕捉試薬または検出試薬に付着させてもよい広く多様な異なるタイプの粒子が結合アッセイにおける使用のために市販されている。これらには、粒子を磁場によって収集できるように磁化可能な材料を含む粒子とともに非マグネティック粒子が含まれる。1つの実施形態において、粒子は、コロイド状金粒子のような伝導性および/または半導体材料を含む。微小粒子は広く多様なサイズおよび形状を有していてもよい。限定されない例としては、微小粒子は5ナノメートルから100マイクロメートルの間であってよい。好ましくは、微小粒子は20nmから10マイクロメートルの間のサイズを有する。粒子は球状、長方形、ロッド状などであってよいか、または形状として不規則であってもよい。
【0171】
本方法において使用される粒子は、粒子の混合物の中から特定の粒子または粒子の亜集団を同定するようにコードされてもよい。そのようにコードされた粒子の使用は、結合アッセイについて固相支持体として粒子を利用するアッセイの多重化を可能にするように使用されてきた。1つのアプローチとして、粒子は1つまたはそれ以上の蛍光色素を含むように製造され、1つまたはそれ以上の波長における蛍光発光の強度および/または相対的強度に基づいて粒子の特定の集団が同定される。このアプローチはルミネックスxMAPシステムズ(Luminex xMAP systems)(例えば、米国特許第6,939,720号を参照のこと)およびベクトンディッキンソン サイトメトリックビーズアレイシステムズ(Becton Dickinson Cytometric Bead Array systems)において使用されてきた。代替的には、粒子はサイズ、形状、包埋した光学的パターンなどのような他の物性の差異によりコードされてもよい。混合物中または粒子のセット中に提供された1つまたはそれ以上の粒子は、粒子の光学的特性、サイズ、形状、包埋した光学的パターンなどに基づいて、混合物中の他の粒子と区別されるようにコードされてもよい。
【0172】
特定の実施形態において、本発明の方法は多数の異なる分析物をこれらの分析物についての多数の捕捉試薬に結合させることにより、多重化されたフォーマットにおいて使用することができる。捕捉分析物は、コードすることにより特定のビーズについての捕捉試薬(および分析物標的)が同定されるように、コードされたビーズに固定化される。本方法は、(本明細書に記載した検出アプローチを使用して)結合した分析物を有するビーズの数をカウントすることをさらに含んでもよい。
【0173】
代替的にはまたは付加的には、検出複合体および/または捕捉試薬は、例えば、結合ドメインが個々のアレイ要素である結合アレイにおいて、または結合ドメインが個々のビーズであるビーズのセットにおいて、別々のアッセイシグナルが各々の結合ドメイン上に生成され、測定されるようにして、直接的または間接的に1つまたはそれ以上の固相上の異なる別々の結合ドメインに結合することができる。もし異なる分析物についての捕捉試薬が異なる結合ドメインに固定化された場合には、それらのドメインに結合した異なる分析物は独立に測定することができる。そのような実施形態の1つの例としては、結合ドメインは1つまたはそれ以上の表面上に、目的の分析物を結合する捕捉試薬の別々のドメインを固定化させるように調製される。場合によって、表面は、部分的に、サンプルを保持するかまたはサンプルが通過する(例えば、フローセル、ウェル、キュベットなどの)容器の1つまたはそれ以上の境界を定義してもよい。好ましい実施形態については、個々の結合ドメインは電気化学または電気化学発光アッセイにおいて使用される電極上に形成される。電気化学発光を用いた多数の結合ドメインを含む表面上の分析物の多重化測定は、メソスケールダイアグノスティックス、LLC(Meso Scale Diagnostics,LLC)、MULTI-ARRAY(登録商標)およびSECTOR(登録商標)イメージャー(Imager)製品系統において使用されてきた(例えば、米国特許第7,842,246号および6,977,722号、その記載は参照によって本明細書にその全体を組み入れる)。
【0174】
なおさらに、検出複合体および/または捕捉試薬は、上述したように場合によって異なる別々の結合ドメインを含む電極表面に、直接的または間接的に結合することができる。電極表面はマルチウェルプレートおよび/またはフローセルの構成要素であってよい。電極は、伝導性物質、例えば、金、銀、プラチナ、ニッケル、スチール、イリジウム、銅、アルミニウム、伝導性アロー(a conductive allow)などのような金属を含むことができる。それらにはまた、例えば、酸化アルミニウム被覆アルミニウムのような酸化物被覆金属を含んでいてもよい。電極は、例えば、金属対電極およびカーボン作用電極のような、同じまたは異なる材料から作られ得る作用および対電極を含むことができる。1つの特定の実施形態において、電極には、カーボン、カーボンブラック、黒鉛カーボン、カーボンナノチューブ、カーボン小繊維、黒鉛、グラフェン、カーボンファイバーおよびそれらの混合物のようなカーボンベースの材料が含まれる。1つの実施形態において、電極には、例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどのような、元素状炭素が含まれる。それらは、伝導性カーボンポリマー複合材料、マトリックス中に分散された伝導性粒子(例えば、カーボンインク、カーボンペースト、金属インク、グラフェンインク)、および/または伝導性ポリマーが含まれ得ることが有利である。本発明の1つの特定の実施形態は、カーボン、例えばカーボン層、および/またはカーボンインクのスクリーン印刷層を含む電極(例えば、作用および/または対電極)を有するアッセイモジュール、好ましくはマルチ-ウェルプレートである。
【0175】
本発明は、個々の検出複合体の検出およびカウントについての方法を含む。特定の実施形態において、表面は、サンプル中に存在する1つまたはそれ以上の分析物分子について多数の捕捉試薬を含み、多数の捕捉試薬は表面に位置する多数の分離できる結合領域にわたって分散される。測定を実施し、解析するために使用される条件下において、「分離できる結合領域」とは、分離可能で、さらなる個々の結合事象が起きているもう1つのエリアと区別できる個々の結合事象に関連する最小の表面エリアである。したがって、本方法は1つまたはそれ以上の分析物分子を1つまたはそれ以上の捕捉試薬に表面上で結合させること、表面上の多数の分離できる結合領域における分析物分子の存在または不在を決定すること、ならびに、分析物分子を含む分離できる結合領域の数および/または分析物分子を含まない分析物ドメインの数を同定することを含む。
【0176】
分離できる結合領域は、全体的にまたは部分的に、光学的に照合することができる。すなわち、各々の個々の分離できる結合領域は個々に光学的に照合され、および/または、多数の分離できる結合領域を含む表面全体は画像化されることができ、その画像の1つまたはそれ以上のピクセルまたはピクセルのグループ分けは個々の分離できる結合領域にマップされることができる。分離できる結合領域は多数の微小粒子中の微小粒子であってもよい。光学サインについての変化を示す分離できる結合領域は、従来の光学的検出システムにより同定されることができる。検出した種(例えば、蛍光実態のタイプなど)および操作的な波長に依存して、特定の波長について設計した光学フィルターは、分離できる結合領域の光学照合について使用することができる。光学照合が使用される場合の実施形態において、システムは、光源の波長および/または強度を調整するために複数の光源および/または多数のフィルターを含むことができる。いくつかの実施形態において、多数の分離できる結合領域からの光学シグナルはCCDカメラを用いて捕捉される。画像を捕捉するために使用することができるカメラ画像化システムの他の非限定的な例としては、当業者には知られている、電荷注入装置(charge injection devices (CIDs))、相補型金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductors(CMOSs))装置、科学的CMOS(sCMOS)装置、および時間遅延積分(time delay integration(TDI))装置が挙げられる。いくつかの実施形態においては、光ダイオードまたは光電子増倍管(PMT)を連結したスキャニングミラーシステムが画像化に使用されてもよい。
【0177】
本方法の測定工程には、多数のピクセルからなる画像を生成するために表面(またはその一部)からの光学シグナルを画像化することを含むことができる。ここで、各々の分離できる結合領域は画像中の1つまたはそれ以上のピクセルまたはピクセルの群にマップする。結合事象(検出複合体)を示すシグナルを有するピクセルまたはピクセルのセットを同定するための画像解析は、例えば、蛍光顕微鏡像における標識された生物学的構造を同定およびカウントするために利用できる豊富な画像解析アルゴリズムおよびソフトウェアのような、技術分野に認識された方法を用いて達成することができる。1つの実施形態において、大規模のシグナル勾配を除去するため画像をフィルタリングした後に、画像は区分けしきい値を用いてバイナリ画像に変換される。分離できる結合領域は上述のしきい値強度の隣接領域を同定することにより、見つけられる。結合ドメインは、サイズおよび強度の要求を満たせば、結合事象として分類される。
【0178】
1つの実施形態において、分離できる結合領域はアレイの要素である。好ましい実施形態において、アレイは、マイクロ-ウェルまたはナノウェル、例えば単位基板の個々のくぼみまたはウェルのアレイである。好ましくは、ウェルの容量は100nL未満、好ましくは50nL未満である。1つの実施形態において、ウェルの容量は約10aL~100pLの範囲である。場合において、ウェルは微小粒子を保持するように形状が決められていてもよい。
【0179】
1つの実施形態において、基板に位置し、アッセイの間に対象となる分離できる結合領域の少なくとも50%は、ゼロまたは1つの分析物分子を含んでいる。好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは少なくとも99%の分離できる結合領域は、ゼロまたは1つ以上の分析物分子を含んでいる。サンプル中の分析物分子の濃度は少なくとも部分的に、少なくとも1つまたは1つの分析物分子を含む結合領域の数の較正曲線、ポアソン分布解析および/またはガウシアン分布解析を用いて決定される。特定の実施形態において、表面は、各々が分析物分子についての多数の捕捉試薬を含む多数の粒子を含み、多数の粒子は多数の分離できる結合領域(例えば、マイクロ-またはナノ-ウェルのアレイ)にわたって分布される。したがって、本方法は:(i)1つまたはそれ以上の分析物分子を表面上の1つまたはそれ以上の捕捉試薬に結合させること、(ii)分離できる結合領域のアレイにわたって多数の粒子を分布させること、ならびに(iii)分析物分子を含む結合ドメインの数および/または分析物分子を含まない結合ドメインの数を同定するために、各々の分離できる結合領域において分析物分子が存在するか不在であるかを決定することを含む。
【0180】
本発明の1つまたはそれ以上の方法を用いて閉じ込められた容量の分析物を検出することもまた有利である。これらの実施形態において、サンプル中の分析物分子は、各々が区別できる標識を有する検出試薬の対に結合しており、分析物は、基板、例えばプレート、ディッシュ、チップ、光学ファイバー、グリッドなど、の上で、多数の場所、例えばウェルまたは反応容器(本明細書においては「反応容器」と呼ぶ)、にわたって、反応容器の大部分が1つまたはより少ない分析物を含むように区分化されている。この方法によりユーザーは、分析物に付着した各々の区別できる標識を含む反応容器の数をカウントすることにより分析物分子を検出することができる。いくつかの場合において、課題対象となる多数の反応容器は、少なくとも1つの分析物分子を含む可能性がある全量の反応容器の一部または本質的に全てである(例えば、少なくとも1つの分析物分子に関連しているかまたはいずれの分析物分子にも関連していない)。以下の出版された米国特許出願を引用する:米国特許出願第20070259448号;米国特許出願第20070259385号;米国特許出願第20070259381号;国際特許出願第PCT/US07/019184号;および国際特許出願第PCT/US09/005428号。これらの出版物の各々の開示は、参照によって本明細書に組み入れる。反応容器の少なくとも一部を課題対象としてよく、少なくとも1つの分析物分子または粒子を含む反応容器の数/パーセンテージを示す測定がされてもよい。いくつかの場合において、数/パーセンテージに基づいて、流体サンプル中の分析物分子の濃度の測定が決定されてもよい。
【0181】
閉じ込められた容量の中での分析物分子の検出を可能とする特定の実施形態において、サンプル中の分析物は、分析物を第1および第2の検出試薬に結合させ、検出複合体を形成することにより検出することができる。各々の検出複合体には、分析物、第1の検出試薬、および第2の検出試薬が含まれ、ならびに第1の検出試薬および第2の検出試薬はそれぞれ第1および第2の検出可能な標識を有する。検出複合体は同時に、実質的に同時に、または順次的に形成されることができる。検出複合体は、反応容器の大部分が1つまたはより少ない検出複合体を含むように多数の反応容器にわたって区分化され、第1および第2の検出可能な標識の各々を含む反応容器の数をカウントすることにより、分析物分子の数が検出される。好ましくは、検出複合体は、結合していない第1の検出試薬および結合していない第2の検出試薬を同じ容器中に検出する可能性が約10に1つ未満、好ましくは約100に1つ未満、より好ましくは約1000に1つ未満、および最も好ましくは約10,000に1つ未満であるように、多数の反応容器にわたって区分化される。検出複合体は、例えば、多数の反応容器にわたって検出複合体の一部を手動で等分する、および/または検出複合体が支持体上の個々の反応容器の中へ分離するようにして、多数の反応容器にわたって検出複合体を含む溶液を流すことによって、多数の反応容器にわたって区分化、すなわち、部分または一部に分割または分離される。
【0182】
さらなる実施形態において、サンプル中の分析物は、(a)分析物を表面に結合した捕捉試薬ならびに第1および第2の検出試薬に結合させ、検出複合体を形成させることによって検出することができる。ここで、(i)各々の検出複合体は捕捉試薬、分析物、第1の検出試薬および第2の検出試薬を含み、(ii)第1の検出試薬は第1の検出可能な標識を有し、および第2の検出試薬は第2の検出可能な標識を有する。任意の順序で構成要素を添加することにより、例えば、同時に、または実質的に同時に構成要素をまとめることによって、または順次に各々の構成要素を加えて、検出複合体を段階的に形成することによって、検出複合体を形成することができる。大部分の反応容器が1つまたはより少ない分析物を含むようにして、検出複合体は、多数の反応容器にわたって区分化され、第1および第2の検出可能な標識を含む反応容器の数をカウントすることによって、分析物分子の数が検出される。本方法は、各々の工程の後、および検出工程の前に洗浄してまたは洗浄せずに実行され得る。
【0183】
表面は粒子であることができ、場合によって、多数の捕捉試薬が粒子または多数の粒子の上に固定化される。この実施形態において、区分化工程は多くの方法により実行することができる:(i)捕捉試薬は多数の粒子の上に固定化され、分析物の区分化は分析物を捕捉試薬に結合させることおよび粒子を多数の反応容器中に区分化することによって達成される;(ii)捕捉試薬は多数の粒子上に固定化され、分析物の区分化は粒子を多数の反応容器中に区分化し、その後分析物を捕捉試薬に結合させることによって達成される。
【0184】
多数の反応容器には、油中水滴型エマルション中に分散させた水ドロップレットも含む。エマルションは100umまでの直径およびほぼ1nLの容量のドロップレットとして作ることができる。高容量、すなわち、エマルション1mL中に1010ドロップレットを超える量、エマルション調製の容易さ、および広い範囲の条件にわたるそれらの高い安定性により、区画化生化学的アッセイの理想的手段が提供される。各々の水ドロップレットは、独立した反応容器として機能し、検出複合体は、場合によって粒子に付着して、多数の水ドロップレットにわたって区分化されることができる。
【0185】
代替的には、表面は、反応容器の1つの中の場所である。例えば、反応容器がプレートのウェルであるならば、表面はそのプレートのウェルの中のドメインまたは領域であることができる。この実施形態において、捕捉試薬は多数の反応容器のドメインまたは領域に固定化されることができ、区分化工程は分析物分子を捕捉試薬に結合させることによって達成される。別の実施形態において、多数の反応容器は、そこに固定化したターゲッティング部分を持つ領域を含み、捕捉試薬はターゲッティング部分相補体を含み、区分化工程はターゲッティング部分相補体を多数の反応容器に位置するターゲット部分に結合させることによって達成される。
【0186】
さらなるまたは代替的な実施形態において、本明細書に記載の結合アッセイは、例えば、サンプル中の分析物の濃度を上昇させることおよび/またはアッセイ性能を妨げるかもしれないサンプル中に存在し得る異物の濃度を減少させることによって、アッセイ性能を改善させるための前濃縮工程も含むことができる。このことは(a)目的の分析物を含む試料を、分析物に結合する第1の結合試薬に連結された、例えば粒子のような固相と接触させ、それにより前記第1の結合試薬に結合した分析物を含む複合体を形成させること;(b)複合体を収集すること;(c)試料の非結合構成要素を複合体から分離すること;(d)および複合体を放出することにより、なし得る。分析物を濃縮するこの方法は、アッセイの性能の妨げになり得る不純物を除去するために、本明細書に記載される結合アッセイが実行される前に実行される。この点において、米国特許出願公開第US2010/0261292号が引用され、その記載は参照によって本明細書に組み入れる。
【0187】
特に、濃縮工程は、分析物を含む試料を、第1の核酸プローブに連結された第1の検出試薬に結合した分析物を含む分析物複合体を形成させるために十分な条件下に供することを含む。その後、濃縮工程の結果として形成した分析物複合体は(i)分析物に関する捕捉試薬を含む表面上の捕捉試薬、およびアンカーオリゴヌクレオチド配列を含むアンカー試薬;ならびに(ii)第2の核酸プローブに連結された、分析物に関する第2の検出試薬に結合させ;それにより、捕捉試薬、分析物ならびに第1および第2の検出試薬を含む表面上に複合体を形成させる。表面に結合した複合体は、第1および第2プローブが近接していることを必要とする伸長プロセスに供し、第2のプローブを伸長してアンカー配列に対して相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列を形成させる。アンカー配列はその後、アンカー配列相補体にハイブリダイズし;表面に結合した伸長配列の量が測定される。特定の実施形態において、濃縮工程は:(i)分析物を含む該試料を、第1の核酸プローブの少なくとも一部に対して相補的なターゲティング因子に連結された固相と接触させ、それにより固相に結合した分析物を含む濃縮複合体を第1の核酸プローブとターゲティング因子の間の結合反応を介して形成させること;(ii)濃縮複合体を収集すること;(iii)試料の非結合構成要素を濃縮複合体から分離すること;および(iv)濃縮複合体を放出し、分析物から固相を分離し分析物複合体を形成させることをさらに含む。
【0188】
本明細書において使用するところの収集とは、混合物における材料の物理的局在化のことを言う。収集には結合反応または吸着による材料の局在化が含まれる。例えば、混合物内の材料は固相上へのその材料の吸着によるか、または固相上の結合試薬への材料の結合により固相上に収集される。しかしながら、収集は固相上への局在化に限定されることはなく、より大きな液量内における位置/容量への材料の局在化に関する当該技術分野の技術、例えば、光ピンセット(光を単一原子と同じ小ささの顕微鏡レベルの対象を操作するために光を使用したものであり、焦点を合わせたレーザービームからの照射圧力が小粒子を捕捉することを可能とする)による材料の局在化、電場または磁場、集束流、密度勾配遠心法などを含んでもよい。
【0189】
本発明のある実施形態には、微小粒子または微小粒子に結合した材料の収集が含まれる。適切な収集方法には、懸濁液からの微小粒子の局在化を達成する微小粒子ベースのアッセイの技術分野において知られている多くの方法が含まれる。これらには、重力または遠心による沈降、フィルターまたは多孔質膜上へのろ過、磁場の適用による(磁化可能な粒子の)局在化、巨視的な固相への粒子の結合または吸着、光ピンセットの使用などが含まれる。
【0190】
本明細書において使用される放出とは、以前、収集した材料の非局在化のことをいう。化学結合または特異的もしくは非特異的な結合相互作用により局在位置に保持された材料は、その結合または相互作用を破壊することにより、材料が拡散または周囲のメディアの中に混合するように非局在化されてもよい。厳しい条件を必要とすることなく切断することができる共有結合を提供するように使用することができる多くの十分に確立された切断可能な化学リンカーがある。例えば、ジスルフィド含有リンカーはチオールまたは他の還元剤を用いて切断することができ、シス-ジオール(cis-diol)含有リンカーは過ヨウ素酸を用いて切断することができ、(ニッケル-ヒスチジンのような)金属リガンド相互作用はpHを変化させることまたは競合リガンドを導入することで切断することができる。同じように、使用することができる多くの十分に確立された可逆結合の対がある(アフィニティークロマトグラフィーの技術分野において同定されてきたものを含む)。例を挙げると、多くの抗体-リガンドの対の結合はpHを変化させること、タンパク質変性剤またはカオトロピック剤の添加、競合リガンドの添加などにより反転させることができる。他の適切な可逆結合の対には相補的核酸配列が含まれ、ハイブリダイゼーションはpHを変化させること、塩濃度を減少させること、温度を対合の融解温度以上に上昇させることおよび/または(ホルムアミドのような)核酸変性剤を添加することなど、様々な条件下で反転させることができる。そのような可逆結合の対は(上に記載されるように)ターゲティング因子として使用することができ、例えば、第1のターゲティング因子は分析物を結合する第1の結合試薬に連結されてもよく、第2のターゲティング因子は固相に連結されてもよく、第1および第2のターゲティング因子の結合相互作用は第1の結合試薬を固相上に可逆的に固定化するように使用してもよい。
【0191】
放出には、例えば、混合、振とう、ボルテックス混合、対流性液流、磁場、電気的または光学的な力などを適用することによる混合により、材料を物理的に非局在化させることも含まれてもよい。微小粒子または微小粒子に結合した材料を収集した際には、周囲のマトリックス中に粒子を再懸濁するために、そのような物理的方法を使用してもよい。放出は単純に、(例えば、上に記載される任意のメカニズムによる)以前の収集工程の反転であってよいし、または収集および放出は2つの異なるメカニズムによって進められ得る。1つのそのような例において、粒子に結合した(分析物または分析物を含む複合体のような)材料の収集は、粒子の物理的収集によって達成することができる。材料はその後、材料を粒子に保持している結合を切断することまたは結合反応を反転させることにより放出される。第2のそのような例において、(分析物または分析物を含む複合体のような)材料は、表面に連結された結合試薬との結合相互作用により表面上に収集される。材料はその後、結合試薬を表面に連結させる結合または第2の結合相互作用を破壊することにより放出される。
【0192】
収集に続く放出は、試料中の分析物を濃縮および/または精製するために使用してもよい。第1の容量における収集および第2のより小さい容量への放出により、試料中の分析物を濃縮することができる。濃縮により、次の測定工程の感度が顕著に改善されることをしばしば可能とする。試料からの収集および非収集試料のいくつかまたは全てを除去することにより、試料中の潜在的なアッセイ干渉物質が減少または排除され得る。場合により、非結合試料の除去には、次のアッセイ工程のための均一なマトリックスを提供するために、(例えば、アッセイまたは洗浄バッファーのような)定義した液体試薬を用いて収集した材料を洗浄することおよび収集した材料を定義した液体試薬中へ放出することを含んでもよい。
【0193】
参照によって本明細書に取り入れるUS2010/0261292の図3(a)に図示されるように、方法には、ターゲット分析物を含む試料を、ターゲット分析物に結合する第1の結合試薬に連結された粒子と接触させることを含み、ここで第1の結合試薬は第1のターゲティング因子に連結され、粒子は第2のターゲティング因子に連結され、第1の結合試薬と粒子とは、第1ターゲティング因子と第2のターゲティング因子の間の結合反応を介して連結されて、前記第1の結合試薬に結合した前記ターゲット分析物を含む複合体を形成する。複合体はその後、収集され、試料中の非結合構成要素は複合体から分離される。複合体は放出され、放出された複合体は固相に結合した第2の結合試薬と接触され、ここで、第2の結合試薬は複合体と結合する。この特定の実施形態は図16に図示される。粒子(1601)は、検出抗体、1604、に結合した近接プローブ、1603、の配列に対して少なくとも部分的に相補的である捕捉オリゴヌクレオチド配列、1602、を含むように修飾されている。粒子は近接プローブと混合され、捕捉配列をプローブ配列とハイブリダイズさせて複合体、1605、を形成する。複合体はその後、分析物、1606、場合により1つまたはそれ以上の混入物質、1607~1608、を含む試料と混合させる。分析物は検出抗体(1609)に結合させ、混入物質は除去される(1610)。粒子は結合分析物を含む複合体から適切な条件下で除去され、近接プローブに結合した分析物の濃縮された溶液を形成する(1611)が、それは本明細書に記載されるように免疫アッセイにおいて使用してもよく、ここでその免疫アッセイにおいては、例えば図2(a)および付随する説明に記載されるように、付加的な近接プローブが分析物に結合し、3抗体複合体が試料(1612)中の分析物の存在を検出するためにRCA-PLAに供せられる。
【0194】
別の実施形態において、検出抗体と分析物の間の免疫アッセイ複合体は溶液中に形成され、引き続き増幅され、その後、増幅された生成物は捕捉試薬および/またはアンカーを介して粒子に付着される。場合により、増幅された生成物はフィルターされ、その後、捕捉試薬および/またはアンカーを介して粒子上に捕捉される。この方法は図17に図示される。分析物、A(1701)は、各々が近接プローブ(それぞれ1704および1705)に結合した検出抗体(それぞれ1702および1703)に結合され、検出抗体(1706)の各々に結合した分析物を含む検出複合体が形成される。検出複合体は、各々が第1の近接プローブの非オーバーラッピング領域に対して相補的な末端配列および第2の近接プローブの非オーバーラッピング領域に対して相補的な末端配列を含む2つのコネクター配列(1707aおよび1707b)に接触される。コネクター配列は第1および第2の近接プローブにハイブリダイズし、コネクターオリゴヌクレオチドの末端配列はライゲーションされ、第1および第2近接プローブの両方とハイブリダイズした環状ターゲット配列(1708)を形成する。第2の近接プローブはローリングサークルハイブリダイゼーションにより伸長し、アンカー試薬に対して相補的な結合試薬を含むアンプリコンを生成する。アンプリコンは捕捉試薬(1710)およびアンカー試薬(1711)を含む表面(1709)と接触され、表面に結合したアンプリコンの量は複数の標識化プローブ(1712)を用いて測定される。
【0195】
さらに、本明細書に記載される方法はオリゴマー分析物の検出および定量のために使用できる。ターゲット抗原がホモオリゴマー、すなわち、2つまたはそれ以上の同一サブユニットを有する抗原である場合、検出抗体は、ライゲーション鋳型オリゴヌクレオチドおよびプライマーオリゴヌクレオチドの両方に独立的に標識化される必要がある。このことは、鋳型オリゴヌクレオチドのみを有する2つの抗体またはプライマーオリゴヌクレオチドのみを有する2つの抗体が結合することがあり得るし、そのような非生産的複合体がこのアプローチの感度を減少させることがあり得るため、非効率性を招き得る。このアプローチが、オリゴマーの特異的検出を可能にするためにさらなる特異的鋳型オリゴヌクレオチドが使用されるような、特異的オリゴマー構造の検出に適用される場合、この問題が悪化する可能性がある。したがって、本明細書に記載される方法には、ローリングサークル鋳型の形成のための鋳型と共に、所望のオリゴマー分析物に効率的に結合するように構成された検出抗体のセットのプリフォーメーション(前形成)を含むことができる。これはさらなるオリゴヌクレオチド配列、例えば、抗体がターゲット抗原オリゴマーに適合したオリゴマー型の検出抗体混合物として構成されるように、抗体とカップリングしたオリゴヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることができるスキャフォールディングオリゴヌクレオチドを使用することによって達成される。この前組織化工程は、検出抗体のターゲットオリゴマーへの最適な結合を可能とする。検出抗体のオリゴマー抗原への結合に続いて、スキャフォールディングオリゴヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼ分解または他の適切な化学方法またはエンドヌクレアーゼ処理を介して除去することができる。スキャフォールディングオリゴヌクレオチドが除去されると、近接ライゲーションローリングサークル増幅アッセイが本明細書に記載されるように進行する。
【0196】
さらなる実施形態において、本明細書に記載されるアッセイ形式は1つまたはそれ以上のコントロールアッセイをさらに含む。対応する検出抗体を有さない捕捉抗体を含む結合ドメイン上にネガティブコントロールを含めることができ、それにより、全ての試料についての首尾一貫したバックグラウンドシグナルが提供される。事前設定されたしきい値を超えるシグナルが測定されることは、不適切なアッセイ処理が起きたかまたは標識化検出プローブの非特異的結合を起こす試料依存性マトリックス効果の存在を意味する。さらに、多数のコントロール機能を行う(分泌または細胞内タンパク質のような)ヒトターゲット抗原についてのアッセイに標本コントロールを含めることもできる。ポジティブなシグナルはヒト材料の存在を意味するので、試料添加および品質の試験を意味するであろう。ヒト抗原は、バクテリア抗原抽出についての処理コントロールとしても役立つ。例えば、細胞内ヒト分析物は、例えばAktのような、検出されるべき溶解および抽出もまた必要とされる標本コントロールとして選択されることもできる。事前定義されたしきい値を下回るシグナルを測定した場合は、試料が加えられなかったこと、試薬または処理の失敗が起きたこと、または増幅または検出に対して干渉する物質が存在することを意味するであろう。内部コントロールに加えて、外部のポジティブおよびネガティブコントロールもまた本方法および/またはキットと共に使用されることができる。ポジティブコントロールには、試験した場合、全てのアッセイについてポジティブシグナルを提供する、多重化パネルにより検出される全ての特異的ターゲット抗原を代表する非感染バクテリア抽出物の混合物を含めることもできる。ネガティブコントロールには、いかなるターゲットタンパク質を含まない代表的なマトリックスが含まれる。
【0197】
本発明の方法により解析されてもよいサンプルの例には、食料サンプル(食料抽出物、食料破砕物、飲料などを含む)、環境サンプル(例えば、土壌サンプル、環境スラッジ、収集した環境エアロゾル、環境ワイプ、ろ過水など)、工業サンプル(例えば、工業生産プロセスからの出発原料、生成物または中間体)、ヒトの医療サンプル、獣医学サンプルおよび他の生物学的起源のサンプルが含まれるが、それらに限定されない。解析されてもよい生物学的サンプルには、便、粘膜スワブ、生理学的試料、および/または細胞の懸濁液を含むサンプルが含まれるがそれらに限定されない。生物学的サンプルの具体例としては、血液、血清、血漿、便、粘膜スワブ、組織吸引物、組織破砕物、細胞培養物および細胞培養上清(真核生物および原核生物の細胞培養物を含む)、尿、唾液、たん、および脳脊髄サンプルが含まれる。
【0198】
本発明の方法を使用して測定されてもよい分析物としては、タンパク質、毒素、核酸、微生物、ウイルス、細胞、菌類、胞子、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖類、薬、ホルモン、ステロイド、栄養素、代謝産物および上記の分子の任意の修飾された誘導体、または1つもしくはそれ以上の上記の分子を含む任意の複合体またはそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。サンプル中の目的の分析物のレベルは疾患または病状を示すものであってよく、またはそれは単に患者がその分析物に曝されているか否かについて示すものであってもよい。
【0199】
特定の実施形態において、目的の分析物はエクソソーム、すなわち、ほとんどの細胞タイプから放出された小さい膜小胞である。エクソソームの放出およびそれに続く取り込みは細胞から細胞への伝達の方法であり、多くの生理学的および病理学的過程の調節に役割を有する。エクソソームには、表面結合および細胞質性タンパク質、脂質、mRNA、およびmiRNAを含むがそれらに限定されない幅広い様々なシグナル分子が含まれることが示されてきており、ならびに各々のエクソソーム中のこれらの標本の同定および濃度がその細胞起源および機能を推測するために使用することができることが示唆されている。したがって、患者の全エクソソーム集団のゲノムまたはプロテオームプロファイリングは、数ある中でもとりわけ、癌、感染症、腎臓および肝臓疾患、ならびに外傷性脳障害を含む様々な病理学的状態についての貴重な予測情報を提供し得るだろう。
【0200】
エクソソームは、生体液から大量のエクソソームを単離し、それらの膜を破砕し、ウエスタンブロット、PCRまたは塩基配列決定法などのような従来法により内容物をアッセイすることにより、典型的に凝集物中において測定される。しかしながら、本発明の方法およびキットは、エクソソームを表面上に捕捉し、引き続きエクソソームにより発現させたターゲット分子を検出することを介してエクソソームを特徴づけるために使用することができる。いくつかのタンパク質がほとんどのエクソソームの間で共通していることが同定されており(例えば、CD9、CD63、CD81、Hsp70、PDCD6IP、Tsg101)、1つの実施形態において、これらのターゲットは、1つまたはそれ以上の捕捉試薬と1つまたはそれ以上の共通エクソソームターゲットタンパク質の間の結合相互作用を介してエクソソームを表面上に捕捉するために独立的にまたは組み合わせて使用することができる。代替的またはさらなる実施形態において、エクソソーム上または内に存在する疾病関連マーカーが表面上のエクソソームを1つまたはそれ以上の捕捉試薬と疾病関連エクソソームマーカーの間の結合相互作用を介して捕捉するために使用される。捕捉されたエクソソーム(単数または複数)はその後、1つまたはそれ以上の共通エクソソームタンパク質、あるいはエクソソームのいくつかの画分の中もしくはその表面上に存在する1つまたはそれ以上の付加的分子ターゲットのいずれかに対して指向された1つまたはそれ以上の検出試薬を用いて探索される。別々のターゲットが捕捉および検出試薬について選択される場合、エクソソームの亜集団を同定または定量する際における付加的な特異性を許容して、両方のターゲットを含むエクソソームのみが検出されるだろう。特定の実施形態において、使用される試料は精製したエクソソーム調製物である。
【0201】
特定の実施形態において、特定の表現型的に別々のエクソソーム亜集団の検出は、本明細書に記載される近接ターゲットでの結合相互作用により近接させられた場合にシグナルを生成するのみである1対の検出試薬を用いて達成させられる。本実施形態において、近接ターゲットは同じ分子上の別々のエピトープであってもよく、単一エクソソームの内部に近接しているかまたは同じエクソソームの膜に結合している同じ分子の化学種の異なるコピーであってもよく、あるいは単一エクソソーム内または単一エクソソーム上の異なる相互作用している化学種、例えば2つの相互作用しているタンパク質(例えば、テトラスパニン-インテグリン複合体)、タンパク質受容体およびリガンド(例えばEFGおよびEGFR)、もしくはmRNA分子およびRNA結合タンパク質(例えば、アルゴノート1-4もしくはGW182)のような化学種であってもよい。さらに、本明細書に記載される方法の使用により、機能的に連結していないかもしれないが、単一エクソソーム内の存在により連結している3つまでの別々のターゲット分子の解析が可能になる。本明細書に記載されるPLA/RCA法において使用される近接プローブは、エクソソーム上またはエクソソーム内においてさらに離れているように位置しているターゲット分子のライゲーションおよびそれに引き続く増幅を許容するように延長できる。1つの実施形態において、PLA/RCAアッセイは、アンプリコンに対する特定の蛍光プローブを用いて実行される。その後、捕捉エクソソームは一般的な蛍光試薬、例えば、エクソソーム内のRNAについてのアクリジンオレンジ、により標識化し、捕捉エクソソームは2つの蛍光サイン間の相関を決定するために画像化する。一般的な蛍光試薬の使用により、所望のエクソソームからのシグナルの選択が可能となる。
【0202】
内部ターゲット分子を探索するために、(カーゴタンパク質(cargo proteins)、脂質またはRNA分子)エクソソームは、捕捉の前または後であって、検出試薬を加える前に、固定化させ、透過処理させることができる。もし、透過処理したエクソソームが本明細書に記載される方法を用いて調べられるならば、検出試薬の1つまたは両方には、特異的なRNA配列に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを含めることができ、mRNA、miRNAおよび/またはタンパク質とRNAの間の相互作用の検出が可能となる。
【0203】
エクソソームは、本明細書に記載される方法を用いてアンカー試薬を使用するか使用しないで測定される。上に記載されるように、結合アッセイにおけるアンカー試薬の使用が図1(a)において図示され、もし分析物がエクソソームの場合、表面(101)には、例えば、共通エクソソームターゲットタンパク質に向けられた、捕捉試薬が含まれる。特定の実施形態において、表面には、アンカー試薬(103)も含まれる。1つまたはそれ以上の工程において、エクソソームは捕捉試薬ならびに同じまたは異なるエクソソームターゲットタンパク質を介してエクソソームに同じく結合する検出試薬(104)に結合される。ここで、検出試薬は核酸プローブ(105)に連結される。したがって、複合体は捕捉試薬、エクソソームおよび検出試薬を含む表面上に形成される。プローブは伸長し、アンカー試薬を結合するアンカー領域を含む伸長配列(107)を形成する。伸長配列はアンカー試薬に結合し、表面に結合した伸長配列の量が測定される。
【0204】
同様に、図1(b)に図示される方法はエクソソームの検出に適用することもできる。特定の実施形態において、検出複合体には、例えば、図1(c)に図示されるように、エクソソームについてのアッセイの特異性を増強するために、1つまたはそれ以上の検出試薬を含むことができる。1つまたはそれ以上の工程において、エクソソームは捕捉試薬およびエクソソームにより発現されたターゲットタンパク質を結合する2つ(またはそれ以上の)検出試薬(それぞれ120および121)の各々と結合する。ここで、各々の第1および第2の検出試薬は核酸プローブ(122および123、それぞれ、第1および第2の核酸プローブ)と連結される。エクソソームは捕捉試薬および検出試薬に同時または実質的に同時に、あるいは順次的に、段階的な様式で結合することができる。したがって、複合体(124)は捕捉試薬、エクソソーム、および第1および第2検出試薬を含む表面上に形成される。第1および第2プローブが互いに近接していることを必要とする伸長プロセスを用いて、第1のプローブは伸長して、アンカー配列に対して相補的であるアンカー配列相補体を含む伸長配列(125)を形成する。最後から2番目の工程において、アンカー配列はアンカー配列相補体にハイブリダイズし、表面に結合した伸長配列の量が測定される。同様に、各々の図2(a)-(c)に図示される方法は、エクソソームを検出するため使用できる。
【0205】
本発明のアッセイはサンプル中の1つまたはそれ以上の、例えば2つまたはそれ以上の分析物の濃度を決定することに使用してもよい。したがって、2つまたはそれ以上の分析物は同じサンプル中で測定されてもよい。同じサンプル中で測定することができる分析物のパネルとしては、例えば、分析物についてのアッセイのパネルまたは病状または生理的条件に関連した活性が挙げられる。特定のこのようなパネルには、サイトカインおよび/またはそれらの受容体(例えば、1つまたはそれ以上のTNF-α、TNF-β、ILL-α、ILL-β、IL2、IL4、IL6、IL-10、IL-L2、IFN-y、など)、増殖因子および/またはそれらの受容体(例えば、1つまたはそれ以上のEGF、VGF、TGF、VEGF、など)、乱用薬物、治療薬、ビタミン、病原体特異的抗体、自己抗体(例えば、Sm、RNP、SS-A、SS-α、J0-1、およびScl-70抗原に対して向けられた1つまたはそれ以上の抗体)、アレルゲン特異的抗体、腫瘍マーカー(例えば、1つまたはそれ以上のCEA、PSA、CA-125 II、CA 15-3、CA 19-9、CA 72-4、CYFRA 21-1、NSE、AFP、など)、うっ血性心臓疾患および/または急性心筋梗塞を含む心疾患のマーカー(例えば、1つまたはそれ以上のトロポニンT、トロポニンI、トロポニンC、ミオグロビン、CKMB、ミエロペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、β-ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、α-ナトリウム利尿タンパク質(ANP)、エンドセリン、アルドステロン、C反応性タンパク質(CRP)、など)、止血に関連するマーカー(例えば、1つまたはそれ以上のフィブリンモノマー、D-ダイマー、トロンビン-アンチトロンビン複合体、プロトロンビン断片1および2、抗Xa因子など)、急性ウイルス性肝炎感染のマーカー(例えば、1つまたはそれ以上のA型肝炎ウイルスに対するIgM抗体、B型肝炎コア抗原に対するIgM抗体、B型肝炎表面抗原、C型肝炎ウイルスに対する抗体等)、アルツハイマー病のマーカー(アルファ-アミロイド、ベータアミロイド、Aβ 42、Aβ 40、Aβ 38、Aβ 39、Aβ 37、Aβ 34、タウタンパク質、など)骨粗鬆症のマーカー(例えば、1つまたはそれ以上の架橋したNor Cテロペプチド、総デオキシピリジノリン、遊離のデオキシピリジノリン、オステオカルシン、アルカリホスファターゼ、I型コラーゲンのC末端プロペプチド、骨特異的アルカリホスファターゼなど)、妊孕能状態や妊孕能に関連する障害のマーカー(例えば、1つまたはそれ以上のエストラジオール、プロゲステロン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン、hCG、テストステロンなど)、甲状腺障害のマーカー(例えば、1つまたはそれ以上の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トータルT3、遊離T3、トータルT4、遊離T4、およびリバースT3)、および前立腺癌のマーカー(例えば、1つまたはそれ以上のトータルPSA、遊離PSA、複合体化PSA、前立腺酸性ホスファターゼ、クレアチンキナーゼなど)のパネルが含まれる。本発明のある実施形態には、例えば、特定の病状または生理的条件に関連した1つもしくはそれ以上の、2つもしくはそれ以上の、4つもしくはそれ以上の、または10もしくはそれ以上の分析物の測定が含まれる(例えば、パネルにおいて上述のようにリストに挙げたような、まとめてグループ化された分析物;例えば、甲状腺障害の診断に有用なパネルとして、例えば、1つまたはそれ以上の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トータルT3、遊離T3、トータルT4、遊離T4、およびリバースT3が含まれてもよい)。
【0206】
好ましい実施形態において、パネルは、従来のサンプルマトリックス中に1つまたはそれ以上の低存在量の分析物、例えば、約100fg/mL未満、好ましくは約10fg/mL未満の濃度の分析物を含む。パネル中に含むことができる分析物の非限定的なリストには、例えば、IL-17、IL-21、IL-31、Ab-38、Ab-40、Ab-42、Ab-39、Ab-43、Ab-15、Ab-16、Ab-17、βアミロイドオリゴマー、C-ペプチド、IL-13、IL-17A、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-12/23p40、IL-12p70、INF-g、PSA、PSAc、タウ、フォスフォ-タウ、TNFa、トロポニンI、心筋トロポニンT、トロポニンC、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、EPO、LC3B、アルブミン、CHO-P、大腸菌HCP、IgA、IgE、IgG、IgG1、IgG4、IgM、NSO-P、Per-C6、残余プロテインA(residual protein A)、IgG2、IgG3、IgG4、AFP、CA125、カスパーゼ-3アクティブ(Caspase-3 active)、CXCL11/I-TAC、ErbB2/HER2、HGFR/o-MET、IFN-β、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、β-NGF、TFF3、TIMP1、Kim-1、α-2マクログロブリン、D-ダイマー、ICAM-1、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、PAI-1、PCSK9、プラスミノゲン、レニン/プロレニン、tPA、CXCL1/GRO-α、CCL2/MCP1、CCL3/MIP-1α、CCL4/MIP-1β、CCL5/Rantes、CRP、CXCL9/MIG、CXCL10/IL-10、G-CSF、GM-CSF、IFN-α、IFN-γ、IL1α、IL-1β、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL12(p70)、IL13、IL15、IL18、IL-22、IL-23、IL-33、c-MET、アディポネクチン、FGF21、TSLP、GLP-1、成長ホルモン、IGF1、IGF2、インシュリン、レプチン、乳汁分泌ホルモン、HIV p24、HB-EGF、AKT、フォスフォ-AKTおよびそれらの組み合わせを含む。
【0207】
特定の実施形態において、パネルには、1つまたはそれ以上の低い存在量の分析物、例えば、約100fg/mL未満、好ましくは約10fg/mL未満の濃度の分析物が従来の試料マトリックス中に含まれ、ならびにパネルには1つまたはそれ以上の下記のヒトターゲットが含まれる:G-CDF、GM-CSF、IFNガンマ、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12/23p40、IL12p70、IL-17A、IL21、IL-22、IL-23、IL-31、IL-33、TNFα、TSLP、VEGF、複合体PSA、遊離PSA、Aβ42、Aβ40、Aβ38、tau、心筋トロポニンI、心筋トロポニンT、HIV p24、C-ペプチド、および/またはFGF21。
【0208】
さらに、本明細書に記載の方法およびキットは、抗菌薬耐性マーカー(PBP2a/mecA(黄色ブドウ球菌,グラム陽性)、TEM1(大腸菌,グラム陰性))に対する単一生物感受性を検出するための免疫アッセイにおいて使用することができる。これらのアッセイは、グラム陽性およびグラム陰性の両方において、このクラスの分析物に使用することができる。バンコマイシン、βラクタム、カルバペネム、アミノグリコシドおよびマクロライド系抗生物質に対する抗菌薬耐性に関わる1つまたはそれ以上の下記の標的タンパク質は、アッセイに含まれてもよい;ermファミリー、vanA、vanB、aac(6’)-aph(2’’)、KPC、NDM、OXA-48、VIM、OXA-23様、OXA-40様、OXA-58様、CTX-M-1およびCTX-M-9ファミリーのESBL遺伝子、ならびにそれらの組み合わせ。さらに、1つまたはそれ以上の下記のタンパク質がアッセイに含まれる:50Sリボソームタンパク質L20、30Sリボソームタンパク質S7、30Sリボソームタンパク質S2、50Sリボソームタンパク質L21、50Sリボソームタンパク質L17、30Sリボソームタンパク質S4、50Sリボソームタンパク質L15、30Sリボソームタンパク質S5、50Sリボソームタンパク質L16、30Sリボソームタンパク質S3、50Sリボソームタンパク質L22、50Sリボソームタンパク質L4、リボソームタンパク質L25、50Sリボソームタンパク質L5、30Sリボソームタンパク質S2、リボソームタンパク質L30、L31およびL32、ならびにそれらの組み合わせ。さらに、1つまたはそれ以上の下記のターゲットが、単体あるいは本明細書において定義される1つまたはそれ以上のマーカーと組み合わせて評価される:例えば、伸長因子EF-TU、ACP、アシルキャリアタンパク質、RplL、リボソームタンパク質GroS(MopB、65,000)、シャペロンシステムGro-EL-Gro-ESの構成要素およびGapA、解糖系の酵素、ならびにそれらの組み合わせ。
【0209】
なお、さらに、本明細書に記載される方法およびキットは免疫アッセイにおいて、肺炎桿菌、アシネトバクター・バウマンニ、緑膿菌、エンテロバクター属種、および腸外の病原性大腸菌を含むがそれに限定されない医療関連感染(HAI生物体)を検出するために使用することもできる。各々のHAI生物体の耐性マーカーが下記の表において提供される。
【0210】
【表1】
【0211】
本明細書に記載される免疫アッセイにおいて特定の外膜タンパク質を評価することができる。
【0212】
【表2】
【0213】
さらに、本明細書に記載される方法およびキットは、バイオマーカーの以下のクラスの1つまたはそれ以上を検出するための免疫アッセイにおいて使用され得る:サイトカイン、循環腫瘍特異的タンパク質、1つまたはそれ以上の感染症に関連するタンパク質、細胞内のマーカーなど、およびそれらの組み合わせ。
【0214】
なお、さらに、本明細書に記載される方法およびキットを用いて、下記に挙げた1つまたはそれ以上の関連抗原の存在または非存在を評価することにより下記の自己免疫疾患が同定される。
【0215】
【表3】
【0216】
特定の実施形態において、パネルは、従来のサンプルマトリックス中に1つまたはそれ以上の低存在量の分析物、例えば、約100fg/mL未満、好ましくは約10fg/mL未満の濃度の分析物を含む。好ましくはパネルには、1つまたはそれ以上の下記の分析物が含まれる:IL-17、IL-21、IL-31、IL-22、IL-23、IL-33、心筋トロポニンT、およびそれらの組み合わせ。特定の実施形態において、サンプル中に検出される分析物の濃度は、0.01fMから100fM、0.03fM~50fM、または0.03fM~10fMの範囲内である。いくつかの実施形態において、実質的に正確に決定され得るサンプル中の分析物分子の濃度は、約100fM未満、約10fM未満、約3fM未満、約1fM未満、約0.3fM未満、約0.1fM未満、約0.03fM未満、またはそれ未満である。サンプル中の分析物分子の濃度は、サンプル中の分析物分子の測定濃度が、サンプル中の分析物分子の実際の濃度の約20%以内であるならば、実質的に正確に決定されるとみなされてもよい。ある実施形態においては、サンプル中の分析物分子の測定濃度は、サンプル中の分析物分子の実際の濃度の約10%以内、約3%以内または約1%以内である。アッセイの検出限界は、バックグラウンドシグナルより少なくとも2.5の標準偏差であるシグナルを与える濃度であり、好ましくは、アッセイは、サンプル中の約10~10,000の分子、またはサンプル中の100~5,000分子またはサンプル中の100~1000の分子を検出することができる。
【0217】
さらなる実施形態において、本明細書に記載される方法は、直近の曝露および/または感染に起因する低存在量の分析物を検出するために使用されることができる。様々な疾患または状態、例えば、癌、細菌感染、例えば、炭疽菌(Bacillus anthracis;炭疽)、ウイルス感染症、例えば、HIV、肝炎、HPVなど、毒素曝露、例えば、リシン、ボツリヌス毒素A、B、またはEなどの早期診断が、ELISAのような利用可能な技術の検出限界(LOD)は、疾患の発症を示す可能性がある低存在量タンパク質の循環濃度よりも高いという事実によって制限されている。パネルには、1つまたはそれ以上の従来サンプルマトリックス中の低存在量の分析物、例えば、約100fg/mL未満、または約10fg/mL未満の濃度の分析物を含むことができる。パネルに含むことができる分析物の非限定的なリストには、例えば、HIVgp41、HIVgp120、HIVgp160、HIVp24、HIVp66、HIVp51、HIVp17、HIVp31、Tat、Nef、Viv、A、B、C、D、またはE型肝炎抗原、HPVタイプ16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、73、および/または82、HPV-E6およびE7タンパク質、IL-17、IL-21、IL-31、IL-22、IL-23、IL-33、心筋トロポニンT、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。なおさらには、パネルには直近の疾患の発症、曝露および/または感染に起因して低存在量であり得る1つまたはそれ以上の下記の分析物を含むことができる:Ab-38、Ab-40、Ab-42、Ab-39、Ab-43、Ab-15、Ab-16、Ab-17、βアミロイドオリゴマー、C-ペプチド、IL-13、IL-17A、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、INF-g、PSA、Tau、フォスフォ-Tau、TNFa、トロポニンI、心筋トロポニンT、トロポニンC、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、EPO、LC3B、アルブミン、CHO-P、大腸菌HCP、IgA、IgE、IgG、IgG1、IgG4、IgM、NSO-P、Per-C6、残余プロテインA、IgG2、IgG3、IgG4、AFP、CA125、カスパーゼ-3アクティブ、CXCL11/I-TAC、ErbB2/HER2、HGFR/o-MET、IFN-β、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、β-NGF、TFF3、TIMP1、Kim-1、α-2マクログロブリン、D-ダイマー、ICAM-1、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、PAI-1、PCSK9、プラスミノゲン、レニン/プロレニン、tPA、CXCL1/GRO-α、CCL2/MCP1、CCL3/MIP-1α、CCL4/MIP-1β、CCL5/Rantes、CRP、CXCL9/MIG、CXCL10/IL-10、G-CSF、GM-CSF、IFN-α、IFN-γ、IL1α、IL-1β、IL-3、IL-7、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-18、c-MET、アディポネクチン、FGF21、GLP-1、成長ホルモン、IGF1、IGF2、インシュリン、レプチン、乳汁分泌ホルモン、HB-EGF、AKT、フォスフォ-AKT、お
よびそれらの組み合わせ。
【0218】
本発明の方法は、上述したように、広い種類の生物学用および生化学用薬剤の検出を許容するように設計されている。1つの実施形態において、本方法は病原体および/または潜在的な病原体ウイルス、生物兵器剤(「BWA」)を含むバクテリアおよび毒素を、血液、たん、大便、フィルター、綿棒などを制限されることなく含む、様々な関連する臨床および環境マトリックスにおいて検出するように使用してもよい。本発明の方法を用いて、(単独で、または組み合わせて)分析することができる病原体および毒素の非限定的なリストは、炭疽菌(炭疽)、ペスト菌(Yersinia pestis;ペスト)、コレラ菌(Vibrio cholerae;コレラ)、野兎病菌(Francisella tularensis;野兎病)、ブルセラ属菌(Brucella spp.;ブルセラ症)、Q熱リケッチア(Coxiella burnetii;Q熱)、リステリア菌(listeria)、サルモネラ菌(salmonella)、赤痢菌(shigella)、コレラ菌(V. cholera)、クラミジア トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、バークホルデリア疽菌(Burkholderia pseudomallei)、天然痘ウイルス(variola virus;天然痘)を含むオルソポックスウイルス(orthopox viruses)、ウイルス性脳炎、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus;VEE)、西部ウマ脳炎ウイルス(western equine encephalitis virus;WEE)、東部ウマ脳炎ウイルス(eastern equine encephalitis virus;EEE)、アルファウイルス、ウイルス性出血熱、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、エボラウイルス、ブドウ球菌エンテロトキシン、リシン、ボツリヌス毒素(A、B、E)、ボツリヌス菌、マイコトキシン、フザリウム、マイロテシウム(Myrotecium)、セファロスポリウム、トリコデルマ、ベルチシモノスポリウム(Verticimonosporium)、スタキボトリス、鼻疽、小麦菌、バチルス グロビジイ(Bacillus globigii)、セラチア マルセセンス、黄色の雨(yellow rain)、トリコテセン系マイコトキシン、ネズミチフス菌、アフラトキシン、インドネズミノミ、ディアマヌス モンタヌス(Diamanus montanus)、痘瘡、サル痘ウイルス、アレナウイルス、ハンタウイルス、ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、リフトバレー熱ウイルス、クリミア-コンゴウイルス、ハンタウイルス、マールブルグ出血熱、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、インフルエンザ(H5N1型鳥インフルエンザ、インフルエンザA、インフルエンザA、H1特異的、インフルエンザA、H3特異的、インフルエンザA、H5特異的、インフルエンザA、2009-H1N1特異的、インフルエンザBなどのヒトおよび動物の株を含む)、RSV、ヒト免疫不全ウイルスIおよびII(HIV IおよびII)、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、肝炎(非A、BまたはC)、エンテロウイルス、エプスタイン-バーウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、クラミジア トラコマチス、ナイセリア ゴノレア、膣トリコモナス、ヒトパピローマウイルス、梅毒トレポネーマ、肺炎連鎖球菌、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borellia burgdorferi)、ヘモフィルス インフルエンザエ、肺炎マイコプラズマ、クラミドフィラ ニューモニエ、レジオネラ ニューモフィラ、黄色ブドウ球菌、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、アブリン、志賀毒素1、志賀毒素2、モラクセラ カタラーリス、化膿連鎖球菌、クロストリジウム ディフィシル、髄膜炎菌、肺炎桿菌、結核菌、A群連鎖球菌、大腸菌O157、コロナウイルス、コクサッキーAウイルス、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、メタニューモウイルス、ワクシニア、ならびにアデノウイルスである。
【0219】
本明細書に記載の結合アッセイの改良法は、結合アッセイのダイナミックレンジ、すなわち、希釈することなくシステムもしくは方法によって定量化され得る流体サンプル中の分析物分子の濃度またはサンプルの濃度の範囲、を拡大するかまたは同様の結果を生ずるアッセイ条件の変更(例えば、使用する試薬の濃度など)するために使用することができ、ここで、分析物分子の測定濃度は実質的に正確に決定され得る。流体サンプル中の分析物分子の濃度は、流体サンプル中の分析物分子の測定濃度が、流体サンプル中の分析物分子の実際の(例えば、真の)濃度の約10%以内であれば、実質的に正確に決定されたものとみなされてもよい。ある実施形態において、流体サンプル中の分析物分子の測定濃度は測定濃度が流体サンプル中の分析物分子の実際の濃度の約5%以内、約4%以内、約3%以内、約2%以内、約1%以内、約0.5%以内、約0.4%以内、約0.3%以内、約0.2%以内、約0.1%以内である実施形態において実質的に正確に決定される。いくつかの場合において、決定した濃度の測定値は、真の(例えば、実際の)濃度とは、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下異なる。アッセイ方法の精度は、いくつかの実施形態において、選択したアッセイ方法を用い、測定濃度を実際の濃度と比較して、既知の濃度の流体サンプル中の分析物分子の濃度を決定することにより、決定されてもよい。
【0220】
いくつかの実施形態において、システムまたは方法は、約1000(3 log)、約10,000(4 log)、約100,000(5 log)、約350,000(5.5 log)、1,000,000(6 log)、約3,500,000(6.5 log)、約10,000,000(7 log)、約35,000,000(7.5 log)、約100,000,000(8 log)以上のダイナミックレンジにわたって流体サンプル中の分析物分子の濃度を測定することができるものであってよい。
【0221】
いくつかの実施形態において、実質的に正確に決定され得る流体サンプル中の分析物分子の濃度(例えば未知の濃度)は、約5000fM(フェムトモル)未満、約3000fM未満、約2000fM未満、約1000fM未満、約500fM未満、約300fM未満、約200fM未満、約100fM未満、約50fM未満、約25fM未満、約10fM未満、約5fM未満、約2fM未満、約1fM未満、約500aM(アトモル)未満、約100aM未満、約10aM未満、約5aM未満、約1aM未満、約0.1aM未満、約500zM(ゼプトモル)未満、約100zM未満、約10zM未満、約5zM未満、約1zM未満、約0.1zM未満、またはそれ以下である。いくつかの場合において、検出限界値(例えば、溶液中で決定され得る分析物分子の最も低い濃度)は約100fM、約50fM、約25fM、約10fM、約5fM、約2fM、約1fM、約500aM(アトモル)、約100aM、約50aM、約10aM、約5aM、約1aM、約0.1aM、約500zM(ゼプトモル)、約100zM、約50zM、約10zM、約5zM、約1zM、約0.1zM以下である。いくつかの実施形態において、実質的に正確に決定され得る流体サンプル中の分析物分子または粒子の濃度は、約5000fMと約0.1fMの間、約3000fMと約0.1fMの間、約1000fMと約0.1fMの間、約1000fMと約0.1zMの間、約100fMと約1zMの間、約100aMと約0.1zMの間、またはそれ以下である。検出の上限(例えば、溶液中で決定され得る分析物分子の上限濃度)は少なくとも約100fM、少なくとも約1000fM、少なくとも約10pM(ピコモル)、少なくとも約100pM、少なくとも約100pM、少なくとも約10nM(ナノモル)、少なくとも約100nM、少なくとも約1000nM、少なくとも約10uM、少なくとも約100uM、少なくとも約1000uM、少なくとも約10mM、少なくとも約100mM、少なくとも約1000mM、またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、決定される流体サンプル中の分析物分子または粒子の濃度は、約50x10-15M未満、または約40x10-15M未満、または約30x10-15M未満、または約20x10-15M未満、または約10x10-15M未満、または約未満、または約1x10-15M未満である。
【0222】
いくつかの実施形態において、実質的に正確に決定され得るサンプル中の分析物分子の濃度は、約100fM未満、約10fM未満、約3fM未満、約1fM未満、約0.3fM未満、約0.1fM未満、約0.03fM未満、またはそれ以下である。いくつかの実施形態において、実質的に正確に決定され得るサンプル中の分析物分子の濃度は、約5000fMと約0.1fMの間、約3000fMと約0.1fMの間、約1000fMと約0.1fMの間、約1000fMと約1fMの間、約100fMと約1fMの間、約100fMと約0.1fMの間である。サンプル中の分析物分子の濃度は、サンプル中の分析物分子の測定濃度が、サンプル中の分析物分子の実際の濃度の約20%以内であれば、実質的に正確に決定されたものとみなされてもよい。ある実施形態において、サンプル中の分析物分子の測定濃度は、サンプル中の分析物分子の実際の濃度の約10%以内、約3%以内、または約1%以内であってよい。アッセイ方法の精度は、いくつかの実施形態において、選択したアッセイ方法を用い、既知の濃度のサンプル中の分析物分子の濃度を決定することにより、決定されてもよい。好ましくは、アッセイは、サンプル中に約10~10,000分子、好ましくは、サンプル中に100~5,000分子、およびより好ましくは、サンプル中に100~1000分子を検出することができる。
【0223】
例えば、同一の捕捉抗体、および2つの検出抗体のいずれか一方、ならびに同一標識および同一検出技術を使用して測定した従来のサンドイッチ免疫アッセイ技術と比較すると、本明細書に記述したアッセイフォーマットの使用は、検出信号およびアッセイ感度を10倍も、好ましくは50倍、100倍または1000倍も向上させ得る。本明細書に記述したアッセイフォーマットの使用が、標準的なサンドイッチ免疫アッセイと比較して、検出信号およびアッセイ感度を100倍向上させるのが好ましい。
【0224】
本発明の方法の有利な態様の1つは、特に高感度の光検出技術と組み合わせた場合、信号増幅によって個々の結合イベントを光の輝点として検出できるようになることである。信号の定量化は、個々のイベントの計数により(バックグラウンドノイズから結合イベントを識別する能力の改善により、低濃度の分析物に対して感度を上昇できる)または、全結合イベントの信号を積分することにより(高濃度の分析物測定に対して、より良いダイナミックレンジを提供できる)、実行できる。
【0225】
本発明の方法は様々なアッセイ装置および/またはフォーマットにおいて使用され得る。アッセイ装置には、例えばアッセイプレート、カートリッジ、マルチウェルアッセイプレート、反応容器、テストチューブ、キュベット、フローセル、アッセイチップ、ラテラルフロー装置等のアッセイモジュールを含み、これら装置はアッセイ試薬(標的化剤または他の結合試薬を含み得る)を有するが、アッセイ試薬はアッセイの進行とともに追加されるか、またはアッセイモジュールのウェル、チャンバまたはアッセイ領域にあらかじめロードされる。これらの装置では特異的結合アッセイ、例えば免疫アッセイ、免疫クロマトグラフィーアッセイに対して様々なアッセイフォーマットを用い得る。例示のアッセイ装置およびフォーマットを本明細書で後に記述する。ある種の実施形態において、本発明の方法は、乾燥状態で保存されたアッセイ試薬を用いてもよく、アッセイ装置/キットはさらに、アッセイ試薬を乾燥状態に維持するための乾燥剤を含んでもよく、また乾燥剤が供給されてもよい。アッセイ試薬をあらかじめロードしたアッセイ装置により、保存中の優れた安定性を維持しつつ、アッセイ測定の速度を大幅に向上させ、かつアッセイ測定を単純化できる。乾燥アッセイ試薬は、乾燥でき、後にアッセイでの使用に先立って再構成できる任意のアッセイ試薬であってよい。このような試薬には、目的の分析物を検出するために使用され得る結合アッセイに有益な結合試薬、酵素、酵素基質、指示染料および他の反応化合物が含まれるがこれらに限定するものではない。アッセイ試薬はさらに、検出のメカニズムに直接関与しないが、アッセイで補助的な役割を果たす物質を含んでいてもよく、例えば遮断薬、安定化剤、界面活性剤、塩、pH緩衝液、保存剤などを含むが、これらに限定するものではない。試薬は遊離状態で存在してもよく、またはアッセイモジュールにおけるコンパートメント(例えばチャンバ、チャンネル、フローセル、ウェル等)の表面、もしくはコロイド、ビーズまたは他の粒子の支持物の表面を含む固相上で支持されていてもよい。
【0226】
本発明の方法は分析物の量を測定するための様々な方法と一緒に使用でき、特に、固相に結合した分析物の量を測定するための方法とともに使用できる。使用可能な技術には、細胞培養ベースアッセイ、結合アッセイ(凝集検査、免疫アッセイ、核酸ハイブリッド形成アッセイ等を含む)、酵素アッセイ、比色分析等、当業界で知られた技術があるがこれらに限定されない。他の適切な技術は当技術分野において平均的なスキルを有する当業者には容易に明らかとなろう。なんらかの測定技術により、測定は目視検査可能なものとなり、測定を実施するための装置の使用が必要となる場合があるが、それが利点となる場合もある。
【0227】
分析物の量を測定する方法は非標識技術を含み、i)表面に分析物が結合した後、表面での質量または屈折率の変化を測定する技術(例えば表面超音波技術、表面プラズモン共鳴センサー、偏光解析技術等)、ii)質量分析技術(表面上の分析物を測定できるMALDI、SELDI等の技術を含む)、iii)クロマトグラフィー技術または電気泳動技術、iv)蛍光技術(分析物固有の蛍光に基づく)等があるがこれらに限定されない。
【0228】
分析物の量を測定するための方法はさらに、分析物に直接または間接的に結合し得る標識の検出を通して(例えば標識された分析物の結合パートナーの使用を通じて)分析物を測定する技術を含む。適切な標識には、直接視覚化できる標識を含む(例えば、視覚的に確認できる粒子および測定可能な信号を生成する標識、例えば光散乱、光学的吸収、蛍光、化学発光、電気化学発光、放射線、磁場等)。使用し得る標識はまた、光散乱、吸収、蛍光等の測定可能な信号をもたらす化学的活性を有する酵素または他の化学反応種を含む。標識としての酵素の使用は、ELISA、酵素免疫アッセイ法またはEIAと呼ばれる酵素結合免疫吸着検査法において確立されている。ELISAフォーマットでは、未知の量の抗原を表面に固定し、次に特異抗体を表面に流して、特異抗体を抗原に結合さ得る。この抗体は酵素に結合し、最終工程で、ある物質が追加され、酵素は検出可能な信号に変化をもたらす産物に変わる。産物の形成は、例えば、吸収、蛍光、化学発光、光散乱等の測定可能な特徴における基質との差異によって検出可能である。本発明による固相結合法と一緒に使用し得るある測定方法は(すべてではないが)、非結合成分(例えば標識)を固相から除去する洗浄工程から利益を得る場合もあり、この工程が必要となる場合もある。したがって、本発明の方法はそのような洗浄工程を含み得る。
【0229】
一対の検出可能な標識を用いるこれら実施形態において、一対の標識が互いに近くにある、つまり、検出複合体内の目的の分析物にそれぞれに直接または間接的に結合する場合、これら標識物質はそれぞれ独立して検出できる能力、および/または検出可能な信号を生成するよう連携する能力に基づいて選択される。一実施形態において、第1の検出可能な標識は共役酵素反応系の第1の酵素であり、第2の検出可能な標識は共役酵素反応系の第2の酵素であり、本方法はさらに、反応系の1つまたはそれ以上の基質を追加して、それにより酵素反応系の検出可能な産物を生成する工程を含む。検出可能な産物を含む反応容器と含まない反応容器は識別可能である。好ましい実施形態では、第1の酵素と第2の酵素が近接している、例えば200nm未満、理想的には50nm未満の場合にのみ、検出可能な産物が生成される。一実施形態において、第1の酵素はオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼであり、第2の酵素はペルオキシダーゼであり、基質はオキシダーゼ基質、例えばグルコース、と標識チラミド、Amplex Red(10-アセチル-3,7-ジヒドロキシフェノキサジン)、またはルミノール誘導体(本明細書ではまとめて、標識した反応性誘導体と呼び、好ましい実施形態では、標識した反応性誘導体はAmplex Redまたはルミノールを含む)を含む。この実施形態では、第1の酵素が基質と反応して第2の酵素と反応する産物を生成し、この産物は標識した反応性誘導体と反応する第2の産物を生成し、検出可能な種を生成する。好ましくは、この反応は検出複合体の第1および第2の酵素により触媒され、表面上に標識した反応性誘導体を固定する。この誘導体は表面上に存在する分析物分子の数を決定するために測定され得る。一実施形態において、標識した反応性誘導体はビオチン-チラミドであり、本方法はさらに、標識ストレプトアビジンを追加し、ストレプトアビジン上の標識を測定することを含む。
【0230】
さらに本方法で使用できる別の近接依存性の標識化システムはFRETペアであり、例えば第1の検出可能な標識はFRETドナーであり、検出可能な標識はFRETアクセプターである。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、2つの色素分子の電子的励起状態の間の距離に依存した相互作用であり、励起がドナー分子からアクセプター分子へ、発光せず転移する。FRETの効率は分子間の距離の6乗に反比例し、これは生体高分子の大きさに比肩する距離であるため、有用なシステムである。この標識化システムでは、近接依存性の信号は、FRETドナーを励起させてFRETアクセプターからの放出を測定することで測定される。ドナーおよびアクセプター分子は、例えば約10~100オングストローム等の近接距離にあるのが好ましく、アクセプターの吸収スペクトルはドナーの蛍光発光スペクトルと重なり合うことが好ましく、ドナーおよびアクセプターの転移双極子配向はほぼ並行でなくてはならない。FRETペアのリストを表1に示すがこれに限定しない。
【0231】
【表4】
【0232】
光顕微鏡法に対して様々なFRET検出法が存在し、例えばアクセプターの光退色、ドナーの光退色、比率イメージング、増感発光および蛍光寿命測定がある。
【0233】
実施形態において使用可能な、一対の検出標識を用いる別の適切な標識化システムは、第1および第2の検出可能な標識を独立して測定できるシステムである。例えば、第1および第2の検出可能な標識は、分光特性に対して互いに異なる発光標識であってもよい。あるいは、第1の検出可能な標識は、第1の基質と反応して第1の信号を生成する第1の酵素であり、第2の検出可能な標識は、第2の基質と反応して異なる第2の信号を生成する第2の酵素であり、本方法はさらに、第1の酵素基質および第2の酵素基質を追加し、第1および第2の信号が生成される反応容器の数を計数することを含む。第1および第2の信号は異なる分光特性により、光学的吸収および/または発光信号が異なる可能性がある。
【0234】
第1および第2の検出可能な標識が第1および第2の酵素を含む場合、これら酵素はそれぞれ加水分解酵素、例えばホスファターゼ、スルファターゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、またはそれらの組合せであってもよく、したがって、第1および第2の基質はリン酸塩、硫酸塩、ガラクトシドおよびグルクロニド修飾安定化ジオキセタン、4-メチルウンベリフェリル、フルオレセインまたはそれらの組合せから選択される。あるいは、第1および第2の酵素はホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼから選択される。
【0235】
あるいは、分析物分子を検出するために使用する標識は単一分子の蛍光検出、例えば蛍光相関分光法、および/または蛍光交差相関分光法において使用できる蛍光種であってもよい。単一分子蛍光検出は、キャピラリーに検出可能な種を含む溶出液を流し、キャピラリー内の内容物に光源を集中させて監視領域を設定し、光検知器で監視領域を観察し、監視領域を通過する蛍光分子を検出することを含む。
【0236】
一実施形態では、試料内の目的の分析物は電気化学発光に基づいたアッセイフォーマット、例えば電気化学発光(ECL)に基づく免疫アッセイを使用して測定してもよい。ECLの感度の高さ、幅広いダイナミックレンジおよび選択性は医学的診断における重要な特質である。市販のECL器具は並はずれた性能を示し、感度、ダイナミックレンジ、精度に優れ、複雑なサンプル基材を許容することを含め、複数の理由から広く使用されてきた。ECLの放出を誘起できる種(ECL活性種)がECL標識として使用されてきており、例えば、i)金属が例えば第VIII族の貴金属からのものである有機金属化合物(Ru含有およびOs含有有機金属化合物、例えばトリス-ビピリジル-ルテニウム(RuBpy)部分を含む)ならびにii)ルミノールおよび関連化合物がある。ECLプロセスのECL標識関与する種を本明細書においてECL共反応物(coreactants)と呼ぶ。一般に使用される共反応物としては、RuBpy由来のECLに対する第三級アミン(例えば米国特許第5,846,485号を参照)、オキザレートおよびパーサルフェート、ならびにルミノール由来のECLに対する過酸化水素(例えば米国特許第5,240,863号を参照)などがある。ECL標識が発生する光を、レポーター信号として診断手続に使用できる(Bardら、米国特許第5,238,808号、参照によって本明細書に組み入れる)。例えば、ECL標識は、抗体、核酸プローブ、レセプターまたはリガンド等の結合剤に共有結合でき;結合相互作用での結合試薬の関与はECL標識から放出されたECLの測定によりモニターできる。あるいは、ECL活性化合物からのECL信号は化学的環境の指標になり得る(例えば、米国特許第5,641,623号を参照。これはECL共反応物の形成または分解をモニターするECLアッセイを記載している)。ECL、ECL標識、ECLアッセイおよびECLアッセイを実施するための器具についてのさらなる背景については、米国特許第5,093,268号、同第5,147,806号、同第5,324,457号、同第5,591,581号、同第5,597,910号、同第5,641,623号、同第5,643,713号、同第5,679,519号、同第5,705,402号、同第5,846,485号、同第5,866,434号、同第5,786,141号、同第5,731,147号、同第6,066,448号、同第6,136,268号、同第5,776,672号、同第5,308,754号、同第5,240,863号、同第6,207,369号、同第6,214,552号および同第5,589,136号、ならびに国際公開第99/63347号、WO00/03233、WO99/58962、WO99/32662、WO99/14599、WO98/12539、WO97/36931およびWO98/57154を参照されたい。これらはすべて参照によって本明細書に組み入れる。
【0237】
複数のアッセイ測定を単一の試料上で実行する場合、本発明の方法はシングルプレックスまたはマルチプレックスのフォーマットに適用し得る。本発明で使用できるマルチプレックス測定は、これらに限定するものではないが、i)多数のセンサーの使用を含み;ii)ある表面(例えばアレイ)上の位置によって識別可能な、表面上の別個のアッセイ領域を使用し;iii)粒子性状、例えば、大きさ、形、色等により識別可能な粒子にコーティングした試薬の使用を含み;iv)光学的性質(例えば吸収度または発光スペクトル)に基づいて識別可能なアッセイ信号を生成する、または、v)アッセイ信号の時間的特性(例えば時間、信号の周波数または位相)に基づく、マルチプレックス測定を含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、試料内の分析物分子の濃度測定は、少なくとも一部分で、測定したパラメーターと検量基準との比較により決定してもよい。例えば、分析物分子を含む結合表面の分画を検量線と比較して、試料内の分析物分子の濃度測定を求めてもよい。検量線は、既知の濃度の複数の標準化試料のアッセイを、テスト試料の分析に使用する条件下で完了することで作成し得る。各標準化試料において分析物分子の検出/定量化に関係する信号を読むことで、分析物分子の既知濃度に分析物分子の検出を関連づける検量線を作成し得る。その後、アッセイを未知濃度の分析物分子を含む試料で完了させ、このアッセイでの分析物分子の検出を検量線上にプロットし、試料内の分析物分子の濃度測定を決定し得る。
【0239】
光学信号(蛍光、化学発光または電気化学発光等)の測定に映像化技術を使用する特定のケースでは、結合イベントは光源の輝点として検出できる。点源の表面密度が低い場合(例えば、RxR領域に点源を見つける可能性、-Rは検出システムにおける空間分解能である-が10%未満である場合)、任意の観察された点源は単一の結合イベントによるものである可能性が高い。これらの条件下では、イベントの計数が最も高感度な測定となり得る。表面密度が増加するにつれ、個々の結合イベントを分解し計数することが徐々に困難となる。これらの条件下では、結合表面の光学信号の積分により正確な測定が可能となる。
【0240】
本明細書に記述された方法が、当業者に既知の免疫アッセイの多くのプラットフォームに適用できることは、当業者には明らかであろう。免疫アッセイプラットフォームの様々な特徴は、特定のプラットフォームに適合するよう調整し得るが、この調整は通常のスキルを有する当業者に十分可能なものである。例えば、本明細書に記述された方法は、コード化粒子を使用するビーズベースのフォーマットに適用できる。このようなシステムでは、使用するビーズは磁性または非磁性であってよく、ビーズの表面は捕捉試薬の1つまたはそれ以上の複製を有するよう修飾される。本システムで用いる検出試薬は一対の検出試薬である。一実施形態では、2つの検出試薬は識別可能な蛍光標識を含む。あるいは、2つの検出試薬は、本明細書に記載したように核酸プローブで修飾され、この場合、免疫アッセイ法は伸長プロセス、例えばRCA-PLAを含み、検出可能な各検出試薬の存在を示す増幅産物を生成する。検出試薬が識別可能な蛍光標識を2つ含む場合、測定工程にはフローセルへのビーズの導入を含み、ビーズが磁性である場合、フローセルにおいてビーズを捕捉することを含む。検出試薬が核酸プローブで修飾される場合、測定工程にはビーズ上にサンドイッチ複合体を形成すること、RCA-PLAを実行すること、および蛍光標識した検出プローブでアンプリコンを標識することを含む。その後、標識されたビーズをフローセルへ導入し、ビーズが磁性である場合は、ビーズをフローセル内で捕捉する。各実施形態では、アッセイは蛍光標識したコード化ビーズの同定をベースにしたスペクトルによって多重化できる。多色検出における励起光源および放出光検出器は、各実施形態の結合イベントの検出に使用でき、定量化は検出可能な両標識を有するビーズ、または検出できるよう標識された伸長産物を含むこれらビーズを計数することで実現でき、定量化はまた、積分強度、例えばすべての結合イベントの信号に対する積分による検出によって実現できる。したがって、あるキットが上述した方法で使用するために提供されるが、このキットは1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、下記の1つまたはそれ以上を含む:(a)捕捉試薬を有する磁性または非磁性ビーズ;(b)識別可能な蛍光標識を有する検出試薬2つ;および(c)アッセイプロトコル用の任意のバッファーおよび/または賦形剤。別のキットが上述した方法で使用できるが、このキットは1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、下記の1つまたはそれ以上を含む:(a)捕捉試薬を有する磁性または非磁性ビーズ;(b)核酸プローブで修飾される検出試薬2つ(場合により、検出試薬は別々に提供され、近接プローブ(1および2)は、プローブによる検出試薬を修飾するための命令と一緒に提供される);および(c)蛍光標識プローブ;近接プローブによる検出試薬の修飾に必要な任意の試薬;アッセイ希釈剤、キャリブレーター、環状化オリゴヌクレオチド、ライゲーション混合物またはその成分、例えばライゲーションバッファー、ATP、BSA、Tween20、T4DNAリガーゼ;RCA混合物またはその成分、例えばBSA、バッファー、dNTP、Tween20、Phi29DNAポリメラーゼ。
【0241】
別の実施形態では、本明細書に記述した方法は、フローセル分析、ビーズベースのフォーマットに適用できる。そのようなシステムでは、使用するビーズは磁性であり得、ビーズの表面は捕捉試薬の1つまたはそれ以上の複製を含むよう修飾される。本システムで用いる検出試薬は、本明細書に記載したような核酸プローブで修飾される一対の検出試薬であり、この場合、免疫アッセイ法は伸長プロセス、例えばRCA-PLAを含み、検出可能な各検出試薬の存在を示す増幅産物を生成する。測定工程はビーズ上にサンドイッチ複合体を形成すること、RCA-PLAを実行すること、およびECL標識した検出プローブでアンプリコンを標識することを含む。その後、標識されたビーズをフローセルへ導入し、ビーズをフローセル内で捕捉する。特に、磁場を磁粉、例えばビーズを引きつけるために電極表面に印加するが、これは様々な金属、例えば白金を含み得る。電圧源は電極に電圧を印加するために使用され、放出光検出器は結合イベントを検出するために使用でき;定量化は検出できるよう標識された伸長産物を有するビーズを計数することで実現でき、定量化はまた、積分強度、例えばすべての結合イベントの信号に対する積分による検出によって実現できる。上述した方法で使用可能なキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、下記の1つまたはそれ以上を含むことができる:(a)捕捉試薬を有する磁性ビーズ;(b)核酸プローブで修飾される検出試薬2つ(場合により、検出試薬は別々に提供され、近接プローブ(1および2)は、プローブによる検出試薬を修飾するための命令と一緒に提供される);および(c)ECL標識プローブ;近接プローブによる検出試薬の修飾に必要な任意の試薬;アッセイ希釈剤、キャリブレーター、環状化オリゴヌクレオチド、ライゲーション混合物またはその成分、例えばライゲーションバッファー、ATP、BSA、Tween20、T4DNAリガーゼ;RCA混合物またはその成分、例えばBSA、バッファー、dNTP、Tween20、Phi29DNAポリメラーゼ。
【0242】
フローセル分析のビーズベースのフォーマットの特定の実施形態では、試料を、ビオチン化モノクローナル分析物特異的捕捉抗体、および各々、オリゴヌクレオチドをコンジュゲートさせたモノクローナル分析物特異抗体の混合物とインキュベートし、反応させてサンドイッチ複合体を形成する。ストレプトアビジンコート微粒子の追加後、この複合体は、ビオチンとストレプトアビジンとの間の相互作用によって固相に結合する。ライゲーション混合物をこの混合物に追加し、混合物とライゲーション混合物とを一緒にインキュベートし、洗浄して、過剰な環状化オリゴヌクレオチドを除去し、RCA混合物と一緒にインキュベートする。混合物を洗浄し、ビオチン標識検出プローブの混合物を追加する。適切な標識、例えば発光標識、化学発光標識、またはSULFO-TAG等の電気化学発光標識を組み込むため、検出プローブを、末端のビオチン標識と合成し、SULFO-TAG標識ストレプトアビジンにあらかじめ結合させる。反応混合物を測定セルへ吸引し、微粒子を、例えば、白金電極などの金属電極の電極の表面上に磁気的に捕捉する。その後、非結合物質を適切な洗浄バッファー、例えばProCell(TPA含有バッファー)で除去する。その後、電極に電圧を印加して化学発光の放出を誘発し、発光を光電子増倍管により測定する。電圧の印加と結果としての発光の測定は、例えばCobasおよび/またはElecsys instrument(Hoffmann-La Roche LTD.から入手可能)など任意の適切なフローセルにおいて行うことができる。
【0243】
また別の実施形態において、本明細書に記述した方法は、ビーズベースのフォーマットに適用でき、キャピラリーの流動によりデジタル的に個々の分子を計数できる。そのようなシステムでは、使用するビーズは磁性であり得、ビーズの表面は捕捉試薬の1つまたはそれ以上の複製を含むよう修飾される。本システムで用いる検出試薬は、識別可能な蛍光標識を含む一対の検出試薬である。この測定工程は、捕捉試薬、分析物および検出試薬を含むサンドイッチ複合体を形成すること、検出試薬を架橋すること、検出試薬を溶出すること、ならびにフローセルにビーズを導入することを含む。多色検出における励起光源および放出光検出器は、結合イベントの検出に使用でき、定量化はフローセル内の2つの蛍光体の検出を関連させることにより実現でき、定量化はまた、積分強度、例えばすべての結合イベントの信号に対する積分による検出によって実現できる。上述した方法で使用可能なキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、下記の1つまたはそれ以上を含むことができる:(a)捕捉試薬を有する磁性ビーズ;(b)識別可能な蛍光標識を有する2つの架橋可能な検出試薬;および(c)アッセイプロトコル用の任意のバッファーおよび/または賦形剤。
【0244】
さらに、本明細書に記述した方法はビーズベースのフォーマットに適用できるが、このフォーマットは個々のナノウェル中へビーズを分離させることを含む。そのようなシステムでは、使用するビーズは磁性であり得、ビーズの表面は捕捉試薬の1つまたはそれ以上の複製を含むよう修飾される。本システムで用いる検出試薬は、識別可能な酵素標識を含む一対の検出試薬である。測定工程は捕捉試薬、分析物および検出試薬を含むサンドイッチ複合体を形成すること、ならびに2つの酵素標識のための基質を追加することを含む。その後、ビーズは個々のナノウェル内で捕捉される。アッセイは、異なる分光特性を有する酵素産物の同定をベースにしたスペクトルによって多重化できる。多色検出における励起光源および放出光検出器は、結合イベントの検出に使用でき、定量化は両酵素産物を含むナノウェルを計数することで実現でき、定量化はまた、積分強度、例えば全ナノウェルの信号に対する積分による検出によって実現できる。上述した方法で使用できるあるキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、下記の1つまたはそれ以上を含むことができる:(a)捕捉試薬を有する磁性ビーズ;(b)識別可能な酵素標識でそれぞれ修飾した2つの検出試薬、例えばビオチン化検出試薬およびハプテンコンジュゲート検出試薬;(c)ストレプトアビジ-β-ガラクトシダーゼ、抗ハプテンコンジュゲート酵素、レソルフィンβ-d-ガラクトピラノシド;(d)アレイ、例えばQuanterix DVDフォーマットアレイ;(e)フルオロカーボン油;ならびに(f)アッセイプロトコル用の任意のバッファーおよび/または賦形剤。この特定の実施形態では、検出可能な信号は、ナノウェル高感度システムの使用と近接性に基づいた検出システムとを組み合わせることにより増強される。特定の近接性に基づいた検出システムを使用してこの特定の実施形態を説明するが、本明細書に記述された他の近接性に基づいた検出システム、例えばFRETドナー/アクセプターシステム;分光特性が互いに異なる発光標識;または上述したような加水分解酵素である第1および第2の酵素および適切な付随する基質の使用、をアッセイでの検出可能な信号を増強するために使用できるという事実を当業者は理解するであろう。
【0245】
さらに、本明細書に記述された方法は、ビーズアレイベースのプラットフォームに適用できる。そのようなシステムでは、使用するビーズは非磁性であってよく、ビーズの表面は捕捉試薬の1つまたはそれ以上の複製を含むよう修飾される。本システムで用いる検出試薬は、第1および第2核酸プローブを含む一対の検出試薬である。この測定工程は、捕捉試薬、分析物および検出試薬を含むサンドイッチ複合体を形成すること、プローブのうちの1つを伸長して、伸長配列を形成すること(ここで伸長は、サンドイッチ複合体における第1および第2プローブの共局在化に依存する)、蛍光プローブで伸長配列を標識すること、および表面から溶出液中へ伸長配列を放出することを含む。多色検出における励起光源および放出光検出器は、結合イベントの検出に使用でき、定量化は検出できるよう標識された個々の伸長産物を計数することで実現でき、定量化はまた、積分強度、例えばすべての結合イベントの信号に対する積分による検出によって実現できる。上述した方法で使用可能なキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器、またはコンパートメントにおいて、下記の1つまたはそれ以上を含むことができる:(a)捕捉試薬を有する非磁性ビーズ;(b)核酸プローブで修飾された検出試薬2つ(場合により、検出試薬は別々に提供され、近接プローブ(1および2)は、プローブによる検出試薬を修飾するための命令と一緒に提供される);および(c)蛍光標識したプローブ;近接プローブによる検出試薬の修飾に必要な任意の試薬;アッセイ希釈剤、キャリブレーター、環状化オリゴヌクレオチド、ライゲーション混合物またはその成分、例えばライゲーションバッファー、ATP、BSA、Tween20、T4DNAリガーゼ;RCA混合物またはその成分、例えばBSA、バッファー、dNTP、Tween20、Phi29DNAポリメラーゼ。
【0246】
本明細書に記述した、性能を改善した結合アッセイは、アッセイで用いる構成部分のセットを含む1つまたはそれ以上のキットを使用して実行できる。例えば、試料内の分析物の検出に使用されるキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器またはコンパートメントにおいて、分析物用の捕捉試薬および固定試薬を含む表面;および核酸プローブに連結される、分析物用の検出試薬を含む。そのようなキットは、固定オリゴヌクレオチド配列を含む固定試薬を含んでいてもよい。
【0247】
本明細書に記述した方法の実行に使用できる別のキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器またはコンパートメントおいて、分析物用の捕捉試薬および固定オリゴヌクレオチド配列を含む固定試薬を含む表面;第1の核酸プローブに結合する第1の検出試薬;ならびに、第2の核酸プローブに結合する第2の検出試薬を含む。
【0248】
本明細書に記述した結合アッセイの実行に使用できるまた別のキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器またはコンパートメントおいて、分析物用の捕捉試薬および固定試薬を含む表面;第1の近接プローブを含む分析物用の第1の検出試薬;第2の近接プローブを含む分析物用の第2の検出試薬;ならびに、(i)第2の近接プローブに相補的な内部配列および(ii)第1の近接プローブの非オーバーラップ領域に相補的な2つの末端配列を含むコネクター配列を含む。あるいは、キットは上記に代えて、分析物用の捕捉試薬および固定試薬を含む表面;第1の近接プローブを含む分析物用の第1の検出試薬;第2の近接プローブを含む分析物用の第2の検出試薬ならびに(i)第1コネクターオリゴヌクレオチド、および(ii)第2コネクターオリゴヌクレオチド、を含んでもよく、(x)第1コネクターの第1末端および第2コネクターの第1末端が、第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に相補的であり、(y)第1コネクターの第2末端および第2コネクターの第2末端が、第1の近接プローブの2つの非オーバーラップ領域に相補的である。さらに、これらのいずれかの、または両キットにおける固定試薬には、固定オリゴヌクレオチド配列を含むことができる。
【0249】
さらに、本明細書に記述された方法は、1つまたはそれ以上のバイアル、容器またはコンパートメントにおいて、第1の検出可能な標識を含む第1の検出試薬;第2の検出可能な標識を含む第2の検出試薬;分析物分子を1個含む、または含まないよう構成された複数の反応容器;および場合により捕捉試薬を含む表面を含むキットを使用して実施できる。
【0250】
最後に、本明細書に記述した方法を使用する分析物検出のためのキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器または区画おいて、固定化した捕捉試薬;第1の検出可能な標識を有する第1の検出試薬;第2の検出可能な標識を有する第2の検出試薬;および第1および第2の検出試薬と反応する架橋剤を含む表面、を含む。架橋剤は、検出試薬に結合した反応部分を連結する多機能性架橋剤、または検出試薬に結合した結合部分の多価の結合パートナーを含めることができる。適切な多機能性架橋剤はアミン、チオール類、ヒドラジド、アルデヒド、エステル、ヨードアセトアミド、マレイミド類、クリックケミストリー試薬およびそれらの組合せ含むが、これらに限定するものではない。同様に、多価の結合パートナーの一例は、検出試薬を標的とする多価の抗種(anti-species)抗体であるが、これはその動物種の抗体である。架橋剤はまたストレプトアビジン、検出試薬に結合する結合パートナーの一方とペアになった場合の、アビジンまたはビオチンを含むことができる。架橋剤はまたキットの構成部分に直接的または間接的に結合された核酸プローブに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであってもよい。特定の実施形態において、本明細書に記述した方法で使用するキットは、1つまたはそれ以上のバイアル、容器またはコンパートメントおいて、固定化した捕捉試薬;第1の検出可能な標識および第1の核酸プローブを有する第1の検出試薬;第2の検出可能な標識および第2の核酸プローブを有する第2の検出試薬;ならびに第1および第2核酸プローブに相補的な領域を有する第3の核酸を含む表面、を含む。
【0251】
本明細書に記述したキットの表面は、1つまたはそれ以上の分析物分子に対する複数の捕捉試薬を含むことができ、捕捉試薬は、例えばアレイ、マルチウェルプレート、またはマイクロもしくはナノウェルプレートにおいて、表面上に位置する複数の解像可能な結合領域または反応容器にわたって分布している。加えてこの表面には、分析物分子用の複数の捕捉試薬をそれぞれ含む複数の粒子をさらに含むことができる。
【0252】
上述のキットは、さらに下記の1つまたはそれ以上を含むことができる:1つまたはそれ以上の追加試薬、バッファー、ポリメラーゼ、リガーゼ、および/またはdNTP(標識、または非標識)。さらに1つまたはそれ以上の検出試薬が検出可能な標識を含む場合、キットにはまた、キットで用いる検出可能な標識に対する共反応物を含むことができる。あるいは、1つまたはそれ以上の検出試薬が共役酵素反応系の構成要素である場合、検出試薬の各々は第1および第2の酵素を含み、キットはさらに、1つまたはそれ以上の容器、バイアルまたはコンパートメントにおいて、共役酵素反応系のための1つまたはそれ以上の基質、および、場合により共役酵素反応系の産物に結合するよう構成された標識成分を含む。例えば、第1の酵素はオキシダーゼであってもよく、第2の酵素はペルオキシダーゼであってもよく、キットはさらにオキシダーゼ基質および標識チラミド誘導体を含む。別の実施形態において、第1および第2の検出可能な試薬は、近接依存性検出システムの成分、例えばFRETドナー、FRETアクセプター、またはそれらの分光特性に関して互いに異なる発光標識を含むことができる。
【0253】
付加的な代替的実施形態
さらなる実施形態を図7に図示する。パネル(a)のサンドイッチ免疫アッセイ複合体における各近接プローブの一部分が、各セグメントにハイブリダイズしたRNAの短鎖により一時的に保護される。RNA鎖は酵素で除去され、近接プローブの各々が互いにハイブリダイズし、鎖はビオチン化dNTPを使用して、ポリメラーゼ伸長により伸長する(パネル(b))。鎖に組み込まれた各ビオチン化塩基はそれぞれ、検出可能な標識で標識したストレプトアビジンに結合する(パネル(c))。
【0254】
また別のアプローチを図8に図示する。近接プローブは、(パネル(a)で示すように)固定試薬および検出試薬に結合でき、または各近接プローブは上述のように2つの検出試薬に結合できる(図示せず)。図7で図示したのと類似した方法で、各々近接プローブの一部分が、各セグメントにハイブリダイズしたRNAの短鎖により一時的に保護される。RNA鎖は酵素で除去され、近接プローブの各々が互いにハイブリダイズし、鎖はビオチン化dNTPを使用して、ポリメラーゼ伸長により伸長する(パネル(b))。鎖に組み込まれた各ビオチン化塩基はそれぞれ、検出可能な標識で標識したストレプトアビジンに結合する(パネル(c))。
【0255】
さらなる実施形態が図18において示される。この実施形態において、複数の短いオリゴヌクレオチドが留め金配列(1801)として使用され、アンプリコンの一部とハイブリダイズし、それにより生成物を容易に画像化されるコンパクトな構造に折りたたむ。各々の留め金配列には、各々がアンプリコンの配列と相補的である少なくとも2つの配列(それぞれ1802および1803)が含まれ、各々の留め金配列がその相補体にハイブリダイズすると、アンプリコンは図18に示されるように自ら折りたたむ。さらに、アンプリコンは本明細書に記載されるようなアンカー試薬(1804)とアンカー相互作用を介して表面に付着する。留め金プロセスは増幅工程の間に留め金配列を反応混合液に加えることによりインサイツで行うことができる。したがって、増幅の各々のサイクルが完了すると、留め金配列は新しく形成したアンプリコンに自由にハイブリダイズし、それを折りたたませる。留め金は増幅プロセスが完了した後に加えられてもよく、留め金配列およびその対応する相補体の設計に依存して、線形アンプリコンをコイル状または平面状に折りたたむ。例えば、ECLまたは蛍光のような標識分子は留め金配列に取り込まれることができる(または上に記載されるように、アンプリコンに取り込まれてもよい)。この実施形態は表面上に3次元構造をもたらし、表面上のアンプリコンのより容易な画像化が可能となる、より高いシグナル密度のより小さな特徴的構造を生じる。
【実施例1】
【0256】
近接ライゲーションおよびローリングサークル増幅の一般的なプロトコル
標的分析物に対する一対の検出抗体を、近接プローブ1および2を追加して以下のように修飾した:100uLバッファー中200ugの第1の検出抗体に、1.74uL、23mMのsulfo-SMCCを追加し、150mMリン酸緩衝液で希釈し、30分間室温でインキュベートした。遊離したsulfo SMCCはサイズ排除クロマトグラフィーにより除去した。検出抗体の最終濃度は2mg/mLまたはこれよりわずかに低かった。300uMのチオール修飾オリゴヌクレオチド(近接プローブ1および2)95uLを、100mMリン酸緩衝液中1mM DTTの5uL、0.5mM EDTA、pH8.4で室温で1時間還元した。近接プローブ1および2の配列は次の通りである:
チオール修飾近接プローブ1:SH-AAA AAA AAA AGA CGC TAA TAG TTA AGA CGC TTU UU(配列番号1;3つのU残基は2’O-メチルRNAである)。
チオール修飾近接プローブ2:SH-AAA AAA AAA ATA TGA CAG AAC TAG ACA CTC TT(配列番号2)。
【0257】
過剰なSulfo-SMCCおよびDTTを例えば、スピンカラム分離器を3つ使用して除去し、抗体およびDNAを共有結合によるコンジュゲーション用にプールした。この溶液を室温で1時間、混合しながらインキュベートした。抗体-近接プローブコンジュゲートを、例えばサイズ排除クロマトグラフィーにより精製し、コンジュゲートしなかった抗体およびオリゴヌクレオチドを除去した。
【0258】
MSD MULTI-SPOT(登録商標)プレートを適切なMSD(登録商標)遮断溶液と一緒に1時間ブロッキングし洗浄した。プレート上の各結合領域はそれぞれ捕捉抗体および固定部分(BSA-オリゴヌクレオチド複合体として固定化され、オリゴヌクレオチドはローリングサークルのアンプリコンに特異的であるよう選択された)含む。この実施例において使用される固定オリゴヌクレオチドの配列は、5’-AAGAGAGTAGTACAGCAGCCGTCAAAAAAAAAAAA-/3ThioMC3-D/-3’(配列番号3)であった。アッセイ希釈剤およびキャリブレーター、または試料(適切に希釈した)各25μl(全容積50ulとなる)を各ウェルに追加した。プレートを1~3時間、振とうさせながらインキュベートし、各ウェルを洗浄した。上述の通り調整した、近接プローブ1および2で標識した検出抗体の溶液を各ウェル(ウェル当たり25uL)に追加し、1~2時間振とうさせながらインキュベートした(あるいは、それぞれ個々の検出抗体を連続して追加し、個々の抗体追加後は1時間インキュベーションした)。下記成分を含むライゲーション混合物を各ウェルに追加した:(i)環状化オリゴヌクレオチド1(4nM)、環状化オリゴヌクレオチド2(4nM)、ライゲーションバッファー、ATP(1mM)、T4DNAリガーゼ(0.15U/uL)。各々の環状化オリゴヌクレオチドは:
環状化オリゴヌクレオチド1:リン酸-CTA TTA GCG TCC AGT GAA TGC GAG TCC GTC TAA GAG AGT AGT AGA GCA GCC GTC AAG AGT GTC TA(配列番号4)
環状化オリゴヌクレオチド2:リン酸-GTT CTG TCA TAT TTA AGC GTC TTA A(配列番号5)であった。
【0259】
このプレートを室温で30分間ライゲーション混合物と一緒にインキュベートし、洗浄して過剰な環状化オリゴヌクレオチドを除去し、37℃で1.5時間RCA混合物と一緒にインキュベートした。RCA混合物はRCAバッファー、dNTP(各250uM)、Phi29DNAポリメラーゼ(0.125U/ml)を包含していた。プレートを洗浄し、検出プローブの混合物を追加し、37℃で30分間インキュベートした。ここで検出プローブ混合物は次のものを含んでいた:20mM Tris(1mM SDTA、250mM NaCl、0.01%トリトン、BSA(200ug/ml)、Tween20(0.05%)、検出プローブ(6.25nM))。検出プローブは、配列CAG TGA ATG CGA GTC CGT CT(配列番号6)であった。電気化学発光標識SULFO-TAG(Meso Scale Diagnostics)を組み込むために、検出プローブを、末端のビオチン標識と合成し、SULFO-TAG標識ストレプトアビジンにあらかじめ結合した。プレートを洗浄し、MSD読み取りバッファー150μlを添加し、MSD SECTOR(登録商標)6000リーダーで直ちに読んだ(プレートとリーダーはMeso Scale Discovery、 Rockville、MDより提供)。
【0260】
一般的な手順を以下の分析物を検出するために使用した:トロポニンI、Akt(total)、phospho-Akt(473)、phospho-Akt(308)、インフルエンザA核タンパク質(NP)、IL-12p40、IL-12p70、Abeta1-42、TNFアルファモデル系を使用するbridging and isotyping Igアッセイ、B型肝炎表面抗原を使用するbridging and isotyping Igアッセイ、および、Lyme C6を使用するbridging and isotyping Igアッセイ。標準的なサンドイッチ免疫アッセイに対するECL信号およびアッセイ感度の増加は、アッセイ間で変動したが、100倍もの向上が観察された。テストしたあるアッセイ、例えばトロポニンI、Akt(total)、IL-12p40、IL-12p70、Abeta1-42では、固定部分があることで増幅工程中の検出複合体の分離を防止することにより、信号および/または希釈直線性が向上した。上述の手順によるIL-10アッセイの検量線を図9に示す。さらに表2(下)は、上述の手順により導出された、代表的なアッセイのあるセットのLODを示す(列2、「3-AB RCA/PLAアッセイ」)。Meso Scale Diagnostics(MSD)、Rockville、MD、www.mesoscale.comの標準2抗体免疫アッセイプロトコルのLOD(列3「MSD V-Plex 2-AB免疫アッセイプロトコル」)と比較している。
【0261】
【表5】
【実施例2】
【0262】
固定試薬がある場合、および無い場合のアッセイプロトコル MSD 7-spot MULTI-SPOTプレートを、実施例1で上述したようにトロポニンI捕捉抗体(220ug/mL)で各々コートした。捕捉抗体を固定部分、つまりアンプリコンに特異的なオリゴヌクレオチドを共有結合したBSA(存在する場合は、固定部分5ug/mL)と一緒に、または固定部分なしでスポットした。アッセイ希釈剤、キャリブレーター、または試料(適切に希釈した)各25μl(全部で50ul)を各ウェルに追加した。プレートを、2時間振とうさせながらインキュベートし各ウェルを洗浄した。上述の通り調整した、近接プローブ1および2で標識した検出抗体の溶液を各ウェルに追加し(ウェル当たり25uL)、1時間振とうさせながらインキュベートした。実施例1で上述したように、ライゲーション混合物を各ウェルに追加した。実施例1で上述したように、このプレートを室温で30分間ライゲーション混合物と一緒にインキュベートし、洗浄して過剰な環状化オリゴヌクレオチドを除去し、RCA混合物と一緒に37℃で1.5時間インキュベートした。実施例1で記述したように、プレートを洗浄し、検出プローブの混合物を加えて37℃で30分間インキュベートした。プレートを洗浄し、MSD読み取りバッファー150μlを添加し、MSD SECTOR(登録商標)6000リーダーで直ちに読んだ。蛍光イメージングのためMSD電極をプレートの上部から除去し、PBSおよびカバースリップで湿潤状態とした。表面を、顕微鏡でZylaカメラ、対物レンズ20x、2x2ビニング、カスタマーフィルターセットを用いて、2秒間曝露して観察した。
【0263】
表3(下)に示すように、ECL値は固定試薬が存在する状態で4~5倍高く、また、検出限界は3分の1低かった(より高感度である)。
【0264】
【表6】
【0265】
図10(a)および(b)は、固定試薬5ug/mL有りのプレート表面(パネル(a))および固定試薬無しのプレート表面(パネル(b))の蛍光顕微鏡画像を示す。画像には、個々の結合イベントに関連した明るい蛍光スポットが示され、固定試薬が存在下でのRCA増幅は、観察可能な結合イベントの生成においてより効果的であったことが確認できる。
【実施例3】
【0266】
コネクターオリゴヌクレオチドが1つの場合と2つの場合との比較
実施例2に記述したアッセイを繰り返したが、ここでは環状テンプレートを形成するために2つの別個のライゲーション部位を有する2つのコネクターオリゴヌクレオチドを使用する代わりに、ライゲーション部位を1つ有する単一の線状コネクターオリゴヌクレオチドを使用した。図11(a)に示すように、ライゲーション部位1またはライゲーション部位2で開いた単一の線状コネクターオリゴヌクレオチドを準備した。単一の線状コネクターオリゴヌクレオチドを両方とも、実施例1と2で使用したオリゴヌクレオチド、Circ-1とCirc-2との組合せと並行してテストした。実施例2に記述したプロトコルを用いて、さらに、単一の線状コネクターオリゴヌクレオチドを3種類の濃度、125nM、62.5nMおよび31nMでテストし、一方、Circ-1とCirc-2のオリゴヌクレオチドの組合せを使用する標準アッセイを125nMでテストした。図11(b)に示すように、2つの単一線状コネクターオリゴヌクレオチドは、2種のコネクターオリゴヌクレオチド混合物(Circ-1とCirc-2)とおよそ同一の効率でRCA増幅産物に成功裡に組み込まれた。ライゲーション部位1で開いていた単一の線状コネクターオリゴヌクレオチドは、信号強度、非特異的バックグラウンドおよび総合的な感度に基づいて、2種のコネクター混合物に匹敵する性能を有していた。予想した通り、ライゲーション部位2で開いていた単一の線状コネクターオリゴヌクレオチドは、非特異的なバックグラウンドがより高く、感度はより低かった。この後者のケースでは、ライゲーションとプライミングの両方が、近接プローブ#1の存在にのみ依存しており;したがって、近接増幅アプローチの特定の利点のうちのいくつかが損なわれた。
【実施例4】
【0267】
代替近接プローブ、固定オリゴヌクレオチドおよびコネクター配列を使用して実施した3つの抗体アッセイ
以下の試薬の代替セットを用いて、実施例1で概説したプロトコルを使用してアッセイを実施した:
【0268】
【表7】
【0269】
下記の表5の結果はトロポニンアッセイのものであり、トロポニンの濃度は500pg/mLで、MULTI-SPOTプレートのウェルはそれぞれ、表4で挙げたセットの1つからの固定オリゴヌクレオチドを有する捕捉スポット1つを含んでいた。実施例1で記述したように、アッセイは近接プローブ(1)の1つおよび近接プローブ(2)の1つを同濃度で使用した。セット(a)~(c)の非特異的結合がより多かったが、これは、実施例1での記述と比較して検出オリゴヌクレオチド-SA-STAGの濃度が9倍高かったためである。検出オリゴヌクレオチド-SA-STAGの濃度がより高くなったのは、実施例1のようなSA-STAG単独の滴定でなく、あらかじめ結合した複合体を共に滴定したことによる。
【0270】
【表8】
【実施例5】
【0271】
付加的な免疫アッセイプラットフォームで実施した3つの抗体アッセイ
(a)コード化粒子を使用する、ビーズベースの免疫アッセイフォーマット
アッセイ工程はすべて96ウェルフィルタープレートで実施した。真空マニホールドでプレートから液体を除去した(Hg10インチを超過せず)。プレートは反転させない。目詰まりが生じた場合、コニカルチューブ15mlの先端を使用して目詰まりしたウェルの下の区域をやさしく押し、次に、1mlのパスツールピペットのゴム球を使用するか、目詰まりしたウェルを親指でやさしく押して、詰まりを取り除く。最終の吸引工程後、ペーパータオルを重ねた上でプレートの底を軽く叩き、次に、フィルタープレートの底面をKimwipeで拭いて残留液/液滴を除去した。
【0272】
洗浄溶液の調整:脱イオン水285mlで20x洗浄溶液ボトルの全容量を希釈して1x洗浄溶液を調整した。
【0273】
アッセイ標準の用意:凍結乾燥した標準試料を100%のアッセイ希釈剤(血清および血漿試料)、または50%アッセイ希釈剤/50%組織培養メディア(組織培養上清)で再構成した;再構成容積:(i)バイアル1個:1ml;(ii)バイアル2個:1バイアル当たり0.5ml。8~10分間室温で再水和した。バイアルを数回ゆっくり逆さにし、完全に水和させるためさらに3~5分静置した。標準試料を2つ以上使用する場合は、各標準試料を同容積合わせて、穏やかに混合する。再構成した標準試料の3倍の系列希釈を行い7ポイントの検量線を調製した。
【0274】
分析物捕捉:
(1)10xキャプチャービーズストックをボルテックス(30秒)および超音波分解(30秒)する。ホイルにくるんだチューブで、10xキャプチャービーズストック(ウェル当たり2.5μl)を洗浄溶液に希釈する(ウェル当たり25μl 約2,000~5,000ビーズ/アッセイ)。より高度な多重化には、保持した10xキャプチャービーズストックの追加分の容積を調製できるよう洗浄溶液の容積を調整する。
【0275】
(2)200μl洗浄溶液で標準ウェルおよび試料ウェルをあらかじめ湿潤させる。
【0276】
(3)希釈したキャプチャービーズ溶液をボルテックス(30秒)および超音波分解(30秒)する。直ちに25μlを各アッセイウェルに追加し、続いて1x洗浄溶液を20
0μL追加する。吸引し洗浄溶液200μLで洗浄を繰り返す。必要ならばフィルタープレートの底を軽く叩いて拭く。
【0277】
(4)インキュベーションバッファー50μlを全アッセイウェルに追加した。
【0278】
(5)指定のウェルへ標準試料を100μl追加した。試料として指定したウェルには、50μlアッセイ希釈剤、続いて50μl試料を追加した。振とう機上で(500~600rpm)、室温で2時間プレートをカバーしインキュベートした。全インキュベーションにおいて、不透明な蓋でアッセイプレートを覆い遮光した。速度は振とう機の半径により調整される必要がある場合がある。
【0279】
分析物検出
(6)蛍光標識した検出抗体の1x混合物の調整:希釈剤(ウェル当たり100μl)で10x検出抗体混合物(ウェル当たり10μl)を希釈した。混合物は目的の分析物に特異的な一対の検出抗体を含み、1つはAlexa Fluor350(青色蛍光標識)で標識し、もう1つはAlexa Fluor594(赤色蛍光標識)で標識した(これらの各々の蛍光標識はLife Technologies, Grand Island、NY、www.lifetechnologies.comから入手可能)。より高度な多重化は、必要な10x抗体混合物の追加の容積を調製できるよう希釈剤の容積を調整する。吸引し洗浄溶液200μLで2回アッセイウェルを洗浄した。100μlの希釈検出抗体混合物を各アッセイウェルに追加した。プレートをカバーし、プレート振とう機で1時間インキュベートした(500~600rpm)。
【0280】
アッセイの読み取り
(8)吸引し洗浄溶液200μLで3回アッセイウェルを洗浄した。清潔なペーパータオルでフィルタープレートの底を乾かし、完全に全残留液滴を除去した。100μl洗浄溶液を各アッセイウェルに追加し、2~3分間プレート振とう機(500~600rpm)上にプレートを載せた。
【0281】
(9)個々の蛍光標識に対するカラーチャンネルを含む多色蛍光パーティクルアナライザー(FACSシステムまたは修正したxMAP装置等)でビーズ懸濁を分析する。感度を最大にするために、任意の粒子は、ある1つの分析物に結合するか、または全く結合しない可能性があり、分析物の量は、(粒子のコード化に基づいて)所与の分析物に特異的であり、両蛍光標識を含む粒子の数を計数することにより定量するという条件でアッセイを実行する。場合により、アッセイはコード化されたビーズを使用したマルチプレックスフォーマットで実行できるが、ここで、コードは、ビーズ上の捕捉抗体および各分析物に対する追加の検出抗体ペアが分析物に特異的であることを示す。xMAP等でビーズに組み込む蛍光色の追加を使用してコード化を決定した場合、分析器は追加した色の測定およびビーズコードの識別に対応する追加の検出チャネルを有さなくてはいけない。
【0282】
(b)固定部分を含むコード化粒子、核酸プローブで修飾した2つの検出試薬を使用したビーズベースの免疫アッセイフォーマット
実施例5(a)で概説したように、アッセイ工程はすべて96-ウェルフィルタープレートで実施した。実施例5(a)で記述したように、洗浄溶液およびアッセイの標準試料を調製し、実施例1で記述したように、標的分析物に対する一対の検出抗体を、近接プローブ1および2を追加して修飾した。分析物を実施例5(a)で記述したように捕捉ビーズ上で捕捉した。捕捉ビーズは固定部分を含むが、この固定部分は、BSA-オリゴヌクレオチド複合体としてビーズ表面に固定化され、オリゴヌクレオチドはローリングサークルのアンプリコンに特異的であるよう選択される。使用した固定オリゴヌクレオチドの配列は配列番号3である。
【0283】
アッセイ希釈剤25μl、キャリブレーター、または試料(適切に希釈した)を捕捉ビーズの混合物と混合した。混合物を、1~3時間振とうさせながらインキュベートし、洗浄した。上述にように調製した、近接プローブ1および2で標識した検出抗体の溶液を混合物に追加し、1~2時間振とうさせながらインキュベートした(あるいは、それぞれ個々の検出抗体を連続して追加し、個々の追加後は1時間インキュベーションした)。実施例1で記述したライゲーション混合物を追加した。この混合物を37℃で30分間ライゲーション混合物と一緒にインキュベートし、洗浄して過剰な環状化オリゴヌクレオチドを除去し、37℃で1.5時間、実施例1に上述したRCA混合物と一緒にインキュベートした。混合物を洗浄し、上述のフルオレセイン標識検出プローブの混合物を加えて37℃で30分間インキュベートした。混合物を洗浄し、粒子をマルチチャンネル蛍光パーティクルアナライザーに吸引した。
【0284】
(c)ビーズベースのフォーマットおよび個々のナノウェルへの捕捉分析物分子の分離
試料を25%ウシ血清(2~4倍希釈)100ulで調製し、捕捉抗体でコートした500Kビーズ(常磁性2.7μm、場合によって蛍光コード化)を、試料に追加した。試料を23℃で約2時間インキュベートした。試料をPBS(5X、0.1%Tween-20)で3回洗浄し、標識した検出抗体の混合物を追加した(第1ビオチン化検出抗体およびハプテンコンジュゲート抗体を含む混合物)。混合物を23℃で約1時間インキュベートした。混合物をPBS(5X、0.1%Tween20)で3回洗浄し、酵素標識を追加し、ストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼ(40pM)、抗ハプテンコンジュゲート酵素も追加し、混合物を23℃で約30分間インキュベートした(またはSimoaアナライザーに3分間かけた)。この混合物を、PBS(5X、0.1%Tween 20)で7回洗浄し、酵素基質、レゾルフィン-ベータ-d-ガラクトピラノシド 15ul(ローディングバッファー内100uM)を追加した。
【0285】
混合物をナノウェルのアレイ上に引き出し(DVDフォーマットでQuanterixから提供、環状オレフィンポリマーから作製、1ディスク当たり24試料)、約2分を静置した。アレイをバッファーと一緒に洗い流し、アレイをフルオロカーボン油と一緒に密閉し、23℃で2~5分間インキュベートし、結果をマルチカラーの蛍光イメージャー上で読んだ。画像分析を使用して両蛍光酵素産物を包むナノウェルの数を計数し、それにより試料中の分析物の濃度と関連する値を得た。
【0286】
(d)フローセル分析を用いたビーズベースの免疫アッセイフォーマット
第1のインキュベーション:試料10ul、ビオチン化モノクローナル分析物特異的捕捉抗体(希釈標準溶液2.6mg/l)、およびそれぞれオリゴヌクレオチドにコンジュゲートさせたモノクローナル分析物特異抗体の混合物(0.3mg/lの希釈標準溶液)を反応させてサンドイッチ複合体を形成した。モノクローナル分析物特異抗体の混合物は実施例1の記述通りに調製し、混合物には、実施例1で上述したように、近接プローブ1および2にコンジュゲートした一対の抗体が挙げられる。
【0287】
第2インキュベーション:ストレプトアビジンコート微粒子の追加後に(Dynal M280、2.8um、0.72mg/ml、ビオチン結合能470ng/mg)、複合体をビオチンとストレプトアビジンとの間の相互作用により固相に結合させた。実施例1に記述したプロトコルによって調製したライゲーション混合物をこの混合物に追加した。混合物を37℃で30分間ライゲーション混合物と一緒にインキュベートし、洗浄して過剰な環状化オリゴヌクレオチドを除去し、実施例1で記述したRCA混合物と一緒にインキュベートした。混合物を洗浄し、ビオチン標識した検出プローブの混合物を追加し、37℃で30分間インキュベートした。検出プローブ混合物は実施例1で記述したように調製した。電気化学発光標識SULFO-TAG(Meso Scale Diagnostics)を組み込むために、検出プローブを、末端のビオチン標識と合成し、SULFO-TAG標識ストレプトアビジンにあらかじめ結合した。
【0288】
反応混合物を測定セルへ吸引し、測定セルで微粒子を電極の表面上へ磁気によって捕捉した。その後、未結合の物質をProCell(TPAを含むバッファー)で除去した。その後、電極に電圧をかけ、化学発光を誘発し、光電子増倍管により測定した。結果は検量線によって決定した。検量線は2ポイント較正および試薬バー・コードにより提供されたマスタ曲線により装置の固有差を考慮して生成した。
【実施例6】
【0289】
HIV-1 P24の検出
材料、方法および結果:
実施例1に記述した手順をHIV-1 p24を検出するために使用した。HIV-1 mixed titer performance panel(Seracare Life Sciences、www.seracarecatalog.comから入手可能)、HIV-1セロコンバージョンパネル(これもSeracare Life Sciencesから入手可能)、HIV抗体陽性試料(ProMedDx、LLC、www.promeddx.comから入手可能)および正常な対応試料(Bioreclamation、www.bioreclamation.comから入手可能)から入手した約64の血清または血漿試料を試験した。上述の手順に従って導出されたHIV-1 p24アッセイの検量線を図12に示す。アッセイのLODは、1.3fg/mLであることが見出され、LLOQは3.0fg/mL、ULOQは37、500fg/mLだった。25uL試料の検出限界1.3fg/mLはp24分子約650個に相当し、ウイルス粒子(分子)はそれぞれ、p24タンパク質の複製を約2000個生成する。
【0290】
Mixed titer performance panel、PRA204(B)は、市販のアッセイ(bioMerieux、Perkin Elmer、and Zeptometrix)においてHIV p24抗原に対する陽性反応が弱から強までの範囲の10の標本1セットから成る。陰性標本を2つパネルに含めた。アッセイの結果を下の表6に示す:
【0291】
【表9】
【0292】
HIV p24レベルは高く、ほとんどの試料のULOQを超えていた。10個の陽性試料はすべて検出可能で、市販のp24キットに匹敵し、一方、陰性試料(それぞれ市販のアッセイ、PRA204(B)-10および-20基づく)は、それぞれ約3fg/mLおよび約2fg/mLであり、極めて低かった。
【0293】
セロコンバージョンパネルの分析結果を図13に示す。3抗体アッセイフォーマットはPCRと同程度に高感度であり、第1の陽性試料の検出にかかる推定遅延時間およびPRB948~PRB962パネルの両試料におけるp24レベルは、PCRキットに匹敵し、他の市販のp24アッセイより優れていることが見出された。データを表7に示す。
【0294】
【表10】
【0295】
結論:
HIVに感染して間もない患者は、この疾病の伝播の一因となる傾向がある。ウイルス負荷は感染後最初の数週間高く、新たに感染した患者は、自らの感染とともに、他者へ感染を拡大し得ることを自覚していない可能性が高い。したがって、急性HIV感染の早期発見は、公衆衛生上非常に重要である。PCR法は確立された感受性を有し;血清または血漿mL当たりわずか60のHIV RNA複製を検出できる(mL当たりウイルス粒子30個)。しかしながら、PCR法は複雑で費用が高く、したがって、すべての状況で適切とはならない。免疫アッセイはより単純でより安価であるが、現行の検出限界は、第四世代のp24免疫アッセイにおいてわずか約10pg/mL、または1mL当たり約2億5000万個のカプシドタンパク質となっている。ウイルス当たり約2,000個のp24カプシドタンパク質が存在するという事実にもかかわらず、これらの免疫アッセイは、ウイルスベースでPCR検査の数千倍分の一の感度である。
【0296】
本明細書の記述にあるような、MSDのMULTI-ARRAY(登録商標)テクノロジーに基づいた次世代電気化学発光アッセイフォーマットが開発され、その性能には特色がある。この新規のp24免疫アッセイの検出限界は約1fg/mL(現在のp24免疫アッセイより10,000倍高感度)であった。1fg/mLの感度は、25uLの我々のサンプル容積において1未満のウイルス粒子に相当する。定量化の下限および上限はそれぞれ3fg/mLおよび38,000fg/mLであった。プレート内CVは7%、全CVは15%であった。添加回収率および希釈の直線性は80%~120%であった。p24は、明らかに健常なドナー32人の血清または血漿において検出できなかった。p24混合タイターパネルは、3-AB HIVp24アッセイと市販のp24免疫アッセイ間の優れた相関を示した。2つのセロコンバージョンパネルを検査した:SeraCare PRB948(0および18日目、PCR陰性;22および23日目、PCR陽性)およびPRB962(0および2日目、PCR陰性;7、9、14および17日目、PCR陽性)。両ケースで、3AB HIVp24アッセイの結果は、すべてのPCR陰性試料で陰性であり、すべてのPCR陽性試料では陽性であり、感染は従来のp24免疫アッセイの前に良く検出された。
【0297】
結論として、本明細書に記述された3-AB HIVp24免疫アッセイは、p24 ELISAの現行の範囲より10,000倍高感度であり、PCRアッセイにおける感度に匹敵する。本アッセイは専用の設備を必要とせず、MESO(商標)QuickPlex SQ 120およびSECTOR(登録商標)イメージャー上で実行できる。
【実施例7】
【0298】
分析物の濃度、引き続く3-AB RCA/PLAアッセイ
(a)実験の条件は、下記の表8(a)に示される:
【0299】
【表11】
【0300】
比較的短いオリゴヌクレオチド近接プローブ配列(例えば、長さ9~13ヌクレオチドから)の捕捉のために、近接プローブ配列の一部に対して相補的な捕捉オリゴヌクレオチドが調製され、3’末端にビオチン化された。表8(b)は近接プローブおよび捕捉オリゴヌクレオチド配列の詳細を示す。表8(b)
【0301】
【表12】
【0302】
計算した融解温度は表8(c)に示される。
【0303】
【表13】
【0304】
捕捉オリゴヌクレオチドにより修飾されたビーズは下記のように調製された:50ulのダイナル・マイワン・ストレプトアビジンT1ビーズ(Dynal MyOne Streptavidin T1 bead)スラリーをボルテックス混合の後に5つの1.5mlエッペンドルフチューブに加えた。各々は2つの結合条件実験に対する分割に必要な2倍の量を有している。ビーズは1mlの希釈液100(Meso Scale Discovery、ロックヴィル、メリーランド州より入手可能)を用いて3回洗浄し、1.2mLの各々の捕捉オリゴヌクレオチドを、EDTAを含む希釈液100中、各々の捕捉オリゴヌクレオチドを200pmol/mlで各々の容器に加えた。溶液は室温で1時間、回転させながらインキュベーションし、各々のチューブ内の溶液は、EDTAを含む希釈液100中、5nmol/mLになるまで、遊離ビオチンを添加した。溶液は室温で15分間、回転させながらインキュベーションし、ビーズは1mLの0.5M NaCl/BSA溶液で3回洗浄した。チューブを1mLの0.5M NaCl/BSAを用いて満たし、混合し、各々の捕捉オリゴヌクレオチド-ビーズ混合物を2つの容器に分注し、合計10個の容器とした。
【0305】
溶液は全ての容器から吸引し、0.5Mおよび1M NaCl/BSA中の1ug/mL (6.7 pmol/mL)のPP1(HIVp24に特異的な検出抗体に結合したPP1配列)1mLを各々の捕捉チューブに加えた。溶液は室温で40分間、回転させながらインキュベーションさせた。各々のチューブは塩溶液を用いて3回、洗浄した(捕捉オリゴヌクレオチドを含まないコントロールは洗浄しなかった)。4つのチューブに、1mLのHIVp24を7pg/mLにて加えた。一方、抗原をストック溶液から捕捉無しコントロールチューブに添加した。溶液は4℃、オーバーナイトで回転させながらインキュベーションし、捕捉オリゴヌクレオチドを有する各々のチューブは(各々1mLの)塩溶液を用いて3回、洗浄した。各々のチューブは洗浄バッファー(0.1xPBS、500 mM NaCl、1mM EDTA、0.1% Triton X-100、2mg/mL BSA)を用いて3分の1に満たし、混合し、400uLのビーズの一定分割量を2つの容器に加え、2つの放出塩条件について全体で18個のチューブとする。洗浄バッファーは捕捉無しコントロールチューブを除いて全ての容器から除去し、400uLの0.0Mおよび10mMの塩バッファーをチューブに加えた。チューブの内容物は混合し、各々のチューブからの100uLの一定分割量(捕捉無しのコントロールビーズを含む)を3つの温度放出条件の解析のため3つのマトリックスプレートに加えた。プレートはそれぞれ25℃、30℃および37℃で、サーモシェーカー(thermoshaker)内で混合させながら5分間、インキュベーションさせた。ビーズは磁気的に分別させ、25uLの上清を、mIgGを含む、5uLの6x PBSを添加したアッセイプレートのウェルに加えた(条件毎に3つの複製物)。プレートは室温で1時間、撹拌しながらインキュベーションし、PBSバッファーを用いて3回、洗浄した。実施例1に記載されるように、プレート上の各々の結合ドメインには、捕捉抗体およびアンカー部分が含まれ、インキュベーション工程の後に、(コントロール結合ドメインを除く)PP1配列を有する検出抗体に結合している抗原に結合した捕捉抗体が含まれた各々の結合ドメインにおいて複合体が形成する。
【0306】
PP2(またはコントロールのためのPP1+PP2)を用いて標識化した検出抗体の溶液を各々のウェルに加え(ウェル毎に25uL)、1時間、撹拌しながらインキュベーションし、その後、洗浄した。実施例1に記載のように、ライゲーション混合物を各々のウェルに加え、プレートはライゲーション混合物と室温で30分間、インキュベーションし、過剰な環状化オリゴヌクレオチドを洗浄により除去し、RCA混合物と共に、37℃で1.5時間インキュベーションした。プレートは洗浄し、検出プローブの混合物を添加し、37℃で30分間、インキュベーションした。プレートは洗浄し、150μlのMSD読み込みバッファーを用いて満たし、MSDセクター(SECTOR)リーダー上で直接、読み込んだ。
【0307】
この実験の結果は図14に示される。
【0308】
(b)分析物濃度条件をさらに評価するためにさらなる実験が行われた。一般的な実験条件が表9(a)に記載される。
【0309】
【表14】
【0310】
50ulのDynal MyOneストレプトアビジンT1ビーズスラリーをボルテックス混合の後にマイクロ遠心チューブに加えた。ビーズは1mlの希釈剤100を用いて3回洗浄し、1mLの捕捉オリゴヌクレオチドCap1:9を、EDTAを含む希釈剤100に加えた。溶液は室温で1時間、回転させながらインキュベーションし、EDTAを含む希釈剤100中の遊離のビオチンを10x過剰まで溶液に添加した。室温で30分間、回転させながら溶液をインキュベーションし、1mLの洗浄バッファーを用いて3回、ビーズを洗浄した。結合バッファー内の1.0mLのPP1を加え、室温で40分間、回転させながら溶液をインキュベーションした。チューブは3回、洗浄バッファーを用いて洗浄し、1mLの希釈剤2をビーズに加え、混合し、ビーズ溶液は1x、0.5x、0.25x、および0.125xのビーズ-PP1濃度について、抗原レベル2~4で12チューブに渡って分割した。ビーズ-PPの必要とされる容量をコントロールチューブに移した。HIVp24および希釈剤2を、5mLの合計容量で抗原およびビーズ-PPの必要とされる最終濃度として、ビーズ溶液に加えた。ビーズ無しコントロールチューブに遊離のPP1を1x濃度のみ、抗原の全ての4レベルで含まれるように添加した。チューブは4℃、オーバーナイトでインキュベーションし、5mLのビーズ溶液を1度に1mLを移すことにより1.5mLのエッペンドルフチューブに移した。各々のチューブを、洗浄バッファーを用いて洗浄した(3回)。ビーズの無いコントロールチューブは洗浄しなかった。3回目の洗浄の後、100uLの0塩溶液を試験チューブに加え、500uLの0塩溶液をコントロールチューブに加え、チューブは25℃で6分間インキュベーションした。上清をアッセイプレートに移し、実施例7(a)におけるように解析した。表9(b)~(c)に結果を示す。
【0311】
【表15】
【0312】
【表16】
【0313】
およそ50倍のシグナルの上昇が磁気ビーズでの分析物濃縮の後、観測された。非濃縮試料番号1はコントロール番号1のシグナルと同様の結果を示したが、それは最も高い効率でのPP-抗原複合体の放出を意味している。分析物前濃縮を用いて、1ビリオン/mLのウイルス負荷に相当する0.1fg/mL未満の検出が達成された。対照的に、商業的なウイルスアッセイは、25ビリオン/mLと等価であるおよそ50コピー/mLの濃度を合理的に検出することができる。図15に、前濃縮したものとしないものについての、この実験に関する較正曲線が示される。
【実施例8】
【0314】
ビーズ沈降プロトコルを用いた3-AB RCA/PLAビーズ-ベースのアッセイ
IL-4についての3-AB RCA/PLAアッセイを、ダイナビーズの代わりにシリカビーズ(____から利用可能)を使用したこと以外は実施例7に記載されるように実行した。RCAおよび検出インキュベーションはMSDラージ・スポット・マルチ-ウェルアッセイプレート(MSD large spot multi-well assay plates;Meso Scale Discovery、ロックヴィル、メリーランド州から利用可能)、定常37℃で行った。ビーズにはアンカー試薬が含まれていなかった。ビーズはRCAインキュベーション工程の間、溶液容量に依存して、およその5~8分間の沈降時間で、重力によりウェルの表面上にゆっくり沈降させた。プレートはプレートをスウィンギング・バケット遠心機内でプレートを回転させることにより洗浄した。予備的な試験においては、回転の後、ウェル表面に渡って僅かな勾配があるもののビーズは均一に分散したことが示された。
【0315】
プロトコルは15分間、対、90分間のRCAインキュベーションで試験した。磁気捕捉と比較してビーズ沈降プロトコルを用いた15分間のRCAインキュベーションでアッセイの感度およびダイナミックレンジがおよそ10倍、改善されたことがわかった。90分間のRCAインキュベーション工程で感度はさらに改善された(およそ50~100倍まで)。
【0316】
代替的には、3-AB RCA/PLAアッセイを本明細書に記載されるように行った。ビーズにはアンカー試薬が含まれ、ブロッキング試薬(およそ2.5 mg/ml)をライゲーション工程の間に加え、非特異的結合を低減させた。mBSA、せん断されたポリ(A)、ポリBSA-I、mIgG、トィーン(Tween)、ポリBSA-II、酵母RNA、mBSA+ポリ(a)、および/またはポリBSA+ポリ(A)を含むがそれに限定されない様々なブロッキング試薬が使用できる。
【実施例9】
【0317】
改変架橋免疫アッセイ形式
上述のように、実施例1において記載された手法を、TNFαモデルシステムを用いた架橋およびアイソタイピングIgアッセイ、Hepβ表面抗原を用いた架橋およびアイソタイピングIgアッセイおよびLyme C6を用いた架橋およびアイソタイピングIgアッセイにおいて使用した。この手法の改変を図19に示すが、ここで自己抗体(1901)を(i)PP2-修飾抗ヒトIg抗体(1902)および(ii)PP1-標識自己抗原(1903)、続いて実施例1に記載されるようなPLA-RCAを用いて検出した。図19に示された形式もまた、ターゲティング部分(1904)および自己抗原(1905)に結合したその相補体を捕捉部分と接着する手段、今回の場合、自己抗原と表面(1906)、として使用することを示している。
【0318】
同様に、例えば、自己抗体のような抗体に関する免疫アッセイは実施例1に記載されるように実行できる。ここで、抗体についての抗原は(表面に直接取り付けられるか、またはターゲット部分およびその相補体を介して取り付けられる)捕捉部分として使用され、2つの検出種はPP1に取り付けられたアイソタイプ抗体、およびPP2に取り付けられた抗原(あるいはその逆)である。サンドイッチ複合体が形成され、実施例1に記載されたPLA-RCAがそれに続けられる。これらの改変アッセイ形式には、アンプリコンを表面に接着するためのアンカー部分も含まれる。
【実施例10】
【0319】
近接ライゲーションローリングサークル鋳型の生成のための生合成方法
近接ライゲーションローリングサークル鋳型は生合成的に生成される。この方法ははじめに高度に精製され、十分に特徴付けられた鋳型を利用して、効率的な溶液-ベースのライゲーションおよびRCA反応系列におけるRCA生成物を生成する。このプロセスは、反応の感受性を増強するためにビーズ上で行うこともできる。
【0320】
シードRCA鋳型の増幅に次いで、固有の制限酵素を短い合成配列と組み合わせて用い、単鎖の生成物を部位特異的切断に供する。したがって、RCA鋳型はそれ自らの生成物から生成される。生合成的に生成されたRCA鋳型はHPLCまたはゲル精製に供し、100%の正しい5’および3’末端を含む生成物を生成する。この方法は図20(a)に図示される。このアプローチには、所望のライゲーション部位の直接切断についてのRCA鋳型へ制限部位を挿入することが必要である。制限酵素は、制限部位からおよそ14~20塩基はなれて切断するものが好ましい。代替的には、このアプローチをM13ファージまたは同様の物からの単鎖DNAを組み合わせて使用することにより、単鎖鋳型もまたミリグラム量で生成することができる。このアプローチは、RCAベースのRCA鋳型増幅を実行する必要を取り除くことができ、DNA生成のために鋳型をM13ベクター内にクローニングすることのみが必要である。このことは図20(b)に図示される。
【実施例11】
【0321】
試料の多重化
本明細書に記載された方法を、試料を分光的特徴の使用に基づいて、多重化するために使用した。試料を多重化することにより、ユーザーが内部較正およびコントロールを行うこと、コスト削減することならびに処理能力を上昇させることが可能となる。その分析物にコードされた空間的および分光的特徴に基づいた固有の特徴を利用することによる分析物を多重化させる能力は、試料を多重化させることにも使用することができる。
【0322】
試料は画像化した増幅生成物の蛍光色素比率コーディングを用いて、多重化した。試料中の各々の分析物について、固有のローリングサークル生成物を生成することができる固有のアッセイ試薬セットを使用して、固有の検出オリゴヌクレオチドを用いて各々、検出可能である。例えば、実施例1に記載された手法によって、固有のアッセイ試薬セットの合成および使用をすることができる。図21に図示されるように、目的の分析物を含む各々の試料、AおよびBは、各々が固有の近接プローブを有する、その分析物に特異的な2つの検出抗体と共にインキュベーションされる。インキュベーション工程は固有の近接プローブセットをその試料中の分析物と連結し、それにより、分析物との2つの抗体複合体を形成し、試料を「コード」する。このインキュベーションの後、コードした試料は蓄積され、混合物として単独の捕捉抗体表面に加えられ、インキュベーションされ洗浄される。
【0323】
洗浄工程に続いて、捕捉された3つの抗体複合体、各々の近接プローブセットについての線状ローリングサークル鋳型が加えられ、混合物は実施例1に記載されるようなハイブリダイゼーション条件に供せられる。この複合体はライゲーションされ、ローリングサークル鋳型を生成し、洗浄され、ローリングサークル増幅に供せられ、洗浄される。各々のローリングサークルアンプリコンは相補的で固有の検出オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、2またはそれ以上の蛍光標識の比率に基づいた固有の分光的特徴でコードされる。検出プローブのハイブリダイゼーションに続き、アッセイ表面は画像化され、各々のローリングサークル生成物は、例えば2またはそれ以上の蛍光標識の比率のような、その分光的特徴に基づいてデコードされ、カウントされる。このことで、多数の試料内の分析物レベルの決定が可能となる。このアプローチを用いて、ユーザーは試料と多重化した分析物を組み合わせることができ、多数の分析物を試験およびコントロール試料の中で同時に試験することができる。
【実施例12】
【0324】
リポタンパク質複合体の検出
本明細書に記載される方法は例えば、HDLおよびLDLのようなリポタンパク質複合体に存在するタンパク質複合体のセットを検出し定量することに使用される。例えば、実施例1に記載される方法を用いて、3つの異なるタンパク質および/またはエピトープがリポタンパク質複合体内において検出され、それゆえ、患者のリポタンパク質内のタンパク質プロファイルを解析することができる。
【0325】
ヒトにおいて、血液リポタンパク質は5つの大きなグループ、HDL、LDL、IDL、VLDLおよびカイロミクロンに分類される。それらの中で、HDLおよびLDL画分は、心臓血管の健康のリスクマーカーとして、最も臨床的な興味を持たれている。これらの重要なリポタンパク質は多数のタンパク質および脂質の複合体から構成されている。これらのリポタンパク質に関連したタンパク質は、それらの機能に不可欠なタンパク質およびパッセンジャータンパク質(passenger proteins)からなる。これらのリポタンパク質は、個人のリスクプロファイルを修飾する酸化のような修飾にも供せられてもよい。例えば、より高いレベルの酸化したHDLおよびLDLは、有害心血管イベントのリスクの上昇に関連している。LDLは典型的には2つのコアタンパク質、Apo(a)およびApoB、ならびに脂質から構成されている。上昇したApo(a)は心臓病のリスクの上昇に関連している;さらに、Apo(a)タンパク質の長さの多様性はリスクプロファイルの変化にもまた関連している。Apo(a)タンパク質は、LPA遺伝子におけるいわゆるクリングルリピートの数が様々である理由によるサイズ多形のために、サイズが多様である。LDL粒子内のApoBは様々な組織においてLDL受容体についてのリガンドを保持している。高レベルのApoBもまた、心臓血管疾患を招くプラーク形成に関連している。HDLは典型的には、ApoA1、ApoE、ApoCおよびApoA-IIを含むコアタンパク質のセットから構成されている。これらのコアタンパク質に加えて、HDLは、臨床的価値も持っている添加タンパク質と関連していることも知られている。例えば、HDL関連SAAおよびSP-Bは、心イベントおよび死亡率に関連することが実証されている。上昇したApoA-IIによる、HDL組成物内の多様性もまたアテローム生成的なリスクに関連付けされている。
【0326】
実施例1に記載された手法に従って、リポタンパク質複合体に関する多重化された近接アッセイは、図22において要点を述べたように実行される。図22はHDLリポタンパク質複合体の検出を図示する図である。ここで、各々のコアタンパク質に特異的な捕捉抗体は表面に固定化され、リポタンパク質複合体を表面に結合する。各々近接プローブを有する、付加的なコアタンパク質に特異的な検出抗体を加える。アッセイは実施例1に記載されるように完結される。
【0327】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態よって範囲を限定されない。実際、本明細書に開示したものに加えて、本方法の様々な改変は、これまでの記述と添付の図から当業者には明らかとなろう。このような改変は特許請求の範囲内にあることが意図される。様々な文献が本明細書に引用されているが、これらの開示全体を参照によって組み入れる。
【0328】
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