(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】環境試験装置及び環境試験方法
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
G01N17/00
(21)【出願番号】P 2020116764
(22)【出願日】2020-07-07
(62)【分割の表示】P 2017149352の分割
【原出願日】2017-08-01
【審査請求日】2020-07-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ピエ
(72)【発明者】
【氏名】青木 雄一
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228348(JP,A)
【文献】特開2002-244544(JP,A)
【文献】特開2016-125675(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174664(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0174664(US,A1)
【文献】米国特許第08922645(US,B1)
【文献】米国特許第06081254(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が収容される試験槽と、
前記試験槽の内部を撮影するカメラと、
前記試験槽の内部の環境を調整する環境調整器と、
前記カメラによって撮影された画像に含まれる色の分布を示す色スペクトラムを生成する生成部と、
前記色スペクトラムが一以上の現場環境において撮影された画像の色スペクトラムと一致するように、前記環境調整器に前記試験槽の内部の環境を調整させる調整部と、
を備え、
前記一以上の現場環境において撮影された画像は、サンプル板を背景にして撮影した画像であり、
前記試験槽は、前記サンプル板と同一色のサンプル板又は前記サンプル板と同一色の内壁を備え、
前記カメラによって撮影された画像は、前記サンプル板と同一色を背景にして撮影した画像である、
環境試験装置。
【請求項2】
前記調整部は、
前記現場環境の画像が撮影された時の環境の少なくとも一部を表す環境情報を取得し、
前記環境調整器を制御することで、前記試験槽の内部の環境を前記環境情報が表す環境に調整させる、
請求項
1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記一以上の現場環境において撮影された画像又は当該画像の色スペクトラムが予め記憶されている第一データベースから、前記一以上の現場環境において撮影された画像又は当該画像の色スペクトラムを取得する、
請求項1
又は2に記載の環境試験装置。
【請求項4】
前記調整部は、
前記一以上の現場環境において撮影された画像又は当該画像の色スペクトラムと、前記一以上の現場環境において撮影された画像の其々が撮影された時の環境の少なくとも一部を表す撮影情報と、が予め対応付けて記憶されている第二データベースから、前記一以上の現場環境において撮影された画像又は当該画像の色スペクトラムを取得し、
前記第二データベースにおいて、前記取得された前記一以上の現場環境において撮影された画像又は当該画像の色スペクトラムと対応付けられている前記撮影情報を、前記環境情報として取得する、
請求項
2に記載の環境試験装置。
【請求項5】
前記一以上の現場環境には、霧が発生している環境が含まれる、
請求項1から
4の何れか一項に記載の環境試験装置。
【請求項6】
前記一以上の現場環境には、光が照射されている環境が含まれる、
請求項1から
5の何れか一項に記載の環境試験装置。
【請求項7】
前記一以上の現場環境には、空気中に第一異物が存在している環境が含まれ、
前記環境調整器は、前記試験槽の内部の環境を、前記第一異物の外観に関する特徴を模倣した第二異物が存在している環境に調整する、
請求項1から
6の何れか一項に記載の環境試験装置。
【請求項8】
前記一以上の現場環境において撮影された画像には、動画が含まれ、
前記調整部は、前記一以上の現場環境において撮影された画像が動画である場合、当該動画における所定の一時点の画像に含まれる色の分布を示す色スペクトラムを、前記一以上の現場環境において撮影された画像の色スペクトラムとして取得する、
請求項1から
7の何れか一項に記載の環境試験装置。
【請求項9】
試料が収容される試験槽と、前記試験槽の内部を撮影するカメラと、前記試験槽の内部の環境を調整する環境調整器と、を備えた環境試験装置における環境試験方法であって、
前記カメラによって撮影された画像に含まれる色の分布を示す色スペクトラムを生成し、
前記色スペクトラムが一以上の現場環境において撮影された画像の色スペクトラムと一致するように、前記環境調整器に前記試験槽の内部の環境を調整さ
せ、
前記一以上の現場環境において撮影された画像は、サンプル板を背景にして撮影した画像であり、
前記カメラによって撮影された画像は、前記サンプル板と同一色を背景にして撮影した画像である、
環境試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験槽の内部の環境を調整する環境試験装置及び環境試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載のように、結露の状態にある試料の性能を試験するため、試験室内に設置された試料の表面を撮影した画像から試料の結露量を算出することが知られている。そして、前記算出した結露量と試験者が設定した結露量との比較結果に基づいて、試験室内の環境を調整し、試料を目的とする結露の状態に調整することが知られている。
【0003】
近年では、センシングカメラ等のセンサーに関する技術の進歩により、制御に必要な多種のパラメーターの測定が可能となってきている。また、IoT(Internet of Things)技術の普及により、センサーによって測定されたパラメーターを収集し、当該収集したパラメーターの分析結果に基づき、次のアクションを自動的に決定するようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、車の自動運転制御に用いられるセンシングカメラ等のセンサーの性能を試験するため、上記特許文献1に開示の技術を用いて、試料が曝されることが想定される、霧が発生している環境や光が照射されている環境を、試料を収容した試験槽の内部に再現することが考えられる。この場合、試験槽の内部に環境制御用のセンサーを設け、霧の密度や光の照度等、試験槽の内部の環境を調整するために必要なパラメーターを測定する必要がある。
【0006】
しかし、試験槽の内部の空気中に含まれる霧の水分や照射される光によって、環境制御用のセンサーがパラメーターを測定するために用いる赤外線や光等の媒体が遮蔽されたり、反射されること等が原因で、当該センサーによってパラメーターを精度良く測定することが困難な場合がある。この場合、パラメーターの測定値と試験者が設定したパラメーターの目標値とを適切に比較できず、目標とする環境を試料槽の内部に再現できない虞がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、センサーによって測定することが困難なパラメーターの調整が必要な環境を試験槽の内部に再現することができる環境試験装置及び環境試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による環境試験装置は、試料が収容される試験槽と、前記試験槽の内部を撮影するカメラと、前記試験槽の内部の環境を調整する環境調整器と、前記試料が実際に曝されることが想定される一以上の現場環境において撮影された一以上の第一画像を取得する第一取得部と、前記試験槽の内部に再現する対象の現場環境を表す第二画像を選択するためのユーザーの指示に基づき、前記一以上の第一画像の中から前記第二画像を決定する決定部と、前記第二画像に含まれる色の分布を示す第一色スペクトラムを取得する第二取得部と、前記カメラによって撮影された第三画像に含まれる色の分布を示す第二色スペクトラムを生成する生成部と、前記第二色スペクトラムが前記第一色スペクトラムと一致するように、前記環境調整器に前記試験槽の内部の環境を調整させる調整部と、を備える。
【0009】
また、本発明による環境試験方法は、試料が収容される試験槽と、前記試験槽の内部を撮影するカメラと、前記試験槽の内部の環境を調整する環境調整器と、を備えた環境試験装置における環境試験方法であって、前記試料が実際に曝されることが想定される一以上の現場環境において撮影された一以上の第一画像を取得し、前記試験槽の内部に再現する対象の現場環境を表す第二画像を選択するためのユーザーの指示に基づき、前記一以上の第一画像の中から前記第二画像を決定し、前記第二画像に含まれる色の分布を示す第一色スペクトラムを取得し、前記カメラによって撮影された第三画像に含まれる色の分布を示す第二色スペクトラムを生成し、前記第二色スペクトラムが前記第一色スペクトラムと一致するように、前記環境調整器に前記試験槽の内部の環境を調整させる。
【0010】
本構成によれば、試験槽の内部を撮影した第三画像に含まれる第二色スペクトラムが、試験槽の内部に再現させる対象の現場環境において撮影された第二画像に含まれる第一色スペクトラムと一致するように、試験槽の内部の環境が調整される。
【0011】
このため、試験槽の内部の環境を調整するために必要なパラメーターを測定することなく、第二色スペクトラムによって表される試験槽の内部の環境を、第一色スペクトラムによって表される、試験槽の内部に再現させる対象の現場環境と一致させることができる。これにより、センサーによって測定することが困難なパラメーターの調整が必要な環境を、試験槽の内部に再現することができる。
【0012】
また、前記一以上の第一画像は、サンプル板を背景にして撮影した画像であり、前記試験槽は、前記サンプル板と同一色のサンプル板を備え、前記第三画像は、前記サンプル板と同一色のサンプル板を背景にして撮影した画像であることが好ましい。
【0013】
本構成によれば、第二画像として決定された第一画像の背景色と第三画像の背景色とが一致する。このため、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致するように、試験槽の内部の環境を調整する場合に、背景色の分布を一致させるための調整に要する時間を短縮できる。これにより、試験槽の内部に現場環境をより迅速に再現することができる。
【0014】
また、前記第二画像が撮影された時の環境の少なくとも一部を表す環境情報を取得する第三取得部を更に備え、前記調整部は、前記環境調整器を制御することで、前記試験槽の内部の環境を前記環境情報が表す環境に調整させた後、前記第二色スペクトラムが前記第一色スペクトラムと一致するように、前記試験槽の内部の環境を調整させてもよい。
【0015】
本構成によれば、試験槽の内部の環境が、第三取得部によって取得された環境情報が表す第二画像が撮影された時の環境に近い環境にまで調整された後、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致するように、試験槽の内部の環境が調整される。
【0016】
このため、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致するように試験槽の内部の環境を調整するよりも前に、試験槽の内部の環境を何ら調整しない場合よりも、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致するように、試験槽の内部の環境を調整するのに要する時間を短縮できる。これにより、試験槽の内部に現場環境をより迅速に再現することができる。
【0017】
また、前記第一取得部は、前記一以上の第一画像が予め記憶されている第一データベースから、前記一以上の第一画像を取得してもよい。
【0018】
本構成によれば、第一データベースに予め記憶されている一以上の第一画像の中から決定された第二画像が表す現場環境を、試験槽の内部に再現できる。このため、第一データベースに予め記憶されている一以上の第一画像と同じ一以上の第一画像を繰り返し利用して、試験槽の内部に同じ現場環境を繰り返し再現することができる。
【0019】
または、前記第一取得部は、前記一以上の第一画像と、前記一以上の第一画像の其々が撮影された時の環境の少なくとも一部を表す撮影情報と、が予め対応付けて記憶されている第二データベースから、前記一以上の第一画像を取得し、前記第三取得部は、前記第二データベースにおいて、前記第二画像として決定された第一画像と対応付けられている前記撮影情報を、前記環境情報として取得してもよい。
【0020】
本構成によれば、試験槽の内部の環境が、第二データベースに予め記憶されている一以上の第一画像の中から決定された第二画像に対応付けられた撮影情報が表す環境に調整された後、当該第二画像が表す現場環境に調整される。これにより、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致するように試験槽の内部の環境を調整するよりも前に、試験槽の内部の環境を何ら調整しない場合よりも、試験槽の内部に当該第二画像が表す現場環境をより迅速に再現することができる。
【0021】
このため、第二データベースに予め記憶されている一以上の撮影情報と同じ一以上の撮影情報と第二データベースに予め記憶されている一以上の第一画像と同じ一以上の第一画像とを繰り返し利用して、迅速に、試験槽の内部に同じ現場環境を繰り返し再現することができる。
【0022】
また、前記一以上の現場環境には、霧が発生している環境が含まれてもよい。
【0023】
本構成によれば、ユーザーは、霧が発生している環境において撮影された第一画像を第二画像とする選択の指示を行うことで、当該第二画像が表す霧が発生している環境を、試験槽の内部に再現させることができる。
【0024】
また、前記一以上の現場環境には、光が照射されている環境が含まれてもよい。
【0025】
本構成によれば、ユーザーは、光が照射されている環境において撮影された第一画像を第二画像とする選択の指示を行うことで、当該第二画像が表す光が照射されている環境を、試験槽の内部に再現させることができる。
【0026】
また、前記一以上の現場環境には、空気中に第一異物が存在している環境が含まれ、前記環境調整器は、前記試験槽の内部の環境を、前記第一異物の外観に関する特徴を模倣した第二異物が存在している環境に調整してもよい。
【0027】
本構成によれば、ユーザーは、空気中に第一異物が存在している環境において撮影された第一画像を第二画像とする選択の指示を行うことで、当該第二画像が表す空気中に第一異物が存在している環境に相当する、空気中に第二異物が存在している疑似的な環境を、試験槽の内部に再現させることができる。
【0028】
また、前記一以上の第一画像には、動画が含まれ、前記第二取得部は、前記第二画像が動画である場合、当該動画における所定の一時点の画像に含まれる色の分布を示す色スペクトラムを、前記第一色スペクトラムとして取得してもよい。
【0029】
本構成によれば、ユーザーは、一以上の第一画像に含まれる動画の第一画像を第二画像とする選択の指示を行うことで、当該第二画像によって表される複数時点の現場環境のうち、前記所定の一時点の現場環境を、試験槽の内部に再現させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、センサーによって測定することが困難なパラメーターの調整が必要な環境を試験槽の内部に再現することができる環境試験装置及び環境試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】環境試験装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】環境試験装置において試験を開始する前に行う準備作業の一例を示す図である。
【
図4】環境試験装置において試験を開始する前に行う準備作業の一例を示すフローチャートである。
【
図6】環境試験装置における試料の試験の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】環境試験装置における試料の試験の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(環境試験装置の機能構成)
以下、本発明に係る環境試験装置及び環境試験方法の一実施形態について説明する。
図1は、環境試験装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2は、試験槽100の概略構造の一例を示す図である。環境試験装置1は、試料が収容された試験槽100内の環境を調整し、当該環境下における試料の耐熱性や耐湿性や耐振性等の試験を行う装置である。
【0033】
具体的には、
図1に示すように、環境試験装置1は、制御部10、インターフェイス部5、表示部6、操作部7、記憶部8(第一データベース、第二データベース)、環境調整器2、環境センサー3及びカメラ4を備えている。また、
図2に示すように、環境試験装置1は、試料が収容される試験槽100を備えている。
【0034】
制御部10は、環境試験装置1が備える各部の制御を行う。具体的には、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリー、現在時刻を計時するタイマー回路等を備えたマイクロコンピューターによって構成される。
【0035】
制御部10は、不揮発性メモリーに記憶された制御プログラムをCPUに実行させることにより、第一取得部11、決定部12、第二取得部13、第三取得部14、生成部15、実行部16及び調整部17として機能する。これらの各部11~17の詳細については後述する。
【0036】
インターフェイス部5は、環境試験装置1が不図示のネットワークを介して外部装置と通信するための通信インターフェイス回路によって構成される。インターフェイス部5は、制御部10による制御の下、制御部10から入力された情報を、上記ネットワークを介して外部装置へ送信する。また、インターフェイス部5は、外部装置が送信した情報を上記ネットワークを介して受信する度に、当該受信した情報を制御部10へ出力する。
【0037】
表示部6は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、制御部10による制御の下、環境試験装置1の操作画面やメッセージ等の各種情報を表示する。
【0038】
操作部7は、例えば、表示部6が有する各種情報の表示面上に設けられたタッチパネル装置によって構成される。操作部7は、前記表示面に表示された各種画面内のソフトキーが操作されると、当該ソフトキー及び操作に対応付けられた指示の入力を受け付ける。また、操作部7は、タッチパネル装置に限らず、各種情報を入力するためのキーボードや各種画面内のソフトキーを操作するためのマウス等を備えて構成してもよい。
【0039】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって構成され、制御部10による制御の下、各種情報を記憶する。また、記憶部8には、表示部6に表示される操作画面を示す画像や、制御部10による制御に用いられる各種情報等が予め記憶されている。
【0040】
環境調整器2は、冷凍機や加湿器等を備えた空気調和装置、霧発生装置、光照射装置、降雪装置、降雨装置及び送風装置等によって構成される。環境調整器2は、制御部10による制御の下、試料が収容された試験槽100の内部の環境を、所定のパラメーターを用いて調整する。
【0041】
環境調整器2は、試験槽100の内部の環境を、例えば、高温多湿、恒温恒湿及び低温低湿の環境、霧が発生している環境、光が照射されている環境、雨や雪が降っている環境及び砂や埃が飛散している環境等、試料が実際に曝されることが想定される一以上の環境(以降、現場環境)に調整する。試験槽100の内部の環境を当該例示した現場環境に調整するため環境調整器2が用いるパラメーターには、試験槽100の内部の空気の気温、湿度及び気圧、霧の密度、光の照度、雨や雪の密度、並びに、砂や埃の密度等が含まれる。
【0042】
また、例えば、車両に搭載されるセンシングカメラや防犯カメラ等の画像を撮影するカメラを試料とし、雨や雪が降っている環境や砂や埃が飛散している環境等の空気中に雨、雪、砂及び埃等の異物が存在している環境で、当該試料によって撮影された画像から、撮影対象物(例えば、人形)を認識可能か否かの試験を行う場合がある。この場合、環境調整器2は、試験槽100の内部の環境を、当該試料が実際に曝されることが想定される、空気中に異物が存在している環境に調整することが好ましい。
【0043】
しかし、当該試験では、試料によって撮影された画像の内容(カメラ映り)を確認する。この画像には、雨、雪、砂及び埃等の空気中に存在している異物の外観に関する特徴は表れるが、材質や重さ等の他の特徴は表れない。このため、空気中に異物が存在している環境を試験槽100の内部に再現する場合に、空気中に存在している異物の外観に関する特徴は忠実に再現する必要性があるが、外観以外の特徴については忠実に再現する必要性はない。
【0044】
したがって、環境調整器2が、試験槽100の内部の環境を、空気中に存在している異物(第一異物)の外観に関する特徴を模倣した、紙片(紙ふぶき)等の疑似的な異物(第二異物)が存在している環境に調整するようにしてもよい。具体的には、前記疑似的な異物を飛散させる送風装置等を環境調整器2として用いればよい。尚、試験槽100の内部の環境を前記疑似的な異物が存在している環境に調整するため、当該環境調整器2が用いるパラメーターには、試験槽100の内部に存在している前記疑似的な異物の密度等を含めればよい。
【0045】
環境センサー3は、試験槽100の内部の環境の調整に用いられる前記パラメーターのうちの少なくとも一部を検出する。本実施形態では、環境センサー3は、公知の温度センサー、湿度センサー及び気圧センサーによって構成され、試験槽100の内部の環境の調整に用いられる、試験槽100の内部の空気の気温、湿度及び気圧の三個のパラメーターを検出するものとする。ただし、環境センサー3を当該構成に限定する趣旨ではない。
【0046】
カメラ4は、静止画及び動画を撮影可能なセンシングカメラ等によって構成され、試験槽100の内部の静止画又は動画を撮影し、当該撮影した静止画又は動画を制御部10へ出力する。
【0047】
例えば、カメラ4は、
図2に示すように、試験槽100の内部における上方隅に設置され、試験槽100の内部に取り付けられたサンプル板SBを撮影した静止画又は動画(以降、第三画像)を制御部10へ出力する。サンプル板SBは、黒色等の所定の一色に塗られた板であり、試験槽100の内壁に取り付けられた支持部材によって支持されている。尚、サンプル板SBを設けず、カメラ4が、サンプル板SBと同一色に塗られた試験槽100の内壁を撮影するようにしてもよい。
【0048】
(試験の準備作業フロー)
以下では、環境試験装置1において試験を開始する前に行う準備作業について説明する。
図3は、環境試験装置1において試験を開始する前に行う準備作業の一例を示す図である。
図4は、環境試験装置1において試験を開始する前に行う準備作業の一例を示すフローチャートである。
【0049】
試験の準備作業を行う作業者は、
図3の(a)に示すように、試料が実際に曝されることが想定される現場環境に出向いて、サンプル板SB(
図2)と同一色のサンプル板SBaを設置し、サンプル板SBaを撮影するようにカメラ91を設置し、カメラ91付近に環境センサー92を取り付ける。カメラ91付近とは、カメラ91までの距離が所定距離以下の範囲を示す。
【0050】
カメラ91は、静止画及び動画を撮影可能なセンシングカメラ等によって構成され、所定の撮影範囲の静止画又は動画を撮影し、当該撮影した静止画又は動画を情報処理装置93へ出力する。
【0051】
環境センサー92は、カメラ91によって静止画又は動画が撮影された時の環境の少なくとも一部を表す撮影情報を検出し、当該検出した撮影情報を情報処理装置93へ出力する。本実施形態では、環境センサー92は、公知の温度センサー、湿度センサー、気圧センサー及び照度センサーによって構成され、第一画像が撮影された時の空気の気温、湿度及び気圧と光の照度を撮影情報として検出するものとする。ただし、撮影情報は、これらに限定されない。
【0052】
情報処理装置93は、カメラ91及び環境センサー92に接続されたノートパソコンやタブレット端末やスマートフォン等によって構成される。情報処理装置93は、カメラ91及び環境センサー92の操作画面を不図示の表示部に表示したり、カメラ91及び環境センサー92の出力値を加工する処理等を行う。
【0053】
作業者は、サンプル板SBa、カメラ91及び環境センサー92の設置を終了すると、
図4に示すように、情報処理装置93に表示されたカメラ91の操作画面を用いて、カメラ91に、サンプル板SBaを含む所定範囲の静止画又は動画を撮影させ、当該撮影された静止画又は動画を情報処理装置93に出力させる(S11)。
【0054】
また、作業者は、情報処理装置93に表示された環境センサー92の操作画面を用いて、環境センサー92に撮影情報を検出させ、当該検出された撮影情報を情報処理装置93に出力させる(S12)。
【0055】
情報処理装置93は、S11において制御部10に入力された静止画又は動画に対して、公知の画像抽出処理を行うことにより、当該静止画又は動画から、サンプル板SBaを表す静止画又は動画(以降、第一画像)を抽出する(S13)。
【0056】
情報処理装置93は、S13で抽出した第一画像に対して、公知の画像解析処理を実行することにより、S13で抽出した第一画像に含まれる色の分布を示す色スペクトラム(以降、第一色スペクトラム)を生成する(S14)。第一色スペクトラムは、
図3の(b)及び(c)に示すように、第一画像に含まれる各画素の色の波長と、第一画像に含まれる、当該波長の色を表す画素の数と、を対応付けた情報である。
【0057】
尚、情報処理装置93は、S13で抽出した第一画像が動画である場合、当該動画における所定の一時点の画像に含まれる色の分布を示す色スペクトラムを、第一色スペクトラムとして生成する。所定の一時点は、作業者によって情報処理装置93の操作画面を用いて設定操作される。例えば、作業者は、第一画像が表す現場環境が霧が発生している環境である場合、最も霧の密度が濃い時点を前記所定の一時点として設定操作し、第一画像が表す現場環境が光が照射されている環境である場合、最も光の照度が高い時点を前記所定の一時点として設定操作する。ただし、所定の一時点は、これに限らず、動画の開始時点から所定時間経過した時点等に定めてもよい。
【0058】
または、情報処理装置93は、S13で抽出した第一画像が動画である場合、第一画像を構成する動画の開始時点から所定時間が経過した時点毎に、当該動画における各時点の画像に含まれる色の分布を示す色スペクトラムを生成し、当該生成した色スペクトラムの中で、最も色の分布が顕著に表れている色スペクトラムを、第一色スペクトラムとして生成してもよい。最も色の分布が顕著に表れている色スペクトラムとは、例えば、色スペクトラムに含まれる色の分布の山(例:
図3の(c)におけるM1、M2)の数が最も多く、且つ、画素数の最大値(例:G1)が最も大きい色の分布の山(例:
図3の(c)におけるM1)を含む色スペクトラムを示す。
【0059】
図5は、現場環境テーブルT1の一例を示す図である。次に、情報処理装置93は、
図5に示すように、現場環境を識別するための環境ID(例:霧1)と、S12で検出された撮影情報(例:気温:T11、湿度:H11、気圧:P11、照度:L11)と、S13で抽出した第一画像を表す画像データと、S14で生成した第一色スペクトラムを表す色スペクトラムデータと、を対応付けて現場環境テーブルT1に記憶する(S15)。以上により、一の現場環境における試験の準備作業が終了する。
【0060】
尚、現場環境テーブルT1は、情報処理装置93が備える記憶装置の記憶領域によって構成されている。また、現場環境テーブルT1と同じ構造の現場環境テーブルT1が、環境試験装置1が備える記憶部8の記憶領域によって構成されている。
【0061】
作業者は、一以上の現場環境の其々において、S11~S15に示す準備作業を行う。そして、作業者は、準備作業に用いた情報処理装置93の現場環境テーブルT1(
図5)に記憶されている全ての内容を、環境試験装置1が備える現場環境テーブルT1に記憶する。これにより、試験の準備作業が終了する。
【0062】
(試験フロー)
次に、環境試験装置1における試料の試験の動作について説明する。尚、当該説明の中で、第一取得部11、決定部12、第二取得部13、第三取得部14、生成部15、実行部16及び調整部17(
図1)の詳細について説明する。
図6及び
図7は、環境試験装置1における試料の試験の動作の一例を示すフローチャートである。
【0063】
図6に示すように、試験者(ユーザー)が操作部7を用いて入力した試験の実行指示が、手動調整試験の実行指示であったとする(S21;NO)。手動調整試験とは、従来の試験と同様、試験者が操作部7を用いて設定したパラメーターを用いて、試験槽100(
図2)の内部の環境を、当該パラメーターが表す環境となるように調整して行う試験である。この場合、実行部16は、手動調整試験を実行する(S27)。
【0064】
一方、試験者が操作部7を用いて入力した試験の実行指示が自動調整試験の実行指示であったとする(S21;YES)。自動調整試験とは、試験者が操作部7を用いて所定の一以上の現場環境の中から選択した現場環境を、当該選択された現場環境を表すパラメーターを試験者に設定させることなく、試験槽100(
図2)の内部に自動的に再現して行う試験である。この場合、決定部12は、記憶部8の記憶領域によって構成されている現場環境テーブルT1(
図5)を参照し、当該現場環境テーブルT1に記憶されている一以上の第一画像の中から、試験槽100(
図2)の内部に再現する対象の現場環境を表す第二画像を選択するための操作画面(以降、第二画像選択画面)を表示部6に表示させる(S22)。
【0065】
具体的には、第二画像選択画面には、現場環境テーブルT1(
図5)に記憶されている一以上の環境IDの中から一の環境IDを試験者に選択させるためのリストボックス等の画面部品が含まれている。試験者が当該画面部品を操作し、前記一以上の環境IDの中から一の環境IDを選択したとする。この場合、当該選択された環境IDが、当該環境IDに対応付けられている画像データが表す第一画像を第二画像として選択する指示として、制御部10に入力される。
【0066】
第二画像選択画面において試験者によって選択された環境IDが、当該環境IDに対応付けられている画像データが表す第一画像を第二画像として選択する指示として、制御部10に入力されたとする。この場合、決定部12は、現場環境テーブルT1において、当該入力された環境IDに対応付けられている画像データが表す第一画像を、第二画像として決定する(S23)。
【0067】
また、第三取得部14(
図1)は、現場環境テーブルT1(
図5)において、前記入力された環境ID(例:霧1)に対応付けられている撮影情報(例:気温:T11、湿度:H11、気圧:P11、照度:L11)を、S23で決定された第二画像が撮影された時の環境の少なくとも一部を表す環境情報として取得する(S24)。
【0068】
そして、調整部17は、環境調整器2(
図1)を制御して、試験槽100(
図2)の内部の環境を、S24で取得された環境情報が表す環境となるように調整する(S25)。
【0069】
具体的には、S25において、調整部17は、環境調整器2を制御するパラメーターのうち、S24で取得された環境情報(例:気温:T11、湿度:H11、気圧:P11、照度:L11)に対応する各パラメーター(例:気温、湿度、気圧、照度)の値を、当該環境情報が示す当該各パラメータの値(例:T11、H11、P11、L11)に設定する。
【0070】
これにより、環境調整器2は、試験槽100(
図2)の内部の環境を、当該設定されたパラメーターが示す環境に調整する。例えば、環境調整器2を構成する空気調和装置は、試験槽100(
図2)の内部の空気の気温、湿度及び気圧が、S25において設定された気温、湿度及び気圧のパラメーターの値(例:T11、H11、P11)となるように、試験槽100(
図2)の内部の空気の気温、湿度及び気圧を調整する。また、環境調整器2を構成する光照射装置は、試験槽100(
図2)の内部の光の照度が、S25において設定された光の照度のパラメーターの値(例:L11)となるように、試験槽100(
図2)の内部の光の照度を調整する。
【0071】
S25の後、実行部16は自動調整試験を開始する(S26)。実行部16は、自動調整試験を開始すると、試験の終了指示が入力されるまでの間、例えば試料の表面温度等の試料の状態を、試料に取り付けた不図示のセンサーによって定期的に測定させ、測定結果を記憶部8に記憶する。または、実行部16は、自動調整試験を開始すると、試験の終了指示が入力されるまでの間、不図示の電源回路によって試料に電力を供給し、不図示の計測装置を制御して、試料に所定の電気信号を入力させ、試料から出力される電気信号を計測させる。
【0072】
試験の終了指示は、自動調整試験の実行中における任意のタイミングで、試験者によって操作部7を用いて入力される。ただし、これに限らず、自動調整試験が開始されてから所定時間経過後に、自動調整試験の終了指示が入力されるようにしてもよい。当該所定時間は、試験者によって操作部7を用いて設定されるようにしてもよい。
【0073】
自動調整試験が開始されると、
図7に示すように、第二取得部13は、S23(
図6)で決定された第二画像に含まれる色の分布を示す第一色スペクトラムを取得する(S31)。具体的には、S31では、第二取得部13は、現場環境テーブルT1(
図5)においてS23(
図6)で第二画像を決定する際に用いられた環境IDに対応付けられている色スペクトラムデータが表す第一色スペクトラムを取得する。
【0074】
次に、生成部15は、カメラ4にサンプル板SBを撮影させる(S32)。これにより、カメラ4は、サンプル板SBを撮影した第三画像を制御部10へ出力する。そして、生成部15は、前記準備作業のS14(
図4)において、第一画像から第一色スペクトラムを生成するときと同様にして、S32で撮影された第三画像に含まれる色の分布を示す第二色スペクトラムを生成する(S33)。
【0075】
そして、調整部17は、S33で生成された第二色スペクトラムが、S31で取得された第一色スペクトラムと一致するか否かを判定する(S34)。
【0076】
具体的には、S34において、調整部17は、公知のヒストグラムマッチング処理を行うことにより、S33で生成された第二色スペクトラムとS31で取得された第一色スペクトラムとの一致度を算出する。そして、調整部17は、当該算出した一致度が所定の閾値以上である場合、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致すると判定する(S34;YES)。一方、調整部17は、当該算出した一致度が前記閾値未満である場合、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致しないと判定する(S34;NO)。
【0077】
調整部17は、S33で生成された第二色スペクトラムがS31で取得された第一色スペクトラムと一致しないと判定した場合(S34;NO)、試験槽100(
図2)の内部の環境を所定量調整する(S35)。具体的には、S35において、調整部17は、環境調整器2が制御に用いる一以上のパラメーターのうち、S23で決定された第二画像が表す、試験槽100(
図2)の内部に再現する対象の現場環境を調整するのに必要なパラメーターを所定量調整する。
【0078】
例えば、S23で決定された第二画像が表す試験槽100(
図2)の内部に再現する対象の現場環境が、霧が発生している環境であるとする。この場合、調整部17は、S35において、霧が発生している環境を調整するのに必要な、環境調整器2を構成する霧発生装置が制御に用いる霧の密度を示すパラメーターを所定量調整する。
【0079】
尚、調整部17が、S35において、例えば霧の密度だけでなく、環境調整器2を構成する空気調和装置が制御に用いる湿度等のパラメーターを更に所定量調整するようにしてもよい。または、調整部17が、S35において、例えば霧の密度を調整せずに、環境調整器2を構成する空気調和装置が制御に用いる湿度等のパラメーターのみを調整するようにしてもよい。
【0080】
また、例えば、S23で決定された第二画像が表す試験槽100(
図2)の内部に再現する対象の現場環境が、光が照射されている環境であるとする。この場合、調整部17は、S35において、光が照射されている環境を調整するのに必要な、環境調整器2を構成する光照射装置が制御に用いる光の照度を示すパラメーターを所定量調整する。
【0081】
尚、この場合も、調整部17が、S35において、例えば光の照度だけでなく、環境調整器2を構成する光照射装置とは異なる装置が制御に用いるパラメーターを更に所定量調整するようにしてもよい。または、調整部17が、S35において、例えば光の照度を調整せずに、前記異なる装置が制御に用いるパラメーターだけを所定量調整するようにしてもよい。
【0082】
そして、試験の終了指示が制御部10に入力されていない場合(S36;NO)、S32以降の処理が繰り返される。試験の終了指示が制御部10に入力された場合(S36;YES)、実行部16は、自動調整試験を終了する。
【0083】
一方、調整部17が、S33で生成された第二色スペクトラムとS31で取得された第一色スペクトラムとが一致すると判定したとする(S34;YES)。この場合、試験の終了指示が制御部10に入力されていないときは(S36;NO)、S32以降の処理が繰り返され、試験の終了指示が制御部10に入力された場合(S36;YES)、実行部16は、自動調整試験を終了する。
【0084】
上記実施形態の構成によれば、自動調整試験の実行指示が入力された場合、試験槽100(
図2)の内部の環境を調整するために必要なパラメーターを測定することなく、第二色スペクトラムによって表される試験槽100の内部の環境を、第一色スペクトラムによって表される、試験槽100(
図2)の内部に再現させる対象の現場環境と一致させることができる。これにより、環境センサー3によって測定することが困難なパラメーターの調整が必要な環境を、試験槽100の内部に再現することができる。
【0085】
また、上記実施形態の構成によれば、第二画像として決定された第一画像の背景色は、サンプル板SBa(
図3の(a))と同一色であり、第三画像の背景色は、サンプル板SB(
図2)と同一色である。つまり、第一画像の背景色と第三画像の背景色とが一致する。このため、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致するように、試験槽100の内部の環境を調整する場合に、背景色の分布を一致させるための調整に要する時間を短縮できる。これにより、試験槽100の内部に現場環境をより迅速に再現することができる。
【0086】
また、上記実施形態の構成によれば、試験槽100の内部の環境が、記憶部8に予め記憶されている一以上の画像データが表す第一画像の中から決定された第二画像に対応付けられた撮影情報が表す環境に調整された後、当該第二画像が表す現場環境に調整される。これにより、第二色スペクトラムが第一色スペクトラムと一致するように試験槽100の内部の環境を調整するよりも前に、試験槽100の内部の環境を何ら調整しない場合よりも、試験槽100の内部に当該第二画像が表す現場環境をより迅速に再現することができる。
【0087】
このため、記憶部8に予め記憶されている一以上の撮影情報と同じ一以上の撮影情報と、記憶部8に予め記憶されている一以上の画像データが表す一以上の第一画像と同じ一以上の第一画像と、を繰り返し利用して、迅速に、試験槽100の内部に同じ現場環境を繰り返し再現することができる。
【0088】
(変形実施形態)
尚、上記実施形態は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
【0089】
(1)カメラ4を、静止画のみ撮影可能なセンシングカメラ等によって構成してもよい。同様に、カメラ91を、静止画のみ撮影可能なセンシングカメラ等によって構成してもよい。
【0090】
(2)作業者が一の現場環境に出向いているときに、環境試験装置1において自動調整試験を実行するとする。この場合、S15(
図5)に代えて、情報処理装置93が、現場環境を識別するための環境IDと、S12(
図5)で検出された撮影情報と、S13(
図5)で抽出した第一画像を表す画像データと、S14(
図5)で生成した第一色スペクトラムを表す色スペクトラムデータと、を対応付けた現場環境情報を、環境試験装置1に送信するようにしてもよい。
【0091】
一方、環境試験装置1では、試験者が操作部7を用いて自動調整試験の実行指示を入力した場合に(S21;YES)、S22~S24(
図6)に代えて、決定部12が、インターフェイス部5によって受信された現場環境情報に含まれる画像データが表す第一画像を、第二画像として決定するようにしてもよい。そして、第三取得部14(
図1)が、当該受信された現場環境情報に含まれる撮影情報を環境情報として取得するようにしてもよい。
【0092】
これにより、情報処理装置93及び環境試験装置1が備える現場環境テーブルT1に、前記現場環境情報を記憶することなく、作業者が出向いている現場環境を、環境試験装置1が備える試験槽100(
図2)の内部に迅速に再現するようにしてもよい。
【0093】
(3)S12(
図4)を省略し、S15(
図4)において、撮影情報を現場環境テーブルT1(
図5)に記憶しないようにしてもよい。これに合わせて、S24及びS25(
図6)を省略してもよい。
【0094】
(4)作業者が、S11(
図4)において、カメラ91に、サンプル板SBaを含まない所定範囲の静止画又は動画を撮影させるようにしてもよい。そして、S13(
図4)を省略し、S14(
図4)において、情報処理装置93が、当該S11で撮影された静止画又は動画(第一画像)に含まれる色スペクトラムを第一色スペクトラムとして生成するようにしてもよい。
【0095】
これと同様に、S32(
図7)において、生成部15が、カメラ4にサンプル板SBとは他の領域を撮影させ、S33(
図7)において、当該他の領域を撮影した静止画又は動画(第三画像)に含まれる色スペクトラムを第二色スペクトラムとして生成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 環境試験装置
2 環境調整器
4 カメラ
8 記憶部(第一データベース、第二データベース)
11 第一取得部
12 決定部
13 第二取得部
14 第三取得部
15 生成部
17 調整部
100 試験槽
SB サンプル板と同一色のサンプル板
SBa サンプル板