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特許7000559デバイスの直線運動を提供する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】デバイスの直線運動を提供する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20210101AFI20220112BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20220112BHJP
   F16M 11/42 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G02B7/04 B
F16M11/42
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020508520
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 US2018026664
(87)【国際公開番号】W WO2019036069
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】15/679,522
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】フォーズ,スコット アール.
(72)【発明者】
【氏名】マクヴェイ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】バラッド,アンドリュー エル.
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-134589(JP,A)
【文献】特開昭64-000427(JP,A)
【文献】特開2005-003736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/04
F16M 11/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を有するフレームと、
前記フレーム内に位置し、前記フレームに対して可動であるフレクシャであり、前記フレーム及び前記フレクシャが一体構造の少なくとも一部分を形成する、前記フレクシャと、
対で配置された翼素であり、各対の一方の翼素が前記フレームへ結合され、各対の他方の翼素が前記フレクシャへ結合される、前記翼素
を有する複合フレクシャと、
前記軸に沿って延在し、前記フレクシャと係合するポストフレクシャと
前記フレームに対する前記フレクシャの動きを制限するよう構成される動作ロックと
を備え、
前記動作ロックは、
前記フレームに対する前記フレクシャの動きを制限するように前記フレクシャの内側と係合するよう構成されるシャフトと、
前記フレームに対する前記フレクシャの動きを可能にするように前記シャフトを移動させるよう構成されるアクチュエータと
を有し、
前記翼素は、(i)前記フレームに対する前記軸に沿った前記フレクシャの動きを可能にし、(ii)前記軸と垂直な他の軸に沿った前記フレクシャの動きを制限するよう構成される、装置。
【請求項2】
前記フレームは、第2アクチュエータの少なくとも一部分を受け入れるよう構成される第1開口部と、デバイスの少なくとも一部分を受け入れるよう構成される第2開口部とを有し、
前記フレクシャは、一方の側で前記第2アクチュエータと結合され、反対の側で前記デバイスと結合されるよう構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各翼素は、より厚い中心部と、より薄い非中心部とを有する、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
各対の前記翼素は、互いに略平行である、
請求項1乃至のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記軸に沿った前記ポストフレクシャの剛性は、前記軸に沿った前記複合フレクシャの剛性よりも大きく、
前記他の軸に沿った前記ポストフレクシャの剛性は、前記他の軸に沿った前記複合フレクシャの剛性よりも小さい、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記フレーム、前記フレクシャ、及び前記ポストフレクシャは、前記一体構造の少なくとも一部分を形成する、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
軸を有するフレームと、前記フレーム内に位置し、前記フレームに対して可動であるフレクシャであり、前記フレーム及び前記フレクシャが一体構造の少なくとも一部分を形成する、前記フレクシャと、対で配置された翼素であり、各対の一方の翼素が前記フレームへ結合され、各対の他方の翼素が前記フレクシャへ結合される、前記翼素とを有する複合フレクシャと、
前記軸に沿って延在し、前記フレクシャと係合するポストフレクシャと、
前記フレームに対する前記フレクシャの動きを制限するよう構成される動作ロックであり、前記フレームに対する前記フレクシャの動きを制限するように前記フレクシャの内側と係合するよう構成されるシャフトと、前記フレームに対する前記フレクシャの動きを可能にするように前記シャフトを移動させるよう構成されるアクチュエータとを有する前記動作ロックと、
前記フレクシャへ結合され、前記フレームに対して前記フレクシャとともに動くよう構成されるデバイスと、
前記フレクシャへ結合され、前記フレームに対して前記フレクシャ及び前記デバイスを動かすよう構成される第2アクチュエータと
を備え、
前記翼素は、(i)前記フレームに対する前記軸に沿った前記フレクシャの動きを可能にし、(ii)前記軸と垂直な他の軸に沿った前記フレクシャの動きを制限するよう構成される、システム。
【請求項8】
前記フレクシャ、前記デバイス、及び前記アクチュエータは、前記軸に沿って同軸である、
請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記フレームは、前記第2アクチュエータの少なくとも一部分を受け入れるよう構成される第1開口部と、前記デバイスの少なくとも一部分を受け入れるよう構成される第2開口部とを有し、
前記フレクシャは、一方の側で前記第2アクチュエータと結合され、反対の側で前記デバイスと結合されるよう構成される、
請求項に記載のシステム。
【請求項10】
各翼素は、より厚い中心部と、より薄い非中心部とを有する、
請求項乃至のうちいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
各対の前記翼素は、互いに略平行である、
請求項乃至10のうちいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記軸に沿った前記ポストフレクシャの剛性は、前記軸に沿った前記複合フレクシャの剛性よりも大きく、
前記他の軸に沿った前記ポストフレクシャの剛性は、前記他の軸に沿った前記複合フレクシャの剛性よりも小さい、
請求項に記載のシステム。
【請求項13】
フォーカスシステムのフレクシャ及びフレームを有し、前記フレクシャ及び前記フレームが同軸であり、前記フレクシャが前記フレーム内に位置して前記フレームに対して可能である単一一体構造を得ることと、
前記フォーカスシステムをイメージングシステムと同軸結合し、前記フォーカスシステムが前記イメージングシステムのポジションを調整するよう構成されることと、
前記フォーカスシステムから前記フレクシャ及び前記イメージングシステムへ力を伝えるよう構成される前記フォーカスシステムのポストフレクシャを、前記フレームの軸に沿って延在しかつ前記フレームと係合するよう前記フレクシャに対して配置することと
前記フレームに対する前記フレクシャの動きを制限するように動きロックのシャフトを挿入し、該シャフトが前記フレクシャの内側と係合することと、
前記フレームに対する前記フレクシャの動きを可能にするように前記シャフトを移動させるよう構成されたアクチュエータを前記シャフトへ結合することと
を有し、
前記単一一体構造を得ることは、対で翼素を配置し、各対の一方の翼素が前記フレームへ結合され、各対の他方の翼素が前記フレクシャへ結合されるようにすることを含み、
前記翼素は、(i)前記フレームに対する前記軸に沿った前記フレクシャの動きを可能にし、(ii)前記軸と垂直な他の軸に沿った前記フレクシャの動きを制限するよう、前記フレクシャと前記フレームとを結合する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、デバイスの動き制御に関係がある。特に、本開示は、デバイスの直線運動を提供する装置及び方法に関係がある。
【背景技術】
【0002】
デバイスの直線運動を提供する様々なメカニズムが知られており、例えば、光学器械の望まない動きを制限しながら光学器械の直線運動を提供するフォーカスメカニズムがある。例えば、いくつかの従来メカニズムは、デバイスの回転運動を低減又は防止しながらデバイスの直線運動を可能にするフレクシャベアリングを使用する。しかし、これらの従来技術には、しばしば、光学アライメントのずれ、所望の運動経路からの好ましくない逸脱の感受性、高度な設計複雑性、及び困難な組み立てプロセスのような多数の欠点がある。衛星用途の場合に、それらの従来技術は、打ち上げ中の高い負荷に対する脆弱性にも悩む。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、デバイスの直線運動を提供する装置及び方法を提供する。
【0004】
第1実施形態では、装置は、フレーム、フレクシャ(flexure)、及びポストフレクシャを備える複合フレクシャを含む。フレームは軸を有し、フレクシャはフレーム内に配置される。フレクシャはフレームに対して可動であり、フレーム及びフレクシャは一体構造の少なくとも一部分を形成する。ポストフレクシャは軸に沿って延在し、フレクシャと係合する。
【0005】
第2実施形態では、システムは、フレーム、フレクシャ、及びポストフレクシャを備える複合フレクシャを含む。フレームは軸を有し、フレクシャはフレーム内に配置される。フレクシャはフレームに対して可動であり、フレーム及びフレクシャは一体構造の少なくとも一部分を形成する。ポストフレクシャは軸に沿って延在し、フレクシャと係合する。システムは、フレクシャへ結合され、フレームに対してフレクシャとともに動くよう構成されるデバイスを更に含む。システムは、フレクシャへ結合され、フレームに対してフレクシャ及びデバイスを動かすよう構成されるアクチュエータを更に含む。
【0006】
第3実施形態では、方法は、複合フレクシャのフレームに対してフレクシャを動かすようにアクチュエータにより複合フレクシャ内でフレクシャのポジションを調整することを含む。方法は、フレクシャへ結合されているデバイスのポジションをフレームに対して調整することを更に含む。フレームは軸を有し、フレクシャはフレーム内に配置される。フレーム及びフレクシャは一体構造の少なくとも一部分を形成する。複合フレクシャのポストフレクシャは軸に沿って延在し、アクチュエータとデバイスとの間でフレクシャと係合する。
【0007】
他の技術的な特徴は、続く図面、明細書、特許請求の範囲から当業者に容易に明らかになる。
【0008】
本開示のより完全な理解のために、これより、添付の図面と併せて読まれる以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に従う光学式フォーカスメカニズムの第1の例を表す。
図2】本開示に従う光学式フォーカスメカニズムの第1の例を表す。
図3】本開示に従う光学式フォーカスメカニズムの第2の例を表す。
図4】本開示に従ってデバイスの直線運動を提供する複合フレクシャの例を表す。
図5】本開示に従ってデバイスの直線運動を提供する複合フレクシャの例を表す。
図6】本開示に従ってデバイスの直線運動を提供する複合フレクシャの例を表す。
図7】本開示に従ってデバイスの直線運動を提供する複合フレクシャの例を表す。
図8A】本開示に従って複合フレクシャが異なった負荷を受けるシミュレーション例を表す。
図8B】本開示に従って複合フレクシャが異なった負荷を受けるシミュレーション例を表す。
図9A】本開示に従って複合フレクシャが異なった共鳴振動を受けるシミュレーション例を表す。
図9B】本開示に従って複合フレクシャが異なった共鳴振動を受けるシミュレーション例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で説明される図1図9Bと、本明細書中で本開示の原理について記載するために使用される様々な実施形態とは、単に実例であって、決して本開示の範囲を制限するよう解釈されるべきではない。当業者であれば、本開示の原理が、如何なるタイプの適切に配置されたデバイス又はシステムでも実装され得ると理解するだろう。
【0011】
上記の通り、デバイスの直線運動を提供する様々なメカニズムには、様々な欠点が存在する可能性がある。これらの欠点は多数の要因による。例えば、直線運動を提供する従来メカニズムは、動的な振動環境内で高い負荷を引き起こす低い軸外(off-axis)剛性を有することがあり、そして、高い負荷は、機械的な性能劣化又は損傷を招く可能性がある。更に、複雑なアセンブリは、組み立てるのが難しいことがあり、接合のずれ及びアライメントの変動を起こしやすい。その上、構成要素は、直線的でない動きが起こることを許す場合があり、これは、所望の経路から外れるように光学部品又は他の部品を動かすことを引き起こす可能性がある。
【0012】
本開示によれば、それらの問題を低減又は排除しながら直線運動を提供するメカニズムが提供される。とりわけ、これらのメカニズムは、少ない部品点数、作動軸沿いの低い剛性、高い軸外剛性、及び極めて直線的な動きを用いる。メカニズムは、性能を改善し、複雑性を下げ、且つ拡張性のあるデバイスを提供する製造容易なひと続きのフレクシャを使用することができる。例えば、メカニズムは、様々な大きさの光学部品及び動作環境に対して容易に拡張縮小でき且つ調整可能である一体的なフレクシャを用いることができる。
【0013】
図1及び図2は、本開示に従う第1の例の光学式フォーカスメカニズム10を表す。図1及び図2に示されるように、光学式フォーカスメカニズム10は複合フレクシャ21を含む。これ例では、複合フレクシャ21は、フレーム23と、フレーム23内に位置するフレクシャ25とを含む。フレーム23は、フレクシャ25を含み、光学式フォーカスメカニズム10の他の部品へ結合され得る構造を概して表す。フレクシャ25は、複合フレクシャ21内でフレーム23に対して動くことができる構造を概して表す。
【0014】
複合フレクシャ21は、如何なる適切な材料からも形成され得る。例えば、複合フレクシャ21は、チタン、アルミニウム、スチール、プラスチック、及び複合材料のうちの少なくとも1つから形成されてよい。複合フレクシャ21はまた、如何なる適切な方法でも形成されてよく、例えば、より大きい材料片を(例えば、ワイヤ放電加工(EDM;Electrical Discharge Machining)により)機械加工することによって、又は付加製造(additive manufacturing)によって形成され得る。その上、複合フレクシャ21及びその構成要素は、如何なる適切なサイズ、形状、及び寸法も有してよい。この特定の例では、フレーム23は、他の構造体がフレクシャ25との接続のために通る開口を備えた中空ブロックを表し、フレクシャ25は、中空中心を有することができる。しかし、それらの構成要素23、25の夫々は、フレーム23及びフレクシャ25によって少なくとも部分的に形成される単一の一体構造を表す。このようにして実装される場合でさえ、フレクシャ25は依然として、フレーム23に対して少なくともいくらか可動である。
【0015】
デバイス31が複合フレクシャ21へ結合される。例えば、デバイス31の少なくとも部分がフレーム23の開口を通って、フレクシャ25の一方の側へ、例えば、ボルト又は他のコネクタを使用することによって結合され得る。フレクシャ25へ結合される場合に、フレーム23に対するフレクシャ25の動きは、フレーム23に対するデバイス31の動きを可能にする。デバイス31は、フレクシャ25へ結合され、フレーム23に対して動かされ得る如何なる適切なデバイスも表す。いくつかの実施形態では、デバイス31は、1以上のレンズ及び1以上のミラーのうちの少なくとも1つを含む器具のような、光学器械を表す。この例では、光学器械はミラーセル27及びミラー29を含み、ミラーセル27がフレクシャ25へ結合される。特定の実施形態では、ミラーセル27はチタンから形成されてよく、ミラー29は炭化ケイ素から形成されてよい。なお、如何なる他の光学又は非光学デバイスもデバイス31として使用されてよい点に留意されたい。
【0016】
アクチュエータ33も複合フレクシャ21へ結合される。例えば、アクチュエータ33の少なくとも部分が、デバイス31の反対側にあるフレーム23の開口を通って、フレクシャ25の反対の側へ、例えば、ボルト又は他のコネクタを使用することによって結合され得る。アクチュエータ33は、一般的に、フレーム23に対してフレクシャ25(及びフレクシャ25へ結合されているデバイス31)を動かすよう動作する。アクチュエータ33は、ステッピングモーター、サーボモーター、圧電モーター、ボイスコイル、手動調整されるファインピッチねじ、又は熱膨張形アクチュエータのような、フレクシャ25を動かすための如何なる適切な構造も含む。いくつかの実施形態では、デバイス31、アクチュエータ33、及びフレクシャ25は、共通の軸35に沿って同軸である。また、いくつかの実施形態では、フレクシャ25は、軸35に関して軸対称であることができる。なお、それらのいずれもが必ずしも必要でない点に留意されたい。
【0017】
アクチュエータ33は、フレクシャ25の内側にあるフレクシャ25の軸中心でフレクシャ25に力を加えるよう構成され得る。実施に応じて、光学式フォーカスメカニズム10は、中心ポスト又はポストフレクシャ39を更に含んでもよい。ポストフレクシャ39は軸35に沿って延在し、フレクシャ25と係合することができる。いくつかの実施形態では、ポストフレクシャ39は、部分的に又は完全にフレクシャ25を通って(且つ部分的又は完全にフレーム23を通って)延在することができる。いくつかの実施形態では、中心ポスト又はポストフレクシャ39は、単一の一体構造の部分としてフレーム23及びフレクシャ25と一体で形成され得る。これは、中心ポスト又はポストフレクシャ39がフレクシャ25の内側から途切れなく延在することを可能にする。実施に応じて、中心ポスト又はポストフレクシャ39の端部は、フレーム23内に置かれるか、又はフレーム23同一平面であるか、あるいは、フレーム23の外にあることができる。軸外の負荷は、複合フレクシャ21を曲げるようにアクチュエータから複合フレクシャ21へ伝えられ得る。たわみは、デバイス31の所望の運動経路からの好ましくない逸脱を引き起こす可能性がある。中心ポスト又はポストフレクシャ39は、アクチュエータ33が複合フレクシャ21の固定フレーム23に取り付けられる場合にアクチュエータ33から複合フレクシャ21へ伝わる負荷の軸外部分を低減するのを助ける。
【0018】
以下で更に詳細に記載されるように、複合フレクシャ21は、フレーム23とフレクシャ25との間に延在してそれらを結合する1以上の翼素(blade elements)を含むことができる。翼素は、軸35に沿ってフレーム23とフレクシャ25との間の追従をもたらし、これは、フレクシャ25が軸35に沿ってフレーム23に対して動くことを可能にする。翼素はまた、軸35と垂直な軸36及び38のような他の軸に沿ってフレーム23とフレクシャ25との間の剛性ももたらし、これは、軸外方向でのフレクシャ25の動きに抵抗するのを助ける。軸36及び38に沿った剛性は、デバイス31の好ましくない動きを防ぐのを助けることができる。
【0019】
図1及び図2には光学式フォーカスメカニズム10の第1の例が表されているが、図1及び図2に対して様々な変更が行われてよい。例えば、光学デバイス31とともに光学式フォーカスメカニズムにおいてここでは使用されているものとして記載されているが、複合フレクシャ21は如何なる他の適切なシステムでも使用されてよい。また、図1及び図2の構成要素のサイズ、形状、及び相対寸法は、単に実例のためである。
【0020】
図3は、本開示に従う第2の例の光学式フォーカスメカニズム20を表す。図3に示されるように、光学式フォーカスメカニズム20は、フレーム23及びフレクシャ25を備える複合フレクシャ21と、デバイス31と、アクチュエータ33とを含む。これらの構成要素は、図1及び図2の光学式フォーカスメカニズム10に関して上述された構成要素と同じか又は類似し得る。
【0021】
図3の光学式フォーカスメカニズム20は動作ロック41を更に含む。動作ロック41は、フレクシャ25がフレーム23に対して動くことを実質的に阻止することができる構造を表す。フレクシャ25がフレーム23に対して動くことを阻止する能力は、様々な用途で必要とされ又は望まれることがある。例えば、光学式フォーカスメカニズム20が、地球から宇宙に打ち上げられる衛星又は他のデバイスで使用される場合に、光学式フォーカスメカニズム20の打ち上げは、(動作ロック41によらなければ)フレクシャ25を過度に動かして、光学式フォーカスメカニズム20の複合フレクシャ21又は他の構成要素に損傷を与える可能性がある。動作ロック41は、これが起こることを防ぐのを助ける。所望の位置にあると、動作ロック41は、フレクシャ25がフレーム23に対して自由に動くことができるように取り外されるか又はロックを解除され得る。
【0022】
図3に示される例では、動作ロック41は、フレーム23に着脱可能に取り付けられるアクチュエータ43(例えば、リニアアクチュエータ、サーボモーター、又はパラフィンアクチュエータ)を備える内蔵発射ロックを含む。他のタイプのアクチュエータ43も使用可能である。シャフト45はアクチュエータ43から延在し、シャフト45は、選択的にフレクシャ25がフレーム23に対して動かないようにするようにフレクシャ25の内側と係合するよう構成される。動きの前及びその間、シャフト45は、フレクシャ25がフレーム23に対して動くことを阻止するロック位置にあることができる。後に、シャフト45は、通常動作のためにフレーム23に対するフレクシャ25の動きを可能にするように、アクチュエータ43によって軸方向に再配置され得る。シャフト45上のボールの実施形態は、図示されるように円筒スリーブとのボール・イン・ジョイント(ball-in-joint)において受け入れられ得る。シャフト45は、ロックを解放するようにアクチュエータ43によって横に動かされ得る。動作ロック41の他の実施形態も使用されてよい。
【0023】
図3には光学式フォーカスメカニズム20の第1の例が表されているが、図3に対して様々な変更が行われてよい。例えば、光学デバイス31とともに光学式フォーカスメカニズムにおいてここでは使用されているものとして記載されているが、複合フレクシャ21は如何なる他の適切なシステムでも使用されてよい。また、図3の構成要素のサイズ、形状、及び相対寸法は、単に実例のためである。更に、他のメカニズムが、フレクシャ25を所定の位置に係止し、フレーム23に対するその動きを低減又は阻止するために使用されてよい。
【0024】
図4図7は、本開示に従ってデバイスの直線運動を提供する複合フレクシャ21を例示する。説明を簡単にするために、図4図7に示される複合フレクシャ21は、図1及び図2の光学式フォーカスメカニズム10並びに図3の光学式フォーカスメカニズム20で使用されるものとして記載される。なお、複合フレクシャ21は、如何なる適切なデバイス又はシステムでも使用されてよい。
【0025】
図4図7に示されるように、ここでフレーム23は、フレーム23が他の構成要素へ結合されることを可能にする複数の開口49を含む。例えば、開口49は、デバイス31の少なくとも部分及びアクチュエータ33の少なくとも部分(いずれも図1図3に示されている。)がフレーム23を通ってフレクシャ25へ結合されることを可能にすることができる。この例では、開口49は概して長方形であり、それらの上辺及び底辺に沿って切り欠きを入れられている。なお、如何なる他の適切な形状も使用されてよい。
【0026】
フレーム23は、ボルト又は他のコネクタが通ることができる開口を備えた複数の突起50を更に含む。これは、フレーム23がより大きいデバイス又は構造に固定されるか又はその中にあることを可能にする。ここでは4つの突起50が示されており、フレーム23の一方の側に3つあり、フレーム23の反対の側に1つある点に留意されたい。しかし、フレーム23は、如何なる適切な配置でも突起50をいくつでも含んでよい。また、突起50自体及び突起50の開口は、如何なる適切なサイズ、形状、及び寸法も有してよい。
【0027】
フレクシャ25も、ボルト又は他のコネクタが通ることができる複数の開口52を含むことができる。これは、フレクシャ25が、例えば、後述されるポストフレクシャ39の実施形態のような他のデバイス又は構造に固定されるか又はその中にあることを可能にする。複数の開口52がフレクシャ25において示されているが、フレクシャ25は、如何なる適切な配置でも開口52をいくつでも含むことができる。また、開口52は、如何なる適切なサイズ、形状、及び寸法も有してよい。
【0028】
上記の通り、複合フレクシャ21は翼素51を更に含むことができる。翼素51はフレクシャ25とフレーム23との間に延在し、フレクシャ25をフレーム23へ結合する。翼素51は、フレクシャ25が軸35に沿ってフレーム23に対して動くことを可能にすることによって、フレーム23に対するフレクシャ25の追従をもたらす。翼素51はまた、軸35と垂直な他の軸(例えば、図1の軸36及び38)に沿ってフレーム23に対するフレクシャ25の剛性ももたらす。
【0029】
翼素51は、如何なる適切な材料からも、如何なる適切な方法でも形成されてよい。いくつかの実施形態では、翼素51は、単一の一体構造の部分としてフレーム23及びフレクシャ25と一体で形成され得る。翼素51はまた、如何なる適切なサイズ、形状、及び寸法も有してよい。いくつかの実施形態では、夫々の翼素51は、その長さに沿って可変な厚さを有することができる。例えば、翼素51の少なくとも1つは、その翼素51の非中心部分55よりも厚い中心部分53を有することができる。当然、夫々の翼素51は、如何なる他の適切な一様又は非一様な厚さを有してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、翼素51は、互いに略平行であることができる。なお、これは、そうである必要がない点に留意されたい。例えば、フレーム23がより大きいところの例では、フレクシャ25をフレーム23へ結合しながら直交配置された翼素51が存在してよい。また、いくつかの実施形態では、翼素51は、翼素51の対57で配置され得る。この例では、翼素51又は翼素51の対57は、フレーム23の長い方の壁に沿って延在するが、この構成は、単に実例のためである。その上、翼素51又は翼素51の対57は、ここでは軸35に沿って延在する1以上の壁59によって接続される。この配置では、翼素51の各対57は、フレーム23の内側の部分を少なくとも部分的に囲むか又は外接することができ、フレクシャ25の一部を少なくとも部分的に囲むか又は外接することができる。
【0031】
図4図7には、デバイスの直線運動を提供する複合フレクシャ21の一例が表されているが、図4図7に対して様々な変更が行われてよい。例えば、図4図7の構成要素のサイズ、形状、及び相対寸法は、単に実例のためである。
【0032】
図8A及び図8Bは、本開示に従って複合フレクシャ21が異なった負荷を受けるシミュレーション例を表す。図8Aにおいて、複合フレクシャ21は、y軸周りで回転負荷を受けているように表されている。図8Bにおいて、複合フレクシャ21は、x軸に沿ってラジアル荷重を受けているように表されている。
【0033】
いずれのタイプの荷重の下でも、ここで開示される複合フレクシャ21の実施形態は、従来の直線形フレクシャベアリングの剛性よりもはるか大きい剛性を有している。いくつかの実施形態で、複合フレクシャ21は、従来の直線形フレクシャベアリングのそれより少なくとも、例えば100倍大きい軸方向剛性を有することができる。複合物のバージョンは、従来の直線形フレクシャベアリングのそれよりも少なくとも、例えば20倍から40倍大きい半径方向剛性を有することができる。なお、複合フレクシャ21の他の実施形態は、軸方向、半径方向、又は回転方向のいずれかでより小さい又はより大きい剛性を有してもよい点に留意されたい。
【0034】
図9A及び図9Bは、本開示に従って複合フレクシャ21が異なった共鳴振動を受けるシミュレーション例を表す。図9Aにおいて、複合フレクシャ21は、143Hzの共鳴周波数(モード1)を受けている。図9Bにおいて、複合フレクシャ21は、585Hzの共鳴周波数(モード2)を受けている。
【0035】
いずれの場合にも、フレクシャ25がアクチュエータ33によってフレーム23に対して駆動される場合に、フレクシャ25は、実質的に傾斜又は軸外運動を経験することがない。いくつかの実施形態で、軸35(z軸)に沿って10ミルのストロークを受けたときにフレクシャ25が経験する可能性がある傾きは、図1の3つの軸35、36及び38のいずれかに関して1μRad満たない。また、いくつかの実施形態で、z軸に沿って10ミルのストロークを受けたときにフレクシャ25が経験する可能性がある平行移動は、x軸及びy軸に沿って0.1ミルに満たない。従って、このアプローチは、直線運動を受けているときにデバイスの望ましくない動きを著しく低減するのを助けることができる。
【0036】
中心ポスト又はポストフレクシャ39が使用される実施形態では、中心ポスト又はポストフレクシャ39は、軸上方向では(z軸とも呼ばれる軸35に沿って)複合フレクシャ21よりも硬く、全ての軸外方向では複合フレクシャ21よりも硬くない。特定の実施形態では、中心ポスト又はポストフレクシャ39は、軸上方向で複合フレクシャ21よりも30から100倍硬く、一方、複合フレクシャ21は、軸外方向で中心ポスト又はポストフレクシャ39よりも1千から10万倍硬い。他の特定の実施形態では、中心ポスト又はポストフレクシャ39は、軸上方向で複合フレクシャ21よりも50から70倍硬く、一方、複合フレクシャ21は、軸外方向で中心ポスト又はポストフレクシャ39よりも5千から9万倍硬い。当然、これらの値は、フレクシャ25及び中心ポスト又はポストフレクシャ39の具体的設計に基づき、他の値は、フレクシャ25及び中心ポスト又はポストフレクシャ39の設計を変えることによって得られる。
【0037】
図8A図9Bには、複合フレクシャ21に関わる動作のシミュレーション例を表されているが、図8A図9Bに対して様々な変更が行われてよい。例えば、これらのシミュレーション例は、単に、複合フレクシャ21の特定の実施形態が如何にして作動する可能性があるかを実証するために与えられている。複合フレクシャ21の他の実施形態は、如何なる他の適切な方法でも作動することができる。
【0038】
本特許文献にわたって使用される特定の語及び語句の定義を示すことが有理であり得る。語「含む」(include)及び「有する」(comprise)並びにそれらの派生語は、「制限なしの包含」(inclusion without limitation)を意味する。語「又は」(or)は包括的であって、「及び/又は」(and/or)を意味する。語句「~と関連する」(associated with)及びその派生語は、「~を含む」(include)、「~に含まれる」(be included within)、「~と相互接続する」(interconnect with)、「~を含む」(contain)、「~に含まれる」(be contained within)、「~へ/と接続する」(connect to/with)、「~へ/と結合する」(couple to/with)、「~と連通可能である」(be communicable with)、「~と協働する」(cooperate with)、「~をインターリーブする」(interleave)、「~を並べる」(juxtapose)、「~に近い」(be proximate to)、「~へ/と結び付けられる」(be bound to/with)、「~を有している」(have)、「~の特性を備える」(have a property of)、「~に/と関係がある」(have relationship to/with)、などを意味し得る。語句「~のうちの少なくとも1つ」は、項目のリストともに使用されるときに、リストアップされている項目のうちの1以上の種々の組み合わせが使用される可能性があり、且つ、リスト内のただ1つの項目が必要とされる可能性があることを意味する。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」は、次の組み合わせ:A、B、C、AとB、AとC、BとC、及びAとBとCのいずれかを含む。
【0039】
本願の記載は、如何なる特定の要素、ステップ、又は機能も請求の範囲に含まれなければならない必須の又は重要な要素であることを暗示するものとして呼ばれるべきではない。特許される対象の範囲は、許可される請求項によってのみ定義される。更に、どの請求項も、機能を特定する特定の語句の後で「~する手段」(means for)又は「~するステップ」(step for)との厳密な語が特定の請求項で明示的に使用されない限り、添付の特許請求の範囲及び請求項要素のいずれかに関しても35 U.S.C 第112(f)条を行使する。請求項内での、例えば(しかし制限なしに)、「メカニズム」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「マシン」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」のような語の使用は、特許請求の範囲自体の特徴によって更に変更又は拡張されるように、当業者に知られている構造を指すものと理解及び解釈され、35 U.S.C 第112(f)条を行使することは意図されない。
【0040】
本開示は、特定の実施形態及び一般に関連する方法について記載してきたが、これらの実施形態及び方法の変更及び置換は、当業者に明らかである。然るに、例となる実施形態の上記の説明は、本開示を定義又は制約しない。他の変形、置換及び変更も、続く特許請求の範囲によって定義されるように、本開示の趣旨及び適用範囲から逸脱することなしに可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B