(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ローラーシステムの粉砕ラインの自動最適化及び制御のためのインテリジェントな自己適応型制御装置、及び対応する方法
(51)【国際特許分類】
B02C 25/00 20060101AFI20220112BHJP
B02C 4/06 20060101ALI20220112BHJP
B02C 4/28 20060101ALI20220112BHJP
A47J 42/36 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B02C25/00 A
B02C4/06 Z
B02C4/28 Z
A47J42/36
(21)【出願番号】P 2020528339
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(86)【国際出願番号】 EP2018082448
(87)【国際公開番号】W WO2019101968
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-07-09
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517338205
【氏名又は名称】ビューラー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グレバー,マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】ハイニガー,クリスティアン
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-086534(JP,A)
【文献】特表2017-531264(JP,A)
【文献】特開平02-122848(JP,A)
【文献】特開平09-000958(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04444794(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00- 7/18
B02C 15/00-17/24
B02C 25/00
G05B 19/418
G05B 23/02
A47J 42/32-42/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御装置(4)のための自己適応型調整及び制御方法であって、粉砕ラインには、複数の処理ユニット(2(B)/3(C))が含まれ、運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)に基づいて、各処理ユニットは、調整及び制御装置(4)によって個別に制御でき且つそれらの動作を個別に調整でき、運転プロセス・レシピ(41/411)によって、前記処理ユニット(2(B)/3(C))における規定された処理シーケンスによるバッチ制御を調整でき、前記運転プロセス・レシピ(411)によって規定された量の最終製品(6)を1つ又は複数の投入材料(5)から製造でき、前記処理ユニット(21,・・・,23、31,・・・,33)は、前記運転プロセス・レシピ(41)に割り当てられた特定のバッチ処理運転パラメータ(4111,・・・,411x)に基づいて制御され、
前記調整及び制御装置(4)は、多次元バッチパラメータパターン(4121,・・・,412x)を含む運転プロセス・レシピ(411)を検出するためのパターン認識モジュールを含み、運転プロセス・レシピ(411)は、保存した少なくとも1つ又は複数の入力製品パラメータ(51)及び/又は最終製品パラメータ(61)、前記粉砕ラインの前記処理ユニット(2/3)内の粉砕処理の規定されたシーケンス、及び前記粉砕ラインの各処理ユニット(21,・・・,23/31,・・・,33)に割り当てられた運転プロセス・パラメータ(4121,・・・,412x)を含み、
前記調整及び制御装置(4)は、履歴バッチ処理パラメータ(4311,・・・,431x)を含む履歴運転プロセス・レシピ(431)を保存するためのストレージ装置(43)を含み、運転プロセス・レシピ(431)の前記履歴バッチ処理パラメータ(4311,・・・,431x)は、それぞれ、標準的な範囲で最適化されたバッチ処理の典型的なプロセスの多次元バッチ処理パラメータパターン(4321,・・・,432x)を規定し、
新しい運転プロセス・レシピ(41)の最終製品パラメータ(61)及び/又は入力製品パラメータ(51)を入力すると、最も近いバッチ処理パラメータパターン(432i)が、新しいバッチパラメータパターン(4121,・・・,412x)として前記割り当てられた多次元バッチパラメータパターン(4321,・・・,432x)に基づいて、保存した1つ又は複数の前記履歴運転プロセス・レシピ(431)の前記パターン認識モジュール(42)のパターン認識によっ
て選択され、
前記調整及び制御装置(4)によって、前記
選択された最も近いバッチ処理パラメータパターン(432i)に基づいて、前記入力された新しい運転プロセス・レシピ(41)のための新しい運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)が生成され、前記処理ユニットは、前記割り当てられた新しい運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)を含む前記生成された運転プロセス・レシピ(41)に基づいて、前記調整及び制御装置(4)によって対応して制御及び調整され、
前記新しい運転プロセス・レシピ(41)の前記粉砕処理中に、前記調整及び制御装置(4)によって、前記運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)を継続的に監視でき、前記新しい運転プロセス・レシピ(41)の指定された前記運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)からの監視対象の前記運転プロセス・パラメータの規定された偏差として異常を検出すると、警告信号が警報ユニットに送信される、
ミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項2】
前記運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)は、前記ミル設備(1)の1つ又は複数のローラーミルの電流及び/又は電力取込量、及び/又は収率、及び/又はスループット/機械稼働時間に関する少なくとも測定パラメータを含む、請求項1に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のローラーミル(21,・・・,23/31,・・・,33)は、少なくとも溝付きローラー(B通路/21,・・・,23)及び/又は平滑ローラー(C通路/31,・・・,33)で構成される、請求項2に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項4】
前記運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)は、前記ミル設備(1)の全てのローラーミルの前記電流及び/又は電力取込量に関する少なくとも測定パラメータを含む、請求項2又は3に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項5】
前記最終製品(6)の規定された品質パラメータと、入力製品(5)の関数としての特定の小麦粉の収率とは、前記標準的な範囲で最適化されたバッチ処理の前記典型的なプロセスの運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)によって決定できる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項6】
前記規定された品質パラメータ(61)は、少なくとも粒度分布(611)及び/又はデンプン損傷(612)及び/又はタンパク質品質(613)及び/又は含水量(614)を含む、請求項5に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項7】
前記監視対象の運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)は、少なくとも収率(62)及び/又はエネルギー取込量/消費量及び/又はスループット/機械稼働時間を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項8】
粉砕処理中に、異常が検出された場合に、前記監視対象の運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)の継続的で長期的な変化が、前記調整及び制御装置(4)によって検出され、前記新しい運転プロセス・レシピ(41)の前記生成された運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)からの前記監視対象の運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)の規定された偏差は、継続的に測定された前記長期的な変化の関数として決定される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項9】
複数の調整及び制御装置(4)の前記監視対象の運転プロセス・パラメータ(411,・・・,411x)が、ネットワークを介して中央監視ユニットに送信され、前記複数の調整及び制御装置(4)は、集中的に監視及び調整される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項10】
前記新しい運転プロセス・レシピ(41)の前記生成された運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)からの前記監視対象の運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)の規定された偏差は、規定可能なx
2標準偏差内の自然変動の関数として決定される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のミル設備(1)の自己最適化制御及び該ミル設備(1)のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のための調整及び制御方法。
【請求項11】
ミル設備(1)又はローラーシステムの粉砕ラインの自動制御及び自己最適化のための自己適応型調整及び制御装置(4)であって、前記粉砕ラインには複数の処理ユニット(2(B)/3(C))が含まれ、各処理ユニットは、運転プロセス・パラメータ(41)に基づいて、当該調整及び制御装置(4)によって個別に制御でき及びそれぞれの動作を個別に調整でき、バッチ制御によって、処理ユニット(2(B)/3(C))の規定されたシーケンスに従って1つ又は複数の入力製品(5)から生産できる規定された量の最終製品(6)は、特定の割り当てられた運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)に基づいており、
当該調整及び制御装置(4)は、多次元バッチパラメータパターン(4121,・・・,412x)を含む運転プロセス・レシピ(41)を検出するためのパターン認識モジュールを含み、運転プロセス・レシピ(41)は、保存した少なくとも1つ又は複数の入力製品パラメータ(51)及び/又は最終製品パラメータ(61)、前記粉砕ラインの前記処理ユニット(2/3)内の粉砕処理の規定されたシーケンス、及び前記粉砕ラインの各処理ユニット(21,・・・,23/31,・・・,33)に割り当てられた運転プロセス・パラメータ(4121,・・・,412x)を含み、
当該調整及び制御装置(4)は、履歴バッチ処理パラメータ(4311,・・・,431x)を含む履歴運転プロセス・レシピ(431)を保存するためのストレージ装置(43)を含み、運転プロセス・レシピ(41)の前記履歴運転プロセス・パラメータ(4311,・・・,431x)は、それぞれ、標準的な範囲で最適化されたバッチ処理の典型的なプロセスの多次元バッチ処理パラメータパターン(4321,・・・,432x)を規定し、
新しい運転プロセス・レシピ(41)の最終製品パラメータ(61)及び/又は入力製品パラメータ(51)を入力すると、最も近いバッチ処理パラメータパターン(432i)が、新しいバッチパラメータパターン(4121,・・・,412x)として前記割り当てられた多次元バッチパラメータパターン(4321,・・・,432x)に基づいて、1つ又は複数の前記保存した履歴運転プロセス・レシピ(431)の前記パターン認識モジュールのパターン認識によって選
択でき、
前記
選択された最も近いバッチパラメータパターン(432i)に基づいて当該調整及び制御装置(4)によって、前記入力された新しい運転プロセス・レシピ(41)の新しい運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)を決定でき、該決定した運転プロセス・レシピ(41)及び前記運転プロセス・パラメータ(432i)に基づく前記処理ユニット(2/3)は、当該調整及び制御装置(4)によって対応して制御及び調整され、
前記粉砕処理中に、前記運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)は、当該調整及び制御装置によって継続的に監視でき、前記新しい運転プロセス・レシピ(41)の前記決定された前記運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)からの監視対象の前記運転プロセス・パラメータ(4111,・・・,411x)の規定された偏差として異常を検出すると、警告信号が警報ユニットに送信される、
ミル設備(1)又はローラーシステムの粉砕ラインの自動制御及び自己最適化のための自己適応型調整及び制御装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕及びローラーシステム、特にローラーミルを有するミル設備だけでなく、一般にミルシステム及び粉砕設備の自動調整及び制御のためのインテリジェントな自己適応型調整及び制御装置に関する。本発明は、特に穀物ミルの調整装置及び穀物の加工及び粉砕のための他の設備、特に穀物の粉砕、輸送、分別、及び調整のための設備、並びにそのような設備の自己最適化制御及び監視のための調整及び制御方法、及び調整装置に関する。本発明による装置の可能な用途は、リアルタイム又は準リアルタイムの測定、及びローラー温度、ローラーギャップ、ローラー回転速度、ローラー押圧力、及び/又は1つ又は様々なローラー駆動部のエネルギー取込量等の運転パラメータの監視、及び/又はプロセス監視(測定、監視)を目的とした、製粉設備での製品の準備及び加工中の材料又は品質パラメータのリアルタイム又は準リアルタイム測定、及び設備又はプロセスの制御及び/又は調整(例えば、含水量、タンパク質含有量、デンプン損傷、粉の灰分(ミネラル)(又は粉砕中間製品)、残留デンプン含有量、粉砕の細かさ等)を伴う粉砕及びローラーシステムにも関する。しかしながら、上述したように、本発明は、一般に、ミルシステム、例えばボールミル又はいわゆる半自生粉砕ミル(SAG)(鉱石又はセメント等の粗い粉砕材料を粉砕するのに適している)にも関する。このようなミルでも、ミルドラムの回転速度、ミルドラムのエネルギー取込量、(粗い)粒状出発材料/投入材料の供給、鉱石ミル内での水の供給、及び/又は出口に存在する粉砕された材料の排出速度等の様々な設定又は基準変数を調整することにより、スループット及び製品品質パラメータが制御される。これらのミルでも、粉砕された材料の粒度分布は重要な品質の特徴である。特に、浮選等、ミルシステムの下流にある更なる構成要素の収率に影響を与える可能性がある。可能な限り最高のスループットは、高い製品品質及び低いエネルギー消費及び材料要件、つまりコストで達成される。
【0002】
こうして、本発明は、好ましい用途において、ローラーシステム、ローラー又はローラー対を含む製品加工設備及び粉砕設備、並びにそのような粉砕及びローラーシステム又は製品加工設備の最適化された運転のための対応する方法に関する。特に、上記の設備は、(i)製粉プラント、(ii)製パン業のための小麦粉の準備、(iii)特殊製粉のための設備、(iv)家畜及び飼育動物の高品質の飼料製造のための生産設備、(v)魚及び甲殻類の飼料製造のための特別設備、(vi)有効成分混合物の製造のための予備混合及び濃縮設備、(vii)油料種子からの油生産、(viii)抽出ミール(meals)及び白いフレーク(white flake)の処理、(ix)バイオマスの処理及びエネルギーペレットの製造のための高レベル設備、(x)エタノール生産のための設備、(xi)完全な米加工設備、(xii)食品、種子、及び合成材料のための分別設備、(xiii)穀物及び大豆のハンドリング、(xiv)穀物、油料種子、及び派生物の貯蔵から出荷までの船、トラック及び列車の積み降ろしのための設備、(xv)垂直に延びる鋼鉄及びコンクリートサイロ及び平らなストレージのためのサイロ設備、(xvi)機械式及び空気式のシップアンローダ(ship unloader)及びシップローダ(ship loader)、(xvii)運搬設備、(xviii)工業用麦芽破砕設備、(xix)カカオ豆、ナッツ、及びコーヒー豆の加工のための機械及び機器、(xx)チョコレート、フィラー、及びコーティングを製造するための機械及び設備、(xxi)チョコレート製品を成形するための機械及び設備、(xxii)長い商品、乾燥した商品、麺、ラザニア、クスクス及び特別なペースト製品の製造ための生産ラインの全体的なコンセプト、(xxiii)朝食用シリアル、食物及び飼料材料、ペットフード、水生物飼料、及び医薬品の押し出し(調理及び成形)のためのシステム及び設備、(xxiv)塗料、ワニス、及び分散液の製造のための設備、(xxv)湿式粉砕技術の完全なソリューションの計画と、化粧品、エレクトロニクス、化学産業向けの印刷インキ、コーティング、及び粒子分散液の製造のための機械及び処理機器の製造、(xxvi)ポリマー(PET)の熱処理、(xxvii)PETボトルの製造のための設備、(xxviii)PET及び他のプラスチックの処理のためのSSP及び調整設備、(xxix)ボトルからボトルへのリサイクルのための設備、(xxx)直ぐに使用できるナノ粒子分散液の製造、(xxxi)液相のナノ粒子のターンキー(turnkey)処理プロセス、(xxxii)乾燥及び更なる熱プロセスのための工業用ソリューション、(xxxiii)小麦ふすま、米の栄養強化等からの糊粉(aleurone)の分離及び特徴付けの完全な設備に関連する。
【背景技術】
【0003】
製粉、特に穀物製粉は、芸術とも呼ばれる。プロセスのダイナミクスを決定する様々な要因の影響がよく知られている他の産業分野、従って関連するプロセスを適切な方程式及び式を使用して容易にパラメータ化できる又は関連する機器及び装置がそれに応じて単純に制御及び調整される他の産業分野とは異なり、粉砕の品質及び加工された最終製品の収率にも影響を与える関連要素の数は、粉砕産業では非常に多くなる。従って、人間の専門家としての製粉業者は、最終製品の期待される品質及び収率(例えば、灰分、収率、ベーキング品質等)に関して可能な限り最良の結果を得るために、直感及びノウハウに基づいた出発材料/原料の分析に続いて、粉砕又はミル設備全体を手動で調整及び設定する必要がある。コスト、つまり特にエネルギー効率を最小限に抑えながら、これら全てを実現する。出発材料、例えば粉砕される小麦又は穀物の粉砕特性は、粉砕処理の基本であることにも留意されたい。粉砕設備は、典型的に、製粉担当者(head miller)によって調整する必要があるため、製粉担当者も、生産された小麦粉の特性に決定的な影響を及ぼし、その特性を制御する。これは、特定のタンパク質範囲等の特定の穀物属性に影響を与えるために、市場クラスと小麦の生産地又は地域との両方を参照し得る小麦クラスの選択から始まる。製粉業者は、粉砕設備に追加される小麦のブレンド/製粉用穀物も制御する。製粉業者は、ミルフロー(mill flow)、ローラー速度、速度差、溝付きローラーの分布(例えば、溝山から溝山まで)、及び平滑ローラーの場合は、ローラー圧力を測定することもできる。製粉業者には、ふるい分けとクリーニングと組み合わせた追加の調整オプションがあり、最終的に、製造された最終粉を混合するための粉砕の現在の選択にオプションがある。これら全てのパラメータ及び調整オプションは、特定の品質の小麦粉を一貫して生産するために、製粉業者によって使用される。
【0004】
説明した例に示されるように、特に例えば穀物の製粉等で使用される粉砕ローラーは、永続的な監視が必要である。生産の最適化及び最終製品の特性の他に、例えば、いわゆるドライラン、調整管理の揺れ、他の運転上の異常が発生することもある。異常な状態が長く続くと、例えば、粉砕ローラーの温度が危険な範囲に上昇し、火災又はローラーへの損傷を引き起こす可能性がある。もっとも、運転の異常は、設備の最適な動作、特に品質、収率、又はエネルギー消費に様々な方法で影響を与える可能性がある。多くの分野で粉砕設備は少なくとも部分的に自動化されているが、自動制御及び最適な動作に関連する現在のシステムは自動化が困難である。従って、従来技術のミルシステムは、経験的な体験に応じて、依然として操作担当者が手動で設定することが多い。動作の自動制御又は調整は、多くの場合、例えばPLC制御及びグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を有する接続入力装置を介した、信号の送信及び制御コマンドの送信に制限される。PLCは、機械又は設備を制御又は調整する装置として使用でき、且つデジタルベースでプログラムできるプログラマブル論理制御装置を指す。供給される材料の品質が変化した場合に、良好な製品品質で高スループットを再び達成できるようになるまでには、典型的に、ある程度の時間がかかる。さらに、オペレータは、例えば、下流の構成要素のうちの1つでの収率の低下に起因する間接的な品質管理しか有していないことがよくある。これは、ミルシステムの適切な設定、又は例えば、粉砕処理で異常が発生した場合のタイムリーな介入も複雑にする。もっとも、粉砕ローラーシステムの調整及び制御に1人のオペレータ(製粉担当者)がいる場合に、そのような制御を全て「手動」で実行できるようにするには、製造プロセス全体の完全な制御が絶対に必要である。制御の結果は、オペレータ、つまり監督する製粉担当者のそれぞれの技術スキル及び経験に大きく依存する。資格のない担当者が例えば特別な時間(休日、夜間作業等)に操作に従事している場合に、これは、例えば軽粉(light flour)等の収率の低下により、ミルの結果が低下する可能性がある。製粉担当者をプロセッサベースの調整装置で置き換える試み、製粉担当者の複雑な知識及び経験は、(特に独立した自己完結型の機能調整セットアップ(定期的な人間の介入なしで機能する)によってではなく、)ルール制御装置によって単純に自動化できない。
【0005】
粉砕及び縮小(reduction:体積縮小)システムに関する限り、先行技術では様々な粉砕及び縮小システムが知られている。ローラーミルは、穀物及び穀物製粉のための断然最も重要な粉砕装置である。加工されるトウモロコシ、普通小麦、デュラム小麦、ライ麦、大麦、又は麦芽のいずれであろうと、ローラーミルは、通常、あらゆる種類の穀物の最も理想的な加工を提供する。穀物製粉で使用されるプロセスは、段階的な粉砕である。小麦粉の芯(胚乳)は、鋼製の複数の溝付き又は平滑ローラー対を通過させることにより、段階的に破砕される。その芯は、分離器においてふるいでふすまから分離され、ふるいで種子に分離される。ローラーミルのローラー対の場合に、典型的に、一方のローラーは他方のローラーよりも速く回転する。2つのローラーの反対向きの回転により、材料はローラーギャップ内に引き込まれる。溝の形状、深さ、及び渦と回転速度の差とにより、各ステップでの粉砕の強度が決定される。衝撃式ミルも知られている。衝撃式ミルは、例えば、製粉所(穀物及び粉砕の副産物)、動物飼料工場(動物飼料、豆類)、醸造所(マッシュろ過のための微粉製造)、オイルミル(抽出ミール及び破砕したオイルケーキ)、又はさらにパスタ工場(パスタ廃棄物)で幅広い複数の製品を粉砕するのに適している。製品は、予備のコンテナから衝撃式ミル又はハンマー式ミルに供給され、打解ローターによって捕捉される。粒子は、ローターを取り囲むふるいシェルの開口部を通過できるようになるまで粉砕される。最後に、フレーキング(flaking:剥離)設備も知られており、フレーキングミルは、対応する蒸気処理装置と一緒に芯を形成する。フレーキング材料は、フレーキングミルに到達する前に、上流の蒸気処理装置で熱水処理される。この設備は、パール大麦(全粒、きれいにして皮をむいたオート麦の穀粒)だけでなく、割り(groats)(オート麦の穀粒の切断)、トウモロコシ、普通小麦、大麦、ソバ、米の加工に適している。穀物及び同様の製品からの小麦粉及びセモリナの生産における特定の問題及び要件のために、独立したタイプのローラーミル、いわゆるミリングローラーミルが開発され、このローラーミルには、岩の粉砕技術、野菜の原料からのフレークの製造等とは対照的に、非常にユニークな粉砕技術が含まれている。
【0006】
製粉の特定の特性に関係なく、先行技術(例えば、DE-OS 27 30 166を参照)で議論されている全ての粉砕システムにおいて、理想的な粉砕条件を満たすことができない破壊的影響があり、常にあり得ることが知られている。これらの破壊的な影響には、とりわけ、不均一なローラー温度、一対のローラーのばね特性の変化、粉砕ギャップ又は粉砕圧力の変更等が含まれる。本発明は、特に、穀物を粉砕するための記載される粉砕システム及び影響を与えるプロセス要素(粉砕材料及び設備要素)と、これらに割り当てることができる製粉設備の運転プロセス・パラメータとの安定した適応制御及び調整のための制御及び調整装置(破壊的な影響又は他の動作上の異常をタイムリーに検出する)に関する。複数の少なくとも部分的に相互依存する、すなわち相関する複数のパラメータを考慮に入れなければならないので(例えば、EP0013023B1、DE2730166A1)、そのような制御及び調整システムの提供及び自動化は複雑であることが知られている。粉砕装置の動作は、穀物の種類又は穀物の混合及び生育地域の選択、収穫時間、所望の品質基準、個々の種類の穀物比重及び/又は水分又は穀物の混合比率、気温、相対空気湿度、ミルシステムで使用される設備要素の技術データ及び/又は指定されたプロセス変数及び距離の選択としての所望の小麦粉の品質、粉砕圧力、粉砕ローラーのモーターの温度及び/又は電力取込量、達成した粉砕材料の流量及び/又は含水量、及び/又は混合比率に関する小麦粉の品質等の複数のパラメータの影響を受け、これは、製粉設備における粉砕処理の十分に差別化された制御を複雑にする。ミルの動作に大きな影響を与えるためには、これらのプロセス変数及び運転プロセス・パラメータのいくつかが許容範囲を超えていれば十分なことがよくある。設備を自動化するためのあらゆる努力にもかかわらず、プロセスのこの複雑さのおかげで、製粉担当者は、「人間の専門家」として、入力信号変数に割り当てられた制御信号の変更が望ましいかどうかを判断する必要があるため、依然として存在している。製粉担当者は常にターゲット変数を考慮に入れる。前述した入力信号変数と制御信号変数との間の最適な割り当てを見つけた場合に、この割り当ては、典型的に、対応するメモリ割り当て及び製粉設備内のアドレス指定によって保証される。
【0007】
従来技術文献WO9741956A1は、複数の粉砕ユニットを有するミルにおける粉砕処理の自動制御のための方法を開示している。サンプルが、粉砕ユニットの出口でふるいにかけられる。サンプルにおいて、保持された粉砕材に対するスループットのパーセンテージが予め規定された標準値と比較される。偏差が測定される場合に、当該粉砕ユニットの粉砕ローラー対の粉砕ローラー同士の間のギャップは、その偏差に従って調整される。従来技術のDE2413956A1は、粉砕ユニットを使用して穀物を小麦粉に粉砕し、続いてふるい分けする方法にも関する。知られているように、穀物を粉砕するとき、粉砕材料は、複数の連続したローラーミルを通過する。新しい材料が、ふるいにかけられ、必要なサイズに粉砕された材料を分離する一方、残りの材料が、後続の互いに後ろに配置されている粉砕ユニットに送られる。粉砕ユニットは監視ユニットによって監視される。粉砕ユニットの挙動は、粉砕処理中の予め規定されたスキームに基づいて制御されるため、予め規定されたスキームと一致する。最後に、JPH06114282Aは、設備内の一定の粒度分布を維持することを目的として、粉砕設備内の粒度分布を監視する方法を示している。この方法では、所望の粒度分布を得るために、送出速度、粉砕ローラー同士の間の距離、及びローラーのばね圧力が監視される。この方法は、望ましい粒度分布からの粒度分布の逸脱が検出された場合に、粉砕設備の調整を適合させる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術から知られている欠点及び技術的問題を解決することである。特に、ローラーシステムの粉砕ラインの自動最適化及び制御のためのインテリジェントな自己適応型制御/調整装置が提供され、これにより、粉砕及び/又は破砕を最適化及び自動化でき、ミルの動作上のセキュリティを高めると同時に、動作を最適化するか、又は発生した異常に対して自動的に反応する。制御/調整装置は、生産の長期的な傾向を特定し、動作の異常を検出できる必要がある。この制御/調整装置は、重要な生産パラメータ、特に収率、エネルギー、スループット/機械稼働時間の簡素な自動監視及び検出を可能にし、関連パラメータの最適化による動作の自動適応を可能にし、或いは異常又は変則イベントにおける動作の自動適応を可能にすることを目的としている。最後に、この方法では、初期設定中にミルシステムを素早く自動化された安定した設定ができるようにする必要がある。
【0009】
本発明によれば、これらの目的は、特に、独立請求項の特徴部の要素によって達成される。更なる有利な実施形態は、従属請求項、図面及び説明からも明らかになる。
【0010】
特に、これらの目的は、ミル設備の自己最適化制御及び/又はミル設備のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御のためのインテリジェントな自己適応型調整及び制御装置に関する本発明により、達成される。粉砕ラインには、溝付き及び/又は平滑(smooth)ローラー及び/又はふるい等の複数の処理ユニットが含まれ、運転プロセス・パラメータに基づいて、各処理ユニットは、調整及び制御装置によって個別に制御でき且つそれらの動作を個別に調整でき、運転プロセス・レシピによって、処理ユニットにおける規定された処理シーケンスによるバッチ制御を調整でき、運転プロセス・レシピによって、規定された量の最終製品を1つ又は複数の出発材料から製造でき、処理ユニットは、運転プロセス・レシピに割り当てられた特定のバッチ処理運転パラメータに基づいて制御される。
調整及び制御装置は、多次元バッチパラメータパターンを含む運転プロセス・レシピを検出するためのパターン認識モジュールを含み、運転プロセス・レシピは、保存した少なくとも1つ又は複数の出発製品、粉砕ラインの処理ユニット内の粉砕処理の規定されたシーケンス、及び粉砕ラインのそれぞれの処理ユニットに割り当てられたバッチ処理運転パラメータを含む。
調整及び制御装置は、履歴バッチ処理パラメータを含む履歴運転プロセス・レシピを保存するためのストレージ装置を含み、プロセス・レシピの履歴バッチ処理パラメータは、それぞれ、標準的な範囲で最適化されたバッチ処理の典型的なプロセスの多次元バッチ処理パラメータパターンを規定する。
新しい運転プロセス・レシピの最終製品パラメータ及び/又は入力製品パラメータを入力すると、最も近いバッチ処理パラメータパターンが、新しいバッチパラメータパターンとして割り当てられた多次元バッチパラメータパターンに基づいて、保存されている1つ又は複数の履歴運転プロセス・レシピのパターン認識モジュールのパターン認識によってトリガー又は選択される。
調整及び制御装置によって、トリガーされた最も近いバッチ処理パラメータパターンに基づいて、入力された新しい運転プロセス・レシピの新しいバッチ処理パラメータを含む新しいバッチ処理パラメータパターンが生成され、処理ユニットは、割り当てられたバッチ処理パラメータを含む生成された運転プロセス・レシピに基づいて、制御及び調整装置によって対応して制御及び調整される。
新しい運転プロセス・レシピの粉砕処理中に、調整及び制御装置によって、運転プロセス・パラメータを継続的に監視でき、新しい運転プロセス・レシピの指定された運転プロセス・パラメータからの監視対象の運転プロセス・パラメータの規定された偏差として異常を検出すると、警告信号が警報ユニットに送信される。
バッチ処理パラメータは、例えば、ミル設備の1つ又は複数のローラーミルの電流及び/又は電力取込量に関連する測定パラメータを少なくとも含み得る。
1つ又は複数のローラーミルは、例えば、少なくとも溝付きローラー(B通路)及び/又は平滑ローラー(C通路)を含み得る。
特に、バッチ処理パラメータは、例えば、ミル設備の全てのローラーミルの電流及び/又は電力取込量に関する測定パラメータを少なくとも含み得る。
本発明は、とりわけ、ローラーシステムの粉砕ラインの自動最適化及び制御のための技術的に新規でインテリジェントな自己適応型制御/調整装置を提供でき、それにより、粉砕及び/又は破砕は、最適化され及び完全自動化が可能であり、ミルの動作上のセキュリティを高めると同時に、動作を最適化するか、又は発生する異常に対して自動的に反応するという利点を有する。本発明の制御/調整装置は、生産の長期的な傾向を特定し、動作の異常を検出することができる。この制御/調整装置は、重要な生産パラメータ、特に収率、エネルギー、スループット/機械稼働時間の新規で簡素な自動監視及び検出を可能にし、これらのパラメータを最適化するように運転中の動作の自動適応を可能にし、又は運転中に異常又は変則のイベントが検出された際に動作の自動適応を可能にする。本発明のシステム及び方法が最終的に初期設定に使用される場合に、これにより、最適化された履歴パラメータセットに基づいて、ミルシステムを迅速且つ安定して設定することができる。
【0011】
一変形実施形態では、最終製品の品質パラメータ及び出発製品の関数としての特定の小麦粉収率は、標準範囲内の最適化されたバッチ処理の典型的なプロセスのバッチ処理パラメータによって決定することができる。
規定された品質パラメータは、例えば、少なくとも粒度分布及び/又はデンプン損傷及び/又はタンパク質品質及び/又は含水量を含むことができる。
監視対象のバッチ処理パラメータは、例えば、少なくとも収率及び/又はエネルギー取込量/消費量及び/又はスループット/機械稼働時間を含むことができる。
【0012】
更なる変形実施形態では、異常が検出された場合に、監視対象のバッチ処理パラメータの継続的で長期的な変化が、粉砕処理中に調整及び制御装置によって記録され、新しい運転プロセス・レシピの生成された運転プロセス・パラメータからの監視対象の運転プロセス・パラメータの規定された偏差は、継続的に測定された長期的な変化の関数として決定される。
【0013】
別の変形実施形態では、監視対象のバッチ処理パラメータは、複数の調整及び制御装置からネットワークを介して中央監視ユニットに送信され、複数の調整及び制御装置は、集中的に監視及び調整される。
【0014】
さらに別の変形実施形態では、新しい運転プロセス・レシピの生成された運転プロセス・パラメータからの監視対象の運転プロセス・パラメータの規定された偏差は、規定可能なx2標準偏差内の自然変動の関数として決定される。
【0015】
この時点で、本発明は、本発明による装置だけでなく、本発明による装置を実現するための方法にも関することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の変形実施形態を、例を使用して以下に説明する。実施形態の例は、以下の添付の図によって示される。
【
図1】本発明による変形実施形態の表現を概略的に示しており、全てのローラーミル(B(2:21,・・・,23)/C(3:31,・・・,33)から見て、電流が、B通路(ここでは溝付きローラー21,・・・,23)とC通路(ここでは平滑ローラー31,・・・,33)とに分けられる。各レシピ及び装置設定/特性には、最終製品の品質61を、原料、前のプロセス工程(粒度分布611、デンプン損傷612、タンパク質品質613、含水量614等)、及び特定の小麦粉の収率62の関数として決定する典型的なパターンがある。典型的なパターンは、特定の典型的な色で表すこともできる。電流のパターン又は色パターンの変化が異常として検出され、対応する電子信号が生成されて警告メッセージが生成されるか、或いは更なる装置又は機器が起動される。
【
図2】ローラーミルの電流の典型的なパターンの表現、つまり、レシピの典型的なシグネチャを概略的に示している。4つのレシピの約6か月の動作の電流の平均値が生成される。
【
図3】変動の同様のパターンを概略的に表したものである。同じ期間及び同じレシピの電流の標準偏差である。
【
図4】シグネチャの長期的な傾向の表現を概略的に表したものである。パターンは、摩耗、季節的又は他の条件的な要因により、時間とともに変化する。
図4は、3月の変動を示している。
【
図5】シグネチャの長期的な傾向の表現を概略的に表したものである。パターンは、摩耗、季節的又は他の条件的な要因により、時間とともに変化する。
図5は、6月の変動を示している。
【
図6】異常な挙動を伴う異常値/バッチの図を概略的に示している。このような異常な挙動は、異なるシグネチャに基づいて検出できる。良い/通常のバッチは、自己学習/機械学習ユニット又はオペレータによって「良い」とマークされるため、「通常」として期待される挙動の規定が動的になり、長期的な傾向を考慮することができる。
【
図7】異常な挙動を伴う異常値/バッチの図を概略的に示している。このような異常な挙動は、異なるシグネチャに基づいて検出できる。良い/通常のバッチは、自己学習/機械学習ユニット又はオペレータによって「良い」とマークされるため、「通常」として期待される挙動の規定が動的になり、長期的な傾向を考慮することができる。
【
図8】プロセス変数の関数としての異常の検出の更なる表現を概略的に示している。
【
図9】プロセス変数の関数としての異常の検出の更なる表現を概略的に示している。
【
図10】それらプロセス変数のプロセス分析の更なる表現を概略的に示している。
【
図11】レシピ概要の更なる表現を概略的に示している。
【
図12】ミル設備1を概略的に示しており、そこでは、センサデータがプロセス中に、例えば3分毎に測定され、記録される。そのデータは、特に、入力製品5の含水量等の入力製品5の測定パラメータ51の測定値、並びに最終製品6の小麦粉の特性61及び収率62の測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的のために、「製品」は、バルク材料又は塊を意味すると理解される。本発明の目的のために、「バルク材料」は、バルク材料加工産業、すなわち穀物の加工で使用される粉末、顆粒、又はペレット形態の製品、穀物粉砕製品、及び製粉産業の穀物最終製品(特に、普通小麦、デュラム小麦、ライ麦、トウモロコシ、及び/又は大麦の粉砕)又は特殊製粉(特に、大豆、そば、大麦、ドイツ小麦、キビ/ソルガム、偽穀物及び/又は豆類の殻及び/又は粉砕)、家畜及びペット、魚及び甲殻類の飼料の製造、油料種子の加工、バイオマスの処理、エネルギーペレットの製造、工業用製麦及び麦芽処理プラント、カカオ豆、ナッツ類、コーヒー豆の加工、肥料の製造、製薬業界又は固体化学における製品を意味する。本発明の目的のために、「塊」は、チョコレートの塊又は砂糖の塊等の食物塊、或いは印刷インク、コーティング、電子材料又は化学物質、特にファインケミカルを意味すると理解される。本発明の目的のために、「製品の加工(処理)」とは、(i)バルク材料、特に、上述したように、製粉産業又は特殊製粉の穀物、穀物粉砕製品、及び穀物最終製品の細砕、粉砕及び/又はフレーキングを意味し、その目的のために、以下でより詳細に説明する粉砕ローラー対又はフレーキングローラー対を、一対のローラーとして使用することができる;(ii)塊、特にチョコレート塊又は砂糖塊等の食品塊の精製を意味し、これには、例えば細いローラー対を使用できる;(iii)特に印刷インク、コーティング、電子材料又は化学物質、特にファインケミカルの湿式粉砕及び/又は分散を意味する。
【0018】
本発明の意味の範囲内の粉砕ローラーは、粒状の粉砕材料を粉砕するように設計され、これは通常、2つの粉砕ローラーによって一対の粉砕ローラー同士の間で行われる。粉砕ローラー、特に本発明による一対の粉砕ローラーの粉砕ローラーは、通常、実質的に非弾性面(特にその外周面)を有し、この非弾性面は、この目的のために、金属、例えば鋼、特にステンレス鋼を含むか、又はその鋼から構成され得る。通常、一対の粉砕ローラーの粉砕ローラー同士の間には、比較的しっかりしており、油圧で調整されることが多い粉砕ギャップがある。多くの粉砕設備において、粉砕材料は、そのような粉砕ギャップを通して略垂直に下向きに案内される。加えて、多くの粉砕設備において、粉砕材料は、重力によって一対の粉砕ローラーの粉砕ローラーに供給され、この供給は、オプションで空気圧によってサポートすることができる。粉砕材料は、通常粒状であり、流体が粉砕ギャップを通って流れるように移動する。これらの特性は、例えば、少なくとも1つのそのような粉砕ローラーを含む粉砕ローラー及び粉砕設備を、例えば紙を輸送するために使用され得る技術で使用される他のローラーから区別する。
【0019】
粉砕設備の少なくとも1つのローラー、特に一対の粉砕ローラーの2つのローラーは、例えば、平滑ローラーとして、又は溝付きローラーとして、又はねじ込みプレートを有するローラーベース本体として設計することができる。平滑ローラーは、円筒状又はキャンバー状(camber)にすることができる。溝付きローラーは、様々な溝付き形状、例えば屋根形状又は台形の縦溝形状を有することができ、及び/又は周面に取り付けられたセグメントを有することができる。少なくとも1つのローラー、特に一対の粉砕ローラーの両方のローラー、特に少なくとも1つの粉砕ローラー、特に一対の粉砕ローラーの両方の粉砕ローラーは、500ミリメートル(mm)~2000mmの範囲の長さ、及び250mm~300mmの範囲の直径を有することができる。ローラー、特に粉砕ローラーの周面は、好ましくは、ローラー本体に脱着不可能に接続されており、特にローラー本体と一体に形成されている。これにより、製品の簡素な製造及び信頼性のある堅牢な加工、特に粉砕が可能になる。ローラーは、少なくとも1つのセンサを含むように設計して、少なくとも1つのローラー、特に一対のローラーの両方のローラーの状態を特徴付ける測定値を記録することができる。特に、これは、少なくとも1つのローラー、特に一対のローラーの両方のローラーの周面の状態であり得る。状態は、例えば、温度、圧力、力(1つ又は複数の方向の力成分)、摩耗、振動、変形(膨張及び/又は撓み経路)、回転速度、回転加速度、周囲湿度、少なくとも1つのローラー、特に一対のローラーの両方のローラーの位置又は向きであり得る。センサは、例えば、MEMSセンサ(MEMS:微小電気機械システム)として設計することができる。センサは、好ましくは、少なくとも1つのデータセンサとデータ接続されており、データ送信機は、少なくとも1つのセンサの測定値をデータ受信機に非接触で送信するように設計されている。少なくとも1つのデータ送信機の助けを借りて、測定値は、ローラーの一部ではないデータ受信機に非接触で送信することができる。粉砕設備は、プロセス又は製品又は運転パラメータを検出するための更なるセンサ及び測定ユニット、特に1つ又は複数のローラーの電流/電力取込量を測定するための測定装置をさらに含むことができる。とりわけ、センサは、(i)少なくとも1つの温度センサとすることができるが、好ましくは、ローラー温度又はローラーに沿った温度プロファイルを測定するための複数の温度センサ;(ii)1つ又は複数の圧力センサ;(iii)(1つ又は複数の方向の力成分を決定するための)1つ又は複数の力センサ;1つ又は複数の摩耗センサ;(iv)この位置での加工、特に粉砕を妨げる特に巻付き(すなわち、加工された製品がローラーの周面に付着する)を判定するための1つ又は複数の振動センサ;(v)(膨張及び/又は撓み経路を判定するための)1つ又は複数の変形センサ;(vi)特にローラーの停止を判定するための1つ又は複数の回転速度センサ;(vii)1つ又は複数の回転加速度センサ;(viii)好ましくはローラーの端面に配置される、周囲湿度を決定するための1つ又は複数のセンサ;(ix)ローラーの位置及び/又は向きを決定するための、特に一対のローラーの2つのローラーの間のギャップの幅を決定するための1つ又は複数のジャイロスコープセンサ(ギャップの幅は、ローラーの位置及び/又は向き、及び平行度に依存する);及び/又は(x)一対のローラーの2つのロールの間のギャップの幅、特に一対の粉砕ローラーの2つの粉砕ロールの間の粉砕ギャップを決定するための1つ又は複数のセンサ(例えばローラーの端面に配置されるセンサ、特にMEMSセンサ)であり得る。これらの任意の組合せも可能である。例えば、ローラーは、複数の温度センサ及び変形センサを含むことができる。全てのセンサが同じタイプであることも可能であり、本発明の範囲内であり、すなわち、例えばそれらセンサは、1つ又は複数のローラーの電力取込量を測定するための測定ユニットとして設計される。
【0020】
ここで及び以下において、摩耗は、ローラー、特に粉砕ローラーの周面の機械的摩耗を意味すると理解される。従来技術では、そのような摩耗は、例えば、周面上の材料除去によって引き起こされる抵抗の変化によって決定することができる。代替的又は追加的に、摩耗は、変化した圧力及び/又は変化した経路長及び/又は変化した電気容量によって決定することができる。ユニットが単一のデータ送信機のみを含む場合に、このユニットは、センサによって検出された測定値をデータ送信機に交互に送信するように配置及び設計された少なくとも1つのマルチプレクサを含むことができる。非接触の送信は、例えば、赤外線放射、光パルス、無線周波数信号、誘導結合、又はこれらの任意の組合せによって行うことができる。ここで及び以下の測定値の非接触の送信には、データの送信も常に含まれ、データは、測定値の適切な処理によって得られ、従って測定値に基づいている。例えば、センサを含むユニットは、少なくとも1つのセンサによって検出された測定値を変換するための、少なくとも1つの信号変換器、特に少なくとも1つのA/D変換器を含むことができる。少なくとも1つの信号変換器を各センサに割り当てることができ、この変換器は、このセンサが検出した測定値を変換する。次に、変換された信号は、既に上で説明したように、マルチプレクサに送られる。信号変換器がA/D変換器の場合に、マルチプレクサはデジタル・マルチプレクサであり得る。第2の可能な変形例では、信号変換器は、上述したマルチプレクサとデータ送信機との間に配置することもできる。この場合に、マルチプレクサはアナログ・マルチプレクサであり得る。センサを含むユニットは、1つ又は複数のセンサ及び/又は少なくとも1つのマルチプレクサ及び/又は少なくとも1つの信号変換器及び/又は少なくとも1つのデータ送信機及び/又は少なくとも1つのエネルギー受信機及び/又は少なくとも1つのエネルギー発生器が配置される、少なくとも1つのプリント回路基板(特に、MEMSプリント回路基板)を含むことができる。プリント回路基板には、センサをマルチプレクサに接続するための測定ラインを含めることができる。そのようなプリント回路基板は、言及した構成要素を非常にコンパクトな態様でその上に配置できること、及びプリント回路基板を別個のアセンブリとして製造でき、少なくともいくつかの例示的な実施形態では、必要に応じて再度交換できることという利点を有する。プリント回路基板の代わりに、センサを、ケーブルハーネスを介してデータ送信機及び/又はマルチプレクサに接続することもできる。粉砕設備の1つ又は複数のローラーは、少なくとも1つのデータメモリ、特にRFIDチップを含むことができる。特に、ローラーの個々の識別は、例えば、このデータメモリに保存することができ、又は保存可能である。代替的又は追加的に、ローラーの少なくとも1つの特性、例えばその寸法及び/又はそのキャンバーの少なくとも1つは、データメモリに保存することができ、又は保存可能である。データメモリに保存されたデータは、好ましくは、非接触でも送信される。この目的のために、ローラーはデータ送信機を有することができる。データメモリのデータは、同じデータ送信機によって送信され、それによって少なくとも1つのセンサの測定値が本発明に従って送信されることが考えられる。センサを含む測定装置は、その中に統合されたデータプロセッサ、特にマイクロプロセッサ、FPGA、PLCプロセッサ、又はRISCプロセッサを含むこともできる。このデータプロセッサは、例えば、少なくとも1つのセンサによって検出された測定値をさらに処理し、次に、オプションでその処理した測定値をデータ送信機に送信することができる。特に、データプロセッサは、上述したマルチプレクサ及び/又は信号変換器の機能を全体的又は部分的に引き継ぐことができる。マイクロプロセッサは、上でも説明したプリント回路基板の一部であり得る。代替的又は追加的に、マイクロプロセッサは、少なくとも1つのデータバスシステムとの通信(特に、IPアドレスの管理);プリント回路基板のメモリ管理;特に以下で説明するようなエネルギー管理システムの制御;幾何学的データ及びローラー履歴等のローラーの識別機能の管理及び/又は保管;インターフェイスプロトコルの管理;ワイヤレス機能のうちの少なくとも1つを実行することもできる。さらに、測定装置、特にプリント回路基板は、エネルギー管理システムを有することができ、このエネルギー管理システムは、(i)測定値の送信データ送信機からの定期的、特に周期的な送信;(ii)所定の条件が満たされた場合にのみ、特に以下に説明する警告基準が満たされた場合にのみ、測定値のデータ送信機からの送信;(iii)コンデンサ又はエネルギー貯蔵装置の定期的、特に周期的な充電及び放電の機能の1つ、複数、又は全てを実行することができる。製品を加工するための粉砕/製品加工設備、特に粉砕材料を粉砕するための粉砕設備は、少なくとも1つのローラー又は一対のローラー、特に一対の粉砕ローラーを含む。一対のローラーのローラー同士の間にはギャップが形成される。特に、一対の粉砕ローラーの粉砕ローラー同士の間に粉砕ギャップが形成される。特に、粉砕材料を粉砕するときに、粉砕材料は、そのような粉砕ギャップを通して略垂直に下向きに案内され得る。加えて、特に粉砕材料を粉砕するときに、この粉砕材料は、好ましくは、その重力によって粉砕ローラーに供給され、これは、オプションで空気圧によってサポートすることができる。製品、特にバルク材料、特に粉砕材料は、粒状であり、流体が粉砕ギャップを流れるように移動することができる。特に、チョコレートの塊又は砂糖の塊等の精製塊の場合に、この塊は、代替的に、ローラー同士の間に形成されたギャップを通って下から上に案内することもできる。
【0021】
本発明は、例えば、製品加工設備、特に粉砕材料を粉砕するための粉砕設備に関する。製品加工設備には、少なくとも1つのローラー又は一対のローラーが含まれる。さらに、製品加工設備は、少なくとも1つのローラー又はローラー対のデータ送信機によって送信された測定値を受信するための少なくとも1つの、特に固定したデータ受信機を有することができる。粉砕システムは、例えば、製粉ミルの単一のローラーミル、又は少なくとも1つのローラーミルを有する製粉ミル全体であり得、少なくとも1つのローラーミルは、上述したような少なくとも1つの粉砕ローラーを含む。ただし、製品加工設備は、(i)上記のように、製粉業界又は特殊製粉業界からのバルク材料、特に穀物、穀物製粉製品、及び穀物最終製品をフレーキングするためのフレーキングロールミル;(ii)チョコレートを製造するためのローラーミル又はロールミル、特に、例えば2つ又は5つのローラー、特に2つ又は5つの微細(fine)ローラー、又はエンド微細ローラーミルを有する粗挽きミル;(iii)湿式粉砕及び/又は分散、例えば印刷インク、コーティング、電子材料又は化学物質、特にファインケミカルのためのロールミル、特に3つのローラーミルとして設計することもできる。本発明は、特に、上述したような製品加工設備、特に上述したような粉砕設備を運転するための方法に関する。この方法は、製品加工設備のデータ受信機で、測定値が、少なくとも1つのローラー又は一対のローラーのデータ送信機によって受信されるステップを含む。この方法で受信したデータは、さらに処理される。この目的のために、それらデータは、製品加工設備、特に粉砕設備の制御ユニットに供給され、そこからオプションのより高いレベルのガイダンスシステムに渡される。制御ユニット及び/又はガイダンスシステムの助けを借りて、製品加工設備全体、特に粉砕設備全体、又はその一部を制御及び/又は調整することができる。
【0022】
例えば、予め規定された警告基準が満たされた場合に、警告メッセージが制御ユニットによって発せられ、又は電気警報信号が生成される。警告基準は、例えば、少なくとも1つのセンサの測定値が、このセンサに対して予め規定された限界値を超えることを含み得る。別の変形例では、警告基準は、所定の量のセンサによって測定される最大測定値と最小測定値との間の差が所定の限界値を超えることを含み得る。警告基準が満たされると、警告信号が(例えば、光学的及び/又は音響的に)出力され、及び/又は製品加工設備が(例えば、制御ユニットにより)停止され得る。さらに、制御ユニットは、少なくとも1つのセンサによって取得された測定値又はそのセンサから得られたデータを視覚化することができる。製品加工設備には、製品フローの観点から、一対のローラーの下流で粒度及び粒度分布を測定するための装置を含めることができる。結果として、粒度及び粒度分布の測定値は、例えば、摩耗状態及び/又はローラー接触圧力の測定値と組み合わせることができる。これは、ローラー、特に粉砕ローラーが溝付きローラーである場合に特に有利である。代替として又はそれに加えて、製品フロー、特に粉砕材料の流れのNIR測定のための装置を、ローラー、特に粉砕ローラーの下流に配置することもできる。これは、ローラー、特に粉砕ローラーが平滑ローラーである場合に特に有利である。摩耗状態を検出するため、どちらの変形例でもメンテナンスの早期計画が可能である。
【0023】
本発明による製品加工設備により、例えば製品バッチの粉砕処理中に、(個別に又は対としての)粉砕ローラーの電力取込量を客観的に連続的に監視することが可能である。追加のパラメータを測定及び監視できる。例えば、ローラー温度又はローラーミルのハウジングの内部温度及び/又は室温、つまり外部温度の値が粉砕ローラー等の温度に影響を与えるため、これらの温度値も監視に含めることができる。接触圧力が高いほど、必要なエネルギー、つまりキロワット消費量が大きくなる。接触圧力が高いほど、より多くの粉砕エネルギーが生成され、粉砕エネルギーは、粉砕される製品及びローラー材料に熱として部分的に放出される。これは、ローラーミル又は同様の機械の内部温度も上昇することを意味する。製品のカーテンが均一である場合に、ローラーの表面に設定され、温度プローブで記録された温度の助けを借りて、(接触圧力及び/又は粉砕ギャップ調整の助けを借りて加工される)製品に割り当てられた最適温度を変化させることによって、粉砕作業を最適化できる。この変化は、コンピュータ及び/又はSPC制御(セルフプログラマブル制御)又はPLC制御(プログラマブルロジック制御)(調整装置)等の制御を使用して、手動又は完全に自動的に行うことができる。さらに監視対象パラメータには、遵守する必要のある境界条件として割り当てられた物理的、技術的、又はプロセス関連の制限を割り当てることができる。このような境界条件をさらに監視すると、制御挙動が改善され、最終製品の製品品質が向上する。
【0024】
本発明によれば、粉砕設備1は、ミル設備1の自己最適化制御及びミル設備1のローラーシステムの粉砕ラインの自己最適化制御を備えたインテリジェントな自己適応型調整及び制御装置4によって調整される。粉砕ラインには、複数の処理ユニット2(B)/3(C)が含まれ、運転プロセス・パラメータ4111,・・・,411xに基づいて、各処理ユニットは、調整及び制御装置4によって個別に制御でき且つそれらの動作を個別に調整できる。処理ユニット2(B)/3(C)における規定された処理シーケンスによるバッチ制御を運転プロセス・レシピ411によって調整することができ、ここで、規定された量の最終製品6は、測定パラメータ51を含む1つ又は複数の出発材料5から、測定パラメータ61(611,・・・,61x)及び収率62を含む運転プロセス・レシピ411によって生成される。処理ユニット2(B)/3(C)は、運転プロセス・レシピに割り当てられた特定のバッチ処理運転パラメータ動作に基づいて制御される。
調整及び制御装置4は、多次元バッチ処理パラメータパターン4111,・・・,411xを含む運転プロセス・レシピ41を検出するためのパターン認識モジュールを含み、運転プロセス・レシピ41は、保存した少なくとも1つ又は複数の出発製品5、粉砕ラインの処理ユニット2(B)/3(C)内の粉砕処理の規定されたシーケンス、及び粉砕ラインの各処理ユニットに割り当てられたバッチ処理運転パラメータ4111,・・・,411xを含む。
調整及び制御装置4は、履歴バッチ処理パラメータ4311,・・・,431xを含む履歴運転プロセス・レシピ431を保存するためのストレージ装置43を含み、プロセス・レシピ431の履歴バッチ処理パラメータ4311,・・・,431xは、それぞれ、標準的な範囲で最適化されたバッチ処理の典型的なプロセスの多次元バッチ処理パラメータパターン4321,・・・,432xを規定する。
【0025】
新しい運転プロセス・レシピ411の最終製品パラメータ及び/又は入力製品パラメータを入力すると、最も近いバッチ処理パラメータパターン432iが、割り当てられた多次元バッチ処理パラメータパターン4321,・・・,432xに基づいて、保存した1つ又は複数の履歴運転プロセス・レシピ432のパターン認識モジュールのパターン認識によってトリガー及び/又は選択される。パターン認識モジュールは、特に、機械ベースのニューラルネットワーク構造を含むことができる。次に、パターンの特定及び認識が、例えばネットワークトレーニングの一部として行われる。ニューラルネットワークに基づくトレーニングは、例えば、履歴パターン432にのみ基づくことができる。ミル設備1の調整パラメータ411は、更新されたニューラルネットワーク構造と、特に少なくとも1つの予め規定可能なターゲット変数に向けられた最適化に基づいて調整できる。
調整及び制御装置4によって、トリガーされた最も近いバッチ処理パラメータパターン432iに基づいて、入力された新しい運転プロセス・レシピ411のための新しいバッチ処理パラメータ4111,・・・,411xを含む新しいバッチ処理パラメータパターンが生成され、処理ユニット2(B)/3(C)は、割り当てられたバッチ処理パラメータを用いて生成された運転プロセス・レシピに基づいて、調整及び制御装置4によって対応して制御及び調整される。
新しい運転プロセス・レシピ411の粉砕処理中に、運転プロセス・パラメータは、調整及び制御装置4によって継続的に監視され、新しい運転プロセス・レシピ411の指定された運転プロセス・パラメータ4111,・・・,411xからの監視対象の運転プロセス・パラメータ4111,・・・,411xの規定された偏差として異常を検出すると、警告信号が警報ユニットに送信される。
バッチ処理パラメータは、例えば、ミル設備1の1つ又は複数のローラーミル2(B)/3(C)の少なくともフロー(流れ)を含むことができる。
1つ又は複数のローラーミルは、例えば、少なくとも溝付きローラー(B通路)及び/又は平滑ローラー(C通路)を含むことができる。
バッチ処理パラメータは、例えば、ミル設備1の全てのローラーミル2(B)/3(C)の少なくともフローを含むことができる。
例えば、最終製品6の規定された品質パラメータ61(611,・・・,61x)と、出発製品5及び/又はその測定パラメータ51の関数としての特定の小麦粉の収率62とは、通常の範囲で最適化されたバッチ処理の典型的なプロセスのバッチ処理パラメータによって決定できる。
規定された品質パラメータ61は、例えば、少なくとも粒度分布611及び/又はデンプン損傷612及び/又はタンパク質品質613及び/又は含水量614を含むことができる。
監視対象のバッチ処理パラメータ4111,・・・,411xは、例えば、少なくとも収率62及び/又はエネルギー取込量/消費量及び/又はスループット/機械稼働時間を含むことができる。
粉砕処理中に、例えば異常が検出された場合に、監視対象のバッチ処理パラメータの継続的な長期的な変化は、調整及び制御装置によって記録され、新しい運転プロセス・レシピの生成された運転プロセス・パラメータからの監視対象の運転プロセス・パラメータの規定された偏差は、継続的に測定された長期的な変化の関数として決定される。
監視対象のバッチ処理パラメータは、例えば、本発明による複数の調整及び制御装置4からネットワークを介して中央監視ユニットに送信され得、複数の調整及び制御装置4は、集中的に監視及び調整される。
とりわけ、本発明は、技術的に新しい方法で、生産における長期的な傾向の特定、異常の自動検出、(i)収率、(ii)エネルギー、(iii)スループット/機械稼働時間等の製造パラメータの自動化された(リモート)監視及び検出24/7を可能するという利点を有する。
【0026】
変形実施形態では、全てのローラーミル2(B)/3(C)の電流がB通路(溝付きローラー)及びC通路(平滑ローラー)に分かれるのを確認することができる。レシピ毎に、最終製品6の品質61を、原料5、前のプロセス工程(粒度分布611、デンプン損傷612、タンパク質品質613、含水量614)、及び特定の小麦粉収率62の関数として決定する典型的なパターン421がある。電流のパターン421の変化が、システム4によって異常として自動的に検出され、警告メッセージが生成される。
【符号の説明】
【0027】
1 ミル設備
2 処理ユニット(B)
21,・・・,23 溝付きローラー
3 処理ユニット(C)
31,・・・,33 平滑ローラー
4 調整及び制御装置
41 入力パラメータ
411 運転プロセス・レシピ
4111,・・・,411x 運転プロセス・パラメータ
421 パターン
4121,・・・,412x バッチパラメータパターン
42 パターン認識モジュール
43 ストレージ装置
431 履歴運転プロセス・レシピ
4311,・・・,431x 履歴運転プロセス・パラメータ
431i トリガーされた最も近い処理パラメータ
432 履歴パターン
4321,・・・,432x バッチパラメータパターン
432i トリガーされた最も近いパターン
5 入力製品
51 投入材料の測定パラメータ
6 最終製品
61 最終製品の測定パラメータ
611 粒度分布
612 デンプン損傷
613 タンパク質品質
614 含水量
62 比収率