IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7000581非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法
<>
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図1
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図2
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図3
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図4
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図5
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図6
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図7
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図8
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図9
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図10
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図11
  • 特許-非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/15 20190101AFI20220112BHJP
   G02F 1/1524 20190101ALI20220112BHJP
   G02F 1/155 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G02F1/15
G02F1/15 502
G02F1/1524
G02F1/155
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020536500
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018049926
(87)【国際公開番号】W WO2019055306
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】62/557,556
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504416080
【氏名又は名称】セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラッチ、セバスチャン、マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ジロン、ジャン - クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ロイトラー、パスカル
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ボセック、ペーター
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0304912(US,A1)
【文献】米国特許第05995271(US,A)
【文献】特表2014-529108(JP,A)
【文献】特開2001-085715(JP,A)
【文献】特開2016-213070(JP,A)
【文献】特表2017-522592(JP,A)
【文献】国際公開第2008/013501(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/19
G09G 3/20
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ・スタックと、
前記アクティブ・スタックを覆う第1の透明導電層と、
第2の透明導電層と、を備え、前記アクティブ・スタックが前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層との間にあり、
さらに、前記第1の透明導電層を覆い、第1の孔部を画定している中間層であって、前記第1の透明導電層と第1のバス・バーとの間にある前記中間層と、
第1の導電性テープを含む前記第1のバス・バーであって、前記第1の導電性テープは、前記第1の孔部の中へ延在し、前記第1の透明導電層に接触している、前記第1のバス・バーと
第2の導電性テープを含む第2のバス・バーであって、前記第2のバス・バーの前記第2の導電性テープは、前記中間層の第2の孔部、前記第1の透明導電層、および前記アクティブ・スタックの中へ延在し、前記第2の透明導電層に接触している、前記第2のバス・バーと、
を備える、非発光式の可変透過デバイス。
【請求項2】
記第1の孔部は、前記第2の孔部から離間されている、請求項1に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項3】
前記第1のバス・バーは、前記アクティブ・スタックの任意の層又は前記第2の透明導電層に接触しない、請求項1又は2に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項4】
前記第1の孔部及び前記第2の孔部のうちの少なくとも1つは、前記中間層を通って前記第1の透明導電層へ延在する孔部のパターンを含む、請求項1又は2に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項5】
前記第1の透明導電層は、前記第1の孔部の下の場所において第1の厚さを有しており、前記第1の孔部から離間されている別の場所において第2の厚さを有しており、前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも小さい、請求項1又は2に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項6】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さの少なくとも90%の厚さである、請求項5に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項7】
前記第1の厚さと前記第2の厚さとの間の差は、2nm以下である、請求項6に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項8】
前記第1の導電性テープは、バッキング基板及び導電性接着剤を含む、請求項1又は2に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項9】
前記導電性接着剤は、銀を含有していない、請求項8に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項10】
前記第1のバス・バー及び前記第2のバス・バーのうちの少なくとも1つは、1μΩcmから7μΩcmの範囲にある抵抗率を有するバッキング基板を有している、請求項1又は2に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【請求項11】
非発光式の可変透過デバイスを形成する方法であって、
第2の透明導電層を形成するステップと、
前記第2の透明導電層の上にアクティブ・スタックを提供するステップと、
前記アクティブ・スタックの上に第1の透明導電層を形成するステップと、
前記第1の透明導電層の上に中間層を形成するステップであって、前記中間層は、前記第1の透明導電層と第1のバス・バーとの間にある、ステップと、
前記第1の透明導電層まで延在する第1の孔部を画定するように、前記中間層をパターニングするステップと、
前記中間層に隣接して前記第1のバス・バーを配設するステップであって、前記第1のバス・バーは、前記第1の孔部の中へ延在し、前記第1の透明導電層に接触している、ステップと
前記中間層、前記第1の透明導電層、および前記アクティブ・スタックを通り前記第2の透明導電層まで延在する第2の孔部を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記中間層をパターニングするステップは、前記中間層にレーザー・アブレーション加工を実施するステップを含み、前記レーザー・アブレーション加工が、最大で1000フェムト秒のパルス持続期間を有するレーザーを使用して実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中間層は、絶縁層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記中間層は、反射防止層である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記アクティブ・スタックは、エレクトロクロミック・スタックである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非発光式の可変透過デバイス及びそれを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非発光式の可変透過デバイスは、エレクトロクロミック・スタックを含むことが可能であり、エレクトロクロミック・スタックにおいては、透明導電層が、当該スタックの適正な動作のための電気的な接続を提供するために使用されている。非発光式の可変透過デバイスを形成するときに、下側の透明導電層が、基板の上に堆積され、パターン化されて、その後に形成されるバス・バーが、互いに対して電気的に短絡しないように、又は、許容できないくらいに高い漏洩電流を有しないように維持する。代替的に、下側の透明導電層は、非発光式の可変透過デバイス中でパターン化されておらず、バス・バーは、銀を含有するインクを上側の透明導電層の上に直接的にプリントすることによって形成される。インク又はインクの成分は、下にある層中の微視的欠陥を通って移動する可能性があり、下側の透明導電層への電気的短絡、又は、許容できないくらいに高い漏洩電流を結果として生じさせる可能性がある。非発光式の可変透過デバイスにおけるさらなる改善が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
実施例は、実例として図示されており、添付の図に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】基板及び1セットの層を含むワークピースの一部分の断面図である。
図2】孔部を画定するために層をパターニングする、図1のワークピースの断面図である。
図3】一実施例による、上側の透明導電層への接触を行うための孔部パターンの上面図である。
図4】別の実施例による、上側の透明導電層への接触を行うための別の孔部パターンの上面図である。
図5】さらなる実施例による、上側の透明導電層への接触を行うためのさらなる孔部パターンの上面図である。
図6】パターン化された1セットの層の上にバス・バーを配設した後の、図3のワークピースの断面図である。
図7】一実施例による、図6のワークピースを含む断熱ガラス・ユニットの断面図である。
図8】別の実施例による、図6のワークピースを含む別の断熱ガラス・ユニットの断面図ある。
図9】バス・バーが、反射防止層の上に、及び、反射防止層を通って延在する孔部の中に配設された後の、ワークピースの一部分の走査型電子顕微鏡画像である。
図10】本明細書で説明されているような一実施例による、反射防止層を通って延在する孔部を形成した後のワークピースの一部分の走査型電子顕微鏡画像である。
図11】本明細書で説明されているような一実施例による、反射防止層を通って延在する孔部を形成した後のワークピースの一部分の走査型電子顕微鏡画像である。
図12】比較例による、反射防止層を通って延在する孔部を形成した後のワークピースの一部分の走査型電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図の中の要素は、簡単及び明確にするために図示されており、必ずしも正しい寸法で描かれているわけではないことを当業者は認識する。たとえば、図の中の要素のうちのいくつかの寸法は、本発明の実施例の理解を改善することを助けるために、他の要素に対して誇張されている可能性がある。
【0006】
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書で開示されている教示を理解することを支援するために提供されている。以下の議論は、本教示の特定の実装例及び実施例に焦点を合わせることとなる。この焦点は、本教示を説明することを支援するために提供されており、本教示の範囲又は適用可能性に対する限定として解釈されるべきではない。
【0007】
本明細書で使用されているように、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又は、それらの任意の他の変化形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。たとえば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない他の特徴、又は、そのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含むことが可能である。さらに、逆のことが明示的に述べられていない限り、「又は」は、包含的な「又は」を表しており、排他的な「又は」を表していない。たとえば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aは真であり(又は、存在している)、且つ、Bは偽である(又は、存在していない);Aは偽であり(又は、存在していない)、且つ、Bは真である(又は、存在している);並びに、A及びBの両方が真である(又は、存在している)。
【0008】
パターン化された特徴(それは、バス・バー、孔部、孔部などを含む)は、幅、深さ、又は厚さ、及び長さを有することが可能であり、ここにおいて、長さは、幅及び深さ又は厚さよりも大きい。本明細書で使用されているように、直径が、円形に関する幅であり、短軸が、楕円に関する幅である。
【0009】
「通常の動作」及び「通常の動作状態」という用語は、非発光式の可変透過デバイスが動作するように設計された条件を表している。条件は、電圧、電流、静電容量、抵抗、又は他の電気的な条件に関するデータシート又は他の情報から取得され得る。したがって、通常の動作は、非発光式の可変透過デバイスをその設計限界を超えて良好に動作させることを含まない。
【0010】
「a」又は「an」の使用は、本明細書で説明されている要素及びコンポーネントを説明するために用いられている。これは、単に便宜上行われているに過ぎず、本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われている。この記載は、「1つの」又は「少なくとも1つの」を含むように読まれるべきであり、それがそうでないことを意味していることが明確でない限り、単数形は、複数形も含み、又は、その逆も同様である。
【0011】
「約」、「おおよそ」、又は「実質的に」の語句の使用は、パラメーターの値が、記述されている値又は位置に近いことを意味するように意図されている。しかし、わずかな差は、記述されているように値又は位置が正確であることを妨げる可能性がある。したがって、値に関して最大で10パーセント(10%)の差は、正確に説明されているような理想的な目標からの合理的な差である。
【0012】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されているすべての技術的な及び科学的な用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有している。材料、方法、及び実例は、単に例示目的のものに過ぎず、限定するものであることは意図されていない。本明細書で説明されていない範囲において、特定の材料及び加工行為に関する多くの詳細は、従来のものであり、ガラス技術、蒸着技術、及びエレクトロクロミック技術の中のテキストブック及び他のソースの中に見出され得る。
【0013】
非発光式の可変透過デバイスは、エレクトロクロミック・スタックと、エレクトロクロミック・スタックを覆う透明導電層と、透明導電層を覆い、孔部を画定している中間層と、導電性テープを含むバス・バーであって、導電性テープは、孔部の中へ延在し、透明導電層に接触している、バス・バーとを含むことが可能である。一実施例では、上側の透明導電層に関するバス・バーの適正な材料の選択及び設計は、下側の透明導電層をカットする必要なしに、上側の透明導電層への電気的な接続部が作製されることを可能にする。とりわけ、バス・バーに関する材料の選択は、バス・バーの中の材料及び下にある層のいずれか中の材料との著しい有害な相互作用なしに、十分な導電性を提供する。したがって、通常動作時の導電性の下では高過ぎる電気的短絡又は漏洩電流が軽減され得る。
【0014】
別の態様では、非発光式の可変透過デバイスを形成する方法は、エレクトロクロミック・スタックを提供するステップと、エレクトロクロミック・スタックの上に透明導電層を形成するステップと、透明導電層の上に中間層を形成するステップと、透明導電層まで延在する孔部を画定するように、中間層をパターニングするステップと、中間層に隣接してバス・バーを配設するステップであって、バス・バーは、孔部の中へ延在し、透明導電層に接触している、ステップとを含むことが可能である。パターニングにおける改善された制御は、比較的に薄い中間層が使用されることを可能にする。パターニングがアブレーションを使用して実施されるときには、レーザーに関する動作パラメーターは、下にある層(たとえば、透明導電層など)を除去し過ぎることなく、中間層の選択的な除去を可能にするように選択され得る。
【0015】
上記に説明されているプロセス・フローは、フレキシブルなものであり、孔部又はカッティング・レーン(cutting lane)を形成する際のパターニング動作のうちの多くは、多くの異なる順序で実施され得る。したがって、プロセス・フローは、そのような動作が実施され得る特定の用途又は設備若しくは設備の組み合わせに関する必要性又は要望に適合され得る。
【0016】
図に図示されているような、及び、下記に説明されているような実施例は、本明細書で説明されているような概念を実装するための特定の用途を理解する際に役に立つ。実施例は、例示的なものであり、添付の特許請求の範囲を限定することは意図されていない。
【0017】
A. 1セットの層120の形成
図1は、透明基板100に隣接して1セットの層120を形成した後の部分的に製作された非発光式の可変透過デバイスの断面図の図示を含む。一実施例では、基板100は、ガラス基板、サファイヤ基板、酸窒化アルミニウム基板、又はスピネル基板を含むことが可能である。別の実施例では、基板100は、透明なポリマー、たとえば、ポリアクリル化合物、ポリアルケン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリサルファイド、ポリウレタン、ポリビニルアセテートなど、別の適切な透明なポリマー、又は、先述のもののコポリマーを含むことが可能である。基板100は、可撓性であってもよく、又は、可撓性でなくてもよい。特定の実施例では、基板100は、フロート・ガラス又はホウケイ酸ガラスであることが可能であり、0.5mmから4mm厚さの範囲にある厚さを有することが可能である。別の特定の実施例では、基板100は、50ミクロンから300ミクロンの範囲にある厚さを有するミネラル・ガラスである超薄型ガラスを含むことが可能である。特定の実施例では、基板100は、形成されている多くの異なる非発光式の可変透過デバイスのために使用され得、マザーボードと称され得る。
【0018】
1セットの層120の中の層の組成及び厚さが、それらの形成を説明される前に説明される。透明導電層122及び130は、導電性金属酸化物又は導電性ポリマーを含むことが可能である。実例は、酸化スズ若しくは酸化亜鉛(そのいずれかは、Al、Ga、若しくはInなどのような三価の元素によってドープされ得る)、フッ素化された酸化スズ、又はスルホン化ポリマー、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、又はポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などを含むことが可能である。別の実施例では、透明導電層122及び130は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、又は、それらの任意の組み合わせを含むことが可能である。透明導電層122及び130は、同じ又は異なる組成を有することが可能である。
【0019】
1セットの層120は、アクティブ・スタックをさらに含み、アクティブ・スタックは、透明導電層122と130との間に配設されている層124、126、及び128をさらに含む。一実施例では、アクティブ・スタックは、エレクトロクロミック・スタックである。層124及び128は、電極層であり、層のうちの一方は、エレクトロクロミック層であり、層のうちの他方は、イオン貯蔵層(対電極層とも称される)である。エレクトロクロミック層は、無機金属酸化物の電気化学的に活性の材料、たとえば、WO3、V2O5、MoO3、Nb2O5、TiO2、CuO、Ir2O3、Cr2O3、Co2O3、Mn2O3など、又は、それらの任意の組み合わせを含むことが可能であり、50nmから2000nmの範囲にある厚さを有することが可能である。イオン貯蔵層は、エレクトロクロミック層に関して列挙されている材料のいずれか、又は、Ta2O5、ZrO2、HfO2、Sb2O3、又は、それらの任意の組み合わせを含むことが可能であり、また、酸化ニッケル(NiO、Ni2O3、又は、その2つの組み合わせ)、及びLi、Na、H、又は別のイオンをさらに含むことが可能であり、80nmから500nmの範囲にある厚さを有することが可能である。イオン導電層126(電解質層とも称される)が、電極層124と128との間に配設されており、20ミクロンから60ミクロンの範囲にある厚さを有している。イオン導電層126は、イオンがそれを通って移動することを可能にし、相当な数の電子がそれを通過することを許容しない。イオン導電層126は、リチウム、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ホウ素を伴うか若しくは伴わないケイ酸塩;リチウムを伴うか若しくは伴わないホウ酸塩;リチウムを伴うか若しくは伴わない酸化タンタル;リチウムを伴うか若しくは伴わないランタニド系の材料;別のリチウム系のセラミック材料;又は、それに類するものを含むことが可能である。イオン導電層126は、随意的なものであり、存在するときには、堆積によって形成され得、又は、スタック120の中に他の層を堆積させた後に、電極層124及び128などのような2つの異なる層の一部分を反応させ、イオン導電層126を形成することによって形成され得る。この明細書を読んだ後に、当業者は、層122、124、126、128、及び130に関して、他の組成及び厚さが、本明細書で説明されている概念の範囲から逸脱することなく使用され得ることを認識することとなる。
【0020】
透明導電層130とその後に形成されるバス・バーとの間に配設されることとなる中間層140が使用され得る。一実施例では、中間層140は、透明導電層130とその後に形成されるバス・バーとの間の接着と比較して、その後に形成されるバス・バーへのより良好な接着を提供することが可能である。一実施例では、中間層140は、絶縁層を含むことが可能である。特定の実施例では、中間層は、反射防止層であることが可能であり、反射防止層は、反射を低減させることを助けるために使用され得る。反射防止層は、下にある層(下にある層の屈折率は、おおよそ2.0であり得る)と、清浄で乾燥した空気又は不活性ガス、たとえば、Ar又はN2など(多くのガスは、おおよそ1.0の屈折率を有している)との間の屈折率を有している。一実施例では、反射防止層は、1.4から1.6の範囲にある屈折率を有している。反射防止層は、適切な屈折率を有する絶縁材料を含むことが可能である。特定の実施例では、反射防止層は、シリカを含む。反射防止層の厚さは、薄くなるように、及び、十分な反射防止特性を提供するように選択される。反射防止層に関する厚さは、1セットの層120の屈折率に少なくとも部分的に依存することが可能である。中間層140の厚さは、20nmから100nmの範囲にあることが可能である。
【0021】
層122、124、126、128、130、及び140は、任意の介在するパターニング・ステップなく、真空を破壊することなく、又は、すべての層が形成される前に、空気へ中間層を露出させることなく、基板100の上に形成され得る。一実施例では、層122、124、126、128、130、及び140は、直列に堆積され得る。層122、124、126、128、130、及び140は、物理蒸着又は化学蒸着を使用して形成され得る。特定の実施例では、層122、124、126、128、130、及び140は、スパッタ蒸着される。
【0022】
B. 1セットの層120のパターニング部分
加工は、所望の場所において、1セットの層120の中の層のうちの1つ又は複数の部分を選択的に除去することによって継続することが可能である。層の一部分を選択的に除去すること及びバス・バーを配設することに関するいくつかのアクションを実施する順序は、提示されているものとは異なる順序で実施され得る。したがって、本明細書を読んだ後に、当業者は、1つの設備又は異なる設備の中の特定の用途又は機器構成に関する必要性又は要望を満たすために、どの順序でアクションを実施するかを決定することができることとなる。
【0023】
1. 下側の透明導電層122への孔部222
孔部222は、バス・バーが下側の透明導電層122に電気的に接続されることとなる領域に対応している。孔部222は、層140、130、128、126、及び124を通って下側の透明導電層122へ延在している。別の実施例では、孔部222は、下側の透明導電層122を通って延在することが可能であり、バス・バーは、下側の透明導電層122の側壁部に接触することが可能である。さらなる実施例では、孔部222は、異なる層を通って延在することが可能である。孔部222の幅は、下側の透明導電層122に対する低い接触抵抗を可能にするのに十分である。一実施例では、孔部222は、下側の透明導電層122に接触することとなるバス・バーと同じ幅であるか、又は、それよりも狭い。孔部222は、ある長さ(図面の中へ及び図面から外へ延在する)を有しており、その長さは、カッティング・レーンまで完全に延在することが可能であり、又は、そのようなカッティング・レーンに到達する前に停止することが可能である。孔部222は、アブレーション、スパッタ・エッチング、又はイオン・ミーリング技法を使用して画定され得る。
【0024】
2. 上側の透明導電層130を切断するための孔部230
孔部230は、孔部222の中の下側導電層122に接触することとなるバス・バーが、非発光式の可変透過デバイスを制御する際に使用される上側の透明導電層130の部分に電気的に接続されないように維持する。したがって、孔部230は、少なくとも中間層140及び上側の透明導電層130を通って延在している。図示されているような実施例では、孔部230は、中間層140、上側の透明導電層130、及び上側電極128を通って延在している。別の実施例では(図示せず)、孔部230は、イオン導電層126を通って延在することが可能であり、又は、下側電極層124を通ってさらに延在することが可能である。孔部230は、孔部240よりも、孔部222に近い。特定の実施例では、孔部230は、孔部222から離間されており、孔部222の中の下側の透明導電層122に接触することとなるバス・バーが、孔部230の中の上側の透明導電層130と非意図的な接触を行わない。しかし、孔部230が孔部222からより遠くにあるとき、非発光式の可変透過領域(可変の光学的な透過が起こる領域)の有効エリアが低減される。したがって、孔部230は、孔部222から、50ミクロンから4cmの範囲にあることが可能である。別の実施例では、孔部230は、以前に説明されている範囲と比較して、孔部222からより近く又はより遠くにあることが可能である。孔部230は、ある長さ(図面の中へ及び図面から外へ延在する)を有しており、その長さは、カッティング・レーンまで完全に延在することが可能であり、又は、そのようなカッティング・レーンに到達する前に停止することが可能である。孔部230は、孔部222に関して以前に説明されている技法のいずれかを使用して画定され得る。孔部230を画定するために使用される技法は、孔部222を画定するためのものと比較して、同じであるか若しくは異なることが可能であり、又は、それらの任意の組み合わせであることが可能である。
【0025】
3. 上側の透明導電層130を露出させるための孔部240
中間層140を通る孔部240は、バス・バーが上側の透明導電層130に電気的に接続されることとなる領域に対応している。したがって、孔部240は、少なくとも中間層140を通って延在している。図示されているような実施例では、孔部240は、中間層140を通って部分的に上側の透明導電層130の中へ延在している。孔部240は、非発光式の可変透過デバイスのための上側の透明導電層130に接触するための唯一の孔部であることが可能であり、又は、1つ若しくは複数の他の孔部も形成され得る。孔部240、又は、孔部240を含む複数の孔部は、上側の透明導電層130のためのバス・バーと同じ幅又はそれよりも狭い幅を有することが可能である。孔部240、又は、孔部240を含む複数の孔部のためのパターンは、ある長さ(図面の中へ及び図面から外へ延在する)を有しており、その長さは、カッティング・レーンまで完全に延在することが可能であり、又は、そのようなカッティング・レーンに到達する前に停止することが可能である。孔部240のパターニングは、以前に説明されているような技法のいずれかを使用することが可能である。
【0026】
アブレーション技法が使用されるときに、プロセスは、孔部222及び230と比較して、より大きい程度に制御され得る。レーザーから放出される放射線の波長は、中間層140がアブレートされることを引き起こすのに十分である。可能な場合には、波長は、それが下にある層にそれほど影響を与えないように選択される。ときには、これは、可能でない可能性もある。一実施例では、レーザーは、500nmから600nmの範囲にある放射線を放出する。レーザーに関するパルス持続期間は、孔部222及び230を形成するときのパルス持続期間よりも短くすることが可能である。一実施例では、孔部240を形成するときのパルス持続期間は、最大でも1000fsであることが可能である。孔部222及び230は、10ps以上などのような、より長いパルス持続期間を使用して形成され得る。孔部240に関するより短いパルス持続期間は、より良好な制御を提供することが可能であり、したがって、とりわけ、中間層140がより薄くなるにつれて、より短いパルス持続期間が、必要とされるか又は望まれ得る。したがって、孔部240に関するパルス持続期間は、最大でも700fsであるか、最大でも500fsであるか、又は、300fs以下であることが可能である。典型的に、パルス持続期間は、少なくとも1fsであることが可能である。特定の実施例では、パルス持続期間は、110fsから500fsの範囲にあることが可能である。エネルギー密度は、レーザー・アブレーションが上側の透明導電層130の多くを除去し過ぎないように選択される。一実施例では、エネルギー密度は、0.05J/cmから1.0J/cmの範囲にあることが可能である。
【0027】
理想的には、開口部240を形成するときに、上側の透明導電層130は全く除去されない。実際には、上側の透明導電層130のうちのいくらかは除去されるが、その量は、比較的に小さくすることが可能である。一実施例では、中間層140によってカバーされている上側導電層130の一部分と孔部240の中の上側導電層130の別の部分との間の厚さの差は、最大でも2nmである。アブレーション・プロセスのさらなる制御は、最大でも1.5nmまで、最大でも1nmまで、又は、最大でも0.5nmまで、その差をさらに低減させることが可能である。アブレーションのために使用されるレーザーの継続的な開発に伴って、0.5nmを下回る差を可能にする可能性がある。上側透明層130の部分同士の間の厚さの差は、中間層140によってカバーされる上側導電層130の部分と比較して、孔部240の下に露出される上側導電層130の厚さのパーセンテージとして表現され得る。露出された部分の厚さは、カバーされた部分の厚さの少なくとも90%であることが可能である。アブレーション・プロセスのさらなる制御は、パーセンテージが少なくとも95%又は少なくとも99%になることを可能にすることができる。アブレーションのために使用されるレーザーの継続的な開発に伴って、パーセンテージの差が99%よりも大きくなることを可能にする可能性がある。
【0028】
孔部240は、中間層140を通る単一の孔部であることが可能であり、又は、多くの他の孔部のうちの1つであることが可能である。図3から図5は、中間層140を通る1つ又は複数の孔部240に関するパターンの部分の上面図を含む。図3は、単一の比較的に広くて長い孔部に対応するパターンを有しており、図4は、比較的に狭くて長い離間された1セットの孔部に対応するパターンを有しており、図5は、多くの孔部を含むスポット・パターンを有している。
【0029】
図3及び図4は、パターニングの間にラインを使用して形成され得る。一実施例では、図3は、重なり合うラインに沿ってレーザー・アブレーションを使用して形成され得、したがって、図3は、1セットの重なり合うラインに対応するパターンを有することが可能である。別の実施例では、図4は、離間されたラインに沿ってレーザー・アブレーションを使用して形成され得、したがって、図4は、ラインに沿って向き付けられている離間された1セットの孔部に対応するパターンを有することが可能である。図4の中の比較的に狭くて長い離間された孔部は、おおよそ同じ幅又は著しく異なる幅(任意の2つの孔部の間で10%を超える差)を有することが可能である。他のパターンも使用され得る。孔部のうちの1つ又は複数は、曲がりくねったパターン又は方形波パターンの形態であることが可能である。さらなる実施例では、図4の中の1セットの孔部は、曲がりくねったパターン、方形波パターン、又は別の適切なパターンを有する、より少ない孔部(場合によっては、単一の孔部でもよい)によって交換され得る。
【0030】
図5の中の孔部は、スポット・パターンの形態であることが可能である。図5の中の孔部は、円形として図示されているが、他の形状も使用され得る。たとえば、形状は、他の多角形(たとえば、三角形、長方形、六角形、若しくは八角形など)、又は、他の2次元形状(たとえば、楕円、楕円形、不規則形状など)であることが可能である。孔部のすべては、たとえば、すべて円形など、おおよそ同じサイズ及びタイプの形状であることが可能であり、又は、形状は、異なるサイズ(任意の2つの形状の間で10%を超える差)、異なる形状、又は、異なるサイズ及び形状の両方を有することが可能である。スポット・パターンは、(行及び列のそれぞれに沿った孔部に関して均一なピッチを備えた図5に図示されているように)均一なパターンであるか、又は、不均一なパターン(図示せず)であることが可能である。
【0031】
さらなる実施例では(図示せず)、図4及び図5を参照して説明されている孔部のハイブリッドが使用され得る。たとえば、図5を参照して説明されている形状を有する1つ又は複数の孔部が、図4を参照して説明されているトレンチ同士の間に設置され得る。バス・バーの接着剤層が、上側の透明導電層130と比較して、中間層140へのより良好な接着を有するときに、図4及び図5が役に立つ可能性がある。この明細書を読んだ後に、当業者は、特定の用途に関する必要性又は要望を実現するために、1つの孔部が中間層140を通って延在することとなるか、又は、2つ以上の孔部がそうなるかどうか、及び、孔部のパターン、又は、孔部がそうなるかを決定することができることとなる。
【0032】
C. バス・バー622及び630
バス・バー622及び630は、それぞれ孔部222及び240の中に、及び、中間層140の一部分の上に配設されている。バス・バー630に関する詳細が、バス・バー622の前に説明される。その理由は、バス・バー630及び下にある層に関する問題が、バス・バー622と比較して、バス・バー630に関して使用される材料により多くの制限を加える可能性があるからである。しかし、いくつかの特性は、バス・バー622及び630の両方に共通とすることが可能である。一実施例では、バス・バー622及び630は、非貫通式のバス・バーであり、これは、バス・バー622及び630からの導電性材料が、透明導電層122及び130に移動せず、透明導電層122及び130とバス・バー622及び630とを互いに電気的に短絡させないことを意味している。したがって、バス・バー630は、下側の透明導電層122を介したバス・バー622とバス・バー630との間の電気的短絡を防止するようにパターン化された下側の透明導電層122を必要とすることなく、下側の透明導電層122の上に位置付けされ得る。バス・バー622は、下側の透明導電層122の露出された部分のすべてをカバーすることが可能である。バス・バー630は、上側の透明導電層130の露出された部分のすべて(たとえば、図3に対応するパターン)、又は、露出された部分(たとえば、図4又は図5に対応するパターン)をカバーすることが可能である。したがって、バス・バー62及び630の幅は、それぞれ、透明導電層122及び130の露出された部分をカバーするのに十分とすることが可能である。
【0033】
1. バス・バー630
バス・バー630の組成は、バス・バー630とバス・バー630によってカバーされている下側の透明導電層122の部分との間に、電気的短絡又は過大な漏洩電流(非発光式の可変透過デバイスの通常動作の間の漏洩電流に関する仕様よりも高い)を形成しないように選択される。バス・バー630の組成は、上側導電層130の中に、銅、金、炭素、チタン、スズ、亜鉛、又は任意の金属元素を含むことが可能である。炭素が使用されるときには、それは、カーボンブラック、ナノワイヤー、又は別のフラーレン化合物の形態とすることが可能である。組成は、金属のうちの少なくとも1つを含む金属合金、又は、金属若しくは金属合金のうちの1つ又は複数を含む酸化物若しくは窒化物を含むことが可能である。別の実施例では、組成は、導電性ポリマーを含むことが可能である。バス・バー630の組成は、上側の透明導電層130を構成する構成要素を含むことが可能である。たとえば、上側導電層130が酸化スズ(たとえば、インジウムがドープされた酸化スズなど)を含むときには、組成は、スズ又は酸化スズを含むことが可能である。上側導電層130が酸化亜鉛(たとえば、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛など)を含むときには、組成は、亜鉛又は酸化亜鉛を含むことが可能である。
【0034】
本発明者は、銀、銀を含有する化合物、及び、銀を含有する合金が、問題を引き起こす可能性があることを発見した。銀又は銀を含有する化合物若しくは合金が使用されるときには、電気的短絡又は過大な漏洩電流を形成する可能性が、バス・バー630の組成に関して説明されている他の材料よりも実質的に高い。理論に拘束されることを意味するものではないが、本発明者は、銀がエレクトロクロミック・スタック120の中のリチウムとの相互作用を有する可能性があると考えている。したがって、インターカレートする元素(たとえば、H、Li、又はNa)と有害な相互作用を有すると考えられる任意の元素又は化合物は、バス・バー630の中に使用されなくてよい。問題の多い他の元素も、バス・バー630の組成の中に含まれなくてもよい。
【0035】
バス・バー630の構築は、導電性テープであることが可能であり、導電性テープは、バッキング基板632及び接着剤層634を含む。バッキング基板632は、バス・バー630に沿った電流のほとんどを運搬する。バッキング基板632は、導電性金属、金属合金、金属を含有する化合物、又はポリマーを含むフォイルの形態であることが可能である。一実施例では、バッキング基板は、最大で9μΩcmの抵抗率を有している。別の実施例では、バッキング基板632は、1μΩcmから7μΩcmの範囲にあるか、又は、1.5μΩcmから6.5μΩcmの範囲にあるか、又は、2μΩcmから6μΩcmの範囲にある抵抗率を有している。バッキング基板632は、所定の厚さを有することが可能であり、それが、基板100のエレベーションと中間層140のエレベーションとの間の移行部などのような、非発光式の可変透過デバイスのトポグラフィーにしたがうように作製され得るようになっている。一実施例では、厚さは、最大で900ミクロンである。別の実施例では、厚さは、実質的により薄くすることが可能であり、たとえば、最大で300ミクロン、又は、最大で95ミクロンなどである。バス・バー630は、バッキング基板632が薄過ぎる場合にはハンドリングすることが困難になる可能性がある。一実施例では、バッキング基板632は、少なくとも2ミクロンの厚さを有することが可能である。
【0036】
バス・バー630の線形抵抗は、バス・バーの長さに沿ってオーム/mとして表現され得、バッキング基板632の断面積によって制御され得る。より低い線形抵抗が望まれる場合には、相対的に厚いバッキング基板632、相対的に広いバッキング基板632、又は、相対的に厚いバッキング基板632及び広いバッキング基板632の組み合わせが使用され得る。より高い線形抵抗が望まれる場合には、相対的に薄いバッキング基板632、相対的に狭いバッキング基板632、又は、相対的に薄いバッキング基板632及び狭いバッキング基板632の組み合わせが使用され得る。この明細書を読んだ後に、当業者は、物理的な性能(たとえば、露出された上側の透明導電層130がない)及び電気的な性能(たとえば、許容可能な線形抵抗)を満たすように、バッキング基板632の厚さ及び幅を選択することができることとなる。
【0037】
接着剤層634は、上側の透明導電層130とバッキング基板632との間の導電を可能にするために、導電性粒子を備えた接着剤材料を含むことが可能である。また、バッキング基板632に関して以前に説明されている材料の選択は、接着剤層634の中の導電性粒子にも適用することが可能である。一実施例では、接着剤層の中の接着剤成分は、感圧接着剤であることが可能である。接着剤層634の中の接着剤成分は、エポキシ、シリコーンゴム、ポリビニルブチラール、又はポリビニルアセテートなどであることが可能である。接着剤層634は、所定の厚さを有することが可能であり、それが中間層140の中の開口部240を通して上側の透明導電層130に直接的に接触することができるようになっている。バス・バー622(下記に説明されている)がバス・バー630と同一であるときには、接着剤層634は、所定の厚さを有することが可能であり、それが、層124、126、128、130、及び140を通って延在している開口部222を通して下側の透明導電層122に接触することができるようになっている。一実施例では、厚さは、最大で900ミクロンである。より薄い接着剤層634は、上側の透明導電層130とバッキング基板632との間の抵抗を、より厚い接着剤層634よりも相対的に低く維持することを助けることが可能である。別の実施例では、厚さは、最大で300ミクロン、又は、最大で95ミクロンであることが可能である。接着剤層634がバッキング基板632の表面に沿って不連続的である場合には、バス・バー630は、適正に接着していない可能性がある。一実施例では、バス・バー630は、少なくとも1.1ミクロンの厚さを有することが可能である。
【0038】
必要とされるか又は望まれる場合には、バス・バー630は、所望の形状を実現するために、カットされるか、又は、マシン・プレスなどされ得る。リリース・フィルム(図示せず)が除去され得、バス・バー630が適用され得、接着剤層634が孔部240を通って延在し、上側の透明導電層130に接触する。一実施例では、ローラーが使用され、バス・バー630を押し付け、上側の透明導電層130への適正な接着及び電気的接触を保証することが可能である。
【0039】
2. バス・バー622
バス・バー622に関する設計考慮事項は、バス・バー630と比較して厳しくない。一実施例では、バス・バー622は、バス・バー630に関して説明されているような材料、構成、及び設計のいずれかを含むことが可能である。バス・バー622及び630が同一であるときには、在庫管理がより容易になり、ミス加工(間違った透明導電層にバス・バーを取り付ける)の可能性が軽減される。
【0040】
別の実施例では、バス・バー622は、バス・バー630とは異なる材料又は設計を有している。たとえば、バス・バー622は、デバイスにそれほど悪影響を与えることなく、銀を含むことが可能である。さらに、バス・バー622は、異なるプロセスを使用して形成され得る。たとえば、バス・バー622は、銀フリット(silver frit)を含むインクなどのような導電性インクの形態で適用されて焼かれ得る。したがって、バス・バーと比較して、バス・バー622に対する選択の幅がより大きく存在する。
【0041】
別の実施例では、中間層140から下側の透明導電層122へ移行するときのステップ高さは、透明導電層122に接触するバス・バー622の厚さと比較して重要である可能性がある。そのような実施例では、層124、126、128、130、及び140は、トレンチ222を画定するようにパターン化され得、トレンチ222がバス・バー622の幅よりも広くなる。より広いトレンチ222は、バス・バー622と下側の透明導電層122との間に、より良好な(より低い)接触抵抗を可能にすることができる。
【0042】
さらなる実施例では、導電性材料は、バス・バー622を適用する前に、開口部222の中に形成され得る。導電性材料は、バス・バー622の接着剤層が孔部222の中へ延在するために必要とする深さを低減させることを助けることが可能である。導電性材料が使用されるときに、バス・バー622の中の接着剤層の厚さは、より薄くすることが可能であり、より低い抵抗接続を提供することが可能である。導電性材料は、導電性粒子を含むインクとして適用され得、バス・バー622及び630を適用する前に焼かれ得る。
【0043】
D. その後の加工
必要とされるか又は望まれる場合には、基板100は、個々のパネルへとカットされ得るマザーボードの形態とすることが可能である。層122、124、126、128、130、及び140のスタックの一部分は、マザーボードが個々の非発光式の可変透過パネルへとカットされることとなる領域において除去され得る。それぞれの個々のパネルは、電極層124及び128並びにイオン導電層126の一部分を含む非発光式の可変透過デバイスを含む。一実施例では、下側の透明導電層122を除去するために、及び、下にある基板100を露出させるために、除去が拡張され得ることを除いて、除去は、孔部222に関して以前に説明されている技法のいずれかを使用して実施され得る。除去の後に、マザーボードはカットされ、マザーボードを個々の非発光式の可変透過デバイスへと分離することが可能である。カッティング・レーンに沿ってマザーボードを露出させるために層の一部分を除去すること、及び、マザーボードを個々の非発光式の可変透過デバイスへとカットすることは、バス・バー622及び630が1セットの層120の上に配設される前又は後に実施され得る。代替的な実施例では、基板100は、層122、124、126、128、130、及び140を形成する前に、仕上げられた非発光式の可変透過デバイスに対応する形状を有することが可能である。したがって、除去動作又はカッティング動作は、すべての実施例において必要とされるわけではない。
【0044】
図7は、例示的な断熱ガラス・ユニット700の図示を含む。断熱ガラス・ユニット700は、外側基板730、1セットの層120、及び基板100を含む。図7の中では識別されないが、1セットの層120は、層122、124、126、128、130、及び140を含む。バス・バー622及び630は、存在しているが、図7には図示されていない。層間体750が、外側基板730と1セットの層120との間に配設されている。層間体750は、ラミネーション接着剤であることが可能である。層間体750は、熱可塑性物質、たとえば、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、又はポリビニルブチラール(PVB)などを含むことが可能である。外側基板730は、ペイン760に連結されている。外側基板730及びペイン760のそれぞれは、強化された又は焼き戻しされたガラスであることが可能であり、2mmから7mmの範囲にある厚さを有することが可能である。低放射率層742が、ペイン760の内側表面に沿って配設され得る。基板100及びペイン760は、スペーサー・バー743によって離間され得る。スペーサー・バー743は、シール744を介して基板100及びペイン760に連結されている。シール744は、ポリイソブチレンなどのようなポリマーであることが可能である。接着ジョイント745は、基板100及びペイン760を一緒に保持するように設計されており、基板100及びペイン760の縁部の周囲全体に沿って提供されている。IGU700の内部スペース770は、希ガス又は清浄な乾燥空気などのような、比較的に不活性ガスを含むことが可能である。別の実施例では、内部スペース770は、真空にされ得る。
【0045】
図8は、別の例示的な断熱ガラス・ユニット800の図示を含む。断熱ガラス・ユニット800は、1セットの層120が外側の別個の基板730の反対側にあることを除いて、断熱ガラス・ユニット700のものと同様の非発光式の可変透過デバイスを含む。層間体750は、外側基板730と基板100との間に配設されている。
【0046】
別の実施例では、IGUに関する異なる構成が使用され得る。この明細書を読んだ後に、当業者は、特定の用途に関する必要性又は要望を満たすために、IGUに関する設計を決定することができることとなる。
【0047】
非発光式の可変透過デバイスは、車両ウィンドウ、たとえば、ムーン・ルーフ又は乗客サイド・ウィンドウの一部などの形態とすることが可能である。曲げ動作又は成形動作が、たとえば、車両の湾曲に一致するようにわずかに湾曲しているなど、所望の形状を実現するために実施され得る。
【0048】
別の後続の動作が、以前に説明されている別の動作とともに、又は、その代わりに実施され得る。したがって、後続の加工に関係付けられる実施例は、単に例示目的のものに過ぎず、添付の特許請求の範囲に定義されているような本発明の範囲を限定しない。
【0049】
多くの異なる態様及び実施例が可能である。それらの態様及び実施例のうちのいくつかが、下記に説明されている。この明細書を読んだ後に、当業者は、それらの態様及び実施例が、単に例示目的のものに過ぎず、本発明の範囲を限定しないことを認識することとなる。例示的な実施例は、下記に列挙されているもののうちの任意の1つ又は複数にしたがっている可能性がある。
【0050】
「実施例1」
エレクトロクロミック・スタックと、エレクトロクロミック・スタックを覆う第1の透明導電層と、第1の透明導電層を覆い、第1の孔部を画定している中間層と、第1の導電性テープを含む第1のバス・バーであって、第1の導電性テープは、第1の孔部の中へ延在し、第1の透明導電層に接触している、第1のバス・バーとを含む、非発光式の可変透過デバイス。
【0051】
「実施例2」
中間層は、第1の透明導電層に直接的に接触している、実施例1に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0052】
「実施例3」
エレクトロクロミック・スタックの下に配設されている第2の透明導電層をさらに含む、実施例1又は2に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0053】
「実施例4」
エレクトロクロミック層をさらに含む、実施例3に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0054】
「実施例5」
イオン貯蔵層、イオン導電層、又は、イオン貯蔵層及びイオン導電層の両方をさらに含む、実施例4に記載のエレクトロクロミック・デバイス。
【0055】
「実施例6」
第2の導電性テープを含む第2のバス・バーをさらに含み、第2のバス・バーの第2の導電性テープは、中間層の第2の孔部の中へ延在し、第2の透明導電層に接触しており、第1の孔部は、第2の孔部から離間されている、実施例3から5までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0056】
「実施例7」
第1のバス・バーは、エレクトロクロミック・スタックの任意の層又は第2の透明導電層に接触しない、実施例3から6までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0057】
「実施例8」
第1の孔部及び第2の孔部のうちの少なくとも1つは、中間層を通って第1の透明導電層へ延在する孔部のパターンを含む、実施例1から7までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0058】
「実施例9」
孔部のパターンは、スポットの行列を含むスポット・パターン、離間された1セットのラインを含むライン・パターン、又は、1セットの重なり合うラインを含むライン・パターンを含む、実施例8に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0059】
「実施例10」
第1の透明導電層は、第1の孔部の下の場所において第1の厚さを有しており、第1の孔部から離間されている別の場所において第2の厚さを有しており、第1の厚さは、第2の厚さよりも小さい、実施例1から9までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0060】
「実施例11」
第1の厚さは、第2の厚さの厚さの少なくとも90%であるか、少なくとも95%であるか、又は少なくとも99%である、実施例10に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0061】
「実施例12」
第1の厚さと第2の厚さとの間の差は、2nm以下であるか、1.5nm以下であるか、1nm以下であるか、又は0.5nm以下である、実施例10又は11に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0062】
「実施例13」
第1の導電性テープは、バッキング基板及び導電性接着剤を含む、実施例1から12までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0063】
「実施例14」
導電性接着剤は、第1の透明導電層の中にも含有される元素又は化合物を含む、実施例13に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0064】
「実施例15」
導電性接着剤は、銅、金、炭素、チタン、スズ、亜鉛、これらの合金、これらの酸化物、これらの窒化物、又は、これらの任意の組み合わせを含む、実施例13又は14に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0065】
「実施例16」
第1の透明導電層及び第2の透明導電層のうちの少なくとも1つは、金属、金属酸化物、炭素系の材料、又は、それらの任意の組み合わせを含む、実施例1から15までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0066】
「実施例17」
金属酸化物は、酸化スズ若しくは酸化亜鉛、フッ素化された酸化スズ、又はスルホン化ポリマー、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などを含み、酸化スズ又は酸化亜鉛のいずれかは、Al、Ga、若しくはInなどのような三価の元素によってドープされ得る、実施例16に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0067】
「実施例18」
金属は、金、銀、銅、炭素、ニッケル、アルミニウム、又は、これらの任意の組み合わせを含む、実施例16に記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0068】
「実施例19」
導電性接着剤は、銀を含有していない、実施例13から18までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0069】
「実施例20」
第1及び第2のバス・バーのうちの少なくとも1つは、1μΩcmから7μΩcmの範囲にあるか、1.5μΩcmから6.5μΩcmの範囲にあるか、又は、2μΩcmから6μΩcmの範囲にある抵抗率を有するバッキング基板を有している、実施例1から19までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイス。
【0070】
「実施例21」
非発光式の可変透過デバイスを形成する方法であって、本方法は、エレクトロクロミック・スタックを提供するステップと、エレクトロクロミック・スタックの上に第1の透明導電層を形成するステップと、第1の透明導電層の上に中間層を形成するステップと、第1の透明導電層まで延在する第1の孔部を画定するように、中間層をパターニングするステップと、中間層に隣接して第1のバス・バーを配設するステップであって、第1のバス・バーは、第1の孔部の中へ延在し、第1の透明導電層に接触している、ステップとを含む、方法。
【0071】
「実施例22」
非発光式の可変透過デバイスは、実施例1から20までのいずれか1つに記載の非発光式の可変透過デバイスを含む、実施例21に記載の方法。
【0072】
「実施例23」
中間層をパターニングするステップは、中間層にレーザー・アブレーション加工を実施するステップを含む、実施例21又は22に記載の方法。
【0073】
「実施例24」
レーザー・アブレーション加工が、最大で1000フェムト秒の、最大で700フェムト秒の、最大で500フェムト秒の、又は最大で300フェムト秒のパルス持続期間を有するレーザーを使用して実施される、実施例21から23までのいずれか1つに記載の方法。
【0074】
「実施例25」
中間層をパターニングするステップは、スポット・パターン又はライン・パターンを含む孔部のパターンを形成するステップを含む、実施例21から24までのいずれか1つに記載の方法。
【0075】
「実施例26」
パターンは、スポットの行列、1セットの個別のライン、又は1セットの重なり合うラインを含む、実施例25に記載の方法。
【0076】
「実施例27」
孔部の下の場所における第1の透明導電層の厚さと、孔部を形成するために中間層をパターニングする前の場所における第1の透明導電層の厚さとの間の差は、最大で2nmであるか、最大で1.5nmであるか、最大で1nmであるか、又は、最大で0.5nmである、実施例21から26までのいずれか1つに記載の方法。
【0077】
「実施例28」
孔部の下の場所における第1の導電層の厚さは、孔部を形成するために中間層をパターニングする前の場所における透明導電層の厚さの少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%である、実施例21から27までのいずれか1つに記載の方法。
【0078】
「実施例29」
第1のバス・バーを配設するステップは、中間層に隣接して導電性テープを適用するステップを含み、導電性テープは、バッキング基板及び導電性接着剤を含む、実施例21から28までのいずれか1つに記載の方法。
【0079】
「実施例30」
方法は、中間層に隣接して第2のバス・バーを配設するステップをさらに含み、第2のバス・バーは、中間層の中の第2の孔部の中へ延在し、第2の透明導電層に接触している、実施例21から29までのいずれか1つに記載の方法。
【0080】
「実施例31」
中間層は、絶縁層を含む、先行する実施例のいずれかに1つに記載の非発光式のデバイス又は方法。
【0081】
「実施例32」
中間層は、反射防止層である、先行する実施例のいずれかに1つに記載の非発光式のデバイス又は方法。
【0082】
「実施例33」
アクティブ・スタックは、エレクトロクロミック・スタックである、先行する実施例のいずれかに1つに記載の非発光式のデバイス又は方法。
【0083】
E. 実例
反射防止層の中の孔部を通して上側の透明導電層に接触しているバス・バーを備えた非発光式の可変透過デバイスを実証するために、実例が提供されており、ここで、上側の透明導電層の一部分は、孔部の下で、及び、反射防止層の残りの部分の下で、ほぼ同じである。図9は、反射防止層940の中の孔部において上側の透明導電層930に接触しているバス・バー960を含む非発光式の可変透過デバイスを図示する走査型電子顕微鏡画像を含む。バス・バー960は、バッキング基板962及び接着剤層964を含む。
【0084】
1セットの層920が、透明なガラス基板900の上に形成された。層は、インジウムがドープされた酸化スズ(ITO:indium-doped tin oxide)を含む下側の透明導電層922と、WO3を含むエレクトロクロミック層924と、シリカを含むイオン導電層926と、Li-Ni-W酸化物材料を含むイオン貯蔵層928と、ITOを含む上側の透明導電層930と、シリカを含む反射防止層940とを含んでいた。層924、926、及び928のうちの1つ又は複数は、Liを含んでいた。形成されたときに、上側の透明導電層930は、420nmの厚さを有しており、反射防止層940は、75nmの厚さを有していた。反射防止層940は、おおよそ0.5J/cm2のエネルギー密度、及び、50%のレーザー・オーバーラップにおいて、300fsのパルス持続期間において、515nmの波長を有するグリーン・レーザー・ビームを使用してパターン化された。バス・バー960は、反射防止層940の上に、及び、反射防止層940を通って延在する孔部942の中に配設された。バス・バー960は、35ミクロン厚さの電子グレードのスズでコーティングされた銅フォイル、及び、25ミクロン厚さの導電性接着剤を有する、EL-90038(商標)ブランドのバス・バー・テープ(Glen Rock、PA、USAのAdhesives Research,Inc.から入手可能である)であった。
【0085】
図9において見られるように、反射防止層940の中の孔部942の下にある上側の透明導電層930のうちの非常にわずかが除去された。上側の透明導電層930のおおよそ20nmだけが、開口部の中で除去された。図10は、わずかな角度における上面図を含む。上側の透明導電層930が、孔部の中で露出されており、下にある層はいずれも露出されていない。
【0086】
図11の中で使用されるパルス持続期間が1psであり、図12の中で使用されるパルス持続期間が10psであることを除いて、図11及び図12は、図9と同様である。図11において見られるように、1psのパルス持続期間は、上側の透明導電層930の下にある任意の層を露出させることなく使用され得る。とりわけ、1psのパルス持続期間は、イオン貯蔵層928を露出させることなく使用され得る。上側の透明導電層930は、孔部1142の中に見ることができるが、イオン貯蔵層928の中に見ることはできない。図12では、10psのパルス持続期間が使用されている。図9から図11に図示されている実施例とは異なり、孔部1242の中心の中の上側の透明導電層930の厚さ全体、及び、イオン貯蔵層928の一部分が、孔部を形成するときに露出されて損傷を与えられる。したがって、1psのパルス持続期間が使用され得る。しかし、10psのパルス持続期間は、上側の透明導電層930を露出させるために反射防止層940をパターニングするときに、下にある層を露出させて損傷を与える重大なリスクを引き起こす。
【0087】
新しいバス・バー・アーキテクチャー及び形成する方法が、導電性を改善した(より低い抵抗)。新しいバス・バー・アーキテクチャーは、バス・バー長さのおおよそ3.3mオーム/mの抵抗を有している。バス・バーのための銀フリット・インクを使用する比較例のアーキテクチャーは、バス・バー長さのおおよそ5.4mオーム/mの抵抗を有している。したがって、抵抗は、新しいバス・バー・アーキテクチャーによって、おおよそ40%低くなる。
【0088】
F. 利益
実施例は、非発光式の可変透過デバイスに関する従来の設計及びプロセスと比較して、利益を提供することが可能である。上側の透明導電層に関するバス・バーの適正な材料の選択及び設計は、下側の透明導電層をカットする必要なしに、上側の透明導電層への電気的な接続部が作製されることを可能にする。とりわけ、バス・バーに関する材料の選択は、バス・バーの中の材料及び下にある層の中の材料との著しい有害な相互作用なしに、十分な導電性を提供する。したがって、通常動作時の導電性の下では高過ぎる電気的短絡又は漏洩電流が軽減され得る。改善された制御は、比較的に薄い反射防止性を可能にすることができる。
【0089】
パターニングにおける改善された制御は、比較的に薄い中間層が使用されることを可能にする。パターニングがアブレーションを使用して実施されるときには、レーザーに関する動作パラメーターは、下にある層(たとえば、上側の透明導電層など)の多くを除去し過ぎることなく、中間層の選択的な除去を可能にするように選択され得る。
【0090】
上記に説明されているプロセス・フローは、フレキシブルなものであり、孔部、孔部、又は高抵抗領域を形成する際のパターニング動作のうちの多くは、多くの異なる順序で実施され得る。したがって、プロセス・フローは、そのような動作が実施され得る特定の用途又は設備若しくは設備の組み合わせに関する必要性又は要望に適合され得る。
【0091】
全体的な説明又は実例の中に上記に説明されている活動のすべてが必要とされるわけではないこと、特定の活動の一部分は必要とされない可能性があること、及び、説明されているものに加えて1つ又は複数のさらなる活動が実施され得ることに留意されたい。さらには、活動が列挙されている順序は、必ずしも、それらが実施される順序であるわけではない。
【0092】
明確化のために別個の実施例の文脈において本明細書で説明されている特定の特徴は、また、単一の実施例の中で組み合わせて提供され得る。逆に、簡潔化のために単一の実施例の文脈において説明されているさまざまな特徴が、また、別個に又は任意のサブコンビネーションで提供され得る。さらに、範囲で記述されている値への参照は、その範囲の中のそれぞれの値及びすべての値を含む。
【0093】
利益、他の利点、及び、課題に対する解決策が、特定の実施例に関して上記に説明されてきた。しかし、利益、利点、課題に対する解決策、並びに、任意の利益、利点、又は解決策が起こること又はより顕著になることを引き起こすことができる任意の特徴は、任意の又はすべての請求項の重要な、必要な、又は必須の特徴として解釈されるべきではない。
【0094】
本明細書、及び、本明細書で説明されている実施例の図示は、さまざまな実施例の構造の一般的な理解を提供することが意図されている。本明細書及び図示は、本明細書で説明されている構造又は方法を使用する装置及びシステムの要素及び特徴のすべての徹底的な及び包括的な説明としての役割を果たすことを意図していない。また、別個の実施例が、単一の実施例の中に組み合わせて提供され得、逆に、簡潔化のために単一の実施例の文脈において説明されているさまざまな特徴が、また、別個に又は任意のサブコンビネーションで提供され得る。さらに、範囲で記述されている値への参照は、その範囲の中のそれぞれの値及びすべての値を含む。多くの他の実施例が、この明細書を読んだ後にのみ、当業者に明らかになり得る。他の実施例が、本開示から使用及び導出され得、構造的置換、論理的置換、又は別の変更が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得る。したがって、本開示は、制限的なものであるというよりもむしろ例示目的のものとして見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12