(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電荷共有キャリブレーション方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/17 20060101AFI20220112BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20220112BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220112BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20220112BHJP
【FI】
G01T1/17 A
G01T1/24
A61B6/03 320R
G01N23/04
(21)【出願番号】P 2020537542
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(86)【国際出願番号】 EP2019050323
(87)【国際公開番号】W WO2019137901
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-08-12
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュテットマン,ボーカー ロガー
(72)【発明者】
【氏名】レッスル,エヴァルト
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0322319(US,A1)
【文献】特開2009-78143(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085304(WO,A1)
【文献】特開2017-9504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 -1/16
1/167-7/12
A61B 6/00 -6/14
G01N23/00-23/227
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイティブピクセルサイズを有している検出器サブシステムを有するX線イメージング装置と、
信号処理システム
と
を有し、
前記信号処理システムは、
X線放射曝露に応答して前記検出器サブシステムで生成された信号を結合
し、第1データセット及び第2データセットの少なくとも一方を取得するよう構成される結合器
であり、前記第1データセット及び前記第2データセットの一方ではピクセルサイズが前記ネイティブピクセルサイズであり、他方のデータセットでは前記ネイティブピクセルサイズの倍数である、前記結合器と
、
2つの前記データセットに基づいて、相関係数を有する関数モデル
によって電荷共有効果の推定値を計算するよう構成される推定器と
、
前記電荷共有効果について、前記推定値に基づいて、前記検出器サブシステ
ム又は他の検出器によって生成された第3データセットを
補正するよう構成される
補正器と
を有する、
撮像装置。
【請求項2】
前記結合器は、前記検出器サブシステムで生成された
前記信号をビニングするビニング回路を含む、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記推定器は、前記推定値を得るように前記第1データセット及び前記第2データセットに従う値に基づいて1つ以上の比を形成することによって前記相関係数を形成するよう構成される、
請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記検出器サブシステムは、エネルギ分解型である、
請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項5】
第1
データセット及び第2データセット
の少なくとも一方を取得するように
、ネイティブピクセルサイズを有している検出器サブシステムによってX線放射曝露に応答して生成された信号を結合すること
であり、前記第1データセット及び前記第2データセットの一方ではピクセルサイズが前記ネイティブピクセルサイズであり、他方のデータセットでは前記ネイティブピクセルサイズの倍数である、前記結合することと
、
2つの前記データセットに基づいて、相関係数を有する関数モデルを用いて電荷共有効果の推定値を計算することと、
前記推定値に基づいて、
前記電荷共有効果について、前記検出器サブシステムによって又は他の検出器によって生成された第3データセット
を補正することと
を有する信号処理方法。
【請求項6】
少なくとも1つの処理ユニットによって実行される場合に、該
少なくとも1つの処理ユニット
に、
第1データセット及び第2データセットの少なくとも一方を取得するように、ネイティブピクセルサイズを有している検出器サブシステムによってX線放射曝露に応答して生成された信号を結合することであり、前記第1データセット及び前記第2データセットの一方ではピクセルサイズが前記ネイティブピクセルサイズであり、他方のデータセットでは前記ネイティブピクセルサイズの倍数である、前記結合することと、
2つの前記データセットに基づいて、相関係数を有する関数モデルを用いて電荷共有効果の推定値を計算することと、
前記推定値に基づいて、前記電荷共有効果について、前記検出器サブシステムによって又は他の検出器によって生成された第3データセットを補正することと
を有する信号処理方法を実行させる
実行可能命令を記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理システム、信号処理方法、撮像装置、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体に関係がある。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(Computed Tomography,CT)スキャナ、X線写真装置、又は他のような、いくつかのX線イメージング装置は、エネルギ弁別検出器を使用する。単にエネルギ集積である従来型の検出器とは違って、エネルギ弁別検出器システムは、X線放射のエネルギスペクトルを解析することができる。この追加情報の取り出しは、例えば、撮像されたサンプルの物質組成に関して知ることをスペクトルイメージングに可能にする。
【0003】
そのようなエネルギ弁別検出器システムの1つのタイプは、直接変換光子計数検出器である。これらは、検出器信号へのX線放射の変換のために、大部分は構造化されていない半導体を使用する。構造化又は“ピクシレーション”は、複数の電極を半導体上に配置することによって達成される。電極は、衝突する光子により半導体内で形成される電荷雲によって引き起こされる光子事象を記録する。電極は、スペクトル画像データへと処理され得る電気パルスの形で検出器信号を供給する。
【0004】
“電荷共有”の望ましくない現象は、このようなタイプの検出器又は同様の事象カウンタで起こることがある。“電荷共有”は、極めて同じ光子事象が1よりも多い電極によって記録される効果であり、これは、イメージング装置のエネルギ弁別機能を乱す可能性がある。
【0005】
電荷共有の影響を小さくする1つの方法は、異なるピクセルの検出された信号を解析するアルゴリズムを使用することである。電荷共有事象の場合に、パルス高さが小さい多くのパルスは、隣接するピクセルにおいて同時に検出される。パルス高さは、最初のパルス高さを回復するよう結合され得る。
【発明の概要】
【0006】
事象計数に基づくイメージングを改善する代替方法が必要とされ得る。
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の対象によって解消され、更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれている。以下で記載される態様は、イメージングモジュール及びイメージング装置に同様に適用されることが留意されるべきである。
【0008】
本発明の第1の態様に従って、
第1ピクセルサイズでX線検出器サブシステムによって生成された第1データセットと、第1ピクセルサイズとは異なる第2ピクセルサイズで生成された第2データセットとを含む少なくとも2つのデータセットを受ける入力インターフェースと、
2つのデータセットに基づいて電荷共有効果の推定値を計算するよう構成される推定器と
を有する信号処理システムが提供される。
【0009】
すなわち、ピクセルサイズは変化してよく、データセットは、少なくとも2つのピクセルサイズの夫々の測定に相当する。これらの測定は、次いで、所与の検出器サブシステムにおける電荷共有効果を評価するために処理される。
【0010】
より具体的には、一実施形態に従って、検出器サブシステムはネイティブピクセルサイズを有し、第1及び第2ピクセルサイズの一方はネイティブピクセルサイズであり、かつ/あるいは、第2及び第1ピクセルサイズの少なくとも一方はネイティブピクセルサイズの倍数である。
【0011】
ピクセルサイズ(又は面積)は、ときどきピッチを用いて表現され、実効面積に相当し、それにより、測定は、例えば、ネイティブピクセルのグループから集められ、結合される。具体的に、検出器ピクセルのグループは、単一のリードアウトチャネルに結合又はビニングされる。
【0012】
より具体的には、一実施形態で、データセットは、結合器(システムの部分であってよい)の動作によって取得される。結合器は、少なくとも第1又は第2データセットを取得するように、X線放射曝露に応答して検出器サブシステムによって生成された信号を結合するよう構成される。
【0013】
一実施形態に従って、結合器は、X線検出器サブシステムで生成された信号をビニングするビニング回路を含む。他の加算回路も、代わりに、又は組み合わせて使用されてよい。
【0014】
一実施形態に従って、推定器は、推定値を得るように、第1及び第2データセットに従う値に基づいて1つ以上の比を形成するよう構成される。
【0015】
一実施形態に従って、システムは、検出器サブシステムによって又は他の検出器によって生成された第3データセットを推定値に基づいて電荷共有補正するよう構成される補正器を有する。イメージングフェーズの前にキャリブレーションフェーズでキャリブレーションデータとして先に一緒に収集される第1及び第2データセットとは対照的に、第3データセットはイメージングフェーズで収集され、第3データセットにおける信号は、撮像対象に関して収集される。
【0016】
一実施形態に従って、検出器サブシステムは、エネルギ分解型(又は光子計数型)である。
【0017】
本発明の第2の態様に従って、i)上記の実施形態のいずれか1つに従う信号処理システムと、ii)検出サブシステムを備えるX線イメージング装置とを有する撮像装置が提供される。X線イメージング装置は、CTスキャナ又はCアームシステムなどのように回転可能であってよいが、投影X線撮影システムなどの他のシステムも、本明細書で除外されない。
【0018】
本発明の第3の態様に従って、
第1ピクセルサイズでX線検出器サブシステムによって生成された第1データセットと、第1ピクセルサイズとは異なる第2ピクセルサイズで生成された第2データセットとを含む少なくとも2つのデータセットを受けることと、
2つのデータセットに基づいて電荷共有効果の推定値を計算することと
を有する信号処理方法が提供される。
【0019】
一実施形態に従って、方法は、推定値に基づいて、検出器サブシステムによって又は他の検出器サブシステムによって生成された第3データセットを電荷共有効果について補正することを有する。
【0020】
本発明の第4の態様に従って、少なくとも1つの(データ)処理ユニットによって実行される場合に、処理ユニットに、上記の態様又は実施形態のいずれか1つに従う方法を実行させるよう構成されるコンピュータプログラム要素が提供される。
【0021】
本発明の第5の態様に従って、プログラム要素を記憶しているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0022】
提案されているシステム及び方法は、極めて高いX線フラックスに対処するために必要とされるエネルギ分解型光子計数検出器で特に使用されるような、極めて小さいピクセルサイズによるイメージングをサポートすることを可能にする。しかしながら、ピクセルサイズを低減することは、エネルギ性能を危うくする電荷共有の悪影響によって制約される。そのため、ピクセルサイズは、フラックス能力及びエネルギ分解能のニーズのバランスをとるよう選択される。
【0023】
提案されているシステムは、高フラックスで高レート能力を提供する。
【0024】
提案されている電荷共有補償システムは、異なる検出器ピクセル構成で取得されたキャリブレーションデータ(上記の第1及び第2データセット)を処理するよう構成されるソフトウェアにおいて実装されてよい。リードアウトエレクトロニクスは、2つ以上の有効なピクセルサイズでキャリブレーションデータを取ることを可能にするために、上記の結合器を組み込むことによって適応されてよい。大きい同等のピクセルサイズ/ピッチでのキャリブレーションデータは、より小さいピクセルピッチで取得されたキャリブレーションデータの個別の組における電荷共有の影響を推定するために使用可能である。キャリブレーションデータのこの解析は、全ての臨床的に関連があるプロトコルに供するために必要とされ得る公称の小さいピクセルピッチを用いて取得された投影/画像データに対する電荷共有を補償するように補正データを定式化することを可能にする。
【0025】
本発明の例となる実施形態が、これより、以下の図(実寸通りではない)を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】X線放射コンポーネントを備えたX線検出器モジュールの断面図を示す。
【
図3】第1実施形態に従うX線データ取得システムの略回路図を示す。
【
図4】電荷共有推定のための信号処理システムの略ブロック図を示す。
【
図5】第2実施形態に従うX線データ取得システムの略回路図を示す。
【
図7】キャリブレーションデータを取得する方法ステップのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照して、コンピュータ断層撮像装置、投影X線撮影、などのようなX線イメージング装置XI(本明細書では「イメージャ」と呼ばれる)を含むX線撮像装置100の略ブロック図が示されている。
【0028】
イメージャXIは、特に、対象OBの内部構造及び/又は物質組成に関して、イメージを生成するよう構成される。対象OBは、有生物又は無生物であってよい。特に、対象は、患者若しくは患畜又はその部分である。
【0029】
X線イメージャXIは、望ましくは、医療分野におけるスペクトル又は光子計数(エネルギ分解)イメージングのために特に想定されているが、手荷物検査または非破壊物質検査(Non-Destructive material Testing,NDT)などのような、非医療分野における他の用途も本明細書で除外されない。
【0030】
X線イメージング装置XIは、X線を放射するよう構成されたX線源XSを含む。
【0031】
X線源XSから隔てて、試験領域にわたって、X線感知検出器モジュールXDが配置されている。X線感知検出器モジュールXDは、データ取得回路DASへ結合されている。X線感知検出器モジュールXD及びデータ取得回路DASは一緒に、撮像装置100のX線検出器(サブ)システムXDSを形成する。モジュール及びDASは、1つのユニットに一体化されてよく、あるいは、個別的に離れて配置されてもよいが、通信上結合されている。
【0032】
検出器モジュールXDは、X線放射を電気信号に変換するトランスデューサであり、電気信号は、次いで、(以下で更に詳細に記載される様態で)データ取得回路DAS(本明細書では単に「DAS」と呼ばれる)によって数字(検出器信号)へと処理される。検出器信号は、画像プロセッサIPによって、必要とされるイメージへと処理され得る。画像に望まれる数量又はコントラストに応じて、画像プロセッサは、(3Dイメージのための)フィルタ補正逆投影法(filtered back-projection)、位相コントラスト再構成(phase contrast reconstruction)、暗視野再構成(fark-field reconstruction)、伝送再構成(transmission reconstruction)又はそれらの任意の組み合わせなどの適切な画像処理アルゴリズムを実装する。イメージは、表示デバイスDU(例えば、モニタ)での表示のためにレンダリングされてよく、あるいは、別なふうに更に処理されてよく、あるいは、メモリDBに格納されてよい。
【0033】
撮像中、撮像対象OB(又はその部分)は、X線源XSとX線検出器XDとの間の試験領域内にある。X線源XSは、ユーザによって制御ユニット(図示せず)を通じて給電される。次いで、X線源XSは、試験領域及び撮像対象OBを横切るX線ビームXBの形でX線放射を発する。X線ビームは、X線源XSによって生成されるX線放射のスペクトルによって定義される異なるエネルギの光子から成る。
【0034】
X線光子は、対象OB内の物体と相互作用する。例えば、光子の一部は物体によって吸収され、一方、他の光子は、(X線源から見た)物体の向こう側で表に現れ、それからX線感知検出器XDと相互作用する。対象OB飲む高側で表に現れる光子の一部は、対象OB内の物体とのそれらの相互作用のために散乱され、一方、他の光子は、散乱されずに現れる。散乱除去グリッド(anti-scatter grid)が、検出器システムに届くよう散乱光子を防いで画像品質を改善するために使用されてよい。
【0035】
X線ビームにおける各光子は、一定のエネルギを有している。本明細書で主に想像されているX線イメージャXIは、光子が検出器モジュールXDと相互作用する様態を定量化するよう事象計数の能力がある。1つの特定の実施形態では、X線イメージャは、検出されたX線放射/光子のスペクトル解析を可能にするスペクトルイメージャである。この能力は、例えば、対象の物質分解を可能にする。すなわち、検出された放射は、例えば、対象内の種々のタイプの物質組織を識別するよう解析され得る。
【0036】
より具体的には、光子は、対象OBとの相互作用の後、X線検出器XDのX線感知レイヤと相互作用して電気信号を引き起こす。電気信号は、次いで、DAS内で捕捉され処理される。
【0037】
本明細書で提案されている撮像装置100は、検出器システムXDSで起こる電荷共有効果について検出器信号を補正するよう構成される新規の信号処理システムSPSを含む。電荷共有は、検出器信号の忠実性を貶める効果である。考慮されない場合に、電荷共有は、画像品質及びスペクトル分離を台無しにする可能性がある。
【0038】
新たに提案されている信号処理システムSPSの動作を見る前に、最初に、電荷共有について更に詳細に説明するために、
図2を参照する。
図2は、検出器サブシステムXDS
、特にX線モジュールXD、及びDASの部分の断面図を示す。断面は、X線放射XBの主たる伝搬方向pと平行である。
【0039】
検出器モジュールXDは、望ましくは、直接変換器タイプである。より具体的には、検出器XDは、X線放射感知コンポーネントとして、直接変換レイヤDLを含む。直接変換レイヤDLは、適切な半導体から形成される。半導体は、シリコン、CdTe、CZT、GaAs及びGe、並びに他などの結晶構造を有している。検出器XDユニットの全体と同様に、変換レイヤDLは、一般的に長方形形状であって、アレイを形成する。
図2を考慮して、レイヤの他の長さ寸法は、図の紙面に及ぶ。直接変換レイヤDLはトランスデューサとして動作する。言い換えれば、衝突する光子が電気信号を生成するのは、このレイヤDLの至る所である。具体的に、変換レイヤは、電極ELの対の間に挟まれている。
図2の断面図では、変換レイヤDLの遠位面に配置されているアノードのみが示されている。電極ELは、直接変換レイヤDLの遠位面上でパターンにおいて一定の距離Dで間隔をあけられている。各電極ELはネイティブサイズ(事実上、面積)dを有している。サイズはまた、ピッチとして表されてもよい。電極ELは、別なふうに構造化されていない変換レイヤDLの“ピクシレーション”を定義する。各電極ELは、1つの検出器ピクセルに対応し、ピクセルの全体のアレイからほんの3つのピクセルPX1~3が例として示されている。電極ELは、ときどき本明細書中で略して「ピクセル」と呼ばれる。電極ELは、TFT(thin-field-transistors)のレイヤとして配置されてもよい。電圧が電極及び直接変換レイヤDLにわたって印加される。通常、カソードは、レイヤDLにわたって同じ電圧を印加するためにピクセル化されない。X線光子Xphは、検出器レイヤDL内の結晶に衝突する。光子Xphのエネルギに応じて、多数の電子及び空孔が解放され、さもなければ結晶で束縛される。そうして解放された電子及び空孔はそれ自体が更なる電子及び空孔を解放する、など。印加電圧により、電子及び空孔の主な部分は再結合し、各々の電荷雲CCを形成する。印加電圧によって駆動されると、電荷雲CCはアノードELの方へ(
図2では下向きに)向かって、蒸気の電気信号、具体的に、電気パルスを引き起こす。それから、電気信号はDASによって処理される。
【0040】
光子エネルギの各カウントは事象を表す。イメージャの事象計数能力及びその忠実性の大半は、異なる光子によって引き起こされる電荷雲を区別するその能力に依存する。故に、理想的に、各電極対ELは、一度に1つの光子の電荷雲に応答することになる。あいにく、これは、電荷雲の無視できない有限なサイズのために、常には起こらない。電荷雲が、隣接するピクセルELの間で生成される場合に(
図2に図示)、雲の一部分は、対応する電界によってピクセルの1つへ向けられ、他の部分は、他のピクセルへ向けられる。言い換えれば、続いて起こる電荷雲CCは、2つ以上の、特に隣接する、電極によってとどめられ得る。この望ましくない効果が「電荷共有」と呼ばれる。言い換えれば、直接変換レイヤとの相互作用を通じて単一の光子Xphによって引き起こされる電荷雲CCは、2つ以上のアノード/ピクセルの間で共有される。この電荷共有は、電荷が、アノードによって定義されるピクセルの2つ以上の間で共有されるので、単一の所与の光子を2回又は複数回数えることを生じさせる可能性がある。電荷共有は、従って、イメージャXIのエネルビ弁別能力、最終的には、イメージャの忠実性を害する可能性がある。
【0041】
検出器モジュールXDの上記のアーキテクチャは単に実例であって、電荷共有との関連でX線光子Xphから電気信号への信号チェーンを表すことを目的とする、ことが理解されるだろう。
図2における上記の設計に対する多数の他の変更も本願で考えられている。特に、レイヤDLの代わりに、シンチレータレイヤと、それへ結合されたフォトダイオードレイヤとを含む間接変換タイプの検出器モジュールXDも、代替案において本願で考えられている。間接変換タイプの場合に、ピクシレーションは、シンチレータにおける結晶成長又は機械的な構造化によって少なくとも部分的に与えられる。
【0042】
これより
図3を参照すると、
図3は、一実施形態に従って本願で考えられているDASのリードアウト回路の更なる詳細を示す。左部分は、例となる検出器ピクセルを示す。明りょうさのために、2つのピクセルPX1、PX2のみが示されている。
【0043】
ピクセルPX1、PX2は、衝突する光子Xphのエネルギに大部分が対応する面積となるような大きさ(“高さ”)を有する電気(電流)パルスを生成する。所与のピクセルPX1、PX2で検出される電気パルスの高さは、衝突する光子Xphのエネルギの関数である。光子エネルギが高ければ高いほど、各々のピクセルPX1、PX2で検出され得るパルス振幅はますます高くなる。
【0044】
各ピクセル電極PX1、PX2は、個々のロー信号ライン(又は“(ピクセル)リードアウトチャネル”)CHによってDASの光子計数回路へ結合されている。
【0045】
一実施形態に従って、ピクセルPX1、PX2で生成された電気パルスは、次の方法で光子計数回路によって処理される:任意のコンディショニング回路は、ピクセル218のいずれかによって生成された各電気信号を増幅する前置増幅器320を含む。
【0046】
任意のコンディショニング回路は、増幅された電気信号を検出された光子について処理し、検出された光子を示す電圧/電流又は他のパルスなどの、パルス高さを含む対応するアナログ信号を生成するパルス成形器(図示せず)を更に含んでよい。そうして生成されたパルスは、予め定義された形状又はプロファイルを有している。この例では、パルスは、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有する。
【0047】
エネルギ弁別器325は、アナログパルスをエネルギ弁別する。この例では、エネルギ弁別器325は、アナログ信号の振幅を、特定のエネルギレベルに対応する各々の閾値と夫々比較する複数のコンパレータ330を含む。隣接する閾値はエネルギビンを定義する。別の言い方をすれば、弁別器325は、成形器によって生成された入来パルスの“高さ”を決定するよう動作する。より具体的に、各コンパレータ330は、パルスの振幅がその閾値を超えるかどうかを示す出力カウント信号を生成する。この例では、各コンパレータからの出力信号は、パルス振幅が増大しその閾値をまたぐときにローからハイへ(又はハイからローへ)、及びパルス振幅が低減しその閾値またぐときにハイからローへ(又はローからハイへ)の遷移を含むデジタル信号を生成する。
【0048】
例となるコンパレータの実施形態において、各コンパレータの出力は、振幅が増大しその閾値をまたぐときにローからハイへ、及びパルス振幅が低減しその閾値をまたぐときにハイからローへ遷移する。
【0049】
カウンタ335は、各閾値について立ち上がり(またはいくつかの実施形態では立ち下がり)を夫々数える。カウンタ335は、閾値ごとに単一のカウンタ又は個別的なサブカウンタを含んでよい。任意に、両側ビンの場合のみ、エネルギ閾値の間の範囲に対応するエネルギ範囲又はビンにカウントを割り当てる又はエネルギビニングするエネルギビンナー(図示せず)がある。実際に、高フラックスによる好適な実施形態では、範囲へのビニング動作はなく、記録されるのは、単に閾値交差のカウンタである(すなわち、片側ビニング)。
【0050】
カウントデータ(本明細書ではMと表され、以下で更により詳しく説明される)は、次いで、検出された光子をエネルギ分解するために使用されてよい。別な言い方をすれば、DASの光子計数回路は、各ピクセルPX1、PX2からの各入来パルスのパルス高さを、電圧閾値の数字によって定義されるエネルギビンへと量子化するよう動作する。K(K≧2)(エネルギを示す電圧、アンペア数、又は他の物理量)個の閾値は、閾値の各々1つよりも高いパルス高さを記録するためのK個の異なったエネルギビンを定義することができる。例えば、2つの閾値を超える(すなわち、「交差する」)立ち上がりのパルスは、各々2つの閾値に関連する2つのビンの夫々についてカウントを引き出す。低い方の閾値しか交差されない場合には、1つのカウントしか存在しない、など。しかし、これはほんの一例であり、いくつかの実施形態では、立ち下がりしかカウントを引き出さず、あるいは、立ち上がり及び立ち下がりの両方がカウントを引き出す。
【0051】
光子計数回路は、夫々のピクセルPX1、PX2ごとに、単位時間に記録された各ビンでのカウント数をその出力部で供給する。ビン及びピクセルごとのそれらの光子計数率は、射影的な光子計数データを形成し、これは、公式に、M=(m1,・・・mK)iと記述され得、計数率のベクトルはm
kであり、一方、iは各々のピクセルを表し、1≦k≦Nは使用されるエネルギビンの数である。別な言い方をすれば、mkは、高さがビンkにおさまるパルスがピクセルiで記録された単位時間ごとの回数(カウント)を表す。カウントは、計数率、すなわち、単位時間ごとのカウントを表すようフレームレートによって正規化され得る。なお、正規化は不可欠ではなく、提案されているシステムは、正規化されていないカウントデータに対しても作用し得る。2、3又はそれ以上のエネルギ閾値が存在する。CT又はCアームなどの回転式システムでは、記録される計数率は、異なる投影方向ごとに異なることがあるので、上記の表記法は、投影方向についての追加のインデックスにより補われ得る。この後者の場合に、Mは、CT実施形態におけるサイノグラム(sinogram)を形成する。
【0052】
そうして量子化された事象カウントデータMは、次いで、画像プロセッサIPによって処理される。
【0053】
これより
図4を参照すると、
図4は、イメージXIの動作中に検出器サブシステムXDSにおいて又はそれによって生成されるデータの電荷共有補正のために構成された信号処理システムSPSの略ブロック図を示す。
【0054】
X線検出器サブシステムXDSは、複数の検出器構成において動作可能であるよう構成される。異なる検出器構成においてサブシステムXDSによってキャリブレーション照射において生成されるデータは、その場合に、電荷共有効果を評価又は定量化するために比較され得る。検出器構成は、検出器ユニットXDのピクセルサイズPXによって定義される。検出器ピクセルの1つのそのようなサイズ、ネイティブサイズdは、
図2において先に説明されたピクシレーションを生じさせるハードウェア配置によって与えられる。ピクセルサイズDは、直接変換検出器の場合について
図2で先に説明されたように、リードアウトレイヤにおける電極のサイズによって与えられ得る。代替的に、ネイティブサイズは、間接変換の場合に使用される光子検出器のサイズ及び/又はシンチレーションレイヤにおける結晶成長によって与えられ得る。要するに、ネイティブピクセルサイズは、最良の空間分解能をもたらすようイメージャが動作することができる最小限のサイズである。ネイティブピクセルサイズdは、X線を電気パルスに変換する検出器ユニット内の最小の物理配置である。
【0055】
異なる検出器構成のためのピクセルサイズは、異なる検出器構成、ひいては異なる(仮想又は有効)ピクセルサイズを実現するよう、そのようなネイティブピクセルの倍数に対して検出器信号を結合することによって(例えば、ビニングすることによって)、達成され得る。例えば、データ信号は、4つのネイティブピクセルに関して、ネイティブピクセルサイズdの4倍のサイズを有する“仮想”検出器ピクセルを実現するよう結合されてよい。そのような構成は、“P対1”(P-to-1)と呼ばれ得る。すなわち、Pが1よりも大きい自然数であるとして、1つの仮想ピクセルに対してP個のネイティブピクセルが存在する。具体的に、Pの実際的な値は、2、3、4又は8若しくはそれ以上の2桁の数といったより大きい数を含む。明りょうさのために、P=1を用いると、この表記法では“1対1”が得られ、これは、通常のネイティブピクセルサイズpの構成に対応する構成である。異なる検出器構成は、信号コンバイナ機能COMBによって実現されてよい。
【0056】
再び
図3を参照すると、これは、X線サブシステムXDSに、特に、X線サブシステムXDSの光子計数回路に組み込まれている、一実施形態に従うそのようなコンバイナ機能COMBを示す。具体的に、コンバイナCOMBは、2つのピクセルPX1及びPX2を単一のチャネルにビニングして2対1検出器構成をもたらし、それによって空間分解能を半分に減らすビンナーとして実現される。これを達成するために、コンバイナCOMBは、
図3に示されるように、スイッチS1、S2=バーS1を含む。スイッチは、リードアウトチャネルCHを下る電気信号を捕捉し結合するよう配置され、“バー”(図中、S1の上のバー)は、スイッチS1の2つの状態“開(オフ)”、“閉(オン)”に対する否定演算子を表す。S1は、PX1、PX2のための2つのリードアウトラインの間にあるクロスリンクラインXLに配置されている。具体的に、スイッチS1は、開から閉へ切り替えられるときに、スイッチS2(例えばPX2のリードアウトラインに配置される)に、ピクセルPX2をそのネイティブピッチリードアウトチャネルCHから切り離させ、それをピクセルP1のリードアウトエレクトロニクスに対応する入力ノードに接続させる。どちらのピクセルPX1、PX2でも生成されたパルス信号は、重ね合わせによって加算され、この場合に単一のリードアウトチャネル(例えば、ピクセルPX1のそれ)上にあり、ピクセルPX1の光子計数回路によって処理される。PX1及びPX2にわたる電荷共有事象(時間において同時)は足し合わされ、ピクセルPX1のためのスレッショルダ325及び弁別器330で正しい蓄積エネルギにおいて1つの単一事象として扱われる、ことが理解されるだろう。
【0057】
図5は、ビニングのための代替のコンバイナCOMB配置を示し、コンバイナ機能COMBは光子計数回路の別の段に組み込まれている。
図3では、コンバイナは、パルスを捕捉し結合するようリードアウト信号ラインCH上で動作し、一方、
図5では、コンバイナCOMBは、代わりに下流に配置され、増幅器320及び成形器の出力段で結合信号を形成する。すなわち、電荷パルス信号はそれら自体で結合されないが、むしろ、各々の成形器の出力がそのように結合される。S1は、この場合に、成形器/前置増幅器320から各々の弁別器325へのフィードライン上に配置され、一方、S2は、フィードライン間の各々のクロスリンクラインXL上に配置される。
【0058】
代替的に、コンバイナ機能COMBは、DASの他の段に、特に、光子計数回路の他の段に、例えば、パルスカウンタ335自体に統合されてもよい。その場合に、このコンバイナの実施形態は、結果として得られる等価エネルギを計算すること含んでよい。これは、結合するときに単純にカウントを足し合わせるのではなく、代わりに、結合動作は、結果として得られる等価エネルギに基づいて、システムがより高い閾値のビンでカウントを1だけインクリメントすることによって、実行されてよい。
【0059】
ノイズ寄与の二次和に対するロバスト性の観点から、
図3の実施形態は、
図5の実施形態よりも好ましい。なぜなら、
図3では、全てのビニングされたリードアウトエレクトロニクスからのノイズが1つの単一ノードに結合されるからである。その場合に本明細書で使用されるように、「検出器信号」との語は、リードアウトラインCH(例えば、
図3)であろうと又は下流の他の段(例えば、
図5)であろうと、検出器サブシステムXDS内のどこで検出されるかに関わらず、如何なるパルス又は結合パルスにも関係があり得る。
【0060】
コンバイナCOMBの
図3及び
図5の特定の実施形態は、2対1構成をもたらすよう構成されているが、概念は、如何なるP>2の場合にも(例えば、3対1、4対1、5対1、など)、いくつかの他の構成に拡張され得る、ことが理解されるだろう。すなわち、スイッチは、2つのパルスだけでなく、3、4又は5以上といった2つよりも多いパルス、及びそれらの任意の小計を合算するよう操作されてよい。例えば、例として5対1の配置は、5つの異なるピクセルからの5つのパルスから成るパルス合計、及び好ましくは5つのパルスからの任意の選択kに対する5つ未満のパルスの各小計を形成することができる。言い換えれば、入力ノードでのスイッチネットワークは、複数の検出器構成が実装されるような適切なロジックによって形成及び制御され得、このようにして、1<k≦Pとして、P個の異なる構成P対1のうちのいずれか1つを形成するように、kの任意の選択に対して少なくとも2つの異なる検出器構成を取得することを可能にする。このようなネットワークを実装する1つの方法は、一部又は全部(又は少なくともP個)のピクセルリードアウトラインの間にクロスリンクラインXLを追加することであり、各クロスリンクラインには各々のスイッチがあり、夫々の(P個の)ピクセルリードアウトラインCHにはスイッチがある。このネットワークは、Karnaugh-Veitchダイアグラム分析によって、又はデジタル合成の他のツールによって、複雑さが軽減され得る。
【0061】
図3、
図5に示されるように、検出器XD全体のために単一のコンバイナCOMB(2つのスイッチS1、S2を含む)で十分であり得るが、好ましくは、各々のスイッチS1、S2を備えた同様のコンバイナが、図示されるように2つのピクセルPX1、PX2に対してだけでなく、複数のピクセルの間に夫々配置される。特に、好ましくは、任意の2つの隣接するピクセルについて、
図3、
図5に示される例示的なものと類似した又は同様のコンバイナCOMBが存在する。例えば、更なるそのようなコンバイナ(図示せず)が、PX2からのパルスと結合するようピクセルPX3(図示せず)の間に配置される、など。
【0062】
全ての検出器構成が各イメージング設定に望ましいとは限らないため、コンバイナは汎用的でなくてもよく、手元にあるイメージャXIの仕様に合わせて事前構成されてもよい。例えば、500μmのネイティブピクセルピッチD及び1mmピッチ散乱除去グリッドによるCTセットアップでは、コンバイナは、例えば、ASGの壁内の2-1及び4-1構成に制限され得る。このため、コンバイナは、2つの隣接するASG壁の間の領域内に限定されたネイティブピクセルのグループを超える組み合わせに対して構成可能である必要はない。よって、コンバイナは、固定された限られた数の異なる(少なくとも2つの)検出器構成のために構成(例えば、ハードワイヤード)され得る。しかしながら、所与のPまで及びそれを含む全ての可能な構成のために構成することができるユーザ構成可能なコンバイナも、他の実施形態において本願が考えられている。
【0063】
スイッチS1、S2=バーS1のネゲートされた対に関する各コンバイナ機能COMBの実装は、代替案において本願で等しく考えられている他の実施形態の中の一実施形態にすぎない、ことが理解されるだろう。しかしながら、スイッチ対の実施形態は、その単純さや信頼性により好ましい実施形態である。本願で考えられているスイッチのタイプには、例えば、「オン」状態のときの直列抵抗が低くかつ「オフ」状態のときの漏れが少ない金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOS-FET)などのトランジスタが含まれる。
【0064】
再び
図4を参照すると、信号処理回路SPSは、適切なインターフェース手段CINF及び関連するコントローラを含み、それらを通じて、SPSは、X線検出器サブシステムXDSに、異なる検出器構成の中の所望の構成のうちの少なくとも2つで動作するよう要求することができる。このようにして、各々のキャリブレーションデータMDC1及びMDC2は、本明細書でDC1及びDC2として表される各々の検出器構成について生成され得る。「DC1」は、ネイティブピクセルサイズ検出器構成を表すために本明細書中で使用される。上述されたように、結合されるピクセルの数Nは、ユーザ構成可能である。更に、検出器アレイXDの各ピクセルごとにキャリブレーションを実行する必要はないが、所望のピクセル数(3又は4以上など、2つ以上)を持つ単一のピクセルグループ(検出器アレイXDの任意の場所)に対してこれを実行すれば十分であり得る。ピクセルのサブセットのみに対して測定を行うことは、処理されるべきデータの量を減らすことを可能にする。
【0065】
X線検出システムXDSが2つ以上の検出器構成で操作された後、各々のキャリブレーションデータMDC1、MDC2は、信号処理システムSPSの入力ポートINで受け取られる。
【0066】
次に、推定器ESTは、(少なくとも)2つのデータセットMDC1、MDC2を使用して、電荷共有を推定又は定量化する。一実施形態では、機能モデルは、推定器ESTによって使用され、補正値Cの形で電荷共有の影響を推定する。これらの補正値は、電荷共有による影響がより大きくなることが予想されるため、特に、ピクセルサイズの小さい検出器構成DC1に関連する。
【0067】
1つの方法は、2つの検出器構成に対して夫々生成された検出器信号から比率を形成することによって、電荷共有の影響fsを推定することである。例えば、P対1構成(Pは2以上の自然数)の場合に、比率は、
C=P×MDC1/MDC2又はMDC2/P×MDC1 (1)
のように形成され得る。ここで、MDC1は、ネイティブサイズ構成の検出器信号であり、MDC2は、ネイティブサイズpのP倍の構成での結合信号である。例えば、P個のピクセル(例えば、P=4)に関して検出器信号が結合される場合に、この値は、電荷共有に起因して、より小さいピクセルの構成DC1での検出器信号をP倍することによって求められる値とは異なる。従って、比率Cは1とは異なる。上記の比率Cは、このようにして、より小さいピクセルサイズの検出器構成DC1で検出器が通常のように(コンバイナを使用せずに)動作するときに検出器の読み取り値に適用される補正係数として使用可能である。推定のために、重み付けされた又は絶対的な差など、比率以外の関数式を形成することも、
図6に関連して以下で更に詳細に説明されるように、本願で考えられている.比率Cは、一般に、カウンタ335の各ビンに対する各々のカウントごとに形成される。言い換えれば、比率Cは、各エネルギビンに対して形成される。
【0068】
2つのデータセットMDC1、MDC2を取得するために、ユーザ又は乱数発生器によって、単一のピクセル、例えばPX1が指定される。この仕様は、例えば、ピクセルPX1の座標を選択することによって達成され得る。各ピクセルは、一意の座標でアドレス指定可能である。例えば、ピクセルパターンは、ピクセルが行及び列に配置された長方形であってよい。その場合に、各ピクセルには一意の座標(x、y)があり、xは行、yは列である。他のアドレス指定方式も使用されてよい。その上、2つ以上のピクセルのグループが、好ましくはピクセルPX1の周りの近傍で、選択される。例えば、ピクセルアレイXDのグリッド状配置では、ピクセルPX1の周りのP=4個の隣接ピクセルがそのように選択される。
【0069】
次に、検出器、ひいてはピクセルPX1とともにピクセルのグループは、キャリブレーションフェーズでX線源を動作させることによって放射線に曝される。次に、構成ごとに1つずつ、2つの測定が行わる。例えば、1つは、ネイティブサイズ(DC1)を対象とし、もう1つは、より大きなピクセルサイズ構成P対1(例えば、P=4)のDC2を対象とする。2つよりも多い検出器構成が使用される場合には、2よりも多い曝露が必要とされる。DC2構成の曝露では、コンバイナCOMBは、ピクセルのグループ及びピクセルPX1に関して検出器信号を結合して2つのデータセットMDC1、MDC2を形成するよう動作する。その結果、2つのデータセットMDC1、MDC2がキャリブレーションフェーズで取得される。データセットMDC1には、ピクセルPX1のビンにわたるカウントとしてカウンタ335によって記録された(通常の)検出器信号が含まれ、一方。他のデータセットMDC2には、カウンタ335のビン内のカウントとして記録された、グループ内のP=4個のピクセルからの結合信号が含まれる。故に、原則として、各エネルギビンについて、各データセットMCD2、MDC1は単一の数値を有し、これらの数値は、P=4の場合に、上記の式(1)のCに従って電荷共有の影響を推定するために、使用され得る。代わりに、2、3、5又はそれ以上といったPの他の値が使用されてもよい。
【0070】
この同じ補正係数Cは、電荷共有を補正するために実際の撮像フェーズ(上記のキャリブレーションフェーズの後)中に他の全てのピクセルに使用されてよい。代替的に、好ましくは、上記は、複数の異なるピクセル位置PXjについて(特に、アレイXD内の全てのピクセルについて)繰り返され、次いで、各々の補正係数Cjは、平均化されるか、さもなければ算術的に組み合わされる。
【0071】
代替的に、更により好ましくは、補正係数Cjは、ピクセルごとに保持され、各々のピクセルjに専用であり、補正係数Cjの集合は、各々のピクセル位置jと夫々関連付けられて、メモリCEMに格納される。次に、補正動作は、撮像中又は撮像後に、関連する補正係数CjをピクセルPXjごとに検索するためのルックアップ動作を含む。
【0072】
好ましくは、そしてより良い結果を得るために、キャリブレーション測定値MDC1、MDC2を取得するための上記の手順は、エネルギキャリブレーション及び/又は材料キャリブレーション(これについては
図7で更に詳しく説明する)、及び/又は異なる範囲の衝突するX線フラックスと関連して、取得される。データセットMDC1、MDC2は、各々のビン(すなわち、エネルギ)によって、及び少なくとも材料タイプ/厚さによってインデックス付けされた、数値の多次元集合を形成する。その上、任意に、フラックス範囲によるインデックス付け、又は他のパラメータが使用されてもよい。結果として、補正データCも同様に、数値の多次元配列であり、エントリは、各々のピクセル、ビン、材料、エネルギなど、又は他の関連する要素による適切なインデックス付けを通じて関連付けられる。
【0073】
次に、撮像モードにおいて、上記のキャリブレーションモードの後、(撮像される実際の対象OBに関する)検出器信号は、X線検出器サブシステムXDSから入力ポートINで受信される。撮像モードでは、キャリブレーションは必要なく、対象OB検出器信号は、その場合に、直接に補正器CORRに渡される。
【0074】
補正器CORRは、それから、目下の撮像に使用される検出器構成(例えば、DC1)に関連付けられてメモリCEMに記憶されている関連する補正値を読み出す。補正器CORRは、次いで、受信したオブジェクトOB検出器信号に補正値Cjを適用(例えば、乗算)し、補正された検出器値を形成する。それから、補正された検出器値は、出力ポートOUTで出力される。
【0075】
そうして補正された検出器信号は、次いで、画像プロセッサIPによって、透過率、位相コントラスト、暗視野若しくはスペクトル画像、又は他といった、望ましいイメージを計算するために使用され得る。
【0076】
上記から理解できるように、サブシステムXDSによって生成されたデータに関する電荷共有の影響評価は、特定の撮像装置XIに、特定の検出器ユニットXDに、検出器ユニットXDの特定のピクセル部分に、又は個々のピクセルレベルまで下がって、合わせられ得る。提案されているサブシステムは、既存のイメージャXIに後付けされてもよい。
【0077】
これより
図6、
図7のフローチャートを参照して、信号処理システムSPSの動作を更に詳細に説明する。なお、後述される方法ステップは、必ずしも、
図1~5に従うアーキテクチャに結びつけられない、ことが理解されるだろう。特に、以下で説明される方法ステップは、それらだけで教示を構成すると理解されてもよい。
【0078】
最初に
図6を参照すると、予備的なステップS605で、(2つ以上の)各々のデータセット(キャリブレーション測定値又はキャリブレーションデータ)が、各々の異なる検出器構成について実行されるキャリブレーションにおいて取得される。各構成は、使用されるピクセルサイズによって決まり、ピクセルサイズは、セットごとに異なる。異なるキャリブレーション測定値M=(MDC1,MDC2)は、コンバイナ回路COMBによって取得され得る。コンバイナ回路COMBは、異なるピクセルPX1、PX2に関する検出器信号を結合、特に合算する。結合は、X線検出器サブシステムXDSの如何なる段でも行われてよい。特に、結合は、アナログ段で、又は信号がカウンタ段でデジタル化されると、行われ得る。結合動作は、2つの異なる構成に従って光子計数回路によって異なるカウント(データセットMを形成する)をもたらし、そして、キャリブレーション測定値(「キャリブレーションデータ」)M=(MDC1,MDC2)として本明細書中で指定されるものが、それらのカウントである。
【0079】
好ましくは、2つ以上の検出器構成のうちの1つは、可能な限り最小、つまりネイティブピクセルサイズに設定され、一方、他は、ネイティブ構成の2又は4又は8倍などの適切な倍数Pとして選択されるが、原則として、Pは、上述されたように、2よりも大きい如何なる数であってもよい。このネイティブ検出器構成は、本明細書ではDC1で示され、MDC1は、関連するキャリブレーション測定値を示す。
【0080】
次に、ステップS610で、2つ(又はそれ以上)のキャリブレーションセットMDC1及びMDC2は、ワークステーションのコンピュータユニット又はイメージャXIに統合されたコンピューティング機能などのデータ処理ユニットPUで受信される。
【0081】
ステップS620で、電荷共有の影響の推定値が計算される。電荷共有の影響のこの推定又は定量化は、補正値又は係数などの補正データとして表されてもよい。推定では、関数モデルfが、2つ(又はそれ以上)の異なる検出器構成DC1、DC2についての測定値を結合するために使用される。
【0082】
一般に、関数モデルfを考えると、補正データは:
Cb=f(MDC1b,MDC2b) (2)
である。
【0083】
インデックス“b”は、(少なくとも2つの)異なる検出器構成DC1、DC2についての様々なエネルギビンbにおけるカウントMDC1b、MDC2bを区別する。
【0084】
1つの関数モデルfは、(1)で上述された比率をもたらす線形従属であり、故に、この場合に、fは:
Cb=f(MDC1b,MDC2b)=MDC2b/(m×MDC1b) (3)
である。
【0085】
他の実施形態では、加法的関数モデル、例えば:
Cb=f(MDC1b,MDC2b)=(m×MDC1b-MDC2b)k (4)
が使用される。なお、k≧1である。
【0086】
(4)において、電荷共有がなかった場合、Cはゼロに減少し、そこからの偏差は、特に電荷共有の量の指標として使用され得る。k=1の場合に、差は、符号付き和の絶対値と見なされ得る。二乗偏差k=2もまた、有益に使用され得る。
【0087】
上記では、2つの検出器構成DC1、DC2及び関連するキャリブレーションデータM=(MDC1,MDC2)を使用することを主に参照してきたが、方法はまた、3つ以上(p>2)のデータセットを3つ以上の検出器で取得することによって、及びこの情報をコンパイルしてそれから補正データ及び電荷共有の推定値を取り出すことによって、拡張されてもよい。例えば、関数モデルは、より複雑な比率(又は加重和)を形成することを含んでもよい。すなわち、電荷共有の影響を定量化するために、2つよりも多い構成p(例えば、3、4又はそれ以上)は:
f(MDC1
b,MDC2
b,・・・,MDCp
b) (5)
に従って機能的に及び算術的に結合されてよい。例えば、n個の構成(その中に、
(外1)
が存在する)の中のいずれか2つの構成j、kについてのデータMDCj、mDCkを処理し、いずれかの対j、kについて上記のように比率を形成することができる。次に、
(外2)
の比率が平均化(加重又は平均)されて、そうして補正係数Cに到達する。
【0088】
上記の内容の更なる拡張として、構成の1つをネイティブ検出器ピクセルサイズ構成とする必要がない場合がある。例えば、1つの構成は、1よりも大きいピクセルのグループを含むものとして形成されてよく、一方、第2(第3など)の構成も、異なるサイズのグループに関連する。言い換えれば、Lが1より大きいP対Lの構成も、状況が撮像タスクのダウンサンプリングを要求する場合に考えられてよい。
【0089】
比率の観点からの電荷共有効果の式(1)、(3)での上記の定量化は、低フラックス設定のための優れた近似であることがわかっている。ただし、より高いフラックス設定では、式(1)、(3)での上記の線形化は、高フラックスの影響と、検出器エレクトロニクスとの接続、特に、不感時間(dead time)及び/又はパラライズ能力(paralyzeability)とをそのようにモデルするために、指数項による変調によって調整され得る。特に、式(3)は:
Cb=f(MDC1b,MDC2b)
=(MDC2b/(m×MDC1b))×ek×ν×τ (6)
に精緻化され得る。ここで、kは、1未満の定数(例えば、3/4)であり、νは、より大きいピクセルDC2のフラックスであり、τは、検出器システムXDSの不感時間である。
【0090】
式(1)~(6)のモデルのいずれか1つでの上記の関係は、パルスパイルアップモデルを表す1以上の更なる項を含めることによって、更に精緻化され得る。
【0091】
上記の推定の実施形態(式(1)~(6))では、2つ以上のピクセルのビニングが直接変換材料の過渡応答に影響を及ぼさないと仮定されている。これは、中程度のビニング構成(例えば、4対1構成における4×500μm対1mm)のための優れた近似と見なすことができる。同等の大きなピクセル、例えば、8対1の場合、重み付けポテンシャルプロファイルが異なる(大きなピクセルは、いわゆる小ピクセル効果の恩恵を受けない場合がある)ため、過渡応答に大きな変化(例えば、大きなピクセル構成では過渡応答が長くなる、など)が発生する可能性がある。そのような異なる過渡応答は、前置増幅器320又はDAS内のフロントエンドエレクトロニクスの同様の構成要素の信号生成に影響を与える可能性がある。異なる過渡応答によるそのような影響の1つの例は、弾道欠損(ballistic deficit)である。このため、各検出器構成について、異なるエネルギキャリブレーションが比較可能な結果を達成するために使用されることが必要になる場合がある。
【0092】
次いでステップS630で、推定値、特に、補正データCは、対象OBが撮像される撮像動作中にイメージャXIによって生成される検出器データM’を電荷共有について補正するために,使用される。撮像動作は、好ましくは、用いられる検出器構成が、キャリブレーションフェーズにおいて以前に使用された小ピクセルサイズ構成DC1に対応するものである。言い換えれば、(1)及び(3)のような補正データCは、好ましくは、構成DC1に関連し、故に、(1)、(3)は、この依存性を表記法により良く示すために、CDC1に関して書くことができる。ただし、補正データの逆数C-1を使用することも、より大きなピクセルサイズの構成DC2でイメージャXIを動作させるときに得られるデータを補正するために使用されてよい。
【0093】
補正データは、撮像中に直接適用されるか(これが望ましい)、あるいは、代替的に、撮像対象OBに関する(まだ)補正されていない検出器読み取り値M’が最初に保存又はバッファリングされ、後の段階で、例えば、視覚化が要求されるときに、補正データCは適用される。どの関数モデルがステップS620で使用されるかに応じて、補正は、補正値を画像データM’と乗算するか(式(1))、画像データM’から減算するか、又は画像データM’に加算することによって、達成され得る。
【0094】
上記の方法は、放射線による空中走査中にX線検出器を単に曝露することによって実行され得るが、エネルギ及び材料キャリブレーションスキームとの関連でキャリブレーションデータを収集することが好ましい。これは、これより参照される
図7のフローチャートで更に詳細に説明される。言い換えれば、
図7のフローチャートは、キャリブレーションデータの2つ以上のセットを生成する方法ステップS605をいかにして実行するかについての更なる詳細を提供する。
【0095】
ステップS710で、エネルギキャリブレーションは、弁別器325内の全てのピクセル閾値が検出器アレイXDの全体にわたって同じエネルギにセットされるように実行される。特に、エネルギキャリブレーションでは、ゲイン及びオフセットを考慮に入れることができる。
【0096】
検出器(サブ)システムのこのキャリブレートされた状態では、ビームXB内のキャリブレーション材料cの特定の構成を用いて、材料キャリブレーションがステップS710で実行される。適切な材料(「ファントム」)は、水、デルリン、スズ、テフロン(登録商標)、若しくはkエッジ材料(例えば、AU、Bi、Pbなど)、又は他の中のいずれか1つである。材料には少なくとも2つの異なる厚さが必要である。次に、1回の曝露で十分な場合があるが、そうでない場合には、上記の材料の複数のアイテムを積み上げて異なる厚さを実現し、更に2回以上の曝露が実行される必要がある。材料キャリブレーションにより、計数率を撮像のための材料厚に変換するための曲線又はルックアップテーブル(LUT)を構成することができる。使用される材料の厚さが大きいほど、LUTはより正確になる。所与の計数率について、その場合に、関連する厚さはLUTから補間され得る。
【0097】
第1検出器構成DC1(ネイティブ構成)のための対応するキャリブレーションデータは、MDC1c,bによって示され、インデックスcは、ビームのキャリブレーション材料(又は厚さ)を区別する。
【0098】
同様に、上述されたようにビニングによって検出器構成を切り替えた後、エネルギキャリブレーション及び材料キャリブレーションは、対応する測定結果MDC2c,bにより、ステップS730で繰り返される。測定値MDC1c,b及びMDC2c,bは全く同じ照射条件に対応するので、それらの間には、電荷共有の量によって影響を及ぼされる(上記で説明したような)仮定された関係が存在する。任意に、更なるステップで、フラックスレートによって更にインデックス付けされた補正Cを用いて、異なるフラックス設定の範囲について測定値が取得され得る。
【0099】
ステップS710~730における上記の手順は、b、c、ピクセル位置(x、y)、検出器構成DCjに対する様々な依存性に起因して、補正データCの最も一般的な場合において、上記の多次元の性質を示す。ただし、かなり単純化された一部の事例では、依存関係は、ビンの依存関係に縮減され得る。
【0100】
信号処理システムSPSのコンポーネントは、単一のソフトウェアスイート内のソフトウェアモジュール又はルーチンとして実装され、イメージャXIに関連したワークステーションなどの汎用のコンピュータユニットPUで、又はイメージャのグループに関連したサーバコンピュータで実行されてよい。代替的に、信号処理システムSPSのコンポーネントは、分散アーキテクチャ及び/又は“クラウド”において配置され、適切な通信ネットワークにおいて接続されてもよい。
【0101】
更なる代替案として、SPSの一部又は全部のコンポーネントは、適切にプログラムされたFPGA(field-programmable-gate-array)などのハードウェアにおいて、又はASIC(application-specific integrated circuit)などのハードワイヤードICチップとして、又は検出器サブシステムXDSのための回路に含まれているPCBモジュールに配置されてもよい。
【0102】
上記では、コンバータは有効な材料経路長さlに変換するが、これは広く考えられるべきであり、上記の有効経路長さと等価である任意の他のパラメータに変換することも本願では考えられている。更に、上記の式のいずれかに関連して、これらの数学的に等価な再公式化も本願では考えられている。
【0103】
本発明の他の例となる実施形態では、上記の実施形態の1つに従う方法の方法ステップを適切なシステムで実行するよう適応されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0104】
従って、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶されてよい。コンピュータユニットも、本発明の実施形態の部分であってよい。このコンピュータユニットは、上記の方法のステップを実行するか又は実行を引き起こすよう適応されてよい。更に、それは、上記の装置のコンポーネントを動作させるよう適応されてよい。コンピュータユニットは、自動的に動作するよう及び/又はユーザの命令を実行するよう適応され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされてよい。よって、データプロセッサは、本発明の方法を実行するよう装備されてよい。
【0105】
本発明のこの例となる実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラム、及びアップデートによって、本発明を使用するプログラムへと既存のプログラムを変えるコンピュータプログラム、の両方をカバーする。
【0106】
更には、コンピュータプログラム要素は、上記の方法の例となる実施形態の手順を満たす全ての必要なステップを提供することができる。
【0107】
本発明の更なる例となる実施形態に従って、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が提供され、コンピュータ可読媒体には、上記のコンピュータプログラム要素が記憶されている。
【0108】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその部分として供給される光学記憶媒体又は固体状態媒体などの適切な媒体(特に、しかし必ずしもそうではないが、非一時的な媒体)で記憶及び/又は分配されてよいが、他の形態でも、例えば、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介して、分配されてもよい。
【0109】
なお、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上でも提供されてよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされ得る。本発明の更なる例となる実施形態に従って、コンピュータプログラム要素をダウンロードできるようにする媒体が提供され、コンピュータプログラムは、本発明の上記の実施形態の1つに従う方法を実行するよう配置される。
【0110】
留意されるべきは、本発明の実施形態は様々な対象を参照して記載される点である。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して記載され、一方、他の実施形態は、デバイスタイプの請求項を参照して記載される。なお、当業者であれば、別なふうに述べられない限りは、1つのタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる対象に係る特徴の間の任意の組み合わせも本願により開示されていると見なされると、上記及び下記の説明から察するだろう。なお、全ての特徴は、特徴の単純な足し合わせ以上の相乗効果をもたらすように組み合わされ得る。
【0111】
本発明は、図面及び上記の説明において詳細に図示及び記載されてきたが、そのような図示及び記載は、実例又は例示であって限定とみなされるべきではない。本発明は、開示されている実施形態に制限されない。開示されている実施形態に対する他の変形例が、当業者によって、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求されている発明を実施する際に理解され達成され得る。
【0112】
特許請求の範囲において、語「有する」(comprising)は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞(a又はan)は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又はユニットは、特許請求の範囲で挙げられているいくつかのアイテムの機能を満たしてよい。特定の手段が相互に異なる請求項で挙げられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲中の如何なる参照符号も、適用範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。