(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】運転参照経路の処理方法、装置、車両、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/095 20120101AFI20220112BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220112BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220112BHJP
【FI】
B60W30/095
G08G1/16 A
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2020027727
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】201910140451.8
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321009845
【氏名又は名称】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】シアオシヌ フゥ
(72)【発明者】
【氏名】ダヤン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェヌグアン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジユアン チェヌ
(72)【発明者】
【氏名】ユチャン パヌ
(72)【発明者】
【氏名】ファヌ ジュ
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-013518(JP,A)
【文献】特開2018-138404(JP,A)
【文献】国際公開第2017/014012(WO,A1)
【文献】特開2016-122308(JP,A)
【文献】特開2010-018074(JP,A)
【文献】特表2010-501413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
B60R 21/00 - 21/13
B60R 21/34 - 21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期運転参照経路にカバーされる範囲内の少なくとも1つの障害物の
エッジ位置情報を取得することと、
前記少なくとも1つの障害物の
エッジ位置情報
と、自車両とする目標車両の長さ及び/又は幅とに基づいて、安全範囲パラメータを確定することと、
前記安全範囲パラメータ
及び損失関数に基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整して、
前記少なくとも1つの障害物を避け且つ経路コストの最も小さい調整された多項式曲線を取得することと、
前記調整された多項式曲線に基づいて、調整された運転参照経路を取得することとを含む
ことを特徴とする運転参照経路の処理方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記運転参照経路に含まれる少なくとも1つの車線のタイプに基づいて、少なくとも1つの
エッジ位置での安全範囲パラメータを調整して、調整された安全範囲パラメータを取得することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の運転参照経路の処理方法。
【請求項3】
前記初期運転参照経路は、開始点から終点までの少なくとも2つの車線に対応する中心線を含み、
前記方法は、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数の調整が失敗した場合、前記初期運転参照経路を使い続けることをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転参照経路の処理方法。
【請求項4】
初期運転参照経路にカバーされる範囲内の少なくとも1つの障害物の
エッジ位置情報を取得する情報取得ユニットと、
前記少なくとも1つの障害物の
エッジ位置情報
と、自車両とする目標車両の長さ及び/又は幅とに基づいて、安全範囲パラメータを確定するパラメータ処理ユニットと、
前記安全範囲パラメータ
及び損失関数に基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整して、
前記少なくとも1つの障害物を避け且つ経路コストの最も小さい調整された多項式曲線を取得し、前記調整された多項式曲線に基づいて、調整された運転参照経路を取得する調整ユニットと、を含む、
ことを特徴とする運転参照経路の処理装置。
【請求項5】
前記パラメータ処理ユニットは、前記運転参照経路に含まれる少なくとも1つの車線のタイプに基づいて、少なくとも1つの
エッジ位置での安全範囲パラメータを調整して、調整された安全範囲パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項
4に記載の運転参照経路の処理装置。
【請求項6】
前記初期運転参照経路は、開始点から終点までの少なくとも2つの車線に対応する中心線を含み、
前記調整ユニットは、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数の調整が失敗した場合、前記初期運転参照経路を使い続ける、
ことを特徴とする請求項
4に記載の運転参照経路の処理装置。
【請求項7】
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムを記憶する記憶装置と、を含み、
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のプログラムを実行する場合、請求項1~
3のいずれか1項に記載の運転参照経路の処理方法を実現させる、
ことを特徴とする車両。
【請求項8】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行される場合、請求項1~
3のいずれか1項に記載の運転参照経路の処理方法を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人運転制御技術の分野に関し、特に、運転参照経路の処理方法、装置、車両、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転参照経路は、無人車両の軌跡計画の基礎である。従来の方法は、高精度地図に基づいて運転参照経路地図をオフラインに生成し、次に、無人車両の走行中にロードし、必要に応じて対応する運転参照経路を抽出して軌跡計画のために使用する。しかしながら、従来の方法では、運転参照経路を生成する際に参照される内容が車線レベルの通行性のみであるため、運転参照経路の安全性を確保することができない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、運転参照経路の回避能力の不足による運転参照経路の安全性問題を解決するための運転参照経路の処理方法、装置及び車両を提供する。
【0004】
本発明の第1態様は、運転参照経路の処理方法を提供する。当該運転参照経路の処理方法は、
初期運転参照経路によりカバーされる範囲内の少なくとも1つの障害物の位置情報を取得することと、
前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、安全範囲パラメータを確定することと、
前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、調整された多項式曲線を取得することと、
前記調整された多項式曲線に基づいて、調整された運転参照経路を取得することとを含む。
【0005】
1つの実施形態において、前記方法は、目標車両の少なくとも1つのパラメータを取得することをさらに含み、
前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、安全範囲パラメータを確定することは、前記目標車両の少なくとも1つのパラメータ及び前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを確定することを含む。
【0006】
1つの実施形態において、前記方法は、
前記運転参照経路に含まれる少なくとも1つの車線のタイプに基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを調整し、調整された安全範囲パラメータを取得することをさらに含む。
【0007】
1つの実施形態において、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、調整された多項式曲線を取得することは、
前記安全パラメータ範囲及び損失関数に基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、前記少なくとも1つの障害物を避け且つ経路コストの最も小さい調整された多項式曲線を取得することを含む。
【0008】
1つの実施形態において、前記初期運転参照経路は、開始点から終点までの少なくとも2つの車線に対応する中心線を含み、
前記方法は、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数の調整に失敗した場合、前記初期運転参照経路を使い続けることをさらに含む。
【0009】
本発明の第2態様は、運転参照経路の処理装置を提供する。前記装置は、
初期運転参照経路によりカバーされる範囲内の少なくとも1つの障害物の位置情報を取得するように構成される情報取得ユニットと、
前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、安全範囲パラメータを確定するように構成されるパラメータ処理ユニットと、
前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整して、調整された多項式曲線を取得し、前記調整された多項式曲線に基づいて調整された運転参照経路を取得するように構成される調整ユニットとを含む。
【0010】
1つの実施形態において、前記情報取得ユニットは、目標車両の少なくとも1つのパラメータを取得するように構成され、
前記パラメータ処理ユニットは、前記目標車両の少なくとも1つのパラメータ及び前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを確定するように構成される。
【0011】
1つの実施形態において、前記パラメータ処理ユニットは、前記運転参照経路に含まれる少なくとも1つの車線のタイプに基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを調整し、調整された安全範囲パラメータを取得するように構成される。
【0012】
1つの実施形態において、前記調整ユニットは、前記安全パラメータ範囲及び損失関数に基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、前記少なくとも1つの障害物を避け且つ経路コストの最も小さい調整された多項式曲線を取得するように構成される。
【0013】
1つの実施形態において、前記初期運転参照経路は、開始点から終点までの少なくとも2つの車線に対応する中心線を含み、
前記調整ユニットは、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数の調整が失敗した場合、前記初期運転参照経路を使い続けるように構成される。
【0014】
本発明の第3態様は、車両を提供する。前記車両の機能は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、ハードウェアが対応するソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。ハードウェア又はソフトウェアは、上述の機能に対応する1つ又は複数のモジュールを含む。
【0015】
1つの可能な実施形態において、前記車両は、上記の運転制御方法を実行する装置をサポートするプログラムを記憶するためのメモリと、メモリに記憶されたプログラムを実行するように構成されたプロセッサとを含む。前記装置は、他のデバイス又は通信ネットワークと通信するための通信インターフェースも含み得る。
【0016】
本発明の第4態様は、プロセッサによって実行されることにより、上記の実施形態のいずれかに記載された方法を実現するコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0017】
上記の技術案によれば、既存の運転参照経路に対し、そのカバーされる範囲内の障害物の位置情報を取得し、障害物の位置情報に基づいて安全距離を確定し、既存の運転参照経路を調整することにより、調整後の運転参照経路の安全性を確保することができ、さらに、無人運転車両が運転参照経路を用いて走行する際の回避能力及び安全性を確保することができる、という利点や優れた効果を有する。
【0018】
上記の略述は、単に説明のために過ぎず、いかなる限定をも目的としない。上記に記載されている例示的な様態、実施形態、及び特徴以外に、図面及び下記の詳細説明を参照することによって、本発明のさらなる様態、実施形態、及び特徴の理解を促す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態における運転参照経路の処理方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施形態における運転参照経路の範囲内に障害物が存在するシーンの模式図である。
【
図3】本発明の実施形態における目標車両と障害物を有するシーンの模式図である。
【
図4】本発明の他の実施形態における運転参照経路の処理方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態における運転参照経路の処理装置の構成図である。
【
図6】本発明の実施形態における車両の構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面において特に規定されない限り、複数の図面において同様の図面符号は、同様又は類似的な部材又はエレメントを示す。これらの図面は必ずしも実際の比例に従って製図されたものではない。これらの図面は本発明に基づいて開示された幾つかの実施形態を描いたものに過ぎず、本発明の範囲に対する制限としてはならないことを理解すべきである。
【0021】
下記において、幾つかの例示的実施形態を簡単に説明する。当業者が把握出来るよう、本発明の主旨又は範囲を逸脱しない限り、様々な方式により説明された実施形態に変更可能である。従って、図面と説明は制限を加えるものでなく、本質的には例示的なものである。
【0022】
本発明は、運転参照経路の処理方法を提供する。1つの実施形態において、
図1に示すように、経路計画方法を提供する前記方法は、ステップ101~ステップ104を含む。
ステップ101において、初期運転参照経路によりカバーされる範囲内の少なくとも1つの障害物の位置情報を取得する。
ステップ102において、前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、安全範囲パラメータを確定する。
ステップ103において、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、調整された多項式曲線を取得する。
ステップ104において、前記調整された多項式曲線に基づいて、調整された運転参照経路を取得する。
【0023】
この実施形態では、オンラインで運転参照経路を滑らかに生成し、二次計画法を用いた滑らかな曲線の生成を提供する。これによって、無人車両に十分な回避能力を確保することができる。
前記のステップ101において、少なくとも1つの障害物の位置情報を取得することは、具体的に、障害物の2次元座標情報を取得することであり、その対応する座標系は、高精度地図に対応する座標系と同じであってもよく、処理において、障害物の位置情報を高精度地図に結合する必要がある。
【0024】
なお、この実施形態における障害物とは、例えば、路肩、柵等のような静的障害物と理解されてもよい。サーバが高精度地図を生成又は調整する際に収集した情報であってもよいため、少なくとも1つの障害物の位置情報を取得することは、高精度地図を直接的に通じて少なくとも1つの障害物の位置情報を取得することであってもよい。もちろん、ある時間帯の静的障害物であってもよく、例えば、ある区間のある車線が現在整備されている場合、ある時間帯で柵などの障害物が設定されている可能性があり、その場合にはサーバ側から高精度地図を調整する等して車両に通知し、車両が、これを障害物として設定して以降の処理を行うようにしてもよい。サーバ側が、このような一定期間における静的障害物の位置情報を取得する方法は、路側取得ユニット又はカメラ等を介するものであってもよく、ここではその説明を省略する。
【0025】
例えば、
図2を参照すると、障害物1、2が図示されており、障害物1が路肩で、障害物2が道路上の柵である場合、これらの障害物1、2の位置情報を予め取得しておく必要がある。
ステップ102の前に、前記方法は、目標車両の少なくとも1つのパラメータを取得することをさらに含み、
ステップ102において、前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、安全範囲パラメータを確定することは、前記目標車両の少なくとも1つのパラメータ及び前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを確定することを含む。
【0026】
ここで、前記車両パラメータは、車両の長さ、幅などの車両の寸法パラメータであってもよく、いくつかのシーンでは、車両の高さ、ホイールベースなどであってもよいが、これに限定されない。車両パラメータを取得する方式は、目標車両自体の型番、ブランド等の情報を、高精度地図に直接に設置することができる。すなわち、サーバ側は、複数の車両のブランド、型番に対応するパラメータを予め取得しておくことができ、ここで、上記寸法パラメータが含まれるが、これに限定されず、燃費、加速情報などを含んでもよいと理解することができ、この実施形態では、その説明を省略する。
【0027】
図3を参照すると、目標車両が提供され、高さ、長さなどの目標車両パラメータが表示されてもよいし、表示されなくてもよい。
目標車両の少なくとも1つのパラメータと、前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、少なくとも1つの位置における安全範囲パラメータを確定することは、目標車両の長さ及び/又は幅と、障害物のエッジ位置に基づいて、目標車両がある障害物に対応する領域を安全に通過する際に必要な安全範囲パラメータを確定することであってもよい。
また、異なる位置に対応する安全範囲パラメータは、同一であっても異なっていてもよく、同じであれば、安全パラメータ範囲は固定値でもよいし、異なる場合には、車両の現在位置に応じて対応する安全パラメータ範囲を確定する必要がある。
【0028】
上記のステップ103において、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、調整された多項式曲線を取得することは、
前記安全パラメータ範囲及び損失関数に基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、前記少なくとも1つの障害物を避け且つ経路コストの最も小さい調整された多項式曲線を取得することを含む。
【0029】
具体的には、2次計画法の処理方式を採用することができ、まず、運転参照経路C ( x,y )を2次元平面上に多項式曲線x = f ( p,t ),y = g ( q,t )と示し、f ( )およびg ( )は多項式関数であり、pおよびqは対応する多項式係数であり、tは引数である。車両パラメータ(長さ、幅など)を考慮して、実際の道路状況に基づいて、平滑化パラメータ(例えば、路肩、柵との間の安全距離)を自由に設定することができ、数学的にモデル化されるものは二次計画法の不等式制約と表され、h ( p,q,w )<l0は、点w (例えば、路肩、又は障害物の縁の特定の位置であってもよい)を人工ラベリング基準線に投影する投影距離は安全範囲l0内に制限されなければならないことを表す。
次に、損失関数J ( p,q )を利用して異なる次数の多項式の導関数と積分の加重和を示し、J ( p,q )を最小化することによって、二次計画問題を解き、運転参照経路のオンライン平滑化を達成する。
このように、上記技術案を採用することにより、既存の運転参照経路に対して、そのカバー範囲内にある障害物の位置情報を取得し、障害物の位置情報に基づいて安全距離を確定し、既存の運転参照経路を調整することができ、これにより、調整後の運転参照経路の安全性を確保することができ、さらに、無人運転車両が運転参照経路を用いて走行する際の回避能力および安全性を確保することができる。さらに、車両パラメータ及び障害物の位置情報を組み合わせるとともに安全距離を調整することで、回避処理において車両パラメータも考慮することを保証し、運転参照経路の安全性をさらに向上させる。
【0030】
図1に基づいて、1つの実施形態において、
図4を参照し、上記のステップ102の後にステップ401を含み、
ステップ401において、前記運転参照経路に含まれる少なくとも1つの車線のタイプに基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを調整し、調整された安全範囲パラメータを取得する。
【0031】
この実施形態におけるステップ101及びステップ102は、前記の実施形態と同じであるため、ここでその説明を省略する。
前記車線のタイプには、車道境界線のタイプと車線通行のタイプが含まれる。車道境界線は、破線や実線等があり、車線通行のタイプは、交差点であるか否か等がある。
【0032】
この実施形態では、上記ステップ102で求めた安全範囲パラメータに加え、車線のタイプに応じて安全範囲パラメータを調整することができ、すなわち、上記の2次計画法による処理を用いることで、車線の状況(例えば、車線のタイプ、交差点の手前か否か、車道境界線のタイプ等)に応じて、不等式制約の安全範囲l0の大きさを調整することができる。
この調整の際、異なる車線のタイプに対応する安全範囲パラメータに応じ、対応する安全範囲パラメータを調整することができ、例えば、交差点において、カーブして走行する時、引っ掛かりの危険性を低減させるために距離を大きくする必要があり、又は、車道境界線が破線の場合、車道境界線との距離を大きくし過ぎず、例えば0.5mとし、車道境界線が実線の場合、大きい安全範囲パラメータを設定し、即ち、実線を接触することを回避すために安全距離を大きく設定することができ、この場合には安全距離を0.8m以上とすることができる。もちろん、上記は単なる例示であり、実際の処理では、状況に応じて異なる安全パラメータ範囲を決定することができ、この実施形態はこれに限定されない。
【0033】
前記初期運転参照経路は、開始点から終点までの少なくとも2つの車線に対応する中心線を含む。
前記方法は、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数の調整が失敗した場合、前記初期運転参照経路を使い続けることを、さらに含む。
すなわち、さらに、アルゴリズムのロバスト性を高めるために、ステップ103での解析が失敗した場合、初期に平滑化されていない車線の中心線を運転参照経路として用いることができる。初期運転参照経路は中心線であると考えられるので、ステップ103での処理が失敗した場合、初期運転参照経路をそのまま用いて走行制御を行う。
もう1つの形態として、初期運転参照経路が中心線ではなく、人為的に、あるいは他の方法で処理した滑らかな曲線である場合、初期運転参照経路を用いて目標車両の運転制御を行い、車線の中心線を運転参照経路として再び選択する必要はない。
このように、上記技術案を採用することにより、既存の運転参照経路に対して、そのカバー範囲内にある障害物の位置情報を取得し、障害物の位置情報に基づいて安全距離を確定し、既存の運転参照経路を調整することができ、これにより、調整後の運転参照経路の安全性を確保することができ、さらに、無人運転車両が運転参照経路を用いて走行する際の回避能力および安全性を確保することができる。さらに、車両パラメータ及び障害物の位置情報を組み合わせるとともに安全距離を調整することで、回避処理において車両パラメータも考慮することを保証し、運転参照経路の安全性をさらに向上させる。
【0034】
1つの実施形態において、運転参照経路の処理装置を提供し、
図5に示すよう、前記装置は、情報取得ユニット51、パラメータ処理ユニット52及び調整ユニット53を含み、
情報取得ユニット51は、初期運転参照経路によりカバーされる範囲内の少なくとも1つの障害物の位置情報を取得するように構成され、
パラメータ処理ユニット52は、前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、安全範囲パラメータを確定するように構成され、
調整ユニット53は、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整して、調整された多項式曲線を取得し、前記調整された多項式曲線に基づいて、調整された運転参照経路を取得するように構成される。
【0035】
情報取得ユニット51は、目標車両の少なくとも1つのパラメータを取得するように構成され、
パラメータ処理ユニット52は、前記目標車両の少なくとも1つのパラメータ及び前記少なくとも1つの障害物の位置情報に基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを確定するように構成される。
パラメータ処理ユニット52は、前記運転参照経路に含まれる少なくとも1つの車線のタイプに基づいて、少なくとも1つの位置での安全範囲パラメータを調整して、調整された安全範囲パラメータを取得するように構成される。
調整ユニット53は、前記安全パラメータ範囲及び損失関数に基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数を調整し、前記少なくとも1つの障害物を避け且つ経路コストの最も小さい調整された多項式曲線を取得するように構成される。
前記初期運転参照経路は、開始点から終点までの少なくとも2つの車線に対応する中心線を含み、
前記調整ユニット53は、前記安全範囲パラメータに基づいて、前記初期運転参照経路に対応する多項式曲線の係数の調整が失敗した場合、前記初期運転参照経路を使い続けるように構成される。
【0036】
本発明の実施形態において、前記装置における各モジュールの機能は、具体的には、上述した方法に対応する説明を参照することができ、ここではその説明を省略する。
このように、上記技術案を採用することにより、既存の運転参照経路に対して、そのカバー範囲内にある障害物の位置情報を取得し、障害物の位置情報に基づいて安全距離を確定し、既存の運転参照経路を調整することができ、これにより、調整後の運転参照経路の安全性を確保することができ、さらに、無人運転車両が運転参照経路を用いて走行する際の回避能力および安全性を確保することができる。さらに、車両パラメータ及び障害物の位置情報とともに安全距離を調整することで、回避処理において車両パラメータも考慮することを保証し、運転参照経路の安全性をさらに向上させる。
【0037】
図6は、本発明の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
図6に示すよう、この車両は、メモリ610とプロセッサ620とを備え、メモリ610には、プロセッサ620上で実行可能なコンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサ620は、コンピュータプログラムを実行する場合、上記実施形態に係る運転制御方法を実現させる。メモリ610およびプロセッサ620の数は、1つまたは複数であってもよい。
【0038】
当該車両は、さらに、通信インターフェース630を含み、
通信インターフェース630は、外部機器と通信を行い、データのやりとりを行うためのものである。
【0039】
メモリ610は、高速度RAMメモリを含んでもよく、また、少なくとも1つのディスクメモリなどの不揮発性メモリ( non-volatile memory )を含んでもよい。
メモリ610、プロセッサ620、及び通信インターフェイス630が互いに独立して具現される場合、メモリ610、プロセッサ620、及び通信インターフェイス630は、バスによって相互接続して相互通信を行うことができる。前記バスは、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA、Industry Standard Architecture)バス、外部デバイス相互接続(PCI、Peripheral ComponentInterconnect)バス、又は拡張インダストリスタンダードアーキテクチャ(EISA、Extended Industry Standard Component)バス等であってもよい。前記バスは、アドレスバス、データバス、制御バス等として分けられることが可能である。表示の便宜上、
図6に1本の太線のみで表示するが、バスが1つ又は1種類のみであることを意味しない。
【0040】
選択可能で、具体的な実現において、メモリ610、プロセッサ620、および通信インターフェース630が1つのチップに集成した場合、メモリ610、プロセッサ620、および通信インターフェース630は内部インターフェースによって相互通信を行うことができる。
【0041】
本発明の実施形態は、プロセッサによって実行されると、上記の実施形態のいずれかに記載された方法を実現するコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0042】
本明細書において、「1つの実施形態」、「幾つかの実施形態」、「例」、「具体例」或いは「一部の例」などの用語とは、当該実施形態或いは例で説明された具体的特徴、構成、材料或いは特点を結合して、本発明の少なくとも1つの実施形態或いは実施例に含まれることを意味する。また、説明された具体的特徴、構成、材料或いは特点は、いずれか1つ或いは複数の実施形態または例において適切に結合することが可能である。また、矛盾しない限り、当業者は、本明細書の異なる実施形態または例、および、異なる実施形態または例における特徴を結合したり、組み合わせたりすることができる。
また、用語「第1」、「第2」とは比較的重要性を示している又は暗示しているわけではなく、単に説明のためのものであり、示される技術的特徴の数を暗示するわけでもない。そのため、「第1」、「第2」で限定される特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示又は暗示的に含むことが可能である。本出願の記載の中において、「複数」の意味とは、明確的に限定される以外に、2つ又は2つ以上を意味する。
【0043】
フローチャート又はその他の方式で説明された、いかなるプロセス又は方法に対する説明は、特定な論理的機能又はプロセスのステップを実現するための命令のコードを実行可能な1つ又はそれ以上のモジュール、断片若しくはセグメントとして理解することが可能であり、さらに、本発明の好ましい実施形態の範囲はその他の実現を含み、示された、又は、記載の順番に従うことなく、係る機能に基づいてほぼ同時にまたは逆の順序に従って機能を実行することを含み、これは当業者が理解すべきことである。
フローチャートに示された、又はその他の方式で説明された論理及び/又はステップは、例えば、論理機能を実現させるための実行可能な命令のシーケンスリストとして見なされることが可能であり、命令実行システム、装置、又はデバイス(プロセッサのシステム、又は命令実行システム、装置、デバイスから命令を取得して実行することが可能なその他のシステムを含むコンピュータによるシステム)が使用できるように提供し、又はこれらの命令を組み合わせて使用する命令実行システム、装置、又はデバイスに使用されるために、いかなるコンピュータ読取可能媒体にも具体的に実現されることが可能である。本明細書において、「コンピュータ読取可能媒体」は、命令実行システム、装置、デバイス、又はこれらの命令を組み合わせて実行するシステム、装置又はデバイスが使用できるように提供するため、プログラムを格納、記憶、通信、伝搬又は伝送する装置であってもよい。コンピュータ読み取り可能媒体のより具体的例(非網羅的なリスト)として、1つ又は複数の布配線を含む電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスク(磁気装置)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去書き込み可能リード・オンリー・メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー装置、及びポータブル読み取り専用メモリ(CDROM)を少なくとも含む。また、コンピュータ読み取り可能媒体は、そのうえで前記プログラムを印字できる紙又はその他の適切な媒体であってもよく、例えば紙又はその他の媒体に対して光学的スキャンを行い、そして編集、解釈又は必要に応じてその他の適切の方式で処理して電子的方式で前記プログラムを得、その後コンピュータメモリに記憶することができるためである。
【0044】
なお、本発明の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせによって実現されることができる。上記実施形態において、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶された、適当な命令実行システムによって実行されるソフトウェア又はファームウェアによって実施されることができる。例えば、ハードウェアによって実現するとした場合、別の実施形態と同様に、データ信号に対して論理機能を実現する論理ゲート回路を有する離散論理回路、適切な混合論理ゲート回路を有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(GPA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などといった本技術分野において公知である技術のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせによって実現される。
当業者は、上記の実施形態における方法に含まれるステップの全部又は一部を実現するのは、プログラムによって対応するハードウェアを指示することによって可能であることを理解することができる。前記プログラムは、コンピュータ読取可能な媒体に記憶されてもよく、当該プログラムが実行されるとき、方法の実施形態に係るステップのうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0045】
また、本発明の各実施形態における各機能ユニットは、1つの処理モジュールに統合されてよく、別個の物理的な個体であってもよく、2つ又は3つ以上のユニットが1つのモジュールに統合されてもよい。上記の統合モジュールは、ハードウェアで実現されてもよく、ソフトウェア機能モジュールで実現されてもよい。上記の統合モジュールが、ソフトウェア機能モジュールで実現され、しかも独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてもよい。前記記憶媒体は読取専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等であってもよい。
【0046】
上記の記載は、単なる本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はそれに限定されることなく、当業者が本発明に開示されている範囲内において、容易に想到し得る変形又は置換は、全て本発明の範囲内に含まれるべきである。そのため、本発明の範囲は、記載されている特許請求の範囲に準じるべきである。