IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7000640自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム
<>
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図1
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図2A
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図2B
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図3
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図4
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図5
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図6
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図7
  • 特許-自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20220112BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20220112BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220112BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W30/095
B60W60/00
G08G1/16 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020025125
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2020132149
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-02-18
(31)【優先権主張番号】201910135454.2
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321009845
【氏名又は名称】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】リュウ チャンチュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤーチン
(72)【発明者】
【氏名】ゲン ペン
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214035(JP,A)
【文献】特開2014-211759(JP,A)
【文献】特開2014-080046(JP,A)
【文献】特開2018-203108(JP,A)
【文献】特開2016-143240(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104590259(CN,A)
【文献】NILSSON.J et al.,Predictive manoueuvre generation for automated driving,Proceedings of the 16th International IEEE Annual Conference on Intelligent Transportation Systems(ITSC 2013),2013年,pp.418-423
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/10
B60W 30/095
B60W 60/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両の車線変更前に、自動運転車両に、計画された時間範囲内の複数の時点における選択候補速度を含む選択候補速度軌跡を複数生成することと、
障害物の前記複数の時点における予測速度及び予測位置を取得することと、
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することと、
損失関数の最小値を有する選択候補速度軌跡を、前記自動運転車両の計画速度軌跡として選定することと、を含み、
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することは、
前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における、前記自動運転車両と前記障害物との安全距離である期待距離を設置することと、
前記各時点における前記期待距離と、前記選択候補速度軌跡に対応する前記自動運転車両と前記障害物との距離である選択候補距離とに基づいて、前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することと、
前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値に基づいて、前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を得ることと、を含む、
ことを特徴とする自動運転車両の速度計画方法。
【請求項2】
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することは、
横軸と縦軸がそれぞれ時間と位置である経路時間座標系において、前記選択候補速度軌跡に基づいて、対応する走行経路軌跡を生成することと、
前記時点における対応関係に基づいて、前記障害物の複数の予測位置を前記経路時間座標系にマッピングし、前記障害物のマッピング経路軌跡を得ることと、を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画方法。
【請求項3】
前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における期待距離を設置することは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断し、
前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程であると判断した場合に、
式d_desire=v_obs×x1+(v_obs-v_adc)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出することと、をさらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画方法。
【請求項4】
前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における期待距離を設置するすることは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断し、
前記車線変更過程が道を譲るための車線変更過程であると判断した場合に、
式d_desire=v_obs×x1+(v_adc-v_obs)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出することを、さらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画方法。
【請求項5】
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記各時点における前記選択候補距離を確定することと、
式cost=max[0,-x4(d-d_desire)]に基づいて、前記選択候補速度軌跡の前記各時点における損失関数の値を算出することと、を含み、
ここで、dは前記時点における前記選択候補距離であり、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、x4は第4予め設定されたパラメータである、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画方法。
【請求項6】
動運転車両の車線変更前に、自動運転車両に、計画された時間範囲内の複数の時点における選択候補速度を含む選択候補速度軌跡を複数生成する生成モジュールと、
障害物の前記複数の時点における予測速度及び予測位置を取得する取得モジュールと、
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出する算出モジュールと、
損失関数の最小値を有する前記選択候補速度軌跡を、前記自動運転車両の計画速度軌跡として選定する選定モジュールと、を含み、
前記算出モジュールは、
前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における、前記自動運転車両と前記障害物との安全距離である期待距離を設置する期待距離設置サブモジュールと、
前記各時点における前記期待距離と、前記選択候補速度軌跡に対応する前記自動運転車両と前記障害物との距離である選択候補距離とに基づいて、前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出する損失関数値算出サブモジュールと、
前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値に基づいて、前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を得る損失関数値取得サブモジュールと、を含む、
ことを特徴とする自動運転車両の速度計画装置。
【請求項7】
前記算出モジュールは、
横軸と縦軸がそれぞれ時間と位置である経路時間座標系において、前記選択候補速度軌跡に基づいて、対応する走行経路軌跡を生成する走行経路軌跡生成サブモジュールと、
前記時点における対応関係に基づいて、前記障害物の複数の予測位置を前記経路時間座標系にマッピングし、前記障害物のマッピング経路軌跡を得るマッピング経路軌跡取得サブモジュールと、を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画装置。
【請求項8】
前記期待距離設置サブモジュールは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断する判断ユニットと、
前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程であると判断した場合に、式d_desire=v_obs×x1+(v_obs-v_adc)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出する第1算出ユニットと、をさらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画装置。
【請求項9】
前記期待距離設置サブモジュールは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断する判断ユニットと、
前記車線変更過程が道を譲るための車線変更過程であると判断した場合に、式d_desire=v_obs×x1+(v_adc-v_obs)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出する第2算出ユニット、をさらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画装置。
【請求項10】
前記損失関数値算出サブモジュールは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記各時点における前記選択候補距離を確定する確定ユニットと、
式cost=max[0,-x4(d-d_desire)]に基づいて、前記選択候補速度軌跡の前記各時点における損失関数の値を算出するための算出ユニットと、を含み、
ここで、dは前記時点における前記選択候補距離であり、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、x4は第4予め設定されたパラメータである、
ことを特徴とする請求項に記載の自動運転車両の速度計画装置。
【請求項11】
1つ又は複数のプロセッサと、
請求項1~5のいずれか1項に記載の自動運転車両の速度計画方法を実行するための1つ又は複数のプログラムを記憶するためのメモリと、を含み、
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のプログラムを実行する場合、請求項1~のいずれか1項に記載の自動運転車両の速度計画方法を実行させる、
ことを特徴とする自動運転車両の速度計画装置。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか1項に記載の自動運転車両の速度計画方法を実行するためのプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、
当該プログラムがプロセッサにより実行される場合、請求項1~のいずれか1項に記載の自動運転車両の速度計画方法を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか1項に記載の自動運転車両の速度計画方法を実現するためのプログラムであって、コンピュータにおいて、プロセッサにより実行される場合、請求項1~のいずれか1項に記載の自動運転車両の速度計画方法を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転技術分野に関し、特に自動運転車両の速度計画方法、装置、記憶媒体、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両は、自動運転モードで動作する(例えば、無人運転)車両を含む。自動運転車両は、乗務員、特に運転者を幾つかの運転関連の職責から解放することができる。自動運転車両は、車載センサで個々の位置にナビゲーションされることにより、マンマシンインタラクションを最小限した場合、又は乗客がいない場合における走行を実現することができる。走行中に、自動運転車両がある車線から他の車線に移って走行することは、車線変更と言い、車の流れに合流することにもなることがある。自動運転車両は車線変更する前に、速度計画を含む軌跡計画をする必要がある。速度計画が不当である場合、交通事故が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術における1つ又は複数の技術課題を解決するために、本発明は、自動運転車両の速度計画方法、装置及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1様態は、自動運転車両の速度計画方法を提供する。当該自動運転車両の速度計画方法は、
自動運転車両の車線変更前に、自動運転車両に、計画された時間範囲内の複数の時点における選択候補速度を含む選択候補速度軌跡を複数生成することと、
障害物の前記複数の時点における予測速度及び予測位置を取得することと、
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することと、
損失関数の最小値を有する前記選択候補速度軌跡を、前記自動運転車両の計画速度軌跡として選定することと、を含む。
【0005】
1つの実施形態において、前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することは、
前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における、前記自動運転車両と前記障害物との安全距離である期待距離を設置することと、
前記各時点における前記期待距離と、前記選択候補速度軌跡に対応する前記自動運転車両と前記障害物との距離である選択候補距離とに基づいて、前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することと、
前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値に基づいて、前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を得ることと、を含む。
【0006】
1つの実施形態において、前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することは、
横軸と縦軸がそれぞれ時間と位置である経路時間座標系において、前記選択候補速度軌跡に基づいて、対応する走行経路軌跡を生成することと、
前記時点における対応関係に基づいて、前記障害物の複数の予測位置を前記経路時間座標系にマッピングし、前記障害物のマッピング経路軌跡を得ることと、を含む。
【0007】
1つの実施形態において、前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における期待距離を設置することは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断し、
前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程であると判断した場合に、
式d_desire=v_obs×x1+(v_obs-v_adc)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出することと、をさらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである。
【0008】
1つの実施形態において、前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における期待距離を設置するすることは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断し、
前記車線変更過程が道を譲るための車線変更過程であると判断した場合に、
式d_desire=v_obs×x1+(v_adc-v_obs)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出することを、さらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである。
【0009】
1つの実施形態において、前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出することは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記各時点における前記選択候補距離を確定することと、
式cost=max[0,-x4(d-d_desire)]に基づいて、前記選択候補速度軌跡の前記各時点における損失関数の値を算出することと、を含み、
ここで、dは前記時点における前記選択候補距離であり、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、x4は第4予め設定されたパラメータである。
【0010】
本発明の第2様態は、自動運転車両の速度計画装置を提供する。当該自動運転車両の速度計画装置は、
動運転車両の車線変更前に、自動運転車両に、計画された時間範囲内の複数の時点における選択候補速度を含む選択候補速度軌跡を複数生成する生成モジュールと、
障害物の前記複数の時点における予測速度及び予測位置を取得する取得モジュールと、
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出する算出モジュールと、
損失関数の最小値を有する前記選択候補速度軌跡を、前記自動運転車両の計画速度軌跡として選定する選定モジュールと、を含む。
【0011】
1つの実施形態において、前記算出モジュールは、
前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における、前記自動運転車両と前記障害物との安全距離である期待距離を設置する期待距離設置サブモジュールと、
前記各時点における前記期待距離と、前記選択候補速度軌跡に対応する前記自動運転車両と前記障害物との距離である選択候補距離とに基づいて、前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出する損失関数値算出サブモジュールと、
前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値に基づいて、前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を得る損失関数値取得サブモジュールと、を含む。
【0012】
1つの実施形態において、前記算出モジュールは、
横軸と縦軸がそれぞれ時間と位置である経路時間座標系において、前記選択候補速度軌跡に基づいて、対応する走行経路軌跡を生成する走行経路軌跡生成サブモジュールと、
前記時点における対応関係に基づいて、前記障害物の複数の予測位置を前記経路時間座標系にマッピングし、前記障害物のマッピング経路軌跡を得るマッピング経路軌跡取得サブモジュールと、を含む。
【0013】
1つの実施形態において、前記期待距離設置サブモジュールは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断するための判断ユニットと、
前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程であると判断した場合に、式d_desire=v_obs×x1+(v_obs-v_adc)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出する第1算出ユニットと、をさらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである。
【0014】
1つの実施形態において、前記期待距離設置サブモジュールは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断する判断ユニットと、
前記車線変更過程が道を譲るための車線変更過程であると判断した場合に、式d_desire=v_obs×x1+(v_adc-v_obs)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出する第2算出ユニット、をさらに含み、
ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである。
【0015】
1つの実施形態において、前記損失関数値算出サブモジュールは、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、各時点における前記選択候補距離を確定するための確定ユニットと、
式cost=max[0,-x4(d-d_desire)]に基づいて、各前記時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出するための算出ユニットと、を含み、
ここで、dは前記時点における前記選択候補距離であり、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、x4は第4予め設定されたパラメータである。
【0016】
本発明の第3様態は、自動運転車両の速度計画装置を提供する。当該速度計画装置の機能は、ハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアがその対応するソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。前記ハードウェア又はソフトウェアは、上記機能に対応する1つ又は複数のモジュールを含む。
【0017】
1つの可能な実施形態において、前記装置にはプロセッサとメモリとが含まれ、前記メモリは、前記装置が上記の方法を実行することをサポートするプログラムを記憶するために用いられ、前記プロセッサは、前記メモリに記憶されるプログラムを実行するように構成される。前記装置は、他のデバイス又は通信ネットワークと通信するための通信インターフェースをさらに含むことができる。
【0018】
本発明の第4様態は、自動運転車両の速度計画装置に用いられる、上記の方法を実施するためのプログラムを含むコンピュータソフトウェアコマンドを記憶するためのコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の選択候補速度軌跡を生成し、自動運転車両と障害物との相対位置と相対速度に基づいて、各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出し、その中から損失関数の最小値を有する選択候補速度軌跡を自動運転車両車線変更前の計画速度軌跡として確定することにより、速度計画をより合理化することができる。さらに、本発明によれば、損失関数の値を算出する方法は、自動運転車両の車線変更前の速度を調整することにより、自動運転車両と目標車線における障害物との距離を大きく空け、車線変更の契機と車線変更の安全距離を作ることができ、それによって車線変更の成功率を向上させる。
【0020】
上記の略述は、単に説明のために過ぎず、いかなる限定をも目的としない。上記に記載されている例示的な様態、実施形態、及び特徴以外に、図面及び下記の詳細説明を参照することによって、本発明のさらなる様態、実施形態、及び特徴の理解を促す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の1つの実施形態による自動運転車両の速度計画方法のフローチャートである。
図2A】本発明の実施形態による自動運転車両の速度計画方法の適用場面を示す図である。
図2B】本発明の実施形態による自動運転車両の速度計画方法の適用場面を示す図である。
図3】本発明の他の実施形態による自動運転車両の速度計画方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態による走行経路軌跡とマッピング経路軌跡の模式図である。
図5】本発明の他の実施形態による自動運転車両の速度計画方法のフローチャートである。
図6】本発明の他の実施形態による自動運転車両の速度計画方法のフローチャートである。
図7】本発明の1つの実施形態による自動運転車両の速度計画装置のブロック図である。
図8】本発明の他の実施形態による自動運転車両の速度計画装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面において特に規定されない限り、複数の図面において同様の図面符号は、同様又は類似的な部材又はエレメントを示す。これらの図面は必ずしも実際の比例に従って製図されたものではない。これらの図面は本発明に基づいて開示された幾つかの実施形態を描いたものに過ぎず、本発明の範囲に対する制限としてはならないことを理解すべきである。
【0023】
下記において、幾つかの例示的実施形態を簡単に説明する。当業者が把握出来るよう、本発明の主旨又は範囲を逸脱しない限り、様々な方式により説明された実施形態に変更可能である。従って、図面と説明は制限を加えるものでなく、本質的には例示的なものである。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による自動運転車両の速度計画方法のフローチャートである。図1に示すように、当該方法は下記のステップS100、S200、S300、S400を含む。
ステップS100において、自動運転車両の車線変更前に、自動運転車両に、計画された時間範囲内の複数の時点における選択候補速度を含む選択候補速度軌跡を複数生成する。
ステップS200において、障害物の前記複数の時点における予測速度と予測位置を取得する。
ステップS300において、前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出する。
ステップS400において、損失関数の最小値を有する前記選択候補速度軌跡を、前記自動運転車両の計画速度軌跡として選定する。
【0025】
自動運転車両が選定した経路に沿って走行する過程において、異なる時点での自動運転車両の速度を計画することができ、それによって自動運転車両に速度軌跡を計画する。本実施形態において、選択候補速度軌跡は、速度と時間の二次曲線によって示すことができる。予め設定された時間間隔によって計画された時間範囲を複数の時点に分け、そして選択候補速度軌跡を離散化することにより、各時点における選択候補速度を得ることができる。
【0026】
図2A図2Bは、本発明の実施形態による自動運転車両の速度計画方法の適用場面を示す図である。図2A図2Bには、走行方向が図における上方向である2車線道路の一部が示されている。図2A図2Bにおいて、自動運転車両は、車線変更前に右側の車線を走行しており、車線変更後に左側の車線を走行している。ここで、右側の車線は、「現在車線」と称することができ、左側の車線は「目標車線」と称することができる。目標車線には、自動運転車両の車線変更に影響を及ぼす障害物がある可能性がある。前記障害物は、車線に出てくる通行人、動物、車両等を含むことができる。
【0027】
図2Aにおいて、車線変更前に自動運転車両は障害物の前方に位置する。本発明の実施形態において、自動運転車両が車線変更する前に、自動運転車両に計画された時間範囲内の選択候補速度軌跡を複数生成することができ、その後、各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出し、損失関数の最小値を有する選択候補速度軌跡を計画速度軌跡として選定する。当該計画速度軌跡に基づいて、計画走行経路軌跡を得ることができる。自動運転車両は、前記計画速度軌跡と前記計画走行経路軌跡に沿って車線変更を行うことができる。例えば、図2Aの点A~点Bの部分は、前記計画走行経路に対応する経路である。
ステップS200において、障害物の現在の走行状況に基づいて、実践データを参照して、計画された時間範囲における障害物の速度軌跡と位置軌跡を予測することができ、そして障害物の各時点における予測速度と予測位置を得る。
障害物と自動運転車両との相対速度は、両者間の相対距離に影響を及ぼす。障害物の予測速度と予測位置に基づいて、車線変更前の走行中の自動運転車両と障害物との相対距離を得ることができ、そして相対距離に基づいて、各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出し、最終的に確定された計画速度軌跡をより合理化することができる。そして、車線変更前に速度を調整することによって、自動運転車両と障害物との間に十分な車線変更距離を保つことができる。
【0028】
1つの示例において、計画された時間範囲は8秒であってもよい。計画された8秒以降の速度軌跡は誤差が大きくなる可能性がある。そのため、8秒間以内の速度を計画することによってデータ冗長を低減し、計画精度を高めることができる。
【0029】
1つの実施形態において、図3に示すように、ステップS300は下記のステップS310、S320、S330を含むことができる。
ステップS310において、前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における、前記自動運転車両と前記障害物との安全距離である期待距離を設置する。
ステップS320において、前記各時点における前記期待距離と、前記選択候補速度軌跡に対応する前記自動運転車両と前記障害物との距離である選択候補距離とに基づいて、前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出する。
ステップS330において、前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値に基づいて、前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を得る。
【0030】
ステップS310において、各時点における選択候補速度と、当該時点における障害物の予測速度とに基づいて、当該時点における自動運転車両と障害物との相対速度を得ることができ、そして相対速度に基づいて当該時点における期待距離を設置することができる。当該期待距離は、自動運転車両が車線変更する時、障害物から離れるための安全距離を示すために用いられる。
ある時点で、自動運転車両と障害物との間の選択候補距離と期待距離との距離差が、当該時点における選択候補速度軌跡の損失関数の値に影響を及ぼす場合がある。例えば、距離差が小さいほど、損失関数の値は小さい。
ステップS330において、各時点における損失関数の値を累計することによって、当該選択候補速度軌跡の損失関数の値を得ることができる。
【0031】
図2Bにおいて、車線変更前に、自動運転車両は障害物と平行して走行している。本発明の実施形態における方法によって、自動運転車両の車線変更前の速度を調整することにより、自動運転車両に目標車線における障害物との安全距離を取らせてから、車線変更をさせることができる。
【0032】
1つの実施形態において、図3に示すように、ステップS300は、下記のステップS340、S350をさらに含むことができる。
ステップS340において、横軸と縦軸がそれぞれ時間と位置である経路時間座標系において、前記選択候補速度軌跡に基づいて、対応する走行経路軌跡を生成する。
ステップS350において、前記時点における対応関係に基づいて、前記障害物の複数の予測位置を前記経路時間座標系にマッピングし、前記障害物のマッピング経路軌跡を得る。
1つの示例において、図4に示すように、径路時間座標系において、横軸は時間(t)であり、その単位が秒であり、縦軸は位置(s)であり、その単位がメートルである。式s=v×tに基づいて、選択候補速度軌跡v1(t)とv2(t)とを走行径路軌跡s1(t)とs2(t)とに変換し、走行径路軌跡s1(t)とs2(t)とを径路時間座標系に表すことができる。障害物の各時点における予測位置を径路時間座標系にマッピングし、複数の離散点を得、複数の離散点をフィッティングして障害物のマッピング径路軌跡s0(t)を得ることができる。ここで、計画時間範囲Δtは、複数の時点t0、t1、t2、t3、t4、及びt5を含む。
1つの実施形態において、図5に示すように、ステップS310には、下記のステップS311、S312、S313が含まれる。
ステップS311において、前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断する。
ステップS312において、前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程であると判断した場合、式d_desire=v_obs×x1+(v_obs-v_adc)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出し、ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである。
ステップS313において、前記車線変更過程が道を譲るための車線変更であると判断した場合に、式d_desire=v_obs×x1+(v_adc-v_obs)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出する。
【0033】
ステップS311において、計画された時間範囲の最後の1つの時点における自動運転車両と障害物との位置関係に基づいて、選択候補速度軌跡に対応する車線変更過程が、追い越すための車線変更過程であるか、あるいは、道を譲るための車線変更過程であるかを確定することができる。
【0034】
以下、さらに図4を参照して説明する。図4において、C0は、最後の1つの時点であるt5の時の障害物の位置を示し、C1は、選択候補速度軌跡v1(t)に従い、時点t5を走行した時の自動運転車両の位置を示し、C2は、選択候補速度軌跡v2(t)に従い、時点t5を走行した時の自動運転車両の位置を示す。C1がC0の上方に位置する場合、選択候補速度軌跡v1(t)に対応する車線変更過程が追い越すための車線変更過程であると判断する。C2がC0の下方に位置する場合、選択候補速度軌跡v2(t)に対応する車線変更過程が道を譲るための車線変更過程であると判断する。
ステップS312とステップS313とにおいて、実際の経験に基づいて、第1予め設定されたパラメータx1、第2予め設定されたパラメータx2、及び第3予め設定されたパラメータx3を予め設定することができる。例えば、x3は、車線変更過程に許可される、自動運転車両と障害物とが保持する最小間隔に設定される。
【0035】
1つの実施形態において、ステップS320において、前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、各時点における前記選択候補距離を確定することができ、式cost=max[0,-x4(d-d_desire)]に基づいて、前記選択候補速度軌跡の前記各時点における損失関数の値を算出する。ここで、dは前記時点における前記選択候補距離であり、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、x4は第4予め設定されたパラメータである。
本実施形態において、式cost=max[0,-x4(d-d_desire)]に基づいて、選択候補速度軌跡の各時点における損失関数の値を算出し、そして選択候補速度軌跡の損失関数の値を得ることができる。
【0036】
以上のように、本発明の実施形態における自動運転車両の速度計画方法は、複数の選択候補速度軌跡を生成することによって、自動運転車両と障害物との相対位置と相対速度に基づいて、各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出し、そしてその中から損失関数の最小値を有する選択候補速度軌跡を自動運転車両車線変更前の計画速度軌跡として確定し、それによって速度計画をより合理化することができ、更に、車線変更前に、自動運転車両と目標車線における障害物との間に、十分な車線変更距離を保持するように保障することができる。
さらに、損失関数の値を算出する際、自動運転車両と障害物との安全距離、及び選択候補距離を考慮し、車線変更前に自動運転車両の速度を自主的に調整し、障害物との距離を大きく空け、車線変更の契機と車線変更安全距離を作り、それによって車線変更(車の流れに合流する)の成功率を向上させることができる。
また、速度計画の過程において、追い越すための車線変更過程と道を譲るための車線変更過程とに対して、損失関数の値の異なる算出方式を採用して、速度計画をより精確にすることができる。
【0037】
図6は、本発明の実施形態による速度曲線の生成装置のブロック図である。図6に示すように、当該装置は、
動運転車両の車線変更前に、自動運転車両に、計画された時間範囲内の複数の時点における選択候補速度を含む選択候補速度軌跡を複数生成するための生成モジュール100と、
障害物の前記複数の時点における予測速度と予測位置を取得するための取得モジュール200と、
前記選択候補速度軌跡と、前記予測速度及び前記予測位置とに基づいて、前記各選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出するための算出モジュール300と、
損失関数の最小値を有する前記選択候補速度軌跡を、前記自動運転車両の計画速度軌跡として選定するための選定モジュール400と、を含むことができる。
【0038】
1つの実施形態において、図7に示すように、算出モジュール300は、
前記自動運転車両の各時点における選択候補速度と、前記障害物の前記各時点における予測速度とに基づいて、前記各時点における、前記自動運転車両と前記障害物との安全距離である期待距離を設置するための期待距離設置サブモジュール310と、
前記各時点における前記期待距離と、前記選択候補速度軌跡に対応する前記自動運転車両と前記障害物との距離である選択候補距離とに基づいて、前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を算出するための損失関数値算出サブモジュール320と、
前記各時点における前記選択候補速度軌跡の損失関数の値に基づいて、前記選択候補速度軌跡の損失関数の値を得るための損失関数値取得サブモジュール330と、を含むことができる。
【0039】
1つの実施形態において、図7に示すように、算出モジュール300は、
横軸と縦軸がそれぞれ時間と位置である経路時間座標系において、前記選択候補速度軌跡に基づいて、対応する走行経路軌跡を生成するための走行経路軌跡生成サブモジュール340と、
前記時点における対応関係に基づいて、前記障害物の複数の予測位置を前記経路時間座標系にマッピングし、前記障害物のマッピング経路軌跡を得るためのマッピング経路軌跡取得サブモジュール350と、を含むことができる。
1つの実施形態において、期待距離設置サブモジュール310は、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、前記選択候補速度軌跡に対応する前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程又は道を譲るための車線変更過程であることを判断するための判断ユニットと、
前記車線変更過程が追い越すための車線変更過程であると判断した場合に、式d_desire=v_obs×x1+(v_obs-v_adc)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出するための第1算出ユニットであって、ここで、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、v_obsは前記時点における前記予測速度であり、v_adcは前記時点における前記選択候補速度であり、x1、x2及びx3は、それぞれ第1予め設定されたパラメータ、第2予め設定されたパラメータ、及び第3予め設定されたパラメータである、第1算出ユニットと、
前記車線変更が道を譲るための車線変更過程であると判断した場合に、式d_desire=v_obs×x1+(v_adc-v_obs)×x2+x3に基づいて、前記各時点における前記期待距離を算出するための第2算出ユニットと、を含むことができる。
【0040】
1つの実施形態において、損失関数値算出サブモジュール320は、
前記走行経路軌跡と前記マッピング経路軌跡とに基づいて、各時点における前記選択候補距離を確定するための確定ユニットと、
式cost=max[0,-x4(d-d_desire)]に基づいて、前記選択候補速度軌跡の前記各時点における損失関数の値を算出するための算出ユニットであって、ここで、dは前記時点における前記選択候補距離であり、d_desireは前記時点における前記期待距離であり、x4は第4予め設定されたパラメータである、算出ユニットと、を含むことができる。
【0041】
本発明の実施形態における各装置内の各モジュールの機能は、上記の方法に対応する記載を参照することができるため、ここでは省略する。
【0042】
図8は、本発明の実施形態による自動運転車両の速度計画装置のブロック図である。図10に示すように、当該装置は、メモリ810とプロセッサ820を含み、メモリ810にプロセッサ820で実行可能なコンピュータプログラムが記憶される。前記プロセッサ820が前記コンピュータプログラムを実行する場合に、上記の実施形態における自動運転車両の速度計画方法は実現させる。前記メモリ810とプロセッサ820の数は1つであってもよく又は複数であってもよい。
【0043】
当該装置は、他のデバイスと通信するために用いられ、データの相互伝送を行う通信インターフェース830をさらに含む。
メモリ810は、高速度RAMメモリを含んでもよく、少なくとも1つの磁気メモリのような不揮発性メモリ(non-volatile memory)を含んでもよい。
メモリ810、プロセッサ820、及び通信インターフェース830が個別に実現される場合、メモリ810、プロセッサ820、及び通信インターフェース830は、バスによって相互接続して相互通信を行うことができる。前記バスは、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA、Industry Standard Architecture)バス、外部デバイス相互接続(PCI、Peripheral ComponentInterconnect)バス、又は拡張インダストリスタンダードアーキテクチャ(EISA、Extended Industry Standard Component)バス等であってもよい。前記バスは、アドレスバス、データバス、制御バス等として分けられることが可能である。表示の便宜上、図10に1本の太線のみで表示するが、バスが1つ又は1種類のみであることを意味しない。
【0044】
任意選択で、具体的な実現において、メモリ810、プロセッサ820及び通信インターフェース830が1つのチップに集成した場合、メモリ810、プロセッサ820、及び通信インターフェース830は、内部インターフェースによって相互通信を行うことができる。
【0045】
本発明の実施形態は、コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体を提供し、当該プログラムがプロセッサにより実行される時、上記の実施形態のいずれか1つに記載された方法を実現する。
【0046】
本明細書において、「1つの実施形態」、「幾つかの実施形態」、「例」、「具体例」或いは「一部の例」などの用語とは、当該実施形態或いは例で説明された具体的特徴、構成、材料或いは特点を結合して、本発明の少なくとも1つの実施形態或いは実施例に含まれることを意味する。また、説明された具体的特徴、構成、材料或いは特点は、いずれか1つ或いは複数の実施形態または例において適切に結合することが可能である。また、矛盾しない限り、当業者は、本明細書の異なる実施形態または例、および、異なる実施形態または例における特徴を結合したり、組み合わせたりすることができる。
また、用語「第1」、「第2」とは比較的重要性を示している又は暗示しているわけではなく、単に説明のためのものであり、示される技術的特徴の数を暗示するわけでもない。そのため、「第1」、「第2」で限定される特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示又は暗示的に含むことが可能である。本出願の記載の中において、「複数」の意味とは、明確的に限定される以外に、2つ又は2つ以上を意味する。
【0047】
フローチャート又はその他の方式で説明された、いかなるプロセス又は方法に対する説明は、特定な論理的機能又はプロセスのステップを実現するためのコマンドのコードを実行可能な1つ又はそれ以上のモジュール、断片若しくはセグメントとして理解することが可能であり、さらに、本発明の好ましい実施形態の範囲はその他の実現を含み、示された、又は、記載の順番に従うことなく、係る機能に基づいてほぼ同時にまたは逆の順序に従って機能を実行することを含み、これは当業者が理解すべきことである。
フローチャートに示された、又はその他の方式で説明された論理及び/又はステップは、例えば、論理機能を実現させるための実行可能なコマンドのシーケンスリストとして見なされることが可能であり、コマンド実行システム、装置、又はデバイス(プロセッサのシステム、又はコマンド実行システム、装置、デバイスからコマンドを取得して実行することが可能なその他のシステムを含むコンピュータによるシステム)が使用できるように提供し、又はこれらのコマンドを組み合わせて使用するコマンド実行システム、装置、又はデバイスに使用されるために、いかなるコンピュータ可読記憶媒体にも具体的に実現されることが可能である。本明細書において、「コンピュータ可読記憶媒体」は、コマンド実行システム、装置、デバイス、又はこれらのコマンドを組み合わせて実行するシステム、装置又はデバイスが使用できるように提供するため、プログラムを格納、記憶、通信、伝搬又は伝送する装置であってもよい。コンピュータ読み取り可能媒体のより具体的例(非網羅的なリスト)として、1つ又は複数の布配線を含む電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスク(磁気装置)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去書き込み可能リード・オンリー・メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー装置、及びポータブル読み取り専用メモリ(CDROM)を少なくとも含む。また、コンピュータ読み取り可能媒体は、そのうえで前記プログラムを印字できる紙又はその他の適切な媒体であってもよく、例えば紙又はその他の媒体に対して光学的スキャンを行い、そして編集、解釈又は必要に応じてその他の適切の方式で処理して電子的方式で前記プログラムを得、その後コンピュータメモリに記憶することができるためである。
【0048】
なお、本発明の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせによって実現されることができる。上記実施形態において、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶された、適当なコマンド実行システムによって実行されるソフトウェア又はファームウェアによって実施されることができる。例えば、ハードウェアによって実現するとした場合、別の実施形態と同様に、データ信号に対して論理機能を実現する論理ゲート回路を有する離散論理回路、適切な混合論理ゲート回路を有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(GPA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などといった本技術分野において公知である技術のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせによって実現される。
当業者は、上記の実施形態における方法に含まれるステップの全部又は一部を実現するのは、プログラムによって対応するハードウェアを指示することによって可能であることを理解することができる。前記プログラムは、コンピュータ読取可能な媒体に記憶されてもよく、当該プログラムが実行されるとき、方法の実施形態に係るステップのうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0049】
また、本発明の各実施形態における各機能ユニットは、1つの処理モジュールに統合されてよく、別個の物理的な個体であってもよく、2つ又は3つ以上のユニットが1つのモジュールに統合されてもよい。上記の統合モジュールは、ハードウェアで実現されてもよく、ソフトウェア機能モジュールで実現されてもよい。上記の統合モジュールが、ソフトウェア機能モジュールで実現され、しかも独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてもよい。前記記憶媒体は読取専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等であってもよい。
【0050】
上記の記載は、単なる本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はそれに限定されることなく、当業者が本発明に開示されている範囲内において、容易に想到し得る変形又は置換は、全て本発明の範囲内に含まれるべきである。そのため、本発明の範囲は、記載されている特許請求の範囲に準じるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8