(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ホログラフィックセキュリティラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03H 1/04 20060101AFI20220112BHJP
B42D 25/328 20140101ALI20220112BHJP
【FI】
G03H1/04
B42D25/328
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021006841
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2021-02-17
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517200382
【氏名又は名称】カウナス ユニバーシティ オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グリガリウナス、ビクトラス
(72)【発明者】
【氏名】タムレビシアス、シギタス
(72)【発明者】
【氏名】アンドルレビシアス、ミンダウガス
(72)【発明者】
【氏名】タムレビシアス、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ファタライト-アーボニエン、エグレ
(72)【発明者】
【氏名】ナルモンタス、プラナス
(72)【発明者】
【氏名】クリナビシアス、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジュシウス、ダリウス
(72)【発明者】
【氏名】ジュオデナス、ミンダウガス
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-150272(JP,A)
【文献】特開2013-174890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0187850(US,A1)
【文献】中国特許第105807348(CN,B)
【文献】中国特許出願公開第107167920(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0129166(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102007043149(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/04
B42D 25/328
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックセキュリティラベルを製造するための方法であって、
レーザ干渉リソグラフィにより、ドットマトリックスホログラムおよびアライメントマーク
を基板上のフォトレジストにパターニング
する段階と、
フォトレジスト現像剤への部分的な基板浸漬により、前記アライメントマークを現像する段階と、
100nmから200nmの厚さを有する補助アルミニウムフィルムを
前記フォトレジスト上に真空堆積する段階と、
PMMAの単一の層をスピンコートする段階と、
走査型電子顕微鏡により、
前記レーザ干渉リソグラフィでパターニングされた領域と電子ビームパターニング領域との間において、位置合わせおよび角度補正を正確に実行する段階と、
フォーカスされた電子ビームにより
、パターンをPMMAにパターニングする段階と、
前記PMMAを現像する段階と、
Ce(NH4)2(NO3)6:HNO3を使用して前記補助アルミニウムフィルムをエッチングする段階と、
前記電子ビームパターニング領域を介して、前記フォトレジストの露光(λ=405nm)を実行する段階と、
Ce(NH4)2(NO3)6:HNO3を使用して、前記補助アルミニウムフィルムのエッチングおよびPMMAのリフトオフを行う段階と、
前記フォトレジストを現像して、したがって
前記レーザ干渉リソグラフィおよび
前記電子ビームでパターニングされたホログラムの位置合わせ領域を製造する段階と、
銀フィルムを真空堆積する段階と、
電気化学的手段を使用してニッケルフィルムを堆積する段階と、
ロール・ツー・ロール複製のためのニッケルシムを製作する段階と、
多層の金属化されたまたは透明のポリマーフィルムにおいて前記ホログラムを複製する段階と、
感圧性、熱可塑性または熱硬化性の接着剤で前記ポリマーフィルムをコーティングして、前記ポリマーフィルムを個別ラベルに分割する段階と
を備える、方法。
【請求項2】
前記補助アルミニウムフィルムが前記電子ビームでパターニングされた構造を前記フォトレジストに伝達することにより、前記
レーザ
干渉リソグラフィでパターニング
された領域および
前記電子ビーム
でパターニング
された領域は、
1つの感光層において結合され
る、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティホログラムの製造方法、特に、回折画像を単一の製品に結合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティホログラムは、文書、紙幣、クレジットカード、商標、製品のパッケージ、シーリング、輸送券、ソフトウェアなどの偽造に対する保護のために広く使用されている。これは、ホログラムが、潜在的な偽造者がアクセスすることが困難な、非常に高価で高度な技術を使用して作られるからである。しかしながら、近年は、ホログラムおよび他の光学的に可変なデバイスの製造業者のうち多数がかなり拡大しており、潜在的には様々な製造業者が同様のホログラムを製作する可能性がある。そのため、偽造に対する高度なレベルの保護を維持するために、これらのより高価かつ唯一な技術または組み合わせが使用される必要がある。
【0003】
欧州特許出願第93309585.3号(公開番号EP0602829)は、電子ビームプロセスによりパターンを書き込むことと、その後、それを位相マスクとして使用してデバイスにそれを伝達させることとにより、任意の格子を生成するための方法を開示する。電子ビームで定義されたパターンは、反応性イオンエッチングを使用して、マスク基板にエッチングされる。深さを適切に選択することにより、透過され回折されたビームは、等しい強度で作られ得る。従って、そのような基板は、近距離の格子印刷のために、純粋な位相マスクとして使用され得る。この方法の利点は、電子ビーム書き込み技術の柔軟性による、任意の格子を定義する自由である。その上に、このプロセスは、1回実行され得、結果として得られるマスクは複数回再使用され得る。また著者は、フィルタリングされた水銀アークランプの光は、小さなソースから発し、コリメートされていることを条件として、UVレーザの代わりに使用され得、ほとんどのきれいな室内環境において一般的に見られる装置を使用して充分な干渉コントラストが達成され得ることを発見したと主張する。この方法は、2ビームレーザ干渉を使用したドットマトリックス格子形成を伴わないので、我々の方法とは異なる。パターンを加えるために単一のe‐ビームリソグラフィ技術を使用することは、一様の格子プロファイルをもたらし、これは複製しやすい。
【0004】
米国特許第US5,393,634号は、振幅ホログラムの機能を有する透明マルチレベル位相ホログラムを同時に作成するための方法を説明する。金属化された光学的に透明な基板は、電子ビームレジストでスピンコートされ、次に、アラインメントマーカとともに所望の図で露出される。現像後に金属フィルムにアクセス可能であるために、全線量露光が使用される。金属をエッチングした後、位相マスクが取得される。次にレジストは、電子ビームレジストを用いた2回目のスピンコートのために取り除かれる。マルチレベル位相マスクは次に、振幅マスク上に位置合わせされた電子ビーム露光を介して線量を制御する透明レジストに記録される。電子ビームリソグラフィ技術のみを使用してホログラムを製造する方法は、偽造が比較的に簡単である。
【0005】
米国特許第US 6,392,768号は、隠し画像を有するドットマトリックスホログラムの作成のための方法を説明する。方法は、隠し画像を有するドットマトリックスホログラムを形成するために、レーザ干渉リソグラフィの原理を利用する。そこに、格子ドットのグループが、格子ドットの長方形の基本ブロックとして形成する。この格子ドットの基本ブロックは繰り返され、ホログラムの隠し画像領域を構成するマトリックス配列を有する格子ドットのブロックのグループを形成する。ピッチと角度が同一な格子ドットは収束レーザ光を回折する可能性があるので、隠し画像の再構成位置は、隠し画像領域の照明領域の位置に依存しない。隠し画像領域における格子ドットのブロックは、2次元重複により形成される。一般的な照明において、同じ動的効果を同時に有するマトリックスタイプの画像を示す。したがって、ドットマトリックスホログラムを使用することで、異なるグループの格子ドットが順に明るくなる動的効果を容易に作成し得る。各格子ドットの格子の特性は、正確に制御され、入射光が特定の位置に回折されるための特定の条件を設計し、特定の隠し画像を生成する。この原理により、グラフィック画像においては、可変な周期および向きを有する標準的な回折格子のみならず、レーザビームの光の下でスクリーン上に見える隠し画像も形成され得る。方法は、セキュリティデバイスが比較的に容易に偽造され得るように、隠し画像を有するホログラムを形成するためにドットマトリックスレーザ干渉リソグラフィのみを使用することを説明する。
【0006】
米国特許第US7,435,979は、電子ビームリソグラフィの間、電子ビームスポットパラメータおよび露光時間を連続的に変えることにより光デバイスを製作する方法を説明する。これらは、露光されている間に、デカルト座標および回転の両方において独立して変更され得る長方形のビームスポットを使用する。また、著者は、バイナリまたはグレースケールのビットマップ画像を機械コードに転換して、入力に基づいて様々な回折要素を製作する前処理技術を主張する。また、前処理アルゴリズムは、RGBビットマップ画像を取り込み、各ピクセルを、電子ビームリソグラフィにより予め定義された領域に充填されるべき異なる光要素のライブラリに参照することができる。また、当該特許は、異なる角度および/または向きで見ることができるスイッチング画像チャネルを製作するいくつかの実施形態を説明する。このホログラム製作方法は、電子ビームリソグラフィのみを使用し、セキュリティデバイスが比較的に簡単に偽造できるようにする。
【0007】
もっとも近い先行技術は、ホログラフィックセキュリティデバイスを形成する方法を説明する欧州特許出願公開第EP2152526号および米国特許出願第12/451,094号(公開番号US 2010/0172000)に開示されているものとみなされる。方法の本質は、同じレジストマスター内で、相補的な光学的可変効果を示す2つの正確にインターリーブされた画像生成構造を結合することである。これらの各々は、光干渉法および電子ビームリソグラフィなどの、別個の且つ技術的にはっきりと異なる生成方法によりレジスト内で製造される。1つの構造の領域は、肉眼では見えないスケールで他の構造の領域とインターリーブされ、その結果、2つの構造は完全に一体化されたように見える。構造の要素の典型的な寸法は5ミクロンから50ミクロンである。拡散回析構造により特徴付けられる第1回折画像生成構造は、通常、光干渉法により生成される。鏡面回析構造により特徴付けられる第2生成構造は通常、ドットマトリックス干渉法、リソグラフィ干渉法、または電子ビームリソグラフィを使用して生成される。これは、視覚的に際立った光学的に可変な画像切り替え効果を有するセキュリティデバイスを製作する。ホログラフィック画像は、異なる視野角で見える場合があり、異なるオブジェクトのビューまたは同じオブジェクトの異なるビューを示し得る。説明された方法は、デバイスの同じ領域に位置づけられているが異なる向きで見える、2つまたはそれより多い非常にきれいで明るいグラフィカル重複ホログラフィック画像を有する光学的に可変なデバイスを作成することを可能にする。ホログラフィックセキュリティデバイスを形成する方法は、導電性Cr層の上に未現像のフォトレジスト層を提供する段階と、未現像のフォトレジスト層に拡散回折再生を有する第1回折画像生成構造を形成する段階と、未現像のフォトレジスト層に鏡面再生を有する第2回折画像生成構造を形成する段階と、その後、フォトレジスト層を現像する段階とからなる。薄いCr層は、導電層として主に機能するが、レジストプレート内における内部反射を抑制するため光吸収性抗反射コーティングとしても機能し得る。当該方法の欠点は、電子ビーム領域とドットマトリックスレーザでパターニングされた領域とを結合する場合、光学アラインメントを使用して測位精度が低減することである。我々の場合には、電子ビーム領域とドットマトリックスパターニング領域との位置合わせは、非常に高い測位精度を保証する1つのレジスト層において走査型電子顕微鏡により行われる。
【0008】
本発明は、上記の欠点を克服し、先行技術よりさらに多くの利点を生み出すことに特化される。
【発明の概要】
【0009】
本発明に係るホログラフィックセキュリティラベルの製造方法は、ドットマトリックスレーザ生成技術と、電子ビームリソグラフィ技術と、多層ポリマーフィルムにおける結合されたホログラムの複製とを結合する。
【0010】
ドットマトリックスレーザ生成技術は、可変な周期および向きを有する回折格子のパターニングに使用される。ドットマトリックス技術は低コストのプロセスであり、速い生成速度を有し、回折効率の高いホログラムの広い面積をパターニングするのに使用され得るが、この方法の光学的な制限によって、極めて高分解能の構造を作成することは不可能である。
【0011】
電子ビームリソグラフィ技術は、コンピュータで生成されたホログラムと高分解能回折格子とのパターニングに使用される。それは、高分解能構造を形成することは可能にするが、生成速度は比較的遅く、プロセスコストも非常に高い。
【0012】
中間アルミニウム層は、電子ビームでパターニングされた構造を感光性レジスト層に伝達するのに使用される。
【0013】
方法は、ドットマトリックスレーザリソグラフィ機械を使用することにより、定義された設計領域とアライメントマークとをガラス基板上のフォトレジストに露光させる段階(λ=405nm)と、アライメントマークを現像する段階と、アルミニウム層を真空堆積する段階と、PMMAレジスト層をスピンコートする段階と、走査型電子顕微鏡を使用してドットマトリックスレーザパターニング領域と電子ビームパターニング領域とを高い精度で位置合わせする段階と、電子ビームパターニング段階と、PMMAの現像段階と、アルミニウムフィルムの化学エッチング段階と、フォトレジストの露光段階(λ=405nm)と、アルミニウム層の除去段階であって、ここでPMMA層が同様にリフトオフされる、除去段階と、ドットマトリックスレーザでパターニングされた領域と電子ビームでパターニングされた領域とを同時に製造するフォトレジストの最終現像とを備える。現像されたレジストは次に、ニッケルスタンプを製作することに使用され、製作されたスタンプは次に、多層の金属化されたまたは透明のポリマーフィルムにおけるホログラムの複数の複製に使用される。適用目的に応じて、ホログラムがインプリントされたポリマーフィルムは、感圧性、熱可塑性または熱硬化性の接着剤でコーティングされ、適切な形状で個別ラベルに分割され、偽造に対する保護のレベルを向上させ得る。
【0014】
したがって、セキュリティデバイスのセキュリティレベルは、正確に位置合わせされたドットマトリックスレーザでパターニングされた領域と電子ビームでパターニングされた領域とを、アルミニウム中間層を使用することで、単一のレジスト層に結合することにより向上する。長方形および正弦波状のようなプロファイルは、単一のホログラムマスター上に存在する。当該方法に従って結合されたホログラムを製作することは、既知の先行技術と比較して、より正確な複製パラメータの制御を要求する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
新規性よび進歩性があると考えられる本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。しかしながら、本発明そのものは、非限定的な例において与えられた、添付の図とともに記載される本発明の例示的な実施形態を説明する本発明の以下の詳細な説明を参照して最もよく理解され得る。
【
図1】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図2】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図3】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図4】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図5】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図6】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図7】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図8】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図9】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図10】アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【
図11】ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。
【
図12】ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。
【
図13】ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。
【
図14】ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。
【
図15】ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。
【
図16】ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。
【
図17】ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。
【
図18】指定されたフォトレジスト領域を重複するレーザビームに露光することにより形成された格子ドットのアレイを備えるドットマトリックスホログラムを示す。
【
図20】CGHの構造を示す。 本発明の好ましい実施形態が、本明細書において、図面を参照して以下に説明される。各図面は、同じまたは同等な要素に対して同じ参照番号を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の完全かつ分かりやすい説明を提供するために、多数の特定の詳細が提示されることを理解されたい。しかしながら、当業者は、実施形態例が、これらの具体的な指示がなくても実装され得る本発明の適用を限定するものではないことを理解するであろう。周知の方法、手順およびコンポーネントは、誤解を回避するために実施形態に詳細には説明されない。さらに、この説明は、与えられた実施形態例に本発明を制約するものとみなされるべきではなく、本発明の可能な実装の1つとしてのみ考慮されるべきである。
[使用された略語]
PMMA‐ポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate)
CGH‐コンピュータで生成されたホログラム(Computer Generated Hologram)
MIBK‐メチルイソブチルケトン(methylisobuthilketone)
IPA‐イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)
PET‐ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)
【0017】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9および
図10は、アルミニウム中間層を使用して、単一のレジスト層におけるドットマトリックスレーザおよび電子ビームリソグラフィ技術の組み合わせを可能にする、オリジナルホログラムの製作方法を示す。
【0018】
まず、アートデザインの定義された領域におけるドットマトリックスホログラム(3)とアライメントマーク(4)とのパターンが、レーザビーム干渉リソグラフィ方法を採用することにより、ガラス基板(1)上の感光層(2)に形成される。
図18に示されるように、格子ドットのアレイを備えるドットマトリックスホログラムが、指定されたフォトレジスト領域を重複するレーザビームに露光することにより形成される。各格子ドットの適切な位置および格子配向角度は、X‐Yモータ式並進段階と、レーザビームスプリッタ回転段階と、コンピュータソフトウェアとにより制御される。試料(5)の裏側にアライメントマークを有する露光されたフォトレジスト領域の現像は、Microposit(登録商標)のMF-26A現像剤を室温で20秒間使用し、試料の裏側のみを浸漬させることにより行われる。現像手順の後、これらの領域は、蒸留水ですすがれ、次に圧縮された窒素ガス流を使用して乾燥される。100nmから200nmの厚さを有する補助アルミニウム層(6)は、真空堆積を使用してフォトレジストにおいて蒸発される。次に、PMMA(7)の単一の層が、アルミニウム層の上部において、2000rpmから3000rpmで40秒間スピンコートされ、ホットプレート上において150℃で5分間乾燥される。PMMA層の厚さは粘度に依存し、約150nmから400nmの間で変化し得る。ドットマトリックス領域と電子ビームパターニング領域との間の正確な位置合わせおよび角度補正は、Raith e_LiNeの走査型電子顕微鏡で、試料の裏側に位置するドットマトリックスレーザでパターニングされ現像されたアライメントマーク(8)とを使用して行われる(ウェーハ座標系は、電子ビーム露光前のドットマトリックスレーザでパターニングされた領域に位置合わせされる)。
図5に示されるように、効率的な電子ビームパターニングは、Raith e_LiNe電子ビームリソグラフィシステムにより提供される2nmサイズのガウスビームで行われる。システムは、正確なフォーカスおよび位置合わせ手順を要求し、露光パラメータは通常、例えば、1つの設計の異なる一部を露光し、その間で列と他のパラメータとを変化させるなど、特定の適用のためにカスタマイズされる。ビーム電圧などの列パラメータは、10Vの段階において20Vから30kVの範囲内で自由に選択され得る。作業距離も自由に調整され得る。7つのビーム画定開口設定が、ソフトウェアインターフェイスを介して容易に選択される。開口は電磁的に変更され、5pAから約20nAの電流範囲を提供する。利用可能なパラメータの幅広い選択は、
図19に示されるようなさまざまな回折光学要素を形成するための幅広い範囲の線量変化、ならびにコンピュータで生成されたホログラムを用いた効率的なPMMAパターニングを保証する。CGHは、その上に入射するレーザビームの横方向の電力分布を所望の横方向の電力分布に変換するために使用される回折光学ビーム成形要素である。CGHの構造は、
図20に示されるように、限定はされないが、迂回位相アルゴリズム、Gerchberg‐Saxtonアルゴリズム、波面記録プレーンアルゴリズム、キノフォームアルゴリズム、Fourier Ping‐Pongアルゴリズム、Coherent Raytraceアルゴリズムおよび回折固有アルゴリズムに含まれるいくつかの異なる方法により計算され得る。露光されたPMMA(9)の現像は、1:3比のMIBK‐IPA溶液で、40秒間撹拌することで行われる。次に、現像は15秒間IPAにおいて停止される。硝酸セリウムアンモニウムベースのエッチング液Ce(NH
4)
2(NO
3)
6:HNO
3が、アルミニウムフィルムのエッチングに、40A/秒のエッチング速度で、室温で使用され、その後脱イオン水ですすがれる。アルミニウムフィルム(10)をウェット化学エッチングし、90℃のホットプレート上で1分間ソフトベーキングした後、フォトレジストは、アルミニウム層(11)の開口部を介して、OAIモデル200マスクアライナーにおいて、32mW/cm
2の光強度を有する水銀ランプにより露光される。典型的な露光時間は10秒に等しい。次にPMMAは、
図9に示されるように、硝酸セリウムアンモニウムベースのエッチング液を使用した超音波浴において、アルミニウム層ともにリフトオフされる。ドットマトリックスレーザでパターニングされた領域および電子ビームでパターニングされた領域におけるフォトレジストの最終現像は、Microposit(登録商標)のMF-26A現像剤を室温で20秒間使用し、試料全体を浸漬させることにより行われる。現像手順の後、
図10に示されるように現像されたフォトレジストパターン(12)を有する試料全体は蒸留水ですすがれ、次に圧縮された窒素ガス流を使用して乾燥される。
【0019】
図11、
図12、
図13、
図14、
図15、
図16および
図17は、ドットマトリックスと電子ビームとでパターニングされた単一のレジスト層と、正確に位置合わせされたフィーチャとを使用した、ホログラムを有する多層ポリマーフィルムの形成を示す。真空蒸発技術は、パターニングされたPMMA層(12)を有するガラス基板(1)の表面に約40nmの厚さを有する電気伝導性銀層(13)を形成するのに使用される。真空蒸発の間、真空チャンバにおける残留ガス圧は、およそp=2×10
-4Paであり、基板温度はT=20℃である。ニッケル(14)の電気化学堆積は、機械的に撹拌されたスルファミン酸ニッケルから、T=50±1℃で実行される。ホウ酸は、3.8から4.2の範囲内で(最適な値は4.0である)電解質のpH値を安定させる緩衝剤として使用される。ドデシル硫酸ナトリウムは、耐孔食剤として使用される。Nickel S-Rounds(INCOによる)で充填され、ポリプロピレンファブリックでコーティングされたチタンバスケットは、アノードとして使用される。カソードの電流密度は、電気分解の最初の15分間は10mA/cm
2であり、その後、電気分解の残りの時間の間は、35mA/cm
2までスムーズに増加する。電着層の最終厚さは約90μmであり、平均堆積速度は約37μm/hである。電着の後、Niフィルム(14)はPMMA面から分離され、温水で洗浄される。ドットマトリックスおよび電子ビームでパターニングされたホログラムのミラー画像を有するNiフィルムは次に、単一のニッケルマスターシムを取得するために、再結合プロセスに使用される。ホログラム再結合装置の主な要件は、エンボス領域全体にわたって精密接触を保証することである。エンボス加工中の再結合品質は、デバイスの動作要素の品質と、技術的パラメータ(温度、圧力、処理持続時間および測位精度)とに依存する。再結合精度は、精密ヘッドを有するデバイスおよび座標テーブルを使用して達成される。ヘッドの材料は、エンボスプロセス中に表面の特性および体積寸法が一定になるような方法で選択される。再結合は、(14)および(15)におけるように、PMMAプレート(プレートの厚さは3mmから5mm)の表面にホログラムをエンボス加工することにより実行される。エンボス加工は、T=150℃-165℃の温度、p=0.3MPa-0.7MPaの圧力、およびt=13s-17sの持続時間で行われる。再結合領域のサイズは、エンボスロールの幅および半径に応じて幅広い範囲で変化し得る。エンボス加工されたホログラムを有するPMMAプレートは、真空チャンバにおける残留ガス圧p=2×10
-4Pa、およびT=20℃に等しい基板温度で、真空蒸発技術を使用して、約40nmの厚さを有する電気伝導性銀層(16)でコーティングされる。銀でコーティングされたPMMAプレートは、ニッケルマスターシム(17)を製作するためにスルファミン酸ニッケル浴に浸漬される。ニッケルの電気化学堆積は、機械的に撹拌されたスルファミン酸ニッケルから、T=50±1℃で実行される。ホウ酸は、3.8から4.2の範囲内で(最適な値は4.0である)電解質のpH値を安定させる緩衝剤として使用される。ドデシル硫酸ナトリウムは、耐孔食剤として使用される。Nickel S-Rounds(INCOによる)で充填され、ポリプロピレンファブリックでコーティングされたチタンバスケットは、アノードとして使用される。カソードの電流密度は、電気分解の最初の15分間は10mA/cm
2であり、その後、電気分解の残りの時間の間は、35mA/cm
2までスムーズに増加する。電着層の最終厚さは約90μmであり、平均堆積速度は約37μm/hである。電着の後、Niマスターシム(17)はPMMA面から分離され、温水で洗浄される。次に、Niマスターシムはガラスプレートに取り付けられ、Niの電気化学堆積の手順は、
図15と
図16とに示されるように、ポリマーフィルムにおけるホログラムのロール・ツー・ロール複製のためのNiシムを製造するために、何度も繰り返され得る。Niシム(17)は、エンボス加工機械内の加熱されたローラ上に固定される。制御されたp=0.1MPa-0.5MPaの圧力下およびT=65℃-82℃の温度下で、第2ローラは、透明フィルムまたは金属化フィルムをシム(18)にプレスする。多層フィルムのタイプは、最終製品の用途に依存する。19μmから54μmの厚さを有するシンプルなPETまたは不正変更明示フィルムが、ステッカーの製作のために適用され得る。19μmから24μmの厚さを有する多層フィルムが、ホットスタンプの適用に使用され得る。ステッカーの製作の場合、10μmから25μmの厚さを有する感圧性接着層が、シリコーンペーパー(19)でコーティングされ、挟まれる。次に、プロッタ、切断機械などのような異なるタイプの切断デバイスが、必要なサイズおよび形状のステッカーを得るために使用され得る。厚さが1μmから5μmあたりの非常に薄い接着層が、ホットスタンプの適用のためにコーティングされる。異なるタイプの市販の水ベースのまたは溶剤ベースの接着剤が使用され得る。コーティングレジームは、接着剤の性質および粘度に応じて選択される。高粘度の接着剤のコーティングの場合、ポリマーフィルムの表面上における薄い接着層のスムーズ且つ均一な分布を保証するために、ナイフを備え付けたアニロックスロールが使用され得る。接着材の粘度が低い場合、接着層の形成のための線材ロッドが使用され得る。接着層の厚さは、接着材の粘度および線材の直径に依存する。接着層を乾燥させた後、フィルムはスクロールされ、ホットスタンプの適用の準備ができる。ホットスタンプ手順は、最終製品に関連して形状が選択される加熱スタンプを備え付けたデバイスを使用して実行される。ホットスタンプ処理は通常、T=80℃-100℃、圧力p=0.01MPa-0.05MPaで行われる。
【0020】
本発明の本説明には、構造的詳細および特徴とともに多数の性質および利点が列挙されているが、当該説明は、本発明の例示的な実現として提供されたものである。本発明の原理から逸脱することなく、特許請求の範囲において使用される概念および定義の最も広く理解されている意味に従って、詳細における、特に形状、サイズおよびレイアウトにおける変化が存在し得る。