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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20220112BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20220112BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02K3/46 C
H02K3/28 J
H02K21/22 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017191305
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019068604
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】今泉 紀寿
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0148597(US,A1)
【文献】特開2012-034539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/46
H02K 3/28
H02K 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転するロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、を備え、
前記ステータは、
環状のコアバックおよび前記コアバックから径方向に延びる複数のティースを有するステータコアと、
前記複数のティースに取り付けられる複数のボビンと、
前記ボビンに巻かれるコイル線と、
を有し、
前記ステータは、1本の前記コイル線が複数の前記ボビンに巻き回された巻線組を複数含み、
前記ロータの極数と前記ステータのスロット数が、42極36スロットであり、前記巻線組は、隣接する前記ティースに取り付けられる2個の前記ボビンからなるボビン組が間隔を空けて3組配置された構成を有し、
前記ボビンは、前記ティースに対して径方向に着脱可能であり、
前記第1のティースの前記ボビン組の周方向一方側と周方向一方側に前記ティースを4個隔てた第2のティースの前記ボビン組の周方向他方側までを繋ぐ渡り線の長さは、
前記第1のティースの前記コアバックとの接続端の周方向一方側から、前記第2のティースの先端の周方向他方側までの距離と同等である、
モータ。
【請求項2】
前記巻線組において隣り合う前記ボビンの巻線方向は互いに逆向きである、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ステータの全ての前記巻線組において、2個以上の前記ティースを隔てた前記ボビン同士を繋ぐ渡り線は前記ステータの軸方向一方側の面に配置される、
請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータは、中心軸に沿って延びるシャフトと、前記ステータの径方向外側に位置する複数のロータマグネットと、前記シャフトに接続され前記マグネットを支持するロータ本体部と、を有し、
前記ロータ本体部は、前記シャフトから前記ステータの軸方向一方側の面を通って前記ステータの外周面に延びる、
請求項に記載のモータ。
【請求項5】
前記ロータは、中心軸に沿って延びるシャフトと、前記ステータの径方向外側に位置する複数のロータマグネットと、前記シャフトに接続され前記マグネットを支持するロータ本体部と、を有し、
前記ロータ本体部は、前記シャフトから前記ステータの軸方向他方側の面を通って前記ステータの外周面に延びる、
請求項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイル端の結線数を減らすために、1本のコイル線が複数のボビンに巻き回されたステータコイルが知られる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-252943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、1本のコイル線で巻き回された複数のボビンを周方向に連続して配置した場合、ステータのスロット数によっては振動が大きくなる場合があった。
【0005】
本発明の一態様は、コイル線の結線数を減らしつつ、振動も抑制されたモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、中心軸を中心として回転するロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、を備え、前記ステータは、環状のコアバックおよび前記コアバックから径方向に延びる複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに取り付けられる複数のボビンと、前記ボビンに巻かれるコイル線と、を有し、前記ステータは、1本の前記コイル線が複数の前記ボビンに巻き回された巻線組を複数含み、前記ロータの極数と前記ステータのスロット数が、42極36スロットであり、前記巻線組は、隣接する前記ティースに取り付けられる2個の前記ボビンからなるボビン組が間隔を空けて3組配置された構成を有し、前記ボビンは、前記ティースに対して径方向に着脱可能であり、前記第1のティースの前記ボビン組の周方向一方側と周方向一方側に前記ティースを4個隔てた第2のティースの前記ボビン組の周方向他方側までを繋ぐ渡り線の長さは、前記第1のティースの前記コアバックとの接続端の周方向一方側から、前記第2の前記ティースの先端の周方向他方側までの距離と同等である、モータ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、コイル線の結線数を減らしつつ、振動も抑制されたモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態のモータを上側から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態のモータを下側から見た斜視図である。
図3図3は、実施形態のモータを示す断面図である。
図4図4は、巻線組を示す斜視図である。
図5図5は、1つの巻線組の巻線図である。
図6図6は、ステータの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
なお、本願では、モータ11のシャフト21の回転軸Jと平行な方向を「軸方向」、回転軸Jに直交する方向を「径方向」、回転軸Jを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向とし、ベース部40に対してステータ30側である軸方向一方側を上側として、各部の形状や位置関係を説明する。すなわち、回転軸Jの延びる一方向を上下方向とする。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係るモータの使用時の向きを限定する意図はない。
【0010】
また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0011】
図1は、本実施形態のモータを上側から見た斜視図である。図2は、本実施形態のモータを下側から見た斜視図である。図3は、本実施形態のモータを示す断面図である。図4は、巻線組を示す斜視図である。図5は、1つの巻線組の巻線図である。図6は、ステータの平面図である。
【0012】
本実施形態のモータ11は、例えばマルチコプタにおいて回転翼を回転させるモータとして用いられる。以下では、マルチコプタに搭載される実施形態について説明するが、モータ11の用途はマルチコプタに限定されない。
【0013】
図1および図2に示すように、本実施形態のモータ11は、アウターロータ型のモータである。モータ11は、回転翼が固定されるロータ13と、マルチコプタに取り付けられる静止部14と、を備える。図3に示すように、ロータ13と静止部14とは、ロータ13を回転可能に支持する軸受部51,52を介して接続される。ロータ13は、回転軸Jを中心に周方向に回転する部位である。
【0014】
ロータ13は、シャフト21、ロータ本体20、マグネット23、およびヨーク22を有する。シャフト21は、回転軸Jを中心に軸方向に延びる。シャフト21は、軸受部51,52によって回転可能に支持される。軸受部51,52は、内輪、外輪、ボールおよびリテーナで構成される玉軸受である。なお、軸受部51,52は、すべり軸受であってもよい。シャフト21は、後述するベース部40のベース貫通孔41aに挿入され、軸受部51,52の内輪に挿入される。
【0015】
ロータ本体20は、シャフト21の上端に接続される。ロータ本体20は、シャフト21の上端からステータ30の上面を通ってステータ30の外周面に延びる。ロータ本体20は、シャフト21の上端から回転軸Jに直交する方向に広がるロータ円板部24と、ロータ円板部24の外周端から径方向外側に延びる複数のロータリブ部27と、ロータリブ部27の外端から軸方向下側に延びる略円筒状のロータ外縁部26とを有する。本実施形態の場合、シャフト21とロータ本体20は、単一の部材である。
【0016】
ロータ円板部24は、回転翼が固定される複数の回転部材固定部24aを有する。本実施形態では、回転部材固定部24aは、ロータ円板部24を軸方向に貫通する貫通孔である。回転部材固定部24aの内周面には雌ネジが設けられる。回転翼は、回転部材固定部24aに締め込まれるネジによってロータ本体20に固定される。回転翼は、接着またはカシメなどネジ以外の方法でロータ本体20に固定されてもよい。
【0017】
ロータリブ部27は、ロータ円板部24の外周端から径方向外側に延びる。ロータリブ部27は、ロータ円板部24とロータ外縁部26とを接続する。図1に示すように、ロータリブ部27は、径方向に延びる棒状の部位である。ロータリブ部27は、ロータ外縁部26の上端面まで延びる。複数のロータリブ部27は、例えば、周方向に沿って不等間隔に配置される。ロータリブ部27は、例えば、6本設けられる。
【0018】
ロータ本体20は、ロータ円板部24とロータ外縁部26とが複数のロータリブ部27で接続されることで、ロータリブ部27の周方向にロータ孔部28を有する。ロータ孔部28は、ロータ本体20を軸方向に貫通する孔である。ロータ孔部28は、例えば、6つ設けられる。
【0019】
ロータ本体20がロータ孔部28を有することで、モータ11の内部、つまりステータ30への空気循環経路が構成され、モータ11の駆動時において、ステータ30を冷却することができる。本実施形態では、ロータ孔部28がステータ30の上方に開口しており
、外気が直接、コイル32に当たる。これにより、発熱したコイル線を効率的に冷却できる。
【0020】
図2に示すように、ヨーク22は、回転軸Jを中心とする略円筒状の部材である。ヨーク22は、ロータ外縁部26の内周面に配置される。ヨーク22は、強磁性材料からなる。ヨーク22は、マグネット23の外周面の少なくとも一部を覆う。これにより、マグネット23の外周面から磁力が漏れることが抑制される。
【0021】
ヨーク22は、回転軸Jを中心とする円環状のヨーク円筒部22aと、ヨーク円筒部22aの内周面から径方向内側に突出する複数のヨーク突出部22bと、を有する。ヨーク円筒部22aは、ステータ30の径方向外側に配置される。複数のヨーク突出部22bは、周方向に略等間隔に配置される。
【0022】
マグネット23は、軸方向に長い矩形の板状である。本実施形態においてマグネット23は、複数設けられる。マグネット23は、本実施形態では42個設けられる。マグネット23は、例えば接着剤によって、ヨーク22の内周面に固定される。より詳細には、複数のマグネット23は、ヨーク円筒部22aの径方向内側を向く面において、周方向に隣り合う2つのヨーク突出部22bに挟まれる部分に固定される。マグネット23は、内周面にN極またはS極の磁極を有する。N極の磁極を有するマグネット23とS極の磁極を有するマグネット23とは、周方向に沿って交互に配置される。
【0023】
図2および図3に示すように、マグネット23の内周面は、後述する複数のティース31bの径方向外側の端面と、僅かな間隙を介して径方向に対向する。すなわち、マグネット23は、ステータ30と径方向に対向する磁極面を有する。なお、マグネットは、ステータ30の外周面全体を囲む略円筒形状であってもよい。この場合、マグネットの内周面には、N極とS極とが、周方向に交互に着磁される。
【0024】
静止部14は、ベース部40とステータ30と、を有する。ベース部40は、図2および図3に示すように、いずれも回転軸Jを中心に軸方向に延びるベース円筒部41と、ベース円筒部41の下端部から径方向外側に広がるベース底部42と、ベース底部42の径方向外側の端部から軸方向の上側に延びる円筒状のステータ支持筒部43と、を有する。ステータ支持筒部43の外周面には、ステータ30の後述するステータコア31が固定される。
【0025】
ベース円筒部41は、回転軸Jを中心にベース円筒部41を軸方向に貫通するベース貫通孔41aを有する。ベース貫通孔41aの内側には、軸受部51,52が配置される。
2つの軸受部51,52が、ベース貫通孔41aの内側に軸方向に並んで配置される。蓋部44は、軸受部51を下側から押さえる。軸受部51,52は、シャフト21およびベース部40に固定されることで、回転軸Jを中心にロータ13を回転可能に支持する。
【0026】
図3に示すように、ステータ30は、ロータ13と径方向に隙間を介して対向する。図3および図6に示すように、ステータ30は、ステータコア31と電流が供給される複数のコイル32とを有する電機子である。すなわち、静止部14は、複数のコイル32を有する。
【0027】
ステータコア31は、磁性体である。本実施形態のステータコア31は、電磁鋼板を軸方向に重ねて構成された積層鋼板により構成される。ステータコア31は、ベース部40に固定される。ステータコア31は、コアバック31aおよび複数のティース31bを有する。コアバック31aは、回転軸Jを中心とする円環状である。複数のティース31bは、コアバック31aから径方向外側に延びる。複数のティース31bは、周方向に略等間隔に配置される。コイル32は、ティース31bのそれぞれに巻き回された導線によって構成される。
【0028】
本実施形態では、図4に示すように、ティース31bは、外周端にアンブレラ部を有さない直方体状である。コイル32は、ボビン33に巻き回れされたコイル線32aからなる構造体である。ボビン33は、径方向に延びる四角形状の筒体であり、ティース31bが挿入される貫通孔33aを有する。ボビン33は、樹脂の絶縁材料からなる。
【0029】
本実施形態のステータ30では、コイル32は、ステータコア31のティース31bに径方向外側から着脱可能である。この構成によれば、ボビン33をティース31bから取り外した状態で、ボビン33にコイル線32aを巻き回せるため、ボビン33に高密度にコイル線32aを巻き回せる。本実施形態のステータ30のようにスロット数が多い場合に製造が容易になる。
【0030】
ステータ30は、36個のティース31bと36個のコイル32とを有する36スロットのステータである。本実施形態では、ステータコア31に取り付けられるボビン33とボビン33に巻き回されるコイル線32aは、図4に示すように、6個のボビン33と1本のコイル線32aとからなる巻線組130を構成する。ステータ30は、6組の巻線組130を有する。
【0031】
巻線組130は、1本のコイル線32aからなる6個のコイル32(コイルC1~C6)を有する。巻線組130は、隣り合うティース31bに取り付けられる2個のボビン33からなる3組のボビン組131、132、133を有する。ボビン組131とボビン組132とは4個のボビン33を配置可能な間隔を空けて配置される。また、ボビン組132とボビン組133も4個のボビン33を配置可能な間隔を空けて配置される。ボビン組131とボビン組132との間、およびボビン組132とボビン組133との間には、コイル32と共通のコイル線32aからなる渡り線32bが架け渡される。巻線組130の両端から引き出されるコイル線32aは、モータ11の外部に引き出されたステータ配線部を介して電流制御部、バッテリ等に接続される。
【0032】
ボビン組131~133のそれぞれにおいて、2つのコイル32は、図6に示すように、ボビン33に対する巻線方向が、互いに逆向きである。すなわち、ボビン組131のボビン33に巻き回されるコイルC1、C2は、コイルC1が時計回り(CW)であるとすると、隣のコイルC2は反時計回り(CCW)となる。本実施形態では、中央のボビン組132は、コイルC3が反時計回り(CCW)、コイルC4が時計回り(CW)である。ボビン組133は、コイルC5が時計回り(CW)、コイルC6が反時計回り(CCW)である。
【0033】
隣り合うボビン33の巻線方向を互いに逆向きとすることで、隣り合うボビン33を繋ぐコイル線32aが、ボビン33の間を通るため、コイル線32aのたわみが目立ちにくくなる。また、ボビン33をティース31bに取り付ける際に、渡り線がたわみにくい。したがって、モータ11において良好な美観が得られる。
【0034】
本実施形態において、ボビン組131、132およびボビン組132、133を繋ぐ渡り線の長さは、図6に示すように、第1のティースT1のステータコア31との接続端P1から、第1のティースT1から4個のティース31bを隔てた第2のティースT2の先端P2までの距離L1と同等である。
上記構成によれば、ティース31bへのボビン33の取り付け作業性を損なわず、かつ取り付け後に渡り線32bが過度に撓まなくなる。これにより、渡り線32bがステータ30の軸方向や径方向へ突出しにくくなる。その結果、ステータ30の絶縁性が向上する。
【0035】
巻線組130が配置されるステータ30は、図6に示すように、U相、V相、W相のコイル32が、2個ずつ周期的に配置される。すなわち、ステータ30は、6個のU相コイルからなる巻線組130を2組、6個のV相コイルからなる巻線組130を2組、6個のW相コイルからなる巻線組130を2組有する。隣り合って配置される2つの同相のコイル32は、巻線方向が互いに逆向きである。
【0036】
このようなモータ11において、コイル32に駆動電流を供給すると、複数のティース31bに磁束が生じる。そして、ティース31bとマグネット23との間の磁束の作用により、ステータ30とロータ13との間に、周方向のトルクが発生する。その結果、ステータ30に対してロータ13が回転軸J周りに回転する。ロータ13に支持される回転翼は、ロータ13とともに回転軸J周りに回転する。
【0037】
図6に示すステータ30では、同相のコイル32が2個ずつ分散配置される。また、ロータ13の極数が42極であり、スロット数36との最大公約数は6である。したがって、モータ11においては、駆動時に円環6次の電磁加振力が大きくなる一方で、円環2次の電磁加振力は低下する。これにより、ロータ13の周方向において同じタイミングで変形する箇所が多くなり、一箇所当たりの変形量が小さくなる。その結果、動作時の振動が抑制される。
【0038】
本実施形態のモータ11では、ステータ30の6組の巻線組130における渡り線32bは、ステータ30の軸方向において、一方側または他方側のいずれか面にのみ配置される構成としてもよい。渡り線32bがステータ30のいずれか一方の面にのみ配置されるので、他方の面には、コネクタへ接続されるコイル線32aのみが配置されることになり、コイル線32aの外部装置への接続が容易になり、製品の美観も向上する。
【0039】
渡り線32bが配置される面は、ステータ30に対して、ロータ本体20のロータリブ部27が配置される軸方向一方側の面であってもよい。この構成によれば、渡り線32bがロータ本体20とステータ30との軸方向の隙間に配置されるため、渡り線32bと外部機器との接触を避けることができ、信頼性が向上する。
【0040】
渡り線32bが配置される面は、ステータ30に対して、ロータ本体20のロータリブ部27とは反対側の軸方向他方側の面であってもよい。アウターロータ型のモータにおいて、ロータ本体20は、製品の露出面側に配置される場合が多い。ロータ本体20と渡り線32bを、ステータ30の異なる面に配置することで、製品外観において渡り線32bが見えなくなり、モータの美観が向上する。
【0041】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。
上記実施形態では、42極32スロットのモータ11について説明したが、ロータ13の極数とステータ30のスロット数の組合せは、10極12スロット、28極24スロット、または44極33スロットであってもよい。
【0042】
10極12スロットのモータであれば、1つの巻線組130は、1本のコイル線32aが4個のボビン33に巻き回された構成となる。この構成では、ボビン33同士は、ボビン33を2つ配置可能な間隔を空けて配置される。巻線組130において隣り合うボビン33の巻線方向は互いに逆向きとされる。
【0043】
28極24スロットのモータであれば、1つの巻線組130は、1本のコイル線32aが4個または8個のボビン33に巻き回された構成となる。この構成では、ボビン33同士は、ボビン33を2つ配置可能な間隔を空けて配置される。巻線組130において隣り合うボビン33の巻線方向は互いに逆向きとされる。
【0044】
44極33スロットのモータであれば、1つの巻線組130は、1本のコイル線32aが11個のボビン33に巻き回された構成となる。巻線組130において隣り合うボビン33の巻線方向は互いに逆向きとされる。
【0045】
上記のように、ロータ13の極数と、ステータ30のスロット数を特定の組合せとすることで、1個または2個のコイル32をステータ30の周方向に周期的に配列でき、さらに極数とスロット数の最大公約数を大きくできる。この構成によれば、同相のコイルが3個以上並んで配置される場合と比較して円環次数の大きい電磁加振力の影響が大きくなるため、ロータ13およびステータ30の変形量が小さくなり、振動が抑制される。
【符号の説明】
【0046】
11…モータ、13…ロータ、20…ロータ本体、21…シャフト、23…マグネット、30…ステータ、31…ステータコア、31a…コアバック、31b…ティース、32…コイル、32a…コイル線、32b…渡り線、33…ボビン、130…巻線組、131,132,133…ボビン組、L1…距離、P1…接続端、P2…先端、T1…第1のティース、T2…第2のティース
図1
図2
図3
図4
図5
図6