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  • 特許-充電装置 図1
  • 特許-充電装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220128BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20220128BHJP
   B60L 53/60 20190101ALI20220128BHJP
   B60W 10/26 20060101ALN20220128BHJP
   B60W 20/50 20160101ALN20220128BHJP
   B60K 1/04 20190101ALN20220128BHJP
【FI】
H02J7/00 S ZHV
H02J7/00 P
H02H7/18
B60L53/60
B60W10/26 900
B60W20/50
B60K1/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2016143951
(22)【出願日】2016-07-22
(65)【公開番号】P2018014851
(43)【公開日】2018-01-25
【審査請求日】2019-04-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 慎司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 宏昌
(72)【発明者】
【氏名】新村 和寛
【審査官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-082877(JP,A)
【文献】特開2012-085458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
B60L 50/40
B60W 10/26
B60W 20/50
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と通信可能な充電装置であって、
前記車両及び前記充電装置の少なくとも一つに異常があるか否かを検出する検出部と、
前記車両への充電開始処理中又は充電処理中に前記検出部から異常が通知されると、前記充電開始処理又は前記充電処理を停止した後、前記充電装置をエラー停止状態で待機させ、前記充電装置がエラー停止状態であることを利用者に通知し、
前記充電開始処理及び前記車両への充電処理が正常に完了した後に行われる充電停止処理中において、前記検出部から異常が通知されると、前記充電装置の充電を許可するとともに前記充電処理が正常に完了した場合と同じ通知を利用者にする、制御部と、
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充電装置であって、
前記制御部は、
前記充電停止処理中に前記検出部から通知される異常が前記充電装置で発生した異常及び前記車両で発生した軽度異常の少なくとも一つである場合、前記充電装置の充電を許可し、
前記充電停止処理中に前記検出部から通知される異常が前記車両で発生した重度異常である場合、前記充電装置の充電を禁止する、
ことを特徴とする充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と通信をする充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電装置を用いて、電動フォークリフト、ハイブリッドカー、電気自動車などの車両に搭載された蓄電装置を充電する場合、充電装置は充電シーケンス(充電開始処理、充電処理、充電停止処理)に基づいて蓄電装置へ充電をしている。また、充電シーケンスにおいて、充電装置が異常を検出すると、充電装置は自身を充電できない状態(エラー停止状態)にして待機をする。
【0003】
関連する技術として特許文献1などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-217329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、充電シーケンスにおける充電停止処理は充電処理を正常に完了した後に行われる処理であるので、充電停止処理中に異常を検出したとしても重度異常でないかぎり充電装置をエラー停止状態にして待機させたくない。すなわち充電停止処理中に充電装置をエラー停止状態で待機させることは、充電装置がエラー停止状態で待機している時間を増やすことに繋がるため、充電の機会を減らすことになる。
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、充電の機会を増やすことができる充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である車両と通信可能な充電装置は検出部と制御部を備える。
検出部は、車両及び充電装置の少なくとも一つに異常があるか否かを検出する。
制御部は、車両への充電開始処理中又は充電処理中に検出部から異常が通知されると、充電開始処理又は充電処理を停止した後、充電装置を充電できない状態にして待機させ、車両への充電処理が完了した後、充電停止処理中に検出部から異常が通知されると、充電装置を充電できる状態にして待機させる。
【0008】
また、制御部は、充電停止処理中に検出部から通知される異常が充電装置で発生した異常及び車両で発生した軽度異常の少なくとも一つである場合、充電装置を充電できる状態にして待機させ、充電停止処理中に検出部から通知される異常が車両で発生した重度異常である場合、充電装置を充電できない状態にして待機させる。
【発明の効果】
【0009】
充電の機会を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両と充電装置の一実施例を示す図である。
図2】充電装置の動作の一実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、充電装置1と車両2の一実施例を示す図である。図1に示す充電装置1は車両2と通信可能である。充電装置1は電力供給部3と制御部4を有する。ここで通信は通信配線(通信H、L)を用いて行い、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)などの車載ネットワークを用いることが考えられる。
【0012】
電力供給部3は、充電装置1の外部に設けられた不図示の電力源から供給される電力を所定電力にして、後述する電力配線(POW+、POW-)を介して、所定電力を車両2の蓄電装置6へ供給する。
【0013】
制御部4は、車両2の蓄電装置6へ供給する電力が所定電力になるように電力供給部3を制御するとともに、充電装置1の各部を制御する。制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)など)などを用いて構成される回路である。また、制御部4は記憶部を備える。記憶部はROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0014】
制御部4は検出部5と通信部9を有する。検出部5は、車両2及び充電装置1の少なくとも一つに異常があるか否かを検出する。通信部9は、車両2の制御部7の通信部10と通信をする。また、通信部9は検出部5と通信をする。
【0015】
車両2は蓄電装置6と制御部7を有する。蓄電装置6は車両2に搭載され、充電装置1から供給される所定電力により充電される。また、蓄電装置6の充電は制御部7により制御される。また、蓄電装置6は電池11と切替部12を備えている。電池11は二次電池であり、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などである。切替部12は、蓄電装置6内に設けられている電池11と電力配線(POW+)との接続と遮断を行う。切替部12は、例えば、リレー、半導体スイッチ素子などが考えられる。ただし、切替部12は電力配線(POW-)側に設けてもよい。
【0016】
制御部7は蓄電装置6の各部を制御する。また、制御部7は、切替部12を制御し、蓄電装置6内に設けられている電池11と電力配線(POW+)との接続と遮断を制御する。なお、制御部7は、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイスなどを用いて構成される回路である。また、制御部7は記憶部を備える。記憶部はROMやRAMなどであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0017】
制御部7は検出部8、通信部10を有する。検出部8は、車両2及び充電装置1の少なくとも一つに異常があるか否かを検出する。通信部10は、充電装置1の制御部4の通信部9と通信をする。また、通信部10は検出部8と通信をする。
【0018】
充電装置1の動作について説明する。
図2は、充電装置1の動作の一実施例を示すフロー図である。ステップS1からステップS6では、充電装置1の制御部4は、車両2への充電開始処理中又は充電処理中に検出部5から異常が通知されると、充電開始処理又は充電処理を停止した後、充電装置1を充電できない状態にして待機させる。
【0019】
ステップS1において制御部4は充電開始処理を実行する。すなわち充電装置1と蓄電装置6とが通信配線及び電力配線により接続されると、制御部4は充電開始処理を実行し、車両2との通信を開始する。
【0020】
ステップS2において制御部4は検出部5から異常が通知されたか否かを判定し、異常が通知されていない場合(Yes)にはステップS3に移行し、異常が通知されている場合(No)にはステップS5に移行する。なお、ステップS3に移行するときには充電装置1と車両2に異常がないので、車両2の蓄電装置6に設けられている切替部12をオン(導通)させる指示を、制御部4は通信部9を介して車両2に通知する。すなわち車両2側を充電可能な状態にする。
【0021】
充電開始処理において検出される異常には、充電装置1側で検出される異常と車両2側で検出される異常とがある。充電装置1側で検出される異常には、例えば、通信異常、過温度異常、電力源異常、出力短絡異常などがある。
【0022】
過温度異常は、充電装置1の所定箇所に設けられた温度センサにより計測される温度が所定温度以上になると、制御部4が検出する異常である。電力源異常は、充電装置1に設けられた電力供給部3に電力供給をする電力源が異常な状態であることを制御部4が検出した異常である。出力短絡異常は、電力配線(POW+)と電力配線(POW-)とが短絡した場合に制御部4が検出する異常である。なお、充電装置1側で検出される異常は、制御部4が検出した後、通信部9と10を介して制御部4から制御部7へ送信する。これにより、充電装置1側で検出される異常は、検出部5だけでなく、検出部8でも検出される。
【0023】
車両2側において検出される異常には、例えば、通信異常、過放電異常、過充電異常、過電圧異常、過電流異常、過温度異常、切替部異常などがある。
過放電異常は、車両2の蓄電装置6に設けられている電池11が過放電である場合に制御部7が検出する異常である。例えば、制御部7が算出した充電率が過放電であると判定される充電率以下になると、制御部7が検出する異常である。過充電異常は、車両2の蓄電装置6に設けられている電池11が過充電である場合に制御部7が検出する異常である。例えば、制御部7が算出した充電率が過充電であると判定される充電率以上になると、制御部7が検出する異常である。過電圧異常は、車両2の蓄電装置6に設けられている電池11に所定電圧以上の電圧が印加された場合に制御部7が検出する異常である。過電流異常は、車両2の蓄電装置6に設けられている電池11に所定電流以上の電流が流れた場合に制御部7が検出する異常である。過温度異常は、車両2の蓄電装置6の所定箇所に設けられた温度センサにより計測された温度が所定温度以上になると制御部7が検出する異常である。例えば、車両2の蓄電装置6に設けられている電池11に設けられている温度センサが所定温度以上になると制御部7が検出する異常である。切替部異常は、車両2の蓄電装置6に設けられた切替部12の接点が溶着した場合又は機械的な故障をした場合に、制御部7により検出される異常である。なお、車両2側で検出される異常は、制御部7が検出した後、制御部7から通信部10と9を介して制御部4へ送信される。これにより、車両2側で検出される異常は、検出部8だけでなく、検出部5でも検出される。
【0024】
通信異常には、通信データ異常、通信タイムアウト、通信途絶などの異常がある。通信データ異常は、充電装置1又は車両2から送信したデータに対して返信されるデータが充電装置1又は車両2で想定しているデータと異なる場合に発生する異常である。通信タイムアウトは、充電装置1又は車両2が返信を必要とするデータを送信してから所定時間経過しても返信がない場合に発生する異常である。通信途絶は、ノイズなどによる短時間の通信途絶、又は、通信配線の断線などの完全な通信途絶が発生した場合の異常である。なお、充電装置1側で検出される通信異常は、制御部4が検出した後、制御部4から通信部9と10を介して制御部7へ送信され、車両2側で検出される通信異常は、制御部7が検出した後、制御部7から通信部10と9を介して制御部4へ送信される。これにより、充電装置1又は車両2で検出される通信異常は、検出部5と8で検出される。通信タイムアウトや通信途絶の場合は、検出部5又は8は、異常を検出した旨を相互に送受信することはできないが、自身の検出部5又は8で通信タイムアウト又は通信途絶があったことを検出できる。
【0025】
ステップS3において制御部4は充電処理を実行する。すなわち充電装置1から車両2に搭載される蓄電装置6へ電力供給を開始する。
ステップS4において制御部4は検出部5から異常が通知されたか否かを判定し、異常が通知されていない場合(Yes)にはステップS7に移行し、異常が通知されている場合(No)にはステップS5に移行する。
【0026】
充電処理において検出される異常には、充電装置1側で検出される異常と車両2側で検出される異常とがある。充電装置1側で検出される異常には、例えば、通信異常、過温度異常、電力源異常、出力短絡異常などがある。
【0027】
車両2側において検出される異常には、例えば、通信異常、過放電異常、過充電異常、過電圧異常、過電流異常、過温度異常、切替部異常などがある。
ステップS5において制御部4は充電開始処理又は充電処理を停止した後、ステップS6において制御部4は充電装置1を充電できない状態にして待機させる。すなわち、充電装置1をエラー停止状態で待機させ、充電装置1がエラー停止状態であることを利用者に通知する。
【0028】
ステップS7において制御部4は充電停止処理を実行する。すなわち充電装置1から蓄電装置6への電力供給が完了すると、制御部4は充電停止処理を実行する。充電停止処理では、切替部12の溶着や機械的な故障を検出するための切替部異常診断が行われた後、切替部12をオフ(遮断)にさせる。
【0029】
ステップS8において制御部4は検出部5から異常が通知されたか否かを判定し、異常が通知されていない場合(Yes)にはステップS9に移行し、異常が通知されている場合(No)にはステップS10に移行する。
【0030】
充電停止処理において検出される異常は、充電装置1側で検出される異常である。充電装置1側で検出される異常には、例えば、通信異常、過温度異常、電力源異常、出力短絡異常などがある。
【0031】
ステップS8からステップS9に移行した場合、つまり、制御部4は車両2への充電処理が完了した後、充電停止処理中に検出部5から異常が通知されていない場合、充電装置1を充電できる状態にして待機する。
【0032】
ステップS10において、制御部4は車両2への充電処理が完了した後、充電停止処理中に検出部5から異常が通知されると、車両2で発生した異常の確認をする処理及び充電装置1で発生した異常を車両2に通知をする処理の少なくとも一つを実行した後、ステップS9に移行して充電装置1を充電できる状態にして待機させる。このようにステップS10の処理をした後にステップS9に移行することで、充電装置1において検出された異常と車両2において検出された異常とを、充電装置1側と車両2側でお互いに確認することができる。
【0033】
ステップS10からステップS9に移行した場合、つまり、制御部4は車両2への充電処理が完了した後、充電停止処理中に検出部5から異常が通知されている場合、充電装置1を充電できる状態にして待機する。また、制御部4は充電装置1を充電処理が正常に完了したときと同じように充電を完了させる。
【0034】
従来は、充電停止処理中に充電装置1で異常が発生すると、充電装置1を充電できない状態にして待機するとともに、エラー停止状態であることを利用者に通知しているが、利用者が正常に充電完了を認識できるのは充電装置1の通知(例えば、表示、音声など)であるため、たとえ充電停止処理中であってもエラー停止状態であることが利用者に通知されると、利用者は正常に充電が完了できていないと認識することになる。しかし、充電停止処理中に異常を検出した場合には充電処理が正常に完了しているので、充電装置1を充電できる状態で待機するとともに、充電処理が正常に完了した場合と同じ通知を利用者にすることで、充電装置1の充電機会を増やすことができるとともに、利用者に違和感を与えないようにできる。すなわち充電処理が正常に完了した場合と同じにすることで、充電が終了した充電装置1が異常から復旧できた場合には続けて利用可能となり充電機会を増やすこととなり、異常から復旧できない場合には次に充電をする際にステップS1の充電開始処理において異常を検出してステップS5、S6に移行するので、充電装置1と車両2の安全も確保できる。
【0035】
なお、ステップS8において異常が通知されている場合(No)にステップS10の処理は必ずしも実行しなくてもよい。充電停止処理は充電処理を正常に完了した後に行われる処理であるので、充電停止処理において充電装置1側で異常を検出したとしても充電停止処理を強制的に停止させればよく、ステップS10の処理を実行しなくても充電装置1を充電できる状態にして待機させることができる。
【0036】
変形例について説明をする。
制御部4は、ステップS8において充電停止処理中に検出部5から通知される異常が充電装置1で発生した異常及び車両2に搭載される蓄電装置6で発生した軽度異常の少なくとも一つの場合、充電装置1を充電できる状態にして待機させ、ステップS8において充電停止処理中に検出部5から通知される異常が車両2に搭載される蓄電装置6で発生した重度異常の場合、充電装置1を充電できない状態にして待機させてもよい。
【0037】
車両2の重度異常とは、車両2で発生する、例えば、過放電異常、過充電異常、過電圧異常、過電流異常、過温度異常、切替部異常などで、充電装置1を充電できない状態にして待機させる必要がある。車両2の軽度異常とは、例えば、車両2で発生する通信異常などである。
【0038】
このように、充電停止処理中において充電装置1の異常や車両2の軽度異常は、車両2の重度異常より重要度が低い異常であるため、充電装置1を充電できない状態にして待機させる必要がない。従って充電装置1の異常や軽度異常の場合には充電装置1を充電できる状態にして待機させることで、充電装置1の充電機会を増やすことができる。
【0039】
また、本発明は以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 充電装置
2 車両
3 電力供給部
4、7 制御部
5、8 検出部
6 蓄電装置、
9、10 通信部
11 電池
12 切替部
図1
図2