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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/54 20210101AFI20220112BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220112BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220112BHJP
   H01G 11/72 20130101ALI20220112BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220112BHJP
【FI】
H01M50/54
H01M50/536
H01M10/0585
H01M10/04 Z
H01G11/72
H01G11/84
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017105726
(22)【出願日】2017-05-29
(65)【公開番号】P2018200841
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】栗田 幹也
(72)【発明者】
【氏名】中村 知広
(72)【発明者】
【氏名】立花 智明
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084695(JP,A)
【文献】特開2013-251055(JP,A)
【文献】特開2016-004776(JP,A)
【文献】特開2013-069417(JP,A)
【文献】国際公開第2010/001975(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/04
H01G 11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁部の一部から突出したタブを有するシート状の電極が、異なる極性の間を絶縁した状態で積層され、前記縁部の延びる方向に沿って異なる極性の前記タブが離間して配置されるとともに、前記電極の積層方向に前記タブを寄せ集めたタブ群を備える第1電極組立体及び第2電極組立体をケース内に備え、
前記第1電極組立体と前記第2電極組立体は、前記積層方向が一致する状態に並設されるとともに前記タブ群と接合された導電部材を備える蓄電装置の製造方法であって、
前記第1電極組立体及び前記第2電極組立体の各々において、各電極組立体の前記積層方向両端に位置した前記タブを各電極組立体の前記積層方向中央に向けて寄せ集め、
前記第1電極組立体と前記第2電極組立体の同じ極性の前記タブ群同士を前記寄せ集めた状態のまま、前記同じ極性の前記タブ群同士で先端を向き合わせ、向き合わせた前記同じ極性の前記タブ群の先端の両方を含む1箇所で1枚の前記導電部材に溶接した後、
各タブ群を曲げて前記第1電極組立体と前記第2電極組立体とを前記積層方向に並べることを特徴とする蓄電装置の製造方法。
【請求項2】
先端を向き合わせた前記同じ極性の前記タブ群に向けてレーザを照射して前記導電部材に溶接する請求項1に記載の蓄電装置の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極組立体を2つ備える蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、電動機などへの供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン二次電池などが搭載されている。二次電池は、活物質層を有する複数の正極電極と負極電極とがセパレータを介して積層された電極組立体と、該電極組立体及び電解液を収容する金属製のケースとを備える。
【0003】
特許文献1に開示の二次電池は、電極組立体としての積層電極体を備え、この積層電極体は、第1電極体ブロックと第2電極体ブロックとで構成されている。積層電極体において、第1電極体ブロックと第2電極体ブロックは、それぞれの正極の単板セル(正極電極)及び負極の単板セル(負極電極)の積層方向が一致するように配置されている。また、単板セルの正極からは正極リードが延出され、負極からは負極リードが延出されている。正極リード及び負極リードは電極体ブロック毎に積層されている。積層された正極リードは、電極体ブロック毎に正極端子に溶接によって接続され、積層された負極リードは、電極体ブロック毎に負極端子に溶接によって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2017/38042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1において、積層された正極リードと正極端子、及び積層された負極リードと負極端子とは、全てのリードが端子と接続される必要がある。このため、溶接時に、全てのリードが端子に重なるようにリードは端子に向けて引っ張られる。すると、リードの基端側には引っ張り力が作用し、寄せ集められた積層方向一端からの離間距離が長いリードほど、大きな引っ張り力が作用し、リードが損傷する虞がある。そこで、リードを引っ張らなくても重なるようにリードの長さを長くすることが考えられるが、リードを長くするほど材料費が嵩み、また、溶接箇所より先端側に存在するリードの自由端が長くなって積層電極体と短絡しやすくなり好ましくない。
【0006】
本発明の目的は、タブに作用する負荷を軽減できる蓄電装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための蓄電装置の製造方法は、縁部の一部から突出したタブを有するシート状の電極が、異なる極性の間を絶縁した状態で積層され、前記縁部の延びる方向に沿って異なる極性の前記タブが離間して配置されるとともに、前記電極の積層方向に前記タブを寄せ集めたタブ群を備える第1電極組立体及び第2電極組立体をケース内に備え、前記第1電極組立体と前記第2電極組立体は、前記積層方向が一致する状態に並設されるとともに前記タブ群と接合された導電部材を備える蓄電装置の製造方法であって、前記第1電極組立体及び前記第2電極組立体の各々において、各電極組立体の前記積層方向両端に位置した前記タブを各電極組立体の前記積層方向中央に向けて寄せ集め、前記第1電極組立体と前記第2電極組立体の同じ極性の前記タブ群同士を前記寄せ集めた状態のまま、前記同じ極性の前記タブ群同士で先端を向き合わせ、向き合わせた前記同じ極性の前記タブ群の先端の両方を含む1箇所で1枚の前記導電部材に溶接した後、各タブ群を曲げて前記第1電極組立体と前記第2電極組立体とを前記積層方向に並べることを要旨とする。
【0008】
これによれば、第1電極組立体及び第2電極組立体において、積層方向一端に全てのタブを寄せ集める場合は、積層方向一端のタブからの離間距離が長いタブほど、タブ群として集約されるタブの長さが短くなり、全てのタブを重ねた重合部を形成するために、積層方向他端のタブほど重合部に向けて引っ張られ、引っ張り力が強く作用する。しかし、積層方向両端のタブを積層方向中央に寄せ集めると、寄せ集めの基準となるタブは積層方向中央付近のタブとなり、積層方向の端に位置するタブであっても、寄せ集めの基準となるタブからの離間距離を短くできる。よって、タブの重合部形成のために引っ張られる力を軽減でき、引っ張りによってタブが損傷することを抑制できる。
【0009】
また、各タブ群において全てのタブが重なる重合部は、寄せ集めの基準となる積層方向中央部付近のタブの先端側に形成され、積層方向一端に全てのタブを寄せ集める場合と比べると、重合部をタブの先端側に位置させることができる。その結果、重合部を形成するために、電極の縁部からのタブの突出長さを長くする必要もなく、材料費が嵩むことや、自由端が長くなることを原因とした電極組立体とタブとの短絡を抑制できる。
【0010】
また、蓄電装置の製造方法について、先端を向き合わせた前記同じ極性の前記タブ群に向けてレーザを照射して前記導電部材に溶接てもよい。
これによれば、各タブ群において全てのタブが重なる重合部が、寄せ集めの基準となる積層方向中央付近のタブの先端に近くなることから、同じ極性のタブ群の先端にレーザを照射すると、2つのタブ群を同時に導電部材に溶接することができる。よって、同じ極性のタブ群を別々に導電部材に溶接する場合と比べると、溶接を簡単に行うことができる。
【0011】
上記問題点を解決するための蓄電装置は、縁部の一部から突出したタブを有するシート状の電極が、異なる極性の間を絶縁した状態で積層され、前記縁部の延びる方向に沿って異なる極性の前記タブが離間して配置されるとともに、前記電極の積層方向に前記タブを寄せ集めたタブ群を備える第1電極組立体及び第2電極組立体をケース内に備え、前記第1電極組立体と前記第2電極組立体が前記積層方向が一致する状態に並設されるとともに前記タブ群と接合された導電部材を備える蓄電装置であって、前記第1電極組立体及び前記第2電極組立体の各々において各電極組立体の積層方向両端に位置した前記タブが各電極組立体の積層方向中央に向けて寄せ集められたタブ群と前記導電部材とを溶接した溶接部を備え、前記溶接部は、同じ極性の前記タブ群の先端同士が前記積層方向に対向した状態で、前記同じ極性の前記タブ群の先端の両方を含む1箇所で前記導電部材に溶接されて形成されていることを要旨とする。
【0012】
これによれば、第1電極組立体及び第2電極組立体において、積層方向一端に全てのタブを寄せ集めて溶接する場合は、積層方向一端のタブからの離間距離が長いタブほど、タブ群として集約されるタブの長さが短くなり、全てのタブを重ねた重合部を形成するために、積層方向他端のタブほど重合部に向けて引っ張られる。しかし、積層方向両端のタブを積層方向中央に寄せ集めると、寄せ集めの基準となるタブは積層方向中央付近のタブとなり、積層方向の端に位置するタブであっても、寄せ集めの基準となるタブからの離間距離を短くできる。よって、タブの重合部形成のために引っ張られる力を軽減でき、引っ張りによってタブが損傷することを抑制できる。
【0013】
また、各タブ群において全てのタブが重なる重合部は、寄せ集めの基準となる積層方向中央部付近のタブの先端側に形成され、積層方向一端に全てのタブを寄せ集める場合と比べると、タブの先端側に位置させることができる。その結果、重合部を形成するために、電極の縁部からのタブの突出長さを長くする必要もなく、材料費が嵩むことや、自由端が長くなることを原因とした電極組立体とタブとの短絡を抑制できる。
【0014】
また、蓄電装置について、同じ極性の前記タブ群同士は、該タブ群の先端同士が前記積層方向に対向していてもよい。
これによれば、各タブ群において全てのタブが重なる重合部が、寄せ集めの基準となる積層方向中央付近のタブの先端に近くなることから、同じ極性のタブ群の先端にレーザを照射すると、2つのタブ群を同時に導電部材に溶接することができる。よって、同じ極性のタブ群を別々に導電部材に溶接する場合と比べると、溶接を簡単に行うことができる。また、タブの自由端が無くなり、自由端が第1電極組立体や第2電極組立体に接触することを無くすことができる。
【0015】
また、蓄電装置について、前記導電部材には、前記第1電極組立体及び前記第2電極組立体から前記ケースの外へ電気を取り出す電極端子が電気的に接続されている。
これによれば、例えば、1枚の導体を折り曲げてタブ群と接合される部分と、電気をケース外へ取り出す部分とを形成する場合と比べると、電極組立体から電気を取り出す構造を簡単に形成できる。
【0016】
前記蓄電装置は二次電池である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タブに作用する負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の二次電池を示す分解斜視図。
図2】二次電池を示す断面図。
図3】(a)はタブ群を形成し、タブ群同士を向き合わせた状態を示す側面図、(b)は導電部材を配置した状態を示す側面図、(c)は溶接部を形成した後、タブ群を曲げる状態を示す側面図、(d)は、積層方向一端のタブに積層方向他端のタブを寄せ集めた状態を示す側面図。
図4】第1及び第2電極組立体に導電部材を配置した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、蓄電装置の製造方法、及び蓄電装置を二次電池の製造方法、及び二次電池に具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
図1又は図2に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース11を備える。二次電池10は、ケース11に収容された第1電極組立体121と、第2電極組立体122と、電解液(図示せず)とを備える。ケース11は、直方体状のケース本体13と、ケース本体13の開口部13aを閉塞する矩形平板状の蓋14とを有する。ケース11を構成するケース本体13と蓋14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、本実施形態の二次電池10は、その外観が角型をなす角型電池である。また、本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0020】
二次電池10は、第1電極組立体121及び第2電極組立体122から電気を取り出すための正極端子15及び負極端子16を備える。正極端子15及び負極端子16は、蓋14の貫通孔14aを貫通してケース11外に突出する。正極端子15及び負極端子16には、蓋14と絶縁するためのリング状の絶縁リング17がそれぞれ取り付けられている。
【0021】
二次電池10は、ケース11内に矩形板状の導電部材としての正極導電部材15aを備える。二次電池10は、ケース11内に矩形板状の導電部材としての負極導電部材16aを備える。正極端子15は、正極導電部材15aと電気的に接続され、負極端子16は、負極導電部材16aと電気的に接続されている。
【0022】
第1電極組立体121及び第2電極組立体122は、複数のシート状の正極電極30と、複数のシート状の負極電極31と、複数のシート状のセパレータ32とを備える。第1電極組立体121及び第2電極組立体122は、正極電極30と負極電極31との間にセパレータ32を介在させ、かつ相互に絶縁させた状態で積層した構造を備える。
【0023】
第1電極組立体121においてケース11の内面に対峙する端面側を積層方向Y1の一端側とすると、第1電極組立体121の積層方向Y1の一端には負極電極31が位置し、積層方向Y2他端には正極電極30が位置する。第2電極組立体122においてケース11の内面に対峙する端面側を第2電極組立体122の積層方向Y2の一端側とすると、第2電極組立体122の積層方向Y2の一端には負極電極31が位置し、積層方向Y2の他端には負極電極31が位置する。
【0024】
第1電極組立体121と第2電極組立体122は、第1電極組立体121の正極電極30と第2電極組立体122の負極電極31との間にセパレータ32が介在する状態に積層されている。第1電極組立体121と第2電極組立体122は、積層方向Y1と積層方向Y2とが一致するように並設されている。
【0025】
正極電極30は、矩形シート状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)33と、正極金属箔33の両面に存在する活物質層としての正極活物質層34とを有する。正極電極30は、一辺である長辺に沿う縁部30aの一部から突出したタブとしての正極タブ35を有する。正極タブ35は、正極活物質層34が存在せず、正極金属箔33そのもので構成されている。正極電極30の縁部30aから正極タブ35が突出する方向を正極タブ35の突出方向とする。
【0026】
負極電極31は、矩形シート状の負極金属箔(例えば銅箔)36と、負極金属箔36の両面に存在する活物質層としての負極活物質層37とを有する。負極電極31は、一辺である長辺に沿う縁部31aの一部から突出したタブとしての負極タブ38を有する。負極タブ38は、負極活物質層37が存在せず、負極金属箔36そのもので構成されている。負極電極31の縁部31aから負極タブ38が突出する方向を負極タブ38の突出方向とする。負極タブ38の突出方向は、正極タブ35の突出方向と一致する。また、本実施形態において、積層方向Y1,Y2から見た負極電極31の外形は、同様に積層方向Y1,Y2から見た正極電極30の外形よりも一回り大きい。
【0027】
セパレータ32は、ポリプロピレン(PP)製である。セパレータ32は、二次電池10の充放電に伴って正極活物質のリチウムイオン(イオン)が通過可能となるように微細な空孔構造を有する。本実施形態において、積層方向Y1,Y2から見たセパレータ32の外形は、同様に積層方向Y1,Y2から見た負極電極31の外形と同じ大きさであり、負極電極31の外形よりも一回り大きい。
【0028】
図1に示すように、第1及び第2電極組立体121,122において、複数の正極電極30は、それぞれの正極タブ35が各積層方向Y1,Y2に沿って列状に配置されるように積層される。同様に、第1及び第2電極組立体121,122において、複数の負極電極31は、それぞれの負極タブ38が、正極タブ35と重ならない位置で各積層方向Y1,Y2に沿って列状に配置されるように積層される。したがって、各電極組立体121,122において、正極タブ35と負極タブ38は、各縁部30a,31aの延びる方向に沿って離間している。
【0029】
第1電極組立体121及び第2電極組立体122は、正極タブ35を積層方向Y1,Y2に寄せ集めた正極のタブ群18を備えるとともに、負極タブ38を積層方向Y1,Y2に寄せ集めた負極のタブ群19を備える。
【0030】
各極性のタブ群18,19において、積層方向Y1,Y2の一端に位置するタブを第1タブT1と記載し、積層方向Y1,Y2の他端に位置するタブを第2タブT2と記載する。また、積層方向Y1,Y2の中央に最も近いタブを中央タブT3とする。各極性のタブ群18,19においては、第1タブT1及び第2タブT2は、中央タブT3に向けて寄せ集められている。よって、積層方向Y1,Y2の中央付近にある中央タブT3が寄せ集めの基準となるタブとなる。ただし、図2に示すように、ケース11内ではタブ群18,19は曲げた状態で配設されるため、寄せ集めの基準となった中央タブT3に対し、その他のタブ35,38は離間した状態となる。
【0031】
そして、図1に示すように、正極のタブ群18において、中央タブT3の先端部に、全ての正極タブ35を重ねた重合部Hが形成され、負極のタブ群19において、中央タブT3の先端部に、全ての負極タブ38を重ねた重合部Hが形成されている。図3(a)に示すように、中央タブT3から積層方向Y1,Y2の端に近いタブほど、タブ群18,19として集約された部分での長さが短くなっている。
【0032】
正極のタブ群18同士は、各正極タブ35の先端同士が各積層方向Y1,Y2において向き合っており、負極のタブ群19同士は、各負極タブ38の先端同士が各積層方向Y1,Y2において向き合っている。図2に示すように、各極性のタブ群18,19において、全てのタブ35,38と各導電部材15a,16aとが重なる部分に溶接部Wが形成されている。溶接部Wは、各タブ群18,19における重合部Hと各導電部材15a,16aとが重なる部分に形成されている。溶接部Wは、第1タブT1、第2タブT2及び中央タブT3の先端部を含んで形成されている。したがって、各タブ群18,19は、溶接部Wより先端側にタブ35,38が自由端となった部分を備えない。
【0033】
図3(d)の比較例に示すように、各極性のタブ群18,19において、第1タブT1に第2タブT2が接近するように、積層方向Y1,Y2の一端(図3(d)では上端)にタブ35,38を寄せ集めたとする。この場合、積層方向Y1,Y2において、寄せ集めの基準となる第1タブT1からの離間距離が長いタブほど、タブ群18,19として集約されるタブ35,38の長さが短くなる。
【0034】
このため、各タブ群18,19において、全てのタブ35,38を重ね合わせた重合部H(溶接部W)は、第2タブT2における他のタブ35,38との重合部に設けられ、実施形態における重合部Hの位置よりも、タブ35,38の根本側に位置している。したがって、タブ群18,19において、重合部H(溶接部W)よりも先端側で全てのタブ35,38が自由端となる。
【0035】
これに対し、本実施形態では、図3(c)に示すように、各タブ群18,19において、重合部H(溶接部W)が第1タブT1、第2タブT2及び中央タブT3を含め、それらの先端付近に形成されており、自由端が存在していない。
【0036】
図1に示すように、第1電極組立体121は、正極タブ群18及び負極タブ群19が存在する端面にタブ側端面121aを備える。第2電極組立体122は、正極タブ群18及び負極タブ群19が存在する端面にタブ側端面122aを備える。
【0037】
次に、二次電池10の製造方法を作用とともに説明する。
まず、図3(a)に示すように、第1電極組立体121及び第2電極組立体122を製造する。次に、第1電極組立体121及び第2電極組立体122において、正極タブ35及び負極タブ38のうち積層方向Y1,Y2両端の第1タブT1及び第2タブT2をそれぞれ中央タブT3に向けて集め、タブ群18,19を製造する。すると、各タブ群18,19において、中央タブT3の先端部付近に重合部Hが形成される。
【0038】
次に、第1電極組立体121のタブ側端面121aと第2電極組立体122のタブ側端面122aとを対向させた状態に、第1電極組立体121と第2電極組立体122を配設する。このとき、第1電極組立体121及び第2電極組立体122の積層方向Y1,Y2の一端面が上端面となり、積層方向Y1,Y2の他端面が図示しない作業台に支持される。
【0039】
次に、図3(b)又は図4に示すように、2つの正極のタブ群18の第1タブT1に正極導電部材15aを重ね、2つの負極のタブ群19の第1タブT1に負極導電部材16aを重ねる。このとき、2つのタブ群18及び2つのタブ群19の先端同士が向かい合うように、第1電極組立体121と第2電極組立体122を配設する。また、正極のタブ群18同士で各正極タブ35の先端は向かい合っているが、2つのタブ群18同士は上下方向に重なっていない。同様に、負極のタブ群19同士で各負極タブ38の先端は向かい合っているが、2つのタブ群19同士は上下方向に重なっていない。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、正極のタブ群18の重合部Hに向けてレーザLを照射する。すると、両方のタブ群18の重合部Hが同時に正極導電部材15aに溶接され、2つのタブ群18が正極導電部材15aに接合されるとともに溶接部Wが形成される。また、負極のタブ群19の重合部Hに向けてレーザLを照射する。すると、図3(c)に示すように、両方のタブ群19の重合部Hが同時に負極導電部材16aに溶接され、2つのタブ群19が負極導電部材16aに接合されるとともに溶接部Wが形成される。
【0041】
図3(d)の比較例に示すように、各極性のタブ群18,19において、第1タブT1に第2タブT2が接近するように、積層方向Y1,Y2の一端側にタブ35,38を寄せ集めて溶接する場合、溶接箇所は第2タブT2に合わせて設定され、形成される溶接部Wは、第1タブT1の先端から大きく離れることとなる。そして、重合部Hを形成するため、第2タブT2に近いタブほど第1タブT1に近付くように引っ張られ、第2タブT2の基端側には大きな負荷が作用する。しかし、本実施形態のように、中央タブT3に第1タブT1及び第2タブT2を寄せ集めることで、第2タブT2に作用する負荷を軽減できる。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、第1電極組立体121のタブ群18,19及び第2電極組立体122のタブ群18,19を曲げ、第1電極組立体121と第2電極組立体122を積層方向Y1,Y2に並べる。
【0043】
その後、正極導電部材15aに正極端子15を接続するとともに、負極導電部材16aに負極端子16を接続する。そして、第1電極組立体121及び第2電極組立体122をケース本体13に収容するとともに、正極端子15及び負極端子16を蓋14に固定する。最後に、ケース本体13と蓋14を接合し、蓋14によりケース本体13の開口部13aを閉塞する。
【0044】
次に、本実施形態の効果を作用とともに記載する。
(1)全ての正極タブ35を重ね合わせた重合部Hを形成するために中央タブT3に第1タブT1及び第2タブT2を寄せ集め、全ての負極タブ38を重ね合わせた重合部Hを形成するために中央タブT3に第1タブT1及び第2タブT2を寄せ集めるようにした。このため、例えば、第1タブT1に全てのタブ35,38を寄せ集めて重合部Hを形成する場合と比べると第2タブT2に作用する負荷を軽減できる。
【0045】
(2)二次電池10の正極タブ35の全てを、第1電極組立体121のタブ群18と第2電極組立体122のタブ群18とに分けて正極導電部材15aに溶接し、負極タブ38の全てを、第1電極組立体121のタブ群19と第2電極組立体122のタブ群19とに分けて負極導電部材16aに溶接する。よって、正極タブ35又は負極タブ38の全てを一纏めにして各導電部材15a,16aに溶接する場合と比べて、一度に溶接する正極タブ35又は負極タブ38の枚数が少なくなる。よって、一度の溶接に必要なエネルギーを低減でき、例えば溶接装置の大型化が抑制される。
【0046】
(3)第1電極組立体121のタブ群18と第2電極組立体122のタブ群18とを先端同士を向き合わせて溶接し、第1電極組立体121のタブ群19と第2電極組立体122のタブ群19とを先端同士を向き合わせて溶接する。よって、2つのタブ群18同士、及び2つのタブ群19同士の溶接を1箇所で行うことができ、各タブ群18,19を個別に溶接する場合と比べると、溶接回数を減らすことができる。
【0047】
(4)第1電極組立体121のタブ群18,19と第2電極組立体122のタブ群18,19とを先端同士を向き合わせて溶接したため、正極のタブ群18同士、及び負極のタブ群19同士の溶接を1箇所で行うことができ、正極タブ35及び負極タブ38の自由端を無くすことができる。よって、自由端が第1電極組立体121や第2電極組立体122に接触することを無くすことができる。
【0048】
(5)正極導電部材15aと正極端子15は溶接によって接合されるとともに電気的に接続されており、負極導電部材16aと負極端子16は溶接によって接合されるとともに電気的に接続されている。例えば、1枚の導体を折り曲げてタブ群18,19と接合される部分と、電極端子となる部分とを形成する場合と比べて、電極組立体から電気を取り出す構造を簡単に形成できる。
【0049】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 正極導電部材15aと正極端子15は一体成形されていてもよいし、負極導電部材16aと負極端子16は一体成形されていてもよい。
【0050】
○ 第1電極組立体121のタブ群18と第2電極組立体122のタブ群18とを別々に正極導電部材15aに溶接してもよいし、第1電極組立体121のタブ群19と第2電極組立体122のタブ群19とを別々に負極導電部材16aに溶接してもよい。
【0051】
○ 第1電極組立体121のタブ群18と第2電極組立体122のタブ群18とは、向き合っておらず、縁部30a,31aの延びる方向にずれた位置にあってもよい。同様に、第1電極組立体121のタブ群19と第2電極組立体122のタブ群19とは、向き合っておらず、縁部30a,31aの延びる方向にずれた位置にあってもよい。
【0052】
○ 第1電極組立体121と第2電極組立体122は、積層方向Y1,Y2の両端に負極電極31が位置するものであってもよく、この場合、第1電極組立体121の負極電極31と第2電極組立体122の負極電極31との間にセパレータ32を介在させずに第1電極組立体121と第2電極組立体122が並設される。
【0053】
○ 正極電極30は、正極金属箔33の片面に正極活物質層34が存在する構造でもよい。同様に、負極電極31は、負極金属箔36の片面に負極活物質層37が存在する構造でもよい。
【0054】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池でもよいし、他の二次電池であってもよい。要は、正極用の活物質と負極用の活物質との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0055】
○ 蓄電装置は、例えばキャパシタなど、二次電池以外の蓄電装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
H…重合部、Y1,Y2…積層方向、10…蓄電装置としての二次電池、11…ケース、15…電極端子としての正極端子、15a…正極導電部材、16…電極端子としての負極端子、16a…負極導電部材、18,19…タブ群、30…正極電極、30a,31a…縁部、31…負極電極、35…正極タブ、38…負極タブ、121…第1電極組立体、122…電極組立体、122…第2電極組立体。
図1
図2
図3
図4