IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧

<>
  • 特許-衝撃波試験装置 図1
  • 特許-衝撃波試験装置 図2
  • 特許-衝撃波試験装置 図3
  • 特許-衝撃波試験装置 図4
  • 特許-衝撃波試験装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】衝撃波試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 9/06 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
G01M9/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017162268
(22)【出願日】2017-08-25
(65)【公開番号】P2019039820
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】島村 和夫
(72)【発明者】
【氏名】福重 進也
(72)【発明者】
【氏名】小林 研吾
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-045202(JP,A)
【文献】特開2007-205772(JP,A)
【文献】米国特許第06763696(US,B1)
【文献】特開昭54-119978(JP,A)
【文献】特開平10-030975(JP,A)
【文献】Kleinschmit, Nicholas N. ,A Shock Tube Technique for Blast Wave Simulation and Studies of Flow Structure Interactions in Shock Tube Blast Experiments,Engineering Mechanics Dissertations & Theses,Vol.22,米国,University of Nebraska - Lincoln,2011年,p.101-102,https://digitalcommons.unl.edu/engmechdiss/22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 9/00- 9/08
G01M 7/08
G01N 3/00- 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の容積を有する衝撃波管と、
前記衝撃波管の第1の端部から所定の距離までを占める蓄圧部と、
前記蓄圧部に充填して前記衝撃波管の容積を低減する充填材と、
前記充填材を前記衝撃波管に固定する固定手段とを含み、
前記充填材は、金属又は可塑性材料を含み、
前記衝撃波管は円筒形であり、前記固定手段は前記衝撃波管の径方向に拡張するリング状部材である衝撃波試験装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記充填材を前記衝撃波管の内壁に対して摩擦で固定する請求項に記載の衝撃波試験装置。
【請求項3】
前記衝撃波管は円筒形であり、前記固定手段は、
前記充填材を前記第1の端部に対して覆い、前記第1の端部から離れるほど側面の径が小さくなる蓋と、
前記蓋の側面と前記衝撃波管の内壁との間に挟持される複数の金属球と、
前記複数の金属球を保持する金属球保持手段と、
前記金属球保持手段を前記蓋に対して前記第1の端部から離れる方向に移動させることができるネジとを含む請求項又はに記載の衝撃波試験装置。
【請求項4】
前記充填材には、前記衝撃波管の軸方向に延び、一端が前記衝撃波管の第1の端部によって、他端が前記蓋によって密封された円筒形状の空洞が形成された請求項に記載の衝撃波試験装置。
【請求項5】
前記充填材は、フィルムで包まれた可塑性材料である請求項1からのいずれか一項に記載の衝撃波試験装置。
【請求項6】
前記可塑性材料は、粘土である請求項に記載の衝撃波試験装置。
【請求項7】
前記金属は、アルミニウム及び鉄の少なくとも一方を含む請求項1からのいずれか一項に記載の衝撃波試験装置。
【請求項8】
前記充填材は、衝撃波管に沿って1個以上のブロックから構成された請求項1からのいずれか一項に記載の衝撃波試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃波管の容積を変更することができるような衝撃波試験装置に関し、詳しくは、充填材によって衝撃波管の容積を変更することができるような衝撃波試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衝撃波の生体に与える影響に関する研究のために、衝撃波管を備える衝撃波試験装置が使用されている。衝撃波管は、高圧の蓄圧部と常圧室とを備え、蓄圧部と常圧室との間の隔膜を開放することにより衝撃波を発生させる(特許文献1を参照)。
【0003】
衝撃波試験装置においては、衝撃波形の調整や射出装置の能力調整を行うため、衝撃波管の蓄圧部の容積を変更する必要が生じる場合があった。衝撃波管は高圧ガス容器として法定の検査を受けているため、衝撃波管自体の容積を変更することはできなかった。一方、充填物により衝撃波管の容積を変更する技術が提供されている(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-3293号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】ニコラス・エヌ・クラインシュミット(Nicholas N. Kleinschmit)、「爆発波についての衝撃管技術及び衝撃管爆発実験における流れ構造相互作用の研究(A Shock Tube Technique for Blast Wave Simulation and Studies of Flow Structure Interactions in Shock Tube Blast Experiments)」、機械工学博士論文、(米国)、ネブラスカ大学リンカーン校機械及び材料工学学部、2011年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高圧の蓄圧部に設置された充填物は、衝撃波発生のために蓄圧部が解放されたときに、復元力や圧力の不平衡が働いて運動が生じることがある。このような充填物の運動は、装置を破損する虞があった。また、充填物を衝撃波管にボルトで固定した場合には、充填物の運動によりボルトの破断のような不具合が生じる虞があった。
【0007】
この発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、充填物により衝撃波管の容積を変更することができ、衝撃波発生のために蓄圧部を解放するときに充填物の運動が抑制されるような衝撃波試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、この出願に係る衝撃波試験装置の発明は、所定の容積を有する衝撃波管と、衝撃波管の第1の端部から所定の距離までを占める蓄圧部と、蓄圧部に充填して衝撃波管の容積を低減する充填材と、充填材を衝撃波管に固定する固定手段とを含み、充填材は、金属又は可塑性材料を含むものである。
【0009】
固定手段は、充填材を衝撃波管の第1の端部に対して固定するボルトであってもよい。衝撃波管は円筒形であり、固定手段は衝撃波管の径方向に拡張するリング状部材であってもよい。固定手段は、充填材を衝撃波管の内壁に対して摩擦で固定してもよい。
【0010】
衝撃波管は円筒形であり、固定手段は、充填材を第1の端部に対して覆い、第1の端部から離れるほど側面の径が小さくなる蓋と、蓋の側面と衝撃波管の内壁との間に挟持される複数の金属球と、複数の金属球を保持する金属球保持手段と、金属球保持手段を蓋に対して第1の端部から離れる方向に移動させることができるネジとを含んでもよい。充填材には、衝撃波管の軸方向に延び、一端が衝撃波管の第1の端部によって、他端が前記蓋によって密封された円筒形状の空洞が形成されていてもよい。
【0011】
充填材は、フィルムで包まれた可塑性材料であってもよい。可塑性材料は、粘土であってもよい。金属は、アルミニウム及び鉄の少なくとも一方を含んでもよい。充填材は、衝撃波管に沿って1個以上のブロックから構成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、充填物により衝撃波管の容積を変更することができ、衝撃波発生のために蓄圧部を開放するときに充填物の運動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態の衝撃波試験装置の全体の構成を示す外観図である。
図2】衝撃波管の構成を示す側面図である。
図3】第1の実施の形態を示す衝撃波管の一部断面図である。
図4】第2の実施の形態を説明する図である。
図5】第3の実施の形態を示す衝撃波管の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係る衝撃波試験装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面は説明のために供するものであり、図面中の寸法や比率は一例を示すものである。
【0015】
図1は、本実施の形態の衝撃波試験装置を含む構成を示す概観図である。図2は、衝撃波管の構成を示す側面図である。
【0016】
衝撃波試験装置は、この衝撃波試験装置の略中央に設置された衝撃波管10と、衝撃波管10を支持する基台20と、衝撃波管10を含むこの衝撃波試験装置の全体を制御する制御装置103と、衝撃波管10の状態などを表示する表示装置104とを含んでいる。
【0017】
衝撃波管10は、内径が一定の円筒形状であり、鋼鉄製で内壁が滑らかに仕上げられ、所定の容積を有している。衝撃波管10において、第1の端部11から第2の端部19に向かう軸方向に、第1の端部11から所定距離までが蓄圧部12を構成し、蓄圧部12から第2の端部19までが常圧部14を構成し、第2の端部19にはダンプタンク21が接続されている。
【0018】
本実施の形態では、蓄圧部12において、衝撃波管10の第1の端部11から所定距離までにわたり充填材50が充填され、衝撃波管10の容積を低減している。充填材50は、金属又は可塑性材料からなるものであってよい。充填材50は、第1の端部11にボルトによって固定してもよいし、衝撃波管10の内部に摩擦によって固定してもよい。充填材50については、さらに後述する。
【0019】
衝撃波管10において、蓄圧部12と常圧部14とは、第1のフランジ41の内側に設けられた隔膜31によって分離されている。隔膜31は、フィルム状であり、図示しない針状部材によって破断して開放することができる。隔膜31は、第1のフランジ41の部分で衝撃波管10を切り離して交換することができる。なお、隔膜31には、フィルム状のものに代わって開閉可能な弁などを使用することもできる。
【0020】
常圧部14は、被検体を設置して観察することができる観察部15を含んでいる。この観察部15は、第2のフランジ43と第3のフランジ44の部分で衝撃波管10を切り離して取り外すことができる。観察部15には、衝撃波管10の外側から被検体を観察できるように窓16が形成されている。
【0021】
ダンプタンク21は、衝撃波管10の第2の端部19に接続され、衝撃波管10の管内から第2の端部19に到来した圧力変化を減衰させる。ダンプタンク21の内部には、圧力変化を吸収する緩衝材25が内貼りされている。
【0022】
基台20は、衝撃波管10が所定の高さにおいて水平方向に延びるように支持している。制御装置103は、所定のシーケンスに従い、衝撃波管10の動作の監視や関連するバルブ操作などの各種の制御を行う。表示装置104には、例えば液晶ディスプレイが用いられ、この衝撃波試験装置のオペレータに対して各種情報を提供する。
【0023】
例えば、制御装置103は、衝撃波管10に取り付けられた図示しない圧力センサなどの各種のセンサからの測定結果を常に監視するとともに、蓄圧部12と常圧部14へのバルブ操作、隔膜31の開放など、衝撃波管10における動作が適切に実施されるように制御する。
【0024】
また、衝撃波試験装置は、衝撃波管10に所定の圧力の空気を供給する圧力発生装置105と、建屋から電源の供給を受ける分電盤106とを有している。圧力発生装置105は、制御装置103から制御を受け、衝撃波管10の蓄圧部12と常圧部14に所定の圧力の空気を供給する。分電盤106は、ブレーカなどを備え、衝撃波試験装置に電力を供給する。
【0025】
衝撃波試験装置は、図示はしていないシュリーレン装置や高速度カメラなど衝撃波を可視化して測定する測定装置を含んでもよい。また、衝撃波管10の第2の端部19にダンプタンク21に代えて、被検体を観察するための観察室を設けてもよい。
【0026】
図3は、衝撃波試験装置の第1の実施の形態を説明する断面図である。図3(a)に示すように、衝撃波管10の蓄圧部12において、充填材50が第1の端部11にボルト61によって固定されている。充填材50は、衝撃波管10の第1の端部11から第2の端部19に向かう軸方向に、所定径で所定厚さを有する第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54から構成されている。ボルト61は、第4のブロック54の第2の面54aを頭部61aによって支持し、第4のブロック54、第3のブロック53、第2のブロック52及び第1のブロック51を順に貫通し、第1のブロック51の第1の面51aが第1の端部11の内壁11aに接するようにねじ切り部61bを第1の端部11の内壁11aに締結して固定している。
【0027】
図3(b)は、蓄圧部12を所定圧力まで加圧した状態を示している。第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54は、蓄圧部内15における圧力の増加のため第1の端部11に向かって収縮している。このため、第4のブロック54の第2の面54aとボルト61の頭部61aとの間に収縮量δにわたり間隙が生じている。
【0028】
図3(c)は、図3(b)のように蓄圧部12を加圧した状態において、蓄圧部12と常圧部14との間の隔膜31を開いて圧力を解放したときの充填材50の動きを示している。充填材50は、圧力が減少したために軸方向に膨張するとともに、軸方向に速度vに加速される。
【0029】
図3(b)に示した加圧時における充填材50の収縮量δや図3(c)に示した圧力解放時における充填材の速度vは、次のように計算することができる。ここで、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54からなる充填材50の密度をρ、ヤング率をE、軸方向の長さをLとし、加圧により充填材50に蓄積された弾性エネルギーをE、圧力解放時の充填材50の運動エネルギーをEとする。また、衝撃波管10の断面積をA、蓄圧部12における圧力をpとする。充填材50の断面積も衝撃波管10と同様にAとする。なお、充填材50は、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54にかかわらず、一体として構成され、一様で連続であるものとする。
【0030】
図3(b)に示した加圧時に、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54からなる充填材50は、第1の端部11の内壁11aに向かって一方向に圧縮される。このとき、収縮量δ及び充填材50の弾性エネルギーEは次の数1及び数2によって与えられる。
【数1】
【数2】
【0031】
ここで、充填材50の質量mは数3
【数3】
によって与えられる。
【0032】
したがって、図3(c)に示した圧力解放時における充填材50の速度v及び運動エネルギーEは、数4及び数5によって与えられる。
【数4】
【数5】
【0033】
充填材50の速度v及び運動エネルギーEは、別の方法によって計算することもできる。図3(b)に示した加圧時において、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54からなる充填材50が一様に圧力を受け、図3(b)に示した圧力解放時の圧力の変化は第1のブロック51の第1の面51aから第4のブロック54の第2の面54aに向かって進むものとする。
【0034】
収縮量δ及び充填材50における音速は、次の数6及び数7によって与えられる。
【数6】
【数7】
【0035】
圧力解放時に、圧力の解放は第1のブロック51の第1の面51aから第2のブロック52の第2の面54aまでの距離Lを数8に示される時間Δtで到達し、力積Iは数9によって与えられる。
【数8】
【数9】
【0036】
したがって、充填材50の速度vは数10で与えられ、先の数4と同様の結果に達した。
【数10】
【0037】
また、圧力解放時において、充填材50の第1のブロック51の第1の面51aと衝撃波管10の第1の端部11の内壁11aとの間で空気が断熱膨張し、充填材50は加速される。このような断熱膨張による充填材50の加速は、次のように計算することができる。
【0038】
圧力解放前の蓄圧部12内の空気の密度ρ及び圧力pと、圧力解放後の充填材50の第1のブロック51の第1の面51aと衝撃波管10の第1の端部11の内壁11aとの間に形成される空間における密度ρ及び圧力pとの間には、数11の関係式が成り立つ。ここでγは比熱比である。
【数11】
したがって、断熱膨張による速度vは、充填材50の質量m、衝撃波管10の断面積Aを用いて、数12及び数13により得られる。
【数12】
【数13】
【0039】
表1には、充填材50について、数4及び数10に示した弾性エネルギーによる加速と、数13に示した断熱膨張による加速を考慮し、種々の材料について収縮量、圧力解放時の速度、運動エネルギー、圧力解放時に固定するために必要なボルトの本数などを計算した。ここで、衝撃波管10の内径は300mm、断面積は70686mmとした。充填材50の直径及び断面積は衝撃波管10の内径及び断面積と同様であり、長さは軸方向に400mmとした。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、アルミ合金や鋼材は、収縮量、速度、運動エネルギーがともに比較的小さく、圧力解放時の固定に必要なボルト本数も少ない。粘土のような可塑性材料は、圧力解放時にも運動が生じることはなく、固定に必要なボルトも必要ない。MCナイロンは3Dプリンタで容易に成形することができ、木材は加工が容易であるが、MCナイロン及び木材は収縮量、速度、運動エネルギーがともに比較的大きく、固定に必要なボルト本数も比較的多い。鉛は、速度はアルミ合金や鋼材と同程度であるが、運動エネルギーや固定に必要なボルト本数がアルミ合金や鋼材よりは多い。
【0042】
これらの各材料を比較すると、アルミ合金又は鋼材のような金属は、圧力解放時の固定に必要な本数が少ないために充填材50に適切であることが明らかである。充填材50は、アルミ合金又は鋼材のような金属による第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54により構成することができる。ただし、金属であっても鉛のような密度が大きい重金属は、運動エネルギーが大きくなり固定に必要なボルト本数が増加するために充填材50には適切でない。
【0043】
一方、粘土などの可塑性材料も、加圧による容積変化が比較的大きいが、圧力解放時にも運動が生じることはなく、ボルトで固定する必要がないので充填材50に適切であることが明らかである。粘土などの可塑性材料は、例えば塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンなどのプラスチックのフィルムで包んで形成した第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54により提供することができる。なお、粘土などの可塑性材料も、可塑性材料を第1の端部に対して覆うような適切な蓋を用い、この蓋を介してボルトで固定することができる。このような蓋の例については、後述する第3の実施の形態で説明する。
【0044】
第1の形態によると、充填材50にアルミ合金又は鋼材のような金属や粘土のような可塑性材料を使用することにより、圧力解放時における充填材50の速度や運動エネルギーを抑制している。したがって、充填材50にアルミ合金又は鋼材のような金属を使用する場合には、充填材50を衝撃波管10の第1の端部11にボルト61などによって確実に固定することができ、充填材50が過大に移動したりボルト61が破断したりすることがない。
【0045】
第1の実施の形態の充填材50は、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54から構成されているため、取り扱いが容易である。例えば、充填材50の設置は、衝撃波管10の第1の端部11から第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54等を所望のブロック数だけ順に設置し、ボルト61で固定することにより容易に実施することができる。また、充填材50の撤去も、ボルト61を取り外し、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54等を衝撃波管100から順に取り出すことにより容易に実施することができる。なお、ブロックの数は4個に限らず、1個以上であればよい。
【0046】
一方、充填材50に粘土などの可塑性材料を使用する場合には、ボルト61などによって固定しなくても充填材50が過大に移動したりすることがない。粘土などの可塑性材料は、衝撃波管10に直接に充填することもできる。ただし、粘土などの可塑性材料は、充填材50を設置したり撤去したりするごとに、衝撃波管10の内壁に成形したり、衝撃波管10の内壁に減りついた引き剥がす作業が必要になる。粘土など可塑性材料をフィルムで包んでブロックに形成した場合には、引き剥がす作業は必要ないため、設置したり撤去したりする作業は容易になる。
【0047】
図4は、衝撃波試験装置の第2の実施の形態を説明する図である。第2の実施の形態は、充填材50の第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54にプラスチックのフィルムで包んで形成した粘土などの可塑性材料を使用し、充填材50を衝撃波管10の内壁に対してリング状部材で支持している。なお、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54は可塑性材料に限らず、金属であってもよい。
【0048】
図4(a)は、第2の実施の形態を説明する断面図である。充填材50は、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54から構成され、これらは軸方向に同様の長さを有し、衝撃波管10の内径と同様の直径を有している。第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54は、衝撃波管10の第1の端部11から軸方向に順に隣接して設置され、第1のブロック51の第1の面51aは第1の端部11の内壁11aに接し、第4のブロック54の第2の面54aはリング状部材70によって固定されている。上述のように、粘土などの可塑性材料は圧力解放時にも加速されることがないため、リング状部材70は、圧力解放時に充填材50の運動を阻止する必要はない。
【0049】
図4(b)はリング状部材70の上面図である。リング状部材70は、第1の半リング状部材71及び第2の半リング状部材72を有し、これら第1の半リング状部材71及び第2の半リング状部材72で衝撃波管10の内径に略等しいリングを形成している。リング状部材70は、第1の半リング状部材71及び第2の半リング状部材72間に、距離を調節可能に接続する第1の調節部75及び第2の調節部76を有している。第1の調節部75及び第2の調節部76はそれぞれ突っ張りネジを含み、突っ張りネジを回してリング状部材70の径を拡張又は縮小することができる。リング状部材70は、径が拡張されることによって衝撃波管10の内壁に摩擦によって固定される。また、径を縮小することにより衝撃波管10の内壁に固定されたリング状部材70を取り外すこともできる。
【0050】
第2の実施の形態によると、衝撃波管10の第1の端部11の内壁11aにボルト61を締結することにより固定する第1の実施の形態とは異なり、リング状部材70を衝撃波管10の内壁に対して摩擦により固定している。したがって、第2の実施の形態によると、衝撃波管10を加工することなく充填材50を固定することができる。
【0051】
図5は、第3の実施の形態を説明する断面図である。第3の実施の形態は、充填材50の第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54にプラスチックのフィルムで包んで形成した粘土などの可塑性材料を使用し、充填材50を衝撃波管10の第1の端部11に対して固定部材80で支持している。第2の実施の形態とは、リング状部材70を固定部材80に替えた点を除くと他の構成は同様である。なお、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54は可塑性材料に限らず、金属であってもよい。
【0052】
固定部材80は、第1の面81aによって充填材50を衝撃波管10の第1の端部11に向けて覆い、軸方向に第1の端部11から離れるほど側面81bの径が小さくなる蓋81と、蓋81と衝撃波管10内の内壁との間に挟持される複数の金属球82とを含んでいる。軸方向に進むほど側面81bの径が小さくなる蓋81は、衝撃波管10の内壁との間に挟持される複数の金属球82による摩擦によって、第1の端部11から離れる方向に動かないように固定される。
【0053】
固定部材80は、複数の金属球82を衝撃波管10の軸方向に移動可能に保持する金属球保持部材83と、金属球保持部材83を複数の金属球82とともに蓋81の第2の面81cに対して第1の端部11から離れる方向に移動させることができるネジ84とを有している。金属球保持部材83は、複数の金属球82とともに衝撃波管10の軸方向に移動することができる。金属球保持部材83は、固定部材80が充填材50を覆って衝撃波管10の管内に固定されるときに、複数の金属球82を第1の端部11に向かって適切な位置まで押し込むために使用されてもよい。また、金属球保持部材83は、充填材50を覆う固定部材80を取り外すときに、複数の金属球82を第1の端部11から離れる方向に移動させるために使用されてもよい。このとき、ネジ84によって金属球保持部材83を第1の端部11から離れる方向に移動させることによって、金属球82を容易に移動させることができる。
【0054】
第3の実施の形態においても、充填材50は、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54から構成され、これらは軸方向に同様の長さを有し、衝撃波管10の内径と同様の直径を有している。第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54は、衝撃波管10の第1の端部11から軸方向に順に隣接して設置され、第1のブロック51の第1の面51aは第1の端部11の内壁11aに接し、第4のブロック54の第2の面54aは蓋81の第1の面81aによって覆われている。上述のように、粘土などの可塑剤は圧力解放時にも加速されることがないため、固定部材80は、圧力解放時に充填材50の運動を阻止する必要はない。
【0055】
第3の実施の形態によると、複数の金属球82を保持する金属球保持部材83を出し入れする操作によって、充填材50に対する蓋81の着脱を容易に実施することができる。また、金属球82が蓋81と衝撃波管10の内壁との間に食い込んだときにも、ネジ84によって金属球保持部材83を移動させることにより、蓋81を容易に取り外すことができる。
【0056】
上述の第1から第3の実施の形態は、いずれか2つ又は3つのものを同時に適用することもできる。例えば、プラスチックのフィルムで包んで形成した粘土などの可塑性材料からなる第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54を第1の実施の形態のボルト61で固定するとともに、第2の実施の形態のリング状部材70又は第3の実施の形態の蓋81で固定してもよい。また、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54を第2の実施の形態のリング状部材70とともに、第3の実施の形態の蓋81で固定してもよい。
【0057】
なお、上述の実施形態において、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54は、所定径で所定厚さを有するものとしたが、これに限らない。第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54は、空洞が形成されたものであってもよい。例えば、空洞は、第1のブロック51、第2のブロック52、第3のブロック53及び第4のブロック54を貫通して衝撃波管10の軸方向に延び、一端が衝撃波管10の第1の端部11によって、他端が第3の実施の形態の蓋31によって密閉されていてもよい。この空洞は、円筒形状であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 衝撃波管
11 第1の端部
12 蓄圧部
14 常圧部
31 隔膜
50 充填材
51 第1のブロック
52 第2のブロック
53 第3のブロック
54 第4のブロック
61 ボルト
70 リング状部材
80 固定部材
図1
図2
図3
図4
図5