(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】オイルセパレータ
(51)【国際特許分類】
F01M 13/04 20060101AFI20220112BHJP
F01M 13/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
F01M13/04 A
F01M13/00 F
F01M13/00 H
(21)【出願番号】P 2017206585
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】土井 健介
(72)【発明者】
【氏名】堀内 洋志
(72)【発明者】
【氏名】森下 豪人
(72)【発明者】
【氏名】宮永 斎庸
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-106319(JP,A)
【文献】特開2016-166597(JP,A)
【文献】実開平06-034105(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00
F02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン本体の側面に設けられるオイルセパレータであって、
ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室を形成するケースと、前記分離室を迷路状に仕切る複数のセパレータ板と、を備え、
前記ケースの下部には、ガス導入とオイル排出とを兼用する第1出入口及び第2出入口が離間して設けられており、
前記ケースの上部には、ガス排出口が設けられており、
前記複数のセパレータ板は、前記分離室の前記第1出入口と前記第2出入口との間の空間の上方に配置されて前記分離室の下方となる上流側空間と上方となる下流側空間とに仕切る第1セパレータ板を備え、
前記第1セパレータ板は、前記分離室の前記第1出入口の上方に前記上流側空間と前記下流側空間とを連絡する第1開口部を形成するとともに、前記分離室の前記第2出入口の上方に前記上流側空間と前記下流側空間とを連絡する第2開口部を形成するように設けられており、
前記ケースは、前記エンジン本体の側面に接する前壁と、前記前壁と対向する後壁と、前記前壁の側縁と前記後壁の側縁とを繋ぐ左右の側壁と、を備え、
前記第1セパレータ板は、前記前壁及び前記後壁に接続されているとともに、前記左右の側壁から離間されており、
前記第1出入口から前記ケース内に
液状オイルが流入
したときに、
前記液状オイルは、前記第1セパレータ板の前記上流側空間を通過して前記第2出入口から排出されるとともに、前記第1開口部、前記第1セパレータ板の前記下流側空間及び前記第2開口部を通過して前記第2出入口から排出されることを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項2】
前記第2開口部の開口面積は、前記第1開口部の開口面積以上の大きさである請求項1記載のオイルセパレータ。
【請求項3】
前記第1セパレータ板は、前記第1出入口から前記第2出入口に向かって下方に傾斜した傾斜状に形成されている請求項1又は2に記載のオイルセパレータ。
【請求項4】
前記複数のセパレータ板は、前記第1開口部を上方から覆う第2セパレータ板を備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオイルセパレータ。
【請求項5】
前記第2セパレータ板は、前記第1開口部とともに前記第1セパレータ板を上方から覆うように設けられている請求項4記載のオイルセパレータ。
【請求項6】
前記ケースは、前記エンジン本体の側面に取り付けられるケース本体と、前記ケース本体と接合されて該ケース本体との間で前記分離室を形成するカバー体と、を備え、
前記第1セパレータ板は、一対の分割板により構成されており、
前記ケース本体には、前記一対の分割板のうちの一方の分割板が設けられており、
前記カバー体には、前記一対の分割板のうちの他方の分割板が設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のオイルセパレータ。
【請求項7】
前記ケース本体と前記カバー体との接合状態で、前記一方の分割板と前記他方の分割板との間に隙間が形成されている請求項6記載のオイルセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルセパレータに関し、さらに詳しくは、シリンダブロックやクランクケース等のエンジン本体の側面に設けられるオイルセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオイルセパレータとして、シリンダブロックやクランクケース等のエンジン本体の側面に設けられるものが一般に知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。この特許文献1には、例えば、
図9(a)に示されるように、ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室109を形成するケース103と、ケース103内に設けられて分離室109を迷路状に仕切る複数のセパレータ板110と、を備え、ケース103の上部にガス導入口111及びガス排出口113を設け、ケース103の下部にオイル排出口112を設けてなるオイルセパレータ101が記載されている。また、特許文献2には、例えば、
図9(b)に示されるように、ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室209を形成するケース203と、ケース203内に設けられるノズルインパクタ式の分離構造210と、を備え、ケース203の下部にガス導入とオイル排出とを兼用する単一の出入口211を設け、ケース203の上部にガス排出口213を設けてなるオイルセパレータ201が記載されている。なお、
図9中においては、ブローバイガスの流れを仮想線矢印で示し、オイルの流れを破線矢印で示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4582003号公報
【文献】特開2006-70766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のようにエンジン本体の側面に設けられるオイルセパレータでは、PCV(Positive Crankcase Ventilation)システムによるオイルミスト(比較的粒径の大きなオイルミスト)を分離する機能の他に、クランクシャフト、バランスシャフト等がオイルを巻き上げることでPCV経路に流入してくる液状オイルを分離する機能も必要となる。特に、液状オイルの流入量が増加した際に、液状オイルの分離機能が不十分であると、オイル流入とオイル排出との釣り合いがとれず、油没による不通が発生してしまう。
【0005】
上記特許文献1に記載されたオイルセパレータ101では、ケース103の上部にガス導入口111及びガス排出口113が設けられているので、液状オイルの流入量が過度に多くはならない。しかしながら、エンジン側の要求によりケース103の下部にガス導入口111を設ける必要がある場合、液状オイルの流入量の増加に対応できない。さらに、上記特許文献2に記載されたオイルセパレータ201では、ケース203の下部にガス導入口とオイル排出口とを兼用する単一の出入口211を設けているので、液状オイルを分離する機能が不十分となる。さらに、ノズルインパクタ式の分離構造210を採用しているため、構造が複雑で大型となる。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ケース内での油没による不通の発生を防止又は抑制して、ブローバイガス中に含まれる比較的粒径の大きなオイルミストとともに液状ミストを効果的に分離して排出することができる簡易且つ小型な構造のオイルセパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、エンジン本体の側面に設けられるオイルセパレータであって、ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室を形成するケースと、前記分離室を迷路状に仕切る複数のセパレータ板と、を備え、前記ケースの下部には、ガス導入とオイル排出とを兼用する第1出入口及び第2出入口が離間して設けられており、前記ケースの上部には、ガス排出口が設けられており、前記複数のセパレータ板は、前記分離室の前記第1出入口と前記第2出入口との間の空間の上方に配置されて前記分離室の下方となる上流側空間と上方となる下流側空間とに仕切る第1セパレータ板を備え、前記第1セパレータ板は、前記分離室の前記第1出入口の上方に前記上流側空間と前記下流側空間とを連絡する第1開口部を形成するとともに、前記分離室の前記第2出入口の上方に前記上流側空間と前記下流側空間とを連絡する第2開口部を形成するように設けられており、前記第1出入口から前記ケース内に流入するオイルは、前記第1セパレータ板の前記上流側空間を通過して前記第2出入口から排出され得るとともに、前記第1開口部、前記第1セパレータ板の前記下流側空間及び前記第2開口部を通過して前記第2出入口から排出され得ることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2開口部の開口面積は、前記第1開口部の開口面積以上の大きさであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1セパレータ板は、前記第1出入口から前記第2出入口に向かって下方に傾斜した傾斜状に形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記複数のセパレータ板は、前記第1開口部を上方から覆う第2セパレータ板を備えることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記第2セパレータ板は、前記第1開口部とともに前記第1セパレータ板を上方から覆うように設けられていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発明において、前記ケースは、前記エンジン本体の側面に取り付けられるケース本体と、前記ケース本体と接合されて該ケース本体との間で前記分離室を形成するカバー体と、を備え、前記第1セパレータ板は、一対の分割板により構成されており、前記ケース本体には、前記一対の分割板のうちの一方の分割板が設けられており、前記カバー体には、前記一対の分割板のうちの他方の分割板が設けられていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記ケース本体と前記カバー体との接合状態で、前記一方の分割板と前記他方の分割板との間に隙間が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオイルセパレータによると、ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室を形成するケースと、分離室を迷路状に仕切る複数のセパレータ板と、を備え、ケースの下部には、ガス導入とオイル排出とを兼用する第1出入口及び第2出入口が離間して設けられており、ケースの上部には、ガス排出口が設けられており、複数のセパレータ板は、分離室の第1出入口と第2出入口との間の空間の上方に配置されて分離室の下方となる上流側空間と上方となる下流側空間とに仕切る第1セパレータ板を備え、第1セパレータ板は、分離室の第1出入口の上方に上流側空間と下流側空間とを連絡する第1開口部を形成するとともに、分離室の第2出入口の上方に上流側空間と下流側空間とを連絡する第2開口部を形成するように設けられている。そして、第1出入口からケース内に流入するオイルは、第1セパレータ板の上流側空間を通過して第2出入口から排出され得るとともに、第1開口部、第1セパレータ板の下流側空間及び第2開口部を通過して第2出入口から排出され得る。これにより、第1出入口及び第2出入口から導入されるブローバイガスは、複数のセパレータ板により分離室内を蛇行して流れることで、オイルミストが分離されてガス排出口から排出される。一方、第1出入口から液状オイルが大量に流入する際には、液状オイルは、第1セパレータ板の上流側空間を通過して第2出入口から排出されるとともに、第1開口部、第1セパレータ板の下流側空間及び第2開口部(即ち、迂回通路)を通過して第2出入口から排出される。
上述のように、液状オイルの迂回通路を設けることで、第1セパレータ板の上流側空間の容積を大きく確保しつつ、ブローバイガス及び液状オイルの十分な流路長を確保できる。そのため、ケース内での油没による不通の発生を防止又は抑制して、ブローバイガス中に含まれる比較的粒径の大きなオイルミストとともに液状ミストを効果的に分離して排出することができる。さらに、複数のセパレータ板による迷路状の分離構造を用いているため、従来のようなノズルインパクタ式の分離構造を用いるものに比べて、簡易且つ安価な構造にできる。
また、前記第2開口部の開口面積が、前記第1開口部の開口面積以上の大きさである場合は、第1開口部よりも第2開口部を通過するブローバイガスの量が多くなり、オイルミストの分離効率が更に高められる。
また、前記第1セパレータ板が、前記第1出入口から前記第2出入口に向かって下方に傾斜した傾斜状に形成されている場合は、第1セパレータ板により、第1出入口からケース内に流入する液状オイルが第2出入口へ案内される。
また、前記複数のセパレータ板が、前記第1開口部を上方から覆う第2セパレータ板を備える場合は、第1開口部を通過したブローバイガス及び/又は液状オイルが第2セパレータ板と衝突することで第1セパレータ板の下流側空間に円滑に導かれる。
また、前記第2セパレータ板が、前記第1開口部とともに前記第1セパレータ板を上方から覆うように設けられている場合は、ブローバイガス及び/又は液状オイルが第1セパレータ板の下流側空間に更に円滑に導かれる。
また、前記ケースが、ケース本体と、カバー体と、を備え、前記第1セパレータ板が、一対の分割板により構成されており、前記ケース本体に、一方の分割板が設けられており、前記カバー体に、他方の分割板が設けられている場合は、更に簡易且つ小型な構造にできる。
さらに、前記ケース本体と前記カバー体との接合状態で、前記一方の分割板と前記他方の分割板との間に隙間が形成されている場合は、ブローバイガスが隙間を通過することでオイルミストが効果的に分離される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【
図1】実施例1に係るオイルセパレータの一部を破断した正面図である。
【
図3】実施例1に係る第1セパレータ板の斜視図である。
【
図4】上記オイルセパレータが取り付けられたエンジンの模式図である。
【
図5】上記オイルセパレータの作用を説明するための説明図であり、(a)エンジンの通常運転時のブローバイガスの流通状態を示し、(b)エンジン負荷が比較的大きい状況でのブローバイガス及び液状オイルの流通状態を示す。
【
図6】他の形態に係るオイルセパレータを説明するための説明図であり、(a)は2つの第1セパレータ板を備える形態を示し、(b)は3つの第1セパレータ板を備える形態を示す。
【
図7】更なる他の形態に係るオイルセパレータを説明するための説明図であり、(a)は上方に凸となる湾曲板状の第1セパレータ板を備える形態を示し、(b)は下方に凸となる湾曲板状の第1セパレータ板を備える形態を示す。
【
図8】更なるその他の形態のオイルセパレータを説明するための説明図であり、(a)は一対の分割板の先端部の間に迷路状の隙間が形成されている形態を示し、(b)は一対の分割板の先端部同士が接合されている形態を示す。
【
図9】従来のオイルセパレータを説明するための説明図であり、(a)は特許文献1に記載のオイルセパレータを示し、(b)は特許文献2に記載のオイルセパレータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
本実施形態に係るオイルセパレータは、エンジン本体(2)の側面に設けられるオイルセパレータ(1)であって、ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室(9)を形成するケース(3)と、分離室を迷路状に仕切る複数のセパレータ板(21~25)と、を備え、ケース(3)の下部には、ガス導入とオイル排出とを兼用する第1出入口(11)及び第2出入口(12)が離間して設けられており、ケース(3)の上部には、ガス排出口(13)が設けられており、複数のセパレータ板は、分離室(9)の第1出入口(11)と第2出入口(12)との間の空間の上方に配置されて分離室(9)の下方となる上流側空間(15)と上方となる下流側空間(16)とに仕切る第1セパレータ板(21、21’、21")を備える(例えば、
図1~
図5等参照)。さらに、第1セパレータ板(21、21’、21")は、分離室(9)の第1出入口(11)の上方に上流側空間(15)と下流側空間(16)とを連絡する第1開口部(31)を形成するとともに、分離室(9)の第2出入口(12)の上方に上流側空間(15)と下流側空間(16)とを連絡する第2開口部(32)を形成するように設けられている(例えば、
図1、
図6及び
図7等参照)。そして、第1出入口(11)からケース(3)内に流入するオイルは、第1セパレータ板(21、21’、21")の上流側空間(15)を通過して第2出入口(12)から排出され得るとともに、第1開口部(31)、第1セパレータ板(
21、21’、21")の下流側空間(16)及び第2開口部(32)を通過して第2出入口(12)から排出され得る(例えば、
図5(b)等参照)。
【0012】
なお、上記ケース(3)の材質、形状、大きさ等は特に問わない。また、上記複数のセパレータ板(21~25)の材質、形状、個数、配置形態等は特に問わない。また、上記第1出入口(11)、第2出入口(12)及びガス排出口(13)の形状、大きさ、配置形態等は特に問わない。
【0013】
本実施形態に係るオイルセパレータとしては、例えば、上記第2開口部(32)の開口面積(S2)は、第1開口部(31)の開口面積(S1)以上の大きさである形態(例えば、
図1等参照)が挙げられる。この第2開口部の開口面積(S2)と第1開口部の開口面積(S1)との比(S2/S1)としては、例えば、1.0~3.0(好ましくは1.1~2.8、特に1.2~2.5)が挙げられる。
【0014】
本実施形態に係るオイルセパレータとしては、例えば、上記第1セパレータ板(21、21’、21")は、第1出入口(11)から第2出入口(12)に向かって下方に傾斜した傾斜状に形成されている形態(例えば、
図1、
図6及び
図7等参照)が挙げられる。
【0015】
本実施形態に係るオイルセパレータとしては、例えば、上記複数のセパレータ板は、第1開口部(31)を上方から覆う第2セパレータ板(22)を備える形態(例えば、
図1、
図6及び
図7等参照)が挙げられる。この第2セパレータ板(22)は、例えば、第1開口部(31)とともに第1セパレータ板(21、21’、21")を上方から覆うように設けられていることができる。
【0016】
本実施形態に係るオイルセパレータとしては、例えば、上記ケース(3)は、エンジン本体(2)の側面に取り付けられるケース本体(5)と、ケース本体と接合されてケース本体との間で分離室(9)を形成するカバー体(6)と、を備え、第1セパレータ板(
21、21’、21")は、一対の分割板(21a、21b)により構成されており、ケース本体(5)には、一対の分割板のうちの一方の分割板(21a)が設けられており、カバー体(6)には、一対の分割板のうちの他方の分割板(21b)が設けられている形態(例えば、
図2及び
図8等参照)が挙げられる。
【0017】
上述の形態の場合、例えば、ケース本体(5)とカバー体(6)との接合状態で、一方の分割板(21a)と他方の分割板(21b)との間には隙間(35)が形成されていることができる(例えば、
図2及び
図8(a)等参照)。この隙間(35)の間隔としては、例えば、0~2mm(好ましくは0.2~1.8mm)が挙げられる。
【0018】
上述の形態の場合、例えば、上記第1セパレータ板(21、21’、21")に形成される隙間(35)と第2セパレータ板(22)に形成される隙間(35)とは、ケース本体(5)とカバー体(6)との接合方向に位置がずれていることができる(例えば、
図2等参照)。さらに、例えば、上記一方の分割板(21a)と他方の分割板(21b)の先端部同士が上下方向に対向することで、両者の間に隙間(35)が形成されていることができる(例えば、
図8(a)等参照)。これらにより、オイルミストが更に効果的に分離される。
【0019】
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
【実施例】
【0020】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「オイルセパレータ」として、シリンダブロックやクランクケース等のエンジン本体2の側面にネジ止め等により取り付けられるオイルセパレータ1を例示する(
図4参照)。さらに、
図2、
図4及び
図5においては、ブローバイガスの流れを仮想線矢印で示し、オイルの流れを破線矢印で示す。
【0021】
(1)オイルセパレータの構成
本実施例に係るオイルセパレータ1は、
図1及び
図2に示すように、ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室9を形成するケース3と、ケース3内に設けられて分離室9を迷路状に仕切る第1~第5セパレータ板21、22、23、24、25と、を備えている。これら第1~第5セパレータ板21~25による迷路状(即ち、ラビリンス状)の分離構造によって、ケース3内に導入されるブローバイガスが蛇行して流れることでオイルミストが分離される。
【0022】
上記ケース3は、エンジン本体2の側面に取り付けられる合成樹脂製のケース本体5と、ケース本体5と振動溶着、レーザ溶着、接着剤等により接合されてケース本体5との間で分離室9を形成する合成樹脂製のカバー体6と、を備えている。このケース本体5は、エンジン本体2の側面と接する前壁5aと、前壁5aの外周側から横方に延びる左右の側壁5b、5c、上壁5d及び底壁5eと、を備えており、全体として一方を開口した箱状(具体的に、4角箱状)に形成されている。これら左右の側壁5b、5cの外面には、ケース本体5をエンジン本体2の側面に取り付けるための取付片7が設けられている。また、カバー体6は、ケース本体5の前壁5aと対向する後壁6aと、後壁6aの外周側から横方に延びる左右の側壁6b、6c、上壁6d及び底壁6eと、を備えており、全体として一方を開口した箱状(具体的に、4角箱状)に形成されている。
【0023】
なお、本実施例では、エンジン側の要求等により、底板5e、6e上に凸部8が突出されたケース3を採用するが、これに限定されず、例えば、凸部8が形成されない平坦状の底板5e、6eを備えるケースとしてもよい。
【0024】
上記ケース3の下部には、ブローバイガスのガス導入とオイル排出とを兼用する第1出入口11及び第2出入口12が互いに離間して設けられている。これら第1出入口11及び第2出入口12のそれぞれは、分離室9内とエンジン本体2内の通路2a(
図4参照)とを連通させる連通孔である。また、ケース3の上部には、ブローバイガスのガス排出口13が設けられている。このガス排出口13は、分離室9内とエンジン本体2内の通路2aとを連通させる連通孔である。また、第1出入口11、第2出入口12及びガス排出口13は、ケース本体5の前壁5aに形成されている。さらに、第1出入口11及び第2出入口12のそれぞれは、前壁5aの下部の隅角側に配置されており、ガス排出口13は、前壁5aの上部の隅角側のうちの第2出入口12の上方の隅角側に配置されている。
【0025】
上記第1セパレータ板21は、分離室9の第1出入口11と第2出入口12との間の空間(具体的に、ケース3の底板5e、6eの第1出入口11と第2出入口12との間の部分)の上方に配置されている。この第1セパレータ板21は、分離室9をブローバイガスの流れの上流側空間15と下流側空間16とに上下に仕切っている。また、第1セパレータ板21は、分離室9の第1出入口11の上方に上流側空間15と下流側空間16とを連絡する第1開口部31を形成するとともに、分離室9の第2出入口12の上方に上流側空間15と下流側空間16とを連絡する第2開口部32を形成するように配置されている。この第2開口部32の開口面積S2(例えば、2300mm2)は、第1開口部31の開口面積S1(例えば、1000mm2)より大きな値とされている。
【0026】
そして、上記オイルセパレータ1では、
図5(b)に示すように、第1出入口11からケース3内に流入する液状オイルは、その一部が第1セパレータ板21の上流側空間15を通過して第2出入口12から排出され得るとともに、その一部が第1開口部31、第1セパレータ板21の下流側空間16及び第2開口部32を通過して第2出入口12から排出され得るようになっている。また、第1セパレータ板21は、第1出入口11から第2出入口12に向かって下方に傾斜した平板傾斜状に形成されている。この第1セパレータ板21は、ケース3の前壁5a及び後壁6aに接続されている。
【0027】
上記第2セパレータ板22は、
図1及び
図2に示すように、第1セパレータ板21の下流側(即ち、第1セパレータ板21の上方)に配置されて分離室9内を上下に仕切っている。この第2セパレータ板22は、第1開口部31とともに第1セパレータ板21の一部を上方から覆うように設けられている。また、第2セパレータ板22は、第1出入口11から第2出入口12に向かって下方に傾斜した平板状に形成されている。さらに、第2セパレータ板22は、ケース3の前壁5a、後壁6a及び一方の側壁5b、6bに接続されている。
【0028】
上記第3セパレータ板23は、第2セパレータ板22の下流側(即ち、第2セパレータ板22の上方)に配置されて分離室9内を上下に仕切っている。この第3セパレータ板23は、第2開口部32とともに第1及び第2セパレータ板21、22の各一部を上方から覆うように設けられている。また、第3セパレータ板23は、第2出入口12から第1出入口11に向かって下方に傾斜した平板状に形成されている。さらに、第3セパレータ板23は、ケース3の前壁5a、後壁6a及び一方の側壁5c、6cに接続されている。
【0029】
上記第4セパレータ板24及び第5セパレータ板25のそれぞれは、第3セパレータ板23の上方に配置されて分離室9内を左右に仕切っている。これら第4及び第5セパレータ板24、25は、上下方向Pに延びる平板状に形成されている。また、これら第4及び第5セパレータ板24、25は、互いに対向している。また、第4セパレータ板24は、その上部がケース3の上壁5d、6dから離間し且つその下部が第3セパレータ板23から離間している。さらに、第5セパレータ板25は、その上部がケース3の上壁5d、6dに接続され且つその下部が第3セパレータ板23から離間している。
【0030】
ここで、
図2及び
図3に示すように、各セパレータ板21~23は、一対の分割板21a、21b、22a、22b、23a、23bにより構成されている。ケース本体5には、一対の分割板のうちの一方の分割板21a、22a、23aが設けられており、カバー体6には、他方の分割板21b、22b、23bが設けられている。そして、ケース本体5とカバー体6との接合状態で、一方の分割板21a~21aと他方の分割板21b~23bとは隙間35を介して並設されている。この隙間35は、各セパレータ板21~23のケース本体5とカバー体6との接合方向の中間部に配置されており、各セパレータ板21~23の長手方向に沿って形成されている。また、第1セパレータ板21に形成される隙間35と第2セパレータ板22に形成される隙間35とは、ケース本体5とカバー体6との接合方向に位置がずれている。さらに、第2セパレータ板22に形成される隙間35と第3セパレータ板23に形成される隙間35とは、ケース本体5とカバー体6との接合方向に位置がずれている。
【0031】
(2)オイルセパレータの作用
次に、上記構成のオイルセパレータ1の作用について説明する。なお、本実施例では、クランクシャフト、バランスシャフト等により巻き上げられる液状オイルは、主に第1出入口11からケース3内に流入するものとする。
【0032】
エンジンの通常運転時には、
図5(a)に示すように、エンジン内で生じるブローバイガス(図中に仮想線矢印で示す。)は、吸気系の負圧等の作用により第1出入口11及び第2出入口12からケース3内に導入される。この第1出入口11から導入されるブローバイガスは、第1セパレータ板21の上流側空間15及び第2開口部32を通過してガス排出口13に向かって流れるとともに、第1開口部31を通過してガス排出口13に向かって流れる。また、第2出入口12から導入されるブローバイガスは、第2開口部32を通過してガス排出口13に向かって流れる。そして、各セパレータ板21~25によりブローバイガスが分離室9内を蛇行して流れるとともに、第1~第3セパレータ板21~23の隙間35をブローバイガスが蛇行して流れることで、ブローバイガス中に含まれるオイルミストが捕捉されて分離される。そのオイルミストが分離されたブローバイガスは、ガス排出口13からエンジン本体2側へ排出される。一方、分離されたオイルは、第1~第3セパレータ板21~23の上下面を伝わって第1出入口11及び/又は第2出入口12に案内されてエンジン本体2側へ排出される。
【0033】
一方、エンジン負荷が比較的大きい状況では、
図5(b)に示すように、クランクシャフト、バランスシャフト等により巻き上げられる液状オイル(図中に破線矢印で示す。)が第1出入口11からケース3内に大量に流入する場合がある。このとき、第1出入口11からケース3内に流入する液状オイルは、第1セパレータ板21の上流側空間15を通過して第2出入口12からエンジン本体2側へ排出されるとともに、第1開口部31、第1セパレータ板21の下流側空間16及び第2開口部32(即ち、迂回通路)を通過して第2出入口12からエンジン本体2側へ排出される。さらに、第1出入口11から一旦流入した液状オイルが第1出入口11からエンジン本体2側へ排出されることもある。このように液状オイルの迂回通路31、16、32を設定することで、オイル排出のための時間を確保できるため、オイル噴出しが抑制されるとともに、ブローバイガスと液状オイルのメインルートが分かれるため、オイル持去りが抑制される。
【0034】
なお、上記ケース3内に大量の液状オイルが流入する場合であっても、上述のエンジンの通常運転時と略同様にして、第1及び第2出入口11、12から導入されるブローバイガスは、分離室9内を蛇行してオイルミストが分離された状態でガス排出口13からエンジン本体2側へ排出される。
【0035】
(3)実施例の効果
本実施例のオイルセパレータ1によると、ブローバイガスとオイルとを分離するための分離室9を形成するケース3と、分離室9を迷路状に仕切る複数のセパレータ板21~25と、を備え、ケース3の下部には、ガス導入とオイル排出とを兼用する第1出入口11及び第2出入口12が離間して設けられており、ケース3の上部には、ガス排出口13が設けられており、複数のセパレータ板は、分離室9の第1出入口11と第2出入口12との間の空間の上方に配置されて分離室9の下方となる上流側空間15と上方となる下流側空間16とに仕切る第1セパレータ板21を備え、第1セパレータ板21は、分離室9の第1出入口11の上方に上流側空間15と下流側空間16とを連絡する第1開口部31を形成するとともに、分離室9の第2出入口12の上方に上流側空間15と下流側空間16とを連絡する第2開口部32を形成するように設けられている。そして、第1出入口11からケース3内に流入するオイルは、第1セパレータ板21の上流側空間15を通過して第2出入口12から排出され得るとともに、第1開口部31、第1セパレータ板21の下流側空間16及び第2開口部32を通過して第2出入口12から排出され得る。これにより、第1出入口11及び第2出入口12から導入されるブローバイガスは、複数のセパレータ板21~25により分離室9内を蛇行して流れることで、オイルミストが分離されてガス排出口13から排出される。一方、第1出入口11から液状オイルが大量に流入する際には、液状オイルは、第1セパレータ板21の上流側空間15を通過して第2出入口12から排出されるとともに、第1開口部31、第1セパレータ板21の下流側空間16及び第2開口部32(即ち、迂回通路)を通過して第2出入口12から排出される。
【0036】
上述のように、液状オイルの迂回通路31、16、32を設けることで、第1セパレータ板21の上流側空間15の容積を大きく確保しつつ、ブローバイガス及び液状オイルの十分な流路長を確保できる。そのため、ケース3内での油没による不通の発生を防止又は抑制して、ブローバイガス中に含まれる比較的粒径の大きなオイルミストとともに液状ミストを効果的に分離して排出できる。さらに、複数のセパレータ板21~25による迷路状の分離構造を用いているため、従来のようなノズルインパクタ式の分離構造210を用いるもの(
図9(b)参照)に比べて、簡易且つ安価な構造にできる。
【0037】
また、本実施例では、第2開口部32の開口面積S2は、第1開口部31の開口面積S1より大きい。これにより、第1開口部31よりも第2開口部32を通過するブローバイガスの量が多くなり、オイルミストの分離効率が更に高められる。
【0038】
また、本実施例では、第1セパレータ板21は、第1出入口11から第2出入口12に向かって下方に傾斜した傾斜状に形成されている。これにより、第1セパレータ板21により、第1出入口11からケース3内に流入する液状オイルが第2出入口12へ案内される。
【0039】
また、本実施例では、複数のセパレータ板は、第1開口部31を上方から覆う第2セパレータ板22を備える。これにより、第1開口部31を通過したブローバイガス及び/又は液状オイルが第2セパレータ板22と衝突することで第1セパレータ板21の下流側空間16に円滑に導かれる。特に、本実施例では、第2セパレータ板22は、第1開口部31とともに第1セパレータ板21を上方から覆うように設けられている。これにより、ブローバイガス及び/又は液状オイルが第1セパレータ板21の下流側空間16に更に円滑に導かれる。
【0040】
また、本実施例では、ケース3は、ケース本体5と、カバー体6と、を備え、第1セパレータ板21が、一対の分割板21a、21bにより構成されており、ケース本体5には、一方の分割板21aが設けられており、カバー体6には、他方の分割板21bが設けられている。これにより、更に簡易且つ小型な構造にできる。
【0041】
さらに、本実施例では、ケース本体5とカバー体6との接合状態で、一方の分割板21aと他方の分割板21bとの間に隙間35が形成されている。これにより、ブローバイガスが隙間35を通過することでオイルミストが効果的に分離される。特に、本実施例では、第1セパレータ板21に形成される隙間35と第2セパレータ板22に形成される隙間35とは、ケース本体5とカバー体6との接合方向に位置がずれている。これにより、オイルミストが更に効果的に分離される。
【0042】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、単一の第1セパレータ板21を備えるオイルセパレータ1を例示したが、これに限定されず、例えば、
図6(a)(b)に示すように、複数の第1セパレータ板21を備えるオイルセパレータ1としてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、平板状の第1セパレータ板21を例示したが、これに限定されず、例えば、
図7(a)に示すように、上方に凸となる湾曲板状の第1セパレータ板21’としてもよい。この場合、例えば、第1セパレータ板21’は、第1出入口11から第2出入口12に向かって下方に傾斜した湾曲板傾斜状に形成されていることができる。
【0044】
さらに、例えば、
図7(b)に示すように、下方に凸となる湾曲板状の第1セパレータ21"板としてもよい。この場合、例えば、第1セパレータ板21"には、第1出入口11から第2出入口12に向かって下方に傾斜した湾曲板状部38が設けられていることができる。さらに、例えば、第1セパレータ板21"の中間部には、第1セパレータ21"上に溜る液状オイルを落下させるための落し穴40が形成されていることができる。
【0045】
また、上記実施例では、一対の分割板21a~23a、21b~23bの先端部同士がケース3の接合方向に対向することで両者の間に隙間35が形成される形態を例示したが、これに限定されず、例えば、
図8(a)に示すように、一対の分割板21a~23a、21b~23bの先端部同士が上下方向Pに対向することで両者の間に迷路状の隙間35が形成されるようにしてもよい。これにより、オイルミストが更に効果的に分離される。
【0046】
さらに、例えば、
図8(b)に示すように、一対の分割板21a~23a、21b~23bの先端部同士を振動溶着、レーザ溶着、接着剤等により接合して両者の間に隙間を形成しないようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施例では、ケース3の下部に2つの出入口11、12を設ける形態を例示したが、これに限定されず、例えば、ケース3の下部に3つ以上の出入口を設けるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、第1出入口11が液状オイルのオイル流入口として機能するようにエンジン本体2に対してオイルセパレータ1を配置する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、第1出入口11に加えて、第2出入口12が液状オイルのオイル流入口として機能するようにエンジン本体2に対してオイルセパレータ1を配置するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、第2開口部32の開口面積S2を第1開口部31の開口面積S1より大きい値に設定する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、開口面積S2を開口面積S1と略同じ値に設定したり、開口面積S2を開口面積S1より小さな値に設定したりしてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、第1出入口11から第2出入口12に向かって下方に傾斜する第1セパレータ板21を例示したが、これに限定されず、例えば、略水平に延びる第1セパレータ板としたり、第1出入口11から第2出入口12に向かって上方に傾斜する第1セパレータ板としたりしてもよい。
【0051】
また、上記実施例では、第1開口部31とともに第1セパレータ板21を上方から覆う第2セパレータ板22を例示したが、これに限定されず、例えば、第1開口部31を上方から覆い且つ第1セパレータ板21を上方から覆わない第2セパレータ板としてもよい。
【0052】
また、上記実施例では、エンジン本体2に取り付けられるケース本体5を例示したが、これに限定されず、例えば、エンジン本体2側に一体に形成されたケース本体としてもよい。
【0053】
また、上記実施例では、一対の分割板21a~23a、21b~23bからなるセパレータ板21~23を例示したが、これに限定されず、例えば、分割板を用いずに単一の板からなるセパレータ板としたりしてもよい。
【0054】
さらに、上記実施例では、合成樹脂製のケース3やセパレータ板21~25を例示したが、これに限定されず、例えば、金属製のケースとしたり、金属製のセパレータ板としたりしてもよい。
【0055】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0056】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ブローバイガス中に含まれるオイルを分離して捕集する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0058】
1;オイルセパレータ、2;エンジン本体、3;ケース、5;ケース本体、6;カバー体、9;分離室、11;第1出入口、12;第2出入口、13;ガス排出口、15;上流側空間、16;下流側空間、21,21’,21";第1セパレータ板、21a,21b;分割体、22;第2セパレータ板、31;第1開口部、32;第2開口部、35;隙間、S1;第1開口部の開口面積、S2;第2開口部の開口面積。