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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法および端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/10 20090101AFI20220112BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20220112BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20220112BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20220112BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20220112BHJP
   H04W 48/20 20090101ALI20220112BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220112BHJP
【FI】
H04W48/10
H04W4/38
G08C15/00 E
G08C17/00 A
H04W48/16 132
H04W48/16 134
H04W48/20
H04W72/04 132
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017215089
(22)【出願日】2017-11-07
(62)【分割の表示】P 2017086294の分割
【原出願日】2017-04-25
(65)【公開番号】P2018186485
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-01-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】五井 智之
(72)【発明者】
【氏名】木之下 剛
(72)【発明者】
【氏名】大橋 渉
(72)【発明者】
【氏名】兼行 智彦
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522592(JP,A)
【文献】特開2011-253227(JP,A)
【文献】特開2011-019120(JP,A)
【文献】特開2006-270857(JP,A)
【文献】特開2006-295907(JP,A)
【文献】特開2009-177765(JP,A)
【文献】特開2017-011382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
G08C 15/00
G08C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のウェハを収容するウェハポッドごとに付加されて前記ウェハポッドとともに移動可能であり前記ウェハポッドの環境データを検出する端末装置と、複数のデータ収集装置と、前記データ収集装置に対応する無線送信機を有し、
前記無線送信機は、前記データ収集装置のアドレスの情報および前記データ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して、無線により前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、ある位置において複数の前記無線送信機から無線により送信された前記第1の信号を受信したときに、受信された複数の前記第1の信号の内、所定の手法で前記第1の信号を選択して採用し、採用された前記第1の信号に含まれる前記アドレスの情報および前記第1のチャネルの情報に基づいて、前記端末装置が検出した前記環境データであるデータを含む第2の信号を、前記第1のチャネルを使用して、無線により前記データ収集装置に所定の期間ごとに送信し、
前記データ収集装置は、前記端末装置から無線により送信された前記第2の信号を受信し、受信された前記第2の信号に含まれる前記データを収集し、
前記所定の手法は、受信強度が最大である前記第1の信号を選択する手法である、
通信システム。
【請求項2】
それぞれの前記データ収集装置ごとに対応する1以上の前記無線送信機を有する、
請求項に記載の通信システム。
【請求項3】
データ蓄積装置を有し、
それぞれの前記データ収集装置は、収集された前記データを前記データ蓄積装置に送信し、
前記データ蓄積装置は、複数の前記データ収集装置から送信された前記データを受信して蓄積する、
請求項1または請求項に記載の通信システム。
【請求項4】
互いに対応する前記データ収集装置と前記無線送信機とは、近傍に配置される、あるいは、一体化される、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記端末装置により受信された前記第1の信号の送信元の前記無線送信機、あるいは、前記端末装置により前記第2の信号を送信する送信先の前記データ収集装置に基づいて、前記端末装置が存在するエリアを特定するエリア特定部を備える、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記無線送信機は、前記第1の信号をマルチキャストによって無線により送信する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記無線送信機の記憶部には、前記マルチキャストの宛先情報が記憶されている、
請求項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記端末装置における前記第1の信号を受信する通信用情報無線受信部と前記第2の信号を送信するデータ無線送受信部は、共通の無線通信用ハードウェアを備える、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
複数の前記データ収集装置の間では通信が行われない、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
複数枚のウェハを収容するウェハポッドごとに付加されて前記ウェハポッドとともに移動可能であり前記ウェハポッドの環境データを検出する端末装置と、複数のデータ収集装置と、前記データ収集装置に対応する無線送信機を有する通信システムにおける通信方法であって、
前記無線送信機は、前記データ収集装置のアドレスの情報および前記データ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して、無線により前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、ある位置において複数の前記無線送信機から無線により送信された前記第1の信号を受信したときに、受信された複数の前記第1の信号の内、所定の手法で前記第1の信号を選択して採用し、採用された前記第1の信号に含まれる前記アドレスの情報および前記第1のチャネルの情報に基づいて、前記端末装置が検出した前記環境データであるデータを含む第2の信号を、前記第1のチャネルを使用して、無線により前記データ収集装置に所定の期間ごとに送信し、
前記データ収集装置は、前記端末装置から無線により送信された前記第2の信号を受信し、受信された前記第2の信号に含まれる前記データを収集し、
前記所定の手法は、受信強度が最大である前記第1の信号を選択する手法である、
通信方法。
【請求項11】
前記無線送信機は、前記第1の信号をマルチキャストによって無線により送信する、
請求項10に記載の通信方法。
【請求項12】
前記無線送信機の記憶部には、前記マルチキャストの宛先情報が記憶されている、
請求項11に記載の通信方法。
【請求項13】
複数枚のウェハを収容するウェハポッドごとに付加されて前記ウェハポッドとともに移動可能であり前記ウェハポッドの環境データを検出する端末装置であって、
データ収集装置のアドレスの情報および前記データ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して無線により送信する、複数の無線送信機から無線により送信された前記第1の信号をある位置において受信したときに、受信された複数の前記第1の信号の内、所定の手法で前記第1の信号を選択して採用し、
採用された前記第1の信号に含まれる前記アドレスの情報および前記第1のチャネルの情報に基づいて、検出した前記環境データであるデータを含む第2の信号を、前記第1のチャネルを使用して、無線により前記データ収集装置に所定の期間ごとに送信し、
前記端末装置における前記第1の信号を受信する通信用情報無線受信部と前記第2の信号を送信するデータ無線送受信部は、共通の無線通信用ハードウェアを備え、
前記所定の手法は、受信強度が最大である前記第1の信号を選択する手法である、
端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法および端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)の技術の普及により、様々なモノがインターネットに接続されるようになってきている。例えば、日本では、スマートメーターにより電気使用状況の見える化を可能にした。このようなIoTを実現するためには、センサーと無線を組み合わせた無線センサーネットワークの構築が必要不可欠である。
【0003】
センサーとしては、例えば、温度、湿度、照度、加速度、あるいは、気圧などの値を検出する環境センサーが使用されることが多い。
無線としては、例えば、免許不要の特定小電力無線の920MHzあるいは2.4GHzが使用されることが多い。920MHzを使用する無線としては、例えば、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)、LoRa、あるいは、SIGFOXなどがある。2.4GHzを使用する無線としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、あるいは、無線LAN(Local Area Network)などがある。
【0004】
また、ネットワークトポロジーとしては、スター型のトポロジー、ツリー型のトポロジー、メッシュ型のトポロジーなどがあり、それぞれ用途に応じて使い分けられる。例えば、スマートメーターでは、スター型とメッシュ型が使用されている。
ここで、これらのトポロジーは一般に知られており、例えば、コーディネータおよびエンドデバイスを含み、さらに、ルータを含む場合がある。コーディネータは、例えば、ゲートウェイ、コンセントレータ、あるいは、親機などと呼ばれる。エンドデバイスは、例えば、ノード、端末、あるいは、子機などと呼ばれる。
【0005】
スター型のトポロジーでは、1個のゲートウェイと複数個(2以上の整数を表すNを用いて、N個とする。)のノードを用いて1対Nの星型にネットワークを構成することができる。ゲートウェイは、当該ゲートウェイのメモリに、すべてのノードのアドレス情報を格納する。スター型のトポロジーでは、ゲートウェイが主導となってノードに対してリクエストを送り、当該リクエストに対して当該ノードが肯定応答(ACK:Acknowledgement)とデータを送ることで、当該ゲートウェイと当該ノードとの通信が確立する。
【0006】
このため、スター型のトポロジーでは、ノードの数が多くなると、ゲートウェイによってすべてのノードに対してリスエストをポーリングする時間が長くなるといった問題が発生する場合があった。なお、ポーリングとは、複数の機器(例えば、ノード)に対して、一定のタイミングで順番に問い合わせることである。
また、スター型のトポロジーでは、ゲートウェイがハブになっているため、ゲートウェイが故障したときには、ネットワークに接続されたすべてのノードの通信が途絶する。これに対して、特許文献1および特許文献2には、故障したゲートウェイを切り替える技術について開示されている(特許文献1および特許文献2参照。)。
【0007】
また、スター型のトポロジーでは、固定ノードおよび移動ノード(入れ替えなし)の場合には対応することができるが、移動ノード(入れ替えあり)の場合には対応が難しくなる。特に、ゲートウェイの通信エリアに入ってくるノードが不確定(ランダム)である場合、スター型のトポロジーでは、ゲートウェイはすべてのノード(通信エリア外のノードも含む。)に対して、ポーリングする必要があり、非常に非効率である。
なお、移動ノード(入れ替えなし)は、ゲートウェイの通信エリアに移動するノードが入れ替えすることなく、当該通信エリアに存在するノードが変化しないことを表わしており、また、移動ノード(入れ替えあり)は、ゲートウェイの通信エリアに移動するノードが入れ替えし、当該通信エリアに存在するノードが変化することを表わしている。
【0008】
ここで、移動ノードに対しては、P2P(Peer to Peer)型のトポロジー(Node Up型のトポロジー)が有効である。
P2P型のトポロジーでは、すべてのノードは、それぞれのメモリに、1個のゲートウェイのアドレス情報を格納する。スター型のトポロジーではゲートウェイが主導となるのに対して、P2P型のトポロジーでは、ノードが主導となってデータをゲートウェイに送り、当該データに対して当該ゲートウェイがACKを送ることで、当該ゲートウェイと当該ノードとの通信が確立する。このため、P2P型のトポロジーでは、ゲートウェイはポーリングする必要はなく、ゲートウェイの通信エリアに入ってくるノードが不確定であっても問題ない。
スター型のトポロジーの初期状態ではゲートウェイがトーカーとなるのに対して、P2P型のトポロジーの初期状態ではゲートウェイがリスナーとなる。
【0009】
複数個のゲートウェイが存在する場合、ノードは通信するゲートウェイを切り替えることが必要となる。例えば、移動するノードは、最寄りのゲートウェイに対して通信すると効率が良い。
なお、特許文献1に記載された技術あるいは特許文献2に記載された技術は、故障したゲートウェイあるいはスタンバイモードにあるゲートウェイを切り替える技術であり、アクティブモード同士のゲートウェイを切り替える技術とは相違する(特許文献1および特許文献2参照。)。
【0010】
ここで、特許文献1には、スター型のトポロジーを有する無線ネットワークにおいて、機能的に等価である第1の中央ノードおよび第2の中央ノードと、中央ノードがアクティブモードにあるかまたはスタンバイモードにあるかに応じて、無線リンクを介して第1の中央ノードまたは第2の中央ノードのいずれかと通信するように構成されるリーフノードのセットを備える構成が記載されている(特許文献1の請求項1などを参照。)。
そして、特許文献1に記載された技術では、中央ノードの故障に対して信頼性を向上することが図られている(特許文献1の要約書などを参照。)。
【0011】
また、特許文献2には、データ収集システムにおいて、複数のセンサーノードと、接続されたセンサーノードから出力されるデータをネットワークを介してデータ管理サーバに転送する複数のゲートウェイ装置と、当該ネットワークを介してそれぞれのゲートウェイ装置を監視して障害の発生を検出する監視サーバと、監視サーバにより障害の発生が検出された場合に、障害の発生が検出されたゲートウェイ装置と接続されていた対象センサーノードと接続可能なゲートウェイ装置を代理ゲートウェイ装置として抽出し、当該代理ゲートウェイ装置と当該対象センサーノードとを接続する接続制御を行うための指示を当該代理ゲートウェイ装置に送信する隣接情報管理サーバと、を含む構成が記載されている(特許文献2の請求項1などを参照。)。また、このようなデータ収集システムにおいて、スター型のトポロジーが適用され得る。
そして、特許文献2に記載された技術では、ゲートウェイ装置が故障した場合にも、コストアップすることなく、かつ、センサー側における煩雑な設定をすることなく、サービスの提供を継続させることが図られている(特許文献2の要約書などを参照。)。
【0012】
また、特許文献3には、ホームネットワーク以外のネットワークへの接続点であるアクセスゲートウェイに無線接続し、相手ノードとの間で気付アドレスに基づいてパケット通信を行う移動ノードにおいて、アクセスゲートウェイから無線送信されるビーコン信号を受信する無線部と、ハンドオーバ先のアクセスゲートウェイから受信したビーコン信号に含まれるネットワークプレフィックスと自己の端末識別情報を用いて新気付アドレスを生成する気付アドレス生成部と、を備える構成が記載されている(特許文献3の請求項1などを参照。)。
そして、特許文献3に記載された技術では、移動ノードの移動先での新気付アドレスをその一意性を確保した上で効率良く取得することにより、ハンドオーバ処理の時間短縮が図られている(特許文献3の要約書などを参照。)。
【0013】
ここで、特許文献1に記載された技術および特許文献2に記載された技術は、後述する実施形態に係る通信システム1(例えば、後述する実施形態における図1を参照。)とは、構成が相違する。
また、特許文献3に記載された技術は、移動通信ネットワークシステムに関するものであって、後述する実施形態に係る通信システム1(例えば、後述する実施形態における図1を参照。)とは、技術分野が相違し、さらに、システムを実現する構成も相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2010-157999号公報
【文献】特開2014-64121号公報
【文献】特開2010-103745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のように、従来では、ゲートウェイ装置などのデータ収集装置のアドレスの情報が不明である場合や複数のデータ収集装置が存在する場合に、端末装置とデータ収集装置との通信を確立することが困難であった。
例えば、従来においてビーコン信号が使用されないスター型あるいはP2P型のネットワークでは、端末装置の通信相手として、アクティブモードにあるデータ収集装置どうしを切り替えることが困難であった。
【0016】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、端末装置の通信相手として、複数のデータ収集装置を容易に切り替えることができる通信システム、通信方法および端末装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、移動可能な端末装置と、複数のデータ収集装置と、前記データ収集装置に対応する無線送信機を有し、前記無線送信機は、前記データ収集装置のアドレスの情報および前記データ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して、無線により前記端末装置に送信し、前記端末装置は、複数の前記無線送信機から無線により送信された前記第1の信号を受信し、受信された複数の前記第1の信号の内、所定の手法で前記第1の信号を選択して採用し、採用された前記第1の信号に含まれる前記アドレスの情報および前記第1のチャネルの情報に基づいて、前記端末装置が検出したデータを含む第2の信号を、前記第1のチャネルを使用して、無線により前記データ収集装置に所定の期間ごとに送信し、前記データ収集装置は、前記端末装置から無線により送信された前記第2の信号を受信し、受信された前記第2の信号に含まれる前記データを収集する、通信システムである。
【0018】
本発明の一態様は、通信システムにおいて、それぞれの前記データ収集装置ごとに対応する1以上の前記無線送信機を有する、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、データ蓄積装置を有し、それぞれの前記データ収集装置は、収集された前記データを前記データ蓄積装置に送信し、前記データ蓄積装置は、複数の前記データ収集装置から送信された前記データを受信して蓄積する、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、互いに対応する前記データ収集装置と前記無線送信機とは、近傍に配置される、あるいは、一体化される、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、前記端末装置により受信された前記第1の信号の送信元の前記無線送信機、あるいは、前記端末装置により前記第2の信号を送信する送信先の前記データ収集装置に基づいて、前記端末装置が存在するエリアを特定するエリア特定部を備える、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、前記無線送信機は、前記第1の信号をマルチキャストによって無線により送信する、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、前記無線送信機の記憶部には、前記マルチキャストの宛先情報が記憶されている、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、前記端末装置における前記第1の信号を受信する通信用情報無線受信部と前記第2の信号を送信するデータ無線送受信部は、共通の無線通信用ハードウェアを備える、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、複数の前記データ収集装置の間では通信が行われない、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信システムにおいて、前記所定の手法は、受信強度が最大である前記第1の信号を選択する手法である、構成とされてもよい。
【0019】
本発明の一態様は、移動可能な端末装置と、複数のデータ収集装置と、前記データ収集装置に対応する無線送信機を有する通信システムにおける通信方法であって、前記無線送信機は、前記データ収集装置のアドレスの情報および前記データ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して、無線により前記端末装置に送信し、前記端末装置は、複数の前記無線送信機から無線により送信された前記第1の信号を受信し、受信された複数の前記第1の信号の内、所定の手法で前記第1の信号を選択して採用し、採用された前記第1の信号に含まれる前記アドレスの情報および前記第1のチャネルの情報に基づいて、前記端末装置が検出したデータを含む第2の信号を、前記第1のチャネルを使用して、無線により前記データ収集装置に所定の期間ごとに送信し、前記データ収集装置は、前記端末装置から無線により送信された前記第2の信号を受信し、受信された前記第2の信号に含まれる前記データを収集する、通信方法である。
本発明の一態様は、通信方法において、前記無線送信機は、前記第1の信号をマルチキャストによって無線により送信する、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信方法において、前記無線送信機の記憶部には、前記マルチキャストの宛先情報が記憶されている、構成とされてもよい。
本発明の一態様は、通信方法において、前記所定の手法は、受信強度が最大である前記第1の信号を選択する手法である、構成とされてもよい。
【0020】
本発明の一態様は、移動可能な端末装置であって、データ収集装置のアドレスの情報および前記データ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して無線により送信する、複数の無線送信機から無線により送信された前記第1の信号を受信し、受信された複数の前記第1の信号の内、所定の手法で前記第1の信号を選択して採用し、採用された前記第1の信号に含まれる前記アドレスの情報および前記第1のチャネルの情報に基づいて、検出したデータを含む第2の信号を、前記第1のチャネルを使用して、無線により前記データ収集装置に所定の期間ごとに送信し、前記端末装置における前記第1の信号を受信する通信用情報無線受信部と前記第2の信号を送信するデータ無線送受信部は、共通の無線通信用ハードウェアを備える、端末装置である。
本発明の一態様は、端末装置において、前記所定の手法は、受信強度が最大である前記第1の信号を選択する手法である、構成とされてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、端末装置の通信相手として、複数のデータ収集装置を容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態(第1実施形態)に係る通信システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態(第1実施形態)に係る無線送信機の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態(第1実施形態)に係る端末装置の概略的な構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態(第1実施形態)に係るデータ収集装置の概略的な構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態(第1実施形態)に係る通信システムにおいて行われる処理の手順の一例を示すタイミングチャートである。
図6】本発明の実施形態(第1実施形態)に係る端末装置において行われる処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態(第2実施形態)に係る所在管理評価システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態(第3実施形態)に係るウェハ環境モニターシステムの概略的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
(第1実施形態)
[通信システムの概要]
図1は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係る通信システム1の概略的な構成を示すブロック図である。
通信システム1は、複数の無線送信機11-1~11-2と、複数のデータ収集装置12-1~12-2と、複数の端末装置13-1~13-2と、ネットワーク21と、データ蓄積装置31を備える。
【0025】
無線送信機11-1とデータ収集装置12-1とが有線の回線を介して接続されている。なお、この有線の回線の代わりに、無線の回線が用いられてもよい。無線送信機11-1とデータ収集装置12-1とを接続する回線としては、任意の回線が用いられてもよく、例えば、UARTのインタフェースの回線が用いられてもよい。
無線送信機11-2とデータ収集装置12-2とが有線の回線を介して接続されている。この有線の回線の代わりに、無線の回線が用いられてもよい。無線送信機11-2とデータ収集装置12-2とを接続する回線としては、任意の回線が用いられてもよく、例えば、UARTのインタフェースの回線が用いられてもよい。
複数のデータ収集装置12-1~12-2とデータ蓄積装置31は、それぞれ、有線のネットワーク21と接続されている。なお、有線のネットワーク21の代わりに、無線のネットワークが用いられてもよい。
【0026】
それぞれの無線送信機11-1~11-2は、信号を無線により送信することが可能である。
それぞれのデータ収集装置12-1~12-2は、自装置(当該それぞれのデータ収集装置12-1~12-2)に接続されている無線送信機11-1~11-2と信号を通信することが可能であり、また、それぞれの端末装置13-1~13-2と無線により信号を通信することが可能であり、また、ネットワーク21を介してデータ蓄積装置31と信号を通信することが可能である。
複数の端末装置13-1~13-2は、それぞれ、それぞれの無線送信機11-1~11-2から無線により送信される信号を受信することが可能であり、また、それぞれのデータ収集装置12-1~12-2と無線により信号を通信することが可能である。
【0027】
ここで、本実施形態では、それぞれの無線送信機11-1~11-2は、一例として、自装置(当該それぞれの無線送信機11-1~11-2)を識別する情報(識別情報)を含む信号を無線により送信する装置を用いて構成されてもよい。
また、本実施形態では、それぞれのデータ収集装置12-1~12-2は、一例として、それぞれの端末装置13-1~13-2から無線により送信されるデータを受信して収集するゲートウェイ装置を用いて構成されてもよい。
また、本実施形態では、それぞれの端末装置13-1~13-2は、移動することが可能なノードとして用いられている。
【0028】
なお、それぞれの端末装置13-1~13-2は、例えば、自装置(当該それぞれの端末装置13-1~13-2)が有する駆動部によって駆動されて移動してもよく、あるいは、他の装置が有する駆動部によって当該他の装置が駆動することで当該他の装置により運搬等されて移動させられてもよく、あるいは、ユーザ(人)により携帯されて当該ユーザの移動にともなって移動させられてもよい。
【0029】
図1の例では、無線送信機11-1とデータ収集装置12-1とが近傍に設置されており、無線送信機11-2とデータ収集装置12-2とが近傍に設置されている。また、端末装置13-1は、無線送信機11-1およびデータ収集装置12-1の近傍に存在しており、これらと無線により通信する場合を示す。端末装置13-2は、無線送信機11-2およびデータ収集装置12-2の近傍に存在しており、これらと無線により通信する場合を示す。
なお、それぞれの端末装置13-1~13-2が無線により通信する相手の装置(無線送信機11-1~11-2およびデータ収集装置12-1~12-2)は、例えば、無線通信の電波の強度に基づいて決定されてもよい。図1の例では、障害物が存在せず、無線通信を行う2個の装置の間の距離が近い方が電波強度が大きいとしてあるが、他の例として、障害物が存在する場合には、無線通信を行う2個の装置の距離が近くても電波強度が小さくなる場合も考えられる。
【0030】
ここで、互いに対応する無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2との位置の関係としては、任意であってもよく、一例として、端末装置13-1~13-2にとって、受信強度が最大となる無線送信機と受信強度が最大となるデータ収集装置とが互いに対応することが実現される配置が用いられてもよい。
なお、互いに対応する無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2との位置の関係は、例えば、厳密に理想的な配置が実現されることが好ましいと考えられるが、実用上で支障が無ければ、理想的な配置から多少ずれた配置が用いられてもよい。
また、他の例として、互いに対応する無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2とが、一体化されて、共通の装置(無線通信装置)として構成されてもよい。
【0031】
[無線送信機の概要]
図2は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係る無線送信機11-1の概略的な構成を示すブロック図である。
本実施形態では、複数の無線送信機11-1~11-2は、それぞれの無線送信機11-1~11-2により記憶あるいは送信などされる情報を除いて、同様な構成を有している。このため、複数の無線送信機11-1~11-2について、1個の無線送信機11-1を代表させて、まとめて説明する。
無線送信機11-1は、記憶部111と、通信用情報受信部112と、通信用情報無線送信部113を備える。
【0032】
記憶部111は、例えば、メモリを用いて構成されており、情報を記憶する。本実施形態では、記憶部111は、無線送信機11-1と接続されたデータ収集装置12-1に関する通信用の情報(通信用情報)を記憶する。当該通信用情報は、当該データ収集装置12-1と端末装置13-1~13-2とが無線により通信するために使用される情報である。本実施形態では、当該通信用情報は、当該データ収集装置12-1に割り当てられたアドレスの情報(アドレス情報)と、当該データ収集装置12-1に割り当てられた無線通信のチャネルの情報(チャネル情報)を含む。当該チャネル情報は、例えば、当該データ収集装置12-1に割り当てられた無線通信の周波数の情報を含む。当該チャネル情報は、例えば、当該周波数以外の情報を含んでもよく、あるいは、含まなくてもよい。
【0033】
また、記憶部111は、無線送信機11-1に割り当てられた識別情報を記憶する。当該識別情報は、複数の無線送信機11-1~11-2のそれぞれを識別する情報であり、例えば、それぞれの無線送信機11-1~11-2ごとに異なっている。
また、記憶部111は、無線送信機11-1からの信号の宛先を示す情報(宛先情報)を記憶する。本実施形態では、当該宛先情報として、マルチキャストの宛先情報であるPAN ID(Personal Area Network ID)が用いられている。
なお、他の例として、このような宛先情報として、例えば、個別の端末装置13-1~13-2を識別する情報が用いられてもよい。
【0034】
通信用情報受信部112は、無線送信機11-1と接続されたデータ収集装置12-1から出力される通信用情報を受信し、受信された通信用情報を記憶部111に記憶する。
当該通信用情報は、当該データ収集装置12-1に関する通信用情報である。
【0035】
ここで、記憶部111に記憶される通信用情報としては、例えば、初期状態においてあらかじめ所定の通信用情報が記憶部111に記憶されてもよく、あるいは、任意のタイミングで、通信用情報受信部112により受信された通信用情報が記憶部111に記憶されてもよい。
また、記憶部111に記憶される通信用情報としては、例えば、変更(更新)されずに使用されてもよく、あるいは、任意のタイミングで、通信用情報受信部112により受信された通信用情報へ変更(更新)されてもよい。
【0036】
通信用情報無線送信部113は、アンテナを用いて、記憶部111に記憶された宛先情報および記憶部111に記憶された通信用情報を含む信号(本実施形態では、通信用情報を通知するために使用される信号であり、「通知信号」という。)を無線により送信する。この場合、通信用情報無線送信部113は、任意のタイミングで通知信号を無線により送信してもよく、例えば、所定の期間ごとのタイミング(一定周期のタイミング)で通知信号を無線により送信する。所定の期間としては、任意の期間が用いられてもよく、例えば、0.5秒などが用いられてもよい。
【0037】
ここで、本実施形態では、通知信号に含められる通信用情報として、アドレス情報そのものと、チャネル情報そのものが用いられる。
他の構成例として、通信用情報として、アドレス情報そのものとチャネル情報そのもののうちの一方または両方を識別する情報(ここで、「データ通信識別情報」ともいう。)が用いられてもよい。この場合、送信側の装置(本例では、無線送信機11-1~11-2)と受信側の装置(本例では、端末装置13-1~13-2)とで、あらかじめ、データ通信識別情報と所定の情報(ここでは、アドレス情報そのものとチャネル情報そのもののうちの一方または両方)との対応を記憶しておく。そして、送信側の装置から受信側の装置へデータ通信識別情報を送信する。また、受信側の装置は、受信されたデータ通信識別情報と、記憶された前記の対応に基づいて、当該所定の情報(ここでは、アドレス情報そのものとチャネル情報そのもののうちの一方または両方)を特定して使用する。なお、アドレス情報とチャネル情報とのうち、両方についてデータ通信識別情報が送信されてもよく、あるいは、一方の情報について当該情報そのものが送信されて、他方の情報についてデータ通信識別情報が送信されてもよい。
このように、通信用情報としては、必要な情報が伝えられれば、任意の情報が用いられてもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、通知信号には、記憶部111に記憶された無線送信機11-1の識別情報も含められる。例えば、自装置の識別情報を含む信号を無線により送信する装置を用いて無線送信機11-1が構成される場合、通信用情報無線送信部113は、当該信号にさらに宛先情報および通信用情報を含めて通知信号としてもよい。
【0039】
ここで、本実施形態では、無線送信機11-1により通知信号を無線により送信するときに使用される通信のチャネルと、データ収集装置12-1により端末装置13-1と信号を無線により通信するときに使用される通信のチャネルとで、異なるチャネルが割り当てられる。
さらに、本実施形態では、任意の無線送信機11-1~11-2により通知信号を無線により送信するときに使用される通信のチャネルと、任意のデータ収集装置12-1~12-2により端末装置13-1~13-2と信号を無線により通信するときに使用される通信のチャネルとは、異なるチャネルとなっている。
なお、それぞれの無線送信機11-1~11-2により通知信号を無線により送信するときに使用される通信のチャネルは、同じであってもよく、あるいは、異なってもよい。
また、それぞれのデータ収集装置12-1~12-2により端末装置13-1~13-2と信号を無線により通信するときに使用される通信のチャネルは、同じであってもよく、あるいは、異なってもよい。
【0040】
[端末装置の概要]
図3は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係る端末装置13-1の概略的な構成を示すブロック図である。
本実施形態では、複数の端末装置13-1~13-2は、それぞれの端末装置13-1~13-2により検出、記憶あるいは送信などされる情報が異なってもよい点を除いて、同様な構成を有している。このため、複数の端末装置13-1~13-2について、1個の端末装置13-1を代表させて、まとめて説明する。
端末装置13-1は、環境データ検出部211と、記憶部212と、通信用情報設定部213と、無線通信部214を備える。
無線通信部214は、通信用情報無線受信部231と、データ無線送受信部232を備える。
【0041】
環境データ検出部211は、所定の環境に関する値(本実施形態において、「環境データ」という。)を検出する。所定の環境に関する値としては、任意の環境に関する値が用いられてもよく、例えば、温度、湿度、照度、加速度、あるいは、気圧などの環境の値が用いられてもよい。環境データ検出部211は、例えば、センサー(本実施形態では、環境センサー)を用いて構成される。
ここで、環境データには、他の情報が付加されてもよく、例えば、当該環境データが検出された時刻を表す情報、当該環境データを検出したセンサー(本例では、環境データ検出部211が有するセンサー)を識別する情報、当該環境データを検出したセンサー(本例では、環境データ検出部211が有するセンサー)を備える端末装置13-1~13-2を識別する情報のうちの1以上が付加されてもよい。この場合、本実施形態では、環境データと付加された情報(付加情報)とは、一体となって、送信、受信、記憶などされる。
【0042】
記憶部212は、例えば、メモリを用いて構成されており、情報を記憶する。本実施形態では、記憶部212は、環境データ検出部211により検出された環境データを記憶する。
また、記憶部212は、無線送信機11-1~11-2から無線により送信される通知信号を受信するときに使用されるチャネルの情報(本実施形態において、「通知チャネル情報」という。)を記憶する。このようなチャネルが複数存在する場合には、記憶部212は、例えば、すべてのチャネルの情報(すべての通知チャネル情報)を記憶する。
当該通知チャネル情報は、例えば、当該無線送信機11-1~11-2に割り当てられた無線通信の周波数の情報を含む。当該通知チャネル情報は、例えば、当該周波数以外の情報を含んでもよく、あるいは、含まなくてもよい。
【0043】
また、記憶部212は、データ収集装置12-1~12-2と無線により通信するときに使用される通信用情報を記憶する。
また、記憶部212は、端末装置13-1に割り当てられたアドレスの情報(アドレス情報)を記憶する。
また、記憶部212は、無線送信機11-1~11-2から無線により送信される通知信号を受信するか否かを判定するために使用される宛先情報を記憶する。本実施形態では、記憶部212は、当該通知信号に含められる宛先情報と同じ宛先情報を記憶する。
【0044】
通信用情報設定部213は、データ収集装置12-1~12-2と無線により通信するときに使用される通信用情報を記憶部212に記憶することで、当該通信用情報を設定する。本実施形態では、通信用情報設定部213は、無線送信機11-1~11-2から受信された通信用情報を設定する。この場合、通信用情報設定部213は、無線送信機11-1~11-2から受信された最新の通信用情報を設定する。
【0045】
無線通信部214は、アンテナを用いて、無線により通信する機能を有する。
通信用情報無線受信部231は、記憶部212に記憶された通知チャネル情報により特定されるチャネルを使用して、無線送信機11-1~11-2から無線により送信された通知信号を受信する。当該通知信号には、それぞれの無線送信機11-1~11-2と接続されたデータ収集装置12-1~12-2に関する通信用情報が含まれる。
ここで、本実施形態では、通信用情報無線受信部231は、記憶部212に記憶された宛先情報と同じ宛先情報が含まれる通知信号を受信し、他の宛先情報が含まれる通知信号を破棄する。
【0046】
データ無線送受信部232は、記憶部212に記憶された通信用情報により特定されるアドレス情報およびチャネルを使用して、当該通信用情報に対応するデータ収集装置12-1~12-2と無線により通信する。本実施形態では、データ無線送受信部232は、環境データ検出部211により検出された環境データを含む信号を当該データ収集装置12-1~12-2に対して無線により送信する。当該信号には、当該アドレス情報が含められる。また、データ無線送受信部232は、記憶部212に記憶された端末装置13-1のアドレス情報を当該信号に含めて無線により通信する。また、データ無線送受信部232は、データ収集装置12-1~12-2から無線により送信された肯定応答(ACK)の信号を受信する。
【0047】
図1の例では、端末装置13-1において、通信用情報無線受信部231は、記憶部212に記憶された通知チャネル情報により特定されるチャネルを使用して、無線送信機11-1から無線により送信された通知信号を受信する。そして、データ無線送受信部232は、当該通知信号に含まれる通信用情報により特定されるアドレス情報およびチャネルを使用して、当該通信用情報に対応するデータ収集装置12-1と無線により通信する。
一方、図1の例では、端末装置13-2においては、無線送信機11-2から無線により送信される通知信号を受信し、当該通知信号に含まれる通信用情報により特定されるアドレス情報およびチャネルを使用して、当該通信用情報に対応するデータ収集装置12-2と無線により通信する。
【0048】
ここで、1個の端末装置13-1により、複数の無線送信機11-1~11-2から無線により送信された通知信号が受信される場合がある。
そこで、通信用情報無線受信部231は、複数の無線送信機11-1~11-2から無線により送信された通知信号が受信された場合には、これら複数の通知信号のなかから1個の通知信号を選択して採用する。この場合、通信用情報無線受信部231は、例えば、受信された複数の通知信号のなかで、電波の受信強度が最大である1個の通知信号を選択して採用する。また、通信用情報無線受信部231は、例えば、受信された複数の通知信号のなかで、電波の受信強度が最大である通知信号が2個以上存在する場合には、ランダムにあるいはあらかじめ定められた任意の条件に基づいて、1個の通知信号を選択して採用してもよい。受信強度としては、例えば、RSSI(Received Signal
Strength Indicator)が用いられてもよい。
通信用情報設定部213は、通信用情報無線受信部231により選択された1個の通知信号に含まれる通信用情報を設定する。
【0049】
また、本実施形態では、無線通信部214は、通信用情報無線受信部231とデータ無線送受信部232とで、一方のみを動作させる。つまり、無線通信部214は、通信用情報無線受信部231を動作させるときには、データ無線送受信部232を動作させず、逆に、データ無線送受信部232を動作させるときには、通信用情報無線受信部231を動作させないように制御する。
【0050】
ここで、本実施形態では、無線通信部214は、通信用情報無線受信部231とデータ無線送受信部232とに共通の無線通信用のハードウェアを備えており、当該ハードウェアにおいて使用するチャネルを切り替えることで、通信用情報無線受信部231の機能とデータ無線送受信部232の機能とを切り替える。
つまり、図2の例では通信用情報無線受信部231とデータ無線送受信部232とを別々に示して2個の機能を有することを把握し易く示しているが、通信用情報無線受信部231とデータ無線送受信部232とは、2つの種類の通信方式(本実施形態では、通知信号を受信する通信方式と、データ通信を行う通信方式)を切り替えて実行することが可能な1個の機能部であると捉えることもできる。
他の構成例として、無線通信部214は、通信用情報無線受信部231とデータ無線送受信部232とで、別々の無線通信用のハードウェアを備えてもよい。
なお、無線通信部214は、通信用情報無線受信部231とデータ無線送受信部232との両方を同時に動作させる場合があってもよい。
【0051】
また、データ無線送受信部232により環境データを無線により送信するタイミングとしては、任意のタイミングが用いられてもよく、例えば、所定の期間ごとのタイミング(一定周期のタイミング)で環境データを無線により送信する。この場合、データ無線送受信部232は、前回に環境データを無線により送信したときから現在までに記憶部212に記憶された環境データを、今回、無線により送信する。つまり、環境データ検出部211により検出された環境データは、順次、記憶部212に記憶され、データ無線送受信部232は、所定の期間ごとのタイミングで、未送信分の環境データを無線により送信する。所定の期間としては、任意の期間が用いられてもよく、例えば、5分あるいは10分などが用いられてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、データ無線送受信部232は、設定された通信用情報を使用してデータ収集装置12-1~12-2と無線により通信する場合、事前にキャリアセンスの処理を実行して、該当する周波数が他の装置により使用されていない(つまり、当該周波数が空いている)ことを判定したことに応じて、データ収集装置12-1~12-2との無線通信を開始する。データ無線送受信部232は、該当する周波数が他の装置により使用されている(つまり、当該周波数が空いていない)ことを判定したときには、当該周波数が空くまで待機する。
【0053】
また、端末装置13-1では、例えば、所定の期間ごとのタイミングで通信用情報無線受信部231により通知信号の受信を試みて、通知信号が受信されなかった場合には省消費電力状態(本実施形態において、「スリープ状態」ともいう。)へ移行し、そして、次回のタイミング(前記した所定の期間ごとのタイミング)を待機した後に、通常状態(スリープ状態よりも電力を消費する状態)に起動してもよい。このような動作において、端末装置13-1では、例えば、通知信号が受信された場合には、データ無線送受信部232により環境データを無線により送信し、その後、スリープ状態に移行して、次回のタイミング(前記した所定の期間ごとのタイミング)を待機してもよい。
ここで、端末装置13-1におけるスリープ状態は、例えば、ソフトウェアを用いて実現されてもよく、あるいは、スリープ状態とする処理部に対して外部にあるタイマーにより所定の期間が計時されるまで当該処理部の電源をオフにすることで実現されてもよい。
【0054】
端末装置13-1の電源としては、例えば、電池の電源が用いられてもよい。特に、端末装置13-1がスリープ状態となる構成が用いられる場合には、省消費電力化が図られる点で、電池の電力消費量を低減することが可能である。
また、電池として、例えば、繰り返して充電可能な電池が用いられてもよい。
他の例として、端末装置13-1の電源としては、例えば、電気二重層コンデンサ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)、外部から非接触で送られる電力を給電する非接触給電(WLP:Wireless Power
Transfer)による電源、あるいは、太陽電池などのエナジーハーベスティングによる電源などが用いられてもよい。
【0055】
[データ収集装置の概要]
図4は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係るデータ収集装置12-1の概略的な構成を示すブロック図である。
本実施形態では、複数のデータ収集装置12-1~12-2は、それぞれのデータ収集装置12-1~12-2の通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)が異なってもよい点を除いて、同様な構成を有している。このため、複数のデータ収集装置12-1~12-2について、1個のデータ収集装置12-1を代表させて、まとめて説明する。
データ収集装置12-1は、記憶部311と、通信用情報送信部312と、無線通信部313と、収集データ送信部314を備える。
無線通信部313は、データ無線送受信部331を備える。
【0056】
記憶部311は、例えば、メモリを用いて構成されており、情報を記憶する。本実施形態では、記憶部311は、端末装置13-1~13-2から受信された環境データを記憶する。また、記憶部311は、データ収集装置12-1に割り当てられたチャネルの情報(チャネル情報)およびアドレスの情報(アドレス情報)を記憶する。
【0057】
通信用情報送信部312は、記憶部311に記憶されたデータ収集装置12-1のチャネル情報およびアドレス情報を含む通信用情報を無線送信機11-1に送信する。ここで、通信用情報送信部312は、任意のタイミングで、通信用情報を無線送信機11-1に送信してもよい。通信用情報送信部312は、一例として、所定の期間ごとのタイミング(一定周期のタイミング)で、通信用情報を無線送信機11-1に送信してもよい。通信用情報送信部312は、他の例として、データ収集装置12-1と無線送信機11-1とが初期に接続されたときのタイミングで、通信用情報を無線送信機11-1に送信してもよい。通信用情報送信部312は、他の例として、記憶部311に記憶される通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)が変更されたときのタイミングで、通信用情報を無線送信機11-1に送信してもよい。
【0058】
無線通信部313は、アンテナを用いて、無線により通信する機能を有する。
データ無線送受信部331は、端末装置13-1から無線により送信された信号を受信し、当該信号に含まれる環境データを取得する。この場合、データ無線送受信部331は、端末装置13-1~13-2から無線により到来する信号に自装置(本例では、データ収集装置12-1)のアドレス情報が含まれるときに、その信号が自装置に宛てられた信号であると判定して、その信号に含まれる環境データを取得する。また、データ無線送受信部331は、端末装置13-1から無線により送信された信号を受信したことに応じて、ACKの信号を当該端末装置13-1に無線により送信する。
データ無線送受信部331は、受信信号から取得された環境データを記憶部311に記憶する。これにより、データ収集装置12-1は、環境データを収集する。
【0059】
ここで、データ無線送受信部331は、通信中の端末装置13-1~13-2のアドレス情報を一時的に記憶部212に記憶して保持し、当該アドレス情報を使用して通信中の当該端末装置13-1~13-2との間で無線通信を行う。
【0060】
また、本実施形態では、データ無線送受信部331は、端末装置13-1~13-2と無線により通信する場合、事前にキャリアセンスの処理を実行して、データ収集装置12-1に割り当てられた周波数が他の装置により使用されていない(つまり、当該周波数が空いている)ことを判定したことに応じて、端末装置13-1~13-2との無線通信を開始する。データ無線送受信部331は、該当する周波数が他の装置により使用されている(つまり、当該周波数が空いていない)ことを判定したときには、当該周波数が空くまで待機する。
【0061】
収集データ送信部314は、記憶部311に記憶された環境データを含む信号を、ネットワーク21を介して、データ蓄積装置31に送信する。
ここで、収集データ送信部314により環境データを送信するタイミングとしては、任意のタイミングが用いられてもよく、例えば、所定の期間ごとのタイミング(一定周期のタイミング)で環境データを送信する。この場合、収集データ送信部314は、前回に環境データを送信したときから現在までに記憶部311に記憶された環境データを、今回、送信する。つまり、データ無線送受信部331により取得された環境データは、順次、記憶部311に記憶され、収集データ送信部314は、所定の期間ごとのタイミングで、未送信分の環境データを送信する。
【0062】
[ネットワークおよびデータ蓄積装置の概要]
ネットワーク21は、任意のネットワークであってもよい。
データ蓄積装置31は、それぞれのデータ収集装置12-1~12-2から送信された信号を、ネットワーク21を介して、受信する。そして、データ蓄積装置31は、受信された信号に含まれる環境データを、データ蓄積装置31の記憶部に記憶する。当該記憶部は、例えば、データベースであってもよい。
これにより、データ蓄積装置31は、複数のデータ収集装置12-1~12-2により収集された環境データをまとめて蓄積する。
【0063】
[通信システムにおいて行われる動作の概要]
図5は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係る通信システム1において行われる処理の手順の一例を示すタイミングチャートである。
図5には、端末装置13-1と、無線送信機11-1と、データ収集装置12-1と、無線送信機11-2と、データ収集装置12-2を示してある。
なお、図5に示されるタイミングチャートは、処理のタイミングの一例を示すものであり、他のタイミングが用いられてもよい。
【0064】
(処理T1)
端末装置13-1では、無線送信機11-1~11-2からの通知信号を受信するために使用される無線通信のチャネルを設定する。
(処理T11)
無線送信機11-1は、例えば、通知信号を繰り返して無線により送信している。端末装置13-1では、無線送信機11-1から無線により送信された通知信号を受信する。
(処理T21)
無線送信機11-2は、例えば、通知信号を繰り返して無線により送信している。端末装置13-1では、無線送信機11-2から無線により送信された通知信号を受信する。
【0065】
(処理T2)
端末装置13-1では、受信された複数の通知信号のなかで受信強度が最大である1個の通知信号を選択し、選択された通知信号に含まれる通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)を設定する。本例では、端末装置13-1では、無線送信機11-1からの通知信号を選択し、データ収集装置12-1と無線により通信するために使用される通信用情報を設定する。
(処理T3)
端末装置13-1では、設定された通信用情報を使用して、環境データをデータ収集装置12-1に無線により送信する。
(処理T31)
データ収集装置12-1では、端末装置13-1から送信された環境データを受信したことに応じて、ACKの信号を当該端末装置13-1に無線により送信する。
(処理T32)
データ収集装置12-1では、端末装置13-1から受信された環境データを、ネットワーク21を介して、データ蓄積装置31に送信する。
【0066】
図6は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係る端末装置13-1において行われる処理の手順の一例を示すフローチャートである。
(ステップS1)
端末装置13-1では、無線送信機11-1~11-2からの通知信号を受信するために使用される無線通信のチャネルを設定する。
(ステップS2)
端末装置13-1では、無線送信機11-1~11-2から無線により送信された通知信号を受信する。
(ステップS3)
端末装置13-1では、受信された1個以上の通知信号に基づいて、1個の通知信号に含まれる通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)を設定する。
(ステップS4)
端末装置13-1では、設定された通信用情報を使用して、当該通信用情報に対応するデータ収集装置12-1~12-2に対して、環境データを無線により送信する。
(ステップS5)
端末装置13-1では、環境データを受信したデータ収集装置12-1~12-2から無線により送信されたACKの信号を受信する。
【0067】
[第1実施形態のまとめ]
以上に説明したように、本実施形態に係る通信システム1では、無線送信機11-1~11-2から通知信号を無線により送信するチャネルとして、端末装置13-1~13-2とデータ収集装置12-1~12-2との無線通信のチャネルとは異なるチャネルを使用する。無線送信機11-1~11-2は、自装置(当該無線送信機11-1~11-2)に対応したデータ収集装置12-1~12-2の通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)を記憶し、当該通信用情報を通知信号に含めて無線により送信する。通知信号を受信した端末装置13-1~13-2は、当該通知信号に含まれる通信用情報を使用して環境データを無線により送信する。これにより、端末装置13-1~13-2は、例えば、データ収集装置12-1~12-2のアドレス情報またはチャネル情報が不明である場合、あるいは、複数のデータ収集装置12-1~12-2が存在する場合においても、無線送信機11-1~11-2からの通信用情報に基づいて、特定のデータ収集装置12-1~12-2との無線通信を確立することができる。
【0068】
それぞれの無線送信機11-1~11-2は、当該それぞれの無線送信機11-1~11-2に対応したデータ収集装置12-1~12-2に対して、例えば、隣接した位置に配置されている。他の例として、それぞれの無線送信機11-1~11-2は、当該それぞれの無線送信機11-1~11-2に対応したデータ収集装置12-1と一体化されてもよい。
それぞれの端末装置13-1~13-2は、複数の無線送信機11-1~11-2からの通知信号を受信した場合には、これら複数の通知信号の受信信号強度(例えば、RSSI)を比較して、最も大きいRSSIの通知信号を選択することで、最寄りのデータ収集装置12-1~12-2と選択的に通信することができる。
このようにRSSIの大きさを比較して無線送信機11-1~11-2を選択する手法は、例えば、データ収集装置12-1~12-2の故障が発生した際においても、データ収集装置12-1~12-2の迅速な切り替えに役立つように応用することが可能であり、メリットがある。
【0069】
本実施形態に係る通信システム1では、通知信号のチャネルとデータ通信のチャネルとで異なるチャネルを使用することからトラフィックが改善する。また、本実施形態に係る通信システム1では、例えば、互いのアドレスを指定するアドレスフィルタリングを用いた通信を行うことで混線対策になる。これらにより、本実施形態に係る通信システム1では、通信が安定し、高品質な通信を実現することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る通信システム1では、無線送信機11-1~11-2がPAN
IDを使用して通知信号をマルチキャストで送信することで、同じPAN IDが設定された端末装置13-1~13-2だけが当該通知信号を受信し、かつ、当該端末装置13-1~13-2は、設定されたPAN IDを含まない通知信号を受信しない。本実施形態に係る通信システム1では、このようなアドレスフィルタリングにより、他のシステムにおける通信データあるいはノイズを受信することなく、通信がさらに安定する。
【0071】
また、本実施形態では、それぞれの無線送信機11-1~11-2と、当該それぞれの無線送信機11-1~11-2に対応するデータ収集装置12-1~12-2とが、インタフェースを介して直接接続されている。これにより、当該無線送信機11-1~11-2と当該データ収集装置12-1~12-2とが直接通信することが可能であり、これらにおいて、当該データ収集装置12-1~12-2のアドレス情報およびチャネル情報を共有することができる。この場合、無線送信機11-1~11-2の記憶部111には、必ずしも、あらかじめ通信用情報が記憶されなくてもよく、また、無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2とをあらかじめ紐付ける(関係付ける)作業を不要とすることが可能である。つまり、例えば、無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2とを接続することで、これらを紐付けることが可能である。これにより、メンテナンス性も向上する。
【0072】
本実施形態に係る通信システム1では、無線送信機11-1~11-2からの通知信号に含まれる識別情報、データ収集装置12-1~12-2の通信用情報に含まれるアドレス情報、データ収集装置12-1~12-2の通信用情報に含まれるチャネル情報のうちの1以上に基づいて、エリアを特定することが可能である。
例えば、本実施形態に係る通信システム1では、さらに、端末装置13-1~13-2が存在するエリアを特定するエリア特定部を備えてもよい。当該エリア特定部は、例えば、通知信号に含まれる識別情報に基づいてそれに対応付けられたエリアを特定することが可能であり、つまり、端末装置13-1~13-2により受信された通知信号の送信元の無線送信機11-1~11-2に基づいて、端末装置13-1~13-2が存在するエリアを特定することが可能である。また、当該エリア特定部は、例えば、通信用情報に含まれるアドレス情報あるいはチャネル情報に基づいてそれに対応付けられたエリアを特定することが可能であり、つまり、端末装置13-1~13-2により環境データを含む信号を送信する送信先のデータ収集装置12-1~12-2に基づいて、端末装置13-1~13-2が存在するエリアを特定することが可能である。なお、当該エリア特定部は、通信システム1における任意のところに備えられてもよく、例えば、端末装置13-1~13-2、データ収集装置12-1~12-2、データ蓄積装置31、あるいは、ネットワーク21に接続される他の装置のうちの1以上に備えられてもよい。エリア特定部が端末装置13-1~13-2に備えられる場合、例えば、エリアと所定の情報(識別情報、アドレス情報、あるいは、チャネル情報)との対応を記憶しておいて、当該所定の情報に応じたエリアを特定する。また、エリア特定部がデータ収集装置12-1~12-2に備えられる場合、例えば、自装置(当該データ収集装置12-1~12-2)に対応するエリアを記憶しておいて、当該エリアを特定する。また、エリア特定部がデータ蓄積装置31などの装置(端末装置13-1~13-2やデータ収集装置12-1~12-2以外の装置)に備えられる場合、例えば、端末装置13-1~13-2あるいはデータ収集装置12-1~12-2からエリアを特定することが可能な情報(例えば、前記した識別情報、アドレス情報あるいはチャネル情報など)を受信し、当該情報に基づいてエリアを特定する。
なお、本実施形態に係る通信システム1では、例えば、複数のデータ収集装置12-1~12-2の間では、通信は行われず、情報の共有は行われない。
【0073】
本実施形態では、端末装置13-1~13-2とデータ収集装置12-1~12-2との無線通信において、無線送信機11-1~11-2からの通知信号を使用した制御が行われるP2P型のトポロジー(スター型のトポロジー)が用いられている。
そして、本実施形態では、端末装置13-1~13-2が主導となってデータ収集装置12-1~12-2に環境データを無線により送信する処理を開始するため、ポーリングを不要とすることができる。
それぞれのデータ収集装置12-1~12-2では、例えば、ポーリングを行わずに、複数の端末装置13-1~13-2と無線通信することが可能である。ここで、本実施形態では、1個のデータ収集装置12-1~12-2と複数の端末装置13-1~13-2とが無線通信する場合、これら複数の端末装置13-1~13-2は、当該データ収集装置12-1~12-2に対応する無線送信機11-1~11-2から通知信号を受信した順番に、当該データ収集装置12-1~12-2と無線通信する。このため、本実施形態では、ポーリングのように当該データ収集装置12-1~12-2により決められた順番で複数の端末装置13-1~13-2との無線通信が行われるとは限らないが、当該データ収集装置12-1~12-2は非同期で複数の端末装置13-1~13-2と無線通信することが可能である。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る通信システム1では、無線送信機11-1~11-2から送信される通知信号を使用することで、端末装置13-1~13-2の通信相手として、複数のデータ収集装置12-1~12-2を容易に切り替えることができる。これにより、例えば、複数の端末装置13-1~13-2と複数のデータ収集装置12-1~12-2を有する通信システム1において、端末装置13-1~13-2とデータ収集装置12-1~12-2との間で、安定した高品質のデータ通信を実現することができる。さらに、本実施形態に係る通信システム1では、アドレスフィルタリングを使用することや、通知信号のチャネルとデータ通信のチャネルとを異ならせることで、通信の安定化や高品質化をさらに図ることができる。
【0075】
なお、n(nは2以上の整数を表す。)個のデータ収集装置を備える場合には、例えば、第i(iは1~nの整数を表す。)のデータ収集装置に対応する無線送信機が、当該データ収集装置に関する通信用情報を含む通知信号を所定のチャネルで常に無線で発信する。そして、端末装置は、例えば、当該所定のチャネルの電波を周期的に受信し、RSSIの回路(受信強度が強い方の無線電波を受け取る回路)により、受信する通知信号を選択し、選択された第m(mは1~nの整数を表す。)の通知信号に含まれる通信用情報を用いて、当該通信用情報に対応する第mのデータ収集装置と無線によりデータを通信する。
【0076】
ここで、図1の例では、無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2との組み合わせとして、2個の組み合わせを示したが、この数に限られない。他の例として、1個あるいは3個以上の任意の数の組み合わせ(無線送信機とデータ収集装置との組み合わせ)が通信システム1に備えられてもよい。
また、図1の例では、無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2とが1対1で対応する場合を示したが、この構成に限られない。他の例として、1個のデータ収集装置と複数の無線送信機とが対応してもよく、この場合、これら複数の無線送信機のそれぞれが当該1個のデータ収集装置の通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)を含む通知信号を無線により送信する。また、この場合、これら複数の無線送信機は、例えば、それぞれ、異なる位置に配置される。
また、図1の例では、2個の端末装置13-1~13-2を示したが、この数に限られない。他の例として、1個あるいは3個以上の任意の数の端末装置が通信システム1に備えられてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、端末装置13-1~13-2において、複数の無線送信機11-1~11-2からの通知信号が到来する場合には、受信強度に基づいて1個の通知信号を選択する手法が用いられるが、これに限られない。他の例として、端末装置13-1~13-2において、複数の無線送信機11-1~11-2からの通知信号が到来する場合に、最初に検出された1個の通知信号を選択する手法が用いられてもよい。
【0078】
また、通信システム1に備えられる各装置(無線送信機11-1~11-2、データ収集装置12-1~12-2、端末装置13-1~13-2、データ蓄積装置31)あるいはネットワーク21の構成としては、本実施形態の構成に限られない。
例えば、図1の例では、ネットワーク21およびデータ蓄積装置31により複数のデータ収集装置12-1~12-2から環境データを収集して蓄積するが、このようなネットワーク21およびデータ蓄積装置31は、必ずしも、備えられなくてもよい。複数のデータ収集装置12-1~12-2により収集された環境データは、任意に利用されてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、端末装置13-1~13-2からデータ収集装置12-1~12-2に無線により送信するデータとして、環境データが用いられているが、他の任意のデータが用いられてもよい。端末装置13-1~13-2では、環境データを検出することが不要である場合には、環境データ検出部211を備えなくてもよい。
【0080】
また、無線送信機11-1~11-2と端末装置13-1~13-2との間では、無線送信機11-1~11-2から無線により送信される通知信号を端末装置13-1~13-2により受信することが行われるが、他の構成例として、端末装置13-1~13-2から無線により送信される信号が無線送信機11-1~11-2(この場合、無線送信の機能と無線受信の機能を有する無線通信機)により受信される場合があってもよい。
また、本実施形態では、端末装置13-1~13-2からデータ収集装置12-1~12-2に信号を無線により送信する場合に、例えば、さらに、データ収集装置12-1~12-2から端末装置13-1~13-2にACKの信号が無線により送信される。なお、データ収集装置12-1~12-2から端末装置13-1~13-2に他の信号が無線により送信されてもよく、当該信号としては、例えば、端末装置13-1~13-2に対して動作の指示を与える信号(本実施形態において、「動作指示信号」ともいう。)が用いられてもよい。当該動作指示信号は、例えば、端末装置13-1~13-2に対してスリープ状態へ移行する動作を指示する信号であってもよく、あるいは、端末装置13-1~13-2に対して環境データの送信を指示(要求)する信号であってもよい。
【0081】
このように、本実施形態では、2個の装置の間で行われる無線通信では、例えば、一方向の無線通信が行われてもよく、あるいは、双方向の無線通信が行われてもよい。
また、本実施形態では、2個の装置の間で行われる通信では、例えば、通信される信号には、送信元の装置のアドレス情報と、送信先(宛先)の装置のアドレス情報が含められる。2個の装置で行われる通信において両者のアドレス情報が使用されることで、セキュリティの向上を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態では、それぞれの無線送信機11-1~11-2が自装置(当該それぞれの無線送信機11-1~11-2)の識別情報を含む信号(通知信号)を無線により送信し、当該通知信号に自装置に対応するデータ収集装置12-1~12-2の通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)が含められるが、他の構成例として、それぞれの無線送信機11-1~11-2が、自装置の識別情報を含まず、自装置に対応するデータ収集装置12-1~12-2の通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)を含む信号(通知信号)を無線により送信してもよい。
【0083】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に係る通信システム1を所在管理評価システムに適用した場合の例を示す。
【0084】
[所在管理評価システムの概要]
図7は、本発明の実施形態(第2実施形態)に係る所在管理評価システム401の概略的な構成を示すブロック図である。
所在管理評価システム401は、端末装置532を含む端末部511-1と、通知信号を無線送信する機能とデータを無線通信する機能を有する2個の無線通信装置512-1~512-2と、ネットワーク521と、エリア特定部571を備える。図7の例では、エリア特定部571はネットワーク521と接続されている。また、図7に示される端末部511-2~511-6は、端末部511-1が移動する様子を表わしており、端末部511-1と同じものである。
【0085】
また、図7の例では、倉庫などの部屋411を示してある。部屋411には仕切り412が設けられており、2個のエリア413-1、413-2が形成されている。仕切り412には開口部が設けられており、当該開口部を介して端末部511-1が一方のエリア413-1から他方のエリア413-2へ移動することが可能である。
また、図7の例では、一方のエリア413-1には仕切り412以外の壁に開口部が設けられており、当該開口部を介して端末部511-1が外部から当該一方のエリア413-1に入ることが可能である。
また、図7の例では、他方のエリア413-2には仕切り412以外の壁に開口部が設けられており、当該開口部を介して端末部511-1が当該他方のエリア413-2から外部に出ることが可能である。
また、1個の無線通信装置512-1が一方のエリア413-1に設置されており、1個の無線通信装置512-2が他方のエリア413-2に設置されている。
ネットワーク521は、部屋411の外部に配置されている。
【0086】
ここで、図7の例では、端末部511-1が外部からエリア413-1に入り、端末部511-2の位置、端末部511-3の位置に移動し、その後、エリア413-2に入り、端末部511-4の位置、端末部511-5の位置、端末部511-6の位置に移動し、その後、外部に出る様子を示してある。
【0087】
端末部511-1は、環境維持ボックス531と、端末装置532を備える。端末装置532は、アンテナ541を有する。端末装置532は、環境維持ボックス531の内部に配置されている。なお、アンテナ541は、環境維持ボックス531の外部に配置されている。
また、本実施形態では、端末装置532は、センサーノードを用いて構成されている。
当該センサーノードは、環境センサーとして、例えば、温度および湿度を検出する温湿度センサーと、自装置(端末装置532)の加速度を検出する加速度センサーを備えている。
それぞれの無線通信装置512-1~512-2は、通知信号を無線により送信するアンテナ551-1~551-2と、端末部511-1の端末装置532から無線により送信されたデータを受信するアンテナ552-1~552-2とを、別々のアンテナとして有する。他の例として、これらのアンテナ(アンテナ551-1~551-2とアンテナ552-1~552-2)として、共通のアンテナが用いられてもよい。
【0088】
ここで、図7の例における端末部511-1における端末装置532は、図1の例における端末装置13-1~13-2に対応し、すなわち、図1の例における端末装置13-1~13-2の機能と同様な機能を有する。
また、図7の例における無線通信装置512-1~512-2は、図1の例における無線送信機11-1~11-2およびデータ収集装置12-1~12-2に対応し、すなわち、図1の例における無線送信機11-1~11-2の機能と同様な機能と、図1の例におけるデータ収集装置12-1~12-2の機能と同様な機能を有する。つまり、本実施形態では、無線通信装置512-1~512-2は、図1の例における無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2とを一体化した装置である。
また、図7の例におけるネットワーク521は、図1の例におけるネットワーク21に対応し、すなわち、図1の例におけるネットワーク21の機能と同様な機能を有する。
なお、図7の例では図示していないが、さらに、図1の例におけるデータ蓄積装置31の機能と同様な機能を有する装置(データ蓄積装置)が設けられてもよい。
【0089】
[所在管理評価システムにおいて行われる動作の概要]
本実施形態に係る所在管理評価システム401では、環境維持ボックス531の内部における環境データを、当該環境維持ボックス531の内部に設置された端末装置532を用いて検出(測定)して収集し、収集された環境データを無線通信装置512-1~512-2へ無線により送信する。そして、当該環境データを無線通信装置512-1~512-2からネットワーク521に接続された装置(例えば、クラウド装置となるデータ蓄積装置)へ送信(アップロード)する。これにより、本実施形態に係る所在管理評価システム401では、環境維持ボックス531の内部における適切な環境の状態を管理することができる。
【0090】
図7の例では、端末部511-1は、環境維持ボックス531を移動させる機構によって移動しながら、端末装置532により環境維持ボックス531の内部の環境データを検出し、検出された環境データを無線通信装置512-1~512-2へ無線により送信する。
【0091】
まず、端末部511-1が外部からエリア413-1に入ると、端末装置532は、無線通信装置512-1からの通知信号および無線通信装置512-2からの通知信号を受信する。端末装置532は、これら複数の通知信号のRSSIを比較して、最も大きいRSSIであった通知信号を選択する。ここでは、端末装置532は、無線通信装置512-1からの通知信号を選択する。そして、端末装置532は、選択された通知信号に含まれる通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)に基づいて、選択された通知信号に対応した無線通信装置512-1に対してアドレス情報を指定するとともに、無線通信のチャネルを通知信号のチャネルからデータ通信のチャネルに変更して、環境データを無線により送信する。
端末装置532は、環境データの通信が終了した後に、無線通信のチャネルをデータ通信のチャネルから通知信号のチャネルに変更する。
図7の例では、端末部511-1~511-3の位置において、端末装置532は、RSSIが最大となる無線通信装置512-1と無線により通信する。
【0092】
次に、端末部511-1がエリア413-1から出てエリア413-2に入り、端末装置532は、無線通信装置512-1からの通知信号および無線通信装置512-2からの通知信号を受信する。端末装置532は、これら複数の通知信号のRSSIを比較して、最も大きいRSSIであった通知信号を選択する。ここでは、端末装置532は、無線通信装置512-2からの通知信号を選択する。そして、端末装置532は、選択された通知信号に含まれる通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)に基づいて、選択された通知信号に対応した無線通信装置512-2に対してアドレス情報を指定するとともに、無線通信のチャネルを通知信号のチャネルからデータ通信のチャネルに変更して、環境データを無線により送信する。
その後、端末部511-1は、エリア413-2から外部へ出る。
端末装置532は、環境データの通信が終了した後に、無線通信のチャネルをデータ通信のチャネルから通知信号のチャネルに変更する。
図7の例では、端末部511-4~511-6の位置において、端末装置532は、RSSIが最大となる無線通信装置512-2と無線により通信する。
【0093】
本実施形態では、端末部511-1が部屋411から出た状態では、無線通信装置512-1~512-2から無線により送信される通知信号は端末装置532には届かない構成となっている。
本実施形態では、端末装置532は、通知信号が受信されないときには、受信モード(通知信号の受信処理を行うモード)とスリープモード(スリープ状態となるモード)とを所定の期間ごとに切り替えることを繰り返して行う。これにより、省消費電力化が図られる。
【0094】
なお、本実施形態では、無線通信装置512-1のアドレス情報と無線通信装置512-2のアドレス情報とが異なっており、アドレスフィルタリングが実行されるため、例えば、無線通信装置512-1のチャネル情報と無線通信装置512-2のチャネル情報とが同じであっても、混線が防止される。
【0095】
また、本実施形態では、エリア特定部571において、端末装置532が所属する無線通信装置512-1~512-2に基づいて、当該端末装置532が存在する位置(所在)が判定される。この判定を行う機能(図7の例では、エリア特定部571の機能)は、例えば、ネットワーク521に接続された装置(例えば、クラウド装置となるデータ蓄積装置)に備えられているが、他の装置に備えられてもよい。
エリア特定部571では、例えば、端末装置532が無線通信装置512-1に所属するとき(無線通信装置512-1と無線通信するとき)には、当該端末装置532はエリア413-1に存在すると判定する。また、エリア特定部571では、端末装置532が無線通信装置512-2に所属するとき(無線通信装置512-2と無線通信するとき)には、当該端末装置532はエリア413-2に存在すると判定する。
【0096】
[第2実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態に係る所在管理評価システム401では、無線送信機の機能を有する無線通信装置512-1~512-2から送信される通知信号を使用することで、端末装置532の通信相手として、データ収集装置の機能を有する無線通信装置512-1~512-2を容易に切り替えることができる。これにより、本実施形態に係る所在管理評価システム401では、通信の安定化および高品質化を実現することができる。
【0097】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に係る通信システム1をウェハ環境モニターシステムに適用した場合の例を示す。
【0098】
[ウェハ環境モニターシステムの概要]
図8は、本発明の実施形態(第3実施形態)に係るウェハ環境モニターシステム601の概略的な構成を示すブロック図である。
ウェハ環境モニターシステム601は、複数の端末装置711-1~711-6と、通知信号を無線送信する機能とデータを無線通信する機能を有する2個の無線通信装置741-1~741-2と、ネットワーク751を備える。
また、ウェハ環境モニターシステム601は、ストッカー611と、半導体装置621およびロードポート622と、半導体装置631およびロードポート632と、バッファステーション641と、搬送レール651および把持部652-1~652-3を備える。
また、ウェハ環境モニターシステム601では、ウェハポッド712-1~712-6を処理する。
【0099】
本実施形態では、それぞれのウェハポッド712-1~712-6ごとに、1個の端末装置711-1~711-6が付加される。
図8の例では、それぞれのウェハポッド712-1~712-6の底面(重力が向かう下側の面)に、それぞれの端末装置711-1~711-6が付加されている。
それぞれのウェハポッド712-1~712-6は、所定の複数枚(例えば、25枚)のウェハを収容する容器であり、当該容器の外部に存在する埃などから当該ウェハを保護する。
【0100】
ストッカー611は、複数の領域を有しており、それぞれの領域に非接触給電部721-1~721-2を備えている。
それぞれの非接触給電部721-1~721-2は、端末装置711-1~711-6に対して非接触で電力を給電する。
図8の例では、ストッカー611において、1個の領域に設けられた非接触給電部721-1の上側に、1個の端末装置711-1が載置されており、当該端末装置711-1は1個のウェハポッド712-1の下側に付加されている。また、他の1個の領域に設けられた非接触給電部721-2の上側に、1個の端末装置711-2が載置されており、当該端末装置711-2は1個のウェハポッド712-2の下側に付加されている。
【0101】
半導体装置621は、ウェハポッド712-1~712-6に収容されるウェハを処理する装置である。
ロードポート622は、半導体装置621と外部との間でウェハポッド712-1~712-6の出し入れを行う。
ロードポート622の外部に、非接触給電部721-3が備えられている。図8の例では、当該非接触給電部721-3の上側に、1個の端末装置711-3が載置されており、当該端末装置711-2は1個のウェハポッド712-3の下側に付加されている。
【0102】
半導体装置631は、ウェハポッド712-1~712-6に収容されるウェハを処理する装置である。
ロードポート632は、半導体装置631と外部との間でウェハポッド712-1~712-6の出し入れを行う。
ロードポート632の外部に、非接触給電部721-4が備えられている。図8の例では、当該非接触給電部721-4の上側に、1個の端末装置711-4が載置されており、当該端末装置711-4は1個のウェハポッド712-4の下側に付加されている。
【0103】
バッファステーション641は、非接触給電部721-5を備えている。図8の例では、当該非接触給電部721-5の上側に、1個の端末装置711-5が載置されており、当該端末装置711-5は1個のウェハポッド712-5の下側に付加されている。
搬送レール651は、ウェハポッド712-1~712-6を搬送するレールである。
搬送レール651に設けられたそれぞれの把持部652-1~652-3によりウェハポッド712-1~712-6を把持した状態で、当該把持部652-1~652-3を搬送レール651に沿って移動させることで、当該ウェハポッド712-1~712-6を移動させる。図8の例では、把持部652-2により、端末装置711-6が付加されたウェハポッド712-6が把持されて搬送されている。当該端末装置711-6は当該ウェハポッド712-6の下側に付加されている。
なお、図8の例では、複数の把持部652-1~652-3を示したが、例えば、搬送レール651に1個の把持部のみが備えられてもよい。
【0104】
それぞれの端末装置711-1~711-6は、アンテナ(図示せず)を有している。
また、それぞれの端末装置711-1~711-6は、外部の非接触給電部721-1~721-5から非接触で電力の供給を受けることが可能である。
なお、それぞれの端末装置711-1~711-6およびそれぞれの非接触給電部721-1~721-5は、例えば、非接触で電力を伝送するために使用される専用のアンテナを備えてもよい。
【0105】
本実施形態では、それぞれの端末装置711-1~711-6は、センサーノードを用いて構成されている。当該センサーノードは、環境センサーとして、例えば、温度および湿度を検出する温湿度センサーと、自装置(端末装置711-1~711-6)の加速度を検出する加速度センサーを備えている。本実施形態では、加速度センサーにより、ウェハにかかった衝撃の程度を検出することが可能である。
それぞれの無線通信装置741-1~741-2は、通知信号を無線により送信するアンテナ761-1~761-2と、端末装置711-1~711-6から無線により送信されたデータを受信するアンテナ762-1~762-2とを、別々のアンテナとして有する。他の例として、これらのアンテナ(アンテナ761-1~761-2とアンテナ762-1~762-2)として、共通のアンテナが用いられてもよい。
【0106】
ここで、図8の例における端末装置711-1~711-6は、図1の例における端末装置13-1~13-2に対応し、すなわち、図1の例における端末装置13-1~13-2の機能と同様な機能を有する。
また、図8の例における無線通信装置741-1~741-2は、図1の例における無線送信機11-1~11-2およびデータ収集装置12-1~12-2に対応し、すなわち、図1の例における無線送信機11-1~11-2の機能と同様な機能と、図1の例におけるデータ収集装置12-1~12-2の機能と同様な機能を有する。つまり、本実施形態では、無線通信装置741-1~741-2は、図1の例における無線送信機11-1~11-2とデータ収集装置12-1~12-2とを一体化した装置である。
また、図8の例におけるネットワーク751は、図1の例におけるネットワーク21に対応し、すなわち、図1の例におけるネットワーク21の機能と同様な機能を有する。
なお、図8の例では図示していないが、さらに、図1の例におけるデータ蓄積装置31の機能と同様な機能を有する装置(データ蓄積装置)が設けられてもよい。
【0107】
[ウェハ環境モニターシステムにおいて行われる動作の概要]
本実施形態に係るウェハ環境モニターシステム601では、ウェハポッド712-1~712-6の環境データを、当該ウェハポッド712-1~712-6に付加された端末装置711-1~711-6を用いて検出(測定)して収集し、収集された環境データを無線通信装置741-1~741-2へ無線により送信する。そして、当該環境データを無線通信装置741-1~741-2からネットワーク751に接続された装置(例えば、クラウド装置となるデータ蓄積装置)へ送信(アップロード)する。これにより、本実施形態に係るウェハ環境モニターシステム601では、それぞれのウェハポッド712-1~712-6における適切な環境の状態を管理することができる。
【0108】
図8の例では、端末装置711-1~711-6は、非接触給電部721-1~721-5のところに配置されている状態では、当該非接触給電部721-1~721-5から非接触で給電される電力により充電する。また、端末装置711-1~711-6は、非接触給電部721-1~721-5のところに配置されていない状態では、充電された電力を使用し、例えば、把持部652-1~652-3により把持されて搬送されるときには、充電された電力を使用(消費)する。
【0109】
図8の例では、ウェハポッド712-6に付加された端末装置711-6は、把持部652-2により把持されて移動させられながら、環境データを検出し、検出された環境データを無線通信装置741-1~741-2へ無線により送信する。
ここでは、当該把持部652-2が、2個の無線通信装置741-1~741-2について、一方の無線通信装置741-1に近い位置から他方の無線通信装置741-2に近い位置へ移動させられる場合について説明する。
【0110】
まず、端末装置711-6は、無線通信装置741-1の近くに存在するときに、無線通信装置741-1からの通知信号および無線通信装置741-2からの通知信号を受信する。端末装置711-6は、これら複数の通知信号のRSSIを比較して、最も大きいRSSIであった通知信号を選択する。ここでは、端末装置711-6は、無線通信装置741-1からの通知信号を選択する。そして、端末装置711-6は、選択された通知信号に含まれる通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)に基づいて、選択された通知信号に対応した無線通信装置741-1に対してアドレス情報を指定するとともに、無線通信のチャネルを通知信号のチャネルからデータ通信のチャネルに変更して、環境データを無線により送信する。
端末装置711-6は、環境データの通信が終了した後に、無線通信のチャネルをデータ通信のチャネルから通知信号のチャネルに変更する。
【0111】
次に、端末装置711-6は、無線通信装置741-2の近くに移動させられて、無線通信装置741-1からの通知信号および無線通信装置741-2からの通知信号を受信する。端末装置711-6は、これら複数の通知信号のRSSIを比較して、最も大きいRSSIであった通知信号を選択する。ここでは、端末装置711-6は、無線通信装置741-2からの通知信号を選択する。そして、端末装置711-6は、選択された通知信号に含まれる通信用情報(アドレス情報およびチャネル情報)に基づいて、選択された通知信号に対応した無線通信装置741-2に対してアドレス情報を指定するとともに、無線通信のチャネルを通知信号のチャネルからデータ通信のチャネルに変更して、環境データを無線により送信する。
端末装置711-6は、環境データの通信が終了した後に、無線通信のチャネルをデータ通信のチャネルから通知信号のチャネルに変更する。
【0112】
図8の例では、端末装置711-1~711-3の位置において、当該端末装置711-1~711-3は、RSSIが最大となる無線通信装置741-1と無線により通信する。
図8の例では、端末装置711-4~711-6の位置において、当該端末装置711-4~711-6は、RSSIが最大となる無線通信装置741-2と無線により通信する。
【0113】
なお、本実施形態では、無線通信装置741-1のアドレス情報と無線通信装置741-2のアドレス情報とが異なっており、アドレスフィルタリングが実行されるため、例えば、無線通信装置741-1のチャネル情報と無線通信装置741-2のチャネル情報とが同じであっても、混線が防止される。
また、本実施形態では、端末装置711-1~711-6が所属する無線通信装置741-1~741-2に基づいて、当該端末装置711-1~711-6が存在する位置(所在)が判定される。この判定を行う機能は、例えば、ネットワーク751に接続された装置(例えば、クラウド装置となるデータ蓄積装置)に備えられてもよい。
【0114】
[第3実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態に係るウェハ環境モニターシステム601では、無線送信機の機能を有する無線通信装置741-1~741-2から送信される通知信号を使用することで、端末装置711-1~711-6の通信相手として、データ収集装置の機能を有する無線通信装置741-1~741-2を容易に切り替えることができる。これにより、本実施形態に係るウェハ環境モニターシステム601では、通信の安定化および高品質化を実現することができる。
【0115】
(以上の実施形態のまとめ)
一構成例として、通信システム(図1の例では通信システム1、図7の例では所在管理評価システム401、図8の例ではウェハ環境モニターシステム601)では、移動可能な端末装置(図1の例では端末装置13-1~13-2、図7の例では端末装置532、図8の例では端末装置711-1~711-6)と、データ収集装置(図1の例ではデータ収集装置12-1~12-2、図7の例では無線通信装置512-1~512-2が有する該当する機能部、図8の例では無線通信装置741-1~741-2が有する該当する機能部)と、データ収集装置に対応する無線送信機(図1の例では無線送信機11-1~11-2、図7の例では無線通信装置512-1~512-2が有する該当する機能部、図8の例では無線通信装置741-1~741-2が有する該当する機能部)を有する。無線送信機は、データ収集装置のアドレスの情報(アドレス情報)およびデータ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報(チャネル情報)を含む第1の信号(実施形態では、通知信号)を、第1のチャネルとは異なる第2のチャネル(通知信号のチャネル)を使用して、無線により送信する。端末装置は、第1の信号を受信し、受信された第1の信号に含まれるアドレスの情報および第1のチャネルの情報に基づいて、データ(実施形態では、環境データ)を含む第2の信号を、第1のチャネルを使用して、無線により送信する。データ収集装置は、端末装置から無線により送信された第2の信号を受信し、受信された第2の信号に含まれるデータを収集する。
【0116】
一構成例として、通信システムにおいて、複数のデータ収集装置を有し、それぞれのデータ収集装置ごとに対応する1以上の無線送信機を有する。
一構成例として、通信システムにおいて、端末装置は、複数の第1の信号を受信した場合、受信強度(実施形態では、RSSI)が最大である1個の第1の信号を選択する。
一構成例として、通信システムにおいて、データ蓄積装置(図1の例ではデータ蓄積装置31)を有する。それぞれのデータ収集装置は、収集されたデータをデータ蓄積装置に送信する。データ蓄積装置は、複数のデータ収集装置から送信されたデータを受信して蓄積する。
一構成例として、通信システムにおいて、互いに対応するデータ収集装置と無線送信機とは、近傍に配置される、あるいは、一体化される。
一構成例として、通信システムにおいて、端末装置により受信された第1の信号の送信元の無線送信機、あるいは、端末装置により第2の信号を送信する送信先のデータ収集装置に基づいて、端末装置が存在するエリアを特定するエリア特定部(図7の例ではエリア特定部571)を備える。
【0117】
また、以上のような通信システムと同様な要旨を有する他のカテゴリーのものが実施されてもよい。
一構成例として、移動可能な端末装置と、データ収集装置と、データ収集装置に対応する無線送信機を有する通信システムにおける通信方法であって、無線送信機は、データ収集装置のアドレスの情報およびデータ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して、無線により送信し、端末装置は、第1の信号を受信し、受信された第1の信号に含まれるアドレスの情報および第1のチャネルの情報に基づいて、データを含む第2の信号を、第1のチャネルを使用して、無線により送信し、データ収集装置は、端末装置から無線により送信された第2の信号を受信し、受信された第2の信号に含まれるデータを収集する、通信方法(図1の例では通信システム1において行われる通信の方法、図7の例では所在管理評価システム401において行われる通信の方法、図8の例ではウェハ環境モニターシステム601において行われる通信の方法)である。
一構成例として、移動可能な端末装置であって、データ収集装置のアドレスの情報およびデータ収集装置により使用される無線通信の第1のチャネルの情報を含む第1の信号を、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを使用して、無線により送信する無線送信機から無線により送信された第1の信号を受信し、受信された第1の信号に含まれるアドレスの情報および第1のチャネルの情報に基づいて、データを含む第2の信号を、第1のチャネルを使用して、無線により送信する、端末装置(図1の例では端末装置13-1~13-2、図7の例では端末装置532、図8の例では端末装置711-1~711-6)である。
【0118】
以上に示した実施形態に係る各装置(例えば、無線送信機11-1~11-2、データ収集装置12-1~12-2、端末装置13-1~13-2、532、711-1~711-6、無線通信装置512-1~512-2、741-1~741-2など)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体(記憶媒体)に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0119】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1…通信システム、11-1~11-2…無線送信機、12-1~12-2…データ収集装置、13-1~13-2、532、711-1~711-6…端末装置、21、521、751…ネットワーク、31…データ蓄積装置、111、212、311…記憶部、112…通信用情報受信部、113…通信用情報無線送信部、211…環境データ検出部、213…通信用情報設定部、214、313…無線通信部、231…通信用情報無線受信部、232、331…データ無線送受信部、312…通信用情報送信部、314…収集データ送信部、401…所在管理評価システム、411…部屋、412…仕切り、413-1~413-2…エリア、511-1~511-6…端末部、512-1~512-2、741-1~741-2…無線通信装置、531…環境維持ボックス、541、551-1~551-2、552-1~552-2、761-1~761-2、762-1~762-2…アンテナ、571…エリア特定部、601…ウェハ環境モニターシステム、611…ストッカー、621、631…半導体装置、622、632…ロードポート、641…バッファステーション、651…搬送レール、652-1~652-3…把持部、712-1~712-6…ウェハポッド、721-1~721-5…非接触給電部
図1
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図7
図8