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特許7000832つる植物の登攀材及びこれを備える緑化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】つる植物の登攀材及びこれを備える緑化装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20220112BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20220112BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20220112BHJP
   A01G 22/00 20180101ALI20220112BHJP
【FI】
A01G9/12 A
A01G7/00 601A
A01G9/02 103R
A01G22/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017237998
(22)【出願日】2017-12-12
(65)【公開番号】P2019103445
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】江木 和泉
(72)【発明者】
【氏名】小畠 正至
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-24502(JP,A)
【文献】登録実用新案第3143858(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0313472(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
A01G 7/00
A01G 9/00 - 9/02
A01G 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つる植物を登攀自在に略鉛直方向に配置された、つる植物の登攀材であって、
前記つる植物を上方に誘引できる光を発光する照明手段を前記登攀材の上部に備え、
前記登攀材は、内部に空洞を有する透明なパイプ部材からなり、
前記照明手段は、前記パイプ部材の上部の内部に配置された一つ以上の白色のLEDを含んでいる、つる植物の登攀材。
【請求項2】
前記パイプ部材は、合成樹脂管からなる、請求項1記載のつる植物の登攀材。
【請求項3】
前記照明手段は、前記パイプ部材の上部の内部に配置され、色相の異なる複数の有彩色のLEDを含んでいる、請求項1又は2記載のつる植物の登攀材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のつる植物の登攀材を略水平方向に連設した緑化柵を自立した緑化装置であって、
つる植物を植栽した一つ以上のプランターを上部から収容自在な直方体状のプランター収容箱と、
前記プランター収容箱を搭載自在に複数の金属部材を長方形状に枠組みした台座を有し、前記プランター収容箱の両端部を貫通自在な一対の管状部材を略平行に前記台座の両端部から立設した架台と、を備え、
前記緑化柵は、下部側を前記管状部材に挿入自在に対向配置した一対の支柱部材と、
略水平方向に配置され、一対の前記支柱部材の上部側を接合した一つ以上のバー部材と、
中央部を前記バー部材に接合し、両端部を前記登攀材の外面に接合し、略水平方向に配置した複数の補助部材と、を有している、緑化装置。
【請求項5】
平面視において、複数の前記登攀材を千鳥状に配列している、請求項4記載の緑化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つる植物の登攀材及びこれを備える緑化装置に関する。特に、プランターなどに植栽したつる植物を登攀させた登攀材及びこれを備える緑化装置であって、人工光源を用いて、つる植物を積極的に誘引すると共に、室内装飾性に優れた、つる植物の登攀材及びこれを備える緑化装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、建物の外壁に植物を植える壁面緑化がヒートアイランド現象の緩和及び省エネルギー化に役立つとして、注目されている。壁面緑化には、登攀式、下垂式、補助材式、又は、ユニット式などの様々な工法が提案又は実施されている。
【0003】
登攀式壁面緑化工法は、壁面などに付着自在な付着根を有するつる植物を壁面に自立登攀させることで、建物の壁面を緑化できる。登攀式壁面緑化工法は、低コストで緑化できるメリットを有しているが、付着根を有する付着性植物に限定されるという制約がある。
【0004】
下垂式壁面緑化工法は、屋上又はベランダに設置したプランターから植物を壁面に沿って垂らすことで、建物の壁面を緑化できる。補助材式壁面緑化工法は、ワイヤーなどの補助材を用いて、つる植物を登攀又は下垂させることで、建物の壁面を緑化できる。ユニット式壁面緑化工法は、つる植物を誘引・巻付け自在なユニットを用いて、建物の壁面を緑化できる。
【0005】
一方、プランターに植栽したつる植物を登攀させた緑化柵を形成した緑化装置であって、緑化柵を建物の内部の日除け又は仕切り(パーテーション)として利用することで、直射日光から建物の内部を遮蔽すると共に、建物の内部の景観を向上できる移動式の緑化装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一般に、植物は、光をエネルギー源として、光合成と光形態形成の光反応により、生長することが知られている。近年では、天候、気候、害虫などの自然環境に影響されないように、人工光源を用いて、植物を育成する植物栽培装置が開発されている。そして、人工光源を用いた植物栽培装置の実用化が進展している。
【0007】
例えば、人工光源を用いて、野菜などの植物を栽培すると共に、家屋のリビング又は廊下などに配置して、栽培中の植物を観賞するのに適した、植物栽培装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-112100号公報
【文献】特開2014-11970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図10は、従来技術による植物栽培装置の構成を示す斜視図である。図11は、図10の要部を拡大した右側面図である。なお、本願の図10図11は、特許文献2の図1図2に相当している。
【0010】
図10又は図11を参照すると、従来技術による植物栽培装置9は、テーブルタイプの架台91と箱状の栽培トレイ92を備えている。又、植物栽培装置9は、栽培プレート93、照明装置94、及び、傾斜板95を備えている。
【0011】
図10又は図11を参照すると、架台91は、平坦な天板91tと四本の支持脚91fを連結して骨組みしている。又、架台91は、棚板91sを中間部に取り付けている。更に、架台91は、背面板91bを背面に取り付けている。背面板91bは、天板91tと棚板91sの間に配置されている。
【0012】
図10又は図11を参照すると、栽培トレイ92は、棚板91sに載置されている。栽培トレイ92は、架台91の前面から出し入れできる。栽培トレイ92は、水耕栽培用のプランター92aと循環ポンプ92bを内部に配置している。プランター92aは、液肥を内部に収容している。循環ポンプ92bを駆動すると、プランター92aの底部から液肥を吸引して、プランター92aに液肥を循環できる。これにより、野菜などの植物Pbの根から養分が吸収されて稀薄化した液肥を、養分が濃い液肥としてプランター92aに循環できる。
【0013】
図11を参照すると、栽培プレート93は、栽培トレイ92の上面開口を封鎖すると共に、下り傾斜した状態で配置されている。又、図10を参照すると、栽培プレート93は、プランター92aと対向する位置に、複数の円形開口93hを開口している。これらの円形開口93hに、例えばウレタンスポンジ93sを取り付けて、野菜などの植物Pbを植栽することで、植物Pbの根をプランター92aの内部の液肥に浸漬できる。
【0014】
図11を参照すると、照明装置94は、複数の発光ダイオード94d、プリント基板94p、及び、放熱板94hを備えている。複数の発光ダイオード94dは、プリント基板94pの一方の面に実装している。発光ダイオード94dは、野菜などの植物Pbを栽培するに適した波長の光を植物Pbに向かって出射できる。
【0015】
図11を参照すると、放熱板94hは、プリント基板94pの他方の面に実装している。放熱板94hで温められた空気は、天板91tの背後側に開口した排熱口91hから大気に排出できる。
【0016】
図10又は図11を参照すると、傾斜板95は、電源951、誘虫灯952、及び、捕虫器953を上面に配置している。電源951は、照明装置94に電力を供給できる。誘虫灯952は、紫外線などを出射するランプからなり、虫を誘引できる。捕虫器953は、例えば、剥離自在な粘着シートを堆積しており、粘着シートで捕獲した虫を粘着シートごと廃棄できる。
【0017】
図10又は図11を参照すると、背面板91bは、乱反射する面を架台91の内部側に向けた反射板91rを固定している。これにより、照明装置94から出射した光を植物Pbに向けて反射できる。
【0018】
図10又は図11を参照すると、特許文献2による植物栽培装置9は、栽培プレート93が野菜などの植物Pbの取り出し側に下り傾斜しているので、植物Pbの取り出しが容易であると共に、植物Pbの取り出し側から植物Pbの生育の様子が見易く、植物Pbの取り出し側から植物Pbを好適に観賞できる、としている。
【0019】
又、図10又は図11を参照すると、特許文献2による植物栽培装置9は、植物Pbの取り出し側と反対の方向に、照明装置94の光照射面が向くように傾斜配置されているので、照明装置94から照射される光が直接に目に入ることを抑制できる、としている。
【0020】
ところで、つる植物を自然光で人手を掛けずに育成すると、つる植物が生長する過程で、つる植物同士が絡まることがある。又、つる植物を自然光で人手を掛けずに育成すると、つる植物の育成者の意図しない方向に、つる植物が生長することがある。
【0021】
このため、起立させた支柱などの登攀材に、つる植物の茎を紐などで緩やかに結束することで、つる植物を生長させたい方向に導くことができる。つまり、つる植物を生長させたい方向に誘引できる。
【0022】
しかし、つる植物の茎や枝を支柱などの登攀材に結束して、つる植物を誘引する園芸作業は、定期的に実施することが必要であるので、人手を要することなく、つる植物を誘引できるつる植物の登攀材及びこれを備える緑化装置が望まれていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0023】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、人工光源を用いて、登攀材に登攀するつる植物を誘引することで、剪定作業の頻度を低減できる、つる植物の登攀材及びこれを備える緑化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、透明な管状部材でつる植物の登攀材を構成し、一つ以上の少なくとも白色のLEDを管状部材の上部の内部に配置し、LEDを夜間の時間帯に発光させることで、人手を要することなく、LEDが発光する方向につる植物を誘引できると考え、これに基づいて、以下のような新たなつる植物の登攀材及びこれを備える緑化装置を発明するに至った。
【0025】
(1)本発明によるつる植物の登攀材は、つる植物を登攀自在に略鉛直方向に配置された、つる植物の登攀材であって、前記つる植物を上方に誘引できる光を発光する照明手段を前記登攀材の上部に備えている。
【0026】
(2)前記登攀材は、内部に空洞を有する透明なパイプ部材からなり、前記照明手段は、前記パイプ部材の上部の内部に配置された一つ以上の白色のLEDを含んでいることが好ましい。
【0027】
(3)前記パイプ部材は、合成樹脂管からなることが好ましい。
【0028】
(4)前記照明手段は、前記パイプ部材の上部の内部に配置され、色相の異なる複数の有彩色のLEDを含んでいることが好ましい。
【0029】
(5)本発明による緑化装置は、(1)から(4)のいずれかに記載のつる植物の登攀材を略水平方向に連設した緑化柵を自立した緑化装置であって、つる植物を植栽した一つ以上のプランターを上部から収容自在な直方体状のプランター収容箱と、前記プランター収容箱を搭載自在に複数の金属部材を長方形状に枠組みした台座を有し、前記プランター収容箱の両端部を貫通自在な一対の管状部材を略平行に前記台座の両端部から立設した架台と、を備え、前記緑化柵は、下部側を前記管状部材に挿入自在に対向配置した一対の支柱部材と、略水平方向に配置され、一対の前記支柱部材の上部側を接合した一つ以上のバー部材と、中央部を前記バー部材に接合し、両端部を前記登攀材の外面に接合し、略水平方向に配置した複数の補助部材と、を有している。
【0030】
(6)本発明による緑化装置は、平面視において、複数の前記登攀材を千鳥状に配列していることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるつる植物の登攀材は、透明な管状部材でつる植物の登攀材を構成し、一つ以上の少なくとも白色のLEDを管状部材の上部の内部に配置し、LEDを夜間の時間帯に発光させることで、人手を要することなく、LEDが発光する方向につる植物を誘引できる。
【0032】
本発明による緑化装置は、つる植物の登攀材を略水平方向に連設し、透明な管状部材の内部に色相の異なる複数の有彩色のLEDを配置することで、室内装飾性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の構成を示す斜視図であり、つる植物を登攀させた緑化柵をプランター収容箱に自立させた状態図である。
図2】前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の構成を示す斜視図である。
図3】前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す図であり、図3(A)は、緑化装置の平面図、図3(B)は、緑化装置の正面図である。
図4】前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の構成を示す図であり、図4(A)は、図3(B)のB-B矢視断面図、図4(B)は、緑化装置の左側面図である。
図5】前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す縦断面図であり、プランター収容箱の長手方向に沿って、緑化装置の中央部を断面で示した状態図である。
図6】前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す平面図であり、図5のF-F矢視断面図である。
図7】前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す縦断面図であり、図7(A)は、図5のE-E矢視断面図、図7(B)は、図5のD-D矢視断面図である。
図8】前記実施形態による緑化装置の構成を示す斜視分解組立図である。
図9】前記実施形態による緑化装置に備わる緑化柵の構成を示す斜視図である。
図10】従来技術による植物栽培装置の構成を示す斜視図である。
図11図10の要部を拡大した右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[つる植物の登攀材及び緑化装置の構成]
最初に、本発明の一実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の構成を説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の構成を示す斜視図であり、つる植物を登攀させた緑化柵をプランター収容箱に自立させた状態図である。図2は、前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の構成を示す斜視図である。
【0036】
図3は、前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す図であり、図3(A)は、緑化装置の平面図、図3(B)は、緑化装置の正面図である。
【0037】
図4は、前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の構成を示す図であり、図4(A)は、図3(B)のB-B矢視断面図、図4(B)は、緑化装置の左側面図である。
【0038】
図5は前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す縦断面図であり、プランター収容箱の長手方向に沿って、緑化装置の中央部を断面で示した状態図である。図6は、前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す平面図であり、図5のF-F矢視断面図である。
【0039】
図7は、第前記実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置を示す縦断面図であり、図7(A)は、図5のE-E矢視断面図、図7(B)は、図5のD-D矢視断面図である。
【0040】
図8は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す斜視分解組立図である。図9は、前記実施形態による緑化装置に備わる緑化柵の構成を示す斜視図である。
【0041】
(全体構成)
次に、本発明の一実施形態によるつる植物の登攀材及び緑化装置の全体構成を説明する。図1から図9を参照すると、本発明の一実施形態による緑化装置10は、直方体状のプランター収容箱1、架台2、及び、緑化柵3を備えている。又、緑化装置10は、複数の証明手段となる球状のLED3dを更に備えている。
【0042】
図1から図8を参照すると、プランター収容箱1は、上面を開口した収容室11rを有している(図4(B)又は図参照)。収容室11rには、二つのプランター1p・1pを収容している(図5又は図6参照)。図1から図6に示した実施形態では、二つのプランター1p・1pをプランター収容箱1の長手方向に連設している。
【0043】
図1又は図6を参照すると、プランター1pには、つる植物Pvを植栽している。実施形態では、土壌を収容した円筒状のポット11pにつる植物Pvを植栽し、複数のポット11pをプランター1pに収容している(図3(A)又は図8参照)。プランター1p及びポット11pは、市販品を使用することもできる。
【0044】
図8を参照すると、架台2は、台座21と一対の管状部材21p・21pを有している。台座21は、複数の金属部材を互いに接合して、長方形状に枠組みしている。台座21には、プランター収容箱1を搭載できる。又、一対の管状部材21p・21pは、台座21の両端部から立設している。
【0045】
図8を参照すると、一対の管状部材21p・21pは、略平行に配置されている。又、一対の管状部材21p・21pは、プランター収容箱1の両端部を貫通している(図1から図3又は図5参照)。
【0046】
図1から図3又は図5を参照すると、緑化柵3は、一対の支柱部材31p・31p、一組のバー部材31b・31b、及び、複数の棒状の第1の登攀材(以下、登攀材と略称する)31cを備えている。一対の支柱部材31p・31pは、対向配置されている。支柱部材31pは、その下端部側を管状部材21pに挿入できる。
【0047】
図1から図3又は図5を参照すると、一組のバー部材31b・31bは、それらの両端部を一対の支柱部材31p・31pの外周に溶着などで接合している。一方のバー部材31bは、一対の支柱部材31p・31pの上端部に接合している。他方のバー部材31bは、一対の支柱部材31p・31pの中間部に接合している。そして、一組のバー部材31b・31bは、略水平方向に配置されている。
【0048】
図1から図5を参照すると、登攀材31cは、棒状の補助部材31aを介して、バー部材31bに連結している。補助部材31aは、その中間部をバー部材31bに溶着などで接合している。又、補助部材31aは、その両端部を一組の登攀材31c・31cの外周に溶着などで接合している。両端部に配置された補助部材31aは、その一端部を支柱部材31pの外周に溶着などで接合している。そして、複数の登攀材31cは、略平行に略鉛直方向に配置されている。プランター1pの上方に複数の登攀材31cを配置することで、つる植物Pvを登攀材31cに登攀できる(図1参照)。
【0049】
図1から図9を参照すると、実施形態による緑化装置10は、つる植物Pvを植栽したプランター1pを収容した直方体状のプランター収容箱1と、プランター収容箱1を設置し、プランター収容箱1の両端部を貫通自在な一対の管状部材21p・21pを両端部から立設した架台2と、一対の支柱部材31p・31pを一対の管状部材21p・21pに差し込んで自立させ、つる植物Pvを登攀自在な複数の登攀材31cを有する緑化柵3と、登攀材31cの上部に配置され、つる植物Pvを上方に誘引できる光を発光する複数のLED3dと、を備え、これらのLED3dを夜間の時間帯に発光させることで、人手を要することなく、LED3dが発光する方向につる植物Pvを誘引できる。
【0050】
(登攀材の構成)
次に、実施形態による登攀材31cの構成を説明する。図1から図5及び図7又は図9を参照すると、登攀材31cは、両端部を開口し、内部に空洞を有する透明なパイプ部材で構成している。登攀材31は、アクリル樹脂などの剛体の合成樹脂管からなることが好ましい。図1又は図2及び図4又は図9を参照すると、登攀材31cは、照射手段となる複数のLED3dを上部の内部に備えている。
【0051】
図1又は図2及び図4又は図9を参照すると、LED3dは、発光デバイスを内部に有し、絶縁性を有する透明な球体で発光デバイスが封鎖されている。複数のLED3dは、リード線31rで電気的に並列接続されている。
【0052】
図1又は図2及び図4又は図9を参照すると、リード線31rの一端部には、円板状のエンドキャップ31eを取り付けている。LED3d付きリード線31rを登攀材31cの上部から内部に挿通し、エンドキャップ31eが登攀材31cの上端縁に当接することで、複数のLED3dを同軸上に配置できる。エンドキャップ31eは、登攀材31cの上端縁に接着しておくことが好ましい。登攀材31cの下端部には、リード線31rを損傷から保護するためのグロメット31gを取り付けておくことが好ましい。
【0053】
図1又は図2及び図4又は図9を参照すると、LED3dは、白色の光を発光するLEDを含むことができ、青・赤・緑の3色を混色して発光することで、太陽光に近い自然な白色光を発色できる。白色光を発色できる複数のLED3dをパイプ部材の上部の内部に配置することで、つる植物PvがLED3dに向かって生長することが期待できる。つまり、つる植物Pvを登攀材31cの上方に誘引できる。
【0054】
図1又は図2及び図4又は図9を参照すると、白色もLED3dは、奥側の全ての登攀材31cに配置しているが、手前側の登攀材31cには、赤・青・緑など色相の異なる複数の有彩色のLED3dを混在して配置してもよく、登攀材31c毎に同色のLED3dを配置することが好ましい。手前側の登攀材31cには、白色のLED3dを混在してもよく、色相の異なる複数の有彩色のLED3dを混在して登攀材31cに配置することで、緑化装置10の室内装飾性を向上できる。
【0055】
(プランター収容箱の構成)
次に、第1実施形態によるプランター収容箱1の構成を説明する。図1から図8を参照して、プランター収容箱1は、合成樹脂からなることが好ましく、合成樹脂を成形して、内部に一つ以上のプランター1pを収容自在な直方体状のプランター収容箱1を得ることができる。
【0056】
図4(A)を参照すると、プランター収容箱1は、上面から窪んだ段部11dを有している。一方、プランター1pは、外側に張り出した鍔部11fを上部に形成している(図8参照)。一対の鍔部11f・11fを段部11dに設置することで、プランター1pの底面が収容室11rの底面から所定の距離を設けて、プランター1pをプランター収容箱1に配置できる。
【0057】
図8を参照すると、プランター収容箱1は、段部11dに連通した複数の逃げ部11eを有している。対向する一対の逃げ部11e・11eに指を挿入でき、一対の鍔部11f・11fを把持することで、プランター収容箱1からプランター1pを取り出すことができる。
【0058】
図5から図8を参照すると、プランター収容箱1は、二つの仕切り板12・13を備えている。一方の仕切り板12は、一対のアリガタのレール12r・12rを両側部に形成している(図6参照)。一方、プランター収容箱1は、一対のレール12r・12rを案内する一対のアリ溝12s・12sを内壁に形成している(図8参照)。
【0059】
図5から図8を参照すると、他方の仕切り板13は、一対のアリガタのレール13r・13rを両側部に形成している(図6参照)。一方、プランター収容箱1は、一対のレール13r・13rを案内する一対のアリ溝13s・13sを内壁に形成している(図8参照)。
【0060】
図6又は図9を参照して、二つの仕切り板12・13をプランター収容箱1の内部に設置することで、プランター1pの鍔部11fを二つの仕切り板12・13の上面に設置できる。そして、プランター収容箱1に対して、プランター1pの長手方向の移動を規制できる(図5参照)。
【0061】
図5から図8を参照すると、プランター収容箱1は、水中ポンプ14p、散水管141、及び、水位計142を更に備えている。水中ポンプ14pは、プランター収容箱1の底部に設置している(図5又は図7(B)参照)。水中ポンプ14pの上方は、蓋板15で覆っている(図5又は図8参照)。
【0062】
図5から図8を参照すると、散水管141は、プランター収容箱1の長手方向に沿って、複数のプランター1pの上方に配置されている(図5参照)。散水管141は、その一端部を水中ポンプ14pに接続している。又、散水管141は、その他端部を閉塞している。更に、散水管141は、多数の散水孔を直線部の外周に開口している。
【0063】
図5又は図7を参照すると、プランター収容箱1は、培養液Cfを内部に貯留している。水中ポンプ14pを駆動すると、培養液Cfを吸引し、培養液Cfを散水管141に送出できる。そして、培養液Cfを複数のポット11pに散水できる(図3(A)又は図8参照)。又、余剰の培養液Cfは、プランター収容箱1の底部に循環される。水中ポンプ14pを駆動する時間は、例えば、1日1回5分程度とし、タイマーなどを設置して管理することもできる。
【0064】
図5又は図7を参照すると、水位計142は、一方の仕切り板12に着脱自在に固定されている。水位計142は、その末端部をプランター収容箱1の底面に近接している。水位計142は、球状のフロート14fを内部に配置している。培養液Cfの水位に対応して、フロート14fが上下方向に変位することで、培養液Cfの水位を検出できる。
【0065】
(カバー部材の構成)
図1又は図2及び図4(A)又は図8を参照すると、プランター収容箱1は、一対の逆Y字状のカバー部材16・16を更に備えている。カバー部材16は、プランター収容箱1の側面Sfに開口した逆Y字状の溝部16dに嵌合できる(図8参照)。
【0066】
図4(A)を参照すると、管状部材21pと支柱部材31pは、高さ調整ねじ16sで連結している。後述するように、高さ調整ねじ16sを操作することで、管状部材21pに対して、支柱部材31pの高さを段階的に変化できる。
【0067】
図8を参照すると、溝部16dは、垂直溝部Sdと一対の水平溝部Hd・Hdを有している。垂直溝部Sdに対して、一対の水平溝部Hd・Hdは、略直交している。プランター収容箱1の側面Sfからカバー部材16を取り外すことで、高さ調整ねじ16sを操作できる。管状部材21pに対して、支柱部材31pの高さを変化した後に、カバー部材16をプランター収容箱1の側面Sfに取り付けることで、管状部材21pを外面から覆うことができる(図1参照)。
【0068】
図1又は図2を参照すると、プランター収容箱1は、カバー部材16をプランター収容箱1の側面Sfに取り付けた状態では、管状部材21pが露出しないので、外観が優れている。又、カバー部材16をプランター収容箱1の側面Sfに取り付けた状態では、カバー部材16は、プランター収容箱1の側面Sfと略面一の状態で溝部16dに嵌合しているので、不要な突起物がなく、安全である。
【0069】
(架台の構成)
次に、第1実施形態による架台2の構成を説明する。図8を参照すると、台座21は、長尺の山形鋼からなる一対のチャンネル架211・211と短尺の山形鋼からなる一対の連結架212・212を有している。一対のチャンネル架211・211の両端部には、一対の連結架212・212の両端部を溶接などで接合している。
【0070】
図8を参照すると、台座21は、短尺の山形鋼からなる一組の中間架213・213を更に有している。一組の中間架213・213は、それらの両端部を一対のチャンネル架211・211の中間部に溶接などで接合している。一組の中間架213・213は、台座21を補強している。
【0071】
又、図8を参照すると、架台2は、台座21の四隅に四つのキャスタ2cを固定している。これにより、架台2に搭載された緑化柵3付きのプランター収容箱1を容易に移動できる。
【0072】
図8を参照すると、管状部材21pは、鋼製の角パイプからなることが好ましく、一方の端縁を連結架212の中間部に溶接などで接合している。管状部材21pの他方の端縁は、支柱部材31pを導入可能に開口している。又、管状部材21pは、プランター収容箱1の底部側から溝部16dに挿通できる。
【0073】
又、図8を参照すると、管状部材21pは、山形鋼からなる一組の斜材214・214で基端部側が補強されている。斜材214は、その一端部をチャンネル架211の端部に溶接などで接合している。又、斜材214は、その他端部を管状部材21pの211の基端部側に溶接などで接合している。
【0074】
図8を参照すると、管状部材21pは、複数の穴21hを基端部側に開口している。これらの穴21hには、高さ調整ねじ16sを挿通できる(図4(B)参照)。高さ調整ねじ16sの取り付け位置を変えることで、管状部材21pに対して、支柱部材31pの高さを段階的に変化できる。
【0075】
(緑化柵の構成)
次に、第1実施形態による緑化柵3の構成を説明する。図1から図5及び図9を参照すると、支柱部材31pは、透明なアクリル樹脂などからなる丸パイプからなることが好ましい。補助部材51a及びバー部材51bは、透明なアクリル樹脂などからなる丸棒で構成することが好ましく、補助部材51a及びバー部材51bを支柱部材51pに溶着などで接合できる。
【0076】
図9を参照すると、支柱部材31pは、複数の穴31hを基端部側に開口している。これらの穴21hには、高さ調整ねじ16sを挿通できる(図4(B)参照)。高さ調整ねじ16sの取り付け位置を変えることで、管状部材21pに対して、支柱部材31pの高さを段階的に変化できる。
【0077】
図1から図5を参照すると、登攀材31cは、透明なアクリル樹脂などからなる丸棒からなることが好ましく、プランター1pに植栽したつる植物Pvを登攀させることができる(図1参照)。登攀材31cは、その上端部にエンドキャップ31eを取り付けることが好ましく、登攀材31cの上端部に人体などの一部が接触したときに、人体を損傷から保護できる。
【0078】
図9を参照すると、登攀材51cは、透明なアクリル樹脂などからなる丸パイプで構成することが好ましく、補助部材51aを登攀材31cに溶着などで接合できる。又、登攀材31cは、プランター1pに植栽したつる植物Pvを登攀させることができる(図1参照)。登攀材31cを透明体で構成することにより、登攀材31cの内部に配置した発光ダイオード5dからつる植物Pvに向かって発光できる。
【0079】
図1又は図2及び図3(A)を参照すると、複数の登攀材31cは、平面視において、千鳥状(スタッガード)に配列している。これにより、つる植物Pvを登攀させた緑化柵3の美観を向上できる(図1参照)。
【0080】
[つる植物の登攀材及び緑化装置の作用]
次に、実施形態による登攀材31c及び緑化装置10の作用及び効果を説明する。一般に、つる植物は、自立させる丈夫な茎を有しておらず、茎は弱いが長く伸ばして他の植物などに絡みついて、上へ上へと太陽光の方向へ伸長し、少しでも光環境の良い所へ求めて光が射す方向に向かって伸びる特性があることが知られている。
【0081】
以上のようなつる植物の特性を利用して、実施形態による登攀材31cは、透明な管状部材でつる植物Pvの登攀材31cを構成し、一つ以上の少なくとも白色のLED3dを登攀材31cの上部の内部に配置し、LED3dを夜間の時間帯に発光させることで、人手を要することなく、LED3dが発光する方向につる植物を誘引できる。そして、これにより、剪定作業の頻度を低減できる。
【0082】
実施形態による緑化装置10は、つる植物Pvを植栽したプランター1pを収容した直方体状のプランター収容箱1と、プランター収容箱1を設置し、プランター収容箱1の両端部を貫通自在な一対の管状部材21p・21pを両端部から立設した架台2と、一対の支柱部材31p・31pを一対の管状部材21p・21pに差し込んで自立させ、つる植物Pvの登攀材31cを略水平方向に連設した緑化柵3と、登攀材31cの内部の上部に配置され、つる植物Pvを上方に誘引できる光を発光する複数のLED3dと、を備え、登攀材31cに登攀するつる植物Pvを積極的に誘引できる。
【0083】
図1又は図2及び図4又は図9を参照すると、複数の登攀材31cには、赤・青・緑など色相の異なる複数の有彩色のLED3dを混在して配置してもよく、登攀材31c毎に同色のLED3dを配置することが好ましい。複数の登攀材31cには、白色のLED3dを混在してもよく、色相の異なる複数の有彩色のLED3dを混在して登攀材31cに配置することで、緑化装置10の室内装飾性を向上できる。夜間において、室内をきれいな電飾で飾ることができる。
【0084】
図1を参照して、緑化装置10を建物の内部に設置することで、緑化柵3を建物の内部の日除け又は仕切りとして利用でき、直射日光から建物の内部を遮蔽すると共に、建物の内部の景観を向上できる。又、つる植物Pvを登攀させた緑化柵3を室内に設置することで、二酸化炭素をつる植物Pvが吸収でき、酸素を供給できる。
【符号の説明】
【0085】
3d LED(照明手段)
10 緑化装置
31c 登攀材
Pv つる植物
図1
図2
図3
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図6
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図10
図11