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特許7000938積層コンデンサ、電子部品装置及び積層コンデンサの実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】積層コンデンサ、電子部品装置及び積層コンデンサの実装方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220112BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20220112BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 201R
H01G2/02 101E
H01G4/38 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018052696
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019165143
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢也
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-035312(JP,A)
【文献】特開2011-049251(JP,A)
【文献】特開2008-251931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/02
H01G 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層されていると共に、互いに対向している一対の端面と、互いに対向している一対の主面と、互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、
一対の前記端面及び一対の前記側面において少なくとも3個配置されている複数の端子電極と、
前記素体内に配置されている複数の内部電極と、を備え、
複数の前記内部電極は、
複数の前記端子電極のそれぞれと個々に接続されている複数の第1内部電極と、
前記端子電極と接続されていない第2内部電極と、を備え、
複数の前記第1内部電極のそれぞれと前記第2内部電極とが前記誘電体層の積層方向において対向して配置されていることによって、複数のコンデンサ成分が直列に接続された構成を有しており、
複数の前記第1内部電極において、一方の極性に接続される前記第1内部電極と、他方の極性に接続される前記第1内部電極とは、前記積層方向において対向して配置されておらず、
一の前記誘電体層には、前記一方の極性に接続される前記端子電極に接続されている複数の前記第1内部電極のみが配置されており、
他の前記誘電体層には、前記他方の極性に接続される前記端子電極に接続されている複数の前記第1内部電極のみが配置されている、積層コンデンサ。
【請求項2】
複数の前記端子電極のうちの少なくとも2個の前記端子電極は、一対の前記端面及び一対の前記側面のうちの一面に、一対の前記端面の対向方向又は一対の前記側面の対向方向において所定の間隔をあけて配置されおり、
隣り合う前記端子電極において、一の前記端子電極は前記一方の極性に接続され、他の前記端子電極は前記他方の極性に接続される、請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
複数の前記端子電極は、一対の前記端面又は一対の前記側面のそれぞれに少なくとも2個配置されており、
一対の前記端面又は一対の前記側面のそれぞれで隣り合う前記端子電極において、一の前記端子電極は前記一方の極性に接続され、他の前記端子電極は前記他方の極性に接続される、請求項2に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
積層コンデンサと、
前記積層コンデンサが実装されている回路基板と、を備え、
前記積層コンデンサは、
複数の誘電体層が積層されていると共に、互いに対向している一対の端面と、互いに対向している一対の主面と、互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、
一対の前記端面及び一対の前記側面において少なくとも3個配置されている複数の端子電極と、
前記素体内に配置されている複数の内部電極と、を備え、
複数の前記内部電極は、
複数の前記端子電極のそれぞれと個々に接続されている複数の第1内部電極と、
前記端子電極と接続されていない第2内部電極と、を備え、
複数の前記第1内部電極のそれぞれと前記第2内部電極とが前記誘電体層の積層方向において対向して配置されていることによって、複数のコンデンサ成分が直列に接続された構成を有しており、
複数の前記第1内部電極において、一方の極性に接続される前記第1内部電極と、他方の極性に接続される前記第1内部電極とは、前記積層方向において対向して配置されておらず、
一の前記誘電体層には、前記一方の極性に接続される前記端子電極に接続されている複数の前記第1内部電極のみが配置されており、
他の前記誘電体層には、前記他方の極性に接続される前記端子電極に接続されている複数の前記第1内部電極のみが配置されており、
前記回路基板は、前記一方の極性に接続されている配線と接続されている第1電極と、前記他方の極性に接続されている配線と接続されている第2電極と、を有しており、
前記積層コンデンサの少なくとも3個の前記端子電極のうち、少なくとも1個の前記端子電極が前記第1電極に接続されていると共に、少なくとも1個の前記端子電極が前記第2電極に接続されている、電子部品装置。
【請求項5】
複数の前記端子電極のうちの少なくとも2個の前記端子電極は、一対の前記端面及び一対の前記側面のうちの一面に、一対の前記端面の対向方向又は一対の前記側面の対向方向において所定の間隔をあけて配置されおり、
隣り合う前記端子電極のうちの一の前記端子電極が前記第1電極に接続されていると共に、他の前記端子電極が前記第2電極に接続されている、請求項に記載の電子部品装置。
【請求項6】
複数の前記端子電極は、一対の前記端面又は一対の前記側面のそれぞれに少なくとも2個配置されており、
一対の前記端面又は一対の前記側面のそれぞれで隣り合う前記端子電極のうちの一の前記端子電極が前記第1電極に接続されていると共に、他の前記端子電極が前記第2電極に接続されている、請求項に記載の電子部品装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の積層コンデンサの実装方法であって、
少なくとも3個の前記端子電極のうち、少なくとも1個の前記端子電極を一方の極性に接続すると共に、少なくとも1個の前記端子電極を他方の極性に接続する、積層コンデンサの実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサ、電子部品装置及び積層コンデンサの実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層コンデンサとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の積層コンデンサでは、誘電体層を介して対向する一方の内部電極層及び他方の内部電極層は、それぞれ複数の分割電極から構成されている。特許文献1に記載の積層コンデンサでは、一方の内部電極層を構成する複数の分割電極それぞれには1以上の引出し部が設けられていると共に各引出し部は同数の端子電極とそれぞれ導通し、且つ、他方の内部電極層を構成する複数の分割電極それぞれには1以上の引出し部が設けられていると共に各引出し部は同数の端子電極とそれぞれ導通している。特許文献1に記載の積層コンデンサでは、一方の内部電極層を構成する複数の分割電極それぞれは、他方の内部電極層を構成する複数の分割電極のうちの2以上の分割電極と対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-278649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、信頼性の向上が図れる積層コンデンサ、電子部品装置及び積層コンデンサの実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係る積層コンデンサは、複数の誘電体層が積層されていると共に、互いに対向している一対の端面と、互いに対向している一対の主面と、互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、一対の端面及び一対の側面において少なくとも3個配置されている複数の端子電極と、素体内に配置されている複数の内部電極と、を備え、複数の内部電極は、複数の端子電極のそれぞれと個々に接続されている複数の第1内部電極と、端子電極と接続されていない第2内部電極と、を備え、複数の第1内部電極のそれぞれと第2内部電極とが誘電体層の積層方向において対向して配置されていることによって、複数のコンデンサ成分が直列に接続された構成を有しており、複数の第1内部電極において、一方の極性に接続される第1内部電極と、他方の極性に接続される第1内部電極とは、積層方向において対向して配置されていない。
【0006】
本発明の一側面に係る積層コンデンサでは、複数の第1内部電極のそれぞれと第2内部電極とが複数の誘電体層の積層方向において対向して配置されていることによって、複数のコンデンサ成分が直列に接続された構成を有している。この構成により、積層コンデンサでは、一方の極性と他方の極性との間の経路(最短経路)において、複数のコンデンサ成分が電気的に直列に接続されている構成となる。したがって、積層コンデンサでは、一のコンデンサ成分に不具合が生じた場合であっても、他の各コンデンサ成分が正常に機能する。したがって、積層コンデンサでは、フェイルセーフの構造が採用されているため、信頼性の向上が図れる。
【0007】
積層コンデンサでは、複数の第1内部電極において、一方の極性に電気的に接続される第1内部電極と、他方の極性に電気的に接続される第1内部電極とは、積層方向において対向して配置されていない。これにより、積層コンデンサでは、異なる極性に接続される内部電極が対向して配置されないため、複数のコンデンサ成分が電気的に直列に接続される構造を確実に実現できる。
【0008】
積層コンデンサでは、第1内部電極に接続されている少なくとも3個の端子電極のうち、少なくとも1個の端子電極を一方の極性に接続して、少なくとも1個の端子電極を他方の極性に接続することにより、少なくとも2つのコンデンサ成分が直列に接続された構造となる。そのため、積層コンデンサでは、万が一、一の端子電極(第1内部電極)に不具合が生じた場合であっても、少なくとも2つのコンデンサ成分が直列に接続された構造を確実に構成できる。したがって、積層コンデンサでは、信頼性の向上が図れる。また、積層コンデンサでは、少なくとも2個の端子電極を一方の極性及び他方の極性に接続すればよいため、端子電極の配置の自由度を高くすることができる。
【0009】
一実施形態においては、複数の端子電極のうちの少なくとも2個の端子電極は、一対の端面及び一対の側面のうちの一面に、一対の端面の対向方向又は一対の側面の対向方向において所定の間隔をあけて配置されおり、隣り合う端子電極において、一の端子電極は一方の極性に接続され、他の端子電極は他方の極性に接続されてもよい。この構成では、積層方向から見て隣り合う第1内部電極同士において、正負の電流が互いに逆方向に流れる。そのため、積層コンデンサでは、隣り合う第1内部電極同士において、互いに磁束が相殺されるため、寄生インダクタンスを少なくすることができる。これにより、積層コンデンサでは、等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)が低くなる。したがって、積層コンデンサでは、低ESL化を図れる。
【0010】
一実施形態においては、複数の端子電極は、一対の端面又は一対の側面のそれぞれに少なくとも2個配置されており、一対の端面又は一対の側面のそれぞれで隣り合う端子電極において、一の端子電極は一方の極性に接続され、他の端子電極は他方の極性に接続されてもよい。この構成では、端面又は側面に配置されている端子電極に接続されて隣り合う第1内部電極同士において、正負の電流が互いに逆方向に流れる。したがって、積層コンデンサでは、寄生インダクタンスを少なくすることができ、低ESL化を図れる。
【0011】
一実施形態においては、一の誘電体層には、一方の極性に接続される端子電極に接続されている複数の第1内部電極が配置されており、他の誘電体層には、他方の極性に接続される端子電極に接続されている複数の第1内部電極が配置されていてもよい。この構成では、同一の誘電体層において、異なる極性に接続される第1内部電極が配置されていない。そのため、積層コンデンサでは、同一の誘電体層に配置されている一の第1内部電極と他の第1内部電極との間で短絡が生じることを防止できる。したがって、積層コンデンサでは、不具合が発生することを抑制でき、信頼性の向上が図れる。
【0012】
一実施形態においては、複数の第1内部電極は、同一の誘電体層に配置されていてもよい。この構成では、複数のコンデンサ成分が直列に接続されている構成を実現しつつ、素体において誘電体層の積層数を少なくすることができる。したがって、積層コンデンサの低背化を図ることができる。
【0013】
本発明の一側面に係る電子部品装置は、積層コンデンサと、積層コンデンサが実装されている回路基板と、を備え、積層コンデンサは、複数の誘電体層が積層されていると共に、互いに対向している一対の端面と、互いに対向している一対の主面と、互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、一対の端面及び一対の側面において少なくとも3個配置されている複数の端子電極と、素体内に配置されている複数の内部電極と、を備え、複数の内部電極は、複数の端子電極のそれぞれと個々に接続されている複数の第1内部電極と、端子電極と接続されていない第2内部電極と、を備え、複数の第1内部電極のそれぞれと第2内部電極とが誘電体層の積層方向において対向して配置されていることによって、複数のコンデンサ成分が直列に接続された構成を有しており、複数の第1内部電極において、一方の極性に接続される第1内部電極と、他方の極性に接続される第1内部電極とは、積層方向において対向して配置されておらず、回路基板は、一方の極性に接続されている配線と接続されている第1電極と、他方の極性に接続されている配線と接続されている第2電極と、を有しており、積層コンデンサの少なくとも3個の端子電極のうち、少なくとも1個の端子電極が第1電極に接続されていると共に、少なくとも1個の端子電極が第2電極に接続されている。
【0014】
本発明の一側面に係る電子部品装置では、上記積層コンデンサを備えている。そのため、電子部品装置では、積層コンデンサにおいて、信頼性の向上が図れる。また、電子部品装置の積層コンデンサでは、複数のコンデンサ成分が電気的に直列に接続される構造を確実に実現できる。
【0015】
電子部品装置では、積層コンデンサにおいて第1内部電極に接続されている少なくとも3個の端子電極のうち、少なくとも1個の端子電極を第1電極に接続して、少なくとも1個の端子電極を第2電極に接続することにより、少なくとも2つのコンデンサ成分が直列に接続された構造となる。そのため、電子部品装置の積層コンデンサでは、万が一、一の端子電極(第1内部電極)に不具合が生じた場合であっても、少なくとも2つのコンデンサ成分が直列に接続された構造を確実に構成できる。したがって、電子部品装置の積層コンデンサでは、信頼性の向上が図れる。また、電子部品装置では、積層コンデンサの少なくとも2個の端子電極を第1電極及び第2電極に接続すればよいため、積層コンデンサの端子電極の配置の自由度を高くすることができる。
【0016】
一実施形態においては、複数の端子電極のうちの少なくとも2個の端子電極は、一対の端面及び一対の側面のうちの一面に、一対の端面の対向方向又は一対の側面の対向方向において所定の間隔をあけて配置されおり、隣り合う端子電極のうちの一の端子電極が第1電極に接続されていると共に、他の端子電極が第2電極に接続されていてもよい。この構成では、隣り合う第1内部電極同士において、互いに磁束が相殺されるため、寄生インダクタンスを少なくすることができ、ESLが低くなる。したがって、積層コンデンサの低ESL化を図れる。
【0017】
一実施形態においては、複数の端子電極は、一対の端面又は一対の側面のそれぞれに少なくとも2個配置されており、一対の端面又は一対の側面のそれぞれで隣り合う端子電極のうちの一の端子電極が第1電極に接続されていると共に、他の端子電極が第2電極に接続されていてもよい。この構成では、端面又は側面に配置されている端子電極に接続されて隣り合う第1内部電極同士において、正負の電流が互いに逆方向に流れる。したがって、電子部品装置の積層コンデンサでは、寄生インダクタンスを少なくすることができ、低ESL化を図れる。
【0018】
本発明の一側面に係る積層コンデンサの実装方法は、上記の積層コンデンサの実装方法であって、少なくとも3個の端子電極のうち、少なくとも1個の端子電極を一方の極性に接続すると共に、少なくとも1個の端子電極を他方の極性に接続する。
【0019】
本発明の一側面に係る積層コンデンサの実装方法では、第1内部電極に接続されている少なくとも3個の端子電極のうち、少なくとも1個の端子電極を一方の極性に接続して、少なくとも1個の端子電極を他方の極性に接続する。これにより、積層コンデンサでは、少なくとも2つのコンデンサ成分が形成される。この積層コンデンサでは、一のコンデンサ成分に不具合が生じた場合であっても、他のコンデンサ成分が正常に機能する。したがって、積層コンデンサの実装方法では、フェイルセーフの構造が採用されているため、信頼性の向上が図れる。また、積層コンデンサの実装方法では、万が一、一の端子電極(第1内部電極)に不具合が生じた場合であっても、少なくとも2つのコンデンサ成分が直列に接続された構造を確実に構成できる。したがって、積層コンデンサの実装方法では、信頼性の向上が図れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、積層コンデンサを備える電子部品装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す積層コンデンサの素体の分解斜視図である。
図3図3(a)は、第1内部電極を示す図であり、図3(b)は、第2内部電極を示す図である。
図4図4は、積層コンデンサの回路構成を示す図である。
図5図5は、他の実施形態に係る積層コンデンサの素体の分解斜視図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、第1内部電極を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
第1実施形態に係る積層コンデンサ1は、素体2と、素体2の外表面に配置されている第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6、第4端子電極7、第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11と、を備えている。
【0024】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、その外表面として、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の主面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。一対の主面2c,2dが対向している対向方向が第1方向D1である。一対の端面2a,2bが対向している対向方向が第2方向D2である。一対の側面2e,2fが対向している対向方向が第3方向D3である。本実施形態では、第1方向D1は、素体2の高さ方向である。第2方向D2は、素体2の長手方向であり、第1方向D1と直交している。第3方向D3は、素体2の幅方向であり、第1方向D1と第2方向D2とに直交している。
【0025】
一対の端面2a,2bは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第1方向D1に延びている。一対の端面2a,2bは、第3方向D3(一対の主面2c,2dの短辺方向)にも延びている。一対の側面2e,2fは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第1方向D1に延びている。一対の側面2e,2fは、第2方向D2(一対の端面2a,2bの長辺方向)にも延びている。本実施形態では、主面2dは、積層コンデンサ1を他の電子機器(例えば、回路基板、又は、電子部品など)に実装する際、他の電子機器と対向する実装面として規定される。
【0026】
素体2は、一対の主面2c,2dが対向している方向に複数の誘電体層13が積層されて構成されている。素体2では、複数の誘電体層13の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)が第1方向D1と一致する。各誘電体層13は、例えば誘電体材料(BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層13は、各誘電体層13の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0027】
積層コンデンサ1は、図2に示されるように、素体2内に配置されている内部導体として、第1内部電極14と、第2内部電極(第1内部電極)15と、第3内部電極(第1内部電極)16と、第4内部電極(第1内部電極)17と、第5内部電極(第1内部電極)18と、第6内部電極(第1内部電極)19と、第7内部電極(第1内部電極)20と、第8内部電極(第1内部電極)21と、第9内部電極(第2内部電極)22と、を備えている。
【0028】
第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20、第8内部電極21及び第9内部電極22は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、Ni又はCuなど)からなる。第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20、第8内部電極21及び第9内部電極22は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0029】
第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21と、第9内部電極22とは、素体2の第1方向D1において異なる位置(層)に配置されている。
【0030】
図3(a)に示されるように、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16及び第4内部電極17は、第2方向D2において、所定の間隔をあけて配置されている。第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16及び第4内部電極17は、他方の側面2f側に配置されている。
【0031】
第1内部電極14は、主電極部14aと、接続部14bと、を有している。主電極部14aは、矩形形状を呈している。接続部14bは、主電極部14aの一辺から延び、他方の側面2fに露出している。第1内部電極14は、他方の側面2fに露出した接続部14bが第1端子電極4に接合されている。これにより、第1内部電極14は、第1端子電極4に電気的に接続されている。
【0032】
第2内部電極15は、主電極部15aと、接続部15bと、を有している。主電極部15aは、矩形形状を呈している。接続部15bは、主電極部15aの一辺から延び、他方の側面2fに露出している。第2内部電極15は、他方の側面2fに露出した接続部15bが第2端子電極5に接合されている。これにより、第2内部電極15は、第2端子電極5に電気的に接続されている。
【0033】
第3内部電極16は、主電極部16aと、接続部16bと、を有している。主電極部16aは、矩形形状を呈している。接続部16bは、主電極部16aの一辺から延び、他方の側面2fに露出している。第3内部電極16は、他方の側面2fに露出した接続部16bが第3端子電極6に接合されている。これにより、第3内部電極16は、第3端子電極6に電気的に接続されている。
【0034】
第4内部電極17は、主電極部17aと、接続部17bと、を有している。主電極部17aは、矩形形状を呈している。接続部17bは、主電極部17aの一辺から延び、他方の側面2fに露出している。第4内部電極17は、他方の側面2fに露出した接続部17bが第4端子電極7に接合されている。これにより、第4内部電極17は、第4端子電極7に電気的に接続されている。
【0035】
第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21は、第2方向D2において、所定の間隔をあけて配置されている。第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21は、一方の側面2e側に配置されている。第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16及び第4内部電極17と、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21とは、第3方向D3において、所定の間隔をあけて配置されている。
【0036】
第5内部電極18は、主電極部18aと、接続部18bと、を有している。主電極部18aは、矩形形状を呈している。接続部18bは、主電極部18aの一辺から延び、一方の側面2eに露出している。第5内部電極18は、一方の側面2eに露出した接続部18bが第5端子電極8に接合されている。これにより、第5内部電極18は、第5端子電極8に電気的に接続されている。
【0037】
第6内部電極19は、主電極部19aと、接続部19bと、を有している。主電極部19aは、矩形形状を呈している。接続部19bは、主電極部19aの一辺から延び、一方の側面2eに露出している。第6内部電極19は、一方の側面2eに露出した接続部19bが第6端子電極9に接合されている。これにより、第6内部電極19は、第6端子電極9に電気的に接続されている。
【0038】
第7内部電極20は、主電極部20aと、接続部20bと、を有している。主電極部20aは、矩形形状を呈している。接続部20bは、主電極部20aの一辺から延び、一方の側面2eに露出している。第7内部電極20は、一方の側面2eに露出した接続部20bが第7端子電極10に接合されている。これにより、第7内部電極20は、第7端子電極10に電気的に接続されている。
【0039】
第8内部電極21は、主電極部21aと、接続部21bと、を有している。主電極部21aは、矩形形状を呈している。接続部21bは、主電極部21aの一辺から延び、一方の側面2eに露出している。第8内部電極21は、一方の側面2eに露出した接続部21bが第8端子電極11に接合されている。これにより、第8内部電極21は、第8端子電極11に電気的に接続されている。
【0040】
図3(b)に示されるように、第9内部電極22は、矩形形状を呈している。第9内部電極22は、第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6、第4端子電極7、第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11のいずれにも接合されていない。
【0041】
第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6及び第4端子電極7は、素体2の側面2f側に配置されている。第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6及び第4端子電極7は、側面2fの一部を素体2の積層方向に沿って覆うように形成されていると共に、主面2cの一部と主面2dの一部とに形成されている。第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6及び第4端子電極7は、第2方向D2において、所定の間隔をあけて配置されている。第1端子電極4は、端面2b側に位置し、第4端子電極7は、端面2a側に位置している。第2端子電極5及び第3端子電極6は、第1端子電極4と第4端子電極7との間に位置している。
【0042】
第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11は、素体2の側面2e側に配置されている。第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11は、側面2eの一部を素体2の積層方向に沿って覆うように形成されていると共に、主面2cの一部と主面2dの一部とに形成されている。第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11は、第2方向D2において、所定の間隔をあけて配置されている。第5端子電極8は、端面2b側に位置し、第8端子電極11は、端面2a側に位置している。第6端子電極9及び第7端子電極10は、第5端子電極8と第8端子電極11との間に位置している。
【0043】
各端子電極4~11は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各端子電極4~11は、導電性材料(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。各端子電極4~11の表面にはめっき層が形成されている。めっき層は、例えば電気めっきにより形成される。めっき層は、Cuめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層からなる層構造、又は、Niめっき層及びSnめっき層からなる層構造などを有する。
【0044】
図2に示されるように、本実施形態の積層コンデンサ1では、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21が配置されている誘電体層13が6枚積層されており、第9内部電極22が配置されている誘電体層13が5枚積層されている。
【0045】
積層コンデンサ1では、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21と、第9内部電極22とは、誘電体層13を介して対向して配置されている。具体的には、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21の各主電極部14a,15a,16a,17a,18a,19a,20a,21aと、第9内部電極22とが対向している。
【0046】
積層コンデンサ1では、第1内部電極14、第3内部電極16、第6内部電極19及び第8内部電極21と、第2内部電極15、第4内部電極17、第5内部電極18及び第7内部電極20とは、第1方向D1において、対向して配置されていない。すなわち、一方の極性に接続される第1内部電極14、第3内部電極16、第6内部電極19及び第8内部電極21と、他方の極性に接続される第2内部電極15、第4内部電極17、第5内部電極18及び第7内部電極20とが、第1方向D1から見て重なっていない。
【0047】
図1に示されるように、電子部品装置100では、積層コンデンサ1は、主面2dを実装面として電子機器に実装する。素体2の主面2dが回路基板Sと対向するように積層コンデンサ1を実装する場合、第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6、第4端子電極7、第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11を、回路基板S上に配置されたランド電極L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8に接続する。
【0048】
ランド電極L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8は、回路基板Sに形成された配線に接続されている。具体的には、ランド電極(第1電極)L1,L3,L6,L8は、一方の極性(例えば正極)に接続された配線と電気的に接続されている。ランド電極(第2電極)L2,L4,L5,L7は、他方の極性(例えば負極)に接続された配線と電気的に接続されている。すなわち、回路基板Sでは、第2方向D2において、極性の異なるランド電極が交互に配置されている。また、回路基板Sでは、第3方向D3において対向するランド電極同士は、異極性の配線に接続されている。
【0049】
電子部品装置100では、第1端子電極4がランド電極L1に電気的に接続され、第2端子電極5がランド電極L2に電気的に接続され、第3端子電極6がランド電極L3に電気的に接続され、第4端子電極7がランド電極L4に電気的に接続される。電子部品装置100では、第5端子電極8がランド電極L5に電気的に接続され、第6端子電極9がランド電極L6に電気的に接続され、第7端子電極10がランド電極L7に電気的に接続され、第8端子電極11がランド電極L8に電気的に接続される。これにより、積層コンデンサ1では、第1端子電極4、第3端子電極6、第6端子電極9及び第8端子電極11は、一方の極性に電気的に接続される。積層コンデンサ1では、第2端子電極5、第4端子電極7、第5端子電極8及び第7端子電極10は、他方の極性に電気的に接続される。すなわち、積層コンデンサ1では、隣り合う端子電極において、一方の端子電極は一方の極性に電気的に接続され、他方の端子電極は他方の極性に電気的に接続される。
【0050】
回路基板Sに実装された本実施形態の積層コンデンサ1では、図4に示されるように、複数のコンデンサ成分が電気的に直列に接続された構成を有している。図4では、「黒丸」は一方の極性(例えば「正極」)に接続されることを示し、「白丸」は他方の極性(例えば「負極」)に接続されることを示している。
【0051】
積層コンデンサ1では、第1内部電極14、第3内部電極16、第6内部電極19及び第8内部電極21と第9内部電極22とにより形成されるコンデンサ成分と、第2内部電極15、第4内部電極17、第5内部電極18及び第7内部電極20と第9内部電極22とにより形成されるコンデンサ成分とが、電気的に直列に接続されている。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る積層コンデンサ1では、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21のそれぞれと第9内部電極22とが第1方向D1において対向して配置されていることによって、複数のコンデンサ成分が直列に接続された構成を有している。この構成により、積層コンデンサ1では、一方の極性と他方の極性との間の経路(最短経路)において、複数のコンデンサ成分が電気的に直列に接続されている構成となる。したがって、積層コンデンサ1では、一のコンデンサ成分に不具合が生じた場合であっても、他の各コンデンサ成分が正常に機能する。したがって、積層コンデンサ1では、フェイルセーフの構造が採用されているため、信頼性の向上が図れる。
【0053】
本実施形態に係る積層コンデンサ1では、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21において、一方の極性に電気的に接続される第1内部電極14、第3内部電極16、第6内部電極19及び第8内部電極21と、他方の極性に電気的に接続される第2内部電極15、第4内部電極17、第5内部電極18及び第7内部電極20とは、第1方向D1において対向して配置されていない。これにより、積層コンデンサ1では、異なる極性に接続される内部電極が対向して配置されないため、複数のコンデンサ成分が電気的に直列に接続される構造を確実に実現できる。
【0054】
本実施形態に係る積層コンデンサ1では、第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6及び第4端子電極7は、他方の側面2fにおいて、第2方向D2で所定の間隔をあけて配置されている。第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11は、一方の側面2eにおいて、第2方向D2で所定の間隔をあけて配置されている。積層コンデンサ1では、積層コンデンサ1が回路基板Sに実装されると、第2方向D2において隣り合う端子電極において、一方の端子電極は一方の極性に電気的に接続され、他方の端子電極は他方の極性に電気的に接続される。この構成では、第1方向D1から見て隣り合う内部電極同士において、正負の電流が互いに逆方向に流れる。そのため、積層コンデンサ1では、隣り合う内部電極同士において、互いに磁束が相殺されるため、寄生インダクタンスを少なくすることができる。これにより、積層コンデンサ1では、等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)が低くなる。したがって、積層コンデンサ1では、低ESL化を図れる。
【0055】
本実施形態に係る積層コンデンサ1では、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21は、同一の誘電体層13に配置されている。この構成では、複数のコンデンサ成分が直列に接続されている構成を実現しつつ、素体2において誘電体層13の積層数を少なくすることができる。したがって、積層コンデンサ1の低背化を図ることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0057】
上記実施形態では、素体2内に配置されている内部導体として、第1内部電極14と、第2内部電極15と、第3内部電極16と、第4内部電極17と、第5内部電極18と、第6内部電極19と、第7内部電極20と、第8内部電極21と、第9内部電極22と、を備えている形態を一例に説明した。しかし、素体2内には、少なくとも3つの内部電極(第1内部電極)と、第9内部電極22(第2内部電極)とが配置されていればよい。すなわち、積層コンデンサでは、素体2の一対の側面2e,2fに少なくとも3個の端子電極が配置されている構成であればよい。端子電極は、素体2の端面2a,2bに配置されていてもよい。端子電極は、一対の端面2a,2b及び一対の側面2e,2fに少なくとも3個配置されていればよい。積層コンデンサでは、4個以上の端子電極(第1内部電極)が配置されていることが好ましい。
【0058】
上記実施形態では、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20及び第8内部電極21が、同一の誘電体層13に配置されている形態を一例に説明した。しかし、各内部電極は、異なる誘電体層13に配置されていてもよい。
【0059】
図5及び図6(a)に示されるように、積層コンデンサ1Aの素体2Aでは、例えば、第1内部電極14、第3内部電極16、第6内部電極19及び第8内部電極21が一の誘電体層13に配置されている。図5及び図6(b)に示されるように、素体2Aでは、第2内部電極15、第4内部電極17、第5内部電極18及び第7内部電極20が他の誘電体層13に配置されていてもよい。積層コンデンサ1Aでは、第1内部電極14、第3内部電極16、第6内部電極19及び第8内部電極21が配置されている誘電体層13が2枚積層されており、第2内部電極15、第4内部電極17、第5内部電極18及び第7内部電極20が配置されている誘電体層13が2枚積層されており、第9内部電極22が配置されている誘電体層13が3枚積層されている。
【0060】
この構成では、同一の誘電体層において、異なる極性に接続される内部電極が配置されていない。そのため、積層コンデンサ1Aでは、回路基板Sに実装されたときに、同一の誘電体層に配置されている一の内部電極と他の内部電極との間で短絡が生じることを防止できる。したがって、積層コンデンサ1Aでは、不具合が発生することを抑制でき、信頼性の向上が図れる。
【0061】
上記実施形態において、第1内部電極14、第2内部電極15、第3内部電極16、第4内部電極17、第5内部電極18、第6内部電極19、第7内部電極20、第8内部電極21及び第9内部電極22の積層数及び形状は、設計に応じて適宜設定されればよい。
【0062】
上記実施形態では、電子部品装置100において、第1端子電極4、第2端子電極5、第3端子電極6、第4端子電極7、第5端子電極8、第6端子電極9、第7端子電極10及び第8端子電極11を、回路基板S上に配置されたランド電極L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8に接続する形態を一例に説明した。しかし、電子部品装置では、少なくとも2個の端子電極をランド電極に接続する構成であってもよい。すなわち、積層コンデンサの少なくとも1個の端子電極を一方の極性に接続し、少なくとも1個の端子電極を他方の極性に接続してもよい。この実装方法では、一方の極性又は他方の極性に接続する端子電極の適宜選択することにより、2つのコンデンサ成分が直列に接続された構造を確実に実現できる。また、この実装方法では、少なくとも2個の端子電極を一方の極性及び他方の極性に接続すればよいため、端子電極の配置の自由度を高くすることができる。
【0063】
また、上記実装方法では、例えば、8個の端子電極(第1内部電極)を備える積層コンデンサにおいて、4個の端子電極を正極又は負極に接続している場合に、コンデンサ成分に不具合が生じた場合であっても、正極又は負極に接続されていない4個の端子電極を正極又は負極に接続することによって、積層コンデンサの機能を発揮させることができる。すなわち、万が一、一の端子電極(第1内部電極)に不具合が生じた場合であっても、積層コンデンサにおいて、少なくとも2つのコンデンサ成分が直列に接続された構造を確実に構成できる。したがって、信頼性の向上が図れる。
【0064】
また、電子部品装置では、少なくとも4つの端子電極をランド電極に接続する構成であってもよい。この構成では、側面2e,2fにおいて隣接する一方の端子電極を一方の電極に接続されているランド電極に接続し、他方の端子電極を他方の電極に接続されているランド電極に接続する。これにより、積層コンデンサでは、低ESL化を図れる。
【符号の説明】
【0065】
1,1A…積層コンデンサ、2,2A…素体、2a,2b…端面、2c,2d…主面、2e,2f…側面、4…第1端子電極、5…第2端子電極、6…第3端子電極、7…第4端子電極、8…第5端子電極、9…第6端子電極、10…第7端子電極、11…第8端子電極、13…誘電体層、14…第1内部電極、15…第2内部電極(第1内部電極)、16…第3内部電極(第1内部電極)、17…第4内部電極(第1内部電極)、18…第5内部電極(第1内部電極)、19…第6内部電極(第1内部電極)、20…第7内部電極(第1内部電極)、21…第8内部電極(第1内部電極)、22…第9内部電極(第2内部電極)、100…電子部品装置、L1,L3,L6,L8…ランド電極(第1電極)、L2,L4,L5,L7…ランド電極(第2電極)、S…回路基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6