(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ソレノイドバルブの取付構造
(51)【国際特許分類】
F16H 61/00 20060101AFI20220112BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
F16H61/00
F16K31/06 305K
(21)【出願番号】P 2018056807
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-01-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】永井 祥太郎
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-142442(JP,A)
【文献】特開2011-144898(JP,A)
【文献】特開平02-278068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ外観で制御態様が異なる複数種類のソレノイドバルブを、バルブボディにおける同じ外観を有する複数の嵌合孔に所定の対応関係でそれぞれ嵌合させて取り付けるように構成されたソレノイドバルブの取付構造であって、
各ソレノイドバルブに、各ソレノイドバルブをバルブボディに固定するための取付ブラケットが一体的に設けられ、
各取付ブラケット及び前記バルブボディに、所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に互いに干渉するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部が設けられ、
各取付ブラケットは、
ソレノイドバルブの非挿入部から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディの固定部に固定される第1延設部と、
第1延設部の先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部と、
第2延設部の先端側からバルブボディ側に延設された第3延設部と、を備え、
第2延設部の延設方向長さがソレノイドバルブの種類毎に異なり、
各取付ブラケットのブラケット側干渉部は第3延設部により構成され、
バルブボディ側干渉部は、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブの取付ブラケットの第3延設部と干渉するように配置されている、
ソレノイドバルブの取付構造。
【請求項2】
同じ外観で制御態様が異なる複数種類のソレノイドバルブを、バルブボディにおける同じ外観を有する複数の嵌合孔に所定の対応関係でそれぞれ嵌合させて取り付けるように構成されたソレノイドバルブの取付構造であって、
各ソレノイドバルブに、各ソレノイドバルブをバルブボディに固定するための取付ブラケットが一体的に設けられ、
各取付ブラケット及び前記バルブボディに、所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に互いに干渉するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部が設けられ、
各取付ブラケットは、
ソレノイドバルブの非挿入部から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディの固定部に固定される第1延設部と、
第1延設部の先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部と、を備え、
ソレノイドバルブ挿入方向に見たときの第2延設部の延設方向がソレノイドバルブの種類毎に異なり、
各取付ブラケットのブラケット側干渉部は第2延設部により構成され、
バルブボディ側干渉部は、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブの取付ブラケットの第2延設部と干渉するように配置されている、
ソレノイドバルブの取付構造。
【請求項3】
第2延設部の延設方向長さがソレノイドバルブの種類毎に異なる、
請求項
2に記載のソレノイドバルブの取付構造。
【請求項4】
ソレノイドバルブの種類が2種類であり、
第2延設部の延設方向がソレノイドバルブの種類に応じて互いに反対方向となるように構成されている、
請求項
2または
3に記載のソレノイドバルブの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブボディにソレノイドバルブを取り付ける構造に関し、油圧制御の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電磁弁が180度位置ずれした状態で誤組付されるのを防止する構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じ外観で制御態様が異なる複数のソレノイドバルブを、バルブボディにおける同じ外観を有する複数の嵌合孔に嵌合させて取付ける構造では、ソレノイドバルブの誤組付が生じる可能性がある。また、誤組付が生じると、油圧制御を正常に行えなくなる。
【0005】
本発明は、同じ外観で制御態様が異なる複数のソレノイドバルブをバルブボディの嵌合孔に嵌合させて取付けるようにしたソレノイドバルブの取付構造において、ソレノイドバルブの誤組付を防止可能とすることを課題とする。
を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に記載の発明は、
同じ外観で制御態様が異なる複数種類のソレノイドバルブを、バルブボディにおける同じ外観を有する複数の嵌合孔に所定の対応関係でそれぞれ嵌合させて取り付けるように構成されたソレノイドバルブの取付構造であって、
各ソレノイドバルブに、各ソレノイドバルブをバルブボディに固定するための取付ブラケットが一体的に設けられ、
各取付ブラケット及び前記バルブボディに、所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に互いに干渉するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部が設けられ、
各取付ブラケットは、
ソレノイドバルブの非挿入部から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディの固定部に固定される第1延設部と、
第1延設部の先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部と、
第2延設部の先端側からバルブボディ側に延設された第3延設部と、を備え、
第2延設部の延設方向長さがソレノイドバルブの種類毎に異なり、
各取付ブラケットのブラケット側干渉部は第3延設部により構成され、
バルブボディ側干渉部は、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブの取付ブラケットの第3延設部と干渉するように配置されている。
【0008】
本願の請求項2に記載の発明は、
同じ外観で制御態様が異なる複数種類のソレノイドバルブを、バルブボディにおける同じ外観を有する複数の嵌合孔に所定の対応関係でそれぞれ嵌合させて取り付けるように構成されたソレノイドバルブの取付構造であって、
各ソレノイドバルブに、各ソレノイドバルブをバルブボディに固定するための取付ブラケットが一体的に設けられ、
各取付ブラケット及び前記バルブボディに、所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に互いに干渉するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部が設けられ、
各取付ブラケットは、
ソレノイドバルブの非挿入部から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディの固定部に固定される第1延設部と、
第1延設部の先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部と、を備え、
ソレノイドバルブ挿入方向に見たときの第2延設部の延設方向がソレノイドバルブの種類毎に異なり、
各取付ブラケットのブラケット側干渉部は第2延設部により構成され、
バルブボディ側干渉部は、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブの取付ブラケットの第2延設部と干渉するように配置されている。
【0009】
本願の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
第2延設部の延設方向長さがソレノイドバルブの種類毎に異なる。
【0010】
本願の請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、
ソレノイドバルブの種類が2種類であり、
第2延設部の延設方向がソレノイドバルブの種類に応じて互いに反対方向となるように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本願の請求項1に記載の発明によれば、所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に互いに干渉するブラケット側干渉部とバルブボディ側干渉部とが干渉する。そのため、同じ外観で制御態様が異なる複数のソレノイドバルブの誤組付を、取付ブラケットを利用して確実に防止できる。簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【0013】
本願の請求項2に記載の発明によれば、所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に互いに干渉するブラケット側干渉部とバルブボディ側干渉部とが干渉する。そのため、同じ外観で制御態様が異なる複数のソレノイドバルブの誤組付を、取付ブラケットを利用して確実に防止できる。簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【0014】
本願の請求項3に記載の発明によれば、簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【0015】
本願の請求項4に記載の発明によれば、簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るソレノイドバルブの取付構造を有するトランスミッションの平面図である。
【
図2】ソレノイドバルブを取り付けた状態のバルブボディの斜視図である。
【
図3】
図2の矢印Z2で示す部分の拡大斜視図である。
【
図5】ソレノイドバルブ単体を
図5とは軸方向反対側から見た拡大斜視図である。
【
図7】
図2の矢印Z2で示す部分の拡大側面図である。
【
図8】
図2の矢印Z2で示す部分の拡大平面図である。
【
図9】N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図7相当の側面図である。
【
図10】N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図8相当の平面図である。
【
図11】N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図7相当の側面図である。
【
図12】N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図8相当の平面図である。
【
図13】実施の形態1の変形例1におけるソレノイドバルブの取付構造を模式的に示した図である。
【
図14】N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【
図15】N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【
図16】実施の形態1の変形例1におけるソレノイドバルブの取付構造を模式的に示した図である。
【
図17】N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【
図18】N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【
図19】実施の形態1の変形例3におけるソレノイドバルブの取付構造を模式的に示した図である。
【
図20】N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【
図21】N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るソレノイドバルブの取付構造について説明する。
【0018】
1.構成
図1は、本発明の実施の形態に係るソレノイドバルブの取付構造を有するトランスミッションの平面図である。
図2は、ソレノイドバルブを取り付けた状態のバルブボディの斜視図である。
【0019】
図1、
図2に示すように、トランスミッション1の一の面には、バルブボディ10が取り付けられている。バルブボディ10の側部には、4個のソレノイドバルブ21と、1個のソレノイドバルブ31とが取り付けられている。これらのソレノイドバルブ21、31は、トランスミッション1に供給する油圧を制御するために設けられている。なお、ソレノイドバルブ21、31の個数は一例であり、他の個数であってもよい。
【0020】
ソレノイドバルブ21は、ノーマルオープン型(以下、「N/O型」という)のON/OFFソレノイドバルブである。
【0021】
ソレノイドバルブ31は、ノーマルクローズ型(以下、「N/C型」という)のON/OFFソレノイドバルブである。
【0022】
図3は、
図2の矢印Z2で示す部分の拡大斜視図である。
図4は、ソレノイドバルブ単体の拡大斜視図である。
図5は、ソレノイドバルブ単体を
図5とは軸方向反対側から見た拡大斜視図である。
図6は、バルブボディ単体の拡大斜視図である。
図7は、
図2の矢印Z2で示す部分の拡大側面図である。
図8は、
図2の矢印Z2で示す部分の拡大平面図である。
【0023】
図4、
図5に示すように、N/O型のソレノイドバルブ21は、円筒状の本体部21a(非挿入部)と、本体部21aの軸方向一端から軸方向に延伸するように形成された円筒状の挿入部21bと、を有する。本体部21aの内部には、ソレノイドなどが収容される。また、本体部21a及び挿入部21bの内部には、油路が形成されている。なお、ソレノイドバルブ21の挿入部21bには、油路に連通する孔などが形成されているが記載を省略している。
【0024】
N/C型のソレノイドバルブ31は、円筒状の本体部31a(非挿入部)と、本体部31aの軸方向一端に軸方向から延伸するように形成された円筒状の挿入部31bとを有する。本体部31aの内部には、ソレノイドなどが収容される。また、本体部31a及び挿入部31bの内部には、油路が形成されている。なお、ソレノイドバルブ31の挿入部31bには、油路に連通する孔などが形成されているが記載を省略している。
【0025】
図6に示すように、バルブボディ10の側部には、ソレノイドバルブ21の挿入部21bが嵌合される嵌合孔10aと、ソレノイドバルブ21の挿入部21bが嵌合される嵌合孔10bとが設けられている。
【0026】
ここで、N/O型のソレノイドバルブ21とN/C型のソレノイドバルブ31は、
図4、
図5などからわかるように、ほぼ同じ外観を有する。また、挿入部21bと挿入部31bはほぼ同じ直径を有する。また、バルブボディ10の嵌合孔10aと嵌合孔10bは同じ直径を有するとともにほぼ同じ外観を有し、近接して配置されている。本実施の形態のソレノイドバルブの取付構造では、組立者が、N/O型のソレノイドバルブ21の挿入部21bをN/C用の嵌合孔10bに誤って挿入・固定したり、N/C型のソレノイドバルブ31の挿入部31bをN/C用の嵌合孔10aに誤って挿入・固定したりすることが生じないように、以下に説明する構成を採用している。
【0027】
図4、
図5に示すように、N/O型のソレノイドバルブ21は、ソレノイドバルブユニット20の一部として構成されている。ソレノイドバルブユニット20は、ソレノイドバルブ21に加え、当該ソレノイドバルブ21に一体化された取付ブラケット22を有する。ソレノイドバルブユニット20は、
図3、
図7、
図8に示すように、ソレノイドバルブ21の挿入部21bがバルブボディ10の嵌合孔10aに挿入・嵌合された状態で、取付ブラケット22の一端側がボルト40によりバルブボディ10に締結されることで、バルブボディ10に固定される。
【0028】
図4、
図5に示すように、N/C型のソレノイドバルブ31は、ソレノイドバルブユニット30の一部として構成されている。ソレノイドバルブユニット30は、ソレノイドバルブ31に加え、当該ソレノイドバルブ31に一体化された取付ブラケット32を有する。ソレノイドバルブユニット30は、
図3、
図7、
図8に示すように、ソレノイドバルブ31の挿入部31bがバルブボディ10の嵌合孔10bに挿入・嵌合された状態で、取付ブラケット32の一端側がボルト40によりバルブボディ10に締結されることで、バルブボディ10に固定される。
【0029】
取付ブラケット22は、ソレノイドバルブ21の本体部21a(非挿入部)から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディ10のボス10c(固定部)に固定される第1延設部22aと、第1延設部22aの先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部22cと、第2延設部22cの先端側からバルブボディ10側に屈曲して延設された第3延設部22dとを備える。第3延設部22dは、ブラケット側干渉部の一例である。第1延設部22aの先端側には、平板状の形状を有してボルト挿通孔22hが形成された取付部22bが設けられている。第3延設部22dは、ボルト挿通孔22hの中心(ボルト40の中心)から交差方向に距離L1だけ離れた位置に形成されている。
【0030】
取付ブラケット32は、ソレノイドバルブ31の本体部31a(非挿入部)から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディ10のボス10e(固定部)に固定される第1延設部32aと、第1延設部32aの先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部32cと、第2延設部32cの先端側からバルブボディ10側に屈曲して延設された第3延設部32dと、を備える。第3延設部32dは、ブラケット側干渉部の一例である。第1延設部32aの一端側には、平板状の形状を有してボルト挿通孔32hが形成された取付部32bが設けられている。第3延設部32dは、第2延設部32cの延設方向長さを取付ブラケット22の第2延設部22cの延設方向長さとは異ならせることで、ボルト挿通孔32hの中心(ボルト40の中心)から交差方向に距離L2だけ離れた位置に形成されている。
【0031】
また、
図6、
図7、
図8に示すように、バルブボディ10において、嵌合孔10aの斜め上方には、突出壁10yが設けられている。また、嵌合孔10bの上方には、突出壁10zが設けられている。突出壁10y及び突出壁10zは、バルブボディ側干渉部の一例である。
【0032】
突出壁10zは、ボルト孔10fの中心(ボルト40の中心)から上記交差方向で距離L1の位置に存在するように形成されている。距離L1は、上述したように、取付ブラケット22のボルト挿通孔22hの中心と第3延設部22dとの間の交差方向の距離L1と同じ距離である。
【0033】
突出壁10yは、ボルト孔10dの中心(ボルト40の中心)から上記交差方向で距離L2の位置に存在するように形成されている。距離L2は、上述したように、取付ブラケット32のボルト挿通孔32hの中心と第3延設部32dとの間の交差方向の距離L2と同じ距離である。
【0034】
図7、
図8に示すように、ソレノイドバルブユニット20がバルブボディ10の規定位置に取り付けられたとき、取付ブラケット22の第2延設部22cが交差方向に沿って突出壁10zの上方を通過し、第3延設部22dが突出壁10zの交差方向側方に離間した状態で位置する。
【0035】
また、
図7、
図8に示すように、ソレノイドバルブユニット30がバルブボディ10の規定位置に取り付けられたとき、取付ブラケット32の第2延設部32cが交差方向に沿ってボス10cと突出壁10yとの間にまで延び、第3延設部32dが突出壁10yの交差方向側方に離間した状態で位置する。
【0036】
なお、バルブボディ10には、
図2の矢印Z2で示す部分以外に配置されたN/O型のソレノイドバルブ21にそれぞれ対応させて、Z2部分と同様の嵌合孔10a及び突出壁10yなどが設けられている。
【0037】
2.作用
本実施の形態のソレノイドバルブの取付構造による作用について
図9~
図12を参照して説明する。
【0038】
図9は、N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図7相当の側面図である。
図10は、N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図8相当の平面図である。
図11は、N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図7相当の側面図である。
図12は、N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を示した、
図8相当の平面図である。
【0039】
まず、
図9、
図10を参照して、N/O型のソレノイドバルブ21をN/C型のソレノイドバルブ31用の嵌合孔10bに誤組付しようとした場合の作用について説明する。組立者が、N/O型のソレノイドバルブ21をバルブボディ10に取り付ける際、ソレノイドバルブ21の挿入部21bを、誤って、N/C型のソレノイドバルブ31用の嵌合孔10bに挿入し始めたものとする。この場合、挿入途中で、取付ブラケット22の第3延設部22dがバルブボディ10の突出壁10zに当接し、それ以上にソレノイドバルブ21の挿入部21bを嵌合孔10b内に押し込むことができなくなる。これにより、組立者は、誤組付を行おうとしたことに気付く。したがって、誤組付が防止される。
【0040】
次に、
図11、
図12を参照して、N/C型のソレノイドバルブ31をN/O型のソレノイドバルブ21用の嵌合孔10aに誤組付しようとした場合の作用について説明する。組立者が、N/C型のソレノイドバルブ31をバルブボディ10に取り付ける際、ソレノイドバルブ31の挿入部31bを、誤って、N/O型のソレノイドバルブ21用の嵌合孔10aに挿入し始めたものとする。この場合、挿入途中で、取付ブラケット32の第3延設部32dがバルブボディ10の突出壁10yに当接し、それ以上にソレノイドバルブ31の挿入部31bを嵌合孔10a内に押し込むことができなくなる。これにより、組立者は、誤組付を行おうとしたことに気付く。したがって、誤組付が防止される。
【0041】
前記実施の形態では、本発明のソレノイドバルブの取付構造に係る一実施の形態として実施の形態1を説明した。しかし、本発明は、実施の形態1の構成に限定されるものではない。例えば、実施の形態1ではブラケットに第3延設部が設けられているが、第3延設部は必須ではない。以下、この場合について変形例1~3として説明する
【0042】
(実施の形態1の変形例1)
図13は、実施の形態1の変形例1におけるソレノイドバルブの取付構造を模式的に示した図である。
図14は、N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
図15は、N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【0043】
図13に示すように、取付ブラケット22は、ソレノイドバルブ21の本体部21aから、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディ10のボス10cに固定される第1延設部22aと、第1延設部22aの先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部22cと、を備える。取付ブラケット32は、ソレノイドバルブ31の本体部31aから、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディ10のボス10eに固定される第1延設部32aと、第1延設部32aの先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部32cと、を備える。ここで、ソレノイドバルブ挿入方向に見たときの第2延設部22cの延設方向と、ソレノイドバルブ挿入方向に見たときの第2延設部32cの延設方向とが異なっている。第2延設部22cの延設方向長さと第2延設部32cの延設方向長さとは同じである。取付ブラケット22のブラケット側干渉部は第2延設部22cにより構成されている。取付ブラケット32のブラケット側干渉部は第2延設部32cにより構成されている。また、突出壁10yは、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブ31と嵌合孔10aとが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブ31の第2延設部32cと干渉するように配置されている。また、突出壁10zは、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブ21と嵌合孔10bとが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブ21の第2延設部22cと干渉するように配置されている。
【0044】
このような構成によると、
図14に示すように、N/O型のソレノイドバルブ21をN/C型のソレノイドバルブ31用の嵌合孔10bに誤組付しようとした場合、突出壁10zと、嵌合されたソレノイドバルブ21の第2延設部22cとが干渉する。したがって、誤組付が防止される。
【0045】
また、
図15に示すように、N/C型のソレノイドバルブ31をN/O型のソレノイドバルブ21用の嵌合孔10aに誤組付しようとした場合、突出壁10yと、嵌合されたソレノイドバルブ31の第2延設部32cとが干渉する。したがって、誤組付が防止される。
【0046】
(実施の形態1の変形例2)
図16は、実施の形態1の変形例2におけるソレノイドバルブの取付構造を模式的に示した図である。
図17は、N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
図18は、N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【0047】
実施の形態1の変形例1では、ブラケット側干渉部としての第2延設部22cの延設方向長さと、第2延設部32cの延設方向長さとが同じとなっている。しかし、
図16に示すように、ブラケット側干渉部としての第2延設部22cの延設方向長さと、第2延設部32cの延設方向長さとがソレノイドバルブの種類毎に異なってもよい。この構成においても、
図17、
図18に示すように、実施の形態1の変形例1と同じ作用及び効果が得られる。
【0048】
(実施の形態1の変形例3)
図19は、実施の形態1の変形例3におけるソレノイドバルブの取付構造を模式的に示した図である。
図20は、N/O型のソレノイドバルブをN/C型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
図21は、N/C型のソレノイドバルブをN/O型のソレノイドバルブ用の嵌合孔に誤組付しようとした場合の作用を模式的に説明した図である。
【0049】
実施の形態1の変形例1では、ブラケット側干渉部としての第2延設部22cと第2延設部32cとがソレノイドバルブ21、31に対して同じ側に延設されている。しかし、
図19に示すように、ブラケット側干渉部としての第2延設部22cと第2延設部32cとを、ソレノイドバルブの種類に応じて、ソレノイドバルブ21、31を基準として互いに反対方向に延設してもよい。この構成においても、
図20、
図21に示すように、実施の形態1の変形例1と同じ作用及び効果が得られる。
【0050】
(まとめ)
以上説明した本実施形態のソレノイドバルブの取付構造は、以下の構成及び特徴を有する。
【0051】
すなわち、本実施形態のソレノイドバルブの取付構造は、
同じ外観で制御態様が異なる複数種類のソレノイドバルブ21、31を、バルブボディ10の同じ外観を有する複数の嵌合孔10a、10bに所定の対応関係でそれぞれ挿入して取付けるように構成されたソレノイドバルブの取付構造であって、
各ソレノイドバルブ21、31に、各ソレノイドバルブ21、31をバルブボディ10に固定するための取付ブラケット22、32が一体的に設けられ、
各取付ブラケット22、32及びバルブボディ10に、所定の対応関係にないソレノイドバルブ21、31と嵌合孔10a、10bとが嵌合された際に互いに干渉する第3延設部22d、32d(ブラケット側干渉部)及び突出壁10y、10z(バルブボディ側干渉部)が設けられている。
【0052】
これによれば、所定の対応関係にないソレノイドバルブと嵌合孔とが嵌合された際に、第3延設部22d、32d(ブラケット側干渉部)と突出壁10y、10z(バルブボディ側干渉部)とが干渉する。そのため、同じ外観で制御態様が異なる複数のソレノイドバルブ21、31の誤組付けを、取付ブラケット22、32を利用して確実に防止できる。
【0053】
また、本実施形態のソレノイドバルブの取付構造において、
各取付ブラケット22、32は、
ソレノイドバルブ21、31の本体部21a、31a(非挿入部)から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディ10のボス10c、10e(固定部)に固定される第1延設部22a、32aと、
第1延設部22a、32aの先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部22c、32cと、
第2延設部22c、32cの先端側からバルブボディ10側に延設された第3延設部22d、32dと、を備え、
第2延設部22c、32cの延設方向長さがソレノイドバルブ21、31の種類毎に異なり、
各取付ブラケット22、32のブラケット側干渉部は第3延設部22d、32dにより構成され、
突出壁10y、10zは、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブ21、31と嵌合孔10a、10bとが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブ21、31の第3延設部22d、32dと干渉するように配置されている。
【0054】
これによれば、簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【0055】
また、本実施形態のソレノイドバルブの取付構造において、
各取付ブラケット22、32は、
ソレノイドバルブ21、31の本体部21a、31a(非挿入部)から、挿入方向に交差するように延設されてバルブボディ10のボス10c、10e(固定部)に固定される第1延設部22a、32aと、
第1延設部22a、32aの先端側から、挿入方向に交差するように延設された第2延設部22c、32cと、を備え、
ソレノイドバルブ挿入方向に見たときの第2延設部22c、32cの延設方向がソレノイドバルブ21、31の種類毎に異なり、
各取付ブラケット22、23のブラケット側干渉部は第2延設部22c、32cにより構成され、
突出壁10y、10zは、種類が異なり所定の対応関係にないソレノイドバルブ21、31と嵌合孔10a、10bとが嵌合された際に、嵌合されたソレノイドバルブ21、31の第2延設部22c、32cと干渉するように配置されている。
【0056】
これによれば、簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【0057】
また、本実施形態のソレノイドバルブの取付構造において、
第2延設部22c、32cの延設方向長さがソレノイドバルブの種類毎に異なる。
【0058】
これによれば、簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【0059】
また、本実施形態のソレノイドバルブの取付構造において、
ソレノイドバルブの種類が2種類であり、
第2延設部22c、32cの延設方向がソレノイドバルブの種類に応じて互いに反対方向となるように構成されている。
【0060】
これによれば、簡単な構造で誤組付を確実に防止するブラケット側干渉部及びバルブボディ側干渉部の具体的一態様を提供できる。
【0061】
(その他の実施の形態)
前記実施の形態ではソレノイドバルブ21、31がON/OFFソレノイドバルブである場合を説明した。しかし、本発明において、ソレノイドバルブは、ON/OFFソレノイドバルブでなく、その他の種々のソレノイドバルブに適用できることはいうまでもない。また、ソレノイドバルブの種類が2種類でなく3種類以上の場合にも本発明は適用可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のソレノイドバルブの取付構造は、同じ外観で制御態様が異なる複数のソレノイドバルブをバルブボディの嵌合孔に挿入して取付けるように構成したソレノイドバルブを有する種々の装置において広く利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 トランスミッション
10 バルブボディ
10a 嵌合孔
10b 嵌合孔
10c ボス
10d ボルト孔
10e ボス
10f ボルト孔
10y 突出壁
10z 突出壁
20 ソレノイドバルブユニット
21 ソレノイドバルブ(ノーマルオープン型)
21a 本体部
21b 挿入部
22 取付ブラケット
22a 第1延設部
22b 取付部
22c 第2延設部
22d 第3延設部
22h ボルト挿通孔
30 ソレノイドバルブユニット
31 ソレノイドバルブ(ノーマルクローズ型)
31a 本体部
31b 挿入部
32 取付ブラケット
32a 第1延設部
32b 取付部
32c 第2延設部
32d 第3延設部
32h ボルト挿通孔
40 ボルト