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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/02 20060101AFI20220112BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20220112BHJP
   H01J 37/16 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H01J49/02
G01N27/62 B
G01N27/62 F
H01J37/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018136238
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2020013737
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄樹
【審査官】関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-363857(JP,A)
【文献】米国特許第05083021(US,A)
【文献】特開2010-182670(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0134324(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N27/60-27/70
27/92
H01J40/00-49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバを有する分析部と、
前記真空チャンバに取り付けられたポンプと、
前記分析部を支持するフレーム構造体とを備え、
前記フレーム構造体は、
互いに接続された複数のフレーム部材と、
前記真空チャンバが位置する第1の空間と前記ポンプの発熱部が位置する第2の空間とを区画する隔壁とを含み、
前記複数のフレーム部材は仕切りフレーム部材を含み、
前記仕切りフレーム部材は、
一方向に延びる主フレーム部と、
前記主フレーム部に一体的に設けられかつ前記隔壁の少なくとも一部を構成する仕切り部とを含み、
前記仕切り部は、前記主フレーム部と反対側の縁部に第1の開口を有し、
前記仕切りフレーム部材は、前記仕切り部の前記第1の開口を前記ポンプの少なくとも一部が通過するように他のフレーム部材に着脱可能に取り付けられ、前記他のフレームから取り外された場合に、前記ポンプから遠ざかる方向に前記フレーム構造体から引き出し可能に設けられた、分析装置。
【請求項2】
前記主フレーム部は、前記一方向に平行な第1および第2の辺を有し、
前記仕切り部は、前記主フレーム部に対して屈曲または湾曲するように前記主フレーム部の前記第1の辺に沿って設けられた、請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記仕切りフレーム部材は、前記主フレーム部に対して屈曲または湾曲するように前記主フレーム部の前記第2の辺に沿って設けられた補強部をさらに含む、請求項記載の分析装置。
【請求項4】
前記ポンプは、前記真空チャンバから水平方向に突出するように設けられ、
前記第1の空間と前記第2の空間とは水平方向に並ぶように配置され、
前記主フレーム部は、上下方向に延びるように設けられ、
前記仕切り部は、上下方向に延びるように前記主フレーム部に設けられた、請求項1~3のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記複数のフレーム部材は、上下方向に延びかつ前記真空チャンバを支持する複数の柱部材を含み、
前記仕切りフレーム部材は、前記複数の柱部材の一部を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記隔壁は、前記仕切りフレーム部材の前記仕切り部に隣接するように配置された仕切り板を含み、
前記仕切り板は、前記仕切り部に隣接する縁部に第2の開口を有し、
前記仕切り部の前記第1の開口および前記仕切り板の前記第2の開口により閉じた開口部が形成され、
前記ポンプは、前記閉じた開口部を通過するように配置された、請求項1~5のいずれか一項に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバを支持するフレーム構造体を有する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、質量分析装置は、真空チャンバ内にイオン源、イオンレンズ、四重極マスフィルタおよびイオン検出器等の構成要素を備える。真空チャンバの内部を高い真空状態に維持するためにターボ分子ポンプが用いられる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】再公表特許WO2013/168220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の質量分析装置では、真空チャンバがフレーム構造体により支持されている。ここで、フレーム構造体とは、柱および梁等の複数のフレーム部材により構成された構造体をいう。
【0005】
ターボ分子ポンプは、例えば、真空チャンバの側壁に取り付けられる。真空チャンバおよびターボ分子ポンプは大きな重量を有するため、フレーム構造体は多数のフレーム部材を溶接することにより作製される。各フレーム部材は板金により形成される。
【0006】
測定時には、真空チャンバは一定の温度に調整される。ターボ分子ポンプは発熱するため、ターボ分子ポンプの発熱部の熱を真空チャンバから遮断するために、フレーム構造体においてターボ分子ポンプの発熱部が位置する空間と真空チャンバが位置する空間とを仕切る仕切り板が設けられる。
【0007】
ターボ分子ポンプのメンテナンス時には、ターボ分子ポンプをフレーム構造体から外部に取り外す必要がある。しかしながら、ターボ分子ポンプの周囲には、一部のフレーム部材および仕切り板が存在するため、ターボ分子ポンプの取り外し作業が煩雑となる。それにより、ターボ分子ポンプのメンテナンス性の向上が求められる。
【0008】
本発明の目的は、フレーム構造体内のポンプのメンテナンス性が向上された分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る分析装置は、真空チャンバを有する分析部と、真空チャンバに取り付けられたポンプと、分析部を支持するフレーム構造体とを備え、フレーム構造体は、互いに接続された複数のフレーム部材と、真空チャンバが位置する第1の空間とポンプの発熱部が位置する第2の空間とを区画する隔壁とを含み、複数のフレーム部材は仕切りフレーム部材を含み、仕切りフレーム部材は、一方向に延びる主フレーム部と、主フレーム部に一体的に設けられかつ隔壁の少なくとも一部を構成する仕切り部とを含み、仕切り部は、主フレーム部と反対側の縁部に第1の開口を有し、仕切りフレーム部材は、仕切り部の第1の開口をポンプの少なくとも一部が通過するように他のフレーム部材に着脱可能に取り付けられ、他のフレームから取り外された場合に、ポンプから遠ざかる方向にフレーム構造体から引き出し可能に設けられる。
【0010】
その分析装置においては、分析部の真空チャンバにポンプが取り付けられている。フレーム構造体の仕切りフレーム部材の主フレーム部は他のフレーム部材とともに分析部を支持する。また、仕切りフレーム部材の仕切り部は、分析部の真空チャンバが位置する第1の空間とポンプの発熱部が位置する第2の空間とを区画する。ポンプの少なくとも一部は仕切り部の第1の開口を通過する。このような構成により、ポンプの発熱部から真空チャンバへの熱の移動が遮断される。
【0011】
メンテナンス時には、作業者は、仕切りフレーム部材を他のフレーム部材から取り外し、ポンプから遠ざかる方向にフレーム構造体から引き出すことができる。それにより、ポンプの周囲に作業空間が形成される。この場合、主フレーム部と仕切り部とが一体化されているので、主フレームおよび仕切り部を同時に引き出すことができる。その結果、ポンプのメンテナンス性が向上される。
【0012】
(2)主フレーム部は、一方向に平行な第1および第2の辺を有し、仕切り部は、主フレーム部に対して屈曲または湾曲するように主フレーム部の第1の辺に沿って設けられてもよい。この場合、仕切りフレーム部材の構成が単純化される。
【0013】
(3)仕切りフレーム部材は、主フレーム部に対して屈曲または湾曲するように主フレーム部の第2の辺に沿って設けられた補強部をさらに含んでもよい。この場合、仕切りフレーム部材の全体の剛性が向上する。
【0014】
(4)ポンプは、真空チャンバから水平方向に突出するように設けられ、第1の空間と第2の空間とは水平方向に並ぶように配置され、主フレーム部は、上下方向に延びるように設けられ、仕切り部は、上下方向に延びるように主フレーム部に設けられてもよい。この場合、仕切りフレーム部材の主フレーム部により分析部の重量が支持され、仕切り部により水平方向の熱の移動が遮断される。
【0015】
(5)複数のフレーム部材は、上下方向に延びかつ真空チャンバを支持する複数の柱部材を含み、仕切りフレーム部材は、複数の柱部材の一部を構成してもよい。この場合、仕切りフレーム部材をフレーム構造体から引き出すことにより柱部材の一部を仕切り部とともにポンプの周囲から容易に取り除くことができる。
【0016】
(6)隔壁は、仕切りフレーム部材の仕切り部に隣接するように配置された仕切り板を含み、仕切り板は、仕切り部に隣接する縁部に第2の開口を有し、仕切り部の第1の開口および仕切り板の第2の開口により閉じた開口部が形成され、ポンプは、閉じた開口部を通過するように配置されてもよい。
【0017】
この場合、仕切り部の第1の開口と仕切り板の第2の開口とにより形成された開口部をポンプが通過する。それにより、ポンプの周囲における熱の移動を十分に遮断することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フレーム構造体内のポンプのメンテナンス性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係る分析装置の斜視図である。
図2図1の分析装置におけるフレーム構造体の斜視図である。
図3図1の分析装置の正面図である。
図4図1の分析装置の左側面図である。
図5】仕切りフレーム部材、仕切り板および柱部材を示す斜視図である。
図6】仕切りフレーム部材と柱部材とが連結された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る分析装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(1)分析装置の全体の構成
図1は本発明の一実施の形態に係る分析装置の斜視図である。図2図1の分析装置におけるフレーム構造体の斜視図である。図1および図2ならびに後述する図3図6において、互いに直交する3方向を矢印で表す。本実施の形態では、矢印Xの方向を前方と定義し、矢印Yの方向を一側方(左方)と定義し、矢印Zの方向を上方と定義する。
【0022】
図1の分析装置100は、分析部1およびフレーム構造体2を備える。分析部1は、例えば、高速液体クロマトグラフ質量分析計である。分析部1は、イオン化部11、真空チャンバ12およびターボ分子ポンプ13を含む。イオン化部11内にはイオン源が設けられている。真空チャンバ12は、チャンバ支持部12aおよびチャンバ本体部12bにより構成される。真空チャンバ12内には、イオンレンズ、四重極マスフィルタおよびイオン検出器等が設けられている。
【0023】
イオン化部11は、チャンバ支持部12aから水平方向に延びるように設けられている。チャンバ本体部12bはチャンバ支持部12aから下方に延びるように設けられている。ターボ分子ポンプ13は、チャンバ本体部12bの側壁から水平方向に突出するように設けられている。本実施の形態では、ターボ分子ポンプ13は、チャンバ本体部12bの側壁から左方に突出するように設けられている。分析部1はフレーム構造体2により支持される。
【0024】
フレーム構造体2は、複数のフレーム部材を溶接等により接続することにより作製される。各フレーム部材は、例えば板金加工により形成される。図2に示すように、複数のフレーム部材は、複数の柱部材21,22,23、複数の底部材24、複数の梁部材25、支持板26,27、棚板28および仕切りフレーム部材30を含む。仕切りフレーム部材30の構造および機能については図5および図6を用いて後述する。
【0025】
1対の底部材24は互いに平行かつ左右方向に延びるように配置されている。1対の底部材24の両端部に垂直方向に延びる4つの柱部材21が接続されている。前方の底部材24の中間部に垂直方向に延びるように仕切りフレーム部材30および柱部材22が取り付けられている。仕切りフレーム部材30は、柱部材22の下端および底部材24に着脱可能に連結されている。後方の底部材24の中間部に垂直方向に延びるように柱部材23が接続されている。
【0026】
左の1対の柱部材21の上端および中間の柱部材22,23の側部に支持板26が水平に接続されている。左の1対の柱部材21の側部および中間の柱部材22,23の側部に棚板28が水平に接続されている。右の1対の柱部材21の上端および中間の柱部材22,23の上端に支持板27が水平に接続されている。支持板27には、円形の開口50が形成されている。以下、支持板27の下方の空間を空間SP1と呼ぶ。棚板28の下方の空間を空間SP2と呼び、支持板26と棚板28との間の空間を空間SP3と呼ぶ。
【0027】
図1に示すように、分析部1のチャンバ本体部12bが空間SP1内で上下方向に延びるようにチャンバ支持部12が支持板27上に支持されている。分析部1のイオン化部11は、支持板26上に支持されている。棚板28上には、例えば電源装置(図示せず)および制御基板(図示せず)等が配置される。
【0028】
図3図1の分析装置100の正面図である。図4図1の分析装置100の左側面図である。図3に示される空間SP1と空間SP3とを区画するように図4の仕切り板41が設けられている。仕切り板41は、柱部材22および柱部材23(図2参照)に取り付けられている。
【0029】
図3に示すように、ターボ分子ポンプ13は、空間SP1から空間SP2へ突出するように配置されている。ターボ分子ポンプ13の発熱部13aは空間SP2に位置する。図3の空間SP1と空間SP2とを区画するように仕切り板40および仕切り部32(図4)が設けられている。仕切り板40は、図1の柱部材23、底部材24および棚板28に取り付けられている。仕切り部32は、仕切りフレーム部材30の一部を構成する。
【0030】
図4に示される仕切り部30および仕切り板40,41が空間SP1を空間SP2,SP3から区画する隔壁を構成する。仕切り部32には、半円形の開口(切り欠き)39が形成されている。仕切り板40には、半円形の開口(切り欠き)43が形成されている。仕切り部32の開口39および仕切り板40の開口43により閉じた円形の開口部60が形成される。ターボ分子ポンプ13は開口部60を通過する。
【0031】
(2)仕切りフレーム部材30の構成
図5は仕切りフレーム部材30、仕切り板40,41および柱部材22を示す斜視図である。図5に示すように、仕切りフレーム部材30は、例えば板金加工により作製され、平板状の主フレーム部31、平板状の仕切り部32および平板状の補強部33を含む。主フレーム部31は、長尺の長方形状を有し、互いに平行でかつ上下方向に延びる第1の辺31aおよび第2の辺31bを有する。
【0032】
仕切り部32は、長方形状を有し、主フレーム部31に対して直角に屈曲するように主フレーム部31の第1の辺31aに沿って設けられている。仕切り部32の下端には、仕切り部32に対して直角に屈曲するように水平な平板状の取り付け部34が設けられている。取り付け部34は、水平方向に延びるように形成されている。
【0033】
仕切り部32の上端には、垂直な平板状の取り付け部36が設けられている。取り付け部36は、仕切り部32の上端が上方に延長されかつ水平方向に延びるように形成されている。取り付け部36の後端には、取り付け部36に対して直角に屈曲するように平板状の取り付け部37が設けられている。主フレーム部31と反対側における仕切り部32の上下方向の縁には、第1の開口としての半円形の開口(切り欠き)39が形成されている。
【0034】
補強部33は、長尺の長方形状を有し、主フレーム部31に対して直角に屈曲するように主フレーム部31の第2の辺31bに沿って設けられている。補強部33の前後方向の幅は、仕切り部32の前後方向の幅よりも小さい。仕切り部32と補強部33とは互いに平行に形成されている。仕切り部32と補強部33とは対向する。補強部33の下端には、補強部33に対して直角に屈曲するように水平な平板状の取り付け部35が設けられている。補強部33の上端には、垂直な平板状の取り付け部38が設けられている。取り付け部38は、補強部33から上方に突出するように垂直に形成されている。
【0035】
主フレーム部31と仕切り部32との境界の下端には切り欠きn1が形成されている。主フレーム部31と補強部33との境界の下端には切り欠きn2が形成されている。取り付け部36の前端には切り欠きn3が形成され、取り付け部38の前端には切り欠きn4が形成されている。主フレーム部31の上端の高さは、切り欠きn3,n4の下端の高さに等しい。
【0036】
取り付け部34にはネジ孔H1が形成され、取り付け部35にはネジ孔H2が形成されている。取り付け部36にはネジ孔H3,H4が形成され。取り付け部37にはネジ孔H5が形成され、取り付け部38にはネジ孔H6が形成されている。
【0037】
柱部材22は、長尺の長方形状の主フレーム部22aおよび長尺の長方形状の補強部22b,22cを含む。主フレーム部22aは上下方向に延びる2辺を有する。補強部22bは、主フレーム部22aに対して直角に屈曲するように主フレーム部22aの一辺に沿って設けられている。補強部22cは、主フレーム部22aに対して直角に屈曲するように主フレーム部22aの他辺に沿って設けられている。
【0038】
補強部22bおよび棚板28に仕切り板41が取り付けられる。仕切りフレーム部材30の仕切り部32に隣接するように仕切り板40が配置される。仕切り部32に隣接する仕切り板40の上下方向の縁には、第2の開口として半円形の開口43が形成されている。仕切り板40の前端の上部には、平板状の取り付け部42が仕切り板40に対して直角に屈曲するように設けられている。補強部22bの下端近傍にネジ孔H7が形成され、仕切り板41の下端近傍にネジ孔H8が形成されている。取り付け部42にネジ孔H9が形成され、補強部22cにネジ孔H10が形成されている。
【0039】
(3)仕切りフレーム部材30の取り付けおよび取り外し方法
図6は仕切りフレーム部材30と柱部材22とが連結された状態を示す正面図である。図6に示すように、フレーム構造体2への仕切りフレーム部材30の取り付け時には、仕切りフレーム部材30の上端が柱部材22の下端に嵌め込まれるとともに、仕切りフレーム部材30の下端が底部材24上に位置決めされる。それにより、仕切りフレーム部材30の取り付け部36,38の内側面が柱部材22の補強部22b,22cの外側面に接する。
【0040】
また、仕切りフレーム部材30の取り付け部37の後面が取り付け部42の前面に接する。このとき、図5の仕切りフレーム部材30のネジ孔H3,H4,H5,H6が柱部材22のネジ孔H7、仕切り板41のネジ孔H8、取り付け部42のネジ孔H9および柱部材22のネジ孔H10にそれぞれ重なる。
【0041】
この状態で、図5の取り付け部34,35のネジ孔H1,H2を通して図6のネジB1,B2が底部材24に取り付けられる。また、図6に示すように、ネジB3~B6がそれぞれ重なったネジ孔に取り付けられる。それにより、仕切りフレーム部材30が柱部材22、底部材24および仕切り板40,41に取り付けられる。
【0042】
フレーム構造体2からの仕切りフレーム部材30の取り外し時には、ネジB1~B6が取り外される。それにより、仕切りフレーム部材30が柱部材22、底部材24および仕切り板40,41から取り外される。この状態で、図1に矢印Aで示すように、作業者が仕切りフレーム部材30をフレーム構造体2の前方に引き出す。
【0043】
(4)実施の形態の効果
本実施の形態に係る分析装置100においては、フレーム構造体2の仕切りフレーム部材30の主フレーム部31が他のフレーム部材とともに分析部1を支持する。また、仕切りフレーム部材30の仕切り部32は、分析部1の真空チャンバ12が位置する空間SP1とターボ分子ポンプ13の発熱部13aが位置する空間SP2とを区画する。この場合、ターボ分子ポンプ13は仕切り部32の開口39および仕切り板40の開口43を通過する。このような構成により、ターボ分子ポンプ13の発熱部13aと真空チャンバ12とが熱的に遮断される。
【0044】
メンテナンス時には、作業者は、仕切りフレーム部材30を柱部材22、底部材24および仕切り板40,41から取り外し、ターボ分子ポンプ13から遠ざかるようにフレーム構造体2の前方に引き出すことができる。それにより、ターボ分子ポンプ13の前方に障害物が存在しない。したがって、ターボ分子ポンプ13を真空チャンバ12から容易に取り外すことができるとともに、ターボ分子ポンプ13を真空チャンバ12に容易に取り付けることができる。その結果、ターボ分子ポンプ13のメンテナンス性が向上される。
【0045】
(5)他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、仕切りフレーム部材30の仕切り部32が主フレーム部31に対して直角に屈曲するように設けられているが、仕切り部32が主フレーム部31に対して湾曲するように設けられてもよい。この場合、主フレーム部31と仕切り部32とが曲面で連続していてもよく、主フレーム部31と補強部33とが曲面で連続していてもよい。また、主フレーム部30は、平板状ではなく、湾曲した板状に形成されてもよい。例えば、主フレーム部30が半円筒状に形成されてもよい。
【0046】
(b)上記実施の形態では、仕切りフレーム部材30の補強部33が長尺の長方形状に形成されるが、補強部33の形状はこれに限定されない。例えば、補強部33が仕切り部39と同一または類似の形状に形成されてもよい。この場合、補強部33にも、ターボ分子ポンプ13の少なくとも一部が通過可能な開口が形成される。
【0047】
(c)上記実施の形態では、仕切りフレーム部材30の開口39および仕切り板40の開口43がそれぞれ半円形状に形成されているが、開口39,43の形状はこれに限定されない。例えば、開口39,43が矩形状、台形状、多角形状または半楕円形状等の他の形状を有してもよい。この場合、開口部60の形状は、矩形状、多角形状または楕円形状等の閉じた形状となる。なお、開口39,43は、ターボ分子ポンプ13の断面の外形に近い形状を有することが好ましい。それにより、空間SP1と空間SP2との間での熱の移動が十分に遮断される。
【0048】
(d)上記実施の形態では、仕切りフレーム部材30が上下方向に延びるように形成されているが、仕切りフレーム部材30の方向はこれに限定されない。例えば、ターボ分子ポンプ13が真空チャンバ12から上下方向に突出するように設けられる場合には、仕切りフレーム部材30が水平方向に配置されてもよい。この場合、仕切りフレーム部材30は梁部材の一部として用いられる。
【0049】
(e)上記実施の形態では、真空チャンバ12に取り付けられるポンプとしてターボ分子ポンプ13が用いられるが、ポンプとして他の真空ポンプが用いられてもよい。
【0050】
(f)上記実施の形態では、分析部1が高速液体クロマトグラフ質量分析計であるが、分析部1はこれに限られない。分析部1が他の種類の質量分析機器であってもよく、真空チャンバを用いる他の分析機器であってもよい。例えば、分析部1が電子線マイクロアナライザ(EPMA)であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…分析部,2…フレーム構造体,11…イオン化部,12…真空チャンバ,12,12a…チャンバ支持部,12b…チャンバ本体部,13…ターボ分子ポンプ,13a…発熱部,21,22,23…柱部材,22a,31…主フレーム部,22b,22c,33…補強部,24…底部材,25…梁部材,26,27…支持板,28…棚板,30…フレーム部材,31a,31b…辺,32…仕切り部,34,35,36,37,38,42…取り付け部,34,B1~B6…ネジ,39,50…開口,40,41…仕切り板,100…分析装置,H1~H10…ネジ孔,n3,n4…切り欠き,SP1,SP2,SP3…空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6