(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20220112BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20220112BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
F04B39/00 106A
F04B39/12 F
F04C29/00 T
(21)【出願番号】P 2018204017
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】門間 健司
(72)【発明者】
【氏名】江波 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】矢野 順也
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-047139(JP,A)
【文献】特開2016-098664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 39/12
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の回転によって流体を圧縮する圧縮部と、
前記回転軸を回転させる電動モータと、
前記電動モータを駆動する回路基板を有する駆動回路と、
前記回路基板を収容する収容室を有するハウジングと、
外部コネクタが接続される筒状のコネクタ接続部と、
一端が前記外部コネクタに電気的に接続されるとともに他端が前記回路基板に電気的に接続されるバスバーと、を備え、
前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記駆動回路は、前記駆動回路が前記回転軸の軸線方向の一端に位置するように前記回転軸の軸線方向に並んで配置されており、前記コネクタ接続部が前記ハウジングに対して前記回転軸の径方向外側に位置するとともに前記コネクタ接続部の開口部が前記回転軸の軸線方向において前記圧縮部及び前記電動モータとは反対側に向いている電動圧縮機であって、
前記コネクタ接続部が一体形成されるとともに前記バスバーの一端が前記開口部に臨んだ状態で前記バスバーを保持する樹脂部と、
前記樹脂部の外面に一体化された金属板と、を有するコネクタ部材を備え、
前記ハウジングには、前記収容室の内外を連通するとともに、前記回転軸の軸線方向において前記圧縮部及び前記電動モータに向かって開口する貫通孔が形成され、
前記ハウジングにおける前記貫通孔の周囲には雌ねじ孔が形成され、
前記金属板には、締結ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、
前記コネクタ部材は、前記バスバーの他端部が前記貫通孔に挿入されるとともに前記ボルト挿通孔に挿通された前記締結ボルトが前記雌ねじ孔に螺合されて前記ハウジングに締結され、前記バスバーの他端部が前記貫通孔を通過して前記回路基板に接続されていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記ハウジングは、
前記圧縮部及び前記電動モータを収容するモータハウジングと、
前記モータハウジングに取り付けられるとともに前記収容室を有するインバータケースと、を含み、
前記貫通孔は、前記インバータケースに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、回転軸の回転によって流体を圧縮する圧縮部と、回転軸を回転させる電動モータと、電動モータを駆動する回路基板を有する駆動回路と、回転軸、圧縮部、電動モータ、及び駆動回路を収容するハウジングと、を備えている。回路基板は、ハウジング内に形成される収容室内に収容されている。そして、圧縮部、電動モータ、及び駆動回路は、駆動回路が回転軸の軸線方向の一端に位置するように回転軸の軸線方向に並んで配置されている。また、電動圧縮機は、外部コネクタが接続される筒状のコネクタ接続部と、一端が外部コネクタに電気的に接続されるとともに他端が回路基板に電気的に接続されるバスバーと、を備えている。
【0003】
図7に示すように、例えば特許文献1の電動圧縮機100では、ハウジング101の外周面にコネクタ設置部102が形成されている。コネクタ接続部103は、ハウジング101に対して回転軸100aの径方向外側に位置するとともにコネクタ接続部103の開口部103aが回転軸100aの軸線方向において圧縮部104及び電動モータ105とは反対側を向くようにコネクタ設置部102に固定されている。駆動回路106の回路基板106aと外部コネクタとを電気的に接続するバスバー107は、コネクタ設置部102に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電動圧縮機100では、まず、バスバー107をコネクタ設置部102に固定し、その後、コネクタ接続部103をコネクタ設置部102に対して固定する必要があるため、組み付け作業性が悪い。また、バスバー107及びコネクタ接続部103それぞれが別々にコネクタ設置部102に固定されているため、それぞれの部品の耐震性が悪い。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、組み付け作業性を向上でき、且つ耐震性を向上させることができる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電動圧縮機は、回転軸の回転によって流体を圧縮する圧縮部と、前記回転軸を回転させる電動モータと、前記電動モータを駆動する回路基板を有する駆動回路と、前記回路基板を収容する収容室を有するハウジングと、外部コネクタが接続される筒状のコネクタ接続部と、一端が前記外部コネクタに電気的に接続されるとともに他端が前記回路基板に電気的に接続されるバスバーと、を備え、前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記駆動回路は、前記駆動回路が前記回転軸の軸線方向の一端に位置するように前記回転軸の軸線方向に並んで配置されており、前記コネクタ接続部が前記ハウジングに対して前記回転軸の径方向外側に位置するとともに前記コネクタ接続部の開口部が前記回転軸の軸線方向において前記圧縮部及び前記電動モータとは反対側に向いている電動圧縮機であって、前記コネクタ接続部が一体形成されるとともに前記バスバーの一端が前記開口部に臨んだ状態で前記バスバーを保持する樹脂部と、前記樹脂部の外面に一体化された金属板と、を有するコネクタ部材を備え、前記ハウジングには、前記収容室の内外を連通するとともに、前記回転軸の軸線方向において前記圧縮部及び前記電動モータに向かって開口する貫通孔が形成され、前記ハウジングにおける前記貫通孔の周囲には雌ねじ孔が形成され、前記金属板には、締結ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記コネクタ部材は、前記バスバーの他端部が前記貫通孔に挿入されるとともに前記ボルト挿通孔に挿通された前記締結ボルトが前記雌ねじ孔に螺合されて前記ハウジングに締結され、前記バスバーの他端部が前記貫通孔を通過して前記回路基板に接続されている。
【0008】
これによれば、金属板のボルト挿通孔に挿通された締結ボルトを雌ねじ孔に螺合するだけで、バスバーの一端をコネクタ接続部の開口部に臨んだ状態で保持する樹脂部を有するコネクタ部材をハウジングに締結することができる。そして、バスバーの他端部を、貫通孔を通過させて回路基板に接続することができる。コネクタ部材の樹脂部には、コネクタ接続部が一体形成されるとともにバスバーが保持されているため、従来技術のように、まず、バスバーをハウジングに固定し、その後、コネクタ接続部をハウジングに対して固定するといった別工程が不要となる。したがって、組み付け作業性が向上する。また、コネクタ部材の樹脂部には、コネクタ接続部が一体形成されるとともにバスバーが保持されているため、従来技術のように、バスバー及びコネクタ接続部それぞれが別々にハウジングに固定されている場合に比べると、それぞれの部品の耐震性が向上する。以上のことから、組み付け作業性を向上でき、且つ耐震性を向上させることができる。
【0009】
上記電動圧縮機において、前記ハウジングは、前記圧縮部及び前記電動モータを収容するモータハウジングと、前記モータハウジングに取り付けられるとともに前記収容室を有するインバータケースと、を含み、前記貫通孔は、前記インバータケースに形成されているとよい。
【0010】
これによれば、収容室に回路基板が収容されたインバータケースをモータハウジングから取り外した状態で、コネクタ部材をハウジングに締結することができるため、組み付け作業性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、組み付け作業性を向上でき、且つ耐震性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態における電動圧縮機を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、電動圧縮機10のハウジング11は、有底筒状のモータハウジング12と、有底筒状の吐出ハウジング13と、扁平箱状のインバータケース14と、を有している。よって、ハウジング11は、モータハウジング12と、インバータケース14と、を含む。モータハウジング12、吐出ハウジング13、及びインバータケース14は、金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。
【0014】
モータハウジング12は、底壁12aと、底壁12aの外周縁から筒状に延設する周壁12bと、を有している。吐出ハウジング13は、モータハウジング12の周壁12bにおける底壁12aとは反対側に連結されている。そして、吐出ハウジング13は、モータハウジング12における底壁12aとは反対側の開口を閉塞している。インバータケース14は、モータハウジング12の底壁12aの外面に対して、図示しないボルトによって取り付けられている。
【0015】
モータハウジング12内には、回転軸15と、回転軸15の回転によって流体である冷媒を圧縮する圧縮部16と、回転軸15を回転させて圧縮部16を駆動する電動モータ17と、が収容されている。回転軸15は、モータハウジング12に回転可能に支持されている。圧縮部16は、例えば、モータハウジング12内に固定された図示しない固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される図示しない可動スクロールと、から構成されるスクロール式である。なお、圧縮部16は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
【0016】
電動モータ17は、回転軸15に固定されて回転軸15と一体的に回転するロータ17aと、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されるとともにロータ17aを取り囲むステータ17bとから構成されている。ステータ17bのティースには、コイル18が巻回されている。そして、コイル18に電力が供給されることによりロータ17a及び回転軸15が回転する。
【0017】
モータハウジング12の周壁12bには、吸入口12hが形成されている。また、吐出ハウジング13には、吐出口13hが形成されている。吸入口12hには外部冷媒回路19の一端が接続されている。吐出口13hには外部冷媒回路19の他端が接続されている。そして、外部冷媒回路19から吸入口12hを介してモータハウジング12内に冷媒が吸入され、モータハウジング12内に吸入された冷媒は、圧縮部16によって圧縮される。圧縮部16によって圧縮された冷媒は、吐出ハウジング13内に吐出されるとともに吐出口13hを介して外部冷媒回路19に吐出され、外部冷媒回路19の熱交換器や膨張弁を経て、吸入口12hを介してモータハウジング12内に還流される。電動圧縮機10及び外部冷媒回路19は、車両空調装置20を構成している。
【0018】
インバータケース14は、有底筒状のケース本体21と、有底筒状のカバー22と、を有している。ケース本体21は、底壁21aと、底壁21aの外周縁から筒状に延設する周壁21bと、を有している。そして、ケース本体21は、ケース本体21の底壁21aの外面が、モータハウジング12の底壁12aの外面に接触した状態で、モータハウジング12に取り付けられている。
【0019】
カバー22は、底壁22aと、底壁22aの外周縁から筒状に延設する周壁22bと、を有している。カバー22の周壁22bは、ケース本体21の周壁21bに沿って延びている。そして、カバー22は、カバー22の周壁22bにおける底壁22aとは反対側の端部とケース本体21の周壁21bにおける底壁21aとは反対側の端部との間にガスケット23を介在させた状態で、ケース本体21に取り付けられている。これにより、ケース本体21の周壁21bにおける底壁21aとは反対側の開口は、カバー22によって閉塞されている。そして、ケース本体21及びカバー22によって収容室24が区画されている。よって、インバータケース14は、収容室24を有している。
【0020】
ガスケット23は、ケース本体21の周壁21bにおける底壁21aとは反対側の端部、及びカバー22の周壁22bにおける底壁22aとは反対側の端部に沿って延びる環状である。そして、ガスケット23は、ケース本体21の周壁21bにおける底壁21aとは反対側の端部とカバー22の周壁22bにおける底壁22aとは反対側の端部との間をシールしている。よって、ガスケット23は、収容室24とインバータケース14の外部との間をシールしている。
【0021】
収容室24内には、電動モータ17を駆動する回路基板25を有する駆動回路26が収容されている。よって、収容室24は、回路基板25を収容する。したがって、ハウジング11は、回路基板25を収容する収容室24を有している。そして、圧縮部16、電動モータ17、及び駆動回路26は、この順で、回転軸15の軸線方向に並んで配置されている。駆動回路26は、圧縮部16及び電動モータ17よりも回転軸15の軸線方向の一端に位置している。
【0022】
ケース本体21の底壁21aには、導電部材挿通孔21cが形成されている。また、モータハウジング12の底壁12aには、ケース本体21の導電部材挿通孔21cに連通する導電部材挿通孔12cが形成されている。さらに、ケース本体21の底壁21aには、電動モータ17と駆動回路26とを電気的に接続するための導電部材27が設けられている。導電部材27は、支持板28を介してケース本体21の底壁21aの内面に支持されている。
【0023】
導電部材27は、ケース本体21の導電部材挿通孔21c及びモータハウジング12の導電部材挿通孔12cを通過して収容室24からモータハウジング12内に突出している。そして、導電部材27は、モータハウジング12内に配置されたクラスタブロック29を介して、電動モータ17から引き出されたモータ配線17cと電気的に接続されている。
【0024】
電動圧縮機10は、インバータケース14に設けられるコネクタ設置部30と、コネクタ設置部30に固定されるコネクタ部材40と、を備えている。よって、ハウジング11は、コネクタ設置部30を備えている。コネクタ設置部30は、ケース本体21の外周部の一部分である。コネクタ設置部30は、回転軸15の軸線方向で圧縮部16及び電動モータ17側に向くコネクタ設置面31を有している。
【0025】
図2に示すように、コネクタ設置面31は、ケース本体21の底壁21aの外面におけるモータハウジング12の底壁12aの外面と接触する部分よりもカバー22寄りに位置している。コネクタ設置面31は、回転軸15の径方向に延びる平坦面状である。コネクタ設置部30には、貫通孔32が形成されている。よって、貫通孔32は、インバータケース14に形成されている。貫通孔32の一端は、収容室24に連通している。貫通孔32の他端は、コネクタ設置面31に開口している。よって、貫通孔32は、収容室24の内外を連通するとともに、回転軸15の軸線方向において圧縮部16及び電動モータ17に向かって開口している。回路基板25の一部分は、貫通孔32に臨んでいる。
【0026】
コネクタ部材40は、バスバー50、樹脂部60、及び金属板70を有している。樹脂部60には、外部コネクタCNが接続される有底筒状のコネクタ接続部61が一体形成されている。コネクタ接続部61は、底壁61aと、底壁61aの外周縁から筒状に延びる周壁61bと、を有している。また、樹脂部60は、コネクタ接続部61の底壁61aにおける周壁61bとは反対側に連続するとともにコネクタ接続部61の軸線方向に対して直交する方向に延びる延設部62を有している。さらに、樹脂部60は、コネクタ設置部30の貫通孔32に挿入される挿入部63を有している。挿入部63は、延設部62におけるコネクタ接続部61に連続する外面62aから突出している。コネクタ接続部61と挿入部63とは互いに平行に延びている。コネクタ接続部61、延設部62、及び挿入部63を有する樹脂部60は、全体としてU字形状である。
【0027】
挿入部63の外周面には、環状のシール部材64が装着されている。シール部材64は、挿入部63の外周面と貫通孔32の内周面との間をシールする。よって、シール部材64は、収容室24とインバータケース14の外部との間をシールしている。シール部材64は、例えば、グロメットである。
【0028】
樹脂部60は、3つのバスバー50を保持している。各バスバー50は、樹脂部60に樹脂モールドされている。各バスバー50は、コネクタ接続部61に沿って延びる第1延在部51と、樹脂部60の延設部62に沿って延びる第2延在部52と、挿入部63に沿って延びる第3延在部53と、から形成されている。第1延在部51と第2延在部52とは連続しているとともに、第2延在部52と第3延在部53とは連続している。よって、各バスバー50は、全体としてU字形状である。
【0029】
第1延在部51における第2延在部52とは反対側の端部以外の部位は、コネクタ接続部61の底壁61aの内部、及び延設部62の内部に埋設されている。そして、第1延在部51における第2延在部52とは反対側の端部は、底壁61aから突出してコネクタ接続部61の周壁61bの内側に位置している。
【0030】
第2延在部52は、樹脂部60の延設部62の内部に埋設されている。第3延在部53における第2延在部52とは反対側の端部以外の部位は、挿入部63の内部に埋設されている。そして、第3延在部53における第2延在部52とは反対側の端部は、挿入部63における延設部62とは反対側の端面63aから突出している。挿入部63における延設部62とは反対側の端面63aは、挿入部63における貫通孔32に対する挿入方向に位置する端面である。
【0031】
第1延在部51は、バスバー50の一端部である。よって、樹脂部60は、バスバー50の一端がコネクタ接続部61の開口部61eに臨んだ状態でバスバー50を保持している。第3延在部53は、バスバー50の他端部である。よって、バスバー50の他端は、挿入部63における貫通孔32に対する挿入方向に位置する端面から突出している。そして、バスバー50の一端は、外部コネクタCNに電気的に接続されている。バスバー50の他端は、回路基板25に電気的に接続されている。
【0032】
図3及び
図4に示すように、金属板70は、延設部62の外面62aに一体化されている。よって、金属板70は、樹脂部60の外面62aに一体化されている。金属板70は、樹脂部60に樹脂モールドされることにより樹脂部60の外面62aに一体化されている。
【0033】
金属板70は、薄板平板状である。金属板70には、樹脂部60の挿入部63が通過する孔70aが形成されている。また、金属板70は、金属板70を平面視したときに、延設部62の外面62aからはみ出している部分であるはみ出し部70fを二つ有している。二つのはみ出し部70fは、金属板70における孔70aを挟んだ両側に位置する部分にそれぞれ配置されている。
【0034】
各はみ出し部70fには、締結ボルト71が挿通されるボルト挿通孔70hがそれぞれ形成されている。よって、金属板70には、締結ボルト71が挿通されるボルト挿通孔70hが二つ形成されている。そして、二つのボルト挿通孔70hは、金属板70における孔70aを挟んだ両側に位置する部分にそれぞれ形成されている。各ボルト挿通孔70hは、円孔状であるとともに、各はみ出し部70fを金属板70の厚み方向に貫通している。
【0035】
図5及び
図6に示すように、コネクタ設置面31における貫通孔32の周囲には雌ねじ孔33が二つ形成されている。各雌ねじ孔33には、各ボルト挿通孔70hに挿通された各締結ボルト71がそれぞれ螺合される。
【0036】
図6に示すように、コネクタ部材40は、挿入部63が貫通孔32に挿入されるとともに各ボルト挿通孔70hに挿通された各締結ボルト71が各雌ねじ孔33に螺合されて金属板70がコネクタ設置面31に接触した状態で締結されることにより、コネクタ設置部30に締結されている。そして、
図2に示すように、バスバー50の他端部が貫通孔32を通過して回路基板25における貫通孔32に臨む部分に接続されている。コネクタ部材40がコネクタ設置部30に固定された状態において、コネクタ接続部61は、インバータケース14に対して回転軸15の径方向外側に位置するとともにコネクタ接続部61の開口部61eが回転軸15の軸線方向において圧縮部16及び電動モータ17とは反対側に向いている。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。
コネクタ部材40の樹脂部60には、コネクタ接続部61が一体形成されるとともにバスバー50が保持されているため、例えば、バスバー50及びコネクタ接続部61それぞれが別々にコネクタ設置部30に固定されている場合に比べると、それぞれの部品の耐震性が向上する。
【0038】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)金属板70の各ボルト挿通孔70hに挿通された各締結ボルト71を各雌ねじ孔33に螺合するだけで、バスバー50の一端をコネクタ接続部61の開口部61eに臨んだ状態で保持する樹脂部60を有するコネクタ部材40をコネクタ設置部30に締結することができる。そして、バスバー50の他端部を、貫通孔32を通過させて回路基板25に接続することができる。コネクタ部材40の樹脂部60には、コネクタ接続部61が一体形成されるとともにバスバー50が保持されているため、従来技術のように、まず、バスバー50をコネクタ設置部30に固定し、その後、コネクタ接続部61をコネクタ設置部30に対して固定するといった別工程が不要となる。したがって、組み付け作業性が向上する。また、コネクタ部材40の樹脂部60には、コネクタ接続部61が一体形成されるとともにバスバー50が保持されているため、従来技術のように、バスバー50及びコネクタ接続部61それぞれが別々にコネクタ設置部30に固定されている場合に比べると、それぞれの部品の耐震性が向上する。以上のことから、組み付け作業性を向上でき、且つ耐震性を向上させることができる。
【0039】
(2)貫通孔32は、インバータケース14に設けられている。これによれば、収容室24に回路基板25が収容されたインバータケース14をモータハウジング12から取り外した状態で、コネクタ部材40をコネクタ設置部30に固定することができるため、組み付け作業性をさらに向上させることができる。
【0040】
(3)電動圧縮機10は、回路基板25を収容する収容室24を有するインバータケース14を備えている。インバータケース14は、モータハウジング12の底壁12aに取り付けられる。これによれば、例えば、回路基板25の交換作業を行う際には、インバータケース14をモータハウジング12から取り外してから、インバータケース14の収容室24に収容されている回路基板25の交換を行うことができるため、回路基板25の交換作業性を向上させることができる。
【0041】
(4)コネクタ接続部61は、インバータケース14に対して回転軸15の径方向外側に位置するとともにコネクタ接続部61の開口部61eが回転軸15の軸線方向において圧縮部16及び電動モータ17とは反対側に向いている。したがって、コネクタ接続部61の開口部61eが回転軸15の軸線方向において圧縮部16及び電動モータ17とは反対側に向くコネクタ接続部を、例えば、インバータケース14のカバー22の底壁22aから突出させる場合に比べると、電動圧縮機10における回転軸15の軸線方向の体格を小型化することができる。
【0042】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、インバータケース14を備えていない構成であってもよく、例えば、モータハウジング12の底壁12aの外面にカバーが取り付けられ、モータハウジング12の底壁12aの外面とカバーとによって回路基板25が収容される収容室24が区画される構成であってもよい。この場合、モータハウジング12の底壁12aの外周部の一部分が、モータハウジング12の周壁12bの外周面よりも突出しており、その底壁12aにおける周壁12bよりも突出した部分がコネクタ設置部となる。そして、コネクタ設置部に、収容室24の内外を連通するとともに、回転軸15の軸線方向において圧縮部16及び電動モータ17に向かって開口する貫通孔32が形成されている。
【0044】
○ 実施形態において、バスバー50は、全体としてU字形状でなくてもよく、例えば、全体としてL字形状であってもよい。この場合、バスバー50は、例えば、バスバー50の一端部が回転軸15の径方向に延びており、バスバー50の一端が、コネクタ接続部61の開口部61eに臨んだ状態で樹脂部60に保持されていればよい。
【0045】
〇 実施形態において、金属板70に形成されるボルト挿通孔70hの数は、特に限定されるものではなく、例えば、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。そして、ボルト挿通孔70hの数に合わせて、コネクタ設置面31に形成される雌ねじ孔33の数を適宜変更してもよい。
【0046】
〇 実施形態において、金属板70に形成されるボルト挿通孔70hの位置は、特に限定されるものではない。
〇 実施形態において、各ボルト挿通孔70hは、例えば、四角孔状であってもよく、各締結ボルト71が挿通可能な形状であれば、各ボルト挿通孔70hの形状は特に限定されるものではない。
【0047】
〇 実施形態において、バスバー50の数は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、電動モータ17、圧縮部16、及び駆動回路26の順で、回転軸15の軸線方向に並んで、電動モータ17、圧縮部16、及び駆動回路26それぞれが配置されている構成であってもよい。
【0048】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置20を構成していたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部16により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…電動圧縮機、11…ハウジング、12…モータハウジング、14…インバータケース、15…回転軸、16…圧縮部、17…電動モータ、24…収容室、25…回路基板、26…駆動回路、32…貫通孔、33…雌ねじ孔、40…コネクタ部材、50…バスバー、60…樹脂部、61…コネクタ接続部、61e…開口部、62a…外面、70…金属板、70h…ボルト挿通孔、71…締結ボルト、CN…外部コネクタ。