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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】アッセイ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20220128BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220128BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N37/00 101
G01N1/28 X
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018526802
(86)(22)【出願日】2016-11-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 IL2016051266
(87)【国際公開番号】W WO2017090043
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-07
(31)【優先権主張番号】242807
(32)【優先日】2015-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】518159441
【氏名又は名称】ノヴァメッド リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】カッツ、エミーユ
(72)【発明者】
【氏名】ポラト、ガディ
(72)【発明者】
【氏名】ラシトヴ、ウラル
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/012390(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0087357(US,A1)
【文献】特表2015-523894(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0255609(US,A1)
【文献】米国特許第06464939(US,B1)
【文献】特表2011-502254(JP,A)
【文献】特表2016-519566(JP,A)
【文献】特表2003-500651(JP,A)
【文献】特表2007-518994(JP,A)
【文献】特表平07-506665(JP,A)
【文献】特表2004-523579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G01N 37/00
G01N 1/28
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の目的のアナライトの存在および/または量を判定するためのアッセイ装置(1)であって、当該アッセイ装置(1)は:
a)ハウジング(4)を有し、該ハウジング(4)
a1)複数の液体チャンバー(11,12)を収容するように適合された受液ユニット(20)を有し、
ここで、各液体チャンバーは、異なるタイプの液体を貯蔵しているか、または、
前記液体チャンバーのうちの少なくとも1つが液体感応試薬を貯蔵しており、かつ、残りの液体チャンバーが異なるタイプの液体を貯蔵しており、
かつ、各液体チャンバーは、開閉式の液体シールで密閉された第1の開口部を有し、該受液ユニット(20)は:
a11)穿刺要素(15,16)を有し;
a12)液体混合チャンバー(14)を有し、該液体混合チャンバー(14)は、各液体チャンバーから受け取った前記の異なるタイプの液体の産物または前記の異なるタイプの液体および前記液体感応試薬の産物である溶液を含有するように適合されており、ここで、前記液体混合チャンバー(14)は、前記溶液と相互作用するためにサンプルを受け入れるようにさらに適合されており;かつ、
a13)前記穿刺要素(15,16)と前記液体混合チャンバー(14)との間に螺旋状の内面(13)を有し、該螺旋状の内面(13)は、前記液体の混合または前記液体および前記液体感応試薬の混合を促進するために、前記液体または前記液体および前記液体感応試薬が前記液体混合チャンバー(14)に向かって、前記の螺旋状の内面(13)の螺旋軸の周りを回転しながら下降して流れることを強制し;かつ、
前記ハウジング(4)はさらに:
a2)アッセイ手段(5)を有し、該アッセイ手段(5)は、前記サンプルの、前記液体混合チャンバー(14)中の前記溶液との相互作用の後に、前記サンプル中の目的のアナライトの存在および/または量を判定するために、前記液体混合チャンバー(14)と流体連通しており;かつ、
当該アッセイ装置(1)はさらに:
)蓋(2)を有し、該蓋(2)は、前記穿刺要素(15,16)によって、前記の開閉式の液体シールの穿刺または除去を可能にするために駆動されることが可能である
前記アッセイ装置(1)
【請求項2】
前記蓋(2)の駆動が、押圧機構によって取得され、該押圧機構は、前記蓋(2)を前記ハウジング(4)に向かって圧する/押すことが可能であり、そのことによって、各液体チャンバーの前記の開閉式のシールが、各液体チャンバーの密閉された開口部の位置に関して、前記穿刺要素(15,16)によって穿刺または除去されることを引き起こす、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項3】
前記蓋(2)が開口部(3)を有し、該開口部(3)を通して、サンプルが前記液体混合チャンバー(14)に挿入され得る、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項4】
前記開口部(3)が、前記蓋(2)の駆動および前記液体混合チャンバー(14)への前記液体の送達または前記液体および前記液体感応試薬の送達の前の前記サンプルの挿入を防止するために塞がれている、請求項3に記載のアッセイ装置(1)
【請求項5】
前記蓋(2)が、前記液体混合チャンバー(14)への前記サンプルの挿入が、各液体チャンバーから前記液体混合チャンバー(14)への前記液体または前記液体感応試薬の抽出の後でのみ可能とされるような態様にて構成されている、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項6】
遅延機構をさらに有し、該遅延機構は、前記液体混合チャンバー(14)内の前記溶液との前記サンプルの前記相互作用を遅らせるためのものである、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項7】
前記液体混合チャンバー(14)中の前記溶液が、前記の複数の液体チャンバー(11,12)から受け取った前記液体によって取得された混合溶液である、請求項に記載のアッセイ装置(1)
【請求項8】
各液体チャンバーが第2の開口部を有し、該第2の開口部は、前記液体チャンバーを液体または液体感応試薬で満たすことを可能にするためのものであり、ここで、前記の第2の開口部は、前記蓋(2)によって密閉されている、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項9】
前記の第2の開口部が、前記液体チャンバーの上端に配置されている、請求項に記載のアッセイ装置(1)
【請求項10】
前記の第1の開口部が、前記液体チャンバーの底または下端に配置されている、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項11】
少なくとも1つの液体チャンバーが、前記受液ユニット(20)の必須部分である、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項12】
少なくとも1つの液体チャンバーが、前記受液ユニット(20)に挿入されるように適合されたスタンドアローンな容器である、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項13】
前記の開閉式の液体シールが、低い流体透過性を有する材料でできた層である、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【請求項14】
前記層が、金属層、合金層または高分子層でできている、請求項13に記載のアッセイ装置(1)
【請求項15】
前記の開閉式の液体シールが、前記の開閉式の液体シールが前記液体チャンバーに結合されることを可能にするために、ラッカーまたはラミネートのような結合可能な裏打層を含んでいる、請求項1に記載のアッセイ装置(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、診断イムノアッセイ(immunoassays;免疫測定法)の分野に関する。より具体的には、本発明は、サンプルに対してラテラルフローアッセイ(lateral flow assay;側方流動アッセイ)を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アッセイは、標的エンティティー(entity)(アナライト(analyte;分析物・被検体))の存在もしくは量もしくは機能活性を定性的に評価するための、または、定量的に測定するための、調査的(分析的)工程(例えば、臨床検査医学、薬理学などにおける)である。アナライトは、薬剤または生化学物質または有機体もしくは有機物サンプルにおける細胞であり得る。測定されるエンティティーは概して、アナライトまたは測定対象(measure)およびまたはアッセイの標的と呼ばれる。アッセイは通常、アナライトの示強性(intensive property)を測定し、かつ、それを関連する測定単位(例えば、モル濃度、密度、酵素の国際単位で表した機能活性、標準と比較したいくつかの効果の程度など)で表すことを目的とする。
【0003】
アッセイは、産業レベルから舗道または野原レベルまで種々の規模で、現代の医療事業、環境事業、製剤事業、法医学事業および多くの他の事業の日常的な部分となった。液体サンプル中のアナライトの検出用の、簡素で使い捨てのアッセイ装置がよく知られている。例えば、米国特許第5,415,994号は、サンプル中で事前処理を必要とするアナライトの処理および検出用の装置、方法ならびにキットを開示している。かかるアナライトを検出する方法は、サンプルを含有する綿棒を、装置の抽出チャンバーに挿入することと;抽出溶液を、抽出チャンバーに挿入することと;装置の捕獲ゾーン内のラベルの蓄積を観察することと;そこからサンプル中のアナライトの存在または不存在を判定することとを有する。しかしながら、かかる装置の大きな欠点は、装置を使用するために、抽出溶液を手動で挿入することが必要とされることである。米国特許第7,241,417号は、装置を開示しており、該装置は、サンプル含有ユニットを有し、該サンプル含有ユニットは、サンプル容器を有し、前記サンプル容器は、底壁によって一端において塞がれており、前記底壁は、栓によって密閉された穴を有し;かつ、該装置は、ハウジングを有し、該ハウジングは、前記サンプル容器の下に配置され、かつ、試験紙を保持することが可能であり、前記サンプル含有ユニットと前記ハウジングとは、一方が他方に関して回転することを許容するように連結されており、前記ハウジングは、前記栓を切断することが可能な切断機構(cutting arrangement)を有し;ここで、前記サンプル含有ユニットと前記ハウジングとの互いに関する回転は、前記切断機構が前記栓を切断することをもたらし、そのことによって、前記底壁における穴から栓を抜く。しかしながら、かかる装置は、負のエラーまたは正のエラーをもたらすかも知れない、混合溶液の調製前のサンプルスティックの挿入を防止する能力を欠く。さらに、かかる装置は、サンプル(すなわち、アナライト)の反応物質(すなわち、試薬)との混合および相互作用のために多くの場合必要とされる遅延を引き起こす能力を欠く。
【0004】
サンプリング装置の挿入前に溶液を調製することが可能なアッセイ装置を提供することが、本発明の目的である。
【0005】
サンプルの反応物質との混合および/または相互作用を遅らせることが可能なアッセイ装置を提供することが、本発明の別の目的である。
【0006】
本発明の他の目的および利点は、明細書が進むにつれて明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、サンプル中の目的のアナライト(analyte of interest)の存在および/または量を判定するためのアッセイ装置に関し、当該アッセイ装置は:
a)ハウジングを有し、該ハウジングは受液ユニットを含み、該受液ユニットは、1つ以上のタイプの液体を、それぞれのタイプの液体が別々の液体チャンバーに貯蔵されるような態様にて収容するように適合されており、ここで、各液体チャンバーは、第1の開口部を有し、該第1の開口部は、開閉式の液体シールで密閉されており;
b)前記ハウジングに配置された混合チャンバーを有し、該混合チャンバーは、各液体チャンバーから受け取った1以上のタイプの液体の産物である溶液を含有するように適合されており、ここで、前記混合チャンバーは、前記溶液との相互作用のためにサンプルを受け入れるようにさらに適合されており;
c)蓋を有し、該蓋は、前記ハウジング内に配置された対応する穿刺要素によって、(各液体チャンバーの)開閉式の液体シールの穿刺または除去を可能にするために駆動されることが可能であり;かつ、
d)アッセイ手段を有し、該アッセイ手段は、サンプル中の目的のアナライトの存在および/または量を、混合チャンバーにおける前記サンプルの前記溶液との相互作用の後で判定するために、前記混合チャンバーと流体連通している。
【0008】
本発明の実施形態によれば、蓋の駆動は、押圧機構(pushable mechanism)によって取得され、該押圧機構は、前記蓋をハウジングに向かって圧する/押すことが可能であり、そのことによって、各チャンバーの開閉式のシールが、前記ハウジングの内部に配置された開口要素によって穿刺または除去されることを引き起こす。開口要素は、各チャンバーの密閉された開口部の位置に関して前記ハウジングの内部にある。
【0009】
本発明の実施形態によれば、蓋は開口部を有し、該開口部を通して、サンプルが、溶液と相互作用することができるように混合チャンバーに挿入され得る。
【0010】
本発明の実施形態によれば、サンプルの挿入用の開口部は、蓋の駆動および混合チャンバーへの液体の送達の前のサンプルの挿入を防止するために塞がれる。本発明の実施形態によれば、蓋の駆動は、前記開口部を利用可能にする。
【0011】
本発明の実施形態によれば、蓋は、混合チャンバーへのサンプルの挿入が、各チャンバーから前記混合チャンバーへの液体の抽出の後でのみ可能となるような態様にて構成される。
【0012】
本発明の実施形態によれば、当該装置はさらに、混合チャンバー内のサンプルの溶液との相互作用を遅らせる遅延機構を有する。
【0013】
本発明の実施形態によれば、ハウジングは、複数の液体チャンバーを有し、各液体チャンバーは、液体を含有するように適合されているか、または、それらのうちの少なくとも1つが、液体感応試薬(liquid sensitive reagent)を含有し、残りのチャンバーは液体を含有する。
【0014】
本発明の実施形態によれば、混合チャンバー中の溶液は、複数のチャンバーから受け取った液体によって取得された混合溶液である。
【0015】
本発明の実施形態によれば、液体チャンバーのうちの少なくとも1つは、液体で前記液体チャンバーを満たすことを可能にするための第2の開口部を有し、ここで、前記の第2の開口部は、蓋によって密閉されている。
【0016】
本発明の実施形態によれば、第2の開口部は、液体チャンバーの上端に配置されている。
【0017】
本発明の実施形態によれば、第1の開口部は、液体チャンバーの底または下端に配置されている。
【0018】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの液体チャンバーは、ハウジングまたは受液ユニットの必須部分である。
【0019】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの液体チャンバーは、受液ユニットに挿入されるように適合されたスタンドアローンな(standalone;独立型の)容器である。
【0020】
本発明の実施形態によれば、開閉式の液体シールは、金属層、合金層または高分子層のような、低い流体透過性を有する材料でできた層である。本発明の実施形態によれば、開閉式の液体シールは、前記シールが液体チャンバーに結合されることを可能にするために、ラッカーまたはラミネートのような結合可能な裏打層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面において:
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態による、駆動蓋を有するアッセイ装置の斜視図を概略的に示す。
図2図2は、押圧アクチュエーターヘッド(pushable actuator head)の上蓋のない、アッセイ装置の斜視図を概略的に示す。
図3図3は、駆動蓋のないアッセイ装置の斜視図を概略的に示す。
図4図4は、図3のアッセイ装置の上面図を概略的に示す。
図5図5は、駆動蓋のないアッセイ装置の別の斜視図を概略的に示す。
図6図6Aは、本発明の実施形態による、混合チャンバーに挿入されたサンプリング綿棒を有するアッセイ装置の断面図を概略的に示す。図6Bは、混合チャンバー内のサンプリング綿棒の拡大図を概略的に示す。
図7図7は、本発明の実施形態による、図1のアッセイ装置のベースユニットを概略的に示す。
図8図8Aは、本発明の実施形態による、駆動蓋の斜視図を概略的に示す。図8Bは、駆動蓋の上面図を概略的に示す。図8Cは、駆動蓋の底面図を概略的に示す。
図9図9は、本発明のいくつかの実施形態による、アッセイ装置の受液ユニットに挿入されるように適合された液体チャンバーを概略的に示す。
図10A図10Aは、駆動蓋の駆動前のアッセイ装置を概略的に示す。
図10B図10Bは、駆動蓋の駆動後のアッセイ装置を概略的に示す
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
ここで、本発明のいくつかの実施形態を参照するであろうが、それらの例は、添付の図面に示されている。なるべく、類似または同様の参照数字が図面において用いられていてもよく、かつ、類似または同様の機能性を示してもよい。図面は、説明の目的のためにのみ本発明の実施形態を示す。当業者は、本明細書に示される構造および方法の代替的な実施形態が、本明細書に記載の原理から逸脱することなく採用されてもよいことを、次の説明からすぐに認識するであろう。
【0024】
用語「サンプル」は、本明細書では、任意の標本であり、好ましくは流体であり、場合によってはアナライトを含有するものを意味する。
【0025】
用語「サンプル混合溶液」は、サンプルと相互作用する液体または溶液を意味する。液体のサンプルとの相互作用は、希釈、反応、結合事象(binding event)または懸濁をもたらしてもよい。
【0026】
ここで、図1-図10を参照すると、第1の態様では、本発明は、サンプル中の目的のアナライトの存在および/または量を判定するためのアッセイ装置1を提供する。アッセイ装置1は、駆動蓋2と、第1のチャンバー11および第2のチャンバー12のような1つ以上の液体チャンバーを含んでいてもよい受液ユニット20と、混合チャンバー14と、サンプル中の目的のアナライトの存在および/または量を判定するためのアッセイ手段5と、アッセイ手段5および受液ユニット20のような当該装置の1つ以上の部品を収容するのに役立つハウジング4とを有する。いくつかの実施形態では、ハウジングの一部が、受液ユニット20を形成してもよい。
【0027】
第1のチャンバー11は第1の液体を含有していてもよく、かつ、第2のチャンバー12は第2の液体を含有していてもよく、ここで、第1のチャンバー11および第2のチャンバー12のそれぞれは、開閉式の液体シール21および22でそれぞれ密閉されている(図8A図8C参照)。例えば、この実施形態では、開閉式の液体シール21および22は、各チャンバー11,12の下端にそれぞれ配置されている。
【0028】
サンプル受け入れ液体混合チャンバー14は、チャンバー11,12から受け取った第1の液体と第2の液体との混合溶液を含有するために用いられる。混合チャンバー14はまた、液体混合チャンバー14内にサンプルを受け入れるように適合されている(例えば、図6Aおよび図6Bに示され、かつ、数字60によって示される部分によって強調された、サンプル綿棒17を用いることによって)。この実施形態では、アッセイ装置1は、混合チャンバー14へのサンプルの挿入が、第1のチャンバー11および第2のチャンバー12から受け取った液体による混合溶液の調製後にのみ許容されるであろうような態様にて構成されている。
【0029】
開閉式のシール21,22のそれぞれは、第1のチャンバー11および第2のチャンバー12内の液体が、混合チャンバー14に流れ込むことを可能にするために、除去または穿刺されることが可能なシールを意味する。開閉式のシール21,22は、穿刺可能であってもよい。この実施形態では、蓋2は、開閉式のシール21,22が穿刺または除去されることを引き起こすために駆動されることが可能である。例えば、蓋2は、開閉式のシール21,22が穿刺または除去されることを引き起こすかも知れない力を伝達するために、その上部(図10Aおよび図10Bを参照して示される)に圧力をかけることによって駆動され得る。
【0030】
開閉式のシール21,22は、液体シール21,22をそれぞれ開けることが可能な開口手段(opening means)15,16によって穿刺または除去され得る。開口手段15,16は、直接的または間接的のいずれかで開閉式のシール21,22を開けることが可能な手段を意味する。開口手段15,16は、シールを穿刺するのに役立つ機構であってもよい。いくつかの実施形態では、開口手段15,16は穿刺手段であり、かつ、開閉式のシールは穿刺可能である。
【0031】
いくつかの実施形態では、開口手段15,16は、穿刺可能な材料を容易に穿刺するように成形されていてもよく、そのことによって、材料を穿刺するためにユーザーによって必要とされる力を最小限にする穿刺要素である。例えば、各穿刺要素15,16の上端は、穿刺要素と穿刺可能な材料(すなわち、開閉式のシール21,22)との間の最初の接触点である尖った点(sharp point)を形成してもよい。各穿刺要素15,16は、穿刺可能な材料を切断する(そのことによって穿刺する)ことが可能な尖った下面を有していてもよい。
【0032】
各穿刺要素15,16の上端は、対応するチャンバーの開口部を通して挿入されるべき各チャンバー11,12の開口部にそれぞれ面する。尖端は、穿刺可能な材料が穿刺されることを確実にする。各穿刺要素は、穿刺要素と挿入されるべきチャンバーとの間の接触面を規定する上凸部(upper projection)を含んでいてもよい。好ましくは、上凸部は、穿刺された表面との最小接触表面積を提示する。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、チャンバー11,12のうちの少なくとも1つにおける液体は、チャンバーから噴霧されてもよい(例えば、噴霧機構(例えば、チャンバー11の底の専用ノズルを用いることによって混合チャンバー14に向けて)。
【0034】
第1のチャンバー11および第2のチャンバー12のそれぞれは、第1の液体シール21および第2の液体シール22によってそれぞれ容器内に密閉された液体を含有する。液体は、本質的に水性であってもよい。本発明は、液体を参照して本明細書で説明されるが、本願発明が流体に等しく適用可能であることは理解されるであろう。
【0035】
この実施形態では、駆動蓋2は、第1のチャンバー11と、第2のチャンバー12と、開口アクセス(opening access)3とを有し、該開口アクセスは、綿棒17が混合チャンバー14に挿入されることを可能にするためのものである。第1のシール21は、第1のチャンバー11の開口部を密閉し、かつ、開口手段15に近接して提供されていてもよく、かつ、第2のシール22は、第2のチャンバー12の開口部を密閉し、かつ、開口手段1に近接して提供されていてもよい。チャンバー11,12は、混合チャンバー14およびアッセイ手段5からの液体を、それらが密閉されている限り、流体的に分離する。蓋2の駆動は、それぞれの液体チャンバー11,12に含有される液体の混合をもたらしてもよい(例えば、1つの液体チャンバー11中の液体の、別の液体チャンバー12中の液体感応試薬との混合)。両方のチャンバー11,12からの液体の混合を確実にするために、ハウジング4の内部における内面13は、傾いており、かつ、螺旋様である形態を有し、該形態は、液体が混合チャンバー14に向かって螺旋形の、または、ねじれた挙動で流れることを強いる。かかる螺旋形の流れの挙動は、好ましくは混合チャンバー14へのサンプリング装置(例えば、綿棒17)の挿入前の、両方の液体の混合を促進するかも知れない。
【0036】
この実施形態では、蓋2の駆動は、押圧機構によって取得され、該押圧機構は、蓋2を装置1のハウジング4に向かって圧する/押すことが可能であり、そのことによって、開閉式のシール21,22が、チャンバー11,12の密閉された開口部の位置に関して、ハウジング4の内部に配置された開口手段15,16によって穿刺または除去されることを引き起こす。例えば、蓋2は、ノッチ8およびノッチ9によって形成された固定軌道に沿って動かされてもよい(図3図5参照)。言い換えれば、蓋2は、2つの考え得る位置、初期位置(すなわち、圧迫前)と、開閉式のシール21,22の穿刺を引き起こす圧迫位置(pressing position)とを有していてもよい。蓋2を駆動させ、かつ、開閉式のシール21,22を穿刺するために、穿刺力が必要である。いくつかの実施形態では、初期位置において、開口部13は、液体の混合前のサンプリング装置の挿入を防止するために、塞がれていてもよい。開口部13は、手動で利用可能とされてもよく(例えば、その上にあるシール層の除去によって)、または、蓋2の駆動中に自動的に利用可能とされてもよい(例えば、シール層を自動的に破壊または除去することによって)。
【0037】
アッセイ装置1は、11,12のような複数の液体チャンバーを有していてもよく、各液体チャンバーが液体を含有しているか、または、それらのうちの1つが液体感応試薬を含有しており、かつ、残りのチャンバーが液体を含有している。複数の液体チャンバーが提供される場合、液体は、各チャンバー内に維持され、かつ、各チャンバーの開閉式の液体シールによって互いに分離されていてもよく、蓋2の駆動後のサンプリング装置(例えば、綿棒17)の混合チャンバー14への挿入が、混合チャンバー14における液体の混合の後にのみ、サンプリング装置の、各チャンバー中の液体との相互作用をもたらすようになっている。
【0038】
蓋2の駆動は、ユーザーが、アイテム(すなわち、綿棒17のようなサンプリング装置)を、簡便かつ容易に、アイテム自体が穿刺可能なシールを直接穿刺することなく、開口部13を介して、混合チャンバー14に挿入することを許容する。したがって、アイテムを、混合チャンバー14内に提供される流体と接触させるために過剰な力を用いる必要性は、最小化される。
【0039】
本発明の実施形態によれば、当該装置は、サンプルの、混合チャンバー14内の溶液との相互作用を遅らせるための遅延機構を有する。遅延機構は、スポンジ、適切なオリフィス、または、サンプルが混合チャンバーにアクセスすることを遅らせることが可能な任意の他の機構もしくは要素であり得る。遅延機構は、蓋2における開口部13と連通する混合チャンバー14の開口部において緩衝物として提供され得、それを通してサンプルが装置1に挿入される。
【0040】
第1および/または第2のシール21,22は、金属層、合金層または高分子層のような、低い流体透過性を有する材料から選択されてもよい。該層は、約15から約100ミクロンの範囲の厚さを有していてもよい。該層はさらに、該層が液体チャンバーに結合されることを可能にするために、ラッカーまたはラミネートのような結合可能な裏打層を有していてもよい。
【0041】
アッセイ装置1は、問題となるアッセイに適した1つ以上の試薬を有していてもよい。試薬の例は、目的のアナライトに結合可能な結合試薬、酵素、界面活性剤、緩衝剤、抽出試薬、塩、沈殿試薬、粘度調整試薬および溶解試薬から選択されてもよいが、これらに限定されない。結合試薬は、検出可能なラベルでラベル付けされてもよい。1つ以上の試薬は、液体チャンバー内に提供されてもよい。試薬は、乾燥状態または湿潤状態で提供されてもよい。
【0042】
アッセイ手段5は、毛管路、マイクロ流体(microfluidic;微少流体)通路、または、ラテラルフロー多孔性担体のような担体を通る多孔性流のような液体通路を有していてもよい。液体通路は、数字10によって示される検出チャンバーまたはゾーンにつながっていてもよい。担体を通る多孔性流は、用時には流体的に接続される、1つまたは複数の多孔性担体材料を有していてもよい。複数の多孔性担体材料は、同一であってもよく、または、異なっていてもよい。複数の多孔性担体は、線状または積層型配置において少なくとも部分的に重なっていてもよい。アッセイ手段5は、ラテラルフロー担体材料を有していてもよい。アッセイ手段5は、複数の流体通路を有していてもよく、各流体通路は、アナライトの検出のための分離した流路を規定する。アナライトは、同一であってもよく、または、異なっていてもよい。複数の液体通路が提供される場合、それらは、共通のサンプル受け入れ部分を有していてもよく、混合チャンバー14からの液体が、各流路に流れることが可能であるようになっている。
【0043】
当業者によって理解されるであろうが、アッセイ手段5は、種々の検出方法を用いて実装され得る。例えば、アッセイ手段5は、問題となるアッセイに適した1つ以上の試薬を有していてもよい。1つ以上の試薬は、目的のアナライトに結合可能な結合剤、酵素のような目的のアナライトと反応することが可能な試薬、目的のアナライトとさらなる試薬との間の任意の相互作用の産物と相互作用する、または、そうでなければ反応することが可能な試薬から選択されてもよい。アッセイ手段5は、目的のアナライトと1つ以上の試薬との相互作用または反応の産物を検出可能な検出ゾーン10を有していてもよい。目的のアナライト用のラベル付けされた結合試薬を固定化すること、目的のアナライト用の酵素の使用、酵素または顕色試薬および/または沈殿試薬用の電子伝達体の使用などのような他の方法がまた、用いられ得る。
【0044】
アッセイ装置によって判定されるべき目的のアナライトは、生物学的、産業的または環境的性質のものであってもよい。アナライトは、哺乳類、特にヒト由来のものであってもよい。目的のアナライトは、毒素、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、細菌、ウイルス、アミノ酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、ビタミンおよび薬剤を含む、任意の重要性を有するものであってもよい。アナライトは、アッセイ手段に曝される前に液体事前処理ステップを必要とするものであってもよい。液体処理ステップは、希釈、液体懸濁、抽出、結合反応、生化学反応、化学反応、緩衝、界面活性剤での処理のうちの1つ以上を有していてもよいが、これらに限定されない。事前処理ステップは、目的のアナライトを液体容器に導入すること、および、それがその中の液体容器と相互作用することを許容することによって実行されてもよい。液体容器は、事前処理が実行されることを可能にする1つ以上の試薬を有していてもよい。特に、目的のアナライトは、連鎖球菌A、カンジダ微生物および細菌性膣症微生物を含む。
【0045】
サンプルは、血液、血清、血漿、唾液、痰、眼球レンズ液、汗、尿、母乳、腹水液、粘液、滑膜液、腹膜液、経皮浸出液、咽頭浸出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、脳脊髄液、精液、頸管粘液、膣または尿道分泌液、羊水などを含む生理液のような任意の源由来であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の液体チャンバー(チャンバー11およびチャンバー12のような)は、例えば図9に示されるように、受液ユニット20に挿入されるように適合された、スタンドアローンな液体貯蔵容器であり得る。
【0047】
当業者によって理解されるであろうが、図に記載の配置は、サンプリング装置の挿入前に溶液を調製することが可能なアッセイ装置をもたらす。
【0048】
上記の説明および例はすべて、説明の目的のために与えられたものであり、かつ、本発明をいかなる意味でも限定することは意図されない。分析の多くの異なる機構および方法が採用され得、それらはすべて、本発明の範囲を越えるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B