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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】コイル体
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20220112BHJP
   H02K 3/47 20060101ALI20220112BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K3/47
H02K15/04 D
H02K3/04 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018234093
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020096475
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517221310
【氏名又は名称】コアレスモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】白木 学
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-070140(JP,A)
【文献】国際公開第2016/190161(WO,A1)
【文献】特開2013-162721(JP,A)
【文献】特開2012-186975(JP,A)
【文献】特開2007-295698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
H02K 3/47
H02K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用のコイル体であって、
一の前記U相コイル部と前記周方向における次の前記U相コイル部との間及び、一の前記V相コイル部と前記周方向における次の前記V相コイル部との間及び、一の前記W相コイル部と前記周方向における次の前記W相コイル部との間がそれぞれ導電性のジャンクションによって電気的に接続されていて、
前記ジャンクションは、前記円筒体形状コイル体の周面に配置される、平面視で円弧状で前記周方向に伸びている形態をしており、前記周方向における中間部分に形成されている平面視で階段状の段差部分を介して、曲率半径が小さい小径円弧状部と、曲率半径が大きい大径円弧状部とが連続しており、半径方向内側面及び半径方向外側面は電気的絶縁性を有し、前記円筒体形状コイル体の周面に配置されたときの前記円弧状に伸びる両端部の上側に、前記前記U相コイル部の端子部、前記V相コイル部の端子部あるいは、前記W相コイル部の端子部が折り曲げられて挿入されることで前記電気的接続が行われる凹部を備えている
円筒体形状のコイル体。
【請求項2】
前記ジャンクションは半径方向から見たときに平板状で、一の前記ジャンクションの前記小径円弧状部の半径方向外側に、前記周方向で前位の前記ジャンクションの前記大径円弧状部の半径方向内側が当接し、前記一の前記ジャンクションの前記大径円弧状部の半径方向内側に、前記周方向で次位の前記ジャンクションの前記小径円弧状部の半径方向外側が当接する形態で前記円筒体形状コイル体の周面に前記周方向でそれぞれ位置をずらして配置され、半径方向の厚みが大きくなることが抑制されている請求項1記載の円筒体形状のコイル体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無鉄心の回転電機に使用されるコイル体に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の技術分野において従来から無鉄心型の回転電機が知られている。無鉄心型の回転電機に用いられるコイル体として従来から種々の提案が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、導電性の板状体(例えば、銅板)をエッチングすることによって導電帯がパターン形成された2枚の薄い金属板をそれぞれ円筒体とし、2つの円筒体を内側円筒体及び外側円筒体として同心に重ねて配置することによって形成するコイル体が提案されている。各々の円筒体は、端部同士が互いに接続されることによって電気回路を構成する相補的なパターンの導電帯を有している。各々の円筒体の間には非導電性繊維撚線の層が形成されており、この層によって、内側円筒体の導電帯と外側円筒体の導電帯とが絶縁されている。コイル体は、導電帯の部分と非導電性繊維撚線とを充填する材料、具体的にはポリイミドによって被包されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の導電帯を有する導電シートを折り曲げ、折り曲げられた導電シートを円筒形状にすることによって形成されたコイル体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3704044号公報
【文献】特開2017-70140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用のコイル体において、省スペースで小型化を図ることができ、大電流を流すことが可能なコイル体を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用のコイル体であって、
一の前記U相コイル部と前記周方向における次の前記U相コイル部との間及び、一の前記V相コイル部と前記周方向における次の前記V相コイル部との間及び、一の前記W相コイル部と前記周方向における次の前記W相コイル部との間がそれぞれ導電性のジャンクションによって電気的に接続されている
円筒体形状のコイル体。
【0008】
[2]
前記ジャンクションは、前記円筒体形状コイル体の周面に配置される、平面視で円弧状で前記周方向に伸びている形態をしており、前記周方向における中間部分に形成されている平面視で階段状の段差部分を介して、曲率半径が小さい小径円弧状部と、曲率半径が大きい大径円弧状部とが連続しており、半径方向内側面及び半径方向外側面は電気的絶縁性を有し、前記円筒体形状コイル体の周面に配置されたときの前記円弧状に伸びる両端部の上側に、前記前記U相コイル部の端子部、前記V相コイル部の端子部あるいは、前記W相コイル部の端子部が折り曲げられて挿入されることで前記電気的接続が行われる凹部を備えている[1]の円筒体形状のコイル体。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用のコイル体において、省スペースで小型化を図ることができ、大電流を流すことが可能なコイル体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明のコイル体の一部を省略して表した斜視図。
図2図1のコイル体の一部を省略し、一部を拡大して表した斜視図。
図3図1図示のコイル体でU相コイル部、V相コイル部、W相コイル部の上端側の端子部を省略し、周方向に連続的に配置される複数個のジャンクションの配置形態の一例を表した斜視図。
図4】この発明のコイル体に使用されるジャンクションの一例を表す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は斜視図。
図5】U相コイル部、V相コイル部、W相コイル部の半径方向外側の上端側における端子部の間の電気的接続を図4図示のジャンクションを複数個用いて行う状態を説明する平面図。
図6】U相コイル部、V相コイル部、W相コイル部の半径方向内側の上端側における端子部の間の電気的接続を図4図示のジャンクションを複数個用いて行う状態を説明する平面図。
図7】U相コイル部、V相コイル部、W相コイル部の半径方向内側の上端側における端子部の間の電気的接続及び、半径方向外側の上端側における端子部の間の電気的接続を図4図示のジャンクションを複数個用いて行う状態を説明する平面図。
図8】この発明のコイル体に使用されるジャンクション支持部の一例を表すものであって、(a)は内側支持部の斜視図、(b)は外側支持部の斜視図。
図9】U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用の本発明のコイル体において、前記周方向における順次の配置形態の一例を展開図状態で一部を省略して説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この実施形態のコイル体は、U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用のコイル体である。
【0012】
前記U相を構成するU相コイル部は、U相外側コイル部と、U相内側コイル部とを備えている。U相外側コイル部は、前記円筒体形状の上端側のU相外側端子部から前記円筒体形状の下端方向に向って前記円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びている。U相内側コイル部は、前記円筒体形状で前記U相外側コイル部の半径方向で内側に位置していて、前記U相外側コイル部の下端側に対して下端側が電気的に接続し、前記円筒体形状の上端方向に向って前記円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びていて前記円筒体形状の上端側で前記U相外側端子部の半径方向における内側に位置するU相内側端子部で終端する。U相コイル部は、前記円筒体形状の半径方向における前記U相外側コイル部と前記U相内側コイル部との間が絶縁されている構造からなる一相あたりの巻き数が複数であるコイル体である。
【0013】
前記V相を構成するV相コイル部は、V相外側コイル部と、V相内側コイル部とを備えている。V相外側コイル部は、前記円筒体形状の上端側のV相外側端子部から前記円筒体形状の下端方向に向って前記円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びている。V相内側コイル部は、前記円筒体形状で前記V相外側コイル部の半径方向で内側に位置していて、前記V相外側コイル部の下端側に対して下端側が電気的に接続し、前記円筒体形状の上端方向に向って前記円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びていて前記円筒体形状の上端側で前記V相外側端子部の半径方向における内側に位置するV相内側端子部で終端する。V相コイル部は、前記円筒体形状の半径方向における前記V相外側コイル部と前記V相内側コイル部との間が絶縁されている構造からなる一相あたりの巻き数が複数であるコイル体である。
【0014】
前記W相を構成するW相コイル部は、W相外側コイル部と、W相内側コイル部とを備えている。W相外側コイル部は、前記円筒体形状の上端側のW相外側端子部から前記円筒体形状の下端方向に向って前記円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びている。W相内側コイル部は、前記円筒体形状で前記W相外側コイル部の半径方向で内側に位置していて、前記W相外側コイル部の下端側に対して下端側が電気的に接続し、前記円筒体形状の上端方向に向って前記円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びていて前記円筒体形状の上端側で前記W相外側端子部の半径方向における内側に位置するW相内側端子部で終端する。W相コイル部は、前記円筒体形状の半径方向における前記W相外側コイル部と前記W相内側コイル部との間が絶縁されている構造からなる一相あたりの巻き数が複数であるコイル体である。
【0015】
一の前記U相コイル部における上端側のU相内側端子部と、前記周方向における次の前記U相コイル部における上端側のU相内側端子部とが導電性の内側ジャンクションによって電気的に接続されている。
【0016】
一の前記V相コイル部における上端側のV相内側端子部と、前記周方向における次の前記V相コイル部における上端側のV相内側端子部とが導電性の内側ジャンクションによって電気的に接続されている。
【0017】
一の前記W相コイル部における上端側のW相内側端子部と、前記周方向における次の前記W相コイル部における上端側のW相内側端子部とが導電性の内側ジャンクションによって電気的に接続されている。
【0018】
一の前記U相コイル部における上端側のU相外側端子部と、前記周方向における次の前記U相コイル部における上端側のU相外側端子部とが導電性の外側ジャンクションによって電気的に接続されている。
【0019】
一の前記V相コイル部における上端側のV相外側端子部と、前記周方向における次の前記V相コイル部における上端側のV相外側端子部とが導電性の外側ジャンクションによって電気的に接続されている。
【0020】
一の前記W相コイル部における上端側のW相外側端子部と、前記周方向における次の前記W相コイル部における上端側のW相外側端子部とが導電性の外側ジャンクションによって電気的に接続されている。
【0021】
以上の構成により、一の前記U相コイル部と前記周方向における次の前記U相コイル部との間及び、一の前記V相コイル部と前記周方向における次の前記V相コイル部との間及び、一の前記W相コイル部と前記周方向における次の前記W相コイル部との間がそれぞれ導電性のジャンクションによって電気的に接続されている。
【0022】
前記において、前記内側ジャンクションは、前記円筒体形状コイル体の内周側に配置される、平面視で円弧状で前記周方向に伸びている形態をしている。前記内側ジャンクションは、前記周方向における中間部分に形成されている平面視で階段状の段差部分を介して、曲率半径が小さい小径円弧状部と、曲率半径が大きい大径円弧状部とが連続している。半径方向内側面及び半径方向外側面は電気的絶縁性を有する。前記円筒体形状コイル体の内周側に配置されたときの前記円弧状に伸びる両端部の上側に、前記上端側のU相内側端子部、前記上端側のV相内側端子部あるいは、前記上端側のW相内側端子部が折り曲げられて挿入されることで前記電気的接続が行われる凹部を備えている。
【0023】
また、前記において、前記外側ジャンクションは、前記円筒体形状コイル体の外周側に配置される、平面視で円弧状で前記周方向に伸びている形態をしている。前記外側ジャンクションは、前記周方向における中間部分に形成されている平面視で階段状の段差部分を介して、曲率半径が小さい小径円弧状部と、曲率半径が大きい大径円弧状部とが連続している。半径方向内側面及び半径方向外側面は電気的絶縁性を有する。前記円筒体形状コイル体の外周側に配置されたときの前記円弧状に伸びる両端部の上側に、前記上端側のU相外側端子部、前記上端側のV相外側端子部あるいは、前記上端側のW相外側端子部が折り曲げられて挿入されることで前記電気的接続が行われる凹部を備えている。
【実施例
【0024】
この実施例のコイル体1は、U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用のコイル体である。
【0025】
このような三相回転電機に用いられるコイル体1の、U相コイル部U1、V相コイル部V1、W相コイル部W1の構造の一例を図9を参照して説明する。
【0026】
U相コイル部U1(図9)は、円筒体形状の半径方向におけるU相外側コイル部とU相内側コイル部との間が絶縁されている構造からなる一相あたりの巻き数が複数であるコイル体である。図9において図面の手前側がU相外側コイル部、図面の奥側がU相内側コイル部になる。
【0027】
U相コイル部U1は、下端側U105において互いに電気的に接続されている円筒体形状のU相外側コイル部と、円筒体形状のU相内側コイル部とが、半径方向における互いの間が絶縁されて形成されているものである。
【0028】
具体的には、U相コイル部U1のU相外側コイル部は、円筒体形状の上端側のU相外側端子部U101から円筒体形状の下端方向に向って円筒体形状の軸方向に伸びる部分U103を備えている形態で伸びている。U相コイル部U1のU相内側コイル部は、U相外側コイル部の半径方向で内側に位置していて、U相外側コイル部の下端側に対して下端側が電気的に接続し、円筒体形状の上端方向に向って円筒体形状の軸方向に伸びる部分U104を備えている形態で伸びていて円筒体形状の上端側でU相外側端子部U101の半径方向における内側に位置するU相内側端子部U102で終端している。
【0029】
U相コイル部U1においては、U相内側端子部U102が図1の円周方向における次位のU相コイル部U2のU相内側端子部U202との間で電気的接続が図られるようになる。また、U相外端子部U101が図1の円周方向における次位のU相コイル部U2のU相外側端子部U201との間で電気的接続が図られるようになる。
【0030】
この実施例では三相回転電機に用いられるコイル体1である。U相コイル部U1は1相あたりの巻き数が5ターンになっている。
【0031】
V相コイル部V1(図9)は、円筒体形状の半径方向におけるV相外側コイル部とV相内側コイル部との間が絶縁されている構造からなる一相あたりの巻き数が複数であるコイル体である。図9において図面の手前側がV相外側コイル部、図面の奥側がV相内側コイル部になる。
【0032】
V相コイル部V1は、下端側V105において互いに電気的に接続されている円筒体形状のV相外側コイル部と、円筒体形状のV相内側コイル部とが、半径方向における互いの間が絶縁されて形成されているものである。
【0033】
具体的には、V相コイル部V1のV相外側コイル部は、円筒体形状の上端側のV相外側端子部V101から円筒体形状の下端方向に向って円筒体形状の軸方向に伸びる部分V103を備えている形態で伸びている。V相コイル部V1のV相内側コイル部は、V相外側コイル部の半径方向で内側に位置していて、V相外側コイル部の下端側に対して下端側が電気的に接続し、円筒体形状の上端方向に向って円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びていて円筒体形状の上端側でV相外側端子部V101の半径方向における内側に位置するV相内側端子部V102で終端している。
【0034】
V相コイル部V1においては、V相内側端子部V102が図1の円周方向における次位のV相コイル部V2のV相内側端子部V202との間で電気的接続が図られるようになる。また、V相外端子部V101が図1の円周方向における次位のV相コイル部V2のV相外側端子部V201との間で電気的接続が図られるようになる。
【0035】
この実施例では三相回転電機に用いられるコイル体1である。V相コイル部V1は1相あたりの巻き数が5ターンになっている。
【0036】
W相コイル部W1(図9)は、円筒体形状の半径方向におけるW相外側コイル部とW相内側コイル部との間が絶縁されている構造からなる一相あたりの巻き数が複数であるコイル体である。図9において図面の手前側がW相外側コイル部、図面の奥側がW相内側コイル部になる。
【0037】
W相コイル部W1は、下端側W105において互いに電気的に接続されている円筒体形状のW相外側コイル部と、円筒体形状のW相内側コイル部とが、半径方向における互いの間が絶縁されて形成されているものである。
【0038】
具体的には、W相コイル部W1のW相外側コイル部は、円筒体形状の上端側のW相外側端子部W101から円筒体形状の下端方向に向って円筒体形状の軸方向に伸びる部分W103を備えている形態で伸びている。W相コイル部W1のW相内側コイル部は、W相外側コイル部の半径方向で内側に位置していて、W相外側コイル部の下端側に対して下端側が電気的に接続し、円筒体形状の上端方向に向って円筒体形状の軸方向に伸びる部分を備えている形態で伸びていて円筒体形状の上端側でW相外側端子部W101の半径方向における内側に位置するW相内側端子部W102で終端している。
【0039】
W相コイル部W1においては、W相内側端子部W102が図1の円周方向における次位のW相コイル部W2のW相内側端子部W202との間で電気的接続が図られるようになる。また、W相外端子部W101が図1の円周方向における次位のW相コイル部W2のW相外側端子部W201との間で電気的接続が図られるようになる。
【0040】
この実施例では三相回転電機に用いられるコイル体1である。W相コイル部W1は1相あたりの巻き数が5ターンになっている。
【0041】
この実施例のコイル体では、一のU相コイル部U1における上端側のU相内側端子部U102と、周方向における次のU相コイル部U2における上端側のU相内側端子部U201とが導電性の内側ジャンクション501によって電気的に接続されている。
【0042】
同様に、一のV相コイル部V1における上端側のV相内側端子部V101と、周方向における次のV相コイル部V2における上端側のV相内側端子部V201とが導電性の内側ジャンクション601によって電気的に接続されている。
【0043】
また、一のW相コイル部W1における上端側のW相内側端子部W101と、周方向における次のW相コイル部W2における上端側のW相内側端子部W201とが導電性の内側ジャンクションによって電気的に接続されている
更に、一のU相コイル部U1における上端側のU相外側端子部U101と、周方向における次のU相コイル部U2における上端側のU相外側端子部U201とが導電性の外側ジャンクション500によって電気的に接続されている。
【0044】
同様に、一のV相コイル部V1における上端側のV相外側端子部V101と、周方向における次のV相コイル部V2における上端側のV相外側端子部V201とが導電性の外側ジャンクション600によって電気的に接続されている。
【0045】
また、一のW相コイル部W1における上端側のW相外側端子部W101と、周方向における次のW相コイル部W2における上端側のW相外側端子部W201とが導電性の外側ジャンクションによって電気的に接続されている。
【0046】
これによって、一のU相コイル部と周方向における次のU相コイル部との間及び、一のV相コイル部と周方向における次のV相コイル部との間及び、一のW相コイル部と周方向における次のW相コイル部との間がそれぞれ導電性のジャンクションによって電気的に接続されている構造になっている。
【0047】
内側ジャンクション401、501、601はいずれも同一構造であって、導電性金属製、例えば、銅製である。外側ジャンクション400、500、600も、いずれも同一構造であって、導電性金属製、例えば、銅製である。
【0048】
図4図7を用いて説明すると、外側ジャンクション400、500、600は、円筒体形状のコイル体1の外周側に配置される、図4図5図示のように、平面視で円弧状で周方向に伸びている形態をしている。そして、周方向における中間部分に形成されている平面視で階段状の段差部分410、510、610を介して、曲率半径が小さい小径円弧状部402、502、602と、曲率半径が大きい大径円弧状部403、503、603とが連続している。更に、円筒体形状のコイル体1の外周側に配置されたときの円弧状に伸びる両端部の上側に、凹部406、407、506、507、606、607を備えている。
【0049】
円筒状のコイル体1の上端側のU相外側端子部、上端側のV相外側端子部あるいは、上端側のW相外側端子部が凹部406、407、506、507、606、607に折り曲げられて挿入されることで周方向で順次配置されているU相外側端子部同士の間、V相外側端子部同士の間あるいは、W相外側端子部同士の間が電気的に接続される。
【0050】
外側ジャンクション400、500、600の半径方向内側面及び半径方向外側面は電気的絶縁性を備えている。例えば、銅製の外側ジャンクション400、500、600の半径方向内側面及び半径方向外側面にそれぞれ絶縁性塗膜を形成している。
【0051】
内側ジャンクション401、501、601は、円筒体形状のコイル体1の内周側に配置される、図4図6図示のように、平面視で円弧状で周方向に伸びている形態をしている。そして、周方向における中間部分に形成されている平面視で階段状の段差部分410、510、610を介して、曲率半径が小さい小径円弧状部404、504、604と、曲率半径が大きい大径円弧状部405、505、605とが連続している。更に、円筒体形状のコイル体1の内周側に配置されたときの円弧状に伸びる両端部の上側に、凹部408、409、508、509、608、609を備えている。
【0052】
円筒状のコイル体1の上端側のU相内側端子部、上端側のV相内側端子部あるいは、上端側のW相内側端子部が凹部408、409、508、509、608、609に折り曲げられて挿入されることで周方向で順次配置されているU相内側端子部同士の間、V相内側端子部同士の間あるいは、W相内側端子部同士の間が電気的に接続される。
【0053】
内側ジャンクション401、501、601の半径方向内側面及び半径方向外側面は電気的絶縁性を備えている。例えば、銅製の外側ジャンクション401、501、601の半径方向内側面及び半径方向外側面にそれぞれ絶縁性塗膜を形成している。
【0054】
図7では、半径方向外側に外側ジャンクション400、500、600が配置され、半径方向内側に内側ジャンクション401、501、601が配備されている。図7に図示していないが、両者の間にコイル体が挟まれる。すなわち、U相内側コイル部とU相外側コイル部とからなるU相コイル部における上端側のU相内側端子部とU相外側端子部、V相内側コイル部とV相外側コイル部とからなるV相コイル部における上端側のV相内側端子部とV相外側端子部、W相内側コイル部とW相外側コイル部とからなるW相コイル部における上端側のW相内側端子部とW相外側端子部が、両者の間に挟まれることになる。
【0055】
そこで、円筒状コイル体1の円周方向に図1図示のように配置したときに、外側ジャンクション400、500、600、・・の大径円弧状部403、503、603、・・によって形成される円の直径の方が、内側ジャンクション401、501、601、・・・の大径円弧状部405、505、605、・・・によって形成される円の直径より大きい。
【0056】
同様に、円筒状コイル体1の円周方向に図1図示のように配置したときに、外側ジャンクション400、500、600、・・の小径円弧状部402、502、602、・・によって形成される円の直径の方が、内側ジャンクション401、501、601、・・・小径円弧状部404、504、604、・・・によって形成される円の直径より大きい。
【0057】
外側ジャンクション400、500、600はそれぞれ上述した構造であることから、円筒体形状のコイル体1の外周に、図5図示のように、コイル体1の周方向にそれぞれ位置をずらして配置することができる。すなわち、外側ジャンクション500の小径円弧状部502の半径方向外側に周方向で前位の外側ジャンクション400の大径円弧状部403の半径方向内側が当接する。外側ジャンクション500の大径円弧状部503の半径方向内側に周方向で次位の外側ジャンクション600の小径円弧状部602の半径方向外側が当接する。
【0058】
外側ジャンクション400、500、600はそれぞれ上述した構造であることから、図5図示のように外側ジャンクション400、500、600を円筒体形状のコイル体1の外周に配置したときに、半径方向におけるコイル体1の厚みが大きくなることを抑制できる。
【0059】
外側ジャンクション400、500、600を図5図1図示のようにコイル体1の外周に装着する際には、図8(b)に示すような合成樹脂製のジャンクション支持部(外側支持部)3をコイル体1の外周に装着して行うことができる。
【0060】
外側ジャンクション500の凹部506に、一のU相コイル部U1における上端側のU相外側端子部U101を折り曲げいれて接続する。一方、外側ジャンクション500の凹部507に、周方向で次位のU相コイル部U2における上端側のU相外側端子部U201を折り曲げいれて接続する。これによって、一のU相コイル部U1における上端側のU相外側端子部U101と、周方向における次のU相コイル部U2における上端側のU相外側端子部U201とが導電性の外側ジャンクション500によって電気的に接続される。
【0061】
外側ジャンクション600の凹部606に、一のV相コイル部V1における上端側のV相外側端子部V101を折り曲げいれて接続する。一方、外側ジャンクション600の凹部607に、周方向で次位のV相コイル部V2における上端側のV相外側端子部V201を折り曲げいれて接続する。これによって、一のV相コイル部V1における上端側のV相外側端子部V101と、周方向における次のV相コイル部V2における上端側のV相外側端子部V201とが導電性の外側ジャンクション600によって電気的に接続される。
【0062】
外側ジャンクション400の凹部407に、一のW相コイル部における上端側のW相外側端子部を折り曲げいれて接続する。一方、外側ジャンクション400の凹部406に、周方向における前位のW相コイル部における上端側のW相外側端子部を折り曲げいれて接続する。これによって、一のW相コイル部における上端側のW相外側端子部と、周方向における次のW相コイル部における上端側のW相外側端子部とが導電性の外側ジャンクション400によって電気的に接続される。
【0063】
内側ジャンクション401、501、601はそれぞれ上述した構造であることから、円筒体形状のコイル体1の内周に、図6図示のように、コイル体1の周方向にそれぞれ位置をずらして配置することができる。すなわち、内側ジャンクション501の小径円弧状部504の半径方向外側に前位の内側ジャンクション401の大径円弧状部405の半径方向内側が当接する。内側ジャンクション501の大径円弧状部505の半径方向内側に次位の内側ジャンクション601の小径円弧状部604の半径方向外側が当接する。
【0064】
内側ジャンクション401、501、601はそれぞれ上述した構造であることから、図6図示のように内側ジャンクション401、501、601を配置したときに半径方向におけるコイル体1の厚みが大きくなることを抑制できる。
【0065】
内側ジャンクション401、501、601を図6図1図示のようにコイル体1の内周に装着する際には、図8(a)に示すような合成樹脂製のジャンクション支持部(内側支持部)2をコイル体1の内周に装着して行うことができる。
【0066】
内側ジャンクション501の凹部508に、一のU相コイル部U1における上端側のU相内側端子部U102を折り曲げいれて接続する。一方、内側ジャンクション501の凹部509に、次位のU相コイル部U2における上端側のU相内側端子部U202を折り曲げいれて接続する。これによって、一のU相コイル部U1における上端側のU相内側端子部U102と、周方向における次のU相コイル部U2における上端側のU相内側端子部U202とが導電性の内側ジャンクション501によって電気的に接続される。
【0067】
内側ジャンクション601の凹部608に、一のV相コイル部V1における上端側のV相内側端子部V102を折り曲げいれて接続する。一方、内側ジャンクション601の凹部609に、次位のV相コイル部V2における上端側のV相内側端子部V201を折り曲げいれて接続する。これによって、一のV相コイル部V1における上端側のV相内側端子部V102と、周方向における次のV相コイル部V2における上端側のV相内側端子部V202とが導電性の外側ジャンクション600によって電気的に接続される。
【0068】
内側ジャンクション401の凹部409に、一のW相コイル部における上端側のW相内側端子部を折り曲げいれて接続する。一方、内側ジャンクション401の凹部408に、周方向における前位のW相コイル部における上端側のW相内側端子部を折り曲げいれて接続する。これによって、一のW相コイル部における上端側のW相内側端子部と、周方向における次のW相コイル部における上端側のW相内側端子部とが導電性の内側ジャンクション401によって電気的に接続される。
【0069】
この実施形態の、U相を構成するU相コイル部と、V相を構成するV相コイル部と、W相を構成するW相コイル部とを一組とし、この複数組が平面視で環状の円筒状体を構成するように周方向に順次配置されてなる円筒体形状の無鉄心型の回転電機用のコイル体によれば、一のU相コイル部と周方向における次のU相コイル部との間及び、一のV相コイル部と周方向における次のV相コイル部との間及び、一のW相コイル部と周方向における次のW相コイル部との間がそれぞれ導電性のジャンクションによって電気的に接続されている。
【0070】
導電性のジャンクションとして、銅のように、高い導電性を持つ部材を採用することで、大電流を流すことが可能になる。
【0071】
また、上述した構造の内側ジャンクション401、等、外側ジャンクション400、等を採用することで、半径方向のサイズが大きくなることを抑制し、省スペースで小型化が図られたコイル体を提供することができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態、実施例を説明したが、本発明は上述した実施形態、実施例に限られることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 コイル体
U1、U2 U相コイル部
V1、V2 V相コイル部
W1、W2 W相コイル部
U101、U201 U相外側端子部
U102、U202 U相内側端子部
V101、V201 V相外側端子部
V102、V202 V相内側端子部
W101、W210 W相外側端子部
W102、W202 W相内側端子部
401、501、601 内側ジャンクション
400、500、600 外側ジャンクション
410、510、610 平面視で階段状の段差部分
402、502、602 小径円弧状部
403、503、603 大径円弧状部
406、407、506、507、606、607 凹部
404、504、604 小径円弧状部
405、505、605 大径円弧状部
408、409、508、509、608、609 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9