(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】建設化学品用低ビーライトCSAセメント
(51)【国際特許分類】
C04B 7/345 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
C04B7/345
(21)【出願番号】P 2020558474
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2019060201
(87)【国際公開番号】W WO2019206824
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】102018110136.8
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513238660
【氏名又は名称】カルセム ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Calucem GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ワレンタ、グウェンザー
(72)【発明者】
【氏名】ケイデン、ロニー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、マルクス
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-221352(JP,A)
【文献】特開2007-076966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0233207(US,A1)
【文献】米国特許第06730162(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0132063(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0183131(US,A1)
【文献】国際公開第2019/063378(WO,A1)
【文献】特表2018-507159(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111807793(CN,A)
【文献】特開2014-224040(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108264315(CN,A)
【文献】内田清彦ら,低温でのアーウィンの水和性状,セメント技術年報,1986年12月10日,VOL.40,P.123-126,奥付
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00-32/02,
C04B40/00-40/06,
C04B103/00-111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶質若しくは非晶質の又は結晶質と非晶質との混合状態のC
4A
3$を90重量%以上含み、ブレーン比粉末度(specific grinding fineness according to Blaine)が3500cm
2/g~6000cm
2/gであるカルシウムスルホアルミネートセメントの製造方法であって、前記カルシウムスルホアルミネートセメントを製造するために、
41~50重量%のAl
2O
3、
34~41重量%のCaO
、
11~19重量%のSO
3、
及び
0.05~2.5重量%のZnO
を含有し、
0.1~3重量%のSiO
2、
0.1~1重量%のFe
2O
3、
及び
0.05~2.5重量%のTiO
2
、
の1種又は複数種を更に含有する原料混合物を用い、
前記原料混合物を粉砕してブレーン比粉末度が3500cm
2/g~6000cm
2/gである粉砕混合物にする工程と、
1150℃以上の焼成温度で前記粉砕混合物を焼成する工程と、
を含む、製造方法。
【請求項2】
前記粉砕はボールミルで実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉砕は前記ボールミルで2段階、各段階で異なる粉砕媒体(grinding bodies)を用いて実行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
結晶質若しくは非晶質の又は結晶質と非晶質との混合状態のC
4A
3$を90重量%以上含有し、
CaOとして算出して0.5重量%以下のフリーライム、
0.5重量%以下のC
3A、
C
12A
7として算出して2.0重量%以下のマイエナイト、及び
CAとして算出して10.0重量%以下のクロタイト、
の1種又は複数種と、
0.5~10重量%のC
4AFとその混晶C
6A
3-XF
X〔1≦x≦3〕、
C
2Sとして算出して0.5重量%~10重量%のビーライト、及び
CAとして算出して0.5重量%以上のクロタイト、
の1種又は複数種と、
0.05~2.5重量%のZnOと、
を更に含有し、
ブレーン比粉末度が3500cm
2/g~6000cm
2/gであることを特徴とする、カルシウムアルミネートセメント。
【請求項5】
下記更なる元素の1種又は複数種、下記更なる元素の1種又は複数種の種々の酸化数の酸化物、又は、下記更なる元素の1種又は複数種の化合物を含有することを特徴とする、請求項4に記載のカルシウムアルミネートセメント:
〔更なる元素〕:Si、Na、K、Mg、Sr、Ba、Ti、Zr、V、P、Cr、Mn
、及び/又は他の遷移金属。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のカルシウムアルミネートセメントの、セルフレベリングフィラーの配合物における結合材成分としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CSAクリンカー及びその製造方法、並びにそれを粉砕して得られるセメント及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書においてCSAという用語を略号として用いているが、これは化学用語でカルシウムスルホアルミネート(calcium sulfoaluminate)を意味する。カルシウムスルホアルミネートは、狭義には化合物C4A3$を意味すると解されており、工業的に製造されたものはkleinite又はKlein’s Compoundと呼ばれる。天然物は鉱物学ではイーリマイト(ye’elimite)として知られる。純粋CSA相の組成及び酸化物からの当該相の形成は式1で表される。
【0003】
式1:4C+3A+$→C4A3$
【0004】
上記式はセメント化学における略号で表されている。本願明細書において次の略号、C:CaO、A:Al2O3、$:SO3、F:Fe2O3、S:SiO2、H:H2O、T:TiO2、M:MgO、Zn:ZnOが適用可能であるが、必要に応じて、正確な化学組成を文脈から推定することができる。
【0005】
CSAセメントは、建設業及び建設化学における様々な分野に使用されており、例えば、低エネルギー低CO2セメント、膨張セメント、並びに早強(high-early-strength)及び/又は急結(rapid-setting)結合材として使用されている。1934年には急結耐海水性結合材として最初の特許が取得され、1950年代後半には膨張(expanding)セメント又は膨張性(expansive)セメントとしてCSAセメントが工業的に使用され始めた。その後、1970年代にChinese Building Materials Academyによって体積安定性を有するCSAセメントが最初に開発され、中国では今日、膨張セメント、膨張性セメント、早強セメント、及び低アルカリセメントとして規準となっている(Luigi Buzzi et.al. High-performance and low-CO2 cements based on calcium sulfoaluminate,ZKG International Nr.50,2010,S.39-45)。
【0006】
一般に、CSAクリンカーを製造する際の出発物質及び焼成温度は、セメントがC4A3$に加えてクリンカー相C2S(ビーライト)を更に含有するように選択される。その理由は、これらの2相の形成に必要とされる温度が近く、その温度がポルトランドセメントクリンカー又はアルミナセメントクリンカーの場合よりもずっと低いためである。焼成温度は製造に必要な温度を決定づけるため、この種のセメントは、クリンカーが1450℃で焼結されるポルトランドセメントと比較して「低エネルギーセメント」である。さらに重要な利点として、CSAクリンカーのCaO含有量がずっと少なく、従って原料混合物中の石灰石含有量が少ないことから、製造したクリンカーのt(トン)当たりのCO2排出量がかなり低減される点が挙げられる。それゆえ、CSAセメントは「低CO2セメント」とも呼ばれる。
【0007】
表1に、比エネルギー必要量及びCO2排出量値の比較を示す。これらの値は、J.H.Sharp et.al. Calcium sulfoaluminate cements-low-energy cements,special cements or what,Advances in Cement Research,1999,11,No.1,pp.3-13より引用したものである。
【0008】
【0009】
表1から明らかなように、C4A3$及びC2Sベースのセメントは、クリンカーの主鉱物成分がC3S相(3CaO・SiO2、ケイ酸三カルシウム、「エーライト」)及びC2S相(2CaO・SiO2、ケイ酸二カルシウム、「ビーライト」)で形成されるポルトランドセメントと比較して、かなり低い熱エネルギー消費量とCO2排出量で製造可能である。ドイツで製造されるポルトランドセメントクリンカーは、およそ63重量%C3S及び16重量%C2Sの平均含有量を有している(VDZ Zement-Taschenbuch、第51版、表I.3.1-2)。CA相(CaO・Al2O3、アルミン酸一カルシウム)は、DIN EN 14647においてCAC又はCAセメントと略されるアルミナセメント又はカルシウムアルミネートセメントの主鉱物成分である。規準アルミナセメント中のアルミン酸一カルシウムの含有量は40重量%以上である(Friedrich W.Locher,Zement,Verlag Bau+Technik,2000)。C4A3$及びC3S(エーライト)は、C2Sと比較してはるかに反応性が高く、一緒に焼成することが事実上不可能である。これは、エーライトの形成に1350℃超の温度が必要とされ、この温度下ではCSA原料混合物における硬石膏部分(CaSO4)及び形成されたC4A3$の安定性が失われるためである。
【0010】
CSAクリンカーの製造に関する文献には主に、C4A3$及びC2S(ビーライト)の形成能が最大限発揮される温度範囲は1250~1350℃であると示されている。C2Sの低反応性が許容される場合もあるが、C2Sを活性化するために様々な方法及び原料混合物への添加剤が用いられる場合もある。C4A3$は、1330~1350℃周辺の温度でも不安定であるため(硬石膏は1200℃超の温度で分解する)、CSAクリンカーの製造における原料の組成及び調製、プロセス管理、並びに大気汚染対策の観点で高い需要がある(Ivan Odler,Special Inorganic Cements,2000;Luigi Buzzi et.al.,同上)。
【0011】
CSAセメントの、膨張セメント若しくは膨張性セメント、並びに、凝結性及び硬化性を調節可能な寸法安定特殊セメントとしての使用可能性は、C4A3$相のいくつかの基本的な水和反応に基づいて説明可能である。表2に、純粋C4A3$、並びに、C4A3$、硫酸カルシウム、及び酸化カルシウム/水酸化カルシウムを適宜併用した混合物についての反応を示す。
【0012】
【0013】
米国特許出願公開第2003/0183131号から、C4A3$及び水から生成した石灰(表2、番号1)は非常に遅い凝結及び硬化特性を示すことが既知である。水和反応の生成物はモノサルフェートC4A$H12及び水酸化アルミニウムAH3である。硫酸カルシウム(硬石膏、二水和物など)の添加量を増やすと、モノサルフェート及び水酸化アルミニウムに加えて強固なエトリンガイトC6A$3H32が増え(表2、番号2.1)、C$:C4A3$=2:1のモル比ではモノサルフェートはもはや生じず、エトリンガイト及び水酸化アルミニウムだけが生成する(表2、番号2.2)。モル比C$:C4A3$が2を超えると水和物の膨張性が増加する。ドイツ特許第3711549号から、ケイ酸カルシウム物品の製造方法が既知である。更に、ケイ酸カルシウム物品は様々な分野、とりわけ建設材料に適用されることが開示されている。純粋C4A3$相の合成手法及びその特性については、科学論文“Solid-state synthesis of pure ye’elimite”,Y.El Khessaimi et al.,Journal of the European Ceramic Society,30(2018)3401-3411より既知である。
【0014】
C4A3$と水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの混合物の水和は、ヒドログラネート(hydrogranate)C3AH6及びAFm相を与える。表2の番号3は水酸化カルシウムの場合の反応例を示している。
【0015】
表2の番号4に示すように、硫酸カルシウムと酸化カルシウム(又は水酸化カルシウム)とを一緒に添加することにより、エトリンガイトのみを生成する急結急硬混合物を製造することが可能である。
【0016】
今日でも工業的に製造され、C4A3$及びビーライトに加えて他の相を様々な量で含有し得る種々のスルホビーライトセメントは、5つのカテゴリーに分類可能である。表3は、これらのカテゴリーをまとめたもので、実質的にビーライト-スルホアルミネート-フェライトセメント系の特性を示している(Ivan Odler、同上)。
【0017】
【0018】
従来技術により、C4A3$成分及び更なる必須主成分としてビーライトを含有する種々のCSAセメントが入手可能となっている。米国特許出願公開第2013/233207号には、カルシウムスルホアルミネートセメントの製造方法が開示されており、10~35重量%のAl2O3、40~50重量%のCaO、5~25重量%のSO3、0~28重量%のSiO2、及び0~30重量%のFe2O3を含有する原料混合物が使用され、この混合物は最低でも1200~1300℃の焼成温度で焼成される。
【0019】
市販CSAセメントは、一般に、表3に示すようにSAB/SAFB~BSA/BSFAとして設計される。ケイ酸塩を含有する原料を用いることにより様々なビーライト含有量が可能となり、これにより、後硬化をゆっくりとした長期的なものとしたり、生成するエトリンガイトの最大量を制限したりする。これら2つの側面は、CSAセメントをモルタル及びコンクリート中の結合材として用いる際に有用であり、硬化セメントの耐久性及び体積安定性の観点から必ず必要となる。
【0020】
硬化セメント中にエトリンガイトを形成する成分の未水和物が残存すると、例えば多孔質系中に又は微小亀裂の結果として湿気又は水分が進入してきた場合に二次的なエトリンガイトの形成につながり、既に形成した部分若しくは成分の損傷又は完全な破壊に至る可能性がある。
【0021】
純粋エトリンガイトC6A$3H32の結晶水含有量は45.9重量%であり、これは水/セメント値又は水/固形分値0.85に相当するが、この結晶水含有量を考慮した場合に上記問題が露呈する。水/セメント値が上記水/セメント値を大きく下回るモルタル配合物において水和反応を完了させるためには、例えばビーライトの含有量によって、結合材におけるエトリンガイトを形成する成分の含有量を制限しなければならない。
【0022】
CSAセメントに加えてポルトランドセメントをも含有でき、硫酸カルシウム含有量を調節できる多成分の建設化学品の配合物では、高水和性(hydraulically active)エトリンガイト形成相の含有量が可能な限り多く、低水和性(hydraulically low)又は非水和性(hydraulically inactive)成分をほとんど(limiting)含有しない結合材を含むことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、活性相C4A3$の含有量が大きく、低水和性相又は非反応性相の割合が小さいCSAセメントであって、とりわけ建設化学品に用いられるCSAセメントを提供することである。本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、低反応性相又は非反応性相の割合がごく小さいため、低~非反応性ビーライトをかなりの割合で含有するCSABセメントとして、建設化学品の配合物に少量で使用することができる。この利点はいくつかの点で好影響をもたらし、例えば、必要とされる貯蔵容積が低減される。
【0024】
本発明に係るCSAセメントは、条件によってはC4A3$水和反応を阻害し得るアルミン酸カルシウム(C12A7、C3A、CA)、又は、CaO及び/若しくはCa(OH)2等の各種高水和反応性相の含有量がごく小さい。そのため、上記成分により高い均一性及び高い効率性が達成され、これは建設化学品においてとりわけ重要である。
【0025】
表1から、本発明に係るCSAセメントは、ビーライトをより多く含有するCSAセメントと比較した場合に、形成クリンカーの比エネルギー必要量(kJ/kg)及び比CO2排出量(kg/kg)というコスト及び環境の両観点で非常に有利であることも明白である。ビーライトを形成する場合比べて、C4A3$を形成するための比エネルギー必要量は約40%低く、比CO2排出量は50%超低い。
【0026】
本発明に係るCSAセメントの建設化学品の配合物及び建設化学品の配合物における結合材成分としての使用に加え、本発明は、高い効果を有する成分C4A3$の添加が有利なCSAセメントの、収縮補償システム、汚染物質及び重金属の固定化、並びにコーティング及びペイント等のさらなる分野への使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】混合物1、5、6、及び7のヒートフロー曲線の比較を示す
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係るカルシウムスルホアルミネートは、結晶質若しくは非晶質の又は結晶質と非晶質との混合状態のC4A3$を90重量%以上含有し、ブレーン比粉末度(specific grinding fineness according to Blaine)が3500cm2/g以上、好ましくは4000cm2/g以上、より好ましくは4500cm2/g以上であって、6250cm2/g以下、好ましくは6000cm2/g以下、より好ましくは5750cm2/g以下、更により好ましくは5500cm2/g以下である。本発明に係るカルシウムアルミネートセメントは、CaOとして算出して0.5重量%以下のフリーライム、及び/又は0.5重量%以下のC3A、及び/又はC12A7として算出して2.0重量%以下のマイエナイト、及び/又はCAとして算出して10.0重量%以下のクロタイトを更に含み、0.5~10重量%のC4AFとその混晶C6A3-XFX〔1≦x≦3〕、及び/又はC2Sとして算出して0.5~10重量%のビーライト、及び/又はCAとして算出して0.5重量%以上のクロタイトを更に含む。この結果、上記カルシウムスルホアルミネートセメントは有利な加工特性及び強度特性を有する。
【0029】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、99.5重量%以下、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更により好ましくは97重量%以下、特に好ましくは96重量%以下、特に更により好ましくは95重量%のC4A3$を含有する。この結果、有利な加工特性及び強度特性を維持しつつ、製造が簡略化される。
【0030】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、CaOとして算出して0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下のフリーライムを含有する。
【0031】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下のC3Aを含有する。
【0032】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、C12A7として算出して1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下のマイエナイトを含有する。
【0033】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、CAとして算出して7.5重量%以下、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、更により好ましくは1.0重量%以下のクロタイトを含有する。
【0034】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、7.5重量%以下、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、更により好ましくは1.0重量%以下のC4AFとその混晶C6A3-XFX〔1≦x≦3〕を含有する。
【0035】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、C2Sとして算出して7.5重量%以下、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、更により好ましくは1.0重量%以下のビーライトを含有する。
【0036】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、CAとして算出して1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更により好ましくは2.5重量%以上のクロタイトを含有する。
【0037】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更により好ましくは2.5重量%以上のC4AFとその混晶C6A3-XFX〔1≦x≦3〕を含有する。
【0038】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、C2Sとして算出して1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更により好ましくは2.5重量%以上のビーライトを含有する。
【0039】
有利には、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントは、下記更なる元素の1種又は複数種を含有する〔更なる元素]:Si、Na、K、Mg、Sr、Ba、Ti、Zr、V、P、Cr、Mn、及びZn。上記元素は、単体(pure form)及び/又は種々の酸化数(oxidization stages)の酸化物及び/又は種々の化合物として含有され得る。上記元素に加えて或いは上記元素の代わりに、遷移金属が、単体及び/又は種々の酸化数の酸化物及び/又は種々の化合物として含有され得る。
【0040】
本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントにおいて、ミネラル相は部分的に、結晶質状態に加えて、隠微晶質(cryptocrystalline form)及び非晶質状態、又は、結晶質、隠微晶質、及び/若しくは非晶質の混合状態で存在し得る。各相の含有量を重量%で示す場合、同一化学組成の非晶質部分も含有量に含まれる。
【0041】
カルシウムアルミネート(CA、CA2、C3A、C12A7)及びカルシウムスルホアルミネート(C4A3$)の結晶格子内で、Al3+がFe3+で置換され得ることが知られている。このようなFe3+/Al3+の混晶体も明らかにミネラル相に含まれると言えるが、正式な成分表示には明示されていない。
【0042】
独立した発明は、本明細書に記載の本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントの、建設化学品の配合物における結合材成分としての使用である。
【0043】
別の独立した発明は、結晶質若しくは非晶質の又は結晶質と非晶質との混合状態のC4A3$を90重量%以上含み、ブレーン比粉末度(specific grinding fineness according to Blaine)が3500cm2/g~6250cm2/gであるカルシウムスルホアルミネートセメントの製造方法であって、上記カルシウムスルホアルミネートセメントを製造するために、41~50重量%、好ましくは42.5~50重量%のAl2O3、34~41重量%、好ましくは35~40重量%のCaO、及び11~19重量%、好ましくは12~18重量%のSO3、及び0.1~3重量%のSiO2、及び/又は0.1~1重量%のFe2O3、及び/又は0.05~2.5重量%のTiO2、及び/又は0.05~2.5重量%のZnO、を含有する原料混合物を用い、1150℃以上の焼成温度で上記原料混合物を焼成する工程と、上記原料を粉砕してブレーン比粉末度が3500cm2/g~6000cm2/gである原料混合物にする工程と、を含む、製造方法である。
【0044】
好ましくは、上記方法において、原料混合物は、0.1~2.5重量%のSiO2、及び/又は0.1~0.7重量%のFe2O3、及び/又は0.05~2.1重量%のTiO2、及び/又は0.05~2.4重量%のZnOを含有する。
【0045】
好ましくは、上記方法は、1175℃以上、好ましくは1200℃以上、より好ましくは1225℃以上であって、1350℃以下、好ましくは1325℃以上(at least 1325℃)、より好ましくは1300℃以上(at least 1300℃)の焼成温度で原料混合物を焼成する工程;及び/又は、原料を粉砕してブレーン比粉末度が4000cm2/g~5500cm2/g、好ましくは4500cm2/g~5500cm2/gである原料混合物にする工程、を含み、粉砕はボールミルで実行され、好ましくは、ボールミルで2段階、各段階で異なる粉砕媒体(grinding bodies)を用いて実行される。
【実施例】
【0046】
<実施例1>
【0047】
出発物質として焼成ボーキサイト(calc. bauxite)、石灰石、硫酸カルシウム、及び焼成アルミナ(calc. alumina)を用いて、ブレーン比粉末度が約5000cm2/gである7種の均一な混合物を製造した。出発物質の化学組成をそれぞれ表4に示す。
【0048】
混合物7は、鉱化剤として粉末状の純物質成分ZnOを更に含有する。7種の混合物を製造するための出発物質の量をそれぞれ表5に示す。7種の混合物の化学組成をそれぞれ表6に示す。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
7種の混合物から取り出した各ペレットをプレス成形し、それぞれ1250℃で1時間焼成した。続いて、キルンから取り出し、室温に冷却し、粉砕して初期粉末度に戻した。これらの材料を、リートフェルト法を用い、定量的XRDにより分析した。続いて、サンプル全体を同じ温度で1時間再度焼成した。再び冷却、粉砕した後、サンプルをXRDにより再分析した。これらの分析結果を下記表7に示す。
【0053】
【0054】
表7は、上記原料及び条件を採用した場合、全7種の混合物中において、目的とするイーリマイトが90重量%超の含有量で存在することを示す。
【0055】
このようにして得られた上記7種のクリンカーから、サンプル1、5、6、及び7を選択した。それぞれを、添加剤を用いずに、振動ディスクミルにより700rpmで2分間粉砕してブレーン粉末度を5000cm
2/g±250cm
2/gにし、続いて、ヒートフロー反応熱量計を用いて20℃、水/セメント比0.50で、50時間水和させた。測定されたヒートフロー曲線を
図1に示す。
【0056】
図1は、混合物1、5、6、及び7のヒートフロー曲線の比較を示す。熱量計を用いて試験したこれらの混合物はすべて、練混ぜ後、2.5時間以上の長いドルマント期(dormant period)を有し、はっきりとしたヒートフロー最大値を示している。混合物1、5、及び6のヒートフロー曲線と比較すると、混合物7はセメントペーストでのオープンタイムが約7.5時間と明らかに長い。同時に、混合物7は水和反応が均一である。
【0057】
<実施例2>
【0058】
半工業スケールでの焼成試験のために、表6の混合物7の化学組成に従って原料配合を選択し、新たな原料から原料混合物「R-BC7」を製造した。原料の化学組成を表8に示す。原料混合物R-BC7の組成割合を表9に示す。
【0059】
【0060】
【0061】
造粒プレートを用いて、平均直径が10mmの原料混合物R-BC7の粉粒体を製造した。原料混合物の成分として用いた消石灰は、造粒性を向上させるために用いた。
【0062】
この粉粒体を、長さ7m、内径50cmの重油燃焼試験用ロータリーキルンに投入した。キルンは1.5rpmで駆動した。焼結ゾーン(sinter zone)の焼成温度は平均1270℃に維持した。焼結ゾーンで焼成される材料の滞留時間は30~40分間とした。
【0063】
冷却後、本発明に係るクリンカーK-BC7を2段階で粉砕した。1段階目の粉砕はボールを充填したボールミルで行い、2段階目は円柱状の粉砕媒体(grinding bodies)を含むボールミルで粉砕した。このクリンカーを添加剤無しで粉砕した。目標とするブレーン粉末度は5000cm2/gとした。本発明に係るクリンカーK-BC7から、本発明に係るCSAセメントBC7を計100kg超製造した。
【0064】
表10に、クリンカーK-BC7の粉砕により得られた本発明に係るCSAセメントBC7の化学分析を示す。比較用データとして、2種の市販CSAセメント「Alipre」(Italcementi社)及び「Next Base」(Buzzi Unicem社)から無作為に採取した試料の化学分析を示す。
【0065】
【0066】
本発明に係るCSAセメントBC7の鉱物組成を表11に示す。これらの値を市販のカルシウムスルホアルミネートセメント「Alipre」(Italcementi社)及び「Next Base」(Buzzi Unicem社)から無作為に採取した試料の分析値と比較する。
【0067】
2種のCSAセメント「Alipre」及び「Next Base」は、C4A3$含有量が90重量%未満であり、ビーライト(C2Sα,β)含有量は「Alipre」が11.80重量%、「Next Base」が17.70重量%である。
【0068】
本発明に係るCSA BC7は、C4A3$含有量が94.5重量%であり、ビーライト(C2Sα,β)含有量が2.0重量%である。C12A7等の急結相は存在しないか、僅かにしか存在しない。
【0069】
PANalytical B.V社(アルメロ、オランダ)のリートベルトソフトウェア、HighScore Plus,バージョン4.6aを用いて、全ての相の含有量を求めた。分析には、高速Xcelerator検出器を備えたPANalytical社のX線回折計Cubixを用いた。
【0070】
【0071】
本発明に係るセメントBC7並びに比較用試料「Alipre」及び「Next Base」のそれぞれについて、EN14647に従い、規準スティフネス(stiffness)を達成するための水の必要量、凝結時間(setting time on the lime)、及び24時間後の規準モルタルの圧縮強度発現を求めた。
【0072】
EN14647に従い、EN196-3の試験法を用いて規準スティフネス及びこれに必要な水の必要量を求める。圧縮強度は、EN14647に従い、規準砂含有量1350gで、500gのセメント及び200gの水(水/セメント=0.40)を含有する規準モルタルについて求める。水の必要量、凝結挙動、及び圧縮強度の試験結果を表12に示す。
【0073】
【0074】
市販の比較用セメントは共に、水の必要量が32%であり、凝結開始が9分(「Alipre」)及び17分(「Next Base」)という急結性を示す。
【0075】
対照的に、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントBC7は、凝結特性が著しく長く、水の必要量が28%と少ない。水の必要量及び凝結時間の各値は、ポルトランドセメント及びアルミナセメントの各値に匹敵する。比較用セメント「Alipre」は9分の時点で凝結が開始しており加工時間が最も短い。
【0076】
24時間後、「Next Base」の圧縮強度は6MPaであり、「Alipre」の圧縮強度は25MPaである。これに対して、本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントBC7は24時間後の圧縮強度が44MPaであり、市販の比較用試料「Alipre」のほぼ2倍の強度を有している。
【0077】
<実施例3>
本発明に係るCSAセメントBC7を用い、タイル接着剤、レベリング材(levelling compounds)、下塗り材(fillers)、及び補修用モルタルの各分野の製品に典型的な業界規準の結合材成分、添加剤、及び充填材を用いて、セルフレベリングフィラーとして種々の建設化学品混合物を製造した。
【0078】
セルフレベリングフィラーは、建設化学品配合物の中でもとりわけ需要のある製品である。セルフレベリングフィラーは、30分間の加工時間で良好~非常に良好なレベリング性(progression)を有するべきであり、また、早強性及び速いアクセス性(rapid accessibility)を可能にしなければならない。一般に、高品質セルフレベリングフィラーはカルシウムスルホアルミネートセメントを高含有量で含む。
【0079】
各種配合物の組成を表13に示す。配合成分は、「結合材」、「添加剤I及び添加剤II」、並びに「充填材」に分けられる。本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントBC7を用いて基本配合物をそれぞれ作製した。本発明に係るCSAセメントBC7-1及びBC7-2を用いた2種の配合物を、市販の比較用セメント「Alipre」(Italcementi社)及び「Next Base」(Buzzi Unicem社)を用いた配合物と比較する。配合物BC7-1は、本発明に係るCSAセメントBC7を19.66重量%含有する。配合物BC7-2ではBC7含有量を14.74重量%に減らし、粉砕石灰石(F2)を増やして100%とした。
【0080】
4種の混合物を製造後、30分間、スランプa5、a15、及びa30を測定することによりコンシステンシーを評価し、規準プリズム4cm×4cm×16cmの4時間後、6時間後、及び24時間後の圧縮強度発現を評価した。表13に用いた用語及び略号を以下に説明する。
【0081】
「結合材」は次の配合成分を意味するものである:ポルトランドセメント(OPC)Milke Premium CEM I 52.5 R〔HeidelbergCement AG〕;カルシウムスルホアルミネートセメント(CSA)及び硫酸カルシウム(C$)硬石膏-Micro A〔Casea社〕。
【0082】
「添加剤I」は、主に遅延効果及び促進効果を有する次の添加剤を指す:L(+)酒石酸 p.a.(WS)〔HARKE Chemicals GmbH〕;炭酸リチウム(純粋)(LiC)、製品番号5670〔Merck社〕。
【0083】
「添加剤II」は、主に混合物のコンシステンシーに影響を与える次の添加剤を含む:液化ViscoCrete-225 P(VF)〔SIKA社〕;セルロースエーテルCulminal MHPC-500 PF(CE)〔Ashland社〕;消泡剤Agitan P 801(ES)〔Munzing Chemie GmbH〕;及び、再分散性ポリマー粉末(RPP)ELOTEX FL 2280〔Akzo Nobel Chemicals AG〕。
【0084】
充填材(F)は、水和反応に関与しない不活性物質を指す。実施例では、Quartz sand F34(F1)〔Quarzwerke GmbH〕及び粉砕石灰石40GU(F2)〔Omya GmbH〕を用いた。
【0085】
表13において、パーセントで示される値は混合物の総重量における該当成分の割合を指す。
【0086】
全ての建設化学品混合物は一定の水/固形分値(w/s値)0.21で練混ぜた。
【0087】
スランプは次のように試験した。2000gの乾燥配合混合物を正確に計り取り、EN196に従いモルタルミキサにて、420gの脱塩水と共にステージIで30秒間、続いてステージIIで90秒間練混ぜた。練混ぜ水をミキサーに投入し、続いて上記乾燥混合物を加えた。次に、得られた流動性混合物を、同心円状の目盛を備え正確に水平に配置した3つのプレキシガラス製ドライスプレッドプレートの中央に位置するようにそれぞれ配置された3つのディスチャージリング、即ち高さ35mm、内径68mmのリング状アルミニウム製容器に流し込んだ。練混ぜ開始から5分後、最初のリングを持ち上げ、円状に広がった塊の直径を、ノギスを用いて測定した互いに垂直な2方向の直径の平均値として求め、これをa5値とした。同様に、残る2つのリングをそれぞれ15分後及び30分後に持ち上げて、a15値及びa30値を求めた。
【0088】
4時間後、6時間後、及び24時間後の圧縮強度を求めるために、建設化学品混合物を同様に製造し、練混ぜ完了後、流動性材料を、追加の圧縮手段を有さないEN196準拠のプリズム型に流し込んだ。この型をEN196に従って保管し、当該規格に従い予定した時間にプリズムを試験した。
【0089】
【0090】
表13から明らかなように、全てのセルフレベリングフィラーが30分間にわたり非常に良好なレベリング性(progression)を示している。本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントBC7を19.66%含むフィラーBC7-1は、「Alipre」を19.66%含むフィラー及び「Next Base」を19.66%含むフィラーと比較して、4時間後、6時間後、及び24時間後の圧縮強度が明らかに高い。本発明に係るカルシウムスルホアルミネートセメントBC7を14.74%だけ含むフィラーBC7-2は、驚くべきことに、19.66%セメント含有量の比較用配合物「Alipre」及び「Next Base」の強度レベルにある。
【0091】
カルシウムスルホアルミネートセメントは、とりわけ、97重量%以下のC4A3$、C2Sとして算出して1重量%以上のビーライト、及びCAとして算出して0.5重量%以上のクロタイトを含有し得る。
【0092】
カルシウムスルホアルミネートセメントは、とりわけ、97重量%以下のC4A3$、C2Sとして算出して1重量%以上のビーライト、CAとして算出して0.5重量%以上のクロタイト、及びC12A7として算出して0.1重量%以上であって、2.0重量%以下、特に1.0重量%以下、特に0.5重量%以下のマイエナイトを含有し得る。
【0093】
カルシウムスルホアルミネートセメントは、とりわけ、97重量%以下のC4A3$、C2Sとして算出して1.5重量%以上のビーライト、及びCAとして算出して0.5重量%以上のクロタイトを含有し得る。
【0094】
カルシウムスルホアルミネートセメントは、とりわけ、97重量%以下のC4A3$、C2Sとして算出して1.5重量%以上のビーライト、CAとして算出して0.5重量%以上のクロタイト、及びC12A7として算出して0.1重量%以上であって、2.0重量%以下、特に1.0重量%以下、特に0.5重量%以下のマイエナイトを含有し得る。
【0095】
下記項目に記載の1又は複数に係るカルシウムスルホアルミネートセメント又はその製造も本発明に従うものである。
項目:
<1> 結晶質若しくは非晶質の又は結晶質と非晶質との混合状態のC4A3$を90重量%以上含有し、ブレーン比粉末度が3500cm2/g以上、好ましくは4000cm2/g以上、より好ましくは4500cm2/g以上であって、6250cm2/g以下、好ましくは6000cm2/g以下、より好ましくは5750cm2/g以下、より好ましくは5500cm2/g以下であることを特徴とする、カルシウムスルホアルミネートセメント。
<2> 結晶質若しくは非晶質の又は結晶質と非晶質との混合状態のC4A3$を90重量%以上97重量%以下含有し、ブレーン比粉末度が3500cm2/g~6250cm2/gであり、C2Sとして算出して1重量%以上のビーライトを含有することを特徴とする、カルシウムスルホアルミネートセメント。
<3> 99.5重量%以下、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更により好ましくは97重量%以下、特に好ましくは96重量%以下、特に更により好ましくは95重量%以下のC4A3$を含有することを特徴とする、<1>に記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<4> CaOとして算出して0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下のフリーライムを含有することを特徴とする、<1>~<3>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<5> 0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下のC3Aを含有することを特徴とする、<1>~<4>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<6> C12A7として算出して2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下のマイエナイトを含有することを特徴とする、<1>~<5>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<7> CAとして算出して10.0重量%以下、好ましくは7.5重量%以下、より好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下のクロタイトを含有することを特徴とする、<1>~<6>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<8> 10.0重量%以下、好ましくは7.5重量%以下、より好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下のC4AFとその混晶C6A3-XFX〔1≦x≦3〕を含有することを特徴とする、<1>~<7>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<9> C2Sとして算出して10.0重量%以下、好ましくは7.5重量%以下、より好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下のビーライトを含有することを特徴とする、<1>~<8>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<10> CAとして算出して0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更により好ましくは2.5重量%以上のクロタイトを含有することを特徴とする、<1>~<9>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<11> 0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更により好ましくは2.5重量%以上のC4AFとその混晶C6A3-XFX〔1≦x≦3〕を含有することを特徴とする、<1>~<10>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<12> C2Sとして算出して0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更により好ましくは2.5重量%以上のビーライトを含有することを特徴とする、<1>~<11>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント。
<13> 下記更なる元素の1種又は複数種、それらの種々の酸化数(oxidization stages)の酸化物、又はそれらの化合物を含有することを特徴とする、<1>~<12>のいずれか一つに記載の、又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメント:〔更なる元素〕Si、Na、K、Mg、Sr、Ba、Ti、Zr、V、P、Cr、Mn、Zn、及び/又は他の遷移金属。
<14> <1>~<13>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメントの、建設化学品の配合物における結合材成分としての使用。
<15> カルシウムスルホアルミネートセメント、好ましくは<1>~<14>のいずれか一つに記載の又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメントの製造方法であって、前記カルシウムスルホアルミネートセメントを製造するために、41~50重量%、好ましくは42.5~50重量%のAl2O3、34~41重量%、好ましくは35~40重量%のCaO、及び11~19重量%、好ましくは12~18重量%のSO3を含有する原料混合物を使用する、カルシウムスルホアルミネートセメントの製造方法。
<16> 前記原料混合物は、0.1~3重量%、好ましくは0.1~2.5重量%のSiO2、及び/又は0.1~1重量%、好ましくは0.1~0.7重量%のFe2O3、及び/又は0~2.5重量%、好ましくは0.05~2.1重量%のTiO2、及び/又は0~2.5重量%、好ましくは0.05~2.4重量%のZnOを含有する、<15>に記載の、<1>若しくは<2>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメントを製造するための、好ましくは<1>~<13>のいずれか一つ又は<3>若しくは<4>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメントを製造するための、方法。
<17> 1150℃以上、好ましくは1175℃以上、好ましくは1200℃以上、より好ましくは1225℃以上であって、1350℃以下、好ましくは1325℃以上(at least 1325℃)、より好ましくは1300℃以上(at least 1300℃)の焼成温度で前記原料混合物を焼成する工程、及び/又は、前記原料を粉砕してブレーン比粉末度が3500cm2/g以上、好ましくは4000cm2/g以上、好ましくは4500cm2/g以上であって、6000cm2/g以下、好ましくは5500cm2/g以下である原料混合物にする工程、を含み、前記粉砕はボールミルで実行され、好ましくは、前記ボールミルで2段階、各段階で異なる粉砕媒体(grinding bodies)を用いて実行される、<15>又は<16>に記載の、<1>若しくは<2>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメントを製造するための、好ましくは<1>~<13>のいずれか一つに記載のカルシウムスルホアルミネートセメントを製造するための、方法。