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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ケーシングおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20220127BHJP
   B29C 44/14 20060101ALI20220127BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20220127BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20220127BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20220127BHJP
   H01B 19/00 20060101ALN20220127BHJP
   B29L 31/36 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
B29C44/00 D
B29C44/14
B29C45/00
B29C45/14
B29C45/26
H01B19/00 331
B29L31:36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2016017272
(22)【出願日】2016-02-01
(65)【公開番号】P2016153226
(43)【公開日】2016-08-25
【審査請求日】2019-01-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】10 2015 101 362.2
(32)【優先日】2015-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン マイキッシュ
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】岩本 昌大
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0084738(US,A1)
【文献】特開2002-313518(JP,A)
【文献】L. J. Hyde ,外1名“The MuCell Injection Molding Process:A Strategic Cost Savings Technology for Electronic Connectors”,[online],2003年9月19日,IICIT,[2021年7月2日検索],インターネット(新たに引用した文献) <URL:https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.202.2075&rep=rep1&type=pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C45/00-45/84
B29C44/00-44/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的/光学的なプラグイン接続用のプラグ部品(2)およびケーブル(3)のうち少なくとも一方のケーシング(1)を射出成型金型(5)において熱可塑性樹脂材料(4)から射出成型により製造する方法であって、
少なくとも1種類のアウトガス促進剤(6)が、前記熱可塑性樹脂材料(4)とともに前記射出成型金型(5)に、射出圧力は5~40[bar]の範囲、かつ、射出温度は180~240[℃]の範囲で射出され、前記ケーシング(1)に気孔(7)が形成され
前記アウトガス促進剤(6)が化学的促進剤であることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記化学的促進剤(6)が、アウトガス過程を誘発するために前記射出成型金型(5)またはその手前において熱活性化されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法において、
前記化学的促進剤(6)が前記熱可塑性樹脂材料(4)に対して射出前に添加され、これによって得られた前記促進剤(6)および前記熱可塑性樹脂材料(4)を含む混合物(10)が前記射出成型金型(5)に射出されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の方法において、
前記ケーシング(1)が、前記プラグ部品(2)の本体(8)および前記ケーブル(3)のうち少なくとも一方にオーバーモールドされ、または、前記ケーシング(1)が、前記射出成型金型(5)において射出成型によって作製されたうえで、前記プラグ部品(2)の本体(8)および前記ケーブル(3)のうち少なくとも一方に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1つに記載の方法において、
前記熱可塑性樹脂材料(4)および前記化学的促進剤(6)のアウトガス前状態における全質量に対して、前記化学的促進剤(6)が0.5~5%の範囲で前記射出成型金型(5)に射出されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~4のうちいずれか1つに記載の方法において、
前記熱可塑性樹脂材料(4)および前記化学的促進剤(6)のアウトガス前状態における全質量に対して、前記化学的促進剤(6)が1.5~2.5%の範囲で前記射出成型金型(5)に射出されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的/光学的なプラグイン接続用のプラグ部品およびケーブルのうち少なくとも一方のケーシングを射出成型金型において熱可塑性樹脂材料から射出成型により製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、前記のような類のケーシングを射出成型法により作製することが知られている。ケーシングは、たとえばケーブル用のアンチキンクグロメットを構成するためにケーブルを包み込む。電気的/光学的なプラグイン接続用のプラグ部品にケーシングをオーバーモールドすることで、プラグ部品に所定の触感もしくは意匠、所望の電気絶縁性、または衝撃もしくは腐食の保護をもたらすことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、射出成型によってより容易かつ迅速にケーシングを製造することができるような一般的な方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記種類の方法において、少なくとも1種類のアウトガス促進剤および少なくとも1種類のガスのうち少なくとも一方が、前記熱可塑性樹脂材料とともに前記射出成型金型に射出され、前記ケーシングに気孔が形成されることを特徴とする。
【0005】
射出成型に際して熱可塑性樹脂材料に促進剤を添加することにより、この促進剤によるアウトガスによってケーシングに気孔が形成される。これに代えて、ガスが直接的に同時射出されて気孔を形成する。気孔によってケーシングが迅速に冷却され、射出成型金型からケーシングを脱型するまでの射出成型過程の全体が従来技術に比べて短縮される。その結果、ケーシングはより迅速かつ経済的に製造される。経済的な観点から本発明のさらなる利点としては、ケーシングごとに消費される熱可塑性樹脂材料は、従来の製造方法と比較してより少ないことがあげられる。ケーシングは軽量化される一方で低廉に生産される。
【0006】
本発明の方法によれば、促進剤またはガスが用いられるため、射出成型に際して射出圧力および射出温度の低下が可能である。いわゆる低圧射出成型が可能である。本発明の好ましい実施形態では、射出圧力は5~40[bar]の範囲にある。好ましい射出温度範囲は100~240[℃]の範囲にある。当該数値範囲は、明らかに、従来技術において要求される射出圧力および射出温度よりも低い。完全を期すため、ケーシングを製造するための射出成型過程は、その他の点を除けば従来のように実施可能であることに留意されたい。このような射出成型方法は、従来技術において幅広く知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0007】
射出圧力および射出温度の低下によって、利用される射出成型機が小型化され、エネルギー消費量が少なくて済むので経済的にも好ましい。純粋な経済上の利点に加えて、本発明には品質上の利点もある。したがって、促進剤およびガスのうち少なくとも一方の添加によってケーシングに気孔が形成され、それによって最終製品、すなわちケーシングの弾性を所望の範囲に調整することができる。最終製品の曲げ疲労強度は、従来技術と比較して改善されている。本発明にしたがって製造されたケーシングは、さらに大きな機械的応力下であっても、耐久性があり、寿命が長い。
【0008】
すなわち、本発明において用いられる熱可塑性樹脂材料、すなわち熱可塑性樹脂は、基本的に特定の温度範囲において変形可能な樹脂であり、射出成型過程は、熱可塑性樹脂材料が射出成型に際して固相状態から液相状態に変化し、冷却される際に固相凝集状態に戻るような可逆的な過程である。射出成型に適当な多くの熱可塑性樹脂材料または熱可塑性樹脂が知られている。基本的に非常に多様な熱可塑性樹脂材料が本発明に適用可能である。なお、熱可塑性エラストマーまたはPVCが採用されることが特に好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系架橋熱可塑性エラストマー、ウレタン系架橋熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性コポリエステルまたはスチレンブロック共重合体、ならびに熱可塑性コポリアミドがあげられる。
【0009】
上述したように、ケーシングにおける気孔は、様々な方法で形成される。たとえば、射出成型金型にアウトガス促進剤を同時注入し、促進剤のアウトガスによってケーシングに気孔が形成される。促進剤は、化学的促進剤、すなわち、分解されることでガスが離脱するまたは放出されるような化学物質であることが好ましい。促進剤、特に化学的促進剤は、ガス放出過程を誘発するために熱的に活性化される。促進剤の化学的活性化は基本的に可能であり、たとえば少なくとも2つの組成物が化学的に相互作用してアウトガス過程を誘発するように、当該組成物を混合することによって可能である。特に好ましい変形例において、促進剤はアウトガス過程を誘発するため、好ましくは射出金型において熱的に活性化される。例えば、熱可塑性樹脂材料および促進剤のうち少なくとも一方が、射出成型過程の開始前において顆粒の形態であってもよい。相応に低い蒸発温度を有する液体が、促進剤として用いられてもよい。これらは、熱的に活性化され、すなわち蒸発するように励起されてガスを発生することができる。本発明の別の実施形態では、熱可塑性樹脂材料および促進剤が予め混合されずに、射出成型金型に同時にまたは連続的に注入されてもよい。促進剤に代えて、熱可塑性樹脂材料に加えて少なくとも1種のガスが射出成型金型に射出されてもよい。これに適当なガスは、例えば窒素(N2)または二酸化炭素(CO2)である。完全を期すため、熱可塑性樹脂材料、促進剤およびガスが単一の物質または材料であってもよく、複数の材料、促進剤または複数のガスの混合物であってもよいことに留意されたい。
【0010】
適切な促進剤およびガスは従来技術において知られている。適当な粒状の促進剤は、たとえばハイドロセロールの商品名で市販されている。ガソリンまたは水が液状の促進剤として用いられてもよい。促進剤は、有機化合物および無機化合物から製造されてもよい。
【0011】
気孔は閉じられた気泡または細孔の形態で形成される。したがって、当該気孔は閉気孔である。そのほか、開気孔、すなわち相互に連続している気孔があってもよい。最終製品、すなわちケーシングの気孔率が5~40%の間の範囲になるように、促進剤およびガスもしくは促進剤ガスの添加量を調整することが好ましい。換言すると、気孔は最終製品またはケーシングの体積のうち5~40%を占めている。気孔の体積率または気孔率は、60%に達し、最大では80%にまで達してもよい。気孔は、完成したケーシングにおいて、熱可塑性樹脂材料からなるマトリックスに分散されている。換言すれば、気孔は、完成したケーシングの熱可塑性樹脂材料の気孔率を形成する。これはまた、熱可塑性樹脂材料の発泡ともいえる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、アウトガス前の状態における熱可塑性樹脂材料および促進剤の全質量に対して、0.5~5%、好ましくは1.5~2.5%の範囲にある促進剤が射出成型金型射出される。
【0013】
本発明の方法において、ケーシングは、プラグ部品の本体およびケーブルのうち少なくとも一方にオーバーモールドされてもよい。この場合、射出成型による本体またはケーブルのカプセル化または包摂ともいえる。この目的のため、周知のように本体およびケーブルのうち少なくとも一方が、射出成型金型に射出過程前に導入される。射出成型金型が閉じられたときに、射出された熱可塑性樹脂材料が直接的に本体およびケーブルのうち一方または両方にオーバーモールドされる。本発明に係る他の方法は、ケーシングを射出成型によって射出成型金型に製造したうえで、プラグ部およびケーブルの本体のうち一方または両方に取り付けるように構成されてもよい。
【0014】
発明に係る電気的、光学的、または電気的かつ光学的なプラグイン接続用のプラグ部品およびケーブルのうち少なくとも一方のケーシングは、熱可塑性樹脂材料を有し、気孔が前記熱可塑性樹脂材料に存在していることを特徴とする。このようなケーシングは本発明に係る方法によって製造されうる。上述したように、当該気孔に由来するケーシングの気孔率は、5~40%の範囲にある。気孔は、ケーシングに全体にわたって分散された複数の気泡または孔として構成されていることが好ましい。気泡または気孔は、ケーシングに全体的に実質的に均一に分布している。気孔は、好ましくは10[μm]~1.5[mm]の範囲にある直径を有している。直径は、気孔または気泡の最大径によって定義される。本発明のケーシングは、たとえばケーブル用のアンチキンクグロメットであってもよい。これは、ケーブルに取り付けられ、ケーブルがプラグ部品を通っている部位においてプラグ部品に対して取り付けられるケーシングである。アンチキンクグロメットは、ケーブルのよじれまたは該当部位におけるプラグ部品の断裂がほぼ完全に防止されるように、プラグ部品から延出しているケーブルを支持している。本発明のケーシングは、プラグ部品の本体のいわゆるオーバーモールドであってもよい。これは、本体の被覆を意味する。本体は、例えば、金属または樹脂からなるプラグ部品のハウジングであってもよい。ケーシングは、アンチキンクグロメットおよびオーバーモールドの組み合わせであってもよい。したがって、ケーシングは、アンチキンクグロメットを構成する部位およびオーバーモールドを構成する別の部位を有し、当該2つの部位が単一部品を構成していてもよい。
【0015】
完全を期すため、本発明に係る完成ケースは、限定はされないが、周方向について封止されているプラグ部品もしくはその本体およびケーブルを完全に囲んでいることに留意されたい。ケーシングは、プラグ部品、その本体およびケーブルのうち少なくとも1つにおける領域、特に周方向に封止されていない領域にのみ形成されてもよい。
【0016】
本発明のさらなる利点および詳細は、添付図面を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】アンチキンクグロメットの形態で本発明にしたがって作製されたケーシングの側面図。
図2図1のアンチキンクグロメットの模式的な縦断面図。
図3】射出成型による本発明の第1実施形態の製造方法の概略図。
図4図3の領域Aの説明図。
図5】プラグ部品の本体およびアンチキンクグロメットのオーバーモールドの両方を形成する本発明のケーシングの第2実施形態の説明図。
図6図5の縦断面図。
図7図5および図6の実施形態の射出成型による製造方法の別の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ケーブル3用のアンチキンクグロメット16の形態の本発明のケーシング1の側面図を示している。ケーブル3およびプラグ部品2の本体8は非常に模式的に示されている。これは、図2の縦断面図においても同様である。プラグ部品2が取り付けられているアンチキンクグロメット16は、工具のハウジングの外側にある領域における引きちぎりまたはねじれ(キンク)からケーブル3を保護するため、たとえばドリル、グラインダまたはその他の機器を通るケーブル3に用いられる。図示されている実施形態では、プラグ部品2は、機器の一部に配置されたソケット(図示略)との取り外し可能なプラグイン接続のために設けられている。これは一例にしか過ぎないのはもちろんのことである。アンチキンクグロメット16は、工具のハウジングに同様に簡単に固定的に配置される。
【0019】
ケーシング1またはアンチキンクグロメット16の全体にわたって均等に分散された気孔7は、図2の縦断面図において概略的に示されている。気孔7は、熱可塑性樹脂材料4により形成されているマトリックスによって囲まれている。
【0020】
図3は、プラグ部品2のケーシング1を製造するための本発明に係る方法を実施することが可能な射出成型機の射出成型金型5および射出ユニット11を極めて概略的に示している。射出成型機は従来技術で知られているものなので、詳細な説明は省略される。射出成型金型5は、よく知られているように2つの分割金型9を有している。ここで示されている閉位置において、当該2つの分割金型は最終製品、ここではケーシング1の外側輪郭および形状を定める金型キャビティ18を囲んでいる。射出成型過程の前において射出成型金型5が開いている際、本体8とその中に固定されるケーブル3が金型キャビティ18に挿入される。その後、分割金型9が閉じられ、射出成型過程のために必要な圧力で相互に押圧される。本実施形態では熱可塑性樹脂材料4および促進剤6の混合物を含んでいる出発材料は、射出ユニット11のホッパー19内に注入される。図4は、図3の部分Aを模式的にかつ拡大して示している。熱可塑性樹脂材料4ならびに促進剤6の両方が、本実施形態における出発物質における顆粒として存在することがわかる。射出ユニット11は、よく知られているように、射出管13においてその軸線回りに回転可能かつ軸線方向に変位可能に設けられているスクリュー12を備えている。射出管13の先端部14は、一方の分割金型9に設けられている射出チャネル15において終了する。
【0021】
射出ユニット11における熱可塑性樹脂材料4の予備処理は、射出過程と同様に、従来技術で知られているように最初に実行される。スクリュー12を回転させることにより、熱可塑性樹脂材料4および促進剤6を含む原料混合物が貯蔵容器19から射出管13に送出され、その先端部14に向かって送出される。先端部14に送出されるまでの間に熱可塑性樹脂材料4は、必要に応じて射出管13の外部または内部に設けられている周知の加熱要素(図示略)により加熱されることで液化される。射出過程のため、適当量の熱可塑性樹脂溶融材料が適当量の促進剤6とともに射出管13の先端部14に集められる。先端部14に捕集された材料が射出チャネル15を介して金型キャビティ18に射出されてこれを充填するように、スクリュー12はその軸線方向について先端部14に向かって動かされる。熱可塑性樹脂材料4に混合されている促進剤6がアウトガスを開始する時点は、促進剤6が熱的に活性化可能であれば適当な温度プロファイルにしたがって制御される。たとえば、射出管13が対応する温度に達している場合、アウトガス過程が射出管13において既に開始していることが考えられる。また、促進剤6が金型キャビティ18に射出された後、そこに配置されている加熱装置(図示略)によって熱的に活性化されて促進剤6のアウトガスを生じさせるような温度まで加熱される場合に可能である。射出チャネル15は対応する熱的活性化のために同様に加熱されてもよい。
【0022】
本実施形態とは別に、熱可塑性樹脂材料4および促進剤6または熱可塑性樹脂材料4および促進剤ガスを金型キャビティ18に射出するために複数の別個の射出ユニット11が用いられてもよい。特に促進剤6に代えて射出ガスまたは促進剤ガスが射出される場合、金型キャビティ18にガスまたは促進剤ガスを射出するために別個の射出ユニット11が設けられていてもよい。先端部14の領域において既に溶融している熱可塑性樹脂材料4に対してガスまたは促進剤ガスが最初に添加されてもよい。この場所で促進剤6が射出されてもよい。
【0023】
ここで実現されている周知のスクリュー12に代えて、単に縦方向に変位可能なピストンが射出過程のために射出管13に設けられてもよい。従来技術において公知のあらゆる適当な射出方法および射出成型機が、適用対象である方法に適合した形態で採用されうる。図3に示されている変形実施形態は一実施形態にしか過ぎない。
【0024】
図5図7は、本発明の第2実施形態のケーシング1および射出成型によるその製造に関する説明図である。図5に平面図が示され、かつ、図6に縦断面図が示されているプラグ部品2は、ケーブル3がプラグ部品2の本体8またはハウジングに案内されるところのいわゆるケーブルプラグである。この種のプラグ部品2は、エネルギーのほか、信号を伝送するために用いられる。このプラグ部品2は、少なくとも1つの他の対応するプラグ部分(図示略)に差し込まれることにより、光学的プラグイン接続および電気的プラグイン接続のうち少なくとも一方を実現することができる。第2または付加的プラグ部品は、ケーブルプラグまたはデバイスソケットであってもよい。電気信号、光信号およびエネルギーのうち少なくとも1つを伝送するための本体8におけるプラグコンタクト20がここでは非常に図式化されて表現されたが、従来技術で知られているように多種多様の態様で実現されうる。
【0025】
第2実施形態においては、ケーシング1は、アンチキンクグロメット16を構成する部位およびプラグ部品2の本体8またはハウジングのオーバーモールド17を構成する部位の両方を有している。当該2つの部位、すなわちオーバーモールド17およびアンチキンクグロメット16は、本実施形態では一体的に射出成型されるので、単一の部品として実現されている。これは、図6の縦断面図において容易に確認することができる。気孔7は、図6において概略的に示されており、ケーシング1の全体にわたってマトリックスを構成する熱可塑性樹脂材料4に均等に分散配置されている。図3と同様に、図7は、本発明の方法を説明するための射出成型機の図式化された構成要素を示している。射出成型過程の説明およびこれに関連する代替構成に対して図3と同様の符号が付されている。本明細書で上述した事項のすべては、射出成型によりケーシング1を製造するため説明についても適用可能である。また、図7の部分Aは図4に対応しており、すなわちそこに示されている混合物10は、混合された粒状の熱可塑性樹脂材料4および粒状の促進剤6を含んでいる。
【符号の説明】
【0026】
1‥ケーシング、2‥プラグ部品、3‥ケーブル、4‥熱可塑性樹脂材料、5‥射出成型金型、6‥アウトガス促進剤、7‥気孔、8‥本体、9‥分割金型、10‥混合物、11‥射出ユニット、12‥スクリュー、13‥射出管、14‥先端部、15‥射出チャネル、16‥アンチキンクグロメット、17‥オーバーモールド、18‥金型キャビティ、19‥貯蔵容器、20‥プラグコンタクト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7