(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】シート後処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20220112BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20220112BHJP
B42C 19/08 20060101ALI20220112BHJP
B42B 4/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B42B5/00
B42C19/08
B42B4/00
(21)【出願番号】P 2016179234
(22)【出願日】2016-09-14
【審査請求日】2019-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】青柳 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】孫 宏昌
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020339(JP,A)
【文献】特開2016-108136(JP,A)
【文献】特開2005-250271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00
B42B 5/00
B42C 19/08
B42B 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置からのシートを受けて搬送する第1の搬送手段と、
給紙トレイを有する給紙装置から
給紙されるシートを搬送する第2の搬送手段と、前記シートを積載する処理トレイと、前記処理トレイ上の前記シートを綴じる綴じ手段と、これらを制御する制御手段と、を備えるシート後処理装置であって、
前記画像形成装置から前記第1の搬送手段により搬送されて前記処理トレイ上に積載されたシート束に綴じ処理を施す第1の綴じ処理と、
前記給紙トレイ上に載置された後、前記第2の搬送手段によ
り前記処理トレイ上に積載されたシート束に
対して綴じ処理を施す第2の綴じ処理と、
を行い、
前記第2の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置は、前記第1の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置とは異なる位置に設定されることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
シートに画像を形成する画像形成装置からのシートを受けて搬送する第1の搬送手段と、
給紙トレイを有する給紙装置から
給紙されるシートを搬送する第2の搬送手段と、前記シートを積載する処理トレイと、前記処理トレイ上の前記シートを綴じる綴じ手段と、これらを制御する制御手段と、を備えるシート後処理装置であって、
前記画像形成装置から前記第1の搬送手段によって搬送されて前記処理トレイ上に積載されたシート束に第1の綴じ処理を施すオートモードと、
前記給紙トレイ上に載置された後、前記第2の搬送手段によ
り前記処理トレイ上に積載されたシート束に
対して第2の綴じ処理を施すインサートモードと、
前記処理トレイ上に直接載置されたシート束に対して
第3の綴じ処理を施すマニュアルモードと、を有し、
前記インサートモードと前記マニュアルモードによる前記シート束の綴じ位置は、前記オートモードによる前記シート束の綴じ位置とは異なる位置に設定されることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項3】
前記処理トレイ上に載置されたシートを整合する整合手段を備え、
前記第1の綴じ処理及び前記第2の綴じ処理は、前記整合手段にて整合されたシートに綴じを施すことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記第1の綴じ処理及び前記第2の綴じ処理は、前記シートの一辺に沿った方向に綴じを施すことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記第1の綴じ処理及び前記第2の綴じ処理は、シートの角部の二辺と交差する方向に綴じを施すことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記第1の綴じ処理はシートの角部に綴じを施し、
前記第2の綴じ処理は前記第1の綴じ処理にて綴じが施される角部とは異なる角部に綴じを施す、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート後処理装置。
【請求項7】
前記第1の綴じ処理は、シートの角部の二辺と交差する方向に綴じを施し、
前記第2の綴じ処理は、前記シートの一辺に沿った方向に綴じを施す、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート後処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第2の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置を、前記第1の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置よりもシートの中心寄りに設定することを特徴とする請求項4又は5に記載のシート後処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第2の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置を、前記第1の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置に対してシートの一辺に沿った方向に所定距離離れた位置に設定することを特徴とする請求項4又は5に記載のシート後処理装置。
【請求項10】
前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段は、
前記画像形成装置からのシートを案内する第1の搬送経路と、
前記給紙装置からの前記シートを搬送する第2の搬送経路と、
前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路からの前記シートを前記処理トレイに案内する第3の搬送経路と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,プリンタ,ファクシミリ,複合機等の画像形成装置などから送られたシートに綴じ処理を施すシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシートを処理トレイ上に受けて、処理トレイ上のシート束に対して閉じ処理を施す綴じ装置を備えたシート後処理装置が知られている。
【0003】
このような綴じ装置としては、綴じ具として針を用いてシート束を綴じるものや、凹凸状の圧着部材を用いてシート束を圧着することでシートどうしを締結するもの、又は舌状の半抜き片とスリットを用いて半抜き片の端部をスリットに挿入することでシート束を締結するものなどの様々なタイプのものが知られている。
【0004】
また、シート後処理装置では、画像形成装置から処理トレイ上に搬出されたシート束に対して綴じ処理を施す、いわゆるオートモード以外に、外部から直接処理トレイ上にセットされたシートに綴じ処理を施すマニュアルモードや、インサータから処理トレイ上に搬送されたシートに綴じ処理を施すインサータモードなどを有している(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-209334号公報
【文献】特開2005-250271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなシート後処理装置におけるマニュアルモードでは、一度綴じ処理が施された後に綴じを解除したシート、例えば、いったん針綴じや圧着綴じが施された後に針を取り除き原稿を一枚毎に分離したシートを処理トレイ上にセットして、再度、綴じ処理を施す場合がある。しかしながら、このような再綴じ時においては、前に綴じた箇所に2回目の綴じ処理が行われるため、締結力が弱くなったり、シートの損傷や破損の原因となっている。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、いったん綴じ処理が施されたシートに再び綴じ処理を施す場合に、シートの損傷や破損が生じることがなく、確実にシートを綴じることができるシート後処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明によるシート後処理装置は、シートに画像を形成する画像形成装置からのシートを受けて搬送する第1の搬送手段と、給紙トレイを有する給紙装置から給紙されるシートを搬送する第2の搬送手段と、前記シートを積載する処理トレイと、前記処理トレイ上の前記シートを綴じる綴じ手段と、これらを制御する制御手段と、を備えるシート後処理装置であって、前記画像形成装置から前記第1の搬送手段により搬送されて前記処理トレイ上に積載されたシート束に綴じ処理を施す第1の綴じ処理と、前記給紙トレイ上に載置された後、前記第2の搬送手段により前記処理トレイ上に積載されたシート束に対して綴じ処理を施す第2の綴じ処理と、を行い、前記第2の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置は、前記第1の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置とは異なる位置に設定されることを特徴としている。
【0009】
また、本発明によるシート後処理装置は、シートに画像を形成する画像形成装置からのシートを受けて搬送する第1の搬送手段と、給紙トレイを有する給紙装置から給紙されるシートを搬送する第2の搬送手段と、前記シートを積載する処理トレイと、前記処理トレイ上の前記シートを綴じる綴じ手段と、これらを制御する制御手段と、を備えるシート後処理装置であって、前記画像形成装置から前記第1の搬送手段によって搬送されて前記処理トレイ上に積載されたシート束に第1の綴じ処理を施すオートモードと、前記給紙トレイ上に載置された後、前記第2の搬送手段により前記処理トレイ上に積載されたシート束に対して第2の綴じ処理を施すインサートモードと、前記処理トレイ上に直接載置されたシート束に対して第3の綴じ処理を施すマニュアルモードと、を有し、前記インサートモードと前記マニュアルモードによる前記シート束の綴じ位置は、前記オートモードによる前記シート束の綴じ位置とは異なる位置に設定されることを特徴としている。
【0010】
そして、前記第1の綴じ処理及び前記第2の綴じ処理は、前記シートの一辺に沿った方向に綴じを施すことができる。
【0011】
また、前記第1の綴じ処理及び前記第2の綴じ処理は、シートの角部の二辺と交差する方向に綴じを施すことができる。
【0012】
さらに、前記第1の綴じ処理はシートの角部に綴じを施し、前記第2の綴じ処理は前記第1の綴じ処理にて綴じが施される角部とは異なる角部に綴じを施ことができる。
【0013】
このとき、前記第1の綴じ処理はシートの角部の二辺と交差する方向に綴じを施し、前記第2の綴じ処理は前記シートの一辺に沿った方向に綴じを施してもよい。
【0014】
そして、前記制御手段は、前記第2の綴じ処理における前記第2の位置を前記第1の綴じ処理における前記第1の位置よりもシートの中心寄りとなるよう制御することにより、綴じ位置の重なりを確実に防止できる。
【0015】
また、前記制御手段は、前記第2の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置を、前記第1の綴じ処理による前記シート束の綴じ位置に対してシートの一辺に沿った方向に所定距離離れた位置に設定することにより、それぞれの綴じ位置がシートの一辺に沿った方向に所定距離離れた位置に設定されるので、綴じ位置の重なりを確実に防止することができる。
【0016】
ここで、前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段は、前記画像形成装置からのシートを案内する第1の搬送経路と、前記給紙装置からの前記シートを搬送する第2の搬送経路と、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路からの前記シートを前記処理トレイに案内する第3の搬送経路を設けるとよい。これにより、処理トレイへシートを搬出する場合の経路が簡略となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシート後処理装置によると、いったん綴じ処理が施されたシートに再び綴じ処理を施すとき綴じモードが異なることを利用して、綴じモードに応じて同じシートに対する綴じ位置を変更することで、綴じ位置が重なってシートを損傷することが効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係わるシート集積装置を備えた画像形成システムの全体構成の説明図を示す。
【
図2】シート後処理装置における綴じ部の平面図で、処理トレイに搬出されたシートの後端の整合動作を示す。
【
図3】
図2において、シートの一側端での整合動作を示す。
【
図6】
図2のシート集積装置のジョグ仕分けモードにおける整合動作の説明図を示し、(a)は第1基準位置にシートの整合する場合を、(b)は第2基準位置にシートを整合する場合をそれぞれ示す。
【
図7】画像形成システム全体の制御構成の概略図を示す。
【
図8】処置トレイの一部を平面図で示して、(a)と(b)とで綴じ位置B1及び綴じ位置B2のときの後端規制板によるシートの整合位置の比較を示す。
【
図9】処置トレイの一部を平面図で示して、(a)と(b)とで綴じ位置B1及び綴じ位置B2のときの一方のサイド規制板によるシートの整合位置の比較を示す。
【
図10】綴じ位置設定処理の動作を説明するフローチャートを示す。
【
図11】綴じ処理の動作を説明するフローチャートを示す。
【
図14】シートの角部での斜め綴じ、同じく角部での平行綴じ及び辺の2箇所での平行綴じのそれぞれにおける綴じ位置B1,B2が設定される領域の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係わるシート後処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。図示の画像形成システムは、シートに画像を印刷する画像形成部を備える画像形成装置1と、シートに印刷する画像を原稿から読み取る原稿読取装置2と、原稿を原稿読取装置2の読取部に搬送する原稿送り装置3と、画像形成装置1の排紙口に連結されて、画像形成装置1から排出されるシートに後処理を施すシート後処理装置4とで構成されている。
【0020】
画像形成装置1は、百枚程度のシートを収納可能なカセット5と、カセット5よりも多い千枚程度のシートを収納可能な収納庫6を備えており、カセット5又は収納庫6の何れかよりシートを1枚ずつ取り出して画像形成部1Aに送り出す。
【0021】
画像形成部1Aは静電印刷を行うもので、感光ドラム11に静電潜像を形成するビーム投光器12と、静電潜像にトナーインクを付着する原像器13と、転写チャージャ14とを備えている。そして、シートに感光ドラム11に形成した画像インクを転写チャージャ14で転写し、その下流側に配置される定着ローラ15によってシート上の画像を加熱定着させて、シート後処理装置4へと搬送するよう構成されている。
【0022】
原稿読取装置2は、透明なガラスで形成される第1プラテン16と第2プラテン17とを装置の上部に水平方向に並設している。第1プラテン16は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、使用可能な原稿の最大寸法サイズに形成されている。そして、第2プラテン17は所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられるため、走行させても読み取り可能な原稿の最大幅サイズに形成されている。
【0023】
原稿読取装置2の内部には、読取キャリッジ18と、集光レンズ20と、例えばCCDイメージセンサによる光電変換素子21を有する光電変換手段とが備えられている。読取キャリッジ18には、光を原稿に向けて照射するランプと、原稿から反射された光を集光レンズ20及び光電変換素子21に案内する2つのミラーが設けられている。
【0024】
そして、読取キャリッジ18は、図示しないキャリッジモータによって駆動され、ガイドシャフトにガイドされながら第1プラテン16の下方を副走査方向(水平方向)に往復移動し、往動時には第1プラテン16にセットされている原稿に光を照射し、原稿からの反射光を光電変換素子21で光電変換して原稿を読み取る。そして、光電変換素子21が読み取った原稿の画像データはビーム投光器12に画像信号で送信される。
【0025】
原稿送り装置3は、給紙トレイ22にセットされた原稿をシート搬送機構24によって第2プラテン17を通過させて、排紙トレイ23に排出する。したがって、給紙トレイ22に原稿がセットされた場合には、読取キャリッジ18は第2プラテン17の位置に待機して、通過する原稿を読み取ることになる。
【0026】
シート後処理装置4は、画像形成装置1の画像形成部にて画像形成されたシートに対して綴じ処理を施す。シート後処理装置4は、シートの綴じ処理を行う綴じ部50と、シートが排出される第1及び第2の排紙トレイ56,57と、原稿や色紙或いは合紙などのシートがセットされる給紙トレイ52と、画像形成装置1からのシートを綴じ部50に案内する第1の搬送経路53(第1の搬送手段)と、給紙トレイ52からシートを綴じ部50へと案内する第2の搬送経路54(第2の搬送手段)と、第1の搬送経路53から分岐して画像形成装置1からのシートを第1の排紙トレイ56へと案内する搬送経路55と、が備えられている。
【0027】
また、シート後処理装置4には、給紙トレイ52上のシートを1枚毎に分離して給紙する給紙機構及びシートを第1から第3までの各搬送経路53,54,55に沿って搬送するために適切な間隔で配置される複数の搬送ローラ対を備えている。さらに、第1の搬送経路53の下流側部分と第2の搬送経路54の下流側部分は共通搬送経路56となっており、終端にはシートを排出口58に排出するための排出ローラ対60を配置している。尚、上述の給紙トレイ52及び分離機構は給紙装置として機能し、この給紙装置はシート後処理装置4に設けることなく、別体でシート後処理装置4に連結するようにしてもよい。
【0028】
図2乃至
図4は綴じ部50を平面図で示しており、シート30が集積される処理トレイ61と、処理トレイ61上のシートの後端を整合する後端規制板62及びシート30の幅方向の両端部を整合する一対のサイド規制板63a,63bと、処理トレイ61で整合されたシート30を綴じる綴じ手段としての綴じ機構64と、処理トレイ61の上方に配置されるパドル65と、処理トレイ61のシートを第2の排紙トレイ57に排出する排出ベルト66とを備えている。
【0029】
パドル65は回転軸65aに回動自在に軸支されて、パドル駆動モータM1の駆動で図の矢印方向に回転することで、シート30を後端規制板62側に向けて押し出す。そして、回転軸65aは
図6で示すように、揺動レバー45の揺動側の端部に支持されており、揺動レバー45が昇降駆動部44(
図7)に駆動されて揺動中心軸43を支点にして回動することで、パドル65は処理トレイ61の上方で昇降するようになっている。
【0030】
排出ベルト66は一対のプーリに張架されており、排出モータM6の駆動により処理トレイ61のシートを排紙トレイ57に排出する。
【0031】
サイド規制板63a,63bは、シート30を挟み込むよう処理トレイ61の左右の側端に設けられており、図示しないラック機構を介して、それぞれ左サイドシフトモータM2及び右サイドシフトモータM3に連結されている。したがって、サイド規制板63a,63bは、サイドシフトモータM2,M3の正逆転に応じて、それぞれがシート30の幅方向への往復移動が可能となっている。
【0032】
また、後端規制板62は、同様に図示しないラック機構を介して、後端規制板駆動モータM4に連結されて、この駆動モータM4の正逆転に応じて、処理トレイ61へのシート30の搬入方向で前後への往復移動が可能となっている。
【0033】
第1及び第2の搬送経路53,54から処理トレイ61上に順次排出されるシートは、1枚毎に後端規制板62及びサイド規制板63a,63bとパドル65とによって整合され、処理トレイ61の一端側の角部に設けられた綴じ機構64による処理位置に位置決めされる。
【0034】
位置決めについて更に詳述すると、処理トレイ61へ搬出されたシート30は、先ず、
図2に示すように、パドル65の回転で後端規制板62に向けて移動され、後端が後端規制板62に突き当ることで処理トレイ61への搬入方向での整合が行われる。この場合、後端規制板62がシート30の後端と当接して整合する位置は、後端規制板駆動モータM4を駆動することで設定されている。このときパドル65は、処理トレイ61へ搬出されるシートと当接する位置に下降している状態にある。
【0035】
シート30の後端の整合により、右サイドシフトモータM3を駆動して、
図3に示すようにサイド規制板63aが他方のサイド規制板63bに向けて移動させる。サイド規制板63aは、シート30の一方の側端と当接し、サイド規制板63b側に押し出す。よって、シート30は、
図4で示すように、その幅方向の他端がサイド規制板63bと当接することで幅方向に整合される。このとき、幅方向での整合位置は、左サイドシフトモータM2を駆動することで設定されている。
【0036】
本例では、シート30の左サイドを基準にして整合しているが、右サイドを基準にしてシート30を整合する場合には、右サイドシフトモータM3を駆動することで幅方向での整合位置を設定した後、左サイドシフトモータM2を駆動して、サイド規制板63bをサイド規制板63aに向けて移動させることになる。
【0037】
綴じ機構64は、シート30に綴じを施すための綴じ具70を備える。綴じ具70は、
図5で示すように、処理トレイ61のシート載置面側に配置された下歯部材71と、この下歯部材71に対向して配置された上歯部材72とを備えて、この一対の歯型でシート束を挟み込み加圧することによって、シート束を変形させてシートの繊維どうしを絡ませることで綴じる、いわゆる圧着綴じを行う。
【0038】
綴じ具70の下歯部材71は、その上面71aが処理トレイ61のシート載置面と同一平面となるように設けられており、溝部71bの内側の底面には凹凸形状の綴じ歯71cが形成されている。上歯部材72の底面には、下歯部材71の綴じ歯71cに噛み合う凹凸状の綴じ歯72cが形成されている。
【0039】
そして、上歯部材72は、その上面72aに偏心カム73が当接しており、偏心カム73が回転することで上歯部材72が下方へと移動し、上歯部材72の綴じ歯72cが下歯部材71の綴じ歯71cと噛み合うようになっている。これにより、上歯部材72の綴じ歯72cと下歯部材71の綴じ歯71cとの間のシートが加圧されて、シートの表面の繊維が露出し、シートどうしの繊維が互いに絡み合い締結される。
【0040】
偏心カム73は、駆動伝達ギア74,75,76を介して綴じモータM5に連結されており、この綴じモータM5を駆動して偏心カム73を半回転することで、上歯部材72が待機位置から噛合位置に移動し、再び待機位置に移動するように構成されている。すなわち、偏心カム73を半回転させることで、シートが綴じ具70によって加圧されてシートが綴じられる。
【0041】
引張バネ78は、上歯部材72を待機位置に移動させるために設けられて、その一端を上歯部材72の上面72aに形成された取付片72bに取り付けられて、他端を装置の側板(図示せず)に設けられた取付ピン79に取り付けられている。したがって、引張バネ78は、
図5(a)に示すように、偏心カム73の回転に伴い上歯部材72を上方に引き上げて待機位置に移動させる。そして、偏心カム73は、更に回転することで
図5(b)に示すように、引張バネ78の引っ張り力に抗して上歯部材72を噛合位置に移動させる。
【0042】
本実施形態でのシート後処理装置4の綴じ処理モードには、画像形成装置1から第1の搬送経路53を介して処理トレイ61上に搬送されたシートに綴じ処理を行うオートモードと、給紙トレイ52から第2の搬送経路54を介して処理トレイ61に搬送されたシートに綴じ処理を行うインサートモードと、画像形成装置1の使用者が手操作により処理トレイ61に直接載置したシートに綴じ処理を行うマニュアルモードとがある。そして、後に明らかとなるが、オートモードでのシートの綴じ位置と、インサートモード及びマニュアルモードでのシートの綴じ位置とは異なっている。したがって、本実施の形態では、オートモードでの綴じ動作が第1の綴じ処理を行い、インサートモード又はマニュアルモードでの綴じ動作が第2の綴じ処理を行う。各処理モードについて、更に詳しく説明する。
【0043】
オートモードは、画像形成装置1で画像形成されたシート30がシート後処理装置4へ搬出されて、処理トレイ61で積載されて綴じ処理が行われた後、第2の排紙トレイ57に排出されるまでの画像形成システムとしての通常の一連の動作を行なう。
【0044】
インサートモードは、後述する入力部14(
図7)に配置されているインサートモードスイッチが操作されることで、給紙トレイ52上に載置されたシートを処理トレイ61上に搬送する。したがって、綴じたいシートをまとめて給紙トレイ52上に載置して、入力部14に配置されているインサートモードスイッチが操作されることで処理トレイ61に連続して順次搬送し、綴じ処理後に第2の排出ベルト66によって排紙トレイ57に排出する。この場合、給紙トレイ52から処理トレイ61にシートを搬送する前又は後に画像形成装置1からシートを搬出して、給紙トレイ52及び画像形成装置1の両方からのシートを処理トレイ61で一緒に綴じ処理を行うこともできる。
【0045】
これ以外にも種々の処理が設定可能であり、例えば、表紙となるシートを給紙トレイ52上から処理トレイ61に搬送し、その上に画像形成装置1からのシートが積み重ねて、綴じ処理後に排紙トレイ57に排出することができる。また、画像形成装置1からのシートが処理トレイ61上に搬出された後に給紙トレイ52上から処理トレイ61にシートを搬送した後、裏表紙となるシートを給紙トレイ52上から処理トレイ61に搬送して画像形成装置1からのシートの上に重ねて、綴じ処理後に排紙トレイ57に排出することもできる。
【0046】
マニュアルモードは、外部から処理トレイ61上に載置されたシートに綴じ具70で綴じを行い、綴じられたシートを排出ベルト66で第2の排紙トレイ57に排出する。本実施の形態におけるマニュアルモードでは、排出口58からシートを処理トレイ61上に載置するように構成している。
図6で示すように、マニュアルモードでは、シートを処理トレイ61上に載置する際には、パドル65を上昇させておくことで、排出口68からシートを容易に挿入することができるように拡げている。
【0047】
そして、挿入されたシートは、使用者により処理トレイ61に設けられた後端規制板62にシートの先端が、また第2のサイド規制板63bにシートの幅方向側端が突き当たるようにセットされる。これによって、シートは処理トレイ61上の綴じ処理位置にセットされ、使用者が操作パネル上のマニュアルモードスイッチを操作することで綴じ具70が作動して、シートに綴じ処理が行われる。
【0048】
画像形成システムの制御装置10の構成を
図7に基づいて説明する。制御装置11は、画像形成装置1と原稿読取装置2と原稿送り装置3の各動作を制御する本体制御部12と、シート後処理装置4を制御する制御手段としてのシート後処理制御部13とで構成されている。
【0049】
画像形成装置1は、図示しないコントロールパネルを有する入力部14を、画像形成システムの使用者が位置するフロント側に配置している。入力部14は操作パネルで構成されており、画像形成システムの利用者は、この入力部56から画像の仕上げの指定,印刷するシートのサイズと枚数,綴じ処理モードなどを入力する。綴じ処理モードにはデフォルトでオートモードが設定されているが、入力部14の操作パネル設けた前記したインサートモードスイッチやマニュアルモードスイッチを操作することで、それぞれのモードを指定できる。
【0050】
本体制御部12は、入力部14への入力内容に従い画像形成装置1と原稿読取装置2と原稿送り装置3とを制御して、指定された枚数分のシートに読み取った原稿の画像を印刷し、印刷したシートをシート後処理装置4へ順次送出する。加えて、本体制御部12は、入力部14への入力内容から、綴じ処理モード情報やシートのサイズや枚数等を示すシート情報をシート後処理制御部13へ送信する。
【0051】
シート後処理制御部13は、画像形成装置1で画像形成されて送られてくるシートに対して行う後処理動作の制御を行なう。シート後処理制御部13は、CPUにより構成されており、ROM15が記憶している制御プログラムを実行することで、シート後処理装置4の全体の動作を制御する。したがって、シート後処理制御部13には、綴じ機構64の偏心カム73を駆動する綴じモータM5、パドル65の回転を駆動するパドル駆動モータM1、パドル65の昇降を駆動する昇降駆動部44、左右のサイドシフトモータM2,M3及び後端規制板駆動モータM4が接続される。
【0052】
また、シート後処理制御部13には、搬送経路53,54,55に配置されている各搬送ローラ対及び排出ローラ対60を駆動するための複数の駆動モータを含む搬送駆動装置32と、排出ローラ対60から排出されるシートを検知する搬出センサ59が接続されている。
【0053】
シート後処理装置4による綴じ動作を説明する。前述したように、オートモードでのシートの綴じ位置と、インサートモード及びマニュアルモードでのシートの綴じ位置とは異ならせており、本実施の形態においては、マニュアルモード及びインサートモードでの綴じ位置B2(第2の位置)は、オートモードにおける綴じ位置B1(第1の位置)よりも内側(シートの中心側)に設定している。そして、初期状態(通常状態)においては、後端規制板62を
図8(a)に示すように第1の規制位置h1に位置させて、第2のサイド規制板63bを
図9(a)に示すように第1のサイド規制L1に位置させることで、綴じ位置B1にデフォルトで設定している。
【0054】
したがって、シート後処理制御部13は、先ず
図10のフローチャートで示す綴じ位置設定処理を行う。綴じ位置設定処理において、シート後処理制御部13は、マニュアルモードが設定されているか(ステップS1の「YES」)、又はインサートモードが設定されているときには(ステップS2の「YES」)、後端規制板62を
図8(a)に示す第1の規制位置h1から所定距離Hだけ上流側の
図6(b)に示す第2の規制位置h2まで移動させる(ステップS3)。続いて、シート後処理制御部13は、規制の基準となるサイド規制板63bを
図9(a)に示す第1のサイド規制位置L1から所定距離Lだけ外側の
図7(b)に示す第2のサイド規制位置L2まで移動させる(ステップS4)。
【0055】
このように、後端規制板62とサイド規制板63b(又はサイド規制板63a)は、シートの整合位置を変更することで処理位置を変更できるため、第1の綴じモードと第2の綴じモードに応じてシート30に対する綴じ位置(B1,B2)を変更する。
【0056】
こうして、入力部14の操作パネルに設けたインサートモードスイッチやマニュアルモードスイッチが操作されて、インサートモード及びマニュアルモードが指定されると、綴じ位置をデフォルトで設定されている第1の綴じ位置B1から第2の綴じ位置B2に変更する。しかし、何れのスイッチが操作されていないときの綴じ位置設定処理では、ステップS1の「NO」からステップS2の「NO」を経て終了し、綴じ位置B1が維持される。
【0057】
そして、シート後処理制御部13は、綴じ位置設定処理の終了により、
図11のフローチャートに示す綴じ処理を行う。
【0058】
綴じ処理においては、シート後処理装置4には、オートモードのときには画像形成装置1から第1の搬送経路53、インサートモードでは給紙トレイ52から第2の搬送経路54からそれぞれシートが送られてきて搬出センサ59を通過して、排出口58から処理トレイ61へと搬出される。
【0059】
このとき、搬出センサ59は、処理トレイ61に搬出されるシートを検知するとオンし、シートが排出口58から処理トレイ61へ導入されると、シートの後端が検知領域から外れるためにオフする。よって、シート後処理制御部13は、搬出センサ59がオンからオフに切り換わることで、処理トレイ61上にシートが搬出されたと判断する(ステップS11の「YES」)。
【0060】
そして、シート後処理制御部13は、処理トレイ61に排出されたシートの後端整合動作を制御する(ステップS12)。具体的には、昇降駆動部44を制御して、パドル65を上昇位置から作用位置に下降させて、パドル駆動モータM1を駆動する。これにより、シート30が排出口58からのシート搬出方向とは逆方向に移動し、その後端が後端規制板62に突き当たり整合される。この場合、前述したように、オートモードのときには、後端規制板62は第1の規制位置h1にあるが、インサートモードのときには、シート後処理装置4は、事前の綴じ位置設定処理において、後端規制板62を第2の規制位置h2に移動させている。
【0061】
シートの後端の整合が終了すると、シート後処理制御部13は、幅方向での整合動作を制御する(ステップS13)。具体的には、第1のサイド規制板63aを第2のサイド規制板63bに向けて移動させる。よって、シートの幅方向の一端が第1のサイド規制板63aに押されて、シート30は第2のサイド規制板63bに向けて移動する。そして、シートの幅方向の他端が第2のサイド規制板63bに当接することで、シート30は幅方向でも整合される。この場合、前述したように、オートモードのときには、第2のサイド規制板63bは第1のサイド規制位置L1にあるが、インサートモードのときには、シート後処理装置4は、事前の綴じ位置設定処理において、第2のサイド規制板63bを第2のサイド規制位置L2に移動させている。
【0062】
シート後処理制御部13が第1のサイド規制板63aを第2のサイド規制板63bに向けて移動させる距離は、本体制御部12から出力されているシート30についてのシート情報に含まれているシートサイズに応じて決定される。すなわち、シート後処理制御部13は、シート30の幅方向長さに対してサイド規制板63a、63b間の距離が若干短くなる位置まで第1のサイド規制板63aを移動させる。
【0063】
続いて、シート後処理制御部13は、処理トレイ61上で後端及び幅方向を整合することで位置決めしたシート30が最終のシートであるか否かを判別する。綴じ処理はまとまった枚数のシート束に対して行うが、オートモードの場合には第1の搬送経路53、インサートモードの場合には第2の搬送経路54のそれぞれから順次シートが送られて、搬出センサ59を通過して排出口58から処理トレイ61へと搬出される。したがって、シート後処理制御部13は、搬出センサ59が後続シートを順次検知してオンとオフを繰り返している間では、直前に整合したシートは最終シートではないと判断して(ステップS14の「NO」)、ステップS11に戻りステップS12以降の処理を繰り返す。したがって、排出口58から順次送られてくるシートは、処理トレイ61に集積されていく。
【0064】
シート後処理制御部13は、ステップS14での処理において、搬出センサ59がオフした後、一定時間が経過してもオンしないと、その直前に整合したシートが最終シートと判断する(ステップS14の「YES」)。そして、シート後処理制御部13は、綴じモータM5の駆動を制御して偏心カム73を回転させてシートの圧着綴じを行う(ステップS15)。次に、排出モータM6の駆動を制御して排出ベルト66を駆動し、処理トレイ61上のシートを第2の排紙トレイ57に排出する(ステップS16)。
【0065】
一方、マニュアルモードスイッチを操作されてマニュアルモードとなっているときには、シート後処理制御部13は、昇降駆動部44を制御してパドル65を上昇させて処理トレイ61から離反させる(ステップSA)。そして、マニュアルモードでは、前述したように、後端規制板62は第2の規制位置h2、サイド規制板63bは第2のサイド規制位置l2にそれぞれ移動させているために、使用者は手差しで後端規制板62及びサイド規制板63bと当接するようにシート30を処理トレイ61にセットする。そして、手差しでのセット後、入力部14の操作パネル設けられた綴じスイッチの操作により綴じ信号が本体制御部から出力されて(ステップSB)、シート後処理制御部13は、シートの圧着綴じを行い(ステップS15)、綴じ処理したシートを第2の排紙トレイ57に排出する(ステップS16)。
【0066】
上記したシート後処理装置4は、オートモードにおける綴じ位置に対してマニュアルモード及びインサートモードにおける綴じ位置をシートの内側に設定したことを特徴にしている。したがって、いったんオートモードで綴じたシートの綴じを外して別のシートを追加して再度綴じ処理を行うような場合、再綴じするシートをマニュアルモード又はインサートモードで処理トレイ61にセットしたとき、2度目の綴じ位置は1度目の綴じ位置と重ならないために、シート30の締結力の低下やシートの損傷や破損の発生を抑えることができる。
【0067】
本実施の形態では、綴じ具70を固定した状態で綴じを施す際のシートの位置(処理位置)を変えることで、シートに対する綴じ位置を変更するようにしたが、綴じを施す際のシートの位置(処理位置)を常に一定とし、綴じ具70を移動させてシートに対する綴じ位置を変更するようにしてもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、角部に斜め綴じする場合について示したが、綴じ具70によって角部に平行綴じする場合にも適用できる。平行綴じでは、綴じ具70の綴じ方向(綴じ跡の方向)がシートの一辺と略平行となるように綴じ具70を設ける。そして、
図12(a)、
図12(b)に示すようにマニュアルオート及びインサートモードのときの第2の綴じ位置B2は、オートモードのときの第1の綴じ位置B1よりも内側に設定する。なお、平行綴じにおける第1、第2の綴じ位置B1,B2の変更は、後端規制板62を固定してサイド規制板63bのみを移動させ、シートの処理位置を変更するようにすればよい。
【0069】
図13は2か所での平行綴じする場合を示している。この場合も、
図13(a)、
図13(b)に示すように2か所のそれぞれで、マニュアルモート及びインサートモードのときの綴じ位置B2がオートモードのときの綴じ位置B1よりも内側に設定している。
【0070】
上記したようにシート後処理装置4は、シートの角部での斜め綴じ又は同じく角部での平行綴じ若しくはシートの辺の2箇所での平行綴じの何れの綴じにおいても、オートモードでは綴じ位置B1(第1の位置)、インサートモード又はマニュアルモードでは綴じ位置B2(第2の位置)でそれぞれ綴じ処理を行うが、ここで各綴じ位置B1,B2の場所について
図14を用いて詳しく説明する。
【0071】
シート後処理装置4は、
図14(a)に示すシートの角部での斜め綴じ、同じく角部での
図14(b)に示す平行綴じ、そして、
図14(c)に示すシートの辺の2箇所での平行綴じを選択的に行うが、綴じ位置B1は綴じようとするシートの余白部分の所定領域S1,S2,S3内となっている。この所定領域S1,S2,S3は、シートの処理位置に対する位置決め公差や綴じ機構64の停止位置の公差を考慮して決められている。そして、綴じ位置B2は、この所定領域S1,S2,S3よりも外側となるように設定している。これによって、それぞれの綴じにおける綴じ位置B1,B2は十分な距離以上離れた位置に互いに設定されるため、公差等で綴じ位置B1に施された綴じ跡と綴じ位置B2に施される綴じとが重なることがない。
【0072】
なお、上述した実施の形態では、第2の綴じ位置B2を第1の綴じ位置B1の所定領域S1,S2,S3よりも外側で、近い位置としたが、第2の綴じ位置B2を第1の綴じ位置B1とは全く異なる位置や全く異なる角度で綴じるようにしてもよい。例えば、
図15(a)に示すように第1の綴じ位置B1が設定される角部の所定領域S4とは、異なる角部に第2の綴じ位置B2を設定したり、
図15(b)に示すように所定領域S5内に設定される第1の綴じ位置B1には斜め綴じを施し、所定領域S5外に設定される第1の綴じ位置B1は平行綴じを施すこともできる。
【0073】
また、実施の形態では、インサートモードスイッチまたはマニュアルモードスイッチが操作されていると、綴じ位置を第2の綴じ位置B2に変更するようにしたが、インサートモードスイッチまたはマニュアルモードスイッチが操作された後に第2の綴じ位置B2に変更するか否かを選択するスイッチを設け、利用者が任意に第2の綴じ位置B2に変更することができるようにしてもよい。
【0074】
さらに、実施の形態では、圧着綴じの例を示したが、針綴じや半抜き綴じの場合であっても適用できる。
【符号の説明】
【0075】
30 シート
53 第1の搬送経路(第1の搬送手段)
54 第2の搬送経路(第2の搬送手段)
56 第3の搬送経路
61 処理トレイ
62 後端規制板
63a、63b サイド規制板
64 綴じ機構(綴じ手段)