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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】放送電波受信機
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20220112BHJP
   H04N 21/41 20110101ALI20220112BHJP
【FI】
H04B1/16 Z
H04N21/41
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017078225
(22)【出願日】2017-04-11
(65)【公開番号】P2018182498
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】595047020
【氏名又は名称】メモリーテック・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充朗
(72)【発明者】
【氏名】湯本 誠司
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-192142(JP,A)
【文献】登録実用新案第3016437(JP,U)
【文献】特開平2-72722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04N 21/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送電波を受信し、この放送電波から任意の周波数成分を抽出して復調し、音声信号に変換する復調回路と、
前記復調回路を制御する制御回路と
を備えた放送電波受信機であって、
前記制御回路は、前記放送電波受信機の電源投入時、及び、前記周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、前記音声信号に換えて、前記周波数成分に対応する判別音信号を出力し、
前記判別音信号は、前記復調回路からの音声信号を、前記周波数成分に応じた回数、タイミング、リズム、長さ又はこれらの組み合わせで発生させて生成されるものである
ことを特徴とする放送電波受信機。
【請求項2】
前記復調回路によって復調される任意の周波数成分を指定する周波数データ、及び、前記周波数データに対応する判別音信号を生成するための判別音データを記憶する記憶手段を更に備え、
前記制御回路は、前記電源投入時、及び、前記周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、前記記憶手段にアクセスして前記周波数データ及び前記判別音データを読み出し、これら周波数データ及び判別音データに基づいて前記周波数成分を選択し、前記判別音信号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の放送電波受信機。
【請求項3】
放送電波を受信し、この放送電波から任意の周波数成分を抽出して復調し、音声信号に変換する復調回路と、
前記復調回路を制御する制御回路と
を備えた放送電波受信機であって、
前記制御回路は、前記放送電波受信機の電源投入時、及び、前記周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、
前記音声信号の出力を停止し、
前記周波数成分に対応する回数だけ前記音声信号の出力及び停止を繰り返し、
前記音声信号の出力を開始する
ことを特徴とする放送電波受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送電波受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
放送電波を受信し、この放送電波を音声信号に変換する復調回路を備えた放送電波受信機が知られている。この様な放送電波受信機には、例えば携帯ラジオ、国際会議の会場等で使用される受信機等の携帯受信機や、据え置き型のテレビ受像機、ラジオ受信機等がある。この様な放送電波受信機には、一般的に、現在選択されている周波数を表示するためのディスプレイ等が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-225030号公報
【文献】特開2006-229343号公報
【文献】特開2006-295866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば視覚障害者による操作時や暗所での操作時においては、ディスプレイを視認しつつ現在選択されている周波数を判別することが困難な場合がある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、現在選択されている周波数を容易に判別可能な放送電波受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施形態に係る放送電波受信機は、放送電波を受信し、この放送電波から任意の周波数成分を抽出して復調し、音声信号に変換する復調回路と、この復調回路を制御する制御回路と、を備える。この制御回路は、放送電波受信機の電源投入時、及び、上記周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、音声信号に換えて、又は音声信号と共に、周波数成分に対応する判別音信号又は案内音声信号を出力する。
【0007】
上記制御回路は、放送電波受信機の電源投入時、及び、周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、音声信号に換えて、又は音声信号と共に、前記周波数成分に対応する判別音信号を出力しても良い。この場合、上記判別音信号は、復調回路からの音声信号を、上記周波数成分に応じた回数、タイミング、リズム、長さ又はこれらの組み合わせで発生させて生成されるものであっても良い。
【0008】
また、上記放送電波受信機は、復調回路によって復調される任意の周波数成分を指定する周波数データ、及び、周波数データに対応する判別音信号を生成するための判別音データを記憶する記憶手段を更に備えても良く、制御回路は、電源投入時、及び、周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、記憶手段にアクセスして周波数データ及び判別音データを読み出し、これら周波数データ及び判別音データに基づいて任意の周波数成分を選択し、判別音信号を生成しても良い。
【0009】
また、上記放送電波受信機は、復調回路によって復調される任意の周波数成分を指定する周波数データ、及び、周波数データに対応する案内音声信号を生成するための案内音声データを記憶する記憶手段を更に備えても良く、制御回路は、電源投入時、及び、周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、記憶手段にアクセスして周波数データ及び案内音声データを読み出し、これら周波数データ及び案内音声データに基づいて任意の周波数成分を選択し、案内音声信号を生成しても良い。
【0010】
本発明の一の実施形態に係る放送電波受信機は、放送電波を受信し、この放送電波から任意の周波数成分を抽出して復調し、音声信号に変換する復調回路と、復調回路を制御する制御回路と、を備える。この制御回路は、放送電波受信機の電源投入時、及び、上記周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、音声信号の出力を停止し、周波数成分に対応する回数だけ音声信号の出力及び停止を繰り返し、音声信号の出力を開始する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現在選択されている周波数を容易に判別可能な放送電波受信機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯ラジオ1の外観を示す正面図である。
図2】同携帯ラジオ1の外観を示す背面図である。
図3】同携帯ラジオ1の外観を示す側面図である。
図4】同携帯ラジオ1の構成例を示す機能ブロック図である。
図5】同携帯ラジオ1の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】同動作の一例を説明するためのグラフである。
図7】同動作の一例を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態に係る携帯受信機の構成]
図1図3は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る放送電波受信機としての携帯ラジオ1の外観を示す正面図、背面図及び側面図である。携帯ラジオ1は、略円盤状に形成されたケース2を備える。ケース2の前面2aは、例えば、図柄の印刷等を行うことが可能な表示面である。背面2bには、携帯ラジオ1の電源を投入又は切断して音声信号の出力を開始又は終了させる起動操作手段3a、及び、音声信号の音量を調整する音量調整手段3b,3cが設けられる。起動操作手段3a及び音量調整手段3b,3cは、押しボタンスイッチでもよいし、それ以外の構成でも良い。また、背面2bには、携帯ラジオ1をユーザの衣服等に取り付け可能に構成された取付手段4が設けられる。取付手段4は、クリップ、安全ピン等、適宜選択可能である。また、ケース2の下面には、イヤホンやヘッドホン等を接続するための開口5が設けられる。
【0014】
図4は、携帯ラジオ1の回路構成例を示す機能ブロック図である。携帯ラジオ1は、ケース2の内部に収納されたラジオ復調回路11、記憶手段12、制御回路13、無線通信手段14、接続手段15及びバッテリー16を備える。
【0015】
ラジオ復調回路11は、接続手段15を介してイヤホン6等に接続され、このイヤホン6のケーブル等をアンテナとして放送電波を受信する。ここで言う放送電波は、例えば、76.0~108.0MHzの周波数帯域を有するFMラジオの放送電波等である。また、ラジオ復調回路11は、この放送電波を周波数データに応じて復調し、音声信号に変換する。例えば、受信した放送電波から周波数データに応じて任意の周波数成分を抽出し、アナログの音声信号に変換して、イヤホン6等に出力する。また、ラジオ復調回路11はレジスタを備え、ここに記憶された周波数データや音量データ等の設定データに応じて動作する。ここで言う周波数データは、例えば、ラジオ復調回路11によって選択される周波数を指定するデジタルデータである。また、ここで言う音量データは、例えば、ラジオ復調回路11によって生成される音声信号の振幅を調整するためのデジタルデータである。尚、ラジオ復調回路11は、例えば、集積回路等から構成される。また、放送電波を受信するアンテナは、イヤホン6等のケーブル以外の構成であっても良い。
【0016】
記憶手段12は、例えば、周波数データや音量データ等の設定データを記憶する。周波数データは複数通り記憶されていても良いし、一通りのみ記憶されていても良い。また、複数通り記憶される場合、これら周波数データは、携帯ラジオ1が配布される会場において開催されるイベントに関係する周波数データのみであっても良いし、その他の周波数データが含まれていても良い。また、記憶手段12の所定のアドレス内のデータは、例えば、携帯ラジオ1の電源投入時に制御回路13によって参照される。このようなアドレスには、例えば、電源投入時に読み出される周波数データ又はそれを指示する情報が記憶される。この情報は、例えば、他のアドレスに記憶された複数の周波数データから一の周波数データを指定するアドレスデータである。尚、記憶手段12は、例えば、EEPROM等の不揮発性メモリである。記憶手段12及び無線通信手段14は、例えば、1つの集積回路から構成されてもよいし、別々の集積回路から構成されても良い。また、記憶手段12には、判別音データ又は案内音声データが記憶される。この判別音データについては、後述する。
【0017】
制御回路13は、例えば、MCU( Micro Controller Unit )等の集積回路であり、起動操作手段3a及び音量調整手段3b,3cの操作に応じて、ラジオ復調回路11、記憶手段12、無線通信手段14等を制御する。また、制御回路13は、例えば、バッテリー16の電圧を測定する測定手段を備えていても良い。
【0018】
無線通信手段14は、例えば、NFC( Near Field Communication )タグ、RF( Radio-frequency tag )タグ等のパッシブタグであり、近距離の通信に用いられる。携帯ラジオ1が無線読出/書込装置7に近距離でかざされた場合、無線通信手段14は、無線読出/書込装置7から無線信号を受信し、この無線信号に応じて命令やデータ等を受信する。また、無線通信手段14は、この無線信号を介して供給された電力により駆動され、更に、記憶手段12や制御回路13を駆動して、これら記憶手段12や制御回路13にアクセスすることも可能である。また、無線通信手段14は、無線信号を介して供給された電力によって、無線読出/書込装置7に所定のデータ等を送信することも可能である。尚、無線通信手段14は、例えば、どの方向からでも無線信号を送受信可能に構成される。即ち、無線通信手段14は、ケース2の前面2a(図3)側、背面2b側、上下面側及び側面側のいずれの方向からでも無線信号を送受信可能に構成される。ただし、無線通信手段14は、所定の方向(例えば、ケース2の前面2a(図3)側)から無線信号を送受信可能に構成されても良い。
【0019】
接続手段15は、ラジオ復調回路11から出力された音声信号をイヤホンやヘッドホン等に送信する。接続手段15は、例えば、イヤホンジャックやUSB( Universal Serial Bus )端子等である。尚、接続手段15は、例えば、バッテリー16の充電用の端子と兼用であっても良い。
【0020】
バッテリー16は、例えばリチウムイオン電池等の充電池であり、ラジオ復調回路11、記憶手段12、制御回路13及び無線通信手段14に電力を供給する。バッテリー16は、例えば、接続手段15を介して充電されても良いし、接続手段15とは別途設けられた接続手段を介して充電されても良い。尚、携帯ラジオ1は、例えば、バッテリー16の充電時に発光する発光ダイオード等の発光手段を更に備えていても良い。また、バッテリー16は、交換式であっても良い。
【0021】
[第1の実施形態に係る携帯受信機の動作]
次に、携帯ラジオ1の動作について説明する。
【0022】
まず、電源投入動作について説明する。携帯ラジオ1の電源は、ケース2の背面2bに設けられた起動操作手段3aの操作に伴い投入される。起動操作手段3aが操作されると、制御回路13は、記憶手段12を参照して、周波数データを読み出す。例えば、記憶手段12の上記所定のアドレスに周波数データが記憶される場合にはこの周波数データを読み出す。また、記憶手段12の所定のアドレスにアドレスデータが記憶される場合には、まず記憶手段12からアドレスデータを読み出し、このアドレスデータによって指定された周波数データを読み出す。次に、制御回路13は、記憶手段12から音量データ等を読み出し、この音量データ等を周波数データと共に設定データとしてラジオ復調回路11に送信する。ラジオ復調回路11は、この設定データに応じて周波数の選択及び音量の調整を行い、アナログの音声信号を生成して、イヤホン6等に出力する。
【0023】
次に、音量の調整について説明する。例えば、ケース2の背面2bに設けられた音量調整手段3b,3cが操作されると、制御回路13は、記憶手段12から音量データを読み出し、この音量データを参照し、音量を増大させ、又は、減少させるような音量データを新たに生成して、記憶手段12及びラジオ復調回路11に送信する。ラジオ復調回路11は、この音量データに基づいて音声信号の振幅を調整する。
【0024】
次に、無線通信によるデータの書き換え(ラジオ復調回路11によって復調される周波数成分の変更)について説明する。無線通信手段14は、無線読出/書込装置7から無線信号を受信し、この無線信号の受信に応じて、携帯ラジオ1の電源投入時に記憶手段12から読み出される周波数データ又はそれを指示する情報(アドレスデータ)を書き換える。例えば、記憶手段12の上記所定のアドレス内の周波数データ又はアドレスデータを書き換える。尚、例えば携帯ラジオ1の電源が切断された状態でデータの書き換えを行う場合、無線通信手段14は、無線信号を介して供給された電力によって、無線通信手段14及び記憶手段12の起動、記憶手段12へのアクセス、並びに、データの書き換えを行う。これに対して、例えば携帯ラジオ1の電源が投入された状態でデータの書き換えを行う場合には、無線信号を介して供給された電力によってデータの書き換えを行っても良いし、バッテリー16の電力によってこれを行っても良い。また、この場合には、新たに受信したデータを、例えば、データの書き換えが行われたタイミングでラジオ復調回路11に送信し、周波数の切替等を行っても良い。
【0025】
次に、無線通信によるデータの読み出しについて説明する。例えば、無線読出/書込装置7は、所定のデータを読み出す旨の命令を送信する。無線通信手段14は、無線読出/書込装置7によって指定されたデータを読み出し、読み出したデータを無線読出/書込装置7に送信する。例えば、携帯ラジオ1のシリアルナンバー等のデータを読み出して送信しても良いし、制御回路13によってバッテリー16の電圧を測定し、これを送信しても良い。尚、例えば携帯ラジオ1の電源が切断された状態でデータの読み出しを行う場合、無線通信手段14は、無線信号を介して供給された電力によって、無線通信手段14、記憶手段12及び制御回路13の起動、並びに、データの読み出しや電圧の測定等を行う。これに対して、例えば携帯ラジオ1の電源が投入された状態でデータの読み出しを行う場合には、無線信号を介して供給された電力によってデータの読み出しを行っても良いし、バッテリー16の電力によってこれを行っても良い。
【0026】
次に、手動によるデータの書き換え(ラジオ復調回路11によって復調される周波数成分の変更)について説明する。携帯ラジオ1は、例えば、起動操作手段3aが操作されたタイミングで、起動操作手段3a及び音量調整手段3b,3cの操作の組み合わせに応じて、記憶手段12から読み出される周波数データ又はそれを指示する情報(アドレスデータ)を書き換える。例えば、起動操作手段3aが操作されるタイミングで音量調整手段3b,3cが操作されていなければ、記憶手段12の上記所定のアドレスに記憶されたデータを書き換えない。一方、このタイミングで音量調整手段3b,3cが操作されていた場合には、上記所定のアドレスに記憶されたデータを書き換える。書き換えるデータが周波数データである場合には、例えば、上記他のアドレスに記憶された周波数データから一の周波数データを選択し、上記所定のアドレスにコピーする。アドレスデータである場合には、例えば、このアドレスデータを増減させる。
【0027】
[判別音又は案内音声の生成]
次に、判別音又は案内音声の生成について説明する。携帯ラジオ1は、電源投入時及びデータ(周波数データ又はそれを指示する情報)の書き換え時の少なくとも一方のタイミングで、イヤホン6等に判別音信号又は案内音声信号を出力し、これによってユーザが現在選択されている周波数(周波数データ、放送局)を判別するための判別音又は案内音声を発生させる。携帯ラジオ1は複数通りの判別音又は案内音声を取扱い可能であり、各判別音又は案内音声は各周波数と一対一で対応する。また、判別音又は案内音声は、それぞれ、お互いに異なる。判別音は、例えば、所定の音声パルスやラジオ復調回路11からの音声信号等を、周波数に応じた回数、タイミング、リズム、長さ又はこれらの組み合わせで鳴らすものであっても良い。また、案内音声は、例えば、人の声等の音声によって現在選択されている周波数(周波数データ、放送局)を案内するものであっても良い。
【0028】
図5は、判別音の生成処理の一例を示すフローチャートである。また、図6図7は、図5の例について説明するためのグラフであり、縦軸はイヤホン6等から出力される音声の音量(音声信号、判別音信号の電流の大きさ)を、横軸は時間を示している。この例において、判別音信号は、ラジオ復調回路11からの音声信号を、一瞬だけ出力することによってクリック音、パルス音、アタック音の様なもの(以下、単に「クリック音」と呼ぶ。)を発生させることによって生成する。また、周波数データの識別は、図6図7に例示するように、音声信号を発生させる回数によって行う。例えば、携帯ラジオ1が2つの周波数(放送局)に対応している場合、1つ目の周波数データが選択されている場合には図6に例示するように1回、2つ目の周波数データが選択されている場合には図7に例示するように2回発生させても良い。尚、図5の動作は、電源投入時及びデータの書き換え時の少なくとも一方のタイミングで行われる。
【0029】
ステップS101においては、図6のt11,図7のt21に例示するように、ラジオ復調回路11からの音声信号の出力を停止する。
【0030】
ステップS102においては、音声信号を発生させる回数を判別する。例えば、制御回路13は、記憶手段12内の予め指定されたアドレスを参照し、ここに記憶された判別音データを読み出しても良いし、このアドレスにアドレスデータが記憶される場合には、このアドレスデータによって指定された判別音データを読み出しても良い。尚、ここで言う判別音データは、周波数データに対応する判別音を生成するためのデータであり、制御回路13はこの判別音データに基づいて判別音信号を生成する。図5の例において、判別音データはクリック音を発生させる回数を指定するデータである。尚、判別音データの読み出しは、例えば、周波数データの読み出しと同時に行われても良い。更に、上記予め指定されたアドレスに記憶された判別音データ又はそれを指定する情報の書き換えは、周波数データ又はそれを指定する情報の書き換えと同時に行われても良い。
【0031】
ステップS103においては、音声信号の出力停止からの時間経過を監視し、所定時間T1の経過の後に監視を終了する。尚、ここで言う「所定時間」は、例えば、ステップS101で停止された音声信号と、ステップS104で開始される音声信号とが連続的な音に聞こえない程度に長い。例えば、0.01秒~0.5秒程度であっても良い。
【0032】
ステップS104においては、図6のt12,図7のt22に例示する通り、音声信号の出力を開始する。
【0033】
ステップS105においては、音声信号の出力開始からの時間経過を監視し、所定時間T2の経過の後に監視を終了する。尚、ここで言う「所定時間」は、例えば、ラジオ復調回路11からの音声信号がクリック音、パルス音、アタック音の様に聞こえる程度の時間であり、ユーザが音声信号の意味内容を理解可能な時間よりも短く、ユーザが聞き取れる程度に長い。例えば、0.01秒~0.5秒程度であっても良い。
【0034】
ステップS106においては、図6のt13,図7のt23に例示する通り、音声信号の出力を停止する。
【0035】
ステップS107においては、音声信号の出力停止からの時間経過を監視し、所定時間T3の経過の後に監視を終了する。尚、ここで言う「所定時間」は、例えば、ステップS104~S106の間に出力される音声信号が連続的な音に聞こえない程度に長い。例えば、0.01秒~0.5秒程度であっても良い。
【0036】
ステップS108においては、ステップS104~S107の音声信号の出力が所定回数分だけ実行されたか否かが確認され、実行されていない場合にはステップS104に戻り、実行されていた場合にはステップS109に進む。例えば、「所定回数」が一回であった場合には図6に例示するようにクリック音を一回発生させた後にステップS109に進み、「所定回数」が二回であった場合には図7に例示するようにクリック音を二回発生させた後にステップS109に進む。
【0037】
ステップS109においては、図6のt14,図7のt26に例示する通り、ラジオ復調回路11からの音声信号の出力を開始する。
【0038】
[第1の実施形態に係る放送電波受信機の効果]
本実施形態において、制御回路13は、携帯ラジオ1の電源投入時及びラジオ復調回路11によって復調される周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、音声信号に換えて、周波数データに対応する判別音信号を出力する。従ってユーザは、これによってイヤホン6から出力される判別音によって現在選択されている周波数(周波数データ、放送局)を判別可能であり、例えば視覚障害者による操作時や暗所での操作時に利便性を向上させることが可能である。また、この方法によれば、放送電波受信機にディスプレイ等の構成を設けることなく現在選択されている周波数データを判別可能であり、製造コストの削減、及び、より自由なデザインの実現が可能である。
【0039】
また、図5の例において、制御回路13は、携帯ラジオ1の電源投入時及びラジオ復調回路11によって復調される周波数成分の変更時の少なくとも一方のタイミングで、音声信号の出力を停止し(ステップS101)、周波数データに対応する回数だけ音声信号の出力及び停止を繰り返し(ステップS104~S108)、音声信号の出力を開始する(ステップS109)。この様な方法は、ラジオ復調回路11と接続手段15との間に他の構成を挿入することなく、制御回路13を操作するソフトウェア、ファームウェアのみによって実現可能であり、安価に実現可能である。
【0040】
[その他の実施形態]
本発明は、携帯ラジオだけでなく、例えば、国際会議の会場等で使用される携帯受信機や、据え置き型のテレビ受像機、ラジオ受信機等、種々の放送電波受信機に適用可能である。この場合、携帯受信機は、例えば、放送局からの放送電波でなく、館内放送の放送電波を受信しても良い。
【0041】
また、上述の判別音信号は、所定の音声パルスや復調回路からの音声信号等を、周波数(周波数データ、放送局)に応じた回数、タイミング、リズム、長さ又はこれらの組み合わせで発生させて生成されるものであっても良い。また、上記判別音データは、例えば、回数、タイミング、リズム、長さ又はこれらの組み合わせを指定するデータであっても良い。また、上述の案内音声信号は、周波数(周波数データ、放送局)毎に全く異なる音を発生させる信号であっても良い。また、上記案内音声データは、例えば、音声データであっても良い。また、復調回路からの音声信号以外の音声信号を使用して判別音信号又は案内音声を生成する場合、例えば、制御回路と接続手段との間に、判別音信号又は案内音声を生成するDAコンバータ等の構成を設けても良い。また、この場合、判別音信号又は案内音声は復調回路からの音声信号に換えて出力しても良いし、この音声信号と共に出力しても良い。
【符号の説明】
【0042】
1…携帯ラジオ、2…ケース、3a…起動操作手段、3b,3c…音量調整手段、4…取付手段、5…開口、6…イヤホン、7…無線読出/書込装置、11…ラジオ復調回路、12…記憶手段、13…制御回路、14…無線通信手段、15…接続手段、16…バッテリー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7